説明

キャビネット構造

【課題】スムーズに出し入れできるキャスター付き引出しを備えたキャビネット構造を提供する。
【解決手段】キャビネット本体2の底側に収納される閉位置からキャビネット本体2の前方へ引き出される開位置に亘り、前後方向に移動可能にキャスター7付きの引出し6を設け、キャスター付きの引出し6の前後方向移動をガイドし、かつ閉位置において引出し6の前板6aと当接し、開位置では引出し6のクッション11と当接して、ストッパーとなる車輪10を備えたガイド部材を、キャビネット本体2の底側横フレーム2cに固設して構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャスター付きの引出しを後付けできるキャビネットの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、キャスター付き引出しを、キャビネットの外に出し入れ可能な、キッチン用ベースキャビネットが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−143830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されているキャスター付き引出しでは、ベースキャビネットから引き出したり、ベースキャビネットに入れる際に、キャスターが蛇行し、スムーズに出し入れできない状態が生ずるという問題点があり、また、ストッパーがないため、入れた状態あるいは引き出した状態で停止させることはできず、引出しとして良好に使用することができないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、蛇行することなくスムーズに出し入れすることができ、しかも閉位置および開位置で良好に止めることができるキャスター付きの引出しを備えたキャビネット構造の提供を目的とし、この目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明のキャビネット構造は、キャビネット本体の底側に収納される閉位置から、キャビネット本体の前方へ引き出される開位置に亘り、前後方向に移動可能にキャスター付きの引出しを配設し、
該キャスター付きの引出しの前後方向移動をガイドし、かつ前記閉位置および開位置でのストッパーとなる車輪を備えたガイド部材を、前記キャビネット本体に固設したことを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
キャビネット本体に固設したガイド部材の車輪が、キャスター付きの引出しを出し入れする際のガイドとなり、キャスター付き引出しを蛇行することなくキャビネット本体に対しスムーズに出し入れすることができるものとなり、また、車輪がストッパーとなって、キャスター付きの引出しを引き出した位置で停止させることができ、また、キャスター付きの引出しをキャビネット本体の底側に収納させた状態でも良好に停止させることができ、キャスター付き引出しを通常のレール引出しと同様に使用することができ、使用勝手が良好なものとなる。
【0007】
また、本発明のキャビネット構造において、前記ガイド部材を、キャビネット本体を構成するフレームに固設したものとすることもできる。
こうすれば、キャビネット本体を設置した状態で、キャビネット本体の底側のフレームにガイド部材を固設して、ガイド部材を後付けすることにより、キャスター付き引出しをキャビネット本体の底側に追設できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】キャビネット本体の底側にキャスター付き引出しを収納した状態の洗面台の斜視構成図である。
【図2】底側のキャスター付き引出しを前方側へ引き出した状態の洗面台の斜視構成図である。
【図3】キャスター付き引出しの収納状態の洗面台の側面配置構成図である。
【図4】キャスター付き引出しを引き出した状態の洗面台の側面配置構成図である。
【図5】キャスター付き引出しを収納した時のキャビネット本体に対する配置状態を示す平面構成図である。
【図6】引出しを引き出した時のキャビネット本体に対する配置状態を示す平面構成図である。
【図7】ガイド部材の平面構成図である。
【図8】ガイド部材の正面構成図である。
【図9】ガイド部材の側面拡大構成図である。
【図10】キャビネット本体側のフレームとガイド部材の分解斜視図である。
【図11】左右に分割したガイド部材をキャビネット本体のフレームに取り付ける前の分解斜視図である。
【図12】変更例を示し、引出しを引き出した時の配置状態を示す平面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、キャビネット本体の底側に引出しを収納した状態の洗面台の斜視構成図であり、図2は、底側の引出しを前方側へ引き出した状態の洗面台の斜視構成図である。また、図3は、引出しを収納した状態の洗面台の側面構成図であり、図4は、引出しを前方側へ引き出した状態の洗面台の側面構成図である。さらに、図5は、引出しを収納した時のキャビネット本体に対する配置状態を示す平面構成図であり、図6は、引出しを前方側へ引き出した時の配置状態を示す平面構成図である。
【0010】
洗面台1は、キャビネット本体2の上面にカウンター3が載置されて構成され、カウンター3には、洗面ボウル3aが設けられ、後方側に水栓4が立設されている。
また、キャビネット本体2の左右側面には側板2aが設けられ、キャビネット本体2の前面側には扉5が設けられている。
【0011】
キャビネット本体2は、アルミニウム製の縦フレーム,横フレームで骨組みされており、下方側に向かって脚部2b,2bが垂設されている。
このキャビネット本体2の左右の脚部2b,2b間に、キャスター付きの引出し6が配置されており、引出し6は、キャビネット本体2の底側に収納される閉位置から、キャビネット本体2の前方側へ引き出される開位置に亘り、前後方向に移動可能である。
【0012】
引出し6は、前板6aと、左右側の側板6b,6bと、底板6cと、背面側の背板6dにより、上面側が開放された収納空間Sを形成しており、収納空間S内に収納物を収納できるものである。
なお、左右の側板6b,6bは、背板6dよりも更に後方側へ向かって延びており、背板6dが、キャビネット本体2の底側に設けられている配管ボックスBと干渉しないように構成されている。
なお、背板6dは、前板6aおよび左右の側板6b,6bの高さよりも高さが低く設定されている。
引出し6の下面には、複数のキャスター7,7,7が取り付けられており、このキャスター7,7が床面上を転動することにより、引出し6を床面上で自由に移動させることができる。
【0013】
キャビネット本体2の底側の横フレーム2cから後方側へ延びてキャビネット本体2の底板2dが配置されているが、横フレーム2cの下面には、車輪10,10を備えた図7および図8に示すようなガイド部材9がビスにより取り付け固定されており、引出し6がキャビネット本体2の底側に収納された閉状態(図1および図3および図5)では、ガイド部材の車輪10,10に引出しの前板6aの裏面が当接し、車輪10,10がストッパーとなって引出し6が閉状態で停止されるものである。
【0014】
また、引出し6の左右の側板6b,6bの背板6dよりも後方側の内側面には、それぞれクッション11,11が金具を介して取り付けられており、引出し6を前方へ引き出した開状態(図2および図4および図6)では、このクッション11,11が車輪10,10に当接して引出し6が開状態で停止されるものである。
なお、左右の車輪10,10は引出し6の左右の側板6b,6bの上端内面に当接した状態に配置されており、引出し6を前後方向に移動させる際に、車輪10,10が左右の側板6b,6bに沿って転動し、車輪10,10にガイドされて引出し6は蛇行することなくスムーズに前後方向に移動することができるものである。
【0015】
このように左右側に配置された車輪10,10により、引出し6の前後方向移動がガイドされ、かつ、引出し6の閉位置および開位置では、車輪10,10がストッパーの役目を果たし、これにより引出し6は通常のレール引出しと同様にスムーズに前後方向に移動して、所定位置で停止させることができ、通常のレール引出しと同様の使用勝手が得られる。
【0016】
なお、キャビネット本体2の底側の横フレーム2cに取り付け固定されるガイド部材9は、図7において平面図で、また図8において正面図で、また図9において側面拡大図で示すような構造となっており、図10では、ガイド部材9をキャビネット本体側の横フレーム2cに取り付ける前の分解図を示す。
【0017】
ガイド部材9は、ビス孔9dを有する水平状の固定片9aの後端に、垂直に垂直片9bが一体化されており、垂直片9dの下端から、後方側へ水平に延びて水平支持片9cが一体形成されており、この水平支持片9cの下面に軸部10aが垂設されて、軸部10aの下端に水平面内で回転可能に車輪10が設けられている。この車輪10は、ガイド部材9の左右端側にそれぞれ設けられている。
【0018】
なお、キャビネット本体の底側の横フレーム2cは、上面片21と平行な底片22間が立上片23で連結されており、この立上片23の下端には、底片22から連続して後方側へ延びる取付片24が形成されている。
この横フレーム2cの取付片24に対し、ガイド部材9の固定片9aを下面側から当接させて、ビス孔9d内に下方からビス13を差し込み、ビス13を横フレーム2cの取付片24に締め付けることで、横フレーム2cの取付片24にガイド部材9をビス13を介して後付けすることができる。
即ち、キャビネット本体2を購入して設置した後であっても、キャビネット本体の横フレーム2cにガイド部材9を取り付けて、後発的に引出し6を設けて、キャビネットアレンジを簡単に行うことができるものである。
【0019】
なお、引出し6は前後方向にスムーズに移動して、引出しとして良好に使用することができるが、図4のように前方側へ引き出した状態で、前板6aの上端に設けられている取っ手8に指を掛けて上方へ持ち上げ、前方側へ引き出すことにより、クッション11が車輪10を乗り越え、引出し6を完全に前方側へ引き出すことができ、キャビネット本体2から完全に引出し6を引き出した状態では、引出し6は床面を転がしながら自由に移動させることができるものである。
【0020】
なお、図11にはガイド部材の変更例を示す。
図11では、左右のガイド部材9,9が分割されたものであり、このように分割された左右のガイド部材9を、キャビネット本体の横フレーム2cの下面の左右端側にビス13で取り付けて構成しても、左右のガイド部材9,9にそれぞれ設けられている車輪10,10が、引出し6の側板6b,6bの内面に当接して、引出し6の前後方向への移動時に引出し6を良好にガイドすることができ、しかも、車輪10は引出し6の閉状態では、引出しの前板6aの裏面に当接し、また、引出し6を引き出した開状態では、車輪10がクッション11に当接して、車輪10はストッパーの役目を良好に果たすことができるものである。
【0021】
なお、図12の平面配置構成図で示すように、キャビネット本体2の左右の脚部2b,2bに別の車輪12,12をそれぞれ取り付け、この車輪12,12をそれぞれ引出し6の側板6b,6bの外面に当接するように配置しておけば、ガイド部材9の車輪10が側板6bの内面に当接し、別の車輪12が側板6bの外面に当接して、車輪10と車輪12で側板6bを挟み込むことができ、これにより、引出し6を前後方向に移動させる際に、がたつきが少なくなり、極めてスムーズに引出し6を前後方向に移動させることができるものとなる。
【符号の説明】
【0022】
1 洗面台
2 キャビネット本体
2a 側板
2b 脚部
2c 底側横フレーム
3 カウンター
6 引出し
6a 前板
6b 側板
6c 底板
6d 背板
7 キャスター
9 ガイド部材
9a 固定片
9c 水平支持片
10 車輪
10a 軸部
11 クッション
12 車輪
13 ビス
S 収納空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネット本体の底側に収納される閉位置から、キャビネット本体の前方へ引き出される開位置に亘り、前後方向に移動可能にキャスター付きの引出しを配設し、
該キャスター付きの引出しの前後方向移動をガイドし、かつ前記閉位置および開位置でのストッパーとなる車輪を備えたガイド部材を、前記キャビネット本体に固設した
ことを特徴とするキャビネット構造。
【請求項2】
前記ガイド部材を、キャビネット本体を構成するフレームに固設したことを特徴とする請求項1に記載のキャビネット構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−42967(P2013−42967A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183175(P2011−183175)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】