キャップ付き医療用活栓
【課題】 複数の分岐管のうちの任意の分岐管を連通させたり、遮断させたりすることができ、かつ使用しない分岐管内の空気を外部に容易に放出することのできるキャップ付き医療用活栓を提供すること。
【解決手段】 チャンバー部11と、チャンバー部11にそれぞれ接続された主上流分岐管12、下流分岐管13および副上流分岐管14と、主上流分岐管12、下流分岐管13および副上流分岐管14とチャンバー部11との間をそれぞれ連通、遮断することのできる回転弁15と、副上流分岐管14に着脱可能なキャップ18とで医療用活栓Aを構成した。また、キャップ18が、フィルタ19が取り付けられた挿入部18aを備えており、キャップ18を副上流分岐管14に取り付けて挿入部18aを副上流分岐管14内に挿入したときに、チャンバー部11と副上流分岐管14との間で液体の移動ができなくなるようにした。
【解決手段】 チャンバー部11と、チャンバー部11にそれぞれ接続された主上流分岐管12、下流分岐管13および副上流分岐管14と、主上流分岐管12、下流分岐管13および副上流分岐管14とチャンバー部11との間をそれぞれ連通、遮断することのできる回転弁15と、副上流分岐管14に着脱可能なキャップ18とで医療用活栓Aを構成した。また、キャップ18が、フィルタ19が取り付けられた挿入部18aを備えており、キャップ18を副上流分岐管14に取り付けて挿入部18aを副上流分岐管14内に挿入したときに、チャンバー部11と副上流分岐管14との間で液体の移動ができなくなるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療に用いられる複数の輸液チューブ等に連結される複数の分岐管を備え、各分岐管の連通、遮断を切り替えることができるとともに、不使用の分岐管を塞ぐことができるキャップ付き医療用活栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の輸液チューブを、複数の分岐管を備えた医療用活栓に連結して患者の体内に所定の生理食塩水や薬液等の液体を供給することが行われている。このような場合に、複数の分岐管のうちの液体を通過させない(使用しない)分岐管に空気が入り込んで、菌や汚れが発生することを防止するために、その分岐管にキャップを取り付けるようにしたキャップ付き医療用活栓がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このキャップ付き医療用活栓(キャップ付き三方活栓)は、円筒状のボディと、このボディの外周面に形成されボディの内部空間と連通する第1〜第3の流体ポートと、ボディに回動自在に取り付けられたコックとで構成されている。そして、流体ポートの一つにキャップが着脱可能に取り付けられており、コックには、不使用時のキャップを嵌着するための収容穴が設けられている。
【特許文献1】実開平6−44554号公報
【発明の開示】
【0004】
しかしながら、前述したキャップ付き医療用活栓では、流体ポートの一つにキャップを取り付けた状態で、残りの一方の流体ポートからボディを介して他の流体ポートに液体を流す場合に、キャップが取り付けられた流体ポートの内部に空気が溜まり易くなる。この空気をそのままにしておくと、液体流路を流れる液体内に空気が混入したりする。また、流体ポートの内部に空気が溜まった状態で、流体ポートからキャップを外して、その流体ポートに他のラインやシリジン等の脱着を繰り返すと流体ポート内に菌が入り込み、空気の溜まりに起因する液体の滞留により、菌が繁殖し易くなる。このため、キャップを取り付ける前に、流体ポート内の空気を外部に放出する必要があるが、この空気を放出するための操作が面倒であった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、その目的は、複数の分岐管のうちの任意の分岐管を連通させたり、遮断させたりすることができ、かつ使用しない分岐管内の空気を外部に容易に放出することのできるキャップ付き医療用活栓を提供することにある。
【0006】
前述した目的を達成するため、本発明に係るキャップ付き医療用活栓の構成上の特徴は、チャンバー部と、チャンバー部にそれぞれ接続された主上流分岐管、下流分岐管および副上流分岐管と、チャンバー部内に設けられ、チャンバー部との間に、主上流分岐管、下流分岐管および副上流分岐管をそれぞれ連通させる液体流路を形成するとともに、所定の方向に回転することによりチャンバー部と主上流分岐管との間、チャンバー部と下流分岐管との間およびチャンバー部と副上流分岐管との間をそれぞれ遮断することのできる回転弁と、副上流分岐管に着脱可能なキャップとを備えたキャップ付き医療用活栓であって、キャップが、副上流分岐管内に挿入可能な円筒部と、円筒部に取り付けられ気体は通過させるが液体は通過させないフィルタとを備えており、キャップを副上流分岐管に取り付けて円筒部を副上流分岐管内に挿入したときに、チャンバー部と副上流分岐管との間で液体の移動ができなくなるようにしたことにある。
【0007】
前述したように構成した本発明のキャップ付き医療用活栓は、回転弁を回転することにより、主上流分岐管、下流分岐管および副上流分岐管と、チャンバー部との間をそれぞれ連通させたり遮断させたりすることができる。そして、主上流分岐管から下流分岐管に向けてだけ液体を流し、副上流分岐管を使用しない場合には、副上流分岐管にフィルタ付きのキャップを取り付けるようにしている。このフィルタは、気体だけを通過させ、液体は通過させないため、主上流分岐管から下流分岐管に液体を流すときに、副上流分岐管内に空気が溜まってもその空気をフィルタを通過させて外部に放出することができる。
【0008】
この場合、主上流分岐管、下流分岐管および副上流分岐管をチャンバー部を介してそれぞれ連通させる位置に回転弁を回転して、主上流分岐管からチャンバー部に向けて液体を流すと、液圧によって空気は外部に押し出される。これによって、薬液等を患者の体内に供給する際に、空気が体内に送り込まれることを防止できる。また、副上流分岐管にキャップが取り付けられているため、キャップ付き医療用活栓の液体流路内に菌や汚れが入りこむことを防止できる。このように、最初に液体流路内の空気を外部に放出しておけば、その後、回転弁を回転操作しても、液体流路内に空気が浸入することはない。なお、回転弁を回転させる所定の方向とは、回転弁の周面を、主上流分岐管、下流分岐管および副上流分岐管側に向けた状態での回転弁の軸周り方向である。
【0009】
また、本発明に係るキャップ付き医療用活栓の他の構成上の特徴は、フィルタを薄膜状の疎水性フィルタで構成したことにある。この場合、フィルタの厚みは、0.1〜0.5mm程度にすることが好ましい。これによると、液体がフィルタを通過することを確実に防止できる。また、フィルタの円筒部への取り付けが容易になるとともに、フィルタが円筒部から分離され難くなる。
【0010】
また、本発明に係るキャップ付き医療用活栓のさらに他の構成上の特徴は、副上流分岐管の外周面に雄ねじを設け、キャップに副上流分岐管の外周面を覆う外周壁部を設けるとともに、外周壁部の内周面に雄ねじと螺合可能な雌ねじを設けたことにある。これによると、キャップの副上流分岐管への着脱が容易になる。
【0011】
また、本発明に係るキャップ付き医療用活栓のさらに他の構成上の特徴は、フィルタを円筒部の先端開口部に取り付けて、フィルタをチャンバー部と主上流分岐管との境界部分に位置させたことにある。これによると、フィルタの円筒部への取り付けが容易になる。また、副上流分岐管の内部が液体流路にならないため、副上流分岐管内に空気が滞留する空間ができなくなる。
【0012】
また、本発明に係るキャップ付き医療用活栓のさらに他の構成上の特徴は、円筒部の周囲に、円筒部と副上流分岐管の内周面との間を密閉するシール部を設けたことにある。これによると、円筒部と副上流分岐管の内周面との間からキャップ付き医療用活栓の液体流路内に空気が入ることを確実に防止できる。この場合、空気を副上流分岐管の内部側から外部側に向けて通すが、外部側から内部側に向けては通さない一方弁を、フィルタに隣接して設けることが好ましい。これによると、副上流分岐管内の空気を放出した状態で、副上流分岐管からキャップを取り外して、副上流分岐管に他の液体を供給するための輸液チューブを接続する際に、副上流分岐管内に空気が入ることを防止できる。
【0013】
すなわち、副上流分岐管からキャップを抜いていく際に、円筒部と副上流分岐管の内周面との間がシール部によって密閉されているため、副上流分岐管内が負圧になり、キャップの上昇にともなって液面も上昇していく。このため、キャップを抜いて副上流分岐管の開口まで液面が到達した状態で、回転弁を操作して、副上流分岐管とチャンバー部との間を遮断すると、液面はそのままの状態に維持される。その状態で、副上流分岐管に他の液体が充填された輸液チューブを接続することにより、副上流分岐管内に空気が入ることなしに、副上流分岐管に輸液チューブを接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係るキャップ付き医療用活栓を図面を用いて詳しく説明する。図1ないし図3は、同実施形態に係るキャップ付き医療用活栓Aを示しており、このキャップ付き医療用活栓Aは、医療用活栓本体10と、医療用活栓本体10に回転可能に取り付けられた回転弁15と、キャップ18とで構成されている。医療用活栓本体10は、軸方向の長さが短い円筒状に形成されその軸方向を前後方向(図1では上下方向)に向けて配置されたチャンバー部11と、チャンバー部11の外周面における両側に180度の角度を保って同軸に沿って延びるように連結された主上流分岐管12および下流分岐管13と、チャンバー部11の上方に形成された副上流分岐管14とで構成されている。
【0015】
チャンバー部11は、後端が閉塞され、前端が開口した有底円筒状に形成されている。そして、チャンバー部11の軸方向の略中央には、図3に示したように、三つの連通穴11a,11b,11cが形成されている。連通穴11aは、主上流分岐管12に対応して設けられており、連通穴11aを介してチャンバー部11の内部と主上流分岐管12の内部に形成された液体流路12aとが連通している。主上流分岐管12は、チャンバー部11と一体的に形成された雌ルアー形状をしている。この主上流分岐管12の内部に形成された液体流路12aは、上流側(開口側)の直径が大きく下流側(チャンバー部11側)の直径が小さくなった複数のテーパ状部分と一つのストレート部分からなる内周面で構成されている。
【0016】
すなわち、液体流路12aの下流側部分は、連通穴11a側の直径が小さく、連通穴11aから離れるにしたがって直径が大きくなった2段からなるテーパ状部分とその上流側に形成されたストレート部分とで構成されており、下流側の傾斜が上流側の傾斜よりも大きくなっている。また、液体流路12aの上流側部分は、主上流分岐管12の開口部に近づくほど徐々に直径が大きくなった滑らかなテーパ状に形成されている。そして、主上流分岐管12の開口部の外周には、連結用の雄ねじ12bが形成されている。連通穴11bは、下流分岐管13に対応して設けられており、連通穴11bを介してチャンバー部11の内部と下流分岐管13の内部に形成された液体流路13aとが連通している。
【0017】
下流分岐管13は、チャンバー部11と一体的に形成されており、チャンバー部11側に位置する基端部13bと、先端側に位置し基端部13bよりも細く形成された雄ルアー部13cとで構成されている。雄ルアー部13cは基端部13b側よりも先端側の方が徐々に細くなった先細り状に形成されている。また、下流分岐管13の内部に形成された液体流路13aの上流側部分(チャンバー部11側)の直径は略同一に形成されている。そして、液体流路13aの下流側部分(開口側部分)は、上流側の直径が小さく下流側の直径が徐々に大きくなった滑らかなテーパ状の内周面で構成されている。
【0018】
また、連通穴11cは、副上流分岐管14に対応して設けられており、連通穴11cを介してチャンバー部11の内部と副上流分岐管14の内部に形成された液体流路14aとが連通している。副上流分岐管14は、チャンバー部11と一体的に形成された雌ルアー形状をしており、外形が主上流分岐管12と略同一形状に形成されている。すなわち、副上流分岐管14の内部に形成された液体流路14aは、上流側(開口側)の直径が大きく下流側(チャンバー部11側)の直径が小さくなった段付き(3段)テーパ状の内周面で構成されている。
【0019】
液体流路14aの下流側部分は、連通穴11c側の直径が小さく、連通穴11cから離れるにしたがって直径が大きくなった2段からなるテーパ状に形成されており、下流側の傾斜が上流側の傾斜よりも大きくなっている。また、液体流路14aの上流側部分は、副上流分岐管14の開口部に近づくほど徐々に直径が大きくなった滑らかなテーパ状に形成されている。そして、副上流分岐管14の開口部の外周には、後述するキャップ18を連結するための雄ねじ14bが形成されている。
【0020】
回転弁15は、弁体16と、弁体16の前端部に連結された操作部17とで構成されている。弁体16は、チャンバー部11内に設置されて、操作部17の操作によりチャンバー部11内で軸周り方向に回転可能になっている。この弁体16は、外形が略円柱状に形成されており、その円柱状の軸方向の中心部分の周面に、円周方向に沿って延びる連通用溝部16aを形成して構成されている。連通用溝部16aは、その両端部と、弁体16の中心部とを結ぶ両線間の角度が180度よりもやや大きくなるようにして形成されており、図3に示したように、連通用溝部16aの軸周り方向の中心部を連通穴11cに向けたときに、連通穴11aと連通穴11bも連通用溝部16aに対向する。この場合、連通用溝部16aと連通穴11a,11b,11cを介して、液体流路12a,13a,14aはすべて連通した状態になる。
【0021】
また、図3の状態から、弁体16を時計周り方向に回転して、連通穴11bを弁体16の外周面に対向させると、液体流路13aは他の液体流路12a,14aから遮断され、液体流路12a,14aは互いに連通した状態を維持する。逆に、図3の状態から、弁体16を反時計周り方向に回転して、連通穴11aを弁体16の外周面に対向させると、液体流路12aは他の液体流路13a,14aから遮断され、液体流路13a,14aは互いに連通した状態を維持する。さらに、図3の状態から、弁体16をどちらか一方に180度回転して、連通穴11cを弁体16の外周面に対向させると、液体流路14aは他の液体流路12a,13aから遮断され、液体流路12a,13aは互いに連通した状態を維持する。
【0022】
操作部17は、3個の操作片17a,17b,17cを備えており、この操作片17a,17b,17cは、それぞれ主上流分岐管12、下流分岐管13および副上流分岐管14に対応するように、所定の角度を保って形成されている。すなわち、図2のように、操作片17aが主上流分岐管12を、操作片17bが下流分岐管13を、操作片17cが副上流分岐管14をそれぞれ指す位置にあるときには、主上流分岐管12、下流分岐管13および副上流分岐管14のすべてがチャンバー部11を介して連通した状態になる。すなわち、弁体16は、図3の状態になる。
【0023】
図2の状態から、操作部17を時計周り方向に90度回転して、操作片17cが主上流分岐管12を指し、操作片17bが副上流分岐管14を指す位置になったときには、主上流分岐管12と副上流分岐管14とが連通し、副上流分岐管14と下流分岐管13との間および主上流分岐管12と下流分岐管13との間は遮断された状態になる。また、図2の状態から、操作部17を反時計周り方向に90度回転して、操作片17aが副上流分岐管14を指し、操作片17cが下流分岐管13を指す位置になったときには、副上流分岐管14と下流分岐管13とが連通し、主上流分岐管12と副上流分岐管14との間および主上流分岐管12と下流分岐管13との間は遮断された状態になる。
【0024】
さらに、図2の状態から、操作部17をどちらか一方に180度回転して、操作片17aが下流分岐管13を指し、操作片17bが主上流分岐管12を指す位置になったときには、主上流分岐管12と下流分岐管13とが連通し、主上流分岐管12と副上流分岐管14との間および下流分岐管13と副上流分岐管14は遮断された状態になる。このように、操作片17a,17b,17cの位置から主上流分岐管12、下流分岐管13および副上流分岐管14の各間の連通または遮断の状態を知ることができる。
【0025】
キャップ18は、副上流分岐管14を使用しないときに、副上流分岐管14に取り付けられて副上流分岐管14の液体流路14aを閉塞するもので、副上流分岐管14に着脱可能になっている。キャップ18は、図4および図5に示したように、副上流分岐管14の上流側部分の内部に挿入できる筒状の挿入部18a(本発明に係る円筒部)と、副上流分岐管14の上部外周を覆うことのできる外周壁部18bと、挿入部18aと外周壁部18bとの上端部間を連結する上面部18cとで構成されており、外周壁部18bの内周面には、副上流分岐管14の雄ねじ14bに螺合可能な雌ねじ18dが形成されている。
【0026】
挿入部18aは、外周面が基端部よりも先端部がやや細径になった先細り状の雄ルアー形状に形成されており、副上流分岐管14の上流側部分の内周面に密着可能になっている。また、内周面は、一端から他端にかけて直径が略等しくなった気体放出流路を構成している。外周壁部18bは、キャップ18を操作する際に手で持つようになっており、軸方向の長さが短い円筒状に形成されている。上面部18cは、中央に挿入部18aの気体放出流路と連通する穴部が設けられた円形の板状に形成されている。
【0027】
そして、挿入部18aの先端には、開口部を塞ぐようにしてフィルタ19が設けられている。このフィルタ19は、ナイロンまたはセルロースからなる疎水性のフィルタで構成されており、厚みが0.25mmに設定されている。フィルタ19は、空気等の気体は通すが薬液や血液等の液体は通さないように構成されている。図3の状態で、副上流分岐管14内の空気が、フィルタ19を通過したときには、その空気は、挿入部18a内から上面部18cの穴部を通過して外部に放出される。なお、フィルタ19は、挿入部18aの先端にナイロンまたはセルロースからなるシートを加圧によって押し付け、微細な超音波振動を加えることにより溶融し、接合することにより形成される。
【0028】
この構成において、所定の薬液を患者(図示せず)の体内に供給する場合には、下流分岐管13に、患者に穿刺して留置するための留置針が接続された輸液チューブ(図示せず)の後端部を接続する。また、主上流分岐管12には、患者に供給する薬液を収容する容器から延びる輸液チューブの先端部に設けられた雄ルアー部を接続する。そして、副上流分岐管14を使用しない場合には、副上流分岐管14にキャップ18を取り付けた状態で、操作部17を操作して、図3の状態にして、容器の薬液を送り出すことにより、主上流分岐管12側からチャンバー部11内を介して下流分岐管13側に薬液を流す。これによって、キャップ付き医療用活栓A内の液体流路12a,13aおよび連通用溝部16a内の空気は薬液に押し出されて、下流側の留置針から外部に放出される。
【0029】
つぎに、
主上流分岐管12、下流分岐管13および副上流分岐管14をチャンバー部11を介してそれぞれ連通させる位置に回転弁15を回転して、主上流分岐管12側からチャンバー部11内に薬液を流し続けると、副上流分岐管14内の空気は、薬液によって上方に押し上げられ、フィルタ19を通過してキャップ18の気体放出流路から外部に放出される。このようにして、キャップ付き医療用活栓A内の空間部がすべて薬液で満たされたときに、操作部17を操作して薬液の送り出しを一旦停止する。そして、留置針を患者の体に穿刺して留置した状態で、再度、操作部17を操作して容器の薬液を患者に向けて送り出すことにより患者への薬液の供給が行われる。これによって、患者の体内に薬液と一緒に空気が入ることを防止できるとともに、キャップ付き医療用活栓A内に空気が滞留することを防止できる。
【0030】
また、容器から供給される薬液に加えて、他の薬液を患者に供給する場合には、副上流分岐管14からキャップ18を外して、副上流分岐管14に、先端にコネクターが接続された輸液チューブを接続する。そして、他の薬液を副上流分岐管14からチャンバー部11内に注入する。これによって、二種類の薬液が患者の体内に供給される。この場合も、副上流分岐管14からチャンバー部11内に他の薬液を注入する場合には、予め、副上流分岐管14内の空気や、輸液チューブ内の空気を抜く処理を行ったのちに、薬液の注入を行う。
【0031】
このように、本実施形態に係るキャップ付き医療用活栓Aでは、主上流分岐管12から下流分岐管13に向けて薬液を流し、副上流分岐管14を使用しない場合には、副上流分岐管14にフィルタ19が取り付けられたキャップ18を取り付けるようにしている。フィルタ19は、気体を通過させることはできるが、液体を通過させることはできない。このため、患者に薬液を供給する前に、主上流分岐管12から下流分岐管13に向って薬液を流すと、内部の空気を穿刺針の穴から外部に放出することができ、さらに、副上流分岐管14内に空気が溜まってもその空気に液圧をかけることにより、その空気を、フィルタ19を通過させて外部に放出することができる。
【0032】
これによって、薬液を患者の体内に供給する際に、空気が体内に送り込まれることを防止できる。また、空気の溜まりに起因する液体の滞留を防止できるため、キャップ付き医療用活栓Aの内部に菌が繁殖することを防止できる。また、キャップ付き医療用活栓Aを使用しない場合にも、副上流分岐管14にキャップ18を取り付けることにより、キャップ付き医療用活栓Aの内部に菌や汚れが入り込むことを防止できる。
【0033】
また、フィルタ19を、厚みが0.25mmの薄膜状に形成するとともに、挿入部18aの先端開口に取り付けたため、フィルタ19の挿入部18aへの取り付けが容易になるとともに、フィルタ19が挿入部18aから分離され難くなる。さらに、副上流分岐管14の外周面に雄ねじ14bを設けるとともに、外周壁部18bの内周面に雄ねじ14bに螺合可能な雌ねじ18dを設けて、雄ねじ14bと雌ねじ18dの螺合により、キャップ18を副上流分岐管14に取り付けるようにしたため、キャップ18の副上流分岐管14への着脱が容易になる。
【0034】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に係るキャップ付き医療用活栓Bを示している。このキャップ付き医療用活栓Bでは、キャップ28とフィルタ29以外の部分は、前述したキャップ付き医療用活栓Aと同一構造になっている。したがって、同一部分には同一符号を記して説明は省略する。キャップ28は、図7および図8に示したように構成されている。キャップ28は、副上流分岐管14の内周面全体に接触した状態で副上流分岐管14の内部に挿入できる筒状の挿入部28aと、副上流分岐管14の上部外周を覆うことのできる外周壁部28bと、挿入部28aと外周壁部28bとの上端部間を連結する上面部28cとで構成されており、外周壁部28bの内周面には、雄ねじ14bに螺合可能な雌ねじ28dが形成されている。
【0035】
挿入部28aは、外周面が基端部よりも先端部がやや細径になった段付きの先細り状に形成されており、副上流分岐管14の内周面に密着可能になっている。また、外周壁部28bは前述した外周壁部18bと、上面部28cは前述した上面部18cと、雌ねじ28dは前述した雌ねじ18dとそれぞれ同一形状になっている。そして、挿入部28aの先端に設けられたフィルタ29は、前述したフィルタ19よりも直径が小さくなっており、それ以外はフィルタ19と同じ構成になっている。したがって、キャップ28を副上流分岐管14に取り付けたときに、フィルタ29は連通穴11c内に配置される。
【0036】
このキャップ付き医療用活栓Bによると、副上流分岐管14を使用しない場合には、副上流分岐管14の内部が液体流路にならないため、副上流分岐管14内に空気が溜まる空間ができなくなる。この場合、液体流路14aは形成されなくなる。このキャップ付き医療用活栓Bのそれ以外の作用効果については、前述したキャップ付き医療用活栓Aの作用効果と同様である。
【0037】
(第3実施形態)
図9は、本発明の第3実施形態に係るキャップ付き医療用活栓Cを示している。このキャップ付き医療用活栓Cでは、キャップ38の挿入部38aの外周面にシール部材31が設けられているとともに、キャップ38の挿入部38aの内部に一方弁33が設けられており、それ以外の部分は、前述したキャップ付き医療用活栓Bと同一構造になっている。したがって、同一部分には同一符号を記して説明は省略する。
【0038】
キャップ38は、図10および図11に示したように構成されている。このキャップ38の挿入部38aの外周面におけるやや下部側部分には、円周に沿って溝部32が形成されており、この溝部32内にリング状のゴムからなるシール部材31が取り付けられている。また、一方弁33は、挿入部38aの内部におけるフィルタ29の上面側に設けられており、チャンバー部11内からフィルタ29を通過してくる空気を外部側に向けて通すが、外部の空気をフィルタ29側には通さないゴム弁で構成されている。
【0039】
このキャップ付き医療用活栓Cによると、副上流分岐管14にキャップ38を取り付けたときに、挿入部38aと副上流分岐管14の内周面との間からキャップ付き医療用活栓Cの液体流路内に空気が入ることを防止できる。また、副上流分岐管14からキャップ38を取り外して、副上流分岐管14に他の薬液を供給するための輸液チューブ(図示せず)を接続する際に、副上流分岐管14内に空気が入ることを防止できる。この場合、まず、副上流分岐管14からキャップ38を抜いていくと、シール部材31の密閉によって、副上流分岐管14内が負圧になり、キャップ38の上昇にともなって薬液の液面も上昇していく。
【0040】
つぎに、キャップ38を抜いて副上流分岐管14の開口まで液面が到達した状態で、回転弁15を操作して、副上流分岐管14とチャンバー部11との間を遮断すると、液面はそのままの状態に維持される。その状態で、副上流分岐管14に他の薬液が充填された輸液チューブを接続することにより、副上流分岐管14内に空気が入ることなしに、副上流分岐管14に輸液チューブを接続することができる。このキャップ付き医療用活栓Cのそれ以外の作用効果については、前述したキャップ付き医療用活栓Bと同様である。
【0041】
また、本発明に係るキャップ付き医療用活栓は、前述した各実施形態に限定するものでなく、適宜変更実施が可能である。例えば、前述した各実施形態では、回転弁15の弁体16を、略円柱体の周面に円周方向に沿って延びる連通用溝部16aを形成したもので構成しているが、回転弁としては、これに限らず、主上流分岐管から下流分岐管に流れる液体を、チャンバー部内の上方を一旦通過させるための壁部を備えたものを用いることができる。また円柱体の内部に液体流路が設けられた回転弁を用いることもできる。さらに、キャップの形状やフィルタの形状、材質および厚み等についても適宜変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態に係るキャップ付き医療用活栓の平面図である。
【図2】第1実施形態に係るキャップ付き医療用活栓の正面図である。
【図3】第1実施形態に係るキャップ付き医療用活栓の断面図である。
【図4】第1実施形態に係るキャップ付き医療用活栓が備えるキャップを示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図5】第1実施形態に係るキャップ付き医療用活栓が備えるキャップの断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るキャップ付き医療用活栓の断面図である。
【図7】第2実施形態に係るキャップ付き医療用活栓が備えるキャップを示した正面図である。
【図8】第2実施形態に係るキャップ付き医療用活栓が備えるキャップを示した断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係るキャップ付き医療用活栓の断面図である。
【図10】第3実施形態に係るキャップ付き医療用活栓が備えるキャップを示した正面図である。
【図11】第3実施形態に係るキャップ付き医療用活栓が備えるキャップを示した断面図である。
【符号の説明】
【0043】
11…チャンバー部、12…主上流分岐管、13…下流分岐管、14…副上流分岐管、14b…雄ねじ、15…回転弁、16a…連通用溝部、18,28,38…キャップ、18a,28a,38a…挿入部、18b,28b…外周壁部、18d,28d…雌ねじ、19,29…フィルタ、31…シール部材、A,B,C…医療用活栓。
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療に用いられる複数の輸液チューブ等に連結される複数の分岐管を備え、各分岐管の連通、遮断を切り替えることができるとともに、不使用の分岐管を塞ぐことができるキャップ付き医療用活栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の輸液チューブを、複数の分岐管を備えた医療用活栓に連結して患者の体内に所定の生理食塩水や薬液等の液体を供給することが行われている。このような場合に、複数の分岐管のうちの液体を通過させない(使用しない)分岐管に空気が入り込んで、菌や汚れが発生することを防止するために、その分岐管にキャップを取り付けるようにしたキャップ付き医療用活栓がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このキャップ付き医療用活栓(キャップ付き三方活栓)は、円筒状のボディと、このボディの外周面に形成されボディの内部空間と連通する第1〜第3の流体ポートと、ボディに回動自在に取り付けられたコックとで構成されている。そして、流体ポートの一つにキャップが着脱可能に取り付けられており、コックには、不使用時のキャップを嵌着するための収容穴が設けられている。
【特許文献1】実開平6−44554号公報
【発明の開示】
【0004】
しかしながら、前述したキャップ付き医療用活栓では、流体ポートの一つにキャップを取り付けた状態で、残りの一方の流体ポートからボディを介して他の流体ポートに液体を流す場合に、キャップが取り付けられた流体ポートの内部に空気が溜まり易くなる。この空気をそのままにしておくと、液体流路を流れる液体内に空気が混入したりする。また、流体ポートの内部に空気が溜まった状態で、流体ポートからキャップを外して、その流体ポートに他のラインやシリジン等の脱着を繰り返すと流体ポート内に菌が入り込み、空気の溜まりに起因する液体の滞留により、菌が繁殖し易くなる。このため、キャップを取り付ける前に、流体ポート内の空気を外部に放出する必要があるが、この空気を放出するための操作が面倒であった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、その目的は、複数の分岐管のうちの任意の分岐管を連通させたり、遮断させたりすることができ、かつ使用しない分岐管内の空気を外部に容易に放出することのできるキャップ付き医療用活栓を提供することにある。
【0006】
前述した目的を達成するため、本発明に係るキャップ付き医療用活栓の構成上の特徴は、チャンバー部と、チャンバー部にそれぞれ接続された主上流分岐管、下流分岐管および副上流分岐管と、チャンバー部内に設けられ、チャンバー部との間に、主上流分岐管、下流分岐管および副上流分岐管をそれぞれ連通させる液体流路を形成するとともに、所定の方向に回転することによりチャンバー部と主上流分岐管との間、チャンバー部と下流分岐管との間およびチャンバー部と副上流分岐管との間をそれぞれ遮断することのできる回転弁と、副上流分岐管に着脱可能なキャップとを備えたキャップ付き医療用活栓であって、キャップが、副上流分岐管内に挿入可能な円筒部と、円筒部に取り付けられ気体は通過させるが液体は通過させないフィルタとを備えており、キャップを副上流分岐管に取り付けて円筒部を副上流分岐管内に挿入したときに、チャンバー部と副上流分岐管との間で液体の移動ができなくなるようにしたことにある。
【0007】
前述したように構成した本発明のキャップ付き医療用活栓は、回転弁を回転することにより、主上流分岐管、下流分岐管および副上流分岐管と、チャンバー部との間をそれぞれ連通させたり遮断させたりすることができる。そして、主上流分岐管から下流分岐管に向けてだけ液体を流し、副上流分岐管を使用しない場合には、副上流分岐管にフィルタ付きのキャップを取り付けるようにしている。このフィルタは、気体だけを通過させ、液体は通過させないため、主上流分岐管から下流分岐管に液体を流すときに、副上流分岐管内に空気が溜まってもその空気をフィルタを通過させて外部に放出することができる。
【0008】
この場合、主上流分岐管、下流分岐管および副上流分岐管をチャンバー部を介してそれぞれ連通させる位置に回転弁を回転して、主上流分岐管からチャンバー部に向けて液体を流すと、液圧によって空気は外部に押し出される。これによって、薬液等を患者の体内に供給する際に、空気が体内に送り込まれることを防止できる。また、副上流分岐管にキャップが取り付けられているため、キャップ付き医療用活栓の液体流路内に菌や汚れが入りこむことを防止できる。このように、最初に液体流路内の空気を外部に放出しておけば、その後、回転弁を回転操作しても、液体流路内に空気が浸入することはない。なお、回転弁を回転させる所定の方向とは、回転弁の周面を、主上流分岐管、下流分岐管および副上流分岐管側に向けた状態での回転弁の軸周り方向である。
【0009】
また、本発明に係るキャップ付き医療用活栓の他の構成上の特徴は、フィルタを薄膜状の疎水性フィルタで構成したことにある。この場合、フィルタの厚みは、0.1〜0.5mm程度にすることが好ましい。これによると、液体がフィルタを通過することを確実に防止できる。また、フィルタの円筒部への取り付けが容易になるとともに、フィルタが円筒部から分離され難くなる。
【0010】
また、本発明に係るキャップ付き医療用活栓のさらに他の構成上の特徴は、副上流分岐管の外周面に雄ねじを設け、キャップに副上流分岐管の外周面を覆う外周壁部を設けるとともに、外周壁部の内周面に雄ねじと螺合可能な雌ねじを設けたことにある。これによると、キャップの副上流分岐管への着脱が容易になる。
【0011】
また、本発明に係るキャップ付き医療用活栓のさらに他の構成上の特徴は、フィルタを円筒部の先端開口部に取り付けて、フィルタをチャンバー部と主上流分岐管との境界部分に位置させたことにある。これによると、フィルタの円筒部への取り付けが容易になる。また、副上流分岐管の内部が液体流路にならないため、副上流分岐管内に空気が滞留する空間ができなくなる。
【0012】
また、本発明に係るキャップ付き医療用活栓のさらに他の構成上の特徴は、円筒部の周囲に、円筒部と副上流分岐管の内周面との間を密閉するシール部を設けたことにある。これによると、円筒部と副上流分岐管の内周面との間からキャップ付き医療用活栓の液体流路内に空気が入ることを確実に防止できる。この場合、空気を副上流分岐管の内部側から外部側に向けて通すが、外部側から内部側に向けては通さない一方弁を、フィルタに隣接して設けることが好ましい。これによると、副上流分岐管内の空気を放出した状態で、副上流分岐管からキャップを取り外して、副上流分岐管に他の液体を供給するための輸液チューブを接続する際に、副上流分岐管内に空気が入ることを防止できる。
【0013】
すなわち、副上流分岐管からキャップを抜いていく際に、円筒部と副上流分岐管の内周面との間がシール部によって密閉されているため、副上流分岐管内が負圧になり、キャップの上昇にともなって液面も上昇していく。このため、キャップを抜いて副上流分岐管の開口まで液面が到達した状態で、回転弁を操作して、副上流分岐管とチャンバー部との間を遮断すると、液面はそのままの状態に維持される。その状態で、副上流分岐管に他の液体が充填された輸液チューブを接続することにより、副上流分岐管内に空気が入ることなしに、副上流分岐管に輸液チューブを接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係るキャップ付き医療用活栓を図面を用いて詳しく説明する。図1ないし図3は、同実施形態に係るキャップ付き医療用活栓Aを示しており、このキャップ付き医療用活栓Aは、医療用活栓本体10と、医療用活栓本体10に回転可能に取り付けられた回転弁15と、キャップ18とで構成されている。医療用活栓本体10は、軸方向の長さが短い円筒状に形成されその軸方向を前後方向(図1では上下方向)に向けて配置されたチャンバー部11と、チャンバー部11の外周面における両側に180度の角度を保って同軸に沿って延びるように連結された主上流分岐管12および下流分岐管13と、チャンバー部11の上方に形成された副上流分岐管14とで構成されている。
【0015】
チャンバー部11は、後端が閉塞され、前端が開口した有底円筒状に形成されている。そして、チャンバー部11の軸方向の略中央には、図3に示したように、三つの連通穴11a,11b,11cが形成されている。連通穴11aは、主上流分岐管12に対応して設けられており、連通穴11aを介してチャンバー部11の内部と主上流分岐管12の内部に形成された液体流路12aとが連通している。主上流分岐管12は、チャンバー部11と一体的に形成された雌ルアー形状をしている。この主上流分岐管12の内部に形成された液体流路12aは、上流側(開口側)の直径が大きく下流側(チャンバー部11側)の直径が小さくなった複数のテーパ状部分と一つのストレート部分からなる内周面で構成されている。
【0016】
すなわち、液体流路12aの下流側部分は、連通穴11a側の直径が小さく、連通穴11aから離れるにしたがって直径が大きくなった2段からなるテーパ状部分とその上流側に形成されたストレート部分とで構成されており、下流側の傾斜が上流側の傾斜よりも大きくなっている。また、液体流路12aの上流側部分は、主上流分岐管12の開口部に近づくほど徐々に直径が大きくなった滑らかなテーパ状に形成されている。そして、主上流分岐管12の開口部の外周には、連結用の雄ねじ12bが形成されている。連通穴11bは、下流分岐管13に対応して設けられており、連通穴11bを介してチャンバー部11の内部と下流分岐管13の内部に形成された液体流路13aとが連通している。
【0017】
下流分岐管13は、チャンバー部11と一体的に形成されており、チャンバー部11側に位置する基端部13bと、先端側に位置し基端部13bよりも細く形成された雄ルアー部13cとで構成されている。雄ルアー部13cは基端部13b側よりも先端側の方が徐々に細くなった先細り状に形成されている。また、下流分岐管13の内部に形成された液体流路13aの上流側部分(チャンバー部11側)の直径は略同一に形成されている。そして、液体流路13aの下流側部分(開口側部分)は、上流側の直径が小さく下流側の直径が徐々に大きくなった滑らかなテーパ状の内周面で構成されている。
【0018】
また、連通穴11cは、副上流分岐管14に対応して設けられており、連通穴11cを介してチャンバー部11の内部と副上流分岐管14の内部に形成された液体流路14aとが連通している。副上流分岐管14は、チャンバー部11と一体的に形成された雌ルアー形状をしており、外形が主上流分岐管12と略同一形状に形成されている。すなわち、副上流分岐管14の内部に形成された液体流路14aは、上流側(開口側)の直径が大きく下流側(チャンバー部11側)の直径が小さくなった段付き(3段)テーパ状の内周面で構成されている。
【0019】
液体流路14aの下流側部分は、連通穴11c側の直径が小さく、連通穴11cから離れるにしたがって直径が大きくなった2段からなるテーパ状に形成されており、下流側の傾斜が上流側の傾斜よりも大きくなっている。また、液体流路14aの上流側部分は、副上流分岐管14の開口部に近づくほど徐々に直径が大きくなった滑らかなテーパ状に形成されている。そして、副上流分岐管14の開口部の外周には、後述するキャップ18を連結するための雄ねじ14bが形成されている。
【0020】
回転弁15は、弁体16と、弁体16の前端部に連結された操作部17とで構成されている。弁体16は、チャンバー部11内に設置されて、操作部17の操作によりチャンバー部11内で軸周り方向に回転可能になっている。この弁体16は、外形が略円柱状に形成されており、その円柱状の軸方向の中心部分の周面に、円周方向に沿って延びる連通用溝部16aを形成して構成されている。連通用溝部16aは、その両端部と、弁体16の中心部とを結ぶ両線間の角度が180度よりもやや大きくなるようにして形成されており、図3に示したように、連通用溝部16aの軸周り方向の中心部を連通穴11cに向けたときに、連通穴11aと連通穴11bも連通用溝部16aに対向する。この場合、連通用溝部16aと連通穴11a,11b,11cを介して、液体流路12a,13a,14aはすべて連通した状態になる。
【0021】
また、図3の状態から、弁体16を時計周り方向に回転して、連通穴11bを弁体16の外周面に対向させると、液体流路13aは他の液体流路12a,14aから遮断され、液体流路12a,14aは互いに連通した状態を維持する。逆に、図3の状態から、弁体16を反時計周り方向に回転して、連通穴11aを弁体16の外周面に対向させると、液体流路12aは他の液体流路13a,14aから遮断され、液体流路13a,14aは互いに連通した状態を維持する。さらに、図3の状態から、弁体16をどちらか一方に180度回転して、連通穴11cを弁体16の外周面に対向させると、液体流路14aは他の液体流路12a,13aから遮断され、液体流路12a,13aは互いに連通した状態を維持する。
【0022】
操作部17は、3個の操作片17a,17b,17cを備えており、この操作片17a,17b,17cは、それぞれ主上流分岐管12、下流分岐管13および副上流分岐管14に対応するように、所定の角度を保って形成されている。すなわち、図2のように、操作片17aが主上流分岐管12を、操作片17bが下流分岐管13を、操作片17cが副上流分岐管14をそれぞれ指す位置にあるときには、主上流分岐管12、下流分岐管13および副上流分岐管14のすべてがチャンバー部11を介して連通した状態になる。すなわち、弁体16は、図3の状態になる。
【0023】
図2の状態から、操作部17を時計周り方向に90度回転して、操作片17cが主上流分岐管12を指し、操作片17bが副上流分岐管14を指す位置になったときには、主上流分岐管12と副上流分岐管14とが連通し、副上流分岐管14と下流分岐管13との間および主上流分岐管12と下流分岐管13との間は遮断された状態になる。また、図2の状態から、操作部17を反時計周り方向に90度回転して、操作片17aが副上流分岐管14を指し、操作片17cが下流分岐管13を指す位置になったときには、副上流分岐管14と下流分岐管13とが連通し、主上流分岐管12と副上流分岐管14との間および主上流分岐管12と下流分岐管13との間は遮断された状態になる。
【0024】
さらに、図2の状態から、操作部17をどちらか一方に180度回転して、操作片17aが下流分岐管13を指し、操作片17bが主上流分岐管12を指す位置になったときには、主上流分岐管12と下流分岐管13とが連通し、主上流分岐管12と副上流分岐管14との間および下流分岐管13と副上流分岐管14は遮断された状態になる。このように、操作片17a,17b,17cの位置から主上流分岐管12、下流分岐管13および副上流分岐管14の各間の連通または遮断の状態を知ることができる。
【0025】
キャップ18は、副上流分岐管14を使用しないときに、副上流分岐管14に取り付けられて副上流分岐管14の液体流路14aを閉塞するもので、副上流分岐管14に着脱可能になっている。キャップ18は、図4および図5に示したように、副上流分岐管14の上流側部分の内部に挿入できる筒状の挿入部18a(本発明に係る円筒部)と、副上流分岐管14の上部外周を覆うことのできる外周壁部18bと、挿入部18aと外周壁部18bとの上端部間を連結する上面部18cとで構成されており、外周壁部18bの内周面には、副上流分岐管14の雄ねじ14bに螺合可能な雌ねじ18dが形成されている。
【0026】
挿入部18aは、外周面が基端部よりも先端部がやや細径になった先細り状の雄ルアー形状に形成されており、副上流分岐管14の上流側部分の内周面に密着可能になっている。また、内周面は、一端から他端にかけて直径が略等しくなった気体放出流路を構成している。外周壁部18bは、キャップ18を操作する際に手で持つようになっており、軸方向の長さが短い円筒状に形成されている。上面部18cは、中央に挿入部18aの気体放出流路と連通する穴部が設けられた円形の板状に形成されている。
【0027】
そして、挿入部18aの先端には、開口部を塞ぐようにしてフィルタ19が設けられている。このフィルタ19は、ナイロンまたはセルロースからなる疎水性のフィルタで構成されており、厚みが0.25mmに設定されている。フィルタ19は、空気等の気体は通すが薬液や血液等の液体は通さないように構成されている。図3の状態で、副上流分岐管14内の空気が、フィルタ19を通過したときには、その空気は、挿入部18a内から上面部18cの穴部を通過して外部に放出される。なお、フィルタ19は、挿入部18aの先端にナイロンまたはセルロースからなるシートを加圧によって押し付け、微細な超音波振動を加えることにより溶融し、接合することにより形成される。
【0028】
この構成において、所定の薬液を患者(図示せず)の体内に供給する場合には、下流分岐管13に、患者に穿刺して留置するための留置針が接続された輸液チューブ(図示せず)の後端部を接続する。また、主上流分岐管12には、患者に供給する薬液を収容する容器から延びる輸液チューブの先端部に設けられた雄ルアー部を接続する。そして、副上流分岐管14を使用しない場合には、副上流分岐管14にキャップ18を取り付けた状態で、操作部17を操作して、図3の状態にして、容器の薬液を送り出すことにより、主上流分岐管12側からチャンバー部11内を介して下流分岐管13側に薬液を流す。これによって、キャップ付き医療用活栓A内の液体流路12a,13aおよび連通用溝部16a内の空気は薬液に押し出されて、下流側の留置針から外部に放出される。
【0029】
つぎに、
主上流分岐管12、下流分岐管13および副上流分岐管14をチャンバー部11を介してそれぞれ連通させる位置に回転弁15を回転して、主上流分岐管12側からチャンバー部11内に薬液を流し続けると、副上流分岐管14内の空気は、薬液によって上方に押し上げられ、フィルタ19を通過してキャップ18の気体放出流路から外部に放出される。このようにして、キャップ付き医療用活栓A内の空間部がすべて薬液で満たされたときに、操作部17を操作して薬液の送り出しを一旦停止する。そして、留置針を患者の体に穿刺して留置した状態で、再度、操作部17を操作して容器の薬液を患者に向けて送り出すことにより患者への薬液の供給が行われる。これによって、患者の体内に薬液と一緒に空気が入ることを防止できるとともに、キャップ付き医療用活栓A内に空気が滞留することを防止できる。
【0030】
また、容器から供給される薬液に加えて、他の薬液を患者に供給する場合には、副上流分岐管14からキャップ18を外して、副上流分岐管14に、先端にコネクターが接続された輸液チューブを接続する。そして、他の薬液を副上流分岐管14からチャンバー部11内に注入する。これによって、二種類の薬液が患者の体内に供給される。この場合も、副上流分岐管14からチャンバー部11内に他の薬液を注入する場合には、予め、副上流分岐管14内の空気や、輸液チューブ内の空気を抜く処理を行ったのちに、薬液の注入を行う。
【0031】
このように、本実施形態に係るキャップ付き医療用活栓Aでは、主上流分岐管12から下流分岐管13に向けて薬液を流し、副上流分岐管14を使用しない場合には、副上流分岐管14にフィルタ19が取り付けられたキャップ18を取り付けるようにしている。フィルタ19は、気体を通過させることはできるが、液体を通過させることはできない。このため、患者に薬液を供給する前に、主上流分岐管12から下流分岐管13に向って薬液を流すと、内部の空気を穿刺針の穴から外部に放出することができ、さらに、副上流分岐管14内に空気が溜まってもその空気に液圧をかけることにより、その空気を、フィルタ19を通過させて外部に放出することができる。
【0032】
これによって、薬液を患者の体内に供給する際に、空気が体内に送り込まれることを防止できる。また、空気の溜まりに起因する液体の滞留を防止できるため、キャップ付き医療用活栓Aの内部に菌が繁殖することを防止できる。また、キャップ付き医療用活栓Aを使用しない場合にも、副上流分岐管14にキャップ18を取り付けることにより、キャップ付き医療用活栓Aの内部に菌や汚れが入り込むことを防止できる。
【0033】
また、フィルタ19を、厚みが0.25mmの薄膜状に形成するとともに、挿入部18aの先端開口に取り付けたため、フィルタ19の挿入部18aへの取り付けが容易になるとともに、フィルタ19が挿入部18aから分離され難くなる。さらに、副上流分岐管14の外周面に雄ねじ14bを設けるとともに、外周壁部18bの内周面に雄ねじ14bに螺合可能な雌ねじ18dを設けて、雄ねじ14bと雌ねじ18dの螺合により、キャップ18を副上流分岐管14に取り付けるようにしたため、キャップ18の副上流分岐管14への着脱が容易になる。
【0034】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に係るキャップ付き医療用活栓Bを示している。このキャップ付き医療用活栓Bでは、キャップ28とフィルタ29以外の部分は、前述したキャップ付き医療用活栓Aと同一構造になっている。したがって、同一部分には同一符号を記して説明は省略する。キャップ28は、図7および図8に示したように構成されている。キャップ28は、副上流分岐管14の内周面全体に接触した状態で副上流分岐管14の内部に挿入できる筒状の挿入部28aと、副上流分岐管14の上部外周を覆うことのできる外周壁部28bと、挿入部28aと外周壁部28bとの上端部間を連結する上面部28cとで構成されており、外周壁部28bの内周面には、雄ねじ14bに螺合可能な雌ねじ28dが形成されている。
【0035】
挿入部28aは、外周面が基端部よりも先端部がやや細径になった段付きの先細り状に形成されており、副上流分岐管14の内周面に密着可能になっている。また、外周壁部28bは前述した外周壁部18bと、上面部28cは前述した上面部18cと、雌ねじ28dは前述した雌ねじ18dとそれぞれ同一形状になっている。そして、挿入部28aの先端に設けられたフィルタ29は、前述したフィルタ19よりも直径が小さくなっており、それ以外はフィルタ19と同じ構成になっている。したがって、キャップ28を副上流分岐管14に取り付けたときに、フィルタ29は連通穴11c内に配置される。
【0036】
このキャップ付き医療用活栓Bによると、副上流分岐管14を使用しない場合には、副上流分岐管14の内部が液体流路にならないため、副上流分岐管14内に空気が溜まる空間ができなくなる。この場合、液体流路14aは形成されなくなる。このキャップ付き医療用活栓Bのそれ以外の作用効果については、前述したキャップ付き医療用活栓Aの作用効果と同様である。
【0037】
(第3実施形態)
図9は、本発明の第3実施形態に係るキャップ付き医療用活栓Cを示している。このキャップ付き医療用活栓Cでは、キャップ38の挿入部38aの外周面にシール部材31が設けられているとともに、キャップ38の挿入部38aの内部に一方弁33が設けられており、それ以外の部分は、前述したキャップ付き医療用活栓Bと同一構造になっている。したがって、同一部分には同一符号を記して説明は省略する。
【0038】
キャップ38は、図10および図11に示したように構成されている。このキャップ38の挿入部38aの外周面におけるやや下部側部分には、円周に沿って溝部32が形成されており、この溝部32内にリング状のゴムからなるシール部材31が取り付けられている。また、一方弁33は、挿入部38aの内部におけるフィルタ29の上面側に設けられており、チャンバー部11内からフィルタ29を通過してくる空気を外部側に向けて通すが、外部の空気をフィルタ29側には通さないゴム弁で構成されている。
【0039】
このキャップ付き医療用活栓Cによると、副上流分岐管14にキャップ38を取り付けたときに、挿入部38aと副上流分岐管14の内周面との間からキャップ付き医療用活栓Cの液体流路内に空気が入ることを防止できる。また、副上流分岐管14からキャップ38を取り外して、副上流分岐管14に他の薬液を供給するための輸液チューブ(図示せず)を接続する際に、副上流分岐管14内に空気が入ることを防止できる。この場合、まず、副上流分岐管14からキャップ38を抜いていくと、シール部材31の密閉によって、副上流分岐管14内が負圧になり、キャップ38の上昇にともなって薬液の液面も上昇していく。
【0040】
つぎに、キャップ38を抜いて副上流分岐管14の開口まで液面が到達した状態で、回転弁15を操作して、副上流分岐管14とチャンバー部11との間を遮断すると、液面はそのままの状態に維持される。その状態で、副上流分岐管14に他の薬液が充填された輸液チューブを接続することにより、副上流分岐管14内に空気が入ることなしに、副上流分岐管14に輸液チューブを接続することができる。このキャップ付き医療用活栓Cのそれ以外の作用効果については、前述したキャップ付き医療用活栓Bと同様である。
【0041】
また、本発明に係るキャップ付き医療用活栓は、前述した各実施形態に限定するものでなく、適宜変更実施が可能である。例えば、前述した各実施形態では、回転弁15の弁体16を、略円柱体の周面に円周方向に沿って延びる連通用溝部16aを形成したもので構成しているが、回転弁としては、これに限らず、主上流分岐管から下流分岐管に流れる液体を、チャンバー部内の上方を一旦通過させるための壁部を備えたものを用いることができる。また円柱体の内部に液体流路が設けられた回転弁を用いることもできる。さらに、キャップの形状やフィルタの形状、材質および厚み等についても適宜変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態に係るキャップ付き医療用活栓の平面図である。
【図2】第1実施形態に係るキャップ付き医療用活栓の正面図である。
【図3】第1実施形態に係るキャップ付き医療用活栓の断面図である。
【図4】第1実施形態に係るキャップ付き医療用活栓が備えるキャップを示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図5】第1実施形態に係るキャップ付き医療用活栓が備えるキャップの断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るキャップ付き医療用活栓の断面図である。
【図7】第2実施形態に係るキャップ付き医療用活栓が備えるキャップを示した正面図である。
【図8】第2実施形態に係るキャップ付き医療用活栓が備えるキャップを示した断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係るキャップ付き医療用活栓の断面図である。
【図10】第3実施形態に係るキャップ付き医療用活栓が備えるキャップを示した正面図である。
【図11】第3実施形態に係るキャップ付き医療用活栓が備えるキャップを示した断面図である。
【符号の説明】
【0043】
11…チャンバー部、12…主上流分岐管、13…下流分岐管、14…副上流分岐管、14b…雄ねじ、15…回転弁、16a…連通用溝部、18,28,38…キャップ、18a,28a,38a…挿入部、18b,28b…外周壁部、18d,28d…雌ねじ、19,29…フィルタ、31…シール部材、A,B,C…医療用活栓。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバー部と、
前記チャンバー部にそれぞれ接続された主上流分岐管、下流分岐管および副上流分岐管と、
前記チャンバー部内に設けられ、前記チャンバー部との間に、前記主上流分岐管、前記下流分岐管および前記副上流分岐管をそれぞれ連通させる液体流路を形成するとともに、所定の方向に回転することにより前記チャンバー部と前記主上流分岐管との間、前記チャンバー部と前記下流分岐管との間および前記チャンバー部と前記副上流分岐管との間をそれぞれ遮断することのできる回転弁と、
前記副上流分岐管に着脱可能なキャップと
を備えたキャップ付き医療用活栓であって、
前記キャップが、前記副上流分岐管内に挿入可能な円筒部と、前記円筒部に取り付けられ気体は通過させるが液体は通過させないフィルタとを備えており、前記キャップを前記副上流分岐管に取り付けて前記円筒部を前記副上流分岐管内に挿入したときに、前記チャンバー部と前記副上流分岐管との間で液体の移動ができなくなるようにしたことを特徴とするキャップ付き医療用活栓。
【請求項2】
前記フィルタを薄膜状の疎水性フィルタで構成した請求項1に記載のキャップ付き医療用活栓。
【請求項3】
前記副上流分岐管の外周面に雄ねじを設け、前記キャップに前記副上流分岐管の外周面を覆う外周壁部を設けるとともに、前記外周壁部の内周面に前記雄ねじと螺合可能な雌ねじを設けた請求項1または2に記載のキャップ付き医療用活栓。
【請求項4】
前記フィルタを前記円筒部の先端開口部に取り付けて、前記フィルタを前記チャンバー部と前記主上流分岐管との境界部分に位置させた請求項1ないし3のうちのいずれか一つに記載のキャップ付き医療用活栓。
【請求項5】
前記円筒部の周囲に、前記円筒部と前記副上流分岐管の内周面との間を密閉するシール部を設けた請求項1ないし4のうちのいずれか一つに記載のキャップ付き医療用活栓。
【請求項1】
チャンバー部と、
前記チャンバー部にそれぞれ接続された主上流分岐管、下流分岐管および副上流分岐管と、
前記チャンバー部内に設けられ、前記チャンバー部との間に、前記主上流分岐管、前記下流分岐管および前記副上流分岐管をそれぞれ連通させる液体流路を形成するとともに、所定の方向に回転することにより前記チャンバー部と前記主上流分岐管との間、前記チャンバー部と前記下流分岐管との間および前記チャンバー部と前記副上流分岐管との間をそれぞれ遮断することのできる回転弁と、
前記副上流分岐管に着脱可能なキャップと
を備えたキャップ付き医療用活栓であって、
前記キャップが、前記副上流分岐管内に挿入可能な円筒部と、前記円筒部に取り付けられ気体は通過させるが液体は通過させないフィルタとを備えており、前記キャップを前記副上流分岐管に取り付けて前記円筒部を前記副上流分岐管内に挿入したときに、前記チャンバー部と前記副上流分岐管との間で液体の移動ができなくなるようにしたことを特徴とするキャップ付き医療用活栓。
【請求項2】
前記フィルタを薄膜状の疎水性フィルタで構成した請求項1に記載のキャップ付き医療用活栓。
【請求項3】
前記副上流分岐管の外周面に雄ねじを設け、前記キャップに前記副上流分岐管の外周面を覆う外周壁部を設けるとともに、前記外周壁部の内周面に前記雄ねじと螺合可能な雌ねじを設けた請求項1または2に記載のキャップ付き医療用活栓。
【請求項4】
前記フィルタを前記円筒部の先端開口部に取り付けて、前記フィルタを前記チャンバー部と前記主上流分岐管との境界部分に位置させた請求項1ないし3のうちのいずれか一つに記載のキャップ付き医療用活栓。
【請求項5】
前記円筒部の周囲に、前記円筒部と前記副上流分岐管の内周面との間を密閉するシール部を設けた請求項1ないし4のうちのいずれか一つに記載のキャップ付き医療用活栓。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−29381(P2010−29381A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193836(P2008−193836)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000228888)日本シャーウッド株式会社 (170)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000228888)日本シャーウッド株式会社 (170)
【Fターム(参考)】
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