説明

クレーム対応支援方法

【目的】 量産電子機器に対する顧客のクレームを処理する際に使用するクレーム対応支援方法に関し、顧客満足度の維持・向上を図ることを目的とする。
【構成】 障害状態と障害原因及び対策との対応に設計者の知識を用いて関連付けた第1の知識ベースと、該第1の知識ベースを用いて入力した障害状態に対応する障害原因及び対策を推論する推論部と、修理支援部と、試験項目と試験方法との対応、試験項目と試験結果及び次の試験項目との対応、過去の障害状態とその原因及び試験方法との対応に設計者の知識を用いて関連付けた第2の知識ベースと、第2の知識ベースを検索して障害原因を推論する検索・推論部とを設け、該検索・推論部は、推論部が送出した該障害状態から過去の類似障害状態と原因候補を抽出し、対応する試験手順に従って試験して原因を推論し、推論原因と原因候補との一致を確認するまで推論を繰り返すように構成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、量産電子機器に対する顧客クレームを処理する際に使用するクレーム対応支援方法に関するものである。
【0002】量産電子機器、例えば、携帯電話に対するクレームを処理する際、流通経路の複雑さ、価格対保守費の高さなどから受注型機器と比較して充分な支援がなされていない。
【0003】そこで、量産電子機器に対する顧客クレームへの対応をシステム化して支援し、顧客の満足度の維持・向上を図ることが必要である。
【0004】
【従来の技術】図12はクレーム対応支援方法の従来例説明図である。図において、工場より出荷された機器、例えば、携帯電話は販売代理店を通じて顧客に販売されるが、顧客は購入した携帯電話に障害が起きれば、この携帯電話を販売代理点に持ち込む。
【0005】販売代理点は、持ち込まれた携帯電話で顧客クレームの通りの状態が再現できるか否かをチェックすると共に、所持しているテーブルを用いて修理にかかる概算の費用と期間を見積もって顧客に提示する。そして、顧客クレームの内容を記載した伝票と、顧客が持ち込んだ携帯電話とを工場の顧客サポート部門(以下、CS部門と省略するが、障害修理業務を行う部分である) に送る。
【0006】CS 部門は、送られた伝票を見て携帯電話の診断をし、故障個所を見つけて修理を行うが、修理が完了すれば請求書を付けて携帯電話を販売代理店に送り返す。そこで、販売代理店は顧客に修理した携帯電話を渡し、修理費を受け取る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の顧客クレーム処理に対し、販売代理店及び工場側の問題点は次の様なものである。
(a) 顧客クレームに対して、販売代理店は技術的なノウハウを持っていないので、携帯電話の使用方法の誤りや誤操作などの障害でないものまでも工場に戻すことがある。
(b) 販売代理店は顧客に対して修理にかかる概算の費用と期間を見積もって提示するが、工場のレベルに比較して低いレベルの知識しか持っていないので、精度が低い(費用は障害の原因により、期間は工場の稼働状態により左右されるので、ある程度、工場に近いレベルの知識がないと判断が難しい)。
(c) 工場のCS部門は、顧客クレームを記載した伝票と故障した携帯電話とが一緒に送られてくるので、部品手配及び修理体制を整える作業が遅れる。
(d) 故障を起こした携帯電話の修理を迅速に行うには、障害原因を推定したり、判断したりする熟練者が必要である。しかし、他の部門から人を集め、教育して熟練者に育てなければならないので時間がかかる。と云う4つの課題がある。
【0008】本発明は上記の課題を解決して、顧客満足度の維持・向上を図ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の本発明は、第1の場所に、障害状態と障害原因及び対策との対応に関し、設計者の知識を用いて関連付けた第1の知識ベースと該第1の知識ベースを用いて入力した障害状態に対応する障害原因及び対策を推論する推論部を設ける。
【0010】また、第2の場所に、入力した該推論部からの推論結果及び修理実績データを用いて、交換部品の種類及び重み付けした数量を推定し、対応する修理作業工数を算出する修理支援部と、試験項目と試験方法との対応、試験項目と試験結果及び次の試験項目との対応、過去の障害状態とその原因及び試験方法との対応に関し、設計者の知識を用いて関連付けた第2の知識ベースと、該第2の知識ベースを検索して障害原因を推論する検索・推論部とを設ける。
【0011】そして、該修理支援部は、障害となった機器の到着前に修理作業に必要な部材手配及び体制の整備を行い、該検索・推論部は、該推論部が送出した該障害状態から過去の類似障害状態と原因候補を抽出し、対応する試験手順に従って試験して原因を推論し、推論原因と原因候補との一致を確認するまで推論を繰り返す様にした。
【0012】第2の本発明は、上記類似障害状態は、該推論部が送出した該障害状態と、上記の過去の障害状態の2つの障害状態を、条件部、主語、述語に分解して比較し、少なくとも1つの分解部分が一致していることを検出した時に類似と判定する様にした。
【0013】
【作用】上記の課題(a) 項に対して、本発明は第1の場所、例えば、販売代理店に障害状態と障害原因及び対策との対応に関し、設計者の知識を用いて関連付けた第1の知識ベースと、該第1の知識ベースを用いて、入力した障害状態に対応する障害原因及び対策を推論する推論部とからなる一次診断機能部を設ける。
【0014】販売代理店は、一次診断機能部を用いて、障害状態、障害となった機器の番号及び顧客クレームに対して複数の障害原因及び対策を推論して工場側にリアルタイムで送る。なお、一次診断機能部を設けることにより、障害のない機器を工場側に送る可能性はなくなる。
【0015】課題(b) 項に対しては、修理支援部は、販売代理店から送られてきた複数の障害原因及び対策を、例えば、個別原因までしぼりこむ為、修理実績データを用いて製品ロットによる交換部品情報、使用部品ロット毎の故障頻度情報、季節による交換部品情報を抽出する。
【0016】そして、これらの情報から重み付け係数を求め、交換部品の必要個数を推定し、付帯する作業工数を求めると共に、この結果から精度情報を付けた修理費用と確度の高い修理完了時期を算出して販売代理店に通知する。
【0017】課題(c) 項に対しては、上記の様に推定した交換部品を先行手配すると共に、修理作業工数の算出から工程の負荷も判るので、事前の修理作業に対する調整が可能となる。
【0018】課題(d) 項に対しては、工場側には障害原因の追求にどの様な試験を行ったかと云うノウハウが蓄積されている。そこで、障害診断の際このノウハウを活用できる様にする為、試験項目と試験方法、試験項目と試験結果及び次の試験項目、過去の障害状態とその原因及び試験方法との対応を設計者の知識を用いて関連付けた第2の知識ベースと、この第2の知識ベースを検索して障害原因を推論する検索・推論部からなる二次診断機能部をサーバに、試験様機器及びパソコンなどをクライアントに設けた。
【0019】これにより、経験の浅い診断作業者でも、パソコンを用いて一次診断結機能部からの障害状態を二次診断機能部に送出し、二次診断機能部と対話形式で診断を進めて原因を特定できる。
【0020】上記の方法で課題(a) 〜(d) を解決できるので、顧客満足度の維持・向上を図ることができる。
【0021】
【実施例】図1は本発明の実施例のシステム説明図、図2R>2は本発明の一次診断システム説明図、図3は本発明の交換部品推定の為のデータ処理説明図、図4は修理実績データの一例を示す図、図5はスケジューリング・工程管理の機能説明図、図6は本発明の二次診断システム説明図である。
【0022】また、図7は本発明の試験手順説明図の一例、図8は本発明の障害事例説明図の一例、図9は本発明の診断ツリー説明図の一例、図10は本発明の障害診断の概略フロー図、図11は本発明の障害修理の際の画面説明図である。
【0023】以下、図1〜図11を用いて本発明を説明する。本発明のクレーム対応支援システムは、図1に示す様に、クライアントとして一次診断機能部1を持つ販売代理店、修理支援部門、修理部門が、サーバ4として修理支援機能部2と二次診断機能部3が設けられており、サーバと販売代理店とは公衆回線を介して、サーバと修理支援部門5、修理部門6とはLAN を介してそれぞれオンラインで接続されている。なお、一次診断機能部、修理支援機能部、二次診断機能部の詳細については後述する。
【0024】さて、販売代理店は販売した機器( 例えば、携帯電話) に対する顧客クレームを受けると、このクレームの一次診断を行って一次診断結果などを公衆回線を介してオンラインでサーバ内の予め定められた一次診断結果格納部( 図示せず) に送る。
【0025】そこで、修理支援部門は、サーバ内に格納された一次診断結果と修理支援に必要な情報( 修理支援機能部2に格納されている)などを用いて修理用部材の入手、修理工程を策定すると共に、精度の高い修理費用と期間を見積もって販売代理店に送る。
【0026】また、修理部門は一次診断結果と二次診断に必要な情報(二次診断機能部3に格納されている)を取り出して、送られてきた障害機器の障害原因を探して修理し、修理済の機器を対応する販売代理店に送り返す。
【0027】以下、一次診断機能部、修理支援機能部、二次診断機能部について、一次診断機能部から順次、説明する。
(a) 一次診断機能部一次診断機能部は、一次診断用データベースを内蔵し、担当者がパソコンを介して予め設定された一次診断用データベースにアクセスすることにより、対話形式で障害原因と対策を推論できる様になっている。
【0028】ここで、図2に示す様に、一次診断用データベース11は装置/ 機能毎に簡易診断ツリーを持ち( 図では3種類の診断ツリーがあることを示している)、縦軸方向は顧客のクレームが最上層で、このクレームに対する販売代理店の質問事項、質問事項に対してYES の時に推定される障害原因( 推定原因) 、最下層が対策(推定原因に対してどの様な対策を立てれば復旧するか) の項目がある。
【0029】また、横軸方向は、各階層でのチェック、確認項目であり、通常数十項目が設定されるが、各階層の項目と下位の階層の対応する項目とがパスで接続されている。なお、このパスは設計者の知識を用いて設けられている。
【0030】ここで、図2に示す3種類の診断ツリーの内の先頭の診断ツリーは、例えば、全て音に関するものが集められているとし、クレームには「雑音が入る」、「音が割れる」、「音量が小さい」、「音量調整できない」などが、質問事項には「機器を落としたか」、「液体をこぼしたか」、「ボリュームを調整したことがないか」などが示されているとする。
【0031】今、「音量が小さい」と云う顧客クレームをあった時、販売代理店の担当者はこのテーブルを画面上に出し、このクレームと結ばれた質問事項「ボリュームを調整したことがないか」を質問した時、顧客の返事がYES であれば、この質問事項と結ばれた推定原因が「未調整」で、対応する対策が「ボリューム調整」となるので、担当者は携帯電話のボリュームを調整して顧客に渡す。
【0032】しかし、診断ツリーを用いて診断した結果、複数の推定原因と対策が推論できた時、これらと顧客が持ち込んだ携帯電話の製造番号などをサーバ4内の図示しない一次診断結果格納部にオンラインで送る。
【0033】つまり、顧客クレームがあった時、販売代理店に設けられた一次診断システムを用いて推定原因と対策が推論できる様になったので、一次診断の精度が向上し、非障害物を工場側のCS部門に送ることはなくなる。
【0034】一方、CS部門は上記で説明した一次診断システム及び工場側の修理支援機能部、生産管理システム、工程管理システムとオンラインで接続されているので、販売代理店からの一次診断結果( 複数の推定原因と対策) と障害を起こした携帯電話の製造番号を受け取ると、どの様な部材が必要かを推測し、推測した部材と生産管理システムで管理している修理用部材のデータと突き合わせて、推測した部材の在庫があるか否かをチェックする。
【0035】また、工程管理システムから工程の状況を把握して、何時頃であれば障害修理が可能かをチェックして、障害を起こした携帯電話がCS部門に送られる前に納期や費用を算出する( これらを修理支援機能と云う) 。
【0036】この為、CS部門は工場側で持っている修理実績データを利用する。修理実績データは、図4に示す様に、機器の製造番号、障害原因、原因に対する対策、交換部品、修理年月日などの項があり、修理した順番に記入してあり、これが図1中のサーバ内に設けられた修理支援機能部2の中の修理実績データ格納部分(図示せず)に格納されているとする。
【0037】ここで、製造番号が1020の携帯電話が「音ワレ」で顧客から戻され、携帯電話の1回の製造ロットが1000台とする。さて、修理支援部門の担当者は図1中の修理支援用端末5を用いて、修理実績データ中の製造番号が1000〜1999までのものを抽出し、抽出した中から障害原因が「音ワレ」のものを更に抽出する。そして、障害原因が「音ワレ」のものの交換部品の項を交換部品数の多い順に並べて取り出す(図3参照)。
【0038】この時、交換部品の数が50個で、内訳がアンプ30個、スピーカ10個、抵抗は5個、その他 5個の計50個とする。そして、N で正規化して重み付けすると、アンプは30×N1, スピーカは10×N2, 抵抗は5×N3, その他は5×N4となり(N1>N2>N3>N4) 、値の最大の部材であるアンプが障害原因である可能性が高いと推測する。なお、図3に示す様に、重み付けの種類が部品ロット毎、季節毎と複数ある場合、それぞれの重み付け( M, P) を全て乗算した値が、例えば、一番大きいものを手配対象部材とする。
【0039】そして、上記の様に推測した部材の在庫があるか否かを生産管理システム71を用いてチェックする。また、工程管理システムから工場の工程の状況を把握して納期や費用を見積もってこれを販売代理店に送る。この見積り結果には、過去の費用計算の実績や、見積費用の精度情報も付加する。
【0040】これにより、顧客は修理費用の金額の高低による修理の可否判断がし易くなり且つ、付帯する作業の工数から修理手番をシミュレートするので確度の高い修理完了時期示されている。
【0041】更に、CS部門内の修理工程については、上記の様に修理実績データから必要な部材を推測したので、推測部材による修理作業としてどの様なことをしなければならないかが推定でき、これから推定作業工数が判る(様々な作業に対する標準的作業工数がデータベースに入っている)。
【0042】これにより、図5に示す様に推定作業工数と実際の工場スケジュール(工程管理)とを突き合わせることにより、予想完了日が判る。一方、目標完了日があり、これらを突き合わせた時に予想完了日の方が遅い場合、工程管理する立場から計測器や人員が不足しているとして関連部門にアラームを送出する。
【0043】即ち、障害になった携帯電話がCS部門に到着する前に必要な部材や工程の負荷も判るので事前の調整が可能となり、修理作業の遅れが殆どなくなる。さて、障害になった携帯電話の修理を迅速に行うには、障害原因を推定したり、判断したりする熟練者が必要である。しかし、他の部門から人を集め、教育して熟練者に育てなければならないので時間がかかる。
【0044】しかし、工場には障害原因の追求にどの様な試験を行ったかと云うノウハウが蓄積されているので、障害診断の際にこのノウハウを活用できる様にする為、図6に示す様に検索部33、推論部34および試験手順データベース313 、診断ツリー312 、障害事例ベース311 からなる知識ベース31と診断サブツリー32とを含む点線部分を図1のサーバー内の二次診断機能部に格納すると共に、一点鎖線の部分を図1の修理部門6に設けた。
【0045】ここで、図6中の知識ベース内の試験手順データベースは図7に示す様に、装置名、機能ブロック名、試験項目、試験方法などに分割され、試験方法には使用する試験機、試験規格などが示してある。
【0046】障害事例ベースは図8に示す様に、実際に発生した障害に関するデータを収集したもので、図に示す様に、装置名、機能ブロック名、現象、原因、試験方法などに分割され、現象毎に原因が格納されている。また、原因を推定した時に使用した試験方法が示してあり、上記の試験手順とリンクしている。
【0047】診断ツリーは図9に示す様に、試験項目と試験結果に対する次の試験項目の対応が示してある。例えば、送信出力を試験手順に示す試験方法に従って試験したら規格外になった時、指定してある別の試験項目で試験する。この試験でも規格外となれば、更に別の試験項目で試験することを繰り返すことにより障害原因を診断できる様にしてある。
【0048】診断サブツリー32は、診断ツリーの中の1つの機能ブロックの部分(例えば、送信部)のみを取り出したもので、図6中の診断ツー切出部332 が診断ツリーカラ必要な機能ブロックを切り出す。
【0049】なお、上記の試験項目と試験方法との対応、試験項目と試験結果及び次の試験項目との対応、過去の障害状態とその原因及び試験方法との対応は設計者の知識に基づいて関連付けられている。
【0050】また、検索部33の中の事例検索部331 、試験手順検索部333 、診断ツリー切出部332 は、パソコンを介して入力する診断作業者の指示に従って、障害事例ベース、試験手順データベース、診断ツリーにアクセスして、例えば、必要な情報を取り出す。
【0051】更に、推論部内の診断ツリー照合部341 は、診断作業者の指示に従って診断サブツリーから次に行うべき試験項目を読み出すことを繰り返す。そして、原因に到達すれば原因特定部342 が診断作業者に対して原因判明をパソコン画面上に表示する。この時、原因が新規であれば表示するとと共に、障害事例ベースに格納する。
【0052】さて、図1,図6,図11を参照して、図10に示す障害診断の概略フローを説明する。先ず、診断作業者は試験機コンソール62を用いて、例えば、装置名が携帯電話、機能ブロックが送信部、障害現象が販売代理店から来た顧客クレームをパソコン61を介して図1のサーバ4に格納されている二次診断機能部3に送出する。そこで、事例検索部331 は障害事例ベース311 から類似現象、原因候補を抽出して送出し、図11- ■に示す様にパソコン画面上に表示する。この時、類似現象、原因候補の表示は確率の高い順に並べてある( 図10-S1, S2 参照) 。
【0053】なお、類似現象を抽出する為、販売代理店から送られた障害現象と障害事例ベース中の障害現象とを条件部、主語、述語に分解し、例えば、条件部として "ダイヤル時" 、主語として "ダイヤルトーンが" 、述語として "聞こえない" と云う様に入力する。
【0054】また、類似現象を検索する為、各々の一致するものの論理和を全て抽出・表示する。この表示の際、下記の式で確信度を算出し、確信度の大きい順に表示するが、確信度は発生件数の高いもの程、再発の確率が高い。
【0055】確信度=(各現象の発生件数)/(該当機能ブロックの全現象数)
さて、診断作業者が画面を見て確率の高い原因候補を選択すると、試験手順検索部333 が試験手順データベース313 を検索して、対応する試験手順( 試験項目と試験方法) を図11- ■に示す様にパソコン画面上に表示する。そこで、診断作業者は試験機コンソール62を用いて表示された試験手順に従って被試験品を試験する( 図10-S3, S4, S5 参照) 。
【0056】そして、診断作業者は試験結果をパソコンに入力すると、図11- ■に示す様に試験手順に対する試験結果が、例えば、OK/NG で表示されるので、NGの時は診断サブツリーに従って原因を抽出する( 図11-S6, S7 参照) 。
【0057】推論した原因が、図11-S2 で候補に上げた原因( 障害事例ベース内にある候補原因) と一致するか否かをチェックし、チェック結果が一致することを確認すれば図11- ■に示す様に原因が特定され、完了する( 図11-S8, S17〜S19 参照) 。
【0058】しかし、否であれば次の原因候補を選んで図11-S3 〜S9に示す処理を繰り返すが、一致するまで全候補について行う。ここで、全候補チェックしても推論原因と実原因が一致しない時、試験手順、診断ツリーの中で未試験手順を抽出する。そして、未試験手順を表示させて選択し、被試験品を試験する( 図11-S10, 11参照) 。
【0059】診断作業者が試験結果をパソコン61に入力すると、二次診断システムは診断ツリーを用いて推論する。推論結果と実原因が一致するか否かをチェックし、一致することを確認すれば新しい原因の為に障害事例ベースに事例を追加し完了する( 図11-S12〜S14, S20〜S22 参照) 。
【0060】否であれば、図11-S11に戻って別の未試験手順を抽出し、上記の処理を繰り返すが、未試験手順がなくなっても一致しない時は診断失敗とする( 図11-S15,16参照) 。
【0061】即ち、販売代理店は一次診断の精度が向上し、障害でない機器まで工場側に送る可能性はなくなる。一方、CS部門は、販売代理店の一次診断結果、障害状態、機器の製造番号などの情報がオンラインで工場側に送られるので、これらの情報を用いて手配すべき部材の種類と個数を決めて先行手配すると共に、工場の工程を把握して精度の高い費用や納期を見積もって販売代理店に送る。また、予想完了日が目標完了日よりも遅れる場合にはアラームを出す。
【0062】更に、二次診断機能部を設けて、熟練してない診断作業者でも障害原因が特定できる様にした。
【0063】
【発明の効果】以上詳細に説明した様に本発明によれば、顧客クレームへの対応をシステム化して支援する様にしたので、顧客の満足度の維持・向上が図れると云う効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のシステム説明図である。
【図2】本発明の一次診断システム説明図である。
【図3】本発明の交換部品推定の為のデータ処理説明図である。
【図4】修理実績データの一例を示す図である。
【図5】スケジューリング・工程管理の機能説明図である。
【図6】本発明の二次診断システム説明図である。
【図7】本発明の試験手順説明図の一例である。
【図8】本発明の障害事例説明図の一例である。
【図9】本発明の診断ツリー説明図の一例である。
【図10】本発明の障害診断の概略フロー図である。
【図11】本発明の障害修理の際の画面説明図である。
【図12】クレーム対応支援方法の従来例説明図である
【符号の説明】
1 一次診断機能部 2 修理支援機能部
3 二次診断機能部 4 サーバ
5 修理支援部門 6 修理部門

【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1の場所に、障害状態と障害原因及び対策との対応に関し、設計者の知識を用いて関連付けた第1の知識ベースと、該第1の知識ベースを用いて入力した障害状態に対応する障害原因及び対策を推論する推論部を、第2の場所に、入力した該推論部からの推論結果及び修理実績データを用いて、交換部品の種類及び重み付けした数量を推定し、対応する修理作業工数を算出する修理支援部と、試験項目と試験方法との対応、試験項目と試験結果及び次の試験項目との対応、過去の障害状態とその原因及び試験方法との対応に関し、設計者の知識を用いて関連付けた第2の知識ベースと、該第2の知識ベースを検索して障害原因を推論する検索・推論部とを設け、該修理支援部は、障害となった機器の到着前に修理作業に必要な部材手配及び体制の整備を行い、該検索・推論部は、該推論部が送出した該障害状態から過去の類似障害状態と原因候補を抽出し、対応する試験手順に従って試験して原因を推論し、推論原因と原因候補との一致を確認するまで推論を繰り返す様にしたことを特徴とするクレーム対応支援方法。
【請求項2】 上記類似障害状態は、該推論部が送出した該障害状態と上記の過去の障害状態の2つの障害状態を条件部、主語、述語に分解して比較し、少なくとも1つの分解部分が一致していることを検出した時に類似と判定する様にしたことを特徴とする請求項1のクレーム対応支援方法。

【図2】
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【図4】
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【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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