説明

キャッピング装置

【課題】 コンクリート供試体の両端面に、容易に、高精度でキャッピング層を形成することができるキャッピング装置を提供する。
【解決手段】 上面3が平面に形成される定盤2と、定盤2の上面3に垂直に立設される支持軸6と、支持軸6に軸線が定盤2の上面3と垂直をなすように、かつ支持軸6に沿って上下方向に移動可能に取り付けられるとともに、内周面側でコンクリート供試体25の周面を案内する円筒状の案内部材7と、定盤2の上面3に載置されるとともに、底面が定盤2の上面3と平行な平面であり、かつ前記コンクリート供試体25の端部を挿入可能な凹部21を有した皿部材18とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャッピング装置に関し、特に、円柱状のコンクリート供試体の両端面にキャッピングを施すためのキャッピング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートの圧縮強度試験に用いるコンクリート供試体は、JISの規定により、直径の2倍の高さを有する円柱状に形成される。また、試験精度を高めるために、必要に応じて、両端面を研磨し又は両端面にキャッピングを施し、両端面を軸線に直交する互いに平行かつ平滑な平面に仕上げている。
【0003】
従来、コンクリート供試体の両端面にキャッピングを施す方法として、コンクリート供試体を成形する型枠からコンクリート供試体を取り外す前に行う方法と、型枠からコンクリート供試体を取り外した後に行う方法とがあり、後者の方法による場合、コンクリート供試体を垂直に保った状態で両端面にキャッピングを施す必要があることから、各種のキャッピング装置が用いられている。
【0004】
この種のキャピング装置の一例が特許文献1に記載れている。このキャッピング装置は、底面及び上面の端面がその側面に対して直角に加工され、かつ、側面の1箇所が端面に直角となるように縦方向に分割され、外力によって分割面が互いに密着可能な弾性材料からなる中空円筒状の端面成形用型枠を用い、この端面成形用型枠内にコンクリート供試体をセットし、端面成形用型枠と一体にコンクリート供試体を表面にキャピング材を塗布した平板に押し付けることで、コンクリート供試体の両端面にキャッピングを施すように構成したものである。
【0005】
また、キャッピング装置の他の例が特許文献2に記載されている。このキャッピング装置は、コンクリート供試体保持用のクランプ装置を備えた供試体ホルダーにコンクリート供試体をセットし、供試体ホルダーを上下動させることより、コンクリート供試体の両端面にキャッピングを施すように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−190790号公報
【特許文献2】実公平3−39716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載のキャッピング装置は、型枠が弾性材料で形成されているため、平板の表面に塗布したキャッピング材に型枠と一体にコンクリート供試体の端面を押し付けた際に、型枠が弾性変形することにより型枠と平板とのなす角度が垂直からずれることがあり、コンクリート供試体の両端面に軸線と直交する互いに平行かつ平滑な平面のキャピング層を形成することができない。また、コンクリート供試体と一体に型枠をキャッピング材に押し付けているため、コンクリート供試体と型枠の両方にキャッピング材が付着することになり、キャピング材が硬化した場合にコンクリート供試体から型枠が取り外しにくくなる。
【0008】
また、特許文献2に記載のキャッピング装置は、コンクリート供試体をクランプ装置の供試体ホルダーに固定しているが、コンクリート供試体が供試体ホルダーからずり落ちないようにするためには、供試体ホルダーを相当の力で締め付ける必要があり、強度の低いコンクリート供試体の場合には破損する虞がある。さらに、供試体ホルダーの長さが短いため、コンクリート供試体の表面に凹凸がある場合には、コンクリート供試体を垂直に固定することができず、コンクリート供試体の両端面にキャッピング層を高精度で形成することができない。
【0009】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、コンクリート供試体の材質や表面の凹凸の有無等に影響されることなく、コンクリート供試体の両端面に容易に、高精度で所定の厚さのキャッピング層を形成することができる、キャッピング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明は、円柱状のコンクリート供試体の両端面にキャッピングを施すキャッピング装置であって、上面が平面に形成される定盤と、該定盤の上面に垂直に立設される支持軸と、該支持軸に軸線が前記定盤の上面と垂直をなすように、かつ該支持軸に沿って上下方向に移動可能に取り付けられるとともに、内周面側で前記コンクリート供試体の周面を案内する円筒状の案内部材と、前記定盤の上面に載置されるとともに、底面が前記定盤の上面と平行な平面であり、かつ前記コンクリート供試体の端部を挿入可能な凹部を有した皿部材とを備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明のキャッピング装置によれば、案内部材の内周面側でコンクリート供試体の周面を案内し、この状態で案内部材を支持軸に沿って上下方向に移動させて、コンクリート供試体の端部を皿部材の凹部内に挿入することで、凹部内に充填したキャッピング材をコンクリート供試体の端面に付着させることができ、コンクリート供試体の端面に所定の厚さのキャッピング層を形成することができる。
この場合、円筒状の案内部材の内周面側で円柱状のコンクリート供試体の周面を案内しているので、コンクリート供試体の材質、表面の凹凸の有無等に影響されることなく、コンクリート供試体を案内部材で安定した状態に案内することができ、コンクリート供試体の端面に高精度でキャッピング層を形成することができる。
また、コンクリート供試体の両端面にキャッピング層を形成する場合、案内部材にコンクリート供試体を案内し、この状態で案内部材を支持軸に沿って上下方向に移動させて、コンクリート供試体の端部を皿部材の凹部内に挿入するだけでよいので、コンクリート供試体の両端面に容易にキャッピング層を形成することができ、キャッピングの作業効率を大幅に高めることができる。
【0012】
また、本発明において、前記案内部材の内径及び前記皿部材の凹部の内径は、前記コンクリート供試体の直径に応じた寸法に設定されていることとしてもよい。
【0013】
本発明のキャッピング装置によれば、コンクリート供試体の直径に応じた案内部材及び皿部材を用いることにより、直径の異なる各種のコンクリート供試体の両端面にキャッピングを行うことができるので、汎用性を高めることができる。
【0014】
さらに、本発明において、前記案内部材は、半円筒状の第1案内部と、半円筒状の第2案内部と、前記第1案内部と前記第2案内部とを開閉自在に連結するヒンジと、前記第1案内部と前記第2案内部とを閉じた状態に固定する固定手段とを備え、前記第1案内部又は前記第2案内部の何れか一方が前記支持軸に取付手段を介して着脱可能に取り付けられることとしてもよい。
【0015】
本発明のキャッピング装置によれば、第1案内部と第2案内部とを開いた状態で両案内部内にコンクリート供試体を位置し、この状態で第1案内部と第2案内部とを閉じ、両案内部を固定手段で閉じた状態に固定し、この状態で取付手段を介して第1案内部又は第2案内部を支持軸に取り付けることで、コンクリート供試体を支持軸に上下方向に移動可能に取り付けることができる。
従って、コンクリート供試体の芯出しに特別な作業を必要とすることはなく、コンクリート供試体を支持軸に取り付ける際の作業効率を大幅に高めることができる。
【0016】
さらに、本発明において、前記取付手段は、第1案内部又は前記第2案内部の何れか一方の外周面側に設けられる円筒状のスリーブであって、該スリーブの内側に前記支持軸を挿通させることで、前記第1案内部又は前記第2案内部の何れか一方が前記支持軸に取り付けられることとしてもよい。
【0017】
本発明のキャッピング装置によれば、第1案内部又は第2案内部の何れか一方のスリーブの内側に支持軸を挿通させることで、支持軸に第1案内部及び第2案内部を介してコンクリート供試体を取り付けることができるので、コンクリート供試体の芯出しに特別な作業を必要とすることはなく、コンクリート供試体を支持軸に取り付ける際の作業効率を大幅に高めることができる。
【0018】
さらに、本発明において、前記定盤の上面には、本尺目盛と、本尺目盛に沿って移動可能な副尺目盛と、副尺目盛と一体に移動可能なジョウとを有するノギス部が、前記本尺目盛が前記定盤の上面と垂直をなすように設けられていることとしてもよい。
【0019】
本発明のキャッピング装置によれば、コンクリート供試体の両端面にキャッピング層を形成した後に、又はキャッピング層を形成する前に、ノギス部の副尺目盛を本尺目盛に沿って移動させて、ジョウをコンクリート供試体の端面に当接させて、コンクリート供試体の全長を測定することで、コンクリート供試体の両端面のキャッピングの仕上がり状態を確認することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上、説明したように、本発明のキャッピング装置によれば、コンクリート供試体の材質、表面の凹凸の有無等に影響されることなく、各種のコンクリート供試体を案内部材で安定した状態に案内することができるので、コンクリート供試体の両端面に高精度でキャッピング層を形成することができる。
また、コンクリート供試体の両端面にキャッピング層を形成する場合、案内部材でコンクリート供試体を案内し、この状態で案内部材を支持軸に沿って上下方向に移動させて、コンクリート供試体の端部を皿部材の凹部内に挿入するだけでよいので、コンクリート供試体の両端面に容易にキャッピング層を形成することができ、キャピングの作業効率を大幅に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明によるキャッピング装置の一実施の形態を示した分解図である。
【図2】図1の組立図である。
【図3】図2のキャッピング装置にコンクリート供試体をセットした状態を示した説明図である。
【図4】両端面にキャッピング層を形成したコンクリート供試体の全体を示した説明図である。
【図5】本発明によるキャッピング装置の他の実施の形態の全体を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図4には、本発明によるキャッピング装置の一実施の形態が示されている。図1はキャッピング装置を分解した状態を示す説明図、図2はキャッピング装置を組み立てた状態を示す説明図、図3はキャッピング装置にコンクリート供試体をセットした状態を示す説明図、図4は両端面にキャッピング層を形成したコンクリート供試体の説明図である。
【0023】
すなわち、本実施の形態のキャッピング装置1は、コンクリート(ポーラスコンクリートを含む)の圧縮強度試験に用いる円柱状のコンクリート供試体25の両端面27、28にキャッピングを施すのに有効なものであって、図4に示すように、本実施の形態では、JIS−A1132の規定に基づいて作成した円柱状のコンクリート供試体25(直径(100mm、125mm、150mm) の2倍の高さを有する円柱状のコンクリート供試体)を用い、このコンクリート供試体25の両端面27、28に所定の厚さ(コンクリート供試体の直径の2%を超えない厚さ。ポーラスコンクリートの場合は1〜2cm。)のキャッピング層29を形成するのに有効なものである。
【0024】
本実施の形態のキャッピング装置1は、図1及び図2に示すように、上面3が平滑な平面に形成される円板状の定盤2と、定盤2の上面3に垂直に立設される一対の支持軸6、6と、支持軸6、6に上下方向に移動可能に取り付けられる案内部材7と、案内部材7を支持軸6、6に着脱可能に取り付ける取付手段16と、定盤2の上面3に着脱可能に載置される皿部材18とを備えている。
【0025】
定盤2の上面3には、底面5が上面3と平行かつ平滑な平面に形成される円形状の凹部4が設けられ、この凹部4内に皿部材18が着脱可能に載置され、この凹部4の開口周縁部に支持軸6が垂直に立設されている。
【0026】
定盤2の凹部4は、必要に応じて設ければよく、定盤2の上面3を平滑な一平面で構成し、この上面3の上部に皿部材18を着脱可能に載置し、この上面3の周縁部に支持軸6、6を垂直に立設するように構成してもよい。
【0027】
各支持軸6は、丸棒状をなすものであって、定盤2の凹部4の開口周縁部に設けた嵌合孔(図示せず)内に一端部(下端部)を嵌合させることで、定盤2の開口周縁部に垂直に立設されている。この場合、各支持軸6の一端部に雄ねじ部を設け、嵌合孔の内面に雌ねじ部を設け、各支持軸6の一端部の雄ねじ部を嵌合孔の内面の雌めじ部に螺合させて締め付けることで、各支持軸6を定盤2の凹部4の開口周縁部に垂直に立設するように構成してもよい。また、その他の公知の手段により、各支持軸6を定盤2の凹部4の開口周縁部に垂直に立設するように構成してもよい。
【0028】
案内部材7は、半円筒状の第1案内部8と、半円筒状の第2案内部10と、第1案内部8と第2案内部10の周方向の一端部間に設けられて両案内部8、10を開閉自在に連結するヒンジ(図示せず)と、第1案内部8と第2案内部10の周方向の他端部間に設けられて両案内部8、10を閉じた状態に固定する固定手段13とを備えている。
ている。
【0029】
ヒンジは、第1案内部8と第2案内部10とを開閉自在に連結することができるものであれば特に制限はなく、公知の各種のヒンジを用いることができる。
【0030】
固定手段13は、第1案内部8と第2案内部10とを閉じた状態に固定できるものであれば特に制限はなく、例えば、第1案内部8又は第2案内部10(本実施の形態では第1案内部8)の周方向の他端部に設けられる固定バンド14と、第2案内部10又は第1案内部8(本実施の形態では第2案内部19)の周方向の他端部に設けられるフック15とを組み合わせたものがあり、第1案内部8と第2案内部10とを閉じた状態で、固定バンド14をフック15に掛着させることにより、第1案内部8と第2案内部10とを閉じた状態に固定することができる。
なお、固定手段13は、必要に応じて設ければよく、第1案内部8及び第2案内部10の内周面9、11側でコンクリート供試体25を安定した状態に案内できる場合には、固定手段13を設ける必要はないものである。
【0031】
案内部材7は、固定手段13によって第1案内部8と第2案内部10とを閉じた状態に固定することにより円筒状に形成され、この円筒状に形成された案内部材7の第1案内部8及び第2案内部10の内周面9、11でコンクリート供試体25の周面26が案内される。
【0032】
案内部材7の第1案内部8と第2案内部10とを閉じたときの内径は、コンクリート供試体25の直径に応じた寸法に設定されている。つまり、第1案内部8及び第2案内部10の内周面9、11でコンクリート供試体25の周面26をガタやズレ等が生じることなく安定して案内できる寸法に設定されている。
【0033】
また、案内部材7の第1案内部8及び第2案内部10の全長は、コンクリート供試体25の全長よりも短く設定されている。つまり、第1案内部8及び第2案内部10の内周面9、11でコンクリート供試体25の周面26を案内し、コンクリート供試体25の両端面27、28に所定の厚さのキャッピング層29を形成する際に、キャッピング材30がコンクリート供試体25の両端面27、28のみに付着し、第1案内部8及び第2案内部10の両端部には付着しないように、第1案内部8及び第2案内部10の全長が設定されている。
【0034】
取付手段16は、第1案内部8の外周面の周方向の両端部にそれぞれ設けられる上下一対の短尺筒状のスリーブ17、17から構成され、各一対のスリーブ17、17の内側に各支持軸6を挿通させることで、第1案内部8又は第2案内部10を支持軸6、6に取り付けることができる。また、各一対のスリーブ17、17の内側から各支持軸6を引き抜くことで、第1案内部8又は第2案内部10を支持軸6、6から取り外すことができる。
【0035】
この場合、各スリーブ17の一部に、各スリーブ17を外方から内方に貫通するねじ孔を設け、このねじ孔内に固定用ねじを螺着させ、この固定用のねじを支持軸6の表面に当接させることにより、各スリーブ17を支持軸6上の所定の位置に固定するように構成してもよい。このように構成することにより、案内部材7の第1案内部8及び第2案内部10で案内したコンクリート供試体25を支持軸6上の所定の位置に固定することができる。
【0036】
なお、各スリーブ17を、ねじ孔と固定用ねじとの組み合わせに限らず、公知の他の手段によって支持軸6上に固定するように構成してもよい。
また、取付手段16は、第1案内部8の外周面の周方向の両端部の中央部に長尺筒状のスリーブを設けて構成してもよいし、第1案内部8の外周面の周方向の両端部に3つ以上の短尺筒状のスリーブを設けて構成してもよい。
【0037】
各一対のスリーブ17、17は、内側に各支持軸6を挿通させたときに、各支持軸6の軸線と第1案内部8及び第2案内部10の軸線とが互いに平行をなすように、つまり、定盤2の凹部4の底面5に対して第1案内部8及び第2案内部10の軸線が垂直をなすように、第1案内部8の外周面に一体に設けられている。これにより、案内部材7の第1案内部8及び第2案内部10の内周面9、11でコンクリート供試体25をその軸線が定盤2の上面3と垂直をなすように案内することができる。
【0038】
皿部材18は、上下面19、20が互いに平行かつ平滑な平面に形成される円板状をなすものであって、定盤2の上面3の凹部4内に着脱可能に載置されている。皿部材18の上面19には、底面22が上面19と平行かつ平滑な平面に形成される円形状の凹部21が設けられ、この凹部21内にキャッピング材30が充填されるようになっている。
【0039】
皿部材18の凹部21は、使用するコンクリート供試体25の直径に応じた寸法、及びコンクリート供試体25の両端面27、28に形成するキャッピング層29の厚さに応じた深さに設定されている。皿部材18の凹部21内に案内部材7に案内したコンクリート供試体25の両端部を挿入することで、コンクリート供試体25の両端面27、28に所定の厚さのキャッピング層29が形成される。
【0040】
キャッピング材30は、JIS−A1132に規定されるものであって、硫黄と鉱物質の粉末との混合物、硬質石膏、又は硬質石膏とポルトランドセメントとの混合物があり、本実施の形態では、硫黄と鉱物質の粉末との混合物をキャッピング材30として用いている。
【0041】
そして、上記のように構成した本実施の形態のキャッピング装置1によってコンクリート供試体25の両端面27、28にキャッピング層29を形成するには、まず、図3に示すように、コンクリート供試体25のサイズに合わせた案内部材7及び皿部材18を用意し、案内部材7の第1案内部8及び第2案内部10を開き、この状態で第1案内部8又は第2案内部10の内周面9、11にコンクリート供試体25の周面26の一部を密着させる。
【0042】
次に、第1案内部8及び第2案内部10をヒンジを中心として回動させて、両案内部8、10を閉じた状態とし、両案内部8、10の内周面9、11にコンクリート供試体25の周面26の全体を密着させ、この状態で固定手段13の固定バンド14をフック15に掛着させ、両案内部8、10を閉じた状態に固定する。これにより、案内部材7の第1案内部8及び第2案内部10の内周面9、11でコンクリート供試体25を案内することができる。
【0043】
次に、第1案内部8の各一対のスリーブ17、17の内側に各支持軸6を挿通させることで、案内部材7を支持軸6、6に取り付け、案内部材7を介してコンクリート供試体25を支持軸6、6に取り付ける。この場合、予め、定盤2の凹部4内に皿部材18を載置し、皿部材18の凹部21内にキャッピング材30を充填しておく。
【0044】
なお、先に、案内部材7の第1案内部7を支持軸6、6に取り付けておき、第1案内部8及び第2案内部10を開いた状態で、両案内部8、10の内周面9、11にコンクリート供試体25の周面26を密着させ、この状態で両案内部8、10を閉じて固定手段13の固定バンド14をフック15に掛着させて、両案内部8、10を閉じた状態に固定することで、案内部材7を介してコンクリート供試体25を支持軸6、6に取り付けるようにしてもよい。
【0045】
次に、案内部材7を支持軸6、6に沿って上下方向に移動させることで、案内部材7に案内したコンクリート供試体25を上下方向に移動させ、コンクリート供試体25の一端部を皿部材18の凹部21内に挿入して、コンクリート供試体25の一端部を凹部21内のキャッピング材30に浸し、コンクリート供試体25の一端面27にキャッピング材30を付着させ、所定の厚さのキャッピング層29(図4参照)を形成する。
【0046】
そして、キャッピング材30が固化した後に、案内部材7の各一対のスリーブ17、17から各支持軸6を引き抜くことで、案内部材7及びコンクリート供試体25を支持軸6、6から取り外す。
【0047】
そして、この後に、コンクリート供試体25の上下を逆にし(キャッピング層29を形成していない他端部を下に向け)、この状態で案内部材7の各一対のスリーブ17、17の内側に各支持軸6を挿通させることで、案内部材7を支持軸6、6に取り付け、案内部材7を介してコンクリート供試体25を支持軸6、6に取り付ける。この場合、予め定盤2の凹部4内に皿部材18を載置し、皿部材18の凹部21内にキャッピング材30を充填しておく。
【0048】
次に、案内部材7を支持軸6、6に沿って上下方向に移動させることで、案内部材7に案内したコンクリート供試体25を上下方向に移動させ、コンクリート供試体25の他端部を皿部材18の凹部21内に挿入して、コンクリート供試体25の他端部を凹部21内のキャッピング材30に浸し、コンクリート供試体25の他端面28にキャッピング材30を付着させ、所定の厚さのキャッピング層29(図4参照)を形成する。
【0049】
そして、キャッピング材30が固化した後に、案内部材7の各一対のスリーブ17、17から各支持軸6を引き抜くことで、案内部材7及びコンクリート供試体25を支持軸6、6から取り外し、その後に、固定手段13の固定バンド14をフック15から外して、案内部材7の第1案内部8及び第2案内部10を開き、両案内部8、10からコンクリート供試体25を取り外す。
【0050】
このようにして、コンクリート供試体25の両端面27、28に所定の厚さのキャッピング層29を形成することができる(図4参照)。
【0051】
上記のように構成した本実施の形態によるキャッピング装置1にあっては、案内部材7の半円筒状の第1案内部8と第2案内部10の内周面9、11で円柱状のコンクリート供試体25の周面26を案内するように構成したので、つまり、面接触によってコンクリート供試体25を案内するように構成したので、コンクリート供試体25の材質、表面の凹凸の有無等に影響されずに、案内部材7にコンクリート供試体25を安定した状態に案内することができる。
従って、コンクリート供試体25の両端面27、28にキャッピング層29を形成する際に、コンクリート供試体25にガタやズレ等が生じるようなことはなく、コンクリート供試体25の両端面27、28に所定の厚さのキャッピング層29を高精度で形成することができる。
【0052】
また、案内部材7の第1案内部8及び第2案内部10の内周面9、11でコンクリート供試体25を案内し、この状態で案内部材7の各一対のスリーブ17、17の内側に各支持軸6を挿通させることで、案内部材7を介してコンクリート供試体25を支持軸6、6に取り付け、この状態で案内部材7を支持軸6、6に沿って上下方向に移動させることで、コンクリート供試体25の両端面27、28に所定の厚さのキャッピング層29を形成することができるので、コンクリート供試体25の両端面27、28にキャッピング層29を容易に形成することができ、キャッピングの作業効率を大幅に高めることができる。
【0053】
さらに、定盤2の上面3(凹部4の底面5)と皿部材18の凹部21の底面22とが互いに平行をなし、定盤2の上面3(凹部4の開口周縁部)に支持軸6が垂直に立設され、この支持軸6に軸線が定盤2の上面3と垂直となるように案内部材7が取り付けられ、この案内部材7の内周面9、11で面接触によりコンクリート供試体25が案内されているので、案内部材7にコンクリート供試体25を案内した状態で案内部材7を支持軸6に取り付けるだけで、コンクリート供試体25の軸線が定盤2の上面3と垂直をなすことになる。
従って、コンクリート供試体25の芯出しに特別な作業を必要とすることはなく、コンクリート供試体25の両端面27、28に軸線と直交する互いに平行かつ平滑な平面からなるキャッピング層29を容易に高精度で形成することができる。
【0054】
図5には、本発明によるキャッピング装置の他の実施の形態が示されている。このキャッピング装置1は、定盤2の凹部4の開口周縁部にノギス部31を設けたものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様である。
【0055】
この場合、ノギス部31は、定盤2の上面3に垂直に立設される本尺目盛32と、本尺目盛32に沿って上下方向に移動可能な副尺目盛33と、副尺目盛33と一体に上下方向に移動可能なジョウ34とを備えている。
【0056】
本実施の形態においては、定盤2にノギス部31を設けているので、コンクリート供試体25の両端面27、28にキャッピング層29を形成した後に、ノギス部31のジョウ34をコンクリート供試体25の端面27、28に当接させて、コンクリート供試体25の複数箇所の全長を計測することで、コンクリート供試体25の両端面27、28の仕上がり状態を確認することができる。
従って、コンクリート供試体25の両端面27、28にキャッピング層29を形成した後に、キャッピング層29の仕上がり精度をキャッピング装置1と別の計測装置で確認する作業を省略することができる。
【0057】
なお、前記各実施の形態においては、半円筒状の第1案内部8と半円筒状の第2案内部10の2つの部材を組み合わせて円筒状の案内部材7を構成したが、3つ以上の部材を組み合わせて円筒状の案内部材を構成してもよいし、円筒状のものの1箇所を軸方向に切り離して案内部材を構成してもよいし、円筒状のものをそのまま用いて案内部材を構成してもよい。
【0058】
さらに、ヒンジ及び固定手段13を使用せずに、半円筒状の第1案内部8と第2案内部10とを別個独立した状態とし、第1案内部8又は第2案内部10の何れか一方を取付手段16を介して支持軸6、6に取り付け、第1案内部8又は第2案内部10の何れか他方を何れか一方に手で押し付けることで、第1案内部8及び第2案内部10の内周面9、11でコンクリート供試体25の周面26を案内するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 キャッピング装置
2 定盤
3 上面
4 凹部
5 底面
6 支持軸
7 案内部材
8 第1案内部
9 内周面
10 第2案内部
11 内周面
13 固定手段
14 固定バンド
15 フック
16 取付手段
17 スリーブ
18 皿部材
19 上面
20 下面
21 凹部
22 底面
25 コンクリート供試体
26 周面
27 一端面
28 他端面
29 キャッピング層
30 キャッピング材
31 ノギス部
32 主尺目盛
33 副尺目盛
34 ジョウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状のコンクリート供試体の両端面にキャッピングを施すキャッピング装置であって、
上面が平面に形成される定盤と、該定盤の上面に垂直に立設される支持軸と、該支持軸に軸線が前記定盤の上面と垂直をなすように、かつ該支持軸に沿って上下方向に移動可能に取り付けられるとともに、内周面側で前記コンクリート供試体の周面を案内する円筒状の案内部材と、前記定盤の上面に載置されるとともに、底面が前記定盤の上面と平行な平面であり、かつ前記コンクリート供試体の端部を挿入可能な凹部を有した皿部材とを備えていることを特徴とするキャッピング装置。
【請求項2】
前記案内部材の内径及び前記皿部材の凹部の内径は、前記コンクリート供試体の直径に応じた寸法に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のキャッピング装置。
【請求項3】
前記案内部材は、半円筒状の第1案内部と、半円筒状の第2案内部と、前記第1案内部と前記第2案内部とを開閉自在に連結するヒンジと、前記第1案内部と前記第2案内部とを閉じた状態に固定する固定手段とを備え、
前記第1案内部又は前記第2案内部の何れか一方が前記支持軸に取付手段を介して着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャッピング装置。
【請求項4】
前記取付手段は、第1案内部又は前記第2案内部の何れか一方の外周面側に設けられる円筒状のスリーブであって、該スリーブの内側に前記支持軸を挿通させることで、前記第1案内部又は前記第2案内部の何れか一方が前記支持軸に取り付けられることを特徴とする請求項3に記載のキャッピング装置。
【請求項5】
前記定盤の上面には、本尺目盛と、本尺目盛に沿って移動可能な副尺目盛と、副尺目盛と一体に移動可能なジョウとを有するノギス部が、前記本尺目盛が前記定盤の上面と垂直をなすように設けられていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のキャッピング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−169627(P2010−169627A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14458(P2009−14458)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】