説明

キャビネットの外部にプリンタを備えた作業キャビネット

【課題】作業室内で、処理物質が充填された容器にプリンタの出力印刷と一緒に迅速且つ安全にラベルを貼り付けることを確保すること。
【解決手段】一時的に処理物質を包囲する機能を果たす作業室103を備えている作業キャビネット100は、少なくとも1つの移送開口部104を備えており、当該移送開口部を介して、作業室が作業キャビネットの周囲空間に結合されている。少なくとも1つの移送開口部は更に、処理物質を取り込み且つ/又は取り出す機能を果たし且つ/又は前記作業室へのアクセスを提供するように機能する。作業キャビネットは更に、少なくとも1つのプリンタの移送開口部106を備えており、それによって、作業室は、作業キャビネットの近くに配置されているプリンタの印刷出力のための給送出口108に結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばクリーンルームの一部分、安全作業台の一部、隔離室の一部又は換気フード室の一部である作業キャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
クリーンルーム、安全作業台、隔離室及び換気フード室は、例えば研究開発、製品の製造及び製品の品質管理のような産業及び高等教育の極めて多くの領域において使用される。上記の構造の全てが作業室を備えた作業キャビネットを備えている。更に、全ての構造が、作業キャビネットで作業する人が、作業室の外、従って作業キャビネットの近くに配置される点で共通している。作業室は更に、換気装置に結合されており且つ当該作業室を作業キャビネットの外部環境に接続している移送開口部を備えている。これらの移送開口部は、処理物質を取り込んだり取り出したりするのを可能にする。更に、これらの移送開口部は、作業室内に手が届くのを可能にする。更に、これらの移送開口部は、自由にアクセス可能な開口部として又は気密通路として又は保護装置例えばゴム手袋を備えている穴として設計することができる。
【0003】
これらの装置の用途に応じて、換気装置は、作業室内に、周囲より低い圧力レベル又は周囲より高い圧力レベルを形成する。
周囲より高い圧力は、処理物質が雰囲気内で汚染されてはならない場合に作業室内に形成される。しかしながら、このことは、周囲環境内に有害な作用が形成されないことを必要とする。周囲より低い圧力は、作業キャビネット外にいる人が作業室内の材料から保護される必要がある場合に常に形成される。作業室内に永久的な低い圧力が形成される結果として、空気は、周囲空間から当該移送開口部を介して作業室内へ連続的に引き込まれる。このようにして、作業室から周囲へ有毒物質が流れ出すことを防止することができる。
【0004】
この種の装置は、例えば、DE 3617965 A1に記載されている。通風室と称される当該装置は、作業キャビネットを備えた作業台を含んでいる。当該作業キャビネットは、作業台面、右及び左側壁、後壁及び通風室の天井のみならず透明な前壁によって形成されている。完全に包囲されている作業室は、移送開口部を介して前側からアクセス可能である。
【0005】
これらの作業室においては、処理物質は、通常は分配量だけ測定されて一の容器から別の容器へ移され、混合され、加熱され又は冷却され、溶解される幾つかの場合には例えば粉末形態の物質が溶媒に添加される。これらのプロセスにおいては、種々の材料が処理されている間に混同又はラベルの貼り違えが発生しないように処理されることを確保する必要がある。個々の容器に正しく標識を付すことはまた、処理物質又は物質の正しい充填量が明記されることをも含む。容器は、通常は手で標識が付される。
【0006】
例えば、測定された量の例えば粉砕物質を自動的に分配する能力を提供する種々の分配供給装置が何年もの間入手可能であった。計量される量の重さは秤量セルによって記録される。容器に標識を付すために、秤量結果は、識別手段例えばバーコード又はマトリックスコードと一緒にプリンタ上に印刷出力することができる。印刷担持部材は、殆どの場合、手書きの情報の他に容器に貼り付けることができる自己接着性のラベルである。
【0007】
上記の方法は、全てに相当の注意を払った場合においてさえ、標識が手で付された容器のうちの一つに間違ったラベルが貼り付けられることが起こり得るという欠点を有する。更に、手による標識の貼り付けは、ある程度の時間を要し、これは、計量−分配プロセス全体にかかる時間を不必要に延ばし、従って、活性状態に包まれる人、例えば有毒な又は発癌性の物質を取り扱う人を高度な精神的ストレス状態に長時間晒すことになる。更に、作業者は、各分配過程の後に、彼らの手を洗浄するという指示に従うことなくキャビネット外にあるプリンタから作業室内へラベルを取り込むであろうという意味で、上記し且つ安全基準に適合する方法はオペレータによってときどき無視される。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】DE 3617965 A1公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明は、作業室内で、処理物質が充填された容器にプリンタの出力印刷と一緒に迅速且つ安全にラベルを貼り付けることを確保することを目的とする。更に、手による面倒な標識の貼り付けを排除することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、特許請求の範囲の請求項1に記載の作業キャビネットによって解決される。本発明の詳細及び更に展開された実施形態は、請求項1に従属する更に別の請求項に規定されている。
【0012】
一時的基準で処理物質を包囲する機能を果たす作業室を備えた本発明による作業キャビネットは、少なくとも1つの移送開口部を備えており、作業室は、当該移送開口部を介して作業キャビネットの周囲空間と接続されている。当該少なくとも1つの移送開口部は更に、処理物質を取り込み且つ/又は取り出す機能を果たし且つ/又は作業室へのアクセスを提供する機能を果たす。更に、作業室は、当該作業室内に存在する周囲より低い圧力を形成する機能を果たすことが好ましい換気装置に接続されている。当該作業キャビネットは更に、少なくとも1つのプリンタの移送開口部を備えており、それによって、作業室が、作業キャビネットに隣接して配備されているプリンタの印刷出力のための給送出口に接続されている。プリンタの出力のための給送出口がプリンタの移送開口部を介して作業室の内部へ達するか又はプリンタ出力のための給送出口が単にプリンタの移送開口部に隣接しているかは関係がない。プリンタ出力のための給送出口は、エアーダクトのような形状のハウジング部分を備えている。
【0013】
プリンタがキャビネット外に配置されているが印刷を担持している製品がプリンタの移送開口部を通って作業室内へと渡すことができる本発明による構成は多くの利点を有している。まず第一に、各分配−計量プロセスの後に、充填された容器はすぐさま、例えば充填重量、物質名及び識別コードが印刷された自己接着性ラベルのような印刷担持部材によって標識が付けられるので、上記した混合の危険性が排除される。一つの識別コードとして、バーコード、マトリックスコード又は一連の番号を使用することが考えられる。もちろん、印刷担持部材は更に、記憶貯蔵媒体例えばデータが電子的に記憶されるRFIDタグを含むことができる。
【0014】
第二の利点として、作業室内での手動による煩わしい標識付けがもはや存在しない。手による標識付けは、ラベル上に単に付着させるよりもかなり長い時間がかかるので、本発明による構造においては時間を節約することができる。
【0015】
第三に、手動によって標識を付された容器によって関係付けるためにプリンタによって形成されるラベルを事前に区分けする必要なく一連の計量−分配全体を行うことができる。
【0016】
第四に、プリンタは、作業キャビネットの内部ではなく作業キャビネットに隣接して配置されているので、如何なる危険性ももたらすことなく当該プリンタに常にアクセス可能である。例えば、プリンタは、危険性なく機能させることができ且つインクリボン及びラベルを再充填することができる。更に、オペレータが作業室内で作業しているときでさえ、プリンタの誤動作はいつでも修理することができる。
【0017】
上記したように、本発明による作業キャビネットは、有毒物質が作業キャビネットの外部環境を汚染し得るのを防止するために換気装置を備えている。従って、本発明の有利な更に展開された実施形態においては、印刷出力のための供給出口は、大気が作業キャビネット外の近くからプリンタの移送開口部を介して作業室内へ引き込まれるときに通る規定された取り込み穴を備えたハウジング部分を含んでいる。このことにより、処理物質がプリンタの移送開口部を通ってプリンタハウジングの内部へ漏れ出るのが防止される。このことが大切である理由は、プリンタハウジング上の残留物が、プリンタ内のラベルを補給しているときに例えばオペレータ及び環境を汚染し得るからである。周辺環境からの塵及び汚れが作業キャビネット内に入り込むのを防止するために、前記取り込み穴にはエアーフィルタを備えることができる。
【0018】
作業室内での秩序を守る方法として、作業室内のプリンタの移送開口部に隣接してプリンタの出力のための保持皿が配置されるのが好ましい。従って、印刷物は、必要なときにオペレータが取り出すことができる規定された場所を有している。当該保持皿には更に、ラベルが取り出されたか否かを指示する信号を例えば監視装置に送るセンサーを設けることができる。当該監視装置例えば製造計画制御装置又は制御調整装置は、印刷物が保持皿から取り出されるまで作業室内での次の作業が行うことができないようにプログラムすることができる。
【0019】
プリンタのタイプに依存して、印刷プロセス中に、プリンタハウジング内で多かれ少なかれ塵及び汚れが生成され得る。例えば、印刷出力給送出口のハウジング部分に取り出し穴が形成されていない場合又は取り出し穴が小さすぎる場合に、この塵及び汚れは、プリンタハウジングから印刷出力給送出口を通って作業室内へ達し得る。更に、特にサーマルプリンタの場合には、かなりの量の熱がプリンタハウジング内に発生され且つ同様に作業室全体に広がり且つ処理物質を汚染し得る。作業室内に装置を一時的に配置させることにより、塵及び汚れは作業室全体に広がり且つ処理物質を汚染し得る。更に、プリンタによって発生される熱い空気は、例えば作業室内に設置される敏感な測定装置に影響を及ぼし得る。
【0020】
上記の欠点を避ける方法として、本発明の更に別の実施形態における換気装置は、一端に配置された少なくとも1つの取り込み穴を備えている少なくとも1つの吸引ダクトを含むことができ、前記取り込み穴は、作業室内及びプリンタの移送開口部の領域に配置されている。この構造においては、プリンタの移送開口部内を流れ且つ塵及び汚れが装荷されるかも知れない熱い空気は、プリンタの移送開口部が作業室内に入る位置で直接吸い出すことができる。
【0021】
プリンタハウジングを処理物質から保護し又は処理物質が塵及び汚れによって汚染されるようになるのを防止する更に可能な方法に従って、プリンタの移送開口部又は印刷出力給送出口は、相対的に押と付けられる少なくとも2つのローラーを備えたエアーロックを含んでいる。印刷物が可撓性材料によって作られるのが好ましい2つのローラー間を前進せしめられつつある状態で、印刷出力の給送出口のダクト形状の断面は2つのローラーによってかなり閉塞された状態となる。
【0022】
上記と同じ目的はまた、印刷出力給送出口のプリンタ給送穴が回転ゲートを備えたエアーロックを備えている構造によって達成することもできる。
本明細書において後ほど述べるように、本発明による作業キャビネットは、必ずしも自立型設置である必要はない。当該作業キャビネットはまた、クリーンルームの一部分、安全作業台の一部分、隔離室の一部分、又は換気フード室の一部分とすることもできる。本発明による作業キャビネットは、更に、安全キャビネット又は秤量キャビネットに適用することもできる。前記移送開口部は、もちろん、閉塞手段例えばドア、跳ね蓋又は蓋を備えることもできる。
【0023】
作業室が、容器内への処理物質の分配量を自動的に分配するために使用されるものである場合には、給送速度を制御するために秤量セルを備えている小さな計量−分配装置が想到される。当該秤量セルは、分配プロセス中に容器の質量より特定すると容器の内容物を、連続的に記録し且つ秤量信号を処理器ユニットへ伝えるように機能する。当該処理器ユニットは、秤量信号をオペレータによって予め設定された目標値と連続的に比較する。秤量信号が目標値に適合するとすぐに、分配プロセスは停止される。秤量セルの測定精度が高くなればなるほど、秤量セルは、作業室内の空気の乱流のような外乱との反応に益々敏感になる。作業キャビネットは上記の理由により換気装置を備えているので、このような空気の乱流は避けることができない。従って、作業室内に少なくとも1つの通風遮蔽部材を備えた計量−分配装置を配置することが好ましい。ここで使用されている“通風遮蔽部材”という用語は、空気の乱流を秤量セルの敏感な部分のみならず好ましくは秤量セルの荷重受け部材に載置される容器から離隔状態に保つのに適しているハウジング又はバリアーを意味している。
【0024】
この通風遮蔽部材は更に、有毒物質が漏れ出すことに対する安全バリアーとして機能する。もちろん、本発明による作業キャビネットにおいては、通風遮蔽部材を備えた種類又は備えていない種類を含むあらゆる種類の重量測定装置も配置し且つ使用することができる。
【0025】
当該作業室は更に、ガス供給のための接続部を備えることができ、当該接続部に対して、計量−分配装置の通風遮蔽部材によって包囲された空間を接続することができる。従って、通風遮蔽部材内の内側空間には、例えば必要ならば保護ガスを注入することができる。更に、処理物質の保護のために周囲より高い圧力を通風遮蔽部材内に発生させることができる。通風遮蔽部材内の小さな漏れによって及び通風遮蔽部材が開いたときに、例えば微粉処理物質の微小粒子が作業室内へ逃げ込むことが起こり得る。換気装置によって惹き起こされる作業室内の周囲より低い圧力により及び周囲環境からの空気の流入によって、このような粒子は、換気装置によって連続的に抜き出され、従って、周囲環境内へ入り込まない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、プリンタの移送開口部を備えた本発明による作業キャビネットを、実施形態によって及び図面を参照して、より詳細に説明する。
図1には、作業キャビネット100が三次元図で概略的に示されている。作業キャビネット100は、前壁、2つの側壁及び天井壁からなるキャビネットハウジング101と、キャビネット床102とを備えている。キャビネットハウジング101とキャビネット床102とは、作業室103を包囲しており、このようにして、この空間を作業キャビネット100の周囲環境120から隔離している。キャビネットハウジング101は、作業室103内への遮られない視野を出来るだけ多く確保するために、透明材料によって作られるのが好ましい。キャビネットハウジング101の前壁には移送開口部104が形成されており、当該移送開口部は、外部環境120から作業室103へのアクセスを可能にしている。
【0027】
作業キャビネット100外の近く120には更にプリンタ105が配置されている。キャビネットハウジング101は、プリンタの移送開口部106を備えており、当該移送開口部106を介して、作業キャビネット100の近くに配置されているプリンタ105の印刷出力のためのダクト形状の給送出口が当該作業室内へ達することができる。このプリンタの移送開口部106によって、印刷物のための給送出口108は作業室103に結合されている。もちろん、給送出口108もまた、プリンタの移送開口部106に隣接するように配置することができ、その場合には、プリンタ105によって形成された印刷物は、プリンタの移送開口部106への接続部において給送出口108から出て行き且つ移送開口部106を通過して作業室103内へ入ることができる。
【0028】
作業キャビネット100は更に、キャビネットハウジング101の頂部に排気パイプとして図1に図示されている換気装置107を備えている。当該技術の公知の状況においては殆どの種々の形状の換気装置が提供されており、従って、本明細書において詳細な説明を提供することは不要であると考えられる。換気装置107の最も重要な特徴は、当該換気装置が周囲より低い圧力を作業室103内に形成する点及び周囲大気との圧力差の結果として、外気が、周囲空間120から移送開口部104及びプリンタの移送開口部106を介して作業室103内へ流れることができる点である。
【0029】
もちろん、印刷物のための給送出口108は、ここでは図示されていない取り込み穴を備え、当該取り込み穴を介して外気が作業キャビネット100の周囲環境120から引き込まれ、プリンタの移送開口部106を介して作業室103内へ流れる。これによって、処理物質がプリンタの移送開口部106を介してプリンタハウジングの内部へと入ることが防止される。このことが重要である理由は、プリンタハウジング上の残留物が、例えばオペレータ及び環境を汚染し得るからである。外部環境からの塵及び汚れが周囲環境から給送出口108内へ入り且つ作業キャビネット103内へ入るのを防止するために、前記取り込み穴にエアーフィルタを設けることができる。
【0030】
図2は、図1の作業キャビネットの三次元図であり、当該図面においては、計量−分配装置130が作業キャビネット100の作業室103内に配置されている。計量−分配装置130の分配ヘッドの下方には、計量された物質の分配を受け取るようになされた容器140を見ることができる。図2において破線で描かれている計量−分配装置130は、概略的形態で描かれている通風遮蔽部材131によって包囲されている。ハンドル133によって指示されて通風遮蔽部材133が開かれると、計量−分配装置130への自由なアクセスが可能になる。
【0031】
更に、通風遮蔽部材131内へ入っているガス接続部132が図示されている。このガス接続部132は、通風遮蔽部材131に関連して特に重要である。処理物質の汚染が排除されるべきである場合又は処理物質が何らかの条件下では大気と接触状態とならないかも知れない場合には、計量−分配プロセスに先立ってガス接続部132を介して、通風遮蔽部材131の内部空間に適切なガス媒体例えば保護ガスを注入することができる。保護ガスが空気よりも重い場合には、容器140は、計量−分配プロセスの後に通風遮蔽部材131が開放された場合においてさえ、保護ガスを注入された状態のままとなる。
【0032】
図3には、プリンタの移送開口部106の領域における作業キャビネットの詳細が正面断面図で概略的に示されている。キャビネットハウジング101、作業室103、キャビネット床102及び印刷物の給送出口108の第一の設計態様は、図1及び2に示されているユニットに類似している。作業室103内へ達する端部においては、印刷物の給送出口108は保持皿206を備えている。プリンタ205によって印刷された印刷物260例えば自己接着性ラベルは、保持皿206内へ滑り込み、そこからオペレータが取り出すことができる。その結果、完了したばかりのサンプルに適したラベルが常に入手可能であり且つ例えば終了した各計量−分配プロセスの後に印刷された直後にサンプルに貼り付けられる。保持皿206は、例えば、印刷物が付されたか否かを示し且つ例えば上記した計量−分配装置の制御及び調整装置に伝えることができる信号を発するセンサーを備えていても良い。当該制御及び調整装置は、印刷物260が保持皿206から取り出された後でなければ次に続く計量−分配プロセスを行うことができないようにプログラムすることができる。
【0033】
図1及び2に示されている実施形態とは異なり、換気装置(ここでは図示されていない)に接続されている空気吸引ダクト207が作業室102内に配置されている。空気吸引ダクト207の取り込み穴208が保持皿206の上方に配置されている。取り込み穴208をこのように配置することによって、空気が、一方では印刷物のための管状給送出口108から引き出され、他方では作業室103から引き出される。給送出口108内の空気の流れによってガス及び粒状物質が作業室103からプリンタの内部空間内へ漏れ出すのが防止される。この構造は更に、塵及び汚れ例えばプリンタのトナーが作業室103内へ入るのも阻止する。
【0034】
換気装置の所定の吸引力を得るための給送出口を通って流れる明確に規定された空気の流れを得るために、給送出口108には、規定された断面積の吸引取り込み穴201を備えることができる。当該空気の流れは更に、給送出口108内での印刷物の動きを支援する機能を果たすことができる。吸引取り込み穴201には更に、フィルタ(図示せず)を備えることができる。
【0035】
給送出口108及び保持皿206の領域内の空気の流れの細かい調整をすることができるようにするために、空気吸引ダクト207は、調整可能な空気フラップ210を備えることができる。
【0036】
図4は、同様に、プリンタの移送開口部106の領域内の作業キャビネットの詳細を正面断面図で概略的に図示している。キャビネットハウジング101、作業室103及びキャビネット床102は、図2及び3に示したユニットと類似しているが、図4は、印刷物のための給送出口308の第二の設計態様を示している。ダクト形状の給送出口308内にはエアーロックが配置されている。このエアーロックは、基本的に第一のローラー310と第二のローラー311とを備えている。ローラー310、311の回転軸線は、給送出口308の長手方向に直角に延びている面内で相互に平行に配置されている。ローラー310、311の直径は、ローラー310、311の円筒形面が1つの直線に沿って相互に接触するように選択されている。ローラー310、311は、印刷物360をローラー310、311の間で自由に動かすことができるように弾性部材によって作られている。当該ローラーは、駆動機構(図示せず)によって駆動されるのが好ましい。プリンタとローラー310、311との間の給送出口308の内部形状は、印刷物360が2つのローラー310、311間を通過するように拘束される形状とされているのが好ましい。
【0037】
ローラー310、311が汚れを集めるのを防止する手段として、適当な位置にブラシ301を配置することができる。これらのブラシ301は、導電性材料によって作られ且つ印刷物360及び/又はローラー310、311の静電荷を排除することができるように接地されるのが好ましい。
【0038】
図5は、同様に、プリンタの移送開口部106の領域内の作業キャビネットの詳細を正面断面図で概略的に示している。キャビネットハウジング101、作業室103及びキャビネット床102は、図1、2及び3に示されているユニットに類似している。更に、印刷物のための給送出口408の第三の設計態様が示されている。図4におけるように、エアーロックは、ダクト形状の給送出口408の内部に配置されている。図5の実施形態におけるエアーロックは、回転ゲート401によって形成されている。回転軸線が給送出口408に直角に延びている面内に配置されているゲート401は凹部402を備えている。プリンタが印刷物460を出力するとすぐに、印刷物460は、給送出口408のダクトの中を滑って凹部402内へ入る。重力方向に対する給送出口408のダクトの傾斜角度は、印刷物460が重力によって引っ張られて当該ダクト内を滑って凹部402内へ入るように選択される必要がある。次に、回転ゲート401は、矢印で示された方向に約120°だけ回転せしめられ、それによって、印刷物460は保持皿406へと送られる。エアーロックは給送出口408の空気通路の断面積を2〜3の狭い隙間へと狭めるけれども、依然としてこれらの隙間を介して少量の空気が作業室103内へ抜き取られ得る。もちろん、適当な設計構造例えば迷路壁及び弾性密封手段によってこれらの隙間を全体的に排除することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上、本発明を特定の実施形態によって示したけれども、例えば、個々の実施形態の特徴を相互に組み合わせ且つ/又は実施形態の個々の機能ユニットを相互に交換することによって、本発明の知識から形成することができる多くの更に別の変形例が明らかに存在する。特に、例えば作業キャビネットがより大きな自動化された装置の構成部品として使用される場合には、本発明の主題を組み込んだ更に別の実施形態を想定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、前面に配置された移送開口部、横方向に配置されたプリンタの移送開口部及び作業キャビネットに隣接して配置されたプリンタを備え、印刷物のための給送出口がプリンタの移送開口部に結合されている作業キャビネットの三次元概略図である。
【図2】図2は、図1の作業キャビネットの概略三次元図であり、通風遮蔽部材が設けられた計量−分配装置が当該作業キャビネットの作業室内に配置されている。
【図3】図3は、印刷物のための給送出口の第一の設計態様を備えたプリンタの移送開口部の領域における作業キャビネットの詳細を概略的に示している断面図である。
【図4】図4は、印刷物のための給送出口の第二の設計態様におけるプリンタの移送開口部の領域における作業キャビネットの詳細を概略的に示している断面図である。
【図5】図5は、印刷物のための給送出口の第三の設計態様におけるプリンタの移送開口部の領域における作業キャビネットの詳細を概略的に示している断面図である。
【符号の説明】
【0041】
100 作業キャビネット、
101 キャビネットハウジング、
102 キャビネット床、
103 作業室、
104 移送開口部、
205,105 プリンタ、
106 プリンタの移送開口部、
107 換気装置、
408,308,108 印刷物のための給送出口、
120 周囲環境、周囲空間、
130 計量−分配装置、
131 通風遮蔽部材、
132 ガス接続部、
133 ハンドル、
140 容器、
201 取り込み穴、
406,206 保持皿、
207 空気吸引ダクト、
208 取り込み穴、
209 プリンタハウジング、
210 空気フラップ、
460,360,260 印刷物、
301 ブラシ、
311,310 ローラー、
401 回転ゲート、
402 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一時的に処理物質を包囲する機能を果たす作業室(103)を備えた作業キャビネット(100)であり、作業室(103)を作業キャビネット(100)外の周囲空間(120)に接続している少なくとも1つの移送開口部(104)を備えており、当該少なくとも1つの移送開口部(104)は、前記処理物質を取り込み且つ/又は取り出す機能及び/又は作業室へのアクセスを提供する機能を果たし、前記作業室(103)に接続され且つ作業室(103)内に周囲より低い圧力を形成する機能を果たす換気装置(107)を更に備えており、更に、作業キャビネット(100)外の空間(120)に設置されているプリンタ(105,205)の印刷出力のための給送出口(108,308,408)が作業室(103)に接続されるときに経由する少なくとも1つのプリンタの移送開口部(106)を更に備えていることを特徴とする作業キャビネット。
【請求項2】
請求項1に記載の作業キャビネット(100)であり、
前記プリンタの移送開口部(106)が、規定された取り込み穴(201)を備えたハウジング部分を備え、当該取り込み穴(201)を介して、作業キャビネット(100)の周囲空間(120)からの周囲空気が前記プリンタの移送開口部(106)を介して作業室(103)内へ引き込まれることを特徴とする作業キャビネット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の作業キャビネット(100)であり、
プリンタ(105,205)の印刷物(260,360,460)のための保持皿(206,406)が、作業室(103)の内側のプリンタの移送開口部(106)の領域内に配置されていることを特徴とする作業キャビネット。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の作業キャビネット(100)であり、
前記換気装置(107)が、少なくとも1つの吸引ダクト(207)を備えており、当該吸引ダクトの端部に、少なくとも1つの取り込み穴(208)が配置されており、当該取り込み穴(208)は、前記作業室(103)の内側及び前記プリンタの移送開口部(106)の領域に配置されていることを特徴とする作業キャビネット。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の作業キャビネット(100)であり、
前記プリンタの移送開口部(106)又は前記印刷物のためのプリンタの給送出口(108,308,408)が、相互に押し付けられている少なくとも2つのローラー(310,311)を備えたエアーロックを備えていることを特徴とする作業キャビネット。
【請求項6】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の作業キャビネット(100)であり、
前記プリンタの移送開口部(106)又は前記印刷物のための給送出口(108,308,408)が、回転ゲート(401)を備えたエアーロックを備えていることを特徴とする作業キャビネット。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の作業キャビネット(100)であり、
当該作業キャビネット(100)が、クリーンルームの一部分、安全作業台の一部分、隔離室の一部分又は換気フード室の一部分であることを特徴とする作業キャビネット。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の作業キャビネット(100)であり、
少なくとも1つの計量−分配装置(130)又は通風遮蔽部材(131)を備えた重量測定装置が作業室(130)内に配置されていることを特徴とする作業キャビネット。
【請求項9】
請求項8に記載の作業キャビネット(100)であり、
前記作業室(103)が、前記計量−分配装置(130)の通風遮蔽部材(131)によって包囲されている空間に接続することができるガス接続部(132)を備えていることを特徴とする作業キャビネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−166233(P2009−166233A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1325(P2009−1325)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland
【Fターム(参考)】