説明

クリーンブース

【課題】ファン付きフィルタユニットを縦横2列以上設けることができるクリーンブースを提供する。
【解決手段】ファンとフィルタで構成され下面に空気吹出口を有するファン付きフィルタユニット1を取付枠7に取り付けたクリーンブースであって、ファン付きフィルタユニット1を、底面中央が開口し周縁に載置片が形成され側壁の上端縁に沿って外方に延設した係止片を備えたバット形受部材20を介して取付枠7に取り付けるものであって、ファン付きフィルタユニット1を密封材を介してバット形受部材20の載置片上に載置すると共にバット形受部材20の係止片を密封材を介して取付枠7に取り付けると同時に係止片と取付枠7の間に遮蔽材10を挟持させるようにし、取付枠7を3本以上の長手枠部材8とこれら長手枠部材8間に橋渡される短手枠部材9による格子状取付枠7に構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルーム内で使用されたり、精密機械の部品加工や組立工場、或いは、食品加工工場等でコンベアの一部分の空気清浄を行う場合や、精密機械等の製造用のクリーンルーム内の一部分の空気清浄を行う場合等に用いられる、ファン付フィルタユニットを使用するクリーンブースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来知られるクリーンブースでは、下面に空気吹出口を有するファン付きフィルタユニットを天井板の開口部を閉塞するように天井枠に溶接したアングルにガスケットを介して載置し、ファン付きフィルタユニットの上面をボルト締めにより締め付け固定し、この天井板の周辺部を支柱で支え、天井板の側辺部と支柱にボルト締めにより遮蔽材としてのビニールカーテンを締め付け固定し、外部と遮蔽するようにしたクリーンブースがある。また、別のクリーンブースとして、天井板を特に設けることなく天井枠に溶接したアングルにガスケットを介してファン付きフィルタユニットを載置し、ファン付きフィルタユニットの外周の天井枠までビニールカーテンを設け、ファン付きフィルタユニットの上流側は前記ファン付きフィルタユニットの外周の天井枠とビニールカーテンの間を現場でシールし、ファン付きフィルタユニットの下流側は天井枠に溶接したアングルと天井枠の間を現場でシールすることで、清浄化されない空気がクリーンブース内に流入しないようにしたクリーンブースがある。
前者のようなクリーンブースでは、現場での締め付け作業による作業工数が多くなり、ファン付きフィルタユニットの取り付けが簡単にできないという不都合があり、また、後者のようなクリーンブースでも、現場でのシール作業が大変でファン付きフィルタユニットの取り付けが簡単にできないという不都合がある。
また、このようなファン付きフィルタユニットをクリーンブースの天井部に設けるタイプのものは、予め天井部の骨組みを溶接で一体化したものを現場に搬入することが一般的あり、このため輸送梱包がコンパクトにできないので、輸送コストが高くなるという不都合を有していた。
そこで、本発明者等は、特願平10ー213479号において、ファンとフィルタで構成され下面に空気吹出口を有するファン付きフィルタユニットを取付枠に取り付けたクリーンブースであって、前記ファン付きフィルタユニットを、底面中央が開口し周縁に載置片が形成され側壁の上端縁に沿って外方に延設した係止片を備えたバット形受部材を介して取付枠に取り付けるものであって、前記ファン付きフィルタユニットを密封材を介して前記バット形受部材の載置片上に載置すると共に前記バット形受部材の係止片を密封材を介して前記取付枠に取り付けると同時に前記係止片と前記取付枠の間に遮蔽材を挟持させることにより、分解して輸送できてかつ現場で簡単に組立・取付作業が可能なクリーンブースを提案した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記クリーンブースの場合、取付枠を3本以上の長手枠部材とこれら長手枠部材間に橋渡される短手枠部材による格子状取付枠に構成し、複数個のファン付きフィルタユニットを取り付けようとする場合、ビニールカーテン等の遮蔽材により覆われない位置においても、前記枠部材の接続部が生じてしまい、また、3本の長手枠部材の内、両端に位置しない長手枠部材と短手枠部材との接続部は締め付けもできないという不都合が生じる。即ち、長手枠部材が2本の場合は、長手枠部材の側面にネジの挿通孔を設け、外側からこの挿通孔にネジを挿通して固定できたところ、ファン付きフィルタユニットを縦横2列以上設けるとなると必然的に長手枠部材が3本以上必要となり、3本の長手枠部材の内、両端に位置しない長手枠部材と短手枠部材との接続部では、従来のネジ固定が不可能となった。
そこで、本発明は、先に提案したバット形受部材を介してファン付きフィルタユニットをクリーンブースの天井部に載置する技術において、ファン付きフィルタユニットを縦横2列以上設けることができるクリーンブースの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のクリーンブースは、前記課題を解決するべく、請求項1に記載の通り、ファンとフィルタで構成され下面に空気吹出口を有するファン付きフィルタユニットを取付枠に取り付けたクリーンブースであって、前記ファン付きフィルタユニットを、底面中央が開口し周縁に載置片が形成され側壁の上端縁に沿って外方に延設した係止片を備えたバット形受部材を介して取付枠に取り付けるものであって、前記ファン付きフィルタユニットを密封材を介して前記バット形受部材の載置片上に載置すると共に前記バット形受部材の係止片を密封材を介して前記取付枠に取り付けると同時に前記係止片と前記取付枠の間に遮蔽材を挟持させるようにし、前記取付枠を3本以上の長手枠部材とこれら長手枠部材間に橋渡される短手枠部材による格子状取付枠に構成したことを特徴とする。
また、請求項2記載のクリーンブースは、請求項1に記載のクリーンブースにおいて、前記遮蔽材から露出する長手及び短手枠部材間の接続部を密封材を介して接続するようにしたことを特徴とする。
また、請求項3記載のクリーンブースは、請求項1又は2に記載のクリーンブースにおいて、前記3本以上の長手枠部材の内、両端に位置しない長手枠部材と短手枠部材の接続は、長手枠部材に取付ビスを固定し、該取付ビスの頭部を短手枠部材の端部開孔に嵌合して固定するようにしたことを特徴とする。
また、請求項4記載のクリーンブースは、請求項3に記載のクリーンブースにおいて、前記取付ビスを嵌合される短手枠部材の端部に開孔を備えた密封材を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
バット形受部材を用いて天井枠にファン付きフィルタユニットを設けるようにしたクリーンブースにおいて、4個以上のファン付きフィルタユニットの使用を可能にできる。
取付枠を構成する長手枠部材の反り等の変形による寸法誤差を密封材により吸収でき、かつ該寸法誤差による枠部材間の隙間によるリークを防止できる。
100の超高清浄空間を達成でき、ファン付きフィルタユニット、バット形受部材、天井枠、取付枠、支柱の構成に分解組立できるため、シール作業をすることなく現場で容易に組立可能で、軽量化を達成でき、しかも輸送・保管時の容積の縮小化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の一実施例によるクリーンブースを図面に基づき説明する。
図1は本発明のクリーンブースの平面図、図2は図1のI−I線断面図、図3はファン付きフィルタユニット取り付け前の平面図、図4は図3のA部詳細断面図、図5は図3のB部詳細断面図である。
図に示すように、ファン付きフィルタユニット1は、その上面に空気取入口2を、下面に空気吹出口3を有している。このファン付きフィルタユニット1内には、空気取入口2に対向して送風機4が、そして空気吹出口3に対向してフィルタ5が設けられている。尚、図中14はメディアガードを示す。
【0007】
前記ファン付きフィルタユニット1を取り付けるための取付枠7は、長手天井枠部材6a,6aと短手天井枠部材6b,6bとで長方形状に形成された天井枠6の前記対向する長手天井枠部材6a,6a間に互いに平行にかつ等間隔に橋渡される3本の長手枠部材8,8,8と、これら長手枠部材8,8,8間に橋渡される6本の短手枠部材9,9,9,9,9,9とによって格子状に形成されている。そして、これら長手枠部材8,8,8と短手枠部材9,9,9,9,9,9の接続は、図中A部で示される箇所のようにビニールカーテンからなる遮蔽材10で覆われている部分においては、密封材11を介さずに接続するようにし、図中B部で示される箇所のように遮蔽材10によって全く覆われていない部分においては、密封材11を介して接続するようにした。
【0008】
尚、3本の長手枠部材8,8,8の内、両端に位置する長手枠部材8,8と短手枠部材9,9,9,9,9,9との接続は、図4に示すように、長手枠部材8の側面に設けた挿通孔8aを介して、短手枠部材9の端部に設けたナット12に取付ビス13を締め付けることにより連結固定するようにした。また、前記天井枠6の長手天井枠部材6a,6aと長手枠部材8,8,8との接続も前記接続と同様に、長手天井枠部材6aの側面に設けた図略の挿通孔を介して、長手枠部材9の端部に設けたナット12に取付ビス13を締め付けることにより連結固定するようにした。
【0009】
また、3本の長手枠部材8,8,8の内、真ん中の長手枠部材8と短手枠部材9との接続は、図5(a)及び図5(b)に示すように、長手枠部材8の側面に予め設けた取付ビス13の頭部を短手枠部材9の端部に設けた開孔9aに挿通することにより接続するようにした。
この場合、前記B部で示される箇所のように遮蔽材10によって全く覆われていない部分においては、図5(a)に示すように、短手枠部材9の端部に挿通孔11aを備えたガスケットからなる密封材11を取り付けることにより、密封材11を介した気密な接続を可能とした。また、図5(b)に示すように、密封材11を取り付けることなく、長手枠部材8の側面に予め設けた取付ビス13の頭部を短手枠部材9の端部に設けた開孔9aに挿通することにより接続してもよい。ファン付きフィルタユニット1のファンが駆動すると、通常、クリーンブース内は陽圧となり、密封材11を特に使用しなくても、B部で示される接続部から汚染空気がクリーンブース内に浸入することはないためである。
このようにして構成される格子状の取付枠7に、バット形受部材20を4個取り付けて、これらバット形受部材20を介して4個のファン付きフィルタユニット1の取付を可能とした。
【0010】
前記各ファン付きフィルタユニット1はその空気吹出口3を下面に臨ませて、前記各バット形受部材20を介して、天井枠6に橋渡しされた長手枠部材8と短手枠部材9から構成される格子状の取付枠7に載置されている。
更に詳細には、前記ファン付きフィルタユニット1は、底面20a中央が開口し周縁に載置片20bが形成され側壁20cの上端縁に沿って外方に延設した係止片20dを備えたバット形受部材20を介して前記取付枠7に取り付けるものであって、前記ファン付きフィルタユニット1を密封材21を介して前記バット形受部材20の載置片20b上に載置すると共に前記バット形受部材20の係止片20dを密封材22を介して前記取付枠7に取り付けると同時に前記係止片20dと前記取付枠7の間に遮蔽材10を挟持させるようにした。
【0011】
次に、前記クリーンブースについて組立作業を説明する。
先ず、天井枠部材6a,6a,6b,6bを取付ビス13で締め付け固定して天井枠6を構成し、次に、天井枠6の長手天井枠部材6a,6aに3本の長手枠部材8,8,8の内真ん中に位置する長手枠部材8を橋渡しして取付ビス13で締め付け固定すると共に真ん中の長手枠部材21に取付ビス13,13,13,13,13,13を固定する。次に、両端に位置する各長手枠部材8に短手枠部材9,9,9の一方端を取付ビス13で締め付け固定しておき、これら短手枠部材9,9,9の内、遮蔽材10に覆われない真ん中に位置する短手枠部材9の他端部に挿通孔11aを備えたガスケットからなる密封材11を貼り付け、前記取付ビス13,13,13の頭部に短手枠部材9,9,9の端部に設けられた開孔9a,9a(11a),9aを嵌合させ、この状態で、これら両端の長手枠部材8,8を長手天井枠部材6a,6a間に端渡して取付ビス13により連結固定する。
【0012】
次いで、支柱30に補強材31を設け、天井枠6と支柱30,30,30,30を取付ビス13によりビス締めして固定し、その後、ファン付きフィルタユニット1の設置部分が開口したビニールカーテンからなる遮蔽材10を被覆して、バット形受部材20を取付枠7にガスケットからなる密封材22を介して載置すると同時にバット形受部材20の側壁20cと前記取付枠7の間に遮蔽材10の開口端部を挟持して、次に、予め送風機4とフィルタ5を内蔵したファン付きフィルタユニット1をガスケット21を介してバット形受部材20の載置片20bに載置することで組立が完了し、フィルタユニット1の自重によりファン付きフィルタユニット1とバット形受部材20の載置片20bの間とバット形受部材20の側壁20cと取付枠6の間の気密性を持たせることができる。
【0013】
前記クリーンブースは、送風機4によって空気取入口2からファン付きフィルタユニット1内に吸い込まれた空気は、フィルタ5を通過して清浄化された空気となりクリーンブース内に導かれ、さらに下方向に導かれクリーンブース外へ排出されることになる。
【0014】
本実施例では、ファン付きフィルタユニット1を4個としたが、これに限定されることなく長手枠部材8を増設することで横方向へ拡大するかあるいは、長手枠部材8を延長して短手枠部材9を増設することで縦方向へ拡大することで所望個数のファン付きフィルタユニット1を載置することができる。
【0015】
また、清浄化性能に応じて、ファン付きフィルタユニット1を設けることなく塞板(図示しない)を用いてバット形受部材20の開口を塞ぐようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、先に提案したバット形受部材を介してファン付きフィルタユニットをクリーンブースの天井部に載置する技術において、ファン付きフィルタユニットを縦横2列以上設けることができる点で、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のクリーンブースの平面図
【図2】図1のI−I線の断面図
【図3】ファン付きフィルタユニット取り付け前のクリーンブースの平面図
【図4】図3のA部詳細断面図
【図5】図3のB部詳細断面図であり、密封材を設けた場合(a)と密封材を設けない場合(b)のの断面図
【符号の説明】
【0018】
1 ファン付きフィルタユニット
2 空気取入口
3 空気吹出口
4 送風機
5 フィルタ
6 天井枠
6a 長手天井枠部材
6b 短手天井枠部材
7 取付枠
8 長手枠部材
8a 挿通孔
9 短手枠部材
9a 開孔
10 遮蔽材
11 密封材
11a 挿通孔
12 ナット
13 取付ビス
14 メディアガード
20 バット形受部材
20a 底面
20b 載置片
20c 側壁
20d 係止片
21 密封材
22 密封材
30 支柱
31 補強材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンとフィルタで構成され下面に空気吹出口を有するファン付きフィルタユニットを取付枠に取り付けたクリーンブースであって、前記ファン付きフィルタユニットを、底面中央が開口し周縁に載置片が形成され側壁の上端縁に沿って外方に延設した係止片を備えたバット形受部材を介して取付枠に取り付けるものであって、前記ファン付きフィルタユニットを密封材を介して前記バット形受部材の載置片上に載置すると共に前記バット形受部材の係止片を密封材を介して前記取付枠に取り付けると同時に前記係止片と前記取付枠の間に遮蔽材を挟持させるようにし、前記取付枠を3本以上の長手枠部材とこれら長手枠部材間に橋渡される短手枠部材による格子状取付枠に構成したことを特徴とするクリーンブース。
【請求項2】
前記遮蔽材から露出する長手及び短手枠部材間の接続部を密封材を介して接続するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のクリーンブース。
【請求項3】
前記3本以上の長手枠部材の内、両端に位置しない長手枠部材と短手枠部材の接続は、長手枠部材に取付ビスを固定し、該取付ビスの頭部を短手枠部材の端部開孔に嵌合して固定するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のクリーンブース。
【請求項4】
前記取付ビスを嵌合される短手枠部材の端部に開孔を備えた密封材を設けたことを特徴とする請求項3に記載のクリーンブース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−266681(P2006−266681A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−182134(P2006−182134)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【分割の表示】特願平10−283366の分割
【原出願日】平成10年9月17日(1998.9.17)
【出願人】(000232760)日本無機株式会社 (104)
【Fターム(参考)】