説明

クラックへの接着剤の注入具

【課題】被注入体の外面に固定する台座の固着強度を向上させると共に、シリンダの繰り返し使用が可能になり、しかも、シリンダの強度低下の発生がないクラックへの接着剤の注入具を提供する。
【解決手段】接着剤の被注入体bに取付ける台座22にシリンダ24の先端を固定し、このシリンダ24内に軸方向への移動が可能となるよう挿入されたピストン25にピストン軸29を設け、前記シリンダ24の後端から外部に突出するピストン軸29の後端に逆止弁を備えた注入プラグ35を設け、上記ピストン25に弾性体で常時前方への移動弾性を付勢し、前記台座22は、被注入体bに取付ける面と反対側の一面側に、シリンダ24の先端を外嵌状に締結するため、シリンダ24の内径と同等かそれよりも大径の円形突部30が設けられ、この円形突部30の中心部に軸方向の貫通孔31を設けて形成され、前記シリンダ24の先端部が円形突部30に外嵌する内径の筒状になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンクリート構造物の内部に発生したクラック等の空隙に接着剤(グラウト剤)を注入し、ひび割れ等の空隙を補修するために用いるクラックへの接着剤の注入具に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物の内部に発生したクラック等の空隙を放置すると、漏水やコンクリートの割れ、外装材として貼り付けたタイルの剥離等が発生するため、クラック等の空隙を接着剤の注入によって埋める必要がある。
【0003】
上記のようなクラック等の空隙に接着剤を注入するための従来の注入方法としては、大別すると、先ず、貫通孔を有する円板状の座金を接着剤の被注入体に、その貫通孔がクラックと連通するよう取付け、接着剤を内部に吸入した注入具を前記座金の貫通孔に取り付け、その後注入具内の接着剤に圧力を加え、接着剤をクラックへ経時的に押出して注入する吸引後付け方式と、円板状の座金を備えた注入具を接着剤の被注入体に、座金に設けた貫通孔がクラックと連通するよう取付け、その後、注入具に接続したポンプでこの注入具を介してクラックに接着剤を注入し、注入具に設けた蓄圧機能で接着剤をクラックへ経時的に押出す先付け注入方式とがある。
【0004】
従来、上述した前者の吸引後付け方式を実施する注入具には、幾つかの異なった構造のものが提案されているが、例えば、図5(a)に示すように、注入具1は、中央に貫通状の螺筒2を有する円板状の座金3と、注入具本体4の組み合わせからなり、注入具本体4は、シリンダ5の先端に前記螺筒2にねじ込む小径の螺筒6を設け、前記シリンダ5の内部に移動可能となるように挿入したピストン7に、シリンダ5の後端から後方に突出するピストン軸8を設け、前記シリンダ5の先端部とピストン軸8の後端の間に加圧ゴム9を掛けることにより、ピストン7に常時前方への移動弾性を付勢し、シリンダ5内に吸引した接着剤aを加圧するようにした構造になっている。
【0005】
上記のような注入具1で被注入体bのクラックcに接着剤aを注入するには、予め座金3を被注入体bに取付け用接着剤で固定しておくと共に、注入具本体4を保持してピストン軸8でピストン7を後方に引くことで、注射器のように先端の螺筒2からシリンダ5内に接着剤aを吸引し、この注入具本体4の螺筒6を座金3の螺筒2にねじ込んで取付け、この後、シリンダ5の先端部とピストン軸8の後端の間に加圧ゴム9を掛け、ピストン7で接着剤aに圧力を加え、この接着剤aをクラックcへ経時的に押出して注入するものである(例えば特許文献1参照)。
【0006】
次に、上述した後者の先付け注入方式を実施する従来の注入具も、幾つかの異なった構造のものが提案されているが、例えば、図5(b)に示すように、注入具1aは、中央に螺筒2を有する円板状の座金3と、注入具本体4aの組み合わせからなり、注入具本体4aは、シリンダ5の先端に前記螺筒2にねじ込む小径の螺筒6を設け、前記シリンダ5の内部に移動可能となるように挿入したピストン7に、接着剤通路10がピストン7と共に軸方向に貫通するピストン軸8を設け、前記シリンダ5の後端から外部に突出するピストン軸8の後端に開閉弁11を設け、前記ピストン7にばね12で常時前方への移動弾性を付勢した構造になっている。
【0007】
このような注入具1aでクラックcに接着剤aを注入するには、座金3を被注入体bに取付け用接着剤で固定すると共に、注入具本体4aの螺筒6を座金3の螺筒2にねじ込んで取付け、この状態で、ピストン軸8の後端に接続したポンプでこの注入具本体4aを介してクラックcに接着剤aを注入し、シリンダ5内に溜まった接着剤aでピストン7が後端側に移動すると、ばね12が収縮することでピストン7によって接着剤aに圧力を加え、
注入具本体4aへの接着剤aの供給を止めて開閉弁11を閉じ、シリンダ5内の接着剤aをクラックcへ経時的に押出すものである(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
このような注入具1aにおいては、シリンダ5内の接着剤aが押出されて減少すると、ばね12による接着剤の押出圧が減少するので、これを補正するため、シリンダの後端部にばね調圧機構を設けたものが提案されている。
【0009】
上記ばね調圧機構は、シリンダの後端側の位置に、両側がシリンダの周壁で軸線を挟む両側の位置に設けたばね圧調整溝に納まり、このばね圧調整溝に沿ってピストン軸の軸方向に移動可能となるばね押え部材を設け、このばね押え部材とピストンの間にピストンに常時前方への移動弾性を付勢するばねを縮設した構造を有し、前記ばね圧調整溝は、ばね押え部材を取付けるために、シリンダの後端で開放していると共に、ばね圧調整溝の複数箇所にばね押え部材を回動させることによって係止する切欠き部を設け、ばね押え部材を先端側の切欠き部に掛け変えることで、ばねの弾性を増加するようになっている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特願2005−311153号公報
【特許文献2】特願昭58−237095号公報
【特許文献3】特公昭64−547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記した何れの方式の注入具においても、構成部材の一部であってもできるだけ繰り返し使用するのが資源の問題や経済性の面から好ましいが、上記した従来の各注入具は、シリンダの先端が絞られて小径の螺筒6になっているので、クラックcへの接着剤aの注入完了後に、シリンダ5内に残った接着剤aが螺筒6内で固化していると、これをシリンダ5内から簡単に取出すことができず、このため、シリンダ5の再使用ができないのが現状である。
【0011】
また、何れの方式の注入具においても、座金3は被注入体bの外面に取付け用接着剤を用いて貼り付け固定され、この固定力には、注入具1、1aで接着剤aをクラックcに圧入するときの反力を支持する強度を要求されるが、前記座金3は単なる円板状の薄板に形成され、被注入体bへの取付け面が平滑面になっているので、取付け用接着剤との接着力が弱く、このため、被注入体bに対する注入具1、1aの固着強度が弱いという問題があり、取付け用接着剤の接着面積を多くして固着強度を上げるために、座金3の被注入体bへの取付け面に環状溝を設けようとしても、座金3の板厚が薄いために浅い環状溝となり、その結局、被注入体bに対する固着強度の向上を図るのが困難である。
【0012】
更に、吸引後付け方式の注入具1は、シリンダ5内に接着剤aを予め吸引しておくため、重量的に重くなり、座金3を被注入体bの外面に固定する取付け用接着剤が完全に固化するまで、座金3に対して注入具本体4、4aの取付けが行えず、その分作業サイクルがその分遅くなるという問題がある。
【0013】
また、上記先付け注入方式の注入具1aにおいて、ばね12の弾性を増加する手段としてシリンダの周壁に設けた両側のばね圧調整溝は、シリンダの後端で開放しているため、シリンダの後端側の強度が低下し、ばねの圧力を高めると変形が生じる場合があり、また、シリンダの周壁を厚肉にして強度を確保すると、材料コストが高く付くという問題がある。
【0014】
そこで、この発明の課題は、被注入体の外面に対する固着強度を向上させることができると共に、シリンダの繰り返し使用を可能にし、しかも、シリンダの強度低下の発生がないクラックへの接着剤の注入具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記のような課題を解決するため、請求項1の発明は、接着剤の被注入体に取付ける台座にシリンダの先端を固定し、このシリンダ内に軸方向への移動が可能となるよう挿入されたピストンに、接着剤通路がピストンと共に軸方向に貫通するピストン軸を設け、前記シリンダの後端から外部に突出するピストン軸の後端に逆止弁を備えた注入プラグを設け、上記ピストンに弾性体で常時前方への移動弾性を付勢したクラックへの接着剤の注入具であって、前記台座は、座板の被注入体に取付ける面と反対側の面に、シリンダの先端を外嵌状に締結するため、シリンダの内径と同等かそれよりも大径の円形突部が設けられ、この円形突部の中心部に軸方向の貫通孔を設けて形成され、前記シリンダの先端部が円形突部に外嵌する内径で開口している構成を採用したものである。
【0016】
請求項2の発明は、上記シリンダの後端側の位置に、このシリンダの周壁で軸線を挟む両側の位置にばね圧調整溝を設け、前記シリンダの後端側の位置に、ピストン軸に外嵌する状態で両側の細幅部が両側のばね圧調整溝に納まり、このばね圧調整溝に沿ってシリンダの軸方向に移動可能となるばね押え部材を取付け、このばね押え部材とピストンの間にピストンに常時前方への移動弾性を付勢するばねを縮設し、前記ばね圧調整溝は、シリンダの軸方向に位置する両端が閉鎖され、少なくとも先端側の端部にばね押え部材を回動させることによって細幅部を係止する切欠き部が設けられている構成を採用したものである。
【0017】
請求項3の発明は、先端側がストレートな筒状で後端が開放されたシリンダの先端部に、接着剤の被注入体に取付ける台座を一体に設け、前記シリンダ内に軸方向への移動が可能となるよう挿入されたピストンに、接着剤通路がピストンと共に軸方向に貫通するピストン軸を設け、前記シリンダの後端から外部に突出するピストン軸の後端に逆止弁を備えた注入プラグを設け、上記ピストンに弾性体で常時前方への移動弾性を付勢したクラックへの接着剤の注入具であって、前記台座とシリンダの先端部が、座板の被注入体に取付ける面と反対側の面に位置し、外径がシリンダと等しい円形突部を介して一体成形され、この円形突部の中心部に軸方向の貫通孔が設けられている構成を採用したものである。
【0018】
請求項4の発明は、上記台座の円形突部を設けた部分に、被注入体に取付ける面で開口する環状溝を貫通孔と同軸心状の配置で設けた構成を採用したものである。
【0019】
請求項5の発明は、上記台座の貫通孔に、弾性材料を用いて一端が端壁で閉鎖された筒状に形成され、この端壁に通過する接着剤で押し開かれるスリットを設けた可動パイプを軸方向に移動可能となるよう取付けた構成を採用したものである。
【0020】
ここで、上記台座とシリンダ、ピストン及びピストン軸は、合成樹脂を用いて形成され、請求項1の場合、台座へのシリンダの取付けは、円形突部の外周に設けた雄ねじに、シリンダの先端部内周に設けた雌ねじをねじ込むことによって着脱自在になっていると共に、螺合部分はパッキンで水密が保たれるようになっている。
また、上記ピストンに対して前進弾性を付与する弾性体は、コイルばねや輪ゴムを用いることができる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によると、接着剤の被注入体に取付ける台座の一面側に、シリンダの先端を外嵌状に締結するため、シリンダの内径と同等かそれよりも大径の円形突部を設け、この円形突部の中心部に軸方向の貫通孔を設け、前記シリンダの先端部を円形突部に外嵌する内径の筒状にしたので、台座に対してシリンダが着脱自在となり、シリンダの先端部が大径で開口することで、クラックへの接着剤の注入完了後に、シリンダ内に残った接着剤が固化しても、これを先端部の開口から簡単に取出すことができ、このため、注入具において台座だけでなくシリンダの再使用が可能となり、材料資源や注入具購入経費の節約が可能になる。
【0022】
請求項2の発明によると、シリンダの後端側の位置に設けたばね圧調整溝を、シリンダの軸方向に位置する両端が閉鎖されているようにしたので、シリンダ内の接着剤をピストンとばねで押出すために、ばね押え部材を取付けるばね圧調整溝を設けても、シリンダの強度を低下させることがなく、従って、シリンダの肉厚を厚くする必要がなくなり、シリンダのコスト低減を図ることができる。
【0023】
請求項3の発明によると、台座の被注入体に取付ける面と反対側の一面側に、先端側がストレートな筒状で後端が開放されたシリンダを一体に設け、この円形突部の中心部に軸方向の貫通孔を設けたので、シリンダの後端が開口することで、クラックへの接着剤の注入完了後に、シリンダ内に残った接着剤が固化しても、これを後端の開口から簡単に取出すことができ、このため、注入具において台座とシリンダの再使用が可能となり、材料資源や注入具購入経費の節約が可能になる。
【0024】
請求項4の発明によると、台座の円形突部を設けた部分に、被注入体に取付ける面で開口する環状溝を貫通孔と同軸心状の配置で設けたので、台座の厚みが部分的に厚くなり、この厚い部分に設ける環状溝を深く形成することができ、台座を被注入体への取付け面に取付け用接着剤で固定したとき、取付け用接着剤が環状溝を埋めることで、取付け用接着剤と台座の接着面積が多くなり、被注入体に対する台座及び注入具本体の固着強度の向上を図ることができ、接着剤注入時の圧力で注入具本体が外れるというようなことがなくなる。
【0025】
請求項5の発明によると、台座の貫通孔に、弾性材料を用いて形成された可動パイプを軸方向に移動可能となるよう取付けたので、台座を被注入体への取付け面に取付け用接着剤で取付けるとき、可動パイプの先端を被注入体への取付け面に当接させてクラックと導通状とすれば、台座を取付けるための取付け用接着剤が加圧された場合でも、貫通孔やクラックに侵入することがなく、シリンダ内とクラックの導通を確実に確保できるので、クラックへの接着剤の注入が確実に行えることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、この発明の実施の形態を図示例に基づいて説明する。
【0027】
図1(a)乃至(d)に示す第1の実施の形態の注入具21は、被注入体bに取付ける台座22と、この台座22に取付ける注入具本体23とからなり、注入具本体23は、前記台座22に先端を固定するシリンダ24と、前記シリンダ24内に軸方向への移動が可能となるよう挿入されたピストン25と、前記ピストン25に常時前方への移動弾性を付勢するばね26と、このばね26の弾性を調整するばね押え部材27とで形成され、前記ピストン25に、接着剤通路28がピストン25と共に軸方向に貫通するピストン軸29が設けられている。
【0028】
上記台座22は、合成樹脂を用いて円板状に形成され、被注入体bに取付ける面と反対側の一面側に、シリンダ24の先端を外嵌状に締結するため、シリンダ24の内径と同等かそれよりも大径の円形突部30が設けられ、この円形突部30の中心部に軸方向の貫通孔31が設けられ、更に、この台座22の円形突部30を設けた部分に、被注入体bに取付ける面で開口する環状溝32が貫通孔31と同軸心状の配置で設けられている。
【0029】
上記シリンダ24は、好ましくは透明や半透明の合成樹脂を用い、先端が開口して後端が閉鎖された円筒状に形成され、このシリンダ24の先端部が、シリンダ24の内径と同一かそれよりも少し大径で、前記円形突部30に外嵌する内径の螺筒部24aになっている。
【0030】
図示の場合、台座22の円形突部30に対するシリンダ24の着脱自在の固定は、シリンダ24の先端を円形突部30に外嵌螺合するねじ結合によって行う例を示し、嵌合部分はパッキン33によって水密を保つようにしているが、円形突部30へのシリンダ24の固定は、円形突部30とシリンダ24の嵌合面の一方にL形の溝と他方に突起を設け、溝の屈曲部分と突起の係合によって抜け止めとするワンタッチ方式や、ビスによる締め付けで固定する構造を採用してもよい。
【0031】
上記ピストン25は、シリンダ24内に軸方向へ移動可能に納まり、ピストンパッキン25aを介してシリンダ24の内周面に摺接し、このピストン25に一体成形したピストン軸29は、ピストン25がシリンダ24の先端に位置する状態でシリンダ24の後端から外部に突出する長さを有し、シリンダ24の後壁には中心部にこのピストン軸29が貫通する透孔34が設けられ、前記ピストン軸29の後端には、逆止弁を備えた注入プラグ35が設けられている。
【0032】
上記シリンダ24の後端側周壁で軸心を挟む両側の位置にばね圧調整溝36が設けられ、このばね圧調整溝36に、ピストン軸29の軸方向に沿って移動可能となるばね押え部材27が取り付けられ、シリンダ24内で前記ピストン25とばね押え部材27の間に、ピストン25を常時前方へ押圧するばね26が縮設されている。
【0033】
上記ばね圧調整溝36は、図1(b)のように、両端が閉鎖された状態でシリンダ24の軸方向に沿うよう設けた直線部36aと、この直線部36aの少なくとも先端側の端部に設けた周方向の屈曲部36bで形成され、このばね圧調整溝36に取付けるばね押え部材27は、図1(c)のように、シリンダ24内に納まるプレート27aの中央にピストン軸29の貫通孔37を設け、このプレート27aの両側にばね圧調整溝36への嵌合細幅部27bと、嵌合細幅部27bの端部に設けた押し込み操作板27cとで形成されている。なお、切欠き部36bは直線部36aの中間にも設け、ばね26の弾性調節が多段に行えるようにしてもよい。
【0034】
このばね押え部材27は、両側の嵌合細幅部27bを両側のばね圧調整溝36に嵌合することにより、ばね圧調整溝36に沿ってピストン軸19の軸方向に移動可能となり、押し込み操作板27cがシリンダ24の外部に位置する取付けとなり、上記ピストン25とこのばね押え部材27のプレート27aの間に、ピストン軸29に対して外嵌するようにばね26が縮設されている。
【0035】
両端が閉鎖されたばね圧調整溝36に対してばね押え部材27をシリンダ24の外部から取付けることができるよう、ばね押え部材27の最大幅Wと、ばね圧調整溝36の直線部36aにおける長さLを、W<Lの関係に設定し、また、ばね圧調整溝36の直線部36aにおける幅W1をばね押え部材27の板厚Tよりも広く設定することにより、ばね押え部材27をその幅方向が直線部36aの長さ方向に沿う状態で、このばね押え部材27を一方ばね圧調整溝36の直線部36aから他方ばね圧調整溝36の直線部36aに挿通し、嵌合細幅部27bを直線部36aに位置させた位相でばね押え部材27を90°回転させれば、嵌合細幅部27bが直線部36aに嵌まり込むことで、ばね押え部材27をピストン軸29の軸方向に移動可能となるよう取付けることができる。
【0036】
このばね押え部材27でばね26の弾性を強くするには、ばね圧調整溝36の後端に位置するばね押え部材27をばね26の弾性に抗して前方に押し込み、切欠き部36bの位置でばね押え部材27をシリンダ24の周方向に回動させ、その嵌合細幅部27bを切欠き部36bに係止させれば、ばね26を圧縮することができる。
【0037】
上記のように、シリンダ24の周壁における両側の位置に設けるばね圧調整溝36を、その両端が閉鎖された構造とすると、シリンダ24の強度を低下させることがなく、これによって、シリンダ24の肉厚を厚くする必要がなくなり、シリンダ24のコスト低減を図ることができる。
【0038】
第1の実施の形態の注入具21は、上記のような構成であり、被注入体bであるコンクリート構造物の内部に発生したクラックc等の空隙を接着剤で補修するには、先ず、台座22を被注入体bの外面にその貫通孔31がクラックcと導通するように取付け用接着剤dを用いて貼り付け固定する。このとき、取付け用接着剤dは、クラックcにおいて貫通孔31が臨む位置には塗布しないようにし、クラックcに貫通孔31が導通するようにしておく。
【0039】
この固定において、被注入体bの外面に塗布した取付け用接着剤dに台座22を押し付け、図1(a)と(d)のように、取付け用接着剤dの一部を環状溝32に進入させることで、取付用接着剤dと台座22の接着面積を多くし、被注入体bに対する台座22の固着強度を向上させるようにする。
【0040】
次に、シリンダ24にばね押え部材27を取付け、その内部にばねを組み込んだ状態でピストン軸29を挿入して後端部を透孔34に通し、このシリンダ24の先端を台座22に設けた円形突部30にねじ込み固定すると、図1(a)のように、シリンダ24は台座22を介して被注入体bに取付けられ、円形突部30に先端面が当接したピストン25はシリンダ24内に嵌合し、ばね26は緩く圧縮された状態となる。
【0041】
図1(a)の状態で、ピストン軸29の後端に設けたプラグ35に接着剤aの注入ポンプを接続し、この注入ポンプで接着剤aを押し出すと、プラグ35の逆止弁が開弁してピストン軸29の接着剤通路28から貫通孔31を通ってクラックに接着剤aが流入し、クラックc内に一通り接着剤aが注入されると、図1(d)のように、接着剤aに加わる圧力が高まることでこの圧力がピストン25に作用し、ピストン25はばね26を圧縮して後方に移動することでシリンダ24内に接着剤aが蓄えられることになる。
【0042】
シリンダ24内に適量の接着剤aが溜まると、プラグ35から注入ポンプを取外すようにすればよく、接着剤aはプラグ35に設けた逆止弁の閉弁により外部に漏れることがなく、シリンダ24内の接着剤aは、ピストン25を介してばね26で加圧されているので、クラックcに対して経時的に押出され、クラックcの狭い部分にまで注入されることになる。
【0043】
シリンダ24内の接着剤aがピストン25の前進によって押出されると、ばね26は伸びてその圧縮弾性が弱まり、押出し力が低下するため、シリンダ24内の接着剤aが減少すると、ばね押え部材27を前方に押し込み、切欠き部36bの位置でばね押え部材27を回動させ、その嵌合細幅部27bを屈曲部36bに係止させれば、ばね26を増し圧縮することで接着剤aの押出し圧力を追加的に高めることができる。
【0044】
また、シリンダ24内の接着剤aが減少すると、プラグ35に接着剤aの注入ポンプを再度接続し、シリンダ24内に接着剤aを補充することで対応することもできる。
【0045】
クラックcを埋めた接着剤aが硬化すれば注入が完了し、この完了後に被注入体bから台座22を剥がして注入具21を取外し、被注入体bの表面に残った取付け用接着剤dを剥離処理すればよい。
【0046】
台座22から取外した注入具21は、シリンダ24内の接着剤aが硬化しているため、注入具21に対して、温湯での加温と温湯からの取出しによる冷却を与えることにより、接着剤aに軟化と硬化を与え、シリンダ24内周面との間に剥離を生じさせ、また、台座22に対したシリンダ24を回転させて切離すようにすることで、加温により軟化した接着剤aを貫通孔31とシリンダ24の境界部分の位置で簡単に切断することができ、従って、台座22から切離したシリンダ24は、先端までストレートで先端が大きく開口しているので、接着剤aをシリンダ24の開口から簡単に取出すことができ、これにより、掃除ができてシリンダ24の再使用が可能になる。
【0047】
また、台座22の貫通孔31は短いと共に例えば10mm前後の直径を有するので、貫通孔31内の硬化した接着剤aは、直径8mm程度の棒体で簡単に押出すことで抜けることになり、これによって台座22も再使用が可能になる。
【0048】
次に、図2に示す第2の実施の形態の注入具21aは、上述した第1の実施の形態の注入具21において、台座22とシリンダ24を合成樹脂で一体成形したものであり、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
【0049】
この第2の実施の形態の注入具21aは、第1の実施の形態と同様の構造を有する台座22とシリンダ24を一体成形し、シリンダ24の先端側形状を大径のストレートにすると共に、シリンダの後端は円筒状態のまま開放させ、このシリンダ24内に、第1の実施の形態と同じように、ピストン25が軸方向への移動が自在となるよう収納され、このピストン25に、ピストン25がシリンダ24の先端に位置する状態でシリンダ24の後端から外部に突出する長さを有するピストン軸29が設けられている。
【0050】
上記シリンダ24の後端側内周に形成した雌ねじを利用して、シリンダ24の後端側にばね押え部材38が螺合され、このばね押え部材38の中心部にピストン軸29が貫通する透孔39が設けられ、シリンダ24の内部でピストン25とばね押え部材38の間にコイル状のばね26が縮設され、ピストン25を常時前方へ押圧すると共に、ばね押え部材38をねじ込むことにより、ばね26の弾性を追加増大させることができるようになっている。なお、前記ばね押え部材38は、円板状でその外周にシリンダ24の雌ねじに螺合する雄ねじが形成され、シリンダ24の後端外部から回動操作するため、外端面に回動用工具の係合部が設けられている。
【0051】
第2の実施の形態の注入具21aは、上記のような構成であり、被注入体bであるコンクリート構造物の内部に発生したクラックc等の空隙を接着剤で補修するには、先ず、シリンダ24の先端に設けた台座22を被注入体bの外面にその貫通孔31がクラックcと導通するように取付け用接着剤dを用いて貼り付け固定し、被注入体bに注入具21aを取付ける。
【0052】
この固定において、被注入体bの外面に塗布した取付け用接着剤dに台座22を押し付け、取付け用接着剤dの一部で環状溝32を埋めることで、取付け用接着剤dと台座22の接着面積を多くし、被注入体bに対する台座22の固着強度を向上させておく。
【0053】
上記シリンダ24は、予め内部にピストン25とばね26を組み込み、シリンダ24の後端に螺合したばね押え部材38でばね26を緩く圧縮し、ピストン25をシリンダ24の先端側に位置させた図示の状態にしておく。
【0054】
次に、ピストン軸29の後端に設けたプラグ35に接着剤aの注入ポンプを接続し、この注入ポンプで接着剤aを押し出すと、プラグ35の逆止弁が開弁してピストン軸29の接着剤通路28から貫通孔31を通ってクラックcに接着剤aが流入し、クラックc内に一通り接着剤aが注入されると、接着剤aに加わる圧力が高まることでこの圧力がピストン25に作用し、ピストン25はばね26を圧縮して後方に移動することでシリンダ24内に接着剤aが蓄えられることになる。
【0055】
シリンダ24内に適量の接着剤aが溜まると、プラグ35から注入ポンプを取外すようにすればよく、接着剤aはプラグ35に設けた逆止弁の閉弁により外部に漏れることがなく、シリンダ24内の接着剤aは、ピストン25を介してばね26で加圧されているので、クラックcに対して経時的に押出され、接着剤aはクラックcの狭い部分にまで注入されることになる。
【0056】
シリンダ24内の接着剤aがピストン25の前進によって押出されると、ばね26の圧縮弾性が弱まり、押出し力が低下するため、シリンダ24内の接着剤aが減少すると、ばね押え部材38をねじ込み方向に回動させ、ばね26を圧縮することで接着剤aの押出し圧力を高めることができる。
【0057】
また、シリンダ24内の接着剤が減少すると、プラグ35に接着剤の注入ポンプを再度接続し、シリンダ24内に接着剤を補充することで対応することもできる。
【0058】
クラックcを埋めた接着剤が硬化すれば注入が完了し、被注入体bから台座22を剥がして注入具21aを取外した後、被注入体bの表面における取付け用接着剤dを剥離処理すればよい。
【0059】
シリンダ24内の接着剤は硬化しているが、シリンダ24は、後端に螺合したばね押え部材38を取外し、ピストン25とばね26を抜き取れば、シリンダ24は後端がストレートで大きく開口するので、シリンダ24の全体に衝撃を加えたり、例えば、注入具21aに温湯での加温と冷却を加え、シリンダ24の内周面に対して接着部を剥離させ、台座22の貫通孔31は短いと共に例えば10mm前後の直径を有するので、貫通孔31内の硬化した接着剤aを直径8mm程度の棒体で叩にすれば、硬化した接着剤をシリンダ24の後端側開口から簡単に取出すことができ、これによって台座22を備えたシリンダ24の再使用が可能になる。
【0060】
次に、図3に示す第3の実施の形態の注入具21bは、上述した第1の実施の形態の注入具21と同様、台座22に対してシリンダ24をねじ結合によって着脱自在に取付けると共に、シリンダ24の内部に収納したピストン25に、常時前方への移動弾性を付勢する弾性体40をシリンダ24の外部に配置したものであり、上述した第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して説明に代える。
【0061】
この第3の実施の形態の注入具21bは、第1の実施の形態と同様の構造を有する台座22とシリンダ24をねじ結合すると共に、シリンダ24の後端壁にピストン軸29の貫通孔41が設けられている。
【0062】
上記シリンダ24の内部に組み込んだピストン25のピストン軸29が貫通孔41からシリンダ24の後方に突出し、このピストン軸29の後端部の位置に、前方への位置決め固定できるように取付けた両側に突出するばね掛け腕42を取付け、このばね掛け腕42と台座22の両側に設けたフック43の間に弾性体40を緊張状態で架け渡すことにより、ピストン25に常時前方への移動弾性を付勢している。
【0063】
上記弾性体40は、輪ゴムやこれとは別にコイルばねを用いることができ、輪ゴムの場合、数を増減することで弾性を調節することができる。
【0064】
この第3の実施の形態の注入具21bは、上記のような構成であり、被注入体bであるコンクリート構造物の内部に発生したクラックc等の空隙を接着剤aで補修するには、先ず、第1の実施の形態と同様、台座22を被注入体bの外面にその貫通孔31がクラックcと導通するように取付け用接着剤dを用いて貼り付け固定し、次に、ピストン25を組み込んだシリンダ24を台座22に螺合し、この被注入体bにシリンダ24を取付ける。
【0065】
上記シリンダ24は、予め内部にピストン25を組み込み、シリンダ24を被注入体bに取付けた後、シリンダ24の後端から突出するピストン軸29の後端部にばね掛け腕42を取付け、このばね掛け腕42と台座22のフック43の間に弾性体40を掛け渡し、ピストン25をシリンダ24の先端側に位置させた状態にしておく。
【0066】
次に、ピストン軸29の後端に設けたプラグ35に接着剤aの注入ポンプを接続し、この注入ポンプで接着剤aを押し出すと、プラグ35の逆止弁が開弁してピストン軸29の接着剤通路28から貫通孔31を通ってクラックcに接着剤aが流入し、クラックc内に一通り接着剤aが注入されると、接着剤aに加わる圧力が高まることでこの圧力がピストン25に作用し、ピストン25は弾性体40を引き伸ばして後方に移動することでシリンダ24内に接着剤aが蓄えられることになる。
【0067】
シリンダ24内に適量の接着剤aが溜まると、プラグ35から注入ポンプを取外すようにすればよく、接着剤aはプラグ35に設けた逆止弁の閉弁により外部に漏れることがなく、シリンダ24内の接着剤aは、ピストン25を介して弾性体40で加圧されているので、クラックcに対して経時的に押出され、接着剤aがクラックcの狭い部分にまで注入されることになる。
【0068】
シリンダ24内の接着剤aがピストン25の前進によって押出されると、弾性体40の圧縮せんとする弾性が弱まり、押出し力が低下するため、シリンダ24内の接着剤aが減少すると、弾性体40の数を増やすかプラグ35に接着剤aの注入ポンプを再度接続し、シリンダ24内に接着剤を補充することで押出力の低下に対応することができる。
【0069】
クラックcを埋めた接着剤aが硬化すれば注入が完了し、弾性体40を外してシリンダ24を台座22から取り外し、被注入体bから台座22を剥がした後、被注入体bの表面における取付け用接着剤dを剥離処理すればよい。
【0070】
シリンダ24内の接着剤aは硬化しているが、台座22から取外したシリンダ24は先端がストレートで大きく開口するので、シリンダ24の全体に衝撃を加えたり、例えば、接着部aを軟化、硬化させることで、シリンダ24の開口から簡単に取出すことができ、また、上述したように、台座22の直径10mm伝後となる貫通孔31からも接着剤を抜き取ることができ、これにより、台座22とシリンダ24は再使用が可能になる。
【0071】
図4は、上述した各実施の形態の注入具21、21a、21bにおいて、台座22の貫通孔31に、可動パイプ44を軸方向に移動可能となるよう取付け、被注入体bに取付け用接着剤dで台座22を固定するとき、クラックcの開口部が取付け用接着剤dで埋まることなく、クラックcに対してシリンダ24を確実に導通させることができるようにした例を示している。
【0072】
上記可動パイプ44は、ゴムや樹脂等の弾性材料を用いて台座22の貫通孔31に対して嵌合する外径の筒状で、後端が端壁45で閉鎖された筒状に形成され、この端壁45にスリット46を設け、通過する接着剤aでスリット46が押し開かれる構造になっている。
【0073】
この可動パイプ44は、台座22を被注入体bに接着する前に、貫通孔31に対してその先端が台座22の被注入体bへの取付け面よりも前方に突出するように取付けておけば、図4(b)のように、台座22を被注入体bへの取付け面に取付け用接着剤dで取付るとき、前記可動パイプ44の先端を被注入体bへの取付け面に当接させてクラックcと導通状とし、台座22を取付けるための取付け用接着剤dが台座22で加圧された場合でも、前記取付け用接着剤dが貫通孔31やクラックcに侵入するのを防ぐことができ、シリンダ24内とクラックcの導通を確保することで、クラックcへの接着剤aの注入が確実に行えることになり、この可動パイプ44は、上記した第1乃至第3の各実施の形態にそれぞれ採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】(a)は第1の実施の形態の注入具を被注入体に取付けた状態を示す縦断正面図、(b)はシリンダの縦断正面図、(c)はばね押え部材の正面図、(d)は被注入体に取付けた注入具に接着剤を注入した状態を示す縦断正面図
【図2】第2の実施の形態の注入具を被注入体に取付けた状態を示す縦断正面図
【図3】第3の実施の形態の注入具を被注入体に取付け、接着剤を注入した状態を示す縦断正面図
【図4】(a)は台座と可動パイプを示す分解斜視図、(b)は台座とこれに取付けた可動パイプを被注入体に取付けた状態を示す縦断正面図
【図5】(a)は従来の注入具を被注入体に取付け、接着剤を注入した状態を示す縦断正面図、(b)は従来の他の例の注入具を被注入体に取付け、接着剤を注入した状態を示す縦断正面図
【符号の説明】
【0075】
21 注入具
22 台座
23 注入具本体
24 シリンダ
25 ピストン
26 ばね
27 ばね押え部材
28 接着剤通路
29 ピストン軸
30 円形突部
31 貫通孔
32 環状溝
33 パッキン
34 透孔
35 注入プラグ
36 ばね圧調整溝
37 貫通孔
38 ばね押え部材
40 弾性体
41 貫通孔
42 ばね掛け腕
43 フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤の被注入体に取付ける台座にシリンダの先端を固定し、このシリンダ内に軸方向への移動が可能となるよう挿入されたピストンに、接着剤通路がピストンと共に軸方向に貫通するピストン軸を設け、前記シリンダの後端から外部に突出するピストン軸の後端に逆止弁を備えた注入プラグを設け、上記ピストンに弾性体で常時前方への移動弾性を付勢したクラックへの接着剤の注入具であって、
前記台座は、座板の被注入体に取付ける面と反対側の面に、シリンダの先端を外嵌状に締結するため、シリンダの内径と同等かそれよりも大径の円形突部が設けられ、この円形突部の中心部に軸方向の貫通孔を設けて形成され、前記シリンダの先端部が円形突部に外嵌する内径で開口しているクラックへの接着剤の注入具。
【請求項2】
上記シリンダの後端側の位置に、このシリンダの周壁で軸線を挟む両側の位置にばね圧調整溝を設け、前記シリンダの後端側の位置に、ピストン軸に外嵌する状態で両側の細幅部が両側のばね圧調整溝に納まり、このばね圧調整溝に沿ってシリンダの軸方向に移動可能となるばね押え部材を取付け、このばね押え部材とピストンの間にピストンに常時前方への移動弾性を付勢するばねを縮設し、前記ばね圧調整溝は、シリンダの軸方向に位置する両端が閉鎖され、少なくとも先端側の端部にばね押え部材を回動させることによって細幅部を係止する切欠き部が設けられている請求項1に記載のクラックへの接着剤の注入具。
【請求項3】
先端側がストレートな筒状で後端が開放されたシリンダの先端部に、接着剤の被注入体に取付ける台座を一体に設け、前記シリンダ内に軸方向への移動が可能となるよう挿入されたピストンに、接着剤通路がピストンと共に軸方向に貫通するピストン軸を設け、前記シリンダの後端から外部に突出するピストン軸の後端に逆止弁を備えた注入プラグを設け、上記ピストンに弾性体で常時前方への移動弾性を付勢したクラックへの接着剤の注入具であって、
前記台座とシリンダの先端部が、座板の被注入体に取付ける面と反対側の面に位置し、外径がシリンダと等しい円形突部を介して一体成形され、この円形突部の中心部に軸方向の貫通孔が設けられているクラックへの接着剤の注入具。
【請求項4】
上記台座の円形突部を設けた部分に、被注入体に取付ける面で開口する環状溝を貫通孔と同軸心状の配置で設けた請求項1乃至3の何れかに記載のクラックへの接着剤の注入具。
【請求項5】
上記台座の貫通孔に、弾性材料を用いて一端が端壁で閉鎖された筒状に形成され、この端壁に通過する接着剤で押し開かれるスリットを設けた可動パイプを軸方向に移動可能となるよう取付けた請求項1乃至4の何れかに記載のクラックへの接着剤の注入具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−167679(P2009−167679A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6413(P2008−6413)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(502236518)
【Fターム(参考)】