説明

キースイッチ

【課題】 本発明は、キートップを押圧操作した時に発生する騒音を軽減可能なキースイッチを提供すること。
【解決手段】 本発明のキースイッチ1は、押圧操作可能な操作部2aの外周から下方に延設されたスカート部2bを有するキートップ2と、このキートップ2を昇降可能に支持する第1、第2リンク部材3、4と、この第1、第2リンク部材3、4を支持するベースプレート5とを備え、ベースプレート5上には、キートップ2を押圧操作して降下したスカート部2bの下端部2cが衝突するときに発生する衝突音を軽減可能な消音手段である緩衝部材7を配設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキーボード装置およびこの組立方法に係わり、特に、種類の異なるキートップの組違いを防止することができるキーボード装置およびこの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のキースイッチは、図7に示すように、最上部にキートップ21が配設され、このキートップ21は、上部に操作部21aが形成され、この操作部21aの周囲から下方に延設してにスカート部21bが形成されている。前記スカート部21bには、平坦状の下端部21cが形成されている。
また、キートップ21は、スカート部21bの内周側にリンク部材収納部21dが形成されている。
そして、リンク部材収納部21dが形成された操作部21aの略中央部からは、突起部21eが図示下方に突出形成されている。
【0003】
また、キートップ21の操作部21a裏面にはアークチュエータ22が支持され、このアークチュエータ22は、平坦状の取付面22aと、この取付面22aの略中央部に抜け止め部22bとが形成され、この抜け止め部22bがキートップ21の突起部21eに圧入されている。
また、アークチュエータ22は、図示右端部側と左端部側とに略U字状の回動支持部22cとスライド支持部22dとが形成されている。
【0004】
また、アークチュエータ22の回動支持部22c、及びスライド支持部22dには、一対の第1、第2リンク部材23、24の一端部側が係合可能になっている。前記第1、第2リンク部材23、24は、アーム部23a、24aが交差状に組み合わせて連結支持部23b(24b)で連結されている。
そして、第1リンク部材23は、図示上方側にスライド軸23cが形成され、このスライド軸23cが、スライド支持部22dにスライド自在に支持されている。また、第1リンク部材23は、図示下方側に回動軸23dが形成されている。
【0005】
また、第2リンク部材24は、図示上方側に回動軸24cが形成され、この回動軸24cが、回動支持部22cに回動自在に支持されている。
また、第2リンク部材24は、図示下方側にスライド軸24dが形成されている。また、従来のキースイッチの最下部には、ベースプレート25が配設され、このベースプレート25には、第1リンク部材23の回動軸23dを回動自在に支持可能な回動支持部25aと、第2リンク部材24のスライド軸24dをスライド自在に支持可能なスライド支持部25bとが形成されている。
【0006】
また、ベースプレート25上には、後述するラバースプリング28によって入力操作可能なスイッチ回路(図示せず)を有するメンブレンシート26が載置されている。
前記メンブレンシート26上には、鉄板あるいは樹脂シートからなる支持板27が載置されている。
また、メンブレンシート26には、スイッチ回路が形成された部分に、ドーム状で内部が空洞のラバースプリング28が接着剤等で固着され、このラバースプリング28の弾性力により、キートップ21が所定高さ位置に弾性付勢されている。
【0007】
このような従来のキースイッチの操作は、水平状態で上昇した初期位置にあるキートップ21の操作部21aの中央部を垂直に下方に押圧することにより、キートップ21が水平状態で降下すると共に、ラバースプリング28が弾性変形してメンブレンシート26に形成したスイッチ回路が切り換わる。
また、キートップ21の降下によって、連結支持部23b(24b)を支点として折り畳まれた第1、第2リンク部材23、24は、キートップ21のスカート部21bに囲まれたリンク部材収納部21dに収納される。
そして、水平状態で降下したキートップ21は、スカート部21bの下端部21cと支持板27との間に、若干の隙間が形成されるようになっている。
【特許文献1】特開2002−056740号公報
【特許文献2】特開2002−056742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来のキースイッチは、キートップ21を押圧操作する位置が、操作部21aの端部側にずれた時、あるいはキートップ21の押圧方向が垂直方向でなく斜めになったりすると、キートップ21が斜めになって降下する。
すると、スカート部21bの下端部21cのいずれか一方が支持板27にぶつかって大きな衝突音が発生し、騒音となるおそれがあった。
本発明は、前述したよう課題を解決して、キートップを押圧操作した時に発生する衝突音を軽減可能なキースイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための第1の手段として本発明のキーボスイッチは、押圧操作可能な操作部の外周から下方に延設されたスカート部を有するキートップと、このキートップを昇降可能に支持するリンク部材と、このリンク部材を支持するベースプレートとを備え、前記ベースプレート上には、前記キートップを押圧操作して降下した前記スカート部の下端部が衝突するときに発生する衝突音を軽減可能な消音手段を配設したことを特徴とするキースイッチ。
また、前記課題を解決するための第2の手段として、前記ベースプレート上には、フィルムシートを配設し、前記消音手段は、前記キートップの前記スカート部の下端部が対向する部分の前記フィルムシート、または前記キートップの前記裏面に配設した緩衝部材からなることを特徴とする請求項1記載のキースイッチ。
【0010】
また、前記課題を解決するための第3の手段として、前記緩衝部材は、材質がゴムからなることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第4の手段として、前記ベースプレート上には、フィルムシートを配設し、前記フィルムシート上には、絶縁シートを積層し、前記絶縁シートは、弾性を有する材質で形成して前記消音手段としたことを特徴とする。
【0011】
また、前記課題を解決するための第5の手段として、前記絶縁シートは、材質がゴムからなることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第6の手段として、前記ベースプレート上には、フィルムシートが配設され、前記スカート部の下端部が対向する部分の前記フィルムシートを舌片状に切り曲げして舌片部を形成し、この舌片部の自由端側を折り返して形成したクッション部を前記消音手段としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のキースイッチにおいて、ベースプレート上には、キートップを押圧操作して降下したスカート部の下端部が衝突するときに発生する衝突音を軽減可能な消音手段を配設したので、押圧操作するキートップが斜めになっても、消音手段によって衝突音を軽減、または消音することができ、操作時の騒音の発生を小さくすることができる。
また、ベースプレート上には、フィルムシートを配設し、消音手段は、キートップのスカート部の下端部が対向する部分のフィルムシート、またはキートップの裏面に配設した緩衝部材からなるので、緩衝部材によって発生する衝突音を確実に軽減することができる。
【0013】
また、緩衝部材は、材質がゴムからなるので、確実に衝突音を軽減することができる。
また、ベースプレート上には、フィルムシートを配設し、フィルムシート上には、絶縁シートを積層し、絶縁シートは、弾性を有する材質で形成して消音手段
、あた、絶縁シートは、材質がゴムからなるので、確実に衝突音を軽減することができる。
また、ベースプレート上には、フィルムシートが配設され、スカート部の下端部が対向する部分のフィルムシートを舌片状に切り曲げして舌片部を形成し、この舌片部の自由端側を折り返して形成したクッション部を消音手段としたので、クッション部のクッションによって衝突音を確実に軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、図1は本発明に関する第1の実施の形態のキースイッチの要部断面図であり、図2は図1の操作を説明する要部断面図であり、図3は本発明に関するキースイッチの第2の実施の形態の要部断面図であり、図4は図3の操作を説明する要部断面図であり、図5は本発明の第2の実施の形態の消音手段を説明する要部斜視図であり、図6は本発明の第2の実施の形態の変形例を説明する要部斜視図である。
【0015】
まず、本発明の第1の実施の形態のキースイッチ1は、図1に示すように、最上部に樹脂材料を成形加工等により形成したキートップ2が配設されている。
前記キートップ2は、上部に操作部2aが形成され、この操作部2aの外周から図示下方に延設してスカート部2bが形成されている。
前記スカート部2bは、延設寸法が均一に形成されて下端部2cが平坦状になっている。
【0016】
また、キートップ2は、スカート部2bの内周側に凹状のリンク部材収納部2dが形成されている。
そして、リンク部材収納部2dが形成された操作部2a裏面の略中央部からは、突起部2eが図示下方に突出形成されている。
また、キートップ21の操作部21a裏面の突起部2eの図示右側には、スライド支持部2fが形成され、突起部2eの図示左側には回動支持部2gが形成されている。
【0017】
前記スライド支持部2f、及び回動支持部2gには、一対の第1、第2リンク部材3、4の一端部側が係合可能になっている。前記第1、第2リンク部材3、4は、アーム部3a、4aが交差状に組み合わせされて連結支持部3b(4b)で連結されている。
そして、第1リンク部材3は、図示上方の一端部側にスライド部3cが形成され、このスライド部3cが、スライド支持部2fにスライド自在に係合支持されている。また、第1リンク部材3は、図示下方の他端部側に回動部3dが形成されている。
【0018】
また、第2リンク部材4は、図示上方の一端部側に回動部4cが形成され、この回動部4cが、回動支持部2gに回動自在に支持されている。
また、第2リンク部材4は、図示下方の他端部側にスライド部4dが形成されている。
また、本発明のキースイッチ1は、最下部にアルミニウム等の金属からなるベースプレート5が配設され、このベースプレート5には、第1リンク部材3の回動部3dを回動自在に支持可能な回動支持部5aと、第2リンク部材4のスライド部4dをスライド自在に支持可能なスライド支持部5bとが、プレス加工等で切り起こし形成されている。
【0019】
また、ベースプレート5上には、絶縁性のフィルムシート6が載置され、このフィルムシート6には、スイッチ回路が形成されている。
前記フィルムシート6は、図示を省略するが、例えば中間シートを挟んで上部シートと下部シートとの3枚のシート部材を積層したメンブレンシートからなり、上部シートには可動接点が形成され、中間シートを介して可動接点と対向する下部シートに固定接点が形成されている、
そして、可動接点と固定接点との間でスイッチ回路が形成されている。
【0020】
また、キートップ2のスカート部2bの下端部2cと対向する部分のフィルムシート6には、消音手段である所定厚さの緩衝部材7が接着剤等によって貼付されている。前記緩衝部材7は、材質が弾性を有する例えばゴムからなり、押圧操作して降下したキートップ2の下端部2cが緩衝部材7に衝突しても、衝突音が軽減、あるいは消音されるようになっている。
【0021】
また、フィルムシート6には、スイッチ回路が形成された部分に、ドーム状で内部が空洞のラバースプリング8が接着剤等で固着され、このラバースプリング8の弾性力により、図1に示すように、キートップ2が所定高さ位置の初期位置に弾性付勢されている。
そして、キートップ2を押圧してラバースプリング8が弾性変形すると、ドーム状の空洞内部の天井部に形成したスイッチ操作部(図示せず)が降下して、フィルムシート6の上部シートに形成した可動接点が下部シートに形成した固定接点に接触してスイッチ回路が切り換わるようになっている。
【0022】
このような本発明の第1の実施の形態のキースイッチ1の操作を図1、図2に基づいて説明すると、上昇して水平状態の初期位置にあるキートップ2の操作部2aを、押圧操作すると、キートップ2が降下すると共に、ラバースプリング8が弾性変形する。このことにより、フィルムシート6の上部シートが押圧されてスイッチ回路が切り換わる。
また、キートップ2の降下によって、連結支持部3b(4b)を支点として折り畳まれた第1、第2リンク部材3、4は、キートップ2のリンク部材収納部2dに収納される。
【0023】
また、降下したキートップ2の図示左側のスカート部2bの下端部2cが緩衝部材7に衝突することにより、衝突音を軽減、または消音することができる。
尚、本発明の第1の実施形態の説明では、緩衝部材8を図示左側の一方側にだけ設けたもので説明したが、図示右側の他方側、あるいは、キートップ2のスカート部2bの下端部2cが対向する部分の全周に形成しても良い。
【0024】
また、緩衝材7は、フィルムシート6側に貼付したもので説明したが、キートップ2の裏面であるスカート部2bの下端部2cに貼付しても良い。
また、第1の実施の形態の変形例として、ベースプレート5上には、フィルムシート6を介して絶縁シート(図示せず)を配設し、この絶縁シートを弾性を有するゴム等の材質で形成して、キートップ2を押圧操作して降下したときのスカート部2bの下端部2cが衝突したときに発生する衝突音を軽減、または消音するようにしたものでも良い。
【0025】
また、本発明の第2の実施の形態のキースイッチ11を図3、図4に基づいて説明すると、第2の実施の形態のキースイッチ11は、第1の実施の形態で説明した緩衝部材7が無いと共に、フィルムシート16以外の部材は第1の実施の形態のキースイッチ1と同じ構成になっているので、構成が異なるフィルムシート16だけについて説明する。
【0026】
前記第2の実施の形態に係わるフィルムシート16は、第1の実施の形態で説明したような上部シート、中間シート、下部シートからなる3枚のシート部材を積層したメンブレンスイッチからなり、キートップ2のスカート部2bの下端部2cが対向する部分の上部シートをプレス加工等で、図5に示すように舌片状に切り曲げして舌片部16aを形成し、この舌片部16aの自由端側を所定の隙間を有して互いに対向する下側に折り返して第1クッション部16bを形成し、この第1クッション部16bを本発明に係わる消音手段としたものでも良い。
【0027】
このような第2の実施の形態のキースイッチ11は、図4に示すように、キートップ2を押圧操作して、キートップ2の図示左側のスカート部2bの下端部2cが消音手段であるクッション部16bに衝突しても、所定の隙間を有するクッション部16bが弾性変形するので、キートップ2が降下したときに発生する衝突音を軽減、または消音される。
【0028】
また、本発明の第2の実施の形態の変形例を図6に基づいて説明すると、フィルムシート16は、キートップ2のスカート部2bの下端部2cが対向する部分の常備シートをプレス加工等で舌片状に切り曲げして舌片部16cを形成し、この舌片部16cの自由端側を、所定の隙間を有して互いに対向する上側に折り返して第2クッション部16dを形成し、この第2クッション部16dを本発明に係わる消音手段としたものでも良い。
前記第1、第2クッション部16b、16dは、舌片部16a、16cの自由端側を折り返し後、所定温度で加熱することにより、スプリングバック等が平坦状に戻らないようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に関する第1の実施の形態のキースイッチの要部断面図である。
【図2】図1の操作を説明する要部断面図である。
【図3】本発明に関するキースイッチの第2の実施の形態の要部断面図である。
【図4】図3の操作を説明する要部断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の消音手段を説明する要部斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の変形例を説明する要部斜視図である。
【図7】従来のキースイッチの要部断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 第1の実施の形態のキースイッチ
2 キートップ
2a 操作部
2b スカート部
2c 下端部
2d リンク部収納部
3 第1リンク部材
3a アーム部
3b 連結支持部
3c スライド部
3d 回動部
4 第2リンク部材
5 ベースプレート
6 フィルムシート
7 緩衝部材
8 ラバースプリング
16 フィルムシート
16a 舌片部
16b 第1クッション部
16d 第2クッション部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧操作可能な操作部の外周から下方に延設されたスカート部を有するキートップと、このキートップを昇降可能に支持するリンク部材と、このリンク部材を支持するベースプレートとを備え、前記ベースプレート上には、前記キートップを押圧操作して降下した前記スカート部の下端部が衝突するときに発生する衝突音を軽減可能な消音手段を配設したことを特徴とするキースイッチ。
【請求項2】
前記ベースプレート上には、フィルムシートを配設し、前記消音手段は、前記キートップの前記スカート部の下端部が対向する部分の前記フィルムシート、または前記キートップの前記裏面に配設した緩衝部材からなることを特徴とする請求項1記載のキースイッチ。
【請求項3】
前記緩衝部材は、材質がゴムからなることを特徴とする請求項2記載のキースイッチ。
【請求項4】
前記ベースプレート上には、フィルムシートを配設し、前記フィルムシート上には、絶縁シートを積層し、前記絶縁シートは、弾性を有する材質で形成して前記消音手段としたことを特徴とする請求項1記載のキースイッチ。
【請求項5】
前記絶縁シートは、材質がゴムからなることを特徴とする請求項4記載のキースイッチ。
【請求項6】
前記ベースプレート上には、フィルムシートが配設され、前記スカート部の下端部が対向する部分の前記フィルムシートを舌片状に切り曲げして舌片部を形成し、この舌片部の自由端側を折り返して形成したクッション部を前記消音手段としたことを特徴とする請求項1記載のキースイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−190552(P2006−190552A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−982(P2005−982)
【出願日】平成17年1月5日(2005.1.5)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】