説明

クラゲ加工品およびその製造方法

【課題】食材としての塩蔵クラゲの用途を拡大すること。
【解決手段】
[1]クラゲをアルカリ水に漬け込んだ後、加熱処理を行なったことを特徴とする加工クラゲ。
[2]加えて、前記加熱処理を行った後に0〜30℃の範囲に冷却したことを特徴とする上記[1]に記載の加工クラゲ。
[3]前記アルカリ水の水素イオン濃度指数がpH7.5〜pH13.5の範囲にあり、かつ前記加熱処理が、40〜70℃の温度範囲において30秒〜10分間処理する手段を含むことを特徴とする上記[1]または[2]のいずれかに記載の加工クラゲ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクラゲ加工品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クラゲを原料とする食材は、通常クラゲを塩漬けにした食材、すなわち塩蔵クラゲとして入手することが可能である。この塩蔵クラゲは塩抜きした後、胡麻油等と和えてから食されるが、歯応えのある食感により昔から酒の肴として親しまれている。
しかし前記の塩抜きした塩蔵クラゲは、特有の塩蔵臭という不快な臭いを有することから、前記の塩抜きした塩蔵クラゲに対して濃い味付けによる調理を施し、その塩蔵臭を隠す必要があった。このため、塩蔵クラゲは食材としてはその用途が限られていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、食材としての塩蔵クラゲの用途を拡大することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、食材としての塩蔵クラゲの用途を拡大するために鋭意検討した結果、塩蔵クラゲもしくは塩抜きした塩蔵クラゲをアルカリ水に漬け込んだ後、加熱処理したクラゲ加工品が、塩蔵臭がないばかりか、表面部分に歯応えがあり内部が柔らかいという、これまでにない特有の食感を有することを見出した。
さらに本発明者らは、上記クラゲ加工品を製造する際に用いる原料は塩蔵クラゲに限定されず、広くクラゲ一般を使用することができることをも見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち本発明は、
[1]クラゲをアルカリ水に漬け込んだ後、加熱処理を行なったことを特徴とする加工クラゲを提供するものであり、
[2]加えて、前記加熱処理を行った後に0〜30℃の範囲に冷却したことを特徴とする上記[1]に記載の加工クラゲを提供するものであり、
[3]前記アルカリ水の水素イオン濃度指数がpH7.5〜pH13.5の範囲にあり、かつ前記加熱処理が、40〜70℃の温度範囲において30秒〜10分間処理する手段を含むことを特徴とする上記[1]または[2]のいずれかに記載の加工クラゲを提供するものであり、
[4]前記アルカリ水が、無機塩類水溶液、有機酸塩類水溶液および電解水よりなる群から選ばれる一種以上であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の加工クラゲを提供するものであり、
[5]前記クラゲが、塩蔵クラゲおよび塩抜きした塩蔵クラゲよりなる群から選ばれる一種以上であることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載の加工クラゲを提供するものであり、
[6]レオメーターにより測定した針の侵入強度が30〜150gの範囲である加工クラゲを提供するものであり、
[7]レオメーターにより測定した針の侵入強度が30〜150gの範囲であることを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載の加工クラゲを提供するものであり、
[8]蒸留水1gをバイアル瓶に入れて密栓し、前記バイアル瓶を600秒間、50℃、500rpmの条件により加温撹拌させた後、前記バイアル瓶のヘッドスペースガス1mlを採取し、酸化スズ半導体を含むセンサーに接触させた場合の前記センサーが示す相対抵抗値が1、同様にアセトニトリル0.04体積%含有蒸留水1gを用いた場合の相対抵抗値が12、同様にアセトニトリル0.10体積%含有蒸留水1gを用いた場合の相対抵抗値が18である分析装置を用いた場合に、同様に1gを用いた場合の相対抵抗値の値が1.4〜2.5の範囲である加工クラゲを提供するものであり、
[9]蒸留水1gをバイアル瓶に入れて密栓し、600秒間、50℃、500rpmの条件により加温撹拌させた後、バイアル瓶のヘッドスペースガス1mlを採取し、酸化スズ半導体を含むセンサーに接触させた場合の前記センサーが示す相対抵抗値が1、同様にアセトニトリル0.04体積%含有蒸留水1gを用いた場合の相対抵抗値が12、同様にアセトニトリル0.10体積%含有蒸留水1gを用いた場合の相対抵抗値が18である分析装置を用いた場合に、同様に1gを用いた場合の相対抵抗値の値が1.4〜2.5の範囲であることを特徴とする上記[1]〜[7]のいずれかに記載の加工クラゲを提供するものであり、
[10]クラゲをアルカリ水に漬け込んだ後、加熱処理を行なう操作を含むことを特徴とする加工クラゲの製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、表面部分に歯応えがあり内部が柔らかいという、これまでにない特有の食感を有するクラゲ加工品を提供することができる。原料として塩蔵クラゲを使用した場合でも、塩蔵臭がなく、かつ表面部分に歯応えがあり内部が柔らかいという、これまでにない特有の食感を有するクラゲ加工品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
まず最初に本発明に使用するクラゲについて説明する。
本発明に使用するクラゲは、特に限定されず、通常食用に供されているクラゲであればいかなるものでも使用することができる。この様なクラゲとしては、例えば、エチゼンクラゲやビゼンクラゲ等を挙げることができる。
クラゲは一種または二種以上を使用してもよい。
【0008】
本発明に使用するクラゲは、水中や海中から捕獲したクラゲをそのまま使用することができるが、入手の容易性、保存性等から塩蔵クラゲが好ましい。本発明においては、塩蔵クラゲをそのまま使用することもできるし、塩蔵クラゲを水等に晒して塩抜きした塩蔵クラゲを使用することもできる。
クラゲ加工品の用途を拡大する目的からは、本発明に使用するクラゲは、塩抜きした塩蔵クラゲであることがさらに好ましい。
【0009】
次に本発明においては、アルカリ水に漬け込んだクラゲを使用することが必要である。
本発明に使用するアルカリ水としては、例えば、重曹、焼成カルシウム等の無機塩類等の水溶液、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム等の有機酸塩類等の水溶液、水を電気分解して得られるアルカリ性水溶液等が挙げられる。
【0010】
アルカリ水は一種または二種以上を使用することができる。
【0011】
本発明に使用するアルカリ水の水素イオン濃度指数は、pH7.5〜pH13.5の範囲であることが好ましく、pH7.5〜13.0の範囲であればより好ましく、pH8.0〜12.5の範囲であればさらに好ましい。
アルカリ水の水素イオン濃度指数がpH7.5未満の場合やpHが13.5を超えた場合には、表面部分に歯応えがあり内部が柔らかい食感が得られにくい傾向がある。
【0012】
クラゲをアルカリ水に漬け込む操作としては、例えば、0℃〜40℃、好ましくは10℃〜30℃の温度範囲において、クラゲを前記アルカリ水に接触させる操作が挙げられる。
【0013】
クラゲを前記アルカリ水に接触させる操作としては、例えば、クラゲの全部もしくは一部をアルカリ水に入れて静置する方法、クラゲの全部もしくは一部を循環している前記アルカリ水に入れる方法、クラゲの全部もしくは一部をアルカリ水に入れてこれらを撹拌する方法等を挙げることができる。
【0014】
クラゲをアルカリ水に接触せる時間は、5分〜3時間の範囲であることが好ましく、20分〜2時間の範囲であればより好ましく、30分〜1時間の範囲であればさらに好ましい。
クラゲをアルカリ水に接触させる時間が5分未満の場合には、得られたクラゲ加工品の食感の改良効果が得られにくい傾向があり、3時間を超えた場合には、表面部分に歯応えがあり内部が柔らかい食感が得られにくい傾向がある。
【0015】
クラゲを前記アルカリ水に接触させる際には、クラゲはそのままの形で接触させることができるが、前記アルカリ水に接触させる前に裁断しておくことが好ましい。
クラゲを裁断する際には、裁断後のクラゲ部分の幅は通常は、1mm〜20mmの範囲である。
【0016】
本発明のクラゲ加工品は、アルカリ水に漬け込んだクラゲを加熱処理することにより得ることができる。
【0017】
アルカリ水に漬け込んだクラゲは、加熱処理の前にアルカリ水を除くことが好ましい。
アルカリ水に漬け込んだクラゲからアルカリ水を除く方法としては、例えば、静置して液切りする方法、アルカリ水を吸収するものをクラゲに接触させる方法、遠心力等の外力を加えて液切りする方法等を挙げることができる。
【0018】
静値して液切りする場合の時間は、通常10分〜1時間の範囲である。
前記加熱処理の方法としては、例えば、温水と前記アルカリ水に漬け込んだクラゲとを接触させる方法、前記アルカリ水に漬け込んだクラゲに対して熱風等を吹き付ける方法、前記アルカリ水に漬け込んだクラゲに対して赤外線等の電磁波等を照射する方法、前記アルカリ水に漬け込んだクラゲと熱源とを近づける方法等を挙げることができる。
【0019】
前記加熱処理の方法は、温水と前記アルカリ水に漬け込んだクラゲとを接触させる方法が、比較的均一に前記アルカリ水に漬け込んだクラゲを加熱することができることから好ましい。
【0020】
温水と前記アルカリ水に漬け込んだクラゲとを接触させる場合には、前記アルカリ水に漬け込んだクラゲが全体的に加熱されるように、例えば、温水と前記アルカリ水に漬け込んだクラゲとを撹拌する方法、温水を循環させる方法等を実施することが好ましい。
【0021】
前記加熱処理の温度は、40〜70℃の範囲が好ましく、45〜65℃の範囲であればより好ましく、50〜60℃の範囲であればさらに好ましい。
前記クラゲの温度は、前記クラゲ内部に温度計や熱電対を挿入して調べることにより確認することができる。
【0022】
前記加熱処理の温度が40℃未満の場合には、表面部分に歯応えがある食感が得られにくい傾向があり、70℃を超えるとクラゲ内部のタンパク質が変性してしまうことから内部が柔らかい食感が得られにくい傾向がある。
【0023】
前記加熱処理の時間は、30秒〜10分の範囲が好ましく、30秒〜5分の範囲が好ましく、30秒〜4分の間であればさらに好ましい。
前記加熱処理の時間が30秒未満の場合は、前記クラゲの表面を変性するのに十分ではなく、その表面部分に歯応えがある食感が得られにくい傾向があり、前記加熱処理の時間が10分を超える場合には、前記クラゲの内部までタンパク質が変性することから内部が柔らかい食感が得られにくい傾向がある。
【0024】
前記加熱処理により、本発明の加工クラゲを得ることができる。
【0025】
前記加熱処理の後、加工クラゲ内部の温度が高いままであると、加工クラゲ内部の温度により加工クラゲ内部のタンパク質の変性が起きるため、必要に応じて加工クラゲを冷却することができる。
加工クラゲを冷却する方法としては、例えば、加工クラゲを水に浸す方法、金属板等により挟む方法等が挙げられる。
【0026】
通常は、前記加熱処理後にザル等の手段を使用して加工クラゲを温水等の熱源から分離し、引き続き加工クラゲを水に接触させる等の方法を採用することができる。
上記冷却の際には加工クラゲを30℃以下、好ましくは0〜30℃の範囲に冷却することが好ましい。
上記の操作により本発明の加工クラゲを得ることができる。
【0027】
本発明の加工クラゲは、従来のクラゲとは異なる食感を有するものである。従来のクラゲの食感はコリコリとした食感を有するものであるが、本発明の加工クラゲは、表面部分に歯応えがあり内部が柔らかい食感を有するものである(ここでは「プリプリとした食感」と表現する。)。
このコリコリした食感と、プリプリした食感との差異は、例えば、レオメーター測定により、本発明の加工クラゲに対する針の侵入強度と、従来のクラゲに対する針の侵入強度とを相互に比較することにより確認することができる。
【0028】
例えば、本発明の加工クラゲの場合、レオメーターにより測定した針の侵入強度は30〜150gの範囲である。好ましくは40〜145gの範囲であり、さらに好ましくは50g〜140gの範囲である。
【0029】
本発明の加工クラゲは、従来の塩蔵クラゲ等とは異なり塩蔵臭のしないものである
塩蔵臭の有無は次の様に測定することができる。例えば、加工クラゲから発生するガスを酸化スズ半導体を含むセンサーに接触させると、前記酸化スズ半導体を含むセンサーの抵抗値は増減する。この増減の数値をモニターすることにより塩蔵臭の有無を測定することができる。
【0030】
蒸留水1gをバイアル瓶に入れて密栓し、600秒間、50℃、500rpmの条件により加温撹拌させた後、バイアル瓶上部の気化部分1mlを採取し、前記酸化スズ半導体を含むセンサーに接触させた場合の相対抵抗値を1、同様にアセトニトリル0.04体積%含有蒸留水1gを用いた場合の相対抵抗値を12、同様にアセトニトリル0.10体積%含有蒸留水1gを用いた場合の相対抵抗値を18とした場合、本発明の加工クラゲ1gをバイアル瓶に入れて密栓し、600秒間、50℃、500rpmの条件により加温撹拌させた後、バイアル瓶上部の気化部分1mlを採取し、前記酸化スズ半導体を含むセンサーに接触させた場合の相対抵抗値は、1.4〜2.5、好ましくは1.5〜2.0の範囲である。
【0031】
測定にはALPHA MOS社のα−FOX装置を用いることができる。この装置はプライムテック株式会社より入手することができる。
【0032】
次に本発明の加工クラゲを用いた味付け処理済み加工クラゲについて説明する。
本発明の加工クラゲは必要に応じて味付け処理を施すことができる。
前記加工クラゲは、その味付け処理前に水分を除去しておくことが好ましい。
【0033】
前記加工クラゲから水分を除く方法としては、例えば、静置して液切りする方法、水分を吸収するものを加工クラゲに接触させる方法、遠心力等の外力を加えて液切りする方法等を挙げることができる。
静値して液切りする場合の時間は、通常10分〜1時間の範囲である。
【0034】
前記味付け処理の方法としては、例えば、調味液と前記加工クラゲとを接触させる方法等を挙げることができる。
調味液と前記加工クラゲとを接触させる方法としては、例えば、前記加工クラゲを調味液に浸漬する方法、前記加工クラゲに調味液を散布する方法、前記加工クラゲに調味液を塗布する方法等を挙げることができる。
【0035】
前記調味液としては、例えば、塩、砂糖、みりん、酒、酢、醤油、胡麻油等の調味料から得られるものや、これらの調味料とだし汁等を適宜混合したもの等を挙げることができる。
【0036】
上記方法により、味付け処理済み加工クラゲを製品として得ることができる。
【実施例1】
【0037】
以下に本発明の詳細について実施例により説明するが、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。
【0038】
市販のホワイトタイプの塩蔵クラゲ810gを幅12mm、長さ120mmの大きさに裁断し、流水に晒して脱塩処理を行った。
次に上記脱塩処理を行った切断後の塩蔵クラゲを1時間静置し水切りを行った。
その後、重曹と水を混合し、水素イオン濃度指数をpH10.06とした重曹水溶液に、水切り後の前記クラゲを、室温23℃にて40分間浸漬した。
次に、重曹水溶液に浸漬した前記クラゲを1時間静置し液切りを行った後、液切りを行った前記クラゲを55℃の温水中に3分間浸漬し、その後10℃以下の冷水にて加熱後の前記クラゲを急速に冷却し、加工クラゲを得た。
得られた加工クラゲは787gであった(収率97%)。
【実施例2】
【0039】
市販のホワイトタイプの塩蔵クラゲ200gを用いて、用いた重曹水溶液の水素イオン濃度指数を表1に記載の通り変化させた他は、実施例1の場合と全く同様にして加工クラゲを得た。
結果を表1にまとめた。
【0040】
なお、表1および表2における試験結果は次の方法により実施した。比較例1および2についても同様である。
・pH:水素イオン濃度指数の測定は、JIS K0102の方法に準じて実施した。
・食感:表面部分に歯応えがあり内部が柔らかい食感を申し分なく有する場合には◎を、
表面部分に歯応えがあり内部が柔らかい食感を有する場合には○を、
表面部分の歯応えと内部が柔らかい食感とをわずかに感じられる場合には△を、
表面部分の歯応えも、内部が柔らかい食感も特に有しない場合には×を付した。
・色目:使用した塩蔵クラゲと加工クラゲを比較して全く変化がないか、透明感が増した場合には◎を、
使用した塩蔵クラゲと加工クラゲを比較して変化がない場合には○を、
使用した塩蔵クラゲと加工クラゲを比較してやや黄色がかった場合には△を、
使用した塩蔵クラゲと加工クラゲを比較して明らかに色調が異なる場合には×を
付した。
・臭い:特に何の異臭も感じられない場合には◎を、
十分注意すれば塩蔵臭が感じられる場合には○を、
やや塩蔵臭が感じられる場合には△を、
顔を背けたくなる様な塩蔵臭が感じられた場合には×を付した。
・収率:実験に使用したホワイトタイプの塩蔵クラゲの重量を基準として、得られた加工クラゲの重量を百分率で表した。
【実施例3】
【0041】
重曹水溶液に浸漬した時間を変化させた以外は、実施例1の場合と全く同様に実験を行った。結果を表2に示す。
【実施例4】
【0042】
実施例1で得た本発明の加工クラゲを用いて、株式会社レオテック社製FUDOH NRM−1002Aに、進入度せん断測定用アダプターを装着し、進入強度をグラム数により表記した。結果を表3に示す。
【実施例5】
【0043】
蒸留水1g採取し、バイアル瓶に入れて密栓した。このバイアル瓶を600秒間、50℃、500rpmの条件で加熱撹拌した。その後、前記バイアル瓶のヘッドスペースガスを1ml採取し、ALPHA MOS社のα−FOX装置に導入した。
α−FOX装置のP40/1センサー(酸化スズ半導体センサー)により検出された抵抗値の値は0.03318であった。
同様にアセトニトリル0.04体積%含有蒸留水1gを用いた場合のP40/1センサーの抵抗値の値は0.40619であった(前記蒸留水1gの場合の抵抗値を1としたときの相対抵抗値は12.2)。
同様にアセトニトリル0.10体積%含有蒸留水1gを用いた場合のP40/1センサーの抵抗値の値は0.60059であった(前記蒸留水1gの場合の抵抗値を1としたときの相対抵抗値は18.1)。
次に実施例1により得た加工クラゲを1g採取し、バイアル瓶に入れて密栓した。このバイアル瓶を600秒間、50℃、500rpmの条件で加熱撹拌した。その後、前記バイアル瓶のヘッドスペースガスを1ml採取し、ALPHA MOS社のα−FOX装置に導入した。
α−FOX装置のP40/1センサー(酸化スズ半導体センサー)により検出された抵抗値の値、および前記蒸留水を用いた場合の値を1とした場合の相対抵抗値の値を表4にまとめた。
【比較例】
【0044】
市販のホワイトタイプの塩蔵クラゲ200gを用いて、重曹水溶液の替わりに水を用いた他は、実施例1の場合と全く同様にして加工クラゲを得た。
【0045】
この結果を比較例1として表1および表2に記載した。
【0046】
水洗により塩抜きしたホワイトタイプの塩蔵クラゲおよび塩抜きしたホワイトタイプの塩蔵クラゲを湯せんしたものを用いて、実施例4の場合と同様に進入強度を測定した。
【0047】
この結果をそれぞれ比較例2および比較例3として表3に記載した。
【0048】
水洗により塩抜きしたホワイトタイプの塩蔵クラゲおよび塩抜きしたホワイトタイプの塩蔵クラゲを湯せんしたものを用いて、実施例5の場合と同様に抵抗値の値を測定した。
【0049】
この結果をそれぞれ比較例4および比較例5として表4に記載した。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
【表3】

【0053】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、塩蔵クラゲを使用して塩蔵臭のない加工クラゲを提供することができる。これにより従来の様に濃い味付けにする必要はなく、様々な料理に前記加工クラゲを使用することが可能となり、食材としてのクラゲの用途を拡大することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラゲをアルカリ水に漬け込んだ後、加熱処理を行なったことを特徴とする加工クラゲ。
【請求項2】
加えて、前記加熱処理を行った後に0〜30℃の範囲に冷却したことを特徴とする請求項1に記載の加工クラゲ。
【請求項3】
前記アルカリ水の水素イオン濃度指数がpH7.5〜pH13.5の範囲にあり、かつ前記加熱処理が、40〜70℃の温度範囲において30秒〜10分間処理する手段を含むことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の加工クラゲ。
【請求項4】
前記アルカリ水が、無機塩類水溶液、有機酸塩類水溶液および電解水よりなる群から選ばれる一種以上であることを特徴とする上記請求項1〜3のいずれかに記載の加工クラゲ。
【請求項5】
前記クラゲが、塩蔵クラゲおよび塩抜きした塩蔵クラゲよりなる群から選ばれる一種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の加工クラゲ。
【請求項6】
レオメーターにより測定した針の侵入強度が30〜150gの範囲である加工クラゲ。
【請求項7】
レオメーターにより測定した針の侵入強度が30〜150gの範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の加工クラゲ。
【請求項8】
蒸留水1gをバイアル瓶に入れて密栓し、前記バイアル瓶を600秒間、50℃、500rpmの条件により加温撹拌させた後、前記バイアル瓶のヘッドスペースガス1mlを採取し、酸化スズ半導体を含むセンサーに接触させた場合の前記センサーが示す相対抵抗値が1、同様にアセトニトリル0.04体積%含有蒸留水1gを用いた場合の相対抵抗値が12、同様にアセトニトリル0.10体積%含有蒸留水1gを用いた場合の相対抵抗値が18である分析装置を用いた場合に、同様に1gを用いた場合の相対抵抗値の値が1.4〜2.5の範囲である加工クラゲ。
【請求項9】
蒸留水1gをバイアル瓶に入れて密栓し、600秒間、50℃、500rpmの条件により加温撹拌させた後、バイアル瓶のヘッドスペースガス1mlを採取し、酸化スズ半導体を含むセンサーに接触させた場合の前記センサーが示す相対抵抗値が1、同様にアセトニトリル0.04体積%含有蒸留水1gを用いた場合の相対抵抗値が12、同様にアセトニトリル0.10体積%含有蒸留水1gを用いた場合の相対抵抗値が18である分析装置を用いた場合に、同様に1gを用いた場合の相対抵抗値の値が1.4〜2.5の範囲であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の加工クラゲ。
【請求項10】
クラゲをアルカリ水に漬け込んだ後、加熱処理を行なう操作を含むことを特徴とする加工クラゲの製造方法。

【公開番号】特開2006−129730(P2006−129730A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−319705(P2004−319705)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(590006398)マルトモ株式会社 (23)
【Fターム(参考)】