説明

クロマトグラフィー分離のための多孔質有機・無機ハイブリッド粒子、及びそれらの製造法

【課題】クロマトグラフィー分離用の新規物質、その製造法、及び前記クロマトグラフィー物質を含有する分離装置を提供する。
【解決手段】クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を含み、このとき前記粒子が約110m2/g未満〜約50m2/g未満の範囲のミクロ細孔表面積を有する、多孔質有機・無機ハイブリッド物質。前記ハイブリッド粒子は、望ましくは表面修飾を施すことができ、また当業界に知られているものより効率的なクロマトグラフィー分離をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本出願は、2001年8月7日付け出願の米国特許出願第09/924,399号に対する優先権を特許請求する。前記米国特許出願第09/924,399号は、2001年5月14日付け出願の米国特許出願
第09/858,087号の一部継続出願であり、前記米国特許出願第09/858,087号は、1999年2月5日付け出願の米国特許出願第09/244,795号(現在は出願が放棄されている)の一部継続出願である。これら米国特許出願の全開示内容を参照により本明細書に含める。
[発明の背景]
液体クロマトグラフィー(LC)用の充填物質は、一般には2つのタイプ、すなわち有機物
質(例えばポリジビニルベンゼン)とシリカで代表される無機物質とに分けられる。有機物質の多くは、強アルカリ性及び強酸性の移動相に対して化学的に安定であり、移動相のpHの選択において自由度が増す。しかしながら有機クロマトグラフィー物質を使用すると、一般には効率の低いカラムが得られ、特に、低分子量の検体の場合には分離性能が不十分となる。さらに、有機クロマトグラフィー物質の多くは、移動相の組成が変わると収縮や膨張を起こしたりする。さらに、有機クロマトグラフィー物質のほとんどは、代表的なクロマトグラフィー用シリカが示すような機械的強度を有していない。
【0002】
主としてこうした制約のために、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)において最も広く使用されている物質はシリカである。殆どの通常用途では、有機官能基〔例えば、オクタデシル(C18)、オクチル(C8)、フェニル、アミノ、又はシアノなど〕で表面誘導体化され
たシリカが使用される。HPLC用の固定相としてこれらの充填物質を使用すると、高い効率を有し、収縮や膨張の徴候を示さないカラムが得られる。
【0003】
シリカは、その表面上にシラノール基が存在するのが特徴である。一般的な誘導体化プロセス(例えば、オクタデシルジメチルクロロシランとの反応)においては、表面シラノール基の少なくとも50%が未反応のまま残る。これらの残留シラノール基が、イオン交換メ
カニズム、水素結合メカニズム、及び双極子-双極子メカニズムによって塩基性検体や酸
性検体と相互作用する。残留シラノール基は、ある種の検体に対する保持時間の増大、過剰なピークテーリング、及び不可逆的な吸着を含めた種々の問題を引き起こす。シリカをベースとするカラムがもつもう一つの欠点は、加水分解安定性に限界があるということである。第一に、シリカの誘導体化が不十分であると、アルカリ性条件下(一般にはpH>8.0)にて容易に溶解しうるむき出しのシリカ表面のパッチが残り、この結果クロマトグラフィーベッドの崩壊を引き起こすことがある。第二に、結合相が、移動相によって酸性条件下(一般にはpH<2.0)にて表面から剥がされてカラムから溶出されることがあり、このため、検体保持量の損失と表面シラノール基の濃度増大が引き起こされる。
【0004】
シリカベース固定相における残留シラノール基の作用の問題と加水分解安定性の問題を解消するために、超高純度シリカを使用すること、炭化シリカ(carbonized silica)を使
用すること、シリカの表面をポリマー物質で被覆すること、遊離のシラノール基を短鎖の試剤(例えばトリメチルシラン)で末端キャップすること、及びアミン等のサプレッサーを溶離液に加えることを含めた多くの方法が検討されている。これらのアプローチは、実際上、充分に満足できるものであることが実証されていない。
【0005】
1つのアプローチが米国特許第4,017,528号に開示されている。該特許には、アルキル官能価をシリカの骨格構造と表面とにカッブリングさせる、という“ハイブリッド”シリカの製造法が記載されている。この‘528特許によれば、ハイブリッドシリカは2つの方法によって製造することができる。第1の方法では、テトラエトキシシラン(TEOS)とオルガノ
トリエトキシシラン(例えばアルキルトリエトキシシラン)との混合物を酸触媒の存在下で同時加水分解して、ポリオルガノエトキシシロキサン(POS)オリゴマー(例えばポリアルキルエトキシシロキサンオリゴマー)を含有する液体物質を形成させる。次いで、POSを水性媒体中に懸濁し、塩基触媒の存在下にてゲル化させて多孔質粒子にする。第2の方法では
、懸濁液滴がオルガノトリエトキシシラン(例えばアルキルトリエトキシシラン)とポリエトキシシロキサン(PES)オリゴマーとの混合物であること、そして後者がTEOSの部分加水
分解によって製造されること以外は、同様の方法によって多孔質粒子を製造する。
【0006】
‘528ハイブリッド物質には幾つかの問題がある。第1に、これらのハイブリッド物質は多くのミクロ細孔(すなわち34Å未満の直径を有する細孔)を含有する。周知のように、このようなミクロ細孔は溶質の物質移動を阻害し、この結果、ピーク形状の悪化とバンドの広がりが起こる。
【0007】
第2に、‘528ハイブリッド物質の細孔構造は、油状懸濁液滴中にエタノール(ゲル化プ
ロセスの副生物)が存在するので形成される。細孔容積はPOSとPESの分子量によって制御
される。POS又はPESの分子量が低くなるほど、ゲル化反応時においてより多くのエタノールが生成されるようになり、したがってより大きな細孔容積が得られる。しかしながら、ゲル化時に生成するエタノールの一部は、分割によって水性相中に拡散することができる。懸濁液滴中に生成するエタノールの量が多すぎれば、エタノールが分割されることで液滴の構造が崩壊し、このため球状粒子とは対照的な不規則形状粒子が形成される。したがって、‘528特許に記載の、ハイブリッド物質の細孔容積を制御する方策はとりわけ、約0.8cm3/gより大きい細孔容積をもつ高度に球状のハイブリッド粒子の製造に対しては特定
の制約を受ける。当業界においてよく知られているように、不規則形状の物質は球状物質より充填するのが困難である。さらに周知のように、不規則形状物質を充填したカラムは一般に、同じサイズの球状物質を充填したカラムより充填ベッドの安定性が劣る。
【0008】
第三に、‘528ハイブリッド物質は、不均質な粒子モルホロジーを有することを特徴と
し、溶質分子に対する良くない物質移動特性を含めた望ましくないクロマトグラフィー特性を示す。これは、塩基触媒がPOS液滴の表面近くで速やかに反応し、これにより極めて
小さな孔を有する“スキン付き(skinned)”層が形成される、というゲル化メカニズムの
結果である。この外側層を通って液滴中心への触媒の拡散によって液滴の内部におけるさらなるゲル化が制限され、粒子中心と外側層との間の位置の関数として変化しうる骨格モルホロジー及びそれによる細孔形状〔例えば“シェル形状(shell shaped)”〕を有する粒子が生成する。
[発明の概要]
本発明は、クロマトグラフィー分離用の新規物質、前記物質の製造法、及びクロマトグラフィー物質を含有する分離装置に関する。特に、本発明の1つの態様は、クロマトグラ
フィーを促進する細孔形状(a chromatographically-enhancing pore geometry)を有する
多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を含んだ多孔質有機・無機ハイブリッド物質である。
【0009】
本発明の他の態様は、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を含んだ多孔質有機・無機ハイブリッド物質である。これらの粒子は、式Za(R’)bSi-R(式中、Zは、Cl、Br、I、C1-C5アルコキシ、ジアルキルアミノ、又はトリフルオロメタンスルホネートであり;aとbはそれぞれ、a+b=3という条件にて0〜3の整数であり;R’は、C1-C6の直鎖アルキル基、環状アルキル基、もしくは分岐鎖アルキル基であり;Rは官能化基(a functionalizing group)である)を有する表面修飾剤で表面修飾
されている。
【0010】
本発明のさらに他の態様は、
a) 多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を形成させる工程、及び
b) 前記多孔質粒子の細孔構造を修飾する工程
を含む、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子の製造法である。
【0011】
本発明のさらに他の態様においては、本発明は、
a) 多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を形成させる工程、
b) 前記多孔質粒子の細孔構造を修飾する工程、及び
c) 前記多孔質粒子を表面修飾する工程
を含み、このとき前記表面修飾工程が、式Za(R’)bSi-R(式中、Zは、Cl、Br、I、C1-C5アルコキシ、ジアルキルアミノ、又はトリフルオロメタンスルホネートであり;aとbはそれぞれ、a+b=3という条件にて0〜3の整数であり;R’は、C1-C6の直鎖アルキル基、環状ア
ルキル基、もしくは分岐鎖アルキル基であり;Rは官能化基である)を有する表面修飾剤で前記多孔質粒子を表面修飾することを含む、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子の製造法である。
【0012】
本発明のさらに他の態様は、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を含んだ固定相を有する分離装置である。
本発明のさらに他の態様は、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を含んだ固定相を有する分離装置であって、このとき前記粒子が、式Za(R’)bSi-R(式中、Zは、Cl、Br、I、C1-C5アルコキシ、ジアルキルアミノ、又はトリフルオロメタンスルホネートであり;aとbはそれぞれ、a+b=3という条件にて0〜3の
整数であり;R’は、C1-C6の直鎖アルキル基、環状アルキル基、もしくは分岐鎖アルキル基であり;Rは官能化基である)を有する表面修飾剤で表面修飾されている上記装置である。
【0013】
本発明のさらに他の態様は、
a) 充填物質を受け入れるための円柱状内部を有するカラム;及び
b) 式SiO2/(R2pR4qSiOt)n又はSiO2/[R6(R2rSiOt)m]n(式中、R2とR4は独立的に、C1-C18の脂肪族部分もしくは芳香族部分であり;R6は、2つ以上のケイ素原子を橋架けしている、置換もしくは未置換のC1-C18アルキレン部分、C1-C18アルケニレン部分、C1-C18アルキニレン部分、又はC1-C18アリーレン部分であり;pとqは、p+q=1又は2であるという条件にて、そしてp+q=1のときt=1.5であって、p+q=2のときt=1であるという条件にて0、1、又は2であり;rは、r=0のときt=1.5であって、r=1のときt=1であるという条件にて0又は1であり;mは2以上の整数であり;nは0.03〜1の数である)で示される、クロマトグラフィーを
促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を含む充填されたクロマトグラフィーベッド、このとき前記多孔質ハイブリッドシリカのクロマトグラフィーマトリックスが、クロマトグラフィーを促進する細孔形状と約100〜300Åの平均細孔直径を有し、前記ハイブリッドシリカの多孔質粒子が表面修飾されている;
を含む、改善された耐用年数を有するクロマトグラフィーカラムである。
【0014】
本発明のさらに他の態様は、
a) 充填物質を受け入れるための円柱状内部を有するカラム;及び
b) 式Za(R’)bSi-R(式中、Zは、Cl、Br、I、C1-C5アルコキシ、ジアルキルアミノ、又はトリフルオロメタンスルホネートであり;aとbはそれぞれ、a+b=3という条件にて0〜3の整数であり;R’は、C1-C6の直鎖アルキル基、環状アルキル基、もしくは分岐鎖アルキル基であり;Rは官能化基である)を有する表面修飾剤で表面修飾されている、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を含む充填されたクロマトグラフィーベッド;
を含む、改善された耐用年数を有するクロマトグラフィーカラムである。
【0015】
本発明のさらに他の態様は、
a) 1種以上のオルガノアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの混合物を酸触
媒の存在下にて予備重合して、ポリオルガノアルコキシシロキサンを生成させる工程;
b) 前記ポリオルガノアルコキシシロキサンの水性懸濁液を作製し、多孔質粒子が得られるように塩基触媒の存在下でゲル化する工程、このとき前記懸濁液が界面活性剤又は界面活性剤の組み合わせ物をさらに含む;及び
c) 前記多孔質粒子の細孔構造を水熱処理によって修飾する工程;
を含み、これによってクロマトグラフィーを促進する細孔形状を有するハイブリッドシリカの多孔質粒子が製造される、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有するハイブリッドシリカの多孔質粒子の製造法である。
【0016】
本発明のさらに他の態様は、
a) 1種以上のオルガノアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの混合物を酸触
媒の存在下にて予備重合して、ポリオルガノアルコキシシロキサンを生成させる工程;
b) 前記ポリオルガノアルコキシシロキサンの水性懸濁液を作製し、多孔質粒子が得られるように塩基触媒の存在下でゲル化する工程、このとき前記懸濁液が界面活性剤又は界面活性剤の組み合わせ物をさらに含む;及び
c) 前記多孔質粒子の細孔構造を水熱処理によって修飾する工程;
を含み、これによりクロマトグラフィーを促進する細孔形状を有するハイブリッドシリカの多孔質粒子が得られる、というプロセスによって製造される、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有するハイブリッドシリカの多孔質粒子である。
【0017】
本発明のさらに他の態様は、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を含む多孔質有機・無機ハイブリッド物質であり、このとき前記粒子が約110m2/g未満〜約50m2/g未満の範囲のミクロ細孔表面積を有する。
【0018】
本発明のさらに他の態様は、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有していて、式SiO2/(R2pR4qSiOt)n又はSiO2/[R6(R2rSiOt)m]n(式中、R2とR4は独立的に、C1-C18脂肪族
部分、スチリル部分、ビニル部分、プロパノール部分、又は芳香族部分であり;R6は、2
つ以上のケイ素原子を橋架けしている、置換もしくは未置換のC1-C18アルキレン部分、C1-C18アルケニレン部分、C1-C18アルキニレン部分、又はC1-C18アリーレン部分であり;p
とqは、p+q=1又は2であるという条件にて、そしてp+q=1のときt=1.5であって、p+q=2のときt=1であるという条件にて0、1、又は2であり;rは、r=0のときt=1.5であって、r=1のときt=1であるという条件にて0又は1であり;mは2以上の整数であり;nは0.03〜1の数であ
る)を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を含んだ多孔質有機・無機ハイブリッド
物質である。
【0019】
本発明のさらに他の態様は、
a) 多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を形成させる工程、及び
b) 前記多孔質粒子の細孔構造を修飾する工程
を含む、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子の製造法であり、このとき前記粒子が約110m2/g未満〜約50m2/g未満の範囲のミクロ
細孔表面積を有する。
【0020】
本発明のさらに他の態様は、
a) 多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を形成させる工程、
b) 前記多孔質粒子の細孔構造を修飾する工程、及び
c) 前記粒子を表面修飾する工程
を含む、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子の製造法であり、このとき前記粒子が、有機基表面修飾剤、シラノール基表面修飾剤
、ポリマーコーティング表面修飾剤、及びこれらの組み合わせ物からなる群から選択される表面修飾剤によって表面修飾されている。
【0021】
本発明のさらに他の態様は、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を含んだ固定相を有する分離装置であり、このとき前記粒子が約110m2/g未満〜約50m2/g未満の範囲のミクロ細孔表面積を有する。
【0022】
本発明のさらに他の態様は、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を含んだ固定相を有する分離装置であり、このとき前記粒子が、式Za(R’)bSi-R(式中、Zは、Cl、Br、I、C1-C5アルコキシ、ジアルキルアミノ、又はトリフルオロメタンスルホネートであり;aとbはそれぞれ、a+b=3という条件にて0〜3の整数であり;R’は、C1-C6の直鎖アルキル基、環状アルキル基、もしくは分岐鎖アルキル基であり;Rは官能化基である)を有する表面修飾剤で表面修飾されており、前記粒子が約110m2/g未満〜約50m2/g未満の範囲のミクロ細孔表面積を有する。
【0023】
本発明のさらに他の態様は、
a) 充填物質を受け入れるための円柱状内部を有するカラム;及び
b) 式SiO2/(R2pR4qSiOt)n又はSiO2/[R6(R2rSiOt)m]n(式中、R2とR4は独立的に、C1-C18脂肪族部分、スチリル部分、ビニル部分、プロパノール部分、又は芳香族部分であり;R6は、2つ以上のケイ素原子を橋架けしている、置換もしくは未置換のC1-C18アルキレン部分、C1-C18アルケニレン部分、C1-C18アルキニレン部分、又はC1-C18アリーレン部分であり;pとqは、p+q=1又は2であるという条件にて、そしてp+q=1のときt=1.5であって、p+q=2のときt=1であるという条件にて0、1、又は2であり;rは、r=0のときt=1.5であって、r=1のときt=1であるという条件にて0又は1であり;mは2以上の整数であり;nは0.03〜1の数である)で示される、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機
ハイブリッド粒子を含む充填されたクロマトグラフィーベッド、このとき前記多孔質ハイブリッドシリカのクロマトグラフィーマトリックスが、クロマトグラフィーを促進する細孔形状と約100〜300Åの平均細孔直径を有し、前記ハイブリッドシリカの多孔質粒子が表面修飾されている;
を含む、改善された耐用年数を有するクロマトグラフィーカラムである。
【0024】
本発明のさらに他の態様は、
a) 充填物質を受け入れるための円柱状内部を有するカラム;及び
b) クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を含む充填されたクロマトグラフィーベッド、このとき前記粒子が、有機基表面修飾剤、シラノール基表面修飾剤、ポリマーコーティング表面修飾剤、及びこれらの組み合わせ物からなる群から選択される表面修飾剤によって表面修飾されている;
を含む、改善された耐用年数を有するクロマトグラフィーカラムである。
【0025】
本発明のさらに他の態様は、
a) 1種以上のオルガノアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの混合物を酸触
媒の存在下にて予備重合して、ポリオルガノアルコキシシロキサンを生成させる工程;
b) 前記ポリオルガノアルコキシシロキサンの水性懸濁液を作製し、多孔質粒子が得られるように塩基触媒の存在下でゲル化する工程、このとき前記懸濁液が界面活性剤又は界面活性剤の組み合わせ物をさらに含む;及び
c) 前記多孔質粒子の細孔構造を水熱処理によって修飾する工程;
を含み、これによってクロマトグラフィーを促進する細孔形状を有するハイブリッドシリカの多孔質粒子が製造される、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有するハイブリッドシリカの多孔質粒子の製造法である。
【0026】
本発明のさらに他の態様は、
a) 1種以上のオルガノアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの混合物を酸触
媒の存在下にて予備重合して、ポリオルガノアルコキシシロキサンを生成させる工程;
b) 前記ポリオルガノアルコキシシロキサンの水性懸濁液を作製し、多孔質粒子が得られるように塩基触媒の存在下でゲル化する工程、このとき前記懸濁液が界面活性剤又は界面活性剤の組み合わせ物をさらに含む;及び
c) 前記多孔質粒子の細孔構造を水熱処理によって修飾する工程;
を含み、これによりクロマトグラフィーを促進する細孔形状を有するハイブリッドシリカの多孔質粒子が得られる、というプロセスによって製造される、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有するハイブリッドシリカの多孔質粒子に関する。
【0027】
本発明のさらに他の態様は、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を含んだ多孔質有機・無機ハイブリッド物質に関する。
本発明のさらに他の態様は、約34Å未満の直径を有する細孔が当該物質の比表面積の約110m2/g未満〜約50m2/g未満を構成する、という多孔質有機・無機ハイブリッド物質であ
る。
[発明の詳細な説明]
本発明は、下記の定義を参照することによってより詳細に理解されるであろう。
【0028】
「クロマトグラフィーを促進する細孔形状」という用語は、本明細書にて開示されている多孔質有機・無機ハイブリッド粒子の細孔構造の形状を含み、前記細孔構造の形状は、当該物質のクロマトグラフィー分離能力を高めることが見出されており、例えば当業界における他のクロマトグラフィー媒体とは異なる。例えば、ある形状を作製するか、選択するか、あるいは造り上げ、そして種々の特性及び/又はファクターを使用して、当該物質
のクロマトグラフィー分離能力が、例えば、当業界において公知であるか又は従来から使用されている形状と比較して“高められた”かどうかを決定することができる。こうしたファクターの例としては、高い分離効率、より長いカラム寿命、及び高い物質移動特性(
例えば、バンドの広がりの減少や、ピーク形状が良好であることによって示される)など
がある。これらの特性は、当業界に公知の方法を使用して測定又は観察することができる。例えば、本発明の多孔質有機・無機ハイブリッド粒子のクロマトグラフィーを促進する細孔形状は、“インク瓶(ink bottle)”もしくは“貝殻形(shell shaped)”の細孔形状又はモルホロジー(どちらの細孔形状又はモルホロジーも望ましくない。なぜなら物質移動
速度が減少し、従って分離効率が低下するからである)が存在しないことで従来技術の粒
子とは区別される。
【0029】
クロマトグラフィーを促進する細孔形状は、ごくわずかな総数のミクロ細孔と充分な総数のメソ細孔とを含有するハイブリッド粒子において見出される。わずかな総数のミクロ細孔は、約34Å未満の直径の全細孔が粒子の比表面積の約110m2/g未満を構成する場合に
、ハイブリッド粒子において達成される。このような低いミクロ細孔表面積を有するハイブリッド物質は、高い分離効率と良好な物質移動特性を含めたクロマトグラフィー性能の向上(chromatographic enhancements)をもたらす。ミクロ細孔表面積とは、34Å以下の直径を有する細孔の表面積であると定義され、BJH法を使用して、等温線の吸着レッグ(adsorption leg)からの多点窒素吸着分析によって測定される。
【0030】
約35Å〜約500Å(好ましくは例えば約60Å〜約500Å、さらに好ましくは例えば約100Å〜約300Å)の全細孔が、物質の比表面積に関して、例えば35〜約750m2/g(好ましくは例えば約65〜550m2/g、さらに好ましくは例えば約100〜350m2/g)を構成する場合に、ハイブリッド物質において充分な総数のメソ細孔が達成される。
【0031】
“ハイブリッド”、すなわち“多孔質有機・無機ハイブリッド粒子”は、有機官能価が
内部または“骨格の”無機構造と、並びにハイブリッド物質表面と一体化している場合の無機ベース構造物を含む。ハイブリッド物質の無機部分は、例えばアルミナ、シリカ、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物、又はセラミック物質であってよいが、好ましい実施態様においては、ハイブリッド物質の無機部分はシリカである。無機部分がシリカである場合の好ましい実施態様においては、“ハイブリッドシリカ”とは、式SiO2/(R2pR4qSiOt)n又はSiO2/[R6(R2rSiOt)m]n〔式中、R2とR4は独立的に、C1-C18脂肪族部分又は芳香族部分(アルキル官能価、アリール官能価、シアノ官能価、アミノ官能価、ヒドロキシル官能価
、ジオール官能価、ニトロ官能価、エステル官能価、イオン交換官能価、又は組み込まれた極性官能価でさらに置換されていてもよい)であり;R6は、2つ以上のケイ素原子を橋架けしている、置換もしくは未置換のC1-C18アルキレン部分、C1-C18アルケニレン部分、C1-C18アルキニレン部分、又はC1-C18アリーレン部分であり;pとqは、p+q=1又は2であるという条件にて、そしてp+q=1のときt=1.5であって、p+q=2のときt=1であるという条件にて0、1、又は2であり;rは、r=0のときt=1.5であって、r=1のときt=1であるという条件にて0又は1であり;mは2以上の整数であり;nは0.03〜1(さらに好ましくは0.1〜1、さらに好
ましくは0.2〜0.5)の数である〕を有する物質のことを意味している。R2は、官能化基Rでさらに置換されていてもよい。
【0032】
“官能化基”という用語は、クロマトグラフィー固定相に特定のクロマトグラフィー官能性を付与する有機官能基を含み、例えばオクタデシル(C18)又はフェニルなどがある。
例えば本明細書に開示されているような表面修飾剤中にはこのような官能化基が存在し、これらの官能化基は、例えば、誘導体化もしくはコーティングとそれに引き続く架橋によってベース物質に結合し、ベース物質に表面修飾剤の化学特性を付与する。ある実施態様においては、このような表面修飾剤は、式Za(R’)bSi-R〔式中、Zは、Cl、Br、I、C1-C5
アルコキシ、ジアルキルアミノ(例えばジメチルアミノ)、又はトリフルオロメタンスルホネートであり;aとbはそれぞれ、a+b=3という条件にて0〜3の整数であり;R’は、C1-C6の直鎖アルキル基、環状アルキル基、もしくは分岐鎖アルキル基であり;Rは官能化基で
ある〕を有する。R’は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t-
ブチル、sec-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、又はシクロヘキシルであってよく、好ましいR’はメチルである。
【0033】
本発明の多孔質有機・無機ハイブリッド粒子は有機基とシラノール基の両方を有し、これらの基は、表面修飾剤でさらに置換もしくは誘導体化されていてもよい。“表面修飾剤”は、一般には、クロマトグラフィー固定相に特定のクロマトグラフィー官能性を付与する有機官能基を含む。本明細書に開示されているような表面修飾剤が、例えば誘導体化もしくはコーティングとそれに引き続く架橋によってベース物質に結合し、ベース物質に表面修飾剤の化学特性を付与する。特に、ハイブリッド粒子の有機基は、表面修飾剤と反応して有機共有結合を形成する。本発明の表面修飾剤は、求核反応、求電子反応、付加環化反応、フリーラジカル反応、カルベン反応、ナイトレン反応、及びカルボカチオン反応(carbocation reaction)(これらに限定されない)を含めた、有機・高分子化学においてよく知られている多くのメカニズムによって粒子の有機基に対して有機共有結合を形成することができる。有機共有結合は、水素、ホウ素、炭素、窒素、酸素、ケイ素、リン、イオウ、及びハロゲン(これらに限定されない)を含めた、有機化学の通常の元素間の共有結合の形成を含むとものと定義される。なお、炭素-ケイ素結合と炭素-酸素-ケイ素結合は有機
共有結合と定義するが、ケイ素-酸素-ケイ素結合は有機共有結合とは定義しない。
【0034】
一般には、多孔質有機・無機ハイブリッド粒子は、有機基表面修飾剤、シラノール基表面修飾剤、ポリマーコーティング表面修飾剤、及び前記表面修飾剤の組み合わせ物によって表面修飾することができる。
【0035】
例えば、前記ハイブリッド粒子のシラノール基は、式Za(R’)bSi-R〔式中、Zは、Cl、B
r、I、C1-C5アルコキシ、ジアルキルアミノ(例えばジメチルアミノ)、又はトリフルオロ
メタンスルホネートであり;aとbはそれぞれ、a+b=3という条件にて0〜3の整数であり;R’は、C1-C6の直鎖アルキル基、環状アルキル基、もしくは分岐鎖アルキル基であり;R
は官能化基である〕を有する化合物で表面修飾することができる。R’は、例えばメチル
、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t-ブチル、sec-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、又はシクロヘキシルであってよく、好ましいR’はメチルである。特
定の実施態様においては、有機基を同様に官能化することができる。
【0036】
官能化基Rは、アルキル基、アリール基、シアノ基、アミノ基、ジオール基、ニトロ基
、カチオンもしくはアニオン交換基、又は組み込まれた極性官能基を含んでよい。適切なR官能化基の例としては、C1-C20アルキルを含めたC1-C30アルキル〔例えば、オクチル(C8)、オクタデシル(C18)、及びトリアコンチル(C30)〕;アルカリール(例えばC1-C4-フェニル);シアノアルキル基(例えばシアノプロピル基);ジオール基(例えばプロピルジオール);アミノ基(例えばアミノプロピル);及び組み込まれた極性官能基〔例えば、米国特許
第5,374,755号(該特許を参照により本明細書に含める)に開示されているようなカルバメ
ート官能価〕を有するアルキルもしくはアリール基;などがある。このような基としては、一般式
【0037】
【化1】

【0038】
(式中、l、m、o、r、及びsは0又は1であり、nは0、1、2、又は3であり、pは0、1、2、3、又は4であり、qは0〜19の整数であり;R3は、水素、アルキル、シアノ、及びフェニルか
らなる群から選択され;そしてZ、R’、a、及びbは前記にて定義した通りである)で示さ
れる基がある。カルバメート官能価は、下記のような一般構造
【0039】
【化2】

【0040】
(式中、R5は、例えばシクロアルキル、t-ブチル、ブチル、オクチル、ドデシル、テトラ
デシル、オクタデシル、又はベンジルであってよい)を有するのが好ましい。R5は、オク
チル、ドデシル、又はオクタデシルであるのが有利である。好ましい実施態様においては、表面修飾剤はオルガノトリハロシラン(例えば、オクチルトリクロロシランやオクタデ
シルトリクロロシラン)であってよい。他の好ましい実施態様においては、表面修飾剤は
ハロポリオルガノシラン(例えば、オクチルジメチルクロロシランやオクタデシルジメチ
ルクロロシラン)であってよい。
【0041】
他の実施態様においては、ハイブリッド粒子の有機基とシラノール基の両方が表面修飾もしくは誘導体化される。他の実施態様においては、粒子がポリマーでのコーティングによって表面修飾される。特定の実施態様では、ポリマーでのコーティングによる表面修飾と、シラノール基の変性、有機基の変性、又はシラノール基及び有機基の変性とが組み合わせて使用される。
【0042】
“脂肪族群(aliphatic group)”という用語は、直鎖又は分岐鎖(一般には1〜22の炭素
原子を有する)を有することを特徴とする有機化合物を含む。脂肪族基(aliphatic groups)としては、アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基がある。複雑な構造に対して
は、鎖を分岐もしくは架橋させることができる。アルキル基としては、直鎖アルキル基及び分岐鎖アルキル基を含めた、1つ以上の炭素原子を有する飽和炭化水素がある。このよ
うな炭化水素部分は、1つ以上の炭素が、例えばハロゲン基、ヒドロキシル基、チオール
基、アミノ基、アルコキシ基、アルキルカルボキシ基、アルキルチオ基、又はニトロ基で置換されていてもよい。炭素の数を特に明記しない限り、本明細書で使用している“低級脂肪族の”とは、上記の脂肪族基(例えば低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニ
ル)(但し、1〜6個の炭素原子を有する)を意味している。このような低級脂肪族基(例えば低級アルキル基)の代表的なものは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、2-ク
ロロプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、2-アミノブチル、イソブチル、tert-ブチル、及
び3-チオペンチルなどである。本明細書で使用している“ニトロ”とはNO2を意味してお
り;“ハロゲン”とは-F、-Cl、-Br、又はIを意味しており;“チオール”とはSHを意味
しており;“ヒドロキシル”とは-OHを意味している。本明細書で使用している“アルキ
ルアミノ”とは、アミノ基が結合した状態の上記アルキル基を意味している。適切なアルキルアミノ基としては、1〜約12個の炭素原子(好ましくは1〜約6個の炭素原子)を有する
基がある。“アルキルチオ”とは、スルフヒドリル基(sulfhydryl)が結合した状態の上記アルキル基を表わしている。適切なアルキルチオ基としては、1〜約12個の炭素原子(好ましくは1〜約6個の炭素原子)を有する基がある。本明細書で使用している“アルキルカ
ルボキシル”とは、カルボキシル基が結合した状態の上記アルキル基を意味している。本明細書で使用している“アルコキシ”とは、酸素原子が結合した状態の上記アルキル基を意味している。代表的なアルコキシ基としては、1〜約12個の炭素原子(好ましくは1〜約6個の炭素原子)を有する基(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びtert-ブトキシ
等)がある。“アルケニル”及び“アルキニル”とは、それぞれ少なくとも1つの二重結合又は三重結合を有する、アルキルと類似の不飽和脂肪族基を表わしている。適切なアルケニル基及びアルキニル基としては、2〜約12個の炭素原子(好ましくは1〜約6個の炭素原子)を有する基がある。
【0043】
“脂環式基”は、3個以上の炭素原子の閉環構造体を含む。脂環式基としては、飽和環
状炭化水素であるシクロパラフィン又はナフテン、2つ以上の二重結合を有する不飽和の
シクロオレフィン、及び三重結合を有するシクロアセチレンがある。脂環式基は芳香族基を含まない。シクロパラフィンの例としては、シクロプロパン、シクロヘキサン、及びシクロペンタンなどがある。シクロオレフィンの例としては、シクロペンタジエンやシクロオクタテトラエンなどがある。脂環式基としてはさらに、縮合環構造体や置換脂環式基(
例えば、アルキル置換された脂環式基)がある。脂環式化合物の場合、このような置換基
はさらに、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、-CF3、又は-CN等を
含んでよい。
【0044】
“複素環基”という用語は、環中の原子の1つ以上が炭素以外の元素(例えば窒素、イオウ、又は酸素)であるような閉環構造体を含む。複素環基は飽和であっても不飽和であっ
てもよく、またピロールやフラン等の複素環基は芳香族性を有することがある。複素環基
は、キノリンやイソキノリン等の縮合環構造体を含む。複素環基の他の例としては、ピリジン基やプリン基等がある。複素環基はさらに、1つ以上の構成元素が、例えばハロゲン
、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、-CF3、又は-CN等で置換され
ていてもよい。適切なヘテロ芳香族基及びヘテロ脂環式基は一般に、環1つ当たり3〜約8
員で構成されていて、1つ以上のN原子、O原子、もしくはS原子を含んだ1つ〜3つの別個の環又は縮合環を有しており、例えばクマリニル、キノリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリノ、及びピロリジニルなどがある。
【0045】
“芳香族基”という用語は、1つ以上の環を有する不飽和の環状炭化水素を含む。芳香
族基は、0〜4個のヘテロ原子を含んでいてもよい5員及び6員の単環基を含み、例えばベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、及びピリミジンなどがある。芳香環は、1つ以上の環位置が、例えばハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級
アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、-CF3、又は-CN等で置換されていてもよい。
【0046】
“アルキル”という用語は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂
環式)基、アルキル置換されたシクロアルキル基、及びシクロアルキル置換されたアルキ
ル基を含めた飽和脂肪族基を含む。特定の実施態様においては、直鎖アルキルもしくは分岐鎖アルキルがその主鎖中に30個以下の炭素原子を有する(例えば、直鎖の場合はC1-C30
、又は分岐鎖の場合はC3-C30)。特定の実施態様においては、直鎖もしくは分岐鎖アルキ
ルが主鎖中に20個以下の炭素原子を有し(例えば、直鎖の場合はC1-C20、又は分岐鎖の場
合はC3-C20)、そしてさらに好ましくは18個以下の炭素原子を有する。同様に、好ましい
シクロアルキルは環構造中に4〜10個の炭素原子を有し、さらに好ましくは環構造中に4〜7個の炭素原子を有する。“低級アルキル”とは、鎖中に1〜6個の炭素を有するアルキル
基、及び環構造中に3〜6個の炭素を有するシクロアルキル基を表わしている。
【0047】
さらに、本明細書と特許請求の範囲の全体にわたって使用している“アルキル”(“低
級アルキル”も含めて)は、“未置換アルキル”と“置換アルキル”の両方を含み、後者
は、炭化水素主鎖の1つ以上の炭素上の水素に置き換わった置換基を有するアルキル部分
を表わしている。このような置換基は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールア
ミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、及びウレイドを含む)、
アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロサイクリル、アラルキル、又は芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を含んでよい。当業者には周知のことであるが、炭化水素鎖上の置換部分自体が、必要に応じて置換されていてもよい。シクロアルキル基がさらに、例えば上記の置換基で置換されていてもよい。“アラルキル”部分は、アリール(例えば、1〜3個の別個
の環もしくは縮合環と、6〜約18個の環炭素原子を有するアリール)で置換されたアルキル〔例えばフェニルメチル(ベンジル)〕である。
【0048】
“アリール”という用語は、0〜4個のヘテロ原子を含んでよい5員及び6員の単環芳香族
基を含み、例えば、置換もしくは未置換のベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、及びピリミジン等がある。アリール基はさらに、縮合多環式芳香族基(
例えばナフチル、キノリル、及びインドリル等)を含む。芳香環は、1つ以上の環位置が、例えばアルキル基に関して前記したような置換基で置換されていてもよい。適切なアリール基としては、置換及び未置換のフェニル基がある。本明細書で使用している“アリールオキシ”とは、酸素原子が結合している状態の、前記したようなアリール基を意味している。本明細書で使用している“アラルコキシ”とは、酸素原子が結合している状態の、前記したようなアラルキル基を意味している。適切なアラルコキシ基は、1〜3個の別個の環もしくは縮合環と、6〜約18個の環炭素原子を有する(例えばO-ベンジル)。
【0049】
本明細書で使用している“アミノ”とは、式-NRaRb(式中、RaとRbは互いに独立的に、
水素、アルキル、アリール、又はヘテロサイクリルであるか、あるいはRaとRbは、それらが結合している窒素原子と一緒になって3〜8個の原子を環中に有する環状部分を形成する)で示される置換もしくは未置換部分を表わしている。したがって“アミノ”という用語
は、特に明記しない限り、環状アミノ部分(例えば、ピペリジニル基やピロリジニル基な
ど)を含む。“アミノ置換アミノ基”とは、RaとRbの少なくとも一方がさらにアミノ基で
置換されているアミノ基を表わしている。
【0050】
クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する本発明の多孔質有機・無機ハイブリッド粒子は一般に、約50〜800m2/g(好ましくは約75〜600m2/g、さらに好ましくは約100〜350m2/g)の比表面積(N2吸着分析によって測定)を有する。本発明の多孔質有機・無機ハイブリッド粒子の比細孔容積は、一般には約0.25〜1.5cm3/gであり、好ましくは約0.4〜1.2cm3/gであり、さらに好ましくは約0.5〜1.0cm3/gである。クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する本発明の多孔質有機・無機ハイブリッド粒子は、一般には約50〜500Åの
平均細孔直径を有し、好ましくは約60〜500Åの平均細孔直径を有し、さらに好ましくは
約100〜300Åの平均細孔直径を有する。ミクロ細孔の表面積は約110m2/g未満であり、好
ましくは約105m2/g未満であり、さらに好ましくは約80m2/g未満であり、さらに好ましく
は約50m2/g未満である。
【0051】
クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子は、後述するように、また実施例に示す特定の例におけるように製造することができる。ハイブリッドシリカの多孔質球状粒子は、好ましい実施態様においては、複数工程プロセスによって製造することができる。第1の工程においては、1種以上のオルガノアルコキシシラン(例えばメチルトリエトキシシラン)とテトラアルコキシシラン(例えばテトラエトキ
シシラン(TEOS))とを、酸触媒の存在下で2種以上の成分の混合物を同時加水分解させる
ことによって予備重合してポリオルガノアルコキシシロキサン(POS)(例えばポリアルキルアルコキシシロキサン)を形成させる。第2の工程においては、界面活性剤又は界面活性剤の組み合わせ物の存在下にてPOSを水性媒体中に懸濁し、塩基触媒を使用してゲル化させ
てハイブリッドシリカの多孔質球状粒子にする。第3の工程においては、ハイブリッドシ
リカ粒子の細孔構造を水熱処理によって変性し、特定の目的それ自体に対して使用できるか、あるいは後述のようにさらに処理するのが望ましい中間のハイブリッドシリカ生成物を得る。該プロセスの上記3つの工程により、粒子の球形度、モルホロジー、細孔容積、
及び細孔サイズに関して、従来技術に記載の制御よりはるかに良好な制御が可能となり、それによって、クロマトグラフィーを促進する細孔形状が提供される。
【0052】
本発明の1つの実施態様においては、ハイブリッドシリカの表面有機基を、粒子の有機
基と変性剤との間の有機共有結合の形成によって、その後の工程において誘導体化もしくは変性する。これとは別に、ハイブリッドシリカの表面シラノール基を、例えばオルガノトリハロシラン(例えばオクタデシルトリクロロシラン)もしくはハロポリオルガノシラン
(例えばオクタデシルジメチルクロロシラン)と反応させることによってシロキサン官能基に誘導体化もしくは変性する。これとは別に、ハイブリッドシリカの表面有機基と表面シラノール基の両方を誘導体化もしくは変性する。次いで、このようにして得られる物質の表面を、ゲル化時に組み込まれる有機基(例えばアルキル)、及び誘導体化プロセス時に加えられる有機基で覆う。有機基全体による表面被覆面積は、従来のシリカベース充填物質の場合より大きく、したがってハイブリッドシリカにおける残存シラノール基の表面濃度はより低くなる。こうして得られる物質(LC用の固定相として使用される)は、シリカベースの充填物質より、塩基性検体に対して優れたピーク形状を、そしてアルカリ性移動相に対して良好な安定性を示す。
【0053】
予備重合工程が2種以上の成分の混合物を酸触媒の存在下で同時加水分解することを含
む場合、オルガノアルコキシシラン(例えばオルガノトリアルコキシシラン)の含量を変えることができる(例えば、テトラアルコキシシラン1モル当たり約0.03〜約1.0モル、ある
いはさらに好ましくは、テトラアルコキシシラン1モル当たり約0.2〜約0.5モル)。加水分解のために使用する水の量を変えることができる(例えば、シラン1モル当たり1.10〜1.35モル)。シランと水とエタノールとの混合物を均一溶液の形態にて攪拌し、アルゴン流れ
の下で加熱環流する。予備重合してポリオルガノアルコキシシロキサン(POS)(例えばポリアルキルアルコキシシロキサン)を形成するに足る時間にわたって環流した後、溶媒と副
生物(主としてエタノール)を反応混合物から留去する。その後、残留物を高温(例えば120〜140℃)にてアルゴン雰囲気下で所定時間(例えば1.5〜16時間)加熱する。残留物を減圧
下(例えば10-2〜10-3トル)にてこの温度でさらに1〜3時間加熱して、揮発性の化学種を除去する。
【0054】
第2の工程においては、水とエタノールを含有する溶液中にPOSを55℃で攪拌することにより懸濁して微細ビーズにする。溶液中におけるエタノールの容積パーセントを10%から20%に変える。トリトンX-100やトリトンX-45等のノニオン界面活性剤を懸濁液中に懸濁剤
として加える。これとは別に、トリトンX-45と低レベルのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)
もしくはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンラウリル硫酸塩(TDS)との混合物を懸濁
液中に懸濁剤として加える。界面活性剤(例えばアルキルフェノキシポリエトキシエタノ
ール)は、POSビーズと水性相との間の疎水性/親水性界面のほうに配向してPOSビーズを安定化させることができると考えられる。界面活性剤はさらに、親水性基によって、ゲル化工程時にPOSビーズの表面上の水と塩基触媒の濃度を増大させると考えられ、これにより
表面から中心へのPOSビーズのゲル化が誘発される。POSビーズの表面構造を調整するための界面活性剤を使用することにより、ゲル化プロセスの全体にわたってPOSビーズの形状
が安定化され、また不規則な形状(例えば“貝殻形”)と不均一なモルホロジーを有する粒子の形成が最小限に抑えられるか又は抑制される。
【0055】
POS単独の代わりに、POSとトルエンを含有する溶液を水性相中に懸濁することもできる。トルエンは水性相に対して不溶性であり、ゲル化工程時にPOSビーズ中に残存し、細孔
形成剤として機能する。POS/トルエン溶液中のトルエンの相対量を調節することによって、最終的に得られるハイブリッドシリカの細孔容積をより正確に制御することができる。これにより、大きな細孔容積(例えば0.8〜1.2cm3/g)を有するハイブリッドシリカ粒子の
製造が可能となる。
【0056】
55℃にて攪拌のPOS懸濁液中に塩基性触媒(例えば水酸化アンモニウム)を加えることに
よってゲル化工程が開始される。次いで、反応混合物を同温度で攪拌して反応を完全に進行させる。水酸化アンモニウムが好ましいのは、水酸化ナトリウム等の塩基は望ましくないカチオンの発生源となるからであり、また水酸化アンモニウムは洗浄工程において除去するのがより簡単だからである。このようにして得られるハイブリッドシリカを濾過し、アンモニウムイオンを含有しない水とメタノールで洗浄し、次いで乾燥した。
【0057】
1つの実施態様においては、作製したままのハイブリッド物質の細孔構造を水熱処理に
よって変性する。水熱処理は細孔の直径だけでなく細孔の開口も大きくする〔窒素(N2)吸着分析により確認〕。水熱処理は、作製したままのハイブリッド物質と有機塩基の水溶液とを含有するスラリーを調製し、このスラリーをオートクレーブ中にて高温(例えば143〜168℃)で6〜28時間加熱することによって行う。スラリーのpHは、濃酢酸を使用して8.0〜10.7の範囲に調節することができる。スラリーの濃度は、塩基溶液の5〜10ml当たりハイ
ブリッド物質1gという範囲である。このようにして処理したハイブリッド物質を濾過し、濾液のpHが7に達するまで水とアセトンで洗浄し、減圧にて100℃で16時間乾燥する。こうして得られるハイブリッド物質は、100〜300Åの範囲の平均細孔直径を示す。水熱処理したハイブリッド物質の表面は、本発明に記載の水熱処理によって変性されていないハイブリッド物質の表面の場合と類似の仕方で変性することができる。
【0058】
水熱処理したハイブリッドシリカの表面は有機基を含有し、これらの有機基は、粒子の有機基に対して反応性の試剤と反応させることによって誘導体化することができる。例えば、粒子上のビニル基と種々のオレフィン反応性試剤〔例えば、臭素(Br2)、水素(H2)、
フリーラジカル、生長しつつあるポリマーラジカル中心、及びジエンなど〕とを反応させることができる。他の例においては、粒子上のヒドロキシル基と種々のアルコール反応性試剤(例えば、イソシアネート、カルボン酸、カルボン酸塩化物、及び後述のような反応
性オルガノシラン)とを反応させることができる。このタイプの反応は文献にてよく知ら
れている(例えば、March,J.“Advanced Organic Chemistry”第3版,Wiley,New York
,1985;Odian,G.“The Principles of Polymerization”第2版,Wiley,New York,1981;を参照、これらの文献の内容を参照により本明細書に含める)。
【0059】
水熱処理したハイブリッドシリカの表面はさらにシラノール基を含有し、これらのシラノール基は、反応性のオルガノシランと反応させることによって誘導体化することができる。ハイブリッドシリカの表面誘導体化は、標準的な方法に従って(例えば、有機溶媒中
にて環流条件で、オクタデシルトリクロロシラン又はオクタデシルジメチルクロロシランと反応させることによって)行う。この反応に対しては、一般にはトルエン等の有機溶媒
が使用される。反応を触媒するよう、ピリジンやイミダゾール等の有機塩基を反応混合物に加える。次いでこの反応の生成物を水、トルエン、及びアセトンで洗浄し、減圧下にて80〜100℃で16時間乾燥する。得られるハイブリッドシリカと短鎖のシラン(例えばトリメチルクロロシラン)とを上記した類似の方法を使用することによって反応させて、残留し
ているシラノール基を末端キャップすることができる。
【0060】
さらに一般的には、ハイブリッドシリカ粒子の表面は、表面修飾剤〔例えばZa(R’)bSi-R(式中、Zは、Cl、Br、I、C1-C5アルコキシ、ジアルキルアミノ(例えばジメチルアミノ)、又はトリフルオロメタンスルホネートであり;aとbはそれぞれ、a+b=3という条件にて0〜3の整数であり;R’は、C1-C6の直鎖アルキル基、環状アルキル基、もしくは分岐鎖アルキル基であり;Rは官能化基である)〕を使用して、そしてポリマーで被覆することによって表面修飾することができる。R’は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、t-ブチル、sec-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、又はシクロヘキシルであってよく、好ましいR’はメチルである。
【0061】
官能化基Rは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シアノ基、ア
ミノ基、ジオール基、ニトロ基、カチオン交換基、アニオン交換基、又は組み込まれた極性官能価を有するアルキル基もしくはアリール基を含んでよい。適切なR官能化基の例と
しては、C1-C20を含めたC1-C30〔例えばオクチル(C8)、オクタデシル(C18)、及びトリア
コンチル(C30)〕;アルカリール(例えばC1-C4-フェニル);シアノアルキル基(例えばシアノプロピル);ジオール基(例えばプロピルジオール);アミノ基(例えばアミノプロピル)
;及び組み込まれた極性官能価〔例えば、米国特許第5,374,755号(該特許の開示内容を参照により本明細書に含める)に開示されているような、及び前記したようなカルバメート
官能価)を有するアルキル基もしくはアリール基〕;などがある。好ましい実施態様にお
いては、表面修飾剤は、オクチルトリクロロシランやオクタデシルトリクロロシラン等のオルガノトリハロシランであってよい。他の好ましい実施態様においては、表面修飾剤は、オクチルジメチルクロロシランやオクタデシルジメチルクロロシラン等のハロポリオルガノシランであってよい。Rは、オクチル又はオクタデシルであるのが有利である。
【0062】
ポリマーコーティングは文献にて公知であり、一般には、支持体へのポリマー層の化学結合を起こすことなく、表面上に物理吸着したモノマーの重合もしくは重縮合によって(
タイプI)、支持体へのポリマー層の化学結合を起こして、表面上に物理吸着したモノマーの重合もしくは重縮合によって(タイプII)、物理吸着したプレポリマーの支持体への固定化によって(タイプIII)、及び予備合成されたポリマーの支持体表面への化学吸着によっ
て(タイプIV)供給することができる〔例えば、Hanson et al., J.Chromat.A656(1993)369-380を参照(該文献の内容を参照により本明細書に含める)〕。前述したように、ポリマーによるハイブリッド物質の被覆は、本発明において記載の種々の表面修飾と組み合わせて行うことができる。
【0063】
本発明の多孔質有機・無機ハイブリッド粒子は、分離科学において幅広い最終用途〔例えば、クロマトグラフィーカラム(このようなカラムは、アルカリ性移動相に対する安定
性が向上していて、塩基性検体に対するピークテーリングが減少している)用の充填物質
、薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート、濾過膜、マイクロタイタープレート、スカベ
ンジャー樹脂、固相有機合成用担体、及びクロマトグラフィーを促進する細孔形状の多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を含む固定相を有する類似物〕を有する。固定相は、個々の装置の要件に従って、充填、コーティング、又は含浸等によって導入することができる。特に好ましい実施態様においては、クロマトグラフィー装置は、HPLCにおいて広く使用されているような充填クロマトグラフィーカラムである。
[実施例]
多孔質有機・無機ハイブリッド粒子の製造とそれらの使用について記載した実施例を以下に挙げて本発明をさらに説明するが、本発明がこれらの実施例によって限定されることはない。
【0064】
(実施例1)
フラスコ中にて、オルガノアルコキシシラン及びテトラエトキシシラン(どちらもペン
シルバニア州タリータウン(Tullytown, PA)のゲレスト社(Gelest Inc.)から入手)を
、エタノール(HPLCグレード、ニュージャージー州フィリップスバーグ(Phillipsburgh, NJ)のJ.T.ベーカー)及び0.1N塩酸(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee, WI)
のアルドリッチケミカル)と混合する。得られる溶液を攪拌し、アルゴンもしくは窒素の
雰囲気にて16時間環流する。エタノールとメタノール(該当する場合)を常圧蒸留によってフラスコから除去する。残留しているアルコールと揮発性化学種を、不活性ガスの充分な気流下にて115〜140℃で1〜2時間加熱することによって、あるいは減圧にて125℃で1〜2
時間加熱することによって除去する。こうして得られるポリオルガノアルコキシシロキサンは無色の粘性液体である。テトラエトキシシランとの共重合において使用されるオルガノトリアルコキシシランの生成物番号と個々の化学式を表1に示す。これらの生成物を製
造するために使用した開始物質の具体量を、表2に示す。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
(実施例2)
界面活性剤(トリトンX-45又はトリトンX-100、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチケミカル)、エタノール(無水、ニュージャージー州フィリップスバーグのJ.T.Baker)、及び脱イオン水の混合物を55℃で0.5時間加熱し、白色液体を得た。激しく攪拌し
ながら、ポリオルガノアルコキシシロキサン(表2から選択)をトルエン(HPLCグレード、ニュージャージー州フィリップスバーグのJ.T.Baker)中に溶解して得た溶液をエタノール/
水/トリトン混合物中に加え、水性相中に乳化した。次いで、このエマルジョン中に30%NH
4OH(ニュージャージー州ブリッジポートのVWR)を加えて、エマルジョンビーズをゲル化した。溶液中に浮遊状態のゲル化生成物をフラスコに移し、55℃で16時間攪拌した。こうして得られた球状の多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を0.5μmの濾紙上に集め、水とメタノール(HPLCグレード、ニュージャージー州フィリップスバーグのJ.T.Baker)で順次洗浄
した。次いで生成物を、真空オーブン中にて80℃で一晩乾燥した。これらの生成物を作製するのに使用される出発物質の具体的な量が表3に記載してある。生成物の13C及び29Si CPMAS NMRスペクトルは、有機基の構造及び有機・無機ユニットの比に関して帰属される生成物と矛盾しない。生成物2q、2r、及び2sに関しては、メタクリルオキシプロピルエステル基の約30%が、対応する3-ヒドロキシプロピル有機ユニットとメタクリル酸とに加水分
解することが観察された。メタクリル酸は洗浄工程において除去した。
【0068】
(実施例3)
トリトンX-45とドデシル硫酸ナトリウム(SDS)( ニュージャージー州フィリップスバー
グのJ.T.Baker)もしくはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンラウリル硫酸塩(TDS)(ウィスコンシン州ミルウォーキーのフルカケミカル(Fluka Chemical))との混合物を使用
し、ビス(トリエトキシシリル)エタン/TEOSのモル比が0.5と1.0(それぞれ、表2の生成物1iと1j)のポリオルガノアルコキシシロキサンから球状の多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を作製した。手順は、エマルジョンを乳化反応器から攪拌状態の反応フラスコに移した後に30%NH4OHを加えたこと以外は、実施例2において記載したのと同じであった。トリト
ンX-45/SDS又はトリトンX-45/TDSのモル比は1.2/1.0であった。これらの生成物(2l、2m、2n)を作製するのに使用される試薬の具体的な量が表3に記載してある。
【0069】
【表3−1】

【0070】
【表3−2】

【0071】
(実施例4)
実施例2の球状多孔質有機・無機ハイブリッド粒子とトリス(ヒドロキシメチル)アミノ
メタン(TRIS、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチケミカル)を水中にて混合してスラリーを得た。必要に応じて、濃酢酸を加えることによってスラリーのpHを8〜10.7に調整した。こうして得られたスラリーをステンレス鋼製のオートクレーブ中に封入し
、140〜165℃で20時間加熱した。オートクレーブを室温に冷却した後、生成物を濾過し、水とメタノール(HPLCグレード、ニュージャージー州フィリップスバーグのJ.T.ベーカー)を使用して繰り返し洗浄し、減圧にて80℃で16時間乾燥した。これらの生成物を得るのに使用される特定の水熱条件(TRIS溶液のml/ハイブリッドシリカ粒子のグラム、初期TRIS溶液の濃度とpH、反応温度)が表4に記載されている。これら物質の比表面積(SSA)、比細孔
容積(SPV)、及び平均細孔直径(APD)は多点窒素吸着分析によって測定され、これらのデータが表5に記載されている。比表面積はBET法を使用して算出し、比細孔容積はP/P0>0.99
に対して測定した一点値であり、平均細孔直径はBJH法を使用して等温線の脱着レッグ(desorption leg)から算出した。我々はさらに、ミクロ細孔表面積(MPA)(34Å以下の直径を
有する細孔の表面積であると我々は定義する)を、BJH法を使用して等温線の吸着レッグから測定した。
【0072】
水熱処理時におけるエステル結合の加水分解によって、メタクリルオキシプロピルハイ
ブリッド物質(例えば、3q、3r、3s)を3-ヒドロキシプロピルハイブリッド物質に転化させた。エステル基のアルコール基への転化は、処理前と処理後との炭素%の減少により観察
された。水熱処理した粒子の13C CPMAS NMRスペクトルは3-ヒドロキシプロピル基だけを
検出するが、粒子のFTIRスペクトルはカルボニル含有基が存在すること(1695cm-1での弱
いバンドによって示される)を示す。これらの粒子の細孔構造を修飾するためにはより高
濃度のTRIS溶液が必要とされた。なぜなら、塩基の一部がメタクリル酸塩として封鎖されたからである。水熱処理後のメタクリルオキシプロピル粒子の組成を3-ヒドロキシプロピルに再び標識化した。水熱処理後の組成は全て、CHN%、FTIR分光分析法、13C NMR分光分
析法、及びSi CPMAS NMR分光分析法を使用して確認した。
【0073】
【表4−1】

【0074】
【表4−2】

【0075】
【表5】

【0076】
(実施例5)
実施例4に従って製造したハイブリッドシリカ粒子を、粒子のサイズによって、〜3μm
フラクション、〜5μmフラクション、及び〜7μmフラクションに分けた。次いで粒子を、1モル濃度の塩酸溶液(アルドリッチケミカル)中に98℃で20時間分散した。酸処理が完了
した後、粒子を水で洗浄して中性pHにし、次いでアセトン(HPLCグレード、ニュージャー
ジー州フィリップスバーグのJ.T.ベーカー)で洗浄した。次いで粒子を、減圧にて80℃で16時間乾燥した。
【0077】
(実施例6)
ビニルハイブリッドシリカ粒子(実施例5の生成物3p1)をサイズで分け、実施例5に従っ
て酸洗浄した。20gの5μmビニルハイブリッド粒子を80mmODの時計皿に加え、90×170mm(H×OD)の結晶皿中に置いた。5mlの発煙臭素(アルドリッチケミカル)を時計皿の外径の周囲に加え、結晶皿に、100×190mm(H×OD)の逆型結晶皿で蓋をした。臭素化反応は周囲温度
で18時間行った。引き続き過剰な臭素を除去し、当該物質を、塩化メチレン(HPLCグレー
ド、J.T.ベーカー)、水、そして再び塩化メチレンで充分に洗浄した。次いで、臭素化さ
れた粒子を減圧にて80℃で16時間乾燥した。18.6%の臭素が導入されたことが燃焼-滴定分析(テネシー州ノックスビルのガルブレイス・ラボラトリーズ)によって測定され、ビニル基の20%がジブロモメタン類縁体に転化された(13C CPMAS NMRスペクトル分光分析法によ
り測定)。
【0078】
(実施例7)
ビニルハイブリッドシリカ粒子(実施例5の生成物3p1)をサイズで分け、実施例5に従っ
て酸洗浄した。500mlの三つ口丸底フラスコ中にて、50gの5μmビニルハイブリッド粒子を、15.0gのp-トルエンスルホンヒドラジド(アルドリッチケミカル)、14.3gのトリプロピルアミン(アルドリッチケミカル)、及び300mlのo-キシレン(アルドリッチケミカル)と混合
した。反応混合物を140℃で6時間加熱した後、室温(30℃)に冷却した。フラスコに再び同量のp-トルエンスルホンヒドラジドとトリプロピルアミンを仕込み、反応混合物を再び140℃でさらに16時間加熱した。次いで粒子を、トルエン、アセトン、アセトン/水(50/50,v/v)、及びアセトン(いずれの溶媒もHPLCグレード、J.T.ベーカー)で充分に洗浄した。洗
浄した粒子を減圧にて80℃で16時間乾燥した。乾燥粒子を、上記のようにさらに7回連続して反応させて、未反応ビニル基と水素化ビニル基(すなわちエチル)の1/20比を得た。ビニルの含量は、それぞれの連続的な反応と共に減少していくことがわかった(13C CPMAS NMR分光分析法により測定)。
【0079】
(実施例8)
ビニルハイブリッドシリカ粒子(実施例5の生成物3p1)をサイズで分け、実施例5に従っ
て酸洗浄した。125mlのメタノール/水(50/50,v/v)溶液中にて、10gの5μmビニルハイブリッド粒子と62gの4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)(アルドリッチケミカル)とを混合した
。アルゴンガスを1時間バブリングすることによって懸濁液から酸素を除去し、その後、懸濁液上をアルゴン雰囲気で保持した。懸濁液を70℃で20時間加熱し、次いで室温に冷却した。混合物を濾過器に移し、トルエン、アセトン/水(50/50,v/v)、及びアセトン(いず
れの溶媒もHPLCグレード、J.T.ベーカー)で充分に洗浄した。洗浄した粒子を減圧にて80
℃で16時間乾燥した。骨格構造のビニル基への有機共有結合による4-シアノ吉草酸のカップリングが、粒子の炭素含量が18%増大することで確実に果たされ、0.18meq/gのイオン交換能力はカルボキシル基によるものであることがわかった。
【0080】
(実施例9)
ビニルハイブリッドシリカ粒子(実施例5の生成物3p1)をサイズで分け、実施例5に従っ
て酸洗浄した。125mlのメタノール/水(50/50,v/v)溶液中にて、10gの5μmビニルハイブリッド粒子と62gの2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(アルドリッチケミカル)とを混合した。アルゴンガスを1時間バブリングすることによって懸
濁液から酸素を除去し、その後、懸濁液上をアルゴン雰囲気で保持した。懸濁液を50℃で20時間加熱し、次いで室温に冷却した。混合物を濾過器に移し、トルエン、アセトン/水(50/50,v/v)、及びアセトン(いずれの溶媒もHPLCグレード、J.T.ベーカー)で充分に洗浄した。洗浄した粒子を減圧にて80℃で16時間乾燥した。骨格構造のビニル基への有機共有結合による(2-メチルプロピオンアミジン)塩酸塩のカップリングが、粒子の炭素含量が10%
増大することで確実に果たされ、0.15meq/gのイオン交換能力はアミジン塩酸塩基による
ものであることがわかった。さらに、粒子の13C CPMAS NMR分光分析は、2-メチルプロピ
オンアミジン基に帰属される共鳴を示した。
【0081】
(実施例10)
ビニルハイブリッドシリカ粒子(実施例5の生成物3p1)をサイズで分け、実施例5に従っ
て酸洗浄した。20mlのトルエン(J.T.ベーカー)中にて、2gの7μmビニルハイブリッド粒子と2.1gのN-オクタデシルアクリルアミド(アルドリッチケミカル)とを混合した。アルゴンガスを1時間バブリングすることによって懸濁液から酸素を除去し、その後、懸濁液上を
アルゴン雰囲気で保持した。アルゴン雰囲気を保持しながら、0.4gのVAZO88を反応混合物に加え、反応混合物を70℃で17時間加熱した。フラスコを室温に冷却し、粒子を濾過器に移した。濾過した粒子を、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトン、アセトン/水(50/50,v/v)、及びアセトン(いずれの溶媒もHPLCグレード、J.T.ベーカー)で充分に洗浄した。洗浄した粒子を減圧にて80℃で16時間乾燥した。オクタデシルアクリルアミド基と骨格構造のビニル基との有機共有結合によるラジカル開始カップリングが、粒子の炭素含量が29%増大する(これは1.02μモル/m2との表面濃度に相当する)ことで確実に果たされた。さらに、粒子の13C CPMAS NMR分光分析とFTIR分光分析は、ビニル基へのオクタデシルアクリ
ルアミド付加と矛盾しない共鳴を示した。
【0082】
(実施例11)
ビニルハイブリッドシリカ粒子(実施例5の生成物3p1)をサイズで分け、実施例5に従っ
て酸洗浄した。25mlのトルエン(J.T.ベーカー)中にて、3gの7μmビニルハイブリッド粒子と0.9gのジシクロペンタジエン(アルドリッチケミカル)とを混合した。この懸濁液を16時間加熱還流(111℃)してから、室温に冷却した。粒子を濾過器に移し、トルエンとアセト
ン(どちらもHPLCグレード、J.T.ベーカー)で充分に洗浄した。洗浄した粒子を減圧にて80℃で16時間乾燥した。シクロペンタジエンとビニル基との有機共有結合によるディールス・アルダー付加環化が、粒子の炭素含量が14%増大する(これは1.36μモル/m2との表面濃
度に相当する)ことで確実に果たされた。さらに、粒子の13C CPMAS NMR分光分析とFTIR分光分析は、ジエン付加と矛盾しない共鳴を示した。
【0083】
(実施例12)
プロパノールハイブリッドシリカ粒子(実施例5の生成物3q)をサイズで分け、実施例5に従って酸洗浄した。乾燥した3gの6μmプロパノールハイブリッド粒子と4.9gのオクチルイソシアネート(アルドリッチケミカル)を、アルゴン雰囲気下にて75mlの乾燥トルエン(J.T.ベーカー)と混合した。得られた懸濁液を4時間加熱還流(111℃)してから60℃に冷却した。粒子を濾過器に移し、80℃に加熱したトルエンで、次いで室温のアセトン(どちらもHPLCグレード、J.T.ベーカー)で充分に洗浄した。洗浄した粒子を、減圧にて80℃で16時間乾燥した。オクチルイソシアネート分子とハイブリッド粒子のヒドロキシル基とを反応させてカルバメート基を形成させ、これによりオクチル鎖を有機共有結合によって粒子の骨格構造に連結することが、粒子の炭素含量が94%増大する(これはO-プロピルシリルN-オクチルカルバメート基の1.59μモル/m2の表面濃度に相当する)ことで確実に果たされた。さらに、粒子の13C CPMAS NMR分光分析は付加生成物と矛盾しない共鳴を示し、このときプロ
パノール基の40%がカルバメート基に転化され、残りのプロパノール基は未反応のままで
あった。
【0084】
(実施例13)
乾燥した3gの6μmプロパノールハイブリッド粒子(実施例12に記載)と6.7gのドデシルイソシアネート(アルドリッチケミカル)を75mlの乾燥トルエン(J.T.ベーカー)と混合し、実施例12に記載の手順と同様に反応させた。ドデシルイソシアネート分子をハイブリッド粒子のヒドロキシル基に付加させてカルバメート基を形成させ、これによりドデシル鎖を有機共有結合によって粒子の骨格構造に連結することが、反応手順及び粒子の炭素含量が119%増大する(これはO-プロピルシリルN-ドデシルカルバメート基の1.41μモル/m2の表面濃度に相当する)ことで確実に果たされた。さらに、粒子の13C CPMAS NMR分光分析は付加生成物と矛盾しない共鳴を示し、このときプロパノール基の40%がカルバメート基に転化さ
れ、残りのプロパノール基は未反応のままであった。
【0085】
(実施例14)
プロパノールハイブリッドシリカ粒子(実施例5の生成物3q)をサイズで分け、実施例5に従って酸洗浄した。乾燥した3gの6μmプロパノールハイブリッド粒子、0.47gのp-トルエ
ンスルホン酸(アルドリッチケミカル)、及び10.0gのラウリン酸(ミズーリ州セントルイスのシグマケミカル)を、アルゴン雰囲気下にて100mlの乾燥キシレン(J.T.ベーカー)と混合した。得られた懸濁液を16時間加熱還流(145℃)してから30℃に冷却した。粒子を濾過器
に移し、トルエン、アセトン、アセトン/水(50/50,v/v)、及び再びアセトン(いずれの溶
媒もHPLCグレード、J.T.ベーカー)で充分に洗浄した。洗浄した粒子を、減圧にて80℃で16時間乾燥した。ラウリン酸分子とハイブリッド粒子のヒドロキシル基とを反応させてカ
ルボン酸エステル結合を形成させ、これによりn-C11H23アルキル鎖を有機共有結合によって粒子の骨格構造に連結することが、反応手順及び粒子の炭素含量が157%増大する(これ
はn-C11H23アルキル基の2.06μモル/m2の表面濃度に相当する)ことで確実に果たされた。さらに、粒子の13C CPMAS NMR分光分析はエステル生成物と矛盾しない共鳴を示し、この
ときプロパノール基の30%がエステル基に転化され、残りのプロパノール基は未反応のま
まであった。
【0086】
(実施例15)
プロパノールハイブリッドシリカ粒子(実施例5の生成物3q)をサイズで分け、実施例5に従って酸洗浄した。乾燥した3gの6μmプロパノールハイブリッド粒子と3.3mlの乾燥トリ
エチルアミン(アルドリッチケミカル)をアルゴン雰囲気下にて150mlの乾燥ジクロロメタ
ン(HPLCグレード、J.T.ベーカー)と混合し、5℃に冷却した。温度を5℃に保持しながら、1.95mlの塩化メタクリロイル(アルドリッチケミカル)を懸濁液に滴下した。既知少量のトリエチルアミンと塩化メタクリロイルをさらに3回加えた(合計でトリエチルアミンが13.2ml及び塩化メタクリロイルが7.8ml)。懸濁液を室温に加温し、さらに16時間攪拌した。
粒子を濾過器に移し、ジクロロメタン、アセトン、水、及び再びアセトン(いずれの溶媒
もHPLCグレード、J.T.ベーカー)で充分に洗浄した。洗浄した粒子を、減圧にて80℃で16
時間乾燥した。塩化メタクリロイル分子とハイブリッド粒子のヒドロキシル基とを反応させてカルボン酸エステル結合を形成させ、これによりメタクリレートのビニル基を有機共有結合によって粒子の骨格構造に連結することが、粒子の炭素含量が63%増大する(これはメタクリレート基の2.30μモル/m2の表面濃度に相当する)ことで確実に果たされた。さらに、粒子の13C CPMAS NMR分光分析はエステル生成物と矛盾しない共鳴を示し、このとき
プロパノール基の60%がエステル基に転化され、残りのプロパノール基は未反応のままで
あった。
【0087】
(実施例16)
0.5gの乾燥したスチリルエチルハイブリッド粒子(実施例5の生成物3t)を、実施例6に記載の手順に従って臭素化した。ビニル基の99%以上がジブロモエタン類縁体に転化した(13C CPMAS NMR分光分析法により測定)。
【0088】
(実施例17)
スチリルエチルハイブリッドシリカ粒子(実施例5の生成物3u)を実施例5に従ってサイズで分けた。乾燥した0.5gの8μmスチリルエチルハイブリッド粒子を、実施例6に記載の手
順に従って臭素化した。ビニル基の99%以上がジブロモエタン類縁体に転化した(13C CPMAS NMR分光分析法により測定)。
【0089】
(実施例18)
乾燥した2.0gのスチリルエチルハイブリッド粒子(実施例5の生成物3t)を20mlのトルエ
ン(J.T.ベーカー)中に懸濁し、アルゴン雰囲気にて2時間還流して酸素を除去し、吸着し
た水を共沸蒸留によって除去した。乾燥アルゴンの雰囲気下で室温に冷却した後、0.6gの1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(アルドリッチケミカル)を加えた。得られた懸濁液を攪拌し、80℃で17時間加熱し、次いで100℃で2.5時間加熱した。冷却した後、粒子を濾過によって回収し、トルエン、ジクロロメタン、及びアセトンで充分に洗浄した。洗浄した粒子を、減圧にて80℃で16時間乾燥した。シクロヘキサンカルボニトリル分
子とハイブリッド粒子のビニル基とを反応させ、これにより試剤を有機共有結合によって粒子の骨格構造に連結することが、粒子の炭素含量が23%増大する(これはシクロヘキサンカルボニトリル基の1.09μモル/m2の表面濃度に相当する)ことで確実に果たされた。ビニル基の99%以上が重合した(13C CPMAS NMR分光分析法により測定)。
【0090】
(実施例19)
スチリルエチルハイブリッドシリカ粒子(実施例5の生成物3u)を実施例5に従ってサイズで分けた。乾燥した2.0gの8μmスチリルエチルハイブリッド粒子と0.9gの1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)とを実施例18に記載の方法に従って反応させた。シクロヘキサンカルボニトリル分子とハイブリッド粒子のビニル基とを反応させ、これにより試剤を有機共有結合によって粒子の骨格構造に連結することが、粒子の炭素含量が9.7%増大する(これはシクロヘキサンカルボニトリル基の1.07μモル/m2の表面濃度に相当する)こ
とで確実に果たされた。ビニル基の99%以上が重合した(13C CPMAS NMR分光分析法により
測定)。
【0091】
(実施例20)
25mlの丸底フラスコ中にて、乾燥した2.0gのスチリルエチルハイブリッド粒子(実施例5の生成物3t)を、0.29gの1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(アルドリッチ
ケミカル)及び25mlのジクロロメタン(J.T.ベーカー)と混合した。ラジカル開始剤が溶解
するまで懸濁液を攪拌した後、ロータリー・エバポレーションによって懸濁液からジクロロメタンを除去した。開始剤で被覆された粒子を、高真空下(0.1mmHg)で18時間乾燥した
。類似の大きさのフラスコ中に10mlのスチレン(アルドリッチケミカル)を加え、高真空にて脱気した。密閉された減圧系にて、スチレン蒸気を2つのフラスコ間で1.5時間平衡化させ、これによりスチリルエチルハイブリッド粒子に吸着させた。次いで、被覆されたスチリルエチルハイブリッド粒子をアルゴンに排出し、80℃で20時間加熱した。冷却した後、粒子を濾過によって回収し、トルエン、ジクロロメタン、及びアセトンで充分に洗浄した。洗浄した粒子を、減圧にて80℃で16時間乾燥した。ビニル基の99%以上が、吸着してい
たスチレンと共重合した(13C CPMAS NMR分光分析法により測定)。シクロヘキサンカルボ
ニトリル分子及びスチレン分子とハイブリッド粒子のビニル基とを反応させ、これにより試剤を有機共有結合によって粒子の骨格構造に連結することが、粒子の炭素含量が16.3%
増大することで確実に果たされた。
【0092】
(実施例21)
スチリルエチルハイブリッドシリカ粒子(実施例5の生成物3u)を実施例5に従ってサイズで分けた。乾燥した2.0gの8μmスチリルエチルハイブリッド粒子と0.25gの1,1’-アゾビ
ス(シクロヘキサンカルボニトリル)とを実施例20に記載の方法に従って反応させた。ビニル基の99%以上が、吸着していたスチレンと共重合した(13C CPMAS NMR分光分析法により
測定)。シクロヘキサンカルボニトリル分子及びスチレン分子とハイブリッド粒子のビニ
ル基とを反応させ、これにより試剤を有機共有結合によって粒子の骨格構造に連結することが、粒子の炭素含量が42%増大することで確実に果たされた。
【0093】
(実施例22)
スチリルエチルハイブリッドシリカ粒子(実施例5の生成物3u)を実施例5に従ってサイズで分けた。ジビニルベンゼン(アルドリッチケミカル)を吸着モノマーとして使用したこと以外は、2.0gの8μmスチリルエチルハイブリッド粒子と0.20gの1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)とを実施例20に関して前記した方法に従って反応させた。ビニル
基の99%以上が、吸着していたジビニルベンゼンと共重合した(13C CPMAS NMR分光分析法
により測定)。シクロヘキサンカルボニトリル分子及びジビニルベンゼン分子とハイブリ
ッド粒子のビニル基とを反応させ、これにより試剤を有機共有結合によって粒子の骨格構造に連結することが、粒子の炭素含量が37%増大することで確実に果たされた。
【0094】
(実施例23)
ハイブリッドシリカ粒子の表面を種々のクロロトリアルキルシランで下記のように変性した。10gのハイブリッドシリカを50mlのトルエン(J.T.ベーカー)中に混合して得た混合
物に、粒子の表面積1m2当たり1×10-5モルのシラン及び1.2当量(シラン1モル当たり)の塩基アクチベーター〔例えば、4-(ジメチルアミノ)ピリジン(アルドリッチケミカル)、イミダゾール(アルドリッチケミカル)、又はピリジン(J.T.ベーカー)〕を加え、得られた混合物を2〜4時間還流した。変性されたハイブリッドシリカ粒子を濾過し、水、トルエン、アセトン/水(1:1,v/v)、及びアセトン(いずれも溶媒もJ.T.ベーカー)で充分に洗浄し、減圧にて80℃で16時間乾燥した。トリアルキルシリル基の表面濃度(μモル/m2)は、表面修飾
の前後における粒子の炭素%の差(元素分析により測定)によって求めた。
【0095】
二次的な表面修飾又は末端キャップ反応は、第2のシランとクロロトリメチルシラン(アルドリッチケミカル)を使用して、試剤の量及び反応条件に関する上記の手順に従って行
った。表6は、未変性ハイブリッド粒子の組成、第1のシランの化学式、第2の又は末端キ
ャップ用シランの化学式、第1シラン結合相の表面濃度、及び選定された最終的な変性粒
子に対する全炭素%を示している。シラン類とそれらの供給源は下記の通りであった:
クロロジメチルオクタデシルシランとクロロトリメチルシラン(どちらもアルドリッチケ
ミカルから入手);3-(クロロジメチルシリル)プロピルN-オクタデシルカルバメート、3-(クロロジメチルシリル)プロピルN-ドデシルカルバメート、及び3-(クロロジメチルシリル)プロピルN-ベンジルカルバメート(いずれも、Neue,Niederlander,及びPetersonによる米国特許第5,374,755号に記載のように製造);[3-(ペンタフルオロフェニル)-プロピル]ジ
メチルクロロシラン、オクチルジイソプロピルクロロシラン、及びトリアコンチルジメチルクロロシラン(いずれもゲレスト社から入手)。
【0096】
【表6−1】

【0097】
【表6−2】

【0098】
(実施例24)
ハイブリッドシリカ粒子の表面に対し、種々のジアルキルジクロロシラン、アルキルトリクロロシラン、及びアルキルトリアルコキシシランを使用して下記のように変性を施した。10gのハイブリッドシリカを50mlのトルエン(J.T.ベーカー)中に混合した得た混合物
に、粒子表面1m2当たり1×10-5モルのシランと1.2当量(シラン1モル当たり)の塩基アクチベーター〔たとえば、4-(ジメチルアミノ)ピリジン(アルドリッチケミカル)、イミダゾール(アルドリッチケミカル)、又はピリジン(J.T.ベーカー)〕を加え、本混合物を2〜4時間還流した。変性ハイブリッドシリカ粒子を濾過し、トルエン、アセトン/水(1:1,v/v)、及びアセトン(いずれの溶媒もJ.T.ベーカーから入手)で逐次洗浄した。洗浄した粒子を、アセトン/0.12M酢酸アンモニウム(4.5:1,v/v)溶液中にて60℃で2.0〜3.0時間加熱した。引
き続き粒子を冷却し、濾過し、アセトン/水(1:1,v/v)とアセトンで逐次洗浄し、次いで減圧にて80℃で16時間乾燥した。ジアルキルシリル基とアルキルシリル基の表面濃度(μモ
ル/m2)は、表面修飾の前後における粒子の炭素%の差(元素分析により測定)によって求め
た。
【0099】
二次的な表面修飾又は末端キャップ反応は、第2のシラン〔クロロトリメチルシラン、
クロロトリエチルシラン、及びtert-ブチルジメチルクロロシラン(いずれもアルドリッチケミカルから入手)を含む〕を使用して、試剤の量と反応条件に関する上記の手順に従っ
て行った。表7は、未変性ハイブリッド粒子の組成、第1のシランの化学式、第2の又は末
端キャップ用シランの化学式、第1シラン結合相の表面濃度、及び選定された最終的な変
性粒子に対する全炭素%を示している。シラン類とそれらの供給源は下記の通りであった
: オクタデシルトリクロロシラン(アルドリッチケミカル);オクタデシルメチルジクロロシラン、(3-フェニルプロピル)トリクロロシラン、(3-フェニルプロピル)メチルジクロロシラン、(4-フェニルブチル)メチルジクロロシラン、フェネチルトリクロロシラン、[3-(ペンタフルオロフェニル)プロピル]トリクロロシラン、トリアコンチルトリクロロシラ
ン(いずれもニューヨーク州スコシアのサイラー・ラボラトリーズ(Silar Laboratories)
から入手);(2-フェニルプロピル)メチルジクロロシラン(ゲレスト社);1H,1H,2H,2H-ペ
ルフルオロオクチルトリエトキシシラン(ニュージャージー州ピスカタウェイのサイベン
ト(Sivento));フェニルトリクロロシラン、3-シアノプロピルトリクロロシラン(ニュー
ジャージー州ピスカタウェイのハルス(Huls))。
【0100】
【表7−1】

【0101】
【表7−2】

【0102】
(実施例25)
実施例23からの表面誘導体化ハイブリッドシリカの選択された例を使用して、表8に記
載の、中性化合物と極性化合物と塩基性化合物との混合物を分離した。スラリー充填法を使用して、3.9×150mmクロマトグラフィーカラムを充填した。HPLCシステムは、アライアンス2690XE分離モデル、モデル996光ダイオードアレイ検出器、ミレニアム32v.2.15.01データ管理システム(いずれもマサチューセッツ州ミルフォードのウォーターズ・コーポレ
ーションから入手)、及びカラムの温度を調節するためのNESLAB RTE-111循環水浴(ニューハンプシャー州ポーツマスのNESLABインスツルメンツ社)で構成された。移動相の条件は
以下の通りであった:20mMのKH2PO4/K2HPO4、pH7.0/メタノール(35:65,v/v);流量:1.0ml/分;温度:23.4℃;検出254nm。
【0103】
【表8】

【0104】
ハイブリッド物質をベースとする充填物質は、充分な保持値と、中性化合物、極性化合物、及び塩基性化合物の充分な分離能力をもたらすことがわかる。(相対保持値は、[検体のk]を[アセナフテンのk]で除して得られる値である。したがって、1未満の値はアセナフテンより小さい保持値を示し、1を超える値はアセナフテンより大きい保持値を示す。相
対保持値は、HPLCの分野においてよく知られているパラメーターである。)
(実施例26)
実施例23と24からの表面誘導体化ハイブリッド物質の選択された例、並びに類似のアルキルシリル基を有するシリカをベースとする類似の仕方で誘導体化された市販カラムを、実施例25の移動相と試験条件を使用して、塩基性化合物のUSPピークテーリングファクタ
ーに関して評価した。得られた結果を表9に示す。
【0105】
【表9】

【0106】
ハイブリッド物質をベースとする充填物質に対する塩基性化合物のテーリングファクターは、一般には、市販のシリカベース物質に対するそれより低いことがわかる(値がより
小さいということは、テーリングが減少していることを示している)。
【0107】
(実施例27)
実施例23と24からの表面誘導体化ハイブリッドシリカの選択された例、並びに類似のアルキルシリル基を有するシリカゲルをベースとする類似の仕方で誘導体化された市販カラムを、下記の手順を使用して、アルカリ性移動相における安定性に関して評価した。カラムは、4.6×150mmのスチールカラム中に物質をスラリー充填することによって作製し、分析条件は次の通りであった:1)プレート番号、N,(5シグマ法)は、試験検体(アセナフテ
ン)に対して測定した。移動相の条件は、1.0ml/分の流量及び50.0℃のカラム温度にてア
セトニトリル-20mM KH2PO4/K2HPO4(pH7.00)(40:60,v/v)であった。2)カラムに対し、50mMトリエチルアミン(pH10.00)の移動相をパージし、2.0ml/分の流量及び50.0℃のカラム温
度にて50mMトリエチルアミン(pH10.00)移動相で15分パージを行った。3)15分パージした
後に、カラムに100%水をパージし(2.0ml/分にて10分)、次いで100%メタノールをパージした(2.0ml/分にて10分)。4)次いでカラムに上記工程1の移動相をパージし、移動相で平衡
化し、アセナフテンに対するNを測定した。5)このプロセスを、工程2からスタートして繰り返した。充填したカラムを、試験全体にわたって50℃の水浴中に保持した。カラムの耐用年数は、カラムの効率がその初期値の50%に低下したときの、pH10のトリエチルアミン
溶液に対する曝露時間であると定義される。得られた結果を表10に示す。
【0108】
【表10】

【0109】
表から明らかなように、ハイブリッド充填物質を含有するカラムの耐用年数は、シリカベースの物質を含有する市販のカラムより大幅に改良されている。
参照による包含
本明細書において引用した全ての特許、公開特許出願、及び他の文献の全開示内容を参
照により本明細書に含める。
等価物
当業者であれば、本明細書に記載の特定の手順に対して、単なる通常の実験や多くの等価手順が使用可能であることがわかるか又は確認することができる。このような等価体も本発明の範囲内であると考えられ、特許請求の範囲によってカバーされる。本出願の全体にわたって引用されている全ての文献、取得された特許、及び公開特許出願の内容を参照により本明細書に含める。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を含み、このとき前記粒子が約110m2/g未満〜約50m2/g未満の範囲のミクロ細孔表面積を有
する、多孔質有機・無機ハイブリッド物質。
【請求項2】
前記粒子が、有機基表面修飾剤、シラノール基表面修飾剤、ポリマーコーティング表面修飾剤、及びこれらの組み合わせ物からなる群から選択される表面修飾剤によって表面修飾されている、請求項1記載のハイブリッド物質。
【請求項3】
前記粒子が、式Za(R’)bSi-R(式中、Zは、Cl、Br、I、C1-C5アルコキシ、ジアルキル
アミノ、又はトリフルオロメタンスルホネートであり;aとbはそれぞれ、a+b=3という条件にて0〜3の整数であり;R’は、C1-C6の直鎖アルキル基、環状アルキル基、もしくは分岐鎖アルキル基であり;Rは官能化基である)を有する表面修飾剤で表面修飾されている
、請求項2記載のハイブリッド物質。
【請求項4】
前記官能化基Rが、組み込まれた極性官能価を含有するアルケニル基、アルキニル基、
エステル基、及びアルキル基もしくはアリール基からなる群から選択される、請求項3記
載のハイブリッド物質。
【請求項5】
前記官能化基RがC1-C30アルキル基である、請求項3記載のハイブリッド物質。
【請求項6】
前記表面修飾剤がオクチルトリクロロシランとオクタデシルトリクロロシランからなる群から選択される、請求項3記載のハイブリッド物質。
【請求項7】
前記粒子が、有機基表面修飾剤とシラノール基表面修飾剤との組み合わせ物によって表面修飾されている、請求項2記載のハイブリッド物質。
【請求項8】
前記粒子が、有機基表面修飾剤とポリマーコーティング表面修飾剤との組み合わせ物によって表面修飾されている、請求項2記載のハイブリッド物質。
【請求項9】
前記粒子が、シラノール基表面修飾剤とポリマーコーティング表面修飾剤との組み合わせ物によって表面修飾されている、請求項2記載のハイブリッド物質。
【請求項10】
前記粒子が、粒子の有機基と表面修飾剤との間の有機共有結合の形成によって表面修飾されている、請求項2記載のハイブリッド物質。
【請求項11】
前記粒子が、有機基表面修飾剤とシラノール基表面修飾剤とポリマーコーティング表面修飾剤との組み合わせ物によって表面修飾されている、請求項2記載のハイブリッド物質

【請求項12】
前記粒子がシラノール基表面修飾剤で表面修飾されている、請求項2記載のハイブリッ
ド物質。
【請求項13】
前記粒子が約110m2/g未満のミクロ細孔表面積を有する、請求項1記載のハイブリッド物質。
【請求項14】
前記粒子が約105m2/g未満のミクロ細孔表面積を有する、請求項1記載のハイブリッド物質。
【請求項15】
前記粒子が約80m2/g未満のミクロ細孔表面積を有する、請求項1記載のハイブリッド物
質。
【請求項16】
前記粒子が約50m2/g未満のミクロ細孔表面積を有する、請求項1記載のハイブリッド物
質。
【請求項17】
クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有していて、式SiO2/(R2pR4qSiOt)n又はSiO2/[R6(R2rSiOt)m]n(式中、R2とR4は独立的に、C1-C18脂肪族部分、スチリル部分、ビニル
部分、プロパノール部分、又は芳香族部分であり;R6は、2つ以上のケイ素原子を橋架け
している、置換もしくは未置換のC1-C18アルキレン部分、C1-C18アルケニレン部分、C1-C18アルキニレン部分、又はC1-C18アリーレン部分であり;pとqは、p+q=1又は2であるという条件にて、そしてp+q=1のときt=1.5であって、p+q=2のときt=1であるという条件にて0
、1、又は2であり;rは、r=0のときt=1.5であって、r=1のときt=1であるという条件にて0又は1であり;mは2以上の整数であり;nは0.03〜1の数である)を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を含んだ多孔質有機・無機ハイブリッド物質。
【請求項18】
nが0.1〜1の数である、請求項17記載のハイブリッド物質。
【請求項19】
約100〜300Åの平均細孔直径を有する、請求項17記載のハイブリッド物質。
【請求項20】
nが0.2〜0.5の数である、請求項17記載のハイブリッド物質。
【請求項21】
前記粒子が約110m2/g未満〜約50m2/g未満の範囲のミクロ細孔表面積を有する、請求項17記載のハイブリッド物質。
【請求項22】
a) 多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を形成させる工程、及び
b) 前記多孔質粒子の細孔構造を修飾する工程
を含み、このとき前記粒子が約110m2/g未満〜約50m2/g未満の範囲のミクロ細孔表面積を
有する、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子の製造法。
【請求項23】
前記粒子が、有機基表面修飾剤、シラノール基表面修飾剤、ポリマーコーティング表面修飾剤、及びこれらの組み合わせ物からなる群から選択される表面修飾剤によって表面修飾されている、請求項22記載の製造法。
【請求項24】
前記粒子がポリマーコーティング表面修飾剤によって表面修飾されている、請求項23記載の製造法。
【請求項25】
前記粒子が、有機基表面修飾剤とシラノール基表面修飾剤との組み合わせ物によって表面修飾されている、請求項23記載の製造法。
【請求項26】
前記粒子が、有機基表面修飾剤とポリマーコーティング表面修飾剤との組み合わせ物によって表面修飾されている、請求項23記載の製造法。
【請求項27】
前記粒子が、シラノール基表面修飾剤とポリマーコーティング表面修飾剤との組み合わせ物によって表面修飾されている、請求項23記載の製造法。
【請求項28】
前記粒子が、有機基表面修飾剤とシラノール基表面修飾剤とポリマーコーティング表面修飾剤との組み合わせ物によって表面修飾されている、請求項23記載の製造法。
【請求項29】
前記粒子がシラノール基表面修飾剤によって表面修飾されている、請求項23記載の製造法。
【請求項30】
前記粒子が、粒子の有機基と表面修飾剤との間の有機共有結合の形成によって表面修飾されている、請求項23記載の製造法。
【請求項31】
1種以上のオルガノアルコキシシランとテトラアルコキシシランとを予備重合してポリオルガノアルコキシシロキサンを生成させ、前記ポリオルガノアルコキシシロキサンの水性懸濁液を作製し、そして多孔質粒子が得られるように塩基触媒の存在下でゲル化することによって前記多孔質粒子を製造する、請求項22記載の製造法。
【請求項32】
オルガノトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとを予備重合してポリアルキルオキシシロキサンを生成させ、前記ポリアルキルオキシシロキサンの水性懸濁液を作製し、そして多孔質粒子が得られるように塩基触媒の存在下でゲル化することによって前記多孔質粒子を製造する、請求項22記載の製造法。
【請求項33】
前記懸濁液中に異なった界面活性剤の組み合わせ物をさらに組み込み、そして前記多孔質粒子に水熱処理を施すことによって前記多孔質粒子の前記細孔構造を修飾する、請求項31又は32に記載の製造法。
【請求項34】
前記界面活性剤が、トリトンX-45、トリトンX-100、ドデシル硫酸ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンラウリル硫酸塩、及びこれらのあらゆる組み合わせ物か
らなる群から選択される、請求項33記載の製造法。
【請求項35】
前記予備重合工程が、1種以上のオルガノアルコキシシランとテトラアルコキシシラン
との混合物を酸触媒の存在下で加水分解・縮合反応させて前記ポリアルキルオキシシロキサンを生成させることを含む、請求項31記載の製造法。
【請求項36】
a) 多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を形成させる工程、
b) 前記多孔質粒子の細孔構造を修飾する工程、及び
c) 前記粒子を表面修飾する工程
を含み、このとき前記粒子が、有機基表面修飾剤、シラノール基表面修飾剤、ポリマーコーティング表面修飾剤、及びこれらの組み合わせ物からなる群から選択される表面修飾剤によって表面修飾されている、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子の製造法。
【請求項37】
前記粒子がポリマーコーティング表面修飾剤によって表面修飾されている、請求項36記載の製造法。
【請求項38】
前記粒子が、有機基表面修飾剤とシラノール基表面修飾剤との組み合わせ物によって表面修飾されている、請求項36記載の製造法。
【請求項39】
前記粒子が、有機基表面修飾剤とポリマーコーティング表面修飾剤との組み合わせ物によって表面修飾されている、請求項36記載の製造法。
【請求項40】
前記粒子が、シラノール基表面修飾剤とポリマーコーティング表面修飾剤との組み合わせ物によって表面修飾されている、請求項36記載の製造法。
【請求項41】
前記粒子が、有機基表面修飾剤とシラノール基表面修飾剤とポリマーコーティング表面修飾剤との組み合わせ物によって表面修飾されている、請求項36記載の製造法。
【請求項42】
前記粒子がシラノール基表面修飾剤によって表面修飾されている、請求項36記載の製造法。
【請求項43】
前記粒子が、粒子の有機基と表面修飾剤との間の有機共有結合の形成によって表面修飾されている、請求項36記載の製造法。
【請求項44】
前記表面修飾工程が、式Za(R’)bSi-R(式中、Zは、Cl、Br、I、C1-C5アルコキシ、ジアルキルアミノ、又はトリフルオロメタンスルホネートであり;aとbはそれぞれ、a+b=3と
いう条件にて0〜3の整数であり;R’は、C1-C6の直鎖アルキル基、環状アルキル基、もしくは分岐鎖アルキル基であり;Rは官能化基である)を有する表面修飾剤で前記多孔質粒子を表面修飾することを含む、請求項36記載の製造法。
【請求項45】
前記官能化基RがC1-C30アルキル基である、請求項44記載の製造法。
【請求項46】
前記表面修飾剤がオクチルトリクロロシランとオクタデシルトリクロロシランからなる群から選択される、請求項44記載の製造法。
【請求項47】
前記官能化基Rが、組み込まれた極性官能価を含有するアルケニル基、アルキニル基、
エステル基、及びアルキル基もしくはアリール基からなる群から選択される、請求項44記載の製造法。
【請求項48】
前記粒子が約0.4〜1.2cm3/gという比細孔容積を有する、請求項22記載の製造法。
【請求項49】
前記粒子が約110m2/g未満のミクロ細孔表面積を有する、請求項22記載の製造法。
【請求項50】
前記オルガノアルコキシシランが式R6[Si(OR1)3]m(式中、R1はC1-C4アルキル部分であ
り;R6は、2つ以上のケイ素原子を橋架けしているC1-C18アルキレン部分、C1-C18アルケ
ニレン部分、C1-C18アルキニレン部分、又はC1-C18アリーレン部分であり;mは2以上の整数である)を有する、請求項31記載の製造法。
【請求項51】
前記オルガノアルコキシシランが式R2Si(OR1)3(式中、R2は、メチル、エチル、フェニ
ル、ビニル、メタクリルオキシプロピル、又はスチリルエチルであり、R1はエチルである)又はR6[Si(OR1)3]m(式中、R6は橋架けエチレン基であり、m=2であり、R1はエチル又はメチルである)を有する、請求項31記載の製造法。
【請求項52】
前記多孔質有機・無機ハイブリッド粒子が式SiO2/[R6(R2rSiOt)m]n(式中、R2は、C1-C18脂肪族部分、スチリル部分、ビニル部分、プロパノール部分、又は芳香族部分であり;R6は、2つ以上のケイ素原子を橋架けしている、置換もしくは未置換のC1-C18アルキレン部分、C1-C18アルケニレン部分、C1-C18アルキニレン部分、又はC1-C18アリーレン部分であり;t=1であり;rは、r=0のときt=1.5であって、r=1のときt=1であるという条件にて0又
は1であり;mは2以上の整数であり;nは0.03〜1の数である)を有する、請求項22記載の製造法。
【請求項53】
nが0.1〜1の数である、請求項52記載の製造法。
【請求項54】
前記多孔質有機・無機ハイブリッド粒子が約100〜300Åの平均細孔直径を有する、請求項52記載の製造法。
【請求項55】
nが0.2〜0.5の数である、請求項52記載の製造法。
【請求項56】
クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を含んだ固体相を有する分離装置であって、前記粒子が約110m2/g未満〜約50m2/g未満の範
囲のミクロ細孔表面積を有する前記分離装置。
【請求項57】
前記粒子が、有機基表面修飾剤、シラノール基表面修飾剤、ポリマーコーティング表面修飾剤、及びこれらの組み合わせ物からなる群から選択される表面修飾剤によって表面修飾されている、請求項56記載の分離装置。
【請求項58】
前記分離装置が薄層プレートである、請求項56記載の分離装置。
【請求項59】
前記粒子が約105m2/g未満のミクロ細孔表面積を有する、請求項56記載の分離装置。
【請求項60】
前記粒子が約80m2/g未満のミクロ細孔表面積を有する、請求項56記載の分離装置。
【請求項61】
前記粒子が約50m2/g未満のミクロ細孔表面積を有する、請求項56記載の分離装置。
【請求項62】
クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を含んだ固体相を有する分離装置であって、前記粒子が、式Za(R’)bSi-R(式中、Zは、Cl、Br、I、C1-C5アルコキシ、ジアルキルアミノ、又はトリフルオロメタンスルホネートであり;aとbはそれぞれ、a+b=3という条件にて0〜3の整数であり;R’はC1-C6の直鎖アルキ
ル基、環状アルキル基、もしくは分岐鎖アルキル基であり;Rは官能化基である)を有する表面修飾剤で表面修飾されており、前記粒子が約110m2/g未満〜約50m2/g未満の範囲のミ
クロ細孔表面積を有する前記分離装置。
【請求項63】
前記表面修飾剤がオクチルトリクロロシランとオクタデシルトリクロロシランからなる群から選択される、請求項62記載の分離装置。
【請求項64】
前記官能化基Rが、組み込まれた極性官能価を含有するアルケニル基、アルキニル基、
エステル基、及びアルキル基もしくはアリール基からなる群から選択される、請求項62記載の分離装置。
【請求項65】
前記官能化基RがC1-C30アルキル基である、請求項62記載の分離装置。
【請求項66】
前記ハイブリッド粒子が、式SiO2/(R2pR4qSiOt)n又はSiO2/[R6(R2rSiOt)m]n(式中、R2
とR4は独立的に、C1-C18脂肪族部分、スチリル部分、ビニル部分、プロパノール部分、又は芳香族部分であり;R6は、2つ以上のケイ素原子を橋架けしている、置換もしくは未置
換のC1-C18アルキレン部分、C1-C18アルケニレン部分、C1-C18アルキニレン部分、又はC1-C18アリーレン部分であり;pとqは、p+q=1又は2であるという条件にて、そしてp+q=1の
ときt=1.5であって、p+q=2のときt=1であるという条件にて0、1、又は2であり;rは、r=0のときt=1.5であって、r=1のときt=1であるという条件にて0又は1であり;mは2以上の整
数であり;nは0.03〜1の数である)を有する、請求項56記載の分離装置。
【請求項67】
nが0.1〜1の数である、請求項66記載の分離装置。
【請求項68】
前記ハイブリッド粒子が約100〜300Åの平均細孔直径を有する、請求項66記載の分離装置。
【請求項69】
nが0.2〜0.5の数である、請求項66記載の分離装置。
【請求項70】
a) 充填物質を受け入れるための円柱状内部を有するカラム;及び
b) 式SiO2/(R2pR4qSiOt)n又はSiO2/[R6(R2rSiOt)m]n(式中、R2とR4は独立的に、C1-C18脂肪族部分、スチリル部分、ビニル部分、プロパノール部分、又は芳香族部分であり;R6は、2つ以上のケイ素原子を橋架けしている、置換もしくは未置換のC1-C18アルキレン部分、C1-C18アルケニレン部分、C1-C18アルキニレン部分、又はC1-C18アリーレン部分であり;pとqは、p+q=1又は2であるという条件にて、そしてp+q=1のときt=1.5であって、p+q=2のときt=1であるという条件にて0、1、又は2であり;rは、r=0のときt=1.5であって、r=1のときt=1であるという条件にて0又は1であり;mは2以上の整数であり;nは0.03〜1の数である)で示される、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機
ハイブリッド粒子を含む充填されたクロマトグラフィーベッド、このとき前記多孔質ハイブリッドシリカのクロマトグラフィーマトリックスが、クロマトグラフィーを促進する細孔形状と約100〜300Åの平均細孔直径を有し、前記ハイブリッドシリカの多孔質粒子が表面修飾されている;
を含む、改善された耐用年数を有するクロマトグラフィーカラム。
【請求項71】
nが0.1〜1の数である、請求項70記載のクロマトグラフィーカラム。
【請求項72】
a) 充填物質を受け入れるための円柱状内部を有するカラム;及び
b) クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有する多孔質有機・無機ハイブリッド粒子を含む充填されたクロマトグラフィーベッド、このとき前記粒子が、有機基表面修飾剤、シラノール基表面修飾剤、ポリマーコーティング表面修飾剤、及びこれらの組み合わせ物からなる群から選択される表面修飾剤によって表面修飾されている;
を含む、改善された耐用年数を有するクロマトグラフィーカラム。
【請求項73】
前記表面修飾工程が、式Za(R’)bSi-R(式中、Zは、Cl、Br、I、C1-C5アルコキシ、ジアルキルアミノ、又はトリフルオロメタンスルホネートであり;aとbはそれぞれ、a+b=3と
いう条件にて0〜3の整数であり;R’は、C1-C6の直鎖アルキル基、環状アルキル基、もしくは分岐鎖アルキル基であり;Rは官能化基である)を有する表面修飾剤で前記多孔質粒子を表面修飾することを含む、請求項72記載のクロマトグラフィーカラム。
【請求項74】
a) 1種以上のオルガノアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの混合物を酸触
媒の存在下にて予備重合して、ポリオルガノアルコキシシロキサンを生成させる工程;
b) 前記ポリオルガノアルコキシシロキサンの水性懸濁液を作製し、多孔質粒子が得られるように塩基触媒の存在下でゲル化する工程、このとき前記懸濁液が界面活性剤又は界面活性剤の組み合わせ物をさらに含む;及び
c) 前記多孔質粒子の細孔構造を水熱処理によって修飾する工程;
を含み、これによってクロマトグラフィーを促進する細孔形状を有するハイブリッドシリカの多孔質粒子が製造される、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有するハイブリッドシリカの多孔質粒子の製造法。
【請求項75】
前記オルガノアルコキシシランとポリオルガノアルコキシシロキサンとのモル比が約0.5:1〜0.2:1である、請求項74記載の製造法。
【請求項76】
前記粒子が約75〜600m2/gの比表面積を有する、請求項74記載の製造法。
【請求項77】
前記粒子が約100〜350m2/gの比表面積を有する、請求項74記載の製造法。
【請求項78】
前記粒子が約110m2/g未満のミクロ細孔表面積を有する、請求項74記載の製造法。
【請求項79】
前記粒子が約0.4〜1.2cm3/gの比細孔容積を有する、請求項74記載の製造法。
【請求項80】
前記粒子が約105m2/g未満のミクロ細孔表面積を有する、請求項74記載の製造法。
【請求項81】
前記粒子が約80m2/g未満のミクロ細孔表面積を有する、請求項74記載の製造法。
【請求項82】
前記粒子が約50m2/g未満のミクロ細孔表面積を有する、請求項74記載の製造法。
【請求項83】
前記粒子が約50〜500Åの平均細孔直径を有する、請求項74記載の製造法。
【請求項84】
前記粒子が約100〜300Åの平均細孔直径を有する、請求項74記載の製造法。
【請求項85】
前記界面活性剤がアルキルフェノキシポリエトキシエタノールである、請求項74記載の製造法。
【請求項86】
前記懸濁液が細孔形成剤をさらに含む、請求項74記載の製造法。
【請求項87】
前記テトラアルコキシシランがテトラメトキシシランとテトラエトキシシランからなる群から選択される、請求項74記載の製造法。
【請求項88】
前記ハイブリッドシリカ粒子が式SiO2/(R2pR4qSiOt)n又はSiO2/[R6(R2rSiOt)m]n(式中
、R2とR4は独立的に、C1-C18脂肪族部分、スチリル部分、ビニル部分、プロパノール部分、又は芳香族部分であり;R6は、2つ以上のケイ素原子を橋架けしている、置換もしくは
未置換のC1-C18アルキレン部分、C1-C18アルケニレン部分、C1-C18アルキニレン部分、又はC1-C18アリーレン部分であり;pとqは、p+q=1又は2であるという条件にて、そしてp+q=1のときt=1.5であって、p+q=2のときt=1であるという条件にて0、1、又は2であり;rは、r=0のときt=1.5であって、r=1のときt=1であるという条件にて0又は1であり;mは2以上の整数であり;nは0.03〜1の数である)を有する、請求項74記載の製造法。
【請求項89】
nが0.1〜1の数である、請求項88記載の製造法。
【請求項90】
前記ハイブリッドシリカ粒子が約100〜300Åの平均細孔直径を有する、請求項88記載の製造法。
【請求項91】
nが0.2〜0.5の数である、請求項88記載の製造法。
【請求項92】
a) 1種以上のオルガノアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの混合物を酸触
媒の存在下にて予備重合して、ポリアルキルオキシシロキサンを生成させる;
b) 前記ポリアルキルオキシシロキサンの水性懸濁液を作製し、多孔質粒子が得られるように塩基触媒の存在下でゲル化する、このとき前記懸濁液が、界面活性剤又は界面活性剤の組み合わせ物をさらに含む;及び
c) 前記多孔質粒子の細孔構造を水熱処理によって修飾する;
というプロセスによって製造され、これによってクロマトグラフィーを促進する細孔形状を有するハイブリッドシリカの多孔質粒子が製造される、クロマトグラフィーを促進する細孔形状を有するハイブリッドシリカの多孔質粒子。
【請求項93】
前記オルガノアルコキシシランとテトラアルコキシシランとのモル比が約0.5:1〜0.2:1である、請求項92記載の多孔質ハイブリッドシリカ粒子。
【請求項94】
前記粒子が約75〜600m2/gの比表面積を有する、請求項92記載の多孔質ハイブリッドシ
リカ粒子。
【請求項95】
前記粒子が約100〜350m2/gの比表面積を有する、請求項92記載の多孔質ハイブリッドシリカ粒子。
【請求項96】
前記粒子が約110m2/g未満のミクロ細孔表面積を有する、請求項92記載の多孔質ハイブ
リッドシリカ粒子。
【請求項97】
前記粒子が約0.4〜1.2cm3/gの比細孔容積を有する、請求項92記載の多孔質ハイブリッ
ドシリカ粒子。
【請求項98】
前記粒子が約105m2/g未満のミクロ細孔表面積を有する、請求項92記載の多孔質ハイブ
リッドシリカ粒子。
【請求項99】
前記粒子が約80m2/g未満のミクロ細孔表面積を有する、請求項92記載の多孔質ハイブリッドシリカ粒子。
【請求項100】
前記粒子が約50m2/g未満のミクロ細孔表面積を有する、請求項92記載の多孔質ハイブリッドシリカ粒子。
【請求項101】
前記粒子が約50〜500Åの平均細孔直径を有する、請求項92記載の多孔質ハイブリッド
シリカ粒子。
【請求項102】
前記粒子が約100〜300Åの平均細孔直径を有する、請求項92記載の多孔質ハイブリッドシリカ粒子。
【請求項103】
前記界面活性剤がアルキルフェノキシポリエトキシエタノールである、請求項92記載の多孔質ハイブリッドシリカ粒子。
【請求項104】
前記懸濁液が細孔形成剤をさらに含む、請求項92記載の多孔質ハイブリッドシリカ粒子。
【請求項105】
前記テトラアルコキシシランがテトラメトキシシランとテトラエトキシシランからなる群から選択される、請求項92記載の多孔質ハイブリッドシリカ粒子。
【請求項106】
式SiO2/(R2pR4qSiOt)n又はSiO2/[R6(R2rSiOt)m]n(式中、R2とR4は独立的に、C1-C18
肪族部分、スチリル部分、ビニル部分、プロパノール部分、又は芳香族部分であり;R6は、2つ以上のケイ素原子を橋架けしている、置換もしくは未置換のC1-C18アルキレン部分
、C1-C18アルケニレン部分、C1-C18アルキニレン部分、又はC1-C18アリーレン部分であり;pとqは、p+q=1又は2であるという条件にて、そしてp+q=1のときt=1.5であって、p+q=2
のときt=1であるという条件にて0、1、又は2であり;rは、r=0のときt=1.5であって、r=1のときt=1であるという条件にて0又は1であり;mは2以上の整数であり;nは0.03〜1の数
である)を有する、請求項92記載の多孔質ハイブリッドシリカ粒子。
【請求項107】
前記ハイブリッドシリカ粒子が約100〜300Åの平均細孔直径を有する、請求項106記載
の多孔質ハイブリッドシリカ粒子。
【請求項108】
nが0.2〜0.5の数である、請求項106記載の多孔質ハイブリッドシリカ粒子。
【請求項109】
nが0.1〜1の数である、請求項106記載の多孔質ハイブリッドシリカ粒子。
【請求項110】
前記粒子が約0.4〜1.2cm3/gの比細孔容積を有する、請求項1記載のハイブリッド物質。
【請求項111】
クロマトグラフィーを促進する細孔形状を含む、多孔質有機・無機ハイブリッド物質。
【請求項112】
約34Å未満の直径を有する細孔が当該物質の比表面積の約110m2/g未満〜約50m2/g未満
を構成する多孔質有機・無機ハイブリッド物質。
【請求項113】
約35Å〜約500Åの範囲の直径を有する細孔が当該物質の比表面積の約35m2/g〜約750m2/gを構成する、請求項111記載のハイブリッド物質。
【請求項114】
約60Å〜約500Åの範囲の直径を有する細孔が当該物質の比表面積の約65m2/g〜約550m2/gを構成する、請求項113記載のハイブリッド物質。
【請求項115】
約100Å〜約300Åの範囲の直径を有する細孔が当該物質の比表面積の約100m2/g〜約350m2/gを構成する、請求項114記載のハイブリッド物質。

【公開番号】特開2009−25315(P2009−25315A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231653(P2008−231653)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【分割の表示】特願2003−526515(P2003−526515)の分割
【原出願日】平成14年8月7日(2002.8.7)
【出願人】(504050518)ウォーターズ・インヴェストメンツ・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】