キャビネット用ステー及びそれを用いたキャビネット
【課題】 簡単な構成で、本体側取付部に対する本体側ステーアームの回動速度が回動中に調整されるキャビネット用ステー、及びキャビネットを提供することである。
【解決手段】 筐体側ステーアーム6の窪み部12に第1及び第2のアーム位置移動板13,14を収容するとともに、取付座5と筐体側ステーアーム6との間に摩擦抵抗付与板19を介装する。第1及び第2のアーム位置移動板13,14には、対向して第1及び第2の凸部23,24が設けられている。筐体側ステーアーム6の回動中に第1凸部23を第2凸部24に乗り上げさせて、筐体側ステーアーム6を回動軸線P1方向に移動させ、筐体側ステーアーム6と摩擦抵抗付与板19との間の摩擦抵抗を増大させる。
【解決手段】 筐体側ステーアーム6の窪み部12に第1及び第2のアーム位置移動板13,14を収容するとともに、取付座5と筐体側ステーアーム6との間に摩擦抵抗付与板19を介装する。第1及び第2のアーム位置移動板13,14には、対向して第1及び第2の凸部23,24が設けられている。筐体側ステーアーム6の回動中に第1凸部23を第2凸部24に乗り上げさせて、筐体側ステーアーム6を回動軸線P1方向に移動させ、筐体側ステーアーム6と摩擦抵抗付与板19との間の摩擦抵抗を増大させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネットの筐体と扉に跨って取り付けられるキャビネット用ステー、及びそれを用いたキャビネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のキャビネット用ステーとして、特許文献1及び2に開示されるものがある。これらの文献に開示されたステーは、ブレーキ体としてのオイルが封入されたダンパーを使用するものであるため、オイルが漏れることを確実に防止しなければならず、組付けに注意を要する。また、周方向に区切られた2室間でオイルを出入りさせるため、ステーアームの回動角を大きくとることが困難であり(通常の場合、160°以下)、扉を、例えば180°以上に開けたい場合に使用することが困難である。更に、周辺の温度変化によってオイルのブレーキ力が変化するおそれがある。
【0003】
上記の不具合を解消するため、本出願人もステーの発明を出願している(特許文献3を参照)。この発明では、螺旋体(ねじりコイルばね)を用いたクラッチ機構と摩擦抵抗機構とを備え、ステーに確実に摩擦抵抗を発生させることができる。
【0004】
しかし、ステーに作用する摩擦抵抗は常に一定であり、扉の開閉工程途中で調整することは困難である。したがって、扉の開閉動作の終了が近づくにつれ、扉の自重によるモーメントが次第に大きくなり、特に重量の大きい扉では、閉鎖時において振動や騒音が発生するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−254565号公報
【特許文献2】特開2001−329745号公報
【特許文献3】特開2009−19478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑み、本体側取付部に対する本体側ステーアームの回動速度が自身の回動中に容易に調整され、しかもそのことが扉の大きさや重量に拘らず、簡単な構成で実現できるキャビネット用ステー、及びキャビネットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、
キャビネットの扉に固定される扉側取付部と、前記キャビネットの本体に固定される本体側取付部と、それら扉側取付部及び本体側取付部に対して互いに平行状に配置された扉側回動軸線及び本体側回動軸線の周りでそれぞれ回動可能に取り付けられ、中途位置での屈曲により前記扉を閉鎖し、伸長により前記扉を開放するために折れ曲がり可能な一対のステーアームとを備えるキャビネット用ステーであって、
前記一対のステーアームのうち、前記本体側取付部に取り付けられる本体側ステーアームと前記本体側取付部との間に介装され、前記本体側ステーアームに摩擦抵抗を付与する摩擦抵抗付与部材と、
前記本体側取付部に対する本体側ステーアームの本体側回動軸線方向における位置を、前記本体側回動軸線の周方向に沿って連続的又は断続的に変化させることにより、本体側ステーアームの回動中において本体側ステーアームの位置を前記本体側回動軸線方向に移動させるアーム位置移動部材と、を備え、
前記アーム位置移動部材により回動途中の本体側ステーアームを前記本体側回動軸線方向に移動させることにより、前記摩擦抵抗付与部材によって前記本体側ステーアームに付与される摩擦抵抗を増減可能とすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るキャビネット用ステーは、上記したように構成されていて、本体側ステーアームに摩擦抵抗を付与する摩擦抵抗付与部材と、本体側ステーアームの回動中に該本体側ステーアームを移動させ、摩擦抵抗付与部材によって本体側ステーアームに付与される摩擦抵抗を増減するアーム位置移動部材とを備えている。このため、本体側ステーアームの回動中、その回動角度に応じて本体側ステーアームに作用する摩擦抵抗が増減する。これにより、キャビネット用ステーに連結され、本体側ステーアームの回動によって開閉される扉が重量物であって、自重によって急速に回動しようとする扉に摩擦抵抗が付与され、該扉を緩速に開閉させることができる。即ち、本体側ステーアームの回動速度が、自身の回動中に調整される。このための部材はアーム位置移動部材だけで済み、その構成も簡単である。この結果、扉の開閉時の振動や騒音の発生が防止されるとともに、例えば扉の閉鎖時に、使用者が扉とキャビネットの本体との間に指を挟んでしまう「指詰め」も防止できる。
【0009】
前記摩擦抵抗付与部材と前記アーム位置移動部材とは、前記本体側回動軸線方向において、前記本体側ステーアームを挟んで振り分け配置されるとともに、
前記本体側ステーアームと前記摩擦抵抗付与部材には、常時接触状態で対向する第1対向面部が形成される一方、前記本体側ステーアームと前記アーム位置移動部材には、常時接触状態で対向する第2対向面部が各々一体的に形成することができる。
【0010】
アーム位置移動部材を、本体側ステーアームに直接設けてもよい。また、アーム位置移動部材を本体側ステーアームと別体とし、本体側ステーアームと一体的に作動するようにしてもよい。
【0011】
そして、前記第1対向面部では、前記本体側回動軸線方向で向き合う前記本体側ステーアームと前記摩擦抵抗付与部材の各々の端面同士が常に全面で接触する一方、前記第2対向面部では、前記本体側回動軸線方向で向き合う前記本体側ステーアームと前記アーム位置移動部材の各々の端面同士が部分的に接触する。
【0012】
前記第2対向面部において、前記本体側ステーアーム及び前記アーム位置移動部材の端面には、前記本体側ステーアームの回動時に回動軌跡が重なり合うように凸部がそれぞれ前記本体側回動軸線方向に対向して形成され、
前記本体側ステーアームが前記本体側回動軸線周りに回動するのに伴い、一方の凸部が他方の凸部に乗り上げることにより、前記本体側ステーアームの位置が前記本体側回動軸線方向に移動するようにできる。
【0013】
また、前記第2対向面部において、前記本体側ステーアーム及び前記アーム位置移動部材の端面には、前記本体側ステーアームの回動時に回動軌跡が重なり合うように、いずれか一方に凸部が、他方に凹部がそれぞれ前記回動軸線方向に対向して形成され、
前記本体側ステーアームが前記本体側回動軸線周りに回動するのに伴い、一方の凸部が他方の凹部に入り込むことにより、前記本体側ステーアームの位置が前記本体側回動軸線方向に移動するようにできる。
【0014】
即ち、第2対向面部に設けられた凸部同士が互いに乗り上げることによって、本体側ステーアームの位置を本体側回動軸線方向に移動させることができる。また、第2対向面部に設けられた凸部が凹部に入り込むことによって、本体側ステーアームの位置を本体側回動軸線方向に移動させることもできる。
【0015】
前記凸部は、前記アーム位置移動部材の端面に突出形成され、該端面からの突出量が周方向に連続的に大きくなる上り面と、前記上り面の終端部から前記端面と平行に設けられる平坦面と、前記平坦面の終端部から前記突出量が周方向に連続的に小さくなって前記端面と接続する下り面とを備えている。
【0016】
また、前記凹部は、前記アーム位置移動部材の端面に窪み形成され、該端面からの没入量が周方向に連続的に大きくなる下り面と、前記下り面の終端部から前記端面と平行に設けられる平坦面と、前記平坦面の終端部から前記没入量が周方向に連続的に小さくなって前記端面と接続する上り面とを備えている。
【0017】
そして、前記本体側ステーアームにおける前記本体側取付部の側の端部には、前記本体側取付部の位置する側とは反対向きに開口する窪み部が形成されている場合、前記アーム位置移動部材を窪み部に収容することができる。これにより、本体側ステーアームをコンパクトにすることができる。
【0018】
更に、周方向の一端部が前記本体側ステーアームに係止され、前記本体側ステーアームと一体に回動するコイル状の螺旋体と、
前記アーム位置移動部材を収容可能な円筒状で、前記螺旋体の内側に挿通されてその螺旋体とともに回動可能なケース体と、を有し、
前記本体側ステーアームが前記扉を閉鎖又は開放するいずれか一方向側に回転するとき、前記螺旋体はその内径が拡大することによって前記ケース体と遊嵌状態となって単独回転し、前記本体側ステーアームが他方向側に回転するとき、前記螺旋体はその内径が縮小することによって前記ケース体と密嵌状態となって一体回転するクラッチ機構を設けてもよい。この場合、クラッチ機構により、本体側ステーアームの回動速度を更にきめ細かく調整することができる。
【0019】
そして、上記課題を解決するための本発明のキャビネットは、上記したキャビネット用ステーを使用したことを特徴としている。
【0020】
これにより、本体側取付部に対する本体側ステーアームの回動速度が自身の回動中に調整され、しかもそのことが扉の大きさや重量に拘らず、簡単な構成で実現できるキャビネットを提供することができる。
【0021】
このキャビネットにおいて、前記扉側回動軸線及び本体側回動軸線は水平状に配置され、
前記摩擦抵抗付与部材は、前記本体側ステーアームに対し、前記扉の重力作用方向とは逆方向に摩擦抵抗を付与し、
前記アーム位置調整部材は、前記扉の開閉途中において前記本体側ステーアームを前記本体側回動軸線方向に移動させることにより、前記摩擦抵抗を増大させる。
【0022】
また、前記キャビネットの扉は、前記キャビネットの本体に対して円弧状に回動することによって開閉され、
前記本体側回動軸線方向における前記本体側ステーアームの移動量は、前記扉の重心におけるモーメントが最大となる位置で最大となることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a),(b)はキャビネット4の模式図である。
【図2】本発明の第1実施例のステー101の斜視図である。
【図3】同じく分解斜視図である。
【図4】筐体側ステーアーム6の側面断面図である。
【図5】同じく分解状態の断面図である。
【図6】同じく正面図である。
【図7】第1及び第2のアーム位置移動板13,14の斜視図である。
【図8】(a)は第1アーム位置移動板13の平面図,(b)は(a)のX1−X1線断面矢視図である。
【図9】(a)は第2アーム位置移動板14の平面図,(b)は(a)のX2−X2線断面矢視図である。
【図10】キャビネット4の筐体1に取り付けられたステー101の正面図である。
【図11】キャビネット4の扉2を開閉する途中の状態を示す図である。
【図12】キャビネット4の扉2が全開された状態を示す図である。
【図13】(a),(b)はアーム位置移動板13,14の作用説明図である。
【図14】図13の(b)の状態の断面図である。
【図15】(a)は第2アーム位置移動板36の平面図,(b)は(a)のX3−X3線断面矢視図である。
【図16】(a)は第2アーム位置移動板39の平面図,(b)は(a)のX4−X4線断面矢視図である。
【図17】筐体側ステーアーム43の側面断面図である。
【図18】第2実施例のステー102の側面断面図である。
【図19】同じく分解状態の断面図である。
【図20】同じく正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の実施例のステー101の斜視図、図2は同じく分解斜視図、図3は筐体側ステーアーム6の側面断面図、図4は同じく分解状態の断面図、図5は同じく正面図である。
【実施例1】
【0026】
本明細書では、図1の(a)に示されるのように、開口を有する筐体1(本体)とこの筐体1の開口を閉塞するための扉2が、蝶番3により連結されて構成されるキャビネット4(例えば、ライティングビューロー)の場合について説明する。このキャビネット4には、例えば建物の天井を筐体2とし、その開口を閉塞するための扉2(天蓋)が上下方向に回動される形のものも含まれるものとする。キャビネット4の筐体1と扉2とは、キャビネット用ステー101(以下、単に「ステー」と記載する。)で連結されている。
【0027】
図2に示されるように、第1実施例のステー101は、キャビネット4の筐体1の内壁面に取付座5(本体側取付部)を介して固定される筐体側ステーアーム6(本体側ステーアーム)と、キャビネット4の扉2の内壁面にブラケット7(扉側取付部)を介して固定される扉側ステーアーム8とを備えている。筐体側ステーアーム6は、取付座5の回動軸線P1の周りに回動可能であり、扉側ステーアーム8は、取付座5の回動軸線P1と平行状に設けられたブラケット7の回動軸線P2の周りに回動可能である。また、筐体側ステーアーム6と扉側ステーアーム8とは連結ピン9によりその軸線(回動軸線P3)周りに回動(折れ曲がり)可能に連結されている。
【0028】
最初に、筐体側ステーアーム6について説明する。図2及び図3に示されるように、筐体側ステーアーム6の長手方向の一端部(取付座5の側の端部)には、円筒部11が形成されていて、円筒部11の内面に段付き形状で窪み部12が形成されている。この窪み部12に、第1及び第2のアーム位置移動板13,14が収容されている。筐体側ステーアーム6の長手方向の他端部には、溝部15が形成されている。この溝部15には、扉側ステーアーム8のカム部16(後述)が挿入される。図4ないし図6に示されるように、窪み部12の底面部12aには、周方向に一定の角度をおいて複数個(本実施例の場合、120度の角度をおいて3個)のピン穴17が設けられている。これらのピン穴17は、第2アーム位置移動板14を回動不能にするためのものである(後述)。
【0029】
図1の(a)に示されるように、筐体側ステーアーム6は、キャビネット4の筐体1の内壁面に固定された取付座5に取り付けられる。取付座5の通し孔5aに、ねじ軸18が挿通される。ねじ軸18のねじ部には、その全長(軸長)に亘って二面幅部18aが形成されている。そして、取付座5の通し孔5aは、二面幅部18aの断面形状よりも少し大きな相似形状である。このため、ねじ軸18は、取付座5に対して回り止め状態で挿通される。
【0030】
取付座5と筐体側ステーアーム6との間に、摩擦抵抗付与板19(摩擦抵抗付与部材)が介装されている。摩擦抵抗付与板19は、例えばゴムや樹脂等の高分子材料よりなる円板であり、その端面が取付座5及び筐体側ステーアーム6に全面で接触することにより、それらに摩擦抵抗を付与する。このときの摩擦抵抗の大きさは、筐体側ステーアーム6の回動角度によって変動する(後述)。これにより、筐体側ステーアーム6の回動速度が調整される。
【0031】
図7ないし図9を参照しながら、第1及び第2のアーム位置移動板13,14について説明する。図7は第1及び第2のアーム位置移動板13,14の斜視図、図8の(a)は第1アーム位置移動板13の平面図,(b)は(a)のX1−X1線断面矢視図、図9の(a)は第2アーム位置移動板14の平面図,(b)は(a)のX2−X2線断面矢視図である。各アーム位置移動板13,14は円板状で、それらの端面(第1端面21と第2端面22)同士を対向させて重なり合う形で配置されている。
【0032】
第1アーム位置移動板13の軸心(回動軸線P1)の部分には、ねじ軸18の二面幅部18aの断面形状よりも少し大きな相似形状を有する通し孔13aが設けられている。このため、第1アーム位置移動板13は、ねじ軸18と回り止め状態で連結される。そして、第1アーム位置移動板13の第1端面21には、周方向に一定角度をおいて複数個(本実施例の場合、120度で3個)の第1凸部23が突設されている。各第1凸部23は平面視において扇面形状であり、第1端面21に突出形成され、第1端面21から緩やかな傾斜面で立ち上がる上り面23aと、上り面23aの終端部から第1端面21と平行に形成される平坦面23bと、平坦面23bの終端部から緩やかな傾斜面で下って第1端面22と接続する下り面23cとを備えている。上り面23aと下り面23cとは、回動軸線P1に対して対称に形成されている。
【0033】
次に、第2アーム位置移動板14について説明する。第2アーム位置移動板14の構成は第1アーム位置移動板13とほぼ同一であるため、異なる部分についてのみ説明する。第2アーム位置移動板14の通し孔14aは、ねじ軸18のねじ部の外径よりも少し大きな円形である。このため、第2アーム位置移動板14は、ねじ軸18から独立して回転する。換言すれば、ねじ軸18に対して空転する。第2アーム位置移動板14においても、第2端面22に、周方向に一定角度をおいて複数個(本実施例の場合、120度で3個)の第2凸部24が設けられている。各第2凸部24は平面視において扇面形状であり、それらの周長は、第1凸部23の周長よりも少し長い。また、第2凸部24の回動軌跡R2は、第1アーム位置移動板14の第1凸部23の回動軌跡R1とほぼ合致する(図8及び図9参照)。
【0034】
第2アーム位置移動板14における第2端面22の反対側の面には、周方向に一定角度をおいて3個のストッパピン25が突設されている。各ストッパピン25は、筐体側ステーアーム6の窪み部12に設けられたピン穴17に挿入される。これにより、第2アーム位置移動板14は、筐体側ステーアーム6に一体に取り付けられ、筐体側ステーアーム6と一体的に回動する。
【0035】
図4及び図5に示されるように、筐体側ステーアーム6の窪み部12に、重なり状態で第1及び第2のアーム位置移動板13,14が収容される。すると、ねじ軸18の先端部(ねじ部)が、第1アーム位置移動板13の通し孔13aから突出する。突出したねじ部に、座金26を介して六角ナット27が螺合され、締め込まれる。第1及び第2のアーム位置移動板13,14は、第1アーム位置移動板13の第1凸部23が第2アーム位置移動板14の第2端面22に密着し、第2アーム位置移動板14の第2凸部24の平坦面24bが第1アーム位置移動板14の第1端面21に密着して配置される。
【0036】
筐体側ステーアーム6の窪み部12に第1及び第2のアーム位置移動板13,14が収容されると、窪み部12の開口にキャップ28が装着される。このように、第1及び第2のアーム位置移動板13,14は、筐体側ステーアーム6の窪み部12に収容されるため、筐体側ステーアーム6をコンパクトなものとすることができる。
【0037】
次に、扉側ステーアーム8について説明する。図2及び図3に示されるように、扉側ステーアーム8の長手方向の一端部(筐体側ステーアーム6に近い側の端部)は円弧形状を呈していて、当該部分にカム部16が形成されている。また、筐体側ステーアーム6の他端部に設けられた溝部15には、コマ支持体29と圧縮ばね31とが挿入されている。コマ支持体29に設けられた二股部分には、円板状のコマ32が挿入されている。このコマ32は、支持ピン33により、コマ支持体29に対して回転可能に取り付けられている。扉側ステーアーム8のカム部16は、コマ支持体29を介して圧縮ばね31をその軸方向(筐体側ステーアーム6の長手方向)に押圧した状態で、連結ピン9によって筐体側ステーアーム6と回動自在に連結される。このとき、コマ32は、圧縮ばね31の弾性復元力により、扉側ステーアーム8のカム部16に押圧される。即ち、筐体側ステーアーム6と扉側ステーアーム8とは、コマ32がカム部16を押圧する押圧力を受けながら、回動軸線P3を中心に折れ曲がる形態で回動(屈曲)する。
【0038】
扉側ステーアーム8の他端部(筐体側ステーアーム6から遠い側の端部)は、連結ピン34により、ブラケット3と連結されている。そして、扉側ステーアーム8は、連結ピン34の軸線(回動軸線P2)を中心に回動可能である。
【0039】
第1実施例のステー101の作用について説明する。図10に示されるように、キャビネット4の筐体1の内壁面に取付座5が固定されていて、この取付座5に筐体側ステーアーム6が取り付けられているとともに、扉2の内壁面にブラケット3が固定されていて、このブラケット3に扉側ステーアーム8が取り付けられている。筐体1と扉2とは、例えば蝶番3によって開閉可能に連結されている。扉2が閉じているとき、ステー101は、連結ピン9の軸線(回動軸線P2)の部分で、筐体側ステーアーム6と扉側ステーアーム8とを折り曲げた状態で配置されている。閉状態の扉2は、扉側ステーアーム8のカム部16と圧縮ばね31との作用により、筐体1の開口を押し付けている。このため、扉2に何らかの外力が作用しても、扉2が開かれるおそれは少ない。
【0040】
図11に示されるように、扉2を開くと、取付座5に対して筐体側ステーアーム6が、回動軸線P1を中心に時計回りの方向(矢印Q1の方向)に回動する。同時に、ブラケット3に対して扉側ステーアーム8が、回動軸線P3を中心に反時計回りの方向に回動する。扉2は、扉側ステーアーム8のカム部16の作用により、筐体側ステーアーム6が角度θ1だけ回動した状態でいったん停止する。
【0041】
ここで、図4に示されるように、第1アーム位置移動板13は、ねじ軸18に回り止め状態で連結されている。また、ねじ軸18は、取付座5に回り止め状態で取り付けられている。このため、筐体側ステーアーム6が回動しても、第1アーム位置移動板13は不動状態で保持される。そして、第2アーム位置移動板14は、筐体側ステーアーム6の窪み部12に固定されていて、筐体側ステーアーム6と一体に回動する。この結果、筐体側ステーアーム6が回動すると、第1及び第2のアーム位置移動板13,14の間で滑りが発生する。そして、筐体側ステーアーム6が所定角度θ1(本実施例の場合、θ1は約45度)だけ矢印Q1の方向に回動すると、第2アーム位置移動板14の第2凸部24も同方向に回動し、第1アーム位置移動板13の第1凸部23に近接して配置される。その状態の第2凸部24を、図13の(a)に二点鎖線で示す。
【0042】
図12に示されるように、筐体側ステーアーム6が矢印Q1の方向に更に回動する。図13の(b)に示されるように、第2アーム位置移動板14の第2凸部24も同方向に更に回動し、第1アーム位置移動板13の第1凸部23に乗り上げる。第1及び第2の凸部23,24の周方向の両端部に緩やかな傾斜面(上り面23a,24a)が設けられているため、第2凸部24は第1凸部23にスムーズに乗り上がる。
【0043】
図12及び図13の(b)に示されるように、筐体側ステーアーム6が所定角度θ2(本実施例の場合、θ2は約90度)だけ矢印Q1の方向に回動すると、第2アーム位置移動板14の第2凸部24が第1アーム位置移動板13の第1凸部23に乗り上げ、両者が重なり状態で配置される。このとき、第1及び第2の凸部23,24の平坦面23b,24b同士が当接状態で配置されるため、筐体側ステーアーム6は安定状態(回動しにくい状態)で保持される。そして、筐体1と扉2とが一直線状態となって停止する。
【0044】
第1アーム位置移動板13の第1凸部23が、第2のアーム位置移動板14の第2凸部24に乗り上がることにより、アーム位置移動板13,14の重なり厚さt2(図14参照)は、乗り上げる前の重なり厚さt1(図4参照)よりも大きくなる(t2>t1)。このときの厚みの増加分(t2−t1)により、取付座5と筐体側ステーアーム6との間に介装されている摩擦抵抗付与板19が軸方向(回動軸線P1の方向)に押圧される。この結果、取付座5と筐体側ステーアーム6との間の摩擦抵抗が大きくなる。即ち、筐体側ステーアーム6を回動させることにより、取付座5と筐体側ステーアーム6との間に作用する摩擦抵抗を、自動で調整することができる。
【0045】
図11に示されるように、扉2が開かれるのに伴い、扉2の重心Gは筐体側ステーアーム6の回動軸線P1から徐々に遠ざかるため、扉2の重心Gに作用するモーメントMは徐々に大きくなる。しかし、第1アーム位置移動板13の第1凸部23が第2アーム位置移動板14の第2凸部24に乗り上げるため、筐体側ステーアーム6と摩擦抵抗付与板19との間に作用する摩擦抵抗も大きくなる。換言すれば、扉2のモーメントMの増加分を、筐体側ステーアーム6と摩擦抵抗付与板19との間に作用する摩擦抵抗が相殺する。これにより、扉2がモーメントMによって急速に開かれることが防止されるという効果が奏される。なお、図1の(a)において、領域K1は、摩擦抵抗付与板19に作用する摩擦抵抗が小で、扉2が高速で開閉される領域である。そして、領域K2は、摩擦抵抗付与板19に作用する摩擦抵抗が大で、扉2が緩速で開閉される領域である。
【0046】
扉2は、上記した工程と逆の作用によって閉じられる。即ち、筐体側ステーアーム6が矢印Q1と反対の方向に回動されると、領域K1において第1及び第2のアーム位置移動板13,14の第1及び第2の凸部23,24同士の乗り上げ状態が解消される。このため、筐体側ステーアーム6と摩擦抵抗付与板19との間に作用する摩擦抵抗も小さくなり、小さなトルクで扉2を閉じることができる。
【0047】
上記した結果、領域K2においては扉2が緩速となるため、使用者は的確に扉の開閉操作を行うことができる。また、開動作の終了時に、振動が発生したり、指詰めが発生したりするおそれを小さくできる。また、扉2の閉動作の終了時に、扉が急速度で筐体1と衝突して騒音が発生するおそれを小さくできる。
【0048】
次に、図8及び図15を参照しながら、別実施例のアーム位置移動板35,36(アーム位置移動部材)について、第1実施例のステー101のアーム位置移動板13,14と異なる部分について説明する。別実施例の第1アーム位置移動板35は、前述した第1アーム位置移動板13と同一である(図8参照)。また、別実施例の第2アーム位置移動板36は、前述した第2アーム位置移動板14が複数個の第2凸部24を有しているのに対し、周方向に一定角度をおいて複数個(本実施例の場合、120度で3個)の凹部37を有する形態である。各凹部37は、第2端面38に窪み形成され、第2端面38と緩やかな面37aで接続している。筐体側ステーアーム6が回動したとき、各凹部37に配置されている第1アーム位置移動板35の第1凸部23が、第2端面38に乗り上がる。これにより、摩擦抵抗付与部材19が回動軸線P1方向に押圧され、筐体側ステーアーム6に摩擦抵抗が作用する。
【0049】
更に、第1及び第2のアーム位置移動板13,14に形成される第1及び第2の凸部23,24は、断続する凸部の形態ではなく、連続する突条の形態であってもよい。例えば、図16に示される第2アーム位置移動板39では、周方向に連続する突条41が第2端面42内の同一円周上に設けられている。突条41は、緩やかな傾斜面で立ち上がる上り面41aと上り面41aの終端部から第2端面42と平行に形成される平坦面41bとを備えている。そして、上り面41aと平坦面41bは、周方向に一定角度をおいて複数個(本実施例の場合、120度で3個)設けられている。
【0050】
上記した実施例の筐体側ステーアーム6では、第1及び第2のアーム位置移動板13,14は、筐体側ステーアーム6と別体に設けられている。しかし、第2アーム位置移動板14を一体に形成した筐体側ステーアーム43としてもよい。即ち、図17に示される筐体側ステーアーム43の場合、窪み部12の底面部12aに直接的に第2凸部44が設けられている。この筐体側ステーアーム43の場合であっても、前述した筐体側ステーアーム6と同様な効果が奏される。そして、前述した筐体側ステーアーム6と比較して、部品点数が少なくなるという利点がある。
【実施例2】
【0051】
次に、第2実施例のステー102について説明する。第2実施例のステー102は、第1実施例のステー101にクラッチ機構200を付加したものである。図18は第2実施例のステー102の側面断面図、図19は同じく分解状態の断面図、図20は同じく正面図である。クラッチ機構200について説明する。図18ないし図20に示されるように、筐体側ステーアーム6における円筒部11の窪み部12にクラッチ機構200が収容されている。クラッチ機構200は、ねじりコイルばね45とケース体46とを備える。ケース体46は、例えば金属材よりなり、軸方向の一端部に大径部46aが設けられた段付き円筒形状を呈している。ケース体46の内径は、第1及び第2のアーム位置移動板13,14の外径よりも少し大きい。このため、ケース体46が筐体側ステーアーム6の窪み部12に収容されたとき、ケース体46の大径部46a側の端面部が窪み部12の底面部12aに当接する。また、大径部46aには、周方向に一定角度をおいて複数個(本実施例の場合、45度で8個)の切欠部46bが設けられている。
【0052】
筐体側ステーアーム6の窪み部12の内周面には、回動軸線P1方向に沿って係止溝47が設けられている。この係止溝47は、ねじりコイルばね45(螺旋体)の腕部45aを引っ掛けて、ねじりコイルばね45を回動不能にするためのものである。また、窪み部12の内周面の下端部(底面部12aの周縁部)から、周方向に一定の角度をおいて複数個(本実施例の場合、45度の角度をおいて8個。)の突起部47が設けられている。ケース体46が、筐体側ステーアーム6の窪み部12に収容されたとき、ケース体46の大径部46aに設けられた切欠部46bが各突起部47に嵌り込む。これにより、ケース体46は、筐体側ステーアーム6に対して回り止め状態で配置される。
【0053】
筐体側ステーアーム6の窪み部12に収容されたケース体46に、ねじりコイルばね45が装着される。ねじりコイルばね45の内径は、ケース体46の外径よりも少し小さい。このため、ねじりコイルばね45はその内径を拡開させて、ケース体46の外周面に密嵌させた状態で弾装される。ねじりコイルばね45が、ケース体46の外周面を半径方向に押圧する。ねじりコイルばね45の端部は、自身の外周面から半径方向に突出するように屈曲されていて、当該屈曲部分に腕部45aが形成されている。ねじりコイルばね45が弾装されたケース体46が、筐体側ステーアーム6の窪み部12に収容される。このとき、ねじりコイルばね45の腕部45aは、筐体側ステーアーム6の窪み部12の係止溝47に嵌り込んで係止される。これにより、ねじりコイルばね45も、筐体側ステーアーム6に回り止め状態で配置される。
【0054】
次に、クラッチ機構200の作用について説明する。図20に示されるように、筐体側ステーアーム6を反時計回りの方向(矢印Q2の方向)に回動させようとすると、ねじりコイルばね45の内径が拡大し、ケース体46の外周面と遊嵌状態となる。これにより、ねじりコイルばね45はケース体46の外周面から離れようとする。そして、ねじりコイルばね45のケース体46に作用している押圧力(ねじりコイルばね45の内周面とケース体46の外周面との間の摩擦抵抗)が低下する。しかも、ケース体46は、筐体側ステーアーム6の窪み部12の突起部47により、その回動が抑止されている。この結果、ねじりコイルばね45は、筐体側ステーアーム6と一体となってケース体46の外周面を滑り、筐体側ステーアーム6は、比較的小さなトルクでもって矢印Q2の方向に回動される。
【0055】
しかし、筐体側ステーアーム6を時計回りの方向(矢印Q1の方向)に回動させようとすると、ねじりコイルばね45は、ケース体46の外周面をより強固に締め付けようとし、ケース体46を矢印Q1の方向に回動させようとする。換言すれば、ねじりコイルばね45の内径が縮小し、ケース体46の外周面と密嵌状態となる。しかし、ケース体46は、筐体側ステーアーム6に対して回動不能に取り付けられている。このため、筐体側ステーアーム6は、ねじりコイルばね45とケース体46の外周面との間に作用する大きな摩擦抵抗により、矢印Q1の方向に回動されるときに大きな抵抗を受ける。この結果、筐体側ステーアーム6を矢印Q1の方向に回動させるためには大きな力を必要とする。
【0056】
即ち、筐体側ステーアーム6が反時計回りの方向(矢印Q2の方向)に回動されるときには、ねじりコイルばね45はケース体46から離れた形(低トルク)で回動し、筐体側ステーアーム6が時計回りの方向(矢印Q1の方向)に回動されるときには、ねじりコイルばね45はケース体46を押圧する形(高トルク)で回動する。これは、筐体側ステーアーム6の回動方向によってねじりコイルばね45とケース体46とが接続されたり、断続されたりするというクラッチ作用を意味している。
【0057】
上記したように、クラッチ機構200を付与することにより、筐体側ステーアーム6を一方の方向(この場合、矢印Q1の方向)に回動させるときには大きなトルクを必要とし、他方の方向(この場合、矢印Q2の方向)に回動させるときには小さなトルクで済むようにできる。これにより、扉2が重量物であって、その自重によって急速に開閉されてしまうことを防止できる。
【0058】
第2実施例のステー102では、ねじりコイルばね45の巻き方向又は装着方向を反対にすることにより、筐体側ステーアーム6が反時計回りの方向(矢印Q2の方向)に回動する際に、筐体側ステーアーム6に大きなトルクが作用するようにできる。即ち、上記したキャビネット4において、扉2を開くときのトルクが小さくなり、閉じるときのトルクが大きくなるようにすることもできる。
【0059】
第1及び第2の実施例のステー101,102が取り付けられたキャビネット4は、図1の(a)に示されるように、扉2の回動支点が下端部に設けられていて、扉2を開くにつれて扉2の上方に開口が形成される形態である。しかし、図1の(b)に示されるように、扉2の回動支点が上端部に設けられていて、扉2を開くにつれて扉2の下方に開口が形成される形態としてもよい。また、第1及び第2の実施例のキャビネット4では、筐体側ステーアーム6の回動軸線P1が水平に設けられているが、これが垂直又は斜めに設けられていてもよい。更に、キャビネット4の配置(開口の向き)は、いかなる方向であってもよい。
【0060】
扉2において、高速で開閉される領域K1と緩速で開閉される領域K2の大きさは、第1及び第2のアーム位置移動板13,14の凸部23,24の長さを変更することにより、調整可能である。また、第1及び第2のアーム位置移動板13,14の凸部23,24の乗り上げのタイミングを変更することにより、領域K1,K2を逆にすることも可能である。
【0061】
本実施例のステー101,102は、キャビネット4の扉2だけでなく、建物の天袋やライティングビューロー等にも使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係るキャビネット用ステーは、ライティングビューロー等のキャビネットの筐体に対する扉の開閉をガイドする部材として利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
101,102 ステー(キャビネット用ステー)
1 筐体(本体)
2 扉
4 キャビネット
5 取付座(本体側取付部)
6,43 筐体側ステーアーム(本体側ステーアーム)
7 ブラケット(扉側取付部)
8 扉側ステーアーム(ステーアーム)
13,35 第1アーム位置移動板(第1アーム位置移動部材)
14,36,39 第2アーム位置移動板(第2アーム位置移動部材)
19 摩擦抵抗付与板(摩擦抵抗付与部材)
21 第1端面(端面)
22,38,42 第2端面(端面)
23 第1凸部(凸部)
24,44 第2凸部(凸部)
37 凹部
P1 回動軸線(本体側回動軸線)
P2 回動軸線(扉側回動軸線)
R1,R2 回動軌跡
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネットの筐体と扉に跨って取り付けられるキャビネット用ステー、及びそれを用いたキャビネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のキャビネット用ステーとして、特許文献1及び2に開示されるものがある。これらの文献に開示されたステーは、ブレーキ体としてのオイルが封入されたダンパーを使用するものであるため、オイルが漏れることを確実に防止しなければならず、組付けに注意を要する。また、周方向に区切られた2室間でオイルを出入りさせるため、ステーアームの回動角を大きくとることが困難であり(通常の場合、160°以下)、扉を、例えば180°以上に開けたい場合に使用することが困難である。更に、周辺の温度変化によってオイルのブレーキ力が変化するおそれがある。
【0003】
上記の不具合を解消するため、本出願人もステーの発明を出願している(特許文献3を参照)。この発明では、螺旋体(ねじりコイルばね)を用いたクラッチ機構と摩擦抵抗機構とを備え、ステーに確実に摩擦抵抗を発生させることができる。
【0004】
しかし、ステーに作用する摩擦抵抗は常に一定であり、扉の開閉工程途中で調整することは困難である。したがって、扉の開閉動作の終了が近づくにつれ、扉の自重によるモーメントが次第に大きくなり、特に重量の大きい扉では、閉鎖時において振動や騒音が発生するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−254565号公報
【特許文献2】特開2001−329745号公報
【特許文献3】特開2009−19478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑み、本体側取付部に対する本体側ステーアームの回動速度が自身の回動中に容易に調整され、しかもそのことが扉の大きさや重量に拘らず、簡単な構成で実現できるキャビネット用ステー、及びキャビネットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、
キャビネットの扉に固定される扉側取付部と、前記キャビネットの本体に固定される本体側取付部と、それら扉側取付部及び本体側取付部に対して互いに平行状に配置された扉側回動軸線及び本体側回動軸線の周りでそれぞれ回動可能に取り付けられ、中途位置での屈曲により前記扉を閉鎖し、伸長により前記扉を開放するために折れ曲がり可能な一対のステーアームとを備えるキャビネット用ステーであって、
前記一対のステーアームのうち、前記本体側取付部に取り付けられる本体側ステーアームと前記本体側取付部との間に介装され、前記本体側ステーアームに摩擦抵抗を付与する摩擦抵抗付与部材と、
前記本体側取付部に対する本体側ステーアームの本体側回動軸線方向における位置を、前記本体側回動軸線の周方向に沿って連続的又は断続的に変化させることにより、本体側ステーアームの回動中において本体側ステーアームの位置を前記本体側回動軸線方向に移動させるアーム位置移動部材と、を備え、
前記アーム位置移動部材により回動途中の本体側ステーアームを前記本体側回動軸線方向に移動させることにより、前記摩擦抵抗付与部材によって前記本体側ステーアームに付与される摩擦抵抗を増減可能とすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るキャビネット用ステーは、上記したように構成されていて、本体側ステーアームに摩擦抵抗を付与する摩擦抵抗付与部材と、本体側ステーアームの回動中に該本体側ステーアームを移動させ、摩擦抵抗付与部材によって本体側ステーアームに付与される摩擦抵抗を増減するアーム位置移動部材とを備えている。このため、本体側ステーアームの回動中、その回動角度に応じて本体側ステーアームに作用する摩擦抵抗が増減する。これにより、キャビネット用ステーに連結され、本体側ステーアームの回動によって開閉される扉が重量物であって、自重によって急速に回動しようとする扉に摩擦抵抗が付与され、該扉を緩速に開閉させることができる。即ち、本体側ステーアームの回動速度が、自身の回動中に調整される。このための部材はアーム位置移動部材だけで済み、その構成も簡単である。この結果、扉の開閉時の振動や騒音の発生が防止されるとともに、例えば扉の閉鎖時に、使用者が扉とキャビネットの本体との間に指を挟んでしまう「指詰め」も防止できる。
【0009】
前記摩擦抵抗付与部材と前記アーム位置移動部材とは、前記本体側回動軸線方向において、前記本体側ステーアームを挟んで振り分け配置されるとともに、
前記本体側ステーアームと前記摩擦抵抗付与部材には、常時接触状態で対向する第1対向面部が形成される一方、前記本体側ステーアームと前記アーム位置移動部材には、常時接触状態で対向する第2対向面部が各々一体的に形成することができる。
【0010】
アーム位置移動部材を、本体側ステーアームに直接設けてもよい。また、アーム位置移動部材を本体側ステーアームと別体とし、本体側ステーアームと一体的に作動するようにしてもよい。
【0011】
そして、前記第1対向面部では、前記本体側回動軸線方向で向き合う前記本体側ステーアームと前記摩擦抵抗付与部材の各々の端面同士が常に全面で接触する一方、前記第2対向面部では、前記本体側回動軸線方向で向き合う前記本体側ステーアームと前記アーム位置移動部材の各々の端面同士が部分的に接触する。
【0012】
前記第2対向面部において、前記本体側ステーアーム及び前記アーム位置移動部材の端面には、前記本体側ステーアームの回動時に回動軌跡が重なり合うように凸部がそれぞれ前記本体側回動軸線方向に対向して形成され、
前記本体側ステーアームが前記本体側回動軸線周りに回動するのに伴い、一方の凸部が他方の凸部に乗り上げることにより、前記本体側ステーアームの位置が前記本体側回動軸線方向に移動するようにできる。
【0013】
また、前記第2対向面部において、前記本体側ステーアーム及び前記アーム位置移動部材の端面には、前記本体側ステーアームの回動時に回動軌跡が重なり合うように、いずれか一方に凸部が、他方に凹部がそれぞれ前記回動軸線方向に対向して形成され、
前記本体側ステーアームが前記本体側回動軸線周りに回動するのに伴い、一方の凸部が他方の凹部に入り込むことにより、前記本体側ステーアームの位置が前記本体側回動軸線方向に移動するようにできる。
【0014】
即ち、第2対向面部に設けられた凸部同士が互いに乗り上げることによって、本体側ステーアームの位置を本体側回動軸線方向に移動させることができる。また、第2対向面部に設けられた凸部が凹部に入り込むことによって、本体側ステーアームの位置を本体側回動軸線方向に移動させることもできる。
【0015】
前記凸部は、前記アーム位置移動部材の端面に突出形成され、該端面からの突出量が周方向に連続的に大きくなる上り面と、前記上り面の終端部から前記端面と平行に設けられる平坦面と、前記平坦面の終端部から前記突出量が周方向に連続的に小さくなって前記端面と接続する下り面とを備えている。
【0016】
また、前記凹部は、前記アーム位置移動部材の端面に窪み形成され、該端面からの没入量が周方向に連続的に大きくなる下り面と、前記下り面の終端部から前記端面と平行に設けられる平坦面と、前記平坦面の終端部から前記没入量が周方向に連続的に小さくなって前記端面と接続する上り面とを備えている。
【0017】
そして、前記本体側ステーアームにおける前記本体側取付部の側の端部には、前記本体側取付部の位置する側とは反対向きに開口する窪み部が形成されている場合、前記アーム位置移動部材を窪み部に収容することができる。これにより、本体側ステーアームをコンパクトにすることができる。
【0018】
更に、周方向の一端部が前記本体側ステーアームに係止され、前記本体側ステーアームと一体に回動するコイル状の螺旋体と、
前記アーム位置移動部材を収容可能な円筒状で、前記螺旋体の内側に挿通されてその螺旋体とともに回動可能なケース体と、を有し、
前記本体側ステーアームが前記扉を閉鎖又は開放するいずれか一方向側に回転するとき、前記螺旋体はその内径が拡大することによって前記ケース体と遊嵌状態となって単独回転し、前記本体側ステーアームが他方向側に回転するとき、前記螺旋体はその内径が縮小することによって前記ケース体と密嵌状態となって一体回転するクラッチ機構を設けてもよい。この場合、クラッチ機構により、本体側ステーアームの回動速度を更にきめ細かく調整することができる。
【0019】
そして、上記課題を解決するための本発明のキャビネットは、上記したキャビネット用ステーを使用したことを特徴としている。
【0020】
これにより、本体側取付部に対する本体側ステーアームの回動速度が自身の回動中に調整され、しかもそのことが扉の大きさや重量に拘らず、簡単な構成で実現できるキャビネットを提供することができる。
【0021】
このキャビネットにおいて、前記扉側回動軸線及び本体側回動軸線は水平状に配置され、
前記摩擦抵抗付与部材は、前記本体側ステーアームに対し、前記扉の重力作用方向とは逆方向に摩擦抵抗を付与し、
前記アーム位置調整部材は、前記扉の開閉途中において前記本体側ステーアームを前記本体側回動軸線方向に移動させることにより、前記摩擦抵抗を増大させる。
【0022】
また、前記キャビネットの扉は、前記キャビネットの本体に対して円弧状に回動することによって開閉され、
前記本体側回動軸線方向における前記本体側ステーアームの移動量は、前記扉の重心におけるモーメントが最大となる位置で最大となることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a),(b)はキャビネット4の模式図である。
【図2】本発明の第1実施例のステー101の斜視図である。
【図3】同じく分解斜視図である。
【図4】筐体側ステーアーム6の側面断面図である。
【図5】同じく分解状態の断面図である。
【図6】同じく正面図である。
【図7】第1及び第2のアーム位置移動板13,14の斜視図である。
【図8】(a)は第1アーム位置移動板13の平面図,(b)は(a)のX1−X1線断面矢視図である。
【図9】(a)は第2アーム位置移動板14の平面図,(b)は(a)のX2−X2線断面矢視図である。
【図10】キャビネット4の筐体1に取り付けられたステー101の正面図である。
【図11】キャビネット4の扉2を開閉する途中の状態を示す図である。
【図12】キャビネット4の扉2が全開された状態を示す図である。
【図13】(a),(b)はアーム位置移動板13,14の作用説明図である。
【図14】図13の(b)の状態の断面図である。
【図15】(a)は第2アーム位置移動板36の平面図,(b)は(a)のX3−X3線断面矢視図である。
【図16】(a)は第2アーム位置移動板39の平面図,(b)は(a)のX4−X4線断面矢視図である。
【図17】筐体側ステーアーム43の側面断面図である。
【図18】第2実施例のステー102の側面断面図である。
【図19】同じく分解状態の断面図である。
【図20】同じく正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の実施例のステー101の斜視図、図2は同じく分解斜視図、図3は筐体側ステーアーム6の側面断面図、図4は同じく分解状態の断面図、図5は同じく正面図である。
【実施例1】
【0026】
本明細書では、図1の(a)に示されるのように、開口を有する筐体1(本体)とこの筐体1の開口を閉塞するための扉2が、蝶番3により連結されて構成されるキャビネット4(例えば、ライティングビューロー)の場合について説明する。このキャビネット4には、例えば建物の天井を筐体2とし、その開口を閉塞するための扉2(天蓋)が上下方向に回動される形のものも含まれるものとする。キャビネット4の筐体1と扉2とは、キャビネット用ステー101(以下、単に「ステー」と記載する。)で連結されている。
【0027】
図2に示されるように、第1実施例のステー101は、キャビネット4の筐体1の内壁面に取付座5(本体側取付部)を介して固定される筐体側ステーアーム6(本体側ステーアーム)と、キャビネット4の扉2の内壁面にブラケット7(扉側取付部)を介して固定される扉側ステーアーム8とを備えている。筐体側ステーアーム6は、取付座5の回動軸線P1の周りに回動可能であり、扉側ステーアーム8は、取付座5の回動軸線P1と平行状に設けられたブラケット7の回動軸線P2の周りに回動可能である。また、筐体側ステーアーム6と扉側ステーアーム8とは連結ピン9によりその軸線(回動軸線P3)周りに回動(折れ曲がり)可能に連結されている。
【0028】
最初に、筐体側ステーアーム6について説明する。図2及び図3に示されるように、筐体側ステーアーム6の長手方向の一端部(取付座5の側の端部)には、円筒部11が形成されていて、円筒部11の内面に段付き形状で窪み部12が形成されている。この窪み部12に、第1及び第2のアーム位置移動板13,14が収容されている。筐体側ステーアーム6の長手方向の他端部には、溝部15が形成されている。この溝部15には、扉側ステーアーム8のカム部16(後述)が挿入される。図4ないし図6に示されるように、窪み部12の底面部12aには、周方向に一定の角度をおいて複数個(本実施例の場合、120度の角度をおいて3個)のピン穴17が設けられている。これらのピン穴17は、第2アーム位置移動板14を回動不能にするためのものである(後述)。
【0029】
図1の(a)に示されるように、筐体側ステーアーム6は、キャビネット4の筐体1の内壁面に固定された取付座5に取り付けられる。取付座5の通し孔5aに、ねじ軸18が挿通される。ねじ軸18のねじ部には、その全長(軸長)に亘って二面幅部18aが形成されている。そして、取付座5の通し孔5aは、二面幅部18aの断面形状よりも少し大きな相似形状である。このため、ねじ軸18は、取付座5に対して回り止め状態で挿通される。
【0030】
取付座5と筐体側ステーアーム6との間に、摩擦抵抗付与板19(摩擦抵抗付与部材)が介装されている。摩擦抵抗付与板19は、例えばゴムや樹脂等の高分子材料よりなる円板であり、その端面が取付座5及び筐体側ステーアーム6に全面で接触することにより、それらに摩擦抵抗を付与する。このときの摩擦抵抗の大きさは、筐体側ステーアーム6の回動角度によって変動する(後述)。これにより、筐体側ステーアーム6の回動速度が調整される。
【0031】
図7ないし図9を参照しながら、第1及び第2のアーム位置移動板13,14について説明する。図7は第1及び第2のアーム位置移動板13,14の斜視図、図8の(a)は第1アーム位置移動板13の平面図,(b)は(a)のX1−X1線断面矢視図、図9の(a)は第2アーム位置移動板14の平面図,(b)は(a)のX2−X2線断面矢視図である。各アーム位置移動板13,14は円板状で、それらの端面(第1端面21と第2端面22)同士を対向させて重なり合う形で配置されている。
【0032】
第1アーム位置移動板13の軸心(回動軸線P1)の部分には、ねじ軸18の二面幅部18aの断面形状よりも少し大きな相似形状を有する通し孔13aが設けられている。このため、第1アーム位置移動板13は、ねじ軸18と回り止め状態で連結される。そして、第1アーム位置移動板13の第1端面21には、周方向に一定角度をおいて複数個(本実施例の場合、120度で3個)の第1凸部23が突設されている。各第1凸部23は平面視において扇面形状であり、第1端面21に突出形成され、第1端面21から緩やかな傾斜面で立ち上がる上り面23aと、上り面23aの終端部から第1端面21と平行に形成される平坦面23bと、平坦面23bの終端部から緩やかな傾斜面で下って第1端面22と接続する下り面23cとを備えている。上り面23aと下り面23cとは、回動軸線P1に対して対称に形成されている。
【0033】
次に、第2アーム位置移動板14について説明する。第2アーム位置移動板14の構成は第1アーム位置移動板13とほぼ同一であるため、異なる部分についてのみ説明する。第2アーム位置移動板14の通し孔14aは、ねじ軸18のねじ部の外径よりも少し大きな円形である。このため、第2アーム位置移動板14は、ねじ軸18から独立して回転する。換言すれば、ねじ軸18に対して空転する。第2アーム位置移動板14においても、第2端面22に、周方向に一定角度をおいて複数個(本実施例の場合、120度で3個)の第2凸部24が設けられている。各第2凸部24は平面視において扇面形状であり、それらの周長は、第1凸部23の周長よりも少し長い。また、第2凸部24の回動軌跡R2は、第1アーム位置移動板14の第1凸部23の回動軌跡R1とほぼ合致する(図8及び図9参照)。
【0034】
第2アーム位置移動板14における第2端面22の反対側の面には、周方向に一定角度をおいて3個のストッパピン25が突設されている。各ストッパピン25は、筐体側ステーアーム6の窪み部12に設けられたピン穴17に挿入される。これにより、第2アーム位置移動板14は、筐体側ステーアーム6に一体に取り付けられ、筐体側ステーアーム6と一体的に回動する。
【0035】
図4及び図5に示されるように、筐体側ステーアーム6の窪み部12に、重なり状態で第1及び第2のアーム位置移動板13,14が収容される。すると、ねじ軸18の先端部(ねじ部)が、第1アーム位置移動板13の通し孔13aから突出する。突出したねじ部に、座金26を介して六角ナット27が螺合され、締め込まれる。第1及び第2のアーム位置移動板13,14は、第1アーム位置移動板13の第1凸部23が第2アーム位置移動板14の第2端面22に密着し、第2アーム位置移動板14の第2凸部24の平坦面24bが第1アーム位置移動板14の第1端面21に密着して配置される。
【0036】
筐体側ステーアーム6の窪み部12に第1及び第2のアーム位置移動板13,14が収容されると、窪み部12の開口にキャップ28が装着される。このように、第1及び第2のアーム位置移動板13,14は、筐体側ステーアーム6の窪み部12に収容されるため、筐体側ステーアーム6をコンパクトなものとすることができる。
【0037】
次に、扉側ステーアーム8について説明する。図2及び図3に示されるように、扉側ステーアーム8の長手方向の一端部(筐体側ステーアーム6に近い側の端部)は円弧形状を呈していて、当該部分にカム部16が形成されている。また、筐体側ステーアーム6の他端部に設けられた溝部15には、コマ支持体29と圧縮ばね31とが挿入されている。コマ支持体29に設けられた二股部分には、円板状のコマ32が挿入されている。このコマ32は、支持ピン33により、コマ支持体29に対して回転可能に取り付けられている。扉側ステーアーム8のカム部16は、コマ支持体29を介して圧縮ばね31をその軸方向(筐体側ステーアーム6の長手方向)に押圧した状態で、連結ピン9によって筐体側ステーアーム6と回動自在に連結される。このとき、コマ32は、圧縮ばね31の弾性復元力により、扉側ステーアーム8のカム部16に押圧される。即ち、筐体側ステーアーム6と扉側ステーアーム8とは、コマ32がカム部16を押圧する押圧力を受けながら、回動軸線P3を中心に折れ曲がる形態で回動(屈曲)する。
【0038】
扉側ステーアーム8の他端部(筐体側ステーアーム6から遠い側の端部)は、連結ピン34により、ブラケット3と連結されている。そして、扉側ステーアーム8は、連結ピン34の軸線(回動軸線P2)を中心に回動可能である。
【0039】
第1実施例のステー101の作用について説明する。図10に示されるように、キャビネット4の筐体1の内壁面に取付座5が固定されていて、この取付座5に筐体側ステーアーム6が取り付けられているとともに、扉2の内壁面にブラケット3が固定されていて、このブラケット3に扉側ステーアーム8が取り付けられている。筐体1と扉2とは、例えば蝶番3によって開閉可能に連結されている。扉2が閉じているとき、ステー101は、連結ピン9の軸線(回動軸線P2)の部分で、筐体側ステーアーム6と扉側ステーアーム8とを折り曲げた状態で配置されている。閉状態の扉2は、扉側ステーアーム8のカム部16と圧縮ばね31との作用により、筐体1の開口を押し付けている。このため、扉2に何らかの外力が作用しても、扉2が開かれるおそれは少ない。
【0040】
図11に示されるように、扉2を開くと、取付座5に対して筐体側ステーアーム6が、回動軸線P1を中心に時計回りの方向(矢印Q1の方向)に回動する。同時に、ブラケット3に対して扉側ステーアーム8が、回動軸線P3を中心に反時計回りの方向に回動する。扉2は、扉側ステーアーム8のカム部16の作用により、筐体側ステーアーム6が角度θ1だけ回動した状態でいったん停止する。
【0041】
ここで、図4に示されるように、第1アーム位置移動板13は、ねじ軸18に回り止め状態で連結されている。また、ねじ軸18は、取付座5に回り止め状態で取り付けられている。このため、筐体側ステーアーム6が回動しても、第1アーム位置移動板13は不動状態で保持される。そして、第2アーム位置移動板14は、筐体側ステーアーム6の窪み部12に固定されていて、筐体側ステーアーム6と一体に回動する。この結果、筐体側ステーアーム6が回動すると、第1及び第2のアーム位置移動板13,14の間で滑りが発生する。そして、筐体側ステーアーム6が所定角度θ1(本実施例の場合、θ1は約45度)だけ矢印Q1の方向に回動すると、第2アーム位置移動板14の第2凸部24も同方向に回動し、第1アーム位置移動板13の第1凸部23に近接して配置される。その状態の第2凸部24を、図13の(a)に二点鎖線で示す。
【0042】
図12に示されるように、筐体側ステーアーム6が矢印Q1の方向に更に回動する。図13の(b)に示されるように、第2アーム位置移動板14の第2凸部24も同方向に更に回動し、第1アーム位置移動板13の第1凸部23に乗り上げる。第1及び第2の凸部23,24の周方向の両端部に緩やかな傾斜面(上り面23a,24a)が設けられているため、第2凸部24は第1凸部23にスムーズに乗り上がる。
【0043】
図12及び図13の(b)に示されるように、筐体側ステーアーム6が所定角度θ2(本実施例の場合、θ2は約90度)だけ矢印Q1の方向に回動すると、第2アーム位置移動板14の第2凸部24が第1アーム位置移動板13の第1凸部23に乗り上げ、両者が重なり状態で配置される。このとき、第1及び第2の凸部23,24の平坦面23b,24b同士が当接状態で配置されるため、筐体側ステーアーム6は安定状態(回動しにくい状態)で保持される。そして、筐体1と扉2とが一直線状態となって停止する。
【0044】
第1アーム位置移動板13の第1凸部23が、第2のアーム位置移動板14の第2凸部24に乗り上がることにより、アーム位置移動板13,14の重なり厚さt2(図14参照)は、乗り上げる前の重なり厚さt1(図4参照)よりも大きくなる(t2>t1)。このときの厚みの増加分(t2−t1)により、取付座5と筐体側ステーアーム6との間に介装されている摩擦抵抗付与板19が軸方向(回動軸線P1の方向)に押圧される。この結果、取付座5と筐体側ステーアーム6との間の摩擦抵抗が大きくなる。即ち、筐体側ステーアーム6を回動させることにより、取付座5と筐体側ステーアーム6との間に作用する摩擦抵抗を、自動で調整することができる。
【0045】
図11に示されるように、扉2が開かれるのに伴い、扉2の重心Gは筐体側ステーアーム6の回動軸線P1から徐々に遠ざかるため、扉2の重心Gに作用するモーメントMは徐々に大きくなる。しかし、第1アーム位置移動板13の第1凸部23が第2アーム位置移動板14の第2凸部24に乗り上げるため、筐体側ステーアーム6と摩擦抵抗付与板19との間に作用する摩擦抵抗も大きくなる。換言すれば、扉2のモーメントMの増加分を、筐体側ステーアーム6と摩擦抵抗付与板19との間に作用する摩擦抵抗が相殺する。これにより、扉2がモーメントMによって急速に開かれることが防止されるという効果が奏される。なお、図1の(a)において、領域K1は、摩擦抵抗付与板19に作用する摩擦抵抗が小で、扉2が高速で開閉される領域である。そして、領域K2は、摩擦抵抗付与板19に作用する摩擦抵抗が大で、扉2が緩速で開閉される領域である。
【0046】
扉2は、上記した工程と逆の作用によって閉じられる。即ち、筐体側ステーアーム6が矢印Q1と反対の方向に回動されると、領域K1において第1及び第2のアーム位置移動板13,14の第1及び第2の凸部23,24同士の乗り上げ状態が解消される。このため、筐体側ステーアーム6と摩擦抵抗付与板19との間に作用する摩擦抵抗も小さくなり、小さなトルクで扉2を閉じることができる。
【0047】
上記した結果、領域K2においては扉2が緩速となるため、使用者は的確に扉の開閉操作を行うことができる。また、開動作の終了時に、振動が発生したり、指詰めが発生したりするおそれを小さくできる。また、扉2の閉動作の終了時に、扉が急速度で筐体1と衝突して騒音が発生するおそれを小さくできる。
【0048】
次に、図8及び図15を参照しながら、別実施例のアーム位置移動板35,36(アーム位置移動部材)について、第1実施例のステー101のアーム位置移動板13,14と異なる部分について説明する。別実施例の第1アーム位置移動板35は、前述した第1アーム位置移動板13と同一である(図8参照)。また、別実施例の第2アーム位置移動板36は、前述した第2アーム位置移動板14が複数個の第2凸部24を有しているのに対し、周方向に一定角度をおいて複数個(本実施例の場合、120度で3個)の凹部37を有する形態である。各凹部37は、第2端面38に窪み形成され、第2端面38と緩やかな面37aで接続している。筐体側ステーアーム6が回動したとき、各凹部37に配置されている第1アーム位置移動板35の第1凸部23が、第2端面38に乗り上がる。これにより、摩擦抵抗付与部材19が回動軸線P1方向に押圧され、筐体側ステーアーム6に摩擦抵抗が作用する。
【0049】
更に、第1及び第2のアーム位置移動板13,14に形成される第1及び第2の凸部23,24は、断続する凸部の形態ではなく、連続する突条の形態であってもよい。例えば、図16に示される第2アーム位置移動板39では、周方向に連続する突条41が第2端面42内の同一円周上に設けられている。突条41は、緩やかな傾斜面で立ち上がる上り面41aと上り面41aの終端部から第2端面42と平行に形成される平坦面41bとを備えている。そして、上り面41aと平坦面41bは、周方向に一定角度をおいて複数個(本実施例の場合、120度で3個)設けられている。
【0050】
上記した実施例の筐体側ステーアーム6では、第1及び第2のアーム位置移動板13,14は、筐体側ステーアーム6と別体に設けられている。しかし、第2アーム位置移動板14を一体に形成した筐体側ステーアーム43としてもよい。即ち、図17に示される筐体側ステーアーム43の場合、窪み部12の底面部12aに直接的に第2凸部44が設けられている。この筐体側ステーアーム43の場合であっても、前述した筐体側ステーアーム6と同様な効果が奏される。そして、前述した筐体側ステーアーム6と比較して、部品点数が少なくなるという利点がある。
【実施例2】
【0051】
次に、第2実施例のステー102について説明する。第2実施例のステー102は、第1実施例のステー101にクラッチ機構200を付加したものである。図18は第2実施例のステー102の側面断面図、図19は同じく分解状態の断面図、図20は同じく正面図である。クラッチ機構200について説明する。図18ないし図20に示されるように、筐体側ステーアーム6における円筒部11の窪み部12にクラッチ機構200が収容されている。クラッチ機構200は、ねじりコイルばね45とケース体46とを備える。ケース体46は、例えば金属材よりなり、軸方向の一端部に大径部46aが設けられた段付き円筒形状を呈している。ケース体46の内径は、第1及び第2のアーム位置移動板13,14の外径よりも少し大きい。このため、ケース体46が筐体側ステーアーム6の窪み部12に収容されたとき、ケース体46の大径部46a側の端面部が窪み部12の底面部12aに当接する。また、大径部46aには、周方向に一定角度をおいて複数個(本実施例の場合、45度で8個)の切欠部46bが設けられている。
【0052】
筐体側ステーアーム6の窪み部12の内周面には、回動軸線P1方向に沿って係止溝47が設けられている。この係止溝47は、ねじりコイルばね45(螺旋体)の腕部45aを引っ掛けて、ねじりコイルばね45を回動不能にするためのものである。また、窪み部12の内周面の下端部(底面部12aの周縁部)から、周方向に一定の角度をおいて複数個(本実施例の場合、45度の角度をおいて8個。)の突起部47が設けられている。ケース体46が、筐体側ステーアーム6の窪み部12に収容されたとき、ケース体46の大径部46aに設けられた切欠部46bが各突起部47に嵌り込む。これにより、ケース体46は、筐体側ステーアーム6に対して回り止め状態で配置される。
【0053】
筐体側ステーアーム6の窪み部12に収容されたケース体46に、ねじりコイルばね45が装着される。ねじりコイルばね45の内径は、ケース体46の外径よりも少し小さい。このため、ねじりコイルばね45はその内径を拡開させて、ケース体46の外周面に密嵌させた状態で弾装される。ねじりコイルばね45が、ケース体46の外周面を半径方向に押圧する。ねじりコイルばね45の端部は、自身の外周面から半径方向に突出するように屈曲されていて、当該屈曲部分に腕部45aが形成されている。ねじりコイルばね45が弾装されたケース体46が、筐体側ステーアーム6の窪み部12に収容される。このとき、ねじりコイルばね45の腕部45aは、筐体側ステーアーム6の窪み部12の係止溝47に嵌り込んで係止される。これにより、ねじりコイルばね45も、筐体側ステーアーム6に回り止め状態で配置される。
【0054】
次に、クラッチ機構200の作用について説明する。図20に示されるように、筐体側ステーアーム6を反時計回りの方向(矢印Q2の方向)に回動させようとすると、ねじりコイルばね45の内径が拡大し、ケース体46の外周面と遊嵌状態となる。これにより、ねじりコイルばね45はケース体46の外周面から離れようとする。そして、ねじりコイルばね45のケース体46に作用している押圧力(ねじりコイルばね45の内周面とケース体46の外周面との間の摩擦抵抗)が低下する。しかも、ケース体46は、筐体側ステーアーム6の窪み部12の突起部47により、その回動が抑止されている。この結果、ねじりコイルばね45は、筐体側ステーアーム6と一体となってケース体46の外周面を滑り、筐体側ステーアーム6は、比較的小さなトルクでもって矢印Q2の方向に回動される。
【0055】
しかし、筐体側ステーアーム6を時計回りの方向(矢印Q1の方向)に回動させようとすると、ねじりコイルばね45は、ケース体46の外周面をより強固に締め付けようとし、ケース体46を矢印Q1の方向に回動させようとする。換言すれば、ねじりコイルばね45の内径が縮小し、ケース体46の外周面と密嵌状態となる。しかし、ケース体46は、筐体側ステーアーム6に対して回動不能に取り付けられている。このため、筐体側ステーアーム6は、ねじりコイルばね45とケース体46の外周面との間に作用する大きな摩擦抵抗により、矢印Q1の方向に回動されるときに大きな抵抗を受ける。この結果、筐体側ステーアーム6を矢印Q1の方向に回動させるためには大きな力を必要とする。
【0056】
即ち、筐体側ステーアーム6が反時計回りの方向(矢印Q2の方向)に回動されるときには、ねじりコイルばね45はケース体46から離れた形(低トルク)で回動し、筐体側ステーアーム6が時計回りの方向(矢印Q1の方向)に回動されるときには、ねじりコイルばね45はケース体46を押圧する形(高トルク)で回動する。これは、筐体側ステーアーム6の回動方向によってねじりコイルばね45とケース体46とが接続されたり、断続されたりするというクラッチ作用を意味している。
【0057】
上記したように、クラッチ機構200を付与することにより、筐体側ステーアーム6を一方の方向(この場合、矢印Q1の方向)に回動させるときには大きなトルクを必要とし、他方の方向(この場合、矢印Q2の方向)に回動させるときには小さなトルクで済むようにできる。これにより、扉2が重量物であって、その自重によって急速に開閉されてしまうことを防止できる。
【0058】
第2実施例のステー102では、ねじりコイルばね45の巻き方向又は装着方向を反対にすることにより、筐体側ステーアーム6が反時計回りの方向(矢印Q2の方向)に回動する際に、筐体側ステーアーム6に大きなトルクが作用するようにできる。即ち、上記したキャビネット4において、扉2を開くときのトルクが小さくなり、閉じるときのトルクが大きくなるようにすることもできる。
【0059】
第1及び第2の実施例のステー101,102が取り付けられたキャビネット4は、図1の(a)に示されるように、扉2の回動支点が下端部に設けられていて、扉2を開くにつれて扉2の上方に開口が形成される形態である。しかし、図1の(b)に示されるように、扉2の回動支点が上端部に設けられていて、扉2を開くにつれて扉2の下方に開口が形成される形態としてもよい。また、第1及び第2の実施例のキャビネット4では、筐体側ステーアーム6の回動軸線P1が水平に設けられているが、これが垂直又は斜めに設けられていてもよい。更に、キャビネット4の配置(開口の向き)は、いかなる方向であってもよい。
【0060】
扉2において、高速で開閉される領域K1と緩速で開閉される領域K2の大きさは、第1及び第2のアーム位置移動板13,14の凸部23,24の長さを変更することにより、調整可能である。また、第1及び第2のアーム位置移動板13,14の凸部23,24の乗り上げのタイミングを変更することにより、領域K1,K2を逆にすることも可能である。
【0061】
本実施例のステー101,102は、キャビネット4の扉2だけでなく、建物の天袋やライティングビューロー等にも使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係るキャビネット用ステーは、ライティングビューロー等のキャビネットの筐体に対する扉の開閉をガイドする部材として利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
101,102 ステー(キャビネット用ステー)
1 筐体(本体)
2 扉
4 キャビネット
5 取付座(本体側取付部)
6,43 筐体側ステーアーム(本体側ステーアーム)
7 ブラケット(扉側取付部)
8 扉側ステーアーム(ステーアーム)
13,35 第1アーム位置移動板(第1アーム位置移動部材)
14,36,39 第2アーム位置移動板(第2アーム位置移動部材)
19 摩擦抵抗付与板(摩擦抵抗付与部材)
21 第1端面(端面)
22,38,42 第2端面(端面)
23 第1凸部(凸部)
24,44 第2凸部(凸部)
37 凹部
P1 回動軸線(本体側回動軸線)
P2 回動軸線(扉側回動軸線)
R1,R2 回動軌跡
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットの扉に固定される扉側取付部と、前記キャビネットの本体に固定される本体側取付部と、それら扉側取付部及び本体側取付部に対して互いに平行状に配置された扉側回動軸線及び本体側回動軸線の周りでそれぞれ回動可能に取り付けられ、中途位置での屈曲により前記扉を閉鎖し、伸長により前記扉を開放するために折れ曲がり可能な一対のステーアームとを備えるキャビネット用ステーであって、
前記一対のステーアームのうち、前記本体側取付部に取り付けられる本体側ステーアームと前記本体側取付部との間に介装され、前記本体側ステーアームに摩擦抵抗を付与する摩擦抵抗付与部材と、
前記本体側取付部に対する本体側ステーアームの本体側回動軸線方向における位置を、前記本体側回動軸線の周方向に沿って連続的又は断続的に変化させることにより、本体側ステーアームの回動中において本体側ステーアームの位置を前記本体側回動軸線方向に移動させるアーム位置移動部材と、を備え、
前記アーム位置移動部材により回動途中の本体側ステーアームを前記本体側回動軸線方向に移動させることにより、前記摩擦抵抗付与部材によって前記本体側ステーアームに付与される摩擦抵抗を増減可能とすることを特徴とするキャビネット用ステー。
【請求項2】
前記摩擦抵抗付与部材と前記アーム位置移動部材とは、前記本体側回動軸線方向において、前記本体側ステーアームを挟んで振り分け配置されるとともに、
前記本体側ステーアームと前記摩擦抵抗付与部材には、常時接触状態で対向する第1対向面部が形成される一方、前記本体側ステーアームと前記アーム位置移動部材には、常時接触状態で対向する第2対向面部が各々一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャビネット用ステー。
【請求項3】
前記第1対向面部では、前記本体側回動軸線方向で向き合う前記本体側ステーアームと前記摩擦抵抗付与部材の各々の端面同士が常に全面で接触する一方、前記第2対向面部では、前記本体側回動軸線方向で向き合う前記本体側ステーアームと前記アーム位置移動部材の各々の端面同士が部分的に接触することを特徴とする請求項2に記載のキャビネット用ステー。
【請求項4】
前記第2対向面部において、前記本体側ステーアーム及び前記アーム位置移動部材の端面には、前記本体側ステーアームの回動時に回動軌跡が重なり合うように凸部がそれぞれ前記本体側回動軸線方向に対向して形成され、
前記本体側ステーアームが前記本体側回動軸線周りに回動するのに伴い、一方の凸部が他方の凸部に乗り上げることにより、前記本体側ステーアームの位置が前記本体側回動軸線方向に移動することを特徴とする請求項3に記載のキャビネット用ステー。
【請求項5】
前記第2対向面部において、前記本体側ステーアーム及び前記アーム位置移動部材の端面には、前記本体側ステーアームの回動時に回動軌跡が重なり合うように、いずれか一方に凸部が、他方に凹部がそれぞれ前記回動軸線方向に対向して形成され、
前記本体側ステーアームが前記本体側回動軸線周りに回動するのに伴い、一方の凸部が他方の凹部に入り込むことにより、前記本体側ステーアームの位置が前記本体側回動軸線方向に移動することを特徴とする請求項3に記載のキャビネット用ステー。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のキャビネット用ステーを使用したことを特徴とするキャビネット。
【請求項7】
前記扉側回動軸線及び本体側回動軸線は水平状に配置され、
前記摩擦抵抗付与部材は、前記本体側ステーアームに対し、前記扉の重力作用方向とは逆方向に摩擦抵抗を付与し、
前記アーム位置調整部材は、前記扉の開閉途中において前記本体側ステーアームを前記本体側回動軸線方向に移動させることにより、前記摩擦抵抗を増大させることを特徴とする請求項6に記載のキャビネット。
【請求項1】
キャビネットの扉に固定される扉側取付部と、前記キャビネットの本体に固定される本体側取付部と、それら扉側取付部及び本体側取付部に対して互いに平行状に配置された扉側回動軸線及び本体側回動軸線の周りでそれぞれ回動可能に取り付けられ、中途位置での屈曲により前記扉を閉鎖し、伸長により前記扉を開放するために折れ曲がり可能な一対のステーアームとを備えるキャビネット用ステーであって、
前記一対のステーアームのうち、前記本体側取付部に取り付けられる本体側ステーアームと前記本体側取付部との間に介装され、前記本体側ステーアームに摩擦抵抗を付与する摩擦抵抗付与部材と、
前記本体側取付部に対する本体側ステーアームの本体側回動軸線方向における位置を、前記本体側回動軸線の周方向に沿って連続的又は断続的に変化させることにより、本体側ステーアームの回動中において本体側ステーアームの位置を前記本体側回動軸線方向に移動させるアーム位置移動部材と、を備え、
前記アーム位置移動部材により回動途中の本体側ステーアームを前記本体側回動軸線方向に移動させることにより、前記摩擦抵抗付与部材によって前記本体側ステーアームに付与される摩擦抵抗を増減可能とすることを特徴とするキャビネット用ステー。
【請求項2】
前記摩擦抵抗付与部材と前記アーム位置移動部材とは、前記本体側回動軸線方向において、前記本体側ステーアームを挟んで振り分け配置されるとともに、
前記本体側ステーアームと前記摩擦抵抗付与部材には、常時接触状態で対向する第1対向面部が形成される一方、前記本体側ステーアームと前記アーム位置移動部材には、常時接触状態で対向する第2対向面部が各々一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャビネット用ステー。
【請求項3】
前記第1対向面部では、前記本体側回動軸線方向で向き合う前記本体側ステーアームと前記摩擦抵抗付与部材の各々の端面同士が常に全面で接触する一方、前記第2対向面部では、前記本体側回動軸線方向で向き合う前記本体側ステーアームと前記アーム位置移動部材の各々の端面同士が部分的に接触することを特徴とする請求項2に記載のキャビネット用ステー。
【請求項4】
前記第2対向面部において、前記本体側ステーアーム及び前記アーム位置移動部材の端面には、前記本体側ステーアームの回動時に回動軌跡が重なり合うように凸部がそれぞれ前記本体側回動軸線方向に対向して形成され、
前記本体側ステーアームが前記本体側回動軸線周りに回動するのに伴い、一方の凸部が他方の凸部に乗り上げることにより、前記本体側ステーアームの位置が前記本体側回動軸線方向に移動することを特徴とする請求項3に記載のキャビネット用ステー。
【請求項5】
前記第2対向面部において、前記本体側ステーアーム及び前記アーム位置移動部材の端面には、前記本体側ステーアームの回動時に回動軌跡が重なり合うように、いずれか一方に凸部が、他方に凹部がそれぞれ前記回動軸線方向に対向して形成され、
前記本体側ステーアームが前記本体側回動軸線周りに回動するのに伴い、一方の凸部が他方の凹部に入り込むことにより、前記本体側ステーアームの位置が前記本体側回動軸線方向に移動することを特徴とする請求項3に記載のキャビネット用ステー。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のキャビネット用ステーを使用したことを特徴とするキャビネット。
【請求項7】
前記扉側回動軸線及び本体側回動軸線は水平状に配置され、
前記摩擦抵抗付与部材は、前記本体側ステーアームに対し、前記扉の重力作用方向とは逆方向に摩擦抵抗を付与し、
前記アーム位置調整部材は、前記扉の開閉途中において前記本体側ステーアームを前記本体側回動軸線方向に移動させることにより、前記摩擦抵抗を増大させることを特徴とする請求項6に記載のキャビネット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−248800(P2010−248800A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100027(P2009−100027)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000250144)余合住金産業株式会社 (28)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000250144)余合住金産業株式会社 (28)
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