ガンマ線検出システム、ポジトロン放射断層撮影(PET)システム及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体
【課題】全体感度を変えることなく、簡易に有効視野を広げること。
【解決手段】実施形態のガンマ線検出システムは、同じ長さを有する複数の検出器モジュールであり、各検出器モジュールがポジトロン消滅事象から発生したガンマ線を検出する複数の検出器モジュール204を備える。複数の検出器モジュール204の第1の検出器モジュールは、第1の検出器モジュールに隣接した第2の検出器モジュールから軸方向に、検出器モジュール204の長さよりも短い所定間隔だけずらして実装される。
【解決手段】実施形態のガンマ線検出システムは、同じ長さを有する複数の検出器モジュールであり、各検出器モジュールがポジトロン消滅事象から発生したガンマ線を検出する複数の検出器モジュール204を備える。複数の検出器モジュール204の第1の検出器モジュールは、第1の検出器モジュールに隣接した第2の検出器モジュールから軸方向に、検出器モジュール204の長さよりも短い所定間隔だけずらして実装される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ガンマ線検出システム、ポジトロン放射断層撮影(PET)システム及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポジトロン放射断層撮影(PET:Positron Emission Tomography)イメージングでは、例えば摂取又は吸入により、最初に患者に放射性医薬品を投与する。しばらくすると、かかる薬品は、当該薬品の物理的性質及び生体分子的性質により、人体内の特定の部位に集積する。薬品の実際の空間分布、蓄積点若しくは蓄積領域の強度、及び投与から捕獲、そして最終的な排出に至るプロセスの動態は、全て、臨床的に重要な意味を持つ可能性のある要素である。このプロセス全体を通して、放射性医薬品に付着させたポジトロン放出体は、半減期、分岐比といった同位体の物理的性質に従ってポジトロン(陽電子)を放出する。各放出ポジトロンは、最終的に被検体の電子と相互に作用し合って消滅するとともに、511keVにおいて、実質的に180°離れて反対方向に2つの511keVのガンマ線を発生する。
【0003】
これら2つのガンマ線を検出し、それらの部位を結ぶ線、即ち同時計数線(LOR:Line Of Response)を引くことによって、高い確率で元の消滅位置を探し出すことができる。このプロセスは、相互作用が起こっている可能性のある線を識別するに過ぎないが、これらの線を数多く蓄積すれば、断層を再構成するプロセスを用いることによって、元の分布を推定することができる。2つのガンマ線それぞれの相互作用による2つのシンチレーション事象の部位の他に、正確なタイミング(数百ピコ秒以内)も利用可能であれば、飛行時間(TOF:Time Of Flight)の計算により、上記の同時計数線に沿った、消滅事象(annihilation event)が生じた確率の高い位置に関する更なる情報を加えることができる。
【0004】
スキャナが有するタイミング分解能の限界によって、この線に沿った位置判定の精度が決まることになる。更に、元のシンチレーション事象の部位を決定する際の限界によって、スキャナの最終的空間分解能が決まることになる。更に、同位体の特定の特性(例えばポジトロンのエネルギー)も、ポジトロンの範囲及び2つのガンマ線の共直線性を介して、特定の薬品の空間分解能を決める一因となる。
【0005】
上記の検出プロセスは、多数の事象について反復する必要がある。イメージング作業を支持するのに計数(即ち事象の対)がどれだけ必要になるのかを決定するには、各イメージング事例を解析しなければならないものの、数億の回数を蓄積する必要があるというのが、全身検査としての「典型的な長さ100cmのFDG(フルオロデオキシグルコース:fluoro-deoxyglucose)の研究」での現状である。これだけの回数を蓄積するのに要する時間は、注入量及びスキャナの感度とスキャナの計数能力によって決まる。
【0006】
PETスキャナは、本質的に等方性になっているはずの照射をできるだけ多く捕獲できるように、典型的には実質的に円筒形になっている。1つの事象を生成するには、反対方向に放出された2つのガンマ線を検出する必要があるため、感度は、近似的には、検出器の配置によって生じる立体角を二乗したものになる。例えば、検出器として部分円環を使用し、抜けている角度のものを捕獲するのに検出器を回転することも考えられないことではないが、結果は、スキャナ全体の感度に対して厳しいものとなる。1つの面に含まれる全てのガンマ線が検出器と相互作用を起こす機会を有する円筒形状では、軸方向(axial direction)の寸法が大きくなると、感度又は照射を捕獲する能力に非常に有利な効果が現れる。そのようにすることは、球形という、全てのガンマ線が検出される機会を有する究極の設計に帰着する。しかし、人間に適用するのに適した球状のPETスキャナを作製するには大きな寸法と高いコストが必要となるため、球状に設計することは不可能に近い。したがって、最新のPETスキャナは、軸方向長さが可変である円筒形状を備える。なお、「軸方向」とは、PETスキャナの走査面に垂直な方向のことであり、一般的には、被検体が載る天板の長手方向、又は、天板に載った被検体の体軸方向のことである。また、「軸方向長さ」とは、「体軸方向の長さ」のことである。
【0007】
ひとたびPETスキャナ全体の形状が分かれば、次の課題は、できるだけ多くのシンチレーション料をガンマ線経路に配置して、できるだけ多くのガンマ線を停止させて光に変換できるようにすることである。このプロセスには、最適化に関して2つの方向性が考えられる。第1に、「面内」感度は、PET検出器内にできるだけ多くの結晶(即ち結晶の厚さ)を配置することを必要とする。第2に、所与の結晶厚に対して、検出器円筒体の軸方向長さがシステムの全体感度を規定する。これは、軸方向長さの二乗(円筒体中央の点によって定まる立体角)に近似的に比例する。加えて、実際的なコストについて考察することも、最適化プロセスの不可避の部分である。
【0008】
できるだけ大きな軸方向長さを実現することは、一般的には感度にとって望ましいことであるが、臨床上の必要性から、他にも一定の制約が加えられる可能性がある。例えば、一部の臨床試験では、PETスキャナが、肺等の臓器の全体、又は、心臓及び頸動脈といった複数の臓器に対応しなければならない場合がある。したがって、PETスキャナ設計の目標は、PETスキャナのコスト、感度、及び軸方向長さを最適化することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−41007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、全体感度を変えることなく、簡易に有効視野を広げることができるガンマ線検出システム、ポジトロン放射断層撮影(PET)システム及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態のガンマ線検出システムは、同じ長さを有する複数の検出器モジュールであり、各検出器モジュールがポジトロン消滅事象から発生したガンマ線を検出する複数の検出器モジュールを備える。前記複数の検出器モジュールの第1の検出器モジュールは、前記複数の検出器モジュールのうちの前記第1の検出器モジュールに隣接した第2の検出器モジュールから軸方向に、前記検出器モジュールの長さよりも短い所定間隔だけずらして実装される。
【0012】
また、実施形態のポジトロン放射断層撮影(PET)システムは、同じ長さを有するとともに円筒環体の中に配置された複数の放射線検出器モジュールであり、各放射線検出器モジュールがポジトロン消滅事象から発生したガンマ線を検出する複数の放射線検出器モジュールを備える。前記複数の放射線検出器モジュールの第1の検出器モジュールは、前記複数の放射線検出器モジュールのうちの前記第1の検出器モジュールに隣接した第2の検出器モジュールから軸方向に、前記放射線検出器モジュールの長さよりも短い所定間隔だけずらして実装される。前記第1の検出器モジュール及び第2の検出器モジュールは、前記放射線検出器モジュールの長さから前記所定間隔を減じた長さに等しい軸方向の視野を有する中央走査領域と、前記所定間隔に等しい軸方向の視野を有する第1の周辺走査領域と、前記所定間隔に等しい軸方向の視野を有する第2の周辺走査領域と、を形成する。
【0013】
また、実施形態の非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータで実行可能な処理を実行するためのコンピュータプログラムを格納する。前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータに、同じ長さを有するとともに円筒環体の中に配置された複数の検出器モジュールであり、当該複数の検出器モジュールの第1の検出器モジュールが、当該複数の検出器モジュールのうちの前記第1の検出器モジュールに隣接した第2の検出器モジュールから軸方向に、前記検出器モジュールの長さよりも短い所定間隔だけずらして実装される状態において、各検出器モジュールが消滅事象から発生したガンマ線を検出する複数の検出器モジュールから、消滅事象に対応する事象データを収集させることを遂行させる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】図1Aは、完全円筒体の中に全モジュールが配置されている、従来のPETスキャナ構成を示す図である。
【図1B】図1Bは、2つの部分円弧体の中に全モジュールが配置されている、別の従来のPETスキャナ構成を示す図である。
【図1C】図1Cは、円筒環体の中に各検出器モジュールが均等に分散配置された従来のPETスキャナ構成を示す図である。
【図1D】図1Dは、完全円筒体スキャナ及び部分円弧スキャナとして、シンチレーション材料の量が同じである2つの環体を有する従来のPETスキャナ構成を示す図である。
【図2】図2は、ずらして実装された検出器モジュール群を有する本実施形態に係る円筒型PETスキャナを示す図である。
【図3A】図3Aは、本実施形態に係る一対の検出器モジュールを示す図である。
【図3B】図3Bは、本実施形態における中央走査領域を示す図である。
【図3C】図3Cは、本実施形態における周辺走査領域を示す図である。
【図3D】図3Dは、図3Cに示す周辺走査領域とは別の周辺走査領域を示す図である。
【図4】図4は、軸方向FOVの全域で感度がどのように変化するかを示すグラフである。
【図5A】図5Aは、本実施形態のラドン空間の一例を示す図である。
【図5B】図5Bは、本実施形態の検出器環体の一例を示す図である。
【図6】図6は、1つ又は複数のモジュールを具備したPET検出器システムの一例を示す図である。
【図7】図7は、ずらして実装された本実施形態に係る検出器モジュール群を用いて消滅事象を捕獲するための手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本実施形態に係るガンマ線検出システムとしてのデータ収集システムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、ガンマ線検出システム、ポジトロン放射断層撮影(PET)システム及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体の実施形態を詳細に説明する。
【0016】
(実施形態)
本実施形態のガンマ線検出システム、又は、PETシステムに係るPETスキャナは、1つおきに所定間隔だけずらして円筒環体又は多角形体の内部に配置されたPET検出器モジュール群(複数の検出器モジュール)を備える。PETスキャナの検出器モジュールを1つおきに円筒体の軸沿いにずらして実装することによって、軸方向の有効視野(FOV:Field Of View)が広がるが、PETスキャナのコスト及び全体感度は変わらない。
【0017】
本実施形態によれば、PETスキャナの感度とは、PETスキャナが消滅事象を捕獲する確率を指す。更に、本実施形態によれば、PETスキャナの軸方向FOVとは、消滅事象を捕獲できるPETスキャナの区域を指す。他の実施形態において、軸方向長さは、PETスキャナの開口部に垂直な物体の長さを包含する。例えば、患者がPETスキャナに挿入された場合に、軸方向長さとは、その患者がそのPETスキャナに挿入された軸に沿った長さである。すなわち、軸方向とは、体軸方向のことであり、軸方向長さとは、体軸方向の長さのことである。
【0018】
本明細書で開示のいくつかの実施形態では、PETスキャナは、完全円筒体又は多数の面が形成された多面体を画成するモジュールの中に配置された数千個の個別結晶で構成されている。シンチレータを形成する結晶エレメントは、全般的に、概ね4mm×4mmの断面を有する。但し、それよりも小さい寸法、及び正方形以外の断面も可能である。結晶の長さ(即ち深さ)が、どの程度の可能性でガンマ線が捕獲されるのかを決定する。結晶は、PETスキャナの主たる構成部品である複数の検出器モジュールの中に配置することができる。検出器モジュール内の結晶エレメントの長さは、10〜30mmの範囲としてもよい。
【0019】
PETスキャナを設計する際に、PETスキャナのFOVを広げながらPETスキャナのコストを最小限に抑えることは、望ましいことである。以下の従来のPETスキャナの比較において、結晶の深さ、結晶(即ちシンチレーション材料)の総量、及び検出器の直径は固定されている(即ち、これらの寸法に基づけば、各PETスキャナは同一のコストを有する)。図1Aは、完全円筒体の中に全モジュールが配置されている、従来のPETスキャナ構成を示す図である。図1Bは、2つの部分円弧体の中に全モジュールが配置されている、別の従来のPETスキャナ構成を示す図である。図1Cは、円筒環体の中に各検出器モジュールが均等に分散配置された従来のPETスキャナ構成を示す図である。図1Dは、完全円筒体スキャナ及び部分円弧スキャナとして、シンチレーション材料の量が同じである2つの環体を有する従来のPETスキャナ構成を示す図である。
【0020】
図1Aは、完全円筒体の中に全モジュールが配置されている、PETスキャナ構成を例示している。図1Bは、2つの部分円弧体の中に全モジュールが配置されている、別のPETスキャナ構成を例示している。前に指摘したように、部分円弧型PETスキャナ(図1B)は、完全円筒型PETスキャナ(図1A)と同じ量のシンチレーション材料を有しているが、軸方向長さzについてはそれより長くなっている。
【0021】
PETスキャナの感度は、面内立体角Ωに軸方向長さzを乗じたものに比例する。したがって、完全円筒型PETスキャナの感度は、約(Ω・z)2となる。部分円弧型PETスキャナの感度は、面内立体角が完全円筒型PETスキャナの半分となり、軸方向長さが完全円筒型PETスキャナの2倍となるので、(Ω/2・2z)2である。したがって、完全円筒体及び部分円弧円筒体は、略同一の感度を有している。
【0022】
完全円筒体構成及び部分円弧体構成のコスト及び感度は略同一であるが、それら2つのPETスキャナのサンプリング特性は、かなり異なっている。例えば、全角度を対象として含むには、部分円弧型PETスキャナを回転させる必要がある。更に、抜けている角度に対応するために検出器モジュールを回転させるのにかかる時間に起因して、部分円弧形状では、いかなる動的プロセスも適正にサンプリングすることができない。
【0023】
図1Cは、円筒環体の中に各検出器モジュールが均等に分散配置されたPETスキャナ構成を例示している。但し、この構成では、このPETスキャナの感度を完全円筒型PETスキャナ及び部分円弧型PETスキャナとほぼ同等にするために、シンチレーション材料を移動させて検出器モジュールの長さを長くしている。これにより、図1Cに示す間隙が発生している。図1Cに例示の円筒型PETスキャナは、部分円弧型PETスキャナに比べると、小さな回転を行うだけで、抜けている角度の分を取得することができる。但し、部分円弧型の設計に比べて間隙が縮小しているとはいえ、間隙の存在によって、動的プロセスに対して正確なサンプリングができなくなる可能性がある。
【0024】
図1Dは、完全円筒型スキャナ及び部分円弧型スキャナと同じ量のシンチレーション材料が入った2つの環体を有するPETスキャナ構成を例示している。したがって、その2環体型PETスキャナは、図1Dに例示するようにそれぞれ軸方向FOVが「W」であるので、軸方向FOVが2Wである完全円筒体と略同一の感度を有する。図1Dに例示の2環体型PETスキャナには間隙Gが存在しているが、飛行時間(TOF)再構成を役立てれば、間隙区域Gの分も揃えて「適切な」空間時間サンプリングを行えるようになる。
【0025】
図1A〜1Dに例示のPETスキャナは、患者の動的画像をより大きな範囲で捕獲するようにスキャナの軸方向FOVを広げようとすると、スキャナのコストが直線的に増加してしまうような選択肢を提供しているに過ぎない。少なくとも1つの間隙を持って周辺に分散配置された検出器材料(図1B〜1C)は、適切なサンプリングを行うには本質的に性能が劣っており、動的プロセスを完全に捕獲しようとしても十分に機能しないであろう。飛行時間再構成と組み合わせれば、軸方向に分散配置された材料(図1D)は他のスキャナに比べてより良好な折衷案を提供することができるが、飛行時間情報の質によって間隙の再構成画像の品質が決まることになり、そのシステムは常に、目的とする区域又は臓器が実際に配置されることになる軸方向FOVの中央部でより劣等な性能をもたらすことになる。
【0026】
そこで、本実施形態では、同じ長さを有し、ポジトロン消滅事象から発生したガンマ線を検出する検出器モジュールを複数備えるPETスキャナを以下のように構成する。すなわち、複数の検出器モジュールの第1の検出器モジュールは、複数の検出器モジュールのうちの第1の検出器モジュールに隣接した第2の検出器モジュールから軸方向に、検出器モジュールの長さよりも短い所定間隔だけずらして実装される。
【0027】
図2は、ずらして実装された検出器モジュール群を有する本実施形態に係る円筒型PETスキャナを示す図である。図2は、円筒検出器環体202を有する円筒型PETスキャナ200を例示している。本実施形態によれば、PET検出器は、長さ「W」を有する複数の検出器モジュール204を備える。図2に示すように、検出器モジュールは1つおきに、軸方向に間隔「d」だけずらして実装されている。なお、「d」は「W」より短い。上記の第1の検出器モジュールは、例えば、図2にて手前にずらして実装されている検出器モジュール204であり、上記の第2の検出器モジュールは、例えば、図2にて奥にずらして実装されている検出器モジュール204である。患者又はイメージングの対象物は、円筒体である円筒検出器環体202の内部に配置される。図2に示すように、検出器モジュール204をずらして実装することによって、間隙206が生じている。但し、本実施形態によれば、間隙206の幅は、検出器モジュール204の幅と同じである。したがって、検出器モジュール204の幅に相当する量だけPET検出器環体である円筒検出器環体202を回転させれば、検出器モジュールの各対間の各間隙が対象に含まれるようになるため、完全なサンプリングを行うことができる。
【0028】
ここで、本実施形態では、PET検出器環体である円筒検出器環体202は回転可能である。一例として、所定の量だけPET検出器環体である円筒検出器環体202を回転させるように構成されたモータに、PET検出器環体である円筒検出器環体202を取り付けてもよい。更に別の実施形態では、PET検出器環体である円筒検出器環体202は、PET検出器環体である円筒検出器環体202の回転を監視するセンサを備えている。いくつかの実施形態では、検出器モジュール204の回転角度を決定するとともにそれを格納するように、PET検出器環体である円筒検出器環体202外周上の任意の所望の場所にセンサが配設されている。一例として、そのセンサは、特定の時間までにPET検出器環体である円筒検出器環体202が何ラジアンだけ回転したかを監視する。このラジアン値は、画像再構成に使用される。他の実施形態では、センサは、PET検出器環体である円筒検出器環体202を回転させるモータの位置に配設される。この場合、そのモータの回転数の測定及びその回転数と検出器モジュールの回転角度との関係付けが行われる。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、円筒型PETスキャナ200は、図1A〜1Dに例示のPETスキャナと同じ量のシンチレーション材料を有する。したがって、円筒型PETスキャナ200は、図1A〜1Cに例示のPETスキャナと略同一のコスト及び感度を有する。しかし、検出器モジュール204を図2に示すようにずらして実装すれば、図1A〜1Cに例示のPETスキャナに比べて、円筒型PETスキャナ200の軸方向FOVが広がる。この観点において、円筒型PETスキャナ200の軸方向FOVが約「W+d」であるのに対し、図1Aに例示したずれの無いスキャナの軸方向FOVは「W」であり、図1B及び1Cのスキャナではそれぞれ「2W」である。図1Dのスキャナでは「2W+G」である。
【0030】
図2に示す複数の検出器モジュール204において、隣接する一対の検出器モジュール204について、以下図3A〜図3Dを用いて説明する。図3Aは、本実施形態に係る一対の検出器モジュールを示す図である図3Bは、本実施形態における中央走査領域を示す図である図3Cは、本実施形態における周辺走査領域を示す図である図3Dは、図3Cに示す周辺走査領域とは別の周辺走査領域を示す図である。
【0031】
図3Aは、検出器モジュール300及び302の対を例示している。一実施形態では、検出器モジュール300及び302の対は、円筒検出器環体202(図2)の中に設置された一対(隣接する2つ)の検出器モジュール204に対応する。本実施形態によれば、検出器モジュール300及び302の対はそれぞれ、長さ「W」、同一幅を有し、「d」だけずらして実装されている。すなわち、本実施形態では、検出器モジュール群に含まれる1つおきの検出器モジュールが、軸方向に所定間隔だけずらして実装される。円筒型PETスキャナ200が図1A〜1Dに例示のPETスキャナと同じ量のシンチレーション材料を有している場合、各PETスキャナの全体感度は略同一である。しかし、ずらして実装された検出器モジュール300及び302の対を具備した円筒型PETスキャナ200は3つの独立した走査領域を含んでおり、それらによって、そのPETスキャナの軸方向FOVは、図1A〜1Dに例示のPETスキャナに比べて広くなっている。この観点において、いくつかの実施形態では、ずらして実装された検出器モジュール300及び302の対は、中央走査領域と、第1の周辺走査領域と、第2の周辺走査領域と、を含んでいる。例えば、検出器モジュール300を第1の検出器モジュールとすると、検出器モジュール302は第2の検出器モジュールとなる。第1の検出器モジュール及び第2の検出器モジュールは、検出器モジュールの長さ「W」から所定間隔である「d」を減じた長さに等しい軸方向の有効視野を有する中央走査領域を形成する。また、第1の検出器モジュール及び第2の検出器モジュールは、「d」に等しい軸方向の有効視野を有する第1の周辺走査領域と、「d」に等しい軸方向の有効視野を有する第2の周辺走査領域とを形成する。なお、検出器モジュール300を第2の検出器モジュールとすると、検出器モジュール302は第1の検出器モジュールとなる。
【0032】
図3Bは、検出器モジュール300及び302それぞれの区域300a及び区域302aを包含した、本実施形態の中央走査領域を例示している。区域300a及び区域300bの面積は、「2×(W−d)×(検出器モジュール300の幅)」に対応する。中央走査領域は、中央走査領域に対応する区域に属するあらゆる消滅事象の完全なサンプリングを提供する。例えば、中央走査領域に対応する区域にある一対の検出器モジュール間には間隙が無いため、この区域に属する消滅事象はどれもが捕獲される。これにより、あらゆる動的プロセスについて、可能な限り最良の描写が得られる。
【0033】
図3Cは、検出器モジュール300の区域300bを包含した、本実施形態の周辺走査領域を例示している。区域300bは、「d×(検出器モジュール300の幅)」である。図3Dは、検出器モジュール302の区域302bを包含した別の周辺走査領域を例示している。区域302bは、「d×(検出器モジュール302の幅)」である。それらの周辺走査領域で、中央走査領域の1/4の感度で、部分的なサンプリングを行うことができる。但し、それら周辺走査領域に対応する区域300b及び区域302bが中央走査領域に対応する区域300a及び区域302aを越えて延在しているため、それら周辺走査領域は、図1A〜1Dに例示したずれの無いPETスキャナの1/4の感度で、円筒型PETスキャナ200の軸方向FOVを間隔「d」だけ延伸している。なお、区域300bを第1の周辺走査領域とすると、区画302bは第2の周辺走査領域となる。また、区域300bを第2の周辺走査領域とすると、区画302bは第1の周辺走査領域となる。
【0034】
ずらして実装された検出器モジュールの対に含まれる上記3つの走査領域(図3B〜3D)を用いれば、PET検出器環体である円筒検出器環体202に含まれるどの検出器モジュールについても、その周辺走査領域又は中央走査領域の中で生じる事象の対が組み合わされ、いくつかの実施形態によれば、それがハイブリッド式の事象検出を形成する。
【0035】
図4は、軸方向FOVの全域で感度がどのように変化するのかを示したグラフである。図4に示すグラフの水平軸は円筒型PET検出器環体の軸方向長さ(Z)であり、図4に示すグラフの垂直軸は相対感度である。
【0036】
完全円筒型スキャナ(図1A)の軸方向の感度特性は実線で表され、その曲線の下の面積Aが全体感度に比例する。ずらして実装された検出器モジュール(図2)を備えるPETスキャナの軸方向の感度特性は、中央走査領域に対応する中央部分と、周辺走査領域に対応する2つの外側の領域と、を含む3つの破線部分で構成されている。3つの破線部分それぞれの中央部分の高さは、一対の検出器モジュール間のずれ量に比例する。領域が混在する事象に対応する軸方向の感度特性は、点線で構成されている。具体的には、3つの破線部分のうち、中央の破線部分の面積Bは、上記の区域300a及び区域302a(中央走査領域)により検出される消滅事象の感度特性を示す。また、3つの破線部分のうち、図中左側の破線部分の面積Cは、上記の区域300b(一方の周辺走査領域)により検出される消滅事象の感度特性を示す。また、3つの破線部分のうち、図中右側の破線部分の面積Dは、上記の区域302b(他方の周辺走査領域)により検出される消滅事象の感度特性を示す。また、点線部分の面積Eは、対消滅により放射された2つのガンマ線が、中央走査領域と周辺走査領域とでそれぞれ検出される消滅事象の感度特性を示す。システムの全体感度は、破線領域及び点線領域を全て足し合わせたものであり、したがって、表面全体としては、元の実線の三角形と実質的に等価である。すなわち、「面積B+面積C+面積D+面積E」は、「面積A」と実質的に等しい。したがって、上記ずれの有る本実施形態に係るPETスキャナと上記ずれの無い従来のPETスキャナとは、略同一のシステム感度を有する。
【0037】
事象が混在する「点線」領域の存在は、単に回数を加えることにとどまらない。事象を混在させない場合、ずれの有るスキャナでは、元の「−Z/2〜+Z/2」の区域を越えて被検体の適切なサンプリングを完成するのに、回転が必要である。事象が混在する区域は、いずれの外側領域でも利用不可能なサンプリング線を含んでいる。したがって、事象が混在する区域は、捕獲したサンプルを再構成する際の全体的画像品質を改善する。更に、TOF再構成では、個別に利用された上記「副次的スキャナ」では利用不可能な新たな同時計数線を作成することの他に、画像の再構成品質を向上させるためにこれらの事象が更に利用されるであろう。というのは、より多くのサンプルが再構成に利用可能だからである。
【0038】
図5Aは、本実施形態のラドン空間の一例を示す図であり、図5Bは、本実施形態の検出器環体の一例を示す図である。図5Bでハッチングにより示される検出器モジュールは、例えば第1の検出器モジュールであり、図5Bで白抜きにより示される検出器モジュールは、例えば第2の検出器モジュールである。図5Aは、ラドン空間を例示している。ラドン表現では、1つの検出器エレメントを別のエレメントに接続する各線は、軸からの一定の角度及び一定の間隔を有する。例えば、ラドン表現では、図5Bのモジュール8の中心をモジュール24の中心に接続する線は、角度は90度、即ち垂直であり、間隔は0cmである。その線を表すために、図5Aのグラフに点が加えられている。図5Aにおいて、垂直軸は角度、水平軸は間隔を示している。図5Bに示すように、大きさが有限であるモジュール8及び24が有効に働く角度及び間隔の範囲は、図5Aで平行四辺形のセルPを画成している。サンプリングが完全に行われるような状況では全セルが利用可能であり、ラドンのグラフ全体を上下に移動させた場合と等価なガントリの回転を行えば、最終的に全セルが対象に含まれることになる。すなわち、本実施形態では、検出器モジュールをずらして実装することで、まず、図5Aに示すハッチングされたセルの部分のサイノグラム(sinogram)が収集され、その後、円筒検出器環体202を回転させることで、図5Aに示す白抜きのセルの部分のサイノグラムが収集される。これにより、本実施形態では、全体感度を変えることなく、広いFOVの事象データを収集することができる。
【0039】
事象が「混在すること」は、部分的にサンプリングしたラドンのグラフの中の1つのセルを、完全な状況の任意のセルに接続することと等価である。考察対象の平面が軸上で完全領域に向かって移動するにつれ、各セルは、それら2つの領域間の重み付け平均として、ますます「大きくなる」。当業者であれば分かるように、図5Aに例示のラドンのグラフは、例示を目的とするものである。正確な変化の特性は、もっと入り組んだものとなる。当業者であれば、図5Bの任意の2つのモジュールを結ぶ線が、1つの終点「a」と、もう1つの終点「b」と、を有することを、理解することができる。完全なサンプリングを提供する検出器モジュールの区域(例えば、図3Bの中央走査領域300a及び302a)では、任意の終点「a」を任意の他の終点「b]に接続することができる。周辺領域(例えば、図3C及び3Dそれぞれの周辺走査領域300b及び302b)では、周辺走査領域に属する各終点「a」の半分は、周辺走査領域に属する各終点「b」の半分に接続することができる。この接続は、両方の終点が中央走査領域に属する場合の1/4の感度を提供する。更に、周辺走査領域に属する可能な終点「a」の1/2は、中央走査領域に属する任意の終点「b」と接続することができる。この接続は、両方の終点が中央走査領域に属する場合の1/2の感度を提供する。したがって、ずれの有るスキャナの有効な軸方向FOVは、全体として、同じ量のシンチレータ材料及び実質的に同等の全体システム感度を有するずれの無いスキャナのものより広くなる。更に、検出器の幅1つ分だけ回転させることによって、完全なサンプリングを行うことができる。したがって、動的プロセスをサンプリングするには、ずらして実装された検出器モジュールを有するPETスキャナの方が適している。
【0040】
加えて、目的とする領域全体を対象として処理するのに(例えば全身イメージングを行なう場合に)、軸方向でステップワイズに移動させて複数の撮影が必要になる場合、ガントリを軸方向にzの最大値まで移動することによって、完全なサンプリングを行うことができる。このようにすることで、1つの部分的にサンプリングされた区域上の間隙を、本質的に相補的なパターンを備えている反対側の端部で埋めることになる。
【0041】
図6は、1つ又は複数のモジュールを具備したPET検出器システムの一例を示す図である。図6は、1つ又は複数のモジュールを具備したPET検出器システム600を例示している。PET検出器システム600のモジュールは、ハードウェア又はハードウェア/ソフトウェア混成体である。いくつかの実施形態では、PET検出器システム600は、CPU上で実行される1つ又は複数のプログラムによって実現されている。しかし、上記モジュールを、専用ハードウェア回路として実現してもよい。本実施形態によれば、PET検出器システム600は、図6に示すように、事象モジュール602と、スキャナ対形成モジュール604と、センサモジュール606と、回転モジュール608と、検出器変位モジュール610と、再構成モジュール612と、を具備している。
【0042】
一実施形態によれば、上記事象モジュール602は、PET検出器環体に含まれる各検出器モジュールによって捕獲された消滅事象を記録するとともに、その経過を追う。例えば、図2に注目すると、医薬品を注入された後の(又は摂取若しくは吸入した後の)患者がPET検出器環体である円筒検出器環体202の中に配置されると、事象モジュール602は、円筒検出器環体202に含まれる検出器モジュール204の各々によって捕獲された消滅事象を全て記録するとともに、その経過を追う。一実施形態では、スキャナ対形成モジュール604は、1つの検出モジュールからの事象と別の検出モジュールからの事象を対にする。すなわち、スキャナ対形成モジュール604は、複数の検出器モジュールの各検出器モジュールから取得された事象データの収集及び処理を行なう。例えば、スキャナ対形成モジュール604は、複数の検出器モジュールそれぞれから、ガンマ線検出結果(例えば、検出位置、検出時間、検出したガンマ線のエネルギー値等)を事象データとして収集する。そして、スキャナ対形成モジュール604は、ある消滅事象を略同時に検出した2つの検出器モジュール204の事象データを探索して対として組み合わせる処理を行なう。具体的には、スキャナ対形成モジュール604は、中央走査領域に対応する消滅事象を第1の周辺走査領域に対応する消滅事象と組み合わせる。また、スキャナ対形成モジュール604は、中央走査領域に対応する消滅事象を第2の周辺走査領域に対応する消滅事象と組み合わせる。また、スキャナ対形成モジュール604は、第1の周辺走査領域に対応する消滅事象を第2の周辺走査領域に対応する消滅事象と組み合わせる。なお、スキャナ対形成モジュール604は、中央走査領域間での消滅事象の組み合わせ処理も行なう。
【0043】
一実施形態によれば、センサモジュール606は、PET検出器環体の回転に対応する角度の経過を追うセンサ(図示省略)と交信を行っている。一実施形態では、回転モジュール608は、PET検出器環体を回転させるようにモータに命令する。一例として、回転モジュール608は、複数の検出器モジュール204を含む円筒検出器環体202を、各検出器モジュール204の幅の所定倍数分だけ回転させるように、モータに命令する。ここで、回転モジュール608は、円筒検出器環体202を、第1の周辺走査領域に対応する事象データが第2の周辺走査領域に対応する事象データを補完するような形で、第1の検出器モジュールの幅の所定倍数分だけ回転させる。更に別の実施形態では、センサモジュール606は、時間の関数として、PET検出器環体である円筒検出器環体202の回転量の経過を追う。この回転量は、画像再構成に使用される。円筒検出器環体202の回転量は、複数の検出器モジュールに関連する回転角度となる。かかる回転角度は、図示しない記憶装置に格納され、再構成モジュール612の処理に用いられる。
【0044】
一実施形態によれば、検出器変位モジュール610は、種々の臓器サイズ又は患者サイズに適応するように、各検出器モジュール間のずれ量をその都度変更する。一例として、検出器変位モジュール610は、各検出器モジュール204(図2)間のずれ量を変更することができる。検出器モジュール間のずれを増やすことによって、軸方向FOVを広げることができる。一実施形態では、再構成モジュール612は、任意の所望の方法を用いて、事象モジュール602、スキャナ対形成モジュール604、センサモジュール606、及び回転モジュール608からの情報を使った画像の再構成を行う。具体的には、再構成モジュール612は、スキャナ対形成モジュール604が収集した事象データ(すなわち、対として組み合わされた2つの事象データ)及びセンサモジュール606が検出した回転角度を用いて画像(PET画像)を再構成する。例えば、関連出願第12/571,562号に記述されているリストモード再構成を実施することができる。この出願の趣意は、本明細書において参照することにより援用されている。
【0045】
図7は、ずらして実装された本実施形態に係る検出器モジュール群を用いて消滅事象を捕獲するための手順の一例を示すフローチャートである。一実施形態では、図7のステップ700から始まるその手順は、CPUによって実施される。
【0046】
本手順では、最初にステップ700で検出器モジュールをガンマ線に曝す。一例として、図2に注目すると、医薬品の摂取後、患者がPET検出器環体である円筒検出器環体202の中に配置されると、消滅事象に対応する511keVのガンマ線が、検出器モジュール204に照射される。
【0047】
本手順はステップ702に進み、検出器モジュールのフォトセンサからデータを収集する。一例として、事象モジュール602は、消滅事象を捕獲した、円筒検出器環体202に含まれる各検出器モジュール204を記録するとともに、その経過を追う。
【0048】
本手順はステップ704に進み、検出器モジュールを回転させる。一例として、回転モジュール608は、円筒検出器環体202を所定量だけ回転させる。この場合、センサモジュール606は、円筒検出器環体202の回転角度の経過を追う。いくつかの実施形態では、最初の消滅事象が捕獲された後の所定時間経過後に、PET検出器環体である円筒検出器環体202を回転させる。代替実施形態では、回転は連続的である。この場合、回転角度に関する情報は事象毎に利用可能であり、その情報は、リストモード再構成を実施するためにプロセッサに送られる。
【0049】
PET検出器環体である円筒検出器環体202が回転した後、本手順はステップ706に進み、検出モジュールのフォトセンサからデータを収集する。これについては、機能的に前に説明した。次いで手順はステップ708に進み、画像再構成を実施する。一例として、再構成モジュール612は、任意の所望の方法を用いて、事象モジュール602、スキャナ対形成モジュール604、センサモジュール606、及び回転モジュール608からの情報を使った画像再構成を実施する。実施形態によれば、画像を再構成するのに、周辺領域及び中央領域で検出された全ての事象に対して、回転情報が使用される。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、画像を再構成するのに、MLEM(Maximum Likelihood Expectation Maximization)法や、OSEM(Ordered Subset MLEM)法等の反復再構成法が使用される。反復再構成法は、スキャナ形状の詳細な記述を用いるもので、複雑な事例(例えば混在する事象)を取り扱うことが可能になる。ずれの有るスキャナは、それと同じ量のシンチレーション材料を使用し、したがってコストが同じである他のスキャナに比べると、より広いFOVを捕獲することから、臨床上の有用性がより高い。
【0051】
図8は、本実施形態に係るガンマ線検出システムとしてのデータ収集システムの一例を示すブロック図である。すなわち、図8は、ガンマ線又はPET事象情報を取得するのに使用可能な、本実施形態に係るガンマ線検出システムの模式図である。図8において、ライトガイド830の上に光電子増倍管835及び840が配置され、そのライトガイド830の下にシンチレーション結晶800等がアレイ上に配列されたシンチレーション結晶アレイ805が配置されている。シンチレーション結晶820等がアレイ上に配列されたシンチレーション結晶アレイ825の第2のアレイは、シンチレーション結晶アレイ805に対向して配置され、その上にライトガイド815と、光電子増倍管895及び810と、が配置されている。上記光電子増倍管、ライトガイド、及びシンチレーション結晶で、検出器モジュールを形成することができる。なお、検出器モジュールを環体の中に複数個配置したものを、上記ガンマ線検出システムは搭載している。
【0052】
図8において、被験体(図示省略)からガンマ線が放出される際に、それらのガンマ線は、相互に約180°の反対方向に移動する。シンチレーション結晶800及び820で同時にガンマ線検出が行われており、それらのガンマ線が所定の制限時間内にシンチレーション結晶800及び820で検出されたときに、シンチレーション事象が決定される。したがって、ガンマ線のタイミング検出システムは、シンチレーション結晶800及び820で同時にガンマ線を検出する。但し、ガンマ線検出の説明は、簡略化して、シンチレーション結晶800に対してだけ行っている。しかしながら、当業者であれば、本明細書で与えられているシンチレーション結晶800についての説明を、シンチレーション結晶820でのガンマ線検出にも等しく適用できることに気付くであろう。
【0053】
各光電子増倍管810、835、840、及び895はそれぞれ、データ収集ユニット850に接続されている。データ収集ユニット850は、それら光電子増倍管からの信号を処理するように構成されたハードウェアを具備している。データ収集ユニット850は、ガンマ線の到達時間を測定する。システムクロック(図示省略)に対する判別パルスの時間をコード化するデータ収集ユニット850は、2つの出力(1つは光電子増倍管(PMT)835/840の組み合わせ用であり、1つはPMT810/895の組み合わせ用である)を生成する。飛行時間PETシステム用に、データ収集ユニット850は、典型的には15〜25psの精度で時間スタンプを生成する。データ収集ユニット850は、各PMTの信号(データ収集ユニット850からの4つの出力)の振幅を測定する。
【0054】
上記データ収集ユニット850の出力は、CPU870に提供され、そこで処理される。その処理は、上記データ収集ユニット850の出力からエネルギー及び位置を推定するとともに、事象毎の上記時間スタンプ出力から到達時間を推定することから成っており、以前の校正に基づいて多くの補正ステップを適用し、エネルギー、位置、及び時間を上記のように推定する精度を向上することを含む場合もある。
【0055】
実施形態によれば、CPU870は、図6に例示した1つ又は複数のモジュールを実現するように構成されている。更に別の実施形態によれば、CPU870は、図7の手順を実現するように構成されている。当業者であれば気付くように、CPU870は、個別論理ゲート、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)、又は他のコンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)として実現することができる。FPGA又はCPLDの実装は、VHDL(VHSIC Hardware Description Language)、Verilog、又は他の任意のハードウェア記述言語でコード化することができ、そのコードは、そのFPGA若しくはCPLD内部に直接搭載されている電子メモリ又は独立した電子メモリとしての電子メモリに格納することができる。更に、電子メモリは、ROM、EPROM、EEPROM、又はフラッシュメモリといった不揮発性とすることができる。電子メモリは更に、スタティックRAM又はダイナミックRAMといった揮発性とすることも可能であり、電子メモリの管理並びにFPGA又はCPLDと電子メモリとの間の相互作用の管理を行うのに、マイクロコントローラ又はマイクロプロセッサといったプロセッサを設けてもよい。
【0056】
或いは、CPU870は、本実施形態に記載の機能を実施する一組のコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムであって、上記の非一時的電子メモリ及び/又はハードディスクドライブ、CD、DVD、フラッシュドライブ、若しくは他の任意の公知の記憶媒体のうちのいずれかに格納されているプログラムを実行してもよい。更に、上記コンピュータ可読命令は、米国インテル社によるXeonプロセッサ(登録商標)又は米国AMD社によるOpteronプロセッサ(登録商標)といったプロセッサ、並びにMicrosoft VISTA(登録商標)、UNIX(登録商標)、Solaris(登録商標)、LINUX(登録商標)、Apple MAC−OS(登録商標)、及び当業者に公知の他のオペレーティングシステムといったオペレーティングシステムと一緒に実行する、ユーティリティアプリケーション、バックグラウンドデーモン、若しくはオペレーティングシステムの構成要素、又はそれらの組み合わせとして提供することができる。
【0057】
ひとたびCPU870によって処理されれば、その処理済みの信号は、電子記憶装置880に格納され、且つ/又はディスプレイ845に表示される。当業者であれば気付くように、電子記憶装置880は、ハードディスクドライブ、CD−ROMドライブ、DVDドライブ、フラッシュドライブ、RAM、ROM、又は当該技術分野で公知の他の任意の電子記憶装置とすることができる。ディスプレイ845は、LCDディスプレイ、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ、OLED、LED、又は当該技術分野で公知の他の任意のディスプレイとして実現することができる。したがって、本明細書でなされた電子記憶装置880及びディスプレイ845の説明は、単なる例示に過ぎず、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0058】
図8は更に、ガンマ線検出システムが他の外部装置及び/又はユーザとそれを介してつながるインタフェース875も具備している。例えば、インタフェース875は、USBインタフェース、PCMCIAインタフェース、イーサネット(登録商標)インタフェース、又は当該技術分野で公知の他の任意のインタフェースとすることができる。インタフェース875は更に、有線式又は無線式とすることも可能であり、キーボード及び/若しくはマウス又はユーザと対話するための当該技術分野で公知の他のヒューマンインタフェースを含んでいても構わない。
【0059】
以上、説明したとおり、本実施形態によれば、全体感度を変えることなく、簡易に有効視野を広げることができる。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0061】
200 円筒型PETスキャナ
202 円筒検出器環体
204 検出器モジュール
206 間隙
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ガンマ線検出システム、ポジトロン放射断層撮影(PET)システム及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポジトロン放射断層撮影(PET:Positron Emission Tomography)イメージングでは、例えば摂取又は吸入により、最初に患者に放射性医薬品を投与する。しばらくすると、かかる薬品は、当該薬品の物理的性質及び生体分子的性質により、人体内の特定の部位に集積する。薬品の実際の空間分布、蓄積点若しくは蓄積領域の強度、及び投与から捕獲、そして最終的な排出に至るプロセスの動態は、全て、臨床的に重要な意味を持つ可能性のある要素である。このプロセス全体を通して、放射性医薬品に付着させたポジトロン放出体は、半減期、分岐比といった同位体の物理的性質に従ってポジトロン(陽電子)を放出する。各放出ポジトロンは、最終的に被検体の電子と相互に作用し合って消滅するとともに、511keVにおいて、実質的に180°離れて反対方向に2つの511keVのガンマ線を発生する。
【0003】
これら2つのガンマ線を検出し、それらの部位を結ぶ線、即ち同時計数線(LOR:Line Of Response)を引くことによって、高い確率で元の消滅位置を探し出すことができる。このプロセスは、相互作用が起こっている可能性のある線を識別するに過ぎないが、これらの線を数多く蓄積すれば、断層を再構成するプロセスを用いることによって、元の分布を推定することができる。2つのガンマ線それぞれの相互作用による2つのシンチレーション事象の部位の他に、正確なタイミング(数百ピコ秒以内)も利用可能であれば、飛行時間(TOF:Time Of Flight)の計算により、上記の同時計数線に沿った、消滅事象(annihilation event)が生じた確率の高い位置に関する更なる情報を加えることができる。
【0004】
スキャナが有するタイミング分解能の限界によって、この線に沿った位置判定の精度が決まることになる。更に、元のシンチレーション事象の部位を決定する際の限界によって、スキャナの最終的空間分解能が決まることになる。更に、同位体の特定の特性(例えばポジトロンのエネルギー)も、ポジトロンの範囲及び2つのガンマ線の共直線性を介して、特定の薬品の空間分解能を決める一因となる。
【0005】
上記の検出プロセスは、多数の事象について反復する必要がある。イメージング作業を支持するのに計数(即ち事象の対)がどれだけ必要になるのかを決定するには、各イメージング事例を解析しなければならないものの、数億の回数を蓄積する必要があるというのが、全身検査としての「典型的な長さ100cmのFDG(フルオロデオキシグルコース:fluoro-deoxyglucose)の研究」での現状である。これだけの回数を蓄積するのに要する時間は、注入量及びスキャナの感度とスキャナの計数能力によって決まる。
【0006】
PETスキャナは、本質的に等方性になっているはずの照射をできるだけ多く捕獲できるように、典型的には実質的に円筒形になっている。1つの事象を生成するには、反対方向に放出された2つのガンマ線を検出する必要があるため、感度は、近似的には、検出器の配置によって生じる立体角を二乗したものになる。例えば、検出器として部分円環を使用し、抜けている角度のものを捕獲するのに検出器を回転することも考えられないことではないが、結果は、スキャナ全体の感度に対して厳しいものとなる。1つの面に含まれる全てのガンマ線が検出器と相互作用を起こす機会を有する円筒形状では、軸方向(axial direction)の寸法が大きくなると、感度又は照射を捕獲する能力に非常に有利な効果が現れる。そのようにすることは、球形という、全てのガンマ線が検出される機会を有する究極の設計に帰着する。しかし、人間に適用するのに適した球状のPETスキャナを作製するには大きな寸法と高いコストが必要となるため、球状に設計することは不可能に近い。したがって、最新のPETスキャナは、軸方向長さが可変である円筒形状を備える。なお、「軸方向」とは、PETスキャナの走査面に垂直な方向のことであり、一般的には、被検体が載る天板の長手方向、又は、天板に載った被検体の体軸方向のことである。また、「軸方向長さ」とは、「体軸方向の長さ」のことである。
【0007】
ひとたびPETスキャナ全体の形状が分かれば、次の課題は、できるだけ多くのシンチレーション料をガンマ線経路に配置して、できるだけ多くのガンマ線を停止させて光に変換できるようにすることである。このプロセスには、最適化に関して2つの方向性が考えられる。第1に、「面内」感度は、PET検出器内にできるだけ多くの結晶(即ち結晶の厚さ)を配置することを必要とする。第2に、所与の結晶厚に対して、検出器円筒体の軸方向長さがシステムの全体感度を規定する。これは、軸方向長さの二乗(円筒体中央の点によって定まる立体角)に近似的に比例する。加えて、実際的なコストについて考察することも、最適化プロセスの不可避の部分である。
【0008】
できるだけ大きな軸方向長さを実現することは、一般的には感度にとって望ましいことであるが、臨床上の必要性から、他にも一定の制約が加えられる可能性がある。例えば、一部の臨床試験では、PETスキャナが、肺等の臓器の全体、又は、心臓及び頸動脈といった複数の臓器に対応しなければならない場合がある。したがって、PETスキャナ設計の目標は、PETスキャナのコスト、感度、及び軸方向長さを最適化することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−41007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、全体感度を変えることなく、簡易に有効視野を広げることができるガンマ線検出システム、ポジトロン放射断層撮影(PET)システム及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態のガンマ線検出システムは、同じ長さを有する複数の検出器モジュールであり、各検出器モジュールがポジトロン消滅事象から発生したガンマ線を検出する複数の検出器モジュールを備える。前記複数の検出器モジュールの第1の検出器モジュールは、前記複数の検出器モジュールのうちの前記第1の検出器モジュールに隣接した第2の検出器モジュールから軸方向に、前記検出器モジュールの長さよりも短い所定間隔だけずらして実装される。
【0012】
また、実施形態のポジトロン放射断層撮影(PET)システムは、同じ長さを有するとともに円筒環体の中に配置された複数の放射線検出器モジュールであり、各放射線検出器モジュールがポジトロン消滅事象から発生したガンマ線を検出する複数の放射線検出器モジュールを備える。前記複数の放射線検出器モジュールの第1の検出器モジュールは、前記複数の放射線検出器モジュールのうちの前記第1の検出器モジュールに隣接した第2の検出器モジュールから軸方向に、前記放射線検出器モジュールの長さよりも短い所定間隔だけずらして実装される。前記第1の検出器モジュール及び第2の検出器モジュールは、前記放射線検出器モジュールの長さから前記所定間隔を減じた長さに等しい軸方向の視野を有する中央走査領域と、前記所定間隔に等しい軸方向の視野を有する第1の周辺走査領域と、前記所定間隔に等しい軸方向の視野を有する第2の周辺走査領域と、を形成する。
【0013】
また、実施形態の非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータで実行可能な処理を実行するためのコンピュータプログラムを格納する。前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータに、同じ長さを有するとともに円筒環体の中に配置された複数の検出器モジュールであり、当該複数の検出器モジュールの第1の検出器モジュールが、当該複数の検出器モジュールのうちの前記第1の検出器モジュールに隣接した第2の検出器モジュールから軸方向に、前記検出器モジュールの長さよりも短い所定間隔だけずらして実装される状態において、各検出器モジュールが消滅事象から発生したガンマ線を検出する複数の検出器モジュールから、消滅事象に対応する事象データを収集させることを遂行させる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】図1Aは、完全円筒体の中に全モジュールが配置されている、従来のPETスキャナ構成を示す図である。
【図1B】図1Bは、2つの部分円弧体の中に全モジュールが配置されている、別の従来のPETスキャナ構成を示す図である。
【図1C】図1Cは、円筒環体の中に各検出器モジュールが均等に分散配置された従来のPETスキャナ構成を示す図である。
【図1D】図1Dは、完全円筒体スキャナ及び部分円弧スキャナとして、シンチレーション材料の量が同じである2つの環体を有する従来のPETスキャナ構成を示す図である。
【図2】図2は、ずらして実装された検出器モジュール群を有する本実施形態に係る円筒型PETスキャナを示す図である。
【図3A】図3Aは、本実施形態に係る一対の検出器モジュールを示す図である。
【図3B】図3Bは、本実施形態における中央走査領域を示す図である。
【図3C】図3Cは、本実施形態における周辺走査領域を示す図である。
【図3D】図3Dは、図3Cに示す周辺走査領域とは別の周辺走査領域を示す図である。
【図4】図4は、軸方向FOVの全域で感度がどのように変化するかを示すグラフである。
【図5A】図5Aは、本実施形態のラドン空間の一例を示す図である。
【図5B】図5Bは、本実施形態の検出器環体の一例を示す図である。
【図6】図6は、1つ又は複数のモジュールを具備したPET検出器システムの一例を示す図である。
【図7】図7は、ずらして実装された本実施形態に係る検出器モジュール群を用いて消滅事象を捕獲するための手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本実施形態に係るガンマ線検出システムとしてのデータ収集システムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、ガンマ線検出システム、ポジトロン放射断層撮影(PET)システム及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体の実施形態を詳細に説明する。
【0016】
(実施形態)
本実施形態のガンマ線検出システム、又は、PETシステムに係るPETスキャナは、1つおきに所定間隔だけずらして円筒環体又は多角形体の内部に配置されたPET検出器モジュール群(複数の検出器モジュール)を備える。PETスキャナの検出器モジュールを1つおきに円筒体の軸沿いにずらして実装することによって、軸方向の有効視野(FOV:Field Of View)が広がるが、PETスキャナのコスト及び全体感度は変わらない。
【0017】
本実施形態によれば、PETスキャナの感度とは、PETスキャナが消滅事象を捕獲する確率を指す。更に、本実施形態によれば、PETスキャナの軸方向FOVとは、消滅事象を捕獲できるPETスキャナの区域を指す。他の実施形態において、軸方向長さは、PETスキャナの開口部に垂直な物体の長さを包含する。例えば、患者がPETスキャナに挿入された場合に、軸方向長さとは、その患者がそのPETスキャナに挿入された軸に沿った長さである。すなわち、軸方向とは、体軸方向のことであり、軸方向長さとは、体軸方向の長さのことである。
【0018】
本明細書で開示のいくつかの実施形態では、PETスキャナは、完全円筒体又は多数の面が形成された多面体を画成するモジュールの中に配置された数千個の個別結晶で構成されている。シンチレータを形成する結晶エレメントは、全般的に、概ね4mm×4mmの断面を有する。但し、それよりも小さい寸法、及び正方形以外の断面も可能である。結晶の長さ(即ち深さ)が、どの程度の可能性でガンマ線が捕獲されるのかを決定する。結晶は、PETスキャナの主たる構成部品である複数の検出器モジュールの中に配置することができる。検出器モジュール内の結晶エレメントの長さは、10〜30mmの範囲としてもよい。
【0019】
PETスキャナを設計する際に、PETスキャナのFOVを広げながらPETスキャナのコストを最小限に抑えることは、望ましいことである。以下の従来のPETスキャナの比較において、結晶の深さ、結晶(即ちシンチレーション材料)の総量、及び検出器の直径は固定されている(即ち、これらの寸法に基づけば、各PETスキャナは同一のコストを有する)。図1Aは、完全円筒体の中に全モジュールが配置されている、従来のPETスキャナ構成を示す図である。図1Bは、2つの部分円弧体の中に全モジュールが配置されている、別の従来のPETスキャナ構成を示す図である。図1Cは、円筒環体の中に各検出器モジュールが均等に分散配置された従来のPETスキャナ構成を示す図である。図1Dは、完全円筒体スキャナ及び部分円弧スキャナとして、シンチレーション材料の量が同じである2つの環体を有する従来のPETスキャナ構成を示す図である。
【0020】
図1Aは、完全円筒体の中に全モジュールが配置されている、PETスキャナ構成を例示している。図1Bは、2つの部分円弧体の中に全モジュールが配置されている、別のPETスキャナ構成を例示している。前に指摘したように、部分円弧型PETスキャナ(図1B)は、完全円筒型PETスキャナ(図1A)と同じ量のシンチレーション材料を有しているが、軸方向長さzについてはそれより長くなっている。
【0021】
PETスキャナの感度は、面内立体角Ωに軸方向長さzを乗じたものに比例する。したがって、完全円筒型PETスキャナの感度は、約(Ω・z)2となる。部分円弧型PETスキャナの感度は、面内立体角が完全円筒型PETスキャナの半分となり、軸方向長さが完全円筒型PETスキャナの2倍となるので、(Ω/2・2z)2である。したがって、完全円筒体及び部分円弧円筒体は、略同一の感度を有している。
【0022】
完全円筒体構成及び部分円弧体構成のコスト及び感度は略同一であるが、それら2つのPETスキャナのサンプリング特性は、かなり異なっている。例えば、全角度を対象として含むには、部分円弧型PETスキャナを回転させる必要がある。更に、抜けている角度に対応するために検出器モジュールを回転させるのにかかる時間に起因して、部分円弧形状では、いかなる動的プロセスも適正にサンプリングすることができない。
【0023】
図1Cは、円筒環体の中に各検出器モジュールが均等に分散配置されたPETスキャナ構成を例示している。但し、この構成では、このPETスキャナの感度を完全円筒型PETスキャナ及び部分円弧型PETスキャナとほぼ同等にするために、シンチレーション材料を移動させて検出器モジュールの長さを長くしている。これにより、図1Cに示す間隙が発生している。図1Cに例示の円筒型PETスキャナは、部分円弧型PETスキャナに比べると、小さな回転を行うだけで、抜けている角度の分を取得することができる。但し、部分円弧型の設計に比べて間隙が縮小しているとはいえ、間隙の存在によって、動的プロセスに対して正確なサンプリングができなくなる可能性がある。
【0024】
図1Dは、完全円筒型スキャナ及び部分円弧型スキャナと同じ量のシンチレーション材料が入った2つの環体を有するPETスキャナ構成を例示している。したがって、その2環体型PETスキャナは、図1Dに例示するようにそれぞれ軸方向FOVが「W」であるので、軸方向FOVが2Wである完全円筒体と略同一の感度を有する。図1Dに例示の2環体型PETスキャナには間隙Gが存在しているが、飛行時間(TOF)再構成を役立てれば、間隙区域Gの分も揃えて「適切な」空間時間サンプリングを行えるようになる。
【0025】
図1A〜1Dに例示のPETスキャナは、患者の動的画像をより大きな範囲で捕獲するようにスキャナの軸方向FOVを広げようとすると、スキャナのコストが直線的に増加してしまうような選択肢を提供しているに過ぎない。少なくとも1つの間隙を持って周辺に分散配置された検出器材料(図1B〜1C)は、適切なサンプリングを行うには本質的に性能が劣っており、動的プロセスを完全に捕獲しようとしても十分に機能しないであろう。飛行時間再構成と組み合わせれば、軸方向に分散配置された材料(図1D)は他のスキャナに比べてより良好な折衷案を提供することができるが、飛行時間情報の質によって間隙の再構成画像の品質が決まることになり、そのシステムは常に、目的とする区域又は臓器が実際に配置されることになる軸方向FOVの中央部でより劣等な性能をもたらすことになる。
【0026】
そこで、本実施形態では、同じ長さを有し、ポジトロン消滅事象から発生したガンマ線を検出する検出器モジュールを複数備えるPETスキャナを以下のように構成する。すなわち、複数の検出器モジュールの第1の検出器モジュールは、複数の検出器モジュールのうちの第1の検出器モジュールに隣接した第2の検出器モジュールから軸方向に、検出器モジュールの長さよりも短い所定間隔だけずらして実装される。
【0027】
図2は、ずらして実装された検出器モジュール群を有する本実施形態に係る円筒型PETスキャナを示す図である。図2は、円筒検出器環体202を有する円筒型PETスキャナ200を例示している。本実施形態によれば、PET検出器は、長さ「W」を有する複数の検出器モジュール204を備える。図2に示すように、検出器モジュールは1つおきに、軸方向に間隔「d」だけずらして実装されている。なお、「d」は「W」より短い。上記の第1の検出器モジュールは、例えば、図2にて手前にずらして実装されている検出器モジュール204であり、上記の第2の検出器モジュールは、例えば、図2にて奥にずらして実装されている検出器モジュール204である。患者又はイメージングの対象物は、円筒体である円筒検出器環体202の内部に配置される。図2に示すように、検出器モジュール204をずらして実装することによって、間隙206が生じている。但し、本実施形態によれば、間隙206の幅は、検出器モジュール204の幅と同じである。したがって、検出器モジュール204の幅に相当する量だけPET検出器環体である円筒検出器環体202を回転させれば、検出器モジュールの各対間の各間隙が対象に含まれるようになるため、完全なサンプリングを行うことができる。
【0028】
ここで、本実施形態では、PET検出器環体である円筒検出器環体202は回転可能である。一例として、所定の量だけPET検出器環体である円筒検出器環体202を回転させるように構成されたモータに、PET検出器環体である円筒検出器環体202を取り付けてもよい。更に別の実施形態では、PET検出器環体である円筒検出器環体202は、PET検出器環体である円筒検出器環体202の回転を監視するセンサを備えている。いくつかの実施形態では、検出器モジュール204の回転角度を決定するとともにそれを格納するように、PET検出器環体である円筒検出器環体202外周上の任意の所望の場所にセンサが配設されている。一例として、そのセンサは、特定の時間までにPET検出器環体である円筒検出器環体202が何ラジアンだけ回転したかを監視する。このラジアン値は、画像再構成に使用される。他の実施形態では、センサは、PET検出器環体である円筒検出器環体202を回転させるモータの位置に配設される。この場合、そのモータの回転数の測定及びその回転数と検出器モジュールの回転角度との関係付けが行われる。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、円筒型PETスキャナ200は、図1A〜1Dに例示のPETスキャナと同じ量のシンチレーション材料を有する。したがって、円筒型PETスキャナ200は、図1A〜1Cに例示のPETスキャナと略同一のコスト及び感度を有する。しかし、検出器モジュール204を図2に示すようにずらして実装すれば、図1A〜1Cに例示のPETスキャナに比べて、円筒型PETスキャナ200の軸方向FOVが広がる。この観点において、円筒型PETスキャナ200の軸方向FOVが約「W+d」であるのに対し、図1Aに例示したずれの無いスキャナの軸方向FOVは「W」であり、図1B及び1Cのスキャナではそれぞれ「2W」である。図1Dのスキャナでは「2W+G」である。
【0030】
図2に示す複数の検出器モジュール204において、隣接する一対の検出器モジュール204について、以下図3A〜図3Dを用いて説明する。図3Aは、本実施形態に係る一対の検出器モジュールを示す図である図3Bは、本実施形態における中央走査領域を示す図である図3Cは、本実施形態における周辺走査領域を示す図である図3Dは、図3Cに示す周辺走査領域とは別の周辺走査領域を示す図である。
【0031】
図3Aは、検出器モジュール300及び302の対を例示している。一実施形態では、検出器モジュール300及び302の対は、円筒検出器環体202(図2)の中に設置された一対(隣接する2つ)の検出器モジュール204に対応する。本実施形態によれば、検出器モジュール300及び302の対はそれぞれ、長さ「W」、同一幅を有し、「d」だけずらして実装されている。すなわち、本実施形態では、検出器モジュール群に含まれる1つおきの検出器モジュールが、軸方向に所定間隔だけずらして実装される。円筒型PETスキャナ200が図1A〜1Dに例示のPETスキャナと同じ量のシンチレーション材料を有している場合、各PETスキャナの全体感度は略同一である。しかし、ずらして実装された検出器モジュール300及び302の対を具備した円筒型PETスキャナ200は3つの独立した走査領域を含んでおり、それらによって、そのPETスキャナの軸方向FOVは、図1A〜1Dに例示のPETスキャナに比べて広くなっている。この観点において、いくつかの実施形態では、ずらして実装された検出器モジュール300及び302の対は、中央走査領域と、第1の周辺走査領域と、第2の周辺走査領域と、を含んでいる。例えば、検出器モジュール300を第1の検出器モジュールとすると、検出器モジュール302は第2の検出器モジュールとなる。第1の検出器モジュール及び第2の検出器モジュールは、検出器モジュールの長さ「W」から所定間隔である「d」を減じた長さに等しい軸方向の有効視野を有する中央走査領域を形成する。また、第1の検出器モジュール及び第2の検出器モジュールは、「d」に等しい軸方向の有効視野を有する第1の周辺走査領域と、「d」に等しい軸方向の有効視野を有する第2の周辺走査領域とを形成する。なお、検出器モジュール300を第2の検出器モジュールとすると、検出器モジュール302は第1の検出器モジュールとなる。
【0032】
図3Bは、検出器モジュール300及び302それぞれの区域300a及び区域302aを包含した、本実施形態の中央走査領域を例示している。区域300a及び区域300bの面積は、「2×(W−d)×(検出器モジュール300の幅)」に対応する。中央走査領域は、中央走査領域に対応する区域に属するあらゆる消滅事象の完全なサンプリングを提供する。例えば、中央走査領域に対応する区域にある一対の検出器モジュール間には間隙が無いため、この区域に属する消滅事象はどれもが捕獲される。これにより、あらゆる動的プロセスについて、可能な限り最良の描写が得られる。
【0033】
図3Cは、検出器モジュール300の区域300bを包含した、本実施形態の周辺走査領域を例示している。区域300bは、「d×(検出器モジュール300の幅)」である。図3Dは、検出器モジュール302の区域302bを包含した別の周辺走査領域を例示している。区域302bは、「d×(検出器モジュール302の幅)」である。それらの周辺走査領域で、中央走査領域の1/4の感度で、部分的なサンプリングを行うことができる。但し、それら周辺走査領域に対応する区域300b及び区域302bが中央走査領域に対応する区域300a及び区域302aを越えて延在しているため、それら周辺走査領域は、図1A〜1Dに例示したずれの無いPETスキャナの1/4の感度で、円筒型PETスキャナ200の軸方向FOVを間隔「d」だけ延伸している。なお、区域300bを第1の周辺走査領域とすると、区画302bは第2の周辺走査領域となる。また、区域300bを第2の周辺走査領域とすると、区画302bは第1の周辺走査領域となる。
【0034】
ずらして実装された検出器モジュールの対に含まれる上記3つの走査領域(図3B〜3D)を用いれば、PET検出器環体である円筒検出器環体202に含まれるどの検出器モジュールについても、その周辺走査領域又は中央走査領域の中で生じる事象の対が組み合わされ、いくつかの実施形態によれば、それがハイブリッド式の事象検出を形成する。
【0035】
図4は、軸方向FOVの全域で感度がどのように変化するのかを示したグラフである。図4に示すグラフの水平軸は円筒型PET検出器環体の軸方向長さ(Z)であり、図4に示すグラフの垂直軸は相対感度である。
【0036】
完全円筒型スキャナ(図1A)の軸方向の感度特性は実線で表され、その曲線の下の面積Aが全体感度に比例する。ずらして実装された検出器モジュール(図2)を備えるPETスキャナの軸方向の感度特性は、中央走査領域に対応する中央部分と、周辺走査領域に対応する2つの外側の領域と、を含む3つの破線部分で構成されている。3つの破線部分それぞれの中央部分の高さは、一対の検出器モジュール間のずれ量に比例する。領域が混在する事象に対応する軸方向の感度特性は、点線で構成されている。具体的には、3つの破線部分のうち、中央の破線部分の面積Bは、上記の区域300a及び区域302a(中央走査領域)により検出される消滅事象の感度特性を示す。また、3つの破線部分のうち、図中左側の破線部分の面積Cは、上記の区域300b(一方の周辺走査領域)により検出される消滅事象の感度特性を示す。また、3つの破線部分のうち、図中右側の破線部分の面積Dは、上記の区域302b(他方の周辺走査領域)により検出される消滅事象の感度特性を示す。また、点線部分の面積Eは、対消滅により放射された2つのガンマ線が、中央走査領域と周辺走査領域とでそれぞれ検出される消滅事象の感度特性を示す。システムの全体感度は、破線領域及び点線領域を全て足し合わせたものであり、したがって、表面全体としては、元の実線の三角形と実質的に等価である。すなわち、「面積B+面積C+面積D+面積E」は、「面積A」と実質的に等しい。したがって、上記ずれの有る本実施形態に係るPETスキャナと上記ずれの無い従来のPETスキャナとは、略同一のシステム感度を有する。
【0037】
事象が混在する「点線」領域の存在は、単に回数を加えることにとどまらない。事象を混在させない場合、ずれの有るスキャナでは、元の「−Z/2〜+Z/2」の区域を越えて被検体の適切なサンプリングを完成するのに、回転が必要である。事象が混在する区域は、いずれの外側領域でも利用不可能なサンプリング線を含んでいる。したがって、事象が混在する区域は、捕獲したサンプルを再構成する際の全体的画像品質を改善する。更に、TOF再構成では、個別に利用された上記「副次的スキャナ」では利用不可能な新たな同時計数線を作成することの他に、画像の再構成品質を向上させるためにこれらの事象が更に利用されるであろう。というのは、より多くのサンプルが再構成に利用可能だからである。
【0038】
図5Aは、本実施形態のラドン空間の一例を示す図であり、図5Bは、本実施形態の検出器環体の一例を示す図である。図5Bでハッチングにより示される検出器モジュールは、例えば第1の検出器モジュールであり、図5Bで白抜きにより示される検出器モジュールは、例えば第2の検出器モジュールである。図5Aは、ラドン空間を例示している。ラドン表現では、1つの検出器エレメントを別のエレメントに接続する各線は、軸からの一定の角度及び一定の間隔を有する。例えば、ラドン表現では、図5Bのモジュール8の中心をモジュール24の中心に接続する線は、角度は90度、即ち垂直であり、間隔は0cmである。その線を表すために、図5Aのグラフに点が加えられている。図5Aにおいて、垂直軸は角度、水平軸は間隔を示している。図5Bに示すように、大きさが有限であるモジュール8及び24が有効に働く角度及び間隔の範囲は、図5Aで平行四辺形のセルPを画成している。サンプリングが完全に行われるような状況では全セルが利用可能であり、ラドンのグラフ全体を上下に移動させた場合と等価なガントリの回転を行えば、最終的に全セルが対象に含まれることになる。すなわち、本実施形態では、検出器モジュールをずらして実装することで、まず、図5Aに示すハッチングされたセルの部分のサイノグラム(sinogram)が収集され、その後、円筒検出器環体202を回転させることで、図5Aに示す白抜きのセルの部分のサイノグラムが収集される。これにより、本実施形態では、全体感度を変えることなく、広いFOVの事象データを収集することができる。
【0039】
事象が「混在すること」は、部分的にサンプリングしたラドンのグラフの中の1つのセルを、完全な状況の任意のセルに接続することと等価である。考察対象の平面が軸上で完全領域に向かって移動するにつれ、各セルは、それら2つの領域間の重み付け平均として、ますます「大きくなる」。当業者であれば分かるように、図5Aに例示のラドンのグラフは、例示を目的とするものである。正確な変化の特性は、もっと入り組んだものとなる。当業者であれば、図5Bの任意の2つのモジュールを結ぶ線が、1つの終点「a」と、もう1つの終点「b」と、を有することを、理解することができる。完全なサンプリングを提供する検出器モジュールの区域(例えば、図3Bの中央走査領域300a及び302a)では、任意の終点「a」を任意の他の終点「b]に接続することができる。周辺領域(例えば、図3C及び3Dそれぞれの周辺走査領域300b及び302b)では、周辺走査領域に属する各終点「a」の半分は、周辺走査領域に属する各終点「b」の半分に接続することができる。この接続は、両方の終点が中央走査領域に属する場合の1/4の感度を提供する。更に、周辺走査領域に属する可能な終点「a」の1/2は、中央走査領域に属する任意の終点「b」と接続することができる。この接続は、両方の終点が中央走査領域に属する場合の1/2の感度を提供する。したがって、ずれの有るスキャナの有効な軸方向FOVは、全体として、同じ量のシンチレータ材料及び実質的に同等の全体システム感度を有するずれの無いスキャナのものより広くなる。更に、検出器の幅1つ分だけ回転させることによって、完全なサンプリングを行うことができる。したがって、動的プロセスをサンプリングするには、ずらして実装された検出器モジュールを有するPETスキャナの方が適している。
【0040】
加えて、目的とする領域全体を対象として処理するのに(例えば全身イメージングを行なう場合に)、軸方向でステップワイズに移動させて複数の撮影が必要になる場合、ガントリを軸方向にzの最大値まで移動することによって、完全なサンプリングを行うことができる。このようにすることで、1つの部分的にサンプリングされた区域上の間隙を、本質的に相補的なパターンを備えている反対側の端部で埋めることになる。
【0041】
図6は、1つ又は複数のモジュールを具備したPET検出器システムの一例を示す図である。図6は、1つ又は複数のモジュールを具備したPET検出器システム600を例示している。PET検出器システム600のモジュールは、ハードウェア又はハードウェア/ソフトウェア混成体である。いくつかの実施形態では、PET検出器システム600は、CPU上で実行される1つ又は複数のプログラムによって実現されている。しかし、上記モジュールを、専用ハードウェア回路として実現してもよい。本実施形態によれば、PET検出器システム600は、図6に示すように、事象モジュール602と、スキャナ対形成モジュール604と、センサモジュール606と、回転モジュール608と、検出器変位モジュール610と、再構成モジュール612と、を具備している。
【0042】
一実施形態によれば、上記事象モジュール602は、PET検出器環体に含まれる各検出器モジュールによって捕獲された消滅事象を記録するとともに、その経過を追う。例えば、図2に注目すると、医薬品を注入された後の(又は摂取若しくは吸入した後の)患者がPET検出器環体である円筒検出器環体202の中に配置されると、事象モジュール602は、円筒検出器環体202に含まれる検出器モジュール204の各々によって捕獲された消滅事象を全て記録するとともに、その経過を追う。一実施形態では、スキャナ対形成モジュール604は、1つの検出モジュールからの事象と別の検出モジュールからの事象を対にする。すなわち、スキャナ対形成モジュール604は、複数の検出器モジュールの各検出器モジュールから取得された事象データの収集及び処理を行なう。例えば、スキャナ対形成モジュール604は、複数の検出器モジュールそれぞれから、ガンマ線検出結果(例えば、検出位置、検出時間、検出したガンマ線のエネルギー値等)を事象データとして収集する。そして、スキャナ対形成モジュール604は、ある消滅事象を略同時に検出した2つの検出器モジュール204の事象データを探索して対として組み合わせる処理を行なう。具体的には、スキャナ対形成モジュール604は、中央走査領域に対応する消滅事象を第1の周辺走査領域に対応する消滅事象と組み合わせる。また、スキャナ対形成モジュール604は、中央走査領域に対応する消滅事象を第2の周辺走査領域に対応する消滅事象と組み合わせる。また、スキャナ対形成モジュール604は、第1の周辺走査領域に対応する消滅事象を第2の周辺走査領域に対応する消滅事象と組み合わせる。なお、スキャナ対形成モジュール604は、中央走査領域間での消滅事象の組み合わせ処理も行なう。
【0043】
一実施形態によれば、センサモジュール606は、PET検出器環体の回転に対応する角度の経過を追うセンサ(図示省略)と交信を行っている。一実施形態では、回転モジュール608は、PET検出器環体を回転させるようにモータに命令する。一例として、回転モジュール608は、複数の検出器モジュール204を含む円筒検出器環体202を、各検出器モジュール204の幅の所定倍数分だけ回転させるように、モータに命令する。ここで、回転モジュール608は、円筒検出器環体202を、第1の周辺走査領域に対応する事象データが第2の周辺走査領域に対応する事象データを補完するような形で、第1の検出器モジュールの幅の所定倍数分だけ回転させる。更に別の実施形態では、センサモジュール606は、時間の関数として、PET検出器環体である円筒検出器環体202の回転量の経過を追う。この回転量は、画像再構成に使用される。円筒検出器環体202の回転量は、複数の検出器モジュールに関連する回転角度となる。かかる回転角度は、図示しない記憶装置に格納され、再構成モジュール612の処理に用いられる。
【0044】
一実施形態によれば、検出器変位モジュール610は、種々の臓器サイズ又は患者サイズに適応するように、各検出器モジュール間のずれ量をその都度変更する。一例として、検出器変位モジュール610は、各検出器モジュール204(図2)間のずれ量を変更することができる。検出器モジュール間のずれを増やすことによって、軸方向FOVを広げることができる。一実施形態では、再構成モジュール612は、任意の所望の方法を用いて、事象モジュール602、スキャナ対形成モジュール604、センサモジュール606、及び回転モジュール608からの情報を使った画像の再構成を行う。具体的には、再構成モジュール612は、スキャナ対形成モジュール604が収集した事象データ(すなわち、対として組み合わされた2つの事象データ)及びセンサモジュール606が検出した回転角度を用いて画像(PET画像)を再構成する。例えば、関連出願第12/571,562号に記述されているリストモード再構成を実施することができる。この出願の趣意は、本明細書において参照することにより援用されている。
【0045】
図7は、ずらして実装された本実施形態に係る検出器モジュール群を用いて消滅事象を捕獲するための手順の一例を示すフローチャートである。一実施形態では、図7のステップ700から始まるその手順は、CPUによって実施される。
【0046】
本手順では、最初にステップ700で検出器モジュールをガンマ線に曝す。一例として、図2に注目すると、医薬品の摂取後、患者がPET検出器環体である円筒検出器環体202の中に配置されると、消滅事象に対応する511keVのガンマ線が、検出器モジュール204に照射される。
【0047】
本手順はステップ702に進み、検出器モジュールのフォトセンサからデータを収集する。一例として、事象モジュール602は、消滅事象を捕獲した、円筒検出器環体202に含まれる各検出器モジュール204を記録するとともに、その経過を追う。
【0048】
本手順はステップ704に進み、検出器モジュールを回転させる。一例として、回転モジュール608は、円筒検出器環体202を所定量だけ回転させる。この場合、センサモジュール606は、円筒検出器環体202の回転角度の経過を追う。いくつかの実施形態では、最初の消滅事象が捕獲された後の所定時間経過後に、PET検出器環体である円筒検出器環体202を回転させる。代替実施形態では、回転は連続的である。この場合、回転角度に関する情報は事象毎に利用可能であり、その情報は、リストモード再構成を実施するためにプロセッサに送られる。
【0049】
PET検出器環体である円筒検出器環体202が回転した後、本手順はステップ706に進み、検出モジュールのフォトセンサからデータを収集する。これについては、機能的に前に説明した。次いで手順はステップ708に進み、画像再構成を実施する。一例として、再構成モジュール612は、任意の所望の方法を用いて、事象モジュール602、スキャナ対形成モジュール604、センサモジュール606、及び回転モジュール608からの情報を使った画像再構成を実施する。実施形態によれば、画像を再構成するのに、周辺領域及び中央領域で検出された全ての事象に対して、回転情報が使用される。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、画像を再構成するのに、MLEM(Maximum Likelihood Expectation Maximization)法や、OSEM(Ordered Subset MLEM)法等の反復再構成法が使用される。反復再構成法は、スキャナ形状の詳細な記述を用いるもので、複雑な事例(例えば混在する事象)を取り扱うことが可能になる。ずれの有るスキャナは、それと同じ量のシンチレーション材料を使用し、したがってコストが同じである他のスキャナに比べると、より広いFOVを捕獲することから、臨床上の有用性がより高い。
【0051】
図8は、本実施形態に係るガンマ線検出システムとしてのデータ収集システムの一例を示すブロック図である。すなわち、図8は、ガンマ線又はPET事象情報を取得するのに使用可能な、本実施形態に係るガンマ線検出システムの模式図である。図8において、ライトガイド830の上に光電子増倍管835及び840が配置され、そのライトガイド830の下にシンチレーション結晶800等がアレイ上に配列されたシンチレーション結晶アレイ805が配置されている。シンチレーション結晶820等がアレイ上に配列されたシンチレーション結晶アレイ825の第2のアレイは、シンチレーション結晶アレイ805に対向して配置され、その上にライトガイド815と、光電子増倍管895及び810と、が配置されている。上記光電子増倍管、ライトガイド、及びシンチレーション結晶で、検出器モジュールを形成することができる。なお、検出器モジュールを環体の中に複数個配置したものを、上記ガンマ線検出システムは搭載している。
【0052】
図8において、被験体(図示省略)からガンマ線が放出される際に、それらのガンマ線は、相互に約180°の反対方向に移動する。シンチレーション結晶800及び820で同時にガンマ線検出が行われており、それらのガンマ線が所定の制限時間内にシンチレーション結晶800及び820で検出されたときに、シンチレーション事象が決定される。したがって、ガンマ線のタイミング検出システムは、シンチレーション結晶800及び820で同時にガンマ線を検出する。但し、ガンマ線検出の説明は、簡略化して、シンチレーション結晶800に対してだけ行っている。しかしながら、当業者であれば、本明細書で与えられているシンチレーション結晶800についての説明を、シンチレーション結晶820でのガンマ線検出にも等しく適用できることに気付くであろう。
【0053】
各光電子増倍管810、835、840、及び895はそれぞれ、データ収集ユニット850に接続されている。データ収集ユニット850は、それら光電子増倍管からの信号を処理するように構成されたハードウェアを具備している。データ収集ユニット850は、ガンマ線の到達時間を測定する。システムクロック(図示省略)に対する判別パルスの時間をコード化するデータ収集ユニット850は、2つの出力(1つは光電子増倍管(PMT)835/840の組み合わせ用であり、1つはPMT810/895の組み合わせ用である)を生成する。飛行時間PETシステム用に、データ収集ユニット850は、典型的には15〜25psの精度で時間スタンプを生成する。データ収集ユニット850は、各PMTの信号(データ収集ユニット850からの4つの出力)の振幅を測定する。
【0054】
上記データ収集ユニット850の出力は、CPU870に提供され、そこで処理される。その処理は、上記データ収集ユニット850の出力からエネルギー及び位置を推定するとともに、事象毎の上記時間スタンプ出力から到達時間を推定することから成っており、以前の校正に基づいて多くの補正ステップを適用し、エネルギー、位置、及び時間を上記のように推定する精度を向上することを含む場合もある。
【0055】
実施形態によれば、CPU870は、図6に例示した1つ又は複数のモジュールを実現するように構成されている。更に別の実施形態によれば、CPU870は、図7の手順を実現するように構成されている。当業者であれば気付くように、CPU870は、個別論理ゲート、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)、又は他のコンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)として実現することができる。FPGA又はCPLDの実装は、VHDL(VHSIC Hardware Description Language)、Verilog、又は他の任意のハードウェア記述言語でコード化することができ、そのコードは、そのFPGA若しくはCPLD内部に直接搭載されている電子メモリ又は独立した電子メモリとしての電子メモリに格納することができる。更に、電子メモリは、ROM、EPROM、EEPROM、又はフラッシュメモリといった不揮発性とすることができる。電子メモリは更に、スタティックRAM又はダイナミックRAMといった揮発性とすることも可能であり、電子メモリの管理並びにFPGA又はCPLDと電子メモリとの間の相互作用の管理を行うのに、マイクロコントローラ又はマイクロプロセッサといったプロセッサを設けてもよい。
【0056】
或いは、CPU870は、本実施形態に記載の機能を実施する一組のコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムであって、上記の非一時的電子メモリ及び/又はハードディスクドライブ、CD、DVD、フラッシュドライブ、若しくは他の任意の公知の記憶媒体のうちのいずれかに格納されているプログラムを実行してもよい。更に、上記コンピュータ可読命令は、米国インテル社によるXeonプロセッサ(登録商標)又は米国AMD社によるOpteronプロセッサ(登録商標)といったプロセッサ、並びにMicrosoft VISTA(登録商標)、UNIX(登録商標)、Solaris(登録商標)、LINUX(登録商標)、Apple MAC−OS(登録商標)、及び当業者に公知の他のオペレーティングシステムといったオペレーティングシステムと一緒に実行する、ユーティリティアプリケーション、バックグラウンドデーモン、若しくはオペレーティングシステムの構成要素、又はそれらの組み合わせとして提供することができる。
【0057】
ひとたびCPU870によって処理されれば、その処理済みの信号は、電子記憶装置880に格納され、且つ/又はディスプレイ845に表示される。当業者であれば気付くように、電子記憶装置880は、ハードディスクドライブ、CD−ROMドライブ、DVDドライブ、フラッシュドライブ、RAM、ROM、又は当該技術分野で公知の他の任意の電子記憶装置とすることができる。ディスプレイ845は、LCDディスプレイ、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ、OLED、LED、又は当該技術分野で公知の他の任意のディスプレイとして実現することができる。したがって、本明細書でなされた電子記憶装置880及びディスプレイ845の説明は、単なる例示に過ぎず、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0058】
図8は更に、ガンマ線検出システムが他の外部装置及び/又はユーザとそれを介してつながるインタフェース875も具備している。例えば、インタフェース875は、USBインタフェース、PCMCIAインタフェース、イーサネット(登録商標)インタフェース、又は当該技術分野で公知の他の任意のインタフェースとすることができる。インタフェース875は更に、有線式又は無線式とすることも可能であり、キーボード及び/若しくはマウス又はユーザと対話するための当該技術分野で公知の他のヒューマンインタフェースを含んでいても構わない。
【0059】
以上、説明したとおり、本実施形態によれば、全体感度を変えることなく、簡易に有効視野を広げることができる。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0061】
200 円筒型PETスキャナ
202 円筒検出器環体
204 検出器モジュール
206 間隙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ長さを有する複数の検出器モジュールであり、各検出器モジュールがポジトロン消滅事象から発生したガンマ線を検出する複数の検出器モジュールを備えたガンマ線検出システムであって、
前記複数の検出器モジュールの第1の検出器モジュールは、前記複数の検出器モジュールのうちの前記第1の検出器モジュールに隣接した第2の検出器モジュールから軸方向に、前記検出器モジュールの長さよりも短い所定間隔だけずらして実装される、
ガンマ線検出システム。
【請求項2】
前記複数の検出器モジュールに含まれる1つおきの検出器モジュールが、前記軸方向に前記所定間隔だけずらして実装される、請求項1に記載のガンマ線検出システム。
【請求項3】
前記複数の検出器モジュールの各検出器モジュールから取得された事象データの収集及び処理を行なうプロセッサと、
前記プロセッサから受信されたコマンドに応答して、前記複数の検出器モジュールを、各検出器モジュールの幅の所定倍数分だけ回転させるモータと、
を更に備える、請求項1に記載のガンマ線検出システム。
【請求項4】
前記複数の検出器モジュールに関連する回転角度を、時間の関数として検出し、格納する感知ユニット、
を更に備え、
前記プロセッサは、前記収集された事象データ及び前記検出された回転角度を用いて画像を再構成する、請求項3に記載のガンマ線検出システム。
【請求項5】
同じ長さを有するとともに円筒環体の中に配置された複数の放射線検出器モジュールであり、各放射線検出器モジュールがポジトロン消滅事象から発生したガンマ線を検出する複数の放射線検出器モジュールを備えたポジトロン放射断層撮影(PET)システムであって、
前記複数の放射線検出器モジュールの第1の検出器モジュールは、前記複数の放射線検出器モジュールのうちの前記第1の検出器モジュールに隣接した第2の検出器モジュールから軸方向に、前記放射線検出器モジュールの長さよりも短い所定間隔だけずらして実装され、
前記第1の検出器モジュール及び第2の検出器モジュールは、
前記放射線検出器モジュールの長さから前記所定間隔を減じた長さに等しい軸方向の視野を有する中央走査領域と、
前記所定間隔に等しい軸方向の視野を有する第1の周辺走査領域と、
前記所定間隔に等しい軸方向の視野を有する第2の周辺走査領域と、
を形成する、PETシステム。
【請求項6】
事象データの収集及び処理を行うとともに、前記中央走査領域に対応する消滅事象を前記第1の周辺走査領域に対応する消滅事象と組み合わせるプロセッサ、
を更に備える、請求項5に記載のPETシステム。
【請求項7】
事象データの収集及び処理を行うとともに、前記中央走査領域に対応する消滅事象を前記第2の周辺走査領域に対応する消滅事象と組み合わせるプロセッサ、
を更に備える、請求項5に記載のPETシステム。
【請求項8】
事象データの収集及び処理を行うとともに、前記第1の周辺走査領域に対応する消滅事象を前記第2の周辺走査領域に対応する消滅事象と組み合わせるプロセッサ、
を更に備える、請求項7に記載のPETシステム。
【請求項9】
前記複数の放射線検出器モジュールに含まれる1つおきの放射線検出器モジュールが、前記軸方向に前記所定間隔だけずらして実装される、請求項5に記載のガンマ線検出システム。
【請求項10】
事象データの収集及び処理を行なうプロセッサと、
前記プロセッサからコマンドを受信し、前記第1の周辺走査領域に対応する事象データが前記第2の周辺走査領域に対応する事象データを補完するような形で、前記複数の放射線検出器モジュールを含む前記円筒環体を、前記第1の検出器モジュールの幅の所定倍数分だけ回転させるモータと、
を更に備える、請求項5に記載のPETシステム。
【請求項11】
前記複数の放射線検出器モジュールに関連する回転角度を、時間の関数として検出し、格納する感知ユニット、
を更に備え、
前記プロセッサは、前記収集された事象データ及び前記検出された回転角度を用いて画像を再構成する、請求項10に記載のPETシステム。
【請求項12】
コンピュータで実行可能な処理を実行するためのコンピュータプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータに、
同じ長さを有するとともに円筒環体の中に配置された複数の検出器モジュールであり、当該複数の検出器モジュールの第1の検出器モジュールが、当該複数の検出器モジュールのうちの前記第1の検出器モジュールに隣接した第2の検出器モジュールから軸方向に、前記検出器モジュールの長さよりも短い所定間隔だけずらして実装される状態において、各検出器モジュールが消滅事象から発生したガンマ線を検出する複数の検出器モジュールから、消滅事象に対応する事象データを収集させることを遂行させる、
非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
前記コンピュータプログラムは、更に、前記コンピュータに、
前記検出器モジュールの長さから前記所定間隔を減じた長さに等しい軸方向の視野を包含する中央走査領域に対応する消滅事象を、前記所定間隔に等しい軸方向の視野を包含する周辺走査領域に対応する消滅事象と組み合わせることを遂行させる、請求項12に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
前記コンピュータプログラムは、更に、前記コンピュータに、
前記所定間隔に等しい軸方向の視野を包含する第1の周辺走査領域に対応する消滅事象を、前記所定間隔に等しい軸方向の視野を包含する第2の周辺走査領域に対応する消滅事象と組み合わせることを遂行させる、請求項12に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
前記コンピュータプログラムは、更に、前記コンピュータに、
前記第1の周辺走査領域に対応する事象データが前記第2の周辺走査領域に対応する事象データを補完するような形で、前記複数の検出器モジュールを含む前記円筒環体を、前記第1の検出器モジュールの幅の所定倍数分だけ回転させるように、モータに命令させることを遂行させ、
前記複数の検出器モジュールから収集された前記データを用いて画像を再構成させることを遂行させる、請求項14に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項1】
同じ長さを有する複数の検出器モジュールであり、各検出器モジュールがポジトロン消滅事象から発生したガンマ線を検出する複数の検出器モジュールを備えたガンマ線検出システムであって、
前記複数の検出器モジュールの第1の検出器モジュールは、前記複数の検出器モジュールのうちの前記第1の検出器モジュールに隣接した第2の検出器モジュールから軸方向に、前記検出器モジュールの長さよりも短い所定間隔だけずらして実装される、
ガンマ線検出システム。
【請求項2】
前記複数の検出器モジュールに含まれる1つおきの検出器モジュールが、前記軸方向に前記所定間隔だけずらして実装される、請求項1に記載のガンマ線検出システム。
【請求項3】
前記複数の検出器モジュールの各検出器モジュールから取得された事象データの収集及び処理を行なうプロセッサと、
前記プロセッサから受信されたコマンドに応答して、前記複数の検出器モジュールを、各検出器モジュールの幅の所定倍数分だけ回転させるモータと、
を更に備える、請求項1に記載のガンマ線検出システム。
【請求項4】
前記複数の検出器モジュールに関連する回転角度を、時間の関数として検出し、格納する感知ユニット、
を更に備え、
前記プロセッサは、前記収集された事象データ及び前記検出された回転角度を用いて画像を再構成する、請求項3に記載のガンマ線検出システム。
【請求項5】
同じ長さを有するとともに円筒環体の中に配置された複数の放射線検出器モジュールであり、各放射線検出器モジュールがポジトロン消滅事象から発生したガンマ線を検出する複数の放射線検出器モジュールを備えたポジトロン放射断層撮影(PET)システムであって、
前記複数の放射線検出器モジュールの第1の検出器モジュールは、前記複数の放射線検出器モジュールのうちの前記第1の検出器モジュールに隣接した第2の検出器モジュールから軸方向に、前記放射線検出器モジュールの長さよりも短い所定間隔だけずらして実装され、
前記第1の検出器モジュール及び第2の検出器モジュールは、
前記放射線検出器モジュールの長さから前記所定間隔を減じた長さに等しい軸方向の視野を有する中央走査領域と、
前記所定間隔に等しい軸方向の視野を有する第1の周辺走査領域と、
前記所定間隔に等しい軸方向の視野を有する第2の周辺走査領域と、
を形成する、PETシステム。
【請求項6】
事象データの収集及び処理を行うとともに、前記中央走査領域に対応する消滅事象を前記第1の周辺走査領域に対応する消滅事象と組み合わせるプロセッサ、
を更に備える、請求項5に記載のPETシステム。
【請求項7】
事象データの収集及び処理を行うとともに、前記中央走査領域に対応する消滅事象を前記第2の周辺走査領域に対応する消滅事象と組み合わせるプロセッサ、
を更に備える、請求項5に記載のPETシステム。
【請求項8】
事象データの収集及び処理を行うとともに、前記第1の周辺走査領域に対応する消滅事象を前記第2の周辺走査領域に対応する消滅事象と組み合わせるプロセッサ、
を更に備える、請求項7に記載のPETシステム。
【請求項9】
前記複数の放射線検出器モジュールに含まれる1つおきの放射線検出器モジュールが、前記軸方向に前記所定間隔だけずらして実装される、請求項5に記載のガンマ線検出システム。
【請求項10】
事象データの収集及び処理を行なうプロセッサと、
前記プロセッサからコマンドを受信し、前記第1の周辺走査領域に対応する事象データが前記第2の周辺走査領域に対応する事象データを補完するような形で、前記複数の放射線検出器モジュールを含む前記円筒環体を、前記第1の検出器モジュールの幅の所定倍数分だけ回転させるモータと、
を更に備える、請求項5に記載のPETシステム。
【請求項11】
前記複数の放射線検出器モジュールに関連する回転角度を、時間の関数として検出し、格納する感知ユニット、
を更に備え、
前記プロセッサは、前記収集された事象データ及び前記検出された回転角度を用いて画像を再構成する、請求項10に記載のPETシステム。
【請求項12】
コンピュータで実行可能な処理を実行するためのコンピュータプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータに、
同じ長さを有するとともに円筒環体の中に配置された複数の検出器モジュールであり、当該複数の検出器モジュールの第1の検出器モジュールが、当該複数の検出器モジュールのうちの前記第1の検出器モジュールに隣接した第2の検出器モジュールから軸方向に、前記検出器モジュールの長さよりも短い所定間隔だけずらして実装される状態において、各検出器モジュールが消滅事象から発生したガンマ線を検出する複数の検出器モジュールから、消滅事象に対応する事象データを収集させることを遂行させる、
非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
前記コンピュータプログラムは、更に、前記コンピュータに、
前記検出器モジュールの長さから前記所定間隔を減じた長さに等しい軸方向の視野を包含する中央走査領域に対応する消滅事象を、前記所定間隔に等しい軸方向の視野を包含する周辺走査領域に対応する消滅事象と組み合わせることを遂行させる、請求項12に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
前記コンピュータプログラムは、更に、前記コンピュータに、
前記所定間隔に等しい軸方向の視野を包含する第1の周辺走査領域に対応する消滅事象を、前記所定間隔に等しい軸方向の視野を包含する第2の周辺走査領域に対応する消滅事象と組み合わせることを遂行させる、請求項12に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
前記コンピュータプログラムは、更に、前記コンピュータに、
前記第1の周辺走査領域に対応する事象データが前記第2の周辺走査領域に対応する事象データを補完するような形で、前記複数の検出器モジュールを含む前記円筒環体を、前記第1の検出器モジュールの幅の所定倍数分だけ回転させるように、モータに命令させることを遂行させ、
前記複数の検出器モジュールから収集された前記データを用いて画像を再構成させることを遂行させる、請求項14に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2012−98273(P2012−98273A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208130(P2011−208130)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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