キーストン型鋼製型枠用堰板及びその製造方法
【課題】 独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等のキーストン型鋼製型枠用堰板において、堰板自体の構成の簡素化と設置方向の選択不要と重量軽減及び取り扱い容易にして、鋼製堰板からのコンクリート流出を制限しながらセパレータ使用本数の節減及び脱型不用によって作業能率の優良化と総合コストの低減を図る。
【解決手段】 キーストン型鋼製型枠用堰板は、高さ方向に伸長する折曲溝部4の底面6と鋼製堰板の側面5とにコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用した拡張成型網目群8を構成するために、薄鋼板を折曲装置でキーストン形状に折り曲げてからプレス装置でキーストン型鋼製堰板の側面と折曲溝部の底面とに切れ目群を打ち抜き、両側位置の折曲溝部から切れ目群を拡張したコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群の列を形成して、その内側に位置する側面に対しても同様の拡張成型網目列を形成しながら内側に向かって加工を繰り返して製造する。
【解決手段】 キーストン型鋼製型枠用堰板は、高さ方向に伸長する折曲溝部4の底面6と鋼製堰板の側面5とにコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用した拡張成型網目群8を構成するために、薄鋼板を折曲装置でキーストン形状に折り曲げてからプレス装置でキーストン型鋼製堰板の側面と折曲溝部の底面とに切れ目群を打ち抜き、両側位置の折曲溝部から切れ目群を拡張したコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群の列を形成して、その内側に位置する側面に対しても同様の拡張成型網目列を形成しながら内側に向かって加工を繰り返して製造する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等のキーストン型鋼製型枠用堰板に関し、具体的にはコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群から構成して軽量にしたキーストン型鋼製堰板を用いてその取り扱いを簡素にすると共に打設コンクリートの流出を制限しながら余剰水の排出を良好にした型枠の形状を保持することでセパレータの使用量も節減できるキーストン型鋼製型枠用堰板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からの合板による型枠工法は、面倒な作業と所定期間の工期を必要とすると共に作業後にあっては多くの建築残材を発生させることで昨今の環境問題に対する注目度から批判を受けるものであった。さらに、これに変わる工法としてキーストンプレートを一体成形したキーストン型鋼製型枠用堰板工法が開発されたが、基礎工事にあっては独立基礎、地中梁及び柱脚に用いられており、梁工事においてもキーストンプレートを梁溝型に折り曲げて梁打ち込み型枠として数多く採用されていた。(特許文献1)
【0003】
しかしながら、キーストン型鋼製型枠用堰板工法の代表的なラス型枠工法にあっても、堰板の外面側に突出させた凸状支柱部を設けることを必須にすると共に、凸状支柱部の中央には境界用板状部を形成して、この凸状支柱部と境界用板状部との間にラス網部を形成しているが、凸状支柱部を設けるという構成上の要件を加えてもラス網部を構成している板片部の傾斜方向によってはコンクリートの流出量が増加するために、堰板の上下方向の判別が重要になって結果的に作業性を損ねる失敗を起こすことから、ラス網部を構成する網目の傾斜方向を、下方を片側に傾斜させながら境界用板状部を中心に対照的にすることで、設置方向の作業ミスを防止する型枠用堰板が提案されている。(特許文献2、3)
【0004】
以上のように、キーストン型鋼製型枠用堰板工法は、工場生産による優れた精度品質、取り扱いの容易な型枠をセットするだけの簡単な作業とコンクリート打設後に型枠の脱型作業が不要である等の効能によって、作業効率を向上させると共に建築残材を無くする等の合理化対策において多くの貢献を果たしてきたが、いずれのキーストン型鋼製型枠用堰板工法も、型枠堰板を構成するのが鋼製であるのと型枠締付セパレータ用通し穴を形成した凸状支柱部を設けながらラス網部としてコンクリート余剰水の排出穴を別途に形成するという構成上の要件を加えているために製作工程を多岐にして多くの重量値を取り扱う必要があると同時に、作業上においても型枠用堰板の設置方向には依然として注意を図る必要があるものであって、製作コストの多大さと設置方向の選択を間違うとコンクリートの流出量に増減差がでる等の問題点が指摘されていた。
【特許文献1】特許公開2001−73452号公報
【特許文献2】特許公開2002−138663号公報
【特許文献3】特許公開2002−138664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等のキーストン型鋼製型枠用堰板において、コンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群から構成することでキーストン型鋼製型枠用堰板自体の構成を簡素にして重量の軽減を図りながらキーストン型鋼製型枠用堰板の設置に際しても鋼製堰板を組み立てる時の設置方向の選択を不要にしてキーストン型鋼製型枠用堰板の取り扱いを容易にすると共に、鋼製堰板からのコンクリートの流出を制限しながら余剰水の排出を良好にした型枠形
状を保持するセパレータの使用本数を節減しながら脱型も不用にすることで作業能率にも優れているので、キーストン型鋼製型枠用堰板作業の総合コストの低減を図ることのできるキーストン型鋼製型枠用堰板及びその製造方法の提供を目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による第1のキーストン型鋼製型枠用堰板は、キーストン型鋼製堰板の横手方向に沿って任意の間隔毎に形成されてキーストン型鋼製堰板の高さ方向に伸長する所定巾の折曲溝部と折曲溝部の底面とキーストン型鋼製堰板の側面とに成型されて1乃至複数個配置するコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群から構成しているので、キーストン型鋼製型枠用堰板自体の構成を簡素にして重量の軽減を図りながら、キーストン型鋼製型枠用堰板の設置に際しても鋼製堰板を組み立てる時の設置方向の選択を不要にして取り扱いを容易にすると共に、鋼製堰板からのコンクリートの流出を制限しながら余剰水の排出を良好にした型枠形状を保持するセパレータの使用本数を節減して脱型も不用にすることから作業能率にも優れている。
【0007】
本発明による第2のキーストン型鋼製型枠用堰板は、キーストン型鋼製堰板の横手方向に沿って任意の間隔毎に形成されてキーストン型鋼製堰板の高さ方向に伸長する所定巾の折曲溝部、折曲溝部の底面とキーストン型鋼製堰板の側面の中間部に配置され、キーストン型鋼製堰板の高さ方向に形成する所定巾の連結部及び折曲溝部の底面とキーストン型鋼製堰板の側面において該連結部との間に成型されて1乃至複数個配置するコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群から構成されているので、第1のキーストン型鋼製型枠用堰板よりも拡張成型網目群の強度を向上させている。
【0008】
本発明による第3のキーストン型鋼製型枠用堰板は、上記の第1、2のキーストン型鋼製型枠用堰板において、拡張成型網目群を上方に開放した一方向型の網目形状にすることを特徴としているので、上記第1、2のキーストン型鋼製型枠用堰板よりも鋼製堰板からのコンクリート流出を制限しながら余剰水の排出を良好にしている。
【0009】
本発明による第4のキーストン型鋼製型枠用堰板は、上記の第1、2のキーストン型鋼製型枠用堰板において、拡張成型網目群を上方に開放してから折り返す網目形状にすることを特徴としているので、上記第1、2のキーストン型鋼製型枠用堰板よりも鋼製堰板からのコンクリート流出を制限しながら余剰水の排出を更に向上させている。
【0010】
本発明による第1のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、上記の第1、3、4のキーストン型鋼製型枠用堰板を製造するものであって、所定巾の薄鋼板を折曲装置に送出し、所定の間隔毎に配列された折曲装置の折り曲げローラ群で長手方向に直交するキーストン形状に折り曲げて任意の間隔毎に所定巾の折曲溝部を形成している。
次いで、供給されるプレス装置において所定長のキーストン型鋼製堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分と形成された折曲溝部の底面とにコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群を形成するための切れ目群を打ち抜いて行く。
しかる後に、切れ目群を打ち抜かれた両側位置の折曲溝部に対して折曲溝部の両側に形成される突出面を上下のローラで把持してから折曲溝部の両側に配置している上下ローラ間の間隔を漸次拡大することで両側位置の折曲溝部における切れ目群を拡張してコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を形成する。
さらに、両側位置の折曲溝部の内側に位置するキーストン型鋼製堰板の側面を構成している非成形薄鋼板部分に対しても両側位置の折曲溝部と同様に非成形薄鋼板の両側の突出面を上下のローラで把持してから非成形薄鋼板の両側に配置している上下ローラ間の間隔
を漸次拡大することで両側位置の非成形薄鋼板部分における切れ目群を拡張してコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を形成する。
以上の工程を基本として、以降の内側に位置する折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに対しても、上記の折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに施したと同様の拡張成形を順次に繰り返すことで、各折曲溝部の底面とキーストン型鋼製堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分とにコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を成形している。
従って、第1のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法によれば、キーストン型鋼製型枠用堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分と折曲溝部の底面とにコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群を良好に形成できた第1、3、4のキーストン型鋼製型枠用堰板を円滑に製造できるものである。
【0011】
本発明による第2のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、上記第1のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法において、切れ目群を打ち抜かれた両側位置の折曲溝部と折曲溝部の内側に位置するキーストン型鋼製堰板の側面を構成している非成形薄鋼板部分とに在って、夫々の両側に形成された突出面と切れ目群とを上下のローラで把持させた後の切れ目群の拡張によるコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列の形成が、切れ目群に配置させている上下ローラの漸次な上昇ないし下降の操作とその後における各突出面を把持している上下ローラの漸次な間隔の拡大と切れ目群に配置していた上下ローラの漸次な拡大以前への復元で遂行される。
以上の工程を基本として、本製造方法では以降の内側に位置する折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに対しても同様の拡張成形を順次に繰り返すことを特徴としているので、上記の第1、3、4のキーストン型鋼製型枠用堰板は円滑に製造できる。
【0012】
本発明による第3のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、上記第2、3、4のキーストン型鋼製型枠用堰板を製造するものであって、所定巾の薄鋼板を折曲装置に送出し、所定の間隔毎に配列された折曲装置の折り曲げローラ群で長手方向に直交する形状に折り曲げて任意の間隔毎に所定巾の折曲溝部を形成している。
次いで、供給されるプレス装置においてキーストン型鋼製堰板の高さを構成するのに適した所定長のキーストン型鋼製堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分と所定巾の折曲溝部の底面とに夫々の中間部に所定巾の連結部を形成するための切れ目と切れ目に継続させてコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群を形成するための切れ目群とを打ち抜いて行く。
しかる後に、連結部を形成するための切れ目と拡張成型網目群を形成するための切れ目群とを打ち抜かれた両側位置の折曲溝部に対して中間部の連結部と折曲溝部の両側の突出面とを上下のローラで把持してから両側に配置している上下ローラの間隔を漸次拡大することで折曲溝部の連結部を形成するための切れ目とコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る切れ目群とを拡張した拡張成型網目列を連結部の両側に形成する。
さらに、両側位置の折曲溝部の内側に位置するキーストン型鋼製堰板の側面を構成している非成形薄鋼板部分に対しても折曲溝部と同様に中間部の連結部と非成形薄鋼板の両側の突出面とを上下のローラで把持してからその間隔を漸次拡大することで非成形薄鋼板部分にコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を連結部の両側に形成する。
以上の工程を基本として、以降の内側に位置する折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに対しても、上記の折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに施したと同様の成形を順次に繰り返すことで、各折曲溝部の底面と非成形薄鋼板部分が構成するキーストン型鋼製堰板の側面とに連結部とコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を成形する。
従って、第3のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法によれば、キーストン型鋼製型枠用堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分と折曲溝部の底面とに中間部に所定巾の連結部とコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群を良好に形成できた第2、3、4のキーストン型鋼製型枠用堰板を円滑に製造できるものである。
【0013】
本発明による第4のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、上記第3のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法において、中間部の連結部を形成するための切れ目と切れ目に継続した拡張成型網目群を形成するための切れ目群とを打ち抜かれた両側位置の折曲溝部と折曲溝部の内側に位置するキーストン型鋼製堰板の側面を構成している非成形薄鋼板部分とに在って、夫々の連結部と両側に形成された突出面とを上下のローラで把持させてから切れ目群の拡張によるコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列の形成が、切れ目群に配置させている上下ローラの漸次な上昇ないし下降の操作とその後における連結部と各突出面を把持している上下ローラの漸次な間隔の拡大及び同時に行われる切れ目群に配置していた上下ローラの漸次な拡大以前への復元で遂行される。
以上の工程を基本として、本製造方法では以降の内側に位置する折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに対しても同様の拡張成形を順次に繰り返すことを特徴としているので、上記第2、3、4のキーストン型鋼製型枠用堰板は円滑に製造できる。
【0014】
本発明による第5のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、上記第1〜4に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法において、所定巾の薄鋼板をキーストン型鋼製堰板の高さを構成するのに適した所定長に切断した後に折曲装置に送出して以降の工程に移行することを特徴とするものであり、キーストン型鋼製型枠用堰板の取り扱いを簡素にしているものである。
【0015】
本発明による第6のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、上記第1〜4に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法において、鋼製堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分に任意の間隔毎に所定巾の折曲溝部を形成して成る所定巾のキーストン型薄鋼板をプレス装置に供給して以降の工程に移行することを特徴とするものであり、キーストン型鋼製型枠用堰板の製造工程を簡潔にしてキーストン型鋼製型枠用堰板の製造を更に容易にしている。
【0016】
本発明による第7のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、上記第1〜6に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法において、コンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を各折曲溝部の底面と鋼製堰板の側面とに成形した鋼製堰板の向きをキーストン型鋼製型枠用堰板の高さ方向に変えて、キーストン型鋼製型枠用堰板の側型枠と底型枠とを形成する梁溝枠型に折り曲げて必要なセパレータで保持することを特徴とするものであり、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等に適宜に対応出来るものである。
【0017】
本発明による第8のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、上記第7に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法において、梁溝枠型に折り曲げた鋼製堰板の端部を相互に重ね合わせてキーストン型鋼製型枠用堰板の側面長を構成するのに適した長さに溶接接合することを特徴とするものであり、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等に容易に対応出来るものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板及びその製造方法は、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等のキーストン型鋼製堰板に形成した折曲溝部の底面と鋼製堰板の側面とに
拡張して成形したコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を形成することによって、キーストン型鋼製型枠用堰板自体の構成を簡素にして重量の軽減を図りながらキーストン型鋼製型枠用堰板の設置に際しても鋼製堰板を組み立てる時の設置方向の選択を不要にしてキーストン型鋼製型枠用堰板の取り扱いを容易にすると共に、鋼製堰板からのコンクリートの流出を制限しながら余剰水の排出を良好にする型枠形状を保持するセパレータの使用本数を節減できて脱型も不用であることから作業能率も優れているので、キーストン型鋼製型枠用堰板作業の総合コストの低減を図れる効果を奏している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板及びその製造方法は、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等のキーストン型鋼製型枠用堰板において、基本的にはキーストン型鋼製堰板の横手方向に沿って任意の間隔毎に形成されてキーストン型鋼製堰板の高さ方向に伸長する所定巾の折曲溝部を設け、この折曲溝部の底面とキーストン型鋼製堰板の側面とに成型されて1乃至複数個配置されるコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群から構成するキーストン型鋼製型枠用堰板とこれらの拡張成型網目群を備えるキーストン型鋼製型枠用堰板を簡素に構成することによって効率良く製造できるキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法から構成されている。
【実施例1】
【0020】
本発明による第1、2及び第3、4のキーストン型鋼製型枠用堰板は、図1に示すように地中梁の一部を示す実施例と図2、3に示す第2〜4のキーストン型鋼製型枠用堰板の部分詳細図にこれを示しているので、先ず図1に基づいて説明する。
地中梁を構築するために配置されている鋼製型枠1は、図1に示すように前後のキーストン型鋼製型枠用堰板2、2を対峙させて所定数のセパレータ3で相互に保持することで構成されている。第1、2のキーストン型鋼製型枠用堰板2には、その横手方向に沿って所定の間隔毎にキーストン型鋼製型枠用堰板2の高さ方向に伸長する所定巾の折曲溝部4をキーストン型鋼製型枠用堰板2の側面5に形成している。
折曲溝部4の底面6とキーストン型鋼製型枠用堰板2の側面5とには、コンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目7から成る4列の拡張成型網目列8がキーストン型鋼製型枠用堰板2の高さ方向に形成されており、拡張成型網目列8を構成している拡張成型網目7は、図2の部分詳細図が示すように、拡張成型網目7の上下を形成している平行枠部9、9と拡張成型網目7の左右を形成している垂直枠部10、10とから構成されている。
【0021】
本実施例における上下の平行枠部9は、図2の左側における2列の拡張成型網目列8−1、8−2において左肩上がりの平行な傾斜状態を形成しており、図2の右側における2列の拡張成型網目列8−3、8−4においては右肩上がりの平行な傾斜状態を形成しているので、上方に開口した左右対称な開口形態を構成することで第3のキーストン型鋼製型枠用堰板を表示する実施例として表現されている。
一方、垂直枠部10は、各網目列間を形成していると同時に垂直方向に連続状態に繋がっているので、各平行枠部9を強固に支持していると共にキーストン型鋼製型枠用堰板2の上下端に継続することによって拡張成型網目7及び拡張成型網目列8を形成しながらこれを堅固に保持している。
【0022】
また、キーストン型鋼製型枠用堰板2の側面5に対する自重による曲げ現象や打設されるコンクリートによってキーストン型鋼製型枠用堰板2の側面5に加えられる押圧荷重に対してのキーストン型鋼製型枠用堰板2における耐久強度は、拡張成型網目列8間の垂直枠部10と鋼製堰板の側面5に形成される折曲溝部4の押出突出面11及び折曲溝部とキーストン型鋼製型枠用堰板2の側面とに拡張成型網目列8を成型されることなくその両側
に残されている残存部分12、13によって充分に満たされている。
【0023】
尚、拡張成型網目列8−2、8−3間を構成している垂直枠部は、図示のように左右対称な開口形態を支持しているためにその幅を広くしていることから扇の要のような形態を成しているので、垂直枠部10でありながら第2のキーストン型鋼製型枠用堰板に在っては鋼製堰板の側面5と折曲溝部の底面6との中間部に配置されてキーストン型鋼製型枠用堰板の高さ方向に形成される所定巾の連結部14としても機能しており、第2のキーストン型鋼製型枠用堰板における実施例とも成り得ている。
【0024】
従って、本発明による第1、2及び第3のキーストン型鋼製型枠用堰板は、折曲溝部4の底面6とキーストン型鋼製型枠用堰板2の側面5とに1乃至複数個配列されている拡張成型網目列8におけるコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目7の内方空間の形成によって、キーストン型鋼製型枠用堰板2の自重を大幅に軽減してキーストン型鋼製型枠用堰板2の設置方向を無制限にすることで取り扱いを容易にすると共に、鋼製型枠1の内面に打設されるコンクリートのキーストン型鋼製型枠用堰板2からの流出ノロ量を最小限に制限しながらコンクリート余剰水の排出は効率良く実施するものであり、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等の構築効果を大幅に増強するものである。
【実施例2】
【0025】
本発明による第4のキーストン型鋼製型枠用堰板は、多くの部分を上述した第1、2及び第3のキーストン型鋼製型枠用堰板と類似しているので、図3に示す第4のキーストン型鋼製型枠用堰板の部分詳細図に基づいて相違している部分のみについて説明する。
第4のキーストン型鋼製型枠用堰板15は、折曲溝部4の底面6とキーストン型鋼製型枠用堰板15の側面5とにコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目16から成る拡張成型網目列17をキーストン型鋼製型枠用堰板15の高さ方向に形成する点では第1のキーストン型鋼製型枠用堰板2と同一であるが、拡張成型網目16の傾斜方向と拡張成型網目列17の配列数において相違している。
【0026】
キーストン型鋼製型枠用堰板15において3列の拡張成型網目列17を構成している拡張成型網目16は、図3の部分詳細図が示すように、拡張成型網目16の上下を形成している平行枠部9、9と拡張成型網目16の左右を形成している垂直枠部10、10とから構成されている点は第1のキーストン型鋼製型枠用堰板2と同一であるが、本実施例における上下の平行枠部9は、図の左側における拡張成型網目列17−1において左肩下がりの平行な傾斜状態を形成しており、図の中央における拡張成型網目列17−2は、拡張成型網目列17−1と反対に右肩下がりの平行な傾斜状態を形成していて、図の右側における拡張成型網目列17−3においては右肩上がりの平行な傾斜状態を形成している。
従って、拡張成型網目列17−1と拡張成型網目列17−2とは折り返した形態で下方に開放する網目形状を形成しながら、拡張成型網目列17−2と拡張成型網目列17−3とは折り返した形態で上方に開放する網目形状を形成しており、拡張成型網目列17−1、17−2間を構成している垂直枠部18と拡張成型網目列17−2、17−3間を構成している垂直枠部19とは、左右対称な開口形態を支持しているためにその幅を広くして扇の要のような形態を成しながら、第1のキーストン型鋼製型枠用堰板2と同様にキーストン型鋼製型枠用堰板15の高さ方向に形成する所定巾の連結部14をも構成しており、垂直方向に連続状態に繋がっていることで各平行枠部9を支持していると共にキーストン型鋼製型枠用堰板15の上下端に継続することによってコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目16及び拡張成型網目列17を形成しながらこれを堅固に保持している。
【0027】
本発明による第4のキーストン型鋼製型枠用堰板は、以上のように、折曲溝部4の底面
6とキーストン型鋼製型枠用堰板15の側面5とに配列されているコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目16及び拡張成型網目列17をキーストン型鋼製型枠用堰板15の高さ方向に固定されている連結部14を介して相互に結合されながら折り返した形態で上下方向に開放する網目形状を形成しているので、上述した第1、2及び第3のキーストン型鋼製型枠用堰板が発揮する多くの効果に加えて、キーストン型鋼製型枠用堰板15を設定される方向に関係なく打設されるコンクリートの流出ノロ量を適量に減少させながらコンクリート余剰水の排出は更に効率良く実施できる効果を発揮するものである。
【実施例3】
【0028】
本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板の第1〜4の各製造方法は、基本的には製鉄所から一定の巾毎に所定の長さで巻回されたロールが搬入されてくる鋼材から開始されるものであり、本実施の形態では、最初に図4に示す全体の製造設備に基づいてキーストン型鋼製型枠用堰板の全体的な製造方法について説明する。
次いで、第1、3の製造方法については図5〜図8の各工程図に基づいて具体的に説明し、第2、4の製造方法についてもその特徴部分について図9〜図11の各工程図に従って順次に説明する。
【0029】
本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板を形成する基本的な製造方法は、図4に示すように一定の巾毎に所定の長さで巻回されたロール20が供給装置21に装備されている。次いでロール20から繰り出される鋼材22は、供給ローラ23を介してキーストン成形装置24に導入されてからキーストン型鋼製型枠用堰板25として成形された後にキーストン成形装置24から搬送ローラ設備26に押出されている。
【0030】
搬送されるキーストン型鋼製型枠用堰板25は、供給ローラ23を通ってプレス機械27に供給されており、プレス機械27ではキーストン型鋼製型枠用堰板25に形成されている折曲溝部の底面とキーストン型鋼製型枠用堰板の側面とにプレスの作動によってコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目のために必要な所定の切込みを形成している。所定の切込みが形成された後のキーストン型鋼製型枠用堰板25は、プレス機械27の開放先に配置されている供給ローラ23を介して次工程に供給されている。
【0031】
搬送ローラ設備26上を搬送されて来たプレス機械27からのキーストン型鋼製型枠用堰板25は、網目拡張装置28に送り込まれている。網目拡張装置28では、キーストン型鋼製型枠用堰板25における折曲溝部の底面とキーストン型鋼製型枠用堰板の側面とにプレス機械27の作動で形成された所定の切込みを網目拡張装置28に配置されている各種ローラによってコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目としての最終的な形状に拡張変形されている。
【0032】
キーストン型鋼製型枠用堰板25は、その折曲溝部の底面と側面とにコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る所定形状の拡張成形網目を構成された後に切断装置29に送り込まれて予め設定されている型枠用堰板の長さに切断されている。そして、搬送ローラ設備26によって送り出されながら所定長に切断されたキーストン型鋼製型枠用堰板30は、最終製品として完成品コンベア31の上に積重ねられている。
【0033】
以上のように、本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、ロール巻きされた所定巾の薄鋼板を鋼製堰板の高さを構成するのに適した所定長に切断することなく、所定の工作を加えながら順次に次工程に移行させることを基本的な製造工程にしているものであって、コンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成
る拡張成型網目を形成されたキーストン型鋼製型枠用堰板の製造を切断工程を加味されずに効率的かつ連続的に実施されて行くものであり、施工現場の要求に合せた長さにする切断加工を最終段階にすることで完成したキーストン型鋼製型枠用堰板を供給するものである。
又、キーストン型鋼製型枠用堰板の出荷は、施工現場の要求に合せて対応するものであるので、出来上がっているキーストン型鋼製型枠用堰板を切断加工して施工現場に供給するものであって、この点においても本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は発注から出荷までの期間が短縮される効果と施工現場の要求に的確に対応できるという複合的な効率化を醸し出している。
【0034】
次に、本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板の第1、3の製造方法について説明するが、本実施の形態では全体的な視点を回避して特徴的な構成について図5〜図8の各工程図に示すキーストン型鋼製型枠用堰板の部分的な平面図と側面図に基づいて説明する。
図5は、上記のキーストン成形装置24において成形されるキーストン型鋼製型枠用堰板25の先端角部と側部を示す平面図と側面図である。巻回されたロールから搬入されてくる薄い鋼材22は、従来から実施されているキーストン成形装置24に供給されてキーストン成形装置24内の成形機構で折り曲げられることによって、両側部にキーストン型鋼製型枠用堰板25を相互間で溶接接合する場合等に必要になる結合部32を形成させながらキーストン型鋼製型枠用堰板25として構成されるものであり、非成形薄鋼板の表面に押出突出面11と共に形成される折曲溝部4と側面6とが折り曲げ成形されることで、図4で表示したキーストン型鋼製型枠用堰板25としてキーストン成形装置24から押出される。
【0035】
図6は、図4で概要を説明したプレス機械27によってキーストン型鋼製型枠用堰板25に形成されるコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目から構成されている拡張成型網目群用の切り込み群が形成された状態を示している。
キーストン成形装置24から押出されてくるキーストン型鋼製型枠用堰板25は、上述したように、供給ローラ23を通ってプレス機械27に供給されている。プレス機械27は、自然落下もしくは油圧機構によって作動する250〜300tのプレス機構を備えており、その作動によって、図6に表示されているようにキーストン型鋼製型枠用堰板25における折曲溝部4の底面と非成形薄鋼板の側面6の表面とに1乃至複数個の上方に開放した一方向型のコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群を構成するための網目形状を形成している。そこで行われる作業は、次工程において拡張成型網目群を構成するのに必要になる網目形状を構成する連続した切り込み33を形成して切り込み群34を構成するものである。
【0036】
キーストン型鋼製型枠用堰板25は、図4で説明したように切り込み群34を構成された後にプレス機械27の背後に配置されている供給ローラ23によって網目拡張装置28に送り込まれている。
網目拡張装置28は、キーストン型鋼製型枠用堰板25の折曲溝部4の底面と非成形薄鋼板の側面6の表面とに構成されたコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目から構成される拡張成型網目群として拡張するために複数の工程を分担して配置されており、各工程では複数のローラを作動心棒で支持しながら拡張成型網目群を順次に成形している。
【0037】
図7に示す工程は、上記拡張成型網目群に拡張するための最初の準備段階であって、ロールから搬入されてくる薄い鋼材を目一杯に折り曲げ成形してなるキーストン型鋼製型枠用堰板25には複数の折曲溝部4と非成形薄鋼板の側面6とが構成されているので、拡張成型網目群を形成する成形加工の順序としてはキーストン型鋼製型枠用堰板25の両側部
に形成されている折曲溝部4に対して拡張する工程を適用する状態を示している。
本工程では、図示のように工程を適用する両側部の結合部32に近い折曲溝部4の底面とその両側に配置されている押出突出面11との変移点に対して複数の支持ローラを配置して拡張する折曲溝部4を強固に把握している。図の結合部32側に配置されている支持ローラ35は、下側の大径ローラ36とこれに対峙している上側の小径ローラ37から構成されており、夫々の心棒38、39で保持されている。支持ローラ35は、図の右側に配置されて同様に構成された支持ローラ40と対応させて配置する形態で進行方向に向かって連続的に設備されている。支持ローラ40は、拡張する折曲溝部4の底面とその内側に形成されている押出突出面11との変移点に対して配置されるものであって、その構成は支持ローラ35と本質的に変更の無いローラ群から構成されている。
【0038】
図8に示す工程では、支持ローラ35、支持ローラ40で把握された結合部32側のキーストン型鋼製型枠用堰板25の折曲溝部4を拡張させることで、内側に位置する他の折曲溝部4や側面6に対する把握状態を何ら変更させること無く極めて簡易に折曲溝部4の切り込み33を拡大させて拡張成型網目列8を形成している。
本工程では、支持ローラ35と支持ローラ40とが把握している押出突出面11の間隔を徐々に拡張しており、そのために配置されている各支持ローラにおいて支持ローラ35の心棒と上下ローラとの位置を外側に変位している。これによって、図8で図示するように折曲溝部4の切り込み33を拡大させており、最終的にはキーストン型鋼製型枠用堰板25にコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目7から成る拡張成型網目列8を完成させる形態に到達させている。
【0039】
以上の図7、8での説明は、キーストン型鋼製型枠用堰板25の両側部に構成されている折曲溝部4の切り込み33に対しての拡張工程であったが、この両側部に位置する折曲溝部4の拡張工程が終了した後には、その内側に位置しているキーストン型鋼製型枠用堰板25の側面6に対しても同様の拡張工程に移行することになる。
折曲溝部4の内側に位置する側面6に対する拡張加工は、本質的には折曲溝部4における拡張工程と同様であって上下ローラの径関係が折曲溝部4の場合と逆の状態になることだけが異なっている。そして、この側面6に対しての拡張加工も両側の折曲溝部4の場合と同様に何れもキーストン型鋼製型枠用堰板25の伸長する方向が外側に向かっていることから、内側に位置する他の折曲溝部4や側面6に対する把握状態を何ら変更させること無く極めて簡易に両側での同時加工のみを可能にしているものである。次いで行われる拡張された側面6から次の内側に位置している折曲溝部4や側面6における拡張工程においても、同様の拡張加工は何ら変わることなく他の折曲溝部4や側面6に対しての把握状態を何らの変更も加えることなく順次に施工される。
以上のように、本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板の第1、3の製造方法は、拡張成型網目群を形成する成形加工の順序をキーストン型鋼製型枠用堰板25の両側部に形成されている折曲溝部4に対する拡張成型から実施しているので、内側に位置する他の折曲溝部4や側面6に対する把握状態を何ら変更させること無く極めて簡易に折曲溝部4の切り込み33を拡大させて拡張成型網目列8を形成していることから、折曲溝部4に於ける拡張成型網目列8を短い移動距離間での円滑な拡張展開によって容易に施工可能にしている。
【実施例4】
【0040】
次に、本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板の第2、4の製造方法について説明する。本実施の形態では、上述したキーストン型鋼製型枠用堰板の第1、3の製造方法についての説明を前提にして、第2、4の製造方法における特徴的な構成のみを図9〜11に示す部分的表示の平面図と側面図に基づいて説明する。
【0041】
図9に示す工程は、キーストン型鋼製型枠用堰板の第2、4の製造方法において拡張成
型網目群を拡張してするための最初の準備段階であって、本工程でのキーストン型鋼製型枠用堰板25には、第1、3の製造方法の場合と同様に複数の折曲溝部4と非成形薄鋼板の側面6とが構成されており、コンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目から構成されている拡張成型網目群を形成する成形加工の順序としてキーストン型鋼製型枠用堰板25の両側部に構成されている折曲溝部4に対して拡張する工程を適用する状態を図示している。
【0042】
本工程では、図示のように工程を適用する結合部32に近い両側部の折曲溝部4において折曲溝部4の底面とその両側に配置されている押出突出面11との変移点及び所定巾の連結部14に対して複数の支持ローラを配置することで拡張する折曲溝部4の主要部分を強固に把握している。
結合部32に近い側の折曲溝部4に配置されている両側における押出突出面11との変移点に配置される支持ローラ41は、下側の大径ローラ42とこれに対峙している上側の小径ローラ43から構成されると共に、連結部14に対しては下側の大径ローラ44とこれに対峙している上側の小径ローラ45とで構成されており、上下側の各ローラは夫々の心棒46、47によって保持されている。又、支持ローラ41は、特に図示されていないが拡張ローラ48をその中間に配置する間隔で拡張ローラ48と交互に前後させながら設備されている。
拡張ローラ48は、図示の拡張する折曲溝部4の底面において連結部14と折曲溝部4の両側に配置されている押出突出面11との間に配置されるものであって、その構成は下側の大径ローラ49とこれに対峙している上側の小径ローラ50から構成されており、夫々の心棒51、52によって保持されている。
【0043】
図10に示す次の段階では、支持ローラ41でキーストン型鋼製型枠用堰板25の折曲溝部4における主要部を把握しながら拡張ローラ48で切り込み33を効率的に拡大させることで、折曲溝部4にコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列8の初期形態を形成している。
本工程における図4で表示の網目拡張装置28での状況は、折曲溝部4の両側に配置されている支持ローラ41の心棒46、47をキーストン型鋼製型枠用堰板25の折曲溝部4が保持されているレベルを維持させた状態で、内側に位置する他の折曲溝部4や側面6に対する把握状態を何ら変更させること無く拡張ローラ48を支持している夫々の心棒51、52を互いの間隔を維持しながら、上方に押し上げる形態にして支持ローラ41との位置関係を極めて簡易に拡大方向に変更している。
この変更によってキーストン型鋼製型枠用堰板25の折曲溝部4における切り込み33はその拡張方向に伸長しながらキーストン型鋼製型枠用堰板25の幅方向や進行方向に引き伸ばされており、拡張ローラ48の上昇位置を暫時継続させることによって側面図で示しているように手前側から進行方向に向かって切り込み33を拡大させて行く形態で変化している。
【0044】
折曲溝部4における切り込み33が所定の設計形態に拡張した状況に至ると、拡張ローラ48の上方への伸長を停止すると共にキーストン型鋼製型枠用堰板25の折曲溝部4を均一な平面形態に戻す工程に移っている。
図11においてはその後の最終形態を表示しており、本工程では、折曲溝部4の両側と連結部14とに配置されている支持ローラ41の心棒46、47は、キーストン型鋼製型枠用堰板25の折曲溝部4を保持しているレベルに維持させた状態で、拡張ローラ48を支持している夫々の心棒51、52を互いの間隔を保った状態のままで下方に押し下げてその位置関係を元の形態に戻している。
この際に、支持ローラ41は、連結部に対する上下ローラの位置を変えずに折曲溝部4の両側に配置されている上下ローラの設定位置を拡張時において構成した間隔と異ならせることで連結部との間隔を拡大した配置関係に変更させて夫々の心棒46、47を構成し
ている。同様に、拡張ローラ48も連結部14の左側に配置されている上下ローラと連結部の右側に配置されている同様の上下ローラとの間隔を拡張時において構成した間隔と異ならせて拡大した配置関係にするように夫々の心棒51、52との設定を変更させて構成している。そして、この側面6に対しての拡張加工も両側の折曲溝部4の場合と同様に何れもキーストン型鋼製型枠用堰板25の伸長する方向が外側に向かっていることから、内側に位置する他の折曲溝部4や側面6に対する把握状態を何ら変更させること無く極めて簡易に両側での同時加工のみを可能にしているものである。次いで行われる拡張された側面6から次の内側に位置している折曲溝部4や側面6における拡張工程においても、同様の拡張加工は何ら変わることなく他の折曲溝部4や側面6に対しての把握状態を何らの変更も加えることなく順次に施工される。
以上のように、本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板の第2、4の製造方法は、拡張成型網目群を形成する成形加工の順序をキーストン型鋼製型枠用堰板25の両側部に形成されている折曲溝部4に対する拡張成型から実施しているので、内側に位置する他の折曲溝部4や側面6に対する把握状態を何ら変更させること無く極めて簡易に折曲溝部4の切り込み33を拡大させて拡張成型網目列8を形成していることから、折曲溝部4に於ける拡張成型網目列8を短い移動距離間での円滑な拡張展開によって容易に施工可能にしている。
【0045】
従って、連結部14における支持ローラ41によってキーストン型鋼製型枠用堰板25の折曲溝部4を左右方向に押し広げる動作とこれと同時に行われる拡張ローラ48の心棒51、52を押し下げる動作とによって、キーストン型鋼製型枠用堰板25の折曲溝部4における切り込み33は、拡張した形態を維持しながらキーストン型鋼製型枠用堰板25の幅方向や進行方向に引き伸ばされるものであり、切り込み33はその開口形態を保持させながら図示のように折曲溝部4を左右方向に広げた水平な形状を構成している。これによって、最終的には図11に示すように折曲溝部4における切り込み33は拡大されてキーストン型鋼製型枠用堰板25のコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目7から成る拡張成型網目列8として完成される形状にまで到達している。
【0046】
以上の図9〜11での説明は、キーストン型鋼製型枠用堰板25の両側部に構成されている折曲溝部4における切り込み33に対しての拡張工程であったが、この両側部に位置する折曲溝部4における拡張工程が終了した後には、上述したキーストン型鋼製型枠用堰板の第1、3の製造方法の場合と同様にその内側に位置しているキーストン型鋼製型枠用堰板25の側面6に対しての拡張工程に移行する。そして、折曲溝部4の内側に位置する側面6に対しての拡張加工も本質的には折曲溝部4における拡張工程と同様であって上下ローラの径関係と拡張ローラ48の動作が折曲溝部4の場合と逆の形態になることだけが異なっているだけである。
即ち、この内側に位置する側面6に対しての拡張加工は、何れもキーストン型鋼製型枠用堰板25の最終的な伸長向がその外側に向かっていることもあって、両側での同時加工と中央に向かっての進展を容易にしているものであり、側面6を終えてからの次の内側に位置している折曲溝部4や側面6に対する拡張工程にあってもこの過程は何ら変わることなく継続的に施工されるものである。
【0047】
以上のように、キーストン型鋼製型枠用堰板の第2、4の製造方法は、上述した第1、3の製造方法と同様に巻回されたロールから搬入されてくる薄い鋼材をキーストン成形装置によってキーストン型鋼製型枠用堰板として形成した後に、プレス機械によってその折曲溝部の底面と非成形薄鋼板の側面の表面とに1乃至複数個の上方に開放した一方向型の網目形状である拡張成型網目群を拡張して構成するための連続した切り込みから成る切り込み群を構成しており、しかる後に上述した工程に従ってキーストン型鋼製型枠用堰板のコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網
目から構成されている拡張成型網目列を完成させているので、第1、3の製造方法と同様に拡張成型網目群を形成する成形加工の順序をキーストン型鋼製型枠用堰板25の両側部に形成されている折曲溝部4に対する拡張成型から実施することから、その内側に位置する他の折曲溝部4や側面6に対する把握状態を何ら変更させること無く極めて簡易に折曲溝部4の切り込み33を拡大させて拡張成型網目列8を形成しており、折曲溝部4に於ける拡張成型網目列8を短い移動距離間での円滑な拡張展開によって容易に施工可能にしている極めて効率の良いキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法と言える。
【実施例5】
【0048】
本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板の第5の製造方法は、上記第1〜4のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法において、キーストン成形装置に導入する鋼材を一定の巾毎に所定の長さで巻回されたロールから繰り出すものでなく、製品化するキーストン型鋼製堰板の高さを構成するのに適した所定長に予め所定巾の薄鋼板を切断して置くことを特徴にしている。
本製造方法によると、それ以降の工程への移行は上述したキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法と同様の経過を辿ることになるので、各工程に従って作成されるキーストン型鋼製型枠用堰板はその取り扱いが簡便に行われる効果を発揮するものであって、上記第1〜4の製造方法が備えている効果に加えて更に改善されたキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法に変身している。
【実施例6】
【0049】
本発明による第6のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、上記第5のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法と同様にキーストン型鋼製型枠用堰板の製造を効率的に改善するものである。
本製造方法では、一定の巾毎に所定の長さで巻回されたロールから鋼材22を繰り出してキーストン成形装置24に導入することなく、別途の工程において予め作成して置かれた鋼製堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分に任意の間隔毎に所定巾の折曲溝部を形成して成る所定巾のキーストン型薄鋼板をプレス機械27に供給するものであって、それ以降の工程は上記第1〜5の製造方法と同様に展開するものであるから、キーストン型鋼製型枠用堰板の製造工程を総合的には簡潔なものに向上させている。
【実施例7】
【0050】
以上の第1〜6のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法によって製造された各実施の形態で示すキーストン型鋼製型枠用堰板は、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等のキーストン型鋼製型枠用堰板として幅広く採用することが出来るので、図12に基づいてその実施の形態例について説明する。
図示されている実施の形態は、本発明による第7のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法によって作成されたキーストン型鋼製型枠用堰板であり、コンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る所定形状の拡張成型網目列8を各折曲溝部4の底面と鋼製堰板の側面6とに成形したキーストン型鋼製型枠用堰板25の向きをその高さ方向に変えて梁等のキーストン型鋼製型枠用堰板53を構成している。
本実施例では、上述した本発明による第1〜6のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法によって作成されたキーストン型鋼製型枠用堰板25を適用現場からの要求に対応させて更に継続加工することによって製造しており、キーストン型鋼製型枠用堰板を折り曲げて梁溝型枠としての側型枠54と底型枠55とに構成すると共に、必要なセパレータ56と横端太57とで保持することによってその形状を確立している。
本製造方法による形状は、容易に形成可能であることから上記の梁等のキーストン型鋼製型枠用堰板に限定されずに独立基礎や柱脚等のキーストン型鋼製型枠用堰板であっても適宜に対応出来るものである。
【実施例8】
【0051】
本発明による第8のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、上記第7のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法を更に改善している。
本実施の形態では、上記第7の製造方法において形成した梁溝枠型に折り曲げて成る鋼製堰板の端部を相互に重ね合わせて溶接接合しており、これによってキーストン型鋼製型枠用堰板の側面長を適当な長さに形成することで、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等にも容易に対応出来る。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等のキーストン型鋼製型枠用堰板において、キーストン型鋼製型枠用堰板自体の構成を簡素にすることで重量の軽減を図り、キーストン型鋼製型枠用堰板の設置に際しても鋼製堰板を組み立てる時の設置方向の選択を不要にしてキーストン型鋼製型枠用堰板の取り扱いを容易にすると共に、鋼製堰板からのコンクリートの流出を制限しながら型枠形状を保持するセパレータの使用本数を節減できて脱型も不用にしていることから作業能率にも優れているので、キーストン型鋼製型枠用堰板を製造する際の総合コストを低減できるキーストン型鋼製型枠用堰板及びその製造方法を提供している。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】キーストン型鋼製型枠用堰板で製作した地中梁の型枠斜視図
【図2】キーストン型鋼製型枠用堰板の拡張成型網目列を示す部分拡大図
【図3】キーストン型鋼製型枠用堰板の異なる拡張成型網目列を示す部分拡大図
【図4】キーストン型鋼製型枠用堰板の製造設備図
【図5】キーストン型鋼製型枠用堰板の形態図
【図6】キーストン型鋼製型枠用堰板に対する拡張成型網目用切り込み群の形成図
【図7】キーストン型鋼製型枠用堰板に対する拡張成型網目用切り込み群の拡張準備工程図
【図8】キーストン型鋼製型枠用堰板に対する拡張成型網目用切り込み群の拡張工程図
【図9】キーストン型鋼製型枠用堰板に対する拡張成型網目用切り込み群の異なる拡張準備工程図
【図10】キーストン型鋼製型枠用堰板に対する拡張成型網目用切り込み群の異なる拡張工程図
【図11】キーストン型鋼製型枠用堰板における拡張成型網目列の異なる拡張完成図
【図12】本発明による製造方法で製作した梁等のキーストン型鋼製型枠用堰板図
【符号の説明】
【0054】
1…鋼製型枠、2、15、25、30、53…キーストン型鋼製型枠用堰板、3、56…セパレータ、4…折曲溝部、5…側面、6…折曲溝部の底面、7、16…拡張成型網目、8、8−1、8−2、8−3、8−4…拡張成型網目列、9…平行枠部、10、18、19…垂直枠部、11…押出突出面、12、13…残存部分、14…連結部、17、17
−1、17−2、17−3…拡張成型網目列、20…ロール、21…供給装置、22…鋼材、…23…供給ローラ、24…キーストン成形装置、26…搬送ローラ設備、27…プレス機械、28…網目拡張装置、29…切断装置、31…完成品コンベア、
32…結合部、33…切り込み、…34切り込み群、…35、40、41…支持ローラ、36、42、44、49…大径ローラ、37、43、45、50…小径ローラ、38、39、46、47、51、52…心棒、48…拡張ローラ、54…側型枠、55…底型枠、57…横端太
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等のキーストン型鋼製型枠用堰板に関し、具体的にはコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群から構成して軽量にしたキーストン型鋼製堰板を用いてその取り扱いを簡素にすると共に打設コンクリートの流出を制限しながら余剰水の排出を良好にした型枠の形状を保持することでセパレータの使用量も節減できるキーストン型鋼製型枠用堰板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からの合板による型枠工法は、面倒な作業と所定期間の工期を必要とすると共に作業後にあっては多くの建築残材を発生させることで昨今の環境問題に対する注目度から批判を受けるものであった。さらに、これに変わる工法としてキーストンプレートを一体成形したキーストン型鋼製型枠用堰板工法が開発されたが、基礎工事にあっては独立基礎、地中梁及び柱脚に用いられており、梁工事においてもキーストンプレートを梁溝型に折り曲げて梁打ち込み型枠として数多く採用されていた。(特許文献1)
【0003】
しかしながら、キーストン型鋼製型枠用堰板工法の代表的なラス型枠工法にあっても、堰板の外面側に突出させた凸状支柱部を設けることを必須にすると共に、凸状支柱部の中央には境界用板状部を形成して、この凸状支柱部と境界用板状部との間にラス網部を形成しているが、凸状支柱部を設けるという構成上の要件を加えてもラス網部を構成している板片部の傾斜方向によってはコンクリートの流出量が増加するために、堰板の上下方向の判別が重要になって結果的に作業性を損ねる失敗を起こすことから、ラス網部を構成する網目の傾斜方向を、下方を片側に傾斜させながら境界用板状部を中心に対照的にすることで、設置方向の作業ミスを防止する型枠用堰板が提案されている。(特許文献2、3)
【0004】
以上のように、キーストン型鋼製型枠用堰板工法は、工場生産による優れた精度品質、取り扱いの容易な型枠をセットするだけの簡単な作業とコンクリート打設後に型枠の脱型作業が不要である等の効能によって、作業効率を向上させると共に建築残材を無くする等の合理化対策において多くの貢献を果たしてきたが、いずれのキーストン型鋼製型枠用堰板工法も、型枠堰板を構成するのが鋼製であるのと型枠締付セパレータ用通し穴を形成した凸状支柱部を設けながらラス網部としてコンクリート余剰水の排出穴を別途に形成するという構成上の要件を加えているために製作工程を多岐にして多くの重量値を取り扱う必要があると同時に、作業上においても型枠用堰板の設置方向には依然として注意を図る必要があるものであって、製作コストの多大さと設置方向の選択を間違うとコンクリートの流出量に増減差がでる等の問題点が指摘されていた。
【特許文献1】特許公開2001−73452号公報
【特許文献2】特許公開2002−138663号公報
【特許文献3】特許公開2002−138664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等のキーストン型鋼製型枠用堰板において、コンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群から構成することでキーストン型鋼製型枠用堰板自体の構成を簡素にして重量の軽減を図りながらキーストン型鋼製型枠用堰板の設置に際しても鋼製堰板を組み立てる時の設置方向の選択を不要にしてキーストン型鋼製型枠用堰板の取り扱いを容易にすると共に、鋼製堰板からのコンクリートの流出を制限しながら余剰水の排出を良好にした型枠形
状を保持するセパレータの使用本数を節減しながら脱型も不用にすることで作業能率にも優れているので、キーストン型鋼製型枠用堰板作業の総合コストの低減を図ることのできるキーストン型鋼製型枠用堰板及びその製造方法の提供を目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による第1のキーストン型鋼製型枠用堰板は、キーストン型鋼製堰板の横手方向に沿って任意の間隔毎に形成されてキーストン型鋼製堰板の高さ方向に伸長する所定巾の折曲溝部と折曲溝部の底面とキーストン型鋼製堰板の側面とに成型されて1乃至複数個配置するコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群から構成しているので、キーストン型鋼製型枠用堰板自体の構成を簡素にして重量の軽減を図りながら、キーストン型鋼製型枠用堰板の設置に際しても鋼製堰板を組み立てる時の設置方向の選択を不要にして取り扱いを容易にすると共に、鋼製堰板からのコンクリートの流出を制限しながら余剰水の排出を良好にした型枠形状を保持するセパレータの使用本数を節減して脱型も不用にすることから作業能率にも優れている。
【0007】
本発明による第2のキーストン型鋼製型枠用堰板は、キーストン型鋼製堰板の横手方向に沿って任意の間隔毎に形成されてキーストン型鋼製堰板の高さ方向に伸長する所定巾の折曲溝部、折曲溝部の底面とキーストン型鋼製堰板の側面の中間部に配置され、キーストン型鋼製堰板の高さ方向に形成する所定巾の連結部及び折曲溝部の底面とキーストン型鋼製堰板の側面において該連結部との間に成型されて1乃至複数個配置するコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群から構成されているので、第1のキーストン型鋼製型枠用堰板よりも拡張成型網目群の強度を向上させている。
【0008】
本発明による第3のキーストン型鋼製型枠用堰板は、上記の第1、2のキーストン型鋼製型枠用堰板において、拡張成型網目群を上方に開放した一方向型の網目形状にすることを特徴としているので、上記第1、2のキーストン型鋼製型枠用堰板よりも鋼製堰板からのコンクリート流出を制限しながら余剰水の排出を良好にしている。
【0009】
本発明による第4のキーストン型鋼製型枠用堰板は、上記の第1、2のキーストン型鋼製型枠用堰板において、拡張成型網目群を上方に開放してから折り返す網目形状にすることを特徴としているので、上記第1、2のキーストン型鋼製型枠用堰板よりも鋼製堰板からのコンクリート流出を制限しながら余剰水の排出を更に向上させている。
【0010】
本発明による第1のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、上記の第1、3、4のキーストン型鋼製型枠用堰板を製造するものであって、所定巾の薄鋼板を折曲装置に送出し、所定の間隔毎に配列された折曲装置の折り曲げローラ群で長手方向に直交するキーストン形状に折り曲げて任意の間隔毎に所定巾の折曲溝部を形成している。
次いで、供給されるプレス装置において所定長のキーストン型鋼製堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分と形成された折曲溝部の底面とにコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群を形成するための切れ目群を打ち抜いて行く。
しかる後に、切れ目群を打ち抜かれた両側位置の折曲溝部に対して折曲溝部の両側に形成される突出面を上下のローラで把持してから折曲溝部の両側に配置している上下ローラ間の間隔を漸次拡大することで両側位置の折曲溝部における切れ目群を拡張してコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を形成する。
さらに、両側位置の折曲溝部の内側に位置するキーストン型鋼製堰板の側面を構成している非成形薄鋼板部分に対しても両側位置の折曲溝部と同様に非成形薄鋼板の両側の突出面を上下のローラで把持してから非成形薄鋼板の両側に配置している上下ローラ間の間隔
を漸次拡大することで両側位置の非成形薄鋼板部分における切れ目群を拡張してコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を形成する。
以上の工程を基本として、以降の内側に位置する折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに対しても、上記の折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに施したと同様の拡張成形を順次に繰り返すことで、各折曲溝部の底面とキーストン型鋼製堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分とにコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を成形している。
従って、第1のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法によれば、キーストン型鋼製型枠用堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分と折曲溝部の底面とにコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群を良好に形成できた第1、3、4のキーストン型鋼製型枠用堰板を円滑に製造できるものである。
【0011】
本発明による第2のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、上記第1のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法において、切れ目群を打ち抜かれた両側位置の折曲溝部と折曲溝部の内側に位置するキーストン型鋼製堰板の側面を構成している非成形薄鋼板部分とに在って、夫々の両側に形成された突出面と切れ目群とを上下のローラで把持させた後の切れ目群の拡張によるコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列の形成が、切れ目群に配置させている上下ローラの漸次な上昇ないし下降の操作とその後における各突出面を把持している上下ローラの漸次な間隔の拡大と切れ目群に配置していた上下ローラの漸次な拡大以前への復元で遂行される。
以上の工程を基本として、本製造方法では以降の内側に位置する折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに対しても同様の拡張成形を順次に繰り返すことを特徴としているので、上記の第1、3、4のキーストン型鋼製型枠用堰板は円滑に製造できる。
【0012】
本発明による第3のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、上記第2、3、4のキーストン型鋼製型枠用堰板を製造するものであって、所定巾の薄鋼板を折曲装置に送出し、所定の間隔毎に配列された折曲装置の折り曲げローラ群で長手方向に直交する形状に折り曲げて任意の間隔毎に所定巾の折曲溝部を形成している。
次いで、供給されるプレス装置においてキーストン型鋼製堰板の高さを構成するのに適した所定長のキーストン型鋼製堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分と所定巾の折曲溝部の底面とに夫々の中間部に所定巾の連結部を形成するための切れ目と切れ目に継続させてコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群を形成するための切れ目群とを打ち抜いて行く。
しかる後に、連結部を形成するための切れ目と拡張成型網目群を形成するための切れ目群とを打ち抜かれた両側位置の折曲溝部に対して中間部の連結部と折曲溝部の両側の突出面とを上下のローラで把持してから両側に配置している上下ローラの間隔を漸次拡大することで折曲溝部の連結部を形成するための切れ目とコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る切れ目群とを拡張した拡張成型網目列を連結部の両側に形成する。
さらに、両側位置の折曲溝部の内側に位置するキーストン型鋼製堰板の側面を構成している非成形薄鋼板部分に対しても折曲溝部と同様に中間部の連結部と非成形薄鋼板の両側の突出面とを上下のローラで把持してからその間隔を漸次拡大することで非成形薄鋼板部分にコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を連結部の両側に形成する。
以上の工程を基本として、以降の内側に位置する折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに対しても、上記の折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに施したと同様の成形を順次に繰り返すことで、各折曲溝部の底面と非成形薄鋼板部分が構成するキーストン型鋼製堰板の側面とに連結部とコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を成形する。
従って、第3のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法によれば、キーストン型鋼製型枠用堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分と折曲溝部の底面とに中間部に所定巾の連結部とコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群を良好に形成できた第2、3、4のキーストン型鋼製型枠用堰板を円滑に製造できるものである。
【0013】
本発明による第4のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、上記第3のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法において、中間部の連結部を形成するための切れ目と切れ目に継続した拡張成型網目群を形成するための切れ目群とを打ち抜かれた両側位置の折曲溝部と折曲溝部の内側に位置するキーストン型鋼製堰板の側面を構成している非成形薄鋼板部分とに在って、夫々の連結部と両側に形成された突出面とを上下のローラで把持させてから切れ目群の拡張によるコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列の形成が、切れ目群に配置させている上下ローラの漸次な上昇ないし下降の操作とその後における連結部と各突出面を把持している上下ローラの漸次な間隔の拡大及び同時に行われる切れ目群に配置していた上下ローラの漸次な拡大以前への復元で遂行される。
以上の工程を基本として、本製造方法では以降の内側に位置する折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに対しても同様の拡張成形を順次に繰り返すことを特徴としているので、上記第2、3、4のキーストン型鋼製型枠用堰板は円滑に製造できる。
【0014】
本発明による第5のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、上記第1〜4に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法において、所定巾の薄鋼板をキーストン型鋼製堰板の高さを構成するのに適した所定長に切断した後に折曲装置に送出して以降の工程に移行することを特徴とするものであり、キーストン型鋼製型枠用堰板の取り扱いを簡素にしているものである。
【0015】
本発明による第6のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、上記第1〜4に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法において、鋼製堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分に任意の間隔毎に所定巾の折曲溝部を形成して成る所定巾のキーストン型薄鋼板をプレス装置に供給して以降の工程に移行することを特徴とするものであり、キーストン型鋼製型枠用堰板の製造工程を簡潔にしてキーストン型鋼製型枠用堰板の製造を更に容易にしている。
【0016】
本発明による第7のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、上記第1〜6に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法において、コンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を各折曲溝部の底面と鋼製堰板の側面とに成形した鋼製堰板の向きをキーストン型鋼製型枠用堰板の高さ方向に変えて、キーストン型鋼製型枠用堰板の側型枠と底型枠とを形成する梁溝枠型に折り曲げて必要なセパレータで保持することを特徴とするものであり、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等に適宜に対応出来るものである。
【0017】
本発明による第8のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、上記第7に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法において、梁溝枠型に折り曲げた鋼製堰板の端部を相互に重ね合わせてキーストン型鋼製型枠用堰板の側面長を構成するのに適した長さに溶接接合することを特徴とするものであり、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等に容易に対応出来るものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板及びその製造方法は、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等のキーストン型鋼製堰板に形成した折曲溝部の底面と鋼製堰板の側面とに
拡張して成形したコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を形成することによって、キーストン型鋼製型枠用堰板自体の構成を簡素にして重量の軽減を図りながらキーストン型鋼製型枠用堰板の設置に際しても鋼製堰板を組み立てる時の設置方向の選択を不要にしてキーストン型鋼製型枠用堰板の取り扱いを容易にすると共に、鋼製堰板からのコンクリートの流出を制限しながら余剰水の排出を良好にする型枠形状を保持するセパレータの使用本数を節減できて脱型も不用であることから作業能率も優れているので、キーストン型鋼製型枠用堰板作業の総合コストの低減を図れる効果を奏している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板及びその製造方法は、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等のキーストン型鋼製型枠用堰板において、基本的にはキーストン型鋼製堰板の横手方向に沿って任意の間隔毎に形成されてキーストン型鋼製堰板の高さ方向に伸長する所定巾の折曲溝部を設け、この折曲溝部の底面とキーストン型鋼製堰板の側面とに成型されて1乃至複数個配置されるコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群から構成するキーストン型鋼製型枠用堰板とこれらの拡張成型網目群を備えるキーストン型鋼製型枠用堰板を簡素に構成することによって効率良く製造できるキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法から構成されている。
【実施例1】
【0020】
本発明による第1、2及び第3、4のキーストン型鋼製型枠用堰板は、図1に示すように地中梁の一部を示す実施例と図2、3に示す第2〜4のキーストン型鋼製型枠用堰板の部分詳細図にこれを示しているので、先ず図1に基づいて説明する。
地中梁を構築するために配置されている鋼製型枠1は、図1に示すように前後のキーストン型鋼製型枠用堰板2、2を対峙させて所定数のセパレータ3で相互に保持することで構成されている。第1、2のキーストン型鋼製型枠用堰板2には、その横手方向に沿って所定の間隔毎にキーストン型鋼製型枠用堰板2の高さ方向に伸長する所定巾の折曲溝部4をキーストン型鋼製型枠用堰板2の側面5に形成している。
折曲溝部4の底面6とキーストン型鋼製型枠用堰板2の側面5とには、コンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目7から成る4列の拡張成型網目列8がキーストン型鋼製型枠用堰板2の高さ方向に形成されており、拡張成型網目列8を構成している拡張成型網目7は、図2の部分詳細図が示すように、拡張成型網目7の上下を形成している平行枠部9、9と拡張成型網目7の左右を形成している垂直枠部10、10とから構成されている。
【0021】
本実施例における上下の平行枠部9は、図2の左側における2列の拡張成型網目列8−1、8−2において左肩上がりの平行な傾斜状態を形成しており、図2の右側における2列の拡張成型網目列8−3、8−4においては右肩上がりの平行な傾斜状態を形成しているので、上方に開口した左右対称な開口形態を構成することで第3のキーストン型鋼製型枠用堰板を表示する実施例として表現されている。
一方、垂直枠部10は、各網目列間を形成していると同時に垂直方向に連続状態に繋がっているので、各平行枠部9を強固に支持していると共にキーストン型鋼製型枠用堰板2の上下端に継続することによって拡張成型網目7及び拡張成型網目列8を形成しながらこれを堅固に保持している。
【0022】
また、キーストン型鋼製型枠用堰板2の側面5に対する自重による曲げ現象や打設されるコンクリートによってキーストン型鋼製型枠用堰板2の側面5に加えられる押圧荷重に対してのキーストン型鋼製型枠用堰板2における耐久強度は、拡張成型網目列8間の垂直枠部10と鋼製堰板の側面5に形成される折曲溝部4の押出突出面11及び折曲溝部とキーストン型鋼製型枠用堰板2の側面とに拡張成型網目列8を成型されることなくその両側
に残されている残存部分12、13によって充分に満たされている。
【0023】
尚、拡張成型網目列8−2、8−3間を構成している垂直枠部は、図示のように左右対称な開口形態を支持しているためにその幅を広くしていることから扇の要のような形態を成しているので、垂直枠部10でありながら第2のキーストン型鋼製型枠用堰板に在っては鋼製堰板の側面5と折曲溝部の底面6との中間部に配置されてキーストン型鋼製型枠用堰板の高さ方向に形成される所定巾の連結部14としても機能しており、第2のキーストン型鋼製型枠用堰板における実施例とも成り得ている。
【0024】
従って、本発明による第1、2及び第3のキーストン型鋼製型枠用堰板は、折曲溝部4の底面6とキーストン型鋼製型枠用堰板2の側面5とに1乃至複数個配列されている拡張成型網目列8におけるコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目7の内方空間の形成によって、キーストン型鋼製型枠用堰板2の自重を大幅に軽減してキーストン型鋼製型枠用堰板2の設置方向を無制限にすることで取り扱いを容易にすると共に、鋼製型枠1の内面に打設されるコンクリートのキーストン型鋼製型枠用堰板2からの流出ノロ量を最小限に制限しながらコンクリート余剰水の排出は効率良く実施するものであり、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等の構築効果を大幅に増強するものである。
【実施例2】
【0025】
本発明による第4のキーストン型鋼製型枠用堰板は、多くの部分を上述した第1、2及び第3のキーストン型鋼製型枠用堰板と類似しているので、図3に示す第4のキーストン型鋼製型枠用堰板の部分詳細図に基づいて相違している部分のみについて説明する。
第4のキーストン型鋼製型枠用堰板15は、折曲溝部4の底面6とキーストン型鋼製型枠用堰板15の側面5とにコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目16から成る拡張成型網目列17をキーストン型鋼製型枠用堰板15の高さ方向に形成する点では第1のキーストン型鋼製型枠用堰板2と同一であるが、拡張成型網目16の傾斜方向と拡張成型網目列17の配列数において相違している。
【0026】
キーストン型鋼製型枠用堰板15において3列の拡張成型網目列17を構成している拡張成型網目16は、図3の部分詳細図が示すように、拡張成型網目16の上下を形成している平行枠部9、9と拡張成型網目16の左右を形成している垂直枠部10、10とから構成されている点は第1のキーストン型鋼製型枠用堰板2と同一であるが、本実施例における上下の平行枠部9は、図の左側における拡張成型網目列17−1において左肩下がりの平行な傾斜状態を形成しており、図の中央における拡張成型網目列17−2は、拡張成型網目列17−1と反対に右肩下がりの平行な傾斜状態を形成していて、図の右側における拡張成型網目列17−3においては右肩上がりの平行な傾斜状態を形成している。
従って、拡張成型網目列17−1と拡張成型網目列17−2とは折り返した形態で下方に開放する網目形状を形成しながら、拡張成型網目列17−2と拡張成型網目列17−3とは折り返した形態で上方に開放する網目形状を形成しており、拡張成型網目列17−1、17−2間を構成している垂直枠部18と拡張成型網目列17−2、17−3間を構成している垂直枠部19とは、左右対称な開口形態を支持しているためにその幅を広くして扇の要のような形態を成しながら、第1のキーストン型鋼製型枠用堰板2と同様にキーストン型鋼製型枠用堰板15の高さ方向に形成する所定巾の連結部14をも構成しており、垂直方向に連続状態に繋がっていることで各平行枠部9を支持していると共にキーストン型鋼製型枠用堰板15の上下端に継続することによってコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目16及び拡張成型網目列17を形成しながらこれを堅固に保持している。
【0027】
本発明による第4のキーストン型鋼製型枠用堰板は、以上のように、折曲溝部4の底面
6とキーストン型鋼製型枠用堰板15の側面5とに配列されているコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目16及び拡張成型網目列17をキーストン型鋼製型枠用堰板15の高さ方向に固定されている連結部14を介して相互に結合されながら折り返した形態で上下方向に開放する網目形状を形成しているので、上述した第1、2及び第3のキーストン型鋼製型枠用堰板が発揮する多くの効果に加えて、キーストン型鋼製型枠用堰板15を設定される方向に関係なく打設されるコンクリートの流出ノロ量を適量に減少させながらコンクリート余剰水の排出は更に効率良く実施できる効果を発揮するものである。
【実施例3】
【0028】
本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板の第1〜4の各製造方法は、基本的には製鉄所から一定の巾毎に所定の長さで巻回されたロールが搬入されてくる鋼材から開始されるものであり、本実施の形態では、最初に図4に示す全体の製造設備に基づいてキーストン型鋼製型枠用堰板の全体的な製造方法について説明する。
次いで、第1、3の製造方法については図5〜図8の各工程図に基づいて具体的に説明し、第2、4の製造方法についてもその特徴部分について図9〜図11の各工程図に従って順次に説明する。
【0029】
本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板を形成する基本的な製造方法は、図4に示すように一定の巾毎に所定の長さで巻回されたロール20が供給装置21に装備されている。次いでロール20から繰り出される鋼材22は、供給ローラ23を介してキーストン成形装置24に導入されてからキーストン型鋼製型枠用堰板25として成形された後にキーストン成形装置24から搬送ローラ設備26に押出されている。
【0030】
搬送されるキーストン型鋼製型枠用堰板25は、供給ローラ23を通ってプレス機械27に供給されており、プレス機械27ではキーストン型鋼製型枠用堰板25に形成されている折曲溝部の底面とキーストン型鋼製型枠用堰板の側面とにプレスの作動によってコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目のために必要な所定の切込みを形成している。所定の切込みが形成された後のキーストン型鋼製型枠用堰板25は、プレス機械27の開放先に配置されている供給ローラ23を介して次工程に供給されている。
【0031】
搬送ローラ設備26上を搬送されて来たプレス機械27からのキーストン型鋼製型枠用堰板25は、網目拡張装置28に送り込まれている。網目拡張装置28では、キーストン型鋼製型枠用堰板25における折曲溝部の底面とキーストン型鋼製型枠用堰板の側面とにプレス機械27の作動で形成された所定の切込みを網目拡張装置28に配置されている各種ローラによってコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目としての最終的な形状に拡張変形されている。
【0032】
キーストン型鋼製型枠用堰板25は、その折曲溝部の底面と側面とにコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る所定形状の拡張成形網目を構成された後に切断装置29に送り込まれて予め設定されている型枠用堰板の長さに切断されている。そして、搬送ローラ設備26によって送り出されながら所定長に切断されたキーストン型鋼製型枠用堰板30は、最終製品として完成品コンベア31の上に積重ねられている。
【0033】
以上のように、本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、ロール巻きされた所定巾の薄鋼板を鋼製堰板の高さを構成するのに適した所定長に切断することなく、所定の工作を加えながら順次に次工程に移行させることを基本的な製造工程にしているものであって、コンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成
る拡張成型網目を形成されたキーストン型鋼製型枠用堰板の製造を切断工程を加味されずに効率的かつ連続的に実施されて行くものであり、施工現場の要求に合せた長さにする切断加工を最終段階にすることで完成したキーストン型鋼製型枠用堰板を供給するものである。
又、キーストン型鋼製型枠用堰板の出荷は、施工現場の要求に合せて対応するものであるので、出来上がっているキーストン型鋼製型枠用堰板を切断加工して施工現場に供給するものであって、この点においても本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は発注から出荷までの期間が短縮される効果と施工現場の要求に的確に対応できるという複合的な効率化を醸し出している。
【0034】
次に、本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板の第1、3の製造方法について説明するが、本実施の形態では全体的な視点を回避して特徴的な構成について図5〜図8の各工程図に示すキーストン型鋼製型枠用堰板の部分的な平面図と側面図に基づいて説明する。
図5は、上記のキーストン成形装置24において成形されるキーストン型鋼製型枠用堰板25の先端角部と側部を示す平面図と側面図である。巻回されたロールから搬入されてくる薄い鋼材22は、従来から実施されているキーストン成形装置24に供給されてキーストン成形装置24内の成形機構で折り曲げられることによって、両側部にキーストン型鋼製型枠用堰板25を相互間で溶接接合する場合等に必要になる結合部32を形成させながらキーストン型鋼製型枠用堰板25として構成されるものであり、非成形薄鋼板の表面に押出突出面11と共に形成される折曲溝部4と側面6とが折り曲げ成形されることで、図4で表示したキーストン型鋼製型枠用堰板25としてキーストン成形装置24から押出される。
【0035】
図6は、図4で概要を説明したプレス機械27によってキーストン型鋼製型枠用堰板25に形成されるコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目から構成されている拡張成型網目群用の切り込み群が形成された状態を示している。
キーストン成形装置24から押出されてくるキーストン型鋼製型枠用堰板25は、上述したように、供給ローラ23を通ってプレス機械27に供給されている。プレス機械27は、自然落下もしくは油圧機構によって作動する250〜300tのプレス機構を備えており、その作動によって、図6に表示されているようにキーストン型鋼製型枠用堰板25における折曲溝部4の底面と非成形薄鋼板の側面6の表面とに1乃至複数個の上方に開放した一方向型のコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群を構成するための網目形状を形成している。そこで行われる作業は、次工程において拡張成型網目群を構成するのに必要になる網目形状を構成する連続した切り込み33を形成して切り込み群34を構成するものである。
【0036】
キーストン型鋼製型枠用堰板25は、図4で説明したように切り込み群34を構成された後にプレス機械27の背後に配置されている供給ローラ23によって網目拡張装置28に送り込まれている。
網目拡張装置28は、キーストン型鋼製型枠用堰板25の折曲溝部4の底面と非成形薄鋼板の側面6の表面とに構成されたコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目から構成される拡張成型網目群として拡張するために複数の工程を分担して配置されており、各工程では複数のローラを作動心棒で支持しながら拡張成型網目群を順次に成形している。
【0037】
図7に示す工程は、上記拡張成型網目群に拡張するための最初の準備段階であって、ロールから搬入されてくる薄い鋼材を目一杯に折り曲げ成形してなるキーストン型鋼製型枠用堰板25には複数の折曲溝部4と非成形薄鋼板の側面6とが構成されているので、拡張成型網目群を形成する成形加工の順序としてはキーストン型鋼製型枠用堰板25の両側部
に形成されている折曲溝部4に対して拡張する工程を適用する状態を示している。
本工程では、図示のように工程を適用する両側部の結合部32に近い折曲溝部4の底面とその両側に配置されている押出突出面11との変移点に対して複数の支持ローラを配置して拡張する折曲溝部4を強固に把握している。図の結合部32側に配置されている支持ローラ35は、下側の大径ローラ36とこれに対峙している上側の小径ローラ37から構成されており、夫々の心棒38、39で保持されている。支持ローラ35は、図の右側に配置されて同様に構成された支持ローラ40と対応させて配置する形態で進行方向に向かって連続的に設備されている。支持ローラ40は、拡張する折曲溝部4の底面とその内側に形成されている押出突出面11との変移点に対して配置されるものであって、その構成は支持ローラ35と本質的に変更の無いローラ群から構成されている。
【0038】
図8に示す工程では、支持ローラ35、支持ローラ40で把握された結合部32側のキーストン型鋼製型枠用堰板25の折曲溝部4を拡張させることで、内側に位置する他の折曲溝部4や側面6に対する把握状態を何ら変更させること無く極めて簡易に折曲溝部4の切り込み33を拡大させて拡張成型網目列8を形成している。
本工程では、支持ローラ35と支持ローラ40とが把握している押出突出面11の間隔を徐々に拡張しており、そのために配置されている各支持ローラにおいて支持ローラ35の心棒と上下ローラとの位置を外側に変位している。これによって、図8で図示するように折曲溝部4の切り込み33を拡大させており、最終的にはキーストン型鋼製型枠用堰板25にコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目7から成る拡張成型網目列8を完成させる形態に到達させている。
【0039】
以上の図7、8での説明は、キーストン型鋼製型枠用堰板25の両側部に構成されている折曲溝部4の切り込み33に対しての拡張工程であったが、この両側部に位置する折曲溝部4の拡張工程が終了した後には、その内側に位置しているキーストン型鋼製型枠用堰板25の側面6に対しても同様の拡張工程に移行することになる。
折曲溝部4の内側に位置する側面6に対する拡張加工は、本質的には折曲溝部4における拡張工程と同様であって上下ローラの径関係が折曲溝部4の場合と逆の状態になることだけが異なっている。そして、この側面6に対しての拡張加工も両側の折曲溝部4の場合と同様に何れもキーストン型鋼製型枠用堰板25の伸長する方向が外側に向かっていることから、内側に位置する他の折曲溝部4や側面6に対する把握状態を何ら変更させること無く極めて簡易に両側での同時加工のみを可能にしているものである。次いで行われる拡張された側面6から次の内側に位置している折曲溝部4や側面6における拡張工程においても、同様の拡張加工は何ら変わることなく他の折曲溝部4や側面6に対しての把握状態を何らの変更も加えることなく順次に施工される。
以上のように、本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板の第1、3の製造方法は、拡張成型網目群を形成する成形加工の順序をキーストン型鋼製型枠用堰板25の両側部に形成されている折曲溝部4に対する拡張成型から実施しているので、内側に位置する他の折曲溝部4や側面6に対する把握状態を何ら変更させること無く極めて簡易に折曲溝部4の切り込み33を拡大させて拡張成型網目列8を形成していることから、折曲溝部4に於ける拡張成型網目列8を短い移動距離間での円滑な拡張展開によって容易に施工可能にしている。
【実施例4】
【0040】
次に、本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板の第2、4の製造方法について説明する。本実施の形態では、上述したキーストン型鋼製型枠用堰板の第1、3の製造方法についての説明を前提にして、第2、4の製造方法における特徴的な構成のみを図9〜11に示す部分的表示の平面図と側面図に基づいて説明する。
【0041】
図9に示す工程は、キーストン型鋼製型枠用堰板の第2、4の製造方法において拡張成
型網目群を拡張してするための最初の準備段階であって、本工程でのキーストン型鋼製型枠用堰板25には、第1、3の製造方法の場合と同様に複数の折曲溝部4と非成形薄鋼板の側面6とが構成されており、コンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目から構成されている拡張成型網目群を形成する成形加工の順序としてキーストン型鋼製型枠用堰板25の両側部に構成されている折曲溝部4に対して拡張する工程を適用する状態を図示している。
【0042】
本工程では、図示のように工程を適用する結合部32に近い両側部の折曲溝部4において折曲溝部4の底面とその両側に配置されている押出突出面11との変移点及び所定巾の連結部14に対して複数の支持ローラを配置することで拡張する折曲溝部4の主要部分を強固に把握している。
結合部32に近い側の折曲溝部4に配置されている両側における押出突出面11との変移点に配置される支持ローラ41は、下側の大径ローラ42とこれに対峙している上側の小径ローラ43から構成されると共に、連結部14に対しては下側の大径ローラ44とこれに対峙している上側の小径ローラ45とで構成されており、上下側の各ローラは夫々の心棒46、47によって保持されている。又、支持ローラ41は、特に図示されていないが拡張ローラ48をその中間に配置する間隔で拡張ローラ48と交互に前後させながら設備されている。
拡張ローラ48は、図示の拡張する折曲溝部4の底面において連結部14と折曲溝部4の両側に配置されている押出突出面11との間に配置されるものであって、その構成は下側の大径ローラ49とこれに対峙している上側の小径ローラ50から構成されており、夫々の心棒51、52によって保持されている。
【0043】
図10に示す次の段階では、支持ローラ41でキーストン型鋼製型枠用堰板25の折曲溝部4における主要部を把握しながら拡張ローラ48で切り込み33を効率的に拡大させることで、折曲溝部4にコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列8の初期形態を形成している。
本工程における図4で表示の網目拡張装置28での状況は、折曲溝部4の両側に配置されている支持ローラ41の心棒46、47をキーストン型鋼製型枠用堰板25の折曲溝部4が保持されているレベルを維持させた状態で、内側に位置する他の折曲溝部4や側面6に対する把握状態を何ら変更させること無く拡張ローラ48を支持している夫々の心棒51、52を互いの間隔を維持しながら、上方に押し上げる形態にして支持ローラ41との位置関係を極めて簡易に拡大方向に変更している。
この変更によってキーストン型鋼製型枠用堰板25の折曲溝部4における切り込み33はその拡張方向に伸長しながらキーストン型鋼製型枠用堰板25の幅方向や進行方向に引き伸ばされており、拡張ローラ48の上昇位置を暫時継続させることによって側面図で示しているように手前側から進行方向に向かって切り込み33を拡大させて行く形態で変化している。
【0044】
折曲溝部4における切り込み33が所定の設計形態に拡張した状況に至ると、拡張ローラ48の上方への伸長を停止すると共にキーストン型鋼製型枠用堰板25の折曲溝部4を均一な平面形態に戻す工程に移っている。
図11においてはその後の最終形態を表示しており、本工程では、折曲溝部4の両側と連結部14とに配置されている支持ローラ41の心棒46、47は、キーストン型鋼製型枠用堰板25の折曲溝部4を保持しているレベルに維持させた状態で、拡張ローラ48を支持している夫々の心棒51、52を互いの間隔を保った状態のままで下方に押し下げてその位置関係を元の形態に戻している。
この際に、支持ローラ41は、連結部に対する上下ローラの位置を変えずに折曲溝部4の両側に配置されている上下ローラの設定位置を拡張時において構成した間隔と異ならせることで連結部との間隔を拡大した配置関係に変更させて夫々の心棒46、47を構成し
ている。同様に、拡張ローラ48も連結部14の左側に配置されている上下ローラと連結部の右側に配置されている同様の上下ローラとの間隔を拡張時において構成した間隔と異ならせて拡大した配置関係にするように夫々の心棒51、52との設定を変更させて構成している。そして、この側面6に対しての拡張加工も両側の折曲溝部4の場合と同様に何れもキーストン型鋼製型枠用堰板25の伸長する方向が外側に向かっていることから、内側に位置する他の折曲溝部4や側面6に対する把握状態を何ら変更させること無く極めて簡易に両側での同時加工のみを可能にしているものである。次いで行われる拡張された側面6から次の内側に位置している折曲溝部4や側面6における拡張工程においても、同様の拡張加工は何ら変わることなく他の折曲溝部4や側面6に対しての把握状態を何らの変更も加えることなく順次に施工される。
以上のように、本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板の第2、4の製造方法は、拡張成型網目群を形成する成形加工の順序をキーストン型鋼製型枠用堰板25の両側部に形成されている折曲溝部4に対する拡張成型から実施しているので、内側に位置する他の折曲溝部4や側面6に対する把握状態を何ら変更させること無く極めて簡易に折曲溝部4の切り込み33を拡大させて拡張成型網目列8を形成していることから、折曲溝部4に於ける拡張成型網目列8を短い移動距離間での円滑な拡張展開によって容易に施工可能にしている。
【0045】
従って、連結部14における支持ローラ41によってキーストン型鋼製型枠用堰板25の折曲溝部4を左右方向に押し広げる動作とこれと同時に行われる拡張ローラ48の心棒51、52を押し下げる動作とによって、キーストン型鋼製型枠用堰板25の折曲溝部4における切り込み33は、拡張した形態を維持しながらキーストン型鋼製型枠用堰板25の幅方向や進行方向に引き伸ばされるものであり、切り込み33はその開口形態を保持させながら図示のように折曲溝部4を左右方向に広げた水平な形状を構成している。これによって、最終的には図11に示すように折曲溝部4における切り込み33は拡大されてキーストン型鋼製型枠用堰板25のコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目7から成る拡張成型網目列8として完成される形状にまで到達している。
【0046】
以上の図9〜11での説明は、キーストン型鋼製型枠用堰板25の両側部に構成されている折曲溝部4における切り込み33に対しての拡張工程であったが、この両側部に位置する折曲溝部4における拡張工程が終了した後には、上述したキーストン型鋼製型枠用堰板の第1、3の製造方法の場合と同様にその内側に位置しているキーストン型鋼製型枠用堰板25の側面6に対しての拡張工程に移行する。そして、折曲溝部4の内側に位置する側面6に対しての拡張加工も本質的には折曲溝部4における拡張工程と同様であって上下ローラの径関係と拡張ローラ48の動作が折曲溝部4の場合と逆の形態になることだけが異なっているだけである。
即ち、この内側に位置する側面6に対しての拡張加工は、何れもキーストン型鋼製型枠用堰板25の最終的な伸長向がその外側に向かっていることもあって、両側での同時加工と中央に向かっての進展を容易にしているものであり、側面6を終えてからの次の内側に位置している折曲溝部4や側面6に対する拡張工程にあってもこの過程は何ら変わることなく継続的に施工されるものである。
【0047】
以上のように、キーストン型鋼製型枠用堰板の第2、4の製造方法は、上述した第1、3の製造方法と同様に巻回されたロールから搬入されてくる薄い鋼材をキーストン成形装置によってキーストン型鋼製型枠用堰板として形成した後に、プレス機械によってその折曲溝部の底面と非成形薄鋼板の側面の表面とに1乃至複数個の上方に開放した一方向型の網目形状である拡張成型網目群を拡張して構成するための連続した切り込みから成る切り込み群を構成しており、しかる後に上述した工程に従ってキーストン型鋼製型枠用堰板のコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網
目から構成されている拡張成型網目列を完成させているので、第1、3の製造方法と同様に拡張成型網目群を形成する成形加工の順序をキーストン型鋼製型枠用堰板25の両側部に形成されている折曲溝部4に対する拡張成型から実施することから、その内側に位置する他の折曲溝部4や側面6に対する把握状態を何ら変更させること無く極めて簡易に折曲溝部4の切り込み33を拡大させて拡張成型網目列8を形成しており、折曲溝部4に於ける拡張成型網目列8を短い移動距離間での円滑な拡張展開によって容易に施工可能にしている極めて効率の良いキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法と言える。
【実施例5】
【0048】
本発明によるキーストン型鋼製型枠用堰板の第5の製造方法は、上記第1〜4のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法において、キーストン成形装置に導入する鋼材を一定の巾毎に所定の長さで巻回されたロールから繰り出すものでなく、製品化するキーストン型鋼製堰板の高さを構成するのに適した所定長に予め所定巾の薄鋼板を切断して置くことを特徴にしている。
本製造方法によると、それ以降の工程への移行は上述したキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法と同様の経過を辿ることになるので、各工程に従って作成されるキーストン型鋼製型枠用堰板はその取り扱いが簡便に行われる効果を発揮するものであって、上記第1〜4の製造方法が備えている効果に加えて更に改善されたキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法に変身している。
【実施例6】
【0049】
本発明による第6のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、上記第5のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法と同様にキーストン型鋼製型枠用堰板の製造を効率的に改善するものである。
本製造方法では、一定の巾毎に所定の長さで巻回されたロールから鋼材22を繰り出してキーストン成形装置24に導入することなく、別途の工程において予め作成して置かれた鋼製堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分に任意の間隔毎に所定巾の折曲溝部を形成して成る所定巾のキーストン型薄鋼板をプレス機械27に供給するものであって、それ以降の工程は上記第1〜5の製造方法と同様に展開するものであるから、キーストン型鋼製型枠用堰板の製造工程を総合的には簡潔なものに向上させている。
【実施例7】
【0050】
以上の第1〜6のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法によって製造された各実施の形態で示すキーストン型鋼製型枠用堰板は、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等のキーストン型鋼製型枠用堰板として幅広く採用することが出来るので、図12に基づいてその実施の形態例について説明する。
図示されている実施の形態は、本発明による第7のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法によって作成されたキーストン型鋼製型枠用堰板であり、コンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る所定形状の拡張成型網目列8を各折曲溝部4の底面と鋼製堰板の側面6とに成形したキーストン型鋼製型枠用堰板25の向きをその高さ方向に変えて梁等のキーストン型鋼製型枠用堰板53を構成している。
本実施例では、上述した本発明による第1〜6のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法によって作成されたキーストン型鋼製型枠用堰板25を適用現場からの要求に対応させて更に継続加工することによって製造しており、キーストン型鋼製型枠用堰板を折り曲げて梁溝型枠としての側型枠54と底型枠55とに構成すると共に、必要なセパレータ56と横端太57とで保持することによってその形状を確立している。
本製造方法による形状は、容易に形成可能であることから上記の梁等のキーストン型鋼製型枠用堰板に限定されずに独立基礎や柱脚等のキーストン型鋼製型枠用堰板であっても適宜に対応出来るものである。
【実施例8】
【0051】
本発明による第8のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法は、上記第7のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法を更に改善している。
本実施の形態では、上記第7の製造方法において形成した梁溝枠型に折り曲げて成る鋼製堰板の端部を相互に重ね合わせて溶接接合しており、これによってキーストン型鋼製型枠用堰板の側面長を適当な長さに形成することで、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等にも容易に対応出来る。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等のキーストン型鋼製型枠用堰板において、キーストン型鋼製型枠用堰板自体の構成を簡素にすることで重量の軽減を図り、キーストン型鋼製型枠用堰板の設置に際しても鋼製堰板を組み立てる時の設置方向の選択を不要にしてキーストン型鋼製型枠用堰板の取り扱いを容易にすると共に、鋼製堰板からのコンクリートの流出を制限しながら型枠形状を保持するセパレータの使用本数を節減できて脱型も不用にしていることから作業能率にも優れているので、キーストン型鋼製型枠用堰板を製造する際の総合コストを低減できるキーストン型鋼製型枠用堰板及びその製造方法を提供している。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】キーストン型鋼製型枠用堰板で製作した地中梁の型枠斜視図
【図2】キーストン型鋼製型枠用堰板の拡張成型網目列を示す部分拡大図
【図3】キーストン型鋼製型枠用堰板の異なる拡張成型網目列を示す部分拡大図
【図4】キーストン型鋼製型枠用堰板の製造設備図
【図5】キーストン型鋼製型枠用堰板の形態図
【図6】キーストン型鋼製型枠用堰板に対する拡張成型網目用切り込み群の形成図
【図7】キーストン型鋼製型枠用堰板に対する拡張成型網目用切り込み群の拡張準備工程図
【図8】キーストン型鋼製型枠用堰板に対する拡張成型網目用切り込み群の拡張工程図
【図9】キーストン型鋼製型枠用堰板に対する拡張成型網目用切り込み群の異なる拡張準備工程図
【図10】キーストン型鋼製型枠用堰板に対する拡張成型網目用切り込み群の異なる拡張工程図
【図11】キーストン型鋼製型枠用堰板における拡張成型網目列の異なる拡張完成図
【図12】本発明による製造方法で製作した梁等のキーストン型鋼製型枠用堰板図
【符号の説明】
【0054】
1…鋼製型枠、2、15、25、30、53…キーストン型鋼製型枠用堰板、3、56…セパレータ、4…折曲溝部、5…側面、6…折曲溝部の底面、7、16…拡張成型網目、8、8−1、8−2、8−3、8−4…拡張成型網目列、9…平行枠部、10、18、19…垂直枠部、11…押出突出面、12、13…残存部分、14…連結部、17、17
−1、17−2、17−3…拡張成型網目列、20…ロール、21…供給装置、22…鋼材、…23…供給ローラ、24…キーストン成形装置、26…搬送ローラ設備、27…プレス機械、28…網目拡張装置、29…切断装置、31…完成品コンベア、
32…結合部、33…切り込み、…34切り込み群、…35、40、41…支持ローラ、36、42、44、49…大径ローラ、37、43、45、50…小径ローラ、38、39、46、47、51、52…心棒、48…拡張ローラ、54…側型枠、55…底型枠、57…横端太
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーストン型鋼製堰板の横手方向に沿って任意の間隔毎に形成されてキーストン型鋼製堰板の高さ方向に伸長する所定巾の折曲溝部と該折曲溝部の底面とキーストン型鋼製堰板の側面とに成型されて1乃至複数個配置するコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群から構成するキーストン型鋼製型枠用堰板。
【請求項2】
キーストン型鋼製堰板の横手方向に沿って任意の間隔毎に形成されてキーストン型鋼製堰板の高さ方向に伸長する所定巾の折曲溝部、該折曲溝部の底面とキーストン型鋼製堰板の側面の中間部に配置され、キーストン型鋼製堰板の高さ方向に形成する所定巾の連結部及び該折曲溝部の底面とキーストン型鋼製堰板の側面において該連結部との間に成型されて1乃至複数個配置するコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群から構成するキーストン型鋼製型枠用堰板。
【請求項3】
拡張成型網目群が、上方に開放した一方向型の網目形状であることを特徴とする請求項1、2に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板。
【請求項4】
拡張成型網目群が、上方に開放してから折り返す網目形状であることを特徴とする請求項1、2に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板。
【請求項5】
所定巾の薄鋼板を折曲装置に送出し、所定の間隔毎に配列された折曲装置の折り曲げローラ群で長手方向に直交するキーストン形状に折り曲げて任意の間隔毎に所定巾の折曲溝部を形成し、次いで供給されるプレス装置において所定長のキーストン型鋼製堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分と形成された折曲溝部の底面とにコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群を形成するための切れ目群を打ち抜いて行き、しかる後に切れ目群を打ち抜かれた両側位置の折曲溝部に対して折曲溝部の両側に形成される突出面を上下のローラで把持した後に該折曲溝部の両側に配置している上下ローラ間の間隔を漸次拡大することで両側位置の折曲溝部における切れ目群を拡張してコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を形成し、さらに該両側位置の折曲溝部の内側に位置するキーストン型鋼製堰板の側面を構成している非成形薄鋼板部分に対しても両側位置の折曲溝部と同様に非成形薄鋼板の両側の突出面を上下のローラで把持した後に該非成形薄鋼板の両側に配置している上下ローラ間の間隔を漸次拡大することで両側位置の非成形薄鋼板部分における切れ目群を拡張してコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を形成することを基本とし、以降の内側に位置する折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに対しても上記の折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに施したと同様の拡張成形を順次に繰り返すことで各折曲溝部の底面とキーストン型鋼製堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分とにコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を成形する請求項1、3、4に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法。
【請求項6】
切れ目群を打ち抜かれた両側位置の折曲溝部と該折曲溝部の内側に位置するキーストン型鋼製堰板の側面を構成している非成形薄鋼板部分とにおける、夫々の両側に形成された突出面と該切れ目群とを上下のローラで把持させた後の切れ目群の拡張によるコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列の形成が、該切れ目群に配置させている上下ローラの漸次な上昇ないし下降の操作とその後における各突出面を把持している上下ローラの漸次な間隔の拡大と切れ目群に配置していた上下ローラの漸次な拡大以前への復元で遂行されることを基本として、以降の内側に位置する折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに対しても同様の拡張成形を順次に繰り返すことを特徴とする請求項5に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法。
【請求項7】
所定巾の薄鋼板を折曲装置に送出し、所定の間隔毎に配列された折曲装置の折り曲げローラ群で長手方向に直交する形状に折り曲げて任意の間隔毎に所定巾の折曲溝部を形成し、次いで供給されるプレス装置においてキーストン型鋼製堰板の高さを構成するのに適した所定長のキーストン型鋼製堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分と所定巾の折曲溝部の底面とに夫々の中間部に所定巾の連結部を形成するための切れ目と該切れ
目に継続させてコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群を形成するための切れ目群とを打ち抜いて行き、しかる後に該連結部を形成するための切れ目と該拡張成型網目群を形成するための切れ目群とを打ち抜かれた両側位置の折曲溝部に対して中間部の連結部と折曲溝部の両側の突出面とを上下のローラで把持した後に該両側に配置している上下ローラの間隔を漸次拡大することで折曲溝部の連結部を形成するための切れ目とコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る切れ目群とを拡張した拡張成型網目列を連結部の両側に形成し、さらに該両側位置の折曲溝部の内側に位置するキーストン型鋼製堰板の側面を構成している非成形薄鋼板部分に対しても折曲溝部と同様に中間部の連結部と非成形薄鋼板の両側の突出面とを上下のローラで把持した後にその間隔を漸次拡大することで非成形薄鋼板部分にコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を連結部の両側に形成することを基本とし、以降の内側に位置する折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに対しても上記の折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに施したと同様の成形を順次に繰り返すことで各折曲溝部の底面と非成形薄鋼板部分が構成するキーストン型鋼製堰板の側面とに連結部とコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を成形する請求項2、3、4に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法。
【請求項8】
中間部の連結部を形成するための切れ目と該切れ目に継続した拡張成型網目群を形成するための切れ目群とを打ち抜かれた両側位置の折曲溝部と該折曲溝部の内側に位置するキーストン型鋼製堰板の側面を構成している非成形薄鋼板部分とにおける、夫々の連結部と両側に形成された突出面とを上下のローラで把持させた後の切れ目群の拡張によるコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列の形成が、該切れ目群に配置させている上下ローラの漸次な上昇ないし下降の操作とその後における連結部と各突出面を把持している上下ローラの漸次な間隔の拡大及び同時に行われる切れ目群に配置していた上下ローラの漸次な拡大以前への復元で遂行されることを基本として、以降の内側に位置する折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに対しても同様の拡張成形を順次に繰り返すことを特徴とする請求項7に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法。
【請求項9】
キーストン型鋼製堰板の高さを構成するのに適した長さに切断した所定巾の薄鋼板を、折曲装置に送出して以降の工程に移行することを特徴とする請求項5〜8に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法。
【請求項10】
鋼製堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分に任意の間隔毎に所定巾の折曲溝部を形成して成る所定巾のキーストン型薄鋼板を、プレス装置に供給して以降の工程に移行することを特徴とする請求項5〜8に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法。
【請求項11】
コンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を各折曲溝部の底面とキーストン型鋼製堰板の側面とに成形されたキーストン型鋼製堰板の向きを、キーストン型鋼製型枠用堰板の高さ方向に変えることでキーストン型鋼製型枠用堰板の側型枠と底型枠とに形成する梁溝枠型に折り曲げて必要なセパレータで保持することを特徴とする請求項5〜10に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法。
【請求項12】
梁溝枠型に折り曲げたキーストン型鋼製堰板の端部を相互に重ね合わせてキーストン型鋼製型枠用堰板の側面長を構成するのに適した長さに溶接接合することを特徴とする請求項11に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法。
【請求項1】
キーストン型鋼製堰板の横手方向に沿って任意の間隔毎に形成されてキーストン型鋼製堰板の高さ方向に伸長する所定巾の折曲溝部と該折曲溝部の底面とキーストン型鋼製堰板の側面とに成型されて1乃至複数個配置するコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群から構成するキーストン型鋼製型枠用堰板。
【請求項2】
キーストン型鋼製堰板の横手方向に沿って任意の間隔毎に形成されてキーストン型鋼製堰板の高さ方向に伸長する所定巾の折曲溝部、該折曲溝部の底面とキーストン型鋼製堰板の側面の中間部に配置され、キーストン型鋼製堰板の高さ方向に形成する所定巾の連結部及び該折曲溝部の底面とキーストン型鋼製堰板の側面において該連結部との間に成型されて1乃至複数個配置するコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群から構成するキーストン型鋼製型枠用堰板。
【請求項3】
拡張成型網目群が、上方に開放した一方向型の網目形状であることを特徴とする請求項1、2に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板。
【請求項4】
拡張成型網目群が、上方に開放してから折り返す網目形状であることを特徴とする請求項1、2に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板。
【請求項5】
所定巾の薄鋼板を折曲装置に送出し、所定の間隔毎に配列された折曲装置の折り曲げローラ群で長手方向に直交するキーストン形状に折り曲げて任意の間隔毎に所定巾の折曲溝部を形成し、次いで供給されるプレス装置において所定長のキーストン型鋼製堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分と形成された折曲溝部の底面とにコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群を形成するための切れ目群を打ち抜いて行き、しかる後に切れ目群を打ち抜かれた両側位置の折曲溝部に対して折曲溝部の両側に形成される突出面を上下のローラで把持した後に該折曲溝部の両側に配置している上下ローラ間の間隔を漸次拡大することで両側位置の折曲溝部における切れ目群を拡張してコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を形成し、さらに該両側位置の折曲溝部の内側に位置するキーストン型鋼製堰板の側面を構成している非成形薄鋼板部分に対しても両側位置の折曲溝部と同様に非成形薄鋼板の両側の突出面を上下のローラで把持した後に該非成形薄鋼板の両側に配置している上下ローラ間の間隔を漸次拡大することで両側位置の非成形薄鋼板部分における切れ目群を拡張してコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を形成することを基本とし、以降の内側に位置する折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに対しても上記の折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに施したと同様の拡張成形を順次に繰り返すことで各折曲溝部の底面とキーストン型鋼製堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分とにコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を成形する請求項1、3、4に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法。
【請求項6】
切れ目群を打ち抜かれた両側位置の折曲溝部と該折曲溝部の内側に位置するキーストン型鋼製堰板の側面を構成している非成形薄鋼板部分とにおける、夫々の両側に形成された突出面と該切れ目群とを上下のローラで把持させた後の切れ目群の拡張によるコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列の形成が、該切れ目群に配置させている上下ローラの漸次な上昇ないし下降の操作とその後における各突出面を把持している上下ローラの漸次な間隔の拡大と切れ目群に配置していた上下ローラの漸次な拡大以前への復元で遂行されることを基本として、以降の内側に位置する折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに対しても同様の拡張成形を順次に繰り返すことを特徴とする請求項5に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法。
【請求項7】
所定巾の薄鋼板を折曲装置に送出し、所定の間隔毎に配列された折曲装置の折り曲げローラ群で長手方向に直交する形状に折り曲げて任意の間隔毎に所定巾の折曲溝部を形成し、次いで供給されるプレス装置においてキーストン型鋼製堰板の高さを構成するのに適した所定長のキーストン型鋼製堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分と所定巾の折曲溝部の底面とに夫々の中間部に所定巾の連結部を形成するための切れ目と該切れ
目に継続させてコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目群を形成するための切れ目群とを打ち抜いて行き、しかる後に該連結部を形成するための切れ目と該拡張成型網目群を形成するための切れ目群とを打ち抜かれた両側位置の折曲溝部に対して中間部の連結部と折曲溝部の両側の突出面とを上下のローラで把持した後に該両側に配置している上下ローラの間隔を漸次拡大することで折曲溝部の連結部を形成するための切れ目とコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る切れ目群とを拡張した拡張成型網目列を連結部の両側に形成し、さらに該両側位置の折曲溝部の内側に位置するキーストン型鋼製堰板の側面を構成している非成形薄鋼板部分に対しても折曲溝部と同様に中間部の連結部と非成形薄鋼板の両側の突出面とを上下のローラで把持した後にその間隔を漸次拡大することで非成形薄鋼板部分にコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を連結部の両側に形成することを基本とし、以降の内側に位置する折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに対しても上記の折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに施したと同様の成形を順次に繰り返すことで各折曲溝部の底面と非成形薄鋼板部分が構成するキーストン型鋼製堰板の側面とに連結部とコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を成形する請求項2、3、4に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法。
【請求項8】
中間部の連結部を形成するための切れ目と該切れ目に継続した拡張成型網目群を形成するための切れ目群とを打ち抜かれた両側位置の折曲溝部と該折曲溝部の内側に位置するキーストン型鋼製堰板の側面を構成している非成形薄鋼板部分とにおける、夫々の連結部と両側に形成された突出面とを上下のローラで把持させた後の切れ目群の拡張によるコンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列の形成が、該切れ目群に配置させている上下ローラの漸次な上昇ないし下降の操作とその後における連結部と各突出面を把持している上下ローラの漸次な間隔の拡大及び同時に行われる切れ目群に配置していた上下ローラの漸次な拡大以前への復元で遂行されることを基本として、以降の内側に位置する折曲溝部と非成形薄鋼板部分とに対しても同様の拡張成形を順次に繰り返すことを特徴とする請求項7に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法。
【請求項9】
キーストン型鋼製堰板の高さを構成するのに適した長さに切断した所定巾の薄鋼板を、折曲装置に送出して以降の工程に移行することを特徴とする請求項5〜8に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法。
【請求項10】
鋼製堰板の側面を構成する非成形薄鋼板部分に任意の間隔毎に所定巾の折曲溝部を形成して成る所定巾のキーストン型薄鋼板を、プレス装置に供給して以降の工程に移行することを特徴とする請求項5〜8に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法。
【請求項11】
コンクリート余剰水の排出穴と型枠締付セパレータ用通し穴とを兼用して成る拡張成型網目列を各折曲溝部の底面とキーストン型鋼製堰板の側面とに成形されたキーストン型鋼製堰板の向きを、キーストン型鋼製型枠用堰板の高さ方向に変えることでキーストン型鋼製型枠用堰板の側型枠と底型枠とに形成する梁溝枠型に折り曲げて必要なセパレータで保持することを特徴とする請求項5〜10に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法。
【請求項12】
梁溝枠型に折り曲げたキーストン型鋼製堰板の端部を相互に重ね合わせてキーストン型鋼製型枠用堰板の側面長を構成するのに適した長さに溶接接合することを特徴とする請求項11に記載のキーストン型鋼製型枠用堰板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−43493(P2010−43493A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209557(P2008−209557)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(397028360)関包スチール株式会社 (11)
【出願人】(598170453)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(397028360)関包スチール株式会社 (11)
【出願人】(598170453)
【Fターム(参考)】
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