説明

クロマトグラフ排除凝集アッセイ法およびそれらの使用法

本発明は、凝集アッセイ法、特にクロマトグラフ排除アッセイ法およびそれらの使用法に関する。本発明は、試験装置の特定の無作為でない位置に蓄積された、結合した検出可能な特異的結合試薬の集合体のクロマトグラフ排除を使用することによる、被験試料中の1種または複数の関心のある被検体の存在を決定する新規方法を含む。試験される試料中に関心のある被検体が存在しない場合、特異的検出可能な結合試薬の集合体は形成されず、従ってクロマトグラフィー媒体から排除されず、明確で容易に識別できる事象を生じる。本発明は特に、診療所または自宅における疾患の検出または治療のモニタリングのための簡易な試験装置に適用可能である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は一般に、凝集アッセイ法の技術分野、特にクロマトグラフ排除アッセイ法およびそれらの使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
様々な空気凝集アッセイ法が市販されている。これらの凝集アッセイ法は、試料中の微量の関心のある被検体を分析することにより、疾患状態の診断または治療のモニタリングなどの、様々な目的で使用することができる。ある凝集アッセイ法は、溶液中で完全に実行され、可視できる被検体の存在は、陽性結果の指標として溶液中に集合体を誘導した。別の凝集アッセイ法は、被検体が誘導した集合体を濃縮するために、反応試料が、細孔を通り通過させられるフロースルーシステムを利用し実行される。別の凝集アッセイ法は、乾燥多孔質ストリップ上で実行され、ストリップ上の被検体(anlalyte)が誘導した集合体の存在が、陽性結果の指標である。
【0003】
多くの利用可能な凝集アッセイ法は、感度不足に悩まされており、偽陽性結果を示す傾向がある。乾燥多孔質ストリップを利用する凝集アッセイ法は、凝集アッセイ構成要素のランダム集塊からの多孔質ストリップ内またはその上に集合された真の凝集の観察および検出の困難さのために、特に偽陽性の結果を生じる傾向がある。ほとんどの凝集アッセイ法、特にフロースルー凝集アッセイ法は、試験される試料中の非特異的粒状物質の存在のために、偽陽性結果を生じる傾向がある。先に説明した凝集アッセイ法は通常、陽性もしくは陰性として正確に最終結果を決定するため、またはより決定的結果のために試験を再試行することを決断するためには、熟練技術者を必要とする。より感度の良い凝集アッセイ法を作製する流れがあるが、凝集アッセイ法の自宅または診療所での使用のための感度、有効性および簡易性の更なる改善が望ましく、本発明は、現存する問題点に対処し、かつ関連する恩恵を提供する。
【発明の開示】
【0004】
発明の概要
本発明は、凝集アッセイ法、特にクロマトグラフ排除アッセイ法およびそれらの使用法に関する。本発明は、試験装置上の特定かつ無作為でない位置に蓄積された結合した検出可能な特異的結合試薬の集合体のクロマトグラフ排除または分離を使用することにより、被験試料中の1種または複数の関心のある被検体の存在を決定する新規戦略を含む。試験される試料中に関心のある被検体が存在しない場合は、特異的な検出可能な結合試薬の集合体は形成されず、従って明確でかつ容易に識別できる事象を作り出すクロマトグラフィー媒体から排除されない。しかしサイズ排除クロマトグラフィーのように、集合されない粒子を保持することにより単独の粒子から集合体を分離することも可能である。本発明は、診療所または自宅における疾患の検出または治療のモニタリングのための簡易な試験装置として特に適用可能である。
【0005】
本発明は、検出可能な特異的結合試薬と関心のある被検体の結合により形成された集合体のクロマトグラフ排除または分離を使用することにより、凝集アッセイ法を、より感度良く、より効率的で、より簡易に行うことができる。好ましくはクロマトグラフィー的に排除または分離された陽性試験結果の集合体は、クロマトグラフィー媒体上の可視できるバンドの形成のような、明確な事象につながり、これは集合体がクロマトグラフィー媒体から排除または分離されない陰性試験結果から容易に識別される。
【0006】
本発明の第一の局面は、検出されることが可能でありおよび被験試料中に存在することが疑われる被検体または関心のある被検体に結合することが可能である1種または複数の特異的結合試薬を含む第一の多孔質部材を備える、被験試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出するための装置を含む。本発明は同じく、第一の多孔質部材との液体連絡路内に存在し、かつ未結合の検出可能な特異的結合試薬を実質的に自在に通過させるが、結合した検出可能な特異的結合試薬は実質的に保持することが可能である、第二の多孔質部材を備える。試料が本発明の第一の多孔質部材へ導入されると、この試料は、毛細管流動により第一および第二の多孔質部材を通り移動し、被験試料中の被検体または関心のある被検体の存在は、第一の多孔質部材の第二の多孔質部材との境界面における結合した検出可能な特異的結合試薬の集合体の存在により示される。
【0007】
本発明の第二の局面は、第一および第二の多孔質部材の接合部に互いに検出ゾーンを形成する、液体連絡路内に第一の多孔質部材および第二の多孔質部材を備える、試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する装置を含む。第一の多孔質部材上に配置された反応ゾーンは、試験される試料中に存在し、かつ集合体を形成することが疑われる被検体または関心のある被検体に結合することができる1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を含む。この反応ゾーンに存在する1種または複数の検出可能な特異的結合試薬は、可溶化し、毛細管流動により該第二の多孔質部材へ移動することが可能である。第二の多孔質部材は、未結合の検出可能な特異的結合試薬を実質的に自在に通過させるが、結合しかつ集合した検出可能な特異的結合試薬の流れは実質的に妨げることが可能である。試料が本発明の第一の多孔質部材へ導入されると、試料は、毛細管流動により第一および第二の多孔質部材を通り移動し、被験試料中の被検体または関心のある被検体の存在は、第一の多孔質部材の第二の多孔質部材との接合部における結合した検出可能な特異的結合試薬の集合体の蓄積の形成により示され、ならびに被験試料中の被検体または関心のある被検体の非存在は、第一の多孔質部材の第二の多孔質部材との接合部における結合した検出可能な特異的結合試薬の集合体の蓄積の非存在または欠損により示される。
【0008】
本発明の第三の局面は、以下の工程を含む、試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する方法を含む:被験試料中に存在することが疑われる被検体または関心のある被検体に結合することができる1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を含有する、第一の多孔質部材を提供する工程;第一の多孔質部材との液体連絡路内に存在する第二の多孔質部材を提供して接合部を形成し、その結果第二の多孔質部材は、未結合の検出可能な結合試薬を実質的に自在に通過させるが、結合した検出可能な特異的結合試薬の流れは実質的に阻止する、工程;被験試料を第一の多孔質部材へ導入し、その結果被験試料は、毛細管流動により第一および第二の多孔質部材を通り移動し、第一の多孔質部材の1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を動員する工程;ここで、被検体または関心のある被検体の存在は、第一の多孔質部材の第二の多孔質部材との接合部における結合した検出可能な特異的結合試薬の集合体の存在により示される。
【0009】
本発明の第四の局面は、検出されることが可能であり、試料に添加された場合に、1種または複数の関心のある被検体と結合することが可能である、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を含む、試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する装置を含む。本発明は同じく、互いの液体連絡路内に第一の多孔質部材および第二の多孔質部材も備え、ここで第二の多孔質部材は、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を実質的に自在に通過させるが、検出可能な特異的結合試薬が、被検体または関心のある被検体に結合した場合には、これらは実質的に保持されることが可能である。ここで1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が、試料へ導入されて混合物を形成し、この混合物は次に、第一の多孔質部材へ導入されて毛管作用により第一および第二の多孔質部材を通り移動し、1種または複数の関心のある被検体の存在が、第一の多孔質部材の第二の多孔質部材との境界面における、結合した1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の集合体の存在により示される。
【0010】
本発明の第五の局面は、以下の工程を含む、試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する方法を含む:混合物を形成するために、試料中の該1種または複数の関心のある被検体に結合することができる1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を、試料と混合する工程;第一の多孔質部材を提供する工程;第一の多孔質部材との液体連絡路内に第二の多孔質部材を提供して接合部を形成する工程。第二の多孔質部材は、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を第二の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるが、被検体または関心のある被検体と結合した場合には、第二の多孔質部材を通る1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の流れを実質的に阻止することが可能である、工程;混合物を第一の多孔質部材へ導入する工程であって、混合物は毛管作用により第一および第二の多孔質部材を通り移動する工程;ここで、1種または複数の関心のある被検体の存在は、第一および第二の多孔質部材の接合部における、結合した1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の集合体の存在により示される。
【0011】
本発明の第六の局面は、検出されることが可能であり且つ試料に添加された場合に1種または複数の関心のある被検体に結合することが可能である、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を含む、第一の多孔質部材を備える、試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する装置を含む。本発明は同じく、第二および第三の多孔質部材も備え、ここで第三の多孔質部材は、第二の多孔質部材との液体連絡路内に存在し、且つ第三の多孔質部材は、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を、第三の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるが、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が1種または複数の関心のある被検体に結合された場合には、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を実質的に保持することが可能であり;これにより、試料は、第一の多孔質部材に導入され、第一の多孔質部材は、第二の多孔質部材と液体接触させられ、試料は、毛細管流動により、第一、第二、および第三の多孔質部材を通り移動し、1種または複数の関心のある被検体の存在は、第二の多孔質部材と第三の多孔質部材の境界面における、結合した1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の集合体の存在により示される。
【0012】
本発明の第七の局面は、以下の工程を含む、試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する方法を含む:第一の多孔質部材を提供する工程;第二の多孔質部材を提供する工程;第二の多孔質部材との液体連絡路内に第三の多孔質部材を提供して接合部を形成する工程であって、この第三の多孔質部材は、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を第三の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるが、1種または複数の関心のある被検体に結合した場合は、第三の多孔質部材を通る1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の流れを実質的に阻止することが可能である工程;試料中の1種または複数の関心のある被検体に結合することができる1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を、試料と混合して混合物を形成する工程;混合物を、第一の多孔質部材へ導入する工程;第一の多孔質部材を、第二の多孔質部材と接触する工程であって、混合物は、毛管作用により第一、第二、および第三の多孔質部材を通り移動する工程;ここで、1種または複数の関心のある被検体の存在は、第二および第三の多孔質部材の接合部における、結合した1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の集合体の存在により示される。
【0013】
本発明の第八の局面は、検出されることが可能であり且つ被験試料中に存在することが疑われる被検体または関心のある被検体に結合することが可能である、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を備える、被験試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する装置を含む。本発明は同じく、第一の末端および第二の末端を有する多孔質部材も備え、未結合の検出可能な特異的結合試薬は実質的に自在に通過させるが、結合した検出可能な特異的結合試薬は実質的に排除することが可能である。試料が、1種または複数の検出可能な結合試薬と混合され、本発明の多孔質部材の第一の末端へ導入されると、試料は、毛細管流動により多孔質部材を通り移動し、被験試料中の被検体または関心のある被検体の存在は、多孔質部材の第一の末端で多孔質部材から排除される、多孔質部材の第二の末端における、結合した検出可能な特異的結合試薬の集合体の実質的非存在により示される。
【0014】
本発明の第九の局面は、以下の工程を含む、試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する方法を含む:試料中の該1種または複数の関心のある被検体に結合することができる1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を試料と混合して混合物を形成する工程;第一の末端および第二の末端を有する多孔質部材を提供する工程であって、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬は、多孔質部材を通り実質的に自在に通過することができるが、それらが被検体または関心のある被検体に結合した場合には、多孔質部材を通る1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の流れは実質的に阻止されることを可能にする工程;混合物を、多孔質部材の第一の末端に導入する工程であって、混合物は毛管作用により多孔質部材を通り移動する工程;ここで、1種または複数の関心のある被検体の存在は、多孔質部材の第一の末端で多孔質部材から排除される、多孔質部材の第二の末端における、結合した1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の集合体の非存在により示される。
【0015】
本発明の明細書を通じて、用語「第一の」、「第二の」、または「第三の」は、単に便宜を目的とし、混乱を避けるために使用される。これらの用語は、多孔度、構成要素の構造、反応性などに関する特別な順番または配列のためには使用されず、それを意味するものでもない。
【0016】
発明の詳細な説明
序言
本発明は、特に試験装置上の指定された無作為でない位置で、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の、被検体または関心のある被検体との結合により形成された集合体のクロマトグラフ排除または分離を使用し、より感度良く、より効率的で、より簡易な凝集アッセイ法を作製することができることを認める。好ましくは、陽性試験結果のクロマトグラフィー排除された集合体は、例えばクロマトグラフィー媒体上の可視できるバンドの形成のような、明確な事象につながり、これは、集合体がクロマトグラフィー媒体から排除されない陰性試験結果から容易に識別される。
【0017】
本発明の広さへの限定的でない序言として、本発明は、以下を含む、いくつかの一般的かつ有用な局面を有する:
1)被験試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する装置であって:
検出されることが可能であり且つ被験試料中に存在することが疑われる被検体または関心のある被検体に結合することが可能である1種または複数の特異的結合試薬を含む、第一の多孔質部材;
第一の多孔質部材との液体連絡路内に存在する、第二の多孔質部材;を備える。第二の多孔質部材は、未結合の検出可能な特異的結合試薬を実質的に自在に通過させるが、結合した検出可能な特異的結合試薬は実質的に保持することを可能にし;
ここで、試料は、第一の多孔質部材へ導入され、毛細管流動により、第一および第二の多孔質部材を通り移動し、被験試料中の被検体または関心のある被検体の存在が、第一の多孔質部材の第二の多孔質部材との境界面における結合された検出可能な特異的結合試薬の集合体の存在により示される。
【0018】
2)試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する装置であって:
第一および第二の多孔質部材の接合部に、互いに検出ゾーンを形成している、液体連絡路内の第一の多孔質部材および第二の多孔質部材;
試験される試料中の存在が疑われる被検体または関心のある被検体に結合することができる1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を含む第一の多孔質部材上に配置された反応ゾーンを備える。反応ゾーンに存在する1種または複数の検出可能な特異的結合試薬は、可溶化し、毛細管流動により第二の多孔質部材に移動することが可能である。第二の多孔質部材は、未結合の検出可能な特異的結合試薬を、実質的に自在に通過させるが、結合した検出可能な特異的結合試薬の流れは実質的に妨げることが可能であり;
試料は、第一の多孔質部材へ導入され、毛細管流動により、第一および第二の多孔質部材を通り移動し、被験試料中の関心のある被検体の存在が、第一の多孔質部材の第二の多孔質部材との接合部における結合した検出可能な特異的結合試薬の集合体の蓄積の形成により示され、且つ被験試料中の関心のある被検体の非存在が、第一の多孔質部材の第二の多孔質部材との接合部における結合した検出可能な特異的結合試薬の集合体の蓄積の非存在により示される。
【0019】
3)試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する方法であって:
a)被験試料中に存在することが疑われる被検体または関心のある被検体に結合することができる、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を含む第一の多孔質部材を提供する工程;
b)第一の多孔質部材との液体連絡路内に存在する第二の多孔質部材を提供して接合部を形成し、その結果第二の多孔質部材は、未結合の検出可能な結合試薬を実質的に自在に通過させるが、結合した検出可能な特異的結合試薬の流れは実質的に阻止する工程;
c)被験試料を第一の多孔質部材へ導入し、その結果被験試料が、毛細管流動により第一および第二の多孔質部材を通り移動し、且つ第一の多孔質部材の1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を動員する工程;を含み、
ここで、被検体または関心のある被検体の存在が、第一の多孔質部材の第二の多孔質部材との接合部における、結合した検出可能な特異的結合試薬の集合体の存在により示される方法。
【0020】
4)試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する装置であって:
検出が可能であり且つ試料へ添加された場合に1種または複数の関心のある被検体への結合が可能である、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬;
第一の多孔質部材;
第一の多孔質部材との液体連絡路内の、第二の多孔質部材であり、第二の多孔質部材は、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を、第二の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるが、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が関心のある被検体に結合した場合には、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を実質的に保持することが可能である部材;を備え、
ここで、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬は、試料へ導入されて混合物を形成し、該混合物は、該第一の多孔質部材へ導入されて毛細管流動により第一および第二の多孔質部材を通り移動し、且つ1種または複数の関心のある被検体の存在が、第一の多孔質部材の第二の多孔質部材との境界面における結合した1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の集合体の存在により示される。
【0021】
5)試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する方法であって:
a)試料中の1種または複数の関心のある被検体に結合することができる1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を、試料と混合して混合物を形成する工程;
b)第一の多孔質部材を提供する工程;
c)第一の多孔質部材との液体連絡路内に第二の多孔質部材を提供して接合部を形成する工程であって、第二の多孔質部材は、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を第二の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるが、1種または複数の関心のある被検体と結合した場合には、第二の多孔質部材を通る1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の流れを実質的に阻止することが可能である、工程;
d)混合物を第一の多孔質部材へ導入する工程であって、混合物は、毛管作用により第一および第二の多孔質部材を通り移動する工程;を含み、
ここで、1種または複数の関心のある被検体の存在が、第一および第二の多孔質部材の接合部における、結合した1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の集合体の存在により示される。
【0022】
6)試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する装置であって:
検出されることが可能であり且つ試料に添加された場合に1種または複数の関心のある被検体に結合することが可能である、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を含む、第一の多孔質部材;
第二の多孔質部材;
第二の多孔質部材との液体連絡路内の第三の多孔質部材であって、第三の多孔質部材は、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を、第三の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるが、1種または複数の関心のある被検体に結合された場合には、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を実質的に保持することを可能である部材;を備え、
これにより、試料は第一の多孔質部材に導入され、第一の多孔質部材は第二の多孔質部材と液体接触させられ、ここで試料は、毛細管流動により、第一、第二、および第三の多孔質部材を通り移動し、且つ1種または複数の関心のある被検体の存在が、第二の多孔質部材と第三の多孔質部材の境界面における、結合した1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の集合体の存在により示される。
【0023】
7)試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する方法であって:
a)第一の多孔質部材を提供する工程;
b)第二の多孔質部材を提供する工程;
c)第二の多孔質部材との液体連絡路内に第三の多孔質部材を提供して接合部を形成する工程であって、第三の多孔質部材は、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を第三の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるが、1種または複数の関心のある被検体に結合した場合は、第三の多孔質部材を通る1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の流れを実質的に阻止する工程;
d)試料中の1種または複数の関心のある被検体に結合することができる1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を、試料と混合して混合物を形成する工程;
e)混合物を、第一の多孔質部材へ導入する工程;
f)第一の多孔質部材を、第二の多孔質部材と接触する工程であって、混合物は、毛管作用により第一、第二、および第三の多孔質部材を通り、移動する工程;を含み、
ここで、1種または複数の関心のある被検体の存在が、第二および第三の多孔質部材の接合部における、結合した1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の集合体の存在により示される。
【0024】
8)1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する装置であって:
検出されることが可能であり、且つ試料に添加された場合に、1種又は複数の関心のある被検体に結合することが可能である、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬;
第一の末端および第二の末端を有する多孔質部材であって、この多孔質部材は、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるが、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が関心のある被検体に結合した場合には、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬は実質的に排除する部材;を備え、
ここで、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬は、試料へ導入されて混合物を形成し、混合物は、多孔質部材の第一の末端に導入され、且つ毛細管流動により多孔質部材を通り移動し、ならびに1種または複数の関心のある被検体の存在が、第一の末端で多孔質部材から排除された、多孔質部材の第二の末端における、結合した1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の集合体の実質的非存在により示される。
【0025】
9)試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する方法であって:
a)試料中の1種または複数の関心のある被検体に結合することができる1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を、試料と混合して混合物を形成する工程;
b)第一の末端および第二の末端を有する、多孔質部材を提供する工程であって、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を、多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるが、1種又は複数の関心のある被検体に結合した場合には、多孔質部材を通る1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を実質的に排除することを可能にする工程;
d)混合物を、多孔質部材の第一の末端へ導入する工程であって、混合物は、毛管作用により多孔質部材を通り移動する工程;を含み、
ここで、1種または複数の関心のある被検体の存在が、第一の末端で多孔質部材から排除される、多孔質部材の第二の末端における、結合した1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の集合体の非存在により示される。
【0026】
本発明は、凝集アッセイ法、特にクロマトグラフ排除アッセイ法およびその使用法に関する。本発明は、試験装置上の限定された検出ゾーンにおいて、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の結合により形成された集合体のクロマトグラフ排除または分離を使用することによる、被験試料中の1種または複数の被検体の存在を決定する新規ストラテジーを含む。感度を増大し試験結果の主観的解釈を排除するために、本発明のクロマトグラフィー媒体の特定の配置が使用される。本発明は、被検体または関心のある被検体が試料中に存在する場合に、明らかに検出可能である集合体の排除を提供し、ならびに試験される試料中に被検体または関心のある被検体が存在しない場合には、検出可能な特異的結合試薬の集合体は、試験装置の検出ゾーンに形成されず、従ってクロマトグラフィー媒体から排除されず、このことは、明確でかつ容易に識別できる事象を生じる。本発明は特に、診療所もしくは自宅での疾患の検出または治療のモニタリングのための、簡易かつ迅速な試験装置として適応可能である。
【0027】
本発明の更なる目的および利点は、説明が進むにつれおよび添付図面と組合わせて明らかになると思われる。本発明の範囲の完全な理解を得るために、更に望ましい本発明の態様を作製するために、本発明の様々な局面を組合わせることができることが認識されると思われる。
【0028】
特に指定しない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に通常理解されるものと同じ意味を有する。一般に、本明細書において使用される命名法および以下に説明される製造法もしくは実験法は、周知であり、かつ当技術分野において通常使用されるものである。本明細書において使用される技術用語は、様々な技術辞書により例示されるような、それらが使用される当技術分野におけるそれらの通常の意味を有する。用語が単数形で提供される場合、本発明者は、その用語の複数も企図している。本明細書において使用される命名法および以下に説明される手法は、当技術分野において周知でありかつ一般に使用されるものである。
【0029】
接合部を形成する液体連絡路内の多孔質部材の説明
本発明は、任意の種類の材料で製造されかつこれを含有し、毛管作用、または毛細管流動、吸上げ、または液体試料の単純な湿潤により、液体試料を輸送することができる、第一の多孔質部材を備える。このような材料は、ガラス繊維、ニトロセルロース、紙、石英、ケイ素、無水ケイ酸(silica oxide)、セラミックス、ポリマープラスチック、シクロオレフィン、およびそれらのコポリマー、セルロースポリマー、金属、またはこれらの材料の組合せにより製造された複合材料を含むが、これらに限定されるものではない。
【0030】
本発明の第一の多孔質部材の重要な局面は、検出可能な特異的結合試薬が、関心のある被検体に結合しているかどうかにかかわらず、検出可能な特異的結合試薬を第一の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるするその能力である。更に第一の多孔質部材の細孔またはチャネルは、結合した検出可能な特異的結合試薬の凝固体または集合体の第一の多孔質部材を通る自在流れを実質的に妨げないかまたは遅らせないために十分に大きくなければならない。第一の多孔質部材は、任意のサイズの細孔またはチャネルを有することができ、これは使用される特定の結合試薬または任意の粒子もしくは標識として使用することができる標識のサイズに大きく左右される。第一の多孔質部材の細孔サイズは、例えば、約10μm〜約500μm、および好ましくは約50μm〜約200μmである。
【0031】
本発明は、本発明の第一の多孔質部材との液体連絡路内に存在する第二の多孔質部材も備える。好ましくは、第一の多孔質部材の一方の末端は、第二の多孔質部材の一方の末端と接触しかつ接合し、液体接触している第一の多孔質部材で終わり第二の多孔質部材で始まるような接合部を形成する。第一の多孔質部材と接触する任意の水性または液体試料は、毛管作用により、第二の多孔質部材へ向かって移動し、そこではこれは、第一および第二の多孔質部材の接合部を通過し、第二の多孔質部材を通り移動し続ける。本発明の第二の多孔質部材は、毛管作用、または毛細管流動、吸上げ、または液体試料の単純な湿潤により、液体試料を輸送することが可能である、任意の種類の材料で製造され且つこれを含有することができる。そのような材料は、ガラス繊維、ニトロセルロース、紙、石英、ケイ素、無水ケイ酸、セラミックス、ポリマープラスチック、シクロオレフィン、およびそれらのコポリマー、セルロースポリマー、金属、またはこれらの材料の組合せにより製造された複合材料を含むが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本発明の第二の多孔質部材の重要な局面は、検出可能な特異的結合試薬がいずれの被検体にも結合していない場合にのみ、検出可能な特異的結合試薬を第二の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるその能力である。1種または複数の関心のある被検体が被験試料中に存在する場合、本発明の1種または複数の検出可能な特異的結合試薬と被験試料の1種または複数の関心のある被検体の間に結合事象が生じ、ならびに検出可能な特異的結合試薬および被検体の複合体が形成される。好ましくは、第二の多孔質部材は、特に結合した検出可能な特異的結合試薬が、検出可能な特異的結合試薬複合体の凝固体、凝集体、集塊、または集合体を形成する場合、任意の結合した検出可能な特異的結合試薬の流れに実質的に抵抗するかまたは妨げる。第二の多孔質部材は、任意のサイズの細孔またはチャネルを有することができ、これは、使用される特定の結合試薬または任意の粒子または標識として使用することができる標識のサイズに大きく左右される。第二の多孔質部材は、未結合の検出可能な特異的結合試薬を、第二の多孔質部材を通り実質的に自在に流すことができなければならないので、第二の多孔質部材の細孔サイズは、例えば約0.1μm〜約100μm、および好ましくは約1μm〜約20μmである。
【0033】
毛管作用は、液体のこの装置を通る移動の駆動源またはポンプ出力を提供する。この装置は通常、水平位置で使用され、その結果この装置を通る液体試料の毛細管流動は通常横流れであり、これは重力の影響を受けない。しかし本発明のある態様は、例えば重力または遠心力などの、追加された駆動力を含んでもよい。
【0034】
本発明の検出可能な特異的結合試薬の説明
本発明の検出可能な特異的結合試薬は、可溶化されたもしくは湿潤状態である場合に、実質的に自在に移動することが好ましい。好ましくは第一の多孔質部材の検出可能な特異的結合試薬の各種類は、被験試料中に存在することが疑われる単独の関心のある被検体へ結合し、集合体を形成することが可能であり、ならびに検出可能な特異的結合試薬の各種類は、互いに識別可能である。検出可能な特異的結合試薬は、任意の抗-被検体、すなわち関心のある被検体へ特異的に結合し、集合体を形成することが可能である化合物である。関心のある被検体は、例えば、任意の細胞またはウイルスまたはそれらの任意の成分を含む、特異的結合試薬により検出されることが可能である任意の物質を含んでよい。関心のある被検体は、任意の小型の有機分子、例えば薬物、ホルモン、ステロイド、神経伝達物質、増殖因子、代謝産物または他の化学物質なども含んでよい。関心のある被検体は、例えば、大型の有機分子、例えば核酸、タンパク質、多糖、または他の大型分子などを含んでもよい。
【0035】
本発明の検出可能な特異的結合試薬は、例えば、完全な抗体、例えばポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であることができる。好ましくは、検出可能な特異的結合試薬は、抗体、例えばヒトまたは他の哺乳類のIgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA、IgY、SigA、またはIgEである。本発明の検出可能な特異的結合試薬は、抗原結合断片またはFab、またはF(ab')2断片、または抗体の抗原結合部位(例えば抗体の相補性決定領域)などの、抗体断片であってもよい。
【0036】
一部の態様において、検出可能な特異的結合試薬は、被験試料中に存在することが疑われる関心のある被検体に特異的に結合する、精製された高親和性のモノクローナル抗体であることが好ましい。検出可能な特異的結合試薬は、別の態様においては、抗原、リガンド、または受容体であってもよい。検出可能な特異的結合試薬は、1種よりも多い種類の被検体に結合することができるが、被験試料中に存在することが疑われる1種類のみの被検体に結合することが好ましい。検出可能な特異的結合試薬は、1種よりも多い試薬により構成されてよく;例えば検出可能な特異的結合試薬は、1種よりも多いモノクローナル抗体または抗体断片を含有し、その各々は、被験試料中に存在することが疑われる同じ種類の関心のある被検体に特異的に結合する。本発明の検出可能な特異的結合試薬は、ペプチド、ポリペプチド、抗体、Fab断片、融合タンパク質、キメラもしくはハイブリッド分子、核酸、核酸擬体(例えば、ペプチド核酸)、糖質、細胞表面抗原、受容体、リガンド、またはそれらの組合せを含むことができるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、検出可能な特異的結合試薬は、抗体(モノクローナルもしくはポリクローナル、天然の、修飾された、もしくは組換え)または抗体断片(Fab断片もしくは1本鎖抗体可変領域断片など)を含む。そのような抗体または抗体断片を調製、修飾、および使用する方法は、当技術分野において公知である(例えば、「Antibodies: A Laboratory Manual」、E. Harlow and D. Lane, editors, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988, 726 pp;「Monoclonal Antibodies: A Practical Approach」、P. Shepherd and C. Dean, editors, Oxford University Press, 2000,479 pp.;および、「Chicken Egg Yolk Antibodies, Production and Application: IgY-Technology (Springer Lab Manual)」、R Schade et al., editors, Springer-Verlag, 2001, 255 pp.参照、これらは全体が本明細書に参照として組入れられている。)。
【0037】
検出可能な特異的結合試薬は、関心のある被検体を認識する抗体に特異的に結合することが可能である抗原のような、抗原を含有することができる。検出可能な結合試薬は、例えばペプチドもしくは小型分子のような標的に結合する核酸または核酸擬体アプタマー、またはリガンドに結合する受容体、または受容体に結合するリガンドを含むことができる。検出可能な特異的結合試薬は、関心のある被検体を模倣する、ペプチドのような、ミモトープに結合することが可能であってもよい(例えば、Kieber-Emmons, Immunol. Res., 17:95-108(1998);Shin et al., Infect. Immun., 69:3335-3342(2001);Beenhouwer et al., J. Immunol., 169:6992-6999(2002);Hou and Gu, J. Immunol., 170:4373-4379(2003);および、Tang et al., Clin. Diagn. Lab. Immunol., 10:1078-1084(2003)を参照し、これらは全体が本明細書に参照として組入れられている。)。
【0038】
検出可能な特異的結合試薬は、検出される能力も含み、好ましくは検出可能な特異的結合試薬の各々の種類は、互いに識別可能に検出可能である。検出可能な特異的結合試薬の検出される能力は、検出されることが可能である任意の量であってよく、ならびに例えば、色素を含む色標識などの標識、金属ゾル、およびラテックス粒子による検出、または例えば、蛍光標識、放射性標識、磁気標識もしくは化学発光標識などの標識により検出される能力を含む。検出される検出可能な特異的結合試薬の能力は、例えば、サイズ、電荷、多孔度、疎水性、親水性、親油性、または粘度などによる検出も含む。被験試料中の1種または複数の関心のある被検体を同定するために、ある種の関心のある被検体に特異的である検出可能な特異的結合試薬の各々は、検出される異なる能力、例えば異なる色標識、異なる蛍光標識、または識別される任意の識別能、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0039】
検出される検出可能な特異的結合試薬の選択能に応じて、異なるプロトコールにおいて、異なる検出法を使用することができる。検出法は、膨大な多様性を有し、現在利用可能であり、ならびに任意の検出法を、そのプロトコールに応じて使用することができる。検出法は、例えば、直接肉眼によるかまたは顕微鏡のいずれかによる、金属ゾル、着色した標識、着色したビーズ、着色した粒子、または蛍光標識などの標識の直接検出を含んでよい。本発明の標識は、任意のサイズであってよく、ならびに実行される試験および本発明の多孔質部材の細孔サイズまたはチャネルサイズに大きく依存する。本発明の標識は、例えば直径約0.01μm〜直径約50μm、好ましくは直径約0.02μm〜直径約2μmのサイズ範囲を有することができる。検出法は、例えば磁気標識、放射性標識、またはサイズ集団の変化を測定するための散乱光の測定などの検出可能な標識の間接的検出も含むことができる。
【0040】
I. 被験試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する装置および方法(内部混合物)
本発明は、試験装置上の限定された検出ゾーンでの1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の結合により形成された集合体のクロマトグラフ排除を使用することによる、被験試料中の1種または複数の被検体の存在を決定するための新規戦略を含む。
【0041】
本発明は、各々検出されることが可能であり、且つ各々被験試料中の関心のある被検体に結合することが可能である、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を含む、第一の多孔質部材を含む。第一の多孔質部材の検出可能な特異的結合試薬は、好ましくは、第一の多孔質部材の反応ゾーンまたは領域の上に乾燥されるかまたはそうでなければ一時的に固定され、その結果第一の多孔質部材の反応ゾーンは、乾燥された検出可能な特異的結合試薬により含浸される。含浸された第一の多孔質部材の検出可能な特異的結合試薬は、湿潤または可溶化された状態では、実質的に自在に移動することが好ましい。
【0042】
本発明の第一の多孔質部材の重要な局面は、検出可能な特異的結合試薬が関心のある被検体に結合したか否かに関わらず、検出可能な特異的結合試薬を第一の多孔質部材を通じ実質的に自在に通過させるその能力である。更に第一の多孔質部材の細孔は、結合した検出可能な特異的結合試薬の任意の凝固体または集合体の第一の多孔質部材を通る自在な流れが実質的に妨げられないほど十分に大きくなければならない。
【0043】
本発明は、本発明の第一の多孔質部材の液体連絡路内に存在する第二の多孔質部材を含む。好ましくは、第一の多孔質部材の一端は、第二の多孔質部材の一端と接触および結合し、液体接触している第一の多孔質部材で終わりおよび第二の多孔質部材で始まるような接合部を形成する。第一の多孔質部材と接触する任意の水性または液体試料は、毛管作用により第二の多孔質部材へ向けて移動し、そこでこれは第一および第二の多孔質部材の接合部を通過し、ならびに第二の多孔質部材を通り移動し続ける。
【0044】
本発明の第二の多孔質部材の重要な局面は、検出可能な特異的結合試薬が、任意の被検体に結合しない場合にのみ、検出可能な特異的結合試薬が第二の多孔質部材を通り実質的に自在に通過することができるようなその能力である。好ましくは、第二の多孔質部材は、特に結合した検出可能な特異的結合試薬が、結合した検出可能な特異的結合試薬の凝固体、凝集体、集塊、または集合体を形成する場合に、任意の結合した検出可能な特異的結合試薬の流れを実質的に保持しかつ妨げる。
【0045】
被験試料中の1種または複数の被検体の有無は、被験試料を本発明の第一の多孔質部材と接触することにより決定される。被験試料は、毛細管流動により第一の多孔質部材を通じ移動し、そこで第一の多孔質部材の1種または複数の検出可能な特異的結合試薬は可溶化し、および被験試料と混合されて混合物を形成する。1種または複数の関心のある被検体が被験試料中に存在する場合、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬は、1種または複数の関心のある被検体に結合し、複合体を形成し、ならびに検出可能な特異的結合試薬と被検体の複合体は、毛細管流動により第一の多孔質部材を通り本発明の第二の多孔質部材へと自在に移動する。第一および第二の多孔質部材の接合部において、1種または複数の関心のある被検体が被験試料中に存在する場合、結合した検出可能な特異的結合試薬と被検体の複合体は、結合した検出可能な特異的結合試薬と被検体の複合体を第二の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させない第二の多孔質部材により、実質的に保持される。第一および第二の多孔質部材の接合部に実質的に蓄積される、集合された結合した検出可能な特異的結合試薬と被検体の複合体の存在の検出は、試料中の1種または複数の関心のある被検体の存在を示している。更に1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が、例えば、特定の関心のある被検体の検出およびそれとの相関のために指定された異なる標識の色または異なる標識の蛍光を基に識別される場合、被験試料中に存在することが疑われる1種または複数の関心のある被検体の各々の同定が明らかにされる。あるいは、1種または複数の関心のある被検体が被験試料中に存在しない場合、検出可能な特異的結合試薬と被検体の複合体は、実質的に形成されず、その結果第二の多孔質部材により保持されず、このことは未結合の検出可能な特異的結合試薬を第二の多孔質部材を通り自在に通過させる。任意の手段によるまたはそれに応じ適切な凝固、凝集、沈殿、蓄積、集塊、または栓形成に加え、粘度の上昇を検出スキームの一部として使用することができる。
【0046】
前記の本発明の構成要素に加え、例えば、試験が完了したことを確実にするための、第二の多孔質部材上に位置した対照ゾーンのような、他の構成要素を、本発明に含むことができる。好ましくは、対照ゾーンは、第一および第二の多孔質部材の接合部からある距離離れ、第二の多孔質部材の上に位置する。対照ゾーンは、第一および第二の多孔質部材の接合部からある距離離れた、第二の多孔質部材上の領域を含むことができ、そこでこれは、被験試料が、検出ゾーンまたは第一および第二の多孔質部材の接合部を通過し移動したことを示すことができる。例えば、被験試料と混合されおよび対照ゾーンで検出され、被験試料が第一および第二の多孔質部材の接合部を通過し装置を通り移動したことを示す、着色溶液などの対照化合物を、使用することができる。対照化合物は、例えば対照ラテックスなどの、検出可能な対照標識であることもできる。対照ゾーンは、対照化合物を検出することが可能である、固定された特異的結合試薬を含むことができる。対照化合物は、例えば、第一の多孔質部材の検出可能な特異的結合試薬に結合しない、公知の物質を含んでも良い。対照化合物は、試料と混合することができ、これは第一および第二の多孔質部材の接合部に保持されることなく、第一および第二の多孔質部材を通り通過し、対照ゾーンへ到達し、そこで対照ゾーンの固定された特異的結合試薬と結合し、このことは、被験試料が試験装置を通って移動し、ならびに第一および第二の多孔質部材の接合部を通過したことを示す。
【0047】
前記の本発明の構成要素に加え、例えば、緩衝液、酵素阻害剤、酵素基質または補因子、保存剤、安定剤、可溶化剤、界面活性剤、糖質(sugars)、促進剤、活性化剤、酸化剤、還元剤、または特定の目的にとって望ましい任意の他の添加剤などの、その他の添加剤を、特定の目的のために本発明において含むことができる。
【0048】
前記の本発明の構成要素に加え、例えば、本発明の第一の多孔質部材との液体連絡路内の吸収パッドなどの、他の構成要素を、本発明において含むことができる。吸収パッドは、第一の多孔質部材との液体連絡路内に水性または液体試料を保持することが可能な任意の材料で製造することができ、その結果試料は、毛管作用により第一の多孔質部材を通り均等に流れることができる。本発明は同じく、本発明の構成要素から過剰な液体試料を除去するために、液体を吸収する十分な能力を有しおよび試験装置の一端で遠位貯留庫として作用する、第二の多孔質部材の遠位端との液体連絡路内の吸収パッドを含んでもよい。
【0049】
本発明は、例えば、第一の多孔質部材と第二の多孔質部材の間ならびに第一および第二の多孔質部材との連続する液体連絡路内に配置されたフィルターも含むことができる。このフィルターは、被験試料中に存在し得る、ある所望の範囲を上回るより大きい成分を濾過または捕捉するために作用することができる。例えば、被験試料が血液試料を含む場合、フィルターは、所望のサイズよりも大きい血液細胞または血液の他の成分を濾過するために使用されてよい。
【0050】
本発明は、前記のように液体連絡路内の複数の類似した第一の多孔質部材および第二の多孔質部材と共に使用されるように適合することができる。これらの複数の多孔質部材を使用し、例えば、同じ被験試料に同時に異なる望ましい試験を試行することができる。これらの複数の多孔質部材は、平行した構成で使用されるか、または互いにその上面に積重ねることができる。
【0051】
前記の本発明の構成要素に加え、例えばハウジングのような、他の構成要素を、本発明に含むことができる。ハウジングは、本発明の構成要素を収納することが可能である任意の硬質材料で製造することができる。ハウジングは、透過性のために何ら漏出させることなく、装置の内側に液体試料および本発明の構成要素を含む、不透過性の材料で製造されることが好ましい。ハウジングは、例えばプラスチック、ガラス、金属、ゴム、または任意の他の不透過性材料で製造される。ハウジングは、1個または複数のアパーチャを備えることが好ましい。ハウジングは、例えば、第一および第二の多孔質部材の接合部からある距離離れて位置した、被験試料の第一の多孔質部材への導入のための投入口として作用するために、第一の多孔質部材区域上に位置したアパーチャを備えることができる。ハウジングは、試験結果が陽性または陰性に転換したかどうかを検出することができるように、検出ゾーン区域または第一および第二の多孔質部材の接合部上に位置したアパーチャも備えることができる。ハウジングは、試験が完了に達したかどうかを検出することができるように、対照ゾーン区域に位置した、検出ゾーンまたは第一および第二の多孔質部材の接合部からある距離離れて第二の多孔質部材上に位置したアパーチャも備えることができる。
【0052】
II. 被験試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する装置および方法(外部混合物)
本発明は、試験装置上の限定された検出ゾーンでの1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の結合により形成された集合体のクロマトグラフ排除を使用することによる、被験試料中の1種または複数の被検体の存在を決定するための新規戦略を含む。
【0053】
本発明は、各々検出可能であり、被験試料に添加された場合に、各々被験試料中の関心のある被検体に結合することが可能である、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を含む。本発明の検出可能な特異的結合試薬は、1種または複数の関心のある被検体を含有することが疑われる被験試料と個別に混合され、混合物を形成し、および1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が、被験試料中の1種または複数の関心のある被検体に結合するのに十分な期間インキュベーションされる。適当なインキュベーション後、被験試料および検出可能な特異的結合試薬の混合物を使用し、本発明の試験装置を通り試行させる。
【0054】
本発明は、毛管作用、または毛細管流動、吸上げ、または液体試料の単純な湿潤により、液体試料を輸送することができる、任意の種類の材料で製造されかつこれを含有し、第一の多孔質部材を備える。
【0055】
本発明の第一の多孔質部材の重要な局面は、検出可能な特異的結合試薬が、関心のある被検体に結合されるかどうかに関わらず、検出可能な特異的結合試薬を第一の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるその能力である。更に第一の多孔質部材の細孔は、結合した検出可能な特異的結合試薬の任意の凝固体または集合体の第一の多孔質部材を通る自在流れを実質的に妨げないのに充分な大きさでなければならない。
【0056】
本発明は、本発明の第一の多孔質部材との液体連絡路内に存在する第二の多孔質部材を含む。好ましくは、第一の多孔質部材の一端は、第二の多孔質部材の一端と接触および連結し、液体接触している第一の多孔質部材で終わりおよび第二の多孔質部材で始まるような接合部を形成する。第一の多孔質部材と接触する任意の水性または液体試料は、第二の多孔質部材に向かい、毛管作用により移動し、そこでこれは、第一および第二の多孔質部材の接合部を通過し、第二の多孔質部材を通り移動し続ける。
【0057】
本発明の第二の多孔質部材の重要な局面は、検出可能な特異的結合試薬がいずれの被検体にも結合しない場合にのみ、検出可能な特異的結合試薬を第二の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるその能力である。好ましくは、第二の多孔質部材は、特に結合した検出可能な特異的結合試薬が、結合した検出可能な特異的結合試薬の凝固体、凝集体、集塊、または集合体を形成する場合、結合した検出可能な特異的結合試薬の流れを実質的に保持しおよび妨げる。
【0058】
被験試料は、1種または複数の関心のある被検体を含有することが疑われる被験試料を本発明の検出可能な特異的結合試薬と個別に混合し、混合物を形成し、および1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を被験試料中の1種または複数の関心のある被検体に結合させるのに十分な時間インキュベーションすることにより、試験することができる。被験試料中の1種または複数の被検体の有無は、被験試料と検出可能な特異的結合試薬の混合物の、本発明の第一の多孔質部材との接触により、決定される。1種または複数の関心のある被検体が被験試料中に存在する場合、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬は、1種または複数の関心のある被検体と結合し、試験混合物中に複合体を形成し、ならびに検出可能な特異的結合試薬と被検体の複合体は、毛細管流動により、第一の多孔質部材を通り本発明の第二の多孔質部材へ向かい自在に移動する。第一および第二の多孔質部材の接合部において、1種または複数の関心のある被検体が被験試料中に存在する場合、結合した検出可能な特異的結合試薬と被検体の複合体は、第二の多孔質部材により実質的に保持され、これは結合された検出可能な特異的結合試薬と被検体の複合体を第二の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させない。第一および第二の多孔質部材の接合部に実質的に蓄積される集合された結合された検出可能な特異的結合試薬と被検体の複合体の存在を決定することは、試料中の1種または複数の関心のある被検体の存在を示す。更に、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が、例えば、特定の関心のある被検体の検出およびそれとの相関のために指定された異なる標識の色または異なる標識の蛍光を基に識別される場合、被験試料中に存在することが疑われる1種または複数の関心のある被検体の各々の同定が明らかにされる。あるいは、1種または複数の関心のある被検体が被験試料中に存在しない場合、検出可能な特異的結合試薬と被検体の複合体は、実質的に形成されず、従って第二の多孔質部材により保持されず、このことは未結合の検出可能な特異的結合試薬を第二の多孔質部材を通り自在に通過させる。任意の手段によるまたはそれに応じ適切な凝固、凝集、沈殿、蓄積、集塊、または栓形成に加え、粘度の上昇を検出スキームの一部として使用することができる。
【0059】
前記の本発明の構成要素に加え、例えば、試験が完了したことを確実にするための、第二の多孔質部材上に位置した対照ゾーンのような、他の構成要素を、本発明に含むことができる。好ましくは、対照ゾーンは、第一および第二の多孔質部材の接合部からある距離離れ、第二の多孔質部材の上に位置する。対照ゾーンは、第一および第二の多孔質部材の接合部からある距離離れた、第二の多孔質部材上の領域を含むことができ、そこでこれは、被験試料が、検出ゾーンまたは第一および第二の多孔質部材の接合部を通過し移動したことを示すことができる。例えば、被験試料と混合されおよび対照ゾーンで検出され、被験試料が第一および第二の多孔質部材の接合部を通過し装置を通り移動したことを示す、着色溶液などの対照化合物を、使用することができる。対照化合物は、例えば対照ラテックスなどの、検出可能な対照標識であることもできる。対照ゾーンは、対照化合物を検出することが可能である、固定された特異的結合試薬を含むことができる。対照化合物は、例えば、被験試料を試験するために使用される特異的結合試薬に結合しない、公知の物質を含んでも良い。対照化合物は、試料と混合することができ、これは第一および第二の多孔質部材の接合部に保持されることなく、第一および第二の多孔質部材を通り通過し、対照ゾーンへ到達し、そこで対照ゾーンの固定された特異的結合試薬と結合し、このことは、被験試料が試験装置を通って移動し、ならびに第一および第二の多孔質部材の接合部を通過したことを示す。
【0060】
前記の本発明の構成要素に加え、例えば、緩衝液、酵素阻害剤、酵素基質または補因子、保存剤、安定剤、可溶化剤、界面活性剤、糖質、促進剤、活性化剤、酸化剤、還元剤、または特定の目的にとって望ましい任意の他の添加剤などの、その他の添加剤を、特定の目的のために本発明において含むことができる。
【0061】
前記の本発明の構成要素に加え、例えば、本発明の第一の多孔質部材との液体連絡路内の吸収パッドなどの、他の構成要素を、本発明において含むことができる。吸収パッドは、第一の多孔質部材との液体連絡路内に水性または液体試料を保持することが可能な任意の材料で製造することができ、その結果試料は、毛管作用により第一の多孔質部材を通り均等に流れることができる。本発明は同じく、本発明の構成要素から過剰な液体試料を除去するために、液体を吸収する十分な能力を有しおよび試験装置の一端で遠位貯留庫として作用する、第二の多孔質部材の遠位端との液体連絡路内の吸収パッドを含んでもよい。
【0062】
本発明は、例えば、第一の多孔質部材と第二の多孔質部材の間および第一および第二の多孔質部材との連続する液体連絡路内に配置されたフィルターも含むことができる。このフィルターは、被験試料中に存在し得る、ある所望の範囲を上回るより大きい成分を濾過または捕捉するために作用することができる。例えば、被験試料が血液試料を含む場合、フィルターは、所望のサイズよりも大きい血液細胞または血液の他の成分を濾過するために使用されてよい。
【0063】
前記の本発明の構成要素に加え、例えばハウジングのような、他の構成要素を、本発明に含むことができる。ハウジングは、本発明の構成要素を収納することが可能である任意の硬質材料で製造することができる。ハウジングは、透過性のために何ら漏出させることなく、装置の内側に液体試料および本発明の構成要素を含む、不透過性の材料で製造されることが好ましい。ハウジングは、例えばプラスチック、ガラス、金属、ゴム、または任意の他の不透過性材料で製造される。ハウジングは、1個または複数のアパーチャを備えることが好ましい。ハウジングは、例えば、第一および第二の多孔質部材の接合部からある距離離れて位置した、被験試料の第一の多孔質部材への導入のための投入口として作用するために、第一の多孔質部材区域上に位置したアパーチャを備えることができる。ハウジングは、試験結果が陽性または陰性に転換したかどうかを検出することができるように、検出ゾーン区域または第一および第二の多孔質部材の接合部上に位置したアパーチャも備えることができる。ハウジングは、試験が完了に達したかどうかを検出することができるように、対照ゾーン区域に位置した、検出ゾーンまたは第一および第二の多孔質部材の接合部からある距離離れて第二の多孔質部材上に位置したアパーチャも備えることができる。
【0064】
III. 被験試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する装置および方法(内部混合物−3多孔質部材)
本発明は、試験装置上の限定された検出ゾーンでの1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の結合により形成された集合体のクロマトグラフ排除を使用することによる、被験試料中の1種または複数の被検体の存在を決定するための新規戦略を含む。関心のある被検体は、検出されることが可能である任意の被検体を含む。
【0065】
本発明は、液体を保持し、且つ液体を、毛管作用、または毛細管流動、吸上げ、または液体試料の単純な浸潤により輸送することが可能である、任意の種類の材料で製造されおよびこれを含有することができる第一の多孔質部材を備える。このような材料は、ガラス繊維、ニトロセルロース、紙、石英、ケイ素、無水ケイ酸、セラミックス、ポリマープラスチック、シクロオレフィン、およびそれらのコポリマー、セルロースポリマー、金属、またはこれらの材料から製造された複合材料もしくは組合せを含むが、これらに限定されるものではない。
【0066】
本発明は、液体試料を、毛管作用、または毛細管流動、吸上げ、または液体試料の単純な浸潤により輸送することが可能である、任意の種類の材料で製造されおよびこれを含有することができる第二の多孔質部材を備える。このような材料は、ガラス繊維、ニトロセルロース、紙、石英、ケイ素、無水ケイ酸、セラミックス、ポリマープラスチック、シクロオレフィン、およびそれらのコポリマー、セルロースポリマー、金属、またはこれらの材料から製造された複合材料もしくは組合せを含むが、これらに限定されるものではない。
【0067】
本発明の第二の多孔質部材の重要な局面は、検出可能な特異的結合試薬が関心のある被検体に結合したかどうかに関わりなく、任意の検出可能な特異的結合試薬を第一の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるその能力である。更に、第一の多孔質部材の細孔は、第一の多孔質部材を通る結合した検出可能な特異的結合試薬の任意の凝固体または集合体の自在流れが実質的に妨げられないほど十分に大きくなければならない。
【0068】
本発明は、本発明の第二の多孔質部材との液体連絡路内に存在する第三の多孔質部材を含む。好ましくは、第二の多孔質部材の一端は、第三の多孔質部材の一端と接触および結合し、液体接触している第二の多孔質部材で終わりおよび第三の多孔質部材で始まるような接合部を形成する。第二の多孔質部材と接触する任意の水性または液体試料は、毛管作用により第三の多孔質部材へ向けて移動し、そこでこれは第二および第三の多孔質部材の接合部を通過し、ならびに第三の多孔質部材を通り移動し続ける。本発明の第三の多孔質部材は、液体試料を、毛管作用、または毛細管流動、吸上げ、または液体試料の単純な浸潤により輸送できることが可能である、任意の種類の材料で製造されおよびこれを含有することができる。
【0069】
本発明の第三の多孔質部材の重要な局面は、検出可能な特異的結合試薬が、任意の被検体に結合しない場合にのみ、検出可能な特異的結合試薬が第三の多孔質部材を通り実質的に自在に通過することができるようなその能力である。好ましくは、第三の多孔質部材は、特に結合した検出可能な特異的結合試薬が、結合した検出可能な特異的結合試薬の凝固体、凝集体、集塊、または集合体を形成する場合に、任意の結合した検出可能な特異的結合試薬の流れを実質的に保持しかつ妨げる。
【0070】
被験試料中の1種または複数の被検体の有無は、被験試料を本発明の第一の多孔質部材と接触することにより決定される。次に被験試料は、第一の多孔質部材により保持され、そこで第一の多孔質部材の1種または複数の検出可能な特異的結合試薬は可溶化し、および被験試料と混合され、混合物を形成する。1種または複数の関心のある被検体が被験試料中に存在する場合、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬は、1種または複数の関心のある被検体に結合し、複合体を形成する。被験試料混合物を含む本発明の第一の多孔質部材が、本発明の第二の多孔質部材と接触された場合、検出可能な特異的結合試薬と被検体の複合体は、毛細管流動により、第一の多孔質部材から第二の多孔質部材へと、本発明の第三の多孔質部材に向かい自在に移動する。第二および第三の多孔質部材の接合部において、1種または複数の関心のある被検体が被験試料中に存在する場合、結合した検出可能な特異的結合試薬と被検体の複合体は、結合した検出可能な特異的結合試薬と被検体の複合体を、第三の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させない第三の多孔質部材により、実質的に保持される。第二および第三の多孔質部材の接合部に実質的に蓄積される、集合された結合した検出可能な特異的結合試薬と被検体の複合体の存在の決定は、試料中の1種または複数の関心のある被検体の存在を示している。更に1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が、例えば、特定の関心のある被検体の検出およびそれとの相関のために指定された異なる標識の色または異なる標識の蛍光を基に識別される場合、被験試料中に存在することが疑われる1種または複数の関心のある被検体の各々の同定が明らかにされる。あるいは、1種または複数の関心のある被検体が被験試料中に存在しない場合、検出可能な特異的結合試薬と被検体の複合体は、実質的に形成されず、従って第二の多孔質部材により保持されず、このことは未結合の検出可能な特異的結合試薬を第二の多孔質部材を通り自在に通過させる。任意の手段によるまたはそれに応じ適切な凝固、凝集、沈殿、蓄積、集塊、または栓形成に加え、粘度の上昇を検出スキームの一部として使用することができる。
【0071】
前記の本発明の構成要素に加え、例えば、試験が完了したことを確実にするための、第三の多孔質部材上に位置した対照ゾーンのような、他の構成要素を、本発明に含むことができる。好ましくは、対照ゾーンは、第二および第三の多孔質部材の接合部からある距離離れ、第三の多孔質部材の上に位置する。対照ゾーンは、第二および第三の多孔質部材の接合部からある距離離れた、第三の多孔質部材上の領域を含むことができ、そこでこれは、被験試料が、検出ゾーンまたは第二および第三の多孔質部材の接合部を通過し移動したことを示すことができる。例えば、被験試料と混合されおよび対照ゾーンで検出され、被験試料が第二および第三の多孔質部材の接合部を通過し装置を通り移動したことを示す、着色溶液などの対照化合物を、使用することができる。対照化合物は、例えば対照ラテックスなどの、検出可能な対照標識であることもできる。対照ゾーンは、対照化合物を検出することが可能である、固定された特異的結合試薬を含むことができる。対照化合物は、例えば、第一の多孔質部材の検出可能な特異的結合試薬に結合しない、公知の物質を含んでも良い。対照化合物は、試料と混合することができ、これは接触時に第一の多孔質部材から第二の多孔質部材へと通過し、ならびに第二および第三の多孔質部材の接合部に保持されることなく、第二および第三の多孔質部材を通り移動し、対照ゾーンへ到達し、そこで対照ゾーンの固定された特異的結合試薬と結合し、これは、被験試料が試験装置を通って移動し、ならびに第二および第三の多孔質部材の接合部を通過したことを示す。
【0072】
前記の本発明の構成要素に加え、例えば、緩衝液、酵素阻害剤、酵素基質または補因子、保存剤、安定剤、可溶化剤、界面活性剤、糖質、促進剤、活性化剤、酸化剤、還元剤、または特定の目的にとって望ましい任意の他の添加剤などの、その他の添加剤を、特定の目的のために本発明において含むことができる。
【0073】
前記の本発明の構成要素に加え、例えば、本発明の第一の多孔質部材または第二の多孔質部材との液体連絡路内の吸収パッドなどの、他の構成要素を、本発明において含むことができる。吸収パッドは、第一の多孔質部材または第二の多孔質部材との液体連絡路内に水性または液体試料を保持することが可能な任意の材料で製造することができる。吸収パッドが、第一の多孔質部材と接触する液体中に配置された場合、この試料は、第一の多孔質部材を通じ均等に保持され、および接触時に第二の多孔質部材へ均等に移動され、および毛管作用により第一の多孔質部材を通り均等に流れることができる。吸収パッドが、第二の多孔質部材と接触する液体中に配置された場合、この試料は、毛管作用により、第二の多孔質部材を通り第二の多孔質へと均等に流れる。本発明は、本発明の構成要素から過剰な液体試料を除去するために、液体を吸収する十分な能力を有しおよび試験装置の一端で遠位貯留庫として作用する、第三の多孔質部材の遠位端との液体連絡路内の吸収パッドも含んでよい。
【0074】
本発明は、例えば、第二の多孔質部材と第三の多孔質部材の間ならびに第一および第二の多孔質部材との連続する液体連絡路内に配置されたフィルターも含むことができる。このフィルターは、被験試料中に存在し得る、ある所望の範囲を上回るより大きい成分を濾過または捕捉するために作用することができる。例えば、被験試料が血液試料を含む場合、フィルターは、所望のサイズよりも大きい血液細胞または血液の他の成分を濾過するために使用されてよい。
【0075】
本発明は、前記のような液体連絡路内の複数の類似の第二の多孔質部材および第三の多孔質部材と共に試用されるように適合することができる。これらの複数の多孔質部材は、例えば、同じ被験試料について同時に様々な望ましい試験を試行するために使用することができる。これらの複数の多孔質部材は、平行した構成で使用されるか、または互いにその上面に積重ねることができる。
【0076】
前記の本発明の構成要素に加え、例えばハウジングのような、他の構成要素を、本発明に含むことができる。ハウジングは、本発明の構成要素を収納することが可能である任意の硬質材料で製造することができる。ハウジングは、透過性のために何ら漏出させることがなく、装置の内側に液体試料および本発明の構成要素を含む、不透過性の材料で製造されることが好ましい。ハウジングは、例えばプラスチック、ガラス、金属、ゴム、または任意の他の不透過性材料で製造される。ハウジングは、1個または複数のアパーチャを備えることが好ましい。ハウジングは、例えば、第二および第三の多孔質部材の接合部からある距離離れて位置した、被験試料の第二の多孔質部材への導入のための投入口として作用するために、第二の多孔質部材区域上に位置したアパーチャを備えることができる。ハウジングは、試験結果が陽性または陰性に転換したかどうかを検出することができるように、検出ゾーン区域または第二および第三の多孔質部材の接合部上に位置したアパーチャも備えることができる。ハウジングは、試験が完了に達したかどうかを検出することができるように、対照ゾーン区域に位置した、検出ゾーンまたは第二および第三の多孔質部材の接合部からある距離離れて第三の多孔質部材上に位置したアパーチャも備えることができる。
【0077】
IV. 被験試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する装置および方法(外部混合物-単独の多孔質部材)
本発明は、試験装置上の限定された検出ゾーンでの1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の結合により形成された集合体のクロマトグラフ排除を使用することによる、被験試料中の1種または複数の被検体の存在を決定するための新規戦略を含む。関心のある被検体は、検出されることが可能である任意の被検体を含む。
【0078】
本発明は、各々検出されることが可能であり、および被験試料に添加された場合に被験試料中の関心のある被検体に結合することが可能である、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を含む。本発明の検出可能な特異的結合試薬は、1種または複数の関心のある被検体を含有することが疑われる被験試料と個別に混合され、混合物を形成し、および1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が、被験試料中の1種または複数の関心のある被検体と結合するのに十分な時間インキュベーションされる。適当なインキュベーション後、被験試料と検出可能な特異的結合試薬の混合物は、本発明の試験装置を通じた試行に使用される。
【0079】
本発明は、液体試料を、毛管作用、または毛細管流動、吸上げ、または液体試料の単純な浸潤により輸送することが可能である、任意の種類の材料で製造およびこれを含有することができる、第一の末端および第二の末端を有する多孔質部材を含む。このような材料は、ガラス線維、ニトロセルロース、紙、石英、ケイ素、無水ケイ酸、セラミックス、ポリマープラスチック、シクロオレフィン、およびそれらのコポリマー、セルロースポリマー、金属、またはこれらの材料から製造された複合材料もしくは組合せを含むが、これらに限定されるものではない。
【0080】
毛管作用は、この装置を通り液体が移動する駆動源またはポンプ出力を提供する。装置は、通常水平位置で使用され、そのため装置を通る液体試料の毛細管流動は、通常横流れであり、これは重力の影響を受けない。
【0081】
本発明の多孔質部材の重要な局面は、検出可能な特異的結合試薬が、任意の被検体に結合しない場合にのみ、検出可能な特異的結合試薬を多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるその能力である。好ましくは、多孔質部材は、特に結合した検出可能な特異的結合試薬が、結合した検出可能な特異的結合試薬の凝固体、凝集体、集塊、または集合体を形成する場合に、多孔質部材から任意の結合した検出可能な特異的結合試薬を実質的に排除する。
【0082】
毛管作用は、この装置を通り液体が移動する駆動源またはポンプ出力を提供する。装置は、通常水平位置で使用され、そのため装置を通る液体試料の毛細管流動は、通常横流れであり、これは重力の影響を受けない。しかし本発明のある態様は、例えば、重力または遠心力などの、駆動力の追加を含むことができる。
【0083】
被験試料は、1種または複数の関心のある被検体を含有することが疑われる被験試料を、本発明の検出可能な特異的結合試薬と個別に混合し、混合物を形成し、および1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が被験試料中の1種または複数の関心のある被検体と結合するのに十分な期間インキュベーションすることにより、試験される。被験試料中の1種または複数の被検体の有無は、被験試料および検出可能な特異的結合試薬の混合物を、本発明の多孔質部材の第一の末端に接触することにより決定される。1種または複数の関心のある被検体が被験試料中に存在する場合、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬は、1種または複数の関心のある被検体に結合し、複合体を形成し、および検出可能な特異的結合試薬と被検体の複合体は、多孔質部材から実質的に排除され、このことは結合した検出可能な特異的結合試薬と被検体の複合体を、第二の多孔質部材を通り実質的に自在に通過できなくする。多孔質部材の第一の末端に実質的に蓄積された、集合された結合された検出可能な特異的結合試薬と被検体の複合体の存在の決定は、試料中の1種または複数の関心のある被検体の存在を示している。あるいは、被験試料中の被検体または関心のある被検体の存在の決定は、多孔質部材の第一の末端で多孔質部材から排除される、多孔質部材の第二末端での結合した検出可能な特異的結合試薬の集合体の実質的非存在により示される。更に、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が、例えば、特定の関心のある被検体の検出およびそれとの相関のために指定された異なる標識の色または異なる標識の蛍光を基に識別される場合、被験試料中に存在することが疑われる1種または複数の関心のある被検体の各々の同定が明らかにされる。あるいは、1種または複数の関心のある被検体が被験試料中に存在しない場合、検出可能な特異的結合試薬と被検体の複合体は、実質的に形成されず、従って多孔質部材から排除されず、このことは未結合の検出可能な特異的結合試薬を多孔質部材を通り自在に通過させる。任意の手段によるまたはそれに応じ適切な凝固、凝集、沈殿、蓄積、集塊、または栓形成に加え、粘度の上昇を検出スキームの一部として使用することができる。
【0084】
前記の本発明の構成要素に加え、例えば、緩衝液、酵素阻害剤、酵素基質または補因子、保存剤、安定剤、可溶化剤、界面活性剤、糖質、促進剤、活性化剤、酸化剤、還元剤、または特定の目的にとって望ましい任意の他の添加剤などの、その他の添加剤を、特定の目的のために本発明において含むことができる。
【0085】
前記の本発明の構成要素に加え、例えば、本発明の多孔質部材の第一の末端、第二の末端、または両末端との液体連絡路内の吸収パッドなどの、他の構成要素を、本発明において含むことができる。吸収パッドは、試料が、毛管作用により多孔質部材を通り均等に流れるように、多孔質部材との液体連絡路において水性または液体試料を保持することが可能である任意の材料で製造することができる。
【0086】
前記の本発明の構成要素に加え、例えばハウジングのような、他の構成要素を、本発明に含むことができる。ハウジングは、本発明の構成要素を収納することが可能である任意の硬質材料で製造することができる。ハウジングは、透過性のために何ら漏出させることなく、装置の内側に液体試料および本発明の構成要素を含む、不透過性の材料で製造されることが好ましい。ハウジングは、例えばプラスチック、ガラス、金属、ゴム、または任意の他の不透過性材料で製造される。ハウジングは好ましくは、1個または複数のアパーチャを備えることが好ましい。ハウジングは、例えば、被験試料の多孔質部材への導入のための投入口として作用するために、多孔質部材の第一端上に位置したアパーチャを備えることができる。ハウジングは、試験が完了に達したかどうかを検出することができるように、多孔質部材の第二末端の近傍に位置した、対照ゾーン区域上に位置したアパーチャも備えることができる。
【0087】
実施例
実施例1:黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の検出
本実施例は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(「MRSA」)の検出装置を提供する。Pastorex Staph Plus(Biorad, 品番#65356)を、本発明の実行可能性および有用性を明らかにするために使用した。実験対照として、MRSAのスラリーを、スライド凝集アッセイ法にて製造業者の指示に従い試行した。中等度の凝集が、被験ラテックスおよびMRSAの混合物を含有するウェルにおいて認められたが、MRSAおよび対照ラテックスの混合物を含有するウェルにおいては凝集は認められなかった。
【0088】
適当なクロマトグラフィー媒体を確定するために、赤色ラテックス試験粒子の懸濁液を、ニトロセルロースおよび多孔質ポリエチレンを含む、いくつかの種類の媒体に塗布した。適当なクロマトグラフ特性を伴う多孔質ポリエチレンメンブレン(Porex, 品番#181071)を選択した。未処理の粒子がこのメンブレンに塗布された場合、細孔の空隙容量は、粒子で均質に充填され、全体が暗赤色のメンブレンを生じた。このメンブレンの18mm幅のリボンを、透明なLexan支持体上に両面テープで積層し、幅6mmの試験ストリップに切断した。
【0089】
次に、被験粒子25μlおよび対照ラテックス粒子25μlを、個別の新たなチューブに分配した。各々に、黄色食用色素0.5μlを添加し、透明な溶液と色を対比した。熱処理し死滅したMRSAの5μlを、各チューブに添加し、混合し、室温で1分間インキュベーションした。被験または対照混合物のいずれか12μlを、個別のメンブレンストリップの近位端に添加し、これらのストリップは、毛管作用により迅速に充填された。先の未処理のラテックスのように、対照ラテックスは、メンブレンから排除されず、および暗赤色/オレンジ色が、試料塗布領域まで、ストリップ遠位端で明らかに目視された。しかし集合した試験ラテックスは、メンブレンへの進入から排除されず、溶液の黄色の対比色はストリップの遠位端でのみ目視された。
【0090】
このアッセイシステムの相対感度を試験するために、10倍希釈したMRSAスラリーに、先に説明したクロマトグラフ的手法およびスライド凝集アッセイ法の両方を施した。希釈した試料は、同じ明確な黄色を生じ、これはクロマトグラフィー媒体上での凝集物の分離を示していた。しかし薄いおよび従って決定的な集合のみが、スライド凝集アッセイ法において認められた。このことは、単独のクロマトグラフシステムであっても、本発明に固有の感度の最初の改善を示唆している。
【0091】
実施例II:B群連鎖球菌(Streptococcus agalactiae)の検出
本実施例は、B群連鎖球菌(「Strep A」)の検出装置を提供する。
【0092】
凝集分離ストリップの構築:
凝集分離ストリップの構築のための材料
−Milliporeニトロセルロース:長さ18mm、幅6mm(Millipore, Inc., 品番#PK002057;100%ニトロセルロースメンブレン)
−ブリッジパッド(Ahlstrom 1281;90%セルロース線維、10%レーヨン、微量のポリアクリルアミド湿潤強化樹脂およびポリアクリルアミド乾燥強化樹脂を伴う)
−吸収パッド(Ahlstrom 939;100%セルロース、微量のポリミド湿潤強化樹脂を伴う)
−Lexan裏当て(Lexan #8010)
【0093】
抗体捕獲ストリップ構築のための材料
−Milliporeニトロセルロース:長さ18mm、幅6mm(Millipore, Inc., 品番#PK002057)
−ブリッジパッド(Ahlstrom 1281)
−複合パッド(Hollingsworth & Vose, H&V 7304 不織;ポリエステル)
−Lexan裏当て(Lexan #8010)
【0094】
凝集法
−構造1から金複合パッドを除去し、12x75mmガラスチューブに添加する
−Strep A中等度対照100μlをこのパッドに添加し、所望の時間インキュベーションする。インキュベーション後、利用可能な液体を、下側ブリッジパッドに移し、クロマトグラフィーを所望の時間行う
−ブリッジパッドがニトロセルロースと連結している境界面で、患者ラインまたは結果を読取り;被検体が試料中に存在する場合は、金粒子との凝集が生じ、境界面に付着する
【0095】
抗体捕獲法
−Strep A中等度対照100μlを構造2の下側ブリッジパッドに添加する
−側方クロマトグラフィーを所望の時間進行させる
−結果を、抗体捕獲ラインで読みとる
【0096】
結果(実験1):
非特異的結合(「NSB」)について、中等度Strep A陽性対照緩衝液を使用
【0097】

【0098】
結果(実験2):
プレインキュベーション動態検査:
−中等度Strep A陽性対照
−先の実験1のようにNSB
−全てのクロマトグラフィーは15分間行う
【0099】

【0100】
実施例III:被験試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無の検出のための装置の詳細な態様
図1Aに関して、本発明は、第一の多孔質部材12との液体連絡路の一端に任意の吸収11パッドを備える。第一の多孔質部材は、第二の多孔質部材14との液体連絡路内に存在し、接合部13を形成する。本発明の第一の多孔質部材12の重要な局面は、検出可能な特異的結合試薬がいずれの被検体にも結合しない場合にのみ、検出可能な特異的結合試薬を第一の多孔質部材12を通り実質的に自在に通過させるその能力である。第二の多孔質部材14の重要な局面は、特に結合した検出可能な特異的結合試薬が、結合した検出可能な特異的結合試薬の凝固体、凝集体、集塊、または集合体を形成する場合に、第二の多孔質部材14からの結合した検出可能な特異的結合試薬の流れを実質的に抵抗または妨げるその能力である。本発明は、任意に、第二の多孔質部材14との液体連絡路内に吸収パッド14を含むことができる。一つの態様において、本発明は、第三の多孔質部材16を備え、これは検出可能な特異的結合試薬を含み、および試験を試行するために試験装置と接触するように使用される。
【0101】
図1Bに関して、本発明は、多孔質部材16を備え、これは検出可能な特異的結合試薬がいずれの被検体にも結合しない場合にのみ、検出可能な特異的結合試薬を多孔質部材16を通り実質的に自在に通過させ、ならびに特に結合した検出可能な特異的結合試薬が、結合した検出可能な特異的結合試薬の凝固体、凝集体、集塊、または集合体を形成する場合に、結合した検出可能な特異的結合試薬の多孔質部材16からの流れを実質的に抵抗または妨げる能力を有する。
【0102】
実施例IV:ヒト絨毛性ゴナドトロピンの検出(図2)
本実施例は、図2Aおよび図2Bを参照し、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(「hCG」)の検出装置を提供する。
1は、吸収パッドを意味する。
2は、ニトロセルロースまたは他のメンブレンを意味する。
3は、ブリッジパッドを意味する。
4は、複合体パッドを意味する。
5は、試料パッドを意味する。
4,5は、一緒にもしくは個別にのいずれかで、複合体塗布および試料塗布の両方に使用されるパッドを意味する。
6は、透明なプラスチック裏当て材を意味する。
【0103】
背景:
hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)システムは、尿中ホルモンの特徴に起因した凝集法の開発の優れた候補である。ホルモンレベルは、非常に低濃度で意味があり、そのため10〜60mIUでの検出が有効である必要がある。
【0104】
手法:
最初に、試験ストリップを先に示したように構成し、乾燥容器に保存した。第二に、以下を含む、被験試薬を入手した:
−濃度10mIUおよび60mIUで尿中hCGを含有する、2個のバイアル。
−1%PEG/PBS緩衝液中の、ヤギ抗hCG抗体で被覆された、440nmラテックス粒子吸着の試料。
第三に、試験管内内の標的抗原と混合した液体ラテックス-抗体溶液を、0〜10分間インキュベーションし、混合することにより、試験を試行した:
−ラテックス/抗体を、異なるレベル(mIU)のhCG、または陰性対照を含有する試験管内に添加した。
−この混合物を、前記凝集装置の一つに、試料パッド位置で添加した。
−様々な試験において、0時またはそれ以降の時点のいずれかで、試料を、PBSまたはMalaria緩衝液のいずれか適当な緩衝液へ「押出」した。
−その後試料を読取り、その時点での読み値を入手し、シグナル強度またはシグナル欠如を記録した。
【0105】
結果:
1.−440nmラテックス+ヤギ抗hCG-β抗体 5μl
−60mIU hCG 40μl
−試験管内での混合
−10分間のインキュベーション
−メンブレン(2)にSRニトロセルロースを使用する、前記凝集装置「A」の使用
−試料塗布パッド(4,5)への全量45μlの塗布
−試料のPBSによる「押出」
−10分後、シグナルは1+であった。
【0106】
2.−440nmラテックス+ヤギ抗hCG-β抗体 5μl
−60mIU hCG 40μl
−試験管内での混合
−1分間のインキュベーション
−メンブレン(2)にSRニトロセルロースを使用する、前記凝集装置「A」の使用
−試料塗布パッド(4,5)への全量45μlの塗布
−試料のPBSによる「押出」
−10分後、シグナルは0.25+であった。
【0107】
3.−440nmラテックス+ヤギ抗hCG-β抗体 3μl
−PBS 40μl
−試験管内での混合
−1分間のインキュベーション
−メンブレン(2)にSRニトロセルロースを使用する、前記凝集装置「A」の使用
−試料塗布パッド(4,5)への全量45μlの塗布
−試料のPBSによる「押出」
−10分後、シグナルは0、NSBなしであった。
【0108】
4.−440nmラテックス+ヤギ抗hCG-β抗体 2μl
−(a)PBS、(b)10mIU hCG、(c)60mIU hCG 40μl
−試験管内での混合
−10分間のインキュベーション
−メンブレン(2)にST型ニトロセルロースを使用する、前記凝集装置「A」の使用
−試料塗布パッド(4,5)への全量42μlの塗布
−試料のMalaria緩衝液による「押出」
−5分後、シグナルは(a)0、NSBなし、(b)1-、および(c)1であった。
【0109】
5.−440nmラテックス+ヤギ抗hCG-β抗体 5μl
−(a)陰性尿、(b)10mIU hCG、(c)60mIU hCG 40μl
−試験管内での混合
−2分間のインキュベーション
−メンブレン(2)にSRニトロセルロースを使用する、前記凝集装置「A」の使用
−試料塗布パッド(4,5)への全量45μlの塗布
−試料のMalaria緩衝液による「押出」
−5分後、シグナルは(a)0、(b)1、および(c)1+であった。
【0110】
6.−440nmラテックス+ヤギ抗hCG-β抗体 5μl
−(a)陰性尿、(b)10mIU hCG、(c)60mIU hCG 40μl
−試験管内での混合
−3分間のインキュベーション
−メンブレン(2)にSRニトロセルロースを使用する、前記凝集装置「A」の使用
−試料塗布パッド(4,5)への全量45μlの塗布
−試料のMalaria緩衝液による「押出」
−5分後、シグナルは(a)0、(b)1/1+、(c)1/1+であった。
【0111】
7.−440nmラテックス+ヤギ抗hCG-β抗体 5μl
−(a)陰性尿、(b)60mIU hCG 40μl
−試験管内での混合
−インキュベーションせず
−メンブレン(2)にSRニトロセルロースを使用する、前記凝集装置「A」の使用
−試料塗布パッド(4,5)への全量45μlの塗布
−試料のMalaria緩衝液による「押出」
−5分後、シグナルは(a)0.5+、(b)2+/3-であった。
【0112】
8.−440nmラテックス+ヤギ抗hCG-β抗体を、等量の乾燥用緩衝液(2%Tween-20)と混合し、次に試料/複合体パッド上で乾燥した
−(a)陰性尿、(b)60mIU hCG 40μl
−メンブレン(2)にSRニトロセルロースを使用する、前記凝集装置「B」の使用
−試料/複合体パッド(4,5)への40μlの塗布
−注記:インキュベーション時間はなし。このシステムはすぐさま混合し流す。
−試料のMalaria緩衝液による「押出」
−5分後、シグナルは(a)0.5、(b)1/1+であった。
【0113】
実施例V:二重抗原アッセイ法のための凝集装置(図3)
本実施例は、図3Aおよび図3Bを参照し、二重抗原検出アッセイ法の装置を提供する。
【0114】
カードベースのアッセイ法は、反対方向に構成された追加の試験ストリップを伴う、標準ICTカードアッセイ法デザインを基にしている(図3A):
1は、抗原Aの結果を視認するウィンドウを意味する。
2は、抗原Bの結果を視認するウィンドウを意味する。
3は、吸収パッド(Ahlstrom 939;微量のポリミド湿潤強化樹脂を伴う100%セルロース)を意味する。
4は、Porex専売の化学物質粒子サイズ排除障壁を備える、Milliporeニトロセルロース:長さ18mm、幅6mm(Millipore, Inc., 品番#PK002057)またはPorex Corp.メンブレンリサーチAB(ファストフロー)およびリサーチACB(スローフロー)を意味する。
5は、ブリッジパッド(Ahlstrom 1281;微量のポリアクリルアミド湿潤強化樹脂およびポリアクリルアミド乾燥強化樹脂を伴う、90%セルロース繊維、10%レーヨン)を意味する。
6は、複合体パッド(Hollingsworth & Vose, H&V 7304 不織;ポリエステル)を意味する。
7は、試料パッド(Ahlstrom 1281;微量のポリアクリルアミド湿潤強化樹脂およびポリアクリルアミド乾燥強化樹脂を伴う、90%セルロース繊維、10%レーヨン)を意味する。
8は、試料投入口(スワブベース)を意味する。
【0115】
カセットベースのアッセイ法デザインは、(図3B)のデザインに類似した試験ストリップの構成を有する:
9は、抗原Aの結果を視認するウィンドウを意味する。
10は、試料投入口を意味する
11は、抗原Bの結果を視認するウィンドウを意味する。
【0116】
凝集二重抗原アッセイ法の構成のための材料
−Milliporeニトロセルロース:長さ18mm、幅6mm(Millipore, Inc., 品番#PK002057:100%ニトロセルロースメンブレン)またはPorex Corp.メンブレンリサーチAB(ファストフロー)およびリサーチACB(スローフロー)
−ブリッジパッド(Ahlstrom 1281;微量のポリアクリルアミド湿潤強化樹脂およびポリアクリルアミド乾燥強化樹脂を伴う、90%セルロース繊維、10%レーヨン)
−吸収パッド(Ahlstrom 939;微量のポリミド湿潤強化樹脂を伴う100%セルロース)
−複合体パッド(Hollingsworth & Vose, H&V 7304 不織;ポリエステル)
−Lexan裏当て(Lexan #8010)
−試料パッド(Ahlstrom 1281;微量のポリアクリルアミド湿潤強化樹脂およびポリアクリルアミド乾燥強化樹脂を伴う、90%セルロース繊維、10%レーヨン)
【0117】
方法:
図3Aのシステムおよび図3Bのシステムについて、試料100μl容量を、試料パッドに添加した。
−複合体の更なる流れが必要である場合は、1X PBSA(pH7.4)を、試料パッドに添加した。
−15分間流れさせる
−システムに応じて、結果は、ブリッジパッドとニトロセルロースとの間の境界で、またはPorexメンブレンに塗布された300nm排除する化学物質障壁のいずれかで、読みとることができた。
【0118】
本発明の記載全体を通じ、「第一の」、「第二の」または「第三の」という用語は、単に便宜上の目的であり、あらゆる混乱を避けるために使用される。これらの用語は、多孔度、要素の構造、反応性などに関する特別な順番または配列に関しては使用されず、これを意味しない。
【0119】
全ての見出しは、読者の便宜のためであり、特に指定しない限りは、見出し以下の内容の意味を制限するために使用するものではない。本発明の精神および範囲から逸脱しない限りは、様々な変更および離脱を、本発明に行うことができる。従って、本発明は、具体的に本明細書に記載されたもの、または図面に例示されたものに限定されることは意図されず、「特許請求の範囲」に言及されたもののみに限定される。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】図1Aは、本発明の態様の平面図である。
【図2】図2Bは、本発明の態様の平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する装置であって:
検出されることが可能であり且つ該試料中の該1種または複数の関心のある被検体へ結合することが可能である、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を含む、第一の多孔質部材と、
該第一の多孔質部材との液体連絡路内の第二の多孔質部材であって、該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を、該第二の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させることが可能であるが、該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が、該関心のある被検体に結合した場合には、該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を実質的に保持する、第二の多孔質部材とを備え、
該試料は、該第一の多孔質部材へ導入され、毛細管流動により該第一および第二の多孔質部材を通り移動し、且つ該1種または複数の関心のある被検体の存在が、該第一の多孔質部材の該第二の多孔質部材との境界面における該結合した1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の集合体の存在により示される、装置。
【請求項2】
第一の多孔質部材との液体連絡路内に吸収パッドを更に備える、請求項1記載の装置。
【請求項3】
吸収パッドと前記第一の多孔質部材との間に配置されたフィルターを更に備える、請求項2記載の装置。
【請求項4】
対照ゾーンを更に備える、請求項1記載の装置。
【請求項5】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が、抗体または抗体断片を含有する、請求項1記載の装置。
【請求項6】
抗体または抗体断片がFab断片を含む、請求項5記載の装置。
【請求項7】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が抗原を含有する、請求項1記載の装置。
【請求項8】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が受容体を含有する、請求項1記載の装置。
【請求項9】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の各々が、異なる検出可能な標識を含有する、請求項1記載の装置。
【請求項10】
検出可能な標識が色標識を含む、請求項9記載の装置。
【請求項11】
検出可能な標識が蛍光標識を含む、請求項9記載の装置。
【請求項12】
検出可能な標識が放射性標識を含む、請求項9記載の装置。
【請求項13】
検出可能な標識が磁気標識を含む、請求項9記載の装置。
【請求項14】
検出可能な標識が化学発光標識を含む、請求項9記載の装置。
【請求項15】
試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する装置であって:
液体連絡路内の第一の多孔質部材および第二の多孔質部材であって、該第一および第二の多孔質部材の接合部に互いに検出ゾーンを形成する部材と、
該試料中の該1種または複数の関心のある被検体に結合することができる1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を含む反応ゾーンであって、該反応ゾーンは該第一の多孔質部材上に配置され、該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬は可溶化し毛細管流動により該第二の多孔質部材へ移動することが可能であり、該第二の多孔質部材は、該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を、該第二の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるが、該1種または複数の関心のある被検体に結合した場合には、該第二の多孔質部材を通る該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の流れは実質的に妨げられる、ゾーンとを備え、
該試料は、該第一の多孔質部材へ導入され、毛細管流動により該第一および第二の多孔質部材を通り移動し、且つ該試料中の該1種または複数の関心のある被検体の存在は、該接合部での該結合した1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の集合体の蓄積の形成により示され、該試料中の該1種または複数の関心のある被検体の非存在は、該接合部での該結合した1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の集合体の該蓄積の非存在により示される、装置。
【請求項16】
第一の多孔質部材との液体連絡路内に吸収パッドを更に備える、請求項15記載の装置。
【請求項17】
吸収パッドと前記第一の多孔質部材との間に配置されたフィルターを更に備える、請求項16記載の装置。
【請求項18】
対照ゾーンを更に備える、請求項15記載の装置。
【請求項19】
検出可能な特異的結合試薬が抗体または抗体断片を含有する、請求項15記載の装置。
【請求項20】
抗体または抗体断片がFab断片を含む、請求項19記載の装置。
【請求項21】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が抗原を含有する、請求項15記載の装置。
【請求項22】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が受容体を含有する、請求項15記載の装置。
【請求項23】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の各々が、異なる検出可能な標識を含有する、請求項15記載の装置。
【請求項24】
検出可能な標識が色標識を含む、請求項23記載の装置。
【請求項25】
検出可能な標識が蛍光標識を含む、請求項23記載の装置。
【請求項26】
検出可能な標識が放射性標識を含む、請求項23記載の装置。
【請求項27】
検出可能な標識が磁気標識を含む、請求項23記載の装置。
【請求項28】
検出可能な標識が化学発光標識を含む、請求項23記載の装置。
【請求項29】
試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する方法であって:
a)該試料中の該1種または複数の関心のある被検体に結合することができる1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を含む、第一の多孔質部材を提供する工程;
b)該第一の多孔質部材との液体連絡路内に第二の多孔質部材を提供して接合部を形成する工程であって、該第二の多孔質部材は、該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を、該第二の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるが、該1種または複数の関心のある被検体に結合した場合には、該第二の多孔質部材を通る該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の流れを実質的に阻止する工程;
c)該試料を該第一の多孔質部材へ導入する工程であって、該試料は、毛管作用により該第一および該第二の多孔質部材を通り移動し、該第一の多孔質部材の該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を動員する工程;を含み、
該1種または複数の関心のある被検体の存在が、該第一および第二の多孔質部材の該接合部における、該結合した1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の集合体の存在により示される、方法。
【請求項30】
第一の多孔質部材との液体連絡路内に吸収パッドを提供する工程を更に含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
吸収パッドと前記第一の多孔質部材との間に配置されたフィルターを提供する工程を更に含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
試験の完了を確実にするための対照ゾーンを更に備える、請求項29記載の方法。
【請求項33】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が抗体または抗体断片を含有する、請求項29記載の方法。
【請求項34】
抗体または抗体断片がFab断片を含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が抗原を含有する、請求項29記載の方法。
【請求項36】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が受容体を含有する、請求項29記載の方法。
【請求項37】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の各々が、異なる検出可能な標識を含有する、請求項29記載の方法。
【請求項38】
検出可能な標識が色標識を含む、請求項37記載の方法。
【請求項39】
検出可能な標識が蛍光標識を含む、請求項37記載の方法。
【請求項40】
検出可能な標識が放射性標識を含む、請求項37記載の方法。
【請求項41】
検出可能な標識が磁気標識を含む、請求項37記載の方法。
【請求項42】
検出可能な標識が化学発光標識を含む、請求項37記載の方法。
【請求項43】
試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する装置であって:
検出されることが可能であり、かつ該試料に添加された場合に、該1種または複数の関心のある被検体と結合することが可能である、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬;
第一の多孔質部材;
該第一の多孔質部材との液体連絡路内の第二の多孔質部材であって、該第二の多孔質部材は、該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を、該第二の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるが、該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が該関心のある被検体に結合した場合には、該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を実質的に保持することが可能である、部材;を備え、
該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬は、該試料へ導入されて混合物を形成し、該混合物は、該第一の多孔質部材へ導入され、毛細管流動により該第一および第二の多孔質部材を通り移動し、且つ該1種または複数の関心のある被検体の存在が、該第一の多孔質部材の該第二の多孔質部材との境界面における、該結合した1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の集合体の存在により示される、装置。
【請求項44】
第一の多孔質部材との液体連絡路内に吸収パッドを更に備える、請求項43記載の装置。
【請求項45】
吸収パッドと前記第一の多孔質部材との間に配置されたフィルターを更に備える、請求項44記載の装置。
【請求項46】
対照ゾーンを更に備える、請求項43記載の装置。
【請求項47】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が抗体または抗体断片を含有する、請求項43記載の装置。
【請求項48】
抗体または抗体断片がFab断片を含む、請求項47記載の装置。
【請求項49】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が抗原を含有する、請求項43記載の装置。
【請求項50】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が受容体を含有する、請求項43記載の装置。
【請求項51】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の各々が異なる検出可能な標識を含有する、請求項43記載の装置。
【請求項52】
検出可能な標識が色標識を含む、請求項51記載の装置。
【請求項53】
検出可能な標識が蛍光標識を含む、請求項51記載の装置。
【請求項54】
検出可能な標識が放射性標識を含む、請求項51記載の装置。
【請求項55】
検出可能な標識が磁気標識を含む、請求項51記載の装置。
【請求項56】
検出可能な標識が化学発光標識を含む、請求項51記載の装置。
【請求項57】
試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する方法であって:
a)該試料中の該1種または複数の関心のある被検体に結合することができる1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を該試料と混合して混合物を形成する工程;
b)第一の多孔質部材を提供する工程;
c)該第一の多孔質部材との液体連絡路内に第二の多孔質部材を提供して接合部を形成する工程であって、該第二の多孔質部材は、該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を、該第二の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるが、該1種または複数の関心のある被検体に結合した場合には、該第二の多孔質部材を通る該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の流れを実質的に阻止する、工程;
d)該混合物を該第一の多孔質部材へ導入する工程であって、該混合物は、毛管作用により該第一および該第二の多孔質部材を通り移動する工程;を含み、
該1種または複数の関心のある被検体の存在が、該第一および第二の多孔質部材の該接合部における、該結合した1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の集合体の存在により示される、方法。
【請求項58】
第一の多孔質部材との液体連絡路内に吸収パッドを提供する工程を更に含む、請求項57記載の方法。
【請求項59】
吸収パッドと前記第一の多孔質部材の間に配置されたフィルターを提供する工程を更に含む、請求項58記載の方法。
【請求項60】
試験の完了を確実にするための対照ゾーンを更に備える、請求項57記載の方法。
【請求項61】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が抗体または抗体断片を含有する、請求項57記載の方法。
【請求項62】
抗体または抗体断片がFab断片を含む、請求項61記載の方法。
【請求項63】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が抗原を含有する、請求項57記載の方法。
【請求項64】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が受容体を含有する、請求項57記載の方法。
【請求項65】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の各々が、異なる検出可能な標識を含有する、請求項57記載の方法。
【請求項66】
検出可能な標識が色標識を含む、請求項65記載の方法。
【請求項67】
検出可能な標識が蛍光標識を含む、請求項65記載の方法。
【請求項68】
検出可能な標識が放射性標識を含む、請求項65記載の方法。
【請求項69】
検出可能な標識が磁気標識を含む、請求項65記載の方法。
【請求項70】
検出可能な標識が化学発光標識を含む、請求項65記載の方法。
【請求項71】
試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する装置であって:
検出されることが可能であり且つ該試料に添加された場合に、該1種または複数の関心のある被検体に結合することが可能である、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を含む、第一の多孔質部材;
第二の多孔質;
該第二の多孔質部材との液体連絡路内の第三の多孔質部材であって、該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を、該第三の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるが、該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が該1種または複数の関心のある被検体に結合された場合には、該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を実質的に保持することが可能である部材;を備え、
これにより、該試料が該第一の多孔質部材に導入され且つ該第一の多孔質部材が該第二の多孔質部材と液体接触させられ、ここで、該試料は、毛細管流動により、該第一、第二、および第三の多孔質部材を通り移動し、該1種または複数の関心のある被検体の存在が、該第二の多孔質部材の該第三の多孔質部材との境界面における、該結合した1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の集合体の存在により示される、装置。
【請求項72】
第二の多孔質部材との液体連絡路内に吸収パッドを更に備える、請求項71記載の装置。
【請求項73】
吸収パッドと前記第二の多孔質部材との間に配置されたフィルターを更に備える、請求項72記載の装置。
【請求項74】
対照ゾーンを更に備える、請求項71記載の装置。
【請求項75】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が抗体または抗体断片を含有する、請求項71記載の装置。
【請求項76】
抗体または抗体断片がFab断片を含む、請求項75記載の装置。
【請求項77】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が抗原を含有する、請求項71記載の装置。
【請求項78】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が受容体を含有する、請求項71記載の装置。
【請求項79】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の各々が、異なる検出可能な標識を含有する、請求項71記載の装置。
【請求項80】
検出可能な標識が色標識を含む、請求項79記載の装置。
【請求項81】
検出可能な標識が蛍光標識を含む、請求項79記載の装置。
【請求項82】
検出可能な標識が放射性標識を含む、請求項79記載の装置。
【請求項83】
検出可能な標識が磁気標識を含む、請求項79記載の装置。
【請求項84】
検出可能な標識が化学発光標識を含む、請求項79記載の装置。
【請求項85】
試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する方法であって:
a)第一の多孔質部材を提供する工程;
b)第二の多孔質部材を提供する工程;
c)該第二の多孔質部材との液体連絡路内に第三の多孔質部材を提供して接合部を形成する工程であって、該第三の多孔質部材は、該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を、該第三の多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるが、該1種または複数の関心のある被検体に結合した場合には、該第三の多孔質部材を通る該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の流れを実質的に阻止する、工程;
d)該試料中の該1種または複数の関心のある被検体に結合することができる1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を該試料と混合して混合物を形成する工程;
e)該混合物を、該第一の多孔質部材へ導入する工程;
f)該第一の多孔質部材を該第二の多孔質部材と接触させる工程であって、該混合物は、毛管作用により、該第一、第二、および第三の多孔質部材を通り移動する工程;を含み、
該1種または複数の関心のある被検体の存在が、該第二および第三の多孔質部材の該接合部における、該結合した1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の集合体の存在により示される、方法。
【請求項86】
第一の多孔質部材との液体連絡路内に吸収パッドを提供する工程を更に含む、請求項85記載の方法。
【請求項87】
吸収パッドと前記第一の多孔質部材との間に配置されたフィルターを提供する工程を更に含む、請求項86記載の方法。
【請求項88】
試験の完了を確実にするための対照ゾーンを更に備える、請求項85記載の方法。
【請求項89】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が抗体または抗体断片を含有する、請求項85記載の方法。
【請求項90】
抗体または抗体断片がFab断片を含む、請求項89記載の方法。
【請求項91】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が抗原を含有する、請求項85記載の方法。
【請求項92】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が受容体を含有する、請求項85記載の方法。
【請求項93】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の各々が、異なる検出可能な標識を含有する、請求項85記載の方法。
【請求項94】
検出可能な標識が色標識を含む、請求項93記載の方法。
【請求項95】
検出可能な標識が蛍光標識を含む、請求項93記載の方法。
【請求項96】
検出可能な標識が放射性標識を含む、請求項93記載の方法。
【請求項97】
検出可能な標識が磁気標識を含む、請求項93記載の方法。
【請求項98】
検出可能な標識が化学発光標識を含む、請求項93記載の方法。
【請求項99】
試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する装置であって:
検出されることが可能であり且つ該試料へ添加された場合に該1種または複数の関心のある被検体に結合することが可能である、1種または複数の検出可能な特異的結合試薬;
第一の末端および第二の末端を有する多孔質部材であって、該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を、該多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるが、該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が該関心のある被検体に結合した場合には、該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を実質的に排除する部材;を備え、
該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が該試料に導入されて混合物を形成し、該混合物が該多孔質部材の第一の末端に導入され、毛細管流動により、該多孔質部材を通り移動し、該1種または複数の関心のある被検体の存在が、該第一の末端で該多孔質部材から排除される、該多孔質部材の該第二の末端における該結合した1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の集合体の実質的非存在により示される、装置。
【請求項100】
第一の多孔質部材との液体連絡路内に吸収パッドを更に備える、請求項99記載の装置。
【請求項101】
吸収パッドと前記第一の多孔質部材との間に配置されたフィルターを更に備える、請求項100記載の装置。
【請求項102】
対照ゾーンを更に備える、請求項99記載の装置。
【請求項103】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が抗体または抗体断片を含有する、請求項99記載の装置。
【請求項104】
抗体または抗体断片がFab断片を含む、請求項103記載の装置。
【請求項105】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が抗原を含有する、請求項99記載の装置。
【請求項106】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が受容体を含有する、請求項99記載の装置。
【請求項107】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の各々が、異なる検出可能な標識を含有する、請求項99記載の装置。
【請求項108】
検出可能な標識が色標識を含む、請求項107記載の装置。
【請求項109】
検出可能な標識が蛍光標識を含む、請求項107記載の装置。
【請求項110】
検出可能な標識が放射性標識を含む、請求項107記載の装置。
【請求項111】
検出可能な標識が磁気標識を含む、請求項107記載の装置。
【請求項112】
検出可能な標識が化学発光標識を含む、請求項107記載の装置。
【請求項113】
試料中の1種または複数の関心のある被検体の有無を検出する方法であって:
a)該試料中の該1種または複数の関心のある被検体に結合することができる1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を該試料と混合して混合物を形成する工程;
c)第一の末端および第二の末端を有する多孔質部材を提供する工程であって、該多孔質部材は、該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を、該多孔質部材を通り実質的に自在に通過させるが、該1種または複数の関心のある被検体に結合した場合には、該多孔質部材から該1種または複数の検出可能な特異的結合試薬を実質的に排除することが可能である、工程;
d)該混合物を該多孔質部材の該第一の末端に導入する工程であって、該混合物は毛管作用により該多孔質部材を通り移動する、工程;を含み、
該1種または複数の関心のある被検体の存在が、該第一の末端において該多孔質部材から排除された、該多孔質部材の該第二の末端における該結合した1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の集合体の実質的非存在により示される、方法。
【請求項114】
第一の多孔質部材との液体連絡路内に吸収パッドを提供する工程を更に含む、請求項113記載の方法。
【請求項115】
吸収パッドと前記第一の多孔質部材との間に配置されたフィルターを提供する工程を更に含む、請求項114記載の方法。
【請求項116】
試験の完了を確実にするための対照ゾーンを更に備える、請求項113記載の方法。
【請求項117】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が抗体または抗体断片を含有する、請求項113記載の方法。
【請求項118】
抗体または抗体断片がFab断片を含む、請求項117記載の方法。
【請求項119】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が抗原を含有する、請求項113記載の方法。
【請求項120】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬が受容体を含有する、請求項113記載の方法。
【請求項121】
1種または複数の検出可能な特異的結合試薬の各々が、異なる検出可能な標識を含む、請求項113記載の方法。
【請求項122】
検出可能な標識が色標識を含む、請求項121記載の方法。
【請求項123】
検出可能な標識が蛍光標識を含む、請求項121記載の方法。
【請求項124】
検出可能な標識が放射性標識を含む、請求項121記載の方法。
【請求項125】
検出可能な標識が磁気標識を含む、請求項121記載の方法。
【請求項126】
検出可能な標識が化学発光標識を含む、請求項121記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−523348(P2007−523348A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−554175(P2006−554175)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/004896
【国際公開番号】WO2005/079420
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(505318846)バイナックス インコーポレイティッド (5)
【Fターム(参考)】