説明

キッチンキャビネット

【課題】作業者が座った姿勢で作業するとき、作業者の腰への負担を軽減することができるキッチンキャビネットを提供する。
【解決手段】本発明は、作業者が座った姿勢で使用可能なキッチンキャビネット(1)に関する。本発明によるキッチンキャビネット(1)は、キャビネット(2)と、キャビネットの上に搭載されるシンク等のキッチン設備(4)を有する。キャビネット(2)は、座った姿勢でキッチン設備(4)を使用する作業者の膝頭部(H1)を収容する凹部(18)と、座った姿勢の作業者の足部(H3)が下腿部(H2)に対して作業者の後方に位置するように作業者の下腿部(H2)を支持する下腿支持面(22)を備えた下腿支持部(20)を有する。下腿支持面(22)の傾斜角度は、作業者の前傾姿勢に応じて作業者に対する前後方向(A)に変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンキャビネットに係わり、更に詳細には、作業者が座った姿勢で使用できるキッチンキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
キャビネットの上に、シンク、キッチンカウンター、コンロ等のキッチン設備を搭載したキッチンキャビネットが、一般家庭で使用されている。また、近年、キッチンキャビネットにおける食器洗い、食材の切断、加熱調理等のキッチン作業を、作業者が座った姿勢で使用することができるキッチンキャビネットが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
作業者が座った姿勢で使用できるキッチンキャビネットでは、作業者が長い間立っている必要がないので、作業者の足の疲れを軽減させることができる。
【0004】
また、特許文献1に記載されているキッチンキャビネットは、椅子に座った作業者の足を載せるための足休めバーを有している。
【0005】
【特許文献1】特開平9−51822号公報(図1〜図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
キッチンカウンターのキッチン設備、例えばシンク、キッチンカウンター、コンロは、作業者が座る位置に対して作業者の前方に配置されている。従って、作業者がキッチン作業を行うとき、作業者の上体が必然的に前傾するとともに、作業者の背中が丸くなりやすい。背中を丸めたままキッチン作業をし続けると、作業者の腰に負担がかかり、腰を痛める原因になることがある。このことは、足休めバーを有するキッチンキャビネットにおいても同様である。
【0007】
また、食材を切断したり食器を洗ったりする際、作業者が座ったままだと、作業者の手に十分な力をかけることができず、比較的固い食材を切断したり食器を強く擦ったりすることがしにくいことがあった。
【0008】
そこで、本発明の第1の目的は、作業者が座った姿勢で作業するとき、作業者の腰への負担を軽減することができるキッチンキャビネットを提供することにある。
【0009】
また、本発明の第2の目的は、作業者が座った姿勢で作業するとき、作業者の手に容易に力をかけることができるキッチンキャビネットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明によるキッチンキャビネットは、作業者が座った姿勢で使用できるキッチンキャビネットであって、キャビネットと、キャビネットの上に搭載されるキッチン設備と、を有し、キャビネットは、座った姿勢でキッチン設備を使用する作業者の膝頭部を収容する凹部と、座った姿勢の作業者の足部が下腿部に対して作業者の後方に位置するように作業者の下腿部を支持する下腿支持面を備えた下腿支持部と、を有し、下腿支持部は、その下腿支持面の傾斜角度が作業者の前傾姿勢に応じて作業者に対する前後方向に変化するように前記キャビネットに取付けられることを特徴としている。
【0011】
このように構成されたキッチンキャビネットでは、作業者が前傾したとき、作業者の下腿部が下腿支持部の下腿支持面で支持され、座った姿勢の作業者の足部が下腿部に対して作業者の後方に位置し、作業者の大腿が必然的に前下がりになる。それにより、下腿支持部がない場合と比較して、作業者は背中が丸まらない姿勢をとりやすくなり、作業者の腰への負担を軽減することができる。また、作業者が前傾したときの体重を下腿支持部で支持することができるので、作業者の手に容易に体重又は力をかけることができる。また、作業者が体重を前後に移動したとき、下腿部が下腿支持面によって安定的に支持される。また、作業者の前傾姿勢、即ち、前傾の度合いが変化したとき、下腿支持面の傾斜角度が作業者に対して前後方向に変化することにより、作業者は、腰への負担を効果的に軽減する姿勢を維持することができる。なお、下腿部は、作業者の膝から足首までの部分をいい、足部は、足首から足先までの部分をいう。
【0012】
上記キッチンキャビネットの実施形態において、好ましくは、下腿支持部は、作業者に対して左右方向に延びる軸線を中心に回動自在にキャビネットに取付けられる。
【0013】
この実施形態において、更に好ましくは、下腿支持部は、作業者がキッチンキャビネットを使用していないときに、下腿支持面が作業者が座る側に面するように付勢される。
【0014】
このように構成されたキッチンキャビネットでは、椅子に座った作業者は、作業者が座る側に面する下腿支持面で下腿部をいったん支持させた後、下腿支持部を回動させることにより、背中が丸まらない作業姿勢に容易に移行することができる。
【0015】
また、下腿支持部が回動自在な実施形態において、好ましくは、下腿支持部は、キャビネットに対する上下方向位置を調整することができる。
【0016】
このように構成されたキッチンキャビネットでは、作業者の足の長さに応じて、下腿支持部の上下方向位置を調整することができる。
【0017】
また、下腿支持部が回動自在な実施形態において、好ましくは、下腿支持部は、キャビネットに対して上下方向に移動可能であり、ダンパを介して上方に付勢される。
【0018】
このように構成されたキッチンキャビネットでは、作業者が下腿部を下腿支持部に支持させたときに膝にかかる負担を軽減することができる。
【0019】
また、下腿支持部が回動自在な実施形態において、好ましくは、下腿支持部は、作業者に対して前後方向に移動可能にキャビネットに取付けられ、作業者に近づくように付勢される。
【0020】
このように構成されたキッチンキャビネットでは、椅子に座った作業者は、作業者側に位置している下腿支持部に下腿部をいったん支持させた後、下腿支持部を作業者から遠ざかるように移動させることにより、背中が丸まらない作業姿勢に容易に移行することができる。
【0021】
また、上記キッチンキャビネットの実施形態において、好ましくは、下腿支持部は、作業者の左右方向の回転に応じて作業者の下腿部と共に左右方向に回転可能である。
【0022】
このように構成されたキッチンキャビネットでは、作業者の作業方向が左右方向に回転したとき、下腿部が下腿支持面によって安定的に支持される。
【0023】
この実施形態において、更に好ましくは、下腿支持部は、前記キャビネットに複数のばねによって支持される。
【0024】
また、上記目的を達成するために、本発明によるキッチンキャビネットは、作業者が座った姿勢で使用できるキッチンキャビネットであって、キャビネットと、キャビネットの上に搭載されるキッチン設備と、を有し、キャビネットは、座った姿勢でキッチン設備を使用する作業者の膝頭部を収容する凹部と、座った姿勢の作業者の足部が下腿部に対して作業者の後方に位置するように作業者の下腿部を支持する下腿支持面を備えた下腿支持部と、を有し、下腿支持部は、作業者に対して前後方向に移動可能にキャビネットに取付けられ、作業者に向かって付勢されることを特徴としている。
【0025】
このように構成されたキッチンキャビネットでは、作業者が前傾したとき、作業者下腿部が下腿支持部の下腿支持面で支持され、座った姿勢の作業者の足部が下腿部に対して作業者の後方に位置し、作業者の大腿が必然的に前下がりになる。それにより、下腿支持部がない場合と比較して、作業者は背中が丸まらない姿勢をとりやすくなり、作業者の腰への負担を軽減することができる。また、作業者が前傾したときの体重を下腿支持部で支持することができるので、手に体重をかけることが容易になり、その結果、作業者の手に容易に力をかけることができる。また、作業者が体重を前後に移動したとき、下腿部が下腿支持面によって安定的に支持される。また、椅子に座った作業者は、作業者側に位置している下腿支持部に下腿部をいったん支持させた後、下腿支持部を作業者から遠ざかるように移動させることにより、背中が丸まらない作業姿勢に容易に移行することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明した通り、本発明によるキッチンキャビネットによれば、作業者が座った姿勢で作業するとき、作業者の腰への負担を軽減することができる。
【0027】
また、本発明によるキッチンキャビネットによれば、作業者が座った姿勢で作業するとき、作業者の手に容易に力をかけることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0029】
最初、図1を参照して、本発明によるキッチンキャビネットの第1の実施形態を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態であるキッチンキャビネットの側面断面図である。
【0030】
図1に示すように、キッチンキャビネット1は、キャビネット2と、その上に装着されたシンク4とを有している。
【0031】
キャビネット2は、概略的には、作業者から見て左右方向及び前後方向Aに延びる直方体形状をなし、前面2aと、上面2bとを有している。
【0032】
シンク4は、キャビネット2の上面2bに埋め込まれるように取付けられ、4つの側壁4aと、底壁4bと、水を供給するための給水部4cとを有している。
【0033】
キャビネット2は、両側に配置された側板12(一方のみ図示)と、両側の側板12を連結する連結部14とを有している。本実施形態では、連結部14は、シンク4の下に位置し、シンク4の底壁4bから下方に延びる第1の面14aと、第1の面14aの下端16aから延び且つ作業者に近づくにしたがって下方に傾斜する第2の面14bと、第2の面14bの下端16bから下方に延びる第3の面14cとを有している。シンク4の底壁4bと、第1の面14aと、第2の面14bとにより、座った姿勢でシンク4を使用する作業者の膝頭部H1を収容する凹部18が形成される。
【0034】
また、キャビネット2は、座った姿勢の作業者の足部H3が下腿部H2に対して作業者の後方に位置するように作業者の下腿部H2を支持するための下腿支持面22を備えた下腿支持部20を有している。この下腿支持部20は、下腿支持面22の水平方向に対する傾斜角度αが作業者の前傾姿勢に応じて作業者に対する前後方向Aに変化するようにキャビネット2に取付けられている。詳細には、下腿支持部20は、その左右両側においてキャビネット2の第2の面14bから上方に延びる取付け部24によって回動自在に支持されている。本実施形態では、下腿支持部20は、板状であり、その左右両端部に左右方向に延びる回動軸26を有し、この回動軸26が取付け部24の受け部28に回動自在に支持されている。下腿支持面22は、平面状であり、クッション素材で形成されることが好ましい。下腿支持部20の上下方向取付け位置を調整するために、受け部28は、上下方向Bに複数設けられることが好ましい。
【0035】
作業者がキッチンキャビネットを使用していないとき、下腿支持部20が、付勢位置30、即ち、下腿支持面22が作業者が座る側に面する位置に重力によって付勢されるように、回動軸26は、板状の下腿支持部20の前後方向中心位置よりも作業者から離れた位置に設けられるのがよい。重力に加えて又はその代わりに、下腿支持部20を付勢位置30に付勢するためのばね等の付勢装置(図示せず)を回動軸26又は下腿支持部20とキャビネット2との間に設けてもよい。ばねを使用する場合、回動軸26が設けられる位置は任意である。付勢位置30は、下腿支持面22が上下方向Bに向けられる位置であることが好ましく、下腿支持面22がキャビネット2の前面2aと同じ平面内に位置することが更に好ましい。また、傾斜角度αが小さくなるときに下腿支持部20に作用するダンパ(図示せず)が設けられることが好ましい。
【0036】
次に、第1の実施形態のキッチンキャビネットの使用方法を説明する。
【0037】
作業者は、椅子32に腰掛けた状態で、下腿部H2を凹部18の中に入れる。下腿部H2は、最初、付勢位置30にある下腿支持部20下腿支持面22に触り、膝頭部H1を更に奥に入れるにつれて、下腿支持部20が回動軸26を中心に回動し、自然に作業者の足部H3が下腿部H2に対して作業者の後方に位置する。それにより、作業者は、背中が丸まらない作業姿勢に容易に移行することができる。また、傾斜角度αが小さくなるときに下腿支持部20に作用するダンパ(図示せず)が設けられている場合、作業者が下腿部H2を下腿支持部20に支持させたときに膝にかかる負担を軽減することができる。なお、椅子32に車輪がついている場合、車輪は、作業者が椅子32に腰掛けるときに転がらないように固定することが可能であることが好ましい。
【0038】
このように、作業者は背中が丸まらない姿勢をとりやすくなるので、キッチンキャビネット1は、作業者の腰への負担を軽減することができる。また、作業者が前傾したときの体重を下腿支持部20で支持することができるので、上半身を自由に動かすことができる。特に、作業者の下腿部H2が、下腿支持面22によって前後方向Aに支持されるので、作業者が体重を前後に移動しても、作業者の下腿部H2が下腿支持部20によって安定的に支持され、前傾しているときの作業者の上体の前後移動を容易にすることができる。更に、手に体重をかけることが容易になり、食器を強く擦って洗うことができる。
【0039】
また、作業者の前傾の度合いが変化したとき、下腿支持面22の傾斜角度αが作業者に対して前後方向Aに変化するので、作業者は、腰への負担を軽減する姿勢を維持することが容易になる。
【0040】
次に、図2を参照して、本発明によるキッチンキャビネットの第2の実施形態を説明する。図2は、本発明の第2の実施形態であるキッチンキャビネットの側面断面図である。
【0041】
図2に示すように、第2の実施形態であるキッチンキャビネット40は、第1の実施形態であるキッチンキャビネットの連結部14の形状及び取付け部24が異なること以外、キッチンキャビネット1と同様の構成を有している。したがって、同様の構成要素には同じ参照符号を付してその説明を省略し、異なる部分を以下に説明する。
【0042】
キッチンキャビネット40のキャビネット2の連結部42は、前後方向Aの奥側に位置し、シンク4の底壁4bから下方に延びる面42aを有している。シンク4の底壁4aと、面42aにより、座った姿勢でシンク4を使用する作業者の膝頭部H1を収容する凹部44が形成される。
【0043】
下腿支持部20は、その左右両側においてキャビネット2の面42aの上部に設けられた取付け軸46から下方に延びてから作業者に向かって先端部48aまで延びる取付け部48によって回動自在に支持されている。第1の実施形態と同様、下腿支持部20は、板状であり、作業者に対して左右方向に延びる回動軸26を有しており、本実施形態では、回動軸26が取付け部48の先端部48aの受け部50に回動自在に取付けられている。作業者がキッチンキャビネット40を使用していないとき、下腿支持部20が、付勢位置30、即ち、下腿支持面22が作業者が座る側に面する位置に付勢されることが好ましい。
【0044】
また、下腿支持部20は、作業者に対して前後方向Aに移動可能にキャビネット2に取付けられている。詳細には、取付け部48が、取付け軸46を中心に回動自在にキャビネット2に取付けられている。作業者がキッチンキャビネット40を使用していないとき、下腿支持部20が作業者に近づくように取付け部48を付勢位置52に付勢させるためのばね等の付勢装置(図示せず)が、取付け軸46に設けられることが好ましい。下腿支持面22がキャビネット2の前面2aと同じ平面内に位置するまで取付け部48が付勢されることが更に好ましい。
【0045】
下腿支持部20の上下方向取付け位置を調整するために、取付け部48は、互いに連結され且つ連結位置を変更可能な2つの部品48b、48cを有することが好ましい。
【0046】
第2の実施形態のキッチンキャビネットの使用方法は、第1の実施形態のキッチンキャビネットの使用方法と同様である。第2の実施形態のキッチンキャビネット40では、下腿支持面22が回動することに加えて下腿支持部20が前後方向Aに移動することによって、背中が丸まらない作業姿勢に容易に移行することが促進される。
【0047】
次に、図3を参照して、本発明によるキッチンキャビネットの第3の実施形態を説明する。図3は、本発明の第3の実施形態であるキッチンキャビネットの側面断面図である。
【0048】
図3に示すように、第3の実施形態であるキッチンキャビネット60は、第1の実施形態のキッチンキャビネット1の取付け部24が異なること以外、キッチンキャビネット1と同様の構成を有している。したがって、同様の構成要素には同じ参照符号を付してその説明を省略し、異なる部分を以下に説明する。
【0049】
下腿支持部20は、その左右両側においてキャビネット2の第2の面14bから上方に延びる取付け部62によって回動自在に支持されている。図4A〜図4Cは、取付け部62の断面図である。取付け部62は、下腿支持部20の上下方向取付け位置を調整するために、伸び位置62a(図4A)と縮み位置62c(図4C)との間を移行位置62b(図4B)を経由して伸縮するように構成されている。詳細には、取付け部62は、キャビネット2に固定されたシリンダロッド64と、シリンダロッド64の上端に配置されたゴムピストン66と、ゴムピストン66と摺動可能にそれから上方に延びるシリンダチューブ68とを有している。シリンダチューブ68は、ゴムピストン66から下方にも延び、シリンダロッド64とも摺動可能に構成されている。シリンダチューブ68の上端部には、下腿支持部20の回動軸26を回動自在に支持する受け部28が設けられている。
【0050】
シリンダチューブ68とゴムピストン66との間、及び、シリンダチューブ68とシリンダロッド66との間は、摺動可能にシールされている。それにより、シリンダチューブ68とゴムピストン66との間に円筒形のガス室70が形成され、シリンダチューブ68とシリンダロッド64との間に環状のガス室72が形成される。これらのガス室70、72の中にガスが封入され、取付け部62は、ガスダンパを構成する。
【0051】
ゴムピストン66には、円筒形のガス室70と環状のガス室72とを連通する小さい孔74が形成されている。また、取付け部62は、更に、ゴムピストン66とシリンダロッド64を貫通するプッシュロッド76を有し、このプッシュロッド76は、下位置76aと上位置76bとの間をシール式に摺動可能である。プッシュロッド76は、その上端にフランジ78を有し、このフランジ78は、プッシュロッド76が下位置76aにあるときに、ゴムピストン66の孔74を閉鎖するように構成されている。プッシュロッド76の下端には、プッシュロッド76を足で上下させるためのレバー80が連結されている。レバー80には、プッシュロッド76を下位置76aに付勢するためのばね(図示せず)が取付けられている。
【0052】
次に、取付け部62の動作を説明する。
【0053】
図4Aに示すように、プッシュロッド76が下位置76aにあるとき、円筒形のガス室70内のガスは閉じ込められている。下腿支持部20に下腿部を載せると、ガス室70内のガスの圧縮により、下腿支持部20及びシリンダチューブ68がキャビネット2に対して下降し、下腿部H2を下腿支持部68から移動させると、元の位置(基準高さ)に戻る。それにより、下腿支持部20及びシリンダチューブ68は上方に付勢される。作業者が下腿支持部20に下腿部H2を支持させたときの衝撃を吸収することができる。
【0054】
図4Bに示すように、レバー80を操作して、プッシュロッド76を上位置76bに移動させると、フランジ78がゴムピストン66から離れて、孔74が開き、円筒形のガス室70と環状のガス室72との間が連通する。それにより、シリンダロッド64に対するシリンダチューブ68の上下方向位置、即ち、下腿支持部20のキャビネット2に対する基準高さを変えることができる。
【0055】
図4Cに示すように、レバー80の操作をやめると、プッシュロッド76が下位置76aに付勢され、フランジ78がゴムピストン66の孔74を再び閉じる。それにより、円筒形のガス室70内のガスは再び閉じ込められ、図4Aで説明した動作と同様の動作を行う。
【0056】
第3の実施形態のキッチンキャビネット60では、作業者が下腿部H2を下腿支持部20に支持させたときに膝にかかる負担を軽減することができる。
【0057】
次に、図5を参照して、本発明によるキッチンキャビネットの第4の実施形態を説明する。図5は、本発明の第4の実施形態であるキッチンキャビネットの側面断面図である。図6は、下腿支持部の平面図である。
【0058】
図5に示すように、第4の実施形態であるキッチンキャビネット90は、第1の実施形態であるキッチンキャビネット1の取付け部24が異なること以外、キッチンキャビネット1と同様の構成を有している。したがって、同様の構成要素には同じ参照符号を付してその説明を省略し、異なる部分を以下に説明する。
【0059】
図5及び図6に示すように、下腿支持部20は、ほぼ矩形の板状をなし、そのほぼ4隅に配置された4つのばね92によってキャビネット2に支持されている。それにより、図5に示すように、その下腿支持面の傾斜角度αが作業者の前傾姿勢に応じて作業者に対する前後方向Aに変化する。また、図6に示すように、下腿支持部20は、作業者の左右方向Cの回転に応じて作業者の下腿部H2と共に左右方向Cに回転可能である。
【0060】
このように構成されたキッチンキャビネットでは、作業者の作業方向が左右方向Cに回転したとき、下腿部H2が下腿支持面22によって安定的に支持される。
【0061】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0062】
上記実施形態では、キッチン設備がシンクである場合を例にして説明したが、キッチン設備は、キッチンカウンター、コンロ等であってもよい。
【0063】
上記実施形態では、下腿支持部20が板状である場合を例にして説明したが、下腿支持部20の形状は任意である。また、下腿支持部20は、キッチンキャビネットの左右方向全体にわたって設けられてもよいし、部分的に設けられてもよい。
【0064】
また、第4の実施形態において、下腿支持部20は、キャビネット2に対する上下方向位置を調整できるように構成されてもよい。
【0065】
また、上記第2の実施形態では、取付け部48の回動を利用して、下腿支持部20を前後方向に移動させたが、スライド式機構等の他の構成を用いて下腿支持部20を前後させてもよい。
【0066】
また、第1〜第4の実施形態を任意に組合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1の実施形態であるキッチンキャビネットの側面断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態であるキッチンキャビネットの側面断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態であるキッチンキャビネットの側面断面図である。
【図4A】第3の実施形態のキッチンキャビネットの取付け部の伸び位置における断面図である。
【図4B】第3の実施形態のキッチンキャビネットの取付け部の移行位置位置における断面図である。
【図4C】第3の実施形態のキッチンキャビネットの取付け部の縮み位置における断面図である。
【図5】本発明の第4の実施形態であるキッチンキャビネットの側面断面図である。
【図6】第4の実施形態のキッチンキャビネットの下腿支持部の平面図である。
【符号の説明】
【0068】
1、40、60、90 キッチンキャビネット
2 キャビネット
4 シンク
18、44 凹部
20 下腿支持部
22 下腿支持面
26 回動軸
24、48、62 取付け部
28 受け部
46 取付け軸
66 ゴムピストン
68 シリンダチューブ
70 円筒形のガス室
92 ばね
H1 膝頭部
H2 下腿部
H3 足部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が座った姿勢で使用できるキッチンキャビネットであって、
キャビネットと、前記キャビネットの上に搭載されるキッチン設備と、を有し、
前記キャビネットは、座った姿勢で前記キッチン設備を使用する作業者の膝頭部を収容する凹部と、座った姿勢の作業者の足部が下腿部に対して作業者の後方に位置するように作業者の下腿部を支持する下腿支持面を備えた下腿支持部と、を有し、
前記下腿支持部は、その下腿支持面の傾斜角度が作業者の前傾姿勢に応じて作業者に対する前後方向に変化するように前記キャビネットに取付けられることを特徴とするキッチンキャビネット。
【請求項2】
前記下腿支持部は、作業者に対して左右方向に延びる軸線を中心に回動自在に前記キャビネットに取付けられることを特徴とする請求項1に記載のキッチンキャビネット。
【請求項3】
前記下腿支持部は、作業者がキッチンキャビネットを使用していないときに、前記下腿支持面が作業者が座る側に面するように付勢されることを特徴とする請求項2に記載のキッチンキャビネット。
【請求項4】
前記下腿支持部は、前記キャビネットに対する上下方向位置を調整することができる請求項2又は3に記載のキッチンキャビネット。
【請求項5】
前記下腿支持部は、前記キャビネットに対して上下方向に移動可能であり、ダンパを介して上方に付勢されることを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載のキッチンキャビネット。
【請求項6】
前記下腿支持部は、作業者に対して前後方向に移動可能に前記キャビネットに取付けられ、作業者に近づくように付勢されることを特徴とする請求項2又は3に記載のキッチンキャビネット。
【請求項7】
前記下腿支持部は、作業者の左右方向の回転に応じて作業者の下腿部と共に左右方向に回転可能であることを特徴とする請求項1に記載のキッチンキャビネット。
【請求項8】
前記下腿支持部は、前記キャビネットに複数のばねによって支持されることを特徴とする請求項7に記載のキッチンキャビネット。
【請求項9】
作業者が座った姿勢で使用できるキッチンキャビネットであって、
キャビネットと、前記キャビネットの上に搭載されるキッチン設備と、を有し、
前記キャビネットは、座った姿勢で前記キッチン設備を使用する作業者の膝頭部を収容する凹部と、座った姿勢の作業者の足部が下腿部に対して作業者の後方に位置するように作業者の下腿部を支持する下腿支持面を備えた下腿支持部と、を有し、
前記下腿支持部は、作業者に対して前後方向に移動可能に前記キャビネットに取付けられ作業者に近づくように付勢されることを特徴とするキッチンキャビネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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