説明

キラル化合物を含む液晶組成物

本発明はキラルドーパントとして有用な新規なクラスの化合物に関する。この化合物は2つの鏡像異性体の形態で入手できる。この様な配合物はディスプレイや種々の他の製品に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキラルドーパントと組み合わせたネマチック材料を用いたキラルネマチック液晶(LC)組成物の形成に関する。
【背景技術】
【0002】
キラルネマチック(コレステリックとしても知られる)液晶材料は、とりわけ各種液晶ディスプレイ成分、反射フィルム、光学フィルター、偏光子、塗料およびインクを含むいろいろな用途に有用である。この様な材料を製造する方法は十分に確立されている。例えば、Giovanni GottarelliおよびGian Piero Spada, Mol. Cryst. Liq. Crys., 123, 377-388(1985); Gian Piero SpadaおよびGloria Proni, Enantiomer, 3, 301-314(1998)を参照されたい。しかしながら、改良がなお必要である。キラルネマチック組成物の初期の使用は、殆どキラル成分から成る混合物に依存していたが、最近はこの様な材料は少量のキラルドーパントと組み合わせたネマチック液晶混合物からなる。この様な新組成物においては、ネマチックホスト材料の性質、例えば、とりわけ粘度、複屈折、電気的異方性および磁気的異方性はネマチック混合物の化学組成を変えることによって望んでいる使用に整えられ、ついでキラルドーパントを組入れて、螺旋ねじりを起させ望ましいキラルネマチックピッチを提供するようにする。このキラルネマチック組成物の性質はしたがってネマチックホストの性質プラスドーパントの性質の組み合わせであることは明らかである。ドーパントの量を減らすことによって、ホストネマチックLC配合物の性質をよりよく維持できるであろうことはさらによく理解される。確かに、特定のドーパントの濃度を減らすと、得られるキラルネマチック配合物のピッチも減少する。キラルネマチック組成物の多くの用途は、LC配合物が可視光を反射させるか通過させることを要求し、それ故実質的な螺旋ねじり、すなわち、短い螺旋ピッチ(“p”)を有する組成物を要求する。これらのことを考えると、単位濃度当りに大量のネマチック螺旋ねじりを誘起するドーパントが重んじられることが判る。この様な材料についてのメリットの数字はその螺旋ねじり力(“HTP”またはβ)である。
【0003】
特定の温度における特定のホストでのドーパント材料のHTP(β)は式1により定義される。
β = (pcr)-1 (式1)
【0004】
ここで“p”はドープされたネマチックの測定された螺旋ピッチ(μm)、“c”はドーパント濃度の尺度(通常無単位尺度のモル分率、重量分率または重量%で表され、ここでモル分率と重量分率は0〜1の尺度である)であり、“r”はドーパントの鏡像異性体過剰率(0〜1の無単位尺度)である。鏡像異性体過剰率(r)は、試料中の二つの鏡像異性体の二つのモル分率(F)の差の絶対値として定義され、rは|F(+) - F(-)|に等しい。かくして、ラセミ混合体については、rは|0.5 - 0.5| = 0であり、鏡像異性体的に純粋な材料については、rは|1.0 - 0| = 1であり、75% 純粋混合物についてはrは|0.75 - 0.25| = 0.5である。HTPが大きくなるほど、特定のピッチを提供するのに必要とされるドーパントの濃度は低くなり、これにより特定の反射率または透過率を生じる。キラルネマチック配合物のピッチは、各種光学技術を用いて決定できる。例えば、Zvonimir DogicおよびSeth Fraden, Langmuir, 16巻, 7820-7824(2000)を参照されたい。ドーパント濃度は処方された通りであり、鏡像異性体過剰率は、キラル高性能液晶クロマトグラフィ(HPLC)または核磁気共鳴(NMR)分光分析により測定できる。典型的には、有用な鏡像異性体的に純粋なドーパントについては、これらのHTPは百〜数百(μm-1)の範囲にある。100より大なねじり力(ドーパントモル分率に対して)を有するドーパントはしばしば“高ねじり”ドーパントと記載される。新しいドーパント、殊に高ねじりドーパントの発見は、キラルネマチック配合物の有用性を拡大するのに重要である。
【0005】
キラルネマチック液晶が公式化されていろいろな波長の入射電磁放射を反射できるだけでなく、螺旋ピッチのキラリティの向きに依存して反射光は円形に偏光されることがよく理解されている。従って、右旋性螺旋中間構造を示すキラルネマチックは右旋性入射光を反射させる。多くの応用においては、例えば、垂直に層状をなしている構造においては、右旋方向と左旋方向の両方の円形偏光を反射できるのが有用である。キラルドーパント構造の鏡像異性体は反対の極性の螺旋回転を誘起し、したがって反対に偏光した光を反射する。この故に、別々の光変調層に用いる鏡像異性体対のドーパントの調製は特に有用であり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ドーパントとしてまたはドーパントの合成前駆体用としてより可能性のある鏡像異性体的に実質的に純粋な有機化合物を得るための三つの一般的な源がある。それは、(1)天然資源から得られる化合物、(2)鏡像異性体のラセミ混合体の予備分離、または(3)望ましい鏡像異性体を直接与えるキラル合成方法である。最も一般的には、後者の二方法のみが可能性のあるドーパントの両鏡像異性体への道筋を提供する。天然源は一般に鏡像異性体対の一つのみを提供する。これは生命の基本的なキラリティを反映している。かくして、ドーパントまたはそれらの前駆体のために天然資源を用いることはドーパントの実用性の限界に至る。したがって、非天然源から得られる新しいドーパントの発見は殊に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは、キラルドーパントとして有用な新規なクラスの化合物を見出した。これらの化合物は両鏡像異性体の形態で得られる。本発明のもう一つの態様は、この様なキラルドーパントを含むキラルネマチック液晶配合物に関する。この様な配合物はディスプレイや他の製品に有用である。随意選択的に、このキラル化合物は重合可能性を有するものなることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
我々は、次の構造式1で表されるある種の化合物はキラルドーパント源として有用であることを見出した。特に、ネマチック組成物に導入されるこの様な化合物の鏡像異性体的に富んだ形態(実質的に鏡像異性体的に純粋な形態を含む)は、有用なネマチック混合物を与える。
【0009】
【化1】

【0010】
明らかな様に、構造式1の化合物はスピロジフェノキシ部分を含む中央核を含んでなる。構造式1において、A, B, CおよびDは独立した二価の基で、各Xはそれぞれ任意の独立して選ばれる環の置換基、またはXはもう一つのXまたはROと共に縮合環を形成することができ、nはそれぞれ独立して0〜3の範囲で変わり、RO基はそれぞれ独立して水素または構造式1におけるフェノール性酸素をキャップする任意の置換基から選ばれる。好ましくは、A, B, CおよびDは次の様になっている。AおよびBは第一の五員環または六員環を構成し、CおよびDは第二の五員環または六員環を構成し、これらの環はAおよびCが結合しているスピロ炭素原子を共有する。
【0011】
好ましい態様は次の構造式2で表される。ここで、RCOは、任意の好適な置換基であり、各Xはそれぞれ任意の独立して選ばれる環の置換基または水素であり、そして、R1基およびR2基は、独立に水素またはアルキル置換基である。
【0012】
【化2】

【0013】
一般に、本明細書において特定の部分または基を言及する時は、この様な言及は、未置換かまたは一つもしくは二つ以上の置換基(可能な最大数以下の)で置換されている部分を包含していると理解すべきである。例えば、“アルキル”または“アルキル基”は置換されたまたは置換されていないアルキルを指し、“ベンゼン基”は置換されたまたは置換されていないベンゼン(六以下の置換基を有する)を指す。一般に、他に特に述べなければ、ここで分子に使用可能な置換基には任意の基が含まれ(置換のあるなしに関りなく)、これは中間相の有用性に必要な性質を破壊しない。任意の上記基についての置換基の例としては、クロロ、フロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、アルコキシ、特に“低級アルキル”(すなわち、1〜12炭素原子を有する)、例えば、メトキシ、エトキシ、置換または未置換アルキル、特に低級アルキル(例えば、メチル、トリフロロメチル)、チオアルキル、(例えば、メチルチオまたはエチルチオ)、特に1〜12炭素原子を有するチオアルキルの一つ、置換または未置換アルケニル、好ましくは2〜12炭素原子を有するもの(例えば、エチェニル、プロペニルまたはブテニル)、置換および未置換アリール、特に6〜20炭素原子を有するもの(例えば、フェニル)、および置換または未置換ヘテロアリール、特にN, OまたはSから選ばれた1〜3のヘテロ原子を含む五員環〜六員環を有するもの(例えば、ピリジル、チエニル、フリル、ピロリル)、酸または酸塩基、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、カルボキシレート、アシル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、スルフォアミド、スルファモイル、スルフォ、スルフォネートまたはアルキルアンモニウム等の公知の基、および当業界で知られた他の基が含まれる。アルキル置換基は特に“低級アルキル”(すなわち、1〜12炭素原子を有する)、例えば、メチル、エチル等を含む。さらに、アルキル基またはアルキレン基に関しては、これらは枝分かれしていてもしていなくてもよく、環構造が含まれてよいことが理解されるであろう。
【0014】
一般に、本明細書での言及が、環または複数の環と構造1の種々の構造要素または基との間の構成に対してなされる場合、構造1の定義から、それぞれ別の環に接続される構造1に基づく2つまたは3つ以上の構造単位を含めた大環状化合物を除くとして理解されるべきである。そのような大環状化合物は本発明から特に除かれる。しかし、構造1に基づく2つまたは3つ以上の構造単位を有する線状オリゴマー構造は除かれない。この場合、構造1に基づく構造単位とは、構造単位内でスピロ炭素を含む2つの環から当該化合物の向かい合う側に2つの連結結合を形成するために、構造1の化合物中の2つの基から水素を除くことによって構造1の化合物から得られる二価部分であるとして規定される。そのような除外された大環状化合物は、Koehler, Bernhard等により、"Novel Chiral Macrocycles containing Two Electronically Interacting Arylene Chromophores, "Chem. Eur. J. 2001, 7, No. 14に開示されている。構造1の化合物が、そのような大環状化合物を製造するために開示されているが、この大環状化合物だけが液晶組成物に有用なキラルドーパントとして開示されている。
【0015】
構造式1中のA, B, CおよびDはそれぞれ独立してメチレン、酸素、硫黄、スルフォキシル、スルフォニル、カルボニル、モノ置換窒素(N-R)、ジ置換炭素(R1-C-R2)(ここでR, R1, R2はそれぞれ独立して水素または任意の置換基である)等の任意の二価の置換基である。A, B, CおよびDがそれぞれ独立してメチレンまたはジ置換炭素(R1-C-R2)であることが好ましい。両方のAもしくはB(および/またはCもしくはD)がメチレンまたはジ置換炭素(R1-C-R2)であることがより好ましい。一つの態様では、AおよびBはそれぞれCおよびDと同じである。R、RおよびR’はそれぞれ独立してXと同じである。1〜12炭素原子を有する有機炭素含有置換基が好ましい。
【0016】
構造式1中のX置換基は任意の置換基となることができる。酸素含有有機置換基および/または炭素含有置換基であることが好ましい。好ましい酸素含有置換基は、置換または未置換のアルコキシ、アリールオキシ、カルボアルキル(O-C(=O)R)、カルボアリール(O-C(=O)Ar)、カルボアルコキシ(O-C(=O)OR)、カルボアリールオキシ(O-C(=O)OAr)を含む。好ましい炭素含有置換基は、約1〜20炭素原子のアルキル基、約1〜20炭素原子のシクロアルキル基、約6〜20炭素原子のアリール基、約6〜20炭素原子のアルカリール基および一以上のヘテロ原子および2〜20炭素原子を有する複素環式基を含む(これらすべては置換または未置換である)。他の好ましい酸素含有有機置換基は、カルボアルコキシ(C-C(=O)R)、カルボアリールオキシ(C-C(=O)OAr)、アリールケトンもしくはアルキルケトン(C-C(=O)R)または(C-C(=O)Ar)(これらはすべて置換または未置換である)を含む。他の好適なX置換基にはハロゲン類、シアノ(-CN)、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノカルボニル、スルフォンアミド、スルファモイル、スルフオ、スルフォネートまたはアルキルアンモニウム、ならびに以下に述べる様にシロキサン残基または重合性基が含まれるがこれらに限定はされない。好ましくは、-OROの定義に適合するX基は、スピロ炭素を有する各環に隣接する位置において、構造1の二つの芳香環上には配置されない(即ち、前記環に結合された芳香族炭素上で置換される)。そのような位置(6,6'位置に比較した場合の7,7'位置)に-ORO基を有するスピロジフェノール誘導体は、係属中の米国特許出願番号10/651,692(2003年8月29日、Welter等によって出願。引用することによりその内容を本明細書に組み入れる)に開示されている。
【0017】
さらに、次の組の任意の二つのメンバー:構造式1中の同じ芳香性環上のXおよびROが結合して、不飽和脂肪族または芳香族のいずれかの縮合環を形成してもよい、ただし環の形成がキラルドーパントの機能に干渉しないものとする。
【0018】
構造式1の一つの好ましい態様において、“n”の添え字は両方とも0または1である。
【0019】
構造式1中のRO基はそれぞれ独立して任意の置換基または水素であり、好ましくは1〜24の炭素原子を有し、より好ましくは8〜18の炭素原子を有している。RO基は好ましくはアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル等のカルボニルまたはアリールスルフォニル、(置換または未置換)である。より好ましくは、RO基はカルボニル(C(=O)RCO)であり、ここでRCOは置換または未置換のアリール、アルキル、シクロアルキルもしくはアルカリール、または複素環である。RCO基が芳香族環、例えば、フェニル含有基を含んでいるのが特に好ましい。以下に規定するように、RCOが置換または未置換のアリールであるのが最も好ましい。即ち、-RCO=-(Y-L)m-Z:ここでLは単一結合、例えば-(Y)m-Zまたは次の基から選ばれた二価の結合基:-C(=O)O-, -OC(=O)-, -CH2CH2-, -CH=CH-, -C≡C-, -OCH2-, -CH2O-, -N=CH-, =CH=N-, -OC(=O)O-, -C≡C-C≡C-, -COCH=CH-, CH=CHCO-, -O-, -S-およびSO2であり、YおよびZはそれぞれ独立して1,4-フェニレンとなることができ、さらにここで一または二以上のメチレンを、-N=、1,4-シクロヘキシルで置き換えることができ、さらにここで一または二以上の近接しないメチレン単位を、O またはS、1,4-シクロヘキシレン、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン、ピペリジン-1,4-ジイル、ナフタレン-1,6-ジイル、デカヒドロナフタレン-1,6-ジイル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,6-ジイル(ここでこれらの基の各々は置換されていないか、またはハロゲン、シアノ、イソシアノもしくはニトロ基でモノ置換または多置換されている、または1〜12炭素原子を有するアルキル、アルコキシルまたはアルカノイル基(ここで一つまたは二つ以上の水素は塩素または弗素と置換されてよく)と置き換えることができ、そしてここでm = 0, 1, 2, 3, 4である。上に示した様に、ROはX基と縮合環を形成できる。構造式1中の二つのRO基(または構造式2中の二つのRCO基)は結合することができ、それぞれ構造式1または構造式2中の二つのフェニル環の間にブリッジを形成する。
【0020】
本発明の化合物の2,3の例は以下のとおりである。この例は単に説明のためのものであり、これに限定することは意図していない。
【0021】
【化3】

【0022】
【化4】

【0023】
【化5】

【0024】
【化6】

【0025】
【化7】

【0026】
【化8】

【0027】
さらなる態様においては、構造式1または構造式2のドーパント化合物はA, B, C, D, X, RO, RCO, R, R1, R2, Yおよび/またはZの一部として、例えば、ビニル、アクリロイル、メタクリロイル、スチリル、シアノアクリレート、ビニルエーテル、ビニルエステル、イソシアネート、エポキシおよび/もしくは重合可能部分であるそれらの誘導体またはシロキサン残基を含んでよい。
【0028】
構造式1の一つの好ましい態様においては、A は二つの基RA を有する炭素原子、(C(RA)2)であり、Bは二つの基RBを有する炭素原子、(C(RB)2)であり、Cは二つの基RCを有する炭素原子(C(RC)2)であり、そしてDは二つの基RDを有する炭素原子、(C(RD)2)である。ここで各基RA, RB, RCおよびRD基はそれぞれ独立して水素または上記Xのような置換基、好ましくは水素または置換もしくは未置換アルキルのような有機置換基であり、そしてXは任意の独立して選ばれる置換基であり、nは0から3の間で変わり、ROは好適な置換基である。好ましい態様においては、構造式1におけるRO基はそれぞれ独立して構造式2におけるようなRCOである。
【0029】
構造式1のより好ましい態様においては、A, B, CおよびD基は構造式2におけると同様に各々メチレン(-CH2-)である。各Xは任意の独立して選ばれる置換基であり、nは0から3の間で変わり、各ROはそれぞれ独立して好適な置換基である。
【0030】
構造式1の別のより好ましい態様において、AおよびC基は各々メチレンであり、BおよびD基は2つの水素または2つのアルキル基を載せた炭素であり、各Xは独立してHまたは置換基であり、そしてスピロ炭素原子に共通する両環上のnは1(但し、構造式2における様に各環における任意のX置換基が示された酸素置換基にパラ(C-4およびC-4’)の位置にある炭素原子に有るという条件付)であり、そして各ROは任意の好適な置換基である。
【0031】
特に好ましい態様の例は構造式2によって記載されており、ここでR1およびR2はメチル記であり、RCOは置換されたかまたは置換されていない炭素環式芳香族置換基である。
【0032】
非ラセミ体混合物に使用されているかまたは一方の鏡像異性体の鏡像異性体過剰で使用されている本発明の化合物は有効な量で液晶組成物中でキラルドーパントとして有用である。累積的に有効な量の構造式1の一または二以上のキラルドーパントを、または他のタイプのドーパントと一緒に累積的に有効な量の一または二以上のキラルドーパントを使用できる。好適には、構造式1の化合物を、液晶組成物の全量に対して、0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜6重量%使用できる。好ましくは、非ラセミ体混合物は、両鏡像異性体の重量に対して60重量%以上、好ましくは80重量%以上の、より好ましくは90重量%を超える鏡像異性体の一方を含有する。鏡像異性体過剰率は0より大、好ましくは0.6より大である。最も好ましくは、非ラセミ体混合物は実質的にまたは本質的に純粋な鏡像異性体である。上述したように、鏡像異性体が純粋であればあるほど、望ましいHTPを得るに必要なキラルドーパントの量はより少なく、したがって不適合性の機会が少ないか、または液晶組成物の望ましい非等方性の性質に逆効果を与えることが少ない。
【0033】
好ましくは、構造式1の化合物のHTPは特定の液晶組成物に使われる時、ドーパントのモル分率を基準にして、80より大であり、より好ましくは100以上であり、最も好ましくは100より大である。
【0034】
本発明の化合物は、標準の化学的変換を用いる当業者により直ちに調製できる。さらに、これらの材料は、キラルHPLC、キラル合成、偏左右異性体エステル、ウレタン、カルボネート等を経由したスピロフェノールのキラル誘導体の化学的またはクロマトグラフィ分離を含む(しかしこれらに限らない)標準的な方法を用いて、鏡像異性体的に純粋な状態で単離できる。
【0035】
次の構造式3のスピロフェノール誘導体の調製は前に説明した。
【0036】
【化9】

【0037】
a. Gary FalerおよびJerry Charles Lynchの、欧州特許公開公報第264026 A1 19880420 (1988); b. Vladimir PrelogおよびDavor Bedekovicの、Helvetica Chimica Acta, 62(7), 2285-302(1979); c. Bernhard Kohler, Volker Enkelmann, Masao Oda, Silvia PieracciniおよびGian Piero Spada, Ullich Scherfの、Chemistry-A European Journal, 7(14), 3000-3004 (2001); ならびにd. Jens Cuntze およびFrancois Diederich, Helvetica Chimica Acta (1977), 80(3), 897-971を参照されたい。対掌的に純粋な誘導体の予備的単離についてもまた記載されている。例えば、a. Romas. J. Kazlauskas, Journal of the American Chemical Society, 111(13), 4953-9(1989);およびb. Romas. J. Kazlauskas等の、米国特許第4,879,421号(1989)を参照されたい。
【0038】
これらの方法および関連した方法を使用して必要なスピロフェノールの鏡像異性体的に富化された試料を調製できる。
【0039】
本発明のキラル化合物またはこれらの重合体と液晶材料との混合物の使用は、ディスプレイ、偏光子、カラーフィルター、非吸収性カラーフィルター、装飾的もしくは保安の目的または塗膜用の液晶顔料、光学的スイッチングおよび光学的情報記憶を含む広汎な用途に使用できる。例えば、本発明の組成物は印刷インク中および表面塗膜中に視角依存性のカラー効果を有する干渉顔料を作るのに使用できる。本発明の化合物は、診断、医療または化粧の組成物にも使用できる。例えば、本発明による液晶組成物は、体温の検出または紫外線から人の皮膚または髪を護るために使用できる。
【0040】
液晶組成物はSTN、TN、キラルネマチックおよび強誘電体の材料または化合物を含むことができる。好ましくは、この材料はキラルネマチック材料を形成する一つまたは二つ以上の液晶化合物を含むことができる。組成物は、例えば、コートされた基体を含むディスプレイの製造の際に基体にコートできる。ディスプレイの一つの態様においては、液晶組成物を第一電極と第二電極との間に配置する、ここで本発明のキラル化合物は液晶中のキラルドーパントである。
【0041】
新規な液晶組成物は構造式1または2の一つまたは二つ以上のキラル化合物をキラルドーパントとして、通常は液晶の全量に対して0.1〜10重量%の濃度で含む。濃度を選択して望ましい干渉色相が形成されるようにすることができる。濃度が高くなるほど色相が青の領域にシフトし、濃度が低くなるほど色相が赤の領域にシフトする。
【0042】
好ましくは、液晶混合物は2〜25種の、好ましくは3〜15種の化合物を含む。特に好適な液晶組成物は、当業者に評価されている様に、アキラル液晶化合物が環状化合物、例えば、ビフェニルを含んでいる組成物である。好適な液晶化合物は、当業者に周知である。これらの液晶組成物は基体をコートするのに有利に使用できる。好適な基体の例としては、金属表面、プラスチック表面、ガラスもしくはセラミック表面またはフィルムがある。さらに、これらの新規な液晶組成物は液晶ディスプレイの製造に使用できる。この目的のために、組成物は、例えば、基体、好ましくはポリマーフィルムに、必要ならばナイフ塗布または他の物理的作用により塗布される。コレステリック液晶組成物のドメインがポリマーマトリックス中に分散されていて、電極間に配置されているディスプレイの一つの態様は、例えば、2001年5月22日発行された米国特許第6,236,442号(Stephensonら)および1997年12月9日に発行された米国特許第5,695,682号(Doaneら)に開示されている。これらの開示は引用することにより本明細書に組み入れる。一つの態様においては、ディスプレイには以下が含まれる:(a)可撓性の透明な支持体、(b)透明な第一導体を含むパターン化した第一導体層、(c)第二の任意の透明な導体を含むパターン化された第二の導体層、および(d)連続したポリマーマトリックスに分散されたポリマーが分散したキラルネマチック(コレステリック)液晶材料のドメインを含む一つ以上のイメージング層、イメージング層は第一導体と第二導体の間に配置されている。この様なキラルネマチック液晶材料は二つの対照的な安定した状態、反射平面状態と光透過性フォーカルコニック状態を示すことができる。好適な電圧をかけることにより、この二つの状態は一つの状態から他の状態へ切替えることができる。
【実施例】
【0043】
1.本発明の化合物の調製
本発明の代表的化合物の合成は、下のスキーム1に示すように、ラセミ体Int-2の調製から始まり、ついでI-1を提供するこの鏡像異性体混合物のキラル分割、そして最後に鏡像異性体的に富化したスピロジフェノールI-3の誘導となる。FalerおよびLynch(上記を参照されたい)により述べられた方法の小変形を用いた3,3,3',3'-テトラメチル-1,1'-スピロビインダン-6,6'-ジオールの調製。スキーム1にこの合成ルートおよびその後の部分的鏡像異性体分離の概略を示す。関連するが、前に記載されていないノルテトラメチルI-2、1,1'-スピロビインダン-6,6'-ジオールの調製をエステル誘導体の調製と一緒にスキーム2に概略を示す。
【0044】
(±)Int-1の調製:
FalerおよびLynch FalerおよびLynch(上記を参照されたい)の方法の小変形を用いて、ビスフェノールA(Int-1;CAS80-05-7;100g, 0.438モル)およびメタンスルホン酸(5ml)の混合物を135℃で3時間加熱し、550mlの水に注意してかき混ぜながら注いだ。しばらく攪拌した後、この液体をデカントし、残った固体を350mlの水で希釈し、攪拌を続けた。この操作をさらに二回繰り返すと、半固体の塊が得られた。この湿った固体を還流するために150mlの塩化メチレンで1時間過熱し、その後冷却した。固体分を集めて、最小限の冷塩化メチレンおよびリグロインで洗浄して、白色固体29.1g(65%)としてInt-2が得られた。
【0045】
この物質は色相的に均質であることが判明し、またこの物質が持っているとされる構造式と一致するスペクトル特性を示した。
【0046】
Int-3およびInt-4のジアステレオマー混合物の調製ならびにInt-3の単離:
200ml塩化メチレン中のInt-2(12.3g:40ミリモル)、トリエチルアミン(TEA;20ml,144ミリモル)、および4-ジメチルアミノピリジン(DMAP;1g,8ミリモル)の溶液を約10分間かけて塩化メチレン5ml中のメンチルクロロホルメート(CAS 14602-86-9;18ml,84ミリモル)の溶液で処理した。周囲温度で3時間攪拌して得られた混合物を、希釈塩酸で洗浄し、硫化ナトリウムで乾燥し、濾過して、真空で濃縮した。ガラス状の残留物(NMR分光分析法で査定されたジアステロマーInt-3およびInt-4等モル混合物)を150mlヘプタンに溶解した。直ぐに晶出が始まり、このスラリーを周囲温度で20時間攪拌した。このスラリーを冷却して、その後濾過した。固体を最小限の冷ヘプタンおよび低沸点リグロインで洗浄して、無色の固体、9.46g(単一ジアステレオマーに基づいて35%, 70%)としてInt-3を得た。この物質は色相的に均質であることが判明し、またこの物質が持っているとされる構造式と一致するスペクトル特性を示した。高電界NMRによると、別のジアステレオマーInt-4は検出されなかった。
【0047】
スキーム1
【化10】

【0048】
(+)I-1の調製:
85mlテトラヒドロフラン(THF)中のInt-3(9.00g,13.4ミリモル)およびヒドラジン1水和物(4.6ml,95ミリモル)を、還流で3時間加熱し、その後希塩酸および酢酸エチルに分配した。有機相を硫酸ナトリウムで洗浄乾燥し、真空中で濃縮してオイルを得た。2つのシリカゲルクロマトグラフ法で、最初に塩化メチレンおよび酢酸エチルの混合物で溶離し、次にヘプタンおよびイソプロピルエーテルの混合物で溶離して、精製されたオイルを得た。IPE/ヘプタンによる粉砕、その後の濾過および乾燥により、最終的に無色の固体3.66g(88.6%)としてInt-1を生成した。この物質は色相的に均質であることが判明し、またこの物質が持っているとされる構造式と一致するスペクトル特性を示した。キラルHPLC分析は98%を超えるパーセントを示した。偏光分析によると、[α]D23=37.4°(メタノール、c=0.010)であった。
【0049】
I-3の調製:
アセトニトリル5ml中の(+)-I-1(154mg,0.50ミリモル)およびアニソイルクロライド(CAS 100-07-2;020g,1.2ミリモル)の溶液を順次、TEA(0.2ml,13ミリモル)、そしてDMAP(20mg,0.2ミリモル)で処理した。この混合物を周囲温度で2時間攪拌し、その後この混合物を希塩酸と酢酸エチルとに分配した。得られたオイルを用いる。これをシリカゲルクロマトグラフを介して精製した(ヘプタンおよびイソプロピルエーテルの混合物で溶離)。最終的に粉砕して、無色の固体0.15g(51%)としてI-3を得た。この物質は色相的に均質であることが判明し、またこの物質が持っているとされる構造式と一致するスペクトル特性を示した。
【0050】
Int-7の調製:
モンモリロナイトK10クレー(CAS 1318-93-0;20g,真空中で100℃以上で乾燥)および100mlキシレンの混合物をDean-Starkトラップ下で20分還流し、その後スキーム2に概略した標準的な合成手順で調製される1,5-(4-メトキシフェニル)-3-ペンタノン(Int-6;CAS 74882-32-9)(4.00g,13.4ミリモル)を加え、そして20時間還流を継続した。この混合物を短時間冷却し、珪藻土を通して濾過した。固体をトルエン(100mlづつ)で洗浄した。濾液と合わせて真空中で濃縮して、粗固体を得た。注意してシリカゲル上でこの物質をクロマトグラフにかけ、ヘプタンおよび酢酸エチルの混合物で溶離して精製した半固体を得た。この物質を冷イソプロピルエーテルと共に粉砕して、無色の固体としてInt-7、0.75g(20%)を得た。この物質は色相的に均質であることが判明し、またこの物質が持っているとされる構造式と一致するスペクトル特性を示した。
【0051】
【化11】

【0052】
Int-8の調製:
10ml塩化メチレン中のInt-7(0.56g,2.0ミリモル)の溶液を氷−アセトン浴中で冷却し、三臭化ホウ素(0.45ml,4.8ミリモル)で処理した。この混合物を周囲温度で1時間攪拌し、その後冷却し、注意して5mlの水を添加してこの反応を止めた。有機物を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して真空中で濃縮した。残留物をイソプロピルエーテルおよびヘプタンで処理して結晶生成を誘導した。これらの溶媒を真空中で除去し、無色の固体としてInt-8、0.5g(約100%)を得た。この物質は色相的に均質であることが判明し、またこの物質が持っているとされる構造式と一致するスペクトル特性を示した。
【0053】
Int-9の調製:
15ml塩化メチレン中のInt-8(0.45g,1.8ミリモル)のスラリーを、周囲温度で、順次、メンチルクロロホルメート(0.8ml,3.7ミリモル)、トリエチルアミン(0.9ml,6.5ミリモル)およびDMAP(0.05g,0.4ミリモル)で処理した。この混合物を周囲温度で1時間攪拌し、その後希塩酸で洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して真空中で濃縮した。シリカゲル上で残留物をクロマトグラフにかけ、塩化メチレンで溶離して、上部に予想したジアステレオマーの混合物を、無色のオイルとして1.1g(約100%)を得た。NMR分光分析法は、ジアステロマーの等モル混合物を示した。この残留物を15mlヘプタンに溶解して、晶出を開始した。この混合物を周囲温度で30分間して、濾過すると、無色の固体として、Int-9,0.39g(単一ジアステレオマーに基づいて35%,71%)を生成した。この物質は色相的に均質であることが判明し、またこの物質が持っているとされる構造式と一致するスペクトル特性を示した。慎重なNMR分光分析法は、単一のジアステロマーの存在を示した。
【0054】
I-2の調製:
7.5mlTHF中のInt-9(0.35g,0.57ミリモル)の溶液を、ヒドラジン1水和物(0.25ml,5.2ミリモル)で処理し、その後還流で30分間加熱した。さらにヒドラジン1水和物(0.15ml,3.1ミリモル)を追加し、この混合物をさらに1時間加熱した。この混合物を周囲温度で一晩攪拌し、希塩酸と酢酸エチルに分配した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、真空中で濃縮してガラス状の残留物を得た。2つのシリカゲルクロマトグラフで、塩化メチレンおよび酢酸エチルの混合物で溶離して、精製されたオイルを得た。このオイルを酢酸エチルに溶解し、希釈した水性水酸化ナトリウムで洗浄した。水性相を塩酸で酸性にし、酢酸エチルで抽出した。有機物を乾燥し、濾過して真空中で濃縮して、無色のオイルとしてI-2,0.14g(100%)を得た。この物質は色相的に均質であることが判明し、またこの物質が持っているとされる構造式と一致するスペクトル特性を示した。慎重なNMR分光分析法は、単一のジアステロマーの存在を示した。
【0055】
I-11の調製:
5mlアセトニトリル中のI-2(50mg.0.12ミリモル)および4-シアノベンゾイルクロライド(CAS 6068-72-0;70mg,0.42ミリモル)の溶液を周囲温度で、順次、トリエチルアミン(0.10ml,0.72ミリモル)、そしてDMAP(5mg,0.04ミリモル)で処理した。この混合物を45分間攪拌し、希塩酸および酢酸エチルに分配した。有機相を硫酸ナトリウムでかんそうし、真空中で濃縮して、ガラス状の残留物を得た。シリカゲル上でこの物質をクロマトグラフにかけ、塩化メチルで溶離して、無色の固体としてI-11、90mg(90%)を得た。この物質は色相的に均質であることが判明し、またこの物質が持っているとされる構造式と一致するスペクトル特性を示した。
【0056】
例1
本発明の幾つかの鏡像異性体的に純粋な誘導体を調製し(上記を参照されたい)、これらの化合物の既知の量を次の構造式の市販の液晶化合物4-n-ペンチル-4’-シアノビフェニル、5CBと一緒にした。
【0057】
【化12】

【0058】
混合物を澄明点より高い温度で加熱し、完全に混合し、周囲の温度まで冷却した。これらの試料のピッチを標準反射率応答曲線からか、DogicおよびFradenの方法(上記を参照されたい)により決定した。モル分率ベースのこれらの試料のHTP (β)を上述の様にして計算した。この実験の結果は、周囲温度における5CBのHTPを示す表1に記載されている。
【0059】
【表1】

【0060】
例2
本発明の幾つかの鏡像異性体的に純粋な誘導体を調製し(上記を参照されたい)、既知の量のこれらの化合物を市販の液晶混合物BL087(5CBの混合物(25-40%)と記載される)、構造的に関連の有る2CB(ここでn-ペンチル基はエチル基(10-25%)と置換される)、およびドイツ国DarmstadtのMerck KGaAから入手できる商品名のついたLC混合物(35-65%)と一緒にした。この混合物を澄明点より高い温度で加熱し、完全に混合し、周囲の温度まで冷却した。これらの試料のピッチを標準反射率応答曲線からか、DogicおよびFradenの方法(上記を参照されたい)により決定した。これらの試料のHTP(β)を、重量%ベースである点を除いて上述の様にして計算した。この実験の結果は、周囲温度における5CB中のHTPを示す下の表2に記載されている。
【0061】
【表2】

【0062】
本発明の好ましい態様を例にとって本発明を詳細に述べたが、本発明の精神と範囲の中で変更と修正を行なえることは理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶材料と混合されるキラルドーパントとして、次の構造式で示される少なくとも1種のキラル化合物、又はそれらの重合形態を含んで成る液晶組成物:
【化1】

(上式中、A, B, CおよびDはそれぞれ独立して選ばれる二価の基であり、X基はそれぞれ独立して選ばれる置換基であり、n添え字はそれぞれ独立して0, 1, 2または3であり、RO基はそれぞれ独立して各酸素をキャップする水素または置換基であり、任意の二つのXおよび/またはRO基は随意選択的に縮合環を形成していてもよく、二つのRO基は随意選択的に結合してブリッジを形成していてもよいが、構造式Iは2つまたは3つ以上の構造式Iに基づく構造単位を有する大環状化合物を除外する)。
【請求項2】
A, B, CおよびDがそれぞれ独立して、メチレン、酸素、硫黄、スルフォキシル、スルフォニル、カルボニル、モノ置換窒素(N-R)およびジ置換炭素(R1-C-R2)から成る群から選ばれ、ここでR, R1およびR2はそれぞれ独立して、水素または置換基であり、該構造式中の同じ環上の任意の二つのR, R1およびR2基は随意選択的に縮合環を形成していてもよいことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
A, B, CおよびDがそれぞれ独立して、メチレンまたはジ置換炭素(R1-C-R2)であることを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
AおよびBがそれぞれCおよびDと同じであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
各X置換基がそれぞれ独立して、酸素含有有機置換基および/または炭素含有置換基から成る群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
各Xが、アルコキシ、アリールオキシ、カルボアルキル(O-C(=O)R)、カルボアリール(O-C(=O)Ar)、カルボアルコキシ(O-C(=O)OR)、カルボアリールオキシ(O-C(=O)OAr)、約1〜20炭素原子のアルキル基、約1〜20炭素原子のシクロアルキル基、約6〜20炭素原子のアリール基、約6〜20炭素原子のアルカリール基、カルボアルコキシ(C-C(=O)R)、カルボアリールオキシ(C-C(=O)OAr)、アリールケトンまたはアルキルケトン(C-C(=O)R)または(C-C(=O)Ar)からなる群からそれぞれ独立して選ばれ、これらはすべて置換又は未置換であり、または環上の任意の二つのX基およびRO基は一緒になって縮合環を形成してもよいことを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
次の構造式を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物:
【化2】

(上式中、各RCOはそれぞれ独立して選ばれる置換基であり、各R1およびR2はそれぞれ独立して水素またはアルキル置換基である)。
【請求項8】
RCOがアリール、アルキル、シクロアルキル、アルカリールまたは複素環であって、すべて置換または未置換であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記化合物が重合可能である構造式Iの化合物の重合生成物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
液晶のドメインが分散されているポリマーバインダーをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項11】
液晶組成物がSTN、TN、キラルネマチック、または強誘電体であることを特徴とする請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項12】
液晶組成物がキラルネマチックであることを特徴とする請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の液晶組成物を含む塗布された基体。
【請求項14】
前記組成物が第一電極と第二電極との間に配置されている、請求項1に記載の液晶組成物を含むディスプレイ。
【請求項15】
液晶組成物が双安定であり、ポリマーマトリックス中にドメインの形態で分散されていることを特徴とする請求項14に記載のディスプレイ。
【請求項16】
液晶中でのキラルドーパントとしての、請求項1に記載の構造式のキラル化合物またはその重合体形態の使用。
【請求項17】
液晶材料と混合されていて、ディスプレイ、偏光子、カラーフィルター、非吸収性カラーフィルター、装飾的塗膜または保安マーキング用の液晶顔料、光学的スイッチング、光学的情報記憶、または診断用もしくは医療用組成物における、請求項1に記載のキラル化合物、またはその重合体形態の使用。

【公表番号】特表2007−518849(P2007−518849A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545692(P2006−545692)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/040057
【国際公開番号】WO2005/061425
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】