説明

クリーニング装置及び画像形成装置

【課題】ブラシローラ部の毛倒れ癖によるクリーニング不良の発生を抑える。
【解決手段】回転軸部材、及びその周面に立設せしめられた複数の起毛からなるブラシローラ部を具備し、感光体1の表面上の転写残トナーをブラシローラ部に静電転移させることで、感光体1の表面をクリーニングするクリーニングブラシローラ421と、ブラシローラ部内の自らの表面に静電転移させて回収する回収ローラ422と、ブラシローラ部によって固形潤滑剤425から掻き取って得た潤滑剤粉末を感光体1の表面に付着させるクリーニング装置において、前記ブラシローラ部に対する感光体1の食い込み量Kを、前記ブラシローラ部に対する固形潤滑剤425の食い込み量Kよりも大きくした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被クリーニング体の表面に付着しているトナーをクリーニングブラシローラによってクリーニングするクリーニング装置、並びにこれを備える複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成に用いられるトナーは、近年の高画質化に伴い、粉砕法によるものよりも、重合法によるものが主流になってきている。重合法によるトナー粒子は、粉砕法によるトナー粒子に比べて球形に近く、且つ小径であることから、高解像度に対応する小さなドットでも優れた再現性を発揮することができる。反面、クリーニングブレードでの掻き取りによるブレードクリーニング方式では、クリーニング不良を引き起こし易いという不具合がある。球形に近く且つ小径であることから、クリーニングブレードと、被クリーニング体である像担持体との間に形成される僅かな隙間をすり抜けてしまうからである。
【0003】
特許文献1に記載のクリーニング装置のように、ブラシローラクリーニング方式を採用すれば、重合法によるトナーであっても良好にクリーニングすることができる。具体的には、特許文献1に記載のクリーニング装置は、像担持体としてのドラム状の感光体に当接しながら回転するクリーニングブラシローラと、これに当接しながら回転する回収ローラと、回収ローラに当接する掻き取りブレードとを備えている。そして、クリーニングブラシローラは、回転自在に支持された回転軸部材と、これの周面に立設せしめられた複数の起毛からなるブラシローラ部とを具備している。このクリーニングブラシローラには、トナーの正規帯電極性とは逆極性のクリーニング電圧を印加している。また、回収ローラには、クリーニング電圧と同極性で且つクリーニング電圧よりも値の大きな回収電圧を印加している。転写工程を経た後の感光体の表面上に残留してしまった転写残トナーは、回転するクリーニングブラシローラのブラシローラ部によって引っ掻かれながら、感光体とブラシローラ部との間の電界によってブラシローラ部内に静電転移する。そして、ブラシローラ部内から回収ローラ更に静電転移した後、掻き取りブレードによって回収ローラ表面から掻き落とされる。このようなブラシローラクリーニング方式では、ブレードクリーニング方式に比べて、重合法によるトナーを良好にクリーニングすることができる。
【0004】
また、特許文献1に記載のクリーニング装置においては、クリーニングブラシや感光体の長寿命化を図ったり、転写性を向上させたりする目的から、潤滑剤粉末を感光体表面に塗布する機構を設けている。この機構は、ステアリン酸亜鉛等からなる固形潤滑剤をクリーニングブラシローラに当接させる機構である。クリーニングブラシローラは、その回転に伴って固形潤滑剤を掻き取って潤滑剤粉末を得ながら、感光体表面に塗布する。この塗布により、感光体表面とブラシローラ部との摩擦抵抗を低下させることで、感光体やクリーニングブラシの摩耗を抑えてそれらの長寿命化を図ることができる。また、感光体とその表面上のトナー像との付着力を弱めて、感光体から転写体へのトナー像の転写性を高めることもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、長期間に渡って装置を停止させると、その後のプリント動作において顕著なクリーニング不良を引き起こすことがあった。そこで、本発明者らは、その原因について鋭意研究を行ったところ、次のようなことがわかってきた。即ち、本発明者らが実験に使用していた試験機では、ブラシローラ部に対する感光体の食い込み量を、ブラシローラ部に対する固形潤滑剤の食い込み量よりも小さくしていた。このような食い込み量の条件では、ブラシローラ部に対して、固形潤滑剤の先端が感光体よりもブラシ回転中心側で当接することになる。この当接位置において、長期間の装置停止によってブラシローラ部の毛倒れ癖が発生すると、その毛倒れ癖の箇所は感光体に接触し難くなる。このため、毛倒れ癖の箇所で感光体上の転写残トナーを良好にクリーニングすることができなくなって、クリーニング不良を引き起こしていることがわかった。
【0006】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ブラシローラ部の毛倒れ癖によるクリーニング不良の発生を抑えることができるクリーニング装置や、これを用いる画像形成装置を提供することである。
を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、回転可能な回転軸部材、及びその周面に立設せしめられた複数の起毛からなるブラシローラ部を具備し、被クリーニング体の表面に当接させた前記ブラシローラ部に対し、前記表面に付着しているトナーを静電転移させることで、前記表面をクリーニングするクリーニングブラシローラと、前記ブラシローラ部に当接しながら、前記ブラシローラ部内のトナーを自らの表面に静電転移させて回収する回収部材と、前記ブラシローラ部に当接するように配設された固形潤滑剤とを備え、前記ブラシローラ部によって前記固形潤滑剤から掻き取って得た潤滑剤粉末を前記被クリーニング体の表面に付着させて、前記表面の潤滑性を高めるクリーニング装置において、前記ブラシローラ部に対する前記被クリーニング体の食い込み量Kを、前記ブラシローラ部に対する前記固形潤滑剤の食い込み量Kよりも大きくしたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のクリーニング装置において、前記ブラシローラ部に対する前記回収部材の食い込み量Kを、前記ブラシローラ部に対する前記被クリーニング体の食い込み量Kと同じか、あるいはそれよりも大きくしたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2のクリーニング装置において、前記ブラシローラ部に対する前記回収部材の食い込み量Kを、前記ブラシローラ部に対する前記被クリーニング体の食い込み量Kと同じにしたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかのクリーニング装置において、前記固形潤滑剤を前記ブラシローラ部に向けて付勢する付勢手段と、前記付勢手段によって付勢される前記固形潤滑剤に突き当たることで、前記ブラシローラ部に対する前記固形潤滑剤の食い込み量Kを規制する規制部材とを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、自らの移動する表面にトナー像を担持する像担持体と、前記像担持体の表面にトナー像を形成する像形成手段と、前記像担持体の表面上のトナー像を転写体に転写する転写手段と、被クリーニング体たる前記像担持体の表面上の転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段とを備える画像形成装置において、前記クリーニング手段として、請求項1乃至4の何れかのクリーニング装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の画像形成装置であって、前記像担持体が無端状の像担持ベルトであることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項5又は6の画像形成装置において、上記トナーとして、体積平均粒径が3[μm]以上、6[μm]以下であり、且つ、体積平均粒径を個数平均粒径で除算した値が1.00以上、1.40以下であるもの、を用いることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項5乃至7の何れかの画像形成装置において、上記トナーとして、形状係数SF−1が100以上、180以下であり、且つ、形状係数SF−2が100以上、180以下であるもの、を用いることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
これらの発明においては、クリーニングブラシローラのブラシローラ部に対して、固形潤滑剤の先端が被クリーニング体よりもブラシ外縁側で当接することになる。この当接に伴う毛倒れが、長期間の装置停止によって毛倒れ癖になった場合の毛倒れの曲率半径は、従来のように、ブラシローラ部に対して固形潤滑剤の先端を被クリーニング体よりもブラシローラ中心側で当接させていた場合の毛倒れ癖の曲率半径に比べて、大きくなる。これにより、本発明にて固形潤滑剤との当接位置で発生する毛倒れ癖の箇所は、従来よりも強い圧力で被クリーニング体に接触するようになるので、毛倒れ癖によるクリーニング不良の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係るプリンタの全体を示す概略構成図。
【図2】同プリンタにおける画像形成部を示す拡大構成図。
【図3】同画像形成部のベルトクリーニング装置の概略構成を示す拡大図。
【図4】同画像形成部のプロセスユニットを示す拡大構成図。
【図5】(a)、(b)、(c)は、1次転写ニップ通過後の感光体表面に残留した転写残トナーの帯電量分布と、極性制御ブレードとの接触位置を通過した後の転写残トナーの帯電量分布との関係の第1例、第2例、第3例を示すグラフ。
【図6】No1、No2の極性制御ブレードにおけるおける環境と電気抵抗との関係を示すグラフ。
【図7】No3、No4の極性制御ブレードにおけるおける環境と電気抵抗との関係を示すグラフ。
【図8】極性制御ブレードとの接触位置を通過する前後における転写残トナーの電荷量分布の変化を示すグラフ。
【図9】電気抵抗が、1×10Ω・cm、1×10Ω・cm、1×10Ω・cmであるクリーニングブラシローラのクリーニング性を示すグラフ。
【図10】比較例に係るプリンタのドラムクリーニング装置におけるクリーニングブラシローラと、その周囲構成とを示す拡大構成図。
【図11】実施形態に係るプリンタのドラムクリーニング装置におけるクリーニングブラシローラと、その周囲構成とを示す拡大構成図。
【図12】第2実施例に係るプリンタのドラムクリーニング装置におけるクリーニングブラシと、その周囲構成とを示す正面図。
【図13】同クリーニングブラシと、その周囲構成とを示す側面図。
【図14】トナー粒子の2次元平面に対する投影像の最大径MXLNGと平面積AREAとを説明する模式図。
【図15】トナー粒子の2次元平面に対する投影像の周長PERIと平面積AREAとを説明する模式図。
【図16】(a)、(b)、(c)はそれぞれトナーの形状を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した画像形成装置の実施形態として、電子写真方式のいわゆるタンデム型中間転写方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)について説明する。まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタの全体を示す概略構成図である。また、図2は、本プリンタにおける画像形成部を拡大して示す拡大構成図である。このプリンタは、イエロー,マゼンタ,シアン,黒(以下、Y,M,C,Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスユニット6Y,M,C,Kを備えている。4つのプロセスユニット6Y,M,C,Kはドラム状の感光体1Y,M,C,Kをそれぞれ有している。各感光体1Y,M,C,Kの回りにはそれぞれ帯電装置2Y,M,C,K、現像装置5Y,C,M,K、ドラムクリーニング装置4Y,M,C,K、除電装置(不図示)等を有している。プロセスユニット6Y,M,C,Kは、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。また、プロセスユニット6Y,M,C,Kの下方には、感光体1Y,M,C,K上に静電潜像を形成するためにレーザ光による光書き込みをおこなう露光装置7を有している。
【0011】
なお、本プリンタでは、プロセスユニット6Y,M,C,Kは、一体的に構成され装置本体に脱着可能で寿命到達時に交換されるプロセスカートリッジの形態を成しており、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0012】
プロセスユニット6Y,M,C,Kの上方には、像担持体たる中間転写ベルト8を備えた転写ユニット17が配設されている。中間転写ベルト8は、テンションローラ14、駆動ローラ12、支持ローラ13、15,16等の複数のローラに掛け回されており、図中反時計回り方向に回転駆動される。中間転写ベルト8を挟んで感光体1Y,M,C,Kに対向する位置には、感光体1Y,M,C,K上に形成されたトナー像を中間転写ベルト8上に転写するために1次転写ローラ9Y,M,C,Kが配設されている。また、中間転写ベルト8の回転方向に関して1次転写ローラ9Y,M,C,Kより下流部には、中間転写ベルト8の周面に当接し、中間転写ベルト8上のトナー像を記録紙に転写する2次転写ローラ19を有する2次転写装置を有している。なお、2次転写装置は、2次転写ローラ19に限るものではなく、数本の支持ローラと駆動ローラにより掛け渡される2次転写ベルトであっても良い。
【0013】
2次転写ローラ19よりも下流には、2次転写ローラ19による転写後に中間転写ベルト8上に残留する残留トナーを除去するベルトクリーニング装置10が、中間転写ベルト8を介してテンションローラ14に対向するよう設けられている。このベルトクリーニング装置10は中間転写体8と一体的に交換可能であるが、中間転写ベルト8と寿命設定が異なる場合は単独で脱着が可能としてもよい。
【0014】
テンションローラ14は、中間転写ベルト8に一定の張力を付与する役割をもつとともに、クリーニングバックアップとしての役割ももっている。
【0015】
中間転写ベルト8の材質について詳しく説明する。
近年、転写紙として従来広く用いられてきた普通紙に加え、デザインとして表面に凹凸を有する特殊紙やアイロンプリントなどの熱転写に用いる特殊な転写紙が用いられることが増えている。このような特殊紙を用いると、従来の普通紙の場合よりもカラートナーを重ね合わせた中間転写ベルト8上のトナー像を紙に2次転写する際に転写不良が発生し易くなる。そこで、中間転写ベルト8に弾性をもたせることにより、転写紙との接触性を高めている。
【0016】
中間転写ベルト8としては、多層構造のものが用いられる。ベース層としては、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン等の合成樹脂又は各種のゴムに、カーボンブラック等の導電剤を適当量含有させて、その体積抵抗率が10〜1014Ω・cmとなるものが用いられている。また、弾性を持たせたベルトにする場合には、その導電性弾性層の主基材として、シリコーンゴム、NBR、H−NBR、CR、EPDM、ウレタンゴム等が用いられる。また、導電性保護層の材料は、摩擦抵抗の低減、電気特性の環境に対する安定性、表面粗さ低減による残留トナークリーニング性能の向上といった目的を達成できるものであれば、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA)、PVDFなどのフッ素樹脂系ポリマーを、アルコール可溶性ナイロン系、シリコーン樹脂系、シランカプラー、ウレタン樹脂系のエマルジョンや有機溶媒に、溶解・分散した塗料を使用することができる。これら保護層は、上記の塗料をディップコート、スプレーコート、静電塗装、ロールコートなどにより設けることができる。さらに、保護層に表面処理または研磨を施すことにより離型性、導電性、耐磨耗性、表面クリーニング性等を改善することができる。弾性を有する中間転写ベルト8とドラム状の感光体1とは比較的広い接触領域にて接触配置されており、しかも、中間転写ベルト8により弾性押圧されているため、ドラム状の感光体1と中間転写8との間のタック面圧はそれほど高くなく、しかも、中間転写ベルト8によるトナー像の包み込み動作が行われ、感光体1Y,M,C,K上のトナー像が中間転写ベルト8側に一次転写される。このとき、中間転写ベルト8への転写画像には、大きなタック面圧によるホロキャラクタなどの画像欠陥はなく、高い転写効率で転写されるため、記録材(特に凹凸を有する特殊紙など)上のカラー画像品質はきわめて良好に保たれる。
【0017】
図1において、プリンタの下方には、転写紙Pを収容する給紙カセット26と、給紙カセット26から転写紙Pを給紙する給紙ローラ27とを有する給紙部が設けられている。また、転写紙の搬送方向に関して2次転写ローラ19の上流側には、給紙カセット26から給紙された転写紙を一端停止させて、2次転写位置に向かって送り出すレジストローラ28が設けられている。一方、2次転写位置より転写紙の搬送方向に下流側には、定着装置20が設けられている。また、現像装置5Y,M,C,Kに補給する新しいトナーが充填されたトナーボトル32Y,M,C,Kがプリンタの上方にあり、ここから図示しない搬送経路によって、所定の補給量だけ各色の現像装置5Y,M,C,Kに補給する。
【0018】
次に、プリンタの動作について説明する。パーソナルコンピュータ等から画像情報が送られてくると、中間転写ユニット17では、不図示の駆動モータで駆動ローラ12を回転駆動して、他のローラ13,14,15,16を従動回転し、中間転写ベルト8を回転する。同時に、各プロセスユニット6Y,M,C,Kで各感光体1Y,M,C,Kを回転して、それぞれ帯電ローラ2Y,M,C,Kにより一様に帯電し、ついで、露光装置7により露光して静電潜像を形成する。各静電潜像は、それぞれ各色の現像装置5Y,M,C,Kにより現像され、感光体1Y,M,C,K上にイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの単色画像を形成する。中間転写ベルト8の回転とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写ベルト8上に合成カラー画像を形成する。
【0019】
一方、給紙部では、給紙ローラ27が給紙カセット26から転写紙Pを1枚づつ繰り出して給紙路に入れ、レジストローラ28に突き当てて止める。そして、中間転写ベルト8上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ28を回転し、中間転写ベルト8と2次転写ローラ19との間に転写紙を送り込み、転写紙上にカラー画像を2次転写する。転写後の転写紙は、定着装置20へと送り込まれ、定着装置20により熱と圧力とを加えて画像を定着した後排出される。一方、1次転写後の感光体1Y,M,C,Kは、それぞれのドラムクリーニング装置4Y,M,C,Kで残留トナーが除去され、その後除電され、次の作像に備える。また、2次転写後の中間転写ベルト8は、ベルトクリーニング装置10によって残留トナーが除去され、タンデム画像形成装置による再度の画像形成に備える。
【0020】
本プリンタにおいては、トナーとして、円形度0.98という条件を具備するものを用いるように指定されている。この指定は、次のようにして行われる。即ち、前述の条件を満たすトナーをセットした状態でプリンタを出荷することによって行うことができる。また例えば、前述の条件を満たすトナーを、プリンタとともに梱包して出荷することによって行ってもよい。また例えば、前述の条件を満たすトナーの製品番号や商品名などを、プリンタ本体や、これの取扱説明書などに明記することによって行ってもよい。また例えば、ユーザーに対して書面や電子データ等をもって前述の条件、製品番号、商品名などを通知することによって行ってもよい。近年においては、より高精度および高精細な画像が形成できるよう、高解像度を有することが要求されており、その達成手段の1つとして前述の条件を満たすトナーを指定している。また、転写率向上のためにトナーの形状を不定形からより球に近い形状のものを用いている。
【0021】
次に、ベルトクリーニング装置10について詳しく説明する。このベルトクリーニング装置10は、従来ブレードクリーニング方式では困難な小粒径化や球形化の進んだトナーのクリーニング時にも良好なクリーニング性を備えた静電クリーニング方式のものである。
【0022】
ここで、従来のブレードクリーニング方式の問題点について説明する。上述のように、近年、高画質化の要望が高まり、トナーは小粒径化の傾向にある。また、トナー製造コスト低減および転写率向上の要望から粉砕トナーではなく重合法等により球形化トナーを採用する傾向にある。小粒径化や球形化の進んだトナーの使用に伴い、像担持体上に残留したトナーを除去する手段として主に用いられてきたブレードクリーニング方式では、ブレードと像担持体表面の密着の精度が低いとトナーがすり抜けてしまいクリーニング性が低下しやすい。これを防ぐため、ブレードを強い当接圧で押しつけると、ブレードのめくれが発生し、いわゆるスジ状あるいは帯状のクリーニング不良を引き起こす原因となり、安定したクリーニング性能を保ちつづけることが困難である。また、球形トナーでも線圧を極端に高くすれば(具体的には、線圧100gf/cm以上)クリーニングできるが、その分クリーニングブレードの磨耗やベルトのキズ等により寿命が極端に短くなる。通常の線圧20gf/cmでのクリーニングブレード寿命(削れてクリーニング不良が発生する時の寿命)は、約120K枚である。線圧100gf/cmの時は、クリーニングブレードの寿命は約20K枚程度である。また、転写性が良いとされている球形トナーに対して、ブレードクリーニング性は、粉砕(異型)トナーに対するクリーニング性より劣ることは良く知られていることである。
【0023】
そこで、本プリンタでは静電クリーニング方式のベルトクリーニング装置10を採用する。図3は、ベルトクリーニング装置10の概略構成を示す拡大図である。ベルトクリーニング装置10は、像担持ベルトたる中間転写ベルト8上からトナーを除去するクリーニング部材としてのクリーニングブラシローラ521と、クリーニングブラシローラ521に付着したトナーを回収する回収部材としての回収ローラ522と、回収ローラ522に当接して回収したトナーを掻き取ると共に、回収ローラ522表面に電荷を付与する掻き取り部材としての掻き取りブレード523と、プリンタ本体に備えられた廃トナータンク(不図示)に回収したトナーを搬送するためのトナー搬送コイル524とを備えている。
【0024】
掻き取りブレード523は、回収ローラ522表面からトナーを掻き取り掻き取り部材としての機能と、回収ローラ522表面に電荷を付与する電荷供給手段としての機能を兼ね備えている。クリーニングブラシローラ521は、回転自在に支持される金属製の回転軸部材と、これの周面に立設せしめられた複数の起毛(導電性繊維)からなるブラシローラ部とを具備しており、ブラシ用電源531によってクリーニング電圧が印加される。また、回収ローラ522には回収電源532より回転軸(芯金)を介して電圧を印加する。また、掻き取りブレード523に対しては、ブレード用電源533より支持基板を介して電圧を印加する。また、クリーニングブラシローラ521が中間転写ベルト8上の転写残トナーを除去する位置に対して中間転写ベルト8の回転方向上流側には、転写残トナーの帯電極性を制御する極性制御部材として、極性制御用電源530から電圧が印加された極性制御ブレード520を、テンションローラ14と対向する位置で中間転写ベルト8に当接するよう設けている。
【0025】
また、クリーニングブラシローラ521の表面に電荷を付与するブラシ表面電荷付与部材(不図示)を備えていてもよい。このブラシ表面電荷付与部材は、クリーニングブラシローラ521にトナーが多く回収された場合、ブラシ先端の電位が低下してしまうことを補うために、クリーニングブラシローラ521表面に電荷を付与する電圧が印加された導電性部材であり、具体的には金属の丸棒や板状部材がよい。
【0026】
また、中間転写ベルト8表面には、極性制御ブレード520が常時摺擦していることによる中間転写ベルト8表面保護のために、中間転写ベルト8表面に潤滑剤塗布を行ってもよい。この場合、固形潤滑剤525をクリーニングブラシローラ521のブラシローラ部に当接させ、回転によって固形潤滑剤525から掻き取って得た潤滑剤粉末を中間転写ベルト8表面に塗布する。また、中間転写ベルト8表面に塗布した潤滑剤粉末を均して均一にするための均しブレード(不図示)を備えてもよい。
【0027】
このような構成のベルトクリーニング装置10では、次の4つの工程で中間転写ベルト8上のトナーを除去する。
1.極性制御ブレード520で中間転写ベルト8上のトナーの極性を正規帯電極性(本例では負極性)に揃える。
2.クリーニングブラシローラ521にトナーと逆極性(本例では正極性)の電圧を印加して、中間転写ベルト8上のトナーを静電的にクリーニングブラシローラ521上に移動させる。
3.回収ローラ522にクリーニングブラシローラ521と同極性で絶対値が大きい電圧を印加して、クリーニングブラシローラ521上のトナーを回収ローラ522に移動させる。
4.掻き取りブレード523で回収ローラ522上のトナーを掻き落とす。
【0028】
本プリンタでは、ドラムクリーニング装置4Y,M,C,Kを備えるプロセスユニット6Y,M,C,Kは、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。そこで、以下、添字Y,M,C,Kを省略して説明する。
【0029】
図4は、プロセスユニット6を示す拡大成図である。同図において、ドラムドラムクリーニング装置4は、上述のベルトクリーニング装置10と同様に、小粒径化や球形化の進んだトナーでも良好なクリーニング性を備えた静電クリーニング方式のものである。そして、転写残トナーの極性制御部材としての極性制御ブレード420と、クリーニング部材としてのクリーニングブラシローラ421と、クリーニングブラシローラ421に付着したトナーを回収する回収部材としての回収ローラ422と、回収ローラ422に当接して回収したトナーを掻き取ると共に、回収ローラ422表面に電荷を付与する掻き取りブレード423と、プリンタ本体に備えられた廃トナータンク(図示省略)に回収したトナーを搬送するためのトナー搬送コイル424とを備えている。
【0030】
クリーニングブラシローラ421は、回転自在に支持される金属製の回転軸部材と、これの周面に立設せしめられた複数の起毛(導電性繊維)からなるブラシローラ部とを具備しており、ブラシ用電源431によってクリーニング電圧が印加される掻き取りブレード423は、回収ローラ422表面からトナーを除去する除去部材としての機能と、回収ローラ422表面に電荷を付与する電荷供給手段としての機能を兼ね備えている。また、極性制御ブレード420に電圧を印加する極性制御用電源430、クリーニングブラシローラ421に電圧を印加するブラシ用電源431、回収ローラ422に電圧を印加する回収電源432、掻き取りブレード423に電圧を印加するブレード用電源433とを備えている。
【0031】
また、固形潤滑剤425をクリーニングブラシローラ421のブラシローラ部に当接させ、回転によって固形潤滑剤425から掻き取って得た潤滑剤粉末を感光体1表面に塗布する。また、感光体1表面に塗布した潤滑剤を均して均一にするための均しブレード(不図示)を備えてもよい。感光体1表面に潤滑剤を塗布することにより、感光体表面の摩擦係数を低下させ、転写残トナーの除去性の向上や、トナーが感光体1表面に固着するいわゆるフィルミングの発生を防止することができる。また、感光体1の表面削れを低減することもできる。
【0032】
このような構成のドラムクリーニング装置4では、次の4つの工程で感光体1上の転写残トナーを除去する。
1.極性制御ブレード420で感光体1上の転写残トナーの極性を正規帯電極性(本例では負極性)に揃える。
2.クリーニングブラシローラ421にトナーと逆極性(本例では正極性)の電圧を印加して、感光体1上の転写残トナーを静電的にクリーニングブラシローラ421上に移動させる。
3.回収ローラ422にクリーニングブラシローラ421と同極性で絶対値が大きい電圧を印加して、クリーニングブラシローラ421上のトナーを回収ローラ422上に移動させる。
4.掻き取りブレード423で回収ローラ422上のトナーを掻き落とす。
以下、これらの工程について詳しく説明する。
【0033】
まず、感光体1表面に付着してドラムクリーニング装置4との対向部に到達する転写残トナーの帯電量と、極性制御ブレード420通過後のトナーの帯電量とについて説明する。1次転写ニップに進入する前の感光体1表面上のトナーは、そのほとんどが負極性に帯電している。転写時には、感光体1上のトナーは、1次転写ローラ9に印加された正極性の1次転写バイアスによって中間転写ベルト8の表面上に転写される。しかし、このとき、転写前から逆極性である正極性に帯電していたトナーのほとんどはそのまま感光体1表面に残留する。さらに、転写前に負極性に帯電していたトナーであって1次転写ローラ1に印加された正極性の電荷注入を受けるなどして、帯電極性が正極性側にシフトし、その一部の極性が正極性に反転することがある。
【0034】
図5(a)、(b)、(c)は、1次転写ニップ通過後の感光体1表面に残留した転写残トナーの帯電量分布と、極性制御ブレード420との接触位置を通過した後の転写残トナーの帯電量分布との関係の第1例、第2例、第3例を示すグラフである。なお、帯電量分布はホソカワミクロン製 E−スパートアナライザ(EST−3)で、トナー1個ずつの電荷量Qとそのトナーの粒径dとを測定したデータをもとに、本プリンタで作像した時の感光体1上の転写残トナー数百個をサンプリングした時のQ/d(単位はfc/μm)分布を表したものである。図5(a)に示した第1例は、正極性のトナーと負極性のトナーとが半分づつの状態で混在したブロードな分布(以下、転写残トナーAという)になっている。また、図5(b)に示した第2例は、正極性のトナーが負極性トナーよりも多い状態で混在したブロードな分布(以下、転写残トナーBという)である。また、図5(c)に示した第3例は、プロセスコントロール時等の未転写トナーであり、ほとんどが負極性トナーでシャープな分布になっている。
【0035】
転写残トナーA、転写残トナーBが感光体1の回転により、極性制御ブレード420の位置まで達すると、ほとんどのトナーが極性制御ブレード420によって機械的に掻き落されるが、いわゆるスティックスリップが発生して一部が極性制御ブレード420をすり抜けて行く。機械的に掻き落とされたトナーは、極性制御ブレード420から自然に落下してドラムクリーニング装置4の下方回収部に収容され、回収コイル424によって廃トナー回収部(不図示)に回収される。極性制御ブレード420へはトナーの帯電極性と同極性(負極性)の電圧が印加されており、トナーがトナー極性制御ブレード420をすり抜けて行く際、トナーを正規の帯電極性(負極性)に帯電する。図5(a)、(b)に示したように、極性制御ブレード420との当接位置を通過する前のトナーの帯電量分布により、通過後の帯電量分布も異なってくるが、どちらもほぼ負極性側にすることができる。また、図5(c)の未転写トナーは、ほとんど変化しないか、あるいはやや負極性よりになる。
【0036】
次に、トナーが極性制御ブレード420との当接位置をすり抜けて行く際の帯電量変化について、詳細に説明する。極性制御ブレード420は、例えばポリウレタン等からなる弾性体からなり、素材にカーボンブラックやイオン系の導電剤が混練されていることで導電性を発揮する。その電気抵抗は、2×10Ω・cm〜5×107Ω・cmが好ましい。また、厚みは1〜3mmの範囲内とするのが良い。厚さが薄すぎると、感光体1表面及び極性制御ブレード420自体のうねり等によって感光体1への押しつけ量が確保しにくくなる。硬度はJIS−A硬度計で40〜85の範囲内であれば良い。極性制御ブレード420に対しては、感光体1上のトナーの全量を確実にクリーニングすることは要求されず、多少のトナーのすり抜けを許容しても問題ない。
【0037】
本発明者らが実験に使用した極性制御ブレード420の諸条件は次の通りである。
・電気抵抗:1×10Ω・cm、又は1×10Ω・cm
・厚み:2.4、又は2.8mm
・自由長:7、又は9mm
・硬度:JIS−A硬度で60〜80
・ブレード反発弾性係数:45%
【0038】
かかる諸条件を具備する極性制御ブレード420の電気抵抗は、環境によって変化する。参考までに、No1〜No4の4種類の極性制御ブレード420について、設置条件の例を次の表1に示す。また、それらブレードにおけるおける環境と電気抵抗との関係を図6、図7に示す。
【表1】

【0039】
このような極性制御ブレード420と感光体1との間にトナーが挟まれた時、極性制御ブレード420に印加された電圧によってトナーに電流が流れ込む。そして、トナーは、印加電圧と同極性に帯電して極性制御ブレード420との当接位置を通過する。また、感光体1と極性制御ブレード420とで形成された当接部の入り口や出口における感光体〜ブレード間の微小ギャップでの放電あるいは電荷注入によっても、トナーは印加電圧と同極性に帯電する。この結果、トナーは図5(a)、(b)の「ブレード通過後(電圧−500V印加)」に示すような負極性の帯電量分布となる。図8は、極性制御ブレード420との当接位置を通過する前後における転写残トナーの電荷量分布の変化を示すグラフである。
【0040】
次に、極性制御ブレード420との当接位置を通過した後のトナーの静電クリーニング動作について説明する。極性制御ブレード420によって正規の帯電極性である負極性に帯電したトナーは、感光体1の回転に伴ってクリーニングブラシローラ421との接触位置まで移送される。クリーニングブラシローラ421には、ブラシ用電源431よってトナーの帯電極性とは逆極性(正極性)の電圧が印加されている。クリーニングブラシローラ421と感光体1との当接部では、両者間の電位差で形成される電界により、感光体1上の負極性に帯電したトナーがクリーニングブラシローラ421のブラシに静電的に吸着する。
【0041】
クリーニングブラシローラ421に当接するように配設された回収ローラ422には、回収電源432よってクリーニングブラシローラ421に対する電圧よりも更に高い正極性の電圧が印加されている。クリーニングブラシローラ421と回収ローラ422との当接部では、両者間の電位差で形成される電界により、クリーニングブラシローラ421のブラシ内に捕捉されていたトナーが回収ローラ422に静電的に吸着する。
【0042】
回収ローラ422に自らの自由端側を当接させるように配設された掻き取りブレード523は、回収ローラ422表面上のトナーを掻き落とす。掻き落とされたトナーは、回収コイル424によって機外に排出されるか、あるいは現像装置5に戻される。また、掻き取りブレード423は、回収ローラ422の表面電位を維持するよう回収ローラ422表面へ電荷を供給する電荷供給手段としての機能を有しており、ブレード用電源433より支持基板を介して、回収ローラ422の芯金へ印加されている電圧と同じあるいは更に高い正極性の電圧が印加されている。これにより、回収ローラ422表面電位は安定化する。
【0043】
本プリンタに搭載されたクリーニングブラシローラ421、回収ローラ422の具体的な構成条件は、通常環境(高温高湿環境以外)での以下のとおりである。
<クリーニングブラシローラ521の条件>
ブラシ材質:導電性ポリエステル(繊維内部に導電性カーボンを内包し、繊維表面はポリエステル、いわゆる芯鞘構造)
ブラシ抵抗:1×10Ω・cm(100〜600Vの電圧印加条件で軸線方向全域測定)
ブラシ軸印加電圧(クリーニング電圧):+400V
ブラシ植毛密度:10万本/inch、繊維径約25〜35μm、ブラシ先端の毛倒れ処理あり
ブラシ直径:16mm
回転方向:図4で時計回り方向
【0044】
ブラシ繊維は繊維全体としては導電性であるが、繊維表面は絶縁層で覆われているものを用いる。繊維表面に絶縁層を有することで、クリーニングブラシローラ421と感光体1とが接触する際に電流が流れ難くなり、ブラシ繊維が感光体1からトナーを静電吸引する際に余分な電流が流れ難くなる。このため、トナーに逆極性の電荷を与えてしまうことがなく、いったんブラシ内に捕捉したトナーを逆に感光体1に再付着させる恐れが少なくなる。ただし、このようなブラシを使用しても、繊維表面の絶縁を破壊して電流を流すほどの電圧を回転軸に印加すると、結果として感光体1にトナーを戻してしまうことになるので、電圧値の設定には注意を要する。
【0045】
クリーニングブラシローラ421は、ブラシロール状に形成後、一方向に毛を倒す斜毛処理を施すと、繊維断面に露出している導電剤を感光体1に接触させ難くなる。これにより、トナーへの電荷注入性が低減され、クリーニング性の余裕度が向上する。図9に、電気抵抗が、1×10Ω・cm、1×10Ω・cm、1×10Ω・cmであるクリーニングブラシローラ421のクリーニング性を示す。電気抵抗が1×10Ω・cmの時は、印加電圧が大きいため、電源コストがアップする。一方、電気抵抗が1×10Ω・cmの時は感光体1に電流を流し易いことにより、1×10Ω・cmのときよりも低い電圧でトナーが正極性に帯電して感光体1に再付着する。このため、クリーニング性の余裕度が小さい。したがって、1×10Ω・cmの条件がもっとも適している。但し、ブラシ抵抗は直径10mmのSUSローラにクリーニングブラシローラ421を1mm食い込ませて当接させて200mm/secで両方を回転させ、ブラシ芯金に電圧を印加して電流測定し抵抗を算出したものである。繊維はナイロン、ポリエステル、アクリル等の絶縁材が一般的で何れの材料の場合も同じ効果である。また、芯鞘構造の代表的な繊維は特開平10−310974号公報、特開平10−131035、特開平01−292116号公報、特公平07−033637号公報、特公平07−033606号公報、特公平03−064604号公報に開示されている。
【0046】
<回収ローラ422の条件>
回収ローラ芯金材質:SUS
回収ローラ表面材質:PVDF(厚み100μm)の表層にアクリル系UV硬化樹脂層(厚み3〜5μm)
ローラ直径:14mm
回収ローラ芯金印加電圧(回収電圧):+800V
回転方向:図4で時計回り方向
【0047】
回収ローラ522はSUSの芯金の表面にPVDFを100μmの厚みで有し、さらにその表面にアクリル系のUV硬化樹脂層を有するもの(高抵抗ローラ)を用いた。本実施形態で用いた回収ローラ422のみならず、導電性芯金に数μm〜100μm程度の高抵抗弾性チューブを被せる、あるいはさらに絶縁コーティングしたものでも同じ性能を得られる。回収ローラ522の材料としては、PVDFチューブ、PFAチューブ、PIチューブ、アクリルコート、シリコーンコート(例えばシリコーン粒子を含有したPC(ポリカーボネート)をコート)、セラミックス、フッ素コーティングなどがある。
【0048】
通常環境での掻き取りブレード423の具体的な構成条件は例えば次のとおりである。
<掻き取りブレード423の条件>
導電性カーボン含有ポリウレタンゴム体積抵抗:1×10Ω・cm(25℃50%にて測定)
ブレード当接角度:20°
ブレード厚み:2.4mm
掻き取りブレードへの印加電圧(掻き取り電圧):+1450V
【0049】
回収ローラ422には芯金に電圧が印加され、その表面電位を測定すると印加電圧と同電位になっているのであるが、クリーニング動作中、多くのトナーが入力されると、回収ローラ422の表面電位はトナーの入力とともに低下していく。すると、回収ローラ422とクリーニングブラシローラ421との電位差(回収電位差)が必要な値だけ確保できなくなり、クリーニングブラシローラ421からトナーを回収する能力が低下する。このため、例えば、A4サイズ1枚分のプリントであれば必要な大きさの回収電位差が確保できるが、連続プリント動作で且つブラシへの入力トナー量が多い場合には回収電位差が確保できなくなるといった事態を引き起こすことがある。すると、クリーニングブラシローラ421内にトナーが溜まった状態となり、ブラシから感光体1にトナーを吐き出してしまうといった問題がある。このため、導電性の掻き取りブレード423に掻き取り電圧を印加して、回収ローラ422の表面に電荷を与えることで、回収電位差を大きくして回収性能を向上させるようになっている。
【0050】
極性制御ブレード420の劣化があまり進行しておらず極性制御ブレード420との当接位置でのトナーのすり抜けがそれほど起こらないときには、掻き取りブレード423への掻き取り電圧の印加の必要性は少ない。しかし、極性制御ブレード420の劣化の進行によって極性制御ブレード420との当接位置におけるトナーのすり抜け量が比較的多くなった場合や、低温低湿環境下において高温高湿環境下よりもすり抜け量が多くなる場合に、特に有効である。
【0051】
次に、実施形態に係るプリンタの特徴的な構成について説明する。
先に示した図4において、クリーニングブラシローラ421のブラシローラ部に対する固形潤滑剤425の食い込み量Kは、0.5[mm]に設定されている。固形潤滑剤425は、付勢手段としての図示しないバネによってブラシローラ部に向けて付勢されて、ブラシローラ部に対して0.5[mm]の食い込み量Kで食い込んでいる。バネによる加圧力は2〜9[N]程度が好ましい。本実施形態では、2[N]のバネを2個使って4[N]の力で加圧している。バネによる加圧方法としては、特開2007−293240号公報における代表図に記載のものや、特開2007−140391号公報における図3に記載のものを例示することができる。
【0052】
固形潤滑剤425としては、ステアリン酸亜鉛の粉末を棒状に成型(射出成型、圧縮成型)したものを用いている。この他、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムなどのラメラ結晶構造を持つ脂肪酸塩金属(その他に、ラウロイルリジン、モノセチルリン酸エステルナトリウム亜鉛塩、ラウロイルタウリンカルシウム、例えば、「金属せっけんの性質と応用」、吉田時行ら著、幸書房、1988)などを固形潤滑剤425として用いてもよい。また、ステアリン酸亜鉛には、チッ化ホウ素などを添加しても良い。
【0053】
クリーニングブラシ421のブラシローラ部に対する各種部材の食い込み量は、次のように設定されている。
(A)感光体1の食い込み量K:1[mm]
(B)固形潤滑剤425の食い込み量K:0.5[mm]
(C)回収ローラ422の食い込み量K:1[mm]以上
つまり、K≧K>Kという関係になっている。
【0054】
クリーニングブラシ421のブラシローラ部に対する感光体1の食い込み量Kは、ブラシローラ部に対する固形潤滑剤425の食い込み量Kよりも大きく設定されている。このような設定においては、ブラシローラ部に対して、固形潤滑剤425の先端が感光体1よりもブラシ外縁側の箇所に当接することになる。この当接に伴う毛倒れが、長期間の装置停止によって毛倒れ癖になった場合の毛倒れの曲率半径は、従来のように、ブラシローラ部に対して固形潤滑剤425の先端を感光体1よりもブラシローラ中心側で当接させていた場合の毛倒れ癖の曲率半径に比べて、大きくなる。これにより、固形潤滑剤425との当接位置で発生する毛倒れ癖の箇所は、従来よりも強い圧力で感光体1に接触するようになるので、毛倒れ癖によるクリーニング不良の発生を抑えることができる。
【0055】
ブラシローラ部に対する回収ローラ422の食い込み量Kは、ブラシローラ部に対する感光体1の食い込み量Kと同じか、あるいはそれよりも大きい値に設定されている。このような設定では、ブラシ半径方向において、ブラシローラ部に対して、感光体1が回収ローラ422と同じか、あるいは、それよりも外側の箇所に当接することになる。この当接に伴う毛倒れが、長期間の装置停止によって毛倒れ癖になった場合の毛倒れの曲率半径は、ブラシローラ部に対して感光体1を回収ローラ422よりもブラシローラ中心側で当接させた場合の毛倒れ癖の曲率半径に比べて、大きくなる。これにより、その毛倒れ癖の箇所は、より強い圧力で回収ローラ422に接触するようになるので、クリーニングブラシローラ421から回収ローラ422へのトナーの回収不良の発生を抑えることができる。
【0056】
また、ブラシローラ部に対する回収ローラ422の食い込み量Kは、ブラシローラ部に対する固形潤滑剤425の食い込み量Kよりも大きい値に設定されている。このような設定では、ブラシローラ部から感光体1へのトナーの逆転移の発生を抑えることができる。具体的には、図10は、比較例に係るプリンタのクリーニングブラシローラ421と、その周囲構成とを示す拡大構成図である。また、図11は、実施形態に係るプリンタのクリーニングブラシローラ421と、その周囲構成とを示す拡大構成図である。図10、図11のそれぞれにおいて、C1は、クリーニングブラシローラ421の回転軸部材を中心とした円軌道で、且つブラシローラ部と回収ローラ422との当接位置を通る仮想円を示している。比較例では、図10に示すように、固形潤滑剤425の先端が仮想円C1よりも内側のブラシ箇所に当接している。すると、回収ローラ422で除去し切れなかったトナーの一部を、固形潤滑剤425の先端が仮想円C1よりも内側のブラシ箇所に追いやって、回収ローラ422による回収を困難にする。仮想円C1よりも内側に追いやられたトナーは、クリーニングブラシローラ421の複数周回に渡ってブラシ内に留まり、固形潤滑剤425の先端部に繰り返し接触したり、クリーニングバイアスによってプラスの電荷が注入されたりして、逆帯電することがある。このようにして逆帯電したトナーは、クリーニングバイアスと反発して仮想円C1よりも外側に移行して、感光体1に逆転移し易くなる。
【0057】
これに対し、実施形態に係るプリンタでは、図11に示したように、固形潤滑剤425の先端が仮想円C1よりも外側のブラシ箇所に当接している。すると、回収ローラ422で除去し切れなかったトナーの一部を固形潤滑剤425の先端によって仮想円C1よりも内側のブラシ箇所に追いやってしまうという事態が起こらない。このため、回収ローラ422で除去し切れずに回収位置を通過してしまったトナーが発生しても、その後、そのトナーは良好に回収ローラ422によって回収されるので、感光体1へのトナーの逆転移が抑えられる。
【0058】
なお、先に図3に示したベルトクリーニング装置10においても、クリーニングブラシ521のブラシローラ部に対する中間転写ベルト8の食い込み量Kと、固形潤滑剤525の食い込み量Kと、回収ローラ522の食い込み量Kとの関係が、ドラムクリーニング装置4と同様の関係になっている。つまり、K≧K>Kという関係になっている。
【0059】
次に、実施形態に係るプリンタに、より特徴的な構成を付加した各実施例のプリンタについて説明する。なお、以下に特筆しない限り、各実施例に係るプリンタの構成は、実施形態と同様である。
[第1実施例]
ブラシローラ部に対する回収ローラ422の食い込み量Kが、ブラシローラ部に対する感光体1の食い込み量Kよりも大きいと、次のような不具合を引き起こすことがある。即ち、前述のような食い込み量の関係では、ブラシローラ部に対して、回収ローラ422が感光体1よりもブラシ中心側の箇所に当接することになる。この当接位置において、長期間の装置停止によってブラシローラ部の毛倒れ癖が発生すると、その毛倒れ癖は、感光体1に接触し難くなる。すると、毛倒れ癖の箇所でトナーを感光体1から良好に除去することができず、クリーニング不良を発生させ易くなる。
【0060】
そこで、第1実施例に係るプリンタにおいては、ブラシローラ部に対する回収ローラ422の食い込み量Kを、ブラシローラ部に対する感光体1の食い込み量Kと同じ値(1mm)に設定している。このような設定では、ブラシ半径方向において、ブラシローラ部に対して回収ローラ422が感光体1と同じ位置で当接することになる。すると、回収ローラ422との当接位置において、長期間の装置停止によってブラシローラ部の毛倒れ癖が発生した場合、その毛倒れ癖は、感光体1に良好に接触する。これにより、クリーニング不良の発生を抑えることができる。
【0061】
なお、ベルトクリーニング装置10においても、クリーニングブラシ521のブラシローラ部に対する回収ローラ522の食い込み量Kと、中間転写ベルト8の食い込み量Kとが同じ値になっている。
【0062】
[第2実施例]
図12は、第2実施例に係るプリンタのクリーニングブラシローラ421と、その周囲構成とを示す正面図である。また、図13は、クリーニングブラシローラ421と、その周囲構成とを示す側面図である。これらの図において、図示しないホルダーに固定された固形潤滑剤425は、図示しない付勢手段としてのバネによってホルダーとともにクリーニングブラシローラ421に向けて付勢される。クリーニングブラシローラ421の回転軸部材421aの両端部近傍には、それぞれ、図示しない支持手段によって支持される食い込み規制部材427が配設されている。この食い込み規制部材427は、ポリアセタール樹脂などの摩擦抵抗の比較的小さな材料からなり、回転軸部材421aに摺擦する位置に配設されている。バネによって付勢される固形潤滑剤425の両端部は、それぞれ食い込み規制部材427に突き当てることで、ブラシローラ部に対する食い込み量Kが所定の値に記載される。
【0063】
次に、実施形態や各実施例に係るプリンタに好適に用いられるトナーについて説明する。それらプリンタで600dpi以上の微少ドットを再現するために、トナーの体積平均粒径は3〜6μmが好ましい。また、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(Dv/Dn)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
【0064】
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図14は、トナー粒子の2次元平面に対する投影像の最大径MXLNGと平面積AREAとを説明する模式図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、「SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π)/4」という式で求められる。トナー粒子の2次元平面に対する投影像の最大径MXLNGの二乗を平面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0065】
図15は、トナー粒子の2次元平面に対する投影像の周長PERIと平面積AREAとを説明する模式図である。形状係数SF−2は、トナー粒子の形状の凹凸の割合を示すものであり、「SF−2={(PERI)/AREA}×100/(4π)」という式で求められる。トナー粒子を2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0066】
形状係数の測定は、具体的には、トナーの中から100個のトナー粒子を無作為に選出してその写真を走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)で撮影し、その撮影像を画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入し、個々のトナー粒子の形状係数を解析した後、それらの平均値を最終的な形状係数とした。トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0067】
また、トナーは少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマーと、ポリエステルと、着色剤と、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
【0068】
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0069】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0070】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
【0071】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−イソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0072】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0073】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2や、1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0074】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
【0075】
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0076】
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0077】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置100に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
【0078】
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0079】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0080】
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0081】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0082】
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSYVP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージNEG VP2036、コピーチャージNX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
【0083】
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0084】
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
【0085】
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0086】
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−4μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
【0087】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
【0088】
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0089】
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
【0090】
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0091】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0092】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0093】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm、及び、2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0094】
上記樹脂微粒子や無機化合物分散剤などと併用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0095】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0096】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0097】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0098】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
【0099】
またトナーの形状は略球形状であり、以下の形状規定によって表すことができる。即ち、図16(a)、(b)、(c)に示すように、略球形状のトナーを長軸r1、短軸r2、厚さr3(但し、r1≧r2≧r3とする。)で規定する。そして、トナーは、長軸と短軸との比(r2/r1)(図18(b)参照)が0.5〜1.0で、厚さと短軸との比(r3/r2)(図16(c)参照)が0.7〜1.0の範囲にあることが好ましい。長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5未満では、真球形状から離れるためにドット再現性及び転写効率が劣り、高品位な画質が得られなくなる。また、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7未満では、扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなる。特に、厚さと短軸との比(r3/r2)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる。なお、r1、r2、r3は、走査型電子顕微鏡(SEM)で、視野の角度を変えて写真を撮り、観察しながら測定した。
【0100】
なお、トナーQ/M(トナーの単位重量あたりの電荷量)、トナー帯電量分布の測定方法は以下のとおりである。また、極性制御率は以下で定義した。
【0101】
<トナーQ/M>
トナーパッチパターンを感光体上に作像し、現像、転写、極性制御後などの各プロセス終了後に複写機本体のメインスイッチを強制的にOFFにし、作像途中で機械を止める。感光体や転写ベルト上に形成されたトナー像を吸引治具を用いてエアーポンプで吸引しながら、そのトナーのクーロン量をクーロンメータ(ケスレー製エレクトロメータ617)により測定し、吸引治具により吸引したトナーの重量とクーロン量から単位重量あたりのトナー電荷量(μC/g)を算出する。
【0102】
<トナー帯電量分布>
ホソカワミクロン製 E−SPARTアナライザで測定する。感光体上に付着したトナーをエアーで吹き飛ばして測定部に落下させ、トナー1個ずつの粒径と電荷量を測定し、X軸に「電荷量/トナー粒径」、Y軸に「頻度(%)=予め設定した「電荷量/トナー粒径」のヒストグラムの帯の範囲にある数(個)/サンプル全数(個)×100」を算出しグラフ化した。
【0103】
<極性制御率>
上述のトナー帯電量分布の測定データをもとに算出する。極性制御率[%]=制御したい極性のトナーの数(個)/サンプル全数(個)×100。なお、制御したい極性とは、感光体表面電位を比較対象としたときの、極性制御部材に印加している電圧の相対的な極性である。例えば、感光体表面電位が−100Vで、極性制御部材印加電圧がー700Vの場合は、「トナーを−極性に制御したい」とする。本方式のようなトナー極性制御+単一極性印加ブラシによる静電クリーニング方式では、クリーニングブラシローラに入力するトナーの極性が揃っていることが重要になる。言い換えると、極性制御率が高いことが重要となる。
【0104】
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、ブラシローラ部に対する回収ローラ422の食い込み量Kを、ブラシローラ部に対する感光体1の食い込み量Kと同じか、あるいはそれよりも大きい値に設定している。かかる構成では、既に説明したように、感光体1との当接位置において、長期間の装置停止によってブラシローラ部の毛倒れ癖が発生しても、それによるクリーニングブラシローラ421から回収ローラ422へのトナーの回収不良の発生を抑えることができる。
【0105】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、ブラシローラ部に対する回収ローラ422の食い込み量Kを、ブラシローラ部に対する固形潤滑剤425の食い込み量Kよりも大きい値に設定している。かかる構成では、既に説明したように、回収ローラ422で除去し切れずに回収位置を通過させてしまったトナーが発生しても、その後、そのトナーは良好に回収ローラ422によって回収するので、感光体1へのトナーの逆転移を抑えることができる。
【0106】
また、第1実施例に係るプリンタにおいては、ブラシローラ部に対する回収ローラ422の食い込み量Kを、ブラシローラ部に対する感光体1の食い込み量Kと同じ値(1mm)に設定している。かかる構成では、既に説明したように、回収ローラ422との当接位置において、長期間の装置停止によってブラシローラ部の毛倒れ癖が発生しても、それによるクリーニング不良の発生を抑えることができる。
【0107】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、トナーとして、体積平均粒径が3[μm]以上、6[μm]以下であり、且つ、体積平均粒径を個数平均粒径で除算した値が1.00以上、1.40以下であるもの、を用いることで、均一なの帯電量分布を発揮して、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得つつ、転写率を高くすることができる。
【0108】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、トナーとして、形状係数SF−1が100以上、180以下であり、且つ、形状係数SF−2が100以上、180以下であるもの、を用いることで、転写率を高くして高品位な画像を得ることができる。更には、中間転写ベルト8に弾性をもたせることにより、転写材との接触性を高めて、転写率を高くして高品位な画像を得ることができる。
【符号の説明】
【0109】
1:感光体(像担持体)
8:中間転写ベルト(像担持ベルト)
31:紙搬送ベルト(搬送ベルト)
421:クリーニングブラシローラ(クリーニング部材)
422:回収ローラ(回収部材)
423:掻き取りブレード(掻き取り部材)
425:固形潤滑剤
433:ブレード用電源(電源及び電圧制御手段)
521:クリーニングブラシローラ(クリーニング部材)
522:回収ローラ(回収部材)
523:掻き取りブレード(掻き取り部材)
525:固形潤滑剤
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
【特許文献1】特開2009−20249号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な回転軸部材、及びその周面に立設せしめられた複数の起毛からなるブラシローラ部を具備し、被クリーニング体の表面に当接させた前記ブラシローラ部に対し、前記表面に付着しているトナーを静電転移させることで、前記表面をクリーニングするクリーニングブラシローラと、前記ブラシローラ部に当接しながら、前記ブラシローラ部内のトナーを自らの表面に静電転移させて回収する回収部材と、前記ブラシローラ部に当接するように配設された固形潤滑剤とを備え、前記ブラシローラ部によって前記固形潤滑剤から掻き取って得た潤滑剤粉末を前記被クリーニング体の表面に付着させて、前記表面の潤滑性を高めるクリーニング装置において、
前記ブラシローラ部に対する前記被クリーニング体の食い込み量Kを、前記ブラシローラ部に対する前記固形潤滑剤の食い込み量Kよりも大きくしたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1のクリーニング装置において、
前記ブラシローラ部に対する前記回収部材の食い込み量Kを、前記ブラシローラ部に対する前記被クリーニング体の食い込み量Kと同じか、あるいはそれよりも大きくしたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項2のクリーニング装置において、
前記ブラシローラ部に対する前記回収部材の食い込み量Kを、前記ブラシローラ部に対する前記被クリーニング体の食い込み量Kと同じにしたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかのクリーニング装置において、
前記固形潤滑剤を前記ブラシローラ部に向けて付勢する付勢手段と、前記付勢手段によって付勢される前記固形潤滑剤に突き当たることで、前記ブラシローラ部に対する前記固形潤滑剤の食い込み量Kを規制する規制部材とを設けたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項5】
自らの移動する表面にトナー像を担持する像担持体と、前記像担持体の表面にトナー像を形成する像形成手段と、前記像担持体の表面上のトナー像を転写体に転写する転写手段と、被クリーニング体たる前記像担持体の表面上の転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段とを備える画像形成装置において、
前記クリーニング手段として、請求項1乃至4の何れかのクリーニング装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5の画像形成装置であって、
前記像担持体が無端状の像担持ベルトであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5又は6の画像形成装置において、
上記トナーとして、体積平均粒径が3[μm]以上、6[μm]以下であり、且つ、体積平均粒径を個数平均粒径で除算した値が1.00以上、1.40以下であるもの、を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項5乃至7の何れかの画像形成装置において、
上記トナーとして、形状係数SF−1が100以上、180以下であり、且つ、形状係数SF−2が100以上、180以下であるもの、を用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−59554(P2011−59554A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211501(P2009−211501)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】