説明

ガーネット型イオン伝導性酸化物及びその製造方法

【課題】プロトン伝導度及び耐熱性のより高い新規な材料を提供する。
【解決手段】ガーネット型イオン伝導性酸化物は、Liと、H(プロトン)と、アルカリ土類金属及びランタノイド元素のうち少なくとも1種以上の元素Aと、酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素のうち少なくとも1種以上の元素Bとを含んでいる。この酸化物は、基本組成式(LiX-YY)A3212で表されるものとしてもよい。但し、式中、X,Yは、Aを構成する元素の価数をA’、Bを構成する元素の価数をB’としたとき、X=24−3×A’−2×B’及び0<Y<Xを満たす。この酸化物は、Liと、元素Aと、元素Bとを含むガーネット型酸化物を、水蒸気を含む混合ガス中で所定の置換温度で熱処理する水素置換工程により作製されていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガーネット型イオン伝導性酸化物及びその製造方法に関し、より詳しくはプロトンを伝導するガーネット型イオン伝導性酸化物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の酸化物としては、基本組成BaZrO3をプロトン伝導性酸化物とするペロブスカイト系酸化物が提案されている(例えば、特許文献1,非特許文献1,2参照)。例えば、非特許文献1では、SrTiO3−SrZrO3−BaZrO3−BaTiO3のペロブスカイト系酸化物において、プロトン伝導性が高いのがBaZrO3であることが提案され、非特許文献2では、基本組成をBaZrO3とし、Zrの一部をYで置換することにより、CO2やH2Oを含む雰囲気下での安定性をより高めている。また、特許文献1では、基本組成をBaZrO3とし、Zrの一部をY及びScで置換することにより、結晶粒をより大きくし、結晶の粒界に生じる抵抗がより低くなるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−23883号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Solid State Ionics 145(2001)295−306
【非特許文献2】Annual Review of Materials Research 33(2003)333−359
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の酸化物では、Ba又はZrのカチオン位置に他価カチオンを導入することで酸素欠損を導入し、この酸素欠損にOH-を導入する形でプロトンを導入している。しかしながら、この導入されたプロトンは、酸素と強い結合を持つことから局在化しており、且つ酸素欠損を介してプロトン伝導を生じることから酸素イオン伝導により律速となってしまう。このように、様々な改良を行い、プロトン伝導性を高めているが、まだ十分でなく、新規な材料が求められていた。また、プロトン伝導性を有する材料として、高分子材料(スルホ化されたフッ素樹脂など)が知られているが、100℃を超える温度ではプロトン伝導度が低下し、耐熱性も十分ではなかった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、プロトン伝導度及び耐熱性のより高い新規なガーネット型イオン伝導性酸化物及びその製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、リチウムを含むガーネット型酸化物のリチウムイオンをプロトンに置換すると耐熱性が高く、プロトン伝導度のより高い新規な酸化物となることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明のガーネット型イオン伝導性酸化物は、Liと、H(プロトン)と、アルカリ土類金属及びランタノイド元素のうち少なくとも1種以上の元素Aと、酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素のうち少なくとも1種以上の元素Bとを含むものである。
【0009】
本発明のガーネット型イオン伝導性酸化物の製造方法は、Liと、アルカリ土類金属及びランタノイド元素のうち少なくとも1種以上の元素Aと、酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素のうち少なくとも1種以上の元素Bとを含むガーネット型酸化物を、水蒸気を含む混合ガス中で所定の置換温度で熱処理する水素置換工程、を含むものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、プロトン伝導度及び耐熱性のより高い新規な材料を提供することができる。このような効果が得られる理由は明らかではないが、以下のように推測される。例えば、ガーネット型酸化物の1つであるLi5+nLa3(Zrn,Nbn-2)O12の(0<n<2)結晶構造の骨格は、LaO8とZrO6との多面体が頂点を共有することで全体としての骨格を形成している。この骨格は、LaO8とZrO6との頂点の共有による非常に多くの隙間を有する。この隙間には、Liがその隙間の約半分を占有することが可能である。このリチウムが入り込む隙間に、プロトンも入り込むことが可能であり、この入り込んだプロトンの移動により、高いプロトン伝導性が発現されるものと推察される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実験例1,3,5,7のXRDパターンを示すグラフである。
【図2】実験例1〜7(4を除く)の格子定数のn値依存性を示すグラフである。
【図3】実験例1〜7のリチウムイオン伝導度のn値依存性を示すグラフである。
【図4】ガーネット型酸化物の結晶構造に含まれる部分構造の説明図である。
【図5】ガーネット型酸化物の結晶構造の説明図であり、(a)は全体像、(b)は六面体のLiO6(II)を露出させた様子を示す。
【図6】実験例1,3,5〜7のLiO4(I)結晶構造のn値依存性を示すグラフであり、(a)は酸素イオンが形成する三角形の辺a,bのn値依存性を示し、(b)は該三角形の面積のn値依存性を示す。
【図7】実験例1,3,5〜7の各回折強度を(220)回折強度で規格化したときの規格化後強度のn値依存性を示すグラフである。
【図8】実験例1,3,5〜7の(024)の規格化後強度のn値依存性を示すグラフである。
【図9】実験例1〜7のアレニウスプロットのグラフである。
【図10】実験例1〜7の活性化エネルギーのn値依存性を示すグラフである。
【図11】実験例5の室温大気中での化学的安定性を示すグラフである。
【図12】実験例5の電位窓の測定結果を示すグラフである。
【図13】実験例5,8のX線回折測定結果。
【図14】実験例8を用いたセルの概要と、セルに電圧を印加して生じたガスの検出結果。
【図15】実験例8を用いたセルのプロトン伝導性試験の概要の説明図。
【図16】実験例8を用いたセルの燃料電池試験結果。
【図17】実験例5,8のガーネット型酸化物のイオン伝導度測定結果。
【図18】実験例8のガーネット型酸化物のアレーニウスプロット。
【図19】プロトン伝導体のアレーニウスプロット。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のガーネット型イオン伝導性酸化物は、Liと、H(プロトン)と、アルカリ土類金属及びランタノイド元素のうち少なくとも1種以上の元素Aと、酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素のうち少なくとも1種以上の元素Bとを含むものである。こうすれば、プロトン伝導度及び耐熱性をより高めることができる。このガーネット型イオン伝導性酸化物は、基本組成式(LiX-YY)A3212で表されるものとしてもよい。この式中、Aは、アルカリ土類金属及びランタノイド元素のうち少なくとも1種以上の元素、Bは、酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素のうち少なくとも1種以上の元素である。また、X,Yは、Aを構成する元素の価数をA’、Bを構成する元素の価数をB’としたとき、X=24−3×A’−2×B’及び0<Y<Xを満たすものである。
【0013】
ここで、ガーネット型イオン伝導性酸化物は、主としてガーネット型の構造を有していればよく、例えば、固体電解質として他の構造が一部含まれていたり、例えばX線回折のピーク位置がシフトしているなどガーネットからみて歪んだ構造を含むものとしてもよい。また、組成式で示しているが、固体電解質には他の元素や構造などが一部含まれていてもよい。なお、「基本組成」とは、A,Bはそれぞれ主成分の元素と1以上の副成分の元素を含んでいてもよい趣旨である。
【0014】
本発明のガーネット型イオン伝導性酸化物において、AはLaであり、Bは、Zr,Sc,Ti,V,Y,Nb,Hf,Ta,Al,Si,Ga及びGeからなる群より選ばれた1種類以上の元素であることがより好ましい。このとき、本発明のガーネット型イオン伝導性酸化物は、基本組成式(LiX-YY)La3(Zrn,C2-n)O12で表されるものがより好ましい。この式中、Cは、Sc,Ti,V,Y,Nb,Hf,Ta,Al,Si,Ga及びGeからなる群より選ばれた1種類以上の元素であり、nは、1.4≦n<2を満たす。このガーネット型酸化物は、nが1.4≦n<2を満たすため、リチウムイオン伝導度が高くなり且つ活性化エネルギーも小さくなる。例えば、AがNbの場合、伝導度が2.5×10-4Scm-1以上、活性化エネルギーが0.34eV以下になる。また、nは、1.60≦n≦1.95であることが好ましく、1.65≦n≦1.9であることがより好ましい。nが1.6≦n≦1.95を満たせば、伝導度がより高く、活性化エネルギーがより低くなるため、より好ましい。更に、nが1.65≦n≦1.9を満たせば、伝導度がほぼ極大、活性化エネルギーがほぼ極小となるため、一層好ましい。このCとしては、NbやNbとイオン半径が同等のTaが好ましい。上記式中のYは、例えば、Xの70%以下が好ましく、Xの50%以下がより好ましく、YがXの1%以上20%以下としてもよい。YがXの70%以下では、構造がより安定であり、好ましい。なお、ガーネット型イオン伝導性酸化物は、Zrを置換しない、基本組成式(Li7-YY)La3Zr212としてもよい。
【0015】
次に、本発明のガーネット型イオン伝導性酸化物の製造方法について説明する。この製造方法では、Liと、アルカリ土類金属及びランタノイド元素のうち少なくとも1種以上の元素Aと、酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素のうち少なくとも1種以上の元素Bとを含むガーネット型酸化物を、水蒸気を含む混合ガス中で所定の置換温度で熱処理する水素置換工程、を含むものとしてもよい。こうすれば、ガーネット型イオン伝導性酸化物の組成をより正確なものとすることができるし、より確実にLiサイトにプロトンを導入することができる。この水素置換工程では、所定の置換温度として水酸化リチウムの沸点以上の温度で熱処理することが好ましい。この所定の置換温度は、例えば900℃以上が好ましく、950℃以上がより好ましく、1000℃以上が更に好ましい。この置換温度は、副生成物の生成を抑制する観点から、1200℃以下であることが望ましい。
【0016】
また、水素置換工程では、基本組成式(LiX)A3212で表されるガーネット型酸化物を熱処理することが好ましい。このとき、AはLaであり、Bは、Zr,Sc,Ti,V,Y,Nb,Hf,Ta,Al,Si,Ga及びGeからなる群より選ばれた1種類以上の元素であることがより好ましい。また、基本組成式(LiX)La3(Zrn,C2-n)O12で表されるものが更に好ましい。なお、上記式中、A,B,C,X,Y及びnなどは、上述したガーネット型イオン伝導性酸化物と同様である。
【0017】
本発明のガーネット型イオン伝導性酸化物の製造方法において、水素置換工程に用いる酸化物は、組成式Li7La3Zr212のZrサイトがZrとはイオン半径の異なる元素で置換され、XRDにおける(220)回折の強度を1に規格化したときの(024)回折の規格化後の強度が9.2以上のガーネット型酸化物とすることが好ましい。(024)回折の規格化後の強度が9.2を超えると、LiO4(I)の四面体の酸素イオンが形成する三角形が正三角形に近づき、その三角形の面積が大きくなるため、公知のガーネット型酸化物Li7La3Zr212(つまりn=2)と比べて、伝導度が高くなり且つ活性化エネルギーも小さくなる。例えば、AがNbの場合、伝導度が2.5×10-4Scm-1以上、活性化エネルギーが0.34eV以下になる。また、(024)回折の規格化後の強度が10.0以上であれば、伝導度がより高く、活性化エネルギーがより低くなるため、より好ましい。更に、(024)回折の規格化後の強度が10.2以上であれば、伝導度がほぼ極大、活性化エネルギーがほぼ極小となるため、一層好ましい。なお、Zrとはイオン半径の異なる元素としては、Sc,Ti,V,Y,Nb,Hf,Ta,Al,Si,Ga及びGeからなる群より選ばれた1種類以上の元素が挙げられ、このうち、NbやNbとイオン半径が同等のTaが好ましい。
【0018】
本発明のガーネット型イオン伝導性酸化物の製造方法において、上記水素置換工程の前に、ガーネット型酸化物を作製する酸化物生成工程を含むものとしてもよい。この工程では、例えば、基本組成がLi5+nLa3(Zrn,C2-n)O12(式中、C,nは前出のとおり)となる無機材料を混合粉砕してもよい(混合処理)。無機材料としては、上述した基本組成に含まれる成分の、炭酸塩や硫酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、塩化物、水酸化物、酸化物などを用いることができ、このうち、熱分解して炭酸ガスを生じる炭酸塩及び熱分解して水蒸気を生じる水酸化物が、ガスの処理が比較的容易であり好ましい。例えば、Li2CO3、La(OH)3、ZrO2及びC25(Cは前出のとおり)を用いることが好ましい。次に、無機材料の状態が変化する所定温度以上且つ成形後に焼成する成形焼成温度よりも低い所定の仮焼温度(第1温度)で無機材料を焼成する(仮焼処理)。所定温度としては、例えば、Li2CO3を無機材料に含むときには、この炭酸塩が分解する温度以上を仮焼温度とする。こうすれば、のちの成形焼成工程において、熱分解でのガス発生による密度の低下を抑制することができる。第1温度は、900℃以上1150℃以下とすることが好ましい。続いて、仮焼処理や本焼成処理により揮発して生じる組成ずれを修正するよう、無機材料を加え、更に仮焼処理、又は本焼成処理を行う。本焼成処理においては、得られた仮焼体を成形し、仮焼処理に比して高い成形焼成温度で焼成する。このように、揮発する成分を補いながら繰り返し熱処理を行うことにより、組成ずれを抑制すると共に、残留成分(例えば炭酸塩などの原料成分)をより少なくしたガーネット型酸化物を得ることができる。
【0019】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0020】
例えば、上述した実施形態では、水蒸気流中でLiと水素イオンとの交換を行う水素置換工程を行いガーネット型イオン伝導性酸化物を製造するものとしたが、Liイオンと水素イオンとの置換を行うことができれば、特にこれに限定されず製造することができる。例えば、固相反応で合成したガーネット型酸化物(例えば、Li5+nLa3(Zrn,Nb2-n)O12など)を、所定濃度の酸溶液に浸漬し、室温以上100℃以下の温度範囲で数日間攪拌処理を行うことにより、Liイオンと水素イオンとの交換を行うことができる。酸溶液は、例えば、硝酸、塩酸、硫酸及び酢酸等を用いることができる。また、酸濃度は、0.1〜5mol/L程度としてもよい。こうしても、プロトンを導入したガーネット型イオン伝導性酸化物を作製することができる。
【実施例】
【0021】
以下には、本発明のガーネット型イオン伝導性酸化物を具体的に作製した例を実験例として説明する。
【0022】
[ガーネット型酸化物の作製]
ガーネット型酸化物Li5+nLa3(Zrn,Nb2-n)O12(n=0〜2)は、Li2CO3、La(OH)3、ZrO2、およびNb25を出発原料に用いて合成を行った。ここで、実験例1〜7のnの値は、それぞれn=0,1.0,1.5,1.625,1.75,1.875,2.0とした(表1参照)。はじめに、出発原料を化学量論比になるように秤量し、エタノール中にて遊星ボールミル(300rpm/ジルコニアボール)で1時間、混合・粉砕を行った。出発原料の混合粉末をボールとエタノールから分離したのち、Al23製のるつぼ中にて、950℃、10時間大気雰囲気で仮焼を行った。その後、本焼結でのLiの欠損を補う目的で、仮焼した粉末に、Li5+nLa3(Zrn,Nb2-n)O12(n=0〜2)の組成中のLi量に対してLi換算で10at.%になるようにLi2CO3を過剰添加した。この混合粉末を、混合のためエタノール中にて遊星ボールミル(300rpm/ジルコニアボール)で1時間処理した。得られた粉末を再び950℃、10時間大気雰囲気の条件下で再度仮焼した。その後、成型したのち、1200℃、36時間大気中の条件下で本焼結を行い、試料(実験例1〜7)を作製した。
【0023】
【表1】

【0024】
[ガーネット酸化物の物性の測定及び結果]
1.相対密度
電子天秤にて測定した乾燥重量をノギスを用いて測定した実寸から求めた体積で除算することにより、各試料の測定密度を算出した。また、理論密度を算出し、測定密度を理論密度で除算し100を乗算した値を相対密度(%)とした。実験例1〜7の相対密度は、88〜92%であった。
【0025】
2.相及び格子定数
各試料の相及び格子定数は、XRDの測定結果から求めた。XRDの測定は、XRD測定器(ブルカー(Buruker)製、D8ADVANCE)を用いて、試料粉末をCuKα、2θ:10〜120°,0.01°step/1sec.の条件で測定した。結晶構造解析は、結晶構造解析用プログラム:Rietan−2000(Mater. Sci. Forum, p321−324(2000),198)を用いて解析を行った。代表例として実験例1,3,5,7つまりLi5+nLa3(Zrn,Nb2-n)O12(n=0,1.5,1.75,2)のXRDパターンを図1に示す。図1から、各試料は不純物を含まず単相であることがわかる。また、実験例1〜3,5〜7につき、XRDパターンより求めた格子定数のn値依存性を図2に示す。図2から、Zrの割合が増えるほど格子定数が増大することがわかる。これは、Zr4+のイオン半径(rZr4+=0.79Å)がNb5+のイオン半径(rNb5+=0.69Å)よりも大きいためである。格子定数が連続的に変化していることから、NbはZrサイトに置換されていると考えられる(全率固溶が可能と考えられる)。
【0026】
3.伝導度
伝導度は、恒温槽中にてACインピーダンスアナライザーを用い(周波数:0.1Hz〜1MHz、振幅電圧:100mV)、ナイキストプロットの円弧より抵抗値を求め、この抵抗値から算出した。ACインピーダンスアナライザーで測定する際のブロッキング電極にはAu電極を用いた。Au電極は市販のAuペーストを850℃、30分の条件で焼き付けることで形成した。実験例1〜7つまりLi5+nLa3(Zrn,Nb2-n)O12(n=0〜2)の25℃での伝導度のn値依存性を図3に示す。図3から、伝導度は、nが1.4≦n<2のとき、公知のLi7La3Zr212(つまりn=2、実験例7)に比べて高くなり、nが1.6≦n≦1.95のとき、実験例7に比べて一段と高くなり、nが1.65≦n≦1.9の範囲のとき、ほぼ極大値(6×10-4Scm-1以上)を取ることがわかる。上記1.で述べたとおり、各試料の相対密度は88〜92%であったことから、伝導度がn値に応じて変化するのは、密度による影響ではないと考えられる。
【0027】
ここで、ニオブを適量添加することで、伝導度が向上した理由について考察する。ガーネット型酸化物の結晶構造には、図4に示すように、リチウムイオンが酸素イオンと4配位してなる四面体のLiO4(I)と、リチウムイオンが酸素イオンと6配位してなる八面体のLiO6(II)と、ランタンイオンが酸素イオンと8配位してなる十二面体のLaO8(I)と、ジルコニウムイオンが酸素イオンと6配位してなる八面体のZrO6とが含まれている。この結晶構造の全体像を図5(a)に示す。この図5(a)の結晶構造では、六面体のLiO6(II)は八面体のZrO6と十二面体のLaO8とによって囲まれているため見えない状態となっている。図5(b)は、図5(a)の結晶構造からLiO4(I)を削除して六面体のLiO6(II)を露出させた様子を示す。このように、6配位しているリチウムイオンは、6個の酸素イオンと、3個のランタンイオンと、2個のジルコニウムイオンに囲まれた位置にあり、恐らく、伝導性にはほとんど寄与していないと考えられる。一方、4配位しているリチウムイオンは、酸素イオンを頂点とする四面体を形成している。リートベルド(Rietveld)構造解析より求めたLiO4(I)四面体構造の変化を図6に示す。LiO4(I)四面体を形成する酸素イオン間距離は二つの長さがある。ここでは長尺の二辺をa、短尺の一辺をbとする。図6(a)に示すように、長尺の辺aは、Nbの置換量によらずほとんど一定の値を示すのに対し、短尺の辺bは、Nbを適量置換することで長くなっている。つまり、酸素イオンが形成する三角形はNbを適量置換することで、正三角形に近付きつつ面積は増大している(図6(b)参照)。このことから、適量のNbをZrと置換すると、伝導するリチウムイオン周りの構造(酸素イオンが形成している四面体)が最適となり、リチウムイオンの移動を容易にする効果があると考えられる。なお、Zrと置換する元素は、Nb以外の元素、たとえばSc,Ti,V,Y,Hf,Taなどであっても、同様の構造変化が見込まれることから、同様の効果が得られる。
【0028】
ここで、XRDの回折ピークの強度は、LiO4(I)四面体構造を反映して変化する。すなわち、ZrサイトをNbで置換することによりLiO4(I)四面体をなす三角形が上述したように変化するため、当然、XRDの各回折ピークの強度比も変化するのである。実験例1〜3,5,7の各試料の(220)回折の強度を1に規格化したときの各回折の規格化後強度のn値依存性を図7に示す。代表的なピークとして(024)回折の規格化後強度に注目する(図8参照)。(024)回折に関して言えば、公知のLi7La3Zr212(つまりn=2、実験例7)に比べて伝導度が高くなる1.4≦n<2に対応する規格化後強度は9.2以上であり、一段と伝導度が高くなる1.6≦n≦1.95に対応する規格化後強度は10.0以上であり、伝導度がほぼ極大値を取る1.65≦n≦1.9に対応する規格化後強度は10.2以上であることがわかる。
【0029】
4.活性化エネルギー(Ea)
活性化エネルギー(Ea)はアレニウス(Arrhenius)の式:σ=Aexp(−Ea/kT)(σ:伝導度、A:頻度因子、k:ボルツマン定数、T:絶対温度)を用い、アレニウスプロットの傾きより求めた。代表例として実験例1〜7のLi5+nLa3(Zrn,Nb2-n)O12(n=0〜2)の伝導度の温度依存性(アレニウスプロット)を図9に示す。図9には、併せてLiイオン伝導性酸化物の中でも特に高い伝導度を示すガラスセラミックスLi1+nTi2Sin3-n12・AlPO4(オハラ電解質、n=0.4)とLi1.5Al0.5Ge1.5(PO43(LAGP)の伝導度の温度依存性(いずれも文献値)を示す。実験例1〜7につき、アレニウスプロットより求めた活性化エネルギーEa(25℃)のn値依存性を図10に示す。図10から、nが1.4≦n<2のとき、Li7La3Zr212(つまりn=2、実験例7)より低い活性化エネルギーEa(つまり0.34eV未満)を示すことから、広い温度域で伝導度が安定した値をとるといえる。また、nが1.5≦n≦1.9のときには活性化エネルギーが0.32eV以下となり、特にnが1.75のときに極小値0.3eVとなった。0.3eVという値は既存のLiイオン伝導性酸化物中で最も低い値と同等の値である(オハラ電解質:0.3eV、LAGP:0.31eV)。
【0030】
5.化学的安定性
ガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Nb0.2512(つまりn=1.75、実験例5)の室温大気中での化学的安定性を調べた。具体的には、大気中に放置したLi6.75La3Zr1.75Nb0.2512の伝導度の経時変化(0〜7日)の有無を確認することで行った。その結果を図11に示す。バルクの抵抗成分が大気中に放置していた時間によらず一定であることから、ガーネット型酸化物は室温大気中でも安定と言える。
【0031】
6.電位窓
ガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Nb0.2512(つまりn=1.75、実験例5)の電位窓を調べた。電位窓は、Li6.75La3Zr1.75Nb0.2512のバルクペレットの片面に金を、もう片面にLiメタルを貼り付け、0〜5.5V(対Li+)および−0.5V〜9.5V(対Li+)の範囲で電位をスイープ(1mV/sec.)させることで調べた。その測定結果を図12に示す。電位を0〜5.5Vの範囲で走査しても、電流は全く流れなかった。このことからLi6.75La3Zr1.75Nb0.2512は0〜5.5Vの範囲で安定と言える。走査する電位を−0.5〜9Vに広げると、0Vを境にして、酸化・還元電流が流れた。これはリチウムの酸化・還元に起因すると思われる。また、約7V以上でわずかに酸化電流が流れ始めた。しかし、流れる酸化電流量が非常に微弱であること、目視で色に変化が無いことなどから、流れる酸化電流は電解質の分解ではなく、セラミックス中に含まれている微量の不純物や粒界の分解が原因だと考えている。
【0032】
[実験例8]
ガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Nb0.2512(つまりn=1.75、実験例5)を用い、水素置換工程を行い、部分プロトン置換ガーネット型イオン伝導性酸化物を合成した。なお、説明の便宜のため、Li7La3Zr212をLLZOと称し、Nb置換したLLZO(Li6.75La3Zr1.75Nb0.2512)をLLZONbと称し、LLZONbを水蒸気流中で処理したものをLLZONb−H(LiX-YYLa3Zr1.75Nb0.2512)と称するものとする。まず、実験例5のガーネット型酸化物を管状炉の中にセットした。次に、混合ガスとして、N2(80体積%)+O2(20体積%)を用い、室温(25℃)で水蒸気をバブリングさせて得られた混合ガスを200mL/分の流量で流し、蒸留水をバブリングした混合ガスを供給しながら管状炉の中で950℃、10h、ガーネット型酸化物を熱処理した。水酸化リチウム(沸点約924℃)が気化するこの温度では、以下の化学式(1)の反応が起きることを期待した。
【0033】
(化1)
[LiX][La3ZrnNb2-nO12]+H2O → [LiX-Y,HY][La3ZrnNb2-nO12]+LiOH↑ …式(1)
【0034】
(X線回折測定)
実験例5,8のX線回折を測定した。測定は、放射線としてCuKα線(波長1.54051Å)を使用し、0.02°/sの走査速度、2θ=10°〜80°の角度範囲で、X線回折装置(リガク製RINT−TTR)を用いて行った。図13は、実験例5,8のX線回折測定結果である。図13に示すように、水素置換処理を行ってもガーネット結晶相のままであることが確認できた。しかし、水素置換処理により、ピーク強度比が変化していることから、ガーネット型酸化物の局所構造が変化していることが示唆された。
【0035】
(組成分析)
実験例5,8の組成分析を行った。組成分析は、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分析装置(リガク製CIROS120EOP)を用いて行った。測定結果を表2に示す。水素置換処理により、LLZONb−Hの組成中のLi量が未処理のLLZONbに比して11Mass%減少していることが確認された。このLiの減少分の電価の補償をH+で行ったと仮定すると、ICP分析で求められるLLZONb−Hの組成式は、[Li5.95,H0.786.73+[La3Zr1.75Nb0.25126.73-であった。
【0036】
【表2】

【0037】
(プロトン検出)
作製した実験例8のガーネット型酸化物(LLZONb−H)のペレットの両面にAu電極を形成したセルを作製し、500℃でN2(80体積%)+O2(20体積%)の混合ガスの雰囲気下で電極両面に電圧を印加し、試料の分解を行った。電圧を変化させたときの混合ガスをガスクロマトグラフィー(Agilent製Micro Gas Chromatography M200)を用いて測定した。図14は、実験例8のガーネット型酸化物を用いたセルの概要とセルに電圧を印加して生じたガスの検出結果である。この結果より、500℃、印加電圧が2.5V以上で水素ガスが発生しているものと推察された。したがって、LLZONb−H内に水素(プロトン)が存在することがわかった。
【0038】
(プロトン伝導性試験)
作製した実験例8のガーネット型酸化物(LLZONb−H)のペレットの両面にPt電極を形成したセルを作製した。なお、Pt電極ではH2→2H++2e-の電池反応が起きる。このセルを200℃で、セルの一方の面をN2(97体積%)+H2(3体積%)の混合ガスの雰囲気下とすると共に、セルの他方の面をN2(100体積%)の雰囲気下とした。その後、両端の電極を外部回路でショートさせたときに、LLZONb−Hが水素ポンプ(水素濃淡電池)として機能するかを確認した。図15は、実験例8のガーネット型酸化物を用いたセルのプロトン伝導性試験の概要の説明図である。その結果、両電極端子間では定常的に5μA程度の電流が流れることが確認された。したがって、LLZONb−Hにプロトン伝導性があることがわかった。
【0039】
(燃料電池の作動試験)
作製した実験例8のガーネット型酸化物(LLZONb−H)のペレットの両面にPt電極を形成したセルを作製し、このセルを200℃で、セルの一方の面をN2(97体積%)+H2(3体積%)の混合ガスの雰囲気下とすると共に、セルの他方の面をO2(100体積%)の雰囲気下とした。その後、このセル(LLZONb−H)が燃料電池として作動するかどうかを確認した。図16は、実験例8のガーネット型酸化物を用いたセルの燃料電池試験結果である。プロトン伝導性試験の概要の説明図である。その結果、燃料電池として作動することが確認された。
【0040】
(イオン伝導度測定)
作製した実験例8のガーネット型酸化物(LLZONb−H)を用い、恒温槽中でACインピーダンスアナライザーを用い、ナイキストプロットの円弧より抵抗値を求め、伝導度を算出した。ACインピーダンスアナライザーの測定条件は、40Hz〜110MHz、振幅電圧を100mVとした。また、ACインピーダンスアナライザーで測定する際のブロッキング電極にはAu電極を用いた。図17は、実験例5,8のガーネット型酸化物のイオン伝導度測定結果である。図18は、実験例8のガーネット型酸化物のアレーニウスプロットである。活性化エネルギー(Ea)は、アレーニウスの式:σ=A・exp(−Ea/kT)(A:頻度因子、k:Boltzmann定数、T:絶対温度)を用い、アレーニウスプロットの傾きより求めた。LLZONb(実験例5)のナイキストプロットには、Li伝導由来の抵抗成分とAu電極でのイオンブロッキングによる発散のみが認められた。一方、LLZONb−Hには、Li伝導及びH+伝導由来の抵抗(2種類のカチオンによる混合イオン伝導)が存在することがわかった。更に、LLZONb−Hには、Li伝導及びH+伝導由来の抵抗とは別に、他の伝導成分が存在することもわかった。この伝導成分については不明であるが、水素置換処理によって試料中に残留する水分とイオンとの反応により生じたものと推察された。LLZONb−Hのイオン伝導に起因する抵抗成分の伝導度のアレニウスプロットを、他の代表的なプロトン伝導体と比較した。図19は、プロトン伝導体のアレーニウスプロットである。その結果、LLZONb−Hのプロトン伝導由来と思われる抵抗成分の伝導度は、代表的な酸化物のプロトン伝導体に比して一桁以上大きいことがわかった。
【0041】
一般に、高いプロトン伝導性を示す材料として高分子材料(スルホ化されたフッ素樹脂など)が知られている。これは、100℃近傍で0.1Scm-1のプロトン伝導度を示す。しかし、100℃以上となると、水分の蒸発などによりプロトン伝導度が低下する。また、更に高い温度、例えば400℃近傍では、高分子膜自体の耐熱性が問題となる。一方、高い耐熱性を有するプロトン伝導体としては、BaZrO3に代表されるペロブスカイト系酸化物などがある。これは、Ba又はZrのカチオン位置に他価カチオンを導入することにより酸素欠損を導入するものである。この酸素欠損にOH-を導入する形で酸化物中にプロトンを導入する。しかし、このペロブスカイト系酸化物では、プロトンが酸素と強い結合をもつため、局在化している。また、プロトンの伝導は、酸素欠損を介して行われるため、酸素イオン伝導により律速となる。このため、ペロブスカイト系酸化物のプロトン伝導度は、200℃でも10-4Scm-1程度しかない。これに対して、本発明のガーネット型イオン伝導性酸化物では、酸化物であるため高い耐熱性を有する。また、隙間の大きな結晶構造を持ち、その隙間にカチオン(プロトン)を導入・伝導させることから、酸素イオンやその伝導に影響されにくい。また、伝導度は、伝導キャリアイオンの濃度に比例する。このため、伝導度を向上させるには、キャリア濃度を高くする必要がある。ペロブスカイト系酸化物に導入することができるプロトン濃度は、酸素欠損濃度に比例し、結晶構造を保つよう導入する酸素欠損濃度は、1021cm-3以下程度しかない。これに対して、本発明のガーネット型イオン伝導性酸化物には、多くのLiサイトが存在する(1022cm-3以上)。
【0042】
酸化物材料のイオン交換を行うときには、酸溶液処理によるイオン交換が一般的である。この方法では、表面積を増加させる目的や酸溶液を浸透させるために、粉末状にしてイオン交換するのが一般的である。しかしこの方法では、イオン交換した粉末に対して、焼結、緻密化を図る必要が生じる。これに対して、本発明のガーネット型イオン伝導性酸化物では、バルク状態でもリチウムとプロトンとの水素置換処理を行うことができ、例えば予めデバイスの形状に成形後、水素置換処理を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Liと、H(プロトン)と、アルカリ土類金属及びランタノイド元素のうち少なくとも1種以上の元素Aと、酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素のうち少なくとも1種以上の元素Bとを含む、ガーネット型イオン伝導性酸化物。
【請求項2】
基本組成式(LiX-YY)A3212で表される、請求項1に記載のガーネット型イオン伝導性酸化物。
(式中、Aは、アルカリ土類金属及びランタノイド元素のうち少なくとも1種以上の元素、Bは、酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素のうち少なくとも1種以上の元素であり、X,Yは、Aを構成する元素の価数をA’、Bを構成する元素の価数をB’としたとき、X=24−3×A’−2×B’及び0<Y<Xを満たす。)
【請求項3】
前記AはLaであり、前記Bは、Zr,Sc,Ti,V,Y,Nb,Hf,Ta,Al,Si,Ga及びGeからなる群より選ばれた1種類以上の元素である、請求項1又は2に記載のガーネット型イオン伝導性酸化物。
【請求項4】
基本組成式(LiX-YY)La3(Zrn,C2-n)O12で表される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガーネット型イオン伝導性酸化物。
(式中、Cは、Sc,Ti,V,Y,Nb,Hf,Ta,Al,Si,Ga及びGeからなる群より選ばれた1種類以上の元素であり、nは、1.4≦n<2を満たす。)
【請求項5】
前記nは、1.65≦n≦1.9である、請求項4に記載のガーネット型イオン伝導性酸化物。
【請求項6】
Liと、アルカリ土類金属及びランタノイド元素のうち少なくとも1種以上の元素Aと、酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素のうち少なくとも1種以上の元素Bとを含むガーネット型酸化物を、水蒸気を含む混合ガス中で所定の置換温度で熱処理する水素置換工程、を含む、ガーネット型イオン伝導性酸化物の製造方法。
【請求項7】
前記水素置換工程では、前記所定の置換温度として水酸化リチウムの沸点以上の温度で熱処理する、請求項6に記載のガーネット型イオン伝導性酸化物の製造方法。
【請求項8】
前記水素置換工程では、基本組成式(LiX)A3212で表されるガーネット型酸化物を熱処理する、請求項6又は7に記載のガーネット型イオン伝導性酸化物の製造方法。
(式中、Aは、アルカリ土類金属及びランタノイド元素のうち少なくとも1種以上の元素、Bは、酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素のうち少なくとも1種以上の元素であり、Xは、Aを構成する元素の価数をA’、Bを構成する元素の価数をB’としたとき、X=24−3×A’−2×B’を満たす。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−96940(P2012−96940A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244247(P2010−244247)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】