説明

キャビネット胴体におけるフレーム部材の連結構造

【課題】従来に比べて連結作業工数を低減できるようにする。
【解決手段】第1のフレーム部材である縦フレーム部材3E(3F)の切欠き段部15に第2のフレーム部材である横フレーム部材5A(6A)の胴部5a(6a)の一部を嵌合させると共に、横フレーム部材5A(6A)のフランジ片5b(6b)の挿通孔5e(6e)へ挿通したビス12を縦フレーム部材3E(3F)のビスホール3eに螺着して、第1のフレーム部材である縦フレーム部材3E(3F)に第2のフレーム部材である横フレーム部材5A(6A)を連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチン台、洗面化粧台又は収納庫等を構成するために棒状のフレーム部材で組立てられたキャビネット胴体において、仮想平面上でL字状又はT字状に直交する第1のフレーム部材と第2のフレーム部材との連結構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、仮想平面上でL字状又はT字状に直交する第1のフレーム部材と第2のフレーム部材との連結構造には、第1のフレーム部材の適所にジョイント金具を固着し、該ジョイント金具に第2のフレーム部材の端部を嵌合し、ネジ止め固定する連結構造がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−254913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の連結構造は、ジョイント金具の固着に手間がかかり、連結作業工数の増大を招く問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するために、従来に比べて連結作業工数を低減できるキャビネット胴体におけるフレーム部材の連結構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従来に比べて連結作業工数を低減できるようにするために請求項1記載の本発明が採用した手段は、キャビネット胴体を構成する一方の長手方向へ延びる棒状の第1のフレーム部材と他方の長手方向へ延びる棒状の第2のフレーム部材を仮想平面上でL字状又はT字状に直交して連結させる構造において、第1のフレーム部材は、一方の長手方向へ延びて対向する二つの側片と、二つの側片の一端側どうしを連結して一方の長手方向へ延びる連結片と、二つの側片の中間どうしを連結して一方の長手方向へ延びる中仕切片と、中仕切片又は連結片から突設して一方の長手方向へ延びるビスホールとを備え、二つの側片の小口側の他端寄りに中仕切片へ至る切欠き段部が設けられ、第2のフレーム部材は、他方の長手方向へ延びる胴部と、胴部から突設して他方の長手方向へ延びるフランジ片とを備え、上記切欠き段部に胴部の一部を嵌合させると共にフランジ片に穿設した挿通孔を挿通して前記ビスホールに螺着したビスで第1のフレーム部材に連結したことを特徴するキャビネット胴体におけるフレーム部材の連結構造である。
【0007】
第2のフレーム部材の胴部から前記ビスの頭部を突出させないようにするために請求項2記載の本発明が採用した手段は、前記第2のフレーム部材は、前記第1のフレーム部材の二つの側片に胴部の一方面側を対面させると共に、一方面側と反対の他方面側に胴部の他方面から段落ちさせて前記フランジ片を設け、前記ビスの頭部を段落ち箇所に落ち込ませて胴部の他方面の仮想延長面から突出させないようにした請求項1記載のキャビネット胴体におけるフレーム部材の連結構造である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の本発明に係るキャビネット胴体におけるフレーム部材の連結構造は、従来のジョイント金具を用いることなく第1のフレーム部材と第2のフレーム部材とを連結できるので、従来に比べて連結作業工数を低減でき、また、第1のフレーム部材の切欠き段部に第2のフレーム部材の胴部の一部を嵌合させると共に第2のフレーム部材のフランジ片を第1のフレーム部材のビスホールに連結ビスで連結してあるので、ガタ付きの生じにくい強固な連結構造を実現できる。
【0009】
請求項2記載の本発明に係るキャビネット胴体におけるフレーム部材の連結構造は、連結ビスの頭部を、第2のフレーム部材の段落ち箇所に落ち込ませて第2のフレーム部材の胴部の他方面の仮想延長面から突出させないようにしあるため、第2のフレーム部材の胴部の他方面に天板等の他の部材を当接又は接近させて配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るキャビネット胴体におけるフレーム部材の連結構造(以下、「本発明連結構造」と言う。)Jを用いて組み立てた第1の実施の形態のキャビネット胴体1を示す正面図である。
【図2】前記キャビネット胴体1を示す平面図である。
【図3】図(A)は図1のa−a線における断面を拡大し且つ中間省略した右側面図、図(B)は上方前後の横フレーム部材5A,6Aと中間の支持体2Cの縦フレーム3E,3Fとを本発明連結構造Jで連結した箇所を示す中間省略した平面図である。
【図4】図(A)は前記キャビネット胴体1の右側を拡大し且つ中間省略した側面図、図(B)は上方前後の横フレーム部材5A,6Aと右側の支持体2Bの縦フレーム3C,3Dとの連結箇所を示す中間省略した平面図である。
【図5】前記キャビネット胴体1を構成する支持体2(2A〜2C)と、前側上下の横フレーム部材5A,5Bと、後側上下の横フレーム部材6A,6Bと、蓋体7A,7Bとを分解して示す平面図である。
【図6】図(A)は図5のa−a線における右側面図、図(B)は図5のb−b線における右側面図である。
【図7】前記キャビネット胴体1を構成する中間の支持体2Cに横フレーム部材5A,5B,6A,6Bを連結しようとする途中を示すものであって、一部を破断すると共に中間省略した右側面図である。
【図8】前側上下の横フレーム部材5A,5Bと、蓋体7Bと、中間の支持体2Cの縦フレーム3E及び横フレーム部材4,4とに分解した状態を前右上から見た斜視図である。
【図9】中間の支持体2Cの前側の縦フレーム3Eに前側上下の横フレーム部材5A,5Bを連結すると共に蓋体7Bを嵌着した状態を前右上から見た斜視図である。
【図10】後側上下の横フレーム部材6A,6Bと、蓋体7Bと、中間の支持体2Cの縦フレーム3F及び横フレーム部材4,4とに分解した状態を後右上から見た斜視図である。
【図11】中間の支持体2Cの後側の縦フレーム3Fに後側上下の横フレーム部材6A,6Bを連結すると共に蓋体7Bを嵌着した状態を後右上から見た斜視図である。
【図12】前側上下の横フレーム部材5A,5Bと、蓋体7Aと、右側の支持体2Bの縦フレーム3C及び横フレーム部材4,4とに分解した状態を前右上から見た斜視図である。
【図13】後側上下の横フレーム部材6A,6Bと、蓋体7Aと、右側の支持体2Bの縦フレーム3D及び横フレーム部材4,4とに分解した状態を後右上から見た斜視図である。
【図14】キャビネット胴体1の中間の支持体2Cの後側の近辺を横断面して後右上から見た斜視図である。
【図15】本発明連結構造Jを用いて組み立てた第2の実施の形態のキャビネット胴体21を示す正面図である。
【図16】前記キャビネット胴体21を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明連結構造を図面に示す実施の形態に基づいて説明する。以下の説明において、「前」「後」「上」「下」「左」「右」は、各図面に示される通りである。
【0012】
(第1の実施の形態)
本発明連結構造Jを用いて組み立てた第1の実施の形態に係るキャビネット胴体1は、図1乃至図6に示す如く、支持体2の複数組(本例では、左右の支持体2A,2B及び中間の支持体2C,2Cの四組)を左右方向へ適宜間隔で配置し、これら支持体2(2A〜2C)の前側の縦フレーム部材3A,3E,3E,3Cどうし及び後側の縦フレーム部材3B,3F,3F,3Dどうしを、前側の上下に配置して左右方向へ延びる左右方向横フレーム部材5A,5Bと、後側の上下に配置して左右方向へ延びる左右方向横フレーム部材6A,6Bとで連結し、更に、各支持体2(2A〜2C)の縦フレーム部材3A〜3Fの各々に蓋体7(7A又は7B)を着脱自在に嵌着したものである。キャビネット胴体1は、図3,図8乃至図11に示す如く、中間の支持体2Cの縦フレーム部材3E(3F)と上方前後の横フレーム部材5A(6A)を仮想平面P上でT状に直交させた状態でビス12で連結して本発明連結構造Jを構成すると共に、中間の支持体2Cの縦フレーム部材3E(3F)と下方前後の横フレーム部材5B(6B)をビス13で連結してある。また、キャビネット胴体1は、図1,図2,図12及び図13に示す如く、右側の支持体2Bの縦フレーム部材3C(3D)に、上方前後の横フレーム部材5A(6A)及び下方前後の横フレーム部材5B(6B)の各右側端面を突き合わてビス9で連結してある。更に、キャビネット胴体1は、図1及び図2に示す如く、左側の支持体2Aについても右側の支持体2Bと同様に、左側の支持体2Aの縦フレーム部材3A(3B)に、上方前後の横フレーム部材5A(6A)及び下方前後の横フレーム部材5B(6B)の各左側端面を突き合わせてビス9(図12及び図13参照)で連結してある。
【0013】
前記中間の支持体2Cは、図3,図6(A)及び図7乃至図11に示す如く、上下方向へ延びる前後の縦フレーム部材3E,3Fの間に前後方向へ延びる横フレーム部材4,4を横架し、縦フレーム部材3E,3Fと横フレーム部材4の突き合わせ箇所をビス10で強固に連結して枠組したものである。また、右側の支持体2Bは、図4,図6(B),図12及び図13に示す如く、上下方向へ延びる前後の縦フレーム部材3C,3Dの間に前後方向へ延びる横フレーム部材4,4を横架し、縦フレーム部材3C,3Dと横フレーム部材4の突き合わせ箇所をビス10で強固に連結して枠組したものである。更に、左側の支持体2Aは、図5に示す如く、右側の支持体2Bと同様に、上下方向へ延びる前後の縦フレーム部材3A,3Bの間に前後方向へ延びる横フレーム部材4,4を横架し、縦フレーム部材3A,3Bと横フレーム部材4の突き合わせ箇所をビス10で強固に連結して枠組したものであって、前記右側の支持体2Bと左右対称の形状に構成される。対となる前後の縦フレーム部材3E,3F、(3C,3D)、(3A,3B)の各々は、後述する縦フレーム部材3からなり、連結片3c,3cどうしを対向させて前後対称となるように配置される。
【0014】
前記支持体2(2A〜2C)の縦フレーム部材3A〜3Fとなる縦フレーム部材3は、アルミニウム押出成形素材や合成樹脂成形素材等の長尺素材を所定長さ寸法で切断したものからなり、図4(B),図8乃至図13に示す如く、対向する二つの側片3a,3aの前後の中間部どうし及び前後一方の側縁どうしを中仕切片3b及び連結片3cで連結して、二つの側片3a,3aの前後他方の側縁の間を開口3dさせ、二つの側片3a,3a,中仕切片3b及び連結片3cで囲まれる囲繞空間へ向かって中仕切片3bから突出するビスホール3eを長手方向(上下方向)へ直線筋状に延設させてある。縦フレーム部材3は、二つの側片3a,3aの開口3d側の内側に、蓋体7(7A,7B)を嵌着するための係合部3f,3fを上下方向に沿って延設してある。なお、ビスホール3eは、連結片3cから上記囲繞空間へ向かって突出させることも可能である(図示は省略)。
【0015】
前記中間の支持体2Cの縦フレーム部材3E,3Fは、図3,図8及び図10に示す如く、中仕切片3bにおける連結片3cとの対面側にビスホール3eを設けることで、後述するビス12による左右方向横フレーム部材5A(又は6A)との連結をし易くしてある。また、縦フレーム部材3E,3Fは、中仕切片3bの左右の中間位置にビスホール3eを設けることで、中仕切片3b及び連結片3cの左右両側に設けるビス孔11,11をビスホール3eと干渉させないようにしてある。支持体2(2A〜2C)の縦フレーム部材3A〜3Fに設けたビス孔11は、中仕切片3bに設けられて前記ビス10の頭部10aを含む全体を挿通できる大径孔11aと、連結片3cに設けられてビス10の螺子部10bのみを挿通できる小径孔11bとからなる。なお、ビスホール3eを連結片3cから突出させる態様の場合には、ビスホール3eを中仕切片3bとの対面側の左右の中間位置に設けるとよい。
【0016】
前記中間の支持体2Cの縦フレーム部材3E,3Fは、図3,図8及び図10に示す如く、二つの側片3a,3aの前後他方の上端側及び下端側に、中仕切片3bへ至る上方の切欠き段部15及び下方の切欠き段部16を設けて、上方の切欠き段部15に左右方向横フレーム5A(6A)を嵌合させる共に、下方の切欠き段部16に下方の左右方向横フレーム5B(6B)を嵌合させてある(図3参照)。下方の切欠き段部16は、縦フレーム部材3の下端から上方へ適宜寸法だけ離し、横フレーム5B(6B)の下方に蹴込み部Kを形成するようにしてあるが、蹴込み部Kを形成する必要がないときには、縦フレーム部材3の下端に近づけてもよい。
【0017】
前記左右の支持体2A(2B)の縦フレーム部材3A,3B(3C,3D)は、図4(A),図12及び図13に示す如く、上端全体を水平な平坦面にすると共に、二つの側片3a,3aの前後他方の下端側に、中仕切片3bへ至る切欠き段部20を設けて蹴込み部Kを形成するようにしてある。
【0018】
前記支持体2(2A〜2C)の前後方向へ延びる横フレーム部材4は、図3,図4,図7,図8,図10,図12 及び図13に示す如く、アルミニウム押出成形素材や合成樹脂成形素材等で中空角パイプ状に成形された長尺素材を所定長さ寸法で切断したものからなり、中空となる内側に長手方向(前後方向)へ直線筋状に延びるビスホール4a,4aを設けてある。前記支持体2(2A〜2C)の縦フレーム部材3A〜3Fと横フレーム部材4の連結は、縦フレーム部材3A〜3Fの各ビス孔11を挿通してビスホール4aへ螺着して緊締したビス10,10で行っている
【0019】
前記支持体2(2A〜2C)の対となる前後の縦フレーム部材3A,3B(3C,3D)(3E,3F)と上下の横フレーム部材4の突き合わせ箇所を連結して支持体2(2A〜2C)に枠組みするビス(タッピングビス)10は、図8,図10,図12及び図13に示す縦フレーム部材3A,3B、(3C,3D)、(3E,3F)の中仕切片3bに設けたビス孔11の大径孔11aに全体を挿通させると共に、連結片3cに設けたビス孔11の小径孔11bに螺子部10bのみを挿通させて横フレーム部材4のビスホール4aに螺着して緊締することで、頭部10aで連結片3cを押圧して横フレーム部材4の小口端面に締結してある(図3及び図4参照)。
【0020】
前記支持体2(2A〜2C)の前側の縦フレーム部材3A,3E,3E,3Cにおける上方どうし及び下方どうしを連結する上方の左右方向横フレーム部材5A及び下方の左右方向横フレーム部材5Bは、図3,図7,図8及び図12に示す如く、横フレーム部材5からなり、上下対称となるように配置される。横フレーム部材5は、アルミニウム押出成形素材や合成樹脂成形素材等の長尺素材を所定長さ寸法で切断したものからなり、左右方向へ延びる中空角パイプ状の胴部5aと、胴部5aの他方面5a−1側から後方へ向かって突設して左右方向へ延びる水平フランジ片5bと、胴部5a内に設けられ長手方向(左右方向)へ直線筋状に延設するビスホール5gとを備えている。上方の横フレーム部材5Aは、胴部5aの他方面(上面)5a−1から段落ちした状態でフランジ片5bを設けると共にフランジ片5bにビス挿通孔5eを設け、ビス挿通孔5eを挿通して前記縦フレーム部材3Aのビスホール3eへ螺着した前記ビス12の頭部12aを段落ち箇所5fに落ち込ませて他方面(上面)5a−1の仮想延長面から突出させないようにしてある(図3参照)。また、下方の横フレーム部材5Bは、水平フランジ片5bの所定箇所に切欠き部5b−1を設け(図8及び図5参照)、水平フランジ片5bが縦フレーム部材3Aの側片3a,3aと干渉しないようにして、胴部5aを縦フレーム部材3Aの下方の切欠き段部16に嵌合させてある。
【0021】
前記支持体2(2A〜2C)の後側の縦フレーム部材3B,3F,3F,3Dにおける上方どうし及び下方どうしを連結する上方の左右方向横フレーム部材6A及び下方の左右方向横フレーム部材6Bは、図3,図7,図10及び図13に示す如く、横フレーム部材6からなり、上下対称となるように配置される。横フレーム部材6は、アルミニウム押出成形素材や合成樹脂成形素材等の長尺素材を所定長さ寸法で切断したものからなり、左右方向へ延びる中空角パイプ状の胴部6aと、胴部6aの他方面6a−1側から前方へ向かって突設して左右方向へ延びる水平フランジ片6bと、胴部6a内に設けられ長手方向(左右方向)へ直線筋状に延設するビスホール6gとを備えた点で、前記横フレーム部材5と実質的に同一となり、胴部6aの一方面6a−3の前縁から上下方向に沿って突設して左右方向へ延びる垂直フランジ片6hを備えた点で、前記横フレーム部材5と相違する。上方の横フレーム部材6Aは、横フレーム部材5Aと同様に、胴部6aの他方面(上面)6a−1から段落ちした状態でフランジ片6bを設けると共にフランジ片6bにビス挿通孔6eを設け、ビス挿通孔6eを挿通して前記縦フレーム部材3Fのビスホール3eへ螺着した前記ビス12の頭部12aを段落ち箇所6fに落ち込ませて他方面(上面)6a−1の仮想延長面から突出させないようにしてある。また、下方の横フレーム部材6Bは、支持体2の縦フレーム部材3Fとの連結箇所となる水平フランジ片6b及び垂直フランジ片6hの所定箇所に切欠き部6b−1及び切欠き部6h−1を設け(図10及び図5参照)、水平フランジ片6b及び垂直フランジ片6hが縦フレーム部材3Bの側片3a,3aと干渉しないようにして、胴部6aを縦フレーム部材3Bの下方の切欠き段部16に嵌合させてある。
【0022】
前記中間の支持体2Cの前後の縦フレーム部材3E(3F)の上方どうしを横フレーム部材5A(6A)で連結する本発明連結構造Jは、図3に示す如く、横フレーム部材5A(6A)の胴部5a(6a)の他方面(上面)5a−1(6a−1)と支持体2の上方の前後方向横フレーム部材4の上面4bとを面一にして、支持体2の上面に載置した天板等の板状部材(図示省略)を横フレーム部材5A(6A)の他方面(上面)5a−1(6a−1)及び支持体2の上面4bで安定よく受載できるようにしてある。このとき、本発明連結構造Jは、ビス12の頭部12aが他方面(上面)5a−1(6a−1)の仮想延長面から突出しないため、天板等の板状部材(図示省略)にビス12の頭部12aを衝突させることもない。
【0023】
前記中間の支持体2Cの前後の縦フレーム部材3E(3F)と上方の横フレーム部材5A(6A)を連結するビス(タッピングビス)12は、図8及び図10に示す上方の横フレーム部材5A(6A)のフランジ片5b(6b)に設けたビス挿通孔5eに螺子部12bを挿通させて縦フレーム部材3E(3F)のビスホール3eに螺着して緊締することで、頭部12aでフランジ片5b(6b)を縦フレーム部材3E(3F)の上方小口側へ押圧して、縦フレーム部材3E(3F)の上方の切欠き段部15を形成する左右の側片3a,3a部分に上方の左右方向横フレーム5A(6A)の胴部5a(6a)の一方面(下面)5a−3(6a−3)を圧着させた状態で胴部5a(6a)を切欠き段部15に締結させて本発明連結構造Jを形成している(図3参照)。
【0024】
更に、中間の支持体2Cの前後の縦フレーム部材3E(3F)と下方の横フレーム部材5B(6B)を連結するビス(タッピングビス)13は、図3,図8及び図10に示す下方の切欠き段部16を形成する縦フレーム部材3E(3F)の中仕切片3b及び連結片3cに設けたビス孔14へ螺子部13bを挿通させて横フレーム部材3E(3F)の胴部5a(6a)に螺着して緊締することで、下方の切欠き段部16に下方の左右方向横フレーム5B(6B)の胴部5a(6a)を締結してある(図3参照)。
【0025】
前記右側の支持体2Bの前後の縦フレーム部材3C(3D)と上方の横フレーム部材5A(6A)及び下方の横フレーム部材5B(6B)との連結は、図4,図12及び図13に示す如く、縦フレーム部材3C(3D)の左側の側片3aに、横フレーム部材5A(6A),5B(6B)の各右側端面を突き合わせてビス9で行っている。ビス(タッピングビス)9は、縦フレーム部材3C(3D)の側片3a,3aに設けたビス孔8へ螺子部9aを挿通させて左右方向横フレーム部材5A(5B)のビスホール5g(6g)に螺着して緊締することで、縦フレーム部材3C(3D)に左右方向横フレーム5A(5B)を締結してある。ビス孔8は、右側の側片3aに設けられて前記ビス9の頭部9aを含む全体を挿通できる大径孔8aと、左側の側片3aに設けられてビス9の螺子部9bのみを挿通できる小径孔8bとからなる。前記左側の支持体2Aの前後の縦フレーム部材3A(3B)と上方の横フレーム部材5A(6A)及び下方の横フレーム部材5B(6B)との連結は、前記右側の支持体2Bの場合と同様に、縦フレーム部材3A(3B)の右側の側片3aに、横フレーム部材5A(6A),5B(6B)の各左側端面を突き合わせてビス9で行っている。
【0026】
前記蓋体7は、図5,図6,図8乃至図13に示す如く、アルミニウム押出成形素材や合成樹脂成形素材等の所定横断面形状の長尺素材を所定長さ寸法に切断したものからなり、蓋本体7aの裏側から係止部7b,7bを突設させてある。蓋体7は、左右の支持体2A,2Bに適用される蓋体7Aと、中間の支持体2Cに適用させれる蓋体7Bとがある。左右の蓋体7Aは、図4,図6(B),図12及び図13に示す如く、縦フレーム部材3A,3B(3C,3D)の蓋用係合部3f,3fに係止部7b,7bを嵌着して(図4参照)、縦フレーム部材3A,3B(3C,3D)の開口3dを覆って、縦フレーム部材3A,3B(3C,3D)の上方及び下方寄りに設けた各ビス10を覆い隠すようにしてある。また、左右の蓋体7Aは、図4に示す如く、その表面7a−1と、上方の横フレーム部材5A(6A)の胴部表面5a−2(6a−2)及び下方の横フレーム部材5B(6B)の胴部表面5a−2(6a−2)とを面一にして見栄え良くしてある。中間の蓋体7Bは、図3,図6(A),図7〜図11に示す如く、縦フレーム部材3E,3Fの蓋用係合部3f,3fに係止部7b,7bを嵌着して(図3参照)、縦フレーム部材3E,3Fの開口3dを覆って、縦フレーム部材3E,3Fの下方寄りに設けたビス10を覆い隠すようにしてある。また、蓋体7Bは、図3に示す如く、蓋本体7aの表面7a−1と、上方の横フレーム部材5A(6A)の胴部表面5a−2(6a−2)及び下方の横フレーム部材5B(6B)の胴部表面5a−2(6a−2)とを面一にして見栄え良くしてある。
【0027】
キャビネット胴部1は、図1〜図3に示す如く、下前方の左右方向横フレーム部材5Bの水平フランジ片5bと下後方の左右方向横フレーム部材6Bの水平フランジ片6bの間に底板18を架設すると共に、図14、図1及び図2に示す如く、上後方の左右方向横フレーム部材6Aの垂直フランジ片6hと下後方の左右方向横フレーム部材6Bの垂直フランジ片6hの間に背板19を架設してある。
【0028】
本発明連結構造Jは、図3,図9及び図11に示す如く、中間の支持体2(2C)の縦フレーム部材3E(3F)と上方の横フレーム部材5A(6A)をビス12で連結して構成され、第1のフレーム部材である縦フレーム部材3E(3F)の切欠き段部15に第2のフレーム部材である横フレーム部材5A(6A)の胴部5a(6a)の一部を嵌合させると共に、横フレーム部材5A(6A)のフランジ片5b(6b)の挿通孔5e(6e)へ挿通したビス12を縦フレーム部材3E(3F)のビスホール3eに螺着して緊締することで、第1のフレーム部材である縦フレーム部材3E(3F)に第2のフレーム部材である横フレーム部材5A(6A)を連結してガタ付きの生じにくい強固な連結構造を実現できる。また、本発明連結構造Jは、第1のフレーム部材である縦フレーム部材3E(3F)の切欠き段部15に第2のフレーム部材である横フレーム部材5A(6A)の胴部5a(6a)の一部を嵌合させて、第1のフレーム部材である縦フレーム部材3E(3F)と第2のフレーム部材である横フレーム部材5A(6A)を仮想平面P上でT字状に直交して連結させることができる。
【0029】
本発明連結構造Jは、従来のジョイント金具を用いることなく第1のフレーム部材である縦フレーム部材3E(3F)と第2のフレーム部材である横フレーム部材5A(6A)とを強固に連結できるので、従来に比べて連結作業工数を低減できる。本発明連結構造Jは、連結ビス12の頭部12aを、第2のフレーム部材である横フレーム部材5A(6A)の段落ち箇所5f(6f)に落ち込ませて第2のフレーム部材である横フレーム部材5A(6A)の胴部5a(6a)の他方面5a−1(6a−1)の仮想延長面から突出させないようにしあるため、連結ビス12の頭部12aと衝突させることなく天板等の他の部材を他方面5a−1(6a−1)に当接又は接近させて配置することができる。
【0030】
(第2の実施の形態)
図15及び図16に示す本発明連結構造Jを用いて組み立てた第2の実施の形態のキャビネット胴体21は、左右及び中間の支持体2の全てを支持体2Cで構成し、支持体2Cの縦フレーム部材3E(3F)と上方の横フレーム部材5A(6A)をビス12で連結して本発明連結構造Jを構成してある。キャビネット胴体21は、第1のフレーム部材である縦フレーム部材3E(3F)と第2のフレーム部材である横フレーム部材5A(6A)を仮想平面P上でT字状又はL字状に直交して連結させることができる。
【0031】
(その他の実施の形態)
本発明連結構造Jは、図示は省略したが、第1のフレーム部材であるフレーム部材3E(3F)を横方向に配置し、第2のフレーム部材であるフレーム部材5A(6A)を縦方向に配置して、フレーム部材3E(3F)とフレーム部材5A(6A)をビス12を用いて連結する態様とすることも可能である。
【符号の説明】
【0032】
1…キャビネット胴体、2…支持体、3E(3F)…第1のフレーム部材である縦フレーム部材、3a…側片、3b…中仕切片、3c…連結片、3e…ビスホール、5A(6A)…第2のフレーム部材である横フレーム部材、5a…胴部、5a−1…他方面、5a−3…一方面、5b…水平フランジ片、5e…ビス挿通孔、5f…段落ち箇所、5b−1…切欠き部、6a…胴部、6a−1…他方面、6a−3…一方面、6b…水平フランジ片、6b−1…切欠き部、6e…ビス挿通孔、6f…段落ち箇所、6h…垂直フランジ片、6h−1…切欠き部、12…ビス、15…上方の切欠き段部、16…下方の切欠き段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネット胴体を構成する一方の長手方向へ延びる棒状の第1のフレーム部材と他方の長手方向へ延びる棒状の第2のフレーム部材を仮想平面上でL字状又はT字状に直交して連結させる構造において、
第1のフレーム部材は、一方の長手方向へ延びて対向する二つの側片と、二つの側片の一端側どうしを連結して一方の長手方向へ延びる連結片と、二つの側片の中間どうしを連結して一方の長手方向へ延びる中仕切片と、中仕切片又は連結片から突設して一方の長手方向へ延びるビスホールとを備え、二つの側片の小口側の他端寄りに中仕切片へ至る切欠き段部が設けられ、
第2のフレーム部材は、他方の長手方向へ延びる胴部と、胴部から突設して他方の長手方向へ延びるフランジ片とを備え、上記切欠き段部に胴部の一部を嵌合させると共にフランジ片に穿設した挿通孔を挿通して前記ビスホールに螺着したビスで第1のフレーム部材に連結した
ことを特徴するキャビネット胴体におけるフレーム部材の連結構造。
【請求項2】
前記第2のフレーム部材は、前記第1のフレーム部材の二つの側片に胴部の一方面側を対面させると共に、一方面側と反対の他方面側に胴部の他方面から段落ちさせて前記フランジ片を設け、前記ビスの頭部を段落ち箇所に落ち込ませて胴部の他方面の仮想延長面から突出させないようにした請求項1記載のキャビネット胴体におけるフレーム部材の連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−188064(P2010−188064A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38210(P2009−38210)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【出願人】(599040643)株式会社カワノ (7)
【Fターム(参考)】