説明

キャップ

【課題】 容器の口筒部に装着するキャップ基体の注出筒を中心より偏心した位置に設けたキャップにおいて、容器の口筒の外口径が同じであれば、内口径の異なるものでも対応することができるとともに、注出筒をキャップ基体の外周縁部近くの位置に設けることのできるキャップを提供すること。
【解決手段】 キャップ基体と上蓋、キャップ基体に装着されるパッキン部材とを具え、容器本体の口筒部に装着されるキャップにおいて、キャップ基体は、上壁と、上壁外縁に垂設され、口筒部外周と係合する係合筒とを具えており、上壁は、中心より偏心した位置に、注出口が穿設されるとともに、注出口外縁部に沿って、注出筒が立設され、上壁下面の中央には、パッキン部材を装着する係合内筒が垂設されており、パッキン部材は、所定の位置に複数の開口が配設されており、中央に係合内筒と係合する嵌挿口が穿設された内リング板を具えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の口筒に装着されるキャップ、とくにキャップの中側にパッキンを装着し、口筒とキャップとの間を密封するようにしたキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
内容液を充填した容器の口部に装着するキャップ基体の注出筒を中心より偏心した位置に設けたキャップにおいて、キャップ基体と容器の口筒を密封するようにしたキャップは、従来から周知である(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−1654号公報
【特許文献2】実用新案登録第3081895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のものは、容器内を密封するためにキャップ基体の上壁(天板2)の下面に、容器本体の口筒内周に挿入されるインナーリングを設けているため、容器の内口径に合わせてインナーリングを設ける位置を決めなくてはならず、一度インナーリングの位置を決めて成形すると、容器の口筒の外口径が同じでも、肉厚が異なり内口径が相違するものには使用できなかった。
そのため、内口径に合わせて金型も作らなくてはならず、生産量の少ない肉厚の容器に使用する際には、コストが高くなるという問題があった。
【0005】
また、引用文献2のものは、キャップ基体の上壁の下面に、環状パッキンを装着して、ある程度の内口径の違う容器に対しても対応することができるが、環状パッキンをキャップ基体に装着固定するためにある程度の広さが必要であり、注出筒をキャップ基体の外周縁近くの位置に設けようとした場合、注出筒の注出口が環状パッキンの装着部に妨げられ、注出することができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、容器の口筒部に装着するキャップ基体の注出筒を中心より偏心した位置に設けたキャップにおいて、容器の口筒の外口径が同じであれば、内口径の異なるものでも対応することができるとともに、注出筒をキャップ基体の外周縁部近くの位置に設けることのできるキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために、キャップとして、キャップ基体と上蓋、キャップ基体に装着されるパッキン部材とを具え、容器本体の口筒部に装着されるキャップにおいて、キャップ基体は、上壁と、上壁外縁に垂設され、口筒部外周と係合する係合筒とを具えており、上壁は、中心より偏心した位置に、注出口が穿設されるとともに、注出口外縁部に沿って、注出筒が立設され、上壁下面の中央には、パッキン部材を装着する係合内筒が垂設されており、パッキン部材は、所定の位置に複数の開口が配設されており、中央に係合内筒と係合する嵌挿口が穿設された内リング板を具えていることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
パッキン部材の実施例として、パッキン部材が、大径の外リング板と、外リング板の内周縁から複数のブリッジ板を介して連設される小径の内リング板とを具え、外リング板内周と内リング板外周、および、各ブリッジ板側部との間で開口が形成されていることを特徴とする構成を採用し、注出量を減少しないようにするために、上壁の注出口外縁部の下面に、注出口より拡径した拡径段部が凹設されていることを特徴とする構成を採用し、さらに、注出口とブリッジ板の位置が合致したとき、拡径段部とブリッジ板との間で液流出のための空間が確保されるようになっていることを特徴とする構成を付加する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、キャップ基体と上蓋、キャップ基体に装着されるパッキン部材とを具えたキャップにおいて、キャップ基体の上壁の下面中央に設けた係合内筒と、パッキン部材の中央に設けた嵌挿口が係合し、キャップ基体の内側にパッキン部材を装着するので、容器の口筒の外口径が同じであれば、内口径の異なるものでも対応することができる。
また、パッキン部材に複数配設した開口により、内容液の流路が確保できるので、キャップ基体の注出筒を外側周縁部近くの位置に設けることができる。
【0010】
さらにまた、注出筒の下面に拡径段部を形成して液流路としたから、注出口にパッキン部材のブリッジ板が当接しても、液流路が狭くならない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明キャップの断面側面図である。
【図2】本発明キャップの説明図で、(a)はキャップ基体の下面図、(b)はパッキン部材の斜視図である。
【図3】キャップ基体とパッキン部材の関係図で、(a)はキャップ基体の注出口の位置にパッキン部材の開口がある時、(b)はキャップ基体の注出口の位置にパッキン部材のブリッジ板がある時の図である。
【図4】容器本体の口内径が変わった時の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明のキャップについて、図面を参照して説明する。
図1において、Aは容器本体、Bはキャップ、CはキャップBに装着されるパッキン部材である。
【0013】
容器本体Aは、キャップBを装着する口筒部1を具えており、口筒部1の外周には、ねじ2が刻設されている。
また、口筒部1全体の口外径またはねじ2は、従来のものと同様であり、容器口部の厚さは、肉厚aをもって形成されている。
【0014】
キャップBは、キャップ基体B1と、キャップ基体B1の所定の位置にヒンジB2を介して連設される上蓋B3とからなっている。
【0015】
キャップ基体B1は、図1、2(a)に示すように、上壁5と、上壁5外縁に垂設され、内周が容器本体Aの口筒部1外周と係合する係合筒6が設けられている。
【0016】
ヒンジB2の反対側の上壁5の中央部と外縁との間には、注出口7が穿設され、注出口7外縁部に沿って、注出筒8が立設されている。
注出口7外縁部の下面には、注出口7より拡径された拡径段部9が凹設され、注出筒8の液流路が形成されている。
上壁5の下面中央には、パッキン部材Cを装着するための、下端部周縁に膨出部を具えた係合内筒10が垂設されている。
【0017】
係合筒6には、外周上部の所定の位置にヒンジB2が連設され、内周に、容器本体Aの口筒部1のねじ2と係合するねじ11が刻設されている。
【0018】
上蓋B3は、頂壁12と、頂壁12外縁に垂設され、下端部がキャップ基体B1の上壁5上部外縁部に設けた係合段部に係合し、キャップBを閉蓋する外周壁13と、頂壁12下面に配設され、閉蓋時に、キャップ基体B1の注出筒8内周に嵌挿される密封筒14が設けられている。
【0019】
パッキン部材Cは、図1、2(b)に示すように、大径の外リング板15と、外リング板15の内周縁から複数のブリッジ板16を介して連設され、中央部に配設された小径の内リング板17とを具えている。
また、外リング板15内周と内リング板17外周、およびブリッジ板16側部の間で、複数の開口18を形成している。
【0020】
外リング板15は、外縁がキャップ基体B1の係合筒6内方に挿入されるように形成されている。
内リング板17の内周縁は、キャップ基体B1の上壁5の係合内筒10外周と係合する嵌挿口19となり、パッキン部材Cをキャップ基体B1内に装着するようになっている。
【0021】
次に、本実施例のキャップの作用効果について、説明する。
本実施例のキャップは、まず、キャップ基体B1の上壁5下面の係合内筒10にパッキン部材Cの内リング板17の嵌挿口19を装着し、パッキン部材Cを上壁5下面に装着する。
次に、上蓋B3を閉じ、閉蓋したキャップBを容器本体Aの口筒部1に装着する。
そのことによって、パッキン部材Cの外リング板15の下面が口筒部1の上面に当接し、容器内を密封することができる。
【0022】
上蓋B3を開蓋し、容器本体A内の内容液を使用する際には、図3(a)に示すように、パッキン部材Cの開口18が流路となり、内容液をキャップ基体B1の注出口7に案内し、注出筒8により外に注出することができる。
【0023】
また、パッキン部材Cをキャップ基体B1に装着した際に、図3(b)に示すように、キャップ基体B1の注出口7の下側にパッキン部材Cのブリッジ板16が位置したとしても、上壁5下面の注出口7下面に設けた拡径段部9により空間が確保されているので、当該ブリッジ板16の近くの開口18から内容液が案内され、液流を妨げ、流出量を減少させることなく、注出筒8より注出することができる。
【0024】
本発明のパッキン部材Cは、容器本体の口筒部の内径が変わったときでも利用できる。
図4に示すように、容器本体Aaの口筒部1aの肉厚が、上記実施形態の肉厚aより太い肉厚bのもので口内径が小さくなったものであっても、パッキン部材Cの外リング板15の下面が、容器本体Aaの口筒部1aの上面に当接し、容器内を密封することができ、また、上壁5下面の注出口7外縁部下面に設けた拡径段部9により空間が確保されているので、液流を妨げ、流量出を減少させることなく、内容液を注出することができる。
すなわち、本発明のキャップは、容器本体の口筒部の口内径の大小に関わりなく使用し、密封することができるのである。
【0025】
また、キャップ基体B1の上壁5の係合内筒10とパッキン部材Cの内リング板17の嵌挿口19が係合し、パッキン部材Cがキャップ本体B1の係合筒6内側に装着され、外れることが防止されるので、キャップおよびパッキン部材を容器本体から外し、他の口筒部の口内径の異なる容器本体に付け替えて使用することができる。
【0026】
前記実施形態では、キャップ基体を、容器本体の口筒部にねじによって螺着したが、ねじに代え、それぞれに嵌合突条を設け、嵌合によって装着するようにしてもよい。
【0027】
前記実施形態では、キャップBを、キャップ基体B1と上蓋B3とをヒンジB2を介して連設したヒンジキャップとしたが、キャップ基体内側にパッキン部材を装着し、キャップ内を密封できればよいので、キャップ基体の上蓋に係合筒を立設し、上蓋を螺合式、或いは嵌合式としてもよく、キャップ自体の開閉構造は、上記実施形態に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明のキャップは、パッキン部材をキャップの中側に装着し、注出の際、流量を損なわず使用することができるとともに、容器本体の口筒部の口内径の大小に関わりなく注出し、密封することができるので、容器本体の口筒部の口内径の大小に関係しないキャップとして広く利用することができる。
とくに、詰め替え用容器などのキャップとして好適である。
【符号の説明】
【0029】
A、Aa 容器本体
B キャップ
B1 キャップ基体
B2 ヒンジ
B3 上蓋
C パッキン部材
a、b 肉厚
1、1a 口筒部
2、11 ねじ
5 上壁
6 係合筒
7 注出口
8 注出筒
9 拡径段部
10 係合内筒
12 頂壁
13 外周壁
14 密封筒
15 外リング板
16 ブリッジ板
17 内リング板
18 開口
19 嵌挿口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ基体と上蓋、キャップ基体に装着されるパッキン部材とを具え、容器本体の口筒部に装着されるキャップにおいて、
キャップ基体は、上壁と、上壁外縁に垂設され、口筒部外周と係合する係合筒とを具えており、
上壁は、中心より偏心した位置に、注出口が穿設されるとともに、注出口外縁部に沿って、注出筒が立設され、上壁下面の中央には、パッキン部材を装着する係合内筒が垂設されており、
パッキン部材は、所定の位置に複数の開口が配設されており、中央に係合内筒と係合する嵌挿口が穿設された内リング板を具えていることを特徴とするキャップ。
【請求項2】
パッキン部材が、大径の外リング板と、外リング板の内周縁から複数のブリッジ板を介して連設される小径の内リング板とを具え、
外リング板内周と内リング板外周、および、各ブリッジ板側部との間で開口が形成されていることを特徴とする請求項1記載のキャップ。
【請求項3】
上壁の注出口外縁部の下面に、注出口より拡径した拡径段部が凹設されていることを特徴とする請求項1または2記載のキャップ。
【請求項4】
注出口とブリッジ板の位置が合致したとき、拡径段部とブリッジ板との間で液流出のための空間が確保されるようになっていることを特徴とする請求項2または3記載のキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−42369(P2011−42369A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155115(P2009−155115)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】