説明

クリーニング部材

【課題】クリーニングブレードの振動を抑え、騒音が発生しにくくすることを課題とする。
【解決手段】感光体ドラム12の回転によってクリーニングブレード42が振動すると、クリーニングブレード42の摺擦部42Bが弾性支持部材44と摺擦する。そして、摺擦部42Bと弾性支持部材44の間に摩擦が発生する。この摩擦によって、クリーニングブレード42の振動が減衰する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像保持体の表面をクリーニングするクリーニング部材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電子写真方式を採用した複写機、プリンタ等の画像形成装置では、まず、感光体などの像保持体の表面を帯電ロールによって帯電し、この像保持体の表面にレーザを照射して静電潜像を形成する。そして、像保持体の表面の静電潜像をトナーで現像して、像保持体の表面にトナー像を形成する。このトナー像を、記録媒体に直接、又は中間転写体を介して、記録媒体に転写するようになっている。
【0003】
トナー像が転写された後の像保持体の表面には、記録媒体又は中間転写体に転写されずに残ってしまった転写残トナーが付着している。このため、画像形成装置には、像保持体の転写残トナーを除去するためのクリーニング部材が設けられている。
【0004】
クリーニング部材として、像保持体の表面に当接して、回転する像保持体から転写残トナーを掻き取るタイプのクリーニング部材が、広く使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
例えば、図6(A)に示すように、SUSからなる弾性支持部材102(板バネ)にクリーニングブレード104を接着して、クリーニング部材100を構成したものでは、像保持体108の回転によって、像保持体108に接触するクリーニングブレード104に振動が発生する。クリーニングブレード104に発生した振動の周波数が、クリーニングブレード104の共振域に近づくと、クリーニングブレード104が共振する。
【0006】
また、図6(B)に示すように、クリーニングブレード106の幅サイズを大きくすることで、クリーニングブレード106に発生する振動を減衰させることも検討されている。
【特許文献1】特開2002−287591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題を考慮し、板バネにクリーニングブレードを接着しただけのクリーニング部材と比較して、クリーニングブレードの振動を抑え、騒音が発生しにくい画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の本発明は、像保持体表面に接触して、前記像保持体表面をクリーニングするクリーニングブレードと、前記クリーニングブレードが取り付けられ、該クリーニングブレードを前記像保持体に押圧する支持部材と、前記支持部材に対して摺擦して、該支持部材との間に摩擦を発生させることで、前記クリーニングブレードに発生する振動を減衰させる減衰手段と、を有して構成されていることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の本発明は、前記減衰手段は、前記クリーニングブレードの一部であって、前記支持部材に固定されず該支持部材と摺擦する摺擦部であることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の本発明は、前記摺擦部の端部は、接着剤で前記支持部材に固定されていることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の本発明は、前記接着剤は、弾性を有していることを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の本発明は、前記減衰手段は、一端側が前記支持部材に固定され、他端側が該支持部材と摺擦する摩擦制振子であることを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載の本発明は、前記摩擦制振子は、前記支持部材よりも弾性係数の小さい板材からなることを特徴としている。
【0014】
請求項7に記載の本発明は、前記摩擦制振子の前記支持部材と摺擦する部分を、該支持部材に向けて押付ける押付部材が設けられていることを特徴としている。
【0015】
請求項8に記載の本発明は、前記摩擦制振子には、前記支持部材が取り付けられる板金に固定された固定制振子が摺擦可能に設けられていることを特徴としている。
【0016】
請求項9に記載の本発明は、前記固定制振子は、前記摩擦制振子よりも弾性係数の小さい板材からなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の本発明では、減衰手段を設けることなく支持部材にクリーニングブレードを接着しているだけの場合と比較して、クリーニングブレードの振動が減衰される。
【0018】
請求項2に記載の本発明では、クリーニングブレードの振動を、クリーニングブレードと支持部材とで減衰させる構成としているので、部品点数が増えない。
【0019】
請求項3に記載の本発明では、接着剤で摺擦部の端部を支持部材に固定しない場合と比較して、摺擦部材が支持部材から離間するのが抑制される。
【0020】
請求項4に記載の本発明では、弾性を有さない接着剤で摺擦部材を支持部材に固定した場合と比較して、クリーニングブレードの振動が減衰される。
【0021】
請求項5に記載の本発明では、従来のクリーニング部材をそのまま利用できる。
【0022】
請求項6に記載の本発明では、支持部材を形成する材料と同じ弾性係数の材料で摩擦制振子を形成した場合と比較して、支持部材と摩擦制振子の間で摩擦が発生しやすくなり、大きな減衰効果が得られる。
【0023】
請求項7に記載の本発明では、押付部材で摩擦制振子を支持部材に押付けない構成とした場合と比較して、摩擦制振子が支持部材から浮き上がるのが抑制される。
【0024】
請求項8に記載の本発明では、固定制振子を設けない場合と比較して、摩擦制振子に大きな摩擦が発生する。
【0025】
請求項9に記載の本発明では、摩擦制振子を形成する材料と同じ弾性係数の材料で固定制振子を形成した場合と比較して、摩擦制振子と固定制振子の間で摩擦が発生しやすくなり、大きな減衰効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、本発明の第1の実施形態に係るクリーニング部材40について説明する。まず、図1に基づいて、クリーニング部材40が搭載される画像形成装置10について説明する。
【0027】
図1に示すように、画像形成装置10は、表面に感光体層を備えてドラム状とされ、時計回り(図の矢印A方向)に回転する感光体ドラム12を備えている。
【0028】
感光体ドラム12の周囲には、帯電器14が配設されている。この帯電器14によって、感光体ドラム12の表面は、一様に負に帯電されるようになっている。なお、本実施形態では、感光体ドラム12に接触するタイプの帯電器14を用いたが、スコロトロンや固体放電器等のように、感光体ドラム12に接触しないタイプの帯電器を用いてもよい。
【0029】
帯電器14の感光体ドラム12の回転方向下流側(以下、「下流側」とする)には、露光装置16が設けられている。露光装置16は発光素子(LD)を備え、この発光素子(LD)のレーザ光を感光体ドラム12の回転方向とほぼ垂直に繰り返し走査可能とされている。発光素子(LD)が画像信号に基づいてON/OFFすることによって、回転駆動される感光体ドラム12の表面に対して画像を書き込み、これにより、感光体ドラム12の表面に潜像が形成されるようになっている。
【0030】
露光装置16の下流側には、現像装置18が設けられている。この現像装置18が、露光装置16で形成された潜像にトナーを付着させることで、感光体ドラム12の表面にはトナー像(可視像)が形成されるようになっている。
【0031】
現像装置18の下流側には、中間転写体としてとしての一次転写装置20を構成する無端状の中間転写ベルト22が、感光体ドラム12に接触するようにして設けられている。中間転写ベルト22としては、上記のようなベルト形状に限られるわけではなく、ドラム状のものであってもよい。
【0032】
中間転写ベルト22の内側にあって、感光体ドラム12に対向する位置には、中間転写ベルト22を正に帯電させて中間転写ベルト22の外側の面に感光体ドラム12の表面上のトナーを転写させる一次転写ロール24が配設されている。この一次転写ロール24は中間転写ベルト22に接触して回転する。これによって、感光体ドラム12の表面に形成されたトナー像が、中間転写ベルト22に転写されるようになっている。
【0033】
中間転写ベルト22に転写されたトナー像は、図示しない給紙カセットから送り出された記録用紙上に転写され、定着装置で記録用紙が加熱加圧されることにより、記録用紙上にトナー像が定着する。
【0034】
なお、本実施の形態では、感光体ドラム12上のトナーを中間転写ベルト22に転写した後、記録用紙に転写する例を示したが、感光体ドラム12上のトナーを記録用紙に転写するようにしてもよい。
【0035】
また、一次転写ロール24と感光体ドラム12とが中間転写ベルト22を挟持する位置から、感光体ドラム12の回転方向(矢印A方向)へ少し進んだ位置には、クリーニング部材40を備えたクリーニング装置26が配設されている。このクリーニング装置26によって、感光体ドラム12の表面の転写残トナー等が除去されるようになっている。
【0036】
クリーニング装置26は、感光体ドラム12に近接して配置され、感光体ドラム12に対向する側に開口するハウジング28を備えている。ハウジング28の下側開口端部にはシール部材34が固定されている。シール部材34は、感光体ドラム12とハウジング28との間の隙間を塞ぎ、除去された残留トナー等がハウジング28から外部へ漏れるのを防ぐ。
【0037】
また、クリーニング装置26は、感光体ドラム12の表面に残留して搬送されるトナーをクリーニングするブラシロール30を備えている。ブラシロール30は、感光体ドラム12と平行に配置された円柱状の軸芯30Aを有しており、軸芯30Aの周囲には、導電性接着剤層を介して多数の導電性繊維からなるブラシ30Bが放射状に植毛されている。
【0038】
ブラシ30Bには、トナー像転写工程で印加される電圧の極性と同一極性である直流電圧が印加される。これにより、感光体ドラム12の表面とブラシ30Bとの間に電界が形成され、感光体ドラム12の表面に残留している負帯電のトナーTが、ブラシ30Bに静電吸着されるようになっている。
【0039】
ブラシロール30(軸芯30A)は、図示しないモータにより図の反時計回りに回転させられ、感光体ドラム12の表面を擦って、感光体ドラム12の表面に残留している負帯電のトナーを掻き取る。
【0040】
このブラシロール30に接触する位置には、回収ロールとしてのデトーニングロール32が配置されている。デトーニングロール32は、図示しないモータにより図の時計回り方向に回転される。デトーニングロール32には、ブラシロール30に印加される電圧よりも大きい直流電圧が印加され、ブラシロール30に付着しているトナーを静電吸着する。デトーニングロール32に静電吸着されたトナーは、図示しないスクレーパによって掻き落とされて、除去されるようになっている。
【0041】
また、ハウジング28内にはオーガ36が配設されており、このオーガ36によって、残留トナーがハウジング28の外に排出され、排出されたトナーは、図示しない回収ボックスで回収されるようになっている。
【0042】
さらに、ハウジング28には、ブラシロール30よりも感光体ドラム12の回転方向下流側に、クリーニング部材40が取り付けられている。
【0043】
図2に示すように、クリーニング部材40は、感光体ドラム12と平行に配置され、感光体ドラム12表面に先端部が接触して、感光体ドラム12表面に残留する残留トナーを掻き落とす(掻き取る)、長尺板状のクリーニングブレード42を有している。
【0044】
このクリーニングブレード42の感光体ドラム12と対向する側と反対側の面(裏面)には、SUSからなる弾性支持部材44が設けられている。弾性支持部材44の幅サイズは、クリーニングブレード42の幅サイズよりも少し大きくされており、弾性支持部材44は、クリーニングブレード42の裏面全域に接触した状態とされている。
【0045】
図3に示すように、クリーニングブレード42は、先端部(感光体ドラム12に接触している側)側のみ、接着剤Aで弾性支持部材44に接着されている。つまり、クリーニングブレード42は、弾性支持部材44に接着された接着部42Aと、弾性支持部材44に接着されず弾性支持部材44と摺擦可能とされた摺擦部42Bとで構成されている。
【0046】
クリーニングブレード42の摺擦部42Bの端部(接着部42A側と反対側の端部)は、長手方向の全域に渡って設けられた弾性を有するシリコン等からなる接着剤Bによって、弾性支持部材44に固定されている。
【0047】
なお、接着剤Bとしては、シリコン等の他に、ビニールとポリスチレンの混練物、添加剤が配合されたイソプレンゴム、ポリノルボルネン系など、減衰係数が高いゴム系の材料を用いてもよい。また、接着剤Bに代えて、接着剤付きテープを用いて、摺擦部42Bの端部を弾性支持部材44に固定させてもよい。
【0048】
クリーニングブレード42は、弾性支持部材44のばね力によって感光体ドラム12側に押し付けられる。これにより、クリーニングブレード42の先端部が、感光体ドラム12の表面に所定の圧力で接触する構成となっている。
【0049】
弾性支持部材44のクリーニングブレード42に対向する側と反対側の面で、且つ、感光体ドラム12側に位置する端部と反対側の端部は、断面形状が略L字形の板金46の一端に接着固定されている。この板金46の他端は、図示しない止めネジによってハウジング28に固定されている。
【0050】
次に、本発明の第1の実施形態に係るクリーニング部材40の作用について説明する。
【0051】
感光体ドラム12の回転によってクリーニングブレード42が振動すると、クリーニングブレード42の摺擦部42Bが弾性支持部材44と摺擦する。そして、摺擦部42Bと弾性支持部材44の間に摩擦が発生する。この摩擦によって、クリーニングブレード42の振動が減衰する。
【0052】
これにより、感光体ドラム12の回転によってクリーニングブレード42に振動が発生しても、クリーニングブレード42が弾性支持部材44と摺擦して、クリーニングブレード42の振動が減衰されるので、クリーニングブレード42と弾性支持部材44との間で共振が発生しにくくなる。したがって、クリーニング装置26から騒音が発生しにくくなる。
【0053】
また、クリーニングブレード42の摺擦部42Bの端部を、弾性を有する接着剤Bで弾性支持部材44に固定することで、摺擦部42Bが弾性支持部材44から離れてしまうことがない。これにより、感光体ドラム12が回転すると、摺擦部42Bは弾性支持部材44に全域に渡って密着した状態で摺擦するので、摺擦部42Bと弾性支持部材44の間に発生する摩擦が大きくなる。したがって、摺擦部42Bの端部を弾性支持部材44に固定させていない場合と比較して、クリーニングブレード42の振動が減衰される。
【0054】
また、クリーニングブレード42の摺擦部42Bを弾性支持部材44に固定している接着剤Bが弾性を有しているため、クリーニングブレード42が振動すると接着剤Bが変形して、クリーニングブレード42の振動が接着剤Bによっても吸収される。
【0055】
なお、本実施形態では、クリーニングブレード42の摺擦部42Bの端部を接着剤で弾性支持部材44に固定させる構成としているが、必ずしもクリーニングブレード42の摺擦部42Bの端部を弾性支持部材44に固定させる必要はない。クリーニングブレード42の幅サイズが小さかったり、クリーニングブレード42が厚い場合、クリーニングブレード42が振動しても変位量が小さいので、クリーニングブレード42の摺擦部42Bの端部を、弾性支持部材44に固定させなくてもよい。この場合、クリーニングブレード42と弾性支持部材44だけで、クリーニングブレード42の振動を減衰させることができるので、部品点数が増えない。
【0056】
また、本実施形態では、長手方向の全域に渡ってライン状に設けた接着剤Bで、クリーニングブレード42の後端部を弾性支持部材44に固定させる構成としているが、接着剤Bは所定の間隔で点状に設けてもよい。
【0057】
さらに、本実施形態では、クリーニングブレード42を、先端部側のみ接着剤Aで弾性支持部材44に接着し、弾性支持部材44に接着された接着部42Aと、弾性支持部材44に接着されず弾性支持部材44と摺擦可能とされた摺擦部42Bとで構成しているが、弾性支持部材44に接着された接着部材と、この接着部材とは別部材で成形され、接着部材に連結されて弾性支持部材44に摺擦する摺擦部材とで、クリーニングブレードを構成してもよい。
【0058】
次に、本発明の第2実施の形態に係るクリーニング部材50について説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については、第1の実施形態と同符号を付与し、その説明を省略する。
【0059】
図4に示すように、クリーニングブレード42は、全域に渡って接着剤Aで弾性支持部材44に接着されている。これにより、感光体ドラム12(図1参照)が回転すると、感光体ドラム12に接触しているクリーニングブレード42を介して、弾性支持部材44がクリーニングブレード42と一緒に振動するようになっている。
【0060】
弾性支持部材44のクリーニングブレード42が設けられた側と反対側の面には、弾性支持部材44よりも幅サイズが少し小さい摩擦制振子52が設けられている。摩擦制振子52は、先端部側(感光体ドラム12側)のみ接着剤Aで弾性支持部材44に接着されている。
【0061】
なお、弾性支持部材44の摩擦制振子52が設けられた側の面には、後端側(ハウジング28に取り付けられる側)に、板金46が取り付けられている。摩擦制振子52は、この板金46と間隔を開けた状態で、弾性支持部材44に設けられている。これにより、摩擦制振子52が変形したとき、摩擦制振子52の後端が板金46に接触しないようになっている。
【0062】
また、摩擦制振子52の弾性支持部材44に接着された面と反対側の面で、且つ、後端部側(ハウジング28に取り付けられる側)には、バネホルダ56に支持された押付けバネ54が接触している。
【0063】
バネホルダ56は、摩擦制振子52との間で押付けバネ54を保持する保持部56Aと、保持部56Aの両側から立設された壁部56B、56Cとで、断面形状が略C字状となるように構成されている。
【0064】
バネホルダ56の壁部56Bは、接着剤等によって板金46に固定されている。バネホルダ56の保持部56Aと摩擦制振子52の間には、押付けバネ54が設けられて、この押付けバネ54の押圧力によって、摩擦制振子52の後端側が、弾性支持部材44に押付けられる。
【0065】
なお、保持部56Aに対する壁部56Cの高さは、壁部56Bの高さよりも小さくされており、摩擦制振子52に接触しないようになっている。これにより、感光体ドラム12の回転によって摩擦制振子52が変形しても、板金46に摩擦制振子52がぶつからないようになっている。
【0066】
摩擦制振子52は、弾性支持部材44を形成する材料よりも弾性係数の小さい材料で形成されている。例えば、摩擦制振子52の材料として、低弾性高減衰の物性を有する物質であるビニールとポリスチレンの混練物やイソプレン、ポリノルボルネン系ゴムなどが用いられる。
【0067】
次に、本発明の第2の実施形態に係るクリーニング部材50の作用について説明する。
【0068】
感光体ドラム12の回転によってクリーニングブレード42が振動すると、クリーニングブレード42に接着された弾性支持部材44が振動する。このとき、弾性支持部材44の摩擦制振子52が接着されていない領域(接着剤Aが設けられていない領域)が摩擦制振子52と摺擦し、弾性支持部材44と摩擦制振子52の間に摩擦が発生する。この摩擦によって弾性支持部材44の振動が減衰される。
【0069】
これにより、感光体ドラム12の回転によって弾性支持部材44に振動が発生しても、弾性支持部材44と摩擦制振子52の間の摩擦によって、弾性支持部材44の振動が減衰されるので、クリーニングブレード42及び弾性支持部材44と、摩擦制振子52の間で共振が発生しにくくなる。したがって、クリーニング装置26から騒音が発生しにくくなる。
【0070】
また、摩擦制振子52が全面で弾性支持部材44に接着されていると、摩擦制振子52に弾性支持部材44が一体化された状態となって、弾性支持部材44のバネ係数が高くなってしまう。弾性支持部材44のバネ係数が高いと、感光体ドラム12に対するクリーニング部材50の押付量を小さく設定する必要がある。そこで、摩擦制振子52を先端部のみ弾性支持部材44に接着することで、弾性支持部材44は摩擦制振子52に一部分でしか拘束された状態とならないため、弾性支持部材44のバネ係数が高くならない。したがって、摩擦制振子52を全面で弾性支持部材44に接着した場合と比較して、感光体ドラム12又はクリーニング部材50(クリーニング装置)の組み立て時の公差が大きくなる。
【0071】
さらに、摩擦制振子52の後端部を、押付けバネ54で弾性支持部材44に押付けることで、摩擦制振子52が弾性支持部材44に対して浮き上がるのを抑制する。これにより、摩擦制振子52と弾性支持部材44の間に、大きな摩擦が発生する。
【0072】
また、摩擦制振子52を後端側で弾性支持部材44に接着すると、摩擦制振子52を弾性支持部材44から浮き上がらせないための押付けバネ54は、摩擦制振子52の先端側に設けることになり、クリーニングブレード42の感光体ドラム12に対する食い込み量が所望値よりも大きくなってしまう恐れがある。そこで、本実施形態では、摩擦制振子52を先端部側(感光体ドラム12側)で、弾性支持部材44に接着し、押付けバネ54を摩擦制振子52の後端側(ハウジング28に取り付けられる側)に設ける。これにより、クリーニングブレード42の感光体ドラム12に対する食い込み量に影響が出ない。
【0073】
さらに、弾性支持部材44を形成する材料よりも弾性係数の小さい材料で、摩擦制振子52を形成し、弾性支持部材44と摩擦制振子52の弾性係数を同じにしないことで、弾性支持部材44と摩擦制振子52の間で摩擦が発生しやすくなっている。
【0074】
また、弾性支持部材44に摩擦制振子52を設けることで、クリーニングブレード42の振動を減衰させる構成となっているため、図6(B)に示すような、クリーニングブレード106が弾性支持部材102に支持された従来のタイプのクリーニング部材をそのまま利用できる。
【0075】
なお、本実施形態では、クリーニングブレード42を全面で弾性支持部材44に接着しているが、第1の実施形態と同様にして、クリーニングブレード42を先端部のみ弾性支持部材44に接着してもよい。これにより、感光体ドラム12が回転したとき、弾性支持部材44に対して摩擦制振子52が摺擦すると同時に、クリーニングブレード42に対して弾性支持部材44が摺擦する。つまり、クリーニングブレード42を全面で弾性支持部材44に接着した場合と比較して、大きな摺擦領域を確保できる。したがって、感光体ドラム12が回転すると、クリーニング部材50に大きな摩擦が発生し、クリーニングブレード42の振動を減衰する。
【0076】
次に、本発明の第3実施の形態に係るクリーニング部材60について説明する。なお、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の構成については、第1の実施形態及び第2の実施形態と同符号を付与し、その説明を省略する。
【0077】
図5に示すように、クリーニングブレード42は、全域に渡って接着剤Aで弾性支持部材44に接着されており、弾性支持部材44のクリーニングブレード42が設けられた側と反対側の面には、弾性支持部材44よりも幅サイズが少し小さい摩擦制振子52が設けられている。摩擦制振子52は、第2の実施形態と同様にして、先端部側(感光体ドラム12側)のみ接着剤Aで弾性支持部材44に接着されている。
【0078】
摩擦制振子52の弾性支持部材44に接着された面と反対側の面には、摩擦制振子52よりも幅サイズが大きく、且つ、摩擦制振子52を形成する材料よりも弾性係数の小さいゴム材料で形成された固定制振子62が設けられている。固定制振子62は板金46に接着固定されており、弾性支持部材44との間で摩擦制振子52を挟み込んでいる。なお、摩擦制振子52と固定制振子62の間は接着されていないため、摩擦制振子52は固定制振子62に対して摺擦可能となっている。
【0079】
次に、本発明の第3の実施形態に係るクリーニング部材60の作用について説明する。
【0080】
感光体ドラム12の回転によってクリーニングブレード42が振動すると、クリーニングブレード42に接着された弾性支持部材44が振動する。このとき、弾性支持部材44の摩擦制振子52が接着されていない領域(接着剤Aが設けられていない領域)が摩擦制振子52と摺擦し、弾性支持部材44と摩擦制振子52の間に摩擦が発生する。
【0081】
また、このとき、摩擦制振子52が固定制振子62と摺擦し、摩擦制振子52と固定制振子62の間に摩擦が発生する。
【0082】
したがって、弾性支持部材44と摩擦制振子52の間に発生する摩擦と、摩擦制振子52と固定制振子62の間に発生する摩擦によって、弾性支持部材44の振動が減衰される。
【0083】
また、摩擦制振子52を形成する材料よりも硬い材料で、固定制振子62を形成することで、感光体ドラム12の回転によって摩擦制振子52が弾性支持部材44から浮き上がろうとしても、固定制振子62によって弾性支持部材44に押付けられる。これにより、弾性支持部材44と摩擦制振子52の間に隙間ができないので、弾性支持部材44と摩擦制振子52の間に大きな摩擦を発生させることができる。
【0084】
なお、本実施形態では、クリーニングブレード42を全面で弾性支持部材44に接着しているが、第1の実施形態と同様にして、クリーニングブレード42を先端部のみ弾性支持部材44に接着してもよい。
【0085】
ここで、既製品のクリーニング部材(クリーニングブレードを、弾性支持部材を介さずに直接板金に取り付けたタイプ)、図6に示す従来のクリーニング部材、図3〜図5に示す本実施形態のクリーニング部材を、回転する感光体ドラム12に接触させて、感光体ドラム12の回転速度を変化させながら、共振の発生(異音)の有無を調べた。この結果を表1に示す。なお、異音がなければ○とし、僅かでも異音があれば×とした。
【0086】
【表1】


表1からわかるように、既製品のクリーニング部材では、感光体ドラム12の回転速度が167rpmになると異音が発生した。また、従来品のクリーニング部材では、感光体ドラム12の回転速度が84rpm以下の場合と、100rpm以上の場合で、異音が発生した。
【0087】
一方、本実施形態のクリーニング部材は、感光体ドラム12の回転速度に関わらず、異音の発生が確認されなかった。
【0088】
また、既製品のクリーニング部材、従来のクリーニング部材、本実施形態のクリーニング部材を、新品又は高トルク(帯電曝露品)の感光体ドラム12に接触させ、感光体ドラム12を回転させたときの共振の発生(異音)の有無を調べた。この結果を表2に示す。なお、表2でも、表1と同様に異音がなければ○とし、僅かでも異音があれば×とした。
【0089】
【表2】


表2からわかるように、従来品のクリーニング部材では、新品及び帯電曝露品の感光体ドラム12で、異音が発生した。
【0090】
一方、既製品クリーニング部材及び本実施形態のクリーニング部材では、新品、帯電曝露品共に、異音の発生が確認されなかった。
【0091】
したがって、本実施形態のクリーニング部材は、感光体ドラム12の回転速度を変えたり、トルクの大きさを変えても、感光体ドラム12の回転によって振動したときに、騒音を発生させることがない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るクリーニング部材が搭載された画像形成装置の概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るクリーニング部材の斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るクリーニング部材の側面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るクリーニング部材の側面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るクリーニング部材の側面図である。
【図6】従来のクリーニング部材の側面図である。
【符号の説明】
【0093】
10 画像形成装置
12 感光体ドラム(像保持体)
40 クリーニング部材
42 クリーニングブレード
42A 接着部(クリーニングブレード)
42B 摺擦部(摺擦部材)
44 弾性支持部材(支持部材)
50 クリーニング部材
52 摩擦制振子
54 押付けバネ(押付部材)
60 クリーニング部材
62 固定制振子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持体表面に接触して、前記像保持体表面をクリーニングするクリーニングブレードと、
前記クリーニングブレードが取り付けられ、該クリーニングブレードを前記像保持体に押圧する支持部材と、
前記支持部材に対して摺擦して、該支持部材との間に摩擦を発生させることで、前記クリーニングブレードに発生する振動を減衰させる減衰手段と、
を有して構成されていることを特徴とするクリーニング部材。
【請求項2】
前記減衰手段は、前記クリーニングブレードの一部であって、前記支持部材に固定されず該支持部材と摺擦する摺擦部であることを特徴とするクリーニング部材。
【請求項3】
前記摺擦部の端部は、接着剤で前記支持部材に固定されていることを特徴とする請求項2に記載のクリーニング部材。
【請求項4】
前記接着剤は、弾性を有していることを特徴とする請求項3に記載のクリーニング部材。
【請求項5】
前記減衰手段は、一端側が前記支持部材に固定され、他端側が該支持部材と摺擦する摩擦制振子であることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング部材。
【請求項6】
前記摩擦制振子は、前記支持部材よりも弾性係数の小さい板材からなることを特徴とする請求項5に記載のクリーニング部材。
【請求項7】
前記摩擦制振子の前記支持部材と摺擦する部分を、該支持部材に向けて押付ける押付部材が設けられていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のクリーニング部材。
【請求項8】
前記摩擦制振子には、前記支持部材が取り付けられる板金に固定された固定制振子が摺擦可能に設けられていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のクリーニング部材。
【請求項9】
前記固定制振子は、前記摩擦制振子よりも弾性係数の小さい板材からなることを特徴とする請求項8に記載のクリーニング部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−9040(P2009−9040A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−172321(P2007−172321)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】