説明

キューブ型凍結米飯

【課題】 一定容量、あるいは、一定カロリーの米飯を一塊に凍結した米飯であり、かつ、電子レンジによる解凍時間が短縮された塊状の凍結米飯の提供。
【解決手段】直方体、好ましくは立法体に成型した電子レンジ解凍用凍結米飯である。好ましくは、15〜150gの米飯をひとつの塊に成型したものである。また、これらの凍結米飯を切り離しができる複数の収納部を有するトレーの各収納部にひとつずつ充填した電子レンジ解凍用凍結米飯の包装体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一定容量、あるいは、一定カロリーの米飯を一塊に凍結した米飯に関する。詳細には、電子レンジによる解凍時間が短縮された塊状の凍結米飯に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍焼きおにぎりや冷凍ピラフなど、電子レンジ加熱するだけでそのまま食せる冷凍食品が多数販売されており、米飯の凍結に関する特許も多数出願されている(特許文献1−6等)。おにぎりは1個の量が一定しているが、ピラフなどの場合、100g食べたいと思ったら、計りが必要となる。近年、肥満、メタボリックシンドロームなどを気にする消費者が増加し、食事の摂取量を正確にコントロールしたいという要求がある。
しかし、電子レンジで解凍する場合、バラ凍結したものに比べると塊状のものは、解凍に要する時間が多くなるという問題がある。
【0003】
【特許文献1】特開平4−356166号
【特許文献2】特開昭59−109144号
【特許文献3】特開平1−27440号
【特許文献4】特開平1−265856号
【特許文献5】特開平2−142443号
【特許文献6】特開平3−254651号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、一定容量、あるいは、一定カロリーの米飯を一塊に凍結した米飯であり、かつ、電子レンジによる解凍時間が短縮された塊状の凍結米飯を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、凍結米飯の解凍時間を短縮するため、各種工夫を試みていたところ、形状を直方体、特に立法体にすることで、おにぎりによくある三角お握り型や俵型に比較して解凍時間が短くて済むことを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
本発明は、下記の(1)〜(6)の電子レンジ解凍用凍結米飯を要旨とする。
(1)直方体に成型した電子レンジ解凍用凍結米飯。
(2)直方体が立法体である請求項1の電子レンジ解凍用凍結米飯。
(3)15〜150gの米飯をひとつの塊に成型したものである請求項1又は2の電子レンジ解凍用凍結米飯。
(4)25〜120gの米飯をひとつの塊に成型したものである請求項1又は2の電子レンジ解凍用凍結米飯。
(5)米飯が玄米の米飯である請求項1ないし4いずれかの電子レンジ解凍用凍結米飯。
(6)米飯が具材を含まないものである請求項1ないし5いずれかの電子レンジ解凍用凍結米飯。
【0007】
本発明は、下記の(7)、(8)の電子レンジ解凍用凍結米飯の包装体を要旨とする。
(7)(1)ないし(6)いずれかの電子レンジ解凍用凍結米飯の複数個をひとつに包装したことを特徴とする電子レンジ解凍用凍結米飯の包装体。
(8)電子レンジ解凍用凍結米飯を切り離しができる複数の収納部を有するトレーの各収納部にひとつずつ充填した(7)の電子レンジ解凍用凍結米飯の包装体。
【発明の効果】
【0008】
本発明のキューブ型凍結米飯は、塊状ではあるが、他の形状に比較して電子レンジにより短時間で解凍することができる。したがって、電子レンジ解凍用の塊状凍結米飯として商品価値を高めることができる。また、一定の重量サイズ、すなわち、一定のカロリーの、統一されたキューブ形状の凍結米飯を複数個包装した商品とすれば、秤がなくても、摂取したい重さあるいはカロリー分の米飯を簡単に取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明において、米飯とはうるち米、もち米を問わず、また、精白米、玄米を問わない。さらに、成型に影響さえなければ各種具材が混ざったものでもかまわない。玄米は食物繊維やビタミン、ミネラルを多く含み、栄養面から注目を集めているが、家庭で炊飯する場合、精白米に比べて、手間がかかるため、炊飯したものの冷凍品を提供することができれば、気軽に玄米食をとることができ好ましい。
これらの米を通常の炊飯方法で炊飯した米飯を、成型機を用いて直方体、好ましくは立方体に成型することができる。この際に、機械適性から油脂を添加することもできるが、無添加の米飯でも成型体を得ることは可能である。
【0010】
本発明の成型はおにぎりの成型機を用いてしっかり成型すれば、おにぎりとしても使うことができるが、おにぎりよりもゆるめに成型して凍結すれば、解凍後、箸でほぐすことにより通常の米飯となる。直方体、立法体と表現しているが、米粒を成型するものであるから、当然完全な直角の直方体や立法体を意味しているわけではなく、成型の型が直方体や立法体であれば問題ない。さらに型の製造、洗浄や凍結米飯の取り出しやすさのために角部に僅かなアールをつけた型を用いることもできる。
【0011】
実施例に示すように、本発明の効果は米飯の大きさによらず認められ、特に大きくなるほど、効果が大きくなる傾向にある。本発明の効果は、電子レンジのマイクロ波が角の部分に集まる性質を有することによるものと考えられる。角の部分が多いと早く加熱する部分が増え、その部分が加熱されることで、その他の部分に熱が伝わり、結果として全体の昇温が早くなるものと考えられる。 したがって、俵型より三角お握り型、さらに直方体の昇温が早くなると考えられる。
【0012】
本発明は、一定量の米飯を同一のサイズに成型したものの凍結品であるので、摂取したいカロリー量に応じて、必要な個数の塊を解凍すれば、正確にカロリーコントロールができる。
例えば、25gのキューブ状米飯を切り離しができる複数の収納部を有するトレーの各収納部にひとつずつ充填した冷凍食品の包装体として提供すれば、100gの米飯を摂りたい場合、4個分のトレーを切り離し、それらをトレーごと電子レンジ解凍すれば、100gの米飯を摂取することができる。
【0013】
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0014】
うるち米精白米に1.4倍の水を加え、30分間吸水させ、炊飯器にて炊飯した。15分間蒸らした後、表1の重量の米飯をそれぞれ記載の大きさに成型し、急速凍結した。各サンプルの温度を−12〜−10℃に揃えた後、皿に1個ずつのせて電子レンジ(東芝ER−A4)で加熱した。加熱時間は三角おにぎり型の米飯の中心温度が60℃以上になるために要する時間とした。
【0015】
【表1】

【0016】
結果を表2に示す。いずれの大きさの米飯もキューブ型(立法体)の昇温がもっとも良く、ついで、三角おにぎり型、俵型の順であった。また、俵型は個体ごとのバラツキが大きかった。この結果、同じ重量の米飯であっても形状を工夫することにより、より早く昇温させることができることがわかり、その形状としてはキューブ型が優れていることがわかった。
【0017】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0018】
電子レンジ解凍用の凍結米飯を提供することができる。一定重量の米飯を手軽に摂取することができ、しかも、解凍時間が短縮された製品を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体に成型した電子レンジ解凍用凍結米飯。
【請求項2】
直方体が立法体である請求項1の電子レンジ解凍用凍結米飯。
【請求項3】
15〜150gの米飯をひとつの塊に成型したものである請求項1又は2の電子レンジ解凍用凍結米飯。
【請求項4】
25〜120gの米飯をひとつの塊に成型したものである請求項1又は2の電子レンジ解凍用凍結米飯。
【請求項5】
米飯が玄米の米飯である請求項1ないし4いずれかの電子レンジ解凍用凍結米飯。
【請求項6】
米飯が具材を含まないものである請求項1ないし5いずれかの電子レンジ解凍用凍結米飯。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれかの電子レンジ解凍用凍結米飯の複数個をひとつに包装したことを特徴とする電子レンジ解凍用凍結米飯の包装体。
【請求項8】
電子レンジ解凍用凍結米飯を切り離しができる複数の収納部を有するトレーの各収納部にひとつずつ充填した請求項7の電子レンジ解凍用凍結米飯の包装体。


【公開番号】特開2008−178331(P2008−178331A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13514(P2007−13514)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000004189)日本水産株式会社 (119)
【Fターム(参考)】