説明

クロマトグラフィメディア及びデバイスを検査するためのシステム及び方法

クロマトグラフィ膜又はモノリスのクロマトグラフィタイプ及び/又は完全性を検査するための方法、好ましくは、クロマトグラフィ膜又はクロマトグラフィモノリスを備えるクロマトグラフィデバイスのクロマトグラフィタイプ及び完全性を上記膜又はモノリスがハウジング内に密封されている状態で検査するための方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本出願は、参照によって本明細書に援用された2005年12月6日に出願された米国仮出願第60/742,567号及び2006年6月30日に出願された米国仮出願第60/817,349号の利益を主張するものである。
【発明の背景】
【0002】
[0002]本発明は、クロマトグラフィメディア及びデバイス、特に、膜及びモノリスを含むクロマトグラフィデバイスを検査するためのシステム及び方法に関する。特に、本発明は、ハウジング内で密封されたクロマトグラフィ膜及びモノリスの完全性(インテグリティ)及び/又はクロマトグラフィタイプを検査することに関する。
【0003】
[0003]カラム(円柱)又は充填ベッドの形態を成すビーズを含むクロマトグラフィデバイスは、例えば理論段相当高さ(HETP)法を使用することによって検査される完全性となり得る。HETP法は、非結合条件下で検体をカラム内へ導入し、カラムを通じて検体を洗浄し、カラム廃液中の検体を検出することを伴う。その後、既知の数学方程式を使用してHETPが計算される。HETP測定は、ベッド完全性(充填性)を明示し、ベッド間再現性に関して表示を与えることができる。
【0004】
[0004]しかしながら、HETP法は、クロマトグラフィメディアが内部に密封され或いは高分子ゲル又は無機材料(例えばシリカ系材料)を含むモノリスが内部に密封されてなる密封ユニット、例えばカプセル又は(再利用できる)ハウジングの密封完全性を示さない。また、カラム中のビーズのクロマトグラフィタイプは、例えば幾つかのビーズを分析することにより比較的容易に決定できるが、ハウジング内、例えばクロマトグラフィカプセル内で密封されたクロマトグラフィ膜又はモノリスのクロマトグラフィタイプを決定するための方法においては、技術的に満たされていないニーズがある。
【0005】
[0005]本発明は、従来技術の欠点の少なくとも一部を改善することを提供する。本発明のこれらの利点及び他の利点は、以下に記載される説明から明らかとなろう。
【発明の簡単な概要】
【0006】
[0006]本発明の一実施形態は、ハウジング内で密封されたクロマトグラフィ膜の完全性を検査するための方法であって:ハウジングと、ハウジング内で密封された検査されるべき1つ以上のクロマトグラフィ膜とを有するクロマトグラフィデバイスを用意するステップと;標準的な結合条件下でクロマトグラフィ膜に結合する選択された検体を用意するステップと;検体を標準的な結合条件下でクロマトグラフィ膜と接触した状態で配置するステップと:溶出流体を用いてクロマトグラフィ膜から検体を溶出して、溶出検体を含む溶出液を形成するステップであり、溶出検体が溶出液中における測定可能な濃度を有するものである、ステップと;溶出液中における溶出検体の所定時間にわたる濃度変化を測定して、検査膜における溶出パターンを与えるステップと;検査されるべきクロマトグラフィ膜における溶出パターンと既知の完全なクロマトグラフィ膜における基準溶出パターンとを比較するステップと;検査されるべきクロマトグラフィ膜の完全性を決定するステップとを備える方法を提供するものである。
【0007】
[0007]また、本発明の一実施形態は、ハウジング内で密封されたクロマトグラフィモノリスの完全性を検査するための方法であって:ハウジングと、ハウジング内で密封された検査されるべき1つ以上のクロマトグラフィモノリスとを備えるクロマトグラフィデバイスを用意するステップと;標準的な結合条件下でクロマトグラフィモノリスに結合する選択された検体を用意するステップと;検体を標準的な結合条件下でクロマトグラフィモノリスと接触した状態で配置するステップと;溶出流体を用いてクロマトグラフィモノリスから検体を溶出して、溶出検体を含む溶出液を形成するステップであり、溶出検体が溶出液中における測定可能な濃度を有する、ステップと;溶出液中における溶出検体の所定時間にわたる濃度変化を測定して、検査されるべきクロマトグラフィモノリスにおける溶出パターンを与えるステップと;検査されるべきクロマトグラフィモノリスにおける溶出パターンと既知の完全なクロマトグラフィモノリスにおける基準溶出パターンとを比較するステップと;検査されるべきクロマトグラフィモノリスの完全性を決定するステップとを備える方法を提供している。
【0008】
[0008]更に、ハウジング内で密封されたクロマトグラフィ膜のタイプ及び完全性を検査するための本発明の他の実施形態に係る方法は、標準的な結合条件下で、特定のクロマトグラフィタイプを有するクロマトグラフィ膜に結合することができる、選択された検体を用意するステップと;検査されるべきクロマトグラフィタイプを有し、特定のクロマトグラフィタイプを有するかどうかを決定するようになっている、1つ以上のクロマトグラフィ膜を用意するステップと;検体を標準的な結合条件下でクロマトグラフィ膜と接触した状態で配置するステップであり、クロマトグラフィ膜が特定のクロマトグラフィタイプを有する場合に検体がクロマトグラフィ膜に結合するものである、ステップと;クロマトグラフィ膜を溶出流体と接触させて溶出液を形成するステップであり、検査されるべきクロマトグラフィ膜が特定のクロマトグラフィタイプを有する場合には溶出液が溶出検体を含み、溶出検体が溶出液中における測定可能な濃度を有するものである、ステップと;溶出液中における溶出検体の所定時間にわたる濃度変化を測定して、検査されるべきクロマトグラフィ膜における溶出パターンを与えるステップと;検査されるべきクロマトグラフィ膜における溶出パターンと既知の完全なクロマトグラフィ膜における基準溶出パターンとを比較するステップと;クロマトグラフィ膜の完全性を決定するとともに、クロマトグラフィ膜が特定のクロマトグラフィタイプを有しているかどうかを決定するステップとを備えている。
【0009】
[0009]また、ハウジング内で密封されたクロマトグラフィモノリスのタイプ及び完全性を検査するための本発明の他の実施形態に係る方法は、標準的な結合条件下で、特定のクロマトグラフィタイプを有するクロマトグラフィモノリスに結合することができる、選択された検体を用意するステップと;検査されるべきクロマトグラフィタイプを有し、特定のクロマトグラフィタイプを有するかどうかを決定するようになっている、1つ以上のクロマトグラフィモノリスを用意するステップと;検体を標準的な結合条件下でクロマトグラフィモノリスと接触した状態で配置するステップであり、クロマトグラフィモノリスが特定のクロマトグラフィタイプを有する場合に検体がクロマトグラフィモノリスに結合するものである、ステップと;クロマトグラフィモノリスを溶出流体と接触させて溶出液を形成するステップであり、検査されるべきクロマトグラフィモノリスが特定のクロマトグラフィタイプを有する場合には溶出液が溶出検体を含み、溶出検体が溶出液中における測定可能な濃度を有するものである、ステップと;溶出液中における溶出検体の所定時間にわたる濃度変化を測定して、検査されるべきクロマトグラフィモノリスにおける溶出パターンを与えるステップと;検査されるべきクロマトグラフィモノリスにおける溶出パターンと既知の完全なクロマトグラフィモノリスにおける基準溶出パターンとを比較するステップと;クロマトグラフィモノリスの完全性を決定するとともに、クロマトグラフィモノリスが特定のクロマトグラフィタイプを有しているかどうかを決定するステップとを備えている。
【0010】
[0010]少なくとも1つのクロマトグラフィメディアを含むクロマトグラフィデバイスの完全性を検査するための本発明の一実施形態に係る方法は、入口及び出口を備えるハウジングと、前記ハウジング内に密封された少なくとも1つのクロマトグラフィメディアとを有するクロマトグラフィデバイスを用意するステップと;標準的な結合条件下で前記クロマトグラフィメディアに対して結合できる選択された検体を用意するステップと;検体を含む液体サンプルを調製するステップと;所定量の液体サンプルをクロマトグラフィデバイス内に通すステップであり、所定量の検体を標準的な結合条件下でクロマトグラフィメディアと接触した状態に配置する工程を含み、クロマトグラフィメディアと接触した状態で配置される液体サンプル中の検体の量がクロマトグラフィメディアの結合容量よりも低い、ステップと;所定量の非検体溶出流体をデバイスに通すステップであり、クロマトグラフィデバイスに通される非検体溶出流体の量が液体サンプルの量に少なくともほぼ等しい、ステップと;クロマトグラフィデバイスの出口から通る液体中の検体の存在又は不存在を決定するステップと;クロマトグラフィデバイスの完全性を決定するステップとを備えている。
【0011】
[0011]一実施形態において、クロマトグラフィデバイスの完全性を検査するための方法は、デバイス内の少なくとも1のクロマトグラフィメディアのクロマトグラフィタイプを検査するステップを更に備えている。この場合、所定量の非検体溶出流体をデバイスに通した後、本方法は、クロマトグラフィメディアを溶出流体と接触させて溶出液を形成するステップであり、検査されるべきクロマトグラフィメディアが特定のクロマトグラフィタイプを有する場合には溶出液が溶出検体を含み、溶出検体が溶出液中における測定可能な濃度を有するものである、ステップと;溶出液を分析して、検体が存在するかどうかを決定するステップと;クロマトグラフィメディアが特定のクロマトグラフィタイプを有するかどうかを決定するステップとを更に備えている。
【0012】
[0012]クロマトグラフィデバイス内に密封された少なくとも1つのクロマトグラフィメディアのクロマトグラフィタイプを検査するための本発明の他の実施形態に係る方法は、入口及び出口を備えるハウジングと、ハウジング内に密封された少なくとも1つのクロマトグラフィメディアとを有するクロマトグラフィデバイスを用意するステップと:クロマトグラフィメディアが検査されるべきクロマトグラフィタイプを有する場合に、標準的な結合条件下でクロマトグラフィメディアに結合できる選択された検体を用意するステップと;検体を含む液体サンプルを調製するステップと、所定量の液体サンプルをクロマトグラフィデバイス内に通すステップであり、所定量の検体を標準的な結合条件下でクロマトグラフィメディアと接触した状態に配置する工程を含み、クロマトグラフィメディアと接触した状態で配置される液体サンプル中の検体の量がクロマトグラフィメディアの結合容量よりも低い、ステップと;所定量の非検体溶出流体をクロマトグラフィデバイスに通すステップであり、クロマトグラフィデバイスに通される非検体溶出流体の量が液体サンプルの量に少なくともほぼ等しい、ステップと;クロマトグラフィデバイスの出口から通る液体中の検体の存在又は不存在を決定するステップと;クロマトグラフィメディアを溶出流体と接触させて溶出液を形成するステップであり、検査されるべきクロマトグラフィメディアが特定のクロマトグラフィタイプを有する場合には溶出液が溶出検体を含み、溶出検体が溶出液中における測定可能な濃度を有するものである、ステップと;溶出液を分析して、検体が存在するかどうかを決定するステップと;クロマトグラフィメディアが特定のクロマトグラフィタイプを有するかどうかを決定するステップとを備える。
【0013】
[0013]クロマトグラフィデバイス内に密封された少なくとも1つのクロマトグラフィメディアのクロマトグラフィタイプを検査するための本発明の更に他の実施形態に係る方法は、入口及び出口を備えるハウジングと、ハウジング内に密封された少なくとも1つのクロマトグラフィメディアとを有するクロマトグラフィデバイスを用意するステップと;クロマトグラフィメディアが検査されるべき特定のクロマトグラフィタイプを有する場合に標準的な結合条件下でクロマトグラフィメディアに結合できる選択された検体を用意するステップと;検体を含む液体サンプルを調製するステップと;所定量の液体サンプルをクロマトグラフィデバイス内に通すステップであり、所定量の検体を標準的な結合条件下でクロマトグラフィメディアと接触した状態に配置する工程を含み、クロマトグラフィメディアと接触した状態で配置される液体サンプル中の検体の量がクロマトグラフィメディアの結合容量よりも低い、ステップと;所定量の非検体溶出流体をクロマトグラフィデバイスに通すステップであり、クロマトグラフィデバイスに通される非検体溶出流体の量が液体サンプルの量に少なくともほぼ等しい、ステップと;クロマトグラフィデバイスの出口から通る液体中の検体の存在又は不存在を決定するステップと;クロマトグラフィメディアが特定のクロマトグラフィタイプを有するかどうかを決定するステップとを備える。
【0014】
[0014]他の実施形態において、クロマトグラフィ膜のタイプを検査するための方法は、選択された検体を用意するステップであり、前記検体が、標準的な結合条件下で、特定のクロマトグラフィタイプを有するクロマトグラフィ膜に対して結合できるものである、ステップと;クロマトグラフィ膜が特定のクロマトグラフィタイプを有するかどうかを決定するために検査されるべきクロマトグラフィタイプを有する1つ以上のクロマトグラフィ膜を用意するステップと;検体を標準的な結合条件下でクロマトグラフィ膜と接触した状態で配置するステップであり、クロマトグラフィ膜が特定のクロマトグラフィタイプを有する場合に検体がクロマトグラフィ膜に結合する、ステップと;クロマトグラフィ膜を溶出流体と接触させて溶出液を形成するステップであり、検査されるべきクロマトグラフィ膜が特定のクロマトグラフィタイプを有する場合には溶出液が溶出検体を含み、溶出検体が溶出液中における測定可能な濃度を有するものである、ステップと;検体が存在するかどうかを決定するために溶出液を分析するステップと;クロマトグラフィ膜が特定のクロマトグラフィタイプを有しているかどうかを決定するステップとを備えている。
【0015】
[0015]好ましくは、本方法の実施形態は、ハウジング内に密封された少なくとも1つのクロマトグラフィメディアの完全性及び/又はクロマトグラフィタイプを検査することを含む。より好ましくは、本方法の実施形態は、クロマトグラフィカプセル内に密封された複数のクロマトグラフィ膜の完全性及びクロマトグラフィタイプを検査することを含む。
【発明の詳細な説明】
【0016】
[0021]本発明の一実施形態は、ハウジング内で密封されたクロマトグラフィ膜の完全性を検査するための方法であって:ハウジングと、ハウジング内で密封された検査されるべき1つ以上のクロマトグラフィ膜とを有するクロマトグラフィデバイスを用意するステップと;標準的な結合条件下でクロマトグラフィ膜に結合する選択された検体を用意するステップと;検体を標準的な結合条件下でクロマトグラフィ膜と接触した状態で配置するステップと:溶出流体を用いてクロマトグラフィ膜から検体を溶出して、溶出検体を含む溶出液を形成するステップであり、溶出検体が溶出液中における測定可能な濃度を有するものである、ステップと;溶出液中における溶出検体の所定時間にわたる濃度変化を測定して、検査膜における溶出パターンを与えるステップと;検査されるべきクロマトグラフィ膜における溶出パターンと既知の完全なクロマトグラフィ膜における基準溶出パターンとを比較するステップと;検査されるべきクロマトグラフィ膜の完全性を決定するステップとを備える方法を提供するものである。
【0017】
[0022]また、本発明の一実施形態は、ハウジング内で密封されたクロマトグラフィモノリスの完全性を検査するための方法であって:ハウジングと、ハウジング内で密封された検査されるべき1つ以上のクロマトグラフィモノリスとを備えるクロマトグラフィデバイスを用意するステップと;標準的な結合条件下でクロマトグラフィモノリスに結合する選択された検体を用意するステップと;検体を標準的な結合条件下でクロマトグラフィモノリスと接触した状態で配置するステップと;溶出流体を用いてクロマトグラフィモノリスから検体を溶出して、溶出検体を含む溶出液を形成するステップであり、溶出検体が溶出液中における測定可能な濃度を有する、ステップと;溶出液中における溶出検体の所定時間にわたる濃度変化を測定して、検査されるべきクロマトグラフィモノリスにおける溶出パターンを与えるステップと;検査されるべきクロマトグラフィモノリスにおける溶出パターンと既知の完全なクロマトグラフィモノリスにおける基準溶出パターンとを比較するステップと;検査されるべきクロマトグラフィモノリスの完全性を決定するステップとを備える方法を提供している。
【0018】
[0023]更に、ハウジング内で密封されたクロマトグラフィ膜のタイプ及び完全性を検査するための本発明の他の実施形態に係る方法は、標準的な結合条件下で、特定のクロマトグラフィタイプを有するクロマトグラフィ膜に結合することができる、選択された検体を用意するステップと;ハウジングと、ハウジング内で密封された検査されるべき1つ以上のクロマトグラフィ膜とを備えるクロマトグラフィデバイスを用意するステップであり、クロマトグラフィ膜が検査されるべきクロマトグラフィタイプを有し、クロマトグラフィ膜が特定のクロマトグラフィタイプを有するかどうかを決定するようになっている、ステップと;検体を標準的な結合条件下でクロマトグラフィ膜と接触した状態で配置するステップであり、クロマトグラフィ膜が特定のクロマトグラフィタイプを有する場合に検体がクロマトグラフィ膜に結合するものである、ステップと;クロマトグラフィ膜を溶出流体と接触させて溶出液を形成するステップであり、検査されるべきクロマトグラフィ膜が特定のクロマトグラフィタイプを有する場合には溶出液が溶出検体を含み、溶出検体が溶出液中における測定可能な濃度を有するものである、ステップと;溶出液中における溶出検体の所定時間にわたる濃度変化を測定して、検査されるべきクロマトグラフィ膜における溶出パターンを与えるステップと;検査されるべきクロマトグラフィ膜における溶出パターンと既知の完全なクロマトグラフィ膜における基準溶出パターンとを比較するステップと;クロマトグラフィ膜の完全性を決定するとともに、クロマトグラフィ膜が特定のクロマトグラフィタイプを有しているかどうかを決定するステップとを備えている。
【0019】
[0024]また、ハウジング内で密封されたクロマトグラフィモノリスのタイプ及び完全性を検査するための本発明の他の実施形態に係る方法は、標準的な結合条件下で、特定のクロマトグラフィタイプを有するクロマトグラフィモノリスに結合することができる、選択された検体を用意するステップと;ハウジングと、ハウジング内で密封された検査されるべき1つ以上のクロマトグラフィモノリスとを備えるクロマトグラフィデバイスを用意するステップであり、クロマトグラフィモノリスが検査されるべきクロマトグラフィタイプを有し、クロマトグラフィモノリスが特定のクロマトグラフィタイプを有するかどうかを決定するようになっている、ステップと;検体を標準的な結合条件下でクロマトグラフィモノリスと接触した状態で配置するステップであり、クロマトグラフィモノリスが特定のクロマトグラフィタイプを有する場合に検体がクロマトグラフィモノリスに結合するものである、ステップと;クロマトグラフィモノリスを溶出流体と接触させて溶出液を形成するステップであり、検査されるべきクロマトグラフィモノリスが特定のクロマトグラフィタイプを有する場合には溶出液が溶出検体を含み、溶出検体が溶出液中における測定可能な濃度を有するものである、ステップと;溶出液中における溶出検体の所定時間にわたる濃度変化を測定して、検査されるべきクロマトグラフィモノリスにおける溶出パターンを与えるステップと;検査されるべきクロマトグラフィモノリスにおける溶出パターンと既知の完全なクロマトグラフィモノリスにおける基準溶出パターンとを比較するステップと;クロマトグラフィモノリスの完全性を決定するとともに、クロマトグラフィモノリスが特定のクロマトグラフィタイプを有しているかどうかを決定するステップとを備えている。
【0020】
[0025]少なくとも1つのクロマトグラフィメディアを含むクロマトグラフィデバイスの完全性を検査するための本発明の一実施形態に係る方法は、入口及び出口を備えるハウジングと、前記ハウジング内に密封された少なくとも1つのクロマトグラフィメディアとを有するクロマトグラフィデバイスを用意するステップと;標準的な結合条件下で前記クロマトグラフィメディアに対して結合できる選択された検体を用意するステップと;検体を含む液体サンプルを調製するステップと;所定量の液体サンプルをクロマトグラフィデバイス内に通すステップであり、所定量の検体を標準的な結合条件下でクロマトグラフィメディアと接触した状態に配置する工程を含み、クロマトグラフィメディアと接触した状態で配置される液体サンプル中の検体の量がクロマトグラフィメディアの結合容量よりも低い、ステップと;所定量の非検体溶出流体をデバイスに通すステップであり、クロマトグラフィデバイスに通される非検体溶出流体の量が液体サンプルの量に少なくともほぼ等しい、ステップと;クロマトグラフィデバイスの出口から通る液体中の検体の存在又は不存在を決定するステップと;クロマトグラフィデバイスの完全性を決定するステップとを備えている。
【0021】
[0026]一実施形態において、クロマトグラフィデバイスの完全性を検査するための方法は、デバイス内の少なくとも1のクロマトグラフィメディアのクロマトグラフィタイプを検査するステップを更に備えている。この場合、所定量の非検体溶出流体をデバイスに通した後、本方法は、クロマトグラフィメディアを溶出流体と接触させて溶出液を形成するステップであり、検査されるべきクロマトグラフィメディアが特定のクロマトグラフィタイプを有する場合には溶出液が溶出検体を含み、溶出検体が溶出液中における測定可能な濃度を有するものである、ステップと;溶出液を分析して、検体が存在するかどうかを決定するステップと;クロマトグラフィメディアが特定のクロマトグラフィタイプを有するかどうかを決定するステップとを更に備えている。
【0022】
[0027]クロマトグラフィデバイス内に密封された少なくとも1つのクロマトグラフィメディアのクロマトグラフィタイプを検査するための本発明の他の実施形態に係る方法は、入口及び出口を備えるハウジングと、ハウジング内に密封された少なくとも1つのクロマトグラフィメディアとを有するクロマトグラフィデバイスを用意するステップと:クロマトグラフィメディアが検査されるべきクロマトグラフィタイプを有する場合に、標準的な結合条件下でクロマトグラフィメディアに結合できる選択された検体を用意するステップと;検体を含む液体サンプルを調製するステップと、所定量の液体サンプルをクロマトグラフィデバイス内に通すステップであl、所定量の検体を標準的な結合条件下でクロマトグラフィメディアと接触した状態に配置する工程を含み、クロマトグラフィメディアと接触した状態で配置される液体サンプル中の検体の量がクロマトグラフィメディアの結合容量よりも低い、ステップと;所定量の非検体溶出流体をクロマトグラフィデバイスに通すステップであり、クロマトグラフィデバイスに通される非検体溶出流体の量が液体サンプルの量に少なくともほぼ等しい、ステップと;クロマトグラフィデバイスの出口から通る液体中の検体の存在又は不存在を決定するステップと;クロマトグラフィメディアを溶出流体と接触させて溶出液を形成するステップであり、検査されるべきクロマトグラフィメディアが特定のクロマトグラフィタイプを有する場合には溶出液が溶出検体を含み、溶出検体が溶出液中における測定可能な濃度を有するものである、ステップと;溶出液を分析して、検体が存在するかどうかを決定するステップと;クロマトグラフィメディアが特定のクロマトグラフィタイプを有するかどうかを決定するステップとを備える。
【0023】
[0028]クロマトグラフィデバイス内に密封された少なくとも1つのクロマトグラフィメディアのクロマトグラフィタイプを検査するための本発明の更に他の実施形態に係る方法は、入口及び出口を備えるハウジングと、ハウジング内に密封された少なくとも1つのクロマトグラフィメディアとを有するクロマトグラフィデバイスを用意するステップと;クロマトグラフィメディアが検査されるべき特定のクロマトグラフィタイプを有する場合に標準的な結合条件下でクロマトグラフィメディアに結合できる選択された検体を用意するステップと;検体を含む液体サンプルを調製するステップと;所定量の液体サンプルをクロマトグラフィデバイス内に通すステップであり、所定量の検体を標準的な結合条件下でクロマトグラフィメディアと接触した状態に配置する工程を含み、クロマトグラフィメディアと接触した状態で配置される液体サンプル中の検体の量がクロマトグラフィメディアの結合容量よりも低い、ステップと;所定量の非検体溶出流体をクロマトグラフィデバイスに通すステップであり、クロマトグラフィデバイスに通される非検体溶出流体の量が液体サンプルの量に少なくともほぼ等しい、ステップと;クロマトグラフィデバイスの出口から通る液体中の検体の存在又は不存在を決定するステップと;クロマトグラフィメディアが特定のクロマトグラフィタイプを有するかどうかを決定するステップとを備える。
【0024】
[0029]他の実施形態において、クロマトグラフィ膜のタイプを検査するための方法は、選択された検体を用意するステップであり、前記検体が、標準的な結合条件下で、特定のクロマトグラフィタイプを有するクロマトグラフィ膜に対して結合できるものである、ステップと;クロマトグラフィ膜が特定のクロマトグラフィタイプを有するかどうかを決定するために検査されるべきクロマトグラフィタイプを有する1つ以上のクロマトグラフィ膜を用意するステップと;検体を標準的な結合条件下でクロマトグラフィ膜と接触した状態で配置するステップであり、クロマトグラフィ膜が特定のクロマトグラフィタイプを有する場合に検体がクロマトグラフィ膜に結合する、ステップと;クロマトグラフィ膜を溶出流体と接触させて溶出液を形成するステップであり、検査されるべきクロマトグラフィ膜が特定のクロマトグラフィタイプを有する場合には溶出液が溶出検体を含み、溶出検体が溶出液中における測定可能な濃度を有するものである、ステップと;検体が存在するかどうかを決定するために溶出液を分析するステップと;クロマトグラフィ膜が特定のクロマトグラフィタイプを有しているかどうかを決定するステップとを備えている。
【0025】
[0030]好ましくは、本方法の実施形態は、ハウジング内に密封された少なくとも1つのクロマトグラフィメディアの完全性及び/又はクロマトグラフィタイプを検査することを含む。より好ましくは、本方法の実施形態は、クロマトグラフィカプセルの完全性と、クロマトグラフィカプセル内に密封された複数のクロマトグラフィ膜のクロマトグラフィタイプとを検査することを含む。
【0026】
[0031]本明細書中で使用される「クロマトグラフィメディア」、「複数のクロマトグラフィメディア」及び「少なくとも1つのクロマトグラフィメディア」とは、文脈内において、1つ以上のクロマトグラフィ膜及び/又は1つ以上のクロマトグラフィモノリスのことである。クロマトグラフィデバイスは、任意の数のクロマトグラフィ膜又はクロマトグラフィモノリスを含むことができる。クロマトグラフィデバイスは、複数(すなわち、2つ以上)の同じタイプのメディア又は異なるタイプのメディアを含むことができる。これに代えて或いはこれに加えて、クロマトグラフィデバイスは、複数の同じタイプのメディア(例えば、膜)であって、異なる特性、例えばクロマトグラフィタイプを有するメディアを含むことができる。
【0027】
[0032]本発明の実施形態は、膜又はモノリスの欠陥(例えば、穿孔、裂け目、及び/又は、破断)及び/又はシール点(例えば、膜又はモノリスとデバイスの1つ以上の他の構成部分との間のシール)の欠陥を決定するために利用できる。したがって、ユーザは、クロマトグラフィデバイスのシールの完全性を決定することができるとともに、クロマトグラフィデバイスが欠陥を有し且つおそらくその意図する目的に適合しないかどうかを決定することができる。
【0028】
[0033]クロマトグラフィビーズに対して結合或いは吸着しない検体を利用するHETP測定とは大きく異なり、本発明の実施形態によれば、選択された検体は、検査されるべきメディアに対して結合し或いは吸着するとともに、選択的に脱着され或いは溶出される。
【0029】
[0034]1つのクロマトグラフィメディア/複数のクロマトグラフィメディアの完全性を検査するための本発明に係る一実施形態によれば、選択された検体が結合されてなるメディアは、検査されるメディアから洗浄され(一例として、検体を溶出しない非検体溶出流体、例えば水や平衡化バッファなどの非検体溶出流体を用いて)、また、所定時間にわたる洗浄液中の検体の検出可能な濃度の存在又は不存在が測定される。この実施形態によれば、検査されるメディアの完全性が破壊されなかった場合、洗浄液中で検出される検体は殆ど存在せず或いは全く存在しない。
【0030】
[0035]クロマトグラフィ膜又はモノリスのクロマトグラフィタイプを検査するための本発明に係る一実施形態によれば、結合された選択された検体は、検査される膜又はモノリスから溶出され、また、溶出パターンを与えるために、所定時間にわたる溶出液中の検体の濃度変化が測定される(あるいは、検体の検出可能なピークの存在又は不存在が決定される)。
【0031】
[0036]より好ましい実施形態において、溶出パターンは、既知のクロマトグラフィタイプ及び完全な膜又はモノリスにおける基準溶出パターンと比較される。例えば、選択された検体は、溶出パターを決定するために、既知のクロマトグラフィタイプ及び完全性を有する1つ以上の膜又はモノリス(あるいは、膜又はモノリスを含むフィルタ要素)に対して結合され且つ当該膜又はモノリスから溶出され、また、これが基準溶出パターンを与える。必要に応じて、複数のメディアを含むクロマトグラフィデバイス(例えば、多くの膜層を含むカプセル)を検査する際には、幾つかの実施形態において、デバイスで利用される同一或いは同様の数のメディアを使用して、利用される基準溶出パターンを生成することができる。これに代え或いはこれに加え、必要に応じて、選択された検体は、一連の基準溶出パターンを与えるために、既知の完全性及び同じ既知のクロマトグラフィタイプを有する幾つかの膜又はモノリスに対して結合することができ且つ当該膜又はモノリスから溶出することができる。幾つかの実施形態において、基準パターンは、膜、モノリス、又は、クロマトグラフィデバイスの製造メーカ及び/又は供給業者によって与えられる。例えば、基準パターンは、膜、モノリス、又は、クロマトグラフィデバイスと共に供給される挿入として及び/又は取り扱い説明書の一部として与えられる。
【0032】
[0037]1つ以上の膜又はモノリス(例えば、重合ゲル、シリカカラム、セラミックス、黒鉛化炭素)を含む多種多様なクロマトグラフィデバイスを本発明の実施形態にしたがって利用できる。幾つかの実施形態では、クロマトグラフィデバイス、すなわち、ハウジングと、ハウジング内に密封された1つのクロマトグラフィメディア又は複数のクロマトグラフィメディアとを備えるクロマトグラフィデバイスが組立済みのデバイスであり、例えば、その場合、メディアがデバイス製造メーカによってハウジング内で密封される。幾つかの他の実施形態では、メディアがエンドユーザによってハウジング内で密封される。デバイスは、様々な流体を処理するのに適することができ、これにより、例えば、流体中に存在する1つ以上の所望の材料を浄化し及び/又は凝縮することができる。例えば、デバイスは、生物医薬品産業で使用される流体などのプロセス流体、例えば、タンパク性材料、例えば抗体(例えばモノクローナル抗体)、又は、成長因子などの組み換えタンパク等の所望の材料を含む流体を処理するのに適することができる。
【0033】
[0038]クロマトグラフィデバイス(例えば、カプセル)、ハウジング、膜、及び/又は、モノリスは、技術的に知られる形態を含むがこれに限定されない任意の適した形態を有することができる。例えば、膜は、以下の形状、すなわち、平面状、襞状、中空円筒状、積層状、螺旋巻き状のうちの1つ以上を成すことができる。例示的に、1つの実施形態では、膜は中空円筒状の襞付き要素の形態を成すことができる。モノリスは、以下の形状、すなわち、ディスク、チューブ、及び、カラムのうちの1つ以上を成すことができる。
【0034】
[0039]図1は、本発明の一実施形態にしたがって検査され得る複数の膜を含む例示的な密封されたクロマトグラフィデバイスの斜視図及び断面図を示している。この図において、典型的なクロマトグラフィデバイス100は端部キャップ15,25を含むハウジング90を備えている。この場合、ハウジングは、入口10及び出口20を有するとともに、入口と出口との間に流体流路を画成し、デバイスは、流体流路を横切ってハウジング内で密封される複数の膜51(中空円筒要素を形成するように図示されている)を備える流体処理要素50を有している。また、図示のデバイスは、入口及び出口をそれぞれ覆う保護キャップ11,21も含んでおり、これらのキャップは使用前に除去される。
【0035】
[0040]本発明の一実施形態にしたがって検査され得るモノリス(図示せず)を含む例示的な密封されたクロマトグラフィデバイスは、取付けリングを備えるハウジング内に密封された少なくとも1つのモノリスマトリクスディスクを備えている。必要に応じて、クロマトグラフィでの使用前に、複数のクロマトグラフィデバイス(例えば、取付けリング内に密封されたモノリスディスク)を更なるハウジング内、例えば円柱(カラム)内に密封することができる。
【0036】
[0041]膜又はモノリスは、任意の所望の特性、例えばクロマトグラフィタイプを有することができ、また、市販の膜及びモノリス(及び、そのような膜又はモノリスを含む市販のクロマトグラフィデバイス)を含む様々な膜及びモノリス(及び、クロマトグラフィカプセルなどのクロマトグラフィデバイス)を本発明にしたがって検査することができる。例えば、様々な市販のイオン交換及び/又はモノリスを含む様々なイオン交換膜及び/又はモノリスを本発明にしたがって検査することができる。膜又はモノリス(又は、そのような膜又はモノリスを含むクロマトグラフィデバイス)は、例えば膜又はモノリスが帯電された膜又は帯電されたモノリスかどうか、例えばプラスに帯電した或いはマイナスに帯電した膜又はモノリスであるかどうかを決定するために検査することができる。
【0037】
[0042]これに代え或いはこれに加えて、膜又はモノリスは、膜又はモノリスのクロマトグラフィタイプが以下のうちの1つ以上、すなわち、疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)膜又はモノリス、アフィニティクロマトグラフィ(例えば、固定化金属アフィニティクロマトグラフィ(IMAC))膜又はモノリス、生体特異(例えば、固定化プロテインA)アフィニティクロマトグラフィ膜又はモノリス、疎水性電荷誘導クロマトグラフィ(HCIC)膜又はモノリス、及び、チオフィリック(thiophilic)クロマトグラフィ(TC)膜又はモノリスのうちの1つ以上であるかどうかを決定するために検査することができる。様々な市販の膜及び/又はモノリス(及び、そのような膜及び/又はモノリスを含むクロマトグラフィデバイス)を含む様々なそのような膜及び/又はモノリス(及び、そのような膜及び/又はモノリスを含むクロマトグラフィデバイス)は、本発明にしたがってそのように検査することができる。
【0038】
[0043]本発明によれば、様々な検体が膜又はモノリスの検査で用いるのに適している。好ましくは、検体は本質的に毒性がなく、より好ましくは、検体は、膜又はモノリスから溶出されると、溶出流体(例えば、平衡化バッファ)及び/又は被処理流体(例えば、プロセス流体)から容易に分離され得る。
【0039】
[0044]好ましい実施形態において、検体は、「パルス」として、例えば、検出できる信号を供給するのに十分な検体のほんの一部(例えば、少量及び/又は低濃度)として利用される。この場合、1つのクロマトグラフィメディア又は複数のクロマトグラフィメディア(すなわち、膜又はモノリス)と接触した状態で配置される量は、膜又はモノリスの結合容量よりも低い。パルスの使用は時間を節約し、それにより、検査をより迅速に行なうことができる。1つの実施形態において、パルス状の検体が結合されてなるクロマトグラフィメディアは、該クロマトグラフィメディアが内部で密封されてなるデバイスから洗浄され(例えば、水又は平衡化バッファなどの非検体溶出流体を用いて)、また、洗浄液中に検出可能な検体が存在しないということは、デバイスの完全性を反映している。好ましくは、その後、パルスがクロマトグラフィメディアから溶出され、それにより、クロマトグラフィメディアのクロマトグラフィタイプを反映する溶出パターンが与えられる。
【0040】
[0045]天然又は合成のものであってもよい適当な検体は、例えば、プリン、ピリミジン、ヌクレオシド(例えば、アデノシン)又は、モノヌクレオチド(例えば、アデノシン一リン酸(AMP)、アデノシン二リン酸(ADP)、アデノシン三リン酸(ATP))などのヌクレオチド、核酸(例えば、可溶性RNAなどのRNA又はプラスミドDNAなどのDNA)などの小分子、シトクロムcなどの中サイズの分子を含んでおり、あるいは、検体は、プロテイン(例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、リゾチーム又はリボヌクレアーゼAなどの酵素、あるいは、免疫グロブリン又はIgGなどの抗体、マクログロブリン(例えば、α−マクログロブリン)又は抗体片)、ペプチド、及び、ポリマーなどの巨大分子を含む大きな分子であってもよい。
【0041】
[0046]1つの実施形態では、検体が小分子である。これは、そのような検体が溶出されると、当該検体が溶出流体及び/又は被処理流体から更に容易に分離され得るからである。例示的に、典型的な小分子は、例えばダイアフィルタレーション又はタンジェンシャルフローフィルタレーションを介して、平衡化バッファ又はプロセス流体から分離され得る。幾つかの実施形態において、検体は、流体処理中にプロセス流体から分離されるべき所望の材料である。例えば、検体は、モノクローナル抗体などの大きな分子であってもよい。そのような検体は、例えばクロマトグラフィシステムから洗い流される必要がある「汚染物質」と見なされる可能性が低いため、及び/又は、そのような検体の使用はシステムの検証を必要としないため、望ましいといえる。
【0042】
[0047]好ましくは、検体は、検査されるクロマトグラフィメディアと洗浄液及び/又は溶出液中の検体を検出するために使用される検出システムとの両方に基づいて選択される。本発明における使用に適した検体及び検出システムの選択は当業者の範囲内である。
【0043】
[0048]例えば、検査されるべき膜又はモノリスがプラスに帯電されているかどうかを決定するため、選択された検体(検査状態下で、プラスに帯電した膜又はモノリスに対して結合し、その後、当該膜又はモノリスから溶出される)は、マイナスに帯電される。マイナスに帯電した膜又はモノリスを検査するため、選択された検体はプラスに帯電される。同様に、膜又はモノリスが例えばHIC、IMAC、HCIC又はTC膜又はモノリスであるかどうかを決定するために当該膜又はモノリスが検査されるべき場合、選択された検体は、そのタイプの膜又はモノリスに結合し、その後、当該膜又はモノリスから(検査状態下で)溶出される。
【0044】
[0049]検出システムに関しては、UV吸収検体が、UVモル吸光係数を測定する検出システムと共に使用するのに適している。
【0045】
[0050]例えば、AMP(マイナスに帯電されている)又はアデノシン(プラスに帯電さえている)などのイオン性分子、すなわち、芳香環及び高いUVモル吸光係数を有する分子は、UVモル吸光係数を測定する検出システムを使用して、プラスに帯電した膜、例えばプラスに帯電したイオン交換膜、又は、マイナスに帯電した膜、例えばマイナスに帯電したイオン交換膜をそれぞれ検査するために、選択されたマイナスに帯電した或いは選択されたプラスに帯電した検体として使用することができる。高いUVモル吸光係数を有する他の適した検体としては、例えば、核酸(例えば、RNA及びDNA)及び幾つかのプロテイン(例えば、IgGなどの抗体)が挙げられる。
【0046】
[0051]UV吸収検体が好ましいが、他の検出可能な検体、例えば非UV吸収分子も適している。例えば、幾つかの実施形態において、検体は、検出可能なラベル、例えば蛍光ラベル、化学発光ラベル、又は、放射性ラベルを含むことができる。
【0047】
[0052]膜又はモノリスが例えばHIC膜又はモノリスであるかどうかを決定するために当該膜又はモノリスが検査されるべき場合、小分子、例えば、核酸(例えば、可溶性RNAなどのRNA又はプラスミドDNAなどのDNA)、あるいは、プロテインなどの大分子、例えば免疫グロブリン(例えばIgG)、マクログロブリン(例えば、α−マクログロブリン)、酵素(例えば、リゾチーム)などの検体を、選択された検体として使用できる。他の適した検体としては、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、シトクロムc、及び、リボヌクレアーゼAが挙げられる。
【0048】
[0053]他の例示的な実施例では、膜又はモノリスがHCIC膜又はモノリスであるかどうかを決定するために当該膜又はモノリスが検査されるべき場合、プロテイン、例えば免疫グロブリン(例えばIgG)、マクログロブリン(例えば、α−マクログロブリン)、酵素(例えば、リゾチーム)などの検体を、選択された検体として使用できる。他の適した検体としては、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)及びシトクロムcが挙げられる。
【0049】
[0054]他の例示的な実施例では、膜又はモノリスがTC膜又はモノリスであるかどうかを決定するために当該膜又はモノリスが検査されるべき場合、プロテイン、例えば免疫グロブリン(例えばIgG)又はマクログロブリン(例えば、α−マクログロブリン)などの検体を、選択された検体として使用できる。
【0050】
[0055]更に他の例示的な実施例では、膜又はモノリスがIMAC膜又はモノリスであるかどうかを決定するために当該膜又はモノリスが検査されるべき場合、小分子、例えば、核酸(例えば、可溶性RNAなどのRNA又はプラスミドDNAなどのDNA)、あるいは、シトクロムcなどの中サイズの分子、あるいは、His−taggedプロテイン又はポリヒスチジンペプチドなどの大分子などの検体を、選択された検体として使用できる。
【0051】
[0056]検査状態、例えば、結合条件及び溶出状態、利用される溶液、塩濃度、及び/又は、勾配は、当業者によって知られるように決定されて実行され得る。
【0052】
[0057]本発明の実施形態は、クロマトグラフィデバイスの完全性の欠陥を決定するために利用でき、したがって、ユーザはクロマトグラフィデバイスが欠陥を有し且つおそらくその意図する目的に適合しないという決定を下すことができるが、完全性の欠陥が軽微であることを結果が示す場合には、欠陥がデバイスの性能に殆ど影響を与えない或いは全く影響を与えないという決定をユーザが下し得る状況があるかもしれない。したがって、ユーザは、デバイスの性能が許容できるという決定を下してもよい。
【0053】
[0058]以下の実施例は、本発明を更に例示するが、無論、多少なりともその範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0054】
[0059]以下の各実施例において、実験の全体にわたってUV信号(核酸、ヌクレオシド、ヌクレオチドにおいては260nm、また、プロテインにおいては280nm)を連続的に監視する検出システムは、OPTEK(商標)AF46デュアルチャンネルUV吸収検出器モデル316(optek−Danulate, Inc.ウィスコンシン州ジャーマンタウン)である。
【実施例1】
【0055】
[0060]この実施例は、ハウジング内に密封されたプラスに帯電したクロマトグラフィ膜の完全性及びクロマトグラフィタイプを決定するために本発明の一実施形態を使用できることを実証する。
【0056】
[0061]密封された検体、すなわち、マイナスに帯電したAMPが3mg/mlの25mM TRISバッファ(pH8.0)で溶解される。60mlパルスAMP溶液が調製される。
【0057】
[0062]平衡化バッファは25mM TRIS(pH8.0)であり、溶出バッファは1M NaCl中における25mM TRIS(pH8.0)である。
【0058】
[0063]クロマトグラフィデバイスを形成するため、16層の襞のあるプラスに帯電した膜(MUSTANG(商標)Q膜,Pall Corporation,ニューヨーク州イーストヒルズ)を有し且つ中空円筒要素を形成するカプセルフィルタ要素が、再利用できるステンレススチールハウジング内に密封される。
【0059】
[0064]以下で更に詳しく説明されるように、一連の検査が行なわれる。最初に、第1の(基準)パターンを与えるため、穿孔されていない膜を含むデバイスを用いて、7.5L/分の流量で検査が行なわれる。その後、膜が1回穿孔され、穿孔された膜を含むデバイスを用いて同じ流量で検査が行なわれ(第2のパターンを与えるため)、続いて、もう1回、膜を穿孔し、当該流量で再びデバイスを検査する(第3のパターンを与える)。
【0060】
[0065]フィルタ要素製造メーカの推奨プロトコルにしたがってクロマトグラフィデバイスが予調整される(例えば、湿潤されて洗浄される)
【0061】
[0066]平衡化バッファを使用してデバイスが平衡化される。
【0062】
[0067]デバイスへつながるライン内へ60mlパルスが注入され、その後、平衡化バッファが検査流量でデバイスに通され、また、デバイスの出口側での連続UV260nm監視が維持される。
【0063】
[0068]パルスの結合の後、平衡化バッファが検査流量でデバイスに通され、それにより、UVフローセルへつながるパルス点から等価な量がシステムを通過し、その後、結合された検体を溶出するため、溶出バッファが検査流量で通過する。
【0064】
[0069]AMPは、低い電荷密度を有しており、膜から容易に溶出される。
【0065】
[0070]図2(黒菱形マーク◆を用いたライン)は、第1の検査から生じる基準パターンを示している。
【0066】
[0071]その後、デバイスが更なる検査のために再利用される。この場合、各検査の前にフィルタ要素が穿孔される。各検査の前、ステンレススチールハウジングが開放され、0.71mm直径の穴を形成する針が16個の全ての層を通じて刺入される。第1の検査において1つの穴が形成され、第2の検査において更なる穴が形成される。穴を形成した後、フィルタ要素がハウジング内で再密封される。
【0067】
[0072]第2及び第3のパターン(それぞれ、図2の黒四角マーク■及び黒三角マーク▲を用いたライン)を生成するため、前述したようにデバイスが予調整されて検査される。
【0068】
[0073]第1の(基準)パターン(黒菱形マーク◆を用いたライン)は、鋭い略対称なピークで検体が一体の膜から溶出されることを示している。第2及び第3のパターン(黒四角マーク■及び黒三角マーク▲を用いたライン)は、溶出された検体の2つのピーク、すなわち、完全性の欠陥を反映する早期破過ピーク、及び、膜の非欠陥部分から溶出されるパルス検体の残りの部分を反映する後期ピークを示している。
【実施例2】
【0069】
[0074]この実施例は、溶出された低分子量検体を溶出溶液から分離できることを示している。
【0070】
[0075]実施例1(第1の検査)からの検体を含む溶出液が以下のようにダイアフィルタリングされる。MINIM(商標)ポンプステーション(Pall Corporation,ニューヨーク州イーストヒルズ)及びOMEGA(商標)限外濾過膜を含むCENTRAMATE(商標)膜カセット(10000分子量カットオフ)(Pall Corporation,ニューヨーク州イーストヒルズ)が製造メーカの推奨プロトコルにしたがってセットアップされる。ダイアフィルタリングは、10ダイアボリュームの25mM Tris−HCl(pH8)バッファを使用して定容量操作として行なわれる。保持物及び透過物の両方においてUV260nm吸光度が監視される。保持物においてUV260nm吸光度の検出は無く、また、透過物はAMPの99%を超える値を有することが分かっており、したがって、低分子量AMPが溶出流体から分離されることを示している。
【実施例3】
【0071】
[0076]この実施例は、3つの異なる流量でプラスに帯電したクロマトグラフィ膜の完全性及びクロマトグラフィタイプを当該膜がハウジング内で密封されるときに決定するために本発明の一実施形態を使用できることを実証する。
【0072】
[0077]選択された検体、すなわち、AMPは、3mg/mlの25mM TRISバッファ(pH8.0)で溶解される。60mlパルスAMP溶液が調製される。
【0073】
[0078]平衡化バッファは25mM TRIS(pH8.0)であり、溶出バッファは1M NaCl中における25mM TRIS(pH8.0)である。
【0074】
[0079]クロマトグラフィデバイスを形成するため、16層の襞のあるプラスに帯電した膜(MUSTANG(商標)Q膜,Pall Corporation,ニューヨーク州イーストヒルズ)を有し且つ中空円筒要素を形成するカプセルフィルタ要素が、再利用できるステンレススチールハウジング内に密封される。
【0075】
[0080]以下で更に詳しく説明されるように、一連の検査が行なわれる。最初に、第1の(基準)パターンを与えるため、穿孔されていない膜を含むデバイスを用いて、1.5、5、7.5L/分(別個の検査)の流量で検査が行なわれる。その後、膜が1回穿孔され、穿孔された膜を含むデバイスを用いて3つの流量で検査が行なわれ(第2のパターンを与えるため)、続いて、もう1回、膜を穿孔し、3つの流量で再びデバイスを検査する(第3のパターンを与える)。
【0076】
[0081]フィルタ要素製造メーカの推奨プロトコルにしたがってクロマトグラフィデバイスが予調整される(例えば、湿潤されて洗浄される)
【0077】
[0082]平衡化バッファを使用してデバイスが平衡化される。
【0078】
[0083]デバイスへつながるライン内へ60mlパルスが注入され、その後、平衡化バッファが所望の流量(1.5、5、7.5L/分)でデバイスに通され、また、デバイスの出口側での連続UV260nm監視が維持される。
【0079】
[0084]パルスの結合の後、平衡化バッファが検査流量でデバイスに通され、それにより、UVフローセルへつながるパルス点から等価な量がシステムを通過する。その後、結合された検体を溶出するため、溶出バッファが所望の流量でデバイスに通される。
【0080】
[0085]AMPは、低い電荷密度を有しており、膜から容易に溶出される。
【0081】
[0086]図3Aは、第1の検査から生じる基準パターンを示している。
【0082】
[0087]デバイスは、その後、更なる検査のために再利用される。この場合、各検査の前にフィルタ要素が穿孔される。各検査の前、ステンレススチールハウジングが開放され、0.71mm直径の穴を形成する針が16個の全ての層を通じて刺入される。第1の検査において1つの穴が形成され、第2の検査において更なる穴が形成される。穴を形成した後、フィルタ要素がハウジング内で再密封される。
【0083】
[0088]第2及び第3のパターン(図3B及び図3C)を生成するため、前述したようにデバイスが予調整されて検査される。
【0084】
[0089]図3Aは、各流量(1.5、5、7.5L/分)において鋭い略対称なピークで検体が一体の膜から溶出されることを示している。図3B及び図3Cは、各流量において溶出された検体の2つのピーク、すなわち、完全性の欠陥を反映する早期破過ピーク、及び、膜の非欠陥部分から溶出されるパルス検体の残りの部分を反映する後期ピークを示している。また、図3B及び図3Cは、更に低い流量では破過ピークが更に顕著となることを示しており、したがって、幾つかの用途では、検査の感度を増大させるために、更に低い流量が望ましい場合がある。
【実施例4】
【0085】
[0090]この実施例は、ハウジング内で密封されたマイナスに帯電したクロマトグラフィ膜のクロマトグラフィタイプを決定するために本発明の一実施形態を使用できることを実証する。
【0086】
[0091]選択された検体、すなわち、プラスに帯電されるアデノシンは、3mg/mlの10mM酢酸(pH4)で溶解される。60mlパルスアデノシン溶液が調製される。
【0087】
[0092]平衡化バッファは10mM酢酸(pH4)であり、溶出バッファは1M NaCl中における10mM酢酸(pH4)である。
【0088】
[0093]クロマトグラフィデバイスを形成するため、16層の襞のあるマイナスに帯電した膜(MUSTANG(商標)S膜,Pall Corporation,ニューヨーク州イーストヒルズ)を有し且つ中空円筒要素を形成するカプセルフィルタ要素が、再利用できるステンレススチールハウジング内に密封される。
【0089】
[0094]フィルタ要素製造メーカの推奨プロトコルにしたがってクロマトグラフィデバイスが予調整される(例えば、湿潤されて洗浄される)。
【0090】
[0095]平衡化バッファを使用してデバイスが平衡化される。
【0091】
[0096]デバイスへつながるライン内へ60mlパルスが注入され、その後、平衡化バッファが7.5L/分の所望の流量でデバイスに通され、また、デバイスの出口側での連続UV260nm監視が維持される。
【0092】
[0097]パルスの結合の後、平衡化バッファが検査流量でデバイスに通され、それにより、UVフローセルへつながるパルス点から等価な量がシステムを通過する。その後、結合された検体を溶出するため、溶出バッファが検査流量でデバイスに通される。
【0093】
[0098]アデノシンは、低い電荷密度を有しており、膜から容易に溶出される。
【0094】
[0099]デバイスを通じてアデノシンパルスを洗浄する際に検出できるUV吸収ピークが存在しないということは、バイパスを伴うことなくカプセルフィルタ要素の膜を通じて液体が流れることを表わしている。結合されたアデノシンの溶出は、プラスに帯電したアデノシンがマイナスに帯電した膜に結合することを表わしている。
【実施例5】
【0095】
[0100]この実施例は、ハウジング内で密封された固定化金属アフィニティクロマトグラフィ(IMAC)膜のクロマトグラフィタイプを決定するために本発明の一実施形態を使用できることを実証する。
【0096】
[0101]選択された検体、すなわち、シトクロムc(horse heart,Sigma−Aldrich Company,ミズーリ州セントルイス)は、0.2mg/mlの10mM Trisバッファ(pH8)で溶解される。5mlパルスシトクロムcが調製される。
【0097】
[0102]平衡化バッファは10mMTrisバッファ(pH8)であり、溶出バッファは、pH7.0の20mM NaHPO中における1.0M NHClである。
【0098】
[0103]デバイス製造メーカの推奨プロトコルにしたがって、IMAC膜クロマトグラフィデバイス(SARTOBIND(登録商標)IDA75Membrane Adsorber,Sartorius Corporation,ニューヨーク州エッジウッド)が予調整(例えば、湿潤されて洗浄される)されてCu2+形態で帯電される。
【0099】
[0104]平衡化バッファを使用してデバイスが平衡化される。
【0100】
[0105]デバイスへつながるライン内へ5mlパルスが注入され、その後、平衡化バッファが20mL/分の所望の流量で注入され、また、デバイスの出口側での連続UV280nm監視が維持される。
【0101】
[0106]パルスの結合の後、平衡化バッファが検査流量でデバイスに通され、それにより、UVフローセルへつながるパルス点から等価な量がシステムを通過する。その後、結合された検体を溶出するため、溶出バッファが検査流量でデバイスに通される。
【0102】
[0107]シトクロムcは膜から容易に溶出される。
【0103】
[0108]デバイスを通じてシトクロムcパルスを洗浄する際に検出できるUV吸収ピークが存在しないということは、バイパスを伴うことなくユニットの膜を通じて液体が流れることを表わしている。溶出バッファ中の結合されたシトクロムcの溶出は、シトクロムcがIMAC膜のCu2+形態に結合することを表わしている。
【実施例6】
【0104】
[0109]この実施例は、ハウジング内で密封されたアフィニティクロマトグラフィ膜のクロマトグラフィタイプを決定するために本発明の一実施形態を使用できることを実証する。
【0105】
[0110]選択された検体、すなわち、ポリクローナルIgGは、10mMリン酸ナトリウムバッファ(pH7.4)中における1.0mg/mlの0.14M塩化ナトリウムで溶解される。0.02mlパルスポリクローナルIgG溶液が調製される。
【0106】
[0111]平衡化バッファは10mMリン酸ナトリウムバッファ(pH7.4)中における0.14M塩化ナトリウムであり、溶出バッファは、0.1Mクエン酸ナトリウムバッファ(pH2.5)である。
【0107】
[0112]クロマトグラフィデバイスを形成するために、Sartobind(登録商標)プロテインA膜(Sartobind Corporation,ニューヨーク州エッジウッド)が、再利用可能なハウジング内で密封される。
【0108】
[0113]フィルタ要素製造メーカの推奨プロトコルにしたがってクロマトグラフィデバイスが予調整される(例えば、湿潤されて洗浄される)。
【0109】
[0114]平衡化バッファを使用してデバイスが平衡化される。
【0110】
[0115]デバイスへつながるライン内へ0.02mlパルスが注入され、その後、平衡化バッファが2mL/分の所望の流量で注入され、また、デバイスの出口側での連続UV280nm監視が維持される。
【0111】
[0116]パルスの結合の後、平衡化バッファが検査流量でデバイスに通され、それにより、UVフローセルへつながるパルス点から等価な量がシステムを通過する。その後、結合された検体を溶出するため、溶出バッファが検査流量でデバイスに通される。
【0112】
[0117]ポリクローナルIgGは膜から容易に溶出される。
【0113】
[0118]デバイスを通じてポリクローナルIgGパルスを洗浄する際に検出できるUV吸収ピークが存在しないということは、バイパスを伴うことなくカプセルフィルタ要素の膜を通じて液体が流れることを表わしている。結合されたポリクローナルIgGの溶出は、ポリクローナルIgGがプロテインA膜に結合することを表わしている。
【実施例7】
【0114】
[0119]この実施例は、組立済みの市販のクロマトグラフィカプセルの完全性を決定し且つハウジング内で密封されたプラスに帯電したクロマトグラフィ膜のクロマトグラフィタイプを決定するために本発明の一実施形態を使用できることを実証する。
【0115】
[0120]選択された検体、すなわち、AMPは、3mg/mLの水で溶解される。
【0116】
[0121]溶出バッファは、1M NaCl中における25mM TRIS(pH8.0)である。
【0117】
[0122]製造メーカの推奨プロトコルにしたがって、MUSTANG(商標)Q XT5000カプセル(Pall Corporation,ニューヨーク州イーストヒルズ)が予調整される(例えば、湿潤されて洗浄される)。
【0118】
[0123]上端通気弁が開放され、カプセルを通じて水が50L/分で圧送される。空気がシステムから通気されると、通気弁が閉じられ、約20リットルがカプセルに通されるまでポンプ圧送が続く。
【0119】
[0124]ポンプがOFFにされ、また、300mLパルスのAMP溶液(3mg/mLの水)が、ポンプの後で且つカプセルの入口の前の場所にあるライン内に注入される。
【0120】
[0125]約1分間にわたって或いは十分な時間が経過するまでポンプが50L/分でONに戻され、それにより、UVフローセルへつながるAMP点から等価な量がシステムを通過する。AMPパルスがプラスに帯電した膜に結合したことを表わすこのステップ中に検出できるUV260nm信号は殆ど存在せず或いは全く存在しない。
【0121】
[0126]ポンプが停止され、ポンプ供給が溶出バッファへ切り換えられる。
【0122】
[0127]AMPパルスの溶出が完了されてUV260nm信号がベースラインに戻るまでポンプが50L/分でONに戻される。
【0123】
[0128]結果が図4のグラフに示されている。グラフは、プロセスストリーム中の素通り部分にUV260nm信号の欠如及び溶出ステップ中におけるAMPの鋭いピークの検出を示しており、したがって、カプセルの完全性を示し、膜のクロマトグラフィタイプを裏付けている。
【実施例8】
【0124】
[0129]この実施例は、密閉されたデバイスを形成するステンレススチール円筒ハウジング内で同じく密封された陰イオン交換ラジアルフローモノリスクロマトグラフィカラムの完全性を決定するために本発明の一実施形態を使用できることを実証する。
【0125】
[0130]選択された検体、すなわち、AMPは、pH7.4の3mg/mlの20mM Trisバッファで溶解される。
【0126】
[0131]この平衡化バッファはpH7.4の20mM Tris−HClであり、溶出バッファは、平衡化バッファ中における1M NaClを含んでいる。
【0127】
[0132]カラムは、8mlの第4級アミン陰イオン交換対流双方向メディア(CIM(登録商標)QA−8チューブ、Bia Separation, JM Science Inc.ニューヨーク州グランドアイランド)を含んでおり、ラジアルフロー形態を成すとともに、再利用可能なステンレススチールハウジング内に密封される。このデバイスは、AKTA 100クロマトグラフィワークステーション(GE Healthcare,Piscataway ニューヨーク州)内へ圧送される。
【0128】
[0133]密封されたカラムは平衡化バッファを使用して平衡化される。
【0129】
[0134]カラムへつながるライン内へ0.5mlアリコートのAMP溶液が注入され、その後、平衡化バッファが16mL/分の所望の流量でカラムに通され、また、デバイスの出口側での連続UV260nm監視が維持される。
【0130】
[0135]パルスの結合の後、平衡化バッファが検査流量でラジアルフローカラムに通され、それにより、UVフローセルへつながるパルス点から等価な量がシステムを通過する。その後、結合された検体を溶出するため、溶出バッファが検査流量でカラムに通される。
【0131】
[0136]AMPは、低い電荷密度を有しており、カラムから容易に溶出される。
【0132】
[0137]カラムを通じてAMPを洗浄する際に検出できるUV吸収ピークが存在しないということは、バイパスを伴うことなくカラム陰イオン交換マトリクス樹脂を通じて液体が流れることを表わしている。結合されたAMPの溶出は、マイナスに帯電したAMPがプラスに帯電したマトリクス樹脂に結合することを表わしている。
【0133】
[0138]本明細書中で挙げられた刊行物、特許出願、及び、特許を含む全ての引用文献は、参照によって、あたかも各引用文献が参照によって本明細書に組み込まれるように個別に且つ具体的に示されたかのように且つその全体が本明細書中に記載されたかのように、同じ程度まで本明細書に組み込まれたものとする。
【0134】
[0139]本発明を説明する文脈中(特に、以下の請求項の文脈中)の用語“1つ(a)”“1つ(an)”“その(the)”及び同様の対象の使用は、本明細書中にそれ以外のことが示されていなければ或いは文脈により明らかに矛盾しなければ、単数及び複数の両方を網羅するように解釈されるべきである。本明細書中の値の範囲の列挙は、本明細書中にそれ以外のことが示されていなければ、その範囲に入るそれぞれの別個の値を個別に示す省略法の役割を果たすべく単に意図されており、また、それぞれの別個の値は、あたかもそれが本明細書中に個別に列挙されたかのように明細書中に組み込まれる。本明細書中に記載された全ての方法は、本明細書中にそれ以外のことが示されていなければ或いは文脈により明らかに矛盾しなければ、任意の適切な順序で行なうことができる。本明細書中で与えられる任意の全ての例又は典型的な用語(例えば、「など」)の使用は、本発明をより良く例示することを単に意図されており、それ以外が主張されていなければ、本発明の範囲に限定をもたらさない。明細書中の用語は、任意の請求されていない要素を本発明の実行にとって必須のものとして示すように解釈されるべきではない。
【0135】
[0140]本明細書中には、本発明を実行するための本発明者に知られる最良の形態を含むこの発明の好ましい実施形態が記載されている。無論、以上の説明を読めば、これらの好ましい実施形態の変形例は当業者に明らかとなる。本発明者は、当業者がそのような変形を必要に応じて使用することを予期しており、また、本発明者は、本明細書中に具体的に記載された方法以外の方法で本発明が実施されることを意図している。したがって、この発明は、適用可能な法律によって許容されるように添付の請求項に記載された主題の改良及び等価物の全てを含む。また、前述の要素の任意の組み合わせは、その全ての想定し得る変形において、本明細書中にそれ以外のことが示されていなければ或いは文脈により明らかに矛盾しなければ、本発明によって包含される。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の一実施形態に係る検査され得るクロマトグラフィ膜を含む例示的な密封されたクロマトグラフィカプセルの斜視図及び断面図を示している。
【図2】各検査前にフィルタ要素として配置され且つ再利用可能なハウジング内に密封された膜における溶出パターンを示しており、3つの溶出パターンを単一のグラフで示している。第1のパターン(基準パターン)を与えるために既知の完全な膜が検査され、膜は、1回穿孔されるとともに、第2のパターを与えるために検査された。膜は、再び穿孔され、第3のパターンを与えるために検査された。
【図3】各検査前にフィルタ要素として配置され且つ再利用可能なハウジング内に密封された膜における溶出パターンを示しており、3組の溶出パターンを示している。第1のパターン(基準パターン;図3A)を与えるために既知の完全な膜が3つの異なる流量で検査され、膜は、1回穿孔されるとともに、第2のパターン(図3B)を与えるために3つの流量で検査された。膜は、再び穿孔され、第3のパターン(図3C)を与えるために3つの流量で検査された。
【図4】市販のクロマトグラフィカプセルの完全性検査及びクロマトグラフィタイプ検査からの溶出パターンを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内で密封されたクロマトグラフィ膜の完全性を検査するための方法であって、
ハウジングと、前記ハウジング内で密封された検査されるべき1つ以上のクロマトグラフィ膜とを有するクロマトグラフィデバイスを用意するステップと、
標準的な結合条件下で前記クロマトグラフィ膜に結合する選択された検体を用意するステップと、
前記検体を標準的な結合条件下で前記クロマトグラフィ膜と接触した状態で配置するステップと、
溶出流体を用いて前記クロマトグラフィ膜から前記検体を溶出して、溶出検体を含む溶出液を形成するステップであり、前記溶出検体が前記溶出液中における測定可能な濃度を有するものである、ステップと、
前記溶出液中における前記溶出検体の所定時間にわたる濃度変化を測定して、検査膜における溶出パターンを与えるステップと、
検査されるべき前記クロマトグラフィ膜における前記溶出パターンと既知の完全なクロマトグラフィ膜における基準溶出パターンとを比較するステップと、
検査されるべき前記クロマトグラフィ膜の完全性を決定するステップと
を備える方法。
【請求項2】
ハウジング内で密封されたクロマトグラフィモノリスの完全性を検査するための方法であって、
ハウジングと、前記ハウジング内で密封された検査されるべき1つ以上のクロマトグラフィモノリスとを備えるクロマトグラフィデバイスを用意するステップと、
標準的な結合条件下で前記クロマトグラフィモノリスに結合する選択された検体を用意するステップと、
前記検体を標準的な結合条件下で前記クロマトグラフィモノリスと接触した状態で配置するステップと、
溶出流体を用いて前記クロマトグラフィモノリスから前記検体を溶出して、溶出検体を含む溶出液を形成するステップであり、前記溶出検体が前記溶出液中における測定可能な濃度を有する、ステップと、
前記溶出液中における前記溶出検体の所定時間にわたる濃度変化を測定して、検査されるべき前記クロマトグラフィモノリスにおける溶出パターンを与えるステップと、
検査されるべき前記クロマトグラフィモノリスにおける前記溶出パターンと既知の完全なクロマトグラフィモノリスにおける基準溶出パターンとを比較するステップと、
検査されるべき前記クロマトグラフィモノリスの完全性を決定するステップと
を備える方法。
【請求項3】
ハウジング内で密封されたクロマトグラフィ膜のタイプ及び完全性を検査するための方法において、
標準的な結合条件下で、特定のクロマトグラフィタイプを有するクロマトグラフィ膜に結合することができる、選択された検体を用意するステップと、
ハウジングと、前記ハウジング内で密封された検査されるべき1つ以上のクロマトグラフィ膜とを備えるクロマトグラフィデバイスを用意するステップであり、前記クロマトグラフィ膜が検査されるべきクロマトグラフィタイプを有し、前記クロマトグラフィ膜が特定のクロマトグラフィタイプを有するかどうかを決定するようになっている、ステップと、
前記検体を標準的な結合条件下で前記クロマトグラフィ膜と接触した状態で配置するステップであり、前記クロマトグラフィ膜が特定のクロマトグラフィタイプを有する場合に前記検体が前記クロマトグラフィ膜に結合するものである、ステップと、
前記クロマトグラフィ膜を溶出流体と接触させて溶出液を形成するステップであり、検査されるべき前記クロマトグラフィ膜が特定のクロマトグラフィタイプを有する場合には前記溶出液が溶出検体を含み、前記溶出検体が前記溶出液中における測定可能な濃度を有するものである、ステップと、
前記溶出液中における前記溶出検体の所定時間にわたる濃度変化を測定して、検査されるべき前記クロマトグラフィ膜における溶出パターンを与えるステップと、
検査されるべき前記クロマトグラフィ膜における前記溶出パターンと既知の完全なクロマトグラフィ膜における基準溶出パターンとを比較するステップと、
前記クロマトグラフィ膜の完全性を決定するとともに、前記クロマトグラフィ膜が特定のクロマトグラフィタイプを有しているかどうかを決定するステップと
を備える方法。
【請求項4】
ハウジング内で密封されたクロマトグラフィモノリスのタイプ及び完全性を検査するための方法において、
標準的な結合条件下で、特定のクロマトグラフィタイプを有するクロマトグラフィモノリスに結合することができる、選択された検体を用意するステップと、
ハウジングと、前記ハウジング内で密封された検査されるべき1つ以上のクロマトグラフィモノリスとを備えるクロマトグラフィデバイスを用意するステップであり、前記クロマトグラフィモノリスが検査されるべきクロマトグラフィタイプを有し、前記クロマトグラフィモノリスが特定のクロマトグラフィタイプを有するかどうかを決定するようになっている、ステップと、
前記検体を標準的な結合条件下で前記クロマトグラフィモノリスと接触した状態で配置するステップであり、前記クロマトグラフィモノリスが特定のクロマトグラフィタイプを有する場合に前記検体が前記クロマトグラフィモノリスに結合するものである、ステップと、
前記クロマトグラフィモノリスを溶出流体と接触させて溶出液を形成するステップであり、検査されるべき前記クロマトグラフィモノリスが特定のクロマトグラフィタイプを有する場合には前記溶出液が溶出検体を含み、前記溶出検体が前記溶出液中における測定可能な濃度を有するものである、ステップと、
前記溶出液中における前記溶出検体の所定時間にわたる濃度変化を測定して、検査されるべき前記クロマトグラフィモノリスにおける溶出パターンを与えるステップと、
検査されるべき前記クロマトグラフィモノリスにおける前記溶出パターンと既知の完全なクロマトグラフィモノリスにおける基準溶出パターンとを比較するステップと、
前記クロマトグラフィモノリスの完全性を決定するとともに、前記クロマトグラフィモノリスが特定のクロマトグラフィタイプを有しているかどうかを決定するステップと
を備える方法。
【請求項5】
前記クロマトグラフィ膜のクロマトグラフィタイプを検査するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記クロマトグラフィモノリスのクロマトグラフィタイプを検査するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
検査されるべき前記クロマトグラフィタイプが、帯電、親和性、HIC、IMAC、HCIC及びTCから構成されるグループから選択される、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
検査されるべき前記クロマトグラフィタイプがプラスに帯電されるものである、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項9】
検査されるべき前記クロマトグラフィタイプがマイナスに帯電されるものである、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項10】
前記特定のクロマトグラフィタイプが、帯電、親和性、HIC、IMAC、HCIC及びTCから構成されるグループから選択される、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項11】
前記特定のクロマトグラフィタイプがプラスに帯電されるものである、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項12】
前記特定のクロマトグラフィタイプがマイナスに帯電されるものである、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項13】
前記クロマトグラフィデバイスがその内部に密封された複数の膜を含む、請求項1,3,5,7〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記クロマトグラフィ膜が内部に密封されたクロマトグラフィカプセルの完全性を検査するステップを備える、請求項1、3、5、7〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記溶出液中の検体を前記溶出流体から分離するステップを更に備える、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−518650(P2009−518650A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544603(P2008−544603)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/061009
【国際公開番号】WO2007/120272
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(596064112)ポール・コーポレーション (70)
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
【住所又は居所原語表記】2200 Northern Boulevard East Hills, New York