説明

クリヤ塗料組成物及びその製造方法

【課題】無機紫外線吸収剤の分散性が良好であり、塗膜の膜厚が厚い場合においても紫外線吸収率及び可視光透過性に優れ、製造時間の短縮が可能であり、小さな分散設備で製造が可能なクリヤ塗料組成物、及び該クリヤ塗料組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】分散体及びバインダー成分を含有してなるクリヤ塗料組成物であって、前記分散体が、平均1次粒子径10〜50nmの無機紫外線吸収剤をアミノ基含有アルコキシシランで表面処理してなる表面処理微粒子を、酸基含有分散剤を用いて分散してなる分散体であることを特徴とするクリヤ塗料組成物、及び該クリヤ塗料組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線吸収機能を有するクリヤ塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外等で使用し耐候性が要求される被塗物には、紫外線吸収機能を有するクリヤ塗料組成物が塗装されることが多い。紫外線吸収機能を有するクリヤ塗料組成物としては、ベンゾフェノンやベンゾトリアゾール系の有機系紫外線吸収剤を含有したクリヤ塗料組成物が一般的に使用されている。有機系紫外線吸収剤を含有したクリヤ塗料組成物は、紫外線の吸収能力に優れている。しかし、紫外線の吸収に伴って有機系紫外線吸収剤自身が劣化し変色する場合がある。また、長期間に渡って使用される場合には、有機系紫外線吸収剤がブリードアウトにより塗膜の表面に出てくる傾向があるため、経時的に塗膜中の有機系紫外線吸収剤の濃度が下がり、諸性能が低下する懸念がある。
【0003】
一方、無機系の紫外線吸収剤として、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の金属酸化物の微粒子がある。無機系の紫外線吸収剤は、上記のような有機系紫外線吸収剤の懸念点を有しない。
【0004】
特許文献1には、透明基材表面に紫外線吸収性金属酸化物微粒子が分散された塗膜が形成されてなる紫外線吸収塗膜付き透明基材に関する発明が開示されている。該特許文献1には、前記透明基材を製造するための塗料として、粒径が0.1μm以下の酸化チタン微粒子を塗料中にボールミル等により分散させた塗料が記載されている。
【0005】
特許文献2には、10m/g以上60m/g以下の比表面積を有する酸化亜鉛粉末を塗料の溶媒を除いた総固形分中に30〜80重量%含有する透明紫外線吸収塗料に関する発明が開示されている。
【0006】
特許文献3には、粒径が0.1μm以下の酸化亜鉛粉末を結合剤中に分散したことを特徴とするクリヤ塗料組成物に関する発明が開示されている。
【0007】
これら特許文献に記載の発明は、塗膜の膜厚が約10μm以下の場合には紫外線吸収率及び可視光透過性のよいクリヤ塗料組成物であるものの、塗膜の膜厚が約20μmを越えて厚くなるに従い可視光透過性が劣り、紫外線吸収率及び可視光透過性の両立が難しい。
【0008】
さらに、これら特許文献に記載の発明では、無機紫外線吸収剤を塗料中に均一に分散させるために、無機紫外線吸収剤をバインダー成分に添加した後にボールミル、サンドミル等の分散機を使用して十分に分散する必要があった。また、自然沈降又は遠心沈降等により分散性の悪い粒子を除去しなければならない場合があった。このような分散方法を必要とする塗料組成物は、製造に時間を要する点、大きな分散設備を要する点で課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭62−148339号公報
【特許文献2】特開平1−217084号公報
【特許文献3】特開平2−265976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、無機紫外線吸収剤の分散性が良好であり、塗膜の膜厚が厚い場合においても紫外線吸収率及び可視光透過性に優れ、製造時間の短縮が可能であり、小さな分散設備で製造が可能なクリヤ塗料組成物、及び該クリヤ塗料組成物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、クリヤ塗料組成物に、特定の平均1次粒子径を有する無機紫外線吸収剤を特定のアルコキシシランで表面処理してなる表面処理微粒子を、酸基含有分散剤を用いて分散してなる分散体を用いることにより、前記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、分散体及びバインダー成分を含有してなるクリヤ塗料組成物であって、前記分散体が、平均1次粒子径10〜50nmの無機紫外線吸収剤をアミノ基含有アルコキシシランで表面処理してなる表面処理微粒子を、酸基含有分散剤を用いて分散してなる分散体であることを特徴とするクリヤ塗料組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、平均1次粒子径10〜50nmの無機紫外線吸収剤をアミノ基含有アルコキシシランで表面処理して表面処理微粒子を製造する工程、
前記工程で製造された表面処理微粒子を、酸基含有分散剤を用いて分散して分散体を製造する工程、
前記工程で製造された分散体及びバインダー成分を混合、攪拌する工程、
を有するクリヤ塗料組成物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のクリヤ塗料組成物によれば、特定の平均1次粒子径を有する無機紫外線吸収剤を特定のアルコキシシランで表面処理してなる表面処理微粒子を、酸基含有分散剤を用いて分散してなる分散体を用いることにより、無機紫外線吸収剤の分散性が良好であり、塗膜の膜厚が厚い場合においても紫外線吸収率及び可視光透過性に優れ、製造時間の短縮が可能であり、小さな分散設備で製造が可能なクリヤ塗料組成物を得ることができる。
【0015】
また本発明のクリヤ塗料組成物の製造方法によれば、無機紫外線吸収剤の分散性が良好であり、塗膜の膜厚が厚い場合においても紫外線吸収率及び可視光透過性に優れるクリヤ塗料組成物を、製造時間を短縮し、かつ小さな分散設備で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1のクリヤ塗料組成物No.1により得られた試験用塗膜の波長−透過率曲線
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のクリヤ塗料組成物は、分散体及びバインダー成分を含有してなるクリヤ塗料組成物であって、前記分散体が、平均1次粒子径10〜50nmの無機紫外線吸収剤をアミノ基含有アルコキシシランで表面処理してなる表面処理微粒子を、酸基含有分散剤を用いて分散してなる分散体であることを特徴とする。
【0018】
<無機紫外線吸収剤>
本発明に用いる無機紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛及び酸化セリウムから選ばれる少なくとも1種である無機紫外線吸収剤が好ましい。これら無機紫外線吸収剤は、単独で又は2種以上組合せて使用することができる。無機紫外線吸収剤は、紫外線吸収能に優れる点から酸化チタンが好ましい。無機紫外線吸収剤は、それ自体が無機化合物等により被覆されていてもよい。被覆された無機紫外線吸収剤としては、例えば、酸化チタンをアルミナ及び/又はシリカで被覆してなる無機紫外線吸収剤が挙げられる。無機紫外線吸収剤として酸化チタンを用いる場合には、酸化チタンの光触媒作用によるバインダー成分の劣化を防止しうる点から、アルミナ及び/又はシリカで被覆してなる酸化チタンが好ましい。無機紫外線吸収剤の被覆方法は、特に限定されるものではなく、例えば、特開平5−155748号公報、特開平6−49388号公報、特開平11−171541号公報、特開2000−219819号公報等に記載の従来公知の方法を採ることができる。
【0019】
本発明に用いる無機紫外線吸収剤の平均1次粒子径は10〜50nmである。この範囲は、本発明のクリヤ塗料組成物により得られるクリヤ塗膜の可視光透過性の点で意義がある。無機紫外線吸収剤の平均1次粒子径が50nmを越えると、本発明のクリヤ塗料組成物により得られるクリヤ塗膜の可視光透過性、特にクリヤ塗膜の膜厚が20μmを越える厚い膜厚での可視光透過性が劣る。無機紫外線吸収剤の平均1次粒子径は、分散安定性及びクリヤ塗膜の可視光透過性がより向上する点から、好ましくは10〜30nmであり、より好ましくは10〜20nmである。
【0020】
ここで本発明において無機紫外線吸収剤の平均1次粒子径とは、透過型電子顕微鏡(TEM)写真によって50個の無機紫外線吸収剤の長径を計測し、それらを平均することで求めた値である。
【0021】
本発明に用いる無機紫外線吸収剤の具体例は、例えば、酸化チタンとしては、MT−100S、MT−100T、MT−100TV、MT−100Z、MT−100F、MT−150W、MT−100AQ、MT−100SA、MT−100HD、MT−100SAS、MT−500SAS、MT−500B、MT−500H、MT−500SA、MT−500HD、SMT−100SAS、SMT−500SAS、MT−600B、MT−600SA、MT−700HD(いずれも商品名、テイカ社製)、TTO−51、TTO−55(いずれも商品名、石原産業社製)、STR−60、STR−100(いずれも商品名、堺化学工業社製)等が挙げられる。酸化亜鉛としては、MZ−300、MZ−303S、MZ−303M、MZ−5700、MZ−505S、MZ−505M(いずれも商品名、テイカ社製)、FZO−50(商品名、石原産業社製)、ZnO−310、ZnO−350、ZnO−410(いずれも商品名、住友大阪セメント社製)、FINEX−30、FINEX−30S−LP2、FINEX−30W−LP2、FINEX−50、FINEX−50S−LP2(いずれも商品名、堺化学工業社製)等が挙げられる。
【0022】
<アミノ基含有アルコキシシラン>
本発明に用いるアミノ基含有アルコキシシランとしては、例えば、下記一般式(I)、
【0023】
【化1】

【0024】
[式(I)中、Xは、アミノ基、アルキルアミノ基、又はフェニルアミノ基を表す。Rは、炭素数1〜4のアルキレン基を表す。Rは、同一又は異なっていてもよい炭素数1〜4のアルキレン基を表す。Rは、同一又は異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を表す。Rは、同一又は異なっていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。mは0〜2の整数を表す。nは0〜2の整数を表す。]で表されるアミノ基含有アルコキシシランが挙げられる。
【0025】
前記一般式(I)で表されるアミノ基含有アルコキシシランの具体例としては、例えばN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランが、使いやすさ及びコストの観点から好ましい。これらアミノ基含有アルコキシシランは、単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
【0026】
<表面処理微粒子>
本発明の表面処理微粒子は、前記無機紫外線吸収剤を前記アミノ基含有アルコキシシランで表面処理してなる。ここで表面処理とは、前記無機紫外線吸収剤と前記アミノ基含有アルコキシシランとを混合することにより前記無機紫外線吸収剤の表面を前記アミノ基含有アルコキシシランの縮合反応生成物で改質することをさす。表面処理の方法については、後述の本発明の製造方法において詳述する。
【0027】
前記表面処理微粒子は、前述の通り前記無機紫外線吸収剤を前記アミノ基含有アルコキシシランで表面処理してなるが、該表面処理微粒子の表面処理量は特に制限されるものではない。処理の容易性及び処理に要する時間の点から、前記表面処理微粒子の表面処理量は、1.0〜15重量%であることが好ましく、2.0〜10重量%であることがより好ましい。
【0028】
ここで、本明細書において表面処理量は、以下の方法により求められるものである。表面処理量は、示差熱熱重量同時測定装置[例えば、TG/DTA320U(商品名)、SIIナノテクノロジー社製]を用いて、表面処理微粒子の熱重量減少を測定することにより求められる。具体的には、20mg〜30mgの表面処理微粒子を用意し、上記装置を用いて空気中10℃/minの昇温条件にて室温から450℃まで加熱したときの熱重量減少を測定する。このとき、一般に有機物が加熱されると酸化分解により発熱ピークが観測されるため、測定する熱重量減少は、発熱ピークを示す温度領域での熱重量減少とする。そして、測定された減少した重量を測定前の表面処理微粒子の重量で除し百分率で表した値が表面処理剤量(単位は重量%)である。
【0029】
表面処理量は、表面処理を行う際の無機紫外線吸収剤及びアミノ基含有アルコキシシランの混合量、系内のpH、処理温度、処理時間等を適宜調整することにより容易に調整することができる。
【0030】
前記表面処理微粒子の含有量は特に限定されるものではないが、紫外線吸収率と可視光透過性の両立の点から、バインダー成分100質量部に対して0.5〜10質量部であるのが好ましく、0.7〜9質量部であるのがより好ましい。表面処理微粒子に用いる無機紫外線吸収剤が酸化チタンの場合には、酸化チタンの屈折率及び紫外線吸収能を考慮して、表面処理微粒子の含有量は、紫外線吸収率と可視光透過性の両立の点から、バインダー成分100質量部に対して0.5〜3.0質量部であるのが好ましく、0.7〜2.5質量部であるのがより好ましい。表面処理微粒子に用いる無機紫外線吸収剤が酸化亜鉛の場合には、酸化亜鉛の屈折率及び紫外線吸収能を考慮して、表面処理微粒子の含有量は、紫外線吸収率と可視光透過性の両立の点から、バインダー成分100質量部に対して1〜10質量部であるのが好ましく、4〜9質量部であるのがより好ましい。表面処理微粒子に用いる無機紫外線吸収剤が酸化セリウムの場合には、酸化セリウムの屈折率及び紫外線吸収能を考慮して、表面処理微粒子の含有量は、紫外線吸収率と可視光透過性の両立の点から、バインダー成分100質量部に対して1〜10質量部であるのが好ましく、2〜8質量部であるのがより好ましい。
【0031】
<酸基含有分散剤>
本発明で用いる酸基含有分散剤としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基を有する分散剤が挙げられる。なかでもスルホン酸基及び/又はリン酸基を有する分散剤が分散性の点から好ましい。
【0032】
前記酸基含有分散剤としては、具体的には、酸基を有するアクリル樹脂、酸基を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも耐候性の点から酸基を有するアクリル樹脂が好ましい。
【0033】
酸基を有するアクリル樹脂は、例えば、酸基を有するビニルモノマー、及びその他のビニルモノマ−を共重合して得られる。
【0034】
酸基を有するビニルモノマーとしては、カルボン酸基を有するビニルモノマー、スルホン酸基を有するビニルモノマー、リン酸基を有するビニルモノマー等が挙げられる。
【0035】
カルボン酸基を含有するビニルモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、2−カルボキシエチルアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、グルタコン酸、テトラヒドロフタル酸等が挙げられる。
【0036】
リン酸基を有するビニルモノマーは、1分子中に、下記一般式(II)、
【0037】
【化2】

【0038】
[式(II)中、Rは水素原子又は炭素数4〜10の炭化水素基である。]で表されるリン酸基と、重合性二重結合をそれぞれ1個以上有するビニルモノマーである。リン酸基を有するビニルモノマーとしては、例えば、モノブチルホスフェ−ト[(HO)P(O)(OC)]やモノイソデシルホスフェ−ト[(HO)P(O)(OC1021)]などのホスフェ−トに含まれる酸性ヒドロキシル基1個に、グリシジルアクリレ−トやグリシジルメタクリレ−ト等のグリシジル基含有ビニルモノマーを反応することによって得られるリン酸基を有するビニルモノマー等が挙げられる。また、(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、(2−アクリロイルオキシプロピル)アシッドホスフェート、(2−メタクリロイルオキプロピル)アシッドホスフェートが挙げられる。また、下記一般式(III)、
【0039】
【化3】

【0040】
[式(III)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rはアルキレン基を表す。pは1〜20の整数を表す。]で表されるリン酸基を有する重合性モノマー(具体的には例えば、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、プロピレングリコールメタクリレートホスフェート、エチレングリコールアクリレートホスフェート、プロピレングリコールアクリレートホスフェート等)が挙げられる。
【0041】
また、その他のリン酸基を有するビニルモノマーとしては、例えば、特公昭50−22536号公報、特開昭58−128393号公報に記載の方法で製造されるもの等が挙げられる。
【0042】
リン酸基を有するビニルモノマーの市販品としては、例えば、ホスマーM、ホスマーCL、ホスマーPE、ホスマーMH(いずれも商品名、ユニケミカル社製)、ライトエステルPM(商品名、共栄社化学社製)、JAMP−514(商品名、城北化学工業社製)、KAYAMER PM−2、KAYAMER PM−21(いずれも商品名、日本化薬社製)等が挙げられる。
【0043】
スルホン酸基を有するビニルモノマーとしては、例えば、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルスルホエチル、(メタ)アクリルスルホプロピル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アルキルアリルスルホサクシネート(メチルアリルスルホサクシネート、エチルアリルススルホサクシネート等)等が挙げられる。
【0044】
その他のビニルモノマーとしては、例えば、水酸基含有ビニルモノマー;(メタ)アクリル酸エステル類;ビニルエーテル及びアリルエーテル;オレフィン系化合物及びジエン化合物;炭化水素環含有不飽和単量体;含窒素不飽和単量体等が挙げられる。
【0045】
水酸基含有ビニルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルポリオールと(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸とのモノエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルポリオールと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有ビニルモノマーとのモノエーテル;無水マレイン酸や無水イタコン酸等の酸無水基含有不飽和化合物と、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類とのジエステル化物;ヒドロキシエチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;アリルアルコール等;α,β−不飽和カルボン酸と、カージュラE10(シェル石油化学社製、商品名)やα−オレフィンエポキシド等のモノエポキシ化合物との付加物;グリシジル(メタ)アクリレートと酢酸、プロピオン酸、p−tert−ブチル安息香酸、脂肪酸類等の一塩基酸との付加物;上記水酸基含有ビニルモノマーとラクトン類(例えばε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン)との付加物等が挙げられる。
【0046】
(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜24のアルキルエステル又はシクロアルキルエステル;メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステル等が挙げられる。
【0047】
ビニルエーテル及びアリルエーテルとしては、例えば、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル等の鎖状アルキルビニルエーテル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のシクロアルキルビニルエーテル類;フェニルビニルエーテル、トリビニルエーテル等のアリルビニルエーテル類、ベンジルビニルエーテル、フェネチルビニルエーテル等のアラルキルビニルエーテル類;アリルグリシジルエーテル、アリルエチルエーテル等のアリルエーテル類等が挙げられる。
【0048】
オレフィン系化合物及びジエン化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0049】
炭化水素環含有不飽和単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェニルプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、p−tert−ブチル−安息香酸と(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとのエステル化物、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0050】
含窒素不飽和単量体としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の重合性アミド類;2−ビニルピリジン、1−ビニル−2−ピロリドン、4−ビニルピリジン等の芳香族含窒素モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の重合性ニトリル;アリルアミン等が挙げられる。
【0051】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味する。また、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
【0052】
酸基を有するアクリル樹脂は、上記のビニルモノマ−をそれ自体既知の溶液重合法等により、重合開始剤の存在下で重合せしめることにより調製することができる。重合反応におけるこれらのビニルモノマ−の構成比率は目的に応じて任意に選択でき、特に限定されないが、例えば、酸基を有するビニルモノマ−及びその他のビニルモノマ−の合計量を基準に、酸基を有するビニルモノマ−は0.5〜10質量%、好ましくは1.5〜7質量%、その他のビニルモノマーは90〜99.5質量%、好ましくは93〜98.5質量%の範囲内が適している。
【0053】
酸基を有するアクリル樹脂の酸基に基づく酸価は、特に限定されるものではないが、1〜50mgKOH/g、特に10〜30mgKOH/gの範囲内が適している。
【0054】
酸基を有するアクリル樹脂の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、好ましくは5,000〜100,000、特に好ましくは10,000〜70,000の範囲内である。
【0055】
本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー(株)社製、「HLC8120GPC」)で測定した重量平均分子量をポリスチレンの重量平均分子量を基準にして換算した値である。カラムは、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1ml/分、検出器;RIの条件で行ったものである。
【0056】
酸基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、リン酸基を有するエポキシ樹脂が挙げられる。リン酸基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂とモノブチルホスフェートやオルトリン酸との反応生成物等が挙げられる。出発材料として用いられるエポキシ樹脂としては、エポキシ樹脂の重量平均分子量としては1,000〜10,000、さらには2,000〜5,000が好ましい。かかるエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン社からエピコート828EL、同左1002、同左1004、同左1007なる商品名で販売されているものが挙げられる。前記エポキシ樹脂はそのまま使用しても構わないが、勿論、可塑化変性されたエポキシ樹脂を使用しても良い。
【0057】
前記酸基含有分散剤の含有量は特に限定されるものではない。前記酸基含有分散剤の含有量は、分散性の点から、前記表面処理微粒子100質量部に対して10〜200質量部であることが好ましく、10〜70質量部であることがより好ましく、15〜45質量部であることが特に好ましい。
【0058】
<分散体>
本発明に用いる分散体は、前記表面処理微粒子を前記酸基含有分散剤を用いて分散してなる。分散の方法については、後述の本発明の製造方法において詳述する。
【0059】
本発明に用いる分散体において、得られるクリヤ塗膜の可視光透過性及び分散安定性の点から、分散体中の前記表面処理微粒子は、体積基準による90%平均粒子径が10〜200nmであることが好ましく、10〜80nmであることがより好ましい。
【0060】
ここで本発明において、体積基準による90%平均粒子径とは、レーザー回折散乱法によって測定した粒度分布測定データにおける、粒径の小さい側からの粒子の累積体積が90%に達した時の粒子の粒径を示す。測定は、例えば、ナノトラックUPA−EX250(商品名、日機装社製、レーザードップラー方式粒度分布測定装置)を用いて測定することができる。
【0061】
前記分散体中の表面処理微粒子の体積基準による90%平均粒子径を調整する方法は、後述する分散方法を用いれば特に困難なものではなく、例えば、該分散方法において、分散時間、分散メディアの種類及び粒径、分散時の固形分、分散機等を適宜選択することで容易に行うことができる。
【0062】
前記分散体の固形分は特に限定されるものではないが、扱い易さの点から分散体の固形分は5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
【0063】
<バインダー成分>
本発明で用いるバインダー成分としては、クリヤ塗料組成物に配合しうる従来公知のバインダー成分であれば特に限定されるものではない。例えば、水酸基、カルボキシル基、シラノール基、エポキシ基等の架橋性官能基を含有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコン含有樹脂等の化合物が挙げられる。また、これら架橋性官能基を含有する化合物は、該架橋性官能基と反応するメラミン樹脂、尿素樹脂、(ブロック)ポリイソシアネ−ト化合物、エポキシ化合物、カルボキシル基含有化合物、酸無水物、アルコキシシラン基含有化合物等の架橋剤と併用することができる。また、バインダー成分は、活性エネルギー線硬化性樹脂であってもよい。活性エネルギー線硬化性樹脂としては、光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等が挙げられる。
【0064】
本発明に用いるバインダー成分としては、耐酸性及び耐候性の点からカルボキシル基含有化合物及びエポキシ基含有アクリル樹脂を含有するバインダー成分が好ましい。
【0065】
<カルボキシル基含有化合物>
カルボキシル基含有化合物は、カルボキシル基を有する化合物であり、通常、酸価が50〜500mgKOH/g、好ましくは80〜300mgKOH/gの化合物である。
【0066】
カルボキシル基含有化合物の酸価が50mgKOH/gよりも小さくなると、得られるクリヤ塗料組成物の硬化性が低下してクリヤ塗膜の耐酸性が低下する場合があり、また、酸価が500mgKOH/gよりも大きくなるとエポキシ基含有アクリル樹脂との相溶性が低下して可視光透過性及び仕上り性が低下する場合がある。
【0067】
カルボキシル基含有化合物としては、例えば、(A−1)1分子中に酸無水基をハーフエステル化してなる基を有するビニル系重合体、(A−2)カルボキシル基含有ポリエステル系重合体等が挙げられる。
【0068】
1分子中に酸無水基をハーフエステル化してなる基を有するビニル系重合体(A−1)[以下、「化合物(A−1)」と略すことがある]について説明する。
【0069】
ここで、酸無水基をハーフエステル化してなる基とは、酸無水基に脂肪族モノアルコール構造を付加し、開環して(即ちハーフエステル化して)得られるカルボキシル基とカルボン酸エステル基とからなる基を意味する。以下、この基を単にハーフエステル基ということがある。
【0070】
化合物(A−1)は、例えば、ハーフエステル基を有するビニルモノマー及びその他のビニルモノマーを、常法により共重合させることによって容易に得ることができる。また、ハーフエステル基を有するビニルモノマーに代えて、酸無水基を有するビニルモノマーを用いて、同様に共重合した後、該酸無水基をハーフエステル化することによっても、化合物(A−1)は容易に得られる。
【0071】
ハーフエステル基を有するビニルモノマーとしては、酸無水基を有するビニルモノマーの酸無水基をハーフエステル化して得られる化合物、水酸基含有ビニルモノマーに酸無水物をハーフエステル化により付加して得られる化合物等が挙げられる。
【0072】
酸無水基を有するビニルモノマーの酸無水基をハーフエステル化して得られる化合物としては、具体的には、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水基を有するビニルモノマーと、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等の脂肪族モノアルコールとのモノエステル化物等が挙げられる。
【0073】
水酸基含有ビニルモノマーに酸無水物をハーフエステル化により付加して得られる化合物としては、具体的には、例えば、下記その他のビニルモノマーとして例示する水酸基含有ビニルモノマーに、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物をハーフエステル化により付加して得られる化合物等が挙げられる。
【0074】
ハーフエステル化は、上記の通り、共重合反応の前後のいずれにおいても行うことができる。ハーフエステル化の反応は、通常の方法に従い、室温から80℃程度の温度で、必要ならば3級アミンを触媒として用いて行うことができる。
【0075】
その他のビニルモノマーとしては、例えば、水酸基含有ビニルモノマー;(メタ)アクリル酸エステル類;ビニルエーテル及びアリルエーテル;オレフィン系化合物及びジエン化合物;炭化水素環含有不飽和単量体;含窒素不飽和単量体等が挙げられる。これらの例示としては、前記酸基含有分散剤の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0076】
上記ビニルモノマーの共重合は、一般的なビニルモノマーの重合法を用いることができるが、汎用性やコスト等を考慮して、有機溶剤中における溶液型ラジカル重合法が最も適している。即ち、キシレン、トルエン等の芳香族溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、3−メトキシブチルアセテート等のエステル系溶剤;n−ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤等の溶剤中でアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の重合開始剤の存在下、60〜150℃程度の範囲内で共重合反応を行うことによって、容易に目的の重合体を得ることができる。
【0077】
ハーフエステル基又は酸無水基を有するビニルモノマー及びその他のビニルモノマーの各モノマーの共重合量は、通常、全モノマー中、次のような割合とするのが適当である。即ち、ハーフエステル基又は酸無水基を有するビニルモノマーは、硬化性と貯蔵安定性の観点から、5〜40質量%程度、好ましくは10〜30質量%であるのが良い。また、その他のビニルモノマーは、60〜95質量%程度、好ましくは70〜90質量%であるのが適当である。尚、酸無水基を有するビニルモノマーを使用した場合は、共重合反応後に、ハーフエステル化反応を行うことは、前記の通りである。
【0078】
また、化合物(A−1)は、数平均分子量1,000〜10,000の範囲内のアクリル系重合体であるのが好ましい。数平均分子量が1,000より小さいと硬化塗膜の耐酸性が低下する場合がある。数平均分子量が10,000を越えるとエポキシ基含有アクリル樹脂との相溶性が低下することによりクリヤ塗膜の可視光透過性及び仕上り外観が低下する場合がある。
【0079】
本明細書において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー(株)社製、「HLC8120GPC」)で測定した数平均分子量をポリスチレンの数平均分子量を基準にして換算した値である。カラムは、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1ml/分、検出器;RIの条件で行ったものである。
【0080】
カルボキシル基含有ポリエステル系重合体(A−2)[以下、「化合物(A−2)」と略すことがある]について説明する。
【0081】
化合物(A−2)の数平均分子量は、特に限定されないが、通常、500〜1,0000、特に800〜5,000の範囲内であるのがクリヤ塗膜の可視光透過性及び仕上り外観の観点から好ましい。
【0082】
化合物(A−2)は、エチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の多価カルボン酸との縮合反応によって容易に得ることができる。化合物(A−2)は、例えば、多価カルボン酸のカルボキシル基を多価アルコールの水酸基に対してモル比で過剰の配合条件下で1段階の反応により得られる。また、化合物(A−2)は、多価アルコールの水酸基を多価カルボン酸のカルボキシル基に対してモル比で過剰の配合条件下で、まず水酸基末端のポリエステル系重合体を合成した後、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸等の酸無水基含有化合物を後付加させることによっても得えられる。
【0083】
また、化合物(A−2)は、エポキシ基含有アクリル樹脂との相溶性の向上のために、水酸基価100mgKOH/g以下となる範囲内で水酸基を導入することができる。
【0084】
カルボキシル基含有ポリエステル系重合体として特に好ましいものとして、下記のカルボキシル基含有高酸価ポリエステルが挙げられる。
【0085】
カルボキシル基含有高酸価ポリエステルは、エチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸等の多価カルボン酸又はこれらの多価カルボン酸の低級アルキル化物とを、水酸基量がカルボキシル基量(酸無水基1モルはカルボキシル基2モルと計算)より過剰となる配合条件下でエステル化反応(縮合反応、エステル交換反応のいずれでもよい)して得られるポリエステルポリオールを、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸等の酸無水基含有化合物とハーフエステル化反応させることによって容易に得ることができる。
【0086】
前記ポリエステルポリオールは、通常のエステル化反応条件によって得ることができ、このポリエステルポリオールは、数平均分子量が350〜4,700、好ましくは400〜3,000の範囲内にあり、水酸基価が70〜400mgKOH/g、好ましくは150〜350mgKOH/gの範囲内にあることが好適である。
【0087】
カルボキシル基含有高酸価ポリエステルを得るための、前記ポリエステルポリオールのハーフエステル化の反応は、通常の方法に従い、通常、室温から80℃程度の温度で、必要ならば3級アミンを触媒として用いて行うことができる。
【0088】
カルボキシル基含有高酸価ポリエステルは、数平均分子量が800〜5,000、好ましくは900〜3,000の範囲内にあり、酸価が50〜500mgKOH/g、好ましくは100〜400mgKOH/gの範囲内にあることが適当である。
【0089】
<エポキシ基含有アクリル樹脂>
エポキシ基含有アクリル樹脂は、1分子中にエポキシ基を含有するアクリル樹脂である。
【0090】
エポキシ基含有アクリル樹脂は、エポキシ基を有するビニルモノマー及びその他のビニルモノマーを、前記化合物(A−1)で示した共重合の方法と同様の方法により共重合することによって合成することができる。
【0091】
エポキシ基を有するビニルモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0092】
その他のビニルモノマーとしては、前記酸基含有分散剤の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0093】
エポキシ基含有アクリル樹脂は、カルボキシル基含有化合物との相溶性の向上のために水酸基価100mgKOH/g以下の範囲内で水酸基を導入することができる。
【0094】
水酸基の導入は、水酸基含有ビニルモノマーを構成成分として共重合することにより行うことができる。
【0095】
水酸基含有ビニルモノマーとしては、前記酸基含有分散剤の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0096】
エポキシ基を有するビニルモノマーの共重合量は、通常、全モノマー中、硬化性と貯蔵安定性の観点から、5〜60質量%、特に10〜45質量%であるのが好ましい。その他のビニルモノマーは、40〜95質量%、特に55〜90質量%であるのが好ましい。
【0097】
エポキシ基含有アクリル樹脂は、通常、エポキシ基含有量が0.5〜5.0ミリモル/g、特に0.8〜3.5ミリモル/gの範囲内であるのが好ましい。
【0098】
エポキシ基含有アクリル樹脂のエポキシ基含有量が0.5ミリモル/gよりも小さくなると、得られるクリヤ塗料組成物の硬化性が低下して塗膜の耐酸性が低下する場合があり、またエポキシ基含有量が5.0ミリモル/gよりも大きくなるとカルボキシル基含有化合物との相溶性が低下する場合がある。
【0099】
また、エポキシ基含有アクリル樹脂の数平均分子量は、1,000〜10,000、特に1,200〜7,000の範囲内であるのが好ましい。数平均分子量が1,000より小さいと塗膜の耐酸性が低下する場合があり、10,000を越えるとカルボキシル基含有化合物との相溶性が低下する場合がある。
【0100】
カルボキシル基含有化合物及びエポキシ基含有アクリル樹脂の配合割合は、特に限定されるものではないが、カルボキシル基含有化合物とエポキシ基含有アクリル樹脂との配合割合が前者のカルボキシル基と後者のエポキシ基との当量比で1.0:0.5〜0.5:1.0となる割合であるのが好ましく、1.0:0.6〜0.6:1.0となる割合であるのがより好ましい。
【0101】
<その他の成分>
本発明のクリヤ塗料組成物には、必要に応じて、有機系紫外線吸収剤を併用してもよい。有機系紫外線吸収剤としては、従来から公知のものが使用でき、例えば、ベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸誘導体系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0102】
有機系紫外線吸収剤の含有量としては、通常、バインダー成分100質量部に対して0〜10質量部、特に0.2〜5質量部、さらに特に0.3〜2質量部の範囲内であるのが耐侯性、耐黄変性の面から好ましい。
【0103】
本発明のクリヤ塗料組成物には、必要に応じて、光安定剤を配合することができる。光安定剤としては、従来から公知のものが使用でき、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。
【0104】
光安定剤の含有量としては、通常、バインダー成分100質量部に対して0〜10質量部、特に0.2〜5質量部、さらに特に0.3〜2質量部の範囲内であるのが耐侯性、耐黄変性の面から好ましい。
【0105】
本発明のクリヤ塗料組成物には、必要に応じて、硬化触媒を配合することができる。硬化触媒としては、例えば、カルボキシル基とエポキシ基との架橋反応に有効な触媒として、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルフォスフォニウムブロマイド、トリフェニルベンジルフォスフォニウムクロライド等の4級塩触媒;トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類等が挙げられる。これらのうち4級塩触媒が好適である。さらに、該4級塩に該4級塩とほぼ当量のモノブチルリン酸、ジブチルリン酸等のリン酸化合物を配合したものは、上記触媒作用を損なうことなくクリヤ塗料組成物の貯蔵安定性を向上させ且つクリヤ塗料組成物の電気抵抗値の低下によるスプレー塗装適性の低下を防ぐことができる点から好ましい。
【0106】
本発明のクリヤ塗料組成物には、必要に応じて、クリヤ塗料組成物中や空気中に存在する水分によるクリヤ塗料組成物の劣化を抑制するために、オルト酢酸トリメチル等のいわゆる脱水剤の使用も可能である。
【0107】
また、本発明のクリヤ塗料組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料、防錆顔料等の公知一般の顔料を配合できる。
【0108】
本発明のクリヤ塗料組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、表面調整剤、消泡剤等の一般的な塗料組成物用添加剤を配合することも可能である。
【0109】
<本発明のクリヤ塗料組成物の製造方法>
本発明のクリヤ塗料組成物の製造方法は、平均1次粒子径10〜50nmの無機紫外線吸収剤をアミノ基含有アルコキシシランで表面処理して表面処理微粒子を製造する工程、前記工程で製造された表面処理微粒子を、酸基含有分散剤を用いて分散して分散体を製造する工程、前記工程で製造された分散体及びバインダー成分を混合、攪拌する工程、を含有するクリヤ塗料組成物の製造方法である。
【0110】
本発明の製造方法において、無機紫外線吸収剤、アミノ基含有アルコキシシラン、表面処理微粒子、酸基含有分散剤、分散体及びバインダー成分としては、前述したものと同じものが挙げられる。
【0111】
<表面処理>
表面処理微粒子を製造する工程における表面処理の方法は、特に限定されるものではなく、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機粒子を表面処理剤で表面処理する従来公知の方法を採ることができる。表面処理の方法としては、例えば、前記アミノ基含有アルコキシシランの希薄水溶液を調製して前記無機紫外線吸収剤を含浸処理する水溶液法;前記アミノ基含有アルコキシシランを有機溶剤に溶解して前記無機紫外線吸収剤を含浸処理する溶液法;前記アミノ基含有アルコキシシランを直接に前記無機紫外線吸収剤へ噴霧するスプレー法等が挙げられる。表面処理を行う際には、酸、アルカリ等を共存させ系内のpHを適宜調整することができる。また表面処理を行う際には、超音波、マイクロビーズミル、攪拌、高圧乳化等の機械的混合手段を用いることができる。攪拌は、製造のスケールに応じて、マグネチックスターラー、攪拌翼付きモーター等任意の手段を用いることができる。
【0112】
本発明の製造方法では、前記無機紫外線吸収剤を前記アミノ基含有アルコキシシランで表面処理して表面処理微粒子を得た後、表面処理微粒子を取り出すために分離を行うのが好ましい。表面処理無機微粒子の分離方法としては、有機溶剤の留去、濾過、遠心分離、デカンテーション等が挙げられる。これらの方法は、単独でも、二種以上の併用でもよいが、なかでも有機溶剤の留去が好ましい。有機溶剤を留去する方法としては、例えば、常圧蒸留、減圧蒸留、常圧乾燥及び真空乾燥が挙げられ、有機溶剤の種類に応じて任意に選択することができる。
【0113】
表面処理及び分離の際に用いる有機溶剤は、前記無機紫外線吸収剤及び前記アミノ基含有アルコキシシランの種類に応じて選ぶことができる。例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、テトラデカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソアミル等のエステル系溶剤;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール等のアルコール系溶剤;クロロホルム、1,2−ジクロルエタン、塩化メチレン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、テトラクロロエタン、ブロモベンゼン等のハロゲン系溶剤;1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、2−ブロモ−α,α、α−トリフルオロトルエン、3−ブロモ−α,α、α−トリフルオロトルエン、4−ブロモ−α,α、α−トリフルオロトルエン、1−クロロ−2−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン等のフッ素系有機溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の非プロトン系極性溶剤等が挙げられる。
【0114】
<分散>
分散体を製造する工程における分散の方法は特に限定されるものではなく、例えば、顔料分散樹脂を用いた従来公知の顔料分散方法と同様の方法を採ることができる。分散の方法としては、例えば、ペイントシェーカー、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター等の分散機を用いて分散する方法が挙げられる。分散の際には、適宜溶剤を添加しても良い。溶剤としては、例えば、前記表面処理の説明において例示した有機溶剤が挙げられる。また、本発明のクリヤ塗料組成物を活性エネルギー線硬化型クリヤ塗料組成物とする場合、活性エネルギー線硬化性の液状モノマーや液状オリゴマーを溶剤に代えて媒体として用いてもよい。分散の際の温度、時間は特に限定されるものではなく、得られる分散体中の表面処理微粒子の体積基準による90%平均粒子径等を考慮して適宜選択することができる。
【0115】
<混合、攪拌>
本発明の製造方法の分散体及びバインダー成分を混合、攪拌する工程における混合、攪拌の方法は、従来公知のクリヤ塗料組成物の製造における混合、攪拌の方法により行うことができる。例えば、分散体及びバインダー成分の所定量を混合した後に、回転翼式攪拌機等の攪拌機を用いて攪拌する方法が挙げられる。また、容器に入れた所定量のバインダー成分に対して、分散体を徐々に混合しつつ、回転翼式攪拌機等の攪拌機で攪拌する方法も採ることができる。混合、攪拌する際の温度、時間は特に限定されない。
【0116】
従来の無機紫外線吸収剤を含有するクリヤ塗料組成物においては、特許文献1〜3に記載のごとく、無機紫外線吸収剤をバインダー成分に添加した後にボールミル等の分散機で分散している。そして、通常は塗料組成物の製造工程において分散工程の時間の占める割合は大きい。そのため、従来技術では、製造に時間を要していた。また、製造する塗料組成物と同じ量を分散機で分散する必要があるため、大きな分散設備を要していた。一方、本発明においては、上記のごとく無機紫外線吸収剤を分散させた分散体を用いて、該分散体をバインダー成分と混合、攪拌しクリヤ塗料組成物を得ている。すなわち、分散工程は分散体の製造において行う。そして、本発明においてクリヤ塗料組成物に含有される表面処理微粒子の量は、一例として、バインダー成分100質量部に対して、0.5〜10質量部程度であるため、本発明のクリヤ塗料組成物を製造するのに要する分散体の量は、例えば、クリヤ塗料組成物に対して数分の1〜数十分の1の量でよい。したがって、本発明の場合では、従来技術の製造方法と比較して同量のクリヤ塗料組成物を製造するのに要する分散機の容量を減少させることができるため、製造時間の短縮が可能であり、小さな分散設備で製造することができる。
【0117】
<塗装方法>
本発明のクリヤ塗料組成物を適用する被塗物としては、特に限定されるものではないが、例えば、自動車、二輪車、コンテナ等の各種車両の車体であるのが好ましい。また、これら車体等を形成する冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板、ステンレス鋼板、錫メッキ鋼板等の鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板等の金属基材;各種プラスチック素材等であってもよい。
【0118】
また、被塗物としては、上記車体や金属基材の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよい。更に、被塗物としては、上記車体、金属基材等に、各種電着塗料等の下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が形成されたものであってもよい。
【0119】
本発明のクリヤ塗料組成物の塗装方法としては、特に限定されないが、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装などの塗装方法で塗膜を形成することができる。これらの塗装方法は、必要に応じて、静電印加してもよい。このうちエアスプレー塗装が特に好ましい。
【0120】
また、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装及び回転霧化塗装する場合には、クリヤ塗料組成物の粘度を、該塗装に適した粘度範囲、通常、フォードカップ#No.4粘度計において、20℃で15〜60秒程度の粘度範囲となるように、有機溶剤等の溶剤を用いて、適宜、調整しておくことが好ましい。
【0121】
被塗物に本発明のクリヤ塗料組成物を塗装してなるウェット塗膜の乾燥又は硬化は、例えば、加熱することにより行われ、加熱は公知の加熱手段により行うことができ、例えば、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱炉等の乾燥炉を適用できる。加熱温度は、特に限定されるものではないが、例えば、100〜180℃、好ましくは120〜160℃の範囲内にあることが適している。加熱時間は、特に限定されるものではないが5〜60分間の範囲内であるのが好適である。
【0122】
また、本発明のクリヤ塗料組成物のバインダー成分が活性エネルギー線硬化性樹脂の場合には、ウェット塗膜の硬化は、ウェット塗膜を適宜乾燥させ溶剤を除去した後に、活性エネルギー線を照射することにより行われる。活性エネルギー線としては、例えば、水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハライドランプ、ガリウムランプ、エキシマー等による紫外線、β線、電子線等が挙げられ、なかでも、紫外線及び/又は電子線を用いることが好ましい。
【0123】
本発明のクリヤ塗料組成物から形成される塗膜の膜厚は特に限定されるものではないが、耐酸性及び仕上り性の点から、乾燥膜厚として、10〜50μmであることが好ましく、20〜40μmであることがより好ましい。
【0124】
本発明のクリヤ塗料組成物は、上塗りトップクリヤコート塗料として好適に用いることができる。本発明のクリヤ塗料組成物は、自動車用塗料として特に好適に用いることができる。
【0125】
<複層塗膜形成方法>
本発明のクリヤ塗料組成物の適用の一態様として、複層塗膜形成方法が挙げられる。複層膜形成方法において、本発明のクリヤ塗料組成物は上塗りトップクリヤコート塗料として塗装される。この複層塗膜形成方法としては、例えば、被塗物に順次、少なくとも1層の着色ベースコート塗料及び少なくとも1層のクリヤコート塗料を塗装することにより複層塗膜を形成する方法であって、最上層のクリヤコート塗料すなわち上塗りトップクリヤコート塗料として本発明のクリヤ塗料組成物を塗装する複層塗膜形成方法が挙げられる。
【0126】
具体的には、例えば、電着塗装及び/又は中塗り塗装が施された被塗物上に、溶剤型又は水性のベースコート塗料を塗装し、該塗膜を硬化させることなく、必要に応じてベースコート塗料中の溶剤の揮散を促進させるために、例えば、40〜90℃で3〜30分間程度のプレヒートを行なった後、その未硬化のベースコート塗膜上にクリヤコート塗料として本発明のクリヤ塗料組成物を塗装した後、ベースコート塗膜とクリヤコート塗膜を一緒に硬化させる2コート1ベーク方式の複層塗膜形成方法をあげることができる。
【0127】
また、3コート2ベーク方式又は3コート1ベーク方式の上塗り塗装におけるトップクリヤコート塗料としても好適に使用することができる。
【0128】
上記で用いられるベースコート塗料としては、従来から公知の通常の熱硬化型ベースコート塗料を使用することができ、具体的には、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂等の基体樹脂にアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物等の硬化剤を適宜組合せてなる塗料を使用することができる。
【0129】
また、ベースコート塗料としては、環境問題、省資源等の観点から、有機溶剤の使用量の少ないハイソリッド型塗料、水性塗料又は粉体塗料が好ましい。
【0130】
複層塗膜形成方法において、クリヤコート塗料を2層以上塗装する場合、本発明のクリヤ塗料組成物以外に、1層目のクリヤコート塗料として、従来から公知の通常の熱硬化型クリヤコート塗料を使用することができる。
【実施例】
【0131】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「部」及び「%」は、別記しない限り「質量部」及び「質量%」を示す。
【0132】
<製造例1> 表面処理微粒子(P−1)の製造
無機紫外線吸収剤であるMT−100SA(商品名、テイカ社製、アルミナ及びシリカで被覆したルチル型酸化チタン、平均1次粒子径15nm)100gをメチルイソブチルケトン485gと混合し、撹拌しながら80℃まで加温した。続いて温度を80℃に保ちながら、KBM−903(商品名、信越化学工業社製、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)21g及び脱イオン水4gを添加し、1時間撹拌した。次に10%アンモニア水67gを加えて、温度を80℃に維持した状態で4時間撹拌して無機紫外線吸収剤を表面処理し、表面処理微粒子を含むゾルを得た。続いて、該ゾルを遠心分離機にかけて表面処理微粒子を沈降させた後に上澄み液を除去した。続いて、上澄み液を除去したゾルにイソプロパノールを加えて5分間撹拌した後に、遠心分離機にかけて表面処理微粒子を沈降させ、さらに上澄み液を除去する操作を行った。該操作を計2回行った。次に、上澄み液を除去したゾルに脱イオン水を加えて5分間撹拌した後に、遠心分離機にかけて表面処理微粒子を沈降させ、さらに上澄み液を除去する操作を行った。該操作を計2回行った。得られたゾルを凍結乾燥して、表面処理微粒子(P−1)を得た。得られた表面処理微粒子の表面処理量は10.1重量%であった。
【0133】
<製造例2> 表面処理微粒子(P−2)の製造
製造例1においてKBM−903の添加量を11gとする以外は製造例1と同様の方法により表面処理微粒子(P−2)を得た。得られた表面処理微粒子(P−2)の表面処理量は5.3重量%であった。
【0134】
<製造例3> 表面処理微粒子(P−3)の製造
製造例1においてKBM−903の添加量を6.5gとする以外は製造例1と同様の方法により表面処理微粒子(P−3)を得た。得られた表面処理微粒子(P−3)の表面処理量は2.4重量%であった。
【0135】
<製造例4> 表面処理微粒子(P−4)の製造
製造例1において無機紫外線吸収剤を平均1次粒子径が20nmの酸化亜鉛100gとし、かつKBM−903の添加量を11gとする以外は製造例1と同様の方法により表面処理微粒子(P−4)を得た。得られた表面処理微粒子(P−4)の表面処理量は2.8重量%であった。
【0136】
<製造例5> 表面処理微粒子(P−5)の製造
製造例1において無機紫外線吸収剤をMT−500SA(商品名、テイカ社製、アルミナ及びシリカで被覆したルチル型酸化チタン、平均1次粒子径35nm)100gとする以外は製造例1と同様の方法により表面処理微粒子(P−5)を得た。得られた表面処理微粒子(P−5)の表面処理量は3.7重量%であった。
【0137】
<製造例6> 表面処理顔料(P−6)の製造
製造例1において無機紫外線吸収剤を塗料用無機顔料であるTITANIX JR−603(商品名、テイカ社製、ルチル型酸化チタン、平均1次粒子径280nm)100gとする以外は製造例1と同様の方法により表面処理顔料(P−6)を得た。得られた表面処理顔料(P−6)の表面処理量は2.3重量%であった。
【0138】
<製造例7> 酸基含有分散剤(D−1)の製造
攪拌機、温度計、還流冷却器などを備えたアクリル樹脂反応槽にスワゾール1000(商品名、コスモ石油社製、芳香族系溶剤)60部、n−ブチルアルコール20部を仕込み、加熱撹拌し、115℃に達してから下記モノマー等の混合物を3時間かけて滴下した。
スチレン 40部
n−ブチルアクリレート 10部
ラウリルメタクリレート 15部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 20部
イソステアリルアクリレート(注1) 10部
ライトエステルPM(注2) 5部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 2部
上記モノマー等の混合物の滴下終了後、更に30分間115℃に保持した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部とスワゾール1000 10部との混合物である追加触媒溶液を1時間要して滴下した。更に115℃で1時間撹拌を続けた後、冷却した。その後、n−ブチルアルコール10部を加えて希釈し、固形分50%の酸基含有分散剤(D−1)(リン酸基を有するアクリル樹脂)溶液を得た。得られた酸基含有分散剤(D−1)の重量平均分子量(Mw)は20,000、酸価は26mgKOH/gであった。
(注1)イソステアリルアクリレート:商品名、大阪有機化学工業社製、長鎖分岐アルキルアクリレート。
(注2)ライトエステルPM:商品名、共栄社化学社製、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートであるリン酸基を有するビニルモノマー。
【0139】
<製造例8> 酸基含有分散剤(D−2)の製造
攪拌機、温度計、還流冷却器などを備えたアクリル樹脂反応槽にキシレン50部、n−ブチルアルコール10部を仕込み、加熱撹拌し、115℃に達してから下記モノマー等の混合物を3時間かけて滴下した。
スチレン 5部
メチルメタクリレート 40部
n−ブチルアクリレート 5部
プラクセルFM−3X(注3) 37.5部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 10部
ライトエステルPM 2.5部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 1部
上記モノマー等の混合物を滴下終了後、更に30分間115℃に保持した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部とキシレン10部との混合物である追加触媒溶液を1時間要して滴下した。更に115℃で1時間撹拌を続けた後、冷却した。その後、キシレン10部を加えて希釈し、固形分50%の酸基含有分散剤(D−2)(リン酸基を有するアクリル樹脂)溶液を得た。得られた酸基含有分散剤(D−2)の重量平均分子量(Mw)は29,000、酸価は13mgKOH/gであった。
(注3)プラクセルFM−3X:商品名、ダイセル化学工業社製、ε−カプロラクトンが開環されたポリエステル鎖を有するメタクリル酸エステル。
【0140】
<製造例9> 分散体(Z−1)の製造
密閉可能な150ccのガラス容器に、表面処理微粒子(P−1)7g、固形分50%の酸基含有分散剤(D−1)溶液4.8g、及びメチルエチルケトン38.2gの混合物、並びに該ガラス容器の体積に対して50vol%のジルコニア製メディア(粒径1mm)を入れ、密封した後、ペイントシェーカーで4時間分散した。次に分散後の混合物を密閉可能な150ccの別のガラス容器に移し替え、該ガラス容器に、該ガラス容器の体積に対して50vol%のジルコニア製メディア(粒径0.1mm)を入れ、密封した後、ペイントシェーカーで4時間分散し固形分19%の分散体(Z−1)を得た。得られた分散体(Z−1)中の表面処理微粒子の体積基準による90%平均粒子径は70nmであった。
【0141】
<製造例10> 分散体(Z−2)の製造
製造例9において表面処理微粒子を表面処理微粒子(P−2)とする以外は製造例9と同様の方法により固形分19%の分散体(Z−2)を得た。得られた分散体(Z−2)中の表面処理微粒子の体積基準による90%平均粒子径は90nmであった。
【0142】
<製造例11> 分散体(Z−3)の製造
製造例9において表面処理微粒子を表面処理微粒子(P−3)とする以外は製造例9と同様の方法により固形分19%の分散体(Z−3)を得た。得られた分散体(Z−3)中の表面処理微粒子の体積基準による90%平均粒子径は140nmであった。
【0143】
<製造例12> 分散体(Z−4)の製造
製造例9において表面処理微粒子を表面処理微粒子(P−4)とする以外は製造例9と同様の方法により固形分19%の分散体(Z−4)を得た。得られた分散体(Z−4)中の表面処理微粒子の体積基準による90%平均粒子径は100nmであった。
【0144】
<製造例13> 分散体(Z−5)の製造
製造例9において表面処理微粒子を表面処理微粒子(P−5)とする以外は製造例9と同様の方法により固形分19%の分散体(Z−5)を得た。得られた分散体(Z−5)中の表面処理微粒子の体積基準による90%平均粒子径は100nmであった。
【0145】
<製造例14> 分散体(Z−6)の製造
製造例9において酸基含有分散剤を酸基含有分散剤(D−2)とする以外は製造例9と同様の方法により固形分19%の分散体(Z−6)を得た。得られた分散体(Z−6)中の表面処理微粒子の体積基準による90%平均粒子径は50nmであった。
【0146】
<製造例15> 分散体(Z−7)の製造
製造例14において表面処理微粒子を表面処理微粒子(P−2)とする以外は製造例14と同様の方法により固形分19%の分散体(Z−7)を得た。得られた分散体(Z−7)中の表面処理微粒子の体積基準による90%平均粒子径は90nmであった。
【0147】
<製造例16> 分散体(Z−8)の製造
製造例14において表面処理微粒子を表面処理微粒子(P−3)とする以外は製造例14と同様の方法により固形分19%の分散体(Z−8)を得た。得られた分散体(Z−8)中の表面処理微粒子の体積基準による90%平均粒子径は140nmであった。
【0148】
<製造例17> 分散体(Z−9)の製造
製造例14において表面処理微粒子を表面処理微粒子(P−4)とする以外は製造例14と同様の方法により固形分19%の分散体(Z−9)を得た。得られた分散体(Z−9)中の表面処理微粒子の体積基準による90%平均粒子径は70nmであった。
【0149】
<製造例18> 分散体(Z−10)の製造
製造例14において表面処理微粒子を表面処理微粒子(P−5)とする以外は製造例14と同様の方法により固形分19%の分散体(Z−10)を得た。得られた分散体(Z−10)中の表面処理微粒子の体積基準による90%平均粒子径は90nmであった。
【0150】
<製造例19> 分散体(Z−11)の製造
製造例9において表面処理微粒子(P−1)7gの代わりにMT−100SA(商品名、テイカ社製、アルミナ及びシリカで被覆したルチル型酸化チタン、平均1次粒子径15nm)7gを用いる以外は製造例9と同様の方法により固形分19%の分散体(Z−11)を得た。得られた分散体(Z−11)中の酸化チタンの体積基準による90%平均粒子径は70nmであった。
【0151】
<製造例20> 分散体(Z−12)の製造
製造例9において表面処理微粒子(P−1)7gの代わりに平均1次粒子径が20nmの酸化亜鉛7gを用いる以外は製造例9と同様の方法により固形分19%の分散体(Z−12)を得た。得られた分散体(Z−12)中の酸化亜鉛の体積基準による90%平均粒子径は100nmであった。
【0152】
<製造例21> 分散体(Z−13)の製造
製造例9において表面処理微粒子(P−1)7gの代わりに表面処理顔料(P−6)7gを用いる以外は製造例9と同様の方法により固形分19%の分散体(Z−13)を得た。得られた分散体(Z−13)中の表面処理顔料の体積基準による90%平均粒子径は310nmであった。
【0153】
<製造例22> バインダー成分(B−1)の製造
撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコにスワゾール1000 680部を仕込み、窒素ガス通気下で125℃に昇温した。125℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、下記モノマー等の混合物を均等に4時間かけて滴下した。
スチレン 500部
シクロヘキシルメタクリレート 500部
イソブチルメタクリレート 500部
無水マレイン酸 500部
プロピオン酸2−エトキシエチル 1000部
p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 100部
次いで125℃で窒素ガスを通気しながら30分間熟成させた後、更にp−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10部とスワゾール1000 80部との混合物である追加触媒溶液を1時間要して滴下した。その後、60℃に冷却し、メタノール490部とトリエチルアミン4部とを加え、4時間加熱還流下、ハーフエステル化反応を行った。その後、余分なメタノール326部を減圧下で除去し、バインダー成分(B−1)[化合物(A−1)に相当]溶液を得た。得られたバインダー成分(B−1)溶液の固形分は55質量%、数平均分子量は約3,500であった。
【0154】
<製造例23> バインダー成分(B−2)の製造
撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコにキシレン410部及びn−ブタノール77部を仕込み、窒素ガス通気下で125℃に昇温した。125℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、下記モノマー等の混合物を均等に4時間かけて滴下した。
グリシジルメタクリレート 432部
n−ブチルアクリレート 720部
スチレン 288部
アゾビスイソブチロニトリル 72部
次いで125℃で窒素ガスを通気しながら30分間熟成させた後、更にキシレン90部、n−ブタノール40部とアゾビスイソブチロニトリル14.4部との混合物である追加触媒溶液を2時間要して滴下し、更に2時間熟成し、バインダー成分(B−2)(エポキシ基含有アクリル樹脂)溶液を得た。得られたバインダー成分(B−2)溶液の固形分は70質量%、数平均分子量は2,000であった。
【0155】
<実施例1>
分散体(Z−1)10.6部(表面処理微粒子1.5部)、バインダー成分(B−1)溶液94.5部(固形分52部)、バインダー成分(B−2)溶液68.6部(固形分48部)、触媒(注4)1部(固形分1.0部)、及びBYK−300(注5)0.38部(固形分0.2部)を、回転翼式攪拌機を用い撹拌して混合し、塗料化を行い、クリヤ塗料組成物No.1を得た。
(注4)触媒:テトラブチルアンモニウムブロマイドとモノブチルリン酸との等モル量配合物。
(注5)BYK−300:商品名、表面調整剤、ビックケミー社製、固形分52%。
【0156】
<実施例2〜30及び比較例1〜6>
実施例1において表1及び表2に示す配合とする以外は実施例1と同様の方法により、実施例2〜30のクリヤ塗料組成物No.2〜No.30、及び比較例1〜6の塗料組成物No.1〜No.6を得た。なお、表1及び表2に示す塗料組成物の配合は、分散体(Z−1)〜(Z−10)については該分散体に含まれる表面処理微粒子の質量であり、分散体(Z−11)及び(Z−12)については該分散体に含まれる無機紫外線吸収剤の質量であり、分散体(Z−13)については該分散体に含まれる表面処理顔料の質量であり、他の各成分については固形分質量である。
【0157】
<比較例7>
無機紫外線吸収剤であるMT−100SA 1.5部(無機紫外線吸収剤1.5部)、バインダー成分(B−1)溶液94.5部(固形分52部)、バインダー成分(B−2)溶液68.6部(固形分48部)、触媒(注4)1部(固形分1.0部)、及びBYK−300(注5)0.38部(固形分0.2部)を、回転翼式攪拌機を用い撹拌して混合し、塗料化を行い、塗料組成物No.7を得た。
【0158】
<比較例8>
比較例7においてMT−100SAの配合量を0.5部とする以外は比較例7と同様の方法により、塗料組成物No.8を得た。
【0159】
【表1】

【0160】
【表2】

【0161】
【表3】

【0162】
<試験用塗膜の作成>
実施例1〜30及び比較例1〜8で得られた各塗料組成物をブリキ板上に乾燥膜厚が30μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化させた。その後、ブリキ板から硬化塗膜を剥がし、幅1cm×長さ3cm×膜厚30μmの試験用塗膜を作成した。作成した試験用塗膜を下記評価試験に供した。得られた結果を表1及び表2に示した。
【0163】
<紫外線透過率、可視光透過率、光特性>
日立分光光度計U−3000(商品名、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、上記試験用塗膜及びリファレンス用塗膜の波長500nmから300nmまでの透過率を測定した。下記式により試験用塗膜の透過率をリファレンス用塗膜の透過率で補正して、各波長の透過率(%)を求めた。
透過率(%)=100×T/T
:リファレンス用塗膜(注6)の透過率
:試験用塗膜の透過率
(注6)リファレンス用塗膜:バインダー成分(B−1)溶液94.5部(固形分52部)、バインダー成分(B−2)溶液68.6部(固形分48部)、触媒(注4)1部(固形分1.0部)、及びBYK−300(注5)0.38部(固形分0.2部)を、回転翼式攪拌機を用い撹拌して混合し、塗料化を行い、クリヤ塗料組成物を得た。該クリヤ塗料組成物をブリキ板上に乾燥膜厚が30μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化させた。その後、ブリキ板から硬化塗膜を剥がし、幅1cm×長さ3cm×膜厚30μmのリファレンス用塗膜を作成した。なおリファレンス用塗膜の波長300nmでの透過率は73%、波長400nmでの透過率は90%であった。
【0164】
上記式により求めた透過率(%)のうち、波長300nmの透過率(%)を紫外線透過率とし、波長400nmの透過率(%)を可視光透過率として、表1及び表2に示した。また、実施例1のクリヤ塗料組成物No.1により得られた試験用塗膜の波長−透過率曲線を図1に示した。
【0165】
光特性は、下記基準により評価した。
○:紫外線透過率が5%未満及び可視光透過率が85%以上のもの。
×:紫外線透過率が5%以上及び/又は可視光透過率が85%未満のもの。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散体及びバインダー成分を含有してなるクリヤ塗料組成物であって、前記分散体が、平均1次粒子径10〜50nmの無機紫外線吸収剤をアミノ基含有アルコキシシランで表面処理してなる表面処理微粒子を、酸基含有分散剤を用いて分散してなる分散体であることを特徴とするクリヤ塗料組成物。
【請求項2】
前記無機紫外線吸収剤が、酸化チタン、酸化亜鉛及び酸化セリウムから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のクリヤ塗料組成物。
【請求項3】
前記表面処理微粒子の含有量が、バインダー成分100質量部に対して0.5〜10質量部である請求項1又は2記載のクリヤ塗料組成物。
【請求項4】
前記分散体中の前記表面処理微粒子が、体積基準による90%平均粒子径10〜200nmである請求項1〜3のいずれか1項に記載のクリヤ塗料組成物。
【請求項5】
前記酸基含有分散剤の含有量が、前記表面処理微粒子100質量部に対して10〜200質量部である請求項1〜4のいずれか1項に記載のクリヤ塗料組成物。
【請求項6】
前記表面処理微粒子の表面処理量が、1.0〜15重量%である請求項1〜5のいずれか1項に記載のクリヤ塗料組成物。
【請求項7】
平均1次粒子径10〜50nmの無機紫外線吸収剤をアミノ基含有アルコキシシランで表面処理して表面処理微粒子を製造する工程、
前記工程で製造された表面処理微粒子を、酸基含有分散剤を用いて分散して分散体を製造する工程、
前記工程で製造された分散体及びバインダー成分を混合、攪拌する工程、
を有するクリヤ塗料組成物の製造方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−121933(P2012−121933A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84907(P2009−84907)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】