説明

クリアトナー、画像形成方法

【課題】画像支持体に供給された後、均一でムラのない光沢面を形成するとともに、光沢面上に指紋が付着しても美観を損ねることのないプリント物が得られるクリアトナーを提供する。
【解決手段】少なくともカルボキシル基(−COOH)を有する重合性単量体を用いて形成される重合体よりなる樹脂を含有し、前記重合体を構成するカルボキシル基を有する重合性単量体の比率が15質量%以上のクリアトナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式やインクジェット方式等の公知の画像形成装置により形成された画像面に光沢を付与するためのクリアトナーと呼ばれる無色透明のトナーに関し、特に、形成した画像面上に指紋が付着してもそれを目立たせないクリアトナーに関する。
【背景技術】
【0002】
写真画像やポスター等に代表されるプリント画像は、従来からの銀塩写真方式やグラビヤ印刷等の印刷方式に加え、最近ではインクジェット装置や電子写真方式の画像形成装置で作製することも可能になってきた。
【0003】
たとえば、複写機やプリンタ等の電子写真方式の画像形成技術の分野では、露光系等のデジタル化やトナーの小径化等の技術の進展に伴い、1200dpi(dpi;1インチ(2.54cm)あたりのドット数)レベルの微小ドット画像の再現を可能にしている。また、複数の感光体ドラム上にトナー画像をそれぞれ形成し、形成したトナー画像を中間転写体に一次転写して重ね合わせ、中間転写体に形成したトナー画像を転写材に二次転写する方法等によりフルカラー画像形成を可能にする技術も展開されている。この様に、画像形成技術の進展により、写真画像の様な高解像度が要求されるフルカラー画像も銀塩写真や従来の印刷技術に加えて、これらの画像形成技術により作製できる様になった。
【0004】
ポスター等の写真画像では、光沢のある画像が求められることが多いが、たとえば、トナーを用いて写真画像を形成すると、用紙等の画像支持体上に定着されたトナー画像領域はある程度の光沢があるものの白地部はあまり光沢がない仕上がりになることがある。この様に、光沢の仕上がりにばらつきがあるとプリント物の画像品質を損ねることになるのでその対策が求められていた。
【0005】
画像上の光沢ムラをなくすための技術として、クリアトナーあるいは透明トナーとも呼ばれる着色剤成分を有さない構成のトナーを用いて画像形成を行う技術が検討される様になった。具体的には、画像が形成された画像支持体全面にクリアトナーを供給し、これを加熱、冷却することで画像全面にクリアトナー層を形成して、画像全面にムラのない均一な光沢度を有するプリント物を作製する技術がある(たとえば、特許文献1参照)。また、カラートナーと透明トナーの粒径差を特定する等、トナー画像を形成するトナーと画像全面に供給される透明トナーの物性差に着目してトナーを設計することにより、ムラのない光沢面を有するフルカラー画像を形成する技術もある(たとえば、特許文献4参照)。
【0006】
さらに、光沢付与装置と呼ばれるプリンタ等で作成された画像表面に供給された透明トナーを加熱溶融して光沢面を形成する装置もある。この装置は、プリンタ等の画像形成装置で作製された画像全面に供給された透明トナーを加熱、溶融する。そして、溶融した透明トナーの面をベルト部材に密着させた状態で冷却して透明トナーを硬化させ、透明トナーが硬化した後、プリント物をベルト部材より剥離して、均一な光沢面を有するプリント物を作成するものである。(たとえば、特許文献2、3参照)。
【0007】
この様に、画像面上に形成された均一な光沢面は付加価値を付与する上で有効であるが、作成したプリント物を素手で触ったときに画像面に指紋が付着して美観を損ねることがあった。たとえば、濃いめのモノクロ画像ポスターを作成したときに黒地に付着した指紋が目立つこと等があり、作成したプリント物への指紋付着が商品価値に影響を与えることにもなった。したがって、プリント物の作成現場におかれては、プリント物表面に指紋をつけぬ様に取り扱うことが求められ、作業者による指紋付着を極力回避する対応をとっているところもある。
【0008】
具体的には、手にぴたりとフィットする薄手の作業用手袋を作業者に装着させてプリント物を取り扱わせている等の対応がとられている。しかしながら、手袋を常時装着して作業を行うと、汗で手が蒸れ易くなることや、汚れた手袋でプリント物を汚してしまうこと、さらには、暑さに耐えかねて手袋を外したままうっかりプリント物を持って指紋を付ける等の問題があった。
【0009】
この様な背景から、製品への指紋付着を防ぐ技術が従来よりプリント物に限らず種々の分野で検討されてきた。プリント物への指紋付着対策技術としては、たとえば、水酸基価を規定したアクリル樹脂を含有する耐指紋性塗料や特定化合物を含有する紫外線硬化型オーバープリントニス組成物等の塗布液を塗布する技術等があった(たとえば、特許文献5、6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−7174号公報
【特許文献2】特開2007−140037号公報
【特許文献3】特開2002−341619号公報
【特許文献4】特開2004−258537号公報
【特許文献5】特開2007−314608号公報
【特許文献6】特開2009−73942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、クリアトナーを用いて形成された光沢面上に前述の耐指紋性塗料を塗布する方法を採ると工程数が増加して生産性に影響を与えることが懸念された。また、クリアトナーに代えて紫外線硬化型オーバープリントニス組成物を画像面上に直接塗布する方法で得られる光沢面はクリアトナーで得られるレベルの高い光沢度は期待できなかった。
【0012】
また、耐指紋性塗料や紫外線硬化型オーバープリントニス組成物はいずれも液の性能を維持する面でも手間のかかるものであった。たとえば、耐指紋性塗料はアクリル樹脂等の分散成分が経時で沈降して液の均一性を維持することが困難な面を有しており、長期間保管しておいたものを使用する際には液をよくかきまぜなければならなかった。また、紫外線硬化型オーバープリントニス組成物は反応性のモノマーを含有しているので、冷暗所での保管が必要になる等、その反応性を維持させるために保管時の管理に手間がかかるものであった。したがって、上記特許文献5や6に開示された技術をクリアトナーで形成された光沢面上への指紋付着対策に展開することは、生産性や画質、さらには液管理の観点から、必ずしも好ましい対応とは言えなかった。
【0013】
以上の経緯から、本発明者はクリアトナーを用いて形成した光沢面への指紋付着対策を、前述の既存技術で対応することはきわめて難しいと判断し、クリアトナー面への指紋付着対策について新たな技術の検討を行う必要があると考えた。
【0014】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、クリアトナーを用いて画像支持体上に形成された光沢面上に指紋が付着してもプリント物の美観を損ねることのない仕上がりが得られる光沢面形成技術を提供することを目的とするものである。具体的には、画像支持体上に供給された後、均一でムラのない光沢面を形成することが可能で、しかも光沢面上に指紋が付着しても美観を損ねることのないプリント物を作成することが可能なクリアトナーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、クリアトナーそのものに指紋付着対策機能を付与させることを考え、この様な性能を有するクリアトナーを検討した。そして、検討の末、以下に記載のいずれかの構成が上記課題を解消するものであり、指紋付着対策機能を有するクリアトナーを実現させたのである。すなわち、請求項1に記載の発明は、
『画像支持体に供給されて光沢層を形成するクリアトナーであって、
前記クリアトナーは、
少なくとも、カルボキシル基(−COOH)を有する重合性単量体を用いて形成される重合体よりなる樹脂を含有し、
前記重合体における前記カルボキシル基(−COOH)を有する重合性単量体の比率が15質量%以上であることを特徴とするクリアトナー。』というものである。
【0016】
請求項2に記載の発明は、
『前記重合体は、少なくとも、スチレン、n−ブチルアクリレート、分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を1個有する重合性単量体を用いて形成される共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のクリアトナー。』というものである。
【0017】
請求項3に記載の発明は、
『前記重合体は、少なくとも、分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を複数個有する重合性単量体を用いて形成される共重合体であることを特徴とする請求項2に記載のクリアトナー。』というものである。
【0018】
請求項4に記載の発明は、
『前記重合体は、少なくとも、スチレン、n−ブチルアクリレート、分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を複数個有する重合性単量体を用いて形成される共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のクリアトナー。』というものである。
【0019】
請求項5に記載の発明は、
『前記クリアトナーにより形成される光沢面は、20℃における臨界表面張力が50mN/m以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のクリアトナー。』というものである。
【0020】
請求項6に記載の発明は、
『前記クリアトナーは、
画像支持体に供給された後、加熱、溶融され、
前記画像支持体上で溶融しているときにベルトに密着させられ、
前記ベルトに密着させられた状態で冷却されて、
前記画像支持体上に光沢層を形成するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のクリアトナー。』というものである。
【0021】
請求項7に記載の発明は、
『少なくとも、
画像支持体に供給されたクリアトナーを加熱、溶融する工程と、
前記画像支持体上のクリアトナーが供給された側の面をベルトに密着させ、ベルトに密着させた状態で前記クリアトナーを冷却する工程と、
前記画像支持体をベルトより剥離する工程を有する画像形成方法であって、
前記画像形成方法により形成される光沢面の20℃における臨界表面張力が50mN/m以上であり、
前記画像形成方法に使用される前記クリアトナーは、
少なくとも、カルボキシル基(−COOH)を有する重合性単量体を用いて形成された重合体よりなる樹脂を含有し、
前記重合体における前記カルボキシル基(−COOH)を有する重合性単量体の比率が15質量%以上であることを特徴とする画像形成方法。』というものである。
【0022】
請求項8に記載の発明は、
『前記画像形成方法に使用されるクリアトナーに含有される樹脂を構成する前記重合体が、少なくとも、スチレン、n−ブチルアクリレート、分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を1個有する重合性単量体を用いて形成される共重合体であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。』というものである。
【0023】
請求項9に記載の発明は、
『前記画像形成方法に使用されるクリアトナーに含有される樹脂を構成する前記重合体が、少なくとも、分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を複数個有する重合性単量体を用いて形成される共重合体であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。』
請求項10に記載の発明は、
『前記画像形成方法に使用されるクリアトナーに含有される樹脂を構成する前記重合体が、少なくとも、スチレン、n−ブチルアクリレート、分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を複数個有する重合性単量体を用いて形成される共重合体であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。』というものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るクリアトナーによれば、画像支持体に形成された光沢面上を素手で触って指紋が付着しても、光沢面の美観を損ねることのない美しい仕上がりのプリント物を作成することが可能になった。すなわち、プリント物表面に形成される光沢面の仕上がりは、たとえ手で直接触れた個所があったとしても、いずれの領域で光沢面上に鮮明な像が映し出せるレベルの光沢性が得られた。
【0025】
また、プリント物を作成する際、作業者は手袋を着用せずにプリント物を取り扱うこともできる様になり、手が汗でむれることもなくなり、作業性の向上を可能にした。さらに、耐指紋性塗料や反応性のオーバープリントニス組成物等の塗布液を使用せずに指紋付着対策が行えるので、塗布工程を追加する様な生産性への影響や光沢面上への塗布による画像面の品質低下のないプリント作成が行える様になった。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】画像支持体全面に供給されたクリアトナーを加熱、溶融し、画像支持体全面に光沢層を形成する光沢層形成装置の模式図である。
【図2】光沢度測定装置(グロスメーター)の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、電子写真方式やインクジェット方式等の公知の画像形成装置により画像が形成された画像支持体上に光沢面を形成する無色のトナー(クリアトナー)に関する。
【0028】
本発明者は、カルボキシル基(−COOH)を有する重合性単量体を15質量%以上用いて形成された重合体を含有する樹脂を含有するクリアトナーを用いて形成した光沢面は指紋が付着しても指紋は目立たず美観を損ねない光沢面になることを見出した。
【0029】
本発明者は、指紋を構成する有機物である皮脂が、有機材料で構成されるクリアトナーで形成された光沢面に付着し易い性質のものであることに着目し、光沢面上に指紋が付着しても付着個所の美観を損ねない様にする方法を考えた。そして、指紋が付着した個所では光が指紋の存在により乱反射が発生し、指紋が付着していない個所からの反射光と異なる方向に反射光が発生するため美観を損ねていると推測したのである。
【0030】
そこで、指紋が付着しても乱反射を起こさず、かつ、指紋が付着していない個所からの反射光と同じ方向に光が反射する光沢面を形成することが可能なクリアトナーの検討を行った。具体的には、指紋を構成する皮脂に対するぬれ特性に着目し、光沢面を皮脂でぬれやすい性質にすれば、皮脂は光沢面に沿って平らに付着して乱反射の発生が回避され、付着していない領域と同じ方向に光を反射させることができると考えた。そして、臨界表面張力が50mN/m以上のクリアトナーにより、指紋を構成する皮脂を拡げ易い、つまり皮脂でぬれやすい性質の光沢面を形成することができることを見出したのである。
【0031】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0032】
なお、本発明でいう「クリアトナー」とは、光吸収や光散乱の作用により着色を示す着色剤(たとえば、着色顔料、着色染料、黒色カーボン粒子、黒色磁性粉等)を含有しないトナー粒子のことである。また、本発明でいうクリアトナーは、通常、無色透明であるが、クリアトナーを構成する樹脂やワックス、外添剤の種類や添加量により透明度が若干低下するものもあるが、実質的に無色透明なものである。
【0033】
また、本発明でいう「画像」とは、たとえば文字画像やイメージ画像の様に、ユーザに情報を提供する媒体としての形態を有するものをいう。すなわち、画像支持体上でトナーやインク等が存在する領域のみを指すのではなく、通常「白地」と呼ばれるトナーやインク等が存在していない領域も含めて構成されるもので、これらの領域が結合した状態でユーザへ情報を提供する形態になっているものである。また、本発明でいう「画像」は、クリアトナーを用いて形成される光沢層を有するものと光沢層を有さないものの両方を含むものである。
【0034】
また、本発明では、本発明に係るクリアトナーを用いて形成される光沢層で被覆される画像の形成方法については特に限定するものではない。すなわち、電子写真方式、印刷方式、インクジェット方式、銀塩写真方式等の公知の画像形成方法により作製された画像上に本発明に係るクリアトナーを用いて光沢層を形成するものである。さらに、本発明でいう「指紋」とは、たとえば手の接触により生ずる指紋や手垢等、主に皮脂と呼ばれる人体に由来するものを本発明では総称して「指紋」という。
【0035】
本発明に係るクリアトナーの構成について説明する。本発明に係るクリアトナーは、少なくとも、カルボキシル基(−COOH)を有する重合性単量体を用いて形成される重合体よりなる樹脂を含有し、前記重合体におけるカルボキシル基(−COOH)を有する重合性単量体の比率が15質量%以上のものである。上記クリアトナーは、画像支持体に供給されて光沢層を形成するもので、当該光沢層の表面を構成する光沢面は20℃における臨界表面張力が50mN/m以上となるものである。
【0036】
この様に、本発明に係るクリアトナーは、20℃における臨界表面張力が50mN/m以上となる光沢面を画像支持体上に形成することが可能なものである。
【0037】
ここで、臨界表面張力とは、固体の表面状態を評価する方法の1つで、固体表面に滴下した液体が液滴にならずに固体表面をぬらす状態(固体表面との接触角が0°)になる液体の表面張力をその固体の臨界表面張力という。具体的には、表面張力が既知の液体を固体表面に滴下し、滴下直後の固体表面との接触角(θ)を測定する。次に、各種液体の表面張力を横軸(x軸)、cosθを縦軸(y軸)にプロット(Zisman Plot)を行うと、直線関係のグラフが得られ、グラフよりθを0(ゼロ)に外挿したときの表面張力を求める。この外挿により求められる接触角(θ)が0(ゼロ)になるときの表面張力の値を当該固体の臨界表面張力という。また、本発明でいう「クリアトナーの臨界表面張力」とは、画像支持体上に当該クリアトナーを用いて光沢面を形成した状態での臨界表面張力、すなわち、クリアトナーで形成された光沢面における臨界表面張力のことをいうものである。
【0038】
本発明に係るクリアトナーの臨界表面張力の測定は、たとえば、以下の手順で行うことができる。先ず、画像支持体上にクリアトナーを用いて測定用の光沢面を形成する。光沢面は、たとえば、実際に行われている光沢面形成方法の手順で作製することが好ましく、本発明の場合、後述する図1に示す光沢層形成装置と光沢面形成条件の下で画像支持体上に形成された光沢面を測定用試料にすることが好ましい。
【0039】
次に、温度20℃の環境下で、上記の様に作製した光沢面上に、20℃における表面張力が既知の液体を滴下し、形成された液滴の接触角を市販の接触角計を用いて測定する。具体的には、純水(20℃における表面張力;72.8mN/m)、オレイン酸(同;32.5mN/m)、ヘプタン酸(同;28.3mN/m)等の液滴をそれぞれ0.3mg光沢面上に着滴させ、着滴から5秒後にその接触角を測定する。この様にして得た測定値をプロット(Zisman Plot)してグラフを作成し、グラフより接触角を0(ゼロ)に外挿して臨界表面張力を算出する。なお、液滴の接触角を測定する市販の接触角計としては、たとえば、協和界面科学(株)製の接触角計「CA−DT」等がある。
【0040】
本発明に係るクリアトナーを用いて形成された光沢面は、20℃における臨界表面張力が50mN/m以上となるもので、これはカルボキシル基(−COOH)を有する重合性単量体を用いて形成された重合体を含有する樹脂により実現されるものである。すなわち、クリアトナー構成樹脂に含有される重合体分子のカルボキシル基の存在により、光沢面に適度な極性が付与されて、水や脂肪酸等の極性を有する液体のぬれを促進させるものと考えられる。さらに、水分やペプチド結合等の極性基の存在によりある程度の極性を有する皮脂も、従来よりはるかに小さな接触角で光沢面上に付着する様になり、皮脂の存在により発生するとみられる光の乱反射が抑制される。その結果、皮脂が付着した個所においても光がほとんど乱反射せず、皮脂が付着していない領域と同じ方向に光が反射する様になるので、指紋等の汚れが目立たなくなるものと推測される。
【0041】
この様に、本発明では、クリアトナー構成樹脂を形成する際、カルボキシル基(−COOH)を含有する重合性単量体を用いることにより、光沢面の表面性能が改良されて指紋等の皮脂による光沢面汚染の発生を回避することができる様になった。そして、本発明では、後述する実施例にも示す様に、カルボキシル基(−COOH)を含有する重合性単量体の比率が15質量%以上の重合体よりなる樹脂を用いることにより、指紋等の汚れが目立たなくなる結果が得られた。
【0042】
本発明で使用されるクリアトナーに含有される樹脂を構成する重合体におけるカルボキシル基(−COOH)を含有する重合性単量体の比率は、15質量%以上50質量%以下が好ましく、15質量%以上25質量%以下がより好ましい。カルボキシル基(−COOH)を含有する重合性単量体の比率を上記範囲にして形成された重合体を用いることにより、指紋等の汚れが目立たなくなる効果に加えて、低温定着性や耐熱保管性の向上にも寄与する。
【0043】
本発明に係るクリアトナーを形成する際に使用される「カルボキシル基(−COOH)を有する重合性単量体」の具体的な例としては、たとえば、「カルボキシル基を有するビニル系モノマー」等が挙げられる。「カルボキシル基(−COOH)を有するビニル系モノマー」の具体例としては、先ず、アクリル酸やメタクリル酸等の様に分子構造中にカルボキシル基を1つ有する化合物が挙げられる。また、カルボキシル基を2つ有するビニル系モノマーとしては、たとえば、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等があり、カルボキシル基を3つ有するビニル系モノマーとしてはアコニット酸等が挙げられる。以下に、カルボキシル基(−COOH)を官能基として有するビニル系モノマーの具体例を示すが、本発明に使用可能なカルボキシル基を有する重合性単量体は、上述したもの及び以下に挙げるものに限定されるものではない。
【0044】
【化1】

【0045】
次に、本発明に係るクリアトナーを構成する樹脂を作製する際に、上述した極性基を複数有するビニル系モノマーとともに使用可能なビニル系モノマーについて説明する。本発明に係るクリアトナーを構成する樹脂を作製する際に「極性基を複数有するビニル系モノマー」とともに使用可能なビニル系モノマーは、特に限定されるものではなく、公知のビニル系モノマーを使用することが可能である。
【0046】
以下に、使用可能なビニル系モノマーの具体例を示すが、本発明に係るクリアトナーを構成する樹脂の作製に使用可能なビニル系モノマーは下記に示すもののみに限定されるものではない。
【0047】
(1)スチレンあるいはスチレン誘導体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等
(2)メタクリル酸エステル誘導体
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等
(3)アクリル酸エステル誘導体
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等
(4)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレン等
(5)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(6)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(7)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(8)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(9)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体等。
【0048】
また、以下に示す多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂を作製することも可能である。多官能性ビニル類の具体例を以下に示す。すなわち、
ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等
上記樹脂の分子量は、クリアトナーとしての性能を安定して発現することが可能なものであれば、特に限定されるものではなく、たとえば、数平均分子量Mnで5,000以上50,000以下のもの等が好ましい。また、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnは、たとえば、1.0以上1.5以下となる様なものは好ましいものの1つである。クリアトナーを構成する樹脂の数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwが上記関係を満たすことにより、定着時にシャープな溶融性が発現されるので、このことは写像性の高い光沢面の形成に寄与するものと期待される。
【0049】
次に、本発明に係るクリアトナーの製造方法について説明する。
【0050】
本発明に係るクリアトナーは、光沢面を形成したとき、光沢面上における臨界表面張力が50mN/m以上となるものであり、少なくとも、カルボキシル基(−COOH)を有する重合性単量体を用いて形成される樹脂を含有するものである。本発明に係るクリアトナーを構成する粒子の作製方法は、特に限定されるものではなく、公知の電子写真方式の画像形成に使用されるトナーの製造方法を適用することができる。すなわち、混練、粉砕、分級工程を経てトナーを作製するいわゆる粉砕法や、重合性単量体を重合させ、同時に、形状や大きさを制御しながら粒子形成を行ういわゆる重合法によるトナー製造方法を適用することができる。
【0051】
その中でも、重合法により作製されるクリアトナーは、均一な粒度分布や形状分布、シャープな帯電分布等の特性を得られ易いものとされる。重合法によるトナー製造方法では、たとえば、懸濁重合、乳化重合等の重合反応により樹脂粒子を形成する工程を有するものであり、その中でも重合反応を経て作製した樹脂粒子を凝集、融着させて粒子を形成する会合工程を経て作製されるものが特に好ましい。
【0052】
以下に、本発明に係るクリアトナーの作製方法の一例として、乳化会合法によるクリアトナーの作製方法について説明する。乳化会合法によるクリアトナーの作製方法は、たとえば、以下の工程を経て行われる。
【0053】
(1)樹脂微粒子分散液の作製工程
(2)樹脂微粒子の凝集・融着工程
(3)熟成工程
(4)冷却工程
(5)洗浄工程
(6)乾燥工程
(7)外添剤処理工程
以下、各工程について説明する。
【0054】
(1)樹脂微粒子分散液の作製工程
この工程は、クリアトナーを構成する樹脂を形成する工程である。具体的には、たとえば、水系媒体中に、少なくとも、前述したカルボキシル基(−COOH)を有する重合性単量体等の重合性単量体混合物を分散させておき、この状態の下で重合反応を行って樹脂微粒子を形成するものである。
【0055】
この工程では、前述したカルボキシル基を有する重合性単量体をはじめとする重合性単量体を水系媒体中に添加した後、分散処理を施して、重合性単量体混合物の油滴を形成する。そして、水系媒体中に分散させた油滴中でラジカル重合反応を行うことにより樹脂微粒子を形成するものである。
【0056】
ラジカル重合反応は、前述の油滴中に重合開始剤を含有させてラジカルを生成させることにより、油滴を形成している重合性単量体の重合反応を開始させ、重合反応により樹脂を形成するものである。あるいは、水系媒体中に添加した重合開始剤より生成したラジカルを公知の方法で油滴中に供給することにより重合反応を開始させることもできる。
【0057】
ラジカル重合を行うときの温度は、重合反応に使用するカルボキシル基を有する重合性単量体をはじめとする重合性単量体の種類やラジカルを生成する重合開始剤の種類にもよるが、通常50〜100℃が好ましく、55〜90℃がより好ましい。また、重合反応時間は、重合反応に使用する重合性単量体や生成されたラジカルの反応速度にもよるが2〜12時間が好ましい。
【0058】
この工程では、水系媒体中に、少なくとも、カルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体の混合液を添加した後、公知の方法による機械的エネルギーの作用で分散処理を行って単量体の油滴を形成する。機械的エネルギーによる油滴分散を行う分散装置は、特に限定されるものではなく、たとえば高速回転するロータを備えた市販の撹拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)(エム・テクニック(株)製)」等が代表的な装置に挙げられる。前述した撹拌装置の他にも、超音波分散機や機械式ホモジナイザ、マントンゴーリン及び圧力式ホモジナイザ等の装置が挙げられる。これらの装置により水系媒体中に100nm前後の油滴の分散粒子を形成することが可能である。
【0059】
また、本発明でいう「水系媒体」とは、水と水に溶解可能な有機溶剤から構成される液体のことで、少なくとも水を50質量%以上含有したものである。ここで、水系媒体を構成する水以外の成分である水に溶解可能な有機溶剤には、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等がある。これらの中でも樹脂を溶解しない有機溶剤であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶剤が好ましい。
【0060】
(2)樹脂粒子の凝集・融着工程
この工程は、前述の工程で形成した樹脂微粒子を水系媒体中で凝集させて粒子を形成し、凝集により形成した粒子を加熱して融着させて粒子(外添処理する前のクリアトナーの母体粒子のこと)を作製する工程である。すなわち、カルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体とを重合させて形成した樹脂微粒子を凝集、融着させて粒子を作製するものである。
【0061】
この工程では、前記樹脂微粒子を存在させた水系媒体中に、塩化マグネシウム等に代表されるアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等の凝集剤を添加することにより、前記樹脂粒子を凝集させる。次いで、水系媒体中を前記樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱して凝集を進行させると同時に凝集させた樹脂粒子同士の融着を行う。そして、凝集を進行させて粒子の大きさが目標になったときに、食塩等の塩を添加して凝集を停止させる。
【0062】
(3)熟成工程
この工程は、上記凝集・融着工程に引き続き、反応系を加熱処理することにより粒子の形状を所望の平均円形度になるまで熟成するいわゆる形状制御工程とも呼ばれる工程である。
【0063】
(4)冷却工程
この工程は、前記粒子の分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/分の冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
【0064】
(5)洗浄工程
この工程は、上記工程で所定温度まで冷却された前記粒子の分散液より粒子を固液分離する工程と、固液分離されてウェットのトナーケーキと呼ばれるケーキ状集合体となった粒子より界面活性剤や凝集剤等の付着物を除去するための洗浄工程からなる。
【0065】
洗浄処理は、濾液の電気伝導度がたとえば10μS/cm程度になるまで水洗浄する。固液分離方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用する減圧ろ過法、フィルタプレス等を使用するろ過法等があり、本発明では特に限定されるものではない。
【0066】
(6)乾燥工程
この工程は、洗浄処理された前記粒子を乾燥処理する工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤ、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
【0067】
また、乾燥された粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。なお、乾燥処理された粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサ、コーヒーミル、フードプロセッサ等の機械式の解砕装置を使用することができる。
【0068】
(7)外添剤処理工程
この工程は、乾燥処理した粒子に外添剤や滑剤を添加する工程である。前記乾燥工程を経た粒子はそのままクリアトナー粒子として使用できるが、外添剤を添加することによりクリアトナーの帯電性や流動性、クリーニング性を向上させることができる。これら外添剤には、公知の無機微粒子や有機微粒子、脂肪族金属塩を使用することができ、その添加量はトナー全体に対して0.1〜10.0質量%、好ましくは0.5〜4.0質量%である。また、外添剤は種々のものを組み合わせて添加することができる。なお、外添剤を添加する際に使用する混合装置としては、たとえば、タービュラミキサ、ヘンシェルミキサ、ナウタミキサ、V型混合機、コーヒーミル等の公知の機械式の混合装置がある。
【0069】
公知の無機微粒子としては、たとえば、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム微粒子等がある。なお、これら無機微粒子を疎水化処理したものを使用することも可能である。
【0070】
シリカ微粒子の具体例としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等がある。
【0071】
チタニア微粒子としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等がある。
【0072】
アルミナ微粒子としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等がある。
【0073】
また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。具体的には、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
【0074】
以上の工程を経ることにより、乳化会合法により本発明に係るクリアトナーを作製することができる。
【0075】
次に、本発明に係るクリアトナーを上述した乳化会合法で作製する場合に使用することが可能な重合開始剤、分散安定剤、界面活性剤等について説明する。
【0076】
本発明に係るクリアトナーを構成する結着樹脂は、前述した側鎖にカルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体を用いて形成されるもので、公知の油溶性あるいは水溶性の重合開始剤を使用することができる。油溶性の重合開始剤としては、具体的には、以下に示すアゾ系またはジアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤がある。すなわち、
(1)アゾ系またはジアゾ系重合開始剤
2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等
(2)過酸化物系重合開始剤
ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジン等
また、乳化重合法で樹脂粒子を形成する場合は水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素等がある。
【0077】
また、樹脂粒子の分子量調整のために、公知の連鎖移動剤を用いることもできる。具体的には、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素、α−メチルスチレンダイマー等がある。
【0078】
また、本発明では、前述したカルボキシル基を有する重合性単量体をはじめとするビニル系単量体を水系媒体中に分散させた状態にして重合を行い、重合により得られた樹脂粒子を水系媒体中に分散させ、これを凝集、融着させてクリアトナーを作製する。これらトナー材料を水系媒体中に安定して分散させておく分散安定剤を使用することが好ましい。分散安定剤としては、たとえば、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等のものがある。また、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等、一般に界面活性剤として使用されるものも分散安定剤として使用できる。
【0079】
また、水系媒体中で重合性単量体を用いて重合を行う場合、界面活性剤を使用して前記重合性単量体の油滴を水系媒体中に均一に分散させる必要がある。このとき、使用可能な界面活性剤は、特に限定されるものではないが、たとえば、以下に示すイオン性界面活性剤が好ましいものとして使用できる。イオン性界面活性剤には、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、脂肪酸塩等があり、スルホン酸塩には、たとえば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等がある。
【0080】
また、硫酸エステル塩には、たとえば、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等があり、脂肪酸塩には、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等がある。
【0081】
また、ノニオン性界面活性剤を使用することも可能で、具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等がある。
【0082】
次に、本発明に係るクリアトナーを用いて行う画像形成方法について説明する。
【0083】
本発明に係るクリアトナーを用いて行う画像形成方法は、少なくとも、以下の工程を有するものである。すなわち、
(1)画像支持体に供給されたクリアトナーを加熱、溶融する工程
(2)前記画像支持体のクリアトナーが供給された側の面をベルトに密着させ、ベルトに密着させた状態で前記クリアトナーを冷却する工程
(3)前記画像支持体をベルトより剥離する工程
を有するものである。
【0084】
本発明では、上述した様に、本発明に係るクリアトナーを用いて画像支持体上に均一な光沢層を形成するものであるが、画像支持体上に形成される光沢層以外の画像を作成する方法は特に限定されるものではない。具体的には、電子写真方式、印刷方式、インクジェット方式、銀塩写真方式等の公知の画像形成方法により形成された画像が挙げられる。そして、この様な画像を有する画像支持体上に本発明に係るクリアトナーが供給され、供給されたクリアトナーを加熱、溶融し、溶融したクリアトナー層をベルトに密着させたまま冷却して、平滑な光沢面を形成することができる。
【0085】
次に、本発明に係るクリアトナーを用いて行う画像形成方法が可能な画像形成装置の具体例を説明する。図1は、画像支持体上に供給されたクリアトナーを加熱、溶融し、高い光沢度を有する光沢層を画像支持体上に形成する光沢層形成装置の模式図である。
【0086】
図1に示す光沢層形成装置は、プリンタや印刷装置等の画像形成装置に接続させて使用することが可能である。画像支持体上への光沢層の形成は以下の手順を経て行うことが可能である。先ず、プリンタ等の画像形成装置により画像形成された側の画像支持体全面に供給されているクリアトナーを定着ローラ等により加熱、溶融させる。続いて、溶融状態のクリアトナーを介して画像支持体をベルト部材に密着させ、この状態で画像支持体を搬送しながらクリアトナーを冷却、硬化させる。画像支持体全面に形成されたクリアトナーの層を硬化させた後、画像支持体をベルト部材より剥離する。この様にして、画像支持体上に均一な光沢面を有するプリント物を作成することができる。
【0087】
図1に示す光沢層形成装置1は少なくとも以下の構成を有するものである。すなわち、(1)画像支持体全面にわたりクリアトナーが供給された状態にある画像支持体Pを加熱し、同時に加圧する加熱加圧装置10
(2)加熱加圧装置10により溶融したクリアトナー面と接触し、クリアトナー面との間に接着面を形成して画像支持体Pを搬送するベルト部材11
(3)ベルト部材11に接着した状態で搬送されている画像支持体Pに冷却用のエアを供給する冷却ファン12と13
(4)冷却ファン12と13より供給されるエアの作用で冷却され、クリアトナーを介して面が固着した画像支持体の搬送を補助する搬送補助ロール14より構成されるものである。
【0088】
以下、各構成について具体的に説明する。
【0089】
最初に加熱加圧装置10について説明する。図1に示す様に、加熱加圧装置10は一定速度で駆動する一対のロール101と102との間に、クリアトナーが供給されている画像支持体Pを挟持して搬送し、搬送した画像支持体Pを加熱加圧するものである。すなわち、画像支持体Pの全面に供給されたクリアトナーは、加熱加圧装置10による加熱により溶融し、かつ、溶融したクリアトナーは加圧により均一な厚みを有する層になる。ここで、一対のロール101と102の一方または両方の中心に熱源を設けることにより、画像支持体全面に供給したクリアトナーを溶融させる様に加熱することができる。また、2つのロール101と102はロール間で溶融したクリアトナーを確実に加圧できる様、圧接している構造を採ることが好ましい。
【0090】
図1の光沢層形成装置1は、消費電力量や作業効率の観点から、たとえば、加熱加圧装置10を構成するロール101を加熱ロールとし、ロール102を加圧ロールとする構成とすることで十分な加熱と加圧が行える。ロール101と102の一方または両方の表面には、シリコーンゴム層あるいはフッ素ゴム層を配置することができ、加熱と加圧を行うニップ領域の幅を1mm〜8mm程度の範囲にすることが好ましい。
【0091】
加熱ロール101は、たとえば、アルミニウム等の金属製の基体表面に、シリコーンゴム等からなる弾性体層を被覆してなり、所定の外径に形成されたものである。加熱ロール101の内部には、加熱源としてたとえば300〜350Wのハロゲンランプを配設しておき、当該加熱ロール101の表面温度が所定温度となる様に内部から加熱する。
【0092】
加圧ロール102は、たとえば、アルミニウム等の金属製の基体表面に、シリコーンゴム等からなる弾性体層を被覆してなり、さらに、当該弾性体層表面にPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)製のチューブ等による離型層を被覆して、所定の外径に形成されたものである。加圧ロール102の内部にも、加熱源としてたとえば300〜350Wのハロゲンランプを配設することができ、当該加圧ロール102の表面温度が所定温度になる様に内部から加熱する。
【0093】
画像形成面上にクリアトナーが供給されている画像支持体Pは、加熱加圧装置10の加熱ロール101と加圧ロール102で形成される圧接部(ニップ部)に搬送され、このとき、クリアトナーが供給されている面が加熱ロール101側になる様に搬送される。そして、加熱ロール101と加圧ロール102との圧接部を通過する間に、クリアトナーは加熱、溶融すると同時に、画像面上にクリアトナー層として融着する。
【0094】
次に、ベルト部材11について説明する。図1に示す様にベルト部材11は、加熱ロール101と、当該加熱ロール101を含む複数のロール101、103、104により回動可能に支持されている無端ベルト状の構成を有するものである。ベルト部材11は、前述した様に、加熱ロール101、剥離ロール103、従動ロール104からなる複数のロールにより回動可能に懸回張設され、図示しない駆動源により回転駆動する加熱ロール101により所定の移動速度駆動する様になっている。そして、加熱ロール101による駆動と剥離ロール103、従動ロール104によるテンションにより所定のプロセススピードでシワなく回動駆動させることができる。
【0095】
ベルト部材11は、溶融したクリアトナー面を介して画像支持体Pと密着し、クリアトナーとの密着面を介して画像支持体Pを搬送するものである。この様に、ベルト部材11は加熱溶融したクリアトナー面に密着するので、ある程度の耐熱性と機械的強度を有する公知の材質で作製することができる。具体的には、たとえば、ポリイミド、ポリエーテルポリイミド、PES(ポリエーテルサルフォン樹脂)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂)等の耐熱性フィルム樹脂が挙げられる。そして、前記耐熱性フィルム樹脂の少なくともクリアトナー層当接面側にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA等のフッ素樹脂やシリコーンゴムの離型層を設けることが好ましい。
【0096】
ベルト部材11の厚さは、溶融したクリアトナー面との接着面を介して画像支持体の搬送が行えるものであれば特に限定されるものではなく、公知の厚さのもので使用することができる。具体的には、耐熱性フィルム樹脂の厚さは20μm〜80μm、離型層の厚さは10μm〜30μmが好ましく、また、総厚は20μm〜110μmが好ましい。具体的な形態としては、たとえば、厚さ80μmのポリイミド製無端状フィルム上に、厚さ30μmのシリコーンゴム層を被覆したもの等がある。
【0097】
次に、冷却ファン12と13について説明する。図1に示すクリアトナー層形成装置1は、前記ベルト部材11内面側の加熱ロール101と剥離ロール103との間に冷却ファン12、ベルト部材11の外面側の加圧ロール102と搬送補助ロール14の間に冷却ファン13を有する。ここで、ベルト部材11の外面は、溶融したクリアトナー面を介して画像支持体Pと接着し、接着面を形成した状態で画像支持体Pの担持搬送を行う面のことである。
【0098】
図1の光沢層形成装置1は、前述の加熱加圧装置10により所定厚さで溶融しているクリアトナー層を介して画像支持体Pをベルト部材11の外面に密着させ、この状態で画像支持体Pを搬送すると同時にクリアトナー層を冷却して硬化させる。冷却ファン12、13は、クリアトナー層を介してベルト部材11に密着して搬送されている画像支持体Pにエアを供給して搬送中の画像支持体Pを強制的に冷却する。光沢層形成装置1は、冷却ファン12、13にそれぞれ連接させて冷却用のヒートシンクあるいはヒートパイプを配設させることができる。この様な冷却用のヒートシンクあるいはヒートパイプにより溶融状態にあるクリアトナー層の冷却と硬化を促進させることができる。
【0099】
上記冷却ファン12、13による強制冷却により、ベルト部材11に搬送中の画像支持体Pのクリアトナー層の硬化を促進させる。そして、画像支持体P上のクリアトナー層は、画像支持体Pが搬送補助ロール14や剥離ロール103が配置されているベルト端部付近に到達するまでに冷却、硬化が完了している。そして、画像支持体Pはベルト端部でベルト部材11面より剥離される。
【0100】
先ず、ベルト11の搬送方向が変化するベルト端部付近まで搬送されてきた画像支持体Pは、まだ光沢層を介してベルト部材11に密着している。この状態で搬送補助ロール14が搬送中の画像支持体Pの裏面に接触して保持する。搬送補助ロール14が画像支持体Pを裏面より保持している状態でベルト部材11は剥離ロール103の配置されている個所に到達し、ここでベルト部材11の搬送方向は従動ロール104側の方向(図の上方)に変更させられる。このとき、画像支持体Pは自身の剛性(腰)によりベルト部材11より剥離され、搬送補助ロール14に重力が移動することによりベルト部材からの剥離が促進されて光沢層形成装置1より分離、排出される。
【0101】
以上の手順により、図1に示す光沢層形成装置1は、画像を形成した側の画像支持体上にムラのない均一な光沢面を有するクリアトナー層を形成することができる。すなわち、前述の手順は以下の工程よりなる。
(1)画像支持体上に供給されたクリアトナーを加熱、溶融させる。
(2)溶融状態のクリアトナーを介して画像支持体Pをベルト部材11に密着させ、この状態で搬送しながらクリアトナーを冷却、硬化させる。
(3)クリアトナーが十分に硬化した段階で画像支持体Pをベルト部材11より剥離させる。
(4)ベルト部材11より剥離された画像支持体Pは光沢層形成装置外に排出される。
【0102】
なお、図1に示す光沢層形成装置は、搬送補助ロール14と剥離ロール103により、画像支持体Pをベルト部材11より剥離しているが、剥離ロール103以外の剥離手段を用いることも可能である。たとえば、剥離ロール103に代えて、剥離爪をベルト部材11と画像支持体Pの間に配置させ、画像支持体Pをベルト部材11より剥離することも可能である。
【0103】
本発明に係るクリアトナーを用いて光沢層を形成することが可能な画像支持体は、一般に転写材あるいは用紙とも呼ばれるもので、公知の方法により可視画像形成が可能であり、当該可視画像上にクリアトナー層を形成、保持することが可能な部材である。本発明で使用可能な画像支持体としては、公知のものが挙げられ、たとえば、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙、あるいは、コート紙等の塗工された印刷用紙、市販の和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等がある。
【0104】
前述した様に、本発明に係るクリアトナーを用いて画像支持体上に光沢層を形成したプリント物は、仮に光沢面上に指紋が付着している個所があったとしても、指紋により美観を損ねることのない均一な光沢度を有する光沢面が得られるものである。ここで、本発明でいう「光沢度」とは、所定条件の下でクリアトナー層を形成した画像支持体表面に光を照射した時に得られる画像支持体表面の反射の程度を定量したもので、たとえば、以下の手順で定量することができる。すなわち、画像支持体全面をクリアトナーで被覆して形成したクリアトナー層の面(光沢面)を、「JIS Z8741 1997」記載の方法5に基づいて、入射角(測定角度ともいう)20°にて光沢度測定装置(グロスメーター)「GMX−203(村上色彩技術研究所社製)」により測定した値を「光沢度」とする。
【0105】
図2に、光沢度測定装置(グロスメーター)の概念図を示す。
【0106】
光沢度は、図2に概念を示す装置によって、光源70から、レンズLと光源の開口S、レンズLからなる光学系71を介して、試料72(クリアトナー層を形成した画像支持体P)面に規定された入射角で規定された開き角の光束を入射させる。そして、この試料72からの反射光を光学系73を介して受光器74で測定する。
【0107】
光源の開口SはレンズLの焦点位置にあり、試料72の位置に鏡面を置いたとき、Sの像が受光器74の開口Sの中央に鮮明な像をつくる。入射角θは開口Sの中心とレンズLの中心(レンズの主点)とを結ぶ線と試料72の法線とで形成される角度である。光源70の開き角(入射面内;α、垂直面内;β)、受光器74の開き角(入射面内;α、垂直面内;β)は、開口S、SをレンズL、Lの位置で張る角であり、光源像の開き角(入射面内;α’、垂直面内;β’)は、開口Sの像S’がレンズLの位置で張る角である。入射側及び受光側の光軸は試料面で交わるものである。
【0108】
図に示す規定された入射角θに対して試料72面からの鏡面反射光束をφ、標準面からの反射光束をφsとして光沢度Gは下記式で表される。
【0109】
光沢度G=(φ/φs)×(使用した標準面の光沢度)
前述したJISでは、上記標準面の光沢度は屈折率が可視波長領域全域にわたり一定値1.567となるガラス表面における入射角θにおける鏡面光沢度を基準とするもので、このときの光沢度を100%としている。本発明に係るクリアトナーで形成された光沢層の光沢度は、たとえば、後述する実施例の結果からも確認される様に、指紋が付着した個所におかれても60%以上の値が得られるものになる。
【実施例】
【0110】
以下、実施例を挙げて本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、下記文中に「部」と記載されている個所があるが「質量部」を表すものである。
【0111】
1.「クリアトナー1〜12」の作製
以下に記載の手順により、「クリアトナー1〜12」を用意した。
【0112】
1−1.「樹脂微粒子分散液A1〜A10」の作製
以下の手順により、「樹脂微粒子分散液A1〜A10」を作製した。
【0113】
(1)「樹脂微粒子分散液A1」の作製
(a)第1段重合
撹拌装置を取り付けた容器内に下記化合物を投入し、
スチレン 200質量部
n−ブチルアクリレート 87質量部
メタクリル酸 72質量部
n−オクチルメルカプタン 5.4質量部
さらに、80℃に加温して「混合溶液1」とした。
【0114】
一方、アニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム塩)5質量部をイオン交換水800質量部に溶解させて界面活性剤水溶液を調製し、これを83℃に加温し、前記「混合溶液1」を添加した。その後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(エム・テクニック社製)」を用いて1時間混合、分散処理し、分散粒径170nmの乳化粒子を含有する分散液を調製した。
【0115】
上記分散液中に、過硫酸カリウム(KPS)12質量部をイオン交換水230質量部に溶解させた溶液を添加し、この系を82℃にした後、1時間加熱、撹拌することにより重合反応を行った。この様にして、「樹脂微粒子分散液a1」を作製した。
【0116】
(b)第2段重合
前記「樹脂微粒子分散液a1」に、過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃にした後、下記化合物からなる「混合溶液2」を1.5時間かけて滴下した。
【0117】
スチレン 324質量部
n−ブチルアクリレート 141質量部
メタクリル酸 116質量部
n−オクチルメルカプタン 7.5質量部
滴下終了後、82℃の温度下で2時間加熱、撹拌を行って重合反応を行った後、28℃に冷却して「樹脂微粒子分散液A1」を作製した。「樹脂微粒子分散液A1」を構成する「樹脂微粒子A1」を作製する際に使用した各ビニル系単量体の質量比は、スチレンが56質量%、n−ブチルアクリレートが24質量%、メタクリル酸が20質量%であった。
【0118】
(2)「樹脂微粒子分散液A2」の作製
前記「樹脂微粒子分散液A1」の作製で、第1段重合に使用する重合性単量体の添加量を、
スチレン 154質量部
n−ブチルアクリレート 128質量部
メタクリル酸 94質量部
に変更し、かつ、第2段重合に使用する重合性単量体の添加量を、
スチレン 231質量部
n−ブチルアクリレート 192質量部
メタクリル酸 141質量部
に変更した。その他は同じ手順で「樹脂微粒子分散液A2」を作製した。「樹脂微粒子分散液A2」を作製する際に使用した各重合性単量体の質量比は、スチレンが41質量%、n−ブチルアクリレートが34質量%、メタクリル酸が25質量%であった。
【0119】
(3)「樹脂微粒子分散液A3」の作製
前記「樹脂微粒子分散液A1」の作製で、スチレンに代えてシクロヘキシルメタクリレート(CH=C(CH)COOC11)を使用した。また、第1段重合で使用する重合性単量体の添加量を、
シクロヘキシルメタクリレート 263質量部
n−ブチルアクリレート 56質量部
メタクリル酸 56質量部
に変更し、第2段重合で使用する重合性単量体の添加量を、
シクロヘキシルメタクリレート 395質量部
n−ブチルアクリレート 85質量部
メタクリル酸 85質量部
に変更した。その他は同じ手順で「樹脂微粒子分散液A3」を作製した。「樹脂微粒子分散液A3」を作製する際に使用した各重合性単量体の質量比は、シクロヘキシルメタクリレートが70質量%、n−ブチルアクリレートが15質量%、メタクリル酸が15質量%であった。
【0120】
(4)「樹脂微粒子分散液A4」の作製
前記「樹脂微粒子分散液A1」の作製で、メタクリル酸に代えてアクリル酸(CH=CHCOOH)を使用した。また、第1段重合で使用する重合性単量体の添加量を、
スチレン 248質量部
n−ブチルアクリレート 64質量部
アクリル酸 64質量部
に変更し、第2段重合で使用する重合性単量体の添加量を
スチレン 372質量部
n−ブチルアクリレート 96質量部
アクリル酸 96質量部
に変更した。その他は同じ手順で「樹脂微粒子分散液A4」を作製した。「樹脂微粒子分散液A4」を作製する際に使用した各重合性単量体の質量比は、スチレンが66質量%、n−ブチルアクリレートとアクリル酸がそれぞれ17質量%であった。
【0121】
(5)「樹脂微粒子分散液A5」の作製
前記「樹脂微粒子分散液A1」の作製で、メタクリル酸の添加量を変更するとともにイタコン酸を併用した。すなわち、第1段重合では、
メタクリル酸 25質量部
イタコン酸 47質量部
とし、第2段重合では
メタクリル酸 41質量部
イタコン酸 75質量部
に変更した。その他は同じ手順で「樹脂微粒子分散液A5」を作製した。「樹脂微粒子分散液A5」を作製する際に使用した各重合性単量体の質量比は、スチレンが56質量%、n−ブチルアクリレートが24質量%、メタクリル酸が7質量%、イタコン酸が13質量%であった。
【0122】
(6)「樹脂微粒子分散液A6」の作製
前記「樹脂微粒子分散液A1」の作製で、メタクリル酸の添加量を変更するとともに分子中に2つのカルボキシル基を有するイタコン酸と3つのカルボキシル基を有するアコニット酸を併用した。すなわち、第1段重合では、
メタクリル酸 25質量部
イタコン酸 24質量部
アコニット酸 23質量部
とし、第2段重合では、
メタクリル酸 41質量部
イタコン酸 39質量部
アコニット酸 36質量部
に変更した。その他は同じ手順で「樹脂微粒子分散液A6」を作製した。「樹脂微粒子分散液A6」を作製する際に使用した各重合性単量体の質量比は、スチレンが56質量%、n−ブチルアクリレートが24質量%、メタクリル酸が7質量%、イタコン酸が6.7質量%、アコニット酸が6.3質量%であった。
【0123】
(7)「樹脂微粒子分散液A7」の作製
前記「樹脂微粒子分散液A1」の作製で、メタクリル酸に代えて2つのカルボキシル基を有するマレイン酸を用いた他は同じ手順で「樹脂微粒子分散液A7」を作製した。「樹脂微粒子分散液A7」を作製する際に使用した各重合性単量体の質量比は、スチレンが56質量%、n−ブチルアクリレートが24質量%、マレイン酸が20質量%であった。
【0124】
(8)「樹脂微粒子分散液A8」の作製
前記「樹脂微粒子分散液A1」の作製で、メタクリル酸に代えて分子内に2つのカルボキシル基を有するフマル酸と3つのカルボキシル基を有するアコニット酸を用いて「樹脂微粒子分散液A8」を作製した。なお、第1段重合におけるフマル酸とアコニット酸の添加量をそれぞれ36質量部、第2段重合におけるフマル酸とアコニット酸の添加量をそれぞれ58質量部とした。「樹脂微粒子分散液A8」を作製する際に使用した各重合性単量体の質量比は、スチレンが56質量%、n−ブチルアクリレートが24質量%、フマル酸とアコニット酸がそれぞれ10質量%であった。
【0125】
(9)「樹脂微粒子分散液A9」の作製
前記「樹脂微粒子分散液A1」の作製で、メタクリル酸を使用せず、第1段重合と第2段重合におけるスチレンとn−ブチルアクリレートの添加量を以下の様に変更した他は同じ手順で「樹脂微粒子分散液A9」を作製した。すなわち、第1段重合では、
スチレン 247質量部
n−ブチルアクリレート 110質量部
とし、第2段重合では、
スチレン 390質量部
n−ブチルアクリレート 180質量部
とした。「樹脂微粒子分散液A9」を作製する際に使用した各重合性単量体の質量比は、スチレンが69質量%、n−ブチルアクリレートが31質量%であった。
【0126】
(10)「樹脂微粒子分散液A10」の作製
前記「樹脂微粒子分散液A1」の作製で、第1段重合と第2段重合で使用する重合性単量体の添加量を以下の様に変更した。すなわち、第1段重合における添加量を、
スチレン 269質量部
n−ブチルアクリレート 62質量部
メタクリル酸 45質量部
第2段重合における添加量を、
スチレン 402質量部
n−ブチルアクリレート 94質量部
メタクリル酸 68質量部
に変更した。その他は同じ手順で「樹脂微粒子分散液A10」を作製した。「樹脂微粒子分散液A10」を作製する際に使用した各重合性単量体の質量比は、スチレンが71質量%、n−ブチルアクリレートが17質量%、メタクリル酸が12質量%であった。
【0127】
1−2.「クリアトナー1〜12」の作製
(1)「クリアトナー1」の作製
(a)「クリアトナー母体粒子1」の作製
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、
「樹脂微粒子分散液A1」 450質量部(固形分換算)
ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム 2質量部
イオン交換水 900質量部
を投入、撹拌した。反応容器内の温度を25℃に調整後、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
【0128】
次いで、塩化マグネシウム・6水和物70質量部をイオン交換水105質量部に溶解した水溶液を撹拌の下で30℃にて30分間かけて添加した。3分間放置後に昇温を開始し、この系を60分間かけて85℃まで昇温させ、85℃に保持させたまま上記粒子の凝集、融着を継続させた。この状態で「マルチサイザー3(ベックマンコールター社製)」を用いて凝集、融着により得られた粒子の粒径測定を行い、粒子の体積基準メディアン径が5.5μmになったときに、塩化ナトリウム73質量部をイオン交換水290質量部に溶解させた水溶液を添加して粒子の凝集を停止させた。
【0129】
凝集停止後、熟成処理として液温を88℃にして加熱撹拌を行いながら「FPIA2100(シスメックス社製)」を用いて凝集粒子の平均円形度が0.960になるまで融着を進行させて「クリアトナー母体粒子1」を形成させた。
【0130】
その後、液温を30℃まで冷却し、塩酸を使用して液中のpHを2に調整して撹拌を停止させた。
【0131】
上記工程を経て作製した「クリアトナー母体粒子分散液1」をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40(松本機械(株)製)」で固液分離し、「クリアトナー母体粒子1」のウェットケーキを形成した。
【0132】
このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機でろ液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤ(セイシン企業(株)製)」に移し、水分量が0.5質量%になるまで乾燥処理を行うことにより「クリアトナー母体粒子1」を作製した。
【0133】
(b)外添処理
作製した「クリアトナー母体粒子1」に下記外添剤を添加して、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)にて外添処理を行うことにより「クリアトナー1」を作製した。
【0134】
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm)
1.0質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径20nm)
0.3質量部
なお、ヘンシェルミキサによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。
【0135】
(2)「クリアトナー2〜9」の作製
前記「クリアトナー1」の作製において、「樹脂微粒子分散液A1」を「樹脂微粒子分散液A2〜A9」にそれぞれ変更した他は「クリアトナー1」の作製と同じ手順で「クリアトナー2〜9」を作製した。
【0136】
(3)「クリアトナー10」の作製
前記「クリアトナー1」の作製において、反応容器内に投入する樹脂微粒子分散液を、
「樹脂微粒子分散液A1」 225質量部(固形分換算)
「樹脂微粒子分散液A4」 225質量部(固形分換算)
とした他は「クリアトナー1」の作製と同じ手順で「クリアトナー10」を作製した。
【0137】
(4)「クリアトナー11」の作製
特開2002−341619号公報(前記特許文献3)に開示されているクリアトナーについて、特許文献3の記載内容を参照して以下の手順で作製した。先ず、特許文献3に開示されている線状ポリエステル樹脂(テレフタル酸/ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/シクロヘキサンジメタノールから得たもの(モル比=5:4:1))を100質量部用意した。前記ポリエステル樹脂を「ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)」で十分混合した後、2軸押出混練機「PCM−30(池貝鉄工(株)製)」の排出部を取り外したものを使用して溶融混練後冷却処理した。
【0138】
得られた混練物を冷却ベルトで冷却した後、フェザーミルで粗粉砕した。その後、機械式粉砕機「KTM(川崎重工(株)製)」で平均粒径9〜10μmまで粉砕し、さらに、ジェット粉砕機「IDS(日本ニューマチック工業社製)」で平均粒径5.5μmになるまで粉砕処理と粗粉分級を行った。その後、粗粉分級したものよりロータ型分級機(ティープレックス型分級機タイプ「100ATP(ホソカワミクロン(株)製)」)を使用して体積基準メディアン径が5.5μmの「クリアトナー母体粒子11」を作製した。
【0139】
作製した「クリアトナー母体粒子11」に下記外添剤を添加して、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)にて外添処理を行うことにより「クリアトナー11」を作製した。
【0140】
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm)
1.0質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径20nm)
0.3質量部
なお、ヘンシェルミキサによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。
【0141】
(5)「クリアトナー12」の作製
前記「クリアトナー1」の作製において、「樹脂微粒子分散液A1」を「樹脂微粒子分散液A10」に変更した他は「クリアトナー1」の作製と同じ手順で「クリアトナー12」を作製した。
【0142】
以上の手順により、「クリアトナー1〜12」を作製した。
【0143】
2.評価実験
2−1.クリアトナー現像剤の調製
前記「クリアトナー1〜12」に対して、メチルメタクリレート樹脂を被覆してなる体積平均粒径40μmのフェライトキャリアを、クリアトナー濃度が6質量%になるように混合し、2成分現像剤の形態をとる「クリアトナー現像剤1〜12」を調製した。
【0144】
2−2.評価実験
(1)評価条件
前記「クリアトナー現像剤1〜12」を図1に示す構成の光沢層形成装置1に搭載し、市販の各種画像形成装置により同一の画像を出力した画像支持体全面にクリアトナー層を形成する様に光沢層形成装置1を後述する条件に設定した。画像支持体は、市販の「OKトップコート+(坪量157g/m、紙厚131μm)(王子製紙(株)製)」を使用した。なお、画像出力に使用した画像形成装置は、下記(a)〜(c)の市販品を使用し、1件のクリアトナーにつき各画像形成装置より10枚ずつ合計30枚の評価用プリントを用意して光沢層形成装置1で30枚の連続運転を行った。これら画像形成装置を用いて上記画像支持体上に反射濃度1.6のベタ黒画像を出力した。ここで、本発明の構成を満たす「クリアトナー1〜8、10」を用いて評価を行ったものを「実施例1〜9」、本発明の構成から外れる「クリアトナー9、11、12」を用いて評価を行ったものを「比較例1〜3」とした。
【0145】
画像支持体上に画像を形成する画像形成装置は以下のものを用いた。すなわち、
(a)電子写真方式:「bizhub C353(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」
(b)インクジェット方式:「インクジェットプリンタPX−5800(セイコーエプソン(株)製)」
(c)製版方式:「RISOデジタルスクリーン製版機 SP400D(理想科学工業(株)製)」
光沢層形成装置1による上記連続運転では、各画像形成装置で作製したプリント物が1枚ずつ連続で光沢層を形成する様に、プリント物を光沢層形成装置1に供給した。前述の「各画像形成装置で作製したプリント物が1枚ずつ連続で」とは、たとえば、電子写真方式の画像形成装置で作成したプリント物→インクジェット方式の画像形成装置で作成したプリント物→製版方式の画像形成装置で作成したプリント物→・・・の順番に各装置で出力したプリント物を1枚ずつ並べたことを意味する。
【0146】
図1の光沢層形成装置1は、下記仕様に設定した。
【0147】
なお、図1の光沢層形成装置1は、下記仕様に設定した。すなわち、
(a)クリアトナーの現像量:4g/m
(b)ベルト部材材質:ポリイミドフィルム(厚さ50μm)上にPFA層(厚さ10μm)を配置したもの
(c)ベルト部材表面粗さ(初期表面粗さ):Ra 0.4μm
(d)加熱、加圧ロールの仕様
・加熱ロール:外径100mm、厚さ10mmのアルミニウム製基体
・加圧ロール:外径80mm、厚さ10mmのアルミニウム製基体上に厚さ3mmのシリコーンゴム層を配置したもの
・熱源:加熱ロール及び加圧ロールの内部にハロゲンランプを各々配置(サーミスタにより温度制御)
・加熱ロールと加圧ロールのニップ幅:11mm
(e)加熱ロールと加圧ロールの温度設定
・加熱ロールのロール表面温度:190℃に設定
・加圧ロールのロール表面温度:140℃に設定
(f)剥離ロール位置での転写材温度設定:50℃に設定
(g)加熱、加圧ロールニップ部より剥離ロール位置までの距離:620mm
(h)画像支持体搬送速度:120mm/秒
(i)画像支持体搬送方向:A3サイズの上記画像支持体を縦方向に搬送させる
(j)光沢層形成環境:常温常湿環境(温度20℃、相対湿度50%RH)
(k)評価環境:常温常湿環境(温度20℃、相対湿度50%RH)、及び、高温高湿環境(温度33℃、相対湿度80%RH)
(2)評価実験
評価は、各画像形成装置で画像を形成したプリント物のうち、上記手順で図1に示す光沢層形成装置を用い、30枚目付近で光沢層を形成したプリント物について、最初に常温常湿環境下で臨界接触角の算出と光沢度の測定を行った。続いて、測定したプリント物を高温高湿環境下にもっていき指紋視認性の評価を行った。各評価項目の評価手順を以下に説明する。
【0148】
〈臨界表面張力の算出〉
常温常湿環境(温度20℃、相対湿度50%RH)下で上記プリント物の光沢面上に0.3mgの純水とオレイン酸をそれぞれ滴下させ、滴下より5秒後に形成された液滴の接触角を市販の接触角計「CA−DT(協和界面科学(株)製)」を用いて測定した。得られた測定値をプロット(Zisman Plot)してグラフを作成し、グラフより接触角を0(ゼロ)に外挿して臨界表面張力を算出した。臨界表面張力の値が50mN/m以上のものを合格とした。
【0149】
〈光沢度の測定〉
常温常湿環境(温度20℃、相対湿度50%RH)下で上記プリント物に形成された光沢層の光沢度を図2に示す構成の市販のグロスメーター「GMX−203(村上色彩技術研究所社製)」を用いて測定、評価した。すなわち、図2中の測定角度θを20°に設定し、前述の「JIS Z8741 1997」に記載の方法5に基いて行った。光沢度の値が60以上のものを合格とし、80以上になったものは特に優れているものとした。
【0150】
〈指紋視認性評価〉
高温高湿環境(温度33℃、相対湿度80%RH)下で前述の光沢度の測定を行ったプリント物に指紋を付着させた後、白色蛍光灯を光源とする光をプリント物の指紋付着個所に照射する。照射光の入射角を変化させて照射を行い、指紋が目視確認できたときの入射角の値を求めて評価を行った。この評価では指紋が目立ちにくい場合は入射角の値が大きなものになる。入射角の値が60°以上のものを合格とした。
【0151】
結果を表1に示す。
【0152】
【表1】

【0153】
表1に示す様に、20℃のときの臨界表面張力が50mN/m以上となる光沢層を形成するクリアトナーを用いた「実施例1〜9」は、いずれも良好な光沢度と指紋視認性が得られることが確認された。すなわち、「実施例1〜9」におかれては画像支持体全面に形成された光沢面を素手で触って指紋が付着しても、光沢面の美観を損ねることのない美しい仕上がりになることを確認することができた。また、形成された光沢面では像が鮮明に映し出るレベルのものであった。
【0154】
一方、20℃のときの臨界表面張力が50mN/mよりも小さな光沢層となるクリアトナーを用いた「比較例1〜3」は「実施例1〜9」に比べて指紋視認性が大幅に劣るものであることが確認された。つまり、形成された光沢面を素手で触って指紋が付着したものは、指紋が目立ち美観を大きく損ねるものになった。
【符号の説明】
【0155】
1 光沢層形成装置
10 加熱加圧装置
101 加熱ロール
102 加圧ロール
103 剥離ロール
104 従動ロール
11 ベルト部材
12、13 冷却ファン
14 搬送補助ロール
70 光源
71、73 光学系
72 試料
74 受光器
P 画像支持体
、S 開口
、L、L レンズ
α、β、α、β、α’、β’ 開き角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像支持体に供給されて光沢層を形成するクリアトナーであって、
前記クリアトナーは、
少なくとも、カルボキシル基(−COOH)を有する重合性単量体を用いて形成される重合体よりなる樹脂を含有し、
前記重合体における前記カルボキシル基(−COOH)を有する重合性単量体の比率が15質量%以上であることを特徴とするクリアトナー。
【請求項2】
前記重合体は、少なくとも、スチレン、n−ブチルアクリレート、分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を1個有する重合性単量体を用いて形成される共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のクリアトナー。
【請求項3】
前記重合体は、少なくとも、分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を複数個有する重合性単量体を用いて形成される共重合体であることを特徴とする請求項2に記載のクリアトナー。
【請求項4】
前記重合体は、少なくとも、スチレン、n−ブチルアクリレート、分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を複数個有する重合性単量体を用いて形成される共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のクリアトナー。
【請求項5】
前記クリアトナーにより形成される光沢面は、20℃における臨界表面張力が50mN/m以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のクリアトナー。
【請求項6】
前記クリアトナーは、
画像支持体に供給された後、加熱、溶融され、
前記画像支持体上で溶融しているときにベルトに密着させられ、
前記ベルトに密着させられた状態で冷却されて、
前記画像支持体上に光沢層を形成するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のクリアトナー。
【請求項7】
少なくとも、
画像支持体に供給されたクリアトナーを加熱、溶融する工程と、
前記画像支持体上のクリアトナーが供給された側の面をベルトに密着させ、ベルトに密着させた状態で前記クリアトナーを冷却する工程と、
前記画像支持体をベルトより剥離する工程を有する画像形成方法であって、
前記画像形成方法により形成される光沢面の20℃における臨界表面張力が50mN/m以上であり、
前記画像形成方法に使用される前記クリアトナーは、
少なくとも、カルボキシル基(−COOH)を有する重合性単量体を用いて形成された重合体よりなる樹脂を含有し、
前記重合体における前記カルボキシル基(−COOH)を有する重合性単量体の比率が15質量%以上であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
前記画像形成方法に使用されるクリアトナーに含有される樹脂を構成する前記重合体が、少なくとも、スチレン、n−ブチルアクリレート、分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を1個有する重合性単量体を用いて形成される共重合体であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記画像形成方法に使用されるクリアトナーに含有される樹脂を構成する前記重合体が、少なくとも、分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を複数個有する重合性単量体を用いて形成される共重合体であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。
【請求項10】
前記画像形成方法に使用されるクリアトナーに含有される樹脂を構成する前記重合体が、少なくとも、スチレン、n−ブチルアクリレート、分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を複数個有する重合性単量体を用いて形成される共重合体であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−138113(P2011−138113A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260916(P2010−260916)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】