説明

キャップ締付け防止チューブ付容器

【課題】 キャップの戻しトルク値が高くなるのを防止した、キャップの締付け防止付チューブ容器
【解決手段】チューブ容器の口部に嵌合される中栓体と、該中栓体に螺合されるキャップとから成るチューブ容器であり、該中栓体の天面には凹所が形成され、キャップの締付け時に、前記凹所と嵌合する凸部が、キャップの天面下部に形成されていることを特徴とすることをキャップ締付け防止付チューブ容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はキャップの締付け防止付チューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のチューブ容器とキャップの嵌合・螺合構造として、種々の嵌合・螺合構造のものがある。例えば、図8において、50は染毛剤51を充填したアルミニウム等のチューブ容器である。このアルミニウム等のチューブ容器50の口部52の雄ねじ53には、針付キャップ54が螺合されている。このような従来のチューブ容器に関しては文献1がある。
【特許文献1】実開平5−26847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記のアルミニウム等のチューブ容器50は、キャップ54を締めすぎた場合や、キャップ54を螺合した後に、口部52の雄ねじ53に付着していた内容物が固形化した場合等においては、キャップ54の螺合を解除して口部52を開口する際、キャップ54の戻しトルク値が異常に高くなるという欠点がある。この場合、無理にキャップ54を回転すると、チューブ容器50の本体が変形したり、キャップ54の回転が不可能になるという問題があった。特に子供、老人等の力の弱い者は、キャップ54を開けることができないという欠点があった。
この発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、キャップの締めすぎを防止することにより、キャップの戻しトルク値が高くなるのを防止した、キャップの締付け防止付チューブ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明の解決手段は、チューブ容器の口部に嵌合される中栓体と、この中栓体に螺合されるキャップとから成るチューブ容器であり、中栓体の天面には凹所が形成され、キャップの締付け時に、凹所と嵌合する凸部が、キャップの天面下部に形成されていることを特徴とすることをキャップ締付け防止付チューブ容器である。請求項1記載の発明は、キャップと中栓体の間の締め付けトルク値が高くなるのを防止したものであり、この凹部と凸部の嵌合構造により、キャップに対して、締め過ぎの回転トルクが働いても、キャップがそれ以上に回転しない。したがって、中栓体への締め過ぎが防止される。
【0005】
請求項2記載の発明の解決手段は、チューブ容器の口部に、キャップが螺合されるチューブ容器であり、この口部の天面には凹所が形成され、キャップの締付け時に、凹所と嵌合する凸部が、キャップの天面下部に形成されていることを特徴とすることをキャップ締付け防止付チューブ容器である。請求項2記載の発明は、キャップとチューブ容器口部の間の締め付けトルク値が高くなるのを防止したものであり、同様に、この凹部と凸部の嵌合構造により、キャップに対して、締め過ぎの回転トルクが働いても、キャップがそれ以上に回転しない。したがって、口部への締め過ぎが防止される。
【0006】
請求項3記載の発明の解決手段は、中栓体の天面又は口部の天面の凹所に代えて凸部が形成され、キャップの天面下部の凸部に代えて凹所が形成されたことを特徴とするキャップ締付け防止付チューブ容器である。請求項2記載の発明は、凹部と凸部の形成が逆になった場合であり、上記と同様の作用を呈する。
【0007】
請求項4記載の発明の解決手段は、凹所及び凸部が嵌合し、ラチェット形式の嵌合構造を呈することを特徴とするキャップ締付け防止付チューブ容器である。ねじを緩む方向の回転は、凹部と凸部が嵌合しないので、双方フリーに回転する。ねじを締める方向の回転に対しては、凹部と凸部が嵌合する。したがって、一方が固定されることにより、他方の回転が阻止される。よって、キャップを締め付けても、それ以上キャップが締め付ける方向には回転しない。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、締め過ぎの回転トルクが働いても、キャップがそれ以上に回転しないので、中栓体への締め過ぎが防止される効果を有する。したがって、キャップの戻しトルク値が高くなるのを防止することができるので、容易にキャップを開けることができる。特に、内容物がねじ部に、固形化した場合に効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
図1、図3、図4、図5及び図6は、この発明に係る実施例1を示す図面である。実施例1において、1は閉鎖膜6を有するアルミニウム等で造られたチューブ容器であり、このチューブ容器1の口部2には、中栓体3が嵌合されている。この中栓体3の外周には雄ねじ4が形成され、この雄ねじ4には、針付キャップ5が螺合されている。針付キャップ5の雌ねじを中栓体3の雄ねじ4に螺合して締めることにより、中栓体3の上方に突出した中栓口部3a内に、キャップ5の天面9から垂下された係合突起7aが嵌入され、開口部が閉鎖される。内容物を抽出する場合は、キャップ5と中栓体3の螺合を外し、キャップ5の針体7で、閉鎖膜6を穿孔することにより内容物を抽出することができる。
【0011】
図3(a)は、中栓体3の平面図を示した図面である。図3(b)に示すように、中栓体3の天面には、360°円周方向に凹所8が形成されている。この凹所8の反時計回りの端面図を図5に示す。図5において、端面図A1における部位は、深さSの溝8aが形成され、端面図A2、A3に移るに連れて、除々に溝の傾斜面8bは上昇し、端面図B1において、再び深さSの凹溝8aが形成されている。そして、同様に端面図B2、B3に移るに連れて、凹溝の傾斜面8bは上昇し、端面図A1において、再び、深さSの溝8aに連なっている。
【0012】
図4(a)は、キャップ5の正面図を示した図面である。 図4(b)に示すように、キャップ5の天面9の下面には、360°円周方向に凸部10が形成されている。そして、この凸部10の時計回りの端面図を図6に示す。図6において、端面図C1における部位は、高さSの凸部壁10aが形成され、端面図C2、C3に移るに連れて、凸部の傾斜面10bは下降し、端面図D1において、再び高さSの凸部壁10aが形成されている。そして、端面図D2、D3に移るに連れて、凸部の傾斜面10bは下降し、端面図C1において、再び、高さSの凸部壁10aに連なっている。図7は、キャップ5が、中栓体3に嵌合した場合を示している。キャップ5の螺合を強くしても、深さSの溝8aに、凸部10の時計回りの端面図を図6に示す。図6において、端面図C1における部位は、高さSの凸部壁10aが嵌合している状態を示す拡大断面図である。キャップ5を中栓体3に螺合して締め付けると、図6に示すように凸部壁10aが溝8aに当接する。したがって、キャップ5はそれ以上に、締め付ける方向へ回転することができない。したがって、締め付け過ぎを防止することができる。
【実施例2】
【0013】
図2は、この発明に係る実施例2を示す図面である。実施例2において、11は閉鎖膜16を有するアルミニウム等で造られたチューブ容器であり、このチューブ容器11の口部12には、中栓体13が嵌合されている。この中栓体13の外周には雄ねじ14が形成され、この雄ねじ14に針付キャップ15が螺合されている。そして、針付キャップ15の雌ねじを中栓体13の雄ねじ14に螺合して締めることにより、中栓体13の上方に突出した中栓口部内に、キャップ15の天面19から垂下された係合突起17aが嵌入され、開口部が閉鎖される。内容物を抽出する場合は、キャップ15と中栓体13の螺合を外し、キャップ15の針体17で、閉鎖膜16を穿孔することにより内容物を抽出することができる。実施例1と異なる点は、キャップ15の天面19が水平に形成されている点である。その他の構成は、実施例1と同様である。さらに、中栓体13の天面には、360°円周方向に凹所18が形成され、又キャップ15の天面19の下面には、360°円周方向に凸部20が形成されている。
【実施例3】
【0014】
実施例3として、本発明に係る嵌合構造は、中栓体を有しない通常のキャップに適用されてもよい。すなわち、アルミニウム等のチューブ容器の口部に、直接キャップが螺合されるチューブ容器であり、この口部の天面に凹所が形成され、キャップの締付け時に、凹所と嵌合する凸部が、キャップの天面下部に形成されているキャップ締付け防止付チューブ容器である。
【実施例4】
【0015】
実施例4として、中栓体の天面又は口部の天面の凹所に代えて凸部が形成され、キャップの天面下部の凸部に代えて、凹所が形成されたキャップ締付け防止付チューブ容器であってもよい。すなわち、凹所と凸部が逆に形成された構造のキャップ締付け防止付チューブ容器であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明の活用例として、特に内容物が固化して変質し、ねじ部に付着することにより、
キャップの戻しトルクが上昇する薬剤、接着剤、食品等を充填するチューブ容器に広く適する。本発明に係るチューブ容器は、子供、女性、老人等が、キャップを回して螺合を解く場合においても、戻しトルク値が小さいので、容易にキャップを外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明に係る実施例1を示すキャップ締付け防止チューブ付容器を示す正面断面図。
【図2】この発明に係る実施例2を示すキャップ締付け防止チューブ付容器を示す正面断面図。
【図3】この発明に係る実施例1の中栓体を示す平面図(a)及び一部切欠正面図(b)。
【図4】この発明に係る実施例1のキャップを示す一部切欠平面図(a)及び底面図。
【図5】この発明に係る図3(a)のA1〜B3の拡大端面図。
【図6】この発明に係る図4(b)のC1〜D3の拡大端面図。
【図7】この発明において、凹所と凸部がラチェット形式に嵌合した状態を示す断面図。
【図8】従来のチューブ容器を示す一部切欠き断面図。
【符号の説明】
【0018】
1 チューブ容器
2 口部
3 中栓体
5 キャップ
8 凹所
10凸部
9 天面
21ラチェット形式
の嵌合構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ容器の口部に嵌合される中栓体と、該中栓体に螺合されるキャップとから成るチューブ容器であり、該中栓体の天面には凹所が形成され、キャップの締付け時に、前記凹所と嵌合する凸部が、キャップの天面下部に形成されていることを特徴とすることをキャップ締付け防止付チューブ容器。
【請求項2】
チューブ容器の口部に、キャップが螺合されるチューブ容器であり、該口部の天面には凹所が形成され、キャップの締付け時に、前記凹所と嵌合する凸部が、キャップの天面下部に形成されていることを特徴とすることをキャップ締付け防止付チューブ容器。
【請求項3】
中栓体の天面又は口部の天面の凹所に代えて凸部が形成され、キャップの天面下部の凸部に代えて凹所が形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載のキャップ締付け防止付チューブ容器。
【請求項4】
前記凹所及び凸部が嵌合し、ラチェット形式の嵌合構造を呈することを特徴とする請求項1〜3記載のキャップ締付け防止付チューブ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−15734(P2007−15734A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−200187(P2005−200187)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(000238614)武内プレス工業株式会社 (72)
【Fターム(参考)】