説明

クジ及びその製造方法

【課題】多面付けして印字が可能で生産性が高く、しかも、印字のない部分のあるクジの出荷を未然に防止できるクジ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】クジ10は、ユニーク情報視認部11aを備えているので、プリンタ印字により、確認用ユニーク情報部14を形成した第2基材12Aを、第1基材11で隠蔽して貼りあわせても、ユニーク情報視認部11aの孔部からユニーク情報部14を目視により確認できるので、当否の印字がある部分13Aの存在を判別することができる。一方、プリンタにより印字がされていない第2基材12Bの場合には、ユニーク情報部14を印字すべき領域Bにユニーク情報部14が印字されていないので、ユニーク情報視認部11aの孔部からユニーク情報部14を目視により確認できず、当否の印字がない(当否の印字がない部分13Bがある)と判別することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚の用紙を貼りあわせるタイプのクジ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のクジは、親展はがきとして利用されている技術を応用して、ミシン目を介して連接された第1基材と第2基材とを折り畳んで貼り合せるものが知られている(例えば、特許文献1)。
しかし、この場合に、印字時の幅が約2倍となり、多面付けが困難であることと、ベースがハガキサイズの貼り合わせ機となるため、生産性が高いものではなく、結果的に高価格になっていた。
【0003】
一方、本件出願人は、別のタイプのクジとして、第1基材と第2基材とからなり、第2基材にのみ印字を行い、多面付けして印字が可能となり、低コストでの製造が可能なものが提案しようとしている。
【特許文献1】特開2002−67559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記提案のクジは、2枚の基材を、丁合技術を応用して貼り合せるようにしたもの(以下、「丁合方式のクジ」という)であり、前述した特許文献1(ハガキ方式)のものとは、比較できないほど大きなサイズで製造が可能になっている。ハガキの場合は、現行、概ね幅4インチ×天地6インチとなっており、クジのサイズとしては、通常これを3分割した程度になる。つまり、幅4インチ×天地2インチ程度のサイズで言うと、3面までしか作れない。
【0005】
一方、丁合方式のクジは、幅20インチ、天地14インチ程度まで対応可能な丁合機がほとんどであるが、仮に、これを一回り小さいサイズの丁合機で幅16インチ×天地12インチと仮定しても、一度に24面形成可能であり、いかに生産性が高いか理解できる。
【0006】
しかし、この丁合方式のクジにも、以下のような課題があることが判明した。
図5は、丁合方式のクジ50の課題を説明するための図である。
すなわち、丁合方式のクジ50は、印字情報を形成(通常は、プリンタ印字)した第2基材52(52A,52B)を、第1基材51で隠蔽してしまうために、一旦貼りあわせてしまうと、印字がある部分53Aと印字がない部分53Bの差がなく、判別できなくなってしまうのである。クジを購入したのに、当たりか外れかさえも分からないものが出てくれば、大問題となってしまう。
もちろん、第1基材51にも印字をするようにすれば、問題を解決させることは容易であるものの、印字コストが高く(通常は2倍)なってしまい、高い生産性を活かすことができなくなってしまう。そのうえ、第1基材と第2基材とのデータマッチングという別種の課題が新たに発生してしまう。
【0007】
逆に、第2基材52Bの印字のない部分53Bを、あらかじめすべて廃棄してから丁合すれば、判別すること自体が必要なくなるため上記課題の解決となるものの、やはり歩留まり悪化によるコスト増となり、せっかくの高い生産性が発揮できなくなってしまう。
プリンタにせよ、丁合機にせよ、機械的な構造上、必ずスタートとエンドには使用できない部分ができてしまうため、コストを抑制するためには、この部分をいかに有効活用できるか、で決まってきてしまう。
【0008】
本発明の課題は、多面付けして印字が可能で生産性が高く、しかも、印字のない部分のあるクジの出荷を未然に防止できるクジ及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、第1基材と第2基材とを周縁部を含む略全域で貼り合わせるクジであって、前記第2基材は、確認用情報部が形成され、前記第1基材は、前記第2基材と貼り合わせた状態で、その第2基材の前記確認用情報部を視認可能な情報視認部を備えること、を特徴とするクジである。
請求項2の発明は、請求項1に記載のクジにおいて、前記情報視認部は、前記第1基材の一部に形成された視認用孔部であること、を特徴とするクジである。
請求項3の発明は、請求項1に記載のクジにおいて、前記情報視認部は、前記第1基材が前記第2基材より狭く又は小さく形成された視認用領域であること、を特徴とするクジである。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のクジを製造するクジの製造方法において、前記第1及び第2基材は、第1及び第2基材用シートから、クジ製品領域とクジ製品外領域を多面分割して作製し、前記情報視認部は、前記クジ製品外領域に設けること、を特徴とするクジの製造方法である。
請求項5の発明は、請求項4の記載のクジの製造方法において、前記確認用情報部は、前記クジ製品領域と前記クジ製品外領域により、種別の異なる記号や番号を使用すること、を特徴とするクジの製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、第2基材には、確認用情報部が形成され、第1基材には、第2基材と貼り合わせた状態で、その第2基材の前記確認用情報部を視認可能な情報視認部を備えるので、印字のない部分のあるクジの出荷を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、印字のない部分のあるクジの出荷を未然に防止するという目的を、第1基材に形成した円形の視認用孔部等で、第2基材の確認用の確認用ユニーク情報部を視認することによって実現する。
【実施例1】
【0012】
以下、図面等を参照して、本発明の実施例をあげて、さらに詳しく説明する。
図1は、本発明によるクジの実施例1を示す図である。なお、以下に示す各実施例では、前述した図5のクジと同様な機能を果たす部分には、末尾に統一した符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
実施例1のクジ10は、第1基材11と、2次元バーコード等の確認用ユニーク情報部(確認用情報部)14を有する第2基材12とを、周縁部を含む略全域で貼り合わせるクジである。
第1基材11は、第2基材12と貼り合わせた状態で、その第2基材12の確認用ユニーク情報部14を確認可能なユニーク情報視認部(情報視認部)11aを備えている。実施例1では、ユニーク情報視認部11aは、第1基材11の一部に形成された円形の孔部である。
【0013】
このように、実施例1のクジ10は、ユニーク情報視認部11aを備えているので、プリンタ印字により、確認用ユニーク情報部14を形成した第2基材12Aを、第1基材11で隠蔽して貼りあわせても、ユニーク情報視認部11aの孔部からユニーク情報部14を目視により確認できるので、当否の印字がある部分13Aの存在を判別することができる。
一方、プリンタにより印字がされていない第2基材12Bの場合には、ユニーク情報部14を印字すべき領域Bにユニーク情報部14が印字されていないので、ユニーク情報視認部11aの孔部からユニーク情報部14を目視により確認できず、当否の印字がない(当否の印字がない部分13Bがある)と判別することができる。
【実施例2】
【0014】
図2は、本発明によるクジの実施例2を示す図である。
実施例2のクジ20では、ユニーク情報視認部21aは、第1基材21が第2基材22より長辺が短く(狭く又は小さく)形成された領域21aを備えている。また、ユニーク情報部24は、第2基材22の端部に形成された矩形マークである。
このように、実施例2のクジ20は、ユニーク情報視認部21aを備えているので、プリンタ印字により、ユニーク情報部24を形成した第2基材12Aを、第1基材21で隠蔽して貼りあわせても、ユニーク情報視認部21aの領域からユニーク情報部24を目視により確認できるので、当否の印字がある部分23Aの存在を判別することができる。
一方、プリンタにより印字がされていない第2基材22Bの場合には、ユニーク情報部24を印字すべき領域Bにユニーク情報部24が印字されていないので、ユニーク情報視認部21aの領域からユニーク情報部24を目視により確認できず、当否の印字がない(当否の印字がない部分23Bがある)と判別することができる。
【実施例3】
【0015】
図3は、本発明によるクジの実施例3を示す図である。
実施例3のクジ30では、ユニーク情報視認部31aは、第1基材21の角部に切欠き部状に形成された領域31aを備えている。また、ユニーク情報34は、第2基材32の角部に形成された三角マークである。
実施例3のクジ30は、実施例2のクジ20と同様な効果を得ることができ、しかも、ユニーク情報視認部31aの切欠きが、第1基材21を第2基材22から剥離するときの切っ掛けとなり、剥がしやすい。
【0016】
図4は、本発明によるクジの実施例4を示す図である。
実施例4のクジ40は、第1基材41と第2基材42とを基材用シートから多面に分割するときに、製品部分となるクジ製品領域Xと、製品手前部分となるクジ製品外領域Yに分かけれ作製され、ユニーク情報視認部41aをクジ製品外領域Yに設けたものである。
この場合に、ユニーク情報視認部41aは、第1基材41のクジ製品外領域Yに形成された円形の孔部である。また、ユニーク情報44は、第2基材42のクジ製品外領域Yに形成された十字マークである。
実施例4のクジ40は、上記各実施例と同様な効果をうることができ、しかも、クジ製品としたときに、ユニーク情報を確認後に、ユニーク情報視認部41aを含むクジ製品外領域Yを切り取ってしまえば、見栄えよい。
【0017】
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
確認用の情報視認部は、製品手前部分と、製品部分で種別の異なる記号や番号を使用することができる。
ここで、製品手前部分と製品部分とは、次のようなことを示している。プリンタは、まず、印字するための用紙をある程度排紙できる通常状態までフィードさせる。当然、印字ヘッドより先になった部分への印字はできないので、この状態から印字すると、印字のない白紙部分、つまり、突然、「製品部分」という状態になる。しかし、通常は、印字位置の微調整があるため、白紙から、即「製品部分」という印字データとしてしまうと、印字位置の微調整部分も製品部分とカウントされてしまう可能性が生ずる。
単純な「アタリ」か「ハズレ」かのクジであれば、あまり問題にもならないが、携帯電話で申し込むような「パスワード式のクジ」であったりすると、例えば、印字位置が少しだけズレてもやり直さなければならない。この場合は、用紙を切断して、再度印字をしなければならず、手間(結局はコスト)がかかったり、用紙を切断せずに進行すると、同じ番号が出てきてしまったりする、という問題が発生する。
反対に、印字位置合わせに供した部分は、すべて廃棄してしまうことにすれば、重複する危険性はなくなるものの、本来、「製品部分」として入れるべき印字データ分が欠けてしまう。予備番号を多く用意しておけばよいが、結局は、管理が面倒になったり、予備番号を多く確保するために、番号そのものを多く生成する必要が生じてしまう。
これらの状況から、印字のない白紙部分と製品部分の間に、「印字はあるものの製品ではない部分(製品手前部分)」を設けることがある。この部分は、印字調整のみに使用されるので、ある意味では無駄な部分になるのであるが、例えば、「10、9、8、7・・・」といったカウントダウンさせるような印字データを作り、「1の次から本番の製品部分」といった形であれば、確実に製品を確保することができる。そして、通常は、前述した白紙部分と、カウントダウンデータ部分で丁合の条件を合わせ込んでいくようになる。こうすることで、歩留まりと製品の正確性を両立している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明によるクジの実施例1を示す図である。
【図2】本発明によるクジの実施例2を示す図である。
【図3】本発明によるクジの実施例3を示す図である。
【図4】本発明によるクジの実施例4を示す図である。
【図5】丁合方式のクジの課題を説明するための図である。
【符号の説明】
【0019】
10,20,30,40 クジ
11,21,31,41 第1基材
11a,21a,31a,41a ユニーク情報視認部
12,22,32,42 第2基材
14,24,34,44 確認用ユニーク情報部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基材と第2基材とを周縁部を含む略全域で貼り合わせるクジであって、
前記第2基材は、確認用情報部が形成され、
前記第1基材は、前記第2基材と貼り合わせた状態で、その第2基材の前記確認用情報部を視認可能な情報視認部を備えること、
を特徴とするクジ。
【請求項2】
請求項1に記載のクジにおいて、
前記情報視認部は、前記第1基材の一部に形成された視認用孔部であること、
を特徴とするクジ。
【請求項3】
請求項1に記載のクジにおいて、
前記情報視認部は、前記第1基材が前記第2基材より狭く又は小さく形成された視認用領域であること、
を特徴とするクジ。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のクジを製造するクジの製造方法において、
前記第1及び第2基材は、第1及び第2基材用シートから、クジ製品領域とクジ製品外領域を多面分割して作製し、
前記情報視認部は、前記クジ製品外領域に設けること、
を特徴とするクジの製造方法。
【請求項5】
請求項4の記載のクジの製造方法において、
前記確認用情報部は、前記クジ製品領域と前記クジ製品外領域により、種別の異なる記号や番号を使用すること、
を特徴とするクジの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−1193(P2006−1193A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181424(P2004−181424)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】