説明

キー構造及び電子機器

【課題】消費電力を抑えるとともに、耐久性が高く、長寿命化を図れるようにする。
【解決手段】キー構造1が、入射した光を表面に導光する導光シート31と、入射した光を表面に導光する導光シート32と、導光シート31の表面と導光シート32の表面の両方の上に設けられた複数のキートップ41と、各キートップ41のうち導光シート31に重なる部分に形成されたマーク41aと、各キートップ41のうち導光シート32に重なった部分に形成されたマーク41bと、導光シート31に入射する光を発する発光素子51と、導光シート32に入射する光を発する発光素子52と、を備える。発光素子51と発光素子52が選択的に発光することで、マーク41a,41bが選択的に視認可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キー構造及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の電子機器には、液晶ディスプレイ等からなる表示部と、複数の押しキー等からなるキー入力装置とが設けられている。キー入力装置の各キーには、入力文字を表すマークが印刷されており、マークの向きは表示部の表示の向きに合わせてあり、一般的には、縦長の表示部の表示の向きが縦向きであるので、マークの向きが縦向きである。
【0003】
ところで、表示部の表示の向きが横向きになって、電子機器を使用することがある。その場合、表示部を見やすくするために、電子機器を90°回転させて、表示部を横長にする。そうすると、キーのマークが横向きになってしまうため、キーのマークが見づらくなってしまう。そのような不具合を解決するため、表示部の表示の向きが変わると、それに合わせてキーのマークの向きも変わるようにしたものが開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
特許文献1に記載の携帯電話機では、キー入力装置に表示機能付タッチパネル(50)を用いている。つまり、表示機能付タッチパネルには、キー(15)とともにマークが表示され、そのマークが横向きに表示されたり、縦向きに表示されたりするようになっている。
また、特許文献1には、キー(15)に小型液晶表示部(51)を用いた携帯電話機が記載されており、小型液晶表示部に表示されるマークが横向きになったり、縦向きになったりするようになっている。
また、特許文献1には、1つのキーに縦向きのマーク(43b)と横向き(43a,43c)のマークが印刷され、それらマークにそれぞれLED(19b,19a,19c)が設けられた携帯電話機が記載されており、何れか1つのLEDが選択的に点灯することで、縦向きのマークと横向きのマークの何れかが選択的に表示されるようになっている。
【0005】
特許文献2には、表示部筐体(2)が操作部筐体(1)に対して縦開きしたり、横開きしたりする携帯電話機が記載されており、開き方に応じて縦向きのマークと横向きのマークが変わるようになっている。具体的には、操作部筐体(2)の前面にキー用の穴が設けられ、操作部筐体の前面側に表示部シート(13)がスライド可能に設けられ、表示部シート(13)に縦向きのマークと横向きのマークが印刷され、表示部筐体(2)の開閉に連動して表示部シートがスライドすることによってキー用の穴で露出するマークが縦向きから横向きに代わるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−12493号公報
【特許文献2】特許第4216887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1のように表示機能付タッチパネルや小型液晶表示部を用いた場合、消費電力が多いうえ、表示機能付タッチパネルや小型液晶表示部が高価であるためにコストが高くなる。また、特許文献1のようにキーごとにLEDを設けた場合には、消費電力が多いうえ、部品点数も多くなるためにコストが高くなる。
一方、特許文献2に記載の携帯電話機では、機械的な機構の動きによって縦向きと横向きのマークの切り替えがなされるため、複雑な構造になるうえ、耐久性に問題がある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、消費電力を抑えるとともに、耐久性が高く、長寿命化を図れるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するために、請求項1に係る発明によれば、キー構造が、第1の領域と第2の領域から別個に光を出射する光学部材と、前記第1の領域と前記第2の領域との両方の上に設けられた複数のキートップと、前記各キートップのうち前記第1の領域に重なった部分に形成された第1のマークと、前記各キートップのうち前記第2の領域に重なった部分に形成された第2のマークと、を備え、前記第1の領域と前記第2の領域から選択的に光が出射することで、前記第1のマークと前記第2のマークの選択的な視認を可能としたこととした。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に記載のキー構造において、前記光学部材が、入射した光を前記第1の領域に導光する第1の導光部と、入射した光を前記第2の領域に導光する第2の導光部と、を有することとした。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、請求項2に記載のキー構造において、前記キー構造が、前記第1の導光部に入射する光を発する第1の発光部と、前記第2の導光部に入射する光を発する第2の発光部と、を更に備え、前記第1の発光部と前記第2の発光部が選択的に発光することとした。
【0012】
請求項4に係る発明によれば、請求項2に記載のキー構造において、前記キー構造が、前記第1の導光部に入射する自然光の透過・遮光をする第1の光シャッタ素子と、前記第2の導光部に入射する自然光の透過・遮光をする第2の光シャッタ素子と、を更に備え、前記第1の光シャッタ素子と前記第2の光シャッタ素子が選択的に自然光を透過することとした。
【0013】
請求項5に係る発明によれば、請求項2から4の何れか一項に記載のキー構造において、前記光学部材が、前記第1の導光部と前記第2の導光部との間に設けられ、これらの導光部の間を遮光する遮光部を更に有することとした。
【0014】
請求項6に係る発明によれば、請求項1に記載のキー構造において、前記光学部材が、面発光してその光を前記第1の領域から出射する第1の面発光部と、面発光してその光を前記第2の領域から出射する第2の面発光部と、を有し、前記第1の面発光部と前記第2の面発光部が選択的に発光することとした。
【0015】
請求項7に係る発明によれば、キー構造が、面発光するとともに、発光時の発光色と非発光時の色が異なる面発光部と、前記面発光部の発光面に形成され、前記面発光部の発光色と同色である複数の第1のマークと、前記面発光部の発光面に形成され、前記面発光部の非発光時の色と同色である複数の第2のマークと、を備えることとした。
【0016】
請求項8に係る発明によれば、請求項7に記載のキー構造において、前記キー構造が、前記面発光部の発光面に形成され、前記面発光部の発光面を複数の領域に仕切る仕切部を更に備え、前記仕切部によって仕切られた各領域内に前記第1のマークと前記第2のマークが配置されていることとした。
【0017】
請求項9に係る発明によれば、電子機器が、請求項1から8の何れか一項に記載のキー構造を備えることとした。
【発明の効果】
【0018】
本発明よれば、消費電力を抑えることができるとともに、機械的摩耗等がないことによって耐久性・長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態における電子機器の斜視図である。
【図2】同実施形態における電子機器の斜視図である。
【図3】同実施形態における電子機器の斜視断面図である。
【図4】同実施形態における電子機器の分解斜視断面図である。
【図5】同実施形態におけるキー構造の平面図である。
【図6】同実施形態におけるキー構造の平面図である。
【図7】同実施形態におけるキー構造の1つのキーの概略断面図である。
【図8】同実施形態におけるキー構造の概略図である。
【図9】本発明の第2実施形態におけるキー構造の平面図である。
【図10】同実施形態におけるキー構造の平面図である。
【図11】同実施形態におけるキー構造の1つのキーの概略断面図である。
【図12】変形例におけるキー構造の平面図である。
【図13】別の変形例におけるキー構造の平面図である。
【図14】別の変形例におけるキー構造の平面図である。
【図15】別の変形例におけるキー構造の平面図である。
【図16】別の変形例におけるキー構造の平面図である。
【図17】別の変形例におけるキー構造の平面図である。
【図18】本発明の第3実施形態におけるキー構造の平面図である。
【図19】同実施形態におけるキー構造の概略断面図である。
【図20】本発明の第4実施形態における電子機器の斜視図である。
【図21】同実施形態における電子機器の斜視図である。
【図22】同実施形態におけるキー構造の斜視図である。
【図23】同実施形態におけるキー構造の平面図である。
【図24】同実施形態におけるキー構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0021】
〔第1の実施の形態〕
図1、図2は、電子機器1の斜視図である。この電子機器1は、携帯電話機、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、PDA(Personal Digital Assistance)、電子手帳、携帯無線機その他の電子機器である。この電子機器1は表示部筐体2及び操作部筐体3を有する。表示部筐体2の前面側には、液晶ディスプレイパネル、ELディスプレイパネル等の表示部4が設けられ、操作部筐体3の前面側には、キー構造5が設けられている。表示部筐体2が操作部筐体3の前面側にスライド機構によって連結され、表示部筐体2がスライド機構によって操作部筐体3の前面に沿って上下方向にスライド可能に設けられている。表示部筐体2を下にスライドさせると、図1に示すように、表示部筐体2が操作部筐体3の前面全体に重なった状態になり、表示部筐体2を上にスライドさせると、表示部筐体2が操作部筐体3の前面上部に部分的に重なった状態になる。
なお、表示部筐体2と操作部筐体3がスライド機構によって連結されているのではなく、いわゆる折り畳み型やリボルバー型のように一軸ヒンジ機構によって連結されていてもよいし、いわゆる縦開き・横開き両用型(ダブルオープン型)や回転二軸ヒンジ型のように二軸ヒンジ機構によって連結されていてもよい。また、いわゆるサイクロイド型であってもよいし、いわゆるストレート型であってもよい。
【0022】
キー構造5について具体的に説明する。図4は、組み立てた状態の電子機器1の部分断面図であり、図4は、分解した状態の電子機器1の部分断面図である。
図3、図4に示すように、操作部筐体3の前面には、開口部10が形成されている。操作部筐体3の内部であってその前面側には、キー支持部11が設けられている。このキー支持部11の表面が開口部10を塞ぐようにして設けられ、キー支持部11の表面が操作部筐体3の前面よりも低くい位置にあり、キー支持部11の表面と操作部筐体3の前面が段差となっている。キー支持部11の表面は平坦な面となっている。
【0023】
キー支持部11の表面上にスイッチ群シート20が載置され、スイッチ群シート20の表面上にシート状の光学部材30が載置され、光学部材30の表面上にキーシート40が載置されている。
【0024】
図5は、スイッチ群シート20に光学部材30を重ねた状態の平面図である。図3〜図5に示すように、スイッチ群シート20はフレキシブル回路(FPC:Flexible Printed Circuit)シートであり、このスイッチ群シート20に複数のプッシュスイッチ21が設けられており、これらプッシュスイッチ21がマトリクス状に配列されている。プッシュスイッチ21はドームスイッチであり、スイッチ群シート20に形成された固定接点を可動接点となる金属膜によってドーム状に覆ったものである。なお、ドームスイッチの代わりにタクトスイッチ、メンブレンスイッチその他の薄型スイッチをプッシュスイッチ21に用いても良い。
【0025】
光学部材30は導光シート31,32及び遮光部35を有し、これらの導光シート31,32及び遮光部35を二色成形法により一体成形したものである。導光シート31は透明な樹脂からなるとともに、櫛歯状に設けられている。つまり、導光シート31は、矩形状のベース部31aと、ベース部31aの長辺から延出された複数の矩形状歯部31bと、を有し、これらベース部31a及び矩形状歯部31bが一体を成している。同様に、導光シート32も櫛歯状に設けられているとともに、ベース部32a及び複数の矩形状歯部32bを有する。これら導光シート31,32が噛み合っており、矩形状歯部31bと矩形状歯部32bが互い違いに配列されている。導光シート31と導光シート32との間の隙間が遮光部35によって充填され、この遮光部35が葛折り状に形成されている。
【0026】
1つの矩形状歯部31bにつき複数のプッシュスイッチ21が矩形状歯部31bに沿って縦方向に一列に配列され、1つの矩形状歯部31bにつき複数のプッシュスイッチ21が一部重なっている。同様に、1つの矩形状歯部32bにつき複数のプッシュスイッチ21が矩形状歯部32bに沿って縦方向に一列に配列され、1つの矩形状歯部32bにつき複数のプッシュスイッチ21が一部重なっている。従って、1つのプッシュスイッチ21につき導光シート31の矩形状歯部31bと導光シート32の矩形状歯部32bの両方が重なっている。
【0027】
図3、図4に示すように、キーシート40の表面には、複数のキートップ41が凸状に形成され、これらキートップ41がマトリクス状に配列されている。これらキートップ41は開口部10の内側で露出している。キーシート40は透明なシートであったり、乳濁した半透明なシートであったりする。
なお、キートップ41が凸設されていなくてもよい。つまり、キーシート40の表面に網状の印刷がなされることによってキーシート40の表面が格子状に区切られ、区切られた1つの四角形領域が1つのキートップ41に相当する。
【0028】
図6は、光学部材30にキーシート40を重ねた状態の平面図である。図7は、1つのキートップ41等を示した断面図である。図6、図7に示すように、1つのプッシュスイッチ21につき1つのキートップ41が重なっている。また、1つの矩形状歯部31bにつき複数のキートップ41が矩形状歯部31bに沿って縦方向に一列に配列され、1つの矩形状歯部31bにつき複数のキートップ41が一部重なっている。同様に、1つの矩形状歯部32bにつき複数のキートップ41が矩形状歯部32bに沿って縦方向に一列に配列され、1つの矩形状歯部32bにつき複数のキートップ41が一部重なっている。従って、1つのキートップ41につき導光シート31の矩形状歯部31bと導光シート32の矩形状歯部32bの両方が重なっている。キートップ41のうち矩形状歯部31bに重なった部分には、マーク41aが印刷されている。一方、キートップ41のうち矩形状歯部32bに重なった部分には、マーク41bが印刷されている。マーク41a,41bは文字、数字、記号その他のマークである。なお、図面に表示されたマーク41a,41bが表す文字は一例であり、マーク41a,41bが表す内容は図面に限るものではない。
【0029】
図7に示すように、キートップ41の内部には遮光部42が設けられ、その遮光部42によってキートップ41が2つの領域に仕切られており、その一方の領域の表面にマーク41aが印刷され、他方の領域の表面にマーク41bが印刷されている。
【0030】
図6に示すように、マーク41aの向きは縦向き、つまり、操作部筐体3の長手方向となる向きである。マーク41bの向きは横向き、つまり、操作部筐体3の短手方向となる向きである。また、縦方向に配列されたキートップ41のマーク41aは縦方向に一直線に配列され、縦方向に配列されたキートップ41のマーク41bも縦方向に一直線に配列されている。
【0031】
図8は、光学部材30の長手方向両端部の断面図である。図5、図6、図8に示すように、導光シート31の周囲には複数の発光素子(例えば、LED)51が配置されている。これら発光素子51は、矩形状歯部31bの反対側のベース部31aの長辺31cに沿って配列されている。ベース部31aの長辺31cに沿った縁部分31dが入射面となる。一方、導光シート31の表面(キーシート40側の面)が出射面であり、その出射面が第1の領域である。
【0032】
導光シート32の周囲にも複数の発光素子(例えば、LED)52が配置されている。これら発光素子51は、矩形状歯部32bの反対側のベース部32aの長辺32cに沿って配列されている。ベース部32aの長辺32cに沿った縁部分32dが入射面となる。一方、導光シート32の表面(キーシート40側の面)が出射面であり、その出射面が第2の領域である。光学部材30が導光シート31と導光シート32に分けられているから、導光シート31の表面と導光シート32の表面から別個に光を出射することができる。
【0033】
これら発光素子51,52は表示部筐体2内に収容されている。例えば、発光素子51,52はフレキシブル回路シート57,58にそれぞれ実装された状態で、表示部筐体2内に収容されている。発光素子51,52は開口部10から露出していない。発光素子51から発した光が拡散しないように、発光素子51が遮光シート55によって覆われている。同様に、発光素子52も遮光シート56によって覆われている。
【0034】
発光素子51及び導光シート31によって第1の面発光部が構成される。即ち、導光シート31は、点発光する発光素子51の光を入射して、入射光を面状に出射するものである。具体的には、発光素子51が発光すると、発光素子51から発した光は導光シート31のベース部31aに入射し、ベース部31a内に入射した光は、ベース部31a及び矩形状歯部31b内を伝播し、矩形状歯部31bの表面(キーシート40に向いた面)からキーシート40に向けて面状に出射する。そのため、キートップ41のうちマーク41aが照らされて、そのマーク41aの視認が可能となる。
【0035】
発光素子52及び導光シート32によって第2の面発光部が構成される。具体的には、発光素子52が発光すると、発光素子52から発した光は導光シート32のベース部32aに入射し、ベース部32a内に入射した光はベース部32a及び矩形状歯部32b内を伝播し、矩形状歯部32bの表面(キーシート40に向いた面)からキーシート40に向けて面状に出射する。そのため、キートップ41のうちマーク41bが照らされて、そのマーク41bの視認が可能となる。
【0036】
発光素子51と発光素子52は選択的に発光する。
例えば、表示部4の表示向きが表示部筐体2,操作部筐体3の長手方向の向きである場合、表示部筐体2,操作部筐体3の長手方向を縦向きにして、電子機器1を用いることになる。この際には、発光素子51が発光し、発光素子52が発光せず、マーク41aが照らされる。この際、マーク41aが縦向きになっているから、マーク41aを視認しやすい。
一方、表示部4の表示向きが表示部筐体2,操作部筐体3の短手方向の向きである場合、表示部筐体2,操作部筐体3の短手方向を縦向きにして、電子機器1を用いることになる。この際には、発光素子52が発光し、発光素子51が発光せず、マーク41bが照らされる。この際、マーク41bが縦向きになっているから、マーク41bを視認しやすい。
【0037】
導光シート31に複数のキートップ41が部分的に重なっているから、発光素子51が発光した場合、複数のキートップ41のマーク41aが同時に照らされる。そのため、発光素子51の数がキートップ41の数よりも少なくて済む。キートップ41ごとに発光素子を設けるのではないから、発光時の消費電力を抑えることができる。また、発光素子数の削減によって、製造コストを抑えることができる。
【0038】
キートップ41の内部に遮光部42が設けられているから、発光素子51の光によってマーク41bが照らされることを抑えることができるとともに、発光素子52の光によってマーク41aが照らされることも抑えることができる。そのため、マーク41a,41bのうち照らされている方を視認しやすい。
【0039】
発光素子51の発光状態と発光素子52の発光状態を切り替えれば、マーク41a,41bの表示が切り替わる。マーク41a,41bの表示の切り替えのために機械的な可動部がないので、長寿命化を図ることができる。
【0040】
キートップ41を押下すれば、そのキートップ41によって導光シート31,32及び遮光部35が押圧され、そのキートップ41の下のプッシュスイッチ21が押される。そのため、キーシート40、導光シート31,32及び遮光部35が可撓性である。キートップ41が押されると、その下の導光シート31,32が変形するから、そのキートップ41に照らされる光の強度が他のキートップに照らされる光の強度と異なる。そのため、押されたキートップ41を視覚的に認識することができ、装飾的効果が向上する。
キートップ41の押下を解除すれば、プッシュスイッチ21が元に戻り、それによってキートップ41、導光シート31,32及び遮光部35も元に戻る。
【0041】
〔第2の実施の形態〕
図9は、第2の実施の形態におけるキー構造5Aを示した平面図である。図10は、キーシート40が無い状態のキー構造5Aを示した平面図である。図11は、1つのキートップ41等を示した断面図である。図9〜11において、第1実施形態と第2実施形態との間で互いに対応する部分には、同一の符号を付す。
【0042】
上記第1の実施の形態では、第1の面発光部が、点発光する発光素子51と、発光素子51の光を面状に出射する導光シート31と、を有するものであり、第2の面発光部が、点発光する発光素子52と、発光素子52の光を面状に出射する導光シート32と、を有するものであった。それに対して、第2の実施の形態では、面発光部が面発光素子であり、具体的には有機エレクトロルミネッセンス(EL:Electro Luminescence)シートである。
【0043】
具体的には、図9〜図11に示すように、第1実施形態における導光シート31と同一形状を成した櫛歯状の面発光素子131がスイッチ群シート20の表面上に重ねられているとともに、第1実施形態における導光シート32と同一形状を成した櫛歯状の面発光素子132がスイッチ群シート20の表面上に重ねられている。これら面発光素子131,132が噛み合っており、面発光素子131の矩形状歯部131bと面発光素子132の矩形状歯部132bが互い違いに配列されている。また、面発光素子131と面発光素子132が一体を成していてもよいし、別体であってもよい。
【0044】
面発光素子131,132が自発光素子であり、面発光素子131,132の表面(キーシート40側の面)が出射面・発光面となる。面発光素子131,132が別個に自発光素子であるから、面発光素子131の表面と面発光素子132の表面から別個に光が出射する。面発光素子131と面発光素子132の組み体が光学部材に相当する。
【0045】
第1実施形態における発光素子51及び導光シート31の代わりに面発光素子131を用いことや発光素子52及び導光シート32の代わりに面発光素子132を用いたことを除いて、第2実施形態と第1実施形態との間で互いに対応する部分は同様に設けられている。勿論、第2実施形態のキー構造5Aも、第1実施形態のキー構造5と同様に電子機器1の操作部筐体3に組み込まれる。
【0046】
複数のキートップ41が面発光素子131に部分的に重なっているから、面発光素子131が発光した場合、複数のキートップ41のマーク41aが同時に照らされ、これらのマーク41aの視認が可能となる。複数のキートップ41が面発光素子132に部分的に重なっているから、面発光素子132が発光した場合、複数のキートップ41のマーク41bが同時に照らされ、これらのマーク41bの視認が可能となる。
【0047】
本実施形態においても、面発光素子131又は面発光素子132の選択的な発光によって、複数のキートップ41のマーク41a又はマーク41bの選択的な視認が行われるから、発光時の消費電力を抑えることができるとともに、機械的な可動部がないことによる長寿命化を図ることができる。
【0048】
〔変形例〕
第1実施形態、第2実施形態の変形例について説明する。
【0049】
第1実施形態のキー構造5を図12に示すように変更してもよい。
図12に示すように、導光シート31,32が帯状に設けられ、導光シート31と導光シート32が互い違いに、導光シート31,32の短手方向に配列され、導光シート31と導光シート32との間に遮光部35が設けられ、これら導光シート31,32、遮光部35が一体を成している。キートップ41が導光シート31,32に部分的に重なり、プッシュスイッチ21が導光シート31,32に部分的に重なり、キートップ41がプッシュスイッチ21に重なっている。横方向に配列されたキートップ41のマーク41aは導光シート31に重なった状態で横方向に一直線に配列されている。横方向に配列されたキートップ41のマーク41bは導光シート32に重なった状態で横方向に一直線状に配列されている。
【0050】
導光シート31ごとに発光素子51が設けられている。発光素子51は導光シート31の短辺側端部近傍に配置され、発光素子51から発した光が導光シート31の短辺側端面に入射する。発光素子52も導光シート32ごとに設けられ、発光素子52から発した光が導光シート32の短辺側端面に入射する。
発光素子51が発光する場合には、発光素子52が発光せず、発光素子52が発光する場合には、発光素子51が発光しない。
【0051】
第2実施形態のキー構造5Aを図13に示すように変形してもよい。
図13に示すように、面発光素子131,132が帯状に設けられ、面発光素子131と面発光素子132が互い違いに、面発光素子131,132の短手方向に配列されている。キートップ41が面発光素子131,132に部分的に重なるとともに、プッシュスイッチ21に重なっている。横方向に配列されたキートップ41のマーク41aは面発光素子131に重なった状態で横方向に一直線に配列されている。横方向に配列されたキートップ41のマーク41bは面発光素子132に重なった状態で横方向に一直線状に配列されている。
面発光素子131が発光する場合には、面発光素子132が発光せず、面発光素子132が発光する場合には、面発光素子131が発光しない。
【0052】
第1実施形態のキー構造5を図14に示すように変形してもよい。
図14に示すように、1つのキートップ41につきマーク41a,41bに加えて、第3のマーク41cが印刷されている。何れのマーク41a,41b,41cも縦向きであるが、マーク41a,41b,41cの何れかが横向きであってもよい。マーク41a,41b,41cが選択的に照らされて視認可能となるように、キートップ41が3つの導光シート31〜33に重なっている。
【0053】
導光シート31〜33は帯状に設けられている。導光シート31、導光シート32、導光シート33の順に繰り返して配列され、これら導光シート31〜33の間に遮光部35が設けられ、これら導光シート31〜33及び遮光部35が一体を成している。キートップ41が導光シート31〜33に部分的に重なり、プッシュスイッチ21が導光シート31〜33に部分的に重なり、キートップ41がプッシュスイッチ21に重なっている。横方向に配列されたキートップ41のマーク41aは導光シート31に重なった状態で横方向に一直線に配列されている。横方向に配列されたキートップ41のマーク41bは導光シート32に重なった状態で横方向に一直線状に配列されている。横方向に配列されたキートップ41のマーク41cは導光シート33に重なった状態で横方向に一直線状に配列されている。
【0054】
発光素子51が導光シート31の短辺側端部近傍に配置され、発光素子52が導光シート32の短辺側端部近傍に配置され、発光素子53が導光シート32の短辺側端部近傍に配置されている。
発光素子51,52,53の何れかが発光する場合には、他が発光しない。例えば、マーク41aが数字であり、マーク41bがカナであり、マーク41cが英字であるとすると、数字入力のときには、発光素子51が発光し、カナ入力のときには、発光素子51が発光し、英字入力であるときには、発光素子53が発光する。
【0055】
第2実施形態のキー構造5Aを図15に示すように変形してもよい。
図15に示すように、1つのキートップ41につきマーク41a,41bに加えて、第差3のマーク41cが印刷されている。何れのマーク41a,41b,41cも縦向きである。マーク41a,41b,41cが選択的に照らされて視認可能となるように、キートップ41が3つの面発光素子131〜133に重なっている。
【0056】
面発光素子131〜133は帯状に設けられている。面発光素子131、面発光素子132、面発光素子133の順に繰り返して配列されている。これら面発光素子131〜133が一体を成していてもよいし、別体であってもよい。キートップ41が面発光素子131〜133に部分的に重なり、プッシュスイッチ21が面発光素子131〜133に部分的に重なり、キートップ41がプッシュスイッチ21に重なっている。横方向に配列されたキートップ41のマーク41aは面発光素子131に重なった状態で横方向に一直線に配列されている。横方向に配列されたキートップ41のマーク41bは面発光素子132に重なった状態で横方向に一直線状に配列されている。横方向に配列されたキートップ41のマーク41cは面発光素子133に重なった状態で横方向に一直線状に配列されている。
面発光素子131,132,133の何れかが発光する場合には、他が発光しない。
【0057】
図5、図6、図12、図14に示された導光シート31,32,33の形状は一例であり、他の形状であってもよい。例えば、導光シート31,32の形状が図16に示すような形状であってもよい。
また、図9、図10、図13、図15に示された面発光素子131,132,133の形状は一例であり、他の形状であってもよい。例えば、面発光素子131,132の形状が図17に示すような形状であってもよい。
また、図5、図6、図12、図14に示された導光シート31,32,33が横方向に長尺であったが、縦方向に長尺であってもよい。その場合、発光素子51,52,53の配置を導光シート31,33,33の長手方向両端部の先に変更するのは勿論であり、マーク41a,41b,41cの印刷箇所も導光シート31,32,33に沿って変更するのは勿論である。
また、図9、図10、図13、図15に示された面発光素子131,132,133が横方向に長尺であったが、縦方向に長尺であってもよい。その場合、マーク41a,41b,41cの印刷箇所も導光シート31,32,33に沿って変更するのは勿論である。
また、キートップ41がシート状のキーであったが、キートップ41がストロークキーであってもよい。
また、キートップ41に印刷されるマークは2つ又は3つに限るものではなく、4つ以上であってもよい。1つのキートップ41当たりに印刷されるマークの数と、1つのキートップ41に当たりに重なる導光シート又は面発光素子の数を揃え、1つの導光シート又は面発光素子につき1つのマークが重なる。
【0058】
〔第3の実施の形態〕
図18は、第3の実施の形態におけるキー構造5Bを示した平面図である。図19は、図18に示されたXIX−XIXに沿った面の矢視断面図である。図18、図19において、第1実施形態と第2実施形態との間で互いに対応する部分には、同一の符号を付す。
【0059】
上記第1の実施の形態では、キー支持部11の表面上にスイッチ群シート20が載置され、スイッチ群シート20の表面上に光学部材30が載置され、光学部材30にキーシート40が載置されている。それに対し、第3の実施の形態では、光学部材30及びキーシート40を用いずに、面発光素子231がスイッチ群シート20に載置されている。面発光素子231の表面(スイッチ群シート20側の面)が発光面である。
【0060】
面発光素子231は有機エレクトロルミネッセンスシートである。面発光素子231は、第1実施形態におけるキーシート40と同様に、矩形状に設けられている。面発光素子231が発光した時のその発光色と、面発光素子231が発光しない時の面発光素子231の色が異なる。
【0061】
この面発光素子231は可撓性を有するとともに、キーシートとして用いられる。具体的には、面発光素子231の表面(スイッチ群シート20の反対側の面)には、網状の仕切部45が印刷等によって形成されている。仕切部45が網状に形成されているから、面発光素子231の表面が仕切部45によって格子状に区切られている。仕切部45によって囲まれた1つの四角形領域がキートップ41となり、これらのキートップ41がマトリクス状に配列されている。キートップ41がプッシュスイッチ21に重なっている。
【0062】
1つのキートップ41につきマーク41a,41bが印刷されている。マーク41aの向きは縦向き(操作部筐体3の長手方向となる向き)であり、マーク41bの向きは横向き(操作部筐体3の短手方向となる向き)である。マーク41aの色とマーク41bの色が異なる。そして、マーク41aの色は面発光素子231の発光色と同じであり、マーク41bの色は面発光素子231の非発光時の色と同じである。
【0063】
第1実施形態における発光素子51,52、導光シート31,32及びキーシート40の代わりに面発光素子231を用いたことを除いて、第3実施形態と第1実施形態との間で互いに対応する部分は同様に設けられている。勿論、第3実施形態のキー構造5Bも、第1実施形態のキー構造5と同様に電子機器1の操作部筐体3に組み込まれる。
【0064】
このキー構造5Bでは、面発光素子231が発光するかしないかに応じて、マーク41a又はマーク41bの選択的な視認が行われる。具体的には、面発光素子231が発光すると、面発光素子231の発光色とマーク41aの色との色相差が小さくなり、面発光素子231の発光色とマーク41bの色との色相差が大きくなる。そのため、面発光素子231の発光時には、マーク41bの視認が可能となる。一方、面発光素子231が発光していないと、面発光素子231の発光色とマーク41aの色との色相差が大きくなり、面発光素子231の発光色とマーク41bの色との色相差が小さくなる。そのため、面発光素子231の発光時には、マーク41aの視認が可能となる。
【0065】
本実施形態においても、面発光素子231の発光・非発光によって、複数のキートップ41のマーク41a又はマーク41bの選択的な視認が行われるから、発光時の消費電力を抑えることができるとともに、機械的な可動部がないことによる長寿命化を図ることができる。
【0066】
なお、以上の説明では面発光素子231がキーシートを兼ねていたが、複数のキートップがマトリクス状に配列されてなる無色透明なキーシートが面発光素子231の表面上に重ねられていてもよい。この場合、マーク41a,41bが面発光素子231の表面上に形成されているのではなく、第1実施形態、第2実施形態のようにマーク41a,41bがキーシートのキートップに形成されている。
【0067】
〔第4の実施の形態〕
図20、図21は、携帯電話機等の電子機器1Cの斜視図である。この電子機器1Cは、この電子機器1Cは表示部筐体2及び操作部筐体3を有する。表示部筐体2の前面側には、液晶ディスプレイパネル、ELディスプレイパネル等の表示部4が設けられ、操作部筐体3の前面側には、キー構造5Cが設けられている。表示部筐体2の角部が操作部筐体3の角部に二軸ヒンジ機構6によって連結されている。この電子機器1Cは、二軸ヒンジ機構6によっていわゆるダブルオープン型の形態を成している。つまり、表示部筐体2は、二軸ヒンジ機構6によって操作部筐体3に対して操作部筐体3の長手方向に平行な軸周りに横開きの開閉が可能に設けられているとともに、二軸ヒンジ機構6によって操作部筐体3に対して操作部筐体3の短手方向に平行な軸周りに縦開きの開閉が可能に設けられている。
【0068】
キー構造5Cについて具体的に説明する。図22はキー構造5Cの斜視図であり、図23はキー構造5Cの平面図であり、図24は図23に示されたXXIV−XXIVに沿った面の矢視断面図である。これらの図において、操作部筐体3の図示を省略する。
【0069】
第1実施形態の場合と同様に、操作部筐体3の前面に開口部10が形成され、操作部筐体3の開口部10に相対する位置であって操作部筐体3の内側にキー支持部11が設けられている。キー支持部11の表面にスイッチ群シート20が載置され、スイッチ群シート20に光学部材30が載置され、光学部材30にキーシート40が載置され、キーシート40が操作部筐体3の開口部10内に嵌め込まれ、開口部10がキーシート40によって閉塞されている。キーシート40及び光学部材30は可撓性である。
【0070】
スイッチ群シート20はフレキシブル回路シートであり、このスイッチ群シート20に複数のプッシュスイッチ21が設けられており、これらプッシュスイッチ21がマトリクス状に配列されている。
【0071】
光学部材30は、複数の導光シート31,32及び遮光部35を有し、これらの導光シート31,32及び遮光部35を二色成形法により一体成形したものである。なお、図22では、導光シート31,32を見やすくするために、遮光部35の図示を省略する。
【0072】
これら導光シート31,32が帯状に設けられ、導光シート31と導光シート32が互い違いに、導光シート31,32の短手方向に配列され、導光シート31と導光シート32との間に遮光部35が設けられている。導光シート31,32の長手方向が表示部筐体2の短手方向に平行となるよう、光学部材30がスイッチ群シート20の表面上に重ねられている。
【0073】
導光シート31は、横方向に一列に配列されたプッシュスイッチ21に部分的に重なっている。導光シート32は、横方向に一列に配列されたプッシュスイッチ21に部分的に重なっている。従って、1つのプッシュスイッチ21につき導光シート31,32の両方が重なっている。
【0074】
キーシート40の表面に網状の印刷又は網状の凹部が形成されており、これによりマトリクス状に配列された複数のキートップ41がキーシート40の表面に形成されている。これらキートップ41は開口部10の内側で露出している。
【0075】
1つのプッシュスイッチ21につき1つのキートップ41が重なっている。また、1つの導光シート31につき複数のキートップ41が導光シート31に沿って横方向に一列に配列され、1つの導光シート31につき複数のキートップ41が一部重なっている。同様に、1つの導光シート32につき複数のキートップ41が導光シート32に沿って横方向に一列に配列され、1つの導光シート32につき複数のキートップ41が一部重なっている。
【0076】
キートップ41のうち導光シート31に重なった部分には、マーク41aが印刷されている。一方、キートップ41のうち導光シート32に重なった部分には、マーク41bが印刷されている。マーク41aの向きは縦向き(操作部筐体3の長手方向となる向き)である。マーク41bの向きは横向き(操作部筐体3の短手方向となる向き)である。
【0077】
キーシート40の横方向の長さが導光シート31,32の長手方向の長さよりも短く、導光シート31,32の長手方向両端部がキーシート40の側縁から側方に延出している。
【0078】
導光シート31の長手方向両端部の表面には、シート状の光シャッタ素子331が載置されている。導光シート32の長手方向両端部の表面には、シート状の光シャッタ素子332が載置されている。これら光シャッタ素子331,332が互い違いに、導光シート31,32の短手方向に配列されている。そして、これら光シャッタ素子331,332が帯状に連なって一体を成している。
【0079】
図20、図21に示すように、操作部筐体3の前面であって開口部10の左右両側には、開口部12が形成されている。光シャッタ素子331,332が開口部12に嵌め込まれ、開口部12がこれら光シャッタ素子331,332によって閉塞されている。
【0080】
光シャッタ素子331,332は、光を遮光する遮光状態と、光を透過する透過状態とに切替可能なものである。具体的には、光シャッタ素子331,332はラッチング型(自己保持型)の光シャッタ素子であり、例えば、ラッチング型光シャッタ素子として電子ペーパを用いることができる。ラッチング型とは、光シャッタ素子331,332に電圧を印加すると、光シャッタ素子331,332が遮光状態から透過状態に又はその逆に切り替わり、その後、光シャッタ素子331,332への電圧印加を解除しても次に光シャッタ素子331,332に電圧を印加するまでの間、光シャッタ素子331,332がその状態を保持し続けるものをいう。
【0081】
図24に示すように、導光シート31の長手方向両端部であってその裏面には、傾斜面31eが形成されている。この傾斜面31eは、導光シート31の端に向かって導光シート31の表面に近づくように傾斜している。傾斜面31eは全反射面であり、導光シート31の長手方向両端部の表面に入射した光が傾斜面31eによって導光シート31の長手方向中央部に向けて反射される。導光シート32の長手方向両端部であってその裏面にも、同様な傾斜面が形成されている。
【0082】
導光シート31の表面(キーシート40側の面)のうち光シャッタ素子331に重なった部分が入射面となり、導光シート31の表面のうちキーシート40と重なった部分が出射面となり、その出射面が第1の領域である。導光シート32の表面についても、光シャッタ素子332と重なった部分が入射面となり、キーシート40と重なった部分が出射面となり、その出射面が第2の領域である。
【0083】
以上のように構成されたキー構造5Cを使用する場合には、キートップ41を押下する。そうすると、そのキートップ41によって導光シート31,32及び遮光部35が押圧され、そのキートップ41の下のプッシュスイッチ21が押される。キートップ41の押下を解除すれば、プッシュスイッチ21が元に戻り、それによってキートップ41、導光シート31,32及び遮光部35も元に戻る。
【0084】
光シャッタ素子331,332に電圧が印加されると、光シャッタ素子331が遮光状態から透過状態に切り替わり、光シャッタ素子332が透過状態から遮光状態に切り替わる。そうすると、外部の自然光が光シャッタ素子331を透過して、導光シート31の長手方向両端部の表面に入射する。導光シート31内に入射した光は傾斜面31eで反射し、導光シート31内を伝播し、導光シート31の表面から出射する。そのため、キートップ41のうちマーク41aが照らされて、そのマーク41aの視認が可能となる。一方、光シャッタ素子332が遮光状態であるから、外部の自然光が採光されず、マーク41bが照らされず、マーク41bの視認ができない。
【0085】
その後、光シャッタ素子331,332に電圧が印加されると、光シャッタ素子331が透過状態から遮光状態に切り替わり、光シャッタ素子332が遮光状態から透過状態に切り替わる。そうすると、外部の自然光が光シャッタ素子332を透過して、導光シート32の長手方向両端部の表面に入射する。そのため、導光シート32内に入射した光が導光シート32内を伝播し、導光シート32の表面から出射するから、キートップ41のうちマーク41bが照らされて、そのマーク41bの視認が可能となる。一方、光シャッタ素子332が遮光状態であるから、マーク41aが照らされず、マーク41aの視認ができない。
【0086】
図20に示すように、表示部筐体2が縦開きである場合には、光シャッタ素子331が透過状態であり、光シャッタ素子332が遮光状態である。この際、採光された自然光によって照らされるマーク41aが縦向きになっているから、マーク41aを視認しやすい。
一方、図21に示すように、表示部筐体2が横開きである場合には、光シャッタ素子331が遮光状態であり、光シャッタ素子332が透過状態である。この際、採光された自然光によって照らされるマーク41bが横向きによっているから、マーク41bを視認しやすい。
【0087】
本実施形態においても、導光シート31に複数のキートップ41が部分的に重なっているから、複数のキートップ41のマーク41aとマーク41bのどちらかが選択的に同時に照らされる。そのため、キートップ41ごとに光シャッタ素子を設けるのではないから、光シャッタ素子331,332の切り替え時の消費電力を抑えることができる。また、光シャッタ素子331,332の数をキートップ41の数よりも少なくできるから、製造コストを抑えることができる。
【0088】
また、光シャッタ素子331,332がラッチング型であるから、光シャッタ素子331,332に電圧をかけ続けなくても、光シャッタ素子331,332の透過状態や遮光状態を保持することができる。そのため、消費電力を更に抑えることができる。
【0089】
また、光シャッタ素子331,332の状態が切り替わることで、マーク41a,41bの表示が切り替わる。マーク41a,41bの表示の切り替えのために機械的な可動部がないので、長寿命化を図ることができる。
【0090】
なお、光シャッタ素子331,332がラッチング型の光シャッタ素子であったが、ノーマリー・オープン型又はノーマリー・クローズ型の光シャッタ素子(例えば、液晶シャッター素子)であってもよい。
【0091】
また、導光シート31,32が横方向に長尺であったが、縦方向に長尺であってもよい。その場合、光シャッタ素子331,332の配置を導光シート31,32の長手方向両端部の表面にあわせて変更するのは勿論であり、マーク41a,41bの印刷箇所も導光シート31,32,33に沿って変更するのは勿論である。
また、キートップ41がシート状のキーであったが、キートップ41がストロークキーであってもよい。
【符号の説明】
【0092】
1、1C 電子機器
2 表示部筐体
3 操作部筐体
5、5A、5B、5C キー構造
20 スイッチ群シート
21 プッシュスイッチ
30 光学部材
31、32、33 導光シート
35 遮光部
40 キーシート
41 キートップ
41a,41b,41c マーク
41c マーク
45 仕切部
51,52,53 発光素子
131,132,133、231 面発光素子
331,332 光シャッタ素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の領域と第2の領域から別個に光を出射する光学部材と、
前記第1の領域と前記第2の領域との両方の上に設けられた複数のキートップと、
前記各キートップのうち前記第1の領域に重なった部分に形成された第1のマークと、
前記各キートップのうち前記第2の領域に重なった部分に形成された第2のマークと、を備え、
前記第1の領域と前記第2の領域から選択的に光が出射することで、前記第1のマークと前記第2のマークの選択的な視認を可能としたことを特徴とするキー構造。
【請求項2】
前記光学部材が、入射した光を前記第1の領域に導光する第1の導光部と、入射した光を前記第2の領域に導光する第2の導光部と、を有することを特徴とする請求項1に記載のキー構造。
【請求項3】
前記第1の導光部に入射する光を発する第1の発光部と、
前記第2の導光部に入射する光を発する第2の発光部と、を更に備え、
前記第1の発光部と前記第2の発光部が選択的に発光することを特徴とする請求項2に記載のキー構造。
【請求項4】
前記第1の導光部に入射する自然光の透過・遮光をする第1の光シャッタ素子と、
前記第2の導光部に入射する自然光の透過・遮光をする第2の光シャッタ素子と、を更に備え、
前記第1の光シャッタ素子と前記第2の光シャッタ素子が選択的に自然光を透過することを特徴とする請求項2に記載のキー構造。
【請求項5】
前記光学部材が、前記第1の導光部と前記第2の導光部との間に設けられ、これらの導光部の間を遮光する遮光部を更に有することを特徴とする請求項2から4の何れか一項に記載のキー構造。
【請求項6】
前記光学部材が、面発光してその光を前記第1の領域から出射する第1の面発光部と、面発光してその光を前記第2の領域から出射する第2の面発光部と、を有し、
前記第1の面発光部と前記第2の面発光部が選択的に発光することを特徴とする請求項1に記載のキー構造。
【請求項7】
面発光するとともに、発光時の発光色と非発光時の色が異なる面発光部と、
前記面発光部の発光面に形成され、前記面発光部の発光色と同色である複数の第1のマークと、
前記面発光部の発光面に形成され、前記面発光部の非発光時の色と同色である複数の第2のマークと、を備えることを特徴とするキー構造。
【請求項8】
前記面発光部の発光面に形成され、前記面発光部の発光面を複数の領域に仕切る仕切部を更に備え、
前記仕切部によって仕切られた各領域内に前記第1のマークと前記第2のマークが配置されていることを特徴とする請求項7に記載のキー構造。
【請求項9】
請求項1から8の何れか一項に記載のキー構造を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2010−251040(P2010−251040A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97779(P2009−97779)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】