説明

クリーニング装置及びこれを搭載した画像形成装置

【課題】残留トナーのクリーニングローラーからの脱落を防止できるクリーニング装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供する。
【解決手段】回転可能に構成されており、トナー像が形成される像担持体(18)の表面に圧接し、残留トナーを用いて像担持体表面を研磨するクリーニングローラー(54)と、クリーニングローラーの回転方向に対してカウンタ方向でこのクリーニングローラーに接触する上流側当接部材(70)と、クリーニングローラーの回転方向でみてこのクリーニングローラーと上流側当接部材との当接位置よりも下流側にてこのクリーニングローラーに当接しており、このクリーニングローラーの回転方向に対してトレール方向でこのクリーニングローラーに接触する下流側当接部材(80)とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写の際に像担持体の表面に残った残留トナー等を除去するクリーニング装置及びこれを搭載した画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置では電子写真方式が用いられており、帯電器が像担持体、例えば感光体ドラムを予め帯電し、露光部が感光体ドラムの表面に光を照射すると、この感光体ドラムの表面には静電潜像が形成される。また、現像器はトナーを担持しており、トナーが静電潜像に付着して感光体ドラムの表面にはトナー像が現像される。そして、この可視化されたトナー像を用紙に、或いは中間転写体を介して用紙に転写して定着させる。
【0003】
ここで、感光体ドラムの表面には、トナーが用紙に転写されずに残ることがあり、次回の画像形成までに除去する必要がある。そこで、この感光体ドラムの表面を清掃する構造が開示されている(例えば、特許文献1,2参照)。
詳しくは、クリーニングブレード及びクリーニングローラーが感光体ドラムの表面に接触し、クリーニングブレードが感光体ドラムの表面に残った残留トナーを除去する。
【0004】
また、この残留トナーには微量の研磨剤が含まれており、クリーニングローラーは、クリーニングブレードで除去した残留トナーを用いて感光体ドラムの表面に付着した放電生成物などを除去する。さらに、このクリーニングローラーにはトナー層規制部材が接触し、クリーニングローラーに付着したトナーの厚さを調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−156706号公報
【特許文献2】特開2008−176307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、残留トナーがクリーニングローラーから脱落し、クリーニング装置周辺を汚染するという問題がある。
具体的には、上記特許文献1の技術では、トナー層規制部材がクリーニングローラーに付着した残留トナーを掻き取り、そのトナー層厚を均一に規制しているが、このトナー層規制部材をすり抜けた残留トナーには、クリーニングローラーから脱落してクリーニング装置内に堆積するものがあり、堆積した残留トナーがやがてクリーニング装置外に溢れ出る。
【0007】
また、上記特許文献2の技術でも、トナー層規制部材をすり抜けた残留トナーには、クリーニングローラーから脱落してクリーニング装置外に出てしまうものがあるからである。
この残留トナーによるトナー層規制部材からのすり抜けは、高画質の画像を得るために小粒径トナーや球形度の高いトナーを使用した場合に頻繁に発生する。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、残留トナーのクリーニングローラーからの脱落を防止できるクリーニング装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための第1の発明は、回転可能に構成されており、トナー像が形成される像担持体の表面に圧接し、残留トナーを用いて像担持体表面を研磨するクリーニングローラーと、クリーニングローラーの回転方向に対してカウンタ方向でこのクリーニングローラーに接触する上流側当接部材と、クリーニングローラーの回転方向でみてこのクリーニングローラーと上流側当接部材との当接位置よりも下流側にてこのクリーニングローラーに当接しており、このクリーニングローラーの回転方向に対してトレール方向でこのクリーニングローラーに接触する下流側当接部材とを具備する。
【0010】
第1の発明によれば、クリーニング装置は、像担持体の表面に圧接するクリーニングローラーを有する。クリーニングローラーは、残留トナーを用いて像担持体表面を研磨しており、この像担持体表面に付着した放電生成物などを除去できる。
ここで、クリーニングローラーに付着した残留トナーの厚さが変動すると、像担持体表面を良好に研磨できなくなるため、残留トナーの厚さにムラが生じないように調整する必要がある。
【0011】
そして、本発明では、上流側当接部材と、下流側当接部材とを用いている。
詳しくは、上流側当接部材は、下流側当接部材よりも前に、カウンタ方向でクリーニングローラーに接触する。つまり、上流側当接部材のエッジはクリーニングローラーの回転方向に対向してクリーニングローラーに線接触し、クリーニングローラー上の残留トナーを掻き取り、そのトナー層厚を均一に規制することができる。
【0012】
その後、下流側当接部材は、トレール方向でクリーニングローラーに接触する。つまり、この下流側当接部材の腹部がクリーニングローラーを押さえ付けて面接触するため、クリーニングローラー上の残留トナーが上流側当接部材をすり抜けても、下流側当接部材の腹部はこの残留トナーをクリーニングローラーに押し付けられたままにできる。
【0013】
したがって、クリーニングローラーのトナー層厚を適度に規制した状態を維持しつつ、上流側当接部材をすり抜けた残留トナーはクリーニングローラーから脱落しない。この結果、放電生成物などを良好に除去できるとともに、残留トナーによるクリーニング装置周辺の汚染も防止できる。
【0014】
第2の発明は、第1の発明の構成において、上流側当接部材は、金属製の弾性材で形成されることを特徴とする。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、上流側当接部材が金属製の弾性材で形成されており、この上流側当接部材のエッジがクリーニングローラー上の残留トナーを強く掻き取り可能になる。よって、クリーニングローラーに付着する残留トナーを容易に入れ替えることができ、放電生成物などをより一層良好に除去できる。
【0015】
第3の発明は、第1や第2の発明の構成において、クリーニングローラーの回転方向でみてこのクリーニングローラーと上流側当接部材との当接位置よりも上流側にてこのクリーニングローラーに当接しており、このクリーニングローラーの回転方向に対してトレール方向でこのクリーニングローラーに接触する供給ローラーを備えることを特徴とする。
第3の発明によれば、第1や第2の発明の作用に加えてさらに、トナーの供給ローラーを上流側当接部材の上流側に設ければ、上流側当接部材で掻き取られた残留トナーもクリーニングローラーに付着させることができ、像担持体表面の研磨に必要なトナー量をクリーニングローラーに容易に確保可能になる。
【0016】
第4の発明は、第1から第3の発明の構成において、像担持体の回転方向でみて像担持体表面とクリーニングローラーとの当接位置よりも下流側にてこの像担持体表面に当接しており、この像担持体表面から残留トナーを除去するクリーニングブレードをさらに具備することを特徴とする。
第4の発明によれば、第1から第3の発明の作用に加えてさらに、クリーニングブレードは、像担持体表面に残った残留トナーを除去しており、クリーニングローラーは、この残留トナーを像担持体表面の清掃に速やかに利用できる。
【0017】
第5の発明は、第1から第4の発明のクリーニング装置を搭載した画像形成装置であることを特徴とする。
第5の発明によれば、上記のクリーニング装置によって像担持体表面への研磨剤の付着も回避できるので、研磨剤が像担持体からすり抜けて付着することによる帯電器の汚染も回避できる。しかも、良好な画像形成が長期間に亘って行われることから、画像形成装置の信頼性向上に寄与する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、下流側当接部材が上流側当接部材をすり抜けた残留トナーをクリーニングローラーに押し付けており、残留トナーのクリーニングローラーからの脱落を防止できるクリーニング装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施例のプリンターの概略構成図である。
【図2】図1のクリーニング装置周辺の拡大図である。
【図3】図2のクリーニングローラー、上流側当接部材や下流側当接部材の斜視図である。
【図4】他の実施例におけるクリーニング装置周辺の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、画像形成装置の一例であるモノクロ印刷するプリンター1の構造が概略的に示されている。この図1に示す断面はプリンター1の左側面からみたものである。このため、プリンター1の前面は図1の右側に、プリンター1の背面は図1の左側にそれぞれ位置する。
【0021】
図1に示されるように、プリンター1は装置本体2を有し、この装置本体2の内部下方には給紙カセット4が配置されている。この給紙カセット4の内部には、枚葉の用紙Pが積層された状態で収納される。そして、用紙Pは、給紙カセット4から図1で右上方に向けて送出され、次いで、装置本体2の内部でプリンター1の背面に向けて反転する。
【0022】
また、給紙カセット4は、図1でみて右方向に引き出し可能に構成されており、この引き出した状態にて、給紙カセット4内に新たな用紙Pを補充したり、用紙Pを別の種類の用紙に入れ替え可能となる。
装置本体2の内部には、給紙カセット4からの用紙搬送方向でみて下流側にフィードローラー10、用紙搬送路12、レジストローラー14、画像形成部16の順に配置される。
【0023】
画像形成部16には、感光体ドラム(像担持体)18を有したドラムユニット17が備えられている。感光体ドラム18は回転自在に設置され、図示しない駆動モーターによって図1の時計回りに駆動する。また、本実施例の感光体ドラム18は、その表面に非晶質シリコン系の層を有したa−Siドラムである。
この感光体ドラム18の周囲の適宜位置には、帯電器20、露光部15、現像器24、転写部30やクリーニング装置50がそれぞれ設けられている。
【0024】
この帯電器20は、感光体ドラム18の上方に位置し、図2に示されるように、感光体ドラム18に直接に接する帯電ローラー21、及びこの帯電ローラー21の表面を摺擦して清掃するクリーニングブラシ22を有し、感光体ドラム18の表面を一様に帯電させる。なお、帯電ローラー21は例えばエピクロルヒドリンゴム製の表面層を有する。
【0025】
再び図1に戻り、露光部15はドラムユニット17の上側に配置されており、所望の画像データに応じたレーザー光Lを感光体ドラム18に向けて照射し、感光体ドラム18の表面に静電潜像を形成する。また、現像器24はドラムユニット17の右側に配置され、トナーコンテナ23から供給されたトナーを感光体ドラム18の表面に静電的に付着させる。
【0026】
さらに、転写部30はドラムユニット17の下側に配置され、転写ローラー31を備える。この転写ローラー31は感光体ドラム18に対して下方から圧接可能に構成され、これら感光体ドラム18と転写ローラー31とは、トナー像を用紙Pに転写するための転写ニップ部を形成する。
用紙搬送方向でみて転写部30の下流側には、定着部32、用紙搬送路34及び排紙トレイ36の順に配置されている。
【0027】
この用紙搬送路34は、定着部32の下流側からプリンター1の背面に沿って上方へ延びており、さらに、装置本体2の上部位置にてプリンター1の前面側へ屈曲している。そして、用紙Pの片面にのみ印刷する場合には、定着部32を通過した用紙Pは排出ローラー35を介して排紙トレイ36に排出され、高さ方向に積層される。
【0028】
一方、本実施例では、給紙カセット4と転写部30や定着部32との間に両面印刷用の用紙搬送路38が形成される。この用紙搬送路38は、プリンター1の背面に沿う位置にて用紙搬送路34の途中から分岐して下方に向かい、続いて、プリンター1の前面に向けて屈曲して水平方向に延び、レジストローラー14の上流側、例えば給紙ローラー8とフィードローラー10との間に連結し、用紙搬送路12に合流している。用紙搬送路38内の用紙Pは搬送ローラー40によって用紙搬送路12に向けて搬送される。
【0029】
ここで、クリーニング装置50は、図1でみて感光体ドラム18の左方に配置されている。
本実施例のクリーニング装置50は、図2に示される如く、感光体ドラム18の回転方向でみて転写ローラー31との転写位置の下流側にて、この感光体ドラム18に向けて開口したハウジング51を備え、このハウジング51の適宜位置に、クリーニングブレード52、クリーニングローラー54やトナー回収部58を有している。
【0030】
この図2に示されるように、クリーニングローラー54は、ハウジング51の開口で感光体ドラム18に対峙しており、感光体ドラム18の回転軸線方向に沿って延びている。
また、クリーニングローラー54は、図3に示された回転軸56がハウジング51に回転自在に支持され、図示しない駆動モーターによって図2の反時計回りに駆動し、トナー像が転写された後の感光体ドラム18の表面をトレール方向で摺擦して研磨する。
【0031】
クリーニングローラー54は、例えば導電性発泡EPDM製の摺擦面を有し、この摺擦面は所定の線速比で感光体ドラム18の表面に圧接する。これにより、クリーニングローラー54の摺擦面は、感光体ドラム18の非晶質シリコン系の層に付着する放電生成物などを除去できる。
次に、クリーニングブレード52は、図2に示される如く、ハウジング51の上端に固定される本体52aや、この本体52aに溶着された例えばポリウレタンゴム製のブレード部52bからなり、このブレード部52bの下端にエッジ53を有する。
【0032】
このエッジ53は、感光体ドラム18の回転方向でみてクリーニングローラー54との当接位置の下流側に配置されており、感光体ドラム18の回転軸線方向に沿って延びている。そして、当該エッジ53がカウンタ方向で感光体ドラム18に線接触し、感光体ドラム18の表面に付着した残留トナーなどを掻き取ることができる。
【0033】
クリーニングブレード52によって感光体ドラム18の表面から掻き取られた残留トナーは、そのエッジ53付近に一時的に溜められ、クリーニングローラー54に付着する。
本実施例のトナーには、微量の研磨剤(酸化チタン、シリカ、アルミナなど)が含まれており、クリーニングローラー54は、この研磨剤を含むトナーを用いて感光体ドラム18の表面を研磨する。
【0034】
ところで、本実施例では、クリーニングローラー54に付着した残留トナーの厚さを調整することができる。
具体的には、クリーニングローラー54には規制部材(上流側当接部材)70及び押し当て部材(下流側当接部材)80の2つの部材が当接している。
規制部材70は、金属製(例えばSUS)の弾性プレートであり、図2に示されるように、ハウジング51の底面に立設されている。
【0035】
詳しくは、この規制部材70は、クリーニングローラー54と感光体ドラム18との当接位置とは反対側に設置され、その先端であるエッジ76がクリーニングローラー54の回転軸線に沿って延びており(図3)、カウンタ方向でクリーニングローラー54の摺擦面に線接触し、クリーニングローラー54に付着した残留トナーを掻き取っている。
【0036】
つまり、このクリーニングローラー54が駆動すると、規制部材70のエッジ76がハウジング51内にて、感光体ドラム18の研磨に必要な量を超えてクリーニングローラー54の摺擦面に付着した余剰分の残留トナーを掻き取り、この残留トナーの厚さを減らすように調整できる。
一方、押し当て部材80は、図2でみてクリーニングローラー54の下側、換言すれば、クリーニングローラー54の回転方向でみてこのクリーニングローラー54と規制部材70との当接位置の下流側であって、クリーニングローラー54と感光体ドラム18との当接位置の上流側に設置されている。
【0037】
より詳しくは、この押し当て部材80も規制部材70と同様に、金属製(例えばSUS)の弾性プレートであるが、例えば規制部材70の根元付近に立設されており(図2)、クリーニングローラー54の回転軸線に沿って延び延びた腹部84を有する(図3)。
具体的には、この押し当て部材80の先端はクリーニングローラー54から離間しているのに対し、この腹部84は、クリーニングローラー54の回転方向に対してトレール方向でクリーニングローラー54の摺擦面に面接触している。
【0038】
これにより、クリーニングローラー54が駆動すると、押し当て部材80の腹部84がハウジング51内にて、規制部材70をすり抜けてクリーニングローラー54に付着し続けた残留トナーをクリーニングローラー54のゴム部分に向けて押し込み、この残留トナーをハウジング51の底面に落下させず、また、この残留トナーの厚さを増やすように調整できる。
【0039】
これに対し、規制部材70で掻き取られた残留トナーはトナー回収部58から回収される。
詳しくは、トナー回収部58は、ハウジング51の背面近傍にスクリューを有する。このスクリューは、図2でみてクリーニングローラー54の左側に設置されており、感光体ドラム18の回転軸線方向に沿って延び、その先端が図示しない駆動モーターに連結されている。そして、この駆動モーターが駆動すると、ハウジング51内において、規制部材70で掻き取られた残留トナーは、このスクリューを経由して回収容器(図示しない)に集められる。
【0040】
再び図1に戻り、上記ドラムユニット17を搭載したプリンター1が印刷を行う際は、給紙カセット4から給紙ローラー8により用紙Pが1枚ずつ分離して送出される。送出された用紙Pは、用紙搬送路12を通ってレジストローラー14に到達する。このレジストローラー14は、用紙Pの斜め送りを矯正しつつ、画像形成部16で形成されるトナー画像との画像転写タイミングを計りながら、用紙Pを所定の給紙タイミングにて転写部30に送出する。
【0041】
一方、感光体ドラム18に対しては、帯電器20が感光体ドラム18の表面を帯電する。次いで、露光部15が感光体ドラム18の表面に画像データに応じたレーザー光Lを照射すると、この感光体ドラム18の表面には静電潜像が形成される。
そして、現像器24に現像バイアス電圧を印加すると、トナーコンテナ23からのトナーは、感光体ドラム18の表面に形成された静電潜像との電位差によって感光体ドラム18の表面に付着する。これにより、感光体ドラム18の表面には、静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0042】
感光体ドラム18と転写ローラー31との間を用紙Pが通過すると、感光体ドラム18の表面に形成されたトナー像は用紙Pに転写される。その後、感光体ドラム18の表面に残留したトナーはクリーニング装置50で除去される。
用紙Pは未定着トナー像を担持した状態で定着部32に向けて送られ、この定着部32にて所定の温度に達した熱ローラーで加熱及び加圧され、トナー像が定着される。次いで、定着部32から送出された用紙Pは排紙トレイ36に排出される。
【0043】
この片面印刷に対し、両面印刷を行う場合には、定着部32から排出された用紙Pは、この排紙トレイ36に排出される直前にてその搬送方向が切り替えられる。つまり、片面に印刷された用紙Pは装置本体2内に引き戻され、用紙搬送路38、レジストローラー14を介して転写部30に向けて再び送られる。これにより、用紙Pの未だ印刷がされていない面にトナー像が転写される。
【0044】
ところで、上述のクリーニング装置50は、残留トナーの供給ローラー60を規制部材70の上流側に設けても良い(図4)。
詳しくは、この図4に示されたクリーニング装置50もまた、上記実施例と同様に、クリーニングローラー54には規制部材70及び押し当て部材80が当接しているが、図4の実施例では供給ローラー60をさらに備えている。
【0045】
この供給ローラー60は、図4でみてクリーニングローラー54の左斜め上側、換言すれば、このクリーニングローラー54と感光体ドラム18との当接位置とは反対側であって、クリーニングローラー54の回転方向でみてこのクリーニングローラー54と規制部材70との当接位置の上流側に設置され、クリーニングローラー54に接触する。
【0046】
この供給ローラー60はクリーニングローラー54よりも例えば軟質のEPDMで形成され、クリーニングローラー54の回転軸線方向に沿って延び、その回転軸がハウジング51に回転自在に支持されており、クリーニングローラー54に面接触する周面を有する。
そして、この図4の実施例では、供給ローラー60は、クリーニングローラー54が駆動すると、このクリーニングローラー54の回転方向に対してトレール方向、つまり、図4でみて時計回りに回転する。
【0047】
これにより、供給ローラー60は、その周面がクリーニングブレード52で掻き取った残留トナーをクリーニングローラー54のゴム部分に押し込み、また、規制部材70によってクリーニングローラー54の摺擦面から掻き取られた残留トナーの一部もハウジング50の開口側に移動させ、当該残留トナーもクリーニングローラー54のゴム部分に押し込んでトナー量を増やしている。
【0048】
以上のように、本実施例によれば、クリーニング装置50は、感光体ドラム18の表面に圧接するクリーニングローラー54を有する。クリーニングローラー54は、残留トナーを用いて感光体ドラム18の表面を研磨しており、この感光体ドラム18の表面に付着した放電生成物などを除去できる。
ここで、クリーニングローラー54に付着した残留トナーの厚さが変動すると、感光体ドラム18の表面を良好に研磨できなくなる。厚さの大きな箇所だけが感光体ドラム18の表面に接触して研磨し、厚さの小さな箇所は感光体ドラム18の表面に接触できないからである。そのため、残留トナーの厚さにムラが生じないように調整する必要がある。
【0049】
そして、本実施例では、規制部材70と、押し当て部材80とを用いている。
詳しくは、規制部材70は、押し当て部材80よりも前に、カウンタ方向でクリーニングローラー54に接触する。つまり、規制部材70のエッジ76はクリーニングローラー54の回転方向に対向してクリーニングローラー54に線接触し、クリーニングローラー54上の残留トナーの厚さの大きな箇所を掻き取り、そのトナー層厚を均一に規制することができる。
【0050】
その後、押し当て部材80は、トレール方向でクリーニングローラー54に接触する。つまり、この押し当て部材80の腹部84がクリーニングローラー54を押さえ付けて面接触するため、クリーニングローラー54上の残留トナーが規制部材70をすり抜けても、押し当て部材80の腹部84はこの残留トナーをクリーニングローラー54に押し付けられたまま保持できる。
【0051】
したがって、クリーニングローラー54のトナー層厚を適度に規制した状態を維持しつつ、規制部材70をすり抜けた残留トナーはクリーニングローラー54から脱落しない。
この結果、残留トナーはハウジング51から溢れず、この残留トナーによるクリーニング装置50周辺、例えば転写部30と定着部32との間の搬送路などの汚染も防止できる。
【0052】
さらに、放電生成物などを良好に除去できるので、感光体ドラム18の表面摩擦係数は低く抑えられ、クリーニングブレード52の鳴き等防止できる。しかも、感光体ドラム18の表面への研磨剤の付着も回避でき、クリーニングブレード52の摩耗等も防止できる。
また、規制部材70が金属製の弾性材で形成されており、この規制部材70のエッジ76がクリーニングローラー54上の残留トナーを強く掻き取り可能になる。
【0053】
よって、クリーニングローラー54に付着する残留トナーを容易に入れ替えることができ、放電生成物などをより一層良好に除去できる。
さらに、残留トナーの供給ローラー60を規制部材70の上流側に設ければ、感光体ドラム18の表面とクリーニングブレード52との当接位置近傍の残留トナーの他、規制部材70で掻き取られた残留トナーもクリーニングローラー54に付着させることができ、仮に、残留トナーが少なくなる運転状況になったとしても、感光体ドラム18の表面の研磨に必要なトナー量をクリーニングローラー54に容易に確保可能になる。
【0054】
さらにまた、クリーニングブレード52は、感光体ドラム18の表面に残った残留トナーを除去しており、クリーニングローラー54は、この残留トナーを感光体ドラム18の表面の清掃に速やかに利用できる。
また、非晶質シリコン系の層を有した感光体ドラム18は長寿命であるとの長所を有するが、上記のクリーニング装置50を備えていれば、この感光体ドラム18の特性を長期間に亘って維持可能になり、その長所を確実に活かすことができる。
【0055】
さらに、上記のクリーニング装置50によって感光体ドラム18の表面への研磨剤の付着も回避できるので、研磨剤が感光体ドラム18からすり抜けて付着することによる帯電器20の帯電ローラー21の汚染も回避できる。しかも、良好な画像形成が長期間に亘って行われることから、プリンター1の信頼性向上に寄与する。
【0056】
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施例では、SUS製の押し当て部材80が用いられているが、必ずしもこの形態に限定されるものではなく、本発明の押し当て部材は、摩耗に強いものであれば例えばポリエチレンシートでも良いし、また、フィルム状に積層して形成することも可能である。
【0057】
また、本発明の像担持体は、その表面をクリーニングローラーで研磨する限り、a−Siドラム以外の感光体ドラムにも適用可能であるし、さらに、この実施例では画像形成装置としてプリンターに具現化した例を示しているものの、本発明の画像形成装置は、複合機、複写機やファクシミリ等にも当然に適用可能である。
【0058】
そして、これらいずれの場合にも上記と同様に、残留トナーのクリーニングローラーからの脱落を防止できるとの効果を奏する。
【符号の説明】
【0059】
1 プリンター(画像形成装置)
18 感光体ドラム(像担持体)
50 クリーニング装置
52 クリーニングブレード
54 クリーニングローラー
60 供給ローラー
70 規制部材(上流側当接部材)
76 エッジ
80 押し当て部材(下流側当接部材)
84 腹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に構成されており、トナー像が形成される像担持体の表面に圧接し、残留トナーを用いて前記表面を研磨するクリーニングローラーと、
前記クリーニングローラーの回転方向に対してカウンタ方向でこのクリーニングローラーに接触する上流側当接部材と、
前記クリーニングローラーの回転方向でみてこのクリーニングローラーと前記上流側当接部材との当接位置よりも下流側にてこのクリーニングローラーに当接しており、このクリーニングローラーの回転方向に対してトレール方向でこのクリーニングローラーに接触する下流側当接部材と
を具備することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のクリーニング装置であって、
前記上流側当接部材は、金属製の弾性材で形成されることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のクリーニング装置であって、
前記クリーニングローラーの回転方向でみてこのクリーニングローラーと前記上流側当接部材との当接位置よりも上流側にてこのクリーニングローラーに当接しており、このクリーニングローラーの回転方向に対してトレール方向でこのクリーニングローラーに接触する供給ローラーを備えることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のクリーニング装置であって、
前記像担持体の回転方向でみて前記表面と前記クリーニングローラーとの当接位置よりも下流側にてこの表面に当接しており、この表面から前記残留トナーを除去するクリーニングブレードをさらに具備することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のクリーニング装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−150310(P2012−150310A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9468(P2011−9468)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】