説明

クランプ具支持台

【課題】クランプ具を装備した構造物の取り付けをするためのクランプ具当接面をスノコ状足場板に簡便に形成できるようにする。
【解決手段】スノコ状足場板2の上下面に当接させる上当接体12と下当接体13とを有し、上当接体12は2本の条材7に跨る上板部20とこの上板部20から条材間隙Sに突出した上連結部21とを有し、下当接体13は2本の条材7に跨る下板部36とこの下板部36から条材間隙Sに突出して上連結部21と重合する下連結部37とを有し、上連結部21の一端側と下連結部37の他端側とに係合突起27,46が形成され、上連結部21の他端側と下連結部37の一端側とに、前記係合突起27,46と間隙長手方向移動により係合して下当接体13が吊り持たれる係合凹部28,45が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スノコ状足場板に手摺りなどをクランプ具を介して着脱自在な状態で取り付ける場合に好適に使用することができるクランプ具支持台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業用の足場板として、板部外周に下向きの外周リブを備え、且つ板部裏面の中央に長辺方向に沿って中間リブを備えたものが公知であり、このような足場板の側部に手摺りを着脱自在な状態で取り付けることが提案されている(特許文献1等参照)。この種の足場板では、外周リブの下端と中間リブの下端とに互いに対向突出する略水平なフランジが設けられている。そこで手摺りを取り付ける場合は、中間リブのフランジに対して下方へ押さえるように係合する浮上阻止片を手摺りの支柱下端に設けたうえでこの支柱下端を外周リブ側面に当接させ、更に、支柱下端から外周リブのフランジへ延ばした鉤フックで、支柱下端を外周リブに寄せ付けるようにして、手摺りを固定していた。
【0003】
なお、足場板としては、外周リブや中間リブによって表裏の使用向きが限定されるのを解消し(両面使用ができるものとし)、また軽量で高強度にできるようにするため、複数本の条材(断面略六角形の角筒状のもの)を間隔をおいて配列したスノコ状足場板が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−206610号公報
【特許文献2】特開2004−353408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スノコ状足場板では、外周リブや中間リブを備えていないため、これら各リブへの係合を必要とする従来の手摺り取付構造は採用できない。なお、例えば、手摺りの下端部に手摺り立設用のベースプレートを設けて、このベースプレートを足場板に固定するような構造では、スノコ状足場板の上面がベースプレートによって広面積で覆われてしまい、足場板上で行う作業に邪魔となるので採用できないという難しさがあった。またこの構造では手摺りが大型化して、収納や運搬、着脱作業に不都合が生じる問題もあった。このようなことから、スノコ状足場板に対して手摺りを着脱自在な状態として取り付けることができないものとされていた。
【0006】
ところで、手摺りを足場板に立設固定するには、手摺り下部にクランプ具を装備しておいて、このクランプ具で足場板を上下から挟んで取り付けできれば、取り付け作業も簡便になることが知られているが、前記スノコ状足場板ではクランプ具で挟む平坦な面がなく、クランプ具を適用困難にしている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、クランプ具を装備した構造物の取り付けをするためのクランプ具当接面をスノコ状足場板に簡便に形成できるようにしたクランプ具支持台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明は、複数本の条材7を間隔をおいて配列したスノコ状足場板2の上下面に当接体12,13を当てがってクランプ具3を装着するための上下クランプ具当接面を形成するクランプ具支持台1であって、
前記上当接体12は少なくとも2本の条材7に跨る上クランプ具当接面12aを形成した上板部20と、この上板部20から条材間隙Sに突出した上連結部21とを有し、前記下当接体13は少なくとも2本の条材7に跨る下クランプ具当接面13aを形成した下板部36と、この下板部36から条材間隙Sに突出して前記上当接体12の上連結部21と間隙幅方向に重合する下連結部37とを有し、
前記上当接体12の上連結部21の間隙長手方向の一端側と前記下当接体13の下連結部37の間隙長手方向の他端側とに、互いに対向方向に突出した係合突起27,46が形成されており、
前記上連結部21の間隙長手方向の他端側には、前記下連結部37の係合突起46と間隙長手方向移動により係脱自在に係合して下当接体13を吊り持つ係合凹部28が形成され、前記下連結部37の間隙長手方向の一端側には、前記上連結部21の係合突起27と間隙長手方向移動により係脱自在に係合して下当接体13が吊り持たれる係合凹部45が形成されていることを特徴とする。
【0008】
前記上当接体12及び下当接体13に設けられる係合凹部28,45のうち少なくとも一方に、係合する係合突起27,46の間隙長手方向移動を阻止する移動制限部52〜55が形成されているものとするのが好適である。
前記上連結部21の下部は下連結部37側に屈曲してその屈曲部25の上面に突出受面26が形成され、前記下連結部37の上部は上連結部21側に屈曲してその屈曲部42の下面に前記上連結部21の突出受面26に間隙長手方向移動自在に載置される突出載面43が形成されており、
前記上連結部21の突出受面26に下連結部37の突出載面43が載置される上下高さは、上連結部21の係合突起27と係合凹部28とに下連結部37の係合凹部45と係合突起46とを前記間隙長手方向移動でそれぞれ係脱自在に係合させる上下高さに設定されたものとするのが好適である。
【0009】
また、前記上当接体12の上板部20の下面20aと前記下当接体13の下板部36の上面36aとには、条材間隙Sの両側の条材7と係合して間隙幅方向の移動を規制する位置決め部23,39が形成されたものとするのが好適である。
更に、前記上当接体12及び下当接体13は間隙幅方向中央及び間隙長手方向中央で点対称形状に形成されたものとするのが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るクランプ具支持台は、クランプ具を装備した構造物の取り付けをするためのクランプ具当接面をスノコ状足場板に簡便に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態を示す断面正面図である。
【図2】クランプ具支持台の使用状態を示した斜視図である。
【図3】クランプ具支持台の斜視図である。
【図4】上当接体を示したものであって、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は底面図である。
【図5】上当接体と下当接体の係合高さを説明した側面図である。
【図6】(A)は上当接体と下当接体とを係合させた状況を示した正面図であり、(B)は同側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1乃至図6は、本発明に係るクランプ具支持台1の一実施形態を示している。図2に示すように、このクランプ具支持台1は、スノコ状足場板2に対してクランプ具3を着脱自在な状態で取付可能にし、もって、このクランプ具3を備える手摺り(構造物)5を足場板2に取り付けられるようにする。
【0013】
なお、クランプ具3と手摺り5とは、一体であっても、ボルト結合等により結合されている別体であってもよく、また、構造物としては、手摺り5の他、複数本の支柱5aと横桟5b(手摺りバー等)とで柵構造を有したもの(安全柵)、複数本の支柱間でロープ、鎖、ワイヤ等を張り渡したもの、支柱のみのもの(横桟を具備せずに握り棒として使用されるもの)などを含むものとする。
【0014】
足場板2は、パイプ足場等の支柱間に架設されるもので、複数本の条材7(図例では5本)を、足が落ち込まない程度の間隔(条材間隙S)で配列し、各条材7間の長手方向の複数箇所(図例では2カ所)をつなぎ材8で連結することにより、スノコ状に構成してある。図1に示すように、条材7は、外形が断面略六角形状とされ、内部が中空とされたアルミ押出材等の筒体とされている。そのため、各条材7の両端部は端板9によって孔部開口が塞がれている。
【0015】
条材7は、頂部7aを上下両側に向けた断面中高形状(上下対称の山形)としてあり、両頂部7a間を繋ぐ側面7bが上下方向に垂直で且つ頂部7aを形成している相互隣接の各斜面7cより辺長さが長くなるように形成してある。但し、頂部7aの先端は円弧形状としてあり、また条材7の内部孔形状は、頂部7aの円弧形に対応させて平坦面7dが形成されるようにした断面略八角形状としてある。そのため、頂部7aは他部より厚肉とされ、この頂部7a外面には滑り止め用の細筋が複数本形成されている。条材7は上下対称形の断面中高形状とされているため、足場板2を上下反転させて使用可能であり、また頂部7aに砂や水等が溜まらない利点がある。
【0016】
このような構成のスノコ状足場板2に対し、クランプ具支持台1は、上当接体12と下当接体13とを有して構成されており、これら上当接体12と下当接体13とを足場板2の上下面(各条材7の上向き及び下向きの頂部7aを連ねて形成される面)にそれぞれ当接させて取り付けるようにする。そして、上当接体12の上面を上クランプ具3aが当接する上クランプ具当接面12aとし、下当接体13の下面を下クランプ具3bが当接する下クランプ具当接面13aとして使用する。
【0017】
図3及び図4に示すように、上当接体12は、上板部20とこの上板部20の一方面(使用時の下面20a)で突出した上連結部21とを有して、断面T字状に形成されている。上板部20は、足場板2における側部寄りの条材間隙Sを中心にしてその両側に配置される2本の条材7に跨り(上方から覆う状態となり)、上板部20の下面20aが各条材7の上向きの各頂部7aに当接する幅を有して形成されている。
【0018】
上板部20の下面両端部には、条材間隙Sの両側の条材7に対し、それらの外向きに下り傾斜する斜面7cと係合する位置決め部23が形成されている。各位置決め部23は、条材7の斜面7cと略同じ傾きを有して傾斜するようになっている。そのため、条材間隙Sの両側の条材7に上板部20を跨らせ、上板部20の下面20aを各頂部7aに当接させたとき、各位置決め部23が条材7の各斜面7cに面接触するので、上板部20(上当接体12全体)は間隙幅方向(条材7長手方向と直交する方向)での移動が阻止されるべく位置規制される。
【0019】
上連結部21は、上板部20の下面20aから条材間隙Sへ向けて突出するようになっている。上連結部21の突出高さは、足場板2の厚さ(条材7の上下方向寸法)よりも小さくされている。また、上板部20の幅方向で上連結部21が突出する位置は、上板部20の両側の位置決め部23を2本の条材7の各外向き斜面7cに係合させたときに、上連結部21が条材間隙Sの幅方向中心よりも片方(図1右側)の条材7に近接するような配置に設定されている。そのため、この上連結部21を条材間隙Sに差し込んだときも、条材間隙Sには、未だ条材間隙Sの半分以上幅の隙間が残される(形成される)ことになり、この隙間が、後述する下当接体13の下連結部37を差し込むために使用できるようになる。
【0020】
上連結部21の下部には、条材間隙Sへの差し込み状況下において下当接体13の下連結部37側へ向けてクランク状に突出するようにして屈曲部25が設けられている。そして、この屈曲部25の上面には、上板部20と面平行(使用時の略水平状態)となる突出受面26が形成されている。この突出受面26は、後述する下当接体13の突出載面43を載置係合させて、上当接体12に対して下当接体13を所定高さ関係に保持させるように使用する。
【0021】
この上連結部21には、間隙長手方向の一端(図5の右側であって以下では「前端21a」と言う)側に係合突起27が形成され、他端(図5の左側であって以下では「後端21b」と言う)側に係合凹部28が形成されている。本実施形態では、突出受面26よりも下側となる縦片部(屈曲部25)に対して係合突起27が設けられ、突出受面26よりも上側となる縦片部に対して係合凹部28が設けられたものとしてある。
【0022】
係合突起27は、屈曲部25から側方(条材間隙S内で上当接体12の上連結部21から見て下当接体13の下連結部37が重合する方向)へ向けて丸棒材を直交状に突出させ、その突出端側に径大円盤状の抜止片30を設けたものとしてある。係合突起27における抜止片30までの突出長さは、下連結部37の肉厚を超える寸法としてある。なお、抜止片30は省略してもよい。
【0023】
係合凹部28は、上連結部21の後端21bを開放させた状態で前方へ所定長さの切り欠きを形成させた板厚方向の貫通口としてある。係合凹部28が上連結部21の後端21bで開口する部分では、上部隅部及び下部隅部にアール面取りによる係合誘導部31,32が設けられている。また、この係合凹部28の前端最奥部には開口縁部の下縁側を下向き半円状に凹ませた窪み部33が形成されている。
【0024】
一方、下当接体13は、下板部36とこの下板部36の一方面(使用時の上面36a)で突出した下連結部37とを有して、断面形状が逆T字状に形成されている。下板部36は、足場板2における側部寄りの条材間隙Sを中心にしてその両側に配置される2本の条材7に跨り(下方から覆う状態となり)、下板部36の上面36aが各条材7の下向きの各頂部7aに当接する幅を有して形成されている。
【0025】
下板部36の上面両端部には、条材間隙Sの両側の条材7に対し、それらの外向きに上り傾斜する斜面7cと係合する位置決め部39が形成されている。各位置決め部39は、条材7の斜面7cと略同じ傾きを有して傾斜するようになっている。そのため、条材間隙Sの両側の条材7に下板部36を跨らせ、下板部36の上面36aを各頂部7aに当接させたとき、各位置決め部39が条材7の各斜面7cに面接触するので、下板部36(下当接体13全体)は間隙幅方向での移動が阻止されるべく位置規制される。
【0026】
下連結部37は、下板部36の上面36aから条材間隙Sへ向けて突出するようになっている。下連結部37の突出高さは、足場板2の厚さ(条材7の上下方向寸法)よりも小さくされている。また、下板部36の幅方向で下連結部37が突出する位置は、下板部36の両側の位置決め部39を2本の条材7の各外向き斜面7cに係合させたときに、条材間隙Sの幅方向中心よりも片方(図1左側)の条材7に近接した配置となるように設定されている。
【0027】
前記したように、条材間隙Sには、上当接体12の上連結部21を差し込んだ後も、未だ条材間隙Sの半分以上幅の隙間が残されているため、この隙間へ下当接体13の下連結部37を差し込むようにする。従って、条材間隙S内では、上当接体12の上連結部21と下当接体13の下連結部37とが間隙幅方向に重合するようになる。
下連結部37の上部には、条材間隙Sへの差し込み状況下において上当接体12の上連結部21側へ向けてクランク状に突出するようにして屈曲部42が設けられている。そして、この屈曲部42の下面には、下板部36と面平行(使用時の略水平状態)となる突出載面43が形成されている。この突出載面43は、上当接体12の突出受面26に載置係合させることで、上当接体12に対して下当接体13を所定高さ関係に保持させるように使用する。
【0028】
この下連結部37には、間隙長手方向の一端(以下「前端37a」と言う)側に係合凹部45が形成され、他端(以下「後端37b」と言う)側に係合突起46が形成されている。本実施形態では、突出載面43よりも上側となる縦片部(屈曲部42)に対して係合突起46が設けられ、突出載面43よりも下側となる縦片部に対して係合凹部45が設けられたものとしてある。
【0029】
係合突起46は、屈曲部42から側方(条材間隙S内で下当接体13の下連結部37から見て上当接体12の上連結部21が重合する方向)へ向けて丸棒材を直交状に突出させ、その突出端側に径大円盤状の抜止片47を設けたものとしてある。係合突起46における抜止片47までの突出長さは、上連結部21の肉厚を超える寸法としてある。なお、抜止片47は省略してもよい。
【0030】
係合凹部45は、下連結部37の前端37aを開放させた状態で後方へ所定長さの切り欠きを形成させた板厚方向の貫通口としてある。係合凹部45が下連結部37の前端37aで開口する部分では、上部隅部及び下部隅部にアール面取りによる係合誘導部48,49が設けられている。また、この係合凹部45の後端最奥部には開口縁部の上縁側を上向き半円状に凹ませた窪み部50が形成されている。
【0031】
これら上当接体12の上連結部21に設けられた係合突起27及び係合凹部28と、下当接体13の下連結部37に設けられた係合凹部45及び係合突起46との間には、次のような外形的及び配置的な寸法関係が得られるようにしてある。
すなわち、上当接体12の係合凹部28は下当接体13の係合突起46を嵌め込み可能にする開口大きさに形成され、且つ係合凹部28の窪み部33は係合突起46の半径程度の凹み量を有した半円形に形成されている。また、下当接体13の係合凹部45は上当接体12の係合突起27を嵌め込み可能にする開口大きさに形成され、且つ係合凹部45の窪み部50は係合突起27の半径程度の凹み量を有した半円形に形成されている。
【0032】
そして、上当接体12の突出受面26から係合突起27中心までの高さと、下当接体13の突出載面43から係合凹部45中心までの高さとが略等しく形成され、また上当接体12の突出受面26から係合凹部28中心までの高さと、下当接体13の突出載面43から係合凹部45中心までの高さとが略等しく形成されている。更に、上当接体12における係合突起27と係合凹部28との前後間距離と、下当接体13における係合突起46と係合凹部45との前後間距離とが略等しく形成されている。
【0033】
本実施形態では、上当接体12の係合凹部28に窪み部33を設け、且つ下当接体13の係合凹部45に窪み部50を設けているので、上当接体12の突出受面26から係合突起27上端までの高さと、下当接体13の突出載面43から窪み部50内上縁までの高さとを略等しくし、また上当接体12の突出受面26から窪み部33内下縁までの高さと、下当接体13の突出載面43から係合突起46下端までの高さとを略等しくした。これにより、図6に示すように、係合突起27と窪み部50とが係合し、且つ係合突起46と窪み部33とが係合したときも、突出受面26と突出載面43とは面接触による載置係合状態が保持される(上当接体12に対して下当接体13が略平行に吊り持たれる)ようになる。
【0034】
なお、このような構造を採用していることで、下当接体13の係合突起46が上当接体12の係合凹部28内に嵌り込む際には、係合突起46が係合凹部28の下側の係合誘導部32と当接するようになり、また、下当接体13の係合凹部45が上当接体12の係合突起27を嵌め入れる際には、係合凹部45の上側の係合誘導部48が係合突起27と当接するようになる。しかし、各係合突起46,27がいずれも丸棒により形成され、また各係合誘導部32,48がアール面取りによって形成されていることで、係合突起46の係合凹部28への嵌り込み、及び係合凹部45に対する係合突起27の嵌り込みは、容易且つ確実に行われるものとなる。
【0035】
ところで、係合突起27と窪み部50との係合状態では、窪み部50が係合突起27の前後を挟み込むようになっているので、下当接体13を同一高さのまま(突出受面26と突出載面43とを面接触させたまま)で前後移動させようとしても、窪み部50の前後両側の開口縁部が係合突起27に引っ掛かって移動抵抗となる。すなわち、窪み部50の前側の開口縁部は、係合突起27に対する移動制限部52を形成していることになる。
【0036】
同様に、係合突起46と窪み部33との係合状態では、窪み部33が係合突起46の前後を挟み込むようになっているので、下当接体13を同一高さのまま前後移動させようとしても、係合突起46は窪み部33の前後両側の開口縁部に引っ掛かって移動しない。すなわち、窪み部33の後側の開口縁部は、係合突起46に対する移動制限部55を形成していることになる。
【0037】
このような上当接体12及び下当接体13は、条材間隙Sにおける間隙幅方向中央及び間隙長手方向中央で点対称形状に形成されたものとしている。すなわち、上当接体12及び下当接体13は同一構造を有したもの(共通部品)としてある。そのため、下当接体13を上下逆向きにして上当接体12として使用したり、上当接体12を上下逆向きにして下当接体13として使用したりすることもできる。上当接体12の係合凹部28に上下の係合誘導部31,32を対称配置で設けたり、下当接体13の係合凹部45に上下の係合誘導部48,49を対称配置で設けたりしてあるのは、このためである。
【0038】
以上、詳説した構成を備える本発明のクランプ具支持台1を使用するには、図1に示すように、足場板2の側部に近い条材間隙Sに対して、まず、その上側から上当接体12の上連結部21を嵌め入れ、この条材間隙Sの両側となる条材7の上部(上向きの頂部7a)に上板部20を跨らせて当接させる。
次に、上連結部21を嵌め入れたのと同じ条材間隙Sに対し、その下側から下当接体13の下連結部37を嵌め入れ、この条材間隙Sの両側となる条材7の下部(下向きの頂部7a)に下板部36を跨らせるようにする。
【0039】
このとき、上当接体12の係合突起27及び係合凹部28よりも、下当接体13の係合突起46及び係合凹部45がそれぞれ後方配置となり、且つ、上当接体12の上連結部21と下当接体13の下連結部37とを重合させた状態にして、上当接体12の突出受面26に下当接体13の突出載面43を載置係合させる。
そして、突出受面26と突出載面43とが面接触する状態を保持させたまま(面接触は限定されるものではない)、下当接体13を条材間隙Sの間隙長手方向に沿って前方移動させる。これにより、下当接体13の係合凹部45が上当接体12の係合突起27に嵌り込み、同時に、下当接体13の係合突起46が上当接体12の係合凹部28に嵌り込むようになる。従って、下当接体13が上当接体12に吊り持たれる(足場板2に対してクランプ支持台1を装着した)ことになる。
【0040】
係合凹部45の窪み部50に係合突起27が嵌り込んで係合し、係合凹部28の窪み部33に係合突起46が嵌り込んで係合した状態になれば、下当接体13を同一高さのまま(突出受面26と突出載面43とを面接触させたまま)で前後移動させようとしても、窪み部50の移動制限部52で係合突起27が移動規制され、窪み部33の移動制限部55で係合突起46が移動規制されることで、下当接体13は前後移動が制限され、その結果、上当接体12に対する下当接体13の吊り持ち状態は脱出することなく維持されることになる。
【0041】
足場板2に対し、手摺り5の支柱5aの本数と同数のクランプ支持台1を装着した後、各クランプ支持台1の上当接体12と下当接体13とを、手摺り5のクランプ具3(上クランプ具3a及び下クランプ具3b)で上下から挟んでクランプすることで、上当接体12における上板部20の下面20aを足場板2の上面(条材7の上向きの頂部7a)へ押し付けると共に、下当接体13における下板部36の上面36aを足場板2の下面(条材7の下向きの頂部7a)へ押し付ける。これにより、足場板2に対する手摺り5の取り付けは完了する。言うまでもなく、足場板2から手摺り5を外すには、前記と逆順の操作を行えばよい。
【0042】
足場板2に手摺り5を取り付けた状態は、足場板2の上面が広面積で覆われるものとはならないので、足場板2上で行う作業に邪魔となることはない。勿論、足場板2において条材間隙Sはその殆どが確保されたままになるので、上面に砂や水等が溜まらないという利点は活かされている。また手摺り5は、足場板2への取付構造が大型化するものではないので、収納や運搬、着脱作業に不都合が生じることもない。
【0043】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、上当接体12の上板部20や下当接体13の下板部36は、条材間隙Sを中心としてその片側又は両側で2本以上の条材7に跨るような幅を有して形成されたものでもよい。
【0044】
上板部20の位置決め部23や下板部36の位置決め部39は、条材間隙Sの両側の条材7に対し、それらの内向きの斜面7cと係合するように形成させてもよい。また、条材7の断面形状に対応させて同じ方向に傾斜させる必要はなく、上板部20や下板部36に対して直角に設けたり、円弧形に設けたりすることもできる。
上当接体12及び下当接体13は、アルミ合金製とするのが好適であるが、真鍮、ステンレス、鉄、その他の金属材製としてもよいし、プラスチック製等としてもよい。
【0045】
本発明は、足場板2に対して手摺り5を取り付ける場合に限らず、各種部材(例えば、小物入れや照明器具など)を足場板2の側部に付設するものに対して実施可能である。
足場板2を構成する条材7は、断面略四角形や断面円形のパイプ材としてもよいし、断面I形や断面コ字状の棒材としてもよい。また条材7は4本以下又は6本以上としてもよいし、つなぎ材8は3カ所以上としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 クランプ具支持台
2 足場板
7 条材
12 上当接体
13 下当接体
20 上板部
21 上連結部
23 位置決め部
26 突出受面
27 係合突起
28 係合凹部
36 下板部
37 下連結部
39 位置決め部
43 突出載面
45 係合凹部
46 係合突起
52,55 移動制限部
S 条材間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の条材を間隔をおいて配列したスノコ状足場板の上下面に当接体を当てがってクランプ具を装着するための上下クランプ具当接面を形成するクランプ具支持台であって、
前記上当接体は少なくとも2本の条材に跨る上クランプ具当接面を形成した上板部と、この上板部から条材間隙に突出した上連結部とを有し、
前記下当接体は少なくとも2本の条材に跨る下クランプ具当接面を形成した下板部と、この下板部から条材間隙に突出して前記上当接体の上連結部と間隙幅方向に重合する下連結部とを有し、
前記上当接体の上連結部の間隙長手方向の一端側と前記下当接体の下連結部の間隙長手方向の他端側とに、互いに対向方向に突出した係合突起が形成されており、
前記上連結部の間隙長手方向の他端側には、前記下連結部の係合突起と間隙長手方向移動により係脱自在に係合して下当接体を吊り持つ係合凹部が形成され、前記下連結部の間隙長手方向の一端側には、前記上連結部の係合突起と間隙長手方向移動により係脱自在に係合して下当接体が吊り持たれる係合凹部が形成されていることを特徴とするクランプ具支持台。
【請求項2】
前記上当接体及び下当接体に設けられる係合凹部のうち少なくとも一方に、係合する係合突起の間隙長手方向移動を阻止する移動制限部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のクランプ具支持台。
【請求項3】
前記上連結部の下部は下連結部側に屈曲してその屈曲部の上面に突出受面が形成され、前記下連結部の上部は上連結部側に屈曲してその屈曲部の下面に前記上連結部の突出受面に間隙長手方向移動自在に載置される突出載面が形成されており、
前記上連結部の突出受面に下連結部の突出載面が載置される上下高さは、上連結部の係合突起と係合凹部とに下連結部の係合凹部と係合突起とを前記間隙長手方向移動でそれぞれ係合させる上下高さに設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクランプ具支持台。
【請求項4】
前記上当接体の上板部の下面と前記下当接体の下板部の上面とには、条材間隙の両側の条材と係合して間隙幅方向の移動を規制する位置決め部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のクランプ具支持台。
【請求項5】
前記上当接体及び下当接体は間隙幅方向中央及び間隙長手方向中央で点対称形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のクランプ具支持台。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−162965(P2012−162965A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26141(P2011−26141)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000136170)株式会社ピカコーポレイション (46)