説明

クレーンの操作制御装置、操作制御方法

【課題】リセット用押釦スイッチの手動操作によりジャイロセンサの初期設定と累積誤差の消去が必要でなく、操作性と安全性を高めることができるクレーンの操作制御装置、及び操作制御方法を提供する。
【解決手段】操作装置制御回路10の操作筐体に水平面内で向いている方向を示す方向指示発光体18を設けると共に、方向指示発光体18を撮影するカメラ36aと、撮影した画像を画像処理する画像処理装置36を設け、指令信号生成21は、画像処理装置36でカメラ36aが撮影した方向指示発光体18の画像を画像処理により方向指示発光体18の所定形状を認識し、動作指令手段からの動作指令信号があることを条件に、画像処理装置36で認識できた方向指示発光体18の水平面内で指す方位を基に走行モータ41への走行指令信号、及び横行モータ42への横行指令信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平面内の所定方向(例えば、東西方向)に敷設された走行レールと、該走行レールに直交する方向(例えば、南北方向)に配置され且つ走行モータにより、該走行レールに沿って移動する横行レール(ガータ)と、該横行レールに沿って横行する横行モータと荷を巻上下げするための昇降モータを具備する電動巻上機を備えたクレーンの操作制御装置、及び操作制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は本特許出願人が先に特許出願し、特開2009−208919号公報として公開されたクレーンの操作装置の全体システム構成を示すブロック図である。本操作制御装置は、操作装置制御回路部10と、モータ駆動制御回路部30とから構成されている。操作装置制御回路部10は、指令信号生成部21と通信部22を備えている。モータ駆動制御回路部30は、通信部31、制御部32、走行インバータ33、横行インバータ34、昇降インバータ35を備えている。図2は操作装置制御回路部10の外観構成例を示す図であり、操作装置制御回路部10は操作筐体11を備え、該操作筐体11には、電源押釦スイッチ12、リセット用押釦スイッチ14、動作指令無段速押釦スイッチ15が実装され、更に操作筐体11の内部には、操作筐体11の垂直面内での傾きを検出する3軸加速度センサ16(図示せず)、操作筐体11の水平面内での方向(方位)を検出する3軸ジャイロセンサ17(図示せず)が配置されている。
【0003】
操作装置制御回路部10の指令信号生成部21には、3軸加速度センサ16で検出された操作筐体11の先端部11aが上向きであるか下向きであるかを示す傾き方向検出信号S16aとその傾き角度を示す傾き角度検出信号S16b、動作指令無段速押釦スイッチ15が押圧操作された場合の動作指令信号S15、押圧圧力に応じた無段速信号SV15、リセット用押釦スイッチ14の押圧操作によるリセット信号S14、3軸ジャイロセンサ17で検出された操作筐体11の先端部11aが水平面内で向く方位角を検出した操作筐体方位検出信号S17がそれぞれ入力されるようになっている。
【0004】
操作装置制御回路部10の指令信号生成部21は、3軸加速度センサ16からの傾き方向検出信号S16aと傾き角度検出信号S16b、動作指令無段速押釦スイッチ15からの動作指令信号S15と無段速信号SV15、3軸ジャイロセンサ17からの操作筐体方位検出信号S17を受けて、走行モータ41への走行指令信号と走行速度指令信号、横行モータ42への横行指令信号と横行速度指令信号、昇降モータ43の昇降指令信号と昇降速度信号を生成し、通信部22を介して、モータ駆動制御回路部30の通信部31に伝送する。通信部31は受信した各指令信号を制御部32に送る。制御部32はマイクロコンピュータを備えており、各指令信号に基づいて走行モータ41の起動信号と速度信号、横行モータ42の起動信号と速度信号、及び昇降モータ43の起動信号と速度信号を生成して、走行インバータ33、横行インバータ34、及び昇降インバータ35を起動する。
【0005】
これにより走行インバータ33、横行インバータ34、及び昇降インバータ35から、それぞれ走行モータ41、横行モータ42、及び昇降モータ43に駆動電力が供給され、走行モータ41、横行モータ42、及び昇降モータ43が起動しクレーンの電動巻上機を操作筐体11の先端部11aが向く方位に、設定された速度で走行・横行すると共に、昇降モータ43を指定された方向に設定された速度で昇降(巻上下)する。即ち、操作筐体11の先端部の垂直面内での上げ下げ操作(ピッチ角操作)と、水平面内の変位操作(ヨー角操作)と動作指令無段速押釦スイッチ15の押圧操作のみで、クレーンの走行、横行、及び昇降運転を手元を注視する必要なく、素早く、的確に実行できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献2】特開2009−208919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、操作筐体11の先端部11aが水平面内で向く方位を検出するためのジャイロセンサには、レートジャイロが多用される。レートジャイロセンサで旋回方向の角速度を検出し、積分演算で旋回した角度を算出するのは、一般的な方法であるが、操作筐体11の先端部11aがどの位置から旋回したかを(絶対旋回角度)を検出できない。また、積分演算や環境(温度等)の影響で、レートジャイロセンサの出力から旋回角度を算出する場合、基本的に誤差を持っている。操作筐体11の旋回角度の誤差は時間とともに累積し、大きくなる。その結果、最終的にクレーンの水平移動が操作筐体11の先端部11aで指示された方向に追従しなくなる。
【0008】
このため、クレーンを操作する前、操作筐体11の矢印Aを予め決めた方向(基準方向)に向けてセットし、この状態でリセット用押釦スイッチ14を押し、3軸ジャイロセンサ17の初期値を設定する必要がある。また、操作途中、クレーンの水平移動が操作筐体11の先端部11aで指示された方向に追従しない時、ジャイロセンサから求めた方位の累積誤差を消去するために、同じように、操作筐体11の矢印Aを予め決めた方向(基準方向)に向けセットし、この状態でリセット用押釦スイッチ14を押す必要がある。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、リセット用押釦スイッチの手動操作によりジャイロセンサの初期値設定と累積誤差の消去が必要でなく、操作性と安全性を高めることができるクレーンの操作制御装置、及び操作制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため本発明は、操作筐体と、該操作筐体に具備された動作指令手段と、走行モータへの走行指令信号、横行モータの横行指令信号、及び昇降モータへの昇降指令信号とを生成する指令信号生成手段と、該指令信号生成手段からの前記各指令信号に基づいて前記走行モータ、横行モータ、及び昇降モータを駆動制御するモータ駆動制御装置とを備えたクレーンの操作制御装置であって、操作筐体に該操作筐体が水平面内で向いている方向を示す方向指示体を設けると共に、方向指示体を撮影するカメラと、該カメラで撮影した画像を画像処理する画像処理装置を設け、指令信号生成手段は、画像処理装置でカメラが撮影した方向指示体の画像を画像処理により方向指示体の所定形状を認識し、動作指令手段からの動作指令信号があることを条件に、画像処理装置で認識できた方向指示体の水平面内で指す方位を基に走行モータへの走行指令信号、及び横行モータへの横行指令信号を生成することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記クレーンの操作制御装置において、操作筐体に方向指示体が水平面内で向く方位を検出するためのジャイロセンサを設け、指令信号生成手段は、画像処理装置で方向指示体の水平面内で指す方位が認識できる場合はその方位を基に、画像処理装置で方向指示体の水平面内で指す方位が認識できない場合はジャイロセンサの出力から求めた方位を基に走行モータへの走行指令信号、横行モータへの横行指令信号を生成することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記クレーンの操作制御装置において、操作筐体の方向指示体が垂直面内で傾く方向とその角度を検出するための加速度センサを設け、指令信号生成手段は、加速度センサの出力から求めた操作筐体の傾く方向とその傾き角度から動作指令手段からの動作指令信号があることを条件に、昇降指令信号及び昇降速度指令信号を生成することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記クレーンの操作制御装置において、走行モータへの走行速度、横行モータへの横行速度、昇降モータへの昇降速度を設定する速度設定手段を設け、指令信号生成手段は、速度設定手段からの各設定速度に基づいて走行速度指令信号、横行速度指令信号、及び昇降速度指令信号を生成することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記クレーンの操作制御装置において、方向指示体は複数の発光素子が操作筐体上に、所定形状に配列されてなり、カメラにより発光素子の所定形状の配列を撮影し、画像処理装置は画像処理により方向指示体の水平面内での指す方向を検出することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記クレーンの操作制御装置において、発光素子は特定の波長領域の光を発するLEDであり、画像処理装置は前記特定の波長領域の光のみを透過させるフィルタを備えていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記クレーンの走行制御装置において、画像処理装置が、カメラの撮影する位置で方向指示体の所定形状を認識できない場合、指令信号生成手段は所定条件のもとでジャイロセンサによる操作筐体の検出方向に基づいて走行モータへの走行指令信号及び走行速度指令信号と、横行モータへの横行指令信号及び横行速度指令信号とを生成することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記クレーンの操作制御装置において、所定条件は、下記事項であることを特徴とする。
・前記ジャイロセンサ単独使用で連続してクレーンを操作制御した時間が所定時間未満であること、
・前記単独使用中に操作筐体の一方向のY軸及び該Y軸に直交するX軸が所定角度以上に傾けたひねる操作がないこと
【0018】
また、本発明は、上記クレーンの操作制御装置において、画像処理装置で方向指示体の所定形状を認識して該方向指示体の指す方位が認識できる場合、該認識した方位でジャイロセンサの出力から求めた方位を補正することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、操作筐体と、該操作筐体に具備された動作指令手段と、走行モータへの走行指令信号、横行モータの横行指令信号、及び昇降モータへの昇降指令信号とを生成する指令信号生成手段と、該指令信号生成手段からの各指令信号に基づいて走行モータ、横行モータ、及び昇降モータを駆動制御するモータ駆動制御装置とを備えたクレーンの操作制御方法であって、操作筐体に該操作筐体が水平面内で向いている方向を示す方向指示体を設けると共に、方向指示体を撮影するカメラと、該カメラで撮影した画像を画像処理する画像処理装置を設け、指令信号生成手段は、画像処理装置でカメラが撮影した方向指示体の画像を画像処理により方向指示体の所定形状を認識し、動作指令手段からの動作指令信号があることを条件に、画像処理装置で認識できた方向指示体の水平面内で指す方位を基に走行モータへの走行指令信号、及び横行モータへの横行指令信号を生成することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、上記クレーンの操作制御方法において、操作筐体に方向指示体が水平面内で向く方向を検出するためのジャイロセンサを設け、画像処理装置でカメラで撮影した方向指示体の画像を画像処理して方向指示体の所定形状を認識し該方向指示体が指す方位が検出できない場合は、ジャイロセンサの出力から求めた方位を基に走行モータへの走行指令信号、横行モータへの横行指令信号を生成し、該走行指令信号、及び横行指令信号によりクレーンを移動させることを特徴とする。
【0021】
また、上記クレーンの操作制御方法において、カメラで撮影した画像を画像処理して方向指示体の所定形状を認識し該方向指示体が指す方位が検出できるようになった場合は、該検出した方向指示体が指す方位を基に前記走行指令信号、及び横行指令信号を生成し、該走行指令信号、及び横行指令信号によりクレーンを移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、操作筐体に該操作筐体が水平面内で向いている方向を示す方向指示体を設けると共に、方向指示体を撮影するカメラと、該カメラで撮影した画像を画像処理する画像処理装置を設け、指令信号生成手段は、画像処理装置のカメラが撮影した方向指示体の画像を画像処理により方向指示体の所定形状を認識し、動作指令手段からの動作指令信号があることを条件に、画像処理装置で認識できた方向指示体が水平面内で指す方位を基に走行モータへの走行指令信号、及び横行モータへの横行指令信号を生成するので、画像処理装置で操作筐体の水平面内での方向を精度良く検出できるから、従来のように操作筐体11の矢印Aをクレーンを移動させたい方向に向けセットし、この状態でリセット用押釦スイッチ14を押すことにより、3軸ジャイロセンサ17の初期設定と累積誤差を消去する必要がなくなり、安全で且つ操作性の優れたクレーン操作が実現できる。
【0023】
また、本発明によれば、画像処理装置で操作筐体上の方向指示体の所定形状が認識できない場合、指令信号生成手段は所定条件のもとでジャイロセンサによる操作筐体の検出方位に基づいて走行モータへの走行指令信号と、横行モータへの横行指令信号を生成し、更に方向指示体が指す方位を検出できるようになった場合、この検出した方向指示体が指す方位に基づいて走行指令信号、横行指令信号を生成して操作制御するので、安全且つスムーズな操作が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来のクレーンの操作装置の全体システム構成を示すブロック図である。
【図2】従来のクレーンの操作装置の操作装置制御回路部外観構成例を示す図である。
【図3】本発明に係る操作制御装置を用いるクレーンの概略構成例を示す図である。
【図4】本発明に係るクレーンの操作制御装置の全体システム構成を示すブロック図である。
【図5】本発明に係るクレーンの操作制御装置の全体システム構成を示すブロック図である。
【図6】本発明に係るクレーンの操作装置の操作筐体外観構成例を示す図である。
【図7】操作筐体の垂直面内の傾き範囲を説明するための図である。
【図8】操作筐体の水平面内の変位を説明するための図である。
【図9】操作筐体の回転軸とジャイロセンサの入力軸の関係を示す図である。
【図10】ひねる操作の判定処理フローを示す図である。
【図11】本発明に係る操作制御装置の制御処理フローを示す図である。
【図12】ジャイロセンサ積分値利用可能性判定処理フローを示す図である。
【図13】操作筐体の水平面内の回転状態を示す図である。
【図14】本発明に係るクレーンの操作制御装置の全体システム構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態例を図面に基づいて詳細に説明する。図3において本クレーン100は、建物天井の水平面内の所定方向(例えば、東西方向)に敷設された走行レール101、101と、該走行レール101、101に直交する方向(例えば、南北方向)に配置され、ギヤードモータ(走行モータ)103により該走行レール101、101上を移動する横行レール(ガータ)102と、横行レール102に沿って横行する横行モータ104と荷巻上下するための昇降モータ105を備えた電動巻上機106を備えて構成されている。横行レール102の所定位置(例えば中央位置)で、電動巻上機106の移動の支障にならない位置にカメラ(図示せず)を備えた画像処理装置36が取り付けられている。なお、画像処理装置36の取り付け位置は、横行レール102に限定されるものではなく、電動巻上機106に配置したり、或いはカメラの数は1台に限定されるものではなく、後に詳述する操作装置制御回路部10の操作筐体11が向いている方向を示す方向指示発光体(後に詳述)を撮影できる場所であればどこでもよく、死角を無くするために、必要な数だけ配置すれば良い。
【0026】
上記クレーン100において、クレーンの操作者(図示せず)が電動巻上機106を移動させたい方向に操作筐体11を水平面内で向けることにより、画像処理装置36のカメラは操作筐体11の上面に取り付けている所定形状の方向指示発光体18(図6参照)を撮影し、その画像を画像処理し(画像処理装置36はカメラ36aが撮影した画像を処理する画像処理ソフトを備えている。)、該方向指示発光体18の指す方向から操作筐体11の先端部が水平面内で向いている方向を検出し、それに基づいて走行モータ103及び横行モータ104を起動し、電動巻上機106を操作筐体11が向く方向に移動させるようになっている。以下詳細に説明する。
【0027】
図6(a)は操作装置制御回路部10の操作筐体11の外観構成を示す図であり、図6(b)は操作筐体11の上面に実装された方向指示体としての方向指示発光体18の平面図である。操作筐体11の上面に取り付けた方向指示発光体18は、長方形状の基板19に面積の異なる発光素子グループG1、G2、G3を直線(中央線)l上に配置している。ここでは発光素子として特定波長領域の光を発するLEDを用い、4個のLEDを矩形状に配置した第1グループG1を操作筐体11の先端部11a側に、1個のLEDを配置した第2グループG2を操作筐体11の後端部11b側に、1個のLEDを配置した第3グループG3を第1グループG1と第2グループG2の間に配置している。
【0028】
画像処理装置36のカメラで連続的に方向指示発光体18を撮影する。撮影した画像に対しては、白黒二値化処理を行い、輝度の連結解析でLEDの第1グループG1、第2グループG2、第3グループG3を背景から抽出し、第1グループG1の水平面内で向いている方向から、操作筐体11の先端部11aが水平面内で向いている方位(水平面内での角度)を検出する。基板19の中央線l上に3つのLEDグループG1、G2、G3を配置することにより、3つのLEDグループG1、G2、G3が同一直線上にあること、LEDグループG1、G2、G3の距離の比例が一定値であること等の判断条件として外乱光を排除し、検出精度を高めることができる。
【0029】
なお、検出精度は若干劣るがLEDのグループを第1グループG1と第2グループG2だけとしてもよい。また、発光素子であるLEDの配列方法は上記例に限定されるものではなく、例えば、複数のLEDを矢印状に配置して方向指示発光体18を形成し、該方向指示発光体18を撮影し、撮影した画像に対しては、白黒二値化処理を行い、輝度の連結解析でLEDからなる矢印を背景から抽出し、この矢印の指す方向から操作筐体11の先端部11aが水平面内で向いている方位を検出するようにしてもよい。
【0030】
上記のように上方に固定した画像処理装置36のカメラで方向指示発光体18を撮影し、画像処理により発光体の所定形状を認識して操作筐体11の向いている方位を認識(検出)できた場合、画像処理装置36で認識できた操作筐体の方位を3軸ジャイロセンサの出力から求めた方位検出に優先させて走行モータへの走行指令信号及び走行速度指令信号と、横行モータへの横行指令信号及び横行速度指令信号と生成することにより、操作装置制御回路部10の操作筐体11の水平面内での方位を高精度で検出できるから、従来のように操作筐体11の矢印A(図2参照)をクレーンの基準方向に向けセットし、この状態でリセット用押釦スイッチ14を押すことによる、3軸ジャイロセンサ17による方位データの初期設定と累積誤差を消去する手動操作が必要なくなると共に、高精度で操作筐体11の方向を検出でき、操作性と安全性を高めることが可能となる。また、後に詳述するように、画像処理装置36と3軸ジャイロセンサ17の併用する制御により、安全且つスムーズな操作が実現できる。
【0031】
方向指示発光体18のLEDは特定波長領域の光を発するLEDであり、画像処理装置36のカメラ36aには該特定波長領域の光のみを透過させるフィルタを備えている。これにより周辺ノイズ光に影響されることなく、方向指示発光体18のLEDが発する光の画像を精度良く認識できる。なお、上記例では方向指示発光体18は、LEDを用いた発光体によって方向指示体を構成したが、方向指示体は必ずしも発光体によって構成する必要がなく、クレーンが使用される環境(背景)において、方向指示体の形状を画像処理装置36によって認識可能な素材によって構成されていれば良い。また、操作筐体11の形状そのものを方向指示体としたり、動作指令無段速押釦スイッチ15、電源押釦スイッチ12等から方向指示体を構成してもよい。
【0032】
図4は本発明に係るクレーンの操作制御装置の全体システム構成を示すブロック図である。クレーンの操作制御装置は、図1と同様、操作装置制御回路部10と、モータ駆動制御回路部30とから構成されている。操作装置制御回路部10は、指令信号生成部21と通信部22を備えている。モータ駆動制御回路部30は、通信部31、制御部32、走行インバータ33、横行インバータ34、昇降インバータ35を備えている。上記操作装置制御回路部10の指令信号生成部21や通信部22を構成する電子部品や機器は操作筐体11内に実装され、モータ駆動制御回路部30の通信部31や制御部32を構成する電子部品や機器は電動巻上機106(図3参照)に搭載配置される。
【0033】
また、操作筐体11の上面には、操作筐体11の先端部11aが水平面内でどの方向を向いているか(どの方向を指しているか)を示す方向指示発光体18が実装され、更に電源押釦スイッチ12、巻上指示押釦スイッチ(巻上動作指令手段)25、巻下指示押釦スイッチ(巻下動作指令手段)26、走行・横行指示押釦スイッチ(走行・横行動作指令手段)23が配置され、電源押釦スイッチ12を押圧することにより、図示しない電源供給部から、操作筐体11内の方向指示発光体18、巻上指示押釦スイッチ25、巻下指示押釦スイッチ26、走行・横行指示押釦スイッチ23、指令信号生成部21、通信部22等の各部に電源が供給されるようになっている。
【0034】
上記構成のクレーンの操作制御装置において、画像処理装置36のカメラ36aが操作筐体11上面の方向指示発光体18を撮影し、その撮影画像を画像処理し、該方向指示発光体18の指す方位(角度)から操作筐体11の先端部11aの水平面内での指す方位(ヨー角)を検出する。モータ駆動制御回路部30の制御部32は、この検出信号を基に走行モータ41への走行指令信号、横行モータ42への横行指令信号及び横行速度指令信号を生成し、走行・横行指示押釦スイッチ23からの走行・横行指示信号S23があることを条件に走行インバータ33、横行インバータ34を起動し、各インバータから走行モータ41、横行モータ42に駆動電力を出力し、該走行モータ41、横行モータ42を起動し、クレーン100(電動巻上機106)を操作筐体11の方向指示発光体18が指す方向(方位)に速度指令信号で指定された速度で移動させる。
【0035】
また、指令信号生成部21は巻上指示押釦スイッチ25からの巻上指示信号S25又は巻下指示押釦スイッチ26からの巻下指示信号S26があると巻上指令信号又は巻下指令信号を生成し、通信部22、通信部31を経由して制御部32に伝送する。制御部32はこの巻上指示信号又は巻下指示信号を受けて、昇降インバータ35を起動し、該昇降インバータ35から昇降モータ43に駆動電力を出力し、昇降モータ43を起動し、荷の巻上又は巻下げを行う。ここでは、累積誤差を生じるジャイロセンサを用いることなく、カメラ36aによる方向指示発光体18の指す方位から、操作筐体11の先端部11aの水平面内での指す方位を検出して、クレーン100を移動させるから、操作筐体11の先端部11aが指す方向に精度よくクレーン100を移動させることができる。また、指令信号生成部21は、モータ駆動制御回路部30の制御部32にその一部又は全部の機能を具備させ、操作装置制御回路部10の走行・横行指示押釦スイッチ23、巻上指示押釦スイッチ25、巻下指示押釦スイッチ26のそれぞれからの走行・横行指示信号S23、巻上指示信号S25、巻下指示信号S26は通信部22、通信部31を介して制御部32に伝送するようにしてもよい。
【0036】
図5は本発明に係るクレーンの操作制御装置の他の全体システム構成を示すブロック図である。本クレーンの操作制御装置が図4に示すクレーンの操作制御装置と異なる点は、操作装置制御回路部10内に3軸加速度センサ16と、3軸ジャイロセンサ17を設け、巻上指示押釦スイッチ25、巻下指示押釦スイッチ26、及び走行・横行指示押釦スイッチ23に替えて動作指令無段速押釦スイッチ15を設けている点である。
【0037】
操作装置制御回路部10の指令信号生成部21には、図1と同様、3軸加速度センサ16で検出された操作筐体11の先端部11aが垂直面内で上向きであるか下向きであるかを示す傾き方向検出信号S16aとその傾き角度(ピッチ角度)を示す傾き角度検出信号S16b、動作指令無段速押釦スイッチ15が押圧操作された場合の動作指令信号S15、押圧圧力に応じた無段速信号SV15、3軸ジャイロセンサ17で検出された操作筐体11の先端部11aが水平面内で向く方位を検出した操作筐体方位検出信号(ヨー角検出信号)S17がそれぞれ入力されるようになっている。なお、動作指令無段速押釦スイッチ15は、押圧操作時の押圧力に応じた大きさの無段速信号SV15が出力できるように、例えば感圧ゴム(押圧力に応じて抵抗値が変化するゴム材)を用いた押釦スイッチとする。また、3軸ジャイロセンサ17はレートジャイロと該レートジャイロの出力信号から姿勢データを演算するマイコン回路を具備しているが、レートジャイロの出力信号から姿勢データを演算する機能を有するマイコン回路(図示せず)を指令信号生成部21に設け、指令信号生成部21にて処理するようにしてもよい。
【0038】
3軸ジャイロセンサ17に小型で安価な圧電ジャイロを用いた場合、累積誤差を生じるから、ここでは画像処理装置36のカメラ36aが方向指示発光体18を撮影し、その撮影画像を画像処理し、操作筐体11の先端部11aの水平面内での指す方位が検出できた場合、モータ駆動制御回路部30の制御部32は指令信号生成部21から送られてくる走行モータ41への走行指令信号と走行速度指令信号、横行モータ42への横行指令信号と横行速度指令信号に優先させて画像処理装置36で検出した操作筐体11の方位に基づいて走行指令信号と走行速度指令信号、横行指令信号と横行速度指令信号を生成している。
【0039】
これにより走行インバータ33、横行インバータ34、及び昇降インバータ35から、それぞれ走行モータ41、横行モータ42、及び昇降モータ43に駆動電力が供給され、走行モータ41、横行モータ42、及び昇降モータ43が起動しクレーン100を操作筐体11の先端部11aが向く方向に、設定された速度で走行・横行させると共に、昇降モータ43を指定された方向に設定された速度で昇降(巻上下)させる。即ち、操作筐体11の先端部の垂直面内での上げ下げ操作と、水平方向への変位操作(旋回操作)と動作指令無段速押釦スイッチ15の押圧操作のみで、クレーンの走行、横行、及び昇降運転を手元を注視する必要なく、素早く、的確に実行できる。
【0040】
以下、運転操作手順を詳細に説明する。3軸加速度センサ16からの傾き方向検出信号S16a、即ち操作筐体11の先端部11aの垂直面内での傾き方向を図7に示すように、上方で傾き角度が0°〜15°の場合を第1傾き範囲B1、傾き角度が15°〜60°の場合を第2傾き範囲B2、傾き角度が60°〜90°を第3傾き範囲B3とし、傾き方向が下方で、傾き角度0°〜−15°を第1傾き範囲B1、傾き角度が−15°〜−60°を第2傾き範囲B2、傾き角度が−60°〜−90°を第3傾き範囲B3とする。そして、指令信号生成部21は動作指令無段速押釦スイッチ15からの動作指令信号S15があることを条件として、操作筐体11の先端部11aの傾き方向が上方か下方かにより、上記傾き範囲によりクレーン100を下記のように運転する指令信号を生成する。
【0041】
〔操作筐体先端部が上向きに傾いている場合〕
・第1傾き範囲B1:第1傾き範囲B1では、クレーン100の走行、横行運転のみを行う。画像処理装置36で操作装置制御回路部10の操作筐体11の先端部11aが指す方位が検出できた場合、該画像処理装置36で検出した方位が3軸ジャイロセンサ17が検出した操作筐体方位検出信号S17に優先する。モータ駆動制御回路部30の制御部32のマイクロコンピュータは指令信号生成部21からの走行モータ41への走行指令信号及び速度指令信号と横行モータ42への横行指令信号及び速度指令信号に優先して画像処理装置36で検出した操作筐体11の方位に従い走行モータ41への走行指令信号及び速度指令信号と横行モータ42への横行指令信号及び速度指令信号を生成し、この指令信号でクレーン100の走行、横行のみの運転を行う。この時、走行指令信号及び横行指令信号に対応する速度信号は、動作指令無段速押釦スイッチ15からの無段速信号SV15に応じた速度の走行速度指令信号、横行速度指令信号を生成する。
【0042】
・第2傾き範囲B2:第2傾き範囲B2では、クレーンの走行、横行、及び昇降運転を行う。この場合も画像処理装置36で操作装置制御回路部10の操作筐体11の先端部11aが指す方位が検出できた場合、該画像処理装置36で検出した方向が3軸ジャイロセンサ17が検出した操作筐体方位検出信号S17に優先する。この時、走行指令信号及び横行指令信号に対する速度信号は、動作指令無段速押釦スイッチ15からの無段速信号SV15に応じた速度の走行速度指令信号、横行速度指令信号を生成する。また、指令信号生成部21の昇降モータ43への上昇指令信号に対する速度信号は3軸加速度センサ16からの傾き角度検出信号S16bが示す操作筐体11の傾き角度に応じた速度の上昇速度指令信号を生成する。
【0043】
・第3傾き範囲B3:第3傾き範囲B3では、クレーンの上昇運転のみを行う。即ち、昇降モータ43への上昇指令信号のみを生成する。この上昇指令信号に対する上昇速度指令信号は、動作指令無段速押釦スイッチ15からの無段速信号SV15に応じた速度の上昇速度指令信号を生成する。
【0044】
〔操作筐体先端部が下向きに傾いている場合〕
・第1傾き範囲B1:第1傾き範囲B1では、クレーンの走行、横行運転のみを行う。画像処理装置36で操作装置制御回路部10の操作筐体11の先端部11aが指す方向が検出できた場合、該画像処理装置36で検出した方位が3軸ジャイロセンサ17が検出した操作筐体方位検出信号S17に優先する。即ちモータ駆動制御回路部30の制御部32は指令信号生成部21からの走行モータ41への走行指令信号及び速度指令信号と横行モータ42への横行指令信号及び速度指令信号に優先して画像処理装置36で検出した操作筐体11の方位に従い走行モータ41への走行指令信号及び速度指令信号と横行モータ42への横行指令信号及び速度指令信号を生成し、この指令信号でクレーンの走行、横行のみの運転を行う。この時、走行指令信号及び横行指令信号に対応する速度信号は、動作指令無段速押釦スイッチ15からの無段速信号SV15に応じた速度の走行速度指令信号、横行速度信号を生成する。
【0045】
・第2傾き範囲B2:第2傾き範囲B2では、クレーンの走行、横行、昇降運転を行う。この場合も画像処理装置36で操作装置制御回路部10の操作筐体11の先端部11aが指す方位が検出できた場合、該画像処理装置36で検出した方位が3軸ジャイロセンサ17が検出した操作筐体方位検出信号S17に優先する。この時、走行指令信号及び横行指令信号に対する速度信号は、動作指令無段速押釦スイッチ15からの無段速信号SV15に応じた速度の走行速度指令信号、横行速度指令信号を生成する。また、指令信号生成部21の昇降モータ43への上昇指令信号に対する速度信号は3軸加速度センサ16からの傾き角度検出信号S16bが示す操作筐体11の傾き角度に応じた速度の下降速度指令信号を生成する。
【0046】
・第3傾き範囲B3:第3傾き範囲B3では、クレーン100の下降運転のみを行う。即ち、昇降モータ43への下降指令信号のみを生成する。この下降指令信号に対する下降速度指令信号は、動作指令無段速押釦スイッチ15からの無段速信号SV15に応じた速度の下降速度指令信号を生成する。
【0047】
上記のように操作筐体11の垂直面内の傾き範囲を第1乃至第3傾き範囲に区分し、クレーン100の運転を第1傾き範囲B1では走行及び横行運転のみを可能とし、第2傾き範囲B2で走行、横行、及び昇降運転を可能とし、第3傾き範囲B3で昇降運転のみを可能とすることにより、1個の操作筐体11の先端部11aの垂直面内での傾け操作と水平面内での旋回操作(操作筐体11の向きを変える操作)と該操作筐体11に取り付けた動作指令無段速押釦スイッチ15の押圧操作という簡単な操作、即ち手元を注視する必要のない操作で、素早く、的確にクレーンの運転操作が可能となる。また、動作指令無段速押釦スイッチ15の押圧操作による無段速信号SV15、及び操作筐体11の傾け操作により、無段速変速で走行、横行、及び昇降速度を制御するので、微細な速度制御が可能となる。
【0048】
なお、上記例では、第2傾き範囲B2の昇降速度を操作筐体11の傾き角度により制御するように、昇降速度指令信号を生成しているが、第1傾き範囲B1、第2の傾き範囲B2、及び第3傾き範囲B3を通して、走行、横行、及び昇降運転に対する速度制御を動作指令無段速押釦スイッチ15の押圧操作による無段速信号SV15に応じた速度で制御ができるように、速度指令信号を該無段速信号SV15に応じて生成するようにしてもよい。これにより、1個の動作指令無段速押釦スイッチ15の押圧操作により、走行、横行、昇降の三方向の速度制御が可能となる。
【0049】
また、画像処理装置36で操作装置制御回路部10の操作筐体11の先端部11aが指す方位が検出できた場合、3軸ジャイロセンサ17の出力から求めた方位に優先して、画像処理装置36が検出した方位を基にクレーン100の走行、横行を制御するので、操作筐体11はその先端部11aを水平面内で図8に示すように、360°の任意の方向に向けることができるから、クレーン100の電動巻上機(図3の電動巻上機106参照)を荷を吊上下げしたい任意の場所に速やかに移動させることが可能となる。
【0050】
また、走行モータ41、横行モータ42、及び昇降モータ43の起動、即ち走行指令信号、横行指令信号、昇降指令信号の生成を動作指令無段速押釦スイッチ15の押圧操作による動作指令信号S15があることを条件とすることにより、オペレータがクレーンの移動、巻上下げを意図して操作筐体11の先端部11aの水平面内の向きや上下方向の傾きを変えた場合にのみ、クレーン100の走行・横行、昇降(巻上下げ)運転が行われる。即ち、オペレータが不用意に操作筐体11の先端部11aを水平面内で変位させたり、上下方向の傾きを変えても動作指令無段速押釦スイッチ15の押圧操作による動作指令信号S15がないとクレーンが走行、横行、巻上下げ動作をしないことになり、安全性が維持できる。なお、操作装置制御回路部10の指令信号生成部21及びモータ駆動制御回路部30の制御部32はそれぞれマイクロコンピュータで構成される。また、通信部22と通信部31の信号伝送手段としては、有線による信号伝送、電波や光等の無線による信号伝送を用いる。
【0051】
上記のように本発明に係るクレーン100の操作制御では、画像処理装置36においてカメラ36aで撮影した画像の画像処理で操作装置制御回路部10の操作筐体11の指す方位角度を検出できた場合は、画像処理装置36の検出結果を利用してクレーン100の水平運転(走行、横行運転)を行なっている。そしてこの検出方位角で3軸ジャイロセンサ17の累積誤差(積分値)を補正している。また、画像処理装置36で操作筐体11の先端部11aが指す方位角度を検出ができない場合は、条件付きで3軸ジャイロセンサ17の出力から求めた方位角度でクレーンの操作制御を行っている。この条件は、下記の事項である。
・3軸ジャイロセンサ17単独使用で連続してクレーンを操作制御した時間が所定時間未満であること、
・この単独使用時間中に「ひねる操作」を行っていないこと
【0052】
操作筐体11内の所定位置には3軸ジャイロセンサ17が配設(搭載)されている。この3軸ジャイロセンサ17で操作筐体11の先端部11aの水平面内で指す方位を検出している。図6に示すように、操作筐体11の長手方向をY軸、該長手方向に直交する幅方向をX軸とすると、3軸ジャイロセンサ17が感度良く動作するためには、図9に示す3軸ジャイロセンサ17の入力軸M17と運動軸(操作筐体11の回転軸)M11が一致している必要がある。入力軸M17と運動軸M11が一致しない場合は一致しない度合いに応じて、感度が低下し、入力軸M17と操作筐体11の回転軸である運動軸M11が直交する場合は、感度がゼロとなる。一致しない度合が所定以下(例えば60度以下)の場合は、この一致しない度合を操作筐体11内に搭載している加速度センサ16で操作筐体11の傾斜角度を検出して補正できるが、一致しない度合が所定値を超えると(例えば70度を超えると)、3軸ジャイロセンサ17の感度が悪くなり、補正ができなくなる。このように3軸ジャイロセンサ17の感度が悪く補正ができなくなることを「ひねる操作」という。
【0053】
図10は上記ひねる操作の判定処理フローを示す図である。先ずステップST1でY軸(操作筐体11の長手方向軸)(図6参照)の傾き角度が60度以下かを判断し、ノー(N)の場合はひねる操作処理状態とし、イエス(Y)の場合はステップST2に移行する。ステップST2では、Y軸の傾きが角度−60度以上かを判断し、ノー(N)の場合はひねる操作処理状態とし、イエス(Y)の場合はステップST3に移行する。ステップST3では、X軸(操作筐体11の幅方向軸)(図6参照)の傾き角度が60度以下かを判断し、ノー(N)の場合はひねる操作処理状態とし、イエス(Y)の場合はステップST4に移行する。ステップST4では、X軸の傾き角度が−60度以上かを判断し、ノー(N)の場合はひねる操作処理状態とする。
【0054】
図11は本発明に係る操作制御装置の制御処理フローを示す図である。先ずステップST11でクレーン100の水平運転(走行、横行運転)を可能にするクレーン水平運転可能信号をOFFとし、ステップST12に移行する。ステップST12では3軸ジャイロセンサ17の単独使用連続時間を計測するジャイロセンサ単独使用連続時間計測タイマをリセットし、ステップST13に移行する。ステップST13では画像処理装置36で操作筐体11の方向検出成功かを判断し、ノー(N)の場合はステップST17に移行し、イエス(Y)の場合はステップST14に移行する。ステップST14ではジャイロセンサの積分値を補正し、ステップST15に移行する。ステップST15ではジャイロセンサ単独使用連続時間計測タイマをリセットして、ステップST16に移行する。ステップST16では画像処理装置36で検出した操作筐体11の方向でクレーン100の水平運転を指示しステップST20に移行する。
【0055】
上記ステップST17では3軸ジャイロセンサ17の積分値(姿勢データ)の利用可能性の判定処理(後に詳述)し、ステップST18に移行する。ステップST18では、ステップST17の利用可性判定処理の結果、ジャイロセンサ積分値利用可能かを判断し、ノー(N)の場合はステップST21に移行し、イエス(Y)の場合はステップST19に移行する。ステップST19では3軸ジャイロセンサ17で検出した方向でクレーン100の水平運転を指示し、ステップST20に移行する。ステップST20ではクレーン100の水平運転を可能にするクレーン水平可能信号をONとする。また、ステップST21ではクレーン水平可能信号をOFFとする。
【0056】
図12はジャイロセンサ積分値(姿勢データ)利用可能性判定処理(図11のステップST17)のフローを示す図である。先ずステップST31では3軸ジャイロセンサ17の単独使用時間が所定時間(例えば5分間)未満であるか否かを判断し、ノーの場合、即ち所定時間を超している場合ステップST35に移行して3軸ジャイロセンサ17の積分値を利用不可能とする。3軸ジャイロセンサ17の単独使用時間が所定時間未満の場合、イエス(Y)の場合はステップST32に移行し、該ステップST32では、図10に示すひねる操作判定処理を行いステップST33に移行する。ステップST33ではステップST32でのひねる操作判定処理の結果、ひねる操作を行っていないかを判断し、ノー(N)の場合、即ちひねる操作を行っていた場合はステップST35に移行し、イエス(Y)の場合、即ちひねる操作がなかった場合はステップST34に移行し、3軸ジャイロセンサ17の積分値を利用可能とする。
【0057】
操作装置制御回路部10の操作筐体11が例えば図13に示すように、操作筐体11を東方向からθ°(θ<90°)水平に北側に回転した場合、走行モータ41を東方向(正転)に走行させる走行指令信号を生成すると共に、横行モータ42を北方向(逆転)に横行させる横行指令信号を生成し、走行モータ41の回転数(速度)に対する横行モータ42の回転数(速度)の比は、Vcosθ:Vsinθとなるように制御する。また、操作筐体11を東方向からθ°水平に南側に回転した場合、走行モータ41を東方向(正転)に走行させる走行指令信号を生成すると共に、横行モータ42を南方向(正転)に横行させる横行指令信号を生成し、走行モータ41の回転数(速度)に対する横行モータ42の回転数(速度)の比は、Vcosθ:Vsinθとなるように制御する。
【0058】
また、操作筐体11を東方向から(180−θ)°水平に北側に回転した場合、走行モータ41を西方向(逆転)に走行させる走行指令信号を生成すると共に、横行モータ42を北方向(逆転)に横行させる横行指令信号を生成し、走行モータ41の回転数(速度)に対する横行モータ42の回転数(速度)の比は、Vcosθ:Vsinθとなるように制御する。また、操作筐体11を東方向から(180−θ)°水平に南側に回転した場合、走行モータ41を西方向(逆転)に走行させる走行指令信号を生成すると共に、横行モータ42を南方向(正転)に横行させる横行指令信号を生成し、走行モータ41の回転数(速度)に対する横行モータ42の回転数(速度)の比は、Vcosθ:Vsinθとなるように制御する。
【0059】
上記実施形態例では、動作指令無段速設定手段として感圧ゴムを用いた動作指令無段速押釦スイッチ15を用い、押圧操作時の押圧圧力に応じた、無段速信号SV15を出力するように構成したが、動作指令信号と無段速信号を出力できるものであれば、これに限定されるものではなく、押圧操作時の押圧圧力に応じて無段速信号を出力できる他の押釦スイッチ又は操作部が所定のストロークで移動しその移動ストロークに応じた無段速信号を出力できるスイッチでもよい。
【0060】
図14は本発明に係るクレーンの操作制御装置の他の全体システム構成を示すブロック図である。本クレーンの操作制御装置が図4のクレーンの操作制御装置と異なる点は、操作装置制御回路部10に3軸加速度センサ16と、3軸ジャイロセンサ(3軸レートジャイロセンサ)17を設け、走行・横行指示押釦スイッチ23に替え走行・横行無段速押釦スイッチ24を、巻上指示押釦スイッチ25に替え巻上無段速押釦スイッチ27を、巻下指示押釦スイッチ26に替え巻下無段速押釦スイッチ28を設け、更にカメラ36aを上下左右に回動させるカメラ回動機構36bを設けた点である。また、図5のクレーンの操作制御装置と異なる点は、動作指令無段速押釦スイッチ15に替え、走行・横行無段速押釦スイッチ24、巻上無段速押釦スイッチ27、及び巻下無段速押釦スイッチ28を設け更にカメラ36aを上下左右に回動させるカメラ回動機構36bを設けた点である。
【0061】
操作装置制御回路部10の指令信号生成部21には、3軸加速度センサ16で検出された操作筐体11の姿勢(ピッチ角とロール角)データ信号と、走行・横行無段速押釦スイッチ24が押圧操作された場合の動作指令信号S24、押圧圧力に応じた無段速信号SV24、3軸ジャイロセンサ(3軸レートジャイロセンサ)17で検出された操作筐体11の回転角速度信号S17が入力される。また、巻上無段速押釦スイッチ27を押圧操作された場合の巻上動作指令信号S27、押圧力に応じた大きさの巻上速度信号SV28、巻下無段速押釦スイッチ28を押圧操作された場合の巻下動作指令信号S28、押圧力に応じた大きさの巻上速度信号SV27、がそれぞれ入力される。
【0062】
なお、走行・横行無無段速押釦スイッチ24、巻上無段速押釦スイッチ27、巻下無段速押釦スイッチ28は、押圧操作時の押圧力に応じた大きさの無段速信号SV24、無段速の巻上速度信号SV27、無段速の巻上速度信号SV28が出力できるように、例えば感圧ゴム(押圧力に応じて抵抗値が変化するゴム材)を用いた押釦スイッチとする。
【0063】
操作装置制御回路部10の指令信号生成部21には、操作筐体11のクレーンに対する姿勢、即ち操作筐体11の先端部11aの水平面内で向く角度(方位)/ヨー角、垂直面内の左右傾き角度/ロール角、垂直面内の前後の傾き角度/ピッチ角データを記憶する操作筐体姿勢データメモリ(図示せず)が配置されている。指令信号生成部21は、該操作筐体姿勢データメモリに格納されている操作筐体姿勢データと走行・横行無段速押釦スイッチ24からの走行・横行動作指令信号S24、押圧力に応じた大きさの無段速信号SV24を受けて、クレーン100の走行・横行速度指令信号を生成し、通信部21、通信部31を介して制御部32に伝送する。
【0064】
カメラ36aにより操作筐体11上面の方向指示発光体18を撮影し、該撮影画像を画像処理装置36で画像処理して操作筐体11の先端部11aの水平面内で向く方位が検出され、該検出された操作筐体方位検出信号は画像処理装置36から制御部32、通信部31、通信部22を経由して、指令信号生成部21に送られ、上記操作筐体姿勢データメモリに格納されている操作筐体11の方位/ヨー角データを更新する。また、操作筐体11の垂直面内の前後傾き角度/ピッチ角と該垂直面内の左右傾き角度/ロール角は、該操作筐体11内に固定されている3軸の加速度センサ16が重力の働く向きを検出することにより算出し、上記操作筐体姿勢データメモリに格納されている操作筐体11のピッチ角、及びロール角データを更新する。操作筐体11内に固定されている3軸ジャイロセンサ(圧電型ジャイロセンサ)17からの回転角速度信号S17と上記操作筐体姿勢データメモリに格納されている操作筐体の姿勢データ、即ちヨー角、ピッチ角、ロール角を基に、操作筐体11の姿勢の変化を算出し、操作筐体姿勢データメモリに格納されている各データを更新する。
【0065】
上記3軸ジャイロセンサ17の回転角速度信号S17により算出された操作筐体11の姿勢データは、累積誤差等の問題があるので、カメラ36aによる撮影画像を画像処理装置36で画像処理して得られた操作筐体11の方位(ヨー角)データと3軸加速度センサ16による垂直面内の前後傾き角度/ピッチ角データと垂直面内の左右角度/ロール角データを、3軸ジャイロセンサ17の角速度信号S17により算出される姿勢データより優先して操作筐体姿勢データメモリに上書き記憶させる。つまり、カメラ36aによる撮影画像を画像処理して得られた方位データと3軸加速度センサ16による垂直面内の前後傾き角度/ピッチ角データと垂直面内の左右角度/ロール角データにより、3軸ジャイロセンサ17の回転角速度信号S17により算出される姿勢データを補正する。
【0066】
カメラ36aによる撮影画像を画像処理して得られた操作筐体11の方位データが、画像処理装置36から、制御部32、通信部31、通信部22を経由して指令信号生成部21に送信するが、この方位データが送信されてこない間は、3軸加速度センサ16と3軸レートジャイロセンサ17のデータによって、上記操作筐体姿勢データメモリ内のデータは更新され、この操作筐体姿勢データメモリ内のデータを基に、指令信号生成部21は走行指令信号、及び横行指令信号を生成し、走行・横行無段速押釦スイッチ24からの走行・横行動作指令信号S24、走行・横行の無段速の速度信号SV24を受けて、更に走行速度指令信号、横行速度指令信号を生成し、これら走行指令信号、走行速度指令信号、横行指令信号、及び横行速度指令信号を通信部22、通信部31を経由して制御部32に送信し、上述したと同様に走行モータ41、横行モータ42を運転する。
【0067】
また、昇降モータ43の昇降運転による荷の巻上下は、指令信号生成部21が巻上無段速押釦スイッチ27からの巻上動作指令信号S27と巻上無段速の速度信号SV27又は巻下無段速押釦スイッチ28からの巻下動作指令信号S28と巻下無段速の速度信号SV28を受けて、巻上指令信号と巻上速度信号又は巻下無段指令信号と巻下無段速の速度指令信号を生成し、これらの信号を通信部22、通信部31を経由して制御部32に送ることにより行う。
【0068】
上記のように操作筐体11の方向指示発光体18をカメラ36aで監視し、その撮影画像を画像処理装置36で処理し、該方向指示発光体18の指す方位を検出し、操作筐体11の先端部11aが水平面内で向く方位を検出して、この方位検出信号に基づいてクレーン100の走行・横行を設定しているが、方向指示発光体18が障害物等によりカメラ36aの視野から外れる場合がある。この場合はカメラ回動機構36bによりカメラ36aを上下左右に回動させる方向指示発光体18をカメラ36aに視野内に入れるようにするが、カメラ36aで方向発光体18を監視できるようになるまでは、3軸ジャイロセンサ17の出力から操作筐体11の方位を求め、該方位に基づいてクレーンの走行・横行操作を行う。この場合、カメラ36aが操作筐体11上の方向発光体18を監視できるようになったら、その方向検出信号で3軸ジャイロセンサ17の出力から求めた方位データの累積誤差をリセットし、カメラ36aによる撮影画像を画像処理して得られた方位検出データで3軸ジャイロセンサ17の出力から求めた方位データを更新する(上記操作筐体姿勢データメモリ内の方位検出データに上書き保存)ので、クレーン100を操作筐体11の先端部11aが指す方向に正しく誘導できる。図14の3軸ジャイロセンサ(3軸レートジャイロセンサ)17は小型で安価な回転角速度を出力する圧電ジャイロセンサを例に説明したが、圧電ジャイロ又は他の型式のレートジャイロにマイコン回路を内臓し、方位信号を出力する型式のものでもよい。
【0069】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、操作筐体に該操作筐体が水平面内で向いている方向を示す方向指示体を設けると共に、方向指示体を撮影するカメラと、該カメラで撮影した画像を画像処理する画像処理装置を設け、指令信号生成手段は、画像処理装置でカメラが撮影した方向指示体の画像を画像処理により方向指示体の所定形状を認識し、動作指令手段からの動作指令信号があることを条件に、画像処理装置で認識できた方向指示体の水平面内で指す方位を基に走行モータへの走行指令信号、及び横行モータへの横行指令信号を生成するので、画像処理装置で操作筐体の方位指示体の指す方位を精度良く検出できるから、従来のように操作筐体をクレーンを移動させたい方向に向けセットし、この状態でリセット用押釦スイッチを押すことにより、ジャイロセンサの初期設定と累積誤差を消去する必要がなくなり、安全なクレーン操作ができるクレーンの操作制御装置として利用できる。
【0071】
また、本発明は、画像処理装置で操作筐体上の方向指示体の所定形状を認識し、その指す方位が検出できない場合、指令信号生成手段は所定条件のもとでジャイロセンサによる操作筐体の検出方向に基づいて走行モータへの走行指令信号及び走行速度指令信号と、横行モータへの横行指令信号及び横行速度指令信号と生成して操作制御するので、安全且つスムーズな操作ができるクレーンの操作制御装置として利用できる。
【0072】
また、本発明は、更に方向指示体が指す方位を検出できるようになった場合、この検出した方向指示体が指す方位に基づいて走行指令信号、横行指令信号を生成して操作制御するので、安全且つスムーズな操作ができるクレーンの操作制御装置として利用できる。
【符号の説明】
【0073】
10 操作装置制御回路部
11 操作筐体
12 電源押釦スイッチ
14 リセット用押釦スイッチ
15 動作指令無段速押釦スイッチ
16 3軸加速度センサ
17 3軸ジャイロセンサ
18 方向指示発光体
19 基板
21 指令信号生成部
22 通信部
23 走行・横行指示押釦スイッチ
24 走行・横行無段速押釦スイッチ
25 巻上指示押釦スイッチ
26 巻下指示押釦スイッチ
27 巻上無段速押釦スイッチ
28 巻下無段速押釦スイッチ
30 モータ駆動制御回路部
31 通信部
32 制御部
33 走行インバータ
34 横行インバータ
35 昇降インバータ
36 画像処理装置
41 走行モータ
42 横行モータ
43 昇降モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作筐体と、該操作筐体に具備された動作指令手段と、走行モータへの走行指令信号、横行モータの横行指令信号、及び昇降モータへの昇降指令信号とを生成する指令信号生成手段と、該指令信号生成手段からの前記各指令信号に基づいて前記走行モータ、横行モータ、及び昇降モータを駆動制御するモータ駆動制御装置とを備えたクレーンの操作制御装置であって、
前記操作筐体に該操作筐体が水平面内で向いている方向を示す方向指示体を設けると共に、前記方向指示体を撮影するカメラと、該カメラで撮影した画像を画像処理する画像処理装置を設け、
前記指令信号生成手段は、前記画像処理装置で前記カメラが撮影した前記方向指示体の画像を画像処理により前記方向指示体の所定形状を認識し、前記動作指令手段からの動作指令信号があることを条件に、前記画像処理装置で認識できた前記方向指示体の水平面内で指す方位を基に前記走行モータへの走行指令信号、及び前記横行モータへの横行指令信号を生成することを特徴とするクレーンの操作制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のクレーンの操作制御装置において、
前記操作筐体に方向指示体が水平面内で向く方位を検出するためのジャイロセンサを設け、
前記指令信号生成手段は、前記画像処理装置で前記方向指示体の水平面内で指す方位が認識できる場合はその方位を基に、前記画像処理装置で前記方向指示体の水平面内で指す方位が認識できない場合は前記ジャイロセンサの出力から求めた方位を基に前記走行モータへの走行指令信号、前記横行モータへの横行指令信号を生成することを特徴とするクレーンの操作制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のクレーンの操作制御装置において、
前記操作筐体の方向指示体が垂直面内で傾く方向とその角度を検出する加速度センサを設け、
前記指令信号生成手段は、前記加速度センサの出力から求めた前記操作筐体の傾く方向とその傾き角度から前記動作指令手段からの動作指令信号があることを条件に、前記昇降指令信号及び昇降速度指令信号を生成することを特徴とするクレーンの操作制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクレーンの操作制御装置において、
前記走行モータへの走行速度、前記横行モータへの横行速度、昇降モータへの昇降速度を設定する速度設定手段を設け、
前記指令信号生成手段は、前記速度設定手段からの各設定速度に基づいて走行速度指令信号、横行速度指令信号、及び昇降速度指令信号を生成することを特徴とするクレーンの操作制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のクレーンの操作制御装置において、
前記方向指示体は複数の発光素子が前記操作筐体上に、前記所定形状に配列されてなり、前記カメラにより前記発光素子の所定形状の配列を撮影し、前記画像処理装置は画像処理により前記方向指示体の水平面内での指す方向を検出することを特徴とするクレーンの操作制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載のクレーンの操作制御装置において、
前記発光素子は特定の波長領域の光を発するLEDであり、前記画像処理装置は前記特定の波長領域の光のみを透過させるフィルタを備えていることを特徴とするクレーンの操作制御装置。
【請求項7】
請求項2に記載のクレーンの走行制御装置において、
前記画像処理装置が、前記カメラの撮影する位置で前記方向指示体の所定形状を認識できない場合、前記指令信号生成手段は所定条件のもとで前記ジャイロセンサによる前記操作筐体の検出方向に基づいて前記走行モータへの走行指令信号及び走行速度指令信号と、横行モータへの横行指令信号及び横行速度指令信号とを生成することを特徴とするクレーンの操作制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載のクレーンの操作制御装置において、
前記所定条件は、下記事項であることを特徴とするクレーンの操作制御装置。
・前記ジャイロセンサ単独使用で連続してクレーンを操作制御した時間が所定時間未満であること、
・前記単独使用中に操作筐体の一方向のY軸及び該Y軸に直交するX軸が所定角度以上に傾けたひねる操作がないこと
【請求項9】
請求項2乃至8のいずれか1項に記載のクレーンの操作制御装置において、
前記画像処理装置で前記方向指示体の所定形状を認識して該方向指示体の指す方位が認識できる場合、該認識した方位で前記ジャイロセンサの出力から求めた方位を補正することを特徴とするクレーンの操作制御装置。
【請求項10】
操作筐体と、該操作筐体に具備された動作指令手段と、走行モータへの走行指令信号、横行モータの横行指令信号、及び昇降モータへの昇降指令信号とを生成する指令信号生成手段と、該指令信号生成手段からの前記各指令信号に基づいて前記走行モータ、横行モータ、及び昇降モータを駆動制御するモータ駆動制御装置とを備えたクレーンの操作制御方法であって、
前記操作筐体に該操作筐体が水平面内で向いている方向を示す方向指示体を設けると共に、前記方向指示体を撮影するカメラと、該カメラで撮影した画像を画像処理する画像処理装置を設け、
前記指令信号生成手段は、前記画像処理装置で前記カメラが撮影した前記方向指示体の画像を画像処理により前記方向指示体の所定形状を認識し、前記動作指令手段からの動作指令信号があることを条件に、前記画像処理装置で認識できた前記方向指示体の水平面内で指す方位を基に前記走行モータへの走行指令信号、及び前記横行モータへの横行指令信号を生成することを特徴とするクレーンの操作制御方法。
【請求項11】
請求項10に記載のクレーンの操作制御方法において、
前記操作筐体に方向指示体が水平面内で向く方向を検出するためのジャイロセンサを設け、
前記画像処理装置で前記カメラで撮影した前記方向指示体の画像を画像処理して前記方向指示体の所定形状を認識し該方向指示体が指す方位が検出できない場合は、前記ジャイロセンサの出力から求めた方位を基に前記走行モータへの走行指令信号、前記横行モータへの横行指令信号を生成し、該走行指令信号、及び横行指令信号により前記クレーンを移動させることを特徴とするクレーンの操作制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載のクレーンの操作制御方法において、
前記カメラで撮影した画像を画像処理して前記方向指示体の所定形状を認識し該方向指示体が指す方位が検出できるようになった場合は、該検出した方向指示体が指す方位を基に前記走行指令信号、及び横行指令信号を生成し、該走行指令信号、及び横行指令信号により前記クレーンを移動させることを特徴とするクレーンの操作制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−12139(P2012−12139A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148373(P2010−148373)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000129367)株式会社キトー (101)
【Fターム(参考)】