クリーンルームの多孔パネル及びその製造方法
【課題】空気の流動抵抗を減少させることのできるクリーンルームの多孔パネル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】パネル本体１０２の成型時鋳造方式で流通孔１０４の上端内周縁上をラウンド加工し、パネル本体１０２の成形後にはニッケル/クロムメッキ処理のみを行うことによって、パネルを製造する。多孔パネル本体１０２の成形用金型の内部に複数の流通孔形成用突起を形成し、その上端にラウンド部を形成した金型を構成する工程と、金型の内部に注入する溶湯による成形時、金型の流通孔形成用突起に対応して、その上端内周縁上にラウンド加工された複数の流通孔１０４が形成された多孔パネル本体１０２を成形する工程と、多孔パネル本体１０２の外表面にニッケル／クロムメッキを行う工程と、ニッケル／クロムメッキが完了した多孔パネル本体１０２を一定時間乾燥させる工程とを含む。
【解決手段】パネル本体１０２の成型時鋳造方式で流通孔１０４の上端内周縁上をラウンド加工し、パネル本体１０２の成形後にはニッケル/クロムメッキ処理のみを行うことによって、パネルを製造する。多孔パネル本体１０２の成形用金型の内部に複数の流通孔形成用突起を形成し、その上端にラウンド部を形成した金型を構成する工程と、金型の内部に注入する溶湯による成形時、金型の流通孔形成用突起に対応して、その上端内周縁上にラウンド加工された複数の流通孔１０４が形成された多孔パネル本体１０２を成形する工程と、多孔パネル本体１０２の外表面にニッケル／クロムメッキを行う工程と、ニッケル／クロムメッキが完了した多孔パネル本体１０２を一定時間乾燥させる工程とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、クリーンルームの多孔パネル及びその製造方法に関し、より詳細には、パネル本体の成形と同時に流通孔の上端内周縁にラウンド加工が行なわれるように金型を設計して、パネル本体の成形時鋳造方式で流通孔の上端内周縁をラウンド加工し、パネル本体の成形後にはニッケル／クロムメッキ処理のみを行なうことによって、速かにパネルが製造でき、パネル本体の成形時ラウンド加工した流通孔が同時に成形されるので、空気の流動抵抗を減少させることのできるクリーンルームの多孔パネル及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
周知の通り、半導体のような高集積回路の製造室、遺伝子工学研究室などにおいて、生産や研究のための各種特殊装備が設けられるクリーンルームの底には、外部の微細なホコリや粉塵、微粒子などを効果的に吸収して除去すると共に、各種特殊装備の荷重を均等に分散させて一方の底に集中する荷重により底が亀裂し、あるいは沈下する現象を防止するために所定高さに立設する二重床システムが設けられている。
【０００３】
前述した二重床システムにおいては、冷空気の流入防止や特殊機械の発熱による過熱防止が要求される位置、または室内の温度と湿度調節及びホコリ、粉塵、微粒子などを吸収して除去するための位置に、小さな複数の孔が穿孔された多孔パネルが配設される。多孔パネルの下部のフロアー上には、この多孔パネルを支持するための支持パネルが配設される。クリーンルームのフロアーの下部には各種換気装置やケーブルが配設されるので、たとえば、半導体工場のクリーンルームのフロアー上に配設される支持パネルは、底面から一定高さに離隔した状態で配設される。
【０００４】
より詳細に、従来のクリーンルームのフロアー上には図１ａ乃至１ｄに示す形態のパネルを使用する。
【０００５】
この従来のクリーンルームのフロアーには複数のエアホールが穿孔された支持パネルとしての多孔パネル（ｐｅｒｆｏｒａｔｅｄ ｐａｎｅｌ）２が配設される。多孔パネル２の下部には、この多孔パネル２のエアホールを通じて空気が流通するように複数の通気孔６が形成された固定／可動パネル４が配設される。
【０００６】
多孔パネル２と固定／可動パネル４の下部にはクリーンルームの底面から一定距離を置いて離隔した状態で、多孔パネル２と固定／可動パネル４を支持するための支持台８が配設される。
【０００７】
多孔パネル２の製造時は、まずパネル本体２０２を形成し、続いてパネル本体２０２に複数の流通孔２０４を垂直に穿孔する。流通孔２０４の穿孔は通常多軸ドリルマシン（不図示）を用いて行なう。
【０００８】
次に、図１ｄに示すように、流通孔２０４が穿孔された多孔パネル２の外表面には腐蝕防止のためのニッケル／クロムメッキ処理を行なうことによって、ニッケル／クロムメッキ層２０８が形成される。
【０００９】
しかし、前述した一連の工程を通じて製作した多孔パネル２においては、まず、金型を用いて多孔パネル２を構成するパネル本体２０２を形成した後に流通孔２０４を穿孔するため、製作工程が複雑であり、多くの製作時間が必要であるため、経済性が低下する問題点があった。
【００１０】
その上、図１ｃに示すように、多孔パネル２には流通孔２０４の上端内周縁に直角の角部２０６が形成されるため、空気の抵抗が発生する。それによって、流通孔２０４を通した空気の流通効率が低下するという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
前述した従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、パネル本体の成形と同時に流通孔の上端内周縁にラウンド加工が行なわれるように金型を設計して、パネル本体の成形時鋳造方式で流通孔の内周縁をラウンド加工し、パネル本体の成形後にはニッケル／クロムメッキ処理のみを行なうことによって、速かにパネルが製造することができ、パネル本体の成形時ラウンド加工された流通孔が同時に成形されるので、空気の流動抵抗を減少させることのできるクリーンルームの多孔パネル及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
このような目的を達成するために、本発明に係るクリーンルームの多孔パネルの製造方法は、クリーンルームのフロアー上面に貼着され、その全面に複数の流通孔が形成された多孔パネルの製造方法において、多孔パネル本体の成形用金型の内部に複数の流通孔形成用突起を形成し、その上端にラウンド部を形成した金型を構成する工程と、前記金型の内部に注入する溶湯による成形時、前記金型の流通孔形成用突起に対応して、その上端内周縁にラウンド加工された複数の流通孔が形成された多孔パネル本体を成形する工程と、前記多孔パネル本体の外表面にニッケル／クロムメッキを行う工程と、前記ニッケル／クロムメッキが完了した多孔パネル本体を一定時間乾燥させる工程、とを含むことを特徴とする。
【００１３】
本発明の一態様に係るクリーンルームの多孔パネルは、前述した本発明の方法で製造され、パネル本体にはラウンド加工された複数の流通孔が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１４】
本発明に係るクリーンルームの多孔パネル及びその製造方法は、単一プロセスで多孔パネル本体を成形すると同時に、ラウンド部を有する流通孔を形成することによって、多孔パネルを迅速かつ経済的に製作でき、ラウンド部を通じて空気の流通効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
以下、添付図面を参照して本発明に係るクリーンルームの多孔パネル及びその製造方法に関する最良の形態を詳細に説明する。
【００１６】
図２ａおよび図２ｂは、本発明の一実施形態に係る製造方法によって形成されたクリーンルームの多孔パネルを示す。
【００１７】
この製造方法は、多孔パネルの本体の成形時、この多孔パネルに形成される流通孔の上部内周縁にラウンド加工を施すように、金型を用いて、パネル本体の成形時鋳造方式で流通孔を加工し、このパネル本体の成形が完了すると、ニッケル／クロムメッキ処理のみを多孔パネルの本体の所定位置に施すことによって、速かにパネル本体を製造することができるように構成されている。また、多孔パネル本体の成形時に、上端内周縁がラウンド加工される流通孔が多孔パネル本体と同時に形成されるので、空気の流動抵抗が減少するクリーンルームの多孔パネルを提供することができる。
【００１８】
より詳細には、本発明の一実施形態に係るクリーンルームの多孔パネル１０の製造時は、まず多孔パネル１０を構成するパネル本体を成形するための金型（不図示）を作る。この時、金型は複数の流通孔１０４を形成できるように金型の内部には複数の流通孔形成用突起（不図示）が形成されている。また、流通孔１０４の上端内周縁、即ち流通孔１０４の内周縁とパネル本体の上面との連結部がラウンド加工されるように、それぞれの流通孔形成用突起の外周縁上端にはラウンド加工が施される。
【００１９】
したがって、このような金型で製造した多孔パネル１０の本体には鋳造作業による単一プロセスで複数の流通孔１０４を形成すると同時に、流通孔１０４の上端部にはラウンド部１０６が形成される。これらのラウンド部１０６を通じてクリーンルーム室内の空気が流通孔内に流通する時は、空気抵抗の減少によって空気の流通効率が高まる。
【００２０】
また、単一プロセスで多孔パネル１０の本体を成形すると同時にラウンド部１０６を有する流通孔１０４を形成することができるので、多孔パネル１０を迅速かつ経済的に製造することができる。
【００２１】
多孔パネル１０本体の成形が完了すると、多孔パネル１０本体の成形時に用いた金型を除去する。その後、従来の方法と同様に、その多孔パネル１０本体の外表面に腐蝕防止のためのニッケル／クロムメッキ工程を行なうことによって、ニッケル／クロムメッキ層１０８を形成する。
【００２２】
この時、多孔パネル１０本体の外表面に腐蝕防止のためにメッキ処理する工程としては、単にニッケル／クロムメッキに限定するものではなく、腐蝕防止のために当業者に公知の種々の方法でメッキ層を形成できることは言うまでもない。
【００２３】
多孔パネル１０本体の外表面にニッケル／クロムメッキ層１０８を形成した後、このパネル本体を乾燥させて多孔パネル１０を完成する。
【００２４】
以下、図３を参照して本発明の好ましい実施形態に係るクリーンルームの多孔パネルを製造する工程について詳細に説明する。
【００２５】
図３は本発明の一実施形態に係るクリーンルームの多孔パネルの製造方法を示すフローチャートである。
【００２６】
まず、多孔パネル１０の本体を作るための金型を製作する。この金型は多孔パネル１０の本体に複数の流通孔１０４を形成できるように内部に複数の流通孔形成用突起（不図示）が形成されている。また、流通孔１０４の内周縁上端部、即ち流通孔１０４の内周縁と上面の連結部である上端部がラウンド加工されるように、複数の流通孔形成用突起の外周縁上端にはそれぞれラウンド加工を行なう。
【００２７】
上述した金型で製造された多孔パネル１０は、鋳造作業による単一プロセスで流通孔１０４を形成すると同時に、その流通孔１０４の上端部にはラウンド加工された金型の流通孔形成用突起によってラウンド部１０６が形成される。したがって、多孔パネル１０の使用時には流通孔１０４を通じてクリーンルーム室内の空気が流通する過程でラウンド部１０６によって空気の流動抵抗が減少するようになるので、空気の流通効率が高い。
【００２８】
即ち、前述した形態の金型を用いて単一プロセスで多孔パネル１０の本体を成形すると同時に、ラウンド部１０６を有する流通孔１０４が成形されることによって（ＳＴ−１００）、多孔パネル１０を迅速かつ経済的に製作することができる。
【００２９】
多孔パネル１０本体の成形が完了すると、多孔パネル１０本体の成形用金型を除去する（ＳＴ−２００）。
【００３０】
次に、従来の方法と同様に、多孔パネル１０本体の外表面に腐蝕防止のためのニッケル／クロムメッキを行なうことによって、ニッケル／クロムメッキ層１０８を形成する（ＳＴ−３００）。
【００３１】
多孔パネル１０本体の外表面にニッケル／クロムメッキ層１０８を形成した後、パネル本体を乾燥させて多孔パネル１０を完成する（ＳＴ−４００）。
【産業上の利用可能性】
【００３２】
本発明によれば、単一プロセスで多孔パネル本体を成形すると同時に、ラウンド部を有する流通孔を形成することによって、多孔パネルを迅速かつ経済的に製作でき、ラウンド部を通じて空気の流通効率が向上する。
【００３３】
従って、本発明の産業利用性はきわめて高いものといえる。
【００３４】
一方、本明細書内で本発明をいくつかの好ましい実施形態によって記述したが、当業者ならば、添付の特許請求範囲に開示した本発明の範疇及び思想から外れずに、多くの変形及び修正がなされ得ることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【００３５】
【図１ａ】従来の方法で製造したクリーンルームの多孔パネルを示す分解斜視図。
【図１ｂ】図１ａに示されたクリーンルームの多孔パネルを示す横断面図。
【図１ｃ】図１ａに示されたクリーンルームの多孔パネルに設けられた流通孔の一つを拡大して示すパネルの横断面図。
【図１ｄ】図１ａに示されたクリーンルームの多孔パネルを示す横断面図。
【図２ａ】本発明の方法で製造したクリーンルームの多孔パネルに設けられた流通孔の一つを拡大して示すパネルの横断面図。
【図２ｂ】図２ａに示された多孔パネルの一部拡大断面図。
【図３】本発明の一実施形態に係るクリーンルームの多孔パネルの製造方法を示すフローチャート。
【符号の説明】
【００３６】
２ 多孔パネル
４ 固定／可動パネル
８ 支持台
１０ 多孔パネル
１０２ 多孔パネル本体
１０４ 流通孔
１０６ ラウンド加工部
１０８ ニッケル／クロムメッキ層
【技術分野】
【０００１】
本発明は、クリーンルームの多孔パネル及びその製造方法に関し、より詳細には、パネル本体の成形と同時に流通孔の上端内周縁にラウンド加工が行なわれるように金型を設計して、パネル本体の成形時鋳造方式で流通孔の上端内周縁をラウンド加工し、パネル本体の成形後にはニッケル／クロムメッキ処理のみを行なうことによって、速かにパネルが製造でき、パネル本体の成形時ラウンド加工した流通孔が同時に成形されるので、空気の流動抵抗を減少させることのできるクリーンルームの多孔パネル及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
周知の通り、半導体のような高集積回路の製造室、遺伝子工学研究室などにおいて、生産や研究のための各種特殊装備が設けられるクリーンルームの底には、外部の微細なホコリや粉塵、微粒子などを効果的に吸収して除去すると共に、各種特殊装備の荷重を均等に分散させて一方の底に集中する荷重により底が亀裂し、あるいは沈下する現象を防止するために所定高さに立設する二重床システムが設けられている。
【０００３】
前述した二重床システムにおいては、冷空気の流入防止や特殊機械の発熱による過熱防止が要求される位置、または室内の温度と湿度調節及びホコリ、粉塵、微粒子などを吸収して除去するための位置に、小さな複数の孔が穿孔された多孔パネルが配設される。多孔パネルの下部のフロアー上には、この多孔パネルを支持するための支持パネルが配設される。クリーンルームのフロアーの下部には各種換気装置やケーブルが配設されるので、たとえば、半導体工場のクリーンルームのフロアー上に配設される支持パネルは、底面から一定高さに離隔した状態で配設される。
【０００４】
より詳細に、従来のクリーンルームのフロアー上には図１ａ乃至１ｄに示す形態のパネルを使用する。
【０００５】
この従来のクリーンルームのフロアーには複数のエアホールが穿孔された支持パネルとしての多孔パネル（ｐｅｒｆｏｒａｔｅｄ ｐａｎｅｌ）２が配設される。多孔パネル２の下部には、この多孔パネル２のエアホールを通じて空気が流通するように複数の通気孔６が形成された固定／可動パネル４が配設される。
【０００６】
多孔パネル２と固定／可動パネル４の下部にはクリーンルームの底面から一定距離を置いて離隔した状態で、多孔パネル２と固定／可動パネル４を支持するための支持台８が配設される。
【０００７】
多孔パネル２の製造時は、まずパネル本体２０２を形成し、続いてパネル本体２０２に複数の流通孔２０４を垂直に穿孔する。流通孔２０４の穿孔は通常多軸ドリルマシン（不図示）を用いて行なう。
【０００８】
次に、図１ｄに示すように、流通孔２０４が穿孔された多孔パネル２の外表面には腐蝕防止のためのニッケル／クロムメッキ処理を行なうことによって、ニッケル／クロムメッキ層２０８が形成される。
【０００９】
しかし、前述した一連の工程を通じて製作した多孔パネル２においては、まず、金型を用いて多孔パネル２を構成するパネル本体２０２を形成した後に流通孔２０４を穿孔するため、製作工程が複雑であり、多くの製作時間が必要であるため、経済性が低下する問題点があった。
【００１０】
その上、図１ｃに示すように、多孔パネル２には流通孔２０４の上端内周縁に直角の角部２０６が形成されるため、空気の抵抗が発生する。それによって、流通孔２０４を通した空気の流通効率が低下するという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
前述した従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、パネル本体の成形と同時に流通孔の上端内周縁にラウンド加工が行なわれるように金型を設計して、パネル本体の成形時鋳造方式で流通孔の内周縁をラウンド加工し、パネル本体の成形後にはニッケル／クロムメッキ処理のみを行なうことによって、速かにパネルが製造することができ、パネル本体の成形時ラウンド加工された流通孔が同時に成形されるので、空気の流動抵抗を減少させることのできるクリーンルームの多孔パネル及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
このような目的を達成するために、本発明に係るクリーンルームの多孔パネルの製造方法は、クリーンルームのフロアー上面に貼着され、その全面に複数の流通孔が形成された多孔パネルの製造方法において、多孔パネル本体の成形用金型の内部に複数の流通孔形成用突起を形成し、その上端にラウンド部を形成した金型を構成する工程と、前記金型の内部に注入する溶湯による成形時、前記金型の流通孔形成用突起に対応して、その上端内周縁にラウンド加工された複数の流通孔が形成された多孔パネル本体を成形する工程と、前記多孔パネル本体の外表面にニッケル／クロムメッキを行う工程と、前記ニッケル／クロムメッキが完了した多孔パネル本体を一定時間乾燥させる工程、とを含むことを特徴とする。
【００１３】
本発明の一態様に係るクリーンルームの多孔パネルは、前述した本発明の方法で製造され、パネル本体にはラウンド加工された複数の流通孔が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１４】
本発明に係るクリーンルームの多孔パネル及びその製造方法は、単一プロセスで多孔パネル本体を成形すると同時に、ラウンド部を有する流通孔を形成することによって、多孔パネルを迅速かつ経済的に製作でき、ラウンド部を通じて空気の流通効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
以下、添付図面を参照して本発明に係るクリーンルームの多孔パネル及びその製造方法に関する最良の形態を詳細に説明する。
【００１６】
図２ａおよび図２ｂは、本発明の一実施形態に係る製造方法によって形成されたクリーンルームの多孔パネルを示す。
【００１７】
この製造方法は、多孔パネルの本体の成形時、この多孔パネルに形成される流通孔の上部内周縁にラウンド加工を施すように、金型を用いて、パネル本体の成形時鋳造方式で流通孔を加工し、このパネル本体の成形が完了すると、ニッケル／クロムメッキ処理のみを多孔パネルの本体の所定位置に施すことによって、速かにパネル本体を製造することができるように構成されている。また、多孔パネル本体の成形時に、上端内周縁がラウンド加工される流通孔が多孔パネル本体と同時に形成されるので、空気の流動抵抗が減少するクリーンルームの多孔パネルを提供することができる。
【００１８】
より詳細には、本発明の一実施形態に係るクリーンルームの多孔パネル１０の製造時は、まず多孔パネル１０を構成するパネル本体を成形するための金型（不図示）を作る。この時、金型は複数の流通孔１０４を形成できるように金型の内部には複数の流通孔形成用突起（不図示）が形成されている。また、流通孔１０４の上端内周縁、即ち流通孔１０４の内周縁とパネル本体の上面との連結部がラウンド加工されるように、それぞれの流通孔形成用突起の外周縁上端にはラウンド加工が施される。
【００１９】
したがって、このような金型で製造した多孔パネル１０の本体には鋳造作業による単一プロセスで複数の流通孔１０４を形成すると同時に、流通孔１０４の上端部にはラウンド部１０６が形成される。これらのラウンド部１０６を通じてクリーンルーム室内の空気が流通孔内に流通する時は、空気抵抗の減少によって空気の流通効率が高まる。
【００２０】
また、単一プロセスで多孔パネル１０の本体を成形すると同時にラウンド部１０６を有する流通孔１０４を形成することができるので、多孔パネル１０を迅速かつ経済的に製造することができる。
【００２１】
多孔パネル１０本体の成形が完了すると、多孔パネル１０本体の成形時に用いた金型を除去する。その後、従来の方法と同様に、その多孔パネル１０本体の外表面に腐蝕防止のためのニッケル／クロムメッキ工程を行なうことによって、ニッケル／クロムメッキ層１０８を形成する。
【００２２】
この時、多孔パネル１０本体の外表面に腐蝕防止のためにメッキ処理する工程としては、単にニッケル／クロムメッキに限定するものではなく、腐蝕防止のために当業者に公知の種々の方法でメッキ層を形成できることは言うまでもない。
【００２３】
多孔パネル１０本体の外表面にニッケル／クロムメッキ層１０８を形成した後、このパネル本体を乾燥させて多孔パネル１０を完成する。
【００２４】
以下、図３を参照して本発明の好ましい実施形態に係るクリーンルームの多孔パネルを製造する工程について詳細に説明する。
【００２５】
図３は本発明の一実施形態に係るクリーンルームの多孔パネルの製造方法を示すフローチャートである。
【００２６】
まず、多孔パネル１０の本体を作るための金型を製作する。この金型は多孔パネル１０の本体に複数の流通孔１０４を形成できるように内部に複数の流通孔形成用突起（不図示）が形成されている。また、流通孔１０４の内周縁上端部、即ち流通孔１０４の内周縁と上面の連結部である上端部がラウンド加工されるように、複数の流通孔形成用突起の外周縁上端にはそれぞれラウンド加工を行なう。
【００２７】
上述した金型で製造された多孔パネル１０は、鋳造作業による単一プロセスで流通孔１０４を形成すると同時に、その流通孔１０４の上端部にはラウンド加工された金型の流通孔形成用突起によってラウンド部１０６が形成される。したがって、多孔パネル１０の使用時には流通孔１０４を通じてクリーンルーム室内の空気が流通する過程でラウンド部１０６によって空気の流動抵抗が減少するようになるので、空気の流通効率が高い。
【００２８】
即ち、前述した形態の金型を用いて単一プロセスで多孔パネル１０の本体を成形すると同時に、ラウンド部１０６を有する流通孔１０４が成形されることによって（ＳＴ−１００）、多孔パネル１０を迅速かつ経済的に製作することができる。
【００２９】
多孔パネル１０本体の成形が完了すると、多孔パネル１０本体の成形用金型を除去する（ＳＴ−２００）。
【００３０】
次に、従来の方法と同様に、多孔パネル１０本体の外表面に腐蝕防止のためのニッケル／クロムメッキを行なうことによって、ニッケル／クロムメッキ層１０８を形成する（ＳＴ−３００）。
【００３１】
多孔パネル１０本体の外表面にニッケル／クロムメッキ層１０８を形成した後、パネル本体を乾燥させて多孔パネル１０を完成する（ＳＴ−４００）。
【産業上の利用可能性】
【００３２】
本発明によれば、単一プロセスで多孔パネル本体を成形すると同時に、ラウンド部を有する流通孔を形成することによって、多孔パネルを迅速かつ経済的に製作でき、ラウンド部を通じて空気の流通効率が向上する。
【００３３】
従って、本発明の産業利用性はきわめて高いものといえる。
【００３４】
一方、本明細書内で本発明をいくつかの好ましい実施形態によって記述したが、当業者ならば、添付の特許請求範囲に開示した本発明の範疇及び思想から外れずに、多くの変形及び修正がなされ得ることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【００３５】
【図１ａ】従来の方法で製造したクリーンルームの多孔パネルを示す分解斜視図。
【図１ｂ】図１ａに示されたクリーンルームの多孔パネルを示す横断面図。
【図１ｃ】図１ａに示されたクリーンルームの多孔パネルに設けられた流通孔の一つを拡大して示すパネルの横断面図。
【図１ｄ】図１ａに示されたクリーンルームの多孔パネルを示す横断面図。
【図２ａ】本発明の方法で製造したクリーンルームの多孔パネルに設けられた流通孔の一つを拡大して示すパネルの横断面図。
【図２ｂ】図２ａに示された多孔パネルの一部拡大断面図。
【図３】本発明の一実施形態に係るクリーンルームの多孔パネルの製造方法を示すフローチャート。
【符号の説明】
【００３６】
２ 多孔パネル
４ 固定／可動パネル
８ 支持台
１０ 多孔パネル
１０２ 多孔パネル本体
１０４ 流通孔
１０６ ラウンド加工部
１０８ ニッケル／クロムメッキ層
【特許請求の範囲】
【請求項１】
クリーンルームのフロアー上面に取り付けられ、且つ複数の流通孔が形成された多孔パネルの製造方法において、
多孔パネル本体の成形用金型の内部に複数の流通孔形成用突起を形成し、上端にラウンド部を形成した金型を構成する工程と、
前記金型の内部に注入する溶湯による成形時、前記金型の流通孔形成用突起に対応して、上端内周縁にラウンド加工された複数の流通孔が形成された多孔パネル本体を成形する工程と、
前記多孔パネル本体の外表面にニッケル／クロムメッキを施す工程と、
前記ニッケル／クロムメッキが完了した多孔パネル本体を一定時間乾燥させる工程と、を含むことを特徴とするクリーンルームの多孔パネルの製造方法。
【請求項２】
請求項１に記載の方法で製造され、パネル本体に、それぞれがラウンド加工された複数の流通孔が形成されることを特徴とするクリーンルームの多孔パネル。
【請求項１】
クリーンルームのフロアー上面に取り付けられ、且つ複数の流通孔が形成された多孔パネルの製造方法において、
多孔パネル本体の成形用金型の内部に複数の流通孔形成用突起を形成し、上端にラウンド部を形成した金型を構成する工程と、
前記金型の内部に注入する溶湯による成形時、前記金型の流通孔形成用突起に対応して、上端内周縁にラウンド加工された複数の流通孔が形成された多孔パネル本体を成形する工程と、
前記多孔パネル本体の外表面にニッケル／クロムメッキを施す工程と、
前記ニッケル／クロムメッキが完了した多孔パネル本体を一定時間乾燥させる工程と、を含むことを特徴とするクリーンルームの多孔パネルの製造方法。
【請求項２】
請求項１に記載の方法で製造され、パネル本体に、それぞれがラウンド加工された複数の流通孔が形成されることを特徴とするクリーンルームの多孔パネル。
【図１ａ】
【図１ｂ】
【図１ｃ】
【図１ｄ】
【図２ａ】
【図２ｂ】
【図３】
【図１ｂ】
【図１ｃ】
【図１ｄ】
【図２ａ】
【図２ｂ】
【図３】
【公開番号】特開２００８−２０１５５（Ｐ２００８−２０１５５Ａ）
【公開日】平成２０年１月３１日（２００８．１．３１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−１９３８７２（Ｐ２００６−１９３８７２）
【出願日】平成１８年７月１４日（２００６．７．１４）
【出願人】（５０６１２５４６５）ヘ クワァン コーポレイション リミテッド (2)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１月３１日（２００８．１．３１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年７月１４日（２００６．７．１４）
【出願人】（５０６１２５４６５）ヘ クワァン コーポレイション リミテッド (2)
【Ｆターム（参考）】
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