説明

クリーニング装置および画像形成装置

【課題】流動性を有する状態で塗布されて硬化する熱可塑性シール部材を使ってクリーニング装置からのトナー漏れを防ぎつつも、熱可塑性シール部材のトナー像保持体への付着を防止する。
【解決手段】クリーニング装置100が、残トナー収容筐体110と、一辺121aがトナー像保持体21に押し当てられてトナーを掻き落とす残トナー除去部材120と、残トナー収容筐体110と残トナー除去部材120とに挟まれて上記一辺121aからはみ出して終端した熱可塑性シール部材130と、残トナー収容筐体110の第2の縁114を覆ってトナー像保持体21に接触し熱可塑性シール部材130の終端部130aとトナー像保持体21との間に介在したシート状シール部材140とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、トナー像保持体における、トナー像転写後の領域に残存するトナーを清掃するクリーニング装置、および、そのようなクリーニング装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる電子写真方式が採用されている画像形成装置では、トナー像保持体が回転軸の回りに回転しながら潜像の形成を受け、現像位置において現像を受ける。トナー像保持体は、この現像によって形成されたトナー像を保持して転写先に転写する。ここで、トナー像保持体における、トナー像転写後の領域には、多くの場合、トナーが残存している。このため、画像形成装置は、トナー像転写後の領域に残存するトナーを清掃するクリーニング装置を備えていることが多い。
【0003】
このようなクリーニング装置の多くは、トナー像保持体におけるトナー像転写後の領域から、例えばクリーニングブレードの一辺を押し当てること等により掻き落としたトナーを収容する筐体を有している。この筐体は、通常、トナー像保持体に向かって開いた開口を有しており、上記のように掻き落とされたトナーは、その開口を通って筐体内に入って収容されることとなる。
【0004】
ここで、クリーニング装置の筐体における開口とトナー像保持体との間からトナーが漏れてしまうのを防ぐために、その筐体の開口の縁の周りとトナー像保持体との間をシール部材で塞ぐ技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、クリーニング装置の筐体における開口の周りに、ベースに植毛された第1シールと、この第1シールに一部が重なる第2シールとを配置した形態が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−167487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本件は、流動性を有する状態で塗布されて硬化する熱可塑性シール部材を使ってトナー漏れを防ぎつつも、熱可塑性シール部材のトナー像保持体への付着を防止したクリーニング装置および画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1のクリーニング装置は、
回転軸の回りに回転しながら現像位置において現像を受けてトナー像を保持し転写位置でトナー像を転写先に転写するトナー像保持体の転写後の領域に向かって開口した、互いに対向して上記回転軸が延びる方向に延びる第1の縁および第2の縁と、第1の縁および第2の縁の互いに対応する端どうしを連結する2つの連結縁とで囲まれた残トナー収容口を有する残トナー収容筐体と、
上記第1の縁よりも長尺な一辺を有し第1の縁に重なるとともに上記2つの連結縁の第1の縁寄りの領域に重なり上記一辺が上記残トナー収容口上に張り出してその一辺が上記トナー像保持体に押し当てられた状態に上記残トナー収容筐体に支持され、トナー像保持体上に残存するトナーを掻き落として残トナー収容筐体に収容させる残トナー除去部材と、
上記残トナー収容筐体と上記残トナー除去部材とに挟まれて、上記第1の縁に沿って延びるとともにさらに上記2つの連結縁それぞれに沿って延び、2つの連結縁それぞれに沿って延びる部分については残トナー除去部材の上記一辺からはみ出して終端した、流動性を有する状態で塗布されて硬化し硬化後においても外力により変形する、上記残トナー収容体と上記残トナー除去部材との隙間からのトナーの漏れを防止する熱可塑性シール部材と、
シート形状を有し上記第2の縁よりも長尺であって第2の縁を覆って上記トナー像保持体に接触し、さらに上記熱可塑性シール部材の上記一辺からはみ出した終端部と上記トナー像保持体との間に介在した状態に上記残トナー収容筐体に支持されて、上記残トナー除去部材により上記トナー像保持体から掻き落とされたトナーの残トナー収容筐体からの漏れを防止するシート状シール部材とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2のクリーニング装置は、
上記第2の縁の延びる方向については上記残トナー除去部材との重なりを避けつつ上記2つの連結縁それぞれが延びる方向については残トナー除去部材と重なる位置から上記第2の縁まで広がり上記残トナー収容筐体の上記2つの連結縁それぞれに沿う領域に支持された2つのサイドシール部材を備え、
上記熱可塑性シール部材は、上記残トナー除去部材の上記一辺からはみ出した終端部が上記2つのサイドシール部材それぞれとの間に隙間を空けて互いに近づく方向に寄った形状を有し、
上記シート状シール部材は、上記第2の縁の延びる方向について、上記熱可塑性シール部材の上記終端と上記トナー像保持体との間に介在するとともに上記サイドシール部材との重なりを避けた位置まで延びていることを特徴とする。
【0009】
請求項3のクリーニング装置は、
上記シート状シール部材は、上記残トナー収容口が開口した向きとは交差する向きに上記残トナー収容筐体に支持され、上記トナー像保持体に接し、トナー像保持体に押されて上記残トナー収容口上に張り出すことにより上記第2の縁を覆うものであることを特徴とする。
【0010】
請求項4の画像形成装置は、
回転軸の回りに回転しながら潜像の形成を受け現像位置において現像を受けてトナー像を保持し転写位置でトナー像を転写先に転写するトナー像保持体と、
上記現像位置において上記トナー像保持体上の潜像を現像してトナー像保持体にトナー像を保持させる現像器と、
上記転写位置において上記トナー像保持体上のトナー像を転写先に転写させる転写器と、
上記トナー像保持体の、上記転写器によるトナー像の転写後の領域に残存するトナーを清掃する清掃器とを備え、
上記清掃器が、
トナー像保持体の転写後の領域に向かって開口した、互いに対向して上記回転軸が延びる方向に延びる第1の縁および第2の縁と、第1の縁および第2の縁の互いに対応する端どうしを連結する2つの連結縁とで囲まれた残トナー収容口を有する残トナー収容筐体と、
上記第1の縁よりも長尺な一辺を有し第1の縁に重なるとともに上記2つの連結縁の第1の縁寄りの領域に重なり上記一辺が上記残トナー収容口上に張り出してその一辺が上記トナー像保持体に押し当てられた状態に上記残トナー収容筐体に支持され、トナー像保持体上に残存するトナーを掻き落として残トナー収容筐体に収容させる残トナー除去部材と、
上記残トナー収容筐体と上記残トナー除去部材とに挟まれて、上記第1の縁に沿って延びるとともにさらに上記2つの連結縁それぞれに沿って延び、2つの連結縁それぞれに沿って延びる部分については残トナー除去部材の上記一辺からはみ出して終端した、流動性を有する状態で塗布されて硬化し硬化後においても外力により変形する、上記残トナー収容体と上記残トナー除去部材との隙間からのトナーの漏れを防止する熱可塑性シール部材と、
シート形状を有し上記第2の縁よりも長尺であって第2の縁を覆って上記トナー像保持体に接触し、さらに上記熱可塑性シール部材の上記一辺からはみ出した終端部と上記トナー像保持体との間に介在した状態に上記残トナー収容筐体に支持されて、上記残トナー除去部材により上記トナー像保持体から掻き落とされたトナーの残トナー収容筐体からの漏れを防止するシート状シール部材とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1のクリーニング装置および請求項4の画像形成装置によれば、流動性を有する状態で塗布されて硬化する熱可塑性シール部材を使ってトナー漏れを防ぎつつも、熱可塑性シール部材のトナー像保持体への付着が防止される。
【0012】
請求項2のクリーニング装置によれば、上記第2の縁の延びる方向についてのシート状シール部材とサイドシール部材との接触による、そのシート状シール部材における変形皺の発生が回避される。
【0013】
請求項3のクリーニング装置によれば、上記シート状シール部材が、上記残トナー収容口が開口した向きと同じ向きに上記残トナー収容筐体に支持されている場合と比較して、残トナー収容筐体が小型である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態としてのプリンタの概略構成図である。
【図2】図1に示すクリーニング装置を、トナー像保持体とともに示す斜視図である。
【図3】図2に示すトナー像保持体を除いてクリーニング装置のみを示す斜視図である。
【図4】残トナー除去部材が取り外されたクリーニング装置を示す斜視図である。
【図5】残トナー収容筐体にトナー像保持体が保持されているクリーニング装置の、図2中の切断線C−Cに沿った断面を示す図である。
【図6】残トナー除去部材が取り外されたクリーニング装置の図4中右側の端部を、図4の矢印Dの方向から見た拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態としてのプリンタの概略構成図である。
【0017】
図1に示すプリンタ1には、本発明のクリーニング装置の一実施形態が組み込まれている。
【0018】
このプリンタ1は、電子写真方式が採用されたいわゆるタンデム型の画像形成装置である。
【0019】
プリンタ1には、このプリンタ1外で作成された、画像を表す画像信号が、不図示の信号ケーブル等を介して入力される。プリンタ1は、このプリンタ1内の各構成要素の動きを制御する制御部10を備えており、画像信号はこの制御部10に入力される。そして、プリンタ1では、この制御部10の制御の下で画像信号に基づく画像の形成が行われる。
【0020】
また、プリンタ1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の各色のトナー像を形成する4台の画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kを備えている。これら4台の画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kはいずれも同等な構成を有しており、水平方向に一定の間隔を置いて並列的に配置されている。以下、各画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kの構成について、イエローの画像形成ユニット20Yを代表としてとりあげて説明する。
【0021】
画像形成ユニット20Yは、矢印Aが示す向きに回転するトナー像保持体21が備えられている。そして、このトナー像保持体21の周囲に、帯電器22、現像器23、一次転写器24、およびクリーニング装置100が配備されている。
【0022】
トナー像保持体21は円筒形状を有し、その円筒の中心を回転軸として、その回転軸の回りに回転する。このトナー像保持体21の周面は、帯電器13からの帯電により電荷を保持し、後述の露光ユニット40からの露光によりその電荷を放出する。この露光により、トナー像保持体21の周面に静電潜像が形成される。このトナー像保持体21が、本発明にいうトナー像保持体の一例に相当する。
【0023】
露光ユニット40は、4台の画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kの下方に配置されている。露光ユニット40は、フレーム41内に、上記の画像信号に基づいて変調された、各画像形成ユニット20Y,20M,20C,20K用のレーザ光LB−Y,LB−M,LB−C,LB−Kを出射する不図示の半導体レーザを有している。そして、露光ユニット40では、各レーザ光LB−Y,LB−M,LB−C,LB−Kが、フレーム41内に配置されたポリゴンミラー42によって偏向される。
【0024】
各レーザ光LB−Y,LB−M,LB−C,LB−Kは、フレーム41の上面に設けられたガラス窓43を通って、各画像形成ユニット20Y,20M,20C,20K用のトナー像保持体21へと向かう。そして、トナー像保持体21の周面は、この露光ユニット40からのレーザ光によって露光され、その周面に静電潜像が形成される。
【0025】
トナー像保持体21は、静電潜像の形成後、現像位置に配置されている現像器23により現像を受ける。
【0026】
このプリンタ1は、各画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kの現像器23にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の各色のトナーを供給するトナーカートリッジ30Y,30M,30C,30Kを備えている。
【0027】
各画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kの現像器23は、これらのトナーカートリッジ30Y,30M,30C,30Kから各色のトナーを供給され、その供給されたトナーでトナー像保持体21を現像する。この現像により、トナー像保持体21の周面にトナー像が形成される。この現像器23が、本発明の画像形成装置にいう現像器の一例に相当する。
【0028】
トナー像はトナー像保持体21に保持されたまま、そのトナー像保持体21の回転により一次転写器24のもとまで運ばれる。そして、その一次転写器24が、トナー像保持体21の周面上のトナー像を、後述の二次転写ユニット50の中間転写ベルト51の表面に転写させる。この一次転写器24が、本発明の画像形成装置にいう転写器の一例に相当する。
【0029】
トナー像保持体21における、一次転写器24によるトナー像の転写後の領域に残存するトナーは、クリーニング装置100により除去される。このクリーニング装置100が、本発明のクリーニング装置の一例に相当し、かつ、本発明の画像形成装置にいう清掃器の一例に相当する。このクリーニング装置100については後で詳細に説明する。
【0030】
プリンタ1は、各画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kで形成された各色のトナー像を重ねて記録用紙に転写する二次転写ユニット50を備えている。
【0031】
二次転写ユニット50は、中間転写ベルト51、ドライブロール52、テンションロール53、バックアップロール54、およびクリーニング装置55を備えている。
【0032】
中間転写ベルト51は、ドライブロール52、テンションロール53、およびバックアップロール54の回りに、テンションロール53によって一定のテンションが付与された状態で掛け回されている。そして、中間転写ベルト51は、ドライブロール52によって、矢印Bが示す方向に循環移動される。この循環移動されている中間転写ベルト51の表面に、各画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kのトナー像保持体21のトナー像が一次転写器24によって順次に転写される。この順次の転写により、中間転写ベルト51の表面上で4色のトナー像が重ねあわされて、中間転写ベルト51の表面上にカラーのトナー像が形成される。このカラーのトナー像は、中間転写ベルト51の循環移動により、バックアップロール54と対向して配置されている二次転写器60のもとまで運ばれる。そして、後述するように搬送されてきた記録用紙に、この二次転写器60によって転写される。
【0033】
この二次転写器60の後、中間転写ベルト51の表面に残存しているトナーは、この二次転写ユニット50が備えているクリーニング装置55によって取り除かれる。
【0034】
プリンタ1では、上記の露光ユニット40の下方に、用紙トレイ70が配置されている。この用紙トレイ70には、記録用紙が積み重なった状態に収容されている。
【0035】
記録用紙は、この用紙トレイ70からピックアップロール81により送り出される。送り出された記録用紙は、さばきロール82により1枚ずつに分離され、その分離された1枚の記録用紙が上方に搬送されてその記録用紙の先端が待機ロール83に至る。待機ロール83は、搬送のタイミングを調整して記録用紙を送り出す役割を担っている。
【0036】
記録用紙は、中間転写ベルト51の表面上のカラーのトナー像が二次転写器60のもとに運ばれてきたときに記録用紙がその二次転写器60に達するように、待機ロール83によって調整されたタイミングで送り出される。
【0037】
このように送り出された記録用紙にカラーのトナー像が転写され、二次転写器60の上方に配置されている定着器90によって、その記録用紙にトナー像が定着される。定着後の記録用紙は、排出ロール84によって排紙トレイ85上に排出される。
【0038】
図1のプリンタ1は、概略、以上のような構成を有している。
【0039】
次に、上記の各画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kが備えているクリーニング装置100について説明する。
【0040】
図2は、図1に示すクリーニング装置を、トナー像保持体とともに示す斜視図であり、図3は、図2に示すトナー像保持体を除いてクリーニング装置のみを示す斜視図である。
【0041】
クリーニング装置100は、トナー像保持体21から除去された、一次転写器24によるトナー像の転写後の領域に残存するトナーを収容する残トナー収容筐体110を備えている。本実施形態では、この残トナー収容筐体110は、トナー像保持体21の回転軸が延びる方向に延びた形状を有しており、両端に、トナー像保持体21を、図1中にも示す矢印Aが示す向きに回転自在に支持する2つの保持部111を有している。そして、この残トナー収容筐体110は、それら2つの保持部111の間に、残トナー収容口112を有している。残トナー収容口112は、トナー像保持体21の周面における上記の転写後の領域に向かって開口しており、その領域から後述するように剥離したトナーを受ける役割を担っている。残トナー収容筐体110は、本発明にいう残トナー収容筐体の一例に相当する。
【0042】
また、クリーニング装置100は、トナー像保持体21の周面における転写後の領域に残存するトナーを除去する残トナー除去部材120を備えている。
【0043】
図4は、残トナー除去部材が取り外されたクリーニング装置を示す斜視図である。
【0044】
以下、図2から図4までの3つの図を参照して、クリーニング装置100の説明を続ける。
【0045】
残トナー収容筐体110における残トナー収容口112は、図4に示すように、長方形状に開口しており、第1の縁113、第2の縁114、および2つの連結縁115で囲まれている。第1の縁113および第2の縁114は、互いに対向しており、この残トナー収容筐体110に保持されたトナー像保持体21の回転軸が延びる方向に延びている。また、2つの連結縁115は、第1の縁113および第2の縁114の、互いに対応する端どうしを連結している。この残トナー収容口112が、本発明にいう残トナー収容口の一例に相当する。
【0046】
尚、本実施形態では、本発明にいう残トナー収容口の一例として、長方形状に開口した残トナー収容口112を例示したが、本発明にいう残トナー収容口はこれに限るものではない。本発明にいう残トナー収容口は、例えば楕円形状に開口したもの等であっても良い。
【0047】
また、残トナー収容筐体110には、図2および図3に示す残トナー除去部材120をネジ止め固定するための2つのネジ穴116(図4参照)が設けられている。
【0048】
残トナー除去部材120は、樹脂製のブレード121と金属製の支持部122とを有している。ブレード121は支持部122に固定されており、支持部122は、2本のネジ122aによる上記のネジ穴116へのネジ止めによって残トナー収容筐体110に支持されている。
【0049】
ブレード121は、図4に示す第1の縁113よりも長尺な一辺121aを有している。また、このブレード121を有する残トナー除去部材120は、第1の縁113に重なるとともに、図4に示す2つの連結縁115の、第1の縁113寄りの領域に重なっている。そして、ブレード121の一辺121aが残トナー収容口112上に張り出して、その一辺121aが、残トナー収容筐体110に保持されたトナー像保持体21に押し当てられている。この一辺121aによって、トナー像保持体21の周面における転写後の領域からトナーが掻き落とされる。そして、この一辺121aによって掻き落とされたトナーが残トナー収容口112で受けられて残トナー収容筐体110に収容される。残トナー除去部材120は、本発明にいう残トナー除去部材の一例に相当する。
【0050】
また、クリーニング装置100は、残トナー収容筐体110に収容されたトナーの、残トナー収容筐体110と残トナー除去部材120との隙間からの漏れを防止する熱可塑性シール部材130を備えている。この熱可塑性シール部材130は、流動性を有する状態で塗布されて硬化し硬化後においても外力により変形する熱可塑性エラストマーで形成されている。
【0051】
熱可塑性シール部材130は、図4に示すように、残トナー収容筐体110と残トナー除去部材120とに挟まれて、第1の縁113に沿って延びるとともにさらに2つの連結縁115それぞれに沿って延びている。そして、熱可塑性シール部材130は、2つの連結縁115それぞれに沿って延びる部分については、図3に示すように残トナー除去部材120が有するブレード121の一辺121aからはみ出して終端している。この熱可塑性シール部材130が、本発明にいう熱可塑性シール部材の一例に相当する。
【0052】
また、クリーニング装置100は、シート形状を有し、残トナー収容筐体110に収容されたトナーの、第2の縁114側からの漏れを防止するシート状シール部材140を備えている。シート状シール部材140は、第2の縁114よりも長尺のシートであって、残トナー収容筐体110における第2の縁114側の側面に貼付されている。つまり、このシート状シール部材140は、残トナー収容口112が開口した向きとは交差する向きに残トナー収容筐体110に支持されている。
【0053】
ここで、残トナー収容筐体110によるシート状シール部材140の支持の向きとしては、本実施形態と異なり、残トナー収容口112が開口した向きと同じ向きも考えられる。ただし、このような向きにシート状シール部材140を支持するためには、例えば、残トナー収容口112が開口した向きと同じ向きに広がる貼代を残トナー収容筐体110に設けてその貼代にシート状シール部材140を貼付するといった構造が必要となる。
【0054】
本実施形態の残トナー収容筐体110は、残トナー収容口112が開口した向きと同じ向きにシート状シール部材140を支持する場合と比較して、上記のような貼代が不要な分小型となっている。
【0055】
図3および図4に示すように、シート状シール部材140は、この残トナー収容筐体110に保持されるトナー像保持体21に向かって、第2の縁114を越えて迫り出している。そして、残トナー収容筐体110にトナー像保持体21が保持されると、その迫り出している部分がトナー像保持体21に押されて残トナー収容口112上に張り出すことにより、第2の縁114を覆う。さらに、この際には、シート状シール部材140は、その迫り出している部分が、熱可塑性シール部材130の、ブレード121の一辺121aからはみ出した終端部130aとトナー像保持体21との間に介在する。このシート状シール部材140の、熱可塑性シール部材130の終端部130aとトナー像保持体21との間への介在構造については、後で別図を用いて詳細に説明する。このシート状シール部材140が、本発明にいうシート状シール部材の一例に相当する。
【0056】
また、クリーニング装置100は、残トナー収容筐体110に収容されたトナーの、2つの連結縁115側からの漏れを防止する2つのサイドシール部材150を備えている。このサイドシール部材150は、フェルトで形成されている。
【0057】
これら2つのサイドシール部材150は、図4に示すように、残トナー収容筐体110の上面における残トナー収容口112の両脇の、2つの連結縁115それぞれに沿う、第2の縁114寄りの領域に貼付されている。
【0058】
また、各サイドシール部材150は、図3に示すように、第2の縁114の延びる方向については残トナー除去部材120との重なりが避けられている。また、各サイドシール部材150は、2つの連結縁114それぞれが延びる方向については残トナー除去部材120と重なる位置から第2の縁114まで広がっている。また、各サイドシール部材150には、図3および図4に示すように、残トナー収容口112側に向かって突出した突出部151が設けられている。そして、この突出部151における第1の縁113側の側面と、サイドシール部材150における突出部151以外の部分の側面とがブレード121の角に沿っている。突出部151は、熱可塑性シール部材130の、ブレード121の一辺121aからはみ出した終端部130aの一部に重ねられている。そして、上記のシート状シール部材140は、熱可塑性シール部材130の終端部130aのうち、サイドシール部材150の突出部151からはみ出した部分とトナー像保持体21との間に介在する。
【0059】
以下、シート状シール部材140の、熱可塑性シール部材130の終端部130aとトナー像保持体21との間への介在構造について説明する。
【0060】
図5は、残トナー収容筐体にトナー像保持体が保持されているクリーニング装置の、図2中の切断線C−Cに沿った断面を示す図である。
【0061】
上述したように、残トナー収容筐体110にトナー像保持体21が保持されると、シート状シール部材140の、第2の縁114から迫り出している部分がトナー像保持体21に押されて残トナー収容口112上に張り出して第2の縁114を覆う。残トナー収容口112上に張り出すというシート状シール部材140の変形方向は、矢印Aが示すトナー像保持体21の回転方向と同じであり、トナー像保持体21が回転してもシート状シール部材140の変形形状が維持される。
【0062】
残トナー収容筐体110と残トナー除去部材120のブレード121との間、および、残トナー収容筐体110と残トナー除去部材120の支持部122との間は上記のように熱可塑性シール部材130で埋められている。この熱可塑性シール部材130の、連結縁115に沿って延びている部分は、一部がブレード121の一辺121aからはみ出した終端部130aとなっている。また、この終端部130aのブレード121寄りの部分は、上記のようにサイドシール部材150の突起部151に覆われている。そして、終端部130aのうちこの突起部151からもはみ出している部分が、上記のシート状シール部材140に覆われている。
【0063】
図5の断面図および図3の斜視図に示すように、残トナー収容筐体110の残トナー収容口112における第1の縁113は、残トナー除去部材120で覆われている。残トナー収容筐体110と残トナー除去部材120との隙間は、熱可塑性シール部材130で埋められている。また、残トナー収容口112における第2の縁114は、シート状シール部材140で覆われている。さらに、残トナー収容筐体110の2つの連結縁115それぞれは、残トナー除去部材120の両端部分、サイドシール部材150の突起部151、熱可塑性シール部材130、およびシート状シール部材140で覆われている。
【0064】
そして、ブレード121の一辺121a、シート状シール部材140における残トナー収容口112上に張り出している先端部分、および、突起部151を含むサイドシール部材150の上面がトナー像保持体21の周面に密着している。
【0065】
また、シート状シール部材140の、熱可塑性シール部材130の終端部130aを覆っている部分は、熱可塑性シール部材130が硬化後に有する弾性によって、トナー像保持体21の周面に沿った形に変形しており、その周面との密着性が高い。
【0066】
このように、本実施形態では、残トナー収容口112の全周に亘る縁とトナー像保持体21の周面との間が塞がれている。その結果、残トナー収容筐体110内のトナーの漏れが防がれている。
【0067】
ここで、熱可塑性シール部材130を形成している熱可塑性エラストマーは、流動性を有する状態で扱われるので、樹脂材の射出機等を利用することで人力を省いて残トナー収容筐体110に塗布することができる。その一方、硬化後にもかなりの柔らかさを有しており、仮に、回転中のトナー像保持体21の周面に接触したりすると、摩擦によって千切れてトナー像保持体21の周面に付着するおそれがある。
【0068】
本実施形態では、熱可塑性シール部材130は、そのほとんどが残トナー除去部材120によって覆われ、はみ出した終端部130aについては、シート状シール部材140によって覆われている。これにより、熱可塑性シール部材130とトナー像保持体21の周面との接触が防がれている。
【0069】
また、本実施形態では、シート状シール部材140は、第2の縁114の延びる方向については、次のようにサイドシール部材150との重なりが避けられている。
【0070】
図6は、残トナー除去部材が取り外されたクリーニング装置の図4中右側の端部を、図4の矢印Dの方向から見た拡大斜視図である。
【0071】
この図6に示すように、熱可塑性シール部材130は、ブレード121の一辺121a(図4参照)からはみ出した終端部130aが2つのサイドシール部材150それぞれとの間に隙間tを空けて互いに近づく方向に寄った形状を有している。
【0072】
そして、シート状シール部材140は、第2の縁114の延びる方向について、サイドシール部材150との重なりを避けた位置まで延びている。
【0073】
ここで、仮に、シート状シール部材140が、第2の縁114の延びる方向について、サイドシール部材150と重なる位置まで延びていたとする。すると、シート状シール部材140は、トナー像保持体21で押されたときの折れ曲がりの根元において、熱可塑性シール部材130の終端部130aとサイドシール部材150との両方に接触することとなる。熱可塑性シール部材130はサイドシール部材150よりも柔らかい。このため、終端部130aと接触している部分とサイドシール部材150に接触している部分とで折れ曲がりに差が生じ、シート状シール部材140に変形皺が寄ってしまう恐れがある。
【0074】
本実施形態では、上記のように、シート状シール部材140は、第2の縁114の延びる方向について、サイドシール部材150との重なりが避けられている。このため、シート状シール部材140は、第2の縁114に沿った折れ曲がりの根元が、サイドシール部材150と熱可塑性シール部材130のうち熱可塑性シール部材130のみに接触する。その結果、その折れ曲がりの根元における、サイドシール部材150との接触による上記のような変形皺が回避される。
【0075】
尚、本実施形態では、本発明にいう画像形成装置の一例として、カラーのプリンタ1を例示したが、本発明にいう画像形成装置はこれに限るものではない。本発明にいう画像形成装置は、例えばモノクロのプリンタであっても良く、また、プリンタに限らず複写機やファクシミリ等であっても良い。
【符号の説明】
【0076】
1 プリンタ
10 制御部
20Y,20M,20C,20K 画像形成ユニット
21 トナー像保持体
22 帯電器
23 現像器
24 一次転写器
30Y,30M,30C,30K トナーカートリッジ
40 露光ユニット
41 フレーム
42 ポリゴンミラー
43 ガラス窓
50 二次転写ユニット
51 中間転写ベルト
52 ドライブロール
53 テンションロール
54 バックアップロール
55,100 クリーニング装置
60 二次転写器
70 用紙トレイ
81 ピックアップロール
82 さばきロール
83 待機ロール
84 排出ロール
90 定着器
110 残トナー収容筐体
111 保持部
112 残トナー収容口
113 第1の縁
114 第2の縁
115 連結縁
116 ネジ穴
120 残トナー除去部材
121 ブレード
121a 一辺
122 支持部
122a ネジ
130 熱可塑性シール部材
130a 終端部
140 シート状シール部材
150 サイドシール部材
151 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の回りに回転しながら現像位置において現像を受けてトナー像を保持し転写位置で該トナー像を転写先に転写するトナー像保持体の転写後の領域に向かって開口した、互いに対向して前記回転軸が延びる方向に延びる第1の縁および第2の縁と、該第1の縁および該第2の縁の互いに対応する端どうしを連結する2つの連結縁とで囲まれた残トナー収容口を有する残トナー収容筐体と、
前記第1の縁よりも長尺な一辺を有し該第1の縁に重なるとともに前記2つの連結縁の該第1の縁寄りの領域に重なり該一辺が前記残トナー収容口上に張り出して該一辺が前記トナー像保持体に押し当てられた状態に前記残トナー収容筐体に支持され、該トナー像保持体上に残存するトナーを掻き落として該残トナー収容筐体に収容させる残トナー除去部材と、
前記残トナー収容筐体と前記残トナー除去部材とに挟まれて、前記第1の縁に沿って延びるとともにさらに前記2つの連結縁それぞれに沿って延び、該2つの連結縁それぞれに沿って延びる部分については該残トナー除去部材の前記一辺からはみ出して終端した、流動性を有する状態で塗布されて硬化し硬化後においても外力により変形する、前記残トナー収容体と前記残トナー除去部材との隙間からのトナーの漏れを防止する熱可塑性シール部材と、
シート形状を有し前記第2の縁よりも長尺であって該第2の縁を覆って前記トナー像保持体に接触し、さらに前記熱可塑性シール部材の前記一辺からはみ出した終端部と前記トナー像保持体との間に介在した状態に前記残トナー収容筐体に支持されて、前記残トナー除去部材により前記トナー像保持体から掻き落とされたトナーの該残トナー収容筐体からの漏れを防止するシート状シール部材とを備えたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記第2の縁の延びる方向については前記残トナー除去部材との重なりを避けつつ前記2つの連結縁それぞれが延びる方向については該残トナー除去部材と重なる位置から前記第2の縁まで広がり前記残トナー収容筐体の前記2つの連結縁それぞれに沿う領域に支持された2つのサイドシール部材を備え、
前記熱可塑性シール部材は、前記残トナー除去部材の前記一辺からはみ出した終端部が前記2つのサイドシール部材それぞれとの間に隙間を空けて互いに近づく方向に寄った形状を有し、
前記シート状シール部材は、前記第2の縁の延びる方向について、前記熱可塑性シール部材の前記終端と前記トナー像保持体との間に介在するとともに前記サイドシール部材との重なりを避けた位置まで延びていることを特徴とする請求項1記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記シート状シール部材は、前記残トナー収容口が開口した向きとは交差する向きに前記残トナー収容筐体に支持され、前記トナー像保持体に接し、該トナー像保持体に押されて前記残トナー収容口上に張り出すことにより前記第2の縁を覆うものであることを特徴とする請求項1又は2記載のクリーニング装置。
【請求項4】
回転軸の回りに回転しながら潜像の形成を受け現像位置において現像を受けてトナー像を保持し転写位置で該トナー像を転写先に転写するトナー像保持体と、
前記現像位置において前記トナー像保持体上の潜像を現像して該トナー像保持体にトナー像を保持させる現像器と、
前記転写位置において前記トナー像保持体上のトナー像を転写先に転写させる転写器と、
前記トナー像保持体の、前記転写器によるトナー像の転写後の領域に残存するトナーを清掃する清掃器とを備え、
前記清掃器が、
トナー像保持体の転写後の領域に向かって開口した、互いに対向して前記回転軸が延びる方向に延びる第1の縁および第2の縁と、該第1の縁および該第2の縁の互いに対応する端どうしを連結する2つの連結縁とで囲まれた残トナー収容口を有する残トナー収容筐体と、
前記第1の縁よりも長尺な一辺を有し該第1の縁に重なるとともに前記2つの連結縁の該第1の縁寄りの領域に重なり該一辺が前記残トナー収容口上に張り出して該一辺が前記トナー像保持体に押し当てられた状態に前記残トナー収容筐体に支持され、該トナー像保持体上に残存するトナーを掻き落として該残トナー収容筐体に収容させる残トナー除去部材と、
前記残トナー収容筐体と前記残トナー除去部材とに挟まれて、前記第1の縁に沿って延びるとともにさらに前記2つの連結縁それぞれに沿って延び、該2つの連結縁それぞれに沿って延びる部分については該残トナー除去部材の前記一辺からはみ出して終端した、流動性を有する状態で塗布されて硬化し硬化後においても外力により変形する、前記残トナー収容体と前記残トナー除去部材との隙間からのトナーの漏れを防止する熱可塑性シール部材と、
シート形状を有し前記第2の縁よりも長尺であって該第2の縁を覆って前記トナー像保持体に接触し、さらに前記熱可塑性シール部材の前記一辺からはみ出した終端部と前記トナー像保持体との間に介在した状態に前記残トナー収容筐体に支持されて、前記残トナー除去部材により前記トナー像保持体から掻き落とされたトナーの該残トナー収容筐体からの漏れを防止するシート状シール部材とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−20066(P2013−20066A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152887(P2011−152887)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】