説明

キャリア及び現像剤、並びに画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ

【課題】電気抵抗値を適切に保つことができ、衝撃、擦り、磨耗等の負荷が発生しにくく、かつ付着が少ないキャリア及び該キャリアを用いた現像剤、並びに該現像剤を用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジの提供。
【解決手段】磁性を有する芯材粒子と、該芯材粒子表面に被覆層とを有してなり、前記被覆層が蒸着法により形成されたキャリアである。前記蒸着法が化学的蒸着法(CVD)である態様、前記被覆層がカーボンよりなる態様、などが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等に好適に用いられるキャリア及び該キャリアを用いた現像剤、並びに該現像剤を用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真の現像方式には、トナーからなる一成分現像剤を用いる一成分系現像方式と、ガラスビーズ、磁性体キャリア又はそれらの表面を樹脂等で被覆した被覆キャリアと、トナーとからなる二成分現像剤を用いる二成分系現像方式とがある。
前記キャリアとしては、金属粒子表面を樹脂被覆層で覆ったもの、磁性粒子粉を樹脂中に分散させ、球形化したものなど各種キャリア粒子が上市されている。
【0003】
前記二成分現像剤において、キャリアは、現像剤が充填されている現像装置内において、トナーと共に攪拌されることにより、トナーに所望の電荷を付与し、さらにこのように電荷を帯びたトナーを感光体の表面に搬送して感光体上にトナー像を形成するための担体物質としての機能、役割を担っている。
そして、搬送後に残ったキャリアは、マグネット上に保持されて現像ロールから再び現像装置内に戻り、新たなトナーと混合攪拌されるように、一定期間繰り返して使用される。
【0004】
このように、キャリアは繰り返し使用されるため、信頼性、耐久性が非常に要求されるものであり、特に衝撃、擦り、磨耗等の負荷が発生する、キャリア表面を被覆する材料は高い要求特性を満たす必要がある。
また、前記二成分系現像剤においては、画像濃度、カブリ、白斑、階調性、解像力等の画像特性が、初期の段階から所定の値を示し、かつこの特性が耐刷期間中に変動せず、安定に維持されることが必要であり、これらの特性を安定に維持するためには、二成分系現像剤中に含有されるキャリアの特性が安定していることが必要になる。
【0005】
前記キャリアは、表面を被覆する材料の選択としてシリコーンなど表面エネルギーが低い材料を用いることにより、キャリアにトナー成分が付着するスペントと呼ばれる現象が発生し難くなる。このため、トナーの帯電量が安定し、現像剤の長寿命化を図ることができるという利点がある。その一方で、被覆された樹脂により、キャリアは絶縁化され、現像電極として作用しにくくなるので、特にベタ画像部でエッジ効果と呼ばれる現象が発生しやすくなるという問題がある。また、現像バイアスも大きくなるので、非画像部へのキャリア付着が発生しやすくなる。
【0006】
この問題を解決するために、被覆層中に導電剤として、導電性カーボンを分散させたキャリアが提案されている(特許文献1参照)。しかし、この提案のようなキャリアは、製造時に、導電性カーボンの一部が被覆層の表面に付着するため、現像剤として使用する際に、キャリア同士又はキャリアとトナーとの摩擦、衝突等により、被覆層の表面から脱離した導電性カーボンがトナーに付着して現像されるという問題がある。この現象は、カラートナー、特に、イエロートナーと組み合わせた現像剤を用いて画像を形成する場合に、色濁りとして顕著に現れる。
ここで、導電性カーボンを用いずに金属微粒子等を用いて同様の抵抗調整を行なう場合もあるが、導電性カーボンを用いた場合であっても、金属微粒子等を用いた場合であっても、いずれもキャリアの持つ電気抵抗値を適切に保つということは、出力画像の高画質化を達成するためには非常に重要な因子である。
【0007】
【特許文献1】特開昭56−75659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、電気抵抗値を適切に保つことができ、衝撃、擦り、磨耗等の負荷が発生しにくく、かつ付着が少ないキャリア及び該キャリアを用いた現像剤、並びに該現像剤を用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 磁性を有する芯材粒子と、該芯材粒子表面に被覆層とを有してなり、前記被覆層が蒸着法により形成されたことを特徴とするキャリアである。
<2> 蒸着法が化学的蒸着法(CVD)である前記<1>に記載のキャリアである。
<3> 被覆層がカーボンよりなる前記<1>から<2>のいずれかに記載のキャリアである。
<4> 芯材粒子が、Cu−Zn系フェライト、Mn−Mg−Sr系フェライト、Mn系フェライト、又はマグネタイトである前記<1>から<3>のいずれかに記載のキャリアである。
<5> 化学的蒸着法が、炭化水素を含む雰囲気中で行なうプラズマCVD法である前記<2>から<4>のいずれかに記載のキャリアである。
<6> 芯材粒子と被覆層との間に1層以上の中間層を有する前記<1>から<5>のいずれかに記載のキャリアである。
<7> 中間層が、芯材粒子側に設けられたクロム又はチタンを含む層と、被覆層側に設けられたシリコン又はゲルマニウムを含む層とからなる前記<6>に記載のキャリアである。
<8> 中間層の合計厚みが0.01〜0.5μmである前記<6>から<7>のいずれかに記載のキャリアである。
<9> 中間層の合計厚みが0.05〜0.2μmである前記<8>に記載のキャリアである。
<10> 中間層が、物理的蒸着法(PVD)により形成された前記<6>から<9>のいずれかに記載のキャリアである。
<11> 物理的蒸着法がイオンプレーティング法である前記<10>に記載のキャリアである。
<12> 蒸着法が、磁気、電界、又は物理的手段により蒸着粒子を固定する手段を含む前記<1>から<11>のいずれかに記載のキャリアである。
【0010】
<13> 前記<1>から<12>のいずれかに記載のキャリアと、トナーとを含有することを特徴とする現像剤である。
【0011】
<14> 感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を前記<13>に記載の現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含むことを特徴とする画像形成方法である。
<15> 感光体と、該感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を前記<13>に記載の現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有することを特徴とする画像形成装置である。
<16> 感光体と、該感光体上に形成された静電潜像を前記<13>に記載の現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像手段を少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0012】
本発明のキャリアは、磁性を有する芯材粒子と、該芯材粒子表面に被覆層とを有してなり、前記被覆層が蒸着法により形成される。その結果、電気抵抗値を適切に保つことができ、衝撃、擦り、磨耗等の負荷が発生しにくくなる。また、本発明の前記キャリアを含有する現像剤を用いることによって、キャリアの付着を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、従来における課題を解決することができ、電気抵抗値を適切に保つことができ、衝撃、擦り、磨耗等の負荷が発生しにくく、かつ付着が少ないキャリア及び該キャリアを用いた現像剤、並びに該現像剤を用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(キャリア)
本発明のキャリアは、磁性を有する芯材粒子と、該芯材粒子表面に被覆層とを有してなり、更に必要に応じてその他の構成を有してなる。
【0015】
−被覆層−
前記被覆層は、蒸着法により形成される。前記蒸着法としては、例えば、物理的蒸着法(PVD)、化学的蒸着法(CVD)などが挙げられるが、CVDによるのが好ましい。前記CVDは、目的皮膜を構成する成分を含む単体ガス又は化合物ガスを粒子等の対象物上に供給し、その表面上での化学反応により、薄膜を形成する方法である。
前記CVDとしては、例えば、プラズマCVD法、熱CVD法、光CVD法などが挙げられる。これらの中でも、得られる膜が高度に架橋し、いわゆるピンホールフリーであり、通常の溶媒に不溶となる観点から、プラズマCVD法によるのが好ましい。
前記プラズマCVD法は、反応ガスを低温プラズマ状態にし、化学的に活性なイオンやラジカルに分解させることで薄膜を低温形成する方法である。より具体的には、炭化水素を含む雰囲気中で行なう。
前記CVDは、磁気、電界、又は物理的手段により蒸着粒子を固定する手段を含む。
前記プラズマCVD法による被覆層形成に用いられる装置としては、特に制限はなく、市販の装置を適宜選択して用いることができるが、例えば、DLCCVD装置Signas9(株式会社ユーテック製)を好適に用いることができる。
【0016】
ここで、磁気を用いた前記プラズマCVD法による場合には、様々な凹凸面をもつ磁性粒子表面への硬質膜による被覆が可能となる利点があるが、磁力線に沿う形で磁気粒子が移動してしまうため、ネオジウム鉄ボロンの焼結体によるHC(Halbach Cylinder)型永久磁石を内包したアルミ製担持プレート表面に磁性体粒子を散布し、磁気力によりプレート表面に磁性体粒子を固定化し、このアルミプレートをカソード電極に設置し作業することで硬質膜を表面にもつ磁性粒子を得ることができる。
ただし、この方法では、アルミプレートと接している部分の磁性粒子表面には硬化膜(被覆層)が生成しないため、硬化膜を一旦生成させた後、アルミ製担持プレート内部からHC型永久磁石を外し、磁気拘束力を喪失させることで、磁性粒子を回収し、このようにして回収した磁性粒子を再度磁気拘束力を持つアルミプレート表面に散布し、磁性粒子表面に硬化膜を生成させる。この作業を複数回実施することにより、アルミ製担持プレートと接することによって表面に硬化膜の生成しなかった部分を補填し、複数回の実施の後にはほぼ均等に全表面に硬化膜を形成した磁性粒子を得ることが可能である。
【0017】
前記被覆層は、非常に高硬度であり、電気抵抗が大きいことから、ビッカース硬さが1,800Hv以上のカーボンであることが好ましい。
前記硬度は、例えば、平滑かつ平坦なSUS304板上に被覆層を形成し、微小ビッカース硬さ計(アカシ製、MVK‐H2)を用いて10gf/cmの加重における値を計測することにより測定することができる。
このようなカーボンは、i−カーボン又はダイヤモンドを構造の一部に含むことから、ダイヤモンドライクカーボンと呼ばれている(H.Vora and T.J.Moravec,J.appl.phys.,52,6151(1981)など)。
また、前記カーボン硬質膜は、熱伝導性が非常に大きく、化学的に大きな耐食性を有している点でも好ましい。
【0018】
前記被覆層の厚みは、特に制限はないが、例えば、0.05〜0.5μmが好ましく、0.1〜0.2μmがより好ましい。前記被覆層の厚みは、芯材粒子の粒径と比較して極めて小さいことから、表面に被覆層が形成されているキャリアの粒径と芯材粒子の粒径とは、実質的にほぼ同じである。
【0019】
−芯材粒子−
前記芯材粒子としては、磁性を有すれば特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、Cu−Zn系フェライト、Mn−Mg−Sr系フェライト、Mn系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Ba系フェライト、Li系フェライト、マグネタイト、ヘマタイト;鉄、コバルト等の強磁性体などが挙げられる。これらの中でも、Cu−Zn系フェライト、Mn−Mg−Sr系フェライト、Mn系フェライト、マグネタイトが好ましい。
【0020】
前記フェライトとは、一般式:(MO)x(NO)y(Fe)zで示される焼結体である。ただし、前記一般式において、x、y及びzは、フェライトの組成を表し、M及びNは、それぞれ独立に、Ni、Cu、Zn、Li、Mg、Mn、Sr、Ca等が挙げられ、金属酸化物と酸化鉄(III)との完全混合物から構成されている。
【0021】
前記芯材粒子に1kOeの磁界を印加したときの磁気モーメント(磁化)は、50〜150emu/gが好ましく、70〜120emu/gがより好ましい。これにより、キャリア付着の発生を抑制することができる。前記キャリアの磁化が50emu/g未満であると、キャリア付着が発生しやすくなることがある。
【0022】
ここで、前記芯材粒子の磁化は、例えばB−Hトレーサー(BHU−60、理研電子株式会社製)を用いて、以下のようにして測定することができる。
まず、円筒のセルに芯材粒子1gを詰めて装置にセットし、磁場を徐々に大きくして、3kOeまで変化させ、次に徐々に小さくして0にした後、反対向きの磁場を徐々に大きくして3kOeとする。更に、徐々に磁場を小さくして0にした後、最初と同じ方向に磁場をかける。このようにして、B−H曲線を作成し、このB−H曲線から1kOeの磁化を算出する。
【0023】
−中間層−
前記キャリアは、前記被覆層の密着性を向上させる観点から、前記芯材粒子と前記被覆層との間に1層以上の中間層を有することが好ましい。
【0024】
前記中間層は、非常に密着性が良く、安定性、再現性に優れる観点から、芯材粒子側に設けられたクロム又はチタンを含む層と、被覆層側に設けられたシリコン又はゲルマニウムを含む層とからなることが好ましい。
したがって、前記芯材粒子表面に、まずクロム又はチタンを含む層を形成した後、この層の表面に、シリコン又はゲルマニウムを含む層を形成することが好ましい。
【0025】
前記中間層は、物理的蒸着法(PVD)により形成される。前記PVDは、反応容器内を真空にして、金属酸化物、金属窒化物等の皮膜を、金属のガス化からの凝固などにより対象物表面に蒸着する方法である。
前記PVDとしては、例えば、イオンプレーティング法、スパッタリング法、真空蒸着法などが挙げられる。これらの中でも、チタンなどの通常はめっきができない物質に適用可能な観点から、イオンプレーティング法が好ましい。
前記イオンプレーティング法は、10−1〜10−2Pa程度の真空中で金属を電子銃などで蒸発させ、その蒸発粒子をイオン化することにより運動エネルギーを増大させ、対象物との密着性を高めた方法である。
前記PVDは、磁気、電界、又は物理的手段により蒸着粒子を固定する手段を含む。
前記イオンプレーティング法による中間層形成に用いられる装置としては、特に制限はなく、市販の装置を適宜選択して用いることができるが、例えば、高密度反応性イオンプレーティング装置JEIP−900FA(日本電子株式会社製)を好適に用いることができる。
【0026】
前記中間層の合計厚みは、0.01〜0.5μmが好ましく、キャリアの電気抵抗値をより適切な値に保ち、負荷発生を更に少なくする観点から、0.05〜0.2μmがより好ましい。
【0027】
前記キャリアの重量平均粒径(Dw)は、20〜40μmが好ましく、22〜36μmがより好ましい。前記重量平均粒径(Dw)が40μmを超えると、トナーに対する帯電付与に関わる表面積が不足し、トナーの帯電量分布がブロード、あるいは逆帯電粒子の割合が増え、画像品位が低下することがある。なお、キャリア付着は、静電潜像の画像部又は地肌部にキャリアが付着する現象を示す。このとき、印加される電界が強い程、キャリア付着が起こりやすくなる。画像部は、トナー現像されることにより電界が弱められるため、地肌部に比べ、キャリア付着が起こりにくい。キャリア付着は、感光体や定着ローラーの傷の原因となる等の不都合を生じるので好ましくない。
【0028】
また、粒径が20μm未満であるキャリア粒子の含有量は10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下が特に好ましい。前記粒径が20μm未満であるキャリア粒子の含有量が10質量%を超えると、粒径分布が広くなり、磁気ブラシ中に磁気モーメントの小さな粒子が存在するようになり、キャリア付着が発生することがある。
また、粒径が36μm未満であるキャリア粒子の含有量は80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。このように表面が樹脂で被覆されたキャリアの粒径分布を狭くすることにより、各粒子の磁気モーメントの分布を狭くすることができ、キャリア付着の発生を大幅に改善できる。
【0029】
ここで、前記キャリアの粒度分布、個数平均粒径(Dp)、及び重量平均粒径(Dw)は、個数基準で測定された粒子の粒径分布(個数頻度と粒径との関係)に基づいて算出されたものであり、次式で表わされる。
Dp={1/Σ(n)}×{Σ(nD)}
Dw={1/Σ(nD)}×{Σ(nD)}
ここで、前記式中、Dは、各チャンネルに存在する粒子の代表粒径(μm)を示し、nは、各チャンネルに存在する粒子数である。なお、チャンネルは、粒径分布図における粒径の範囲を等分に分割するための長さであり、本発明においては、2μmを採用することができる。また、各チャンネルに存在する粒子の代表粒径としては、各チャンネルの粒径の下限値を採用することができる。粒径分布を測定するための粒度分析計としては、マイクロトラック粒度分析計(モデルHRA9320−X100、Honewell社製)を用いることができる。
【0030】
前記キャリアの体積抵抗率は、1.0×10−18〜5.0×10−10Ω・cmが好ましく、1.0×10−16〜1.0×10−11Ω・cmがより好ましい。前記体積抵抗率が、1.0×10−18Ω・cm未満であると、現像時にチャージアップが発生しやすくなり、画像濃度低下やキャリア付着が起こりやすくなることがあり、5.0×10−10Ω・cmを超えると、感光体への放電、リーク現象が発生することがある。
【0031】
前記体積抵抗率は、例えば、横川−HEWLETT−PACKARD社製4261Aを用いて測定することができる。
具体的には、図1に示すように、電極間距離2mm、表面積2×4cmの電極a及び電極bを収容したフッ素樹脂製容器からなるセルCにキャリアDを充填し、三協パイオテク社製タッピングマシンPTM−1型を用いてタッピングスピード30回/分にて1分間タッピング操作を行う。両電極間に1,000Vの直流電圧を印加し、ハイレジスタンスメーター4329A(4329A+LJK 5HVLVWDQFH 0HWHU、横川ヒューレットパッカード株式会社製)により直流抵抗を測定して電気抵抗率RΩ・cmを求め、LogRを算出する。
【0032】
(現像剤)
本発明の現像剤は、本発明の前記キャリアと、トナーとを含んでなる。
前記現像剤における前記トナーと前記キャリアの混合割合は、キャリア100質量部に対しトナー2〜25質量部が好ましく、3〜20質量部がより好ましい。
【0033】
<トナー>
前記トナーとしては、バインダー樹脂、着色剤、微粒子、帯電制御剤、及び離型剤を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
トナーは、重合法、造粒法等の製造方法を用いて製造することができ、不定形又は球形のトナーが得られる。また、磁性トナー及び非磁性トナーのいずれも用いることができる。
【0034】
−バインダー樹脂−
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばポリスチレン樹脂、ポリビニルトルエン樹脂等のスチレン又はその置換体の単重合体、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族炭化水素、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、スチレン系樹脂やアクリル系樹脂と比較して、トナーの保存時の安定性を確保しながら、溶融粘度を低下させることができる点でポリエステル樹脂が特に好ましい。
【0035】
前記ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合反応によって得ることができる。
【0036】
前記アルコール成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等のジオール類;1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノーA等のエーテル化ビスフェノール類;これらを炭素数3〜22の飽和又は不飽和の炭化水素基で置換した2価のアルコール単位体;その他の2価のアルコール単位体;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエスリトール、ジペンタエスリトール、トリペンタエスリトール、ショ糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の三価以上の多価アルコール単量体などが挙げられる。
【0037】
前記カルボン酸成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3〜22の飽和又は不飽和の炭化水素基で置換した2価の有機酸単量体、これらの酸の無水物、低級アルキルエステルと、リノレイン酸からの二量体酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、3,3−ジカルボキシメチルブタン酸、テトラカルボキシメチルメタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸エンボール三量体酸、これら酸の無水物等の三価以上の多価カルボン酸単量体などが挙げられる。
【0038】
また、前記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの重縮合物等を用いることができる。該エポキシ樹脂としては、具体的には、エポミックR362、R364、R365、R366、R367、R369(いずれも、三井石油化学工業株式会社製);エポトートYD−011、YD−012、YD−014、YD−904、YD−017(いずれも、東都化成株式会社製);エポコート1002、1004、1007(いずれも、シェル化学株式会社製)などの市販品が挙げられる。
【0039】
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0040】
前記染料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、C.I.SOLVENT YELLOW(6,9,17,31,35,100,102,103,105)、C.I.SOLVENT ORANGE(2,7,13,14,66)、C.I.SOLVENT RED(5,16,17,18,19,22,23,143.145,146,149,150,151,157,158)、C.I.SOLVENT VIOLET(31,32,33,37)、C.I.SOLVENT BLUE(22,63,78,83〜86,191,194,195,104)、C.I.SOLVENT GREEN(24,25)、C.I.SOLVENT BROWN(3,9)などが挙げられる。
また、市販染料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、保土ケ谷化学株式会社製の愛染SOT染料Yellow−1,3,4、Orange−1,2,3、Scarlet−1、Red−1,2,3、Brown−2、Blue−1,2、Violet−1、Green−1,2,3、Black−1,4,6,8;BASF社製のSudan染料Yellow−146,150、Orange−220、Red−290,380,460、Blue−670;三菱化成株式会社製のダイアレジンYellow−3G,F,H2G,HG,HC,HL、Orange−HS,G、Red−GG,S,HS,A,K,H5B、Violet−D、Blue−J,G,N,K,P,H3G,4G、Green−C、Brown−A;オリエント化学工業株式会社製のオイルカラーYEllow−3G,GG−S,#105、Orange−PS,PR,#201、Scarlet−#308,Red−5B,Brown−GR,#416、Green−BG、#502、Blue−BOS、IIN、Black−HBB,#803,EB,EX;住友化学工業株式会社製のスミプラストブルーGP,OR、レッドFB,3B、イエローFL7G,GC;日本化薬株式会社製のカヤロンポリエステルブラックEX−SF300、カヤセットRed−B、ブルーA−2R、などが挙げられる。
【0041】
前記着色剤の添加量は、特に制限はなく、着色度に応じて適宜選択することができるが、前記バインダー樹脂100質量部に対し1〜50質量部が好ましい。
【0042】
−帯電制御剤−
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、などが挙げられる。これらの中でも、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、亜鉛、チタン、ストロンチウム、ホウ素、ケイ素、ニッケル、鉄、クロム、ジルコニウムなどが挙げられる。
【0043】
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(いずれも、オリエント化学工業株式会社製);第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(いずれも、保土谷化学工業株式会社製);第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(いずれも、ヘキスト社製);LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット株式会社製);キナクリドン;アゾ系顔料;スルホン酸基、カルボキシル基等の官能基を有する高分子系の化合物、などが挙げられる。
【0044】
前記帯電制御剤の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記バインダー樹脂100質量部に対し0.5〜5質量部が好ましく、1〜3質量部がより好ましい。前記添加量が0.5質量部未満であると、トナーの帯電特性の悪化が見られることがあり、5質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
【0045】
−離型剤−
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ワックス類、などが好適に挙げられる。
前記ワックス類としては、例えば、低分子量ポリオレフィンワックス、合成炭化水素系ワックス、天然ワックス類、石油ワックス類、高級脂肪酸又はその金属塩、高級脂肪酸アミド、これらの各種変性ワックスなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記低分子量ポリオレフィンワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。
前記合成炭化水素ワックスとしては、例えば、フィッシャートロプシュワックスなどが挙げられる。
前記天然ワックス類としては、例えば、蜜ろう、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックスなどが挙げられる。
前記石油ワックス類としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。
前記高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸などが挙げられる。
【0046】
前記離型剤の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記バインダー樹脂100質量部に対し1〜20質量部が好ましく、3〜15質量部がより好ましい。
【0047】
また、磁性トナーでは、磁性体を含有するが、該磁性体としては、鉄、コバルト等の強磁性体;マグネタイト、ヘマタイト、Li系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Ba系フェライト等の微粉末を用いることができる。
なお、トナーは、その他の添加剤を含有してもよい。良好な画像を得るためには、トナーに流動性を付与することが好ましい。このため、一般に流動性向上剤として、疎水化された金属酸化物の粒子、滑剤等の粒子を添加することが有効であり、金属酸化物、樹脂、金属石鹸等の粒子を添加剤として用いることができる。該添加剤の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂;ステアリン酸亜鉛等の滑剤;酸化セリウム、炭化ケイ素等の研磨剤;表面を疎水化したSiO、TiO等の無機酸化物等の流動性付与剤;公知のケーキング防止剤又はそれらの表面処理物などが挙げられる。これらの中でも、トナーの流動性を向上させるためには、疎水性シリカが特に好ましい。
【0048】
前記トナーの重量平均粒径は、3.0〜9.0μmが好ましく、3.5〜7.5μmがより好ましい。ここで、前記トナーの重量平均粒径は、例えばコールターカウンター(コールターカウンター社製)を用いて測定することができる。
【0049】
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、感光体と、該感光体上に形成された静電潜像を本発明の前記現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像手段を少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能である。なお、プロセスカートリッジは、上記以外に、感光体の表面を帯電させる帯電ブラシ等の帯電装置と、感光体の表面に残存する現像剤を払拭するブレード等のクリーニング装置等を更に一体に支持してもよい。
【0050】
図2は、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す図である。この図2のプロセスカートリッジは、感光体1、帯電装置2、現像装置3、及びクリーニング装置4を一体に結合して構成され、複写機、プリンター等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成される。このとき、現像装置においては、本発明の現像剤を用いて現像が行われる。
【0051】
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
本発明の画像形成装置は、感光体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
【0052】
前記静電潜像形成工程は、感光体上に静電潜像を形成する工程である。
前記感光体(以下、「電子写真感光体」、「静電潜像担持体」、「像担持体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体、などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコン等が好ましい。
【0053】
前記静電潜像の形成は、例えば、前記感光体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。前記静電潜像形成手段は、例えば、前記感光体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記感光体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
【0054】
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記感光体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
【0055】
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記感光体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記感光体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記感光体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0056】
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、本発明の前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を本発明の前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、本発明の前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、本発明の前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
【0057】
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
【0058】
前記現像器内では、例えば、トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記感光体近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該感光体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該感光体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
【0059】
−転写工程及び転写手段−
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記感光体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
【0060】
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記感光体上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体の中から適宜選択することができる。
【0061】
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対してこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せ、などが挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
【0062】
前記除電工程は、前記感光体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記感光体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
【0063】
前記クリーニング工程は、前記感光体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記感光体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
【0064】
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
【0065】
次に、図面により、本発明の画像形成方法及び画像形成装置の例を詳しく説明するが、これら例は、本発明を説明するためのものであって、本発明を限定するためのものではない。
【0066】
図3は、本発明で用いられる現像装置の一例を示す図であり、後述するような変形例も本発明の範疇に属するものである。この図3において、潜像担持体である感光体20に対向して配設された現像装置40は、現像剤担持体としての現像スリーブ41、現像剤収容部材42、規制部材としてのドクターブレード43、支持ケース44等から主に構成されている。
【0067】
感光体20側に開口を有する支持ケース44には、内部にトナー21を収容するトナー収容部としてのトナーホッパー45が接合されている。トナーホッパー45に隣接した、トナー21と、キャリア23からなる現像剤を収容する現像剤収容部46には、トナー21とキャリア23を撹拌し、トナー21に摩擦/剥離電荷を付与するための、現像剤撹拌機構47が設けられている。
【0068】
トナーホッパー45の内部には、図示しない駆動手段によって回動されるトナー供給手段としてのトナーアジテータ48及びトナー補給機構49が配設されている。トナーアジテータ48及びトナー補給機構49は、トナーホッパー45内のトナー21を現像剤収容部46に向けて撹拌しながら送り出す。
【0069】
感光体20とトナーホッパー45との間の空間には、現像スリーブ41が配設されている。図示を省略している駆動手段で図の矢印方向に回転駆動される現像スリーブ41は、キャリア23による磁気ブラシを形成するために、その内部に現像装置40に対して相対位置不変に配設された、磁界発生手段としての図示しない磁石を有する。
【0070】
現像剤収容部材42の、支持ケース44に取り付けられた側と対向する側には、ドクターブレード43が一体的に取り付けられている。ドクターブレード43は、この例では、その先端と現像スリーブ41の外周面との間に一定の隙間を保った状態で配設されている。
【0071】
このような装置を非限定的に用い、本発明の画像形成方法は、次のように遂行される。即ち、上記構成により、トナーホッパー45の内部からトナーアジテータ48、トナー補給機構49によって送り出されたトナー21は、現像剤収容部46へ運ばれ、現像剤撹拌機構47で撹拌されることによって、所望の摩擦/剥離電荷が付与され、キャリア23と共に現像剤として、現像スリーブ41に担持されて感光体20の外周面と対向する位置まで搬送され、トナー21のみが感光体20上に形成された静電潜像と静電的に結合することにより、感光体20上にトナー像が形成される。
【0072】
図4は、図3の現像装置を有する画像形成装置の一例を示す図である。ドラム状の感光体20の周囲に、帯電部材32、像露光系33、現像装置40、転写装置50、クリーニング装置60、除電ランプ70が配置されていて、この例の場合、帯電部材32の表面は、感光体20の表面とは約0.2mmの間隙を置いて非接触状態にあり、帯電部材32により感光体20に帯電を施す際、帯電部材32に図示してない電圧印加手段によって直流成分に交流成分を重畳した電界により、感光体20を帯電させることにより、帯電ムラを低減することが可能であり、効果的である。現像方法を含む画像形成方法は、以下の動作で行われる。
【0073】
画像形成の一連のプロセスは、ネガ−ポジプロセスで説明を行うことができる。有機光導電層を有する有機感光体(OPC)に代表される感光体20は、除電ランプ70で除電され、帯電チャージャ、帯電ローラ等の帯電部材32で均一にマイナスに帯電され、レーザー光学系等の像露光系33から照射されるレーザー光で潜像形成(この例では、露光部電位の絶対値は、非露光部電位の絶対値より低電位となる)が行われる。
【0074】
レーザー光は、半導体レーザーから発せられて、高速で回転する多角柱の多面鏡(ポリゴン)等により、感光体20の表面を、感光体20の回転軸方向に走査する。このようにして形成された潜像が、現像装置40にある現像剤担持体である現像スリーブ41上に供給されたトナー及びキャリアの混合物からなる現像剤により現像され、トナー像が形成される。潜像の現像時には、電圧印加機構(不図示)から現像スリーブ41に、感光体20の露光部と非露光部の間に、ある適当な大きさの直流電圧又はこれに交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。
【0075】
一方、記録媒体(例えば紙)80が、給紙機構(不図示)から給送され、上下一対のレジストローラ(不図示)で画像先端と同期をとって、感光体20と転写装置50との間に給送され、トナー像が転写される。このとき、転写装置50には、転写バイアスとして、トナー帯電の極性と逆極性の電位が印加されることが好ましい。その後、記録媒体80は、感光体20より分離され、転写像が得られる。
【0076】
また、感光体20上に残存するトナーは、クリーニング部材としてのクリーニングブレード61により、クリーニング装置60内のトナー回収室62に回収される。
【0077】
回収されたトナーは、トナーリサイクル手段(不図示)により現像剤収容部(不図示)及びトナーホッパー45の少なくともいずれかに搬送され、再使用されてもよい。
【0078】
画像形成装置は、上述の現像装置を複数配置し、記録媒体上へトナー像を順次転写した後、定着機構へ送り、熱等によってトナーを定着する装置であってもよく、一端中間記録媒体上へ複数のトナー像を転写し、これを一括して記録媒体に転写後同様の定着を行う装置であってもよい。
【0079】
図5には、本発明で用いられる画像形成装置の他の一例を示す。感光体20は、導電性支持体上に少なくとも感光層が設けられており、駆動ローラ24a、24bにより駆動され、帯電部材32による帯電、像露光系33による像露光、現像装置40による現像、コロナ帯電器を有する転写装置50を用いる転写、クリーニング前露光光源26によるクリーニング前露光、ブラシ状クリーニング手段64及びクリーニングブレード61によるクリーニング、除電ランプ70による除電が繰り返し行われる。図5においては、感光体20(勿論この場合は支持体が透光性である)に支持体側よりクリーニング前露光が行われる。
【0080】
本発明の画像形成方法及び画像形成装置においては、電機抵抗値を適切に保つことができ、衝撃、擦り、磨耗等の負荷が発生しにくくなる本発明のキャリアを用いた現像剤を用いているので、キャリアの付着が少なく、長期に亘って高画質画像を形成できる。
【実施例】
【0081】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は、ここに例示される実施例に限定されるものではない。
下記実施例及び比較例において、「被覆層及び中間層の厚み」、「キャリアの重量平均粒径及び粒度分布」、「芯材粒子の磁化」、及び「キャリアの体積抵抗率」は、以下のようにして測定を行った。
【0082】
<被覆層及び中間層の厚み>
被覆層及び中間層の厚みは、キャリアを破砕し、その断面を走査型電子顕微鏡の観察により、被覆層及び中間層それぞれの厚みを5箇所測定し、平均することにより求めた。
【0083】
<キャリアの重量平均粒径(Dw)、個数平均粒径(Dp)及び粒度分布>
重量平均粒径(Dw)、個数平均粒径(Dp)及び粒径分布は、マイクロトラック粒度分析計(モデルHRA9320−X100、Honewell社製)を用いて測定した。
【0084】
<芯材粒子の1kOeにおける磁気モーメント(磁化)>
前記芯材粒子の磁化は、B−Hトレーサー(BHU−60、理研電子株式会社製)を用いて、以下のようにして測定することができる。円筒のセルに芯材粒子1gを詰めて装置にセットし、磁場を徐々に大きくして、3kOeまで変化させ、次に徐々に小さくして0にした後、反対向きの磁場を徐々に大きくして3kOeとする。更に、徐々に磁場を小さくして0にした後、最初と同じ方向に磁場をかける。このようにして、B−H曲線を作成し、このB−H曲線から1kOeの磁化を算出した。
【0085】
<キャリアの体積抵抗率>
前記体積抵抗率は、横川−HEWLETT−PACKARD社製4261Aを用いて以下の方法で測定した。
図1に示すように、電極間距離2mm、表面積2×4cmの電極a及び電極bを収容したフッ素樹脂製容器からなるセルCにキャリアDを充填し、三協パイオテク社製タッピングマシンPTM−1型を用いてタッピングスピード30回/分にて1分間タッピング操作を行う。両電極間に1,000Vの直流電圧を印加し、ハイレジスタンスメーター4329A(4329A+LJK 5HVLVWDQFH 0HWHU、横川ヒューレットパッカード株式会社製)により直流抵抗を測定して電気抵抗率RΩ・cmを求め、LogRを算出する。
【0086】
(実施例1)
高密度反応性イオンプレーティング装置JEIP−900FA(日本電子株式会社製)を用いて、磁性を有する芯材粒子表面にクロム層を0.05μm析出させ、その後シリコン層を約0.1μm析出させた。この作業は、150℃以上の温度雰囲気中で真空状態を保ったまま連続して行ない、前記芯材粒子としては、1kOeの磁界を印加した時の磁気モーメントが66emu/gであるCu−Zn系フェライトを用いて行なった。
得られた中間層としての二層を表面に持つ芯材粒子表面に、DLCCVD装置Signas9(株式会社ユーテック製)を用いて、0.1μm厚のカーボン硬質膜(ビッカース硬さ2,200Hv)を表面に生成させた。
キャリアの粒度分布は、重量平均粒径(Dw)が34.5μm、個数平均粒径(Dn)が32.0μm、粒径が36μm未満のキャリア粒子の含有率が51.2質量%、粒径が20μm未満のキャリア粒子の含有率が0.9質量%、Dw/Dnが1.15であった。
また、キャリアの体積抵抗率は、1.88×10−14Ω・cmであった。
【0087】
(実施例2)
実施例1のイオンプレーティング装置を用いて、芯材粒子表面に、中間層として、チタン層を0.08μm析出させ、その後シリコン層を約0.1μm析出させた以外は、実施例1と同様にしてカーボン硬質層(ビッカース硬さ2,600Hv)を表面に持つ芯材粒子を得た。
キャリアの粒度分布は、重量平均粒子径(Dw)が35.1μm、個数平均粒子径(Dn)が32.2μm、粒径が36μm未満のキャリア粒子の含有率が51.0質量%、粒径が20μm未満のキャリア粒子の含有率が0.8質量%、Dw/Dnが1.16であった。
また、キャリアの体積抵抗率は、1.92×10−14Ω・cmであった。
【0088】
(実施例3)
実施例1のイオンプレーティング装置を用いて、芯材粒子表面に、中間層として、クロム層を0.05μm析出させ、その後ゲルマニウム層を約0.15μm析出させた以外は、同様にしてカーボン硬質層(ビッカース硬さ1,900Hv)を表面に持つ芯材粒子を得た。
キャリアの粒度分布は、重量平均粒径(Dw)が34.3μm、個数平均粒径(Dn)が32.0μm、粒径が36μm未満のキャリア粒子の含有率が53.5質量%、粒径が20μm未満のキャリア粒子の含有率が0.7質量%、Dw/Dnが1.18であった。
また、キャリアの体積抵抗率は、1.98×10−14Ω・cmであった。
【0089】
(実施例4)
実施例1のイオンプレーティング装置を用いて、芯材粒子表面に、中間層として、チタン層を0.08μm析出させ、その後ゲルマニウム層を約0.15μm析出させた以外は、同様にしてカーボン硬質層(ビッカース硬さ3,600Hv)を表面に持つ芯材粒子を得た。
キャリアの粒度分布は、重量平均粒径(Dw)が35.0μm、個数平均粒径(Dn)が32.4μm、粒径が36μm未満のキャリア粒子の含有率が50.1質量%、粒径が20μm未満の粒子の含有率が0.8質量%、Dw/Dnが1.15であった。
また、キャリアの体積抵抗率は、1.95×10−14Ω・cmであった。
【0090】
(比較例1)
トルエン中に、シリコーン樹脂SR2411(東レダウコーニングシリコーン社製)及びSR2411の固形分重量の7質量%の導電性カーボンを添加し、ホモジナイザーで30分間分散させることにより、分散液を作製した。なお、導電性カーボンとしては、比表面積が1,270m/gのものを用いた。
この分散液を、固形分が10質量%になるように希釈し、更に化学構造式NH(CHSi(OCHで示されるアミノシランカップリング剤を、SR2411の固形分質量の3%添加して、混合することにより、被覆層塗布液を作製した。
次に、流動式塗布装置を用いて、100℃の雰囲気下で、芯材粒子に、被覆層塗布液を50g/分で塗布した。なお、芯材粒子としては、1kOeの磁界を印加した時の磁気モーメントが66emu/gであるCu−Zn系フェライトを用いた。塗布終了後、攪拌手段の外周部における回転速度を1,000m/分として、30分間回転させた。更に、250℃で2時間加熱して、被覆層の平均膜厚が0.6μmであるキャリアを作製した。
キャリアの粒度分布は、重量平均粒径(Dw)が36.0μm、個数平均粒径(Dn)が29.6μm、粒径が36μm未満の粒子の含有率が58.3質量%、粒径が20μm未満の粒子の含有率が1.3質量%、Dw/Dnが1.22であった。
【0091】
(比較例2)
塗布終了後、攪拌手段を10m/分の回転速度で回転させた以外は、比較例1と同様にして、被覆層の平均膜厚が0.6μmであるキャリアを作製した。
キャリアの粒度分布は、重量平均粒径(Dw)が40.2μm、個数平均粒径(Dn)が38.0μm、粒径が36μm未満の粒子の含有率が38.5質量%、粒径が20μm未満の粒子の含有率が0.1質量%、Dw/Dnが1.05であった。
【0092】
(参考例1)
実施例1のイオンプレーティング装置を用いて、芯材粒子表面に、中間層として、チタン層のみを0.08μm析出させた以外は、同様にしてカーボン硬質層(ビッカース硬さ2,300Hv)を表面に持つ芯材粒子を得た。
キャリアの粒度分布は、重量平均粒径(Dw)が34.0μm、個数平均粒径(Dn)が32.1μm、粒径が36μm未満の粒子の含有率が52.1質量%、粒径が20μm未満の粒子の含有率が0.9質量%、Dw/Dnが1.13であった。
また、キャリアの体積抵抗率は、1.80×10−15Ω・cmであった。
【0093】
〔評価〕
<キャリア粒子単体の評価>
ガラス製の内容積50ml瓶中にキャリア20gを入れ、(株)ヤヨイ製 振とう機YS-8Dにセットし、一分間に90回の往復振幅で60分振とうさせ、振とう後のキャリア抵抗及びキャリア層厚について以下のようにして評価した。結果を表1に示す。
【0094】
−キャリア抵抗−
印可電圧1、000Vにおける初期及び強制劣化試験後それぞれのキャリア抵抗(キャリアの電気抵抗値)を測定し、その変化が0超1/10以内のものを◎、1/10超1/100以内のものを○、1/100超1/1,000以内のものを△、1/1,000超のものを×とした。
【0095】
−キャリア層厚−
初期と強制劣化試験後との比較から、残存率100〜80%を◎、79〜60%を○、59〜40%を△、39〜0%を×とした。
【0096】
<画像出力機による評価>
(株)リコー製ImagioColor4000用標準ブラックトナーと実施例1〜6、比較例1、2、及び参考例1で作製したキャリアを、トナーによるキャリア被覆率が50%となるような割合で調整し、ターブラミキサーで攪拌し、現像剤を作製した。この現像剤をImagioColor4000に装着し、単色モードで10分間攪拌した後のキャリア付着及び10万枚ランニング後のキャリア層厚を以下のようにして評価した。結果を表1に示す。
【0097】
−キャリア付着−
副走査方向に2ドットライン(100lpi/inch)の画像パターンを形成し、現像バイアスを直流で400V印加して現像し、感光体ドラム上の2ドットラインのライン間(100cm)に付着したキャリアを粘着テープで転写し、その個数を目視で観察した。評価基準は、キャリア付着がなく大変良好であるものを◎、キャリア付着が少なく良好であるものを○、キャリア付着はあるが使用可能であるものを△、キャリア付着が多く不良(許容できないレベル)であるものを×とした。
【0098】
−キャリア層厚−
初期と試験後との比較から、残存率100〜80%を◎、79〜60%を○、59〜40%を△、39〜0%を×とした。
【0099】
【表1】

表1の結果から、実施例1〜4のキャリアは、電気抵抗値を適切に保つことができ、衝撃、擦り、磨耗等の負荷が発生しにくく、これを用いた現像剤においても、同様に、前記負荷が発生しにくく、キャリアの付着が少ないことが判った。特に、中間層の合計厚みが0.05〜0.2μmである実施例1及び2は、電気抵抗値をより適切に保つことができ、前記負荷もより発生しにくくなり得ることが判った。なお、参考例1は、キャリア付着は使用可能な程度に少ないが、キャリアの体積抵抗率が低いため、電気抵抗値を適切に保つことができず、前記負荷も発生しやすかった。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明のキャリアは、電気抵抗値を適切に保つことができ、衝撃、擦り、磨耗等の負荷が発生しにくく、かつ付着が少ないため、電子写真方式の画像形成用の現像剤に好適に用いられる。
また、本発明のキャリアを用いた本発明の現像剤は、二成分現像方式等の公知の各種電子写真法による画像形成に好適に用いることができ、現像剤入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に特に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、体積抵抗率の測定方法を示す概念図である。
【図2】図2は、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の画像形成装置で用いられる現像装置の一例を示す概略図である。
【図4】図4は、図3の現像装置を有する画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図5】図5は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0102】
1 感光体
2 帯電装置
3 現像装置
4 クリーニング装置
20 感光体ドラム
21 トナー
23 キャリア
24a、24b 駆動ローラー
26 クリーニング前露光光源
32 帯電部材
33 像露光系
40 現像装置
41 現像スリーブ
42 現像剤収容部材
43 ドクターブレード
44 支持ケース
45 トナーホッパー
46 現像剤収容部
47 現像剤撹拌機構
48 トナーアジテータ
49 トナー補給機構
50 転写装置
60 クリーニング装置
61 クリーニングブレード
62 トナー回収室
64 ブラシ状クリーニング手段
70 除電ランプ
80 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性を有する芯材粒子と、該芯材粒子表面に被覆層とを有してなり、前記被覆層が蒸着法により形成されたことを特徴とするキャリア。
【請求項2】
蒸着法が化学的蒸着法(CVD)である請求項1に記載のキャリア。
【請求項3】
被覆層がカーボンよりなる請求項1から2のいずれかに記載のキャリア。
【請求項4】
芯材粒子が、Cu−Zn系フェライト、Mn−Mg−Sr系フェライト、Mn系フェライト、又はマグネタイトである請求項1から3のいずれかに記載のキャリア。
【請求項5】
化学的蒸着法がプラズマCVD法である請求項2から4のいずれかに記載のキャリア。
【請求項6】
芯材粒子と被覆層との間に1層以上の中間層を有する請求項1から5のいずれかに記載のキャリア。
【請求項7】
中間層が、芯材粒子側に設けられたクロム又はチタンを含む層と、被覆層側に設けられたシリコン又はゲルマニウムを含む層とからなる請求項6に記載のキャリア。
【請求項8】
中間層の合計厚みが0.01〜0.5μmである請求項6から7のいずれかに記載のキャリア。
【請求項9】
中間層の合計厚みが0.05〜0.2μmである請求項8に記載のキャリア。
【請求項10】
中間層が、物理的蒸着法(PVD)により形成された請求項6から9のいずれかに記載のキャリア。
【請求項11】
物理的蒸着法がイオンプレーティング法である請求項10に記載のキャリア。
【請求項12】
蒸着法が、磁気、電界、又は物理的手段により蒸着粒子を固定する手段を含む請求項1から11のいずれかに記載のキャリア。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載のキャリアと、トナーとを含有することを特徴とする現像剤。
【請求項14】
感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を請求項13に記載の現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項15】
感光体と、該感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を請求項13に記載の現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
感光体と、該感光体上に形成された静電潜像を請求項13に記載の現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像手段を少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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