説明

クッション

【課題】抱き枕等のクッションに圧力を加えて変形させ、圧力を除いても変形したままの状態を保持でき、所望の形状のまま使用することができ、さらに元の形状に戻すことができるクッションを提供する。
【解決手段】抱き枕1を、そのほぼ中心で湾曲させると、湾曲部分に圧力が加わる。これにより湾曲部分にある中材5が圧縮されて、互いに圧接する状態となり、係合部どうしが係合し絡み合って、多数の中材5が連結されて塊状となる。この中材5が塊状となっている部分では、中材5の流動性がなくなるので、抱き枕1は湾曲したままの状態を保つことになる。また、抱き枕1を真っ直ぐな元の状態の戻す場合には、抱き枕1を揺する等して中材5に振動を与える。中材5が振動すると係合部の係合が外れて、中材5が流動できる状態となる。そして、抱き枕1が真っ直ぐになるように伸ばせば、抱き枕1は元の状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抱き枕等のクッションに係り、特に所望の形状に変形させ、その状態を保つことができるクッションに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された抱き枕は、内袋にクッション材を充填して形成された複数のクッション体を、ファスナーによって開閉可能とされた1つの外袋で包んで構成されている。そして、各クッション体、すなわち中材として、天然又は合成繊維からなるわた、合成樹脂からなるパイプ状ビーズ、発泡樹脂からなるビーズ、合成樹脂製又はゴム製のスポンジ、羽毛、穀類の殻、木製又はコルク製の粒状体から構成されている。
この抱き枕は中材として、天然又は合成繊維からなるわた、合成樹脂からなるパイプ状ビーズ等を使用しているので、手で押さえるなどして圧力を加えれば、中材が圧縮されたり、流動したりして、所望の形状に変形させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−188157
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の抱き枕は圧力を加えて所望の形状に変形させることはできても、圧力を除くと元の形状に戻ってしまい、所望の形状を保ったまま使用することができないという問題がある。
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、抱き枕等のクッションに圧力を加えて変形させ、圧力を除いても変形したままの状態を保持でき、所望の形状を保ったまま使用することができ、さらに元の形状に簡単に戻すことができるクッションの提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、外袋と、前記外袋に収容され弾性を有する多数の小片によって構成される中材とから成るクッションにおいて、前記中材を構成する小片は外面に多数の係合部を有し、前記係合部は弾性をもち、且つ不規則な方向へ向き、しかも湾曲する繊維から成り、前記係合部は外部からの圧力が加わると係合部どうしが互いに係合して塊状となり、振動を与えると係合が解除されることを特徴とするクッションである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載したクッションにおいて、外袋は伸縮性を有していることを特徴とするクッションである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載したクッションにおいて、抱き枕であることを特徴とするクッションである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のクッションによれば、圧力を加えて変形させ、圧力を除いても変形したままの状態を保持でき、所望の形状を保ったまま使用することができ、さらに元の形状に簡単に戻すことができる。従って、一つのクッションを必要に応じて自由に形状を変えて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係る抱き枕の斜視図と、その内部にある中材の状態を示す図である。
【図2】図1の抱き枕に使用される中材の斜視図である。
【図3】図2の中材が塊状となるメカニズムを説明するための斜視図と、中材の係合部どうしが係合する状態を示す図である。
【図4】図1の抱き枕を、そのほぼ中心で湾曲させた状態の斜視図、その湾曲した部分にある中材の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係るクッションとしての抱き枕1を図面にしたがって説明する。
符号3はほぼ円柱状の外袋を示し、この外袋3は通気性と柔軟性を有する合成繊維によって構成され、伸縮性を有している。外袋3にはファスナーによって開閉できる開口が形成されている。
【0011】
そして、外袋3には図2、3に詳細に示す中材5が収容されている。中材5は縦15mm、横8mm、奥行8mm程度の小片状で、ウレタン系の合成樹脂によって構成されている。また中材5はある程度の剛性と弾性をもつ繊維7が互いに連結された網目構造となっており、中材5は弾性変形することができる。そして、この中材5の外面には多数の係合部9が設けられている。この係合部9は繊維7の先端部によって構成されており、弾性をもち、且つ不規則な方向へ向き、しかも湾曲している。
図1に示すように中材5は外袋3に対し多少の余裕をもって収容されている。
【0012】
図1に示すように抱き枕1が真っ直ぐになっており、外部からの圧力がかかっていない状態では、外袋3内の中材5の係合部9は互いに係合せず、中材5は流動性を有している。
図4に示すように抱き枕1を、そのほぼ中心で湾曲させると、湾曲部分に圧力が加わる。これにより湾曲部分にある中材5が圧縮されて、弾性変形して互いに圧接する状態となり、図3に示すように係合部9どうしが係合して絡み合い、多数の中材5が連結された塊状となる。この中材5が塊状となっている部分では、中材5の流動性がなくなるので、抱き枕1は湾曲したままの状態を保つことになる。
【0013】
また、抱き枕1を真っ直ぐな元の状態の戻す場合には、抱き枕1を揺する等して中材5に振動を与える。中材5が振動すると係合部9どうしの係合が外れて、中材5が流動できる状態となる。そして、抱き枕1を真っ直ぐになるように伸ばせば、抱き枕1は図1に示す元の状態となる。
【0014】
このように、抱き枕1は圧力を加えて変形させ、圧力を除いても変形したままの状態を保持でき、所望の形状を保ったままで使用することができ、さらに元の形状に簡単に戻すことができる。従って、一つの抱き枕1を必要に応じて自由に、その形状を変えて使用することができる。
【0015】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、上記実施の形態ではクッションとして抱き枕を示したが、本発明はこれに限定されず、座布団、敷布団、介護等のため体を支持するために体の一部に宛がって用いるクッション等、広義のクッションに適用することが可能である。
【0016】
また、中材はウレタン系の合成樹脂に限定されず、圧力によって互いに係合して絡み合う係合部を形成できて、振動によってその係合が外れるものであれば、他の合成樹脂、天然樹脂等によって構成してもよい。また、中材の形状、大きさは上記したものに限定されず、適宜変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は抱き枕や寝具等のクッション製造業に利用可能である。
【符号の説明】
【0018】
1…抱き枕
3…外袋
5…中材
7…中材を構成する繊維
9…繊維の先端部によって構成される係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外袋と、前記外袋に収容され弾性を有する多数の小片によって構成される中材とから成るクッションにおいて、前記中材を構成する小片は外面に多数の係合部を有し、前記係合部は弾性をもち、且つ不規則な方向へ向き、しかも湾曲する繊維から成り、前記係合部は外部からの圧力が加わると係合部どうしが互いに係合して塊状となり、振動を与えると係合が解除されることを特徴とするクッション。
【請求項2】
請求項1に記載したクッションにおいて、外袋は伸縮性を有していることを特徴とするクッション。
【請求項3】
請求項1または2に記載したクッションにおいて、抱き枕であることを特徴とするクッション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−115590(P2012−115590A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270101(P2010−270101)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(303060262)株式会社丸井商事 (3)
【Fターム(参考)】