キッチンシステム及びその制御方法
【課題】利用者及び利用場面に適応したキッチンのレイアウトを自動的に設定できるようにする。
【解決手段】ICカード3から無線送信された無線信号をRFIDリーダー4により読み取り、制御部2が、このRFIDリーダー4により読み取られた識別信号S1に基づいて可動式のキッチン1を駆動制御するものである。例えば、ICカード3を携帯した母親がキッチン1の前に立つと、このICカード3は、識別情報が変調された電波をRFIDリーダー4に発信する。RFIDリーダー4は、母親のICカード3から発信された電波を受信し、復調した識別信号S1を制御部2に出力する。制御部2は、出力された識別信号S1から母親がキッチンに居ると判断してキッチン1の前後位置を移動すると共にキッチン1の高さを調整する。
【解決手段】ICカード3から無線送信された無線信号をRFIDリーダー4により読み取り、制御部2が、このRFIDリーダー4により読み取られた識別信号S1に基づいて可動式のキッチン1を駆動制御するものである。例えば、ICカード3を携帯した母親がキッチン1の前に立つと、このICカード3は、識別情報が変調された電波をRFIDリーダー4に発信する。RFIDリーダー4は、母親のICカード3から発信された電波を受信し、復調した識別信号S1を制御部2に出力する。制御部2は、出力された識別信号S1から母親がキッチンに居ると判断してキッチン1の前後位置を移動すると共にキッチン1の高さを調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動式のキッチンに適用可能なキッチンシステム及びその制御方法に関するものである。詳しくは、無線送信された識別情報を読取り機により読み取り、制御部が、この読取り機により読み取られた識別情報に基づいて可動式のキッチンを駆動制御することで、識別情報が示す最適な位置にキッチンを自動的に移動できるようにすると共に当該キッチンの高さを自動調整できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生活者の用途に合わせてキッチンのレイアウトが多様化している。キッチンは、例えば、流し台、調理台、ガス調理器及び収納スペースを備えている。最近では、ガス調理器の替わりに電磁調理器(IHクッキングヒーター)が使用されることが増えている。これらの機器を備えたキッチンは、I型(直線型)レイアウトのように調理することだけに限定された独立的な空間(壁付け式)から、L型(直角型)レイアウトやアイランド型(分離型)などのようにコミュニケーションやホームパーティなどの多目的な利用を意識した対面式のレイアウトが増えている。
【0003】
例えば、IHクッキングヒーターを調理場の中央に配置してアイランド型のレイアウトにする場合、IHクッキングヒーターのレンジフード(空気清浄システム)を天井から吊下げる必要がある。この場合、工事費用の増加や部屋の美観が損なわれる問題があった。この問題に対処したIH用空気清浄システムが開発されている。このIH用空気清浄システムは、フード及び排気手段を備え、このフードは、IHクッキングヒーターの上面に対して略垂直にキッチンの天板に立設されて当該キッチンと一体化されている。IH用空気清浄システムは、送風機などから構成される排気手段を駆動してフードから空気などを吸い込む。例えば、IH用空気清浄システムは、このフードからIHクッキングヒーターにより加熱された食材などから出る煙などを吸い込んで当該煙を浄化して排出する。このように、フードがキッチンの天板に立設されているので、フードを天井から吊下げる場合と比較して、工事費用の増加や部屋の美観が損なうことを回避できる。これにより、キッチンのレイアウトを自由に設定できるようになる。
【0004】
このような従来例に関連して、特許文献1には、移動厨房システムが開示されている。この移動厨房システムは、電気供給経路・給排水経路などの経路を接続するための複合接続具及びキャスターを有した厨房機器を備えている。このキャスター付き厨房機器は、手動により、複合コンセントが設けられた所望の位置に移動される。移動後、この複合コンセントに厨房機器の複合接続具がワンタッチで装着されて電気供給経路・給排水経路などの経路が接続される。これにより、移動式厨房機器の移設作業を低コストで容易且つ短時間で実施できる。
【0005】
【特許文献1】特開2006−325995号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来例に係る特許文献1に記載の移動厨房システムによれば、手動でキャスター付きの厨房機器を所望の位置に移動している。しかしながら、母や祖母などのキッチンの利用者や生活シーン(家族の団欒・ホームパーティ・料理教室)は様々であり、その都度、利用者が手動でキッチンのレイアウトを変更することは負担が大きい。
【0007】
そこで、本発明はこのような課題を解決したものであって、利用者及び利用場面に適応したキッチンのレイアウトを自動的に設定できるようにしたキッチンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明に係るキッチンシステムは、駆動部を有した可動式のキッチンユニットと、前記キッチンユニットを駆動するための識別情報を無線送信する端末具と、前記端末具により無線送信された前記識別情報を読み取る読取り機と、前記読取り機により読み取られた前記識別情報に基づいて、前記キッチンユニットの駆動部を制御して当該キッチンユニットを所定の方向に可動する制御部とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係るキッチンシステムによれば、利用者に携帯される端末具は、キッチンユニットを駆動するための識別情報を無線送信する。読取り機は、この端末具により無線送信された識別情報を読み取る。制御部は、この読取り機により読み取られた識別情報に基づいてキッチンユニットの駆動部を制御して当該キッチンユニットを所定の方向に可動する。例えば、キッチンユニットは、当該キッチンユニットの底面に取り付けられたローラーと、このローラーに回転力を伝達する伝達機構と、この伝達機構に動力を与えるキッチン移動用モータとを備えている。制御部は、読取り機により読み取られた識別情報に基づいて、キッチン移動用モータを回転制御する。これにより、キッチンユニットを前進又は後退させて最適なレイアウトに自動的に設定できるようになる。
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明に係るキッチンシステムの制御方法は、駆動部を有した可動式のキッチンユニットを駆動制御する方法であって、前記キッチンユニットを駆動するための識別情報を無線送信するステップと、無線送信された前記識別情報を読み取るステップと、読み取られた前記識別情報に基づいて、前記キッチンユニットの駆動部を制御して当該キッチンユニットを所定の方向に可動するステップとを有することを特徴とするものである。本発明に係るキッチンシステムの制御方法によれば、識別情報が示す最適なレイアウトにキッチンユニットを自動的に設定できるようになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るキッチンシステム及びその制御方法によれば、無線送信された識別情報を読取り機により読み取り、制御部が、この読取り機により読み取られた識別情報に基づいてキッチンユニットの駆動部を制御し、当該キッチンユニットを所定の方向に可動するものである。
【0012】
この構成によって、識別情報が示す最適な位置にキッチンユニットを自動的に移動できると共に当該キッチンユニットの高さを自動調整できるようになる。従って、キッチンユニットを最適なレイアウトに自動的に設定できるので、老若男女の差異を問わない快適なキッチン空間を提供できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るキッチンシステム及びその制御方法の実施形態の一例を説明する。
【0014】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態としてのキッチンシステム100の構成例を示す模式図である。図1に示すキッチンシステム100は、利用者や利用場面に適応して可動式のキッチン1のレイアウトを自動的に設定できるようにしたものである。キッチンシステム100は、可動式のキッチン1、制御部2、IC(Integrated Circuit)カード3及びRFID(Radio Frequency IDentification)リーダー4を備えている。可動式のキッチン1(キッチンユニットの一例)及びRFIDリーダー4は、制御部2に接続されている。
【0015】
利用者は、各々を識別するための識別情報が書き込まれたICカード3(端末具や電子媒体の一例)を携帯する。このICカード3の構成要素(不図示)は、周知のようにメモリとして機能するICチップ部、通信内容をエンコード・デコードする処理部、ICチップ部などに電源を供給すると共に送受信用のアンテナとして機能するアンテナ部などから構成されている。
【0016】
RFIDリーダー4の構成要素(不図示)は、周知のようにICカード3に電源を供給すると共に送受信を行うアンテナ部、通信内容をエンコード・デコードすると共に制御部2と通信する処理部などから構成されている。このRFIDリーダー4は読取り機や非接触認証型の読取り機の一例として機能し、例えばキッチン1の上方の天井に取り付けられている。
【0017】
この例で、ICカード3を携帯した母親がキッチン1の前に立つと、このICカード3は、識別情報が変調された電波をRFIDリーダー4に発信(無線送信)する。RFIDリーダー4は、母親のICカード3から発信された電波を受信し、復調した識別信号S1を制御部2に出力する。制御部2は、この識別信号S1と、当該識別信号S1の基準となる基準値とを比較してキッチン1のレイアウトを判定し、当該レイアウトにキッチン1を移動するように駆動制御する。例えば、制御部2は、識別信号S1から母親がキッチンに居ると判断して可動式のキッチン1を母親用のレイアウトに駆動するように制御する。この例で、制御部2は、このキッチン1の前後位置を移動すると共にキッチン1の高さを調整する。これにより、母親に最適なキッチンのレイアウトを自動的に実施することができる。
【0018】
また、母親の替わりにICカード3を携帯した祖母がキッチン1の前に立つと、このICカード3は、識別情報が変調された電波をRFIDリーダー4に発信する。RFIDリーダー4は、祖母のICカード3から発信された電波を受信し、復調した識別信号S1を制御部2に出力する。制御部2は、出力された識別信号S1から祖母がキッチンに居ると判断して可動式のキッチン1を祖母用のレイアウトに駆動するように制御する。例えば、制御部2は、このキッチン1の前後位置を祖母に最適な位置に移動すると共に、キッチン1の高さを母親の場合よりも低く調整する。これにより、祖母に最適なキッチンのレイアウトを自動的に実施することができる。
【0019】
なお、母親及び祖母の2人が同時にキッチン1の前に立つと、RFIDリーダー4は、母親及び祖母の両方のICカード3から発信された電波を受信してその識別信号S1を制御部2に出力する。制御部2は、出力された識別信号S1から母親及び祖母がキッチンに居ると判断して可動式のキッチン1を祖母用のレイアウトに駆動するように制御する。このように、母親と祖母の両者がキッチン1の前に立った場合は、祖母を優先してキッチン1を祖母用のレイアウトに設定する。もちろん、母親と祖母の両者がキッチン1の前に立った場合に、母親を優先してキッチン1を母親用のレイアウトに設定してもよい。
【0020】
続いて、キッチンシステム100の制御系について説明する。図2は、キッチンシステム100の制御系の構成例を示すブロック図である。図2に示す制御系は、制御部2、モータ駆動部11、キッチン移動用モータ12a、キッチン高さ調整用モータ12b及び信号処理部13を備えている。
【0021】
制御部2は、システムバス10aを有しており、このシステムバス10aには、CPU(Central Processing Unit)10b、RAM(Random Access Memory)10c、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)10d及びI/O(Input/Output)ポート10eが接続されている。
【0022】
EEPROM10dには、利用者や利用場面に適応して可動式のキッチン1のレイアウトを自動的に設定するためのプログラム(キッチンレイアウトの制御用プログラム)などが保存されている。例えば、この制御用プログラムには少なくとも、ICカード3の各々が示す利用者の識別情報ごとに、キッチン1が前進又は後退する移動距離情報及びキッチン1の高さ情報が含まれている。RAM10cは、この制御用プログラムに基づいてキッチン1を駆動制御する際に、ワークメモリとして使用される。
【0023】
I/Oポート10eにはモータ駆動部11及び信号処理部13が接続されている。信号処理部13は、RFIDリーダー4から出力された識別信号S1を二値化して、例えば3ビットの識別データD1をI/Oポート10eを介してCPU10bに出力する。CPU10bは出力された識別データD1に基づいてキッチン1のレイアウトを駆動制御する。
【0024】
このCPU10bには音声出力部25が接続されている。CPU10bは、キッチン1を駆動制御する前に音声出力部25に音声ガイドするように制御する。例えば、CPU10bは、キッチン1を母親用のレイアウトに駆動制御する場合、その旨を音声出力するように音声出力部25を制御する。これにより、母親は、キッチン1が移動する前にその動作を知ることができる。また、CPU10bには、キッチン1の動作を操作するための操作パネル27が接続されている。この操作パネルは、不図示のキャンセルボタンが設けられている。このキャンセルボタンが押されると、キッチン1の移動を取り消すことを示す制御信号がCPU10bに出力される。
【0025】
このように制御系が構成されたキッチンシステム100において、例えばCPU10bは、母親の情報を示す識別データD1を入力した場合、母親が台所に居ると判断して、キッチン1を移動することを音声ガイドするように音声出力部25を制御する。その後、CPU10bは、キッチン1の移動を取り消すことを示す制御信号を操作パネル27から入力しなかった場合、キッチン1を母親用のレイアウトに移動する為のモータ制御データDm、Dnをモータ駆動部11に出力する。
【0026】
モータ駆動部11は、I/Oポート10eを介してCPU10bに接続され、更に、キッチン1に配設されたキッチン移動用モータ12a及びキッチン高さ調整用モータ12bに接続されている。モータ駆動部11は、CPU10bにより出力されたモータ制御データDmをデコードしたキッチン移動用信号S3をキッチン移動用モータ12aに出力して当該モータ12aを駆動する。また、モータ駆動部11は、CPU10bにより出力されたモータ制御データDnをデコードしたキッチン高さ調整用信号S4をキッチン高さ調整用モータ12bに出力して当該モータ12bを駆動する。
【0027】
キッチン移動用モータ12aが駆動されると、当該モータ12aの回転軸に係合された不図示の歯車やリンク機構(伝達機構の一例)により、キッチン1の底面に取り付けられたローラーが回転して当該キッチン1が前進又は後退する。なお、ローラー、伝達機構及びキッチン移動用モータ12aは、駆動部の一例を構成する。
【0028】
また、キッチン高さ調整用モータ12bが駆動されると、当該モータ12bの回転軸に係合された不図示の歯車やリンク機構により、キッチン1の天板が上下動して当該キッチン1の高さが調整される。
【0029】
続いて、可動式のキッチン1の移動例を説明する。図3A及びBは、可動式のキッチン1の移動例を示す斜視図である。また、図4A及びBは、可動式のキッチン1の移動例を示す上面図である。この例で、図4Aに示すキッチン1は、図3Aに示すキッチンを上方から見た図である。また、図4Bに示すキッチン1は、図3Bに示すキッチンを上方から見た図である。
【0030】
図3Aに示すキッチン1は、食器などを収納するカップボード14の前方に配置され、自動的に矢印方向P1に昇降すると共に矢印方向P2に前進又は後退する。このキッチン1は、天板を備えた上台部1a及び収納スペースを備えた基部1bから構成されている。上台部1aには、シンク1c及びIHクッキングヒーター1dが取り付けられている。上台部1aは、矢印方向P1に昇降可能に基部1bに取り付けられている。
【0031】
キッチン1は、その内部に昇降装置15を備えている。この昇降装置15は、基部1bに対して上台部1aを昇降させる機能を有する。例えば昇降装置15には、周知技術であるボールネジ機構16を用いる。このボールネジ機構16は図2に示したキッチン高さ調整用モータ12bにより駆動され、回転運動を垂直運動に変換する。なお、ボールネジ機構16及びキッチン高さ調整用モータ12bは、駆動部の一例を構成する。
【0032】
図3Bに示すボールネジ機構16は、棒状の雄ネジ部16a及び筒状の雌ネジ部(不図示)を備えている。この雌ネジ部は、箱状の基部1bの周辺内部の8箇所に基部1bの上面に対して垂直に取り付けられている。雄ネジ部16aの各々は、その一端が基部1bの周辺内部に取り付けられた雌ネジ部の各々に挿入されて噛合されている。また、雄ネジ部16aの各々は、その他端が上台部1aの不図示の軸受け(ベアリング)やキッチン高さ調整用モータ12b(図2参照)に係合されている。
【0033】
例えば、雌ネジ部の各々に噛み合った雄ネジ部16a各々がキッチン高さ調整用モータ12bにより正回転されると、図3Bに示すように雄ネジ部16aは雌ネジ部に摺動しながら上昇して上台部1aを上昇させる。また、雄ネジ部16a各々がキッチン高さ調整用モータ12bにより逆回転されると、図3Aに示すように雄ネジ部16aは雌ネジ部に摺動しながら下降して上台部1aを下降させる。これにより、上台部1aに取り付けられたシンク1c及びIHクッキングヒーター1dの位置が上下動する。なお、キッチン1の上台部1aを昇降させるために、ボールネジ機構16を用いたが、これに限らずパンタグラフ機構を用いてもよい。
【0034】
キッチン1は、矢印方向P2に移動するために基部1bの底面の周囲4箇所に不図示のローラーを備えている。これらのローラーは、図2に示したキッチン移動用モータ12aにより駆動される。例えば、キッチン移動用モータ12aが正回転されると、キッチン1はローラーが正回転して図4Aに示す位置R1から図4Bに示す位置R2へ移動してカップボード14から離反する。また、キッチン移動用モータ12aが逆回転されると、キッチン1はローラーが逆回転して図4Bに示す位置R2から図4Aに示す位置R1へ移動してカップボード14に接近する。このように、キッチン1は前進又は後退する。
【0035】
なお、キッチン1とカップボード14との距離は、母親の場合は「約85cm」を想定し、祖母の場合は母親より「5cm」狭くして「約80cm」を想定している。また、上台部1aの天板の高さは、母親の場合は「約83cm」を想定し、祖母の場合は母親より「5cm」低くして「約78cm」を想定している。この上台部1aの天板の適正な高さは、一般的に「身長÷2+(5〜10)cm」と認識されており、仮に身長差が「30cm」であったとしても、キッチン1の天板の高さの差は「15cm」程度となる。
【0036】
続いて、可動式のキッチン1をリビングダイニングルーム24に応用した例を説明する。図5A及びBは、キッチンシステム100における可動式のキッチン1の応用例を示す上面図である。図5Aに示すリビングダイニングルーム24には、カップボード14、AV(audiovisual)機器18、テーブル19、ソファー20及びダイニングセット21が所定の位置に配置されている。カップボード14の前方には、キッチン1が配置されている。このキッチン1とカップボード14の間(キッチンエリア26)の天井には、RFIDリーダー4が配置されている。キッチンエリア26のRFIDリーダー4はキッチンエリア26内のICカード3から発信される電波を検知する。
【0037】
このRFIDリーダー4から信号を入力する制御部2は、カップボード14の近傍に配置されている。この例で、制御部2と併設して音声ガイド用の音声出力部25及びキッチン操作用の操作パネル27が設けられている。
【0038】
キッチン1の近傍の壁17の内部には、配線配管収納部22が設けられている。この配線配管収納部22には、キッチン1に設けられた不図示の給水管、排水管及びIHクッキングヒーター1d用の電源コードが収納されている。配線配管収納部22は、壁17が一部刳り貫かれて開口部が形成されている。この開口部は窓部を備え、この窓部には孔部を有したカバーがスライド自在に取り付けられている。この孔部から上記給水管、排水管及び電源コードがキッチン1に延出されている。このカバーにより、配線配管収納部22の見栄えを良くすることができる。
【0039】
この例で、給水管及び排水管には、蛇腹状の樹脂製ホース(フレキシブルホース)を使用する。これにより、例えばキッチン1が前進又は後退してもその動作に合わせて蛇腹状の給水管及び排水管が伸縮するので、当該給水管及び排水管がキッチン1の給水口や排水口から外れることを防止できる。また、他の配線配管方法として、キッチン1の可動範囲に給排水コンセントを配置してもよい。この場合、キッチン1が移動する前に一旦給排水コンセントから給排水管を外し、キッチン1が移動後に当該給排水管を、移動後の近傍に設けられた給排水コンセントに取り付ける。電源コードは、キッチン1の最大動作範囲をカバーできる長さに設定する。これにより、電源コードのプラグがコンセントから外れることを防止できる。もちろん、フレキシブルの電源コードを用いてもよい。
【0040】
このように構成されたキッチンシステム100において、例えば、ICカード3を携帯した母親がリビングダイニングルーム24に入室して図5Aに示す基準位置のキッチン1の前に立つと、キッチンエリア26のRFIDリーダー4は、母親のICカード3から発信された電波を受信してその識別信号S1を制御部2に出力する。制御部2は、出力された識別信号S1から母親がキッチンエリア26に居ると判断して、図5Bに示すようにキッチン1を前進させて母親用のレイアウトに移動するように制御する。
【0041】
例えば、制御部2は、先ずキッチン1を母親用のレイアウトに駆動制御を開始する旨を音声出力するように音声出力部25を制御する。音声出力部25は、不図示のスピーカーからキッチン1を母親用のレイアウトに移動開始する旨を出力する。
【0042】
次に、制御部2は、図2に示したキッチン移動用モータ12aを正回転させて、キッチン1の底面に設けられたローラーを正回転させてカップボード14から離反するように移動させる。続いて、制御部2は、図2に示したキッチン高さ調整用モータ12bを正回転させて、図3Bに示した雄ネジ部16aを雌ネジ部に摺動させながら上昇させて上台部1aを上昇させる。これにより、上台部1aに取り付けられたシンク1c及びIHクッキングヒーター1dが、母親に適した位置まで上昇する。このとき、キッチン1の近傍の配線配管収納部22に収納された蛇腹状の給水管及び排水管は、当該蛇腹により伸縮するのでキッチン1の給水口や排水口から外れることはない。また、電源コードはキッチン1の最大動作範囲をカバーできる長さに設定されているので、電源コードのプラグがコンセントから外れることはない。
【0043】
最後に、制御部2は、キッチン1を母親用のレイアウトに駆動制御を完了した旨を音声出力するように音声出力部25を制御する。音声出力部25は、不図示のスピーカーからキッチン1を母親用のレイアウトに移動完了した旨を出力する。これにより、利用者に合わせて自動的にキッチン1の位置を最適に設定できる。
【0044】
なお、上述のキッチン1を駆動制御を開始する旨を音声出力部25から出力したあと、操作パネル27のキャンセルボタンを押すことにより、キッチン1の移動を取り消すように制御してもよい。これにより、母親が僅かな時間だけキッチン1の前に立ったときに、例えば食器を取り出すためにキッチン1の前に立ったときにキッチン1を移動しないようにできる。
【0045】
また、IHクッキングヒーター1dがON状態で、かつ、RFIDリーダー4がICカードから電波を一定時間受信しなかった場合、制御部2は、吹きこぼれ防止用の警報音を出力するように音声出力部25を制御してもよい。
【0046】
図5Bに示す位置に移動したキッチン1で母親が調理を終了後、一定時間キッチン1の前から離れると、制御部2は、図5Bに示す母親用のレイアウトに移動されたキッチン1を、図5Aに示すキッチン1の基準位置に戻すように制御する。例えば、制御部2は、先ずキッチン1を基準位置に駆動制御を開始する旨を音声出力するように音声出力部25を制御する。音声出力部25は、不図示のスピーカーからキッチン1を基準位置に移動開始する旨を出力する。
【0047】
次に、制御部2は、図2に示したキッチン移動用モータ12aを逆回転させて、キッチン1の底面に設けられたローラーを逆回転させてカップボード14に接近するように移動させる。続いて、制御部2は、図2に示したキッチン高さ調整用モータ12bを逆回転させて、図3Bに示した雄ネジ部16aを雌ネジ部に摺動させながら下降させて上台部1aを下降させる。これにより、上台部1aに取り付けられたシンク1c及びIHクッキングヒーター1dが、基準位置まで下降する。
【0048】
最後に、制御部2は、キッチン1を基準位置に駆動制御を完了した旨を音声出力するように音声出力部25を制御する。音声出力部25は、不図示のスピーカーからキッチン1を基準位置に移動完了した旨を出力する。これにより、キッチン1が自動的に基準位置に戻る。なお、母親が調理終了後に、操作パネル27の基準位置設定ボタンを押すことにより、キッチン1を直ぐに基準位置に戻すように制御してもよい。
【0049】
図6A及びBは、キッチンシステム100’における可動式のキッチン1の応用例を示す上面図である。図6に示すキッチンシステム100’は、リビングダイニングルーム24のドア23の近傍(ドアエリア31)にも、RFIDリーダー4’が配置されている。このドアエリア31のRFIDリーダー4’は、ドアエリア31内のICカード3から発信される電波を検知する。すなわち、このドアエリア31のRFIDリーダー4’は、リビングダイニングルーム24に入室する人を識別する。これにより、例えばリビングダイニングルーム24に入室する人数によって、キッチン1のレイアウトを変更できるようになる。
【0050】
例えば、ICカード3を携帯した母親、父親及び息子の3人がリビングダイニングルーム24のドア23から入室すると、ドアエリア31のRFIDリーダー4’は、3人のICカード3から発信された電波を受信してその識別信号S1を制御部2に出力する。制御部2は、RFIDリーダー4’により一定時間内に読み取られた、異なる識別信号S1の数をカウントし、カウントした識別信号S1の数が基準値以上であるか否かを判定し、当該判定結果に基づいてキッチン1を所定のレイアウトに駆動制御する。例えば、当該基準値を「3」とした場合、制御部2は、母親、父親及び息子の識別信号S1からリビングダイニングルーム24に3人が居るとカウントして、カウントした識別信号S1の数「3」が基準値の「3」以上であると判定し、図6Bに示すようにキッチン1を大幅に前進させて例えば鍋パーティ用のレイアウトに移動するように制御する。
【0051】
この例で、制御部2は、先ずキッチン1を鍋パーティ用のレイアウトに駆動制御を開始する旨を音声出力するように音声出力部25を制御する。音声出力部25は、不図示のスピーカーからキッチン1を鍋パーティ用のレイアウトに移動開始する旨を出力する。このとき、キッチン1をリビングダイニングルーム24の略中央まで移動させるので、予めソファー20及びダイニングセット21を手動で部屋の隅に移動させておく。
【0052】
次に、制御部2は、図2に示したキッチン移動用モータ12aを正回転させて、キッチン1の底面に設けられたローラーを正回転させて、当該キッチン1をダイニングセット21に接近するように部屋の略中央まで移動させる。続いて、制御部2は、図2に示したキッチン高さ調整用モータ12bを逆回転させて、図3Bに示した雄ネジ部16aを雌ネジ部に摺動させながら下降させて上台部1aを下降させる。これにより、上台部1aに取り付けられた鍋加熱用のIHクッキングヒーター1dが、ダイニングセット21のテーブルの高さに適した位置まで下降する。
【0053】
最後に、制御部2は、キッチン1を鍋パーティ用のレイアウトに駆動制御を完了した旨を音声出力するように音声出力部25を制御する。音声出力部25は、不図示のスピーカーからキッチン1を鍋パーティ用のレイアウトに移動完了した旨を出力する。これにより、家族の人数に合わせて自動的にキッチン1の位置を最適に設定できる。また、キッチン1を鍋パーティ用のレイアウトにすることにより、家族間のコミュニケーションが活性化することが期待できる。なお、制御部2は、3人がリビングダイニングルーム24に居ると判断した場合に、キッチン1を鍋パーティ用のレイアウトに移動するように制御したが、この人数は3人より多く設定しても良いし、3人より少なく設定しても良い。
【0054】
図7は、キッチンシステム100を制御するCPU10bの動作例を示すフローチャートである。この例では、図5Aに示したキッチン1のレイアウトを図5Bに示した母親用のキッチン1のレイアウトに変更する例を示す。
【0055】
図7に示すステップST1で、CPU10bは、RFIDリーダー4から識別データD1を入力したか否かを判定する。CPU10bは、この識別データD1を入力していないと判定した場合、当該識別データD1を入力するまで待機する。また、CPU10bは、この識別データD1を入力したと判定した場合、ステップST2へ移行する。
【0056】
ステップST2で、CPU10bは、キッチン1を駆動制御する前に音声出力部25に音声ガイドするように制御する。例えば、CPU10bは、母親の識別情報を示す識別データD1を入力してキッチン1を母親用のレイアウトに駆動制御する場合、その旨を音声出力するように音声出力部25を制御する。続いてステップST3へ移行する。
【0057】
ステップST3で、CPU10bは、キッチン1を母親用のレイアウトに移動することが承認されたか否かを判定する。例えば、CPU10bは、キッチン1の移動を取り消すことを示す制御信号を操作パネル27から入力した場合、キッチン1の移動処理を終了する。また、CPU10bは、キッチン1の移動を取り消すことを示す制御信号を操作パネル27から入力しなかった場合、ステップST4へ移行する。
【0058】
ステップST4で、CPU10bは、キッチン1のレイアウトを母親用のレイアウトに変更するように制御する。例えば、CPU10bは、図2に示したキッチン移動用モータ12aを正回転させて、キッチン1の底面に設けられたローラーを正回転させて前進させる(図4B参照)。さらに、CPU10bは、図2に示したキッチン高さ調整用モータ12bを正回転させて昇降装置15を上昇駆動させ、上台部1aに取り付けられたシンク1c及びIHクッキングヒーター1dを上昇させる(図3B参照)。続いてステップST5へ移行する。
【0059】
ステップST5で、CPU10bは、ロックされたか否かを判定する。例えば、CPU10bは、操作パネル27の不図示のロックボタンが押されて当該操作パネル27からキッチン1の現在のレイアウトを固定することを示す制御信号を入力した場合、ステップST6に移行する。
【0060】
ステップST6で、CPU10bは、変更後のキッチン1のレイアウトを保持する。例えば、CPU10bは、RFIDリーダー4から識別データD1を入力しても、キッチン1を駆動させるキッチン移動用モータ12a及びキッチン高さ調整用モータ12bを回転制御しない。
【0061】
上述のステップST5で、CPU10bは、操作パネル27からキッチン1の現在のレイアウトを固定することを示す制御信号を入力しなかった場合、ステップST7に移行する。
【0062】
ステップST7で、CPU10bは、変更後のキッチン1のレイアウトを元に戻す。例えば、CPU10bは、図2に示したキッチン移動用モータ12aを逆回転させて、キッチン1の底面に設けられたローラーを逆回転させて後退させる。さらに、CPU10bは、図2に示したキッチン高さ調整用モータ12bを逆回転させて昇降装置15を下降駆動させ、上台部1aに取り付けられたシンク1c及びIHクッキングヒーター1dを下降させて処理の終了となる。
【0063】
このように、本発明に係るキッチンシステム100によれば、無線送信された無線信号をRFIDリーダー4により読み取り、制御部2が、このRFIDリーダー4により読み取られた識別信号S1に基づいてキッチン1を駆動制御し、当該キッチン1を所定の方向に可動するものである。
【0064】
従って、識別信号S1が示す最適な位置にキッチン1を自動的に移動できると共に当該キッチン1の高さを自動調整できるようになる。これにより、キッチン1を最適なレイアウトに自動的に設定できるようになる。従って、老若男女の差異を問わない快適なキッチン空間(ユニバーサルデザイン)を提供できるようになる。
【0065】
なお、本発明では、IHクッキングヒーター1dを用いたが、ガス調理器を用いてもよい。この場合、IHクッキングヒーター1d用の電源コードの替わりに蛇腹状のガス管を用い、当該蛇腹状のガス管を収納配線配管収納部22に収納する。これにより、キッチン1が前進又は後退してもその動作に合わせて蛇腹状のガス管が伸縮するので、当該ガス管がキッチン1のガス調理器から外れることを防止できる。
【0066】
<第2の実施形態>
続いて、キッチンシステム200とホームセキュリティシステム5とを連係させる動作例を説明する。図8は、第2の実施形態としてのキッチンシステム200の構成例を示す模式図である。図8に示すキッチンシステム200は、ホームセキュリティシステム5とを連係して利用者や利用場面に適応して可動式のキッチン1のレイアウトを自動的に設定できるようにしたものである。なお、上述したキッチンシステム100、100’と同じ構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0067】
図8に示すホームセキュリティシステム5は、検知部の一例として用いられるパッシブセンサー6及び防犯ブザー7を備えている。パッシブセンサー6は部屋の入口近傍などに取り付けられ、検知エリア内の壁や床などの表面温度を監視し、この検知エリア内の温度変化を検知して検知信号S2を制御部2に出力する。制御部2は、パッシブセンサー6から出力された検知信号S2に基づいて防犯ブザー7を鳴動させる。なお、パッシブセンサー6に限らず、反射型の光学センサーを用いても良い。
【0068】
ホームセキュリティシステム5には、パッシブセンサー6により人間を検知して防犯ブザー7を鳴動する警報ONモードとパッシブセンサー6により人間を検知しても防犯ブザー7を鳴動しない警報OFFモードとがある。これらの警報ON/OFFモードは、図9に示す操作パネル27から設定することができる。例えば、外出する場合や就寝する場合には、この操作パネル27を操作して警報ONモードに設定し、その他の場合には警報OFFモードに設定する。
【0069】
この例では、キッチンシステム200が、ホームセキュリティシステム5と連係して動作する。例えばパッシブセンサー6とRFIDリーダー4’とは隣接して部屋の入口付近の天井に設置されている(図6A参照)。これにより、例えばICカード3を携帯した母親が入室すると、パッシブセンサー6が検知信号S2を制御部2に出力し、かつ、RFIDリーダー4’が識別信号S1を制御部2に出力する。制御部2は、出力された検知信号S2及び識別信号S1から母親が部屋に居ると判断して可動式のキッチン1を母親用のレイアウトに移動するように制御する。
【0070】
また、警報OFFモードのときに、例えばICカード3を携帯していない来訪者が部屋に入室すると、パッシブセンサー6が検知信号S2を制御部2に出力するが、RFIDリーダー4’は識別信号S1を制御部2に出力しない。制御部2は、出力された検知信号S2から来訪者が部屋に居ると判断して可動式のキッチン1を来訪者用のレイアウトに移動するように制御する。この場合、例えば、制御部2はキッチン1をホームパーティ用に配置する。
【0071】
このように、パッシブセンサー6及びRFIDリーダー4’を連係して使用することによって、ICカード3を携帯した母親などの家族と、ICカード3を携帯していない来訪者とを識別することができる。これにより、来訪者が訪れた場合に、キッチン1をホームパーティ用などの多様な形態に自動的に設定できる。
【0072】
なお、警報ONモードのときに、例えばICカード3を携帯していない侵入者が部屋に入ると、パッシブセンサー6が検知信号S2を制御部2に出力する。制御部2は、出力された検知信号S2から侵入者が部屋に入ったと判断して防犯ブザーを鳴動するように制御する。
【0073】
また、警報ON/OFFモードを操作パネル27により設定したが、この警報ON/OFFモードを自動的に設定することも考えられる。例えば、RFIDリーダー4が、一定時間内にICカード3から発信される電波を検知した場合は、自動的に警報OFFモードに設定する。また、RFIDリーダー4が、一定時間内にICカード3から発信される電波を検知しなかった場合は、自動的に警報ONモードに設定する。このように警報ON/OFFモードをオートメーション化することによって、在宅警備を実施するか否かを部屋ごとに細かく且つ確実に設定することができる。従って、防犯効果を格段に向上させることができる。
【0074】
なお、警報ON/OFFモードをオートメーション化した場合、来訪者が一人で部屋に入室した際に侵入者と誤報してしまうが、基本的には、ICカード3を有した家族が来訪者を部屋に案内するので、このような誤報を招く可能性は低い。また、ICカード3を有した家族が部屋を一時的に退室して来訪者だけになるような場合は、操作パネル27から警報OFFモードを保持するように設定すればよい。家族が当該一時退室から部屋に戻った場合に、操作パネル27から警報OFFモードの保持を解除する。
【0075】
続いて、キッチンシステム200の制御系について説明する。図9は、キッチンシステム200の制御系の構成例を示すブロック図である。上述したキッチンシステム100、100’と同じ構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図9に示す制御系の信号処理部13には、パッシブセンサー6及び2個のRFIDリーダー4、4’が接続されている。信号処理部13は、RFIDリーダー4、4’から出力された識別信号S1を二値化して、例えば3ビットの識別データD1をI/Oポート10eを介してCPU10bに出力する。また、信号処理部13は、パッシブセンサー6から出力された検知信号S2を二値化して、例えば3ビットの検知データD2をI/Oポート10eを介してCPU10bに出力する。CPU10bは出力された検知データD2や識別データD1に基づいてキッチン1を移動するように制御する。
【0076】
CPU10bには、防犯ブザー7が接続されている。CPU10bは、警報ONモードの場合にパッシブセンサー6から検知データD2を入力すると、防犯ブザー7を鳴動するように制御する。
【0077】
続いて、可動式のキッチン1をリビングダイニングルーム24に応用した例を説明する。図10A及びBは、キッチンシステム200における可動式のキッチン1の応用例を示す上面図である。なお、図6A及びBに示したキッチンシステム100’と同じ構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0078】
図10Aに示すリビングダイニングルーム24のドア23の近傍(ドアエリア31)には、RFIDリーダー4’及びパッシブセンサー6が配置されている。このパッシブセンサー6はドアエリア31内の温度変化を検知し、RFIDリーダー4’はドアエリア31内のICカード3から発信される電波を検知する。このように、この例ではRFIDリーダー4’及びパッシブセンサー6が隣接して配置されている。
【0079】
RFIDリーダー4、4’及びパッシブセンサー6から信号を入力する制御部2は、カップボード14の近傍に配置されている。この例で、制御部2と併設して音声ガイド用の音声出力部25、キッチン操作用の操作パネル27及び防犯ブザー7が設けられている。
【0080】
例えば、ICカード3を携帯していない来訪者がドア23を開けてリビングダイニングルーム24に入室すると、ドアエリア31のパッシブセンサー6は、温度変化を検知して検知信号S2を制御部2に出力する。このとき、ドアエリア31のRFIDリーダー4’は、ICカード3を携帯していない来訪者から電波を受信しないので、識別信号S1を制御部2に出力しない。制御部2は、出力された検知信号S2から来訪者がリビングダイニングルーム24に居ると判断する。そして、制御部2は、この検知信号S2を入力した累積数が例えば3回を超えた時点で、図10Bに示すようにキッチン1をホームパーティ用のレイアウトに移動するように制御する。
【0081】
また、例えば、ICカード3を携帯した母親がリビングダイニングルーム24に入室すると、ドアエリア31のパッシブセンサー6は、温度変化を検知して検知信号S2を制御部2に出力する。さらに、ドアエリア31のRFIDリーダー4’は、母親のICカード3から発信された電波を受信してその識別信号S1を制御部2に出力する。制御部2は、出力された検知信号S2及び識別信号S1から母親がドアエリア31に居ると判断して、図10Aに示すキッチン1を図10Bに示すようなホームパーティ用のレイアウトに駆動制御しない。
【0082】
なお、キッチン1の移動方法は、図6Bに示した鍋パーティ用のレイアウトに移動する方法と同様な為、その移動方法の説明は省略する。また、上述した累積数は、一例であって3回より多く設定しても良いし、3回より少なく設定しても良い。また、パッシブセンサー6及びRFIDリーダー4のセットをリビングダイニングルーム24の複数個所に設置し、当該パッシブセンサー6のみが検出した箇所が3箇所以上である場合に、図10Bに示すようにキッチン1をホームパーティ用のレイアウトに移動するように制御してもよい。
【0083】
続いて、キッチン1Aの配置例を説明する。図11A及びBは、キッチン1Aの配置例(その1)を示す上面図である。このキッチン1Aは、図9示した制御部2により駆動される。図11Aに示すキッチン1Aは、シンク1cが設けられた第1基部28と、IHクッキングヒーター1dが設けられた第2基部29とを備えている。このシンク1cが設けられた第1基部28と、IHクッキングヒーター1dが設けられた第2基部29とは分離可能な構成(別体)となっている。このシンク1cが設けられた第1基部28は据え置き型であり、カップボード14の前面に固定されている。IHクッキングヒーター1dが設けられた第2基部29は可動式であり、前後左右に移動すると共に回動する。
【0084】
例えば、第2基部29の底面には、その周囲4箇所に不図示のローラーが備えられている。これらのローラーは、その向きを約90°変更可能に取り付けられている。この例で、図11Aに示す第2基部29は、図9に示した制御部2により駆動される不図示のモータにより先ず矢印方向P3へ前進する。次に、ローラーの向きを所定角度変更してそのローラーを回転させ、第2基部29の向きを90°回動させる。その後、ローラーの向きを矢印方向P4の向きに変更してそのローラーを回線させ、第2基部29を前進させて図11Bに示すようにシンク1cの第1基部28に当接する。これにより、L型にキッチン1Aを自動的に配置できる。この場合、上述したキッチン1のようにシンク1cを移動させないので、給水管や排水管を移動させる必要がなく、配管及び配線をコンパクトに配設できる。このL型のキッチン1Aは、例えばホームパーティや料理教室などに適したレイアウトである。
【0085】
図12は、キッチン1Aの配置例(その2)を示す上面図である。図12に示すキッチン1Aは、図11Bに示したL型のキッチン1Aの第2基部29のローラーの向きを矢印方向P3の向きに変更してそのローラーを回転させ、当該第2基部29を前進させてシンク1cの第1基部28から分離したものである。
【0086】
これにより、アイランド型にキッチン1Aを自動的に配置できる。この場合も、上述したキッチン1のようにシンク1cを移動させないので、給水管や排水管を移動させる必要がなく、配管及び配線をコンパクトに配設できる。このアイランド型のキッチン1Aも、例えばホームパーティや料理教室などに適した配置である。
【0087】
図13は、キッチンシステム200とホームセキュリティシステム5とを連係させて制御するCPU10bの動作例を示すフローチャートである。この例では、図10Aに示したキッチン1のレイアウトを図10Bに示したホームパーティ用のキッチン1のレイアウトに変更する例を示す。
【0088】
図13に示すステップST10で、CPU10bは、ホームセキュリティシステム5が警報ONモード又は警報OFFモードであるかを判定する。CPU10bは、ホームセキュリティシステム5が警報ONモードであると判定した場合、ステップST11へ移行する。なお、この警報ON/OFFモードの設定は、図8で説明したように、操作パネル27により設定しても良いし、オートメーション化しても良い。
【0089】
ステップST11で、CPU10bは、パッシブセンサー6から検知データD2を入力したか否かを判定する。CPU10bは、この検知データD2を入力しなかった場合、再び当該検知データD2を入力したか否かを判定する。また、CPU10bは、検知データD2を入力した場合、ステップST12へ移行する。
【0090】
ステップST12で、CPU10bは、RFIDリーダー4から識別データD1を入力したか否かを判定する。CPU10bは、この識別データD1を入力していないと判定した場合、ステップST13へ移行する。
【0091】
ステップST13で、CPU10bは、ICカード3を携帯していない侵入者がリビングダイニングルーム24に入ったと判断してステップST14へ移行する。ステップST14で、CPU10bは防犯ブザー7を鳴動するように制御する。これにより、防犯ブザー7のスピーカーからブザー音が出力されて侵入を報知できる。
【0092】
また、上述のステップST12で、CPU10bは、RFIDリーダー4から識別データD1を入力した判定した場合、ステップST15へ移行する。ステップST15で、CPU10bは、ICカード3を携帯した家族がリビングダイニングルーム24に入ったと判断して処理の終了となる。このように、警報ONモードの場合には、ホームセキュリティシステム5が動作する。
【0093】
一方、上述のステップST10で、CPU10bは、ホームセキュリティシステム5が警報OFFモードであると判定した場合、ステップST15へ移行する。
【0094】
ステップST15で、CPU10bは、パッシブセンサー6から検知データD2を入力したか否かを判定する。CPU10bは、この検知データD2を入力しなかった場合、再び当該検知データD2を入力したか否かを判定する。また、CPU10bは、検知データD2を入力した場合、ステップST17へ移行する。
【0095】
ステップST17で、CPU10bは、RFIDリーダー4から識別データD1を入力したか否かを判定する。CPU10bは、この識別データD1を入力していないと判定した場合、ステップST18へ移行する。
【0096】
ステップST18で、CPU10bは、ICカード3を携帯していない来訪者がリビングダイニングルーム24に入ったと認識する。この例で、CPU10bは、来訪者の数をカウントし、その累積数が3回を超えた時点でキッチン1をホームパーティ用のレイアウトに移動するように制御する。続いて、ステップST20に移行する。
【0097】
ステップST20で、CPU10bは、図10Aに示したキッチン1を例えばホームパーティ用のレイアウトに駆動制御する前に音声出力部25に音声ガイドするように制御してステップST21へ移行する。
【0098】
ステップST21で、CPU10bは、キッチン1を例えばホームパーティ用のレイアウトに移動することが承認されたか否かを判定する。この例で、CPU10bは、キッチン1の移動を取り消すことを示す制御信号を操作パネル27から入力した場合、処理を終了する。また、CPU10bは、キッチン1の移動を取り消すことを示す制御信号を操作パネル27から入力しなかった場合、ステップST22へ移行する。
【0099】
ステップST22で、CPU10bは、キッチン1のレイアウトを例えばホームパーティ用のレイアウトに変更するように制御する。この例で、CPU10bは、図9に示したキッチン移動用モータ12aを正回転させて、キッチン1の底面に設けられたローラーを正回転させて前進させる(図10B参照)。さらに、CPU10bは、図9に示したキッチン高さ調整用モータ12bを正回転又は逆回転させて昇降装置15を昇降駆動させ、上台部1aに取り付けられたシンク1c及びIHクッキングヒーター1dを適度な高さに調整してステップST23へ移行する。
【0100】
ステップST23で、CPU10bは、ロックされたか否かを判定する。例えば、CPU10bは、操作パネル27の不図示のロックボタンが押されて当該操作パネル27からキッチン1の現在のレイアウトを固定することを示す制御信号を入力した場合、ステップST24に移行する。
【0101】
ステップST24で、CPU10bは、変更後のキッチン1のレイアウトをホームパーティ用に保持する。例えば、CPU10bは、検知データD2や識別データD1を入力しても、キッチン1を駆動させるキッチン移動用モータ12a及びキッチン高さ調整用モータ12bを回転制御しない。
【0102】
上述のステップST23で、CPU10bは、操作パネル27からキッチン1の現在のレイアウトを固定することを示す制御信号を入力しなかった場合、ステップST25に移行する。
【0103】
ステップST25で、CPU10bは、変更後のキッチン1のレイアウトを元に戻す。例えば、CPU10bは、図9に示したキッチン移動用モータ12aを逆回転させて、キッチン1の底面に設けられたローラーを逆回転させて後退させる。さらに、CPU10bは、図9に示したキッチン高さ調整用モータ12bを正回転又は逆回転させて昇降装置15を昇降駆動させ、上台部1aに取り付けられたシンク1c及びIHクッキングヒーター1dを昇降させて処理の終了となる。
【0104】
このように、本発明に係るキッチンシステム200によれば、制御部2が、ホームセキュリティシステム5のパッシブセンサー6とを連係して可動式のキッチン1を駆動制御するものである。
【0105】
従って、RFIDリーダー4からの識別信号S1が示す最適な位置にキッチン1を自動的に移動できると共に当該キッチン1の高さを自動調整できる。さらに、パッシブセンサー6からの検知信号S2に基づいて来客用のレイアウトにキッチン1を配置できる。
【0106】
なお、上述したキッチンシステム100、100’、200は、キッチン1に限らずダイニングテーブルの高さ自動調整やソファーの自動移動にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
可動式のキッチンユニットやテーブルに適用して好適である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】第1の実施形態としてのキッチンシステム100の構成例を示す模式図である。
【図2】キッチンシステム100の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図3】A及びBは、可動式のキッチン1の移動例を示す斜視図である。
【図4】A及びBは、可動式のキッチン1の移動例を示す上面図である。
【図5】A及びBは、キッチンシステム100における可動式のキッチン1の応用例を示す上面図である。
【図6】A及びBは、キッチンシステム100’における可動式のキッチン1の応用例を示す上面図である。
【図7】キッチンシステム100を制御するCPU10bの動作例を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施形態としてのキッチンシステム200の構成例を示す模式図である。
【図9】キッチンシステム200の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図10】A及びBは、キッチンシステム200における可動式のキッチン1の応用例を示す上面図である。
【図11】A及びBは、キッチン1Aの配置例(その1)を示す上面図である。
【図12】キッチン1Aの配置例(その2)を示す上面図である。
【図13】キッチンシステム200を制御するCPU10bの動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0109】
1、1A・・・キッチン(キッチンユニット)、1a・・・上台部、1b・・・基部、1c・・・シンク、1d・・・IHクッキングヒーター(電磁調理器)、2・・・制御部、3・・・ICカード(端末具)、4・・・RFIDリーダー(読取り機)、6・・・パッシブセンサー(検知部)、15・・・昇降装置、25・・・音声出力部、28・・・第1基部、29・・・第2基部、100、100’、200・・・キッチンシステム
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動式のキッチンに適用可能なキッチンシステム及びその制御方法に関するものである。詳しくは、無線送信された識別情報を読取り機により読み取り、制御部が、この読取り機により読み取られた識別情報に基づいて可動式のキッチンを駆動制御することで、識別情報が示す最適な位置にキッチンを自動的に移動できるようにすると共に当該キッチンの高さを自動調整できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生活者の用途に合わせてキッチンのレイアウトが多様化している。キッチンは、例えば、流し台、調理台、ガス調理器及び収納スペースを備えている。最近では、ガス調理器の替わりに電磁調理器(IHクッキングヒーター)が使用されることが増えている。これらの機器を備えたキッチンは、I型(直線型)レイアウトのように調理することだけに限定された独立的な空間(壁付け式)から、L型(直角型)レイアウトやアイランド型(分離型)などのようにコミュニケーションやホームパーティなどの多目的な利用を意識した対面式のレイアウトが増えている。
【0003】
例えば、IHクッキングヒーターを調理場の中央に配置してアイランド型のレイアウトにする場合、IHクッキングヒーターのレンジフード(空気清浄システム)を天井から吊下げる必要がある。この場合、工事費用の増加や部屋の美観が損なわれる問題があった。この問題に対処したIH用空気清浄システムが開発されている。このIH用空気清浄システムは、フード及び排気手段を備え、このフードは、IHクッキングヒーターの上面に対して略垂直にキッチンの天板に立設されて当該キッチンと一体化されている。IH用空気清浄システムは、送風機などから構成される排気手段を駆動してフードから空気などを吸い込む。例えば、IH用空気清浄システムは、このフードからIHクッキングヒーターにより加熱された食材などから出る煙などを吸い込んで当該煙を浄化して排出する。このように、フードがキッチンの天板に立設されているので、フードを天井から吊下げる場合と比較して、工事費用の増加や部屋の美観が損なうことを回避できる。これにより、キッチンのレイアウトを自由に設定できるようになる。
【0004】
このような従来例に関連して、特許文献1には、移動厨房システムが開示されている。この移動厨房システムは、電気供給経路・給排水経路などの経路を接続するための複合接続具及びキャスターを有した厨房機器を備えている。このキャスター付き厨房機器は、手動により、複合コンセントが設けられた所望の位置に移動される。移動後、この複合コンセントに厨房機器の複合接続具がワンタッチで装着されて電気供給経路・給排水経路などの経路が接続される。これにより、移動式厨房機器の移設作業を低コストで容易且つ短時間で実施できる。
【0005】
【特許文献1】特開2006−325995号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来例に係る特許文献1に記載の移動厨房システムによれば、手動でキャスター付きの厨房機器を所望の位置に移動している。しかしながら、母や祖母などのキッチンの利用者や生活シーン(家族の団欒・ホームパーティ・料理教室)は様々であり、その都度、利用者が手動でキッチンのレイアウトを変更することは負担が大きい。
【0007】
そこで、本発明はこのような課題を解決したものであって、利用者及び利用場面に適応したキッチンのレイアウトを自動的に設定できるようにしたキッチンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明に係るキッチンシステムは、駆動部を有した可動式のキッチンユニットと、前記キッチンユニットを駆動するための識別情報を無線送信する端末具と、前記端末具により無線送信された前記識別情報を読み取る読取り機と、前記読取り機により読み取られた前記識別情報に基づいて、前記キッチンユニットの駆動部を制御して当該キッチンユニットを所定の方向に可動する制御部とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係るキッチンシステムによれば、利用者に携帯される端末具は、キッチンユニットを駆動するための識別情報を無線送信する。読取り機は、この端末具により無線送信された識別情報を読み取る。制御部は、この読取り機により読み取られた識別情報に基づいてキッチンユニットの駆動部を制御して当該キッチンユニットを所定の方向に可動する。例えば、キッチンユニットは、当該キッチンユニットの底面に取り付けられたローラーと、このローラーに回転力を伝達する伝達機構と、この伝達機構に動力を与えるキッチン移動用モータとを備えている。制御部は、読取り機により読み取られた識別情報に基づいて、キッチン移動用モータを回転制御する。これにより、キッチンユニットを前進又は後退させて最適なレイアウトに自動的に設定できるようになる。
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明に係るキッチンシステムの制御方法は、駆動部を有した可動式のキッチンユニットを駆動制御する方法であって、前記キッチンユニットを駆動するための識別情報を無線送信するステップと、無線送信された前記識別情報を読み取るステップと、読み取られた前記識別情報に基づいて、前記キッチンユニットの駆動部を制御して当該キッチンユニットを所定の方向に可動するステップとを有することを特徴とするものである。本発明に係るキッチンシステムの制御方法によれば、識別情報が示す最適なレイアウトにキッチンユニットを自動的に設定できるようになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るキッチンシステム及びその制御方法によれば、無線送信された識別情報を読取り機により読み取り、制御部が、この読取り機により読み取られた識別情報に基づいてキッチンユニットの駆動部を制御し、当該キッチンユニットを所定の方向に可動するものである。
【0012】
この構成によって、識別情報が示す最適な位置にキッチンユニットを自動的に移動できると共に当該キッチンユニットの高さを自動調整できるようになる。従って、キッチンユニットを最適なレイアウトに自動的に設定できるので、老若男女の差異を問わない快適なキッチン空間を提供できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るキッチンシステム及びその制御方法の実施形態の一例を説明する。
【0014】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態としてのキッチンシステム100の構成例を示す模式図である。図1に示すキッチンシステム100は、利用者や利用場面に適応して可動式のキッチン1のレイアウトを自動的に設定できるようにしたものである。キッチンシステム100は、可動式のキッチン1、制御部2、IC(Integrated Circuit)カード3及びRFID(Radio Frequency IDentification)リーダー4を備えている。可動式のキッチン1(キッチンユニットの一例)及びRFIDリーダー4は、制御部2に接続されている。
【0015】
利用者は、各々を識別するための識別情報が書き込まれたICカード3(端末具や電子媒体の一例)を携帯する。このICカード3の構成要素(不図示)は、周知のようにメモリとして機能するICチップ部、通信内容をエンコード・デコードする処理部、ICチップ部などに電源を供給すると共に送受信用のアンテナとして機能するアンテナ部などから構成されている。
【0016】
RFIDリーダー4の構成要素(不図示)は、周知のようにICカード3に電源を供給すると共に送受信を行うアンテナ部、通信内容をエンコード・デコードすると共に制御部2と通信する処理部などから構成されている。このRFIDリーダー4は読取り機や非接触認証型の読取り機の一例として機能し、例えばキッチン1の上方の天井に取り付けられている。
【0017】
この例で、ICカード3を携帯した母親がキッチン1の前に立つと、このICカード3は、識別情報が変調された電波をRFIDリーダー4に発信(無線送信)する。RFIDリーダー4は、母親のICカード3から発信された電波を受信し、復調した識別信号S1を制御部2に出力する。制御部2は、この識別信号S1と、当該識別信号S1の基準となる基準値とを比較してキッチン1のレイアウトを判定し、当該レイアウトにキッチン1を移動するように駆動制御する。例えば、制御部2は、識別信号S1から母親がキッチンに居ると判断して可動式のキッチン1を母親用のレイアウトに駆動するように制御する。この例で、制御部2は、このキッチン1の前後位置を移動すると共にキッチン1の高さを調整する。これにより、母親に最適なキッチンのレイアウトを自動的に実施することができる。
【0018】
また、母親の替わりにICカード3を携帯した祖母がキッチン1の前に立つと、このICカード3は、識別情報が変調された電波をRFIDリーダー4に発信する。RFIDリーダー4は、祖母のICカード3から発信された電波を受信し、復調した識別信号S1を制御部2に出力する。制御部2は、出力された識別信号S1から祖母がキッチンに居ると判断して可動式のキッチン1を祖母用のレイアウトに駆動するように制御する。例えば、制御部2は、このキッチン1の前後位置を祖母に最適な位置に移動すると共に、キッチン1の高さを母親の場合よりも低く調整する。これにより、祖母に最適なキッチンのレイアウトを自動的に実施することができる。
【0019】
なお、母親及び祖母の2人が同時にキッチン1の前に立つと、RFIDリーダー4は、母親及び祖母の両方のICカード3から発信された電波を受信してその識別信号S1を制御部2に出力する。制御部2は、出力された識別信号S1から母親及び祖母がキッチンに居ると判断して可動式のキッチン1を祖母用のレイアウトに駆動するように制御する。このように、母親と祖母の両者がキッチン1の前に立った場合は、祖母を優先してキッチン1を祖母用のレイアウトに設定する。もちろん、母親と祖母の両者がキッチン1の前に立った場合に、母親を優先してキッチン1を母親用のレイアウトに設定してもよい。
【0020】
続いて、キッチンシステム100の制御系について説明する。図2は、キッチンシステム100の制御系の構成例を示すブロック図である。図2に示す制御系は、制御部2、モータ駆動部11、キッチン移動用モータ12a、キッチン高さ調整用モータ12b及び信号処理部13を備えている。
【0021】
制御部2は、システムバス10aを有しており、このシステムバス10aには、CPU(Central Processing Unit)10b、RAM(Random Access Memory)10c、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)10d及びI/O(Input/Output)ポート10eが接続されている。
【0022】
EEPROM10dには、利用者や利用場面に適応して可動式のキッチン1のレイアウトを自動的に設定するためのプログラム(キッチンレイアウトの制御用プログラム)などが保存されている。例えば、この制御用プログラムには少なくとも、ICカード3の各々が示す利用者の識別情報ごとに、キッチン1が前進又は後退する移動距離情報及びキッチン1の高さ情報が含まれている。RAM10cは、この制御用プログラムに基づいてキッチン1を駆動制御する際に、ワークメモリとして使用される。
【0023】
I/Oポート10eにはモータ駆動部11及び信号処理部13が接続されている。信号処理部13は、RFIDリーダー4から出力された識別信号S1を二値化して、例えば3ビットの識別データD1をI/Oポート10eを介してCPU10bに出力する。CPU10bは出力された識別データD1に基づいてキッチン1のレイアウトを駆動制御する。
【0024】
このCPU10bには音声出力部25が接続されている。CPU10bは、キッチン1を駆動制御する前に音声出力部25に音声ガイドするように制御する。例えば、CPU10bは、キッチン1を母親用のレイアウトに駆動制御する場合、その旨を音声出力するように音声出力部25を制御する。これにより、母親は、キッチン1が移動する前にその動作を知ることができる。また、CPU10bには、キッチン1の動作を操作するための操作パネル27が接続されている。この操作パネルは、不図示のキャンセルボタンが設けられている。このキャンセルボタンが押されると、キッチン1の移動を取り消すことを示す制御信号がCPU10bに出力される。
【0025】
このように制御系が構成されたキッチンシステム100において、例えばCPU10bは、母親の情報を示す識別データD1を入力した場合、母親が台所に居ると判断して、キッチン1を移動することを音声ガイドするように音声出力部25を制御する。その後、CPU10bは、キッチン1の移動を取り消すことを示す制御信号を操作パネル27から入力しなかった場合、キッチン1を母親用のレイアウトに移動する為のモータ制御データDm、Dnをモータ駆動部11に出力する。
【0026】
モータ駆動部11は、I/Oポート10eを介してCPU10bに接続され、更に、キッチン1に配設されたキッチン移動用モータ12a及びキッチン高さ調整用モータ12bに接続されている。モータ駆動部11は、CPU10bにより出力されたモータ制御データDmをデコードしたキッチン移動用信号S3をキッチン移動用モータ12aに出力して当該モータ12aを駆動する。また、モータ駆動部11は、CPU10bにより出力されたモータ制御データDnをデコードしたキッチン高さ調整用信号S4をキッチン高さ調整用モータ12bに出力して当該モータ12bを駆動する。
【0027】
キッチン移動用モータ12aが駆動されると、当該モータ12aの回転軸に係合された不図示の歯車やリンク機構(伝達機構の一例)により、キッチン1の底面に取り付けられたローラーが回転して当該キッチン1が前進又は後退する。なお、ローラー、伝達機構及びキッチン移動用モータ12aは、駆動部の一例を構成する。
【0028】
また、キッチン高さ調整用モータ12bが駆動されると、当該モータ12bの回転軸に係合された不図示の歯車やリンク機構により、キッチン1の天板が上下動して当該キッチン1の高さが調整される。
【0029】
続いて、可動式のキッチン1の移動例を説明する。図3A及びBは、可動式のキッチン1の移動例を示す斜視図である。また、図4A及びBは、可動式のキッチン1の移動例を示す上面図である。この例で、図4Aに示すキッチン1は、図3Aに示すキッチンを上方から見た図である。また、図4Bに示すキッチン1は、図3Bに示すキッチンを上方から見た図である。
【0030】
図3Aに示すキッチン1は、食器などを収納するカップボード14の前方に配置され、自動的に矢印方向P1に昇降すると共に矢印方向P2に前進又は後退する。このキッチン1は、天板を備えた上台部1a及び収納スペースを備えた基部1bから構成されている。上台部1aには、シンク1c及びIHクッキングヒーター1dが取り付けられている。上台部1aは、矢印方向P1に昇降可能に基部1bに取り付けられている。
【0031】
キッチン1は、その内部に昇降装置15を備えている。この昇降装置15は、基部1bに対して上台部1aを昇降させる機能を有する。例えば昇降装置15には、周知技術であるボールネジ機構16を用いる。このボールネジ機構16は図2に示したキッチン高さ調整用モータ12bにより駆動され、回転運動を垂直運動に変換する。なお、ボールネジ機構16及びキッチン高さ調整用モータ12bは、駆動部の一例を構成する。
【0032】
図3Bに示すボールネジ機構16は、棒状の雄ネジ部16a及び筒状の雌ネジ部(不図示)を備えている。この雌ネジ部は、箱状の基部1bの周辺内部の8箇所に基部1bの上面に対して垂直に取り付けられている。雄ネジ部16aの各々は、その一端が基部1bの周辺内部に取り付けられた雌ネジ部の各々に挿入されて噛合されている。また、雄ネジ部16aの各々は、その他端が上台部1aの不図示の軸受け(ベアリング)やキッチン高さ調整用モータ12b(図2参照)に係合されている。
【0033】
例えば、雌ネジ部の各々に噛み合った雄ネジ部16a各々がキッチン高さ調整用モータ12bにより正回転されると、図3Bに示すように雄ネジ部16aは雌ネジ部に摺動しながら上昇して上台部1aを上昇させる。また、雄ネジ部16a各々がキッチン高さ調整用モータ12bにより逆回転されると、図3Aに示すように雄ネジ部16aは雌ネジ部に摺動しながら下降して上台部1aを下降させる。これにより、上台部1aに取り付けられたシンク1c及びIHクッキングヒーター1dの位置が上下動する。なお、キッチン1の上台部1aを昇降させるために、ボールネジ機構16を用いたが、これに限らずパンタグラフ機構を用いてもよい。
【0034】
キッチン1は、矢印方向P2に移動するために基部1bの底面の周囲4箇所に不図示のローラーを備えている。これらのローラーは、図2に示したキッチン移動用モータ12aにより駆動される。例えば、キッチン移動用モータ12aが正回転されると、キッチン1はローラーが正回転して図4Aに示す位置R1から図4Bに示す位置R2へ移動してカップボード14から離反する。また、キッチン移動用モータ12aが逆回転されると、キッチン1はローラーが逆回転して図4Bに示す位置R2から図4Aに示す位置R1へ移動してカップボード14に接近する。このように、キッチン1は前進又は後退する。
【0035】
なお、キッチン1とカップボード14との距離は、母親の場合は「約85cm」を想定し、祖母の場合は母親より「5cm」狭くして「約80cm」を想定している。また、上台部1aの天板の高さは、母親の場合は「約83cm」を想定し、祖母の場合は母親より「5cm」低くして「約78cm」を想定している。この上台部1aの天板の適正な高さは、一般的に「身長÷2+(5〜10)cm」と認識されており、仮に身長差が「30cm」であったとしても、キッチン1の天板の高さの差は「15cm」程度となる。
【0036】
続いて、可動式のキッチン1をリビングダイニングルーム24に応用した例を説明する。図5A及びBは、キッチンシステム100における可動式のキッチン1の応用例を示す上面図である。図5Aに示すリビングダイニングルーム24には、カップボード14、AV(audiovisual)機器18、テーブル19、ソファー20及びダイニングセット21が所定の位置に配置されている。カップボード14の前方には、キッチン1が配置されている。このキッチン1とカップボード14の間(キッチンエリア26)の天井には、RFIDリーダー4が配置されている。キッチンエリア26のRFIDリーダー4はキッチンエリア26内のICカード3から発信される電波を検知する。
【0037】
このRFIDリーダー4から信号を入力する制御部2は、カップボード14の近傍に配置されている。この例で、制御部2と併設して音声ガイド用の音声出力部25及びキッチン操作用の操作パネル27が設けられている。
【0038】
キッチン1の近傍の壁17の内部には、配線配管収納部22が設けられている。この配線配管収納部22には、キッチン1に設けられた不図示の給水管、排水管及びIHクッキングヒーター1d用の電源コードが収納されている。配線配管収納部22は、壁17が一部刳り貫かれて開口部が形成されている。この開口部は窓部を備え、この窓部には孔部を有したカバーがスライド自在に取り付けられている。この孔部から上記給水管、排水管及び電源コードがキッチン1に延出されている。このカバーにより、配線配管収納部22の見栄えを良くすることができる。
【0039】
この例で、給水管及び排水管には、蛇腹状の樹脂製ホース(フレキシブルホース)を使用する。これにより、例えばキッチン1が前進又は後退してもその動作に合わせて蛇腹状の給水管及び排水管が伸縮するので、当該給水管及び排水管がキッチン1の給水口や排水口から外れることを防止できる。また、他の配線配管方法として、キッチン1の可動範囲に給排水コンセントを配置してもよい。この場合、キッチン1が移動する前に一旦給排水コンセントから給排水管を外し、キッチン1が移動後に当該給排水管を、移動後の近傍に設けられた給排水コンセントに取り付ける。電源コードは、キッチン1の最大動作範囲をカバーできる長さに設定する。これにより、電源コードのプラグがコンセントから外れることを防止できる。もちろん、フレキシブルの電源コードを用いてもよい。
【0040】
このように構成されたキッチンシステム100において、例えば、ICカード3を携帯した母親がリビングダイニングルーム24に入室して図5Aに示す基準位置のキッチン1の前に立つと、キッチンエリア26のRFIDリーダー4は、母親のICカード3から発信された電波を受信してその識別信号S1を制御部2に出力する。制御部2は、出力された識別信号S1から母親がキッチンエリア26に居ると判断して、図5Bに示すようにキッチン1を前進させて母親用のレイアウトに移動するように制御する。
【0041】
例えば、制御部2は、先ずキッチン1を母親用のレイアウトに駆動制御を開始する旨を音声出力するように音声出力部25を制御する。音声出力部25は、不図示のスピーカーからキッチン1を母親用のレイアウトに移動開始する旨を出力する。
【0042】
次に、制御部2は、図2に示したキッチン移動用モータ12aを正回転させて、キッチン1の底面に設けられたローラーを正回転させてカップボード14から離反するように移動させる。続いて、制御部2は、図2に示したキッチン高さ調整用モータ12bを正回転させて、図3Bに示した雄ネジ部16aを雌ネジ部に摺動させながら上昇させて上台部1aを上昇させる。これにより、上台部1aに取り付けられたシンク1c及びIHクッキングヒーター1dが、母親に適した位置まで上昇する。このとき、キッチン1の近傍の配線配管収納部22に収納された蛇腹状の給水管及び排水管は、当該蛇腹により伸縮するのでキッチン1の給水口や排水口から外れることはない。また、電源コードはキッチン1の最大動作範囲をカバーできる長さに設定されているので、電源コードのプラグがコンセントから外れることはない。
【0043】
最後に、制御部2は、キッチン1を母親用のレイアウトに駆動制御を完了した旨を音声出力するように音声出力部25を制御する。音声出力部25は、不図示のスピーカーからキッチン1を母親用のレイアウトに移動完了した旨を出力する。これにより、利用者に合わせて自動的にキッチン1の位置を最適に設定できる。
【0044】
なお、上述のキッチン1を駆動制御を開始する旨を音声出力部25から出力したあと、操作パネル27のキャンセルボタンを押すことにより、キッチン1の移動を取り消すように制御してもよい。これにより、母親が僅かな時間だけキッチン1の前に立ったときに、例えば食器を取り出すためにキッチン1の前に立ったときにキッチン1を移動しないようにできる。
【0045】
また、IHクッキングヒーター1dがON状態で、かつ、RFIDリーダー4がICカードから電波を一定時間受信しなかった場合、制御部2は、吹きこぼれ防止用の警報音を出力するように音声出力部25を制御してもよい。
【0046】
図5Bに示す位置に移動したキッチン1で母親が調理を終了後、一定時間キッチン1の前から離れると、制御部2は、図5Bに示す母親用のレイアウトに移動されたキッチン1を、図5Aに示すキッチン1の基準位置に戻すように制御する。例えば、制御部2は、先ずキッチン1を基準位置に駆動制御を開始する旨を音声出力するように音声出力部25を制御する。音声出力部25は、不図示のスピーカーからキッチン1を基準位置に移動開始する旨を出力する。
【0047】
次に、制御部2は、図2に示したキッチン移動用モータ12aを逆回転させて、キッチン1の底面に設けられたローラーを逆回転させてカップボード14に接近するように移動させる。続いて、制御部2は、図2に示したキッチン高さ調整用モータ12bを逆回転させて、図3Bに示した雄ネジ部16aを雌ネジ部に摺動させながら下降させて上台部1aを下降させる。これにより、上台部1aに取り付けられたシンク1c及びIHクッキングヒーター1dが、基準位置まで下降する。
【0048】
最後に、制御部2は、キッチン1を基準位置に駆動制御を完了した旨を音声出力するように音声出力部25を制御する。音声出力部25は、不図示のスピーカーからキッチン1を基準位置に移動完了した旨を出力する。これにより、キッチン1が自動的に基準位置に戻る。なお、母親が調理終了後に、操作パネル27の基準位置設定ボタンを押すことにより、キッチン1を直ぐに基準位置に戻すように制御してもよい。
【0049】
図6A及びBは、キッチンシステム100’における可動式のキッチン1の応用例を示す上面図である。図6に示すキッチンシステム100’は、リビングダイニングルーム24のドア23の近傍(ドアエリア31)にも、RFIDリーダー4’が配置されている。このドアエリア31のRFIDリーダー4’は、ドアエリア31内のICカード3から発信される電波を検知する。すなわち、このドアエリア31のRFIDリーダー4’は、リビングダイニングルーム24に入室する人を識別する。これにより、例えばリビングダイニングルーム24に入室する人数によって、キッチン1のレイアウトを変更できるようになる。
【0050】
例えば、ICカード3を携帯した母親、父親及び息子の3人がリビングダイニングルーム24のドア23から入室すると、ドアエリア31のRFIDリーダー4’は、3人のICカード3から発信された電波を受信してその識別信号S1を制御部2に出力する。制御部2は、RFIDリーダー4’により一定時間内に読み取られた、異なる識別信号S1の数をカウントし、カウントした識別信号S1の数が基準値以上であるか否かを判定し、当該判定結果に基づいてキッチン1を所定のレイアウトに駆動制御する。例えば、当該基準値を「3」とした場合、制御部2は、母親、父親及び息子の識別信号S1からリビングダイニングルーム24に3人が居るとカウントして、カウントした識別信号S1の数「3」が基準値の「3」以上であると判定し、図6Bに示すようにキッチン1を大幅に前進させて例えば鍋パーティ用のレイアウトに移動するように制御する。
【0051】
この例で、制御部2は、先ずキッチン1を鍋パーティ用のレイアウトに駆動制御を開始する旨を音声出力するように音声出力部25を制御する。音声出力部25は、不図示のスピーカーからキッチン1を鍋パーティ用のレイアウトに移動開始する旨を出力する。このとき、キッチン1をリビングダイニングルーム24の略中央まで移動させるので、予めソファー20及びダイニングセット21を手動で部屋の隅に移動させておく。
【0052】
次に、制御部2は、図2に示したキッチン移動用モータ12aを正回転させて、キッチン1の底面に設けられたローラーを正回転させて、当該キッチン1をダイニングセット21に接近するように部屋の略中央まで移動させる。続いて、制御部2は、図2に示したキッチン高さ調整用モータ12bを逆回転させて、図3Bに示した雄ネジ部16aを雌ネジ部に摺動させながら下降させて上台部1aを下降させる。これにより、上台部1aに取り付けられた鍋加熱用のIHクッキングヒーター1dが、ダイニングセット21のテーブルの高さに適した位置まで下降する。
【0053】
最後に、制御部2は、キッチン1を鍋パーティ用のレイアウトに駆動制御を完了した旨を音声出力するように音声出力部25を制御する。音声出力部25は、不図示のスピーカーからキッチン1を鍋パーティ用のレイアウトに移動完了した旨を出力する。これにより、家族の人数に合わせて自動的にキッチン1の位置を最適に設定できる。また、キッチン1を鍋パーティ用のレイアウトにすることにより、家族間のコミュニケーションが活性化することが期待できる。なお、制御部2は、3人がリビングダイニングルーム24に居ると判断した場合に、キッチン1を鍋パーティ用のレイアウトに移動するように制御したが、この人数は3人より多く設定しても良いし、3人より少なく設定しても良い。
【0054】
図7は、キッチンシステム100を制御するCPU10bの動作例を示すフローチャートである。この例では、図5Aに示したキッチン1のレイアウトを図5Bに示した母親用のキッチン1のレイアウトに変更する例を示す。
【0055】
図7に示すステップST1で、CPU10bは、RFIDリーダー4から識別データD1を入力したか否かを判定する。CPU10bは、この識別データD1を入力していないと判定した場合、当該識別データD1を入力するまで待機する。また、CPU10bは、この識別データD1を入力したと判定した場合、ステップST2へ移行する。
【0056】
ステップST2で、CPU10bは、キッチン1を駆動制御する前に音声出力部25に音声ガイドするように制御する。例えば、CPU10bは、母親の識別情報を示す識別データD1を入力してキッチン1を母親用のレイアウトに駆動制御する場合、その旨を音声出力するように音声出力部25を制御する。続いてステップST3へ移行する。
【0057】
ステップST3で、CPU10bは、キッチン1を母親用のレイアウトに移動することが承認されたか否かを判定する。例えば、CPU10bは、キッチン1の移動を取り消すことを示す制御信号を操作パネル27から入力した場合、キッチン1の移動処理を終了する。また、CPU10bは、キッチン1の移動を取り消すことを示す制御信号を操作パネル27から入力しなかった場合、ステップST4へ移行する。
【0058】
ステップST4で、CPU10bは、キッチン1のレイアウトを母親用のレイアウトに変更するように制御する。例えば、CPU10bは、図2に示したキッチン移動用モータ12aを正回転させて、キッチン1の底面に設けられたローラーを正回転させて前進させる(図4B参照)。さらに、CPU10bは、図2に示したキッチン高さ調整用モータ12bを正回転させて昇降装置15を上昇駆動させ、上台部1aに取り付けられたシンク1c及びIHクッキングヒーター1dを上昇させる(図3B参照)。続いてステップST5へ移行する。
【0059】
ステップST5で、CPU10bは、ロックされたか否かを判定する。例えば、CPU10bは、操作パネル27の不図示のロックボタンが押されて当該操作パネル27からキッチン1の現在のレイアウトを固定することを示す制御信号を入力した場合、ステップST6に移行する。
【0060】
ステップST6で、CPU10bは、変更後のキッチン1のレイアウトを保持する。例えば、CPU10bは、RFIDリーダー4から識別データD1を入力しても、キッチン1を駆動させるキッチン移動用モータ12a及びキッチン高さ調整用モータ12bを回転制御しない。
【0061】
上述のステップST5で、CPU10bは、操作パネル27からキッチン1の現在のレイアウトを固定することを示す制御信号を入力しなかった場合、ステップST7に移行する。
【0062】
ステップST7で、CPU10bは、変更後のキッチン1のレイアウトを元に戻す。例えば、CPU10bは、図2に示したキッチン移動用モータ12aを逆回転させて、キッチン1の底面に設けられたローラーを逆回転させて後退させる。さらに、CPU10bは、図2に示したキッチン高さ調整用モータ12bを逆回転させて昇降装置15を下降駆動させ、上台部1aに取り付けられたシンク1c及びIHクッキングヒーター1dを下降させて処理の終了となる。
【0063】
このように、本発明に係るキッチンシステム100によれば、無線送信された無線信号をRFIDリーダー4により読み取り、制御部2が、このRFIDリーダー4により読み取られた識別信号S1に基づいてキッチン1を駆動制御し、当該キッチン1を所定の方向に可動するものである。
【0064】
従って、識別信号S1が示す最適な位置にキッチン1を自動的に移動できると共に当該キッチン1の高さを自動調整できるようになる。これにより、キッチン1を最適なレイアウトに自動的に設定できるようになる。従って、老若男女の差異を問わない快適なキッチン空間(ユニバーサルデザイン)を提供できるようになる。
【0065】
なお、本発明では、IHクッキングヒーター1dを用いたが、ガス調理器を用いてもよい。この場合、IHクッキングヒーター1d用の電源コードの替わりに蛇腹状のガス管を用い、当該蛇腹状のガス管を収納配線配管収納部22に収納する。これにより、キッチン1が前進又は後退してもその動作に合わせて蛇腹状のガス管が伸縮するので、当該ガス管がキッチン1のガス調理器から外れることを防止できる。
【0066】
<第2の実施形態>
続いて、キッチンシステム200とホームセキュリティシステム5とを連係させる動作例を説明する。図8は、第2の実施形態としてのキッチンシステム200の構成例を示す模式図である。図8に示すキッチンシステム200は、ホームセキュリティシステム5とを連係して利用者や利用場面に適応して可動式のキッチン1のレイアウトを自動的に設定できるようにしたものである。なお、上述したキッチンシステム100、100’と同じ構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0067】
図8に示すホームセキュリティシステム5は、検知部の一例として用いられるパッシブセンサー6及び防犯ブザー7を備えている。パッシブセンサー6は部屋の入口近傍などに取り付けられ、検知エリア内の壁や床などの表面温度を監視し、この検知エリア内の温度変化を検知して検知信号S2を制御部2に出力する。制御部2は、パッシブセンサー6から出力された検知信号S2に基づいて防犯ブザー7を鳴動させる。なお、パッシブセンサー6に限らず、反射型の光学センサーを用いても良い。
【0068】
ホームセキュリティシステム5には、パッシブセンサー6により人間を検知して防犯ブザー7を鳴動する警報ONモードとパッシブセンサー6により人間を検知しても防犯ブザー7を鳴動しない警報OFFモードとがある。これらの警報ON/OFFモードは、図9に示す操作パネル27から設定することができる。例えば、外出する場合や就寝する場合には、この操作パネル27を操作して警報ONモードに設定し、その他の場合には警報OFFモードに設定する。
【0069】
この例では、キッチンシステム200が、ホームセキュリティシステム5と連係して動作する。例えばパッシブセンサー6とRFIDリーダー4’とは隣接して部屋の入口付近の天井に設置されている(図6A参照)。これにより、例えばICカード3を携帯した母親が入室すると、パッシブセンサー6が検知信号S2を制御部2に出力し、かつ、RFIDリーダー4’が識別信号S1を制御部2に出力する。制御部2は、出力された検知信号S2及び識別信号S1から母親が部屋に居ると判断して可動式のキッチン1を母親用のレイアウトに移動するように制御する。
【0070】
また、警報OFFモードのときに、例えばICカード3を携帯していない来訪者が部屋に入室すると、パッシブセンサー6が検知信号S2を制御部2に出力するが、RFIDリーダー4’は識別信号S1を制御部2に出力しない。制御部2は、出力された検知信号S2から来訪者が部屋に居ると判断して可動式のキッチン1を来訪者用のレイアウトに移動するように制御する。この場合、例えば、制御部2はキッチン1をホームパーティ用に配置する。
【0071】
このように、パッシブセンサー6及びRFIDリーダー4’を連係して使用することによって、ICカード3を携帯した母親などの家族と、ICカード3を携帯していない来訪者とを識別することができる。これにより、来訪者が訪れた場合に、キッチン1をホームパーティ用などの多様な形態に自動的に設定できる。
【0072】
なお、警報ONモードのときに、例えばICカード3を携帯していない侵入者が部屋に入ると、パッシブセンサー6が検知信号S2を制御部2に出力する。制御部2は、出力された検知信号S2から侵入者が部屋に入ったと判断して防犯ブザーを鳴動するように制御する。
【0073】
また、警報ON/OFFモードを操作パネル27により設定したが、この警報ON/OFFモードを自動的に設定することも考えられる。例えば、RFIDリーダー4が、一定時間内にICカード3から発信される電波を検知した場合は、自動的に警報OFFモードに設定する。また、RFIDリーダー4が、一定時間内にICカード3から発信される電波を検知しなかった場合は、自動的に警報ONモードに設定する。このように警報ON/OFFモードをオートメーション化することによって、在宅警備を実施するか否かを部屋ごとに細かく且つ確実に設定することができる。従って、防犯効果を格段に向上させることができる。
【0074】
なお、警報ON/OFFモードをオートメーション化した場合、来訪者が一人で部屋に入室した際に侵入者と誤報してしまうが、基本的には、ICカード3を有した家族が来訪者を部屋に案内するので、このような誤報を招く可能性は低い。また、ICカード3を有した家族が部屋を一時的に退室して来訪者だけになるような場合は、操作パネル27から警報OFFモードを保持するように設定すればよい。家族が当該一時退室から部屋に戻った場合に、操作パネル27から警報OFFモードの保持を解除する。
【0075】
続いて、キッチンシステム200の制御系について説明する。図9は、キッチンシステム200の制御系の構成例を示すブロック図である。上述したキッチンシステム100、100’と同じ構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図9に示す制御系の信号処理部13には、パッシブセンサー6及び2個のRFIDリーダー4、4’が接続されている。信号処理部13は、RFIDリーダー4、4’から出力された識別信号S1を二値化して、例えば3ビットの識別データD1をI/Oポート10eを介してCPU10bに出力する。また、信号処理部13は、パッシブセンサー6から出力された検知信号S2を二値化して、例えば3ビットの検知データD2をI/Oポート10eを介してCPU10bに出力する。CPU10bは出力された検知データD2や識別データD1に基づいてキッチン1を移動するように制御する。
【0076】
CPU10bには、防犯ブザー7が接続されている。CPU10bは、警報ONモードの場合にパッシブセンサー6から検知データD2を入力すると、防犯ブザー7を鳴動するように制御する。
【0077】
続いて、可動式のキッチン1をリビングダイニングルーム24に応用した例を説明する。図10A及びBは、キッチンシステム200における可動式のキッチン1の応用例を示す上面図である。なお、図6A及びBに示したキッチンシステム100’と同じ構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0078】
図10Aに示すリビングダイニングルーム24のドア23の近傍(ドアエリア31)には、RFIDリーダー4’及びパッシブセンサー6が配置されている。このパッシブセンサー6はドアエリア31内の温度変化を検知し、RFIDリーダー4’はドアエリア31内のICカード3から発信される電波を検知する。このように、この例ではRFIDリーダー4’及びパッシブセンサー6が隣接して配置されている。
【0079】
RFIDリーダー4、4’及びパッシブセンサー6から信号を入力する制御部2は、カップボード14の近傍に配置されている。この例で、制御部2と併設して音声ガイド用の音声出力部25、キッチン操作用の操作パネル27及び防犯ブザー7が設けられている。
【0080】
例えば、ICカード3を携帯していない来訪者がドア23を開けてリビングダイニングルーム24に入室すると、ドアエリア31のパッシブセンサー6は、温度変化を検知して検知信号S2を制御部2に出力する。このとき、ドアエリア31のRFIDリーダー4’は、ICカード3を携帯していない来訪者から電波を受信しないので、識別信号S1を制御部2に出力しない。制御部2は、出力された検知信号S2から来訪者がリビングダイニングルーム24に居ると判断する。そして、制御部2は、この検知信号S2を入力した累積数が例えば3回を超えた時点で、図10Bに示すようにキッチン1をホームパーティ用のレイアウトに移動するように制御する。
【0081】
また、例えば、ICカード3を携帯した母親がリビングダイニングルーム24に入室すると、ドアエリア31のパッシブセンサー6は、温度変化を検知して検知信号S2を制御部2に出力する。さらに、ドアエリア31のRFIDリーダー4’は、母親のICカード3から発信された電波を受信してその識別信号S1を制御部2に出力する。制御部2は、出力された検知信号S2及び識別信号S1から母親がドアエリア31に居ると判断して、図10Aに示すキッチン1を図10Bに示すようなホームパーティ用のレイアウトに駆動制御しない。
【0082】
なお、キッチン1の移動方法は、図6Bに示した鍋パーティ用のレイアウトに移動する方法と同様な為、その移動方法の説明は省略する。また、上述した累積数は、一例であって3回より多く設定しても良いし、3回より少なく設定しても良い。また、パッシブセンサー6及びRFIDリーダー4のセットをリビングダイニングルーム24の複数個所に設置し、当該パッシブセンサー6のみが検出した箇所が3箇所以上である場合に、図10Bに示すようにキッチン1をホームパーティ用のレイアウトに移動するように制御してもよい。
【0083】
続いて、キッチン1Aの配置例を説明する。図11A及びBは、キッチン1Aの配置例(その1)を示す上面図である。このキッチン1Aは、図9示した制御部2により駆動される。図11Aに示すキッチン1Aは、シンク1cが設けられた第1基部28と、IHクッキングヒーター1dが設けられた第2基部29とを備えている。このシンク1cが設けられた第1基部28と、IHクッキングヒーター1dが設けられた第2基部29とは分離可能な構成(別体)となっている。このシンク1cが設けられた第1基部28は据え置き型であり、カップボード14の前面に固定されている。IHクッキングヒーター1dが設けられた第2基部29は可動式であり、前後左右に移動すると共に回動する。
【0084】
例えば、第2基部29の底面には、その周囲4箇所に不図示のローラーが備えられている。これらのローラーは、その向きを約90°変更可能に取り付けられている。この例で、図11Aに示す第2基部29は、図9に示した制御部2により駆動される不図示のモータにより先ず矢印方向P3へ前進する。次に、ローラーの向きを所定角度変更してそのローラーを回転させ、第2基部29の向きを90°回動させる。その後、ローラーの向きを矢印方向P4の向きに変更してそのローラーを回線させ、第2基部29を前進させて図11Bに示すようにシンク1cの第1基部28に当接する。これにより、L型にキッチン1Aを自動的に配置できる。この場合、上述したキッチン1のようにシンク1cを移動させないので、給水管や排水管を移動させる必要がなく、配管及び配線をコンパクトに配設できる。このL型のキッチン1Aは、例えばホームパーティや料理教室などに適したレイアウトである。
【0085】
図12は、キッチン1Aの配置例(その2)を示す上面図である。図12に示すキッチン1Aは、図11Bに示したL型のキッチン1Aの第2基部29のローラーの向きを矢印方向P3の向きに変更してそのローラーを回転させ、当該第2基部29を前進させてシンク1cの第1基部28から分離したものである。
【0086】
これにより、アイランド型にキッチン1Aを自動的に配置できる。この場合も、上述したキッチン1のようにシンク1cを移動させないので、給水管や排水管を移動させる必要がなく、配管及び配線をコンパクトに配設できる。このアイランド型のキッチン1Aも、例えばホームパーティや料理教室などに適した配置である。
【0087】
図13は、キッチンシステム200とホームセキュリティシステム5とを連係させて制御するCPU10bの動作例を示すフローチャートである。この例では、図10Aに示したキッチン1のレイアウトを図10Bに示したホームパーティ用のキッチン1のレイアウトに変更する例を示す。
【0088】
図13に示すステップST10で、CPU10bは、ホームセキュリティシステム5が警報ONモード又は警報OFFモードであるかを判定する。CPU10bは、ホームセキュリティシステム5が警報ONモードであると判定した場合、ステップST11へ移行する。なお、この警報ON/OFFモードの設定は、図8で説明したように、操作パネル27により設定しても良いし、オートメーション化しても良い。
【0089】
ステップST11で、CPU10bは、パッシブセンサー6から検知データD2を入力したか否かを判定する。CPU10bは、この検知データD2を入力しなかった場合、再び当該検知データD2を入力したか否かを判定する。また、CPU10bは、検知データD2を入力した場合、ステップST12へ移行する。
【0090】
ステップST12で、CPU10bは、RFIDリーダー4から識別データD1を入力したか否かを判定する。CPU10bは、この識別データD1を入力していないと判定した場合、ステップST13へ移行する。
【0091】
ステップST13で、CPU10bは、ICカード3を携帯していない侵入者がリビングダイニングルーム24に入ったと判断してステップST14へ移行する。ステップST14で、CPU10bは防犯ブザー7を鳴動するように制御する。これにより、防犯ブザー7のスピーカーからブザー音が出力されて侵入を報知できる。
【0092】
また、上述のステップST12で、CPU10bは、RFIDリーダー4から識別データD1を入力した判定した場合、ステップST15へ移行する。ステップST15で、CPU10bは、ICカード3を携帯した家族がリビングダイニングルーム24に入ったと判断して処理の終了となる。このように、警報ONモードの場合には、ホームセキュリティシステム5が動作する。
【0093】
一方、上述のステップST10で、CPU10bは、ホームセキュリティシステム5が警報OFFモードであると判定した場合、ステップST15へ移行する。
【0094】
ステップST15で、CPU10bは、パッシブセンサー6から検知データD2を入力したか否かを判定する。CPU10bは、この検知データD2を入力しなかった場合、再び当該検知データD2を入力したか否かを判定する。また、CPU10bは、検知データD2を入力した場合、ステップST17へ移行する。
【0095】
ステップST17で、CPU10bは、RFIDリーダー4から識別データD1を入力したか否かを判定する。CPU10bは、この識別データD1を入力していないと判定した場合、ステップST18へ移行する。
【0096】
ステップST18で、CPU10bは、ICカード3を携帯していない来訪者がリビングダイニングルーム24に入ったと認識する。この例で、CPU10bは、来訪者の数をカウントし、その累積数が3回を超えた時点でキッチン1をホームパーティ用のレイアウトに移動するように制御する。続いて、ステップST20に移行する。
【0097】
ステップST20で、CPU10bは、図10Aに示したキッチン1を例えばホームパーティ用のレイアウトに駆動制御する前に音声出力部25に音声ガイドするように制御してステップST21へ移行する。
【0098】
ステップST21で、CPU10bは、キッチン1を例えばホームパーティ用のレイアウトに移動することが承認されたか否かを判定する。この例で、CPU10bは、キッチン1の移動を取り消すことを示す制御信号を操作パネル27から入力した場合、処理を終了する。また、CPU10bは、キッチン1の移動を取り消すことを示す制御信号を操作パネル27から入力しなかった場合、ステップST22へ移行する。
【0099】
ステップST22で、CPU10bは、キッチン1のレイアウトを例えばホームパーティ用のレイアウトに変更するように制御する。この例で、CPU10bは、図9に示したキッチン移動用モータ12aを正回転させて、キッチン1の底面に設けられたローラーを正回転させて前進させる(図10B参照)。さらに、CPU10bは、図9に示したキッチン高さ調整用モータ12bを正回転又は逆回転させて昇降装置15を昇降駆動させ、上台部1aに取り付けられたシンク1c及びIHクッキングヒーター1dを適度な高さに調整してステップST23へ移行する。
【0100】
ステップST23で、CPU10bは、ロックされたか否かを判定する。例えば、CPU10bは、操作パネル27の不図示のロックボタンが押されて当該操作パネル27からキッチン1の現在のレイアウトを固定することを示す制御信号を入力した場合、ステップST24に移行する。
【0101】
ステップST24で、CPU10bは、変更後のキッチン1のレイアウトをホームパーティ用に保持する。例えば、CPU10bは、検知データD2や識別データD1を入力しても、キッチン1を駆動させるキッチン移動用モータ12a及びキッチン高さ調整用モータ12bを回転制御しない。
【0102】
上述のステップST23で、CPU10bは、操作パネル27からキッチン1の現在のレイアウトを固定することを示す制御信号を入力しなかった場合、ステップST25に移行する。
【0103】
ステップST25で、CPU10bは、変更後のキッチン1のレイアウトを元に戻す。例えば、CPU10bは、図9に示したキッチン移動用モータ12aを逆回転させて、キッチン1の底面に設けられたローラーを逆回転させて後退させる。さらに、CPU10bは、図9に示したキッチン高さ調整用モータ12bを正回転又は逆回転させて昇降装置15を昇降駆動させ、上台部1aに取り付けられたシンク1c及びIHクッキングヒーター1dを昇降させて処理の終了となる。
【0104】
このように、本発明に係るキッチンシステム200によれば、制御部2が、ホームセキュリティシステム5のパッシブセンサー6とを連係して可動式のキッチン1を駆動制御するものである。
【0105】
従って、RFIDリーダー4からの識別信号S1が示す最適な位置にキッチン1を自動的に移動できると共に当該キッチン1の高さを自動調整できる。さらに、パッシブセンサー6からの検知信号S2に基づいて来客用のレイアウトにキッチン1を配置できる。
【0106】
なお、上述したキッチンシステム100、100’、200は、キッチン1に限らずダイニングテーブルの高さ自動調整やソファーの自動移動にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
可動式のキッチンユニットやテーブルに適用して好適である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】第1の実施形態としてのキッチンシステム100の構成例を示す模式図である。
【図2】キッチンシステム100の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図3】A及びBは、可動式のキッチン1の移動例を示す斜視図である。
【図4】A及びBは、可動式のキッチン1の移動例を示す上面図である。
【図5】A及びBは、キッチンシステム100における可動式のキッチン1の応用例を示す上面図である。
【図6】A及びBは、キッチンシステム100’における可動式のキッチン1の応用例を示す上面図である。
【図7】キッチンシステム100を制御するCPU10bの動作例を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施形態としてのキッチンシステム200の構成例を示す模式図である。
【図9】キッチンシステム200の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図10】A及びBは、キッチンシステム200における可動式のキッチン1の応用例を示す上面図である。
【図11】A及びBは、キッチン1Aの配置例(その1)を示す上面図である。
【図12】キッチン1Aの配置例(その2)を示す上面図である。
【図13】キッチンシステム200を制御するCPU10bの動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0109】
1、1A・・・キッチン(キッチンユニット)、1a・・・上台部、1b・・・基部、1c・・・シンク、1d・・・IHクッキングヒーター(電磁調理器)、2・・・制御部、3・・・ICカード(端末具)、4・・・RFIDリーダー(読取り機)、6・・・パッシブセンサー(検知部)、15・・・昇降装置、25・・・音声出力部、28・・・第1基部、29・・・第2基部、100、100’、200・・・キッチンシステム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部を有した可動式のキッチンユニットと、
前記キッチンユニットを駆動するための識別情報を無線送信する端末具と、
前記端末具により無線送信された前記識別情報を読み取る読取り機と、
前記読取り機により読み取られた前記識別情報に基づいて、前記キッチンユニットの駆動部を制御して当該キッチンユニットを所定の方向に可動する制御部とを備えることを特徴とするキッチンシステム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記識別情報と、当該識別情報の基準となる基準値とを比較してキッチンユニットのレイアウトを判定し、当該レイアウトに前記キッチンユニットを移動するように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1に記載のキッチンシステム。
【請求項3】
前記キッチンユニットの駆動部は、
当該キッチンユニットの底面に取り付けられたローラーと、
前記ローラーに回転力を伝達する伝達機構と、
前記伝達機構に動力を与えるキッチン移動用モータとを備え、
前記制御部は、
前記読取り機により読み取られた前記識別情報に基づいて、前記キッチン移動用モータを回転制御することを特徴とする請求項1に記載のキッチンシステム。
【請求項4】
前記キッチンユニットは、
収納スペースを備えた基部及び当該基部の上部に取り付けられた上台部を有し、
前記キッチンユニットの駆動部は、
前記基部に対して前記上台部を昇降する昇降装置と、
前記昇降装置に動力を与えるキッチン高さ調整用モータとを有し、
前記制御部は、
前記読取り機により読み取られた前記識別情報に基づいて、前記キッチン高さ調整用モータを回転制御することを特徴とする請求項3に記載のキッチンシステム。
【請求項5】
前記端末具には、電子媒体を用い、
前記読取り機には、非接触認証型の読取り機を用い、
前記電子媒体は、
前記識別情報が変調された電波を前記非接触認証型の読取り機に発信し、
前記非接触認証型の読取り機は、
前記電子媒体から発信された電波を受信し、復調した前記識別情報を前記制御部に出力することを特徴とする請求項1に記載のキッチンシステム。
【請求項6】
前記制御部に接続された音声出力部を備え、
前記制御部は、
前記キッチンユニットを駆動制御する前に音声ガイドするように前記音声出力部を制御することを特徴とする請求項1に記載のキッチンシステム。
【請求項7】
前記識別情報が異なる端末具を複数人が所持した場合であって、
前記制御部は、
前記読取り機により一定時間内に読み取られた、異なる識別情報の数をカウントし、
カウントした前記識別情報の数が基準値以上であるか否かを判定し、当該判定結果に基づいて前記キッチンユニットを所定のレイアウトに駆動制御することを特徴とする請求項1に記載のキッチンシステム。
【請求項8】
前記読取り機の近傍に設置され、人間を検知して前記制御部に検知信号を出力する防犯用の検知部を備え、
前記制御部は、
前記検知部により人間を検知しても警報しない警報OFFモードの場合に、前記検知部から前記検知信号を入力し、かつ、前記読取り機から前記識別情報を入力しなかったとき、前記端末具を携帯していない来訪者と判断して前記キッチンユニットを来訪者用のレイアウトに駆動制御することを特徴とする請求項1に記載のキッチンシステム。
【請求項9】
前記キッチンユニットは、シンクが設けられた第1基部と、電磁調理器が設けられて前記駆動部を有した第2基部とから構成され、
前記制御部は、
前記第2基部の駆動部を制御して、少なくともL型又はアイランド型に前記キッチンユニットを配置することを特徴とする請求項1に記載のキッチンシステム。
【請求項10】
駆動部を有した可動式のキッチンユニットを駆動制御する方法であって、
前記キッチンユニットを駆動するための識別情報を無線送信するステップと、
無線送信された前記識別情報を読み取るステップと、
読み取られた前記識別情報に基づいて、前記キッチンユニットの駆動部を制御して当該キッチンユニットを所定の方向に可動するステップとを有することを特徴とするキッチンシステムの制御方法。
【請求項1】
駆動部を有した可動式のキッチンユニットと、
前記キッチンユニットを駆動するための識別情報を無線送信する端末具と、
前記端末具により無線送信された前記識別情報を読み取る読取り機と、
前記読取り機により読み取られた前記識別情報に基づいて、前記キッチンユニットの駆動部を制御して当該キッチンユニットを所定の方向に可動する制御部とを備えることを特徴とするキッチンシステム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記識別情報と、当該識別情報の基準となる基準値とを比較してキッチンユニットのレイアウトを判定し、当該レイアウトに前記キッチンユニットを移動するように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1に記載のキッチンシステム。
【請求項3】
前記キッチンユニットの駆動部は、
当該キッチンユニットの底面に取り付けられたローラーと、
前記ローラーに回転力を伝達する伝達機構と、
前記伝達機構に動力を与えるキッチン移動用モータとを備え、
前記制御部は、
前記読取り機により読み取られた前記識別情報に基づいて、前記キッチン移動用モータを回転制御することを特徴とする請求項1に記載のキッチンシステム。
【請求項4】
前記キッチンユニットは、
収納スペースを備えた基部及び当該基部の上部に取り付けられた上台部を有し、
前記キッチンユニットの駆動部は、
前記基部に対して前記上台部を昇降する昇降装置と、
前記昇降装置に動力を与えるキッチン高さ調整用モータとを有し、
前記制御部は、
前記読取り機により読み取られた前記識別情報に基づいて、前記キッチン高さ調整用モータを回転制御することを特徴とする請求項3に記載のキッチンシステム。
【請求項5】
前記端末具には、電子媒体を用い、
前記読取り機には、非接触認証型の読取り機を用い、
前記電子媒体は、
前記識別情報が変調された電波を前記非接触認証型の読取り機に発信し、
前記非接触認証型の読取り機は、
前記電子媒体から発信された電波を受信し、復調した前記識別情報を前記制御部に出力することを特徴とする請求項1に記載のキッチンシステム。
【請求項6】
前記制御部に接続された音声出力部を備え、
前記制御部は、
前記キッチンユニットを駆動制御する前に音声ガイドするように前記音声出力部を制御することを特徴とする請求項1に記載のキッチンシステム。
【請求項7】
前記識別情報が異なる端末具を複数人が所持した場合であって、
前記制御部は、
前記読取り機により一定時間内に読み取られた、異なる識別情報の数をカウントし、
カウントした前記識別情報の数が基準値以上であるか否かを判定し、当該判定結果に基づいて前記キッチンユニットを所定のレイアウトに駆動制御することを特徴とする請求項1に記載のキッチンシステム。
【請求項8】
前記読取り機の近傍に設置され、人間を検知して前記制御部に検知信号を出力する防犯用の検知部を備え、
前記制御部は、
前記検知部により人間を検知しても警報しない警報OFFモードの場合に、前記検知部から前記検知信号を入力し、かつ、前記読取り機から前記識別情報を入力しなかったとき、前記端末具を携帯していない来訪者と判断して前記キッチンユニットを来訪者用のレイアウトに駆動制御することを特徴とする請求項1に記載のキッチンシステム。
【請求項9】
前記キッチンユニットは、シンクが設けられた第1基部と、電磁調理器が設けられて前記駆動部を有した第2基部とから構成され、
前記制御部は、
前記第2基部の駆動部を制御して、少なくともL型又はアイランド型に前記キッチンユニットを配置することを特徴とする請求項1に記載のキッチンシステム。
【請求項10】
駆動部を有した可動式のキッチンユニットを駆動制御する方法であって、
前記キッチンユニットを駆動するための識別情報を無線送信するステップと、
無線送信された前記識別情報を読み取るステップと、
読み取られた前記識別情報に基づいて、前記キッチンユニットの駆動部を制御して当該キッチンユニットを所定の方向に可動するステップとを有することを特徴とするキッチンシステムの制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−178295(P2009−178295A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19271(P2008−19271)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]