説明

クロマン環を有する液晶化合物、液晶組成物、およびこの液晶組成物を含有する液晶表示素子

【課題】化合物に必要な一般的物性、熱、光などに対する安定性、適切な光学異方性、誘電率異方性、そして他の液晶性化合物との優れた相溶性を有する化合物の提供。
【解決手段】式(1)で表される化合物。Rは水素又はアルキル、Rはハロゲンなど、A〜Aは1,4−シクロヘキシレンなど、Z〜Zはアルキレンなど、Qは式(q1)、式(q2)および式(q3)のいずれか1つで表される基である。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶性化合物、液晶組成物および液晶表示素子に関する。さらに詳しくは、クロマン環を有する化合物、これを含有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物、およびこの組成物を含有する液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は、液晶の動作モードに基づいて、PC(phase change)、TN(twisted nematic)、STN(super twisted nematic)、BTN(Bistable twisted nematic)、ECB(electrically controlled birefringence)、OCB(optically compensated bend)、IPS(in-plane switching)、VA(vertical alignment)などに分類される。素子の駆動方式に基づけば、PM(passive matrix)とAM(active matrix)である。PM(passive matrix)はスタティック(static)とマルチプレックス(multiplex)などに分類される。そして、AMはTFT(thin film transistor)、MIM(metal insulator metal)などに分類される。
【0003】
素子に用いる液晶組成物の物性は、これらのモードによって異なる。物性の例は、液晶相の温度範囲、粘度、光学異方性、しきい値電圧、比抵抗、弾性定数などである。組成物は多くの液晶性化合物を混合して調製される。化合物に必要な一般的物性は、水、空気、熱、光などに対する安定性、液晶相の広い温度範囲、小さな粘度、適切な光学異方性、適切な誘電率異方性、他の化合物との良好な相溶性などである。ネマチック相の高い上限温度を有する化合物は好ましい。ネマチック相、スメクチック相などの液晶相において低い下限温度を有する化合物は好ましい。小さな粘度を有する化合物は短い応答時間を有する素子に寄与する。光学異方性の適切な値は素子のモードによって異なる。低い電圧で素子を駆動するには、正に大きな誘電率異方性を有する化合物、または負に大きな誘電率異方性を有する化合物が好ましい。小さい誘電率異方性を有する化合物は粘度などを調整するのに好ましい。組成物を調製するには他の化合物との良好な相溶性を有する化合物が好ましい。素子を氷点下の温度で使うこともあるので、低い温度で良好な相溶性を有する化合物が好ましい。
【0004】
従来、クロマン環を有する化合物を液晶表示素子として利用した例は殆んど見られない。強誘電性用の液晶表示素子としては、特開平6−256337および特開平6−256339に、例えば下記の化合物(10a)および化合物(10b)などが報告されている。しかしながら、これらの化合物は、誘電率異方性が正に十分大きくなく、TN、STNなどのモードに使用する液晶表示素子として好ましいものではなかった。


【0005】
従来の技術は下記の文献に記載されている。さらに好ましい液晶性化合物、液晶組成物および液晶表示素子が望まれている。
【0006】
【特許文献1】特開平6−256337号公報
【特許文献2】特開平6−256339号公報
【特許文献3】特開2001−316347号公報
【特許文献4】特開平5−25158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第一の目的は、化合物に必要な一般的物性、熱、光などに対する安定性、適切な光学異方性、適切な誘電率異方性、そして他の液晶性化合物との優れた相溶性を有する化合物を提供することである。第二の目的は、これらの化合物の少なくとも一つを含有し、そしてネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、低いしきい値電圧を有する液晶組成物を提供することである。第三の目的は、この組成物を含有し、そして使用できる広い温度範囲、短い応答時間、大きなコントラスト比、低い駆動電圧を有する液晶表示素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の課題を解決するためにクロマン環を有する化合物が有効であり、特に正に十分に大きな誘電率異方性値を有する化合物を提供できることを知り、本発明を完成した。本発明の特定発明は次の[1]項で示される。
[1] 式(1)で表される化合物:


ここに、Rは水素、または炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく;Rはハロゲン、−CN、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられている炭素数1〜20のアルキル、少なくとも1つ水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数2〜20のアルケニル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜20のアルコキシであり;A、A、A、およびAは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、または1,4−フェニレンであり、これらの環において、任意の−CH−は−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH=は−N=で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はハロゲン、メチルまたは−CFで置き換えられてもよく;Z、Z、Z、およびZは独立して単結合または炭素数1〜4のアルキレンであり、このアルキレンにおいて任意の−CH−は−O−、−S−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;h、k、mおよびnは独立して0、1または2であり、そしてh、k、mおよびnの和は1、2または3であり;そして、Qは式(q1)、式(q2)および式(q3)のいずれか1つで表される基である:


ここに、Xは水素、ハロゲン、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、−CF、−CFH、−CFH、−OCF、−OCFH、または−OCFHであり;Y、Y、Y、YおよびYは独立して水素、ハロゲンまたはメチルである;但し、Qが式(q1)で表される基であるとき、Xは水素、メチルまたはメトキシである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の化合物は、化合物に必要な一般的物性、熱、光などに対する安定性、適切な光学異方性、適切な誘電率異方性、他の液晶性化合物との優れた相溶性を有する。本発明の液晶組成物は、これらの化合物の少なくとも一つを含有し、そしてネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、低いしきい値電圧を有する。本発明の液晶表示素子は、この組成物を含有し、そして使用できる広い温度範囲、短い応答時間、大きなコントラスト比、低い駆動電圧を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この明細書における用語の使い方は次のとおりである。液晶性化合物は、ネマチック相、スメクチック相などの液晶相を有する化合物および液晶相を有しないが液晶組成物の成分として有用な化合物の総称である。液晶性化合物、液晶組成物、液晶表示素子をそれぞれ化合物、組成物、素子と略すことがある。液晶表示素子は液晶表示パネルおよび液晶表示モジュールの総称である。ネマチック相の上限温度はネマチック相−等方相の相転移温度であり、そして単に上限温度と略すことがある。ネマチック相の下限温度を単に下限温度と略すことがある。式(1)で表わされる化合物を化合物(1)と称することがある。他の式で表される化合物についても同様に簡略化して称することがある。式(2)〜式(9)において、六角形で囲んだB、D、Eなどの記号はそれぞれ環B、環D、環Eなどを意味する。百分率で表した化合物の量は組成物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)である。本明細書で用いる用語「任意の」は、位置だけでなく個数についても任意であることを示す。そして、例えば、任意のAがB、CまたはDで置き換えられてもよいというような表現は、1つのAがB、CおよびDのどれかで置き換えられる場合および複数のAのどれもがB、CおよびDのどれかで置き換えられる場合に加えて、複数のAがB、CおよびDの2種以上で置き換えられる場合をも含むことを意味する。複数のAがB、CおよびDの2種以上で置き換えられる場合の例は、1つのAがBで置き換えられ、もう1つのAがCまたはDで置き換えられる場合である。なお、本発明においては、連続する2つの−CH−が−O−または−S−で置き換えられて、−O−O−、−O−S−または−S−S−になることは好ましくない。特に断らずにアルキルと記述するときは、直鎖アルキルと分岐アルキルの両方を含むアルキルを意味する。アルキレンについても同様である。例えば、ブチルはn−ブチル、2−メチルプロピルおよび1,1−ジメチルエチルのいずれであってもよい。
【0011】
本発明は、上記の[1]項および次の[2]〜[28]項で構成される。
[2] Qが式(q1)で表される基であり、Xが水素であり、Y、Y、Y、Y、およびYが独立して水素またはフッ素である、[1]項に記載の化合物。
【0012】
[3] Qが式(q2)で表される基であり、Xが水素またはフッ素であり、Y、Y、Y、Y、およびYが独立して水素またはフッ素である、[1]項に記載の化合物。
【0013】
[4] Qが式(q3)で表される基であり、Xが水素またはフッ素であり、Y、Y、Y、Y、およびYが独立して水素またはフッ素である、[1]項に記載の化合物。
【0014】
[5] 式(1−1)〜式(1−5)のいずれか1つで表される化合物:




ここに、Rは水素、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、または炭素数2〜10のアルケニルであり;Rはハロゲン、−CN、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられている炭素数1〜10のアルキル、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数2〜10のアルケニル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜10のアルコキシであり;A、A、AおよびAは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZは独立して単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFO−または−OCF−であり;Xは水素またはメチルであり;そして、Y、Y、Y、Y4およびYは独立して水素、ハロゲンまたはメチルである。
【0015】
[6] Xが水素である、[5]項に記載の化合物。
【0016】
[7] Xが水素であり;Rが水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A1、A2、A3およびA4が独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが独立して単結合または−CHCH−であり;Y、Y、YおよびYが独立して水素、フッ素またはメチルであり、そしてYが水素である、[5]項に記載の化合物。
【0017】
[8] Xが水素であり;Rが水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A1、A2、A3およびA4が独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが独立して単結合または−CHCH−であり;Y、Y、YおよびYが水素であり、そしてYがフッ素または塩素である、[5]項に記載の化合物。
【0018】
[9] Xが水素であり;Rが水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A、A、AおよびAが独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが単結合であり;Y、Y、YおよびYが独立して水素、フッ素またはメチルであり、そしてYが水素である、[5]項に記載の化合物。
【0019】
[10] Xが水素であり;Rが水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A1、A2、A3およびA4が独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが単結合であり;そして、Y、Y、Y、YおよびYが水素である、[5]項に記載の化合物。
【0020】
[11] 式(1−6)〜式(1−10)のいずれか1つで表される化合物:


ここに、Rは水素、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、または炭素数2〜10のアルケニルであり;Rはハロゲン、−CN、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられている炭素数1〜10のアルキル、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜10のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数2〜10のアルケニルであり;A、A、A、およびAは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、または少なくとも1つ水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZは独立して単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFO−または−OCF−であり;Xは水素またはフッ素であり;そして、Y、Y、Y、Y4およびYは独立して水素、ハロゲンまたはメチルである。
【0021】
[12] Rが水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A、A、AおよびAが独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが独立して単結合または−CHCH−であり;Y、Y、YおよびYが独立して水素、フッ素またはメチルであり、そしてYが水素である、[11]項に記載の化合物。
【0022】
[13] Rが水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A、A、AおよびAが独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが独立して単結合または−CHCH−であり;Y、Y、YおよびYが水素であり、そしてYがフッ素または塩素である、[11]項に記載の化合物。
【0023】
[14] Rが水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A、A、AおよびAが独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが単結合であり;Y、Y、YおよびYが独立して水素、フッ素またはメチルであり、そしてYが水素である、[11]項に記載の化合物。
【0024】
[15] Rが水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A、A、AおよびAが独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが単結合であり;そして、Y、Y、Y、YおよびYが水素である、[11]項に記載の化合物。
【0025】
[16] 式(1−11)〜式(1−15)のいずれか1つで表される化合物:




ここに、Rは水素、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、または炭素数2〜10のアルケニルであり;Rはハロゲン、−CN、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられている炭素数1〜10のアルキル、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜10のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数2〜10のアルケニルであり;A、A、A、およびAは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZは独立して単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFO−または−OCF−であり;Xは水素またはフッ素であり;そして、Y、Y、Y、Y4およびYは独立して水素、ハロゲンまたはメチルである。
【0026】
[17] Rが水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A、A、AおよびAが独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置換されてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが独立して単結合または−CHCH−であり;Y、Y、YおよびYが独立して水素、フッ素またはメチルであり、そしてYが水素である、[16]項に記載の化合物。
【0027】
[18] Rが水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A、A、AおよびAが独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが独立して単結合または−CHCH−であり;Y、Y、YおよびYが水素であり、そしてYがフッ素または塩素である、[16]項に記載の化合物。
【0028】
[19] Rが水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A、A、AおよびAが独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが単結合であり;Y、Y、YおよびYが独立して水素、フッ素またはメチルであり、そしてYが水素である、[16]項に記載の化合物。
【0029】
[20] Rが水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A、A、AおよびAが独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが単結合であり;そして、Y、Y、Y、YおよびYが水素である、[16]項に記載の化合物。
【0030】
[21] [1]〜[20]のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つを含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物。
【0031】
[22] [1]〜[20]のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つと、式(2)、式(3)および式(4)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有し、そして少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物:


ここに、Rは炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;Xはフッ素、塩素、−OCF、−OCHF、−CF、−CHF、−CHF、−OCFCHF、または−OCFCHFCFであり;環Bおよび環Dは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり、環Eは1,4−シクロヘキシレンまたは少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;ZおよびZは独立して−(CH)−、−(CH)−、−COO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、または単結合であり;そして、LおよびLは独立して水素またはフッ素である。
【0032】
[23] [1]〜[20]のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つと、式(5)および式(6)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有し、そして少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;Xは−CNまたは−C≡C−CNであり;環Gは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;環Jは1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2,5−ジイルまたは少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;環Kは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Zは−(CH−、−COO−、−CFO−、−OCF−、または単結合であり;L、LおよびLは独立して水素またはフッ素であり;そしてb、cおよびdは独立して0または1である。
【0033】
[24] [1]〜[20]のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つと、式(7)〜式(9)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;環M、環Pおよび環Qは独立して1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;そしてZおよびZは独立して−C≡C−、−COO−、−(CH−、−CH=CH−、または単結合である。
【0034】
[25] 式(5)および式(6)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、[22]項に記載の組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;Xは−CNまたは−C≡C−CNであり;環Gは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;環Jは1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2,5−ジイルまたは少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;環Kは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Zは−(CH−、−COO−、−CFO−、−OCF−、または単結合であり;L、LおよびLは独立して水素またはフッ素であり;そしてb、cおよびdは独立して0または1である。
【0035】
[26] 式(7)、式(8)および式(9)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、[22]項に記載の組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;環M、環Pおよび環Qは独立して1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;そしてZおよびZは独立して−C≡C−、−COO−、−(CH−、−CH=CH−、または単結合である。
【0036】
[27] 式(7)、式(8)および式(9)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、[23]項に記載の組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;環M、環Pおよび環Qは独立して1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;そしてZおよびZは独立して−C≡C−、−COO−、−(CH−、−CH=CH−、または単結合である。
【0037】
[28] [21]〜[27]のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。
【0038】
本発明の化合物は式(1)で表される。


【0039】
式(1)におけるRは水素、または炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は、−O−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよい。このようなRの例は、水素、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニル、アルケニルオキシおよびアルキニルである。これらの基の具体例は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、プロポキシメチル、ブトキシメチル、ペントキシメチル、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、2−プロペニルオキシ、2−ブテニルオキシ、2−ペンテニルオキシ、1−プロピニル、および1−ペンチニルである。
【0040】
の好ましい例は、水素、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、および炭素数2〜10のアルケニルである。Rのより好ましい例は、水素、炭素数1〜7のアルキル、および炭素数2〜7のアルケニルである。このようなRのより好ましい具体例は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、2−ヘキセニルおよび3−ヘキセニルである。アルケニルにおける−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。1−プロペニル、1−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ペンテニル、3−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはトランス配置が好ましい。2−ブテニル、2−ペンテニル、および2−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはシス配置が好ましい。
【0041】
式(1)中のRは、ハロゲン、−CN、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられている炭素数1〜20のアルキル、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数2〜20のアルケニル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜20のアルコキシである。このようなRの例は、ハロゲン、アルコキシ、アルケニル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルコキシ、ハロゲン化アルケニルである。Rの好ましい例は、ハロゲン、−CN、−OCF、−OCFHおよび少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルである。ハロゲンの好ましい例はフッ素および塩素である。少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルの例は、−CF、−CHF、−CHF、−CFCF、−CFCHF、−CFCHF、−CHCF、−CHCFH、−CHCHF、および−CHCHCHFである。
【0042】
およびRとしては、上記の具体例の他、分岐の基であって光学活性である基も好ましい。
【0043】
式(1)中のA、A、AおよびAは、独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレンまたは1,4−フェニレンである。これらの環において、任意の−CH−は−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH=は−N=で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲン、−CHまたは−CFで置き換えられてもよい。A、A、AまたはAの好ましい例を次に示す。


【0044】


【0045】


【0046】
、A、AまたはAのより好ましい例は、上記の環のうちの(15−1)、(15−2)、(15−7)、(15−8)、(15−15)、(15−16)、および(16−1)〜(16−9)である。A、A、AまたはAの特に好ましい例は、(15−1)、(15−2)および(16−1)〜(16−6)である。1,4−シクロヘキシレンおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイルの立体配置はシスよりもトランスが好ましい。
【0047】
式(1)中のZ、Z、Z、およびZは、独立して単結合または炭素数1〜4のアルキレンである。このアルキレンにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよい。Z、Z、ZまたはZの好ましい例は、単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFO−および−OCF−である。Z、Z、ZまたはZのより好ましい例は、単結合および−CHCH−である。
【0048】
式(1)中のQは式(q1)、式(q2)および式(q3)のいずれか1つで表される基である。


【0049】
式(q1)におけるXは水素、メチルまたはメトキシであり、好ましくは水素またはメチルであり、特に好ましくは水素である。式(q2)または式(q3)におけるXは水素、ハロゲン、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、−CF、−CFH、−CFH、−OCF、−OCFHまたは−OCFHであり、好ましくは水素またはフッ素である。式(q1)〜式(q3)において、Y、Y、Y、YおよびYは、独立して水素、ハロゲンまたはメチルである。Y、Y、YまたはYの特に好ましい例は水素、フッ素およびメチルである。そして、Yの特に好ましい例は、水素、フッ素および塩素である。
【0050】
式(q1)の好ましい例は、次の式(17−1)〜式(17−12)である。


【0051】
これらのうちでさらに好ましい例は、式(17−1)〜式(17−4)、式(17−6)および式(17−8)である。
【0052】
式(q2)の好ましい例は、次の式(18−1)〜式(18−24)である。


【0053】


【0054】
これらのうちでさらに好ましい例は、式(18−1)〜式(18−4)、式(18−8)、式(18−10)、式(18−13)〜式(18−16)、式(18−20)および式(18−22)である。
【0055】
式(q3)の好ましい例は、次の式(19−1)〜式(19−24)である。


【0056】


【0057】
これらのうちでさらに好ましい例は、式(19−1)〜式(19−4)、式(19−8)、式(19−10)、式(19−13)〜式(19−16)、式(19−20)および式(19−22)である。
【0058】
式(1)中のh、k、mおよびnは独立して0、1または2であり、そしてh、k、mおよびnの和は1、2または3である。この和が1である化合物はクロマン環Qを含めて2環を有する。この和が2である化合物はクロマン環Qを含めて3環を有する。この和が3である化合物はクロマン環Qを含めて4環を有する。いずれか1つの環が1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイルのようなヘテロ環であるとき、他の環はヘテロ環でない方が好ましい。化合物(1)はH(重水素)、13Cなどの同位体を天然存在比の量より多く含んでもよい。そのような場合でも、化合物の物性に大きな差異はない。
【0059】
化合物(1)は、素子が通常使用される条件下において物理的および化学的に極めて安定であり、そして他の液晶性化合物との相溶性がよい。この化合物を含有する組成物は素子が通常使用される条件下で安定である。この組成物を低い温度で保管しても、この化合物が結晶(またはスメクチック相)として析出することがない。
【0060】
化合物(1)の末端基、環および結合基を適切に選択することによって、光学異方性、誘電率異方性などの物性を任意に調整することが可能である。末端基RおよびR、環A、A、AおよびA、結合基Z、Z、ZおよびZの種類が、化合物(1)の物性に与える効果を以下に説明する。
【0061】
が水素、アルキル、アルケニルまたはアルコキシであり、そしてRが−OCF、−OCHF、−CF、−CHF、フッ素、塩素または−CNであるとき、この化合物の誘電率異方性は正に非常に大きい。このような化合物(1)は組成物のしきい値電圧を下げるための成分として使用できる。Rが水素、アルキルまたはアルケニルであり、そしてRが−CF、−CHFまたはフッ素であるとき、この化合物の誘電率異方性は正に大きく、そして粘性が小さい。このような化合物(1)は組成物の粘度を調整するための成分として使用できる。Rが水素、アルキルまたはアルケニルであり、そしてRが−OCF、−OCHFまたはフッ素であるとき、この化合物の誘電率異方性は正に大きく、そして他の液晶化合物との相溶性がよい。このような化合物(1)は組成物の誘電率異方性、上限温度または粘度を調整するための成分として使用できる。その他、組成物の用途によって、適切な官能基を選択して適切な物性に調整する。
【0062】
液晶化合物について一般的に説明されていることを当てはめれば、化合物(1)についても次のようなことが言える。RまたはRが直鎖であるときは液晶相の温度範囲が広くそして粘度が小さい。RまたはRが分岐鎖であるときは他の液晶性化合物との相溶性がよい。RまたはRが光学活性基である化合物は、キラルドーパントとして有用である。この化合物を組成物に添加することによって、素子に発生するリバース・ツイスト・ドメイン(Reverse twisted domain)を防止することができる。RまたはRが光学活性基でない化合物は組成物の成分として有用である。RまたはRがアルケニルであるとき、好ましい立体配置は二重結合の位置に依存する。好ましい立体配置を有するアルケニル化合物は、高い上限温度または液晶相の広い温度範囲を有する。これらのことについては、Mol. Cryst. Liq. Cryst., 1985, 131, 109およびMol. Cryst. Liq. Cryst., 1985, 131, 327に詳細な説明がある。
【0063】
、A、AおよびAが、ピリジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンであるとき、化合物(1)は正に大きな誘電率異方性を有する。これらの環が、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい1,4−フェニレンであるとき、化合物(1)は大きな光学異方性を有する。AまたはAが、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレンまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであるとき、化合物(1)は小さな光学異方性を有する。
【0064】
少なくとも2つの環が1,4−シクロヘキシレンであるとき、化合物(1)は高い上限温度、小さな光学異方性、そして低い粘度を有する。少なくとも一つの環が1,4−フェニレンのとき、化合物(1)は比較的大きな光学異方性、そして大きな配向秩序パラメーター(orientational order parameter)を有する。少なくとも2つの環が1,4−フェニレンであるとき、化合物(1)は大きな光学異方性、液晶相の広い温度範囲、そして高い上限温度を有する。
【0065】
結合基Z、ZまたはZが単結合、−(CH22−、−CH2O−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−(CH2−であるとき、化合物(1)は低い粘度を有する。結合基が単結合、−(CH22−、−OCF−、−CFO−、または−CH=CH−であるとき、化合物(1)はより低い粘度を有する。結合基が−CH=CH−であるとき、化合物(1)は液晶相の広い温度範囲、そして大きな弾性定数比K33/K11(K33:ベンド弾性定数、K11:スプレイ弾性定数)を有する。結合基が−C≡C−のとき、化合物(1)は大きな光学異方性を有する。
【0066】
クロマン環を含めて2環または3環であるとき、化合物(1)は低い粘度を有する。クロマン環を含めて3環または4環であるとき、化合物(1)は高い上限温度を有する。以上のように、末端基、環および結合基の種類、環の数を適当に選択することにより目的の物性を有する化合物を得ることができる。したがって、化合物(1)はPC、TN、STN、ECB、OCB、IPS、VAなどの素子に用いられる組成物の成分として有用である。
【0067】
化合物(1)の好ましい例は、式(1−a)〜式(1−o)のいずれか1つで表される化合物である。






【0068】
式(1−a)〜式(1−o)において、Rは水素、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、または炭素数2〜10のアルケニルであり;Rはハロゲン、−CN、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられている炭素数1〜10のアルキル、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜10のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数2〜10のアルケニルであり;A、A、AおよびAは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZは独立して単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFO−または−OCF−であり;Xは水素またはフッ素であり;そして、Y、Y、Y、Y4およびYは独立して水素、ハロゲンまたはメチルである。
【0069】
化合物(1)のより具体的な例を次に示す。


【0070】


【0071】


【0072】


【0073】


【0074】
上記の式(1−1−1)〜式(1−15−8)において、R、R、A1〜A、Z1〜Z、X、およびY〜Yは、式(1−a)〜式(1−o)におけるこれらの記号と同じ意味を有する。上記の式における下記の環構造は1つまたは2つの水素がフッ素で置き換えられてもよいベンゼン環を意味する。


【0075】
化合物(1)は有機合成化学における手法を適切に組み合わせることにより合成できる。出発物に目的の末端基、環および結合基を導入する方法は、Organic Syntheses(John Wiley & Sons, Inc)、Organic Reactions(John Wiley & Sons, Inc)、Comprehensive Organic Synthesis(Pergamon Press)、および新実験化学講座(丸善)などに記載されている。結合基Z、Z、ZまたはZを合成する方法の一例をスキームを用いて説明する。このスキームにおいて、MSGまたはMSGは少なくとも一つの環を有する1価の有機基である。スキームで用いた複数のMSG(またはMSG)は、同一であってもよいし、または異なってもよい。化合物(1A)から(1K)は化合物(1)に相当する。
【0076】
(I)単結合の生成


アリールホウ酸(21)と公知の方法で合成される化合物(22)とを、炭酸塩水溶液とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのような触媒の存在下で反応させて化合物(1A)を合成する。この化合物(1A)は、公知の方法で合成される化合物(23)にn−ブチルリチウムを反応させ、塩化亜鉛を反応させ、次いでジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのような触媒の存在下で化合物(22)を反応させることによっても合成される。


【0077】
(II)−CFO−と−OCF−の生成


化合物(1B)をローソン試薬のような硫黄化剤で処理して化合物(26)を得る。化合物(26)をフッ化水素ピリジン錯体とNBS(N−ブロモスクシンイミド)でフッ素化し、−CFO−を有する化合物(1C)を合成する(M. Kuroboshi et al., Chem. Lett., 1992,827.を参照)。化合物(1C)は化合物(26)を(ジエチルアミノ)サルファートリフルオリド(DAST)でフッ素化しても合成される(W. H. Bunnelle et al., J. Org. Chem. 1990, 55, 768.を参照)。この方法によって−OCF−を有する化合物も合成できる。Peer. Kirsch et al., Anbew. Chem. Int. Ed. 2001, 40, 1480.に記載の方法によってこれらの結合基を生成させることも可能である。
【0078】
(III)−CH=CH−の生成


化合物(23)をn−ブチルリチウムで処理した後、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などのホルムアミドと反応させてアルデヒド(28)を得る。公知の方法で合成されるホスホニウム塩(27)をカリウムt−ブトキシドのような塩基で処理して発生させたリンイリドを、アルデヒド(28)に反応させて化合物(1D)を合成する。反応条件によってはシス体が生成するので、必要に応じて公知の方法によりシス体をトランス体に異性化する。
【0079】
(IV)−(CH−の生成


化合物(1D)をパラジウム炭素のような触媒の存在下で水素化することにより、化合物(1E)を合成する。
【0080】
(V)−(CH−の生成


ホスホニウム塩(27)の代わりにホスホニウム塩(29)を用い、項(III)または項
(IV)の方法に従って−(CH−および−CH=CH−を有する化合物を得る。これを接触水素化して化合物(1F)を合成する。
【0081】
(VI)−C≡C−の生成


ジクロロパラジウムとハロゲン化銅との触媒存在下で、化合物(23)に2−メチル−3−ブチン−2−オールを反応させたのち、塩基性条件下で脱保護して化合物(30)を得る。ジクロロパラジウムとハロゲン化銅との触媒存在下、化合物(30)を化合物(22)と反応させて、化合物(1G)を合成する。
【0082】
(VII)−CF=CF−の生成


化合物(23)をn−ブチルリチウムで処理したあと、テトラフルオロエチレンを反応させて化合物(31)を得る。化合物(22)をn−ブチルリチウムで処理した後、化合物(31)と反応させて化合物(1H)を合成する。
【0083】
(VIII)−CHO−または−OCH−の生成


化合物(28)を水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤で還元して化合物(32)を得る。これを臭化水素酸などでハロゲン化して化合物(33)を得る。炭酸カリウムなどの存在下で、化合物(33)を化合物(25)と反応させて化合物(1J)を合成する。
【0084】
(IX)−(CH23O−または−O(CH23−の生成


化合物(32)の代わりに化合物(34)を用いて、項(VIII)の方法に従って化合物(1K)を合成する。
【0085】
(X)−(CF22−の生成
J. Am. Chem. Soc., 2001, 123, 5414.に記載された方法に従い、ジケトン(−COCO−)をフッ化水素触媒の存在下、四フッ化硫黄でフッ素化して−(CF22−を有する化合物を得る。
【0086】
次に、A、A、AまたはAに関する合成法を説明する。
1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイルなどの環に関しては出発物が市販されているか、または合成法がよく知られている。そこで、下記の化合物(37)および化合物(41)について説明する。


2,3−ビストリフルオロメチルフェニレンの構造単位は、Org. Lett., 2000, 2 (21), 3345の文献に記載された方法で合成する。フラン(35)と1,1,1,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブチンとを高温でディールズ・アルダー型の反応をさせることによってアニリン(36)を合成する。この化合物から、Org. Synth. Coll., Vol. 2, 1943, 355に記載された方法に従い、サンド・マイヤー型反応によってヨウ化物(37)を得る。この化合物は一般的な有機合成化学の手法によって化合物(1)に変換する。
【0087】


2−ジフルオロメチル−3−フルオロフェニレンの構造単位は、次のような方法で合成する。化合物(38)の水酸基を適切な保護基で保護して化合物(39)を得る。Pは保護基を意味する。化合物(39)にsec-ブチルリチウムを作用させ、続いてN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を反応させてアルデヒド(40)を得る。この化合物をジエチルアミノサルファートリフルオリド(DAST)でフッ素化し、続いて脱保護してフェノール(41)を得る。この化合物は一般的な有機合成化学の手法によって化合物(1)に変換する。なお、上記の式におけるQは次の式で表される基である。


【0088】
次にQを生成する方法について説明する。最初に、ベンゾピラン環の誘導体を合成するために、下記に示すような化合物(q1a)、化合物(q2a)および化合物(q3a)を合成し、これらのうちのいずれかを出発原料として化合物(1)を合成する。まず、化合物(q1a)、化合物(q2a)および化合物(q3a)を合成する方法の一例を説明する。



これらの式におけるQは下記の式で表される基である。


【0089】
1)化合物(q1a)の合成
出発原料となる化合物(52)は、一般的な有機合成化学における手法、さらには上記の合成スキーム(I)〜(X)を用いることにより、容易に合成することができる。以下に、化合物(52)に誘導するための一般的な合成例(A)〜(C)を示す。
【0090】
(A) Aがシクロヘキシレンであり、かつZが単結合である場合、またはZがアルキレンである場合の化合物(52)の合成法


(これらの式において、Pは保護基を表し、Meはメチルを表し、TIPSはトリイソプロピルシリルを表し、TBDMSはt−ブチルジメチルシリルを表し、Bnはベンジルを表し、そしてiは0〜3である。)
最初に有機合成化学の方法に従ってシクロヘキサノン誘導体(50a)、またはカルボニル誘導体(50b)を準備し、適切なグリニャール試薬(51)を用いたグリニャール反応、酸による脱水反応、およびPd触媒を用いた水素還元を順次行い、その後は必要により塩化アルミニウムを用いた異性化反応を行うことにより、容易に化合物(52)に誘導することができる。
【0091】
(B) Aがフェニレン、ピリミジンなどであり、かつZが単結合である場合、またはZがアルキレン、アルケニレン、アルキニレンまたは−CH−である場合の化合物(52)の合成法


(これらの式において、Xは臭素、ヨウ素またはトリフラート(OTf)を表し、そしてXは水素、ハロゲン、メチルまたは−CFを表す。)
最初に有機合成化学の方法の方法に従って化合物(53a)または化合物(53b)を準備し、例えばボロン酸誘導体(54)などとカップリング反応を行う方法、またはフェノールの誘導体(55)とWilliamsonエーテル化を行う方法などを用いることによって、容易に化合物(52)に誘導することができる。
【0092】
(C)Zが−CFO−である場合の化合物(52)の合成法


最初に有機合成化学の方法の方法に従って化合物(53c)を準備し、フェノール誘導体(55)などとエステル化反応させ、その後に上記に記載した合成スキーム(II)を用いることによって、容易に化合物(52)に誘導することができる。
【0093】
次に、化合物(52)から化合物(q1a)を合成する方法について説明する。まず、化合物(52)から化合物(57)に誘導するスキームを下記に示す。


化合物(52)を臭素化し、次いでブチルリチウムで処理した後にN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などと作用させてアルデヒド体(57)を得る。その後、ジエチルホスホノ酢酸エチルを水素化ナトリウムのような塩基で処理して発生させたリンイリドを、化合物(57)と反応させて、化合物(58)を得る。
【0094】
次に、化合物(58)から化合物(q1a)を合成する方法について説明する。
(I−1) 化合物(61)の合成
化合物(61)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


化合物(58)をパラジウム触媒下で水素還元を行い、ついでProtective Groups in Organic Synthesis(Greene, John Wiley & Sons, Inc)などに記載されている一般的な脱保護の条件により、フェノールの保護基を取り除く。得られた化合物(60)をp−トルエンスルホン酸などを用いて脱水環化反応を行うことにより、化合物(61)を得ることができる。
【0095】
(I−2) 化合物(65)の合成
化合物(65)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


化合物(58)をm−クロロ過安息香酸と作用させてエポキシド体(62)に誘導し、さらに酢酸ナトリウムを加えることで化合物(63)を得る。次いで、この化合物(63)をジエチルアミノサルファートリフルオリド(DAST)などのフッ素化剤を用いてフッ素化し、その後は(I−1)に記した方法と同様の方法を用いて、脱保護、脱水環化反応を行うことにより、化合物(65)を得ることができる。
【0096】
(I−3) 化合物(67)の合成
化合物(67)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


化合物(63)から、Wittig反応、次いで水素還元を行って化合物(66)に誘導し、その後に(I−1)に記した方法と同様の方法を用いることにより、化合物(67)を得ることができる。
【0097】
(I−4) 化合物(70)の合成
化合物(70)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


化合物(64)から、塩素との光反応を行って塩素化物(68)とし、さらにフッ化アンチモンを作用させてフッ素化を行うことにより化合物(69)に誘導する。その後は、(I−1)に記した方法と同様の方法を用いることにより、化合物(70)を得ることができる。
【0098】
(I−5) 化合物(74)の合成
化合物(74)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


化合物(52)とシアノ酢酸クロリドの混合物に塩化アルミニウムを作用させて化合物(71)とし、ついでエタノールと塩基により化合物(72)に誘導する。そして、DASTを用いてフッ素化し、その後は(I−1)に記した方法と同様の方法を用いることにより、化合物(74)を得ることができる。
【0099】
(I−6) 化合物(76)の合成
化合物(76)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


化合物(72)から、Wittig反応、次いで水素還元を行って化合物(75)に誘導し、その後に(I−1)に記した方法と同様の方法を用いることにより、化合物(76)を得ることができる。
【0100】
(I−7) 化合物(78)の合成
化合物(78)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


化合物(62)にフッ化水素ピリジンを作用させ、ついでDASTを用いてフッ素化を行うことにより化合物(77)が得られる。その後は(I−1)に記した方法と同様の方法を用いることにより、化合物(78)を得ることができる。
【0101】
2)化合物(q2a)の合成
(II−1) 化合物(83)の合成
出発原料は、上段に記載した化合物(56)とする。化合物(56)から化合物(83)に誘導するスキームの一例を下記に示す。


化合物(56)をn−ブチルリチウムで処理した後、ホルムアルデヒドを作用させると化合物(79)が得られる。そして、(I−1)に記した方法と同様に 適切な条件で保護基を取り除いた後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(TfO)とピリジンにより、トリフラート体(81)を得る。その後に、化合物(81)と有機スズ化合物の混合物をパラジウム触媒下でカップリング反応を行うことにより化合物(82)に誘導した後、p−トルエンスルホン酸などを用いて脱水環化反応を行うことにより、化合物(83)を得ることができる。
【0102】
(II−2) 化合物(85)の合成
化合物(85)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


化合物(83)から、過剰量の塩素との光反応を行って塩素化物(84)に誘導し、さらにフッ化アンチモンを作用させてフッ素化を行うことにより化合物(85)を得ることができる。
【0103】
(II−3) 化合物(87)の合成
化合物(87)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


化合物(83)から、水酸化ナトリウムとクロロメトキシメチルを用いて化合物(86)に誘導し、その後にパラジウム触媒下で水素還元を行うことにより化合物(87)が得られる。
【0104】
(II−4) 化合物(94)の合成
まず、化合物(52)を合成したときと同様の方法により、化合物(50a)、化合物(50b)、化合物(53a)または化合物(53b)を出発原料として、化合物(88)に容易に誘導することができる。


【0105】
化合物(88)を出発原料として、例えば下記のような方法で、化合物(94)を合成することができる。


【0106】
化合物(88)の保護基を適切な方法で取り除いた後、臭素化を行い、化合物(89)を得る。化合物(89)をn−ブチルリチウムで処理した後、ホルムアルデヒドを作用させ、次いで水酸基を適切な保護基で保護すると、化合物(90)が得られる。さらに化合物(90)をヨウ素化した後、ブロモジフルオロ酢酸エチルと活性化させた銅を加え、加熱還流させて化合物(92)に誘導する。その後は、保護基を取り除いた後に、p−トルエンスルホン酸などを用いて脱水環化反応を行うことにより、化合物(94)を得ることができる。
【0107】
(II−5) 化合物(99)の合成
化合物(99)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


化合物(56)をn−ブチルリチウムで処理した後、アセトアルデヒドを作用させると化合物(95)が得られる。そして、(I−1)に記した方法と同様に適切な方法で取り除いた後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物とピリジンにより、トリフラート体(97)を得る。その後に、化合物(97)と有機スズ化合物の混合物をパラジウム触媒下でカップリング反応を行うことにより化合物(98)に誘導した後、p−トルエンスルホン酸などを用いて脱水環化反応を行うことにより、化合物(99)を得ることができる。
【0108】
3)化合物(q3a)の合成
(III−1) 化合物(106)の合成
出発原料は、前記の化合物(88)とする。化合物(88)から化合物(106)に誘導するスキームの一例を下記に示す。


【0109】
化合物(97)にn−ブチルリチウムを作用させた後に、臭素を作用させて化合物(100)を得た後、パラジウム触媒と用いてアリールマグネシウムクロリドとカップリング反応を行うことにより、化合物(101)を得る。そして、得られた化合物(101)をN−メチルモルホリン−N−オキシド(NMO)を共酸化剤として使用して四酸化オスミウムで酸化し、化合物(102)を得る。次に、化合物(102)にベンズアルデヒドを作用させ、さらに水酸化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)で還元することにより化合物(103)を得る。その後に、適当な方法で保護基を取り除き、トシルクロリドと水酸化カリウムを用いて環化反応、次いで水素還元を行ってベンジル基を水酸基に変換することにより化合物(105)に誘導する。そしてクロム酸を用いたJones酸化反応などによって酸化を行うことにより、化合物(106)を得ることができる。
【0110】
(III−2) 化合物(108)の合成
化合物(108)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


化合物(106)から、塩素との光反応を行って塩素化物(107)に誘導し、さらにフッ化アンチモンを作用させてフッ素化を行うことにより化合物(108)を得ることができる。
【0111】
(III−3) 化合物(110)の合成
化合物(110)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


化合物(106)から、過剰量の塩素との光反応を行って塩素化物(109)に誘導し、さらにフッ化アンチモンを作用させてフッ素化を行うことにより化合物(110)を得ることができる。
【0112】
(III−4) 化合物(112)の合成
化合物(112)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


化合物(106)を水酸化ナトリウムとクロロメトキシメチルを用いて化合物(111)に誘導し、その後にパラジウム触媒下で水素還元を行うと、化合物(112)が得られる。
【0113】
(III−5) 化合物(110)の合成
化合物(110)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


【0114】
化合物(100)を、パラジウム触媒と用いて2−ブテニルマグネシウムクロリドとカップリング反応を行うことにより、化合物(113)を得る。その後は、(III−1)に記した方法と同様の方法を用いることにより、化合物(118)を得ることができる。
【0115】
続いて、化合物(Qa(=O))とQの連結方法について述べる。ここで、化合物(Qa(=O))は、下記の化合物(q1a)、化合物(q2a)または化合物(q3a)のいずれか1つを表す。Qa(OH)、Qa(H)、Qa(F)、およびQa(Cl)も、同じように下記の意味を有する。


【0116】


【0117】


【0118】
(1)mおよびnが0である化合物の合成
(IV−1) 化合物(121)、化合物(122)および化合物(123)の合成
化合物(121)、化合物(122)および化合物(123)の合成スキームの一例を下記に示す。


【0119】
化合物(Qa(=O))に、例えばトリフルオロメチルトリメチルシランとテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)を作用させると化合物(120)が得られる。この化合物(120)に塩化チオニルを作用させると化合物(121)が得られ、さらに水素還元を行うと、化合物(122)が得られる。また、化合物(120)にフッ化水素ピリジンをさせると、化合物(123)を得ることができる。
【0120】
(IV−2) 化合物(126)の合成
化合物(126)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


ヨードパーフルオロエタンに金属リチウム作用させたものを、化合物(Qa(=O))と反応させて化合物(124)とする。その後は、(IV−1)に記した方法と同様の方法を用いることによって、化合物(126)を得ることができる。
【0121】
(IV−3) 化合物(128)、化合物(129)および化合物(130)の合成
化合物(128)、化合物(129)および化合物(130)の合成スキームの一例を下記に示す。


化合物(Qa(=O))に、DIBALを用いて還元すると、化合物(127)が得られる。この化合物にフッ化水素ピリジンを作用させると、化合物(128)が得られる。この化合物(128)に塩化チオニルを作用させると化合物(129)、また化合物(128)にヨードトリフルオロメタンを作用させてエーテル化を行うと化合物(130)が得られる。
【0122】
(2)mまたはnのどちらかが0でない化合物の合成
(IV−4) 化合物(131)、化合物(133)および化合物(134)の合成
化合物(131)、化合物(133)および化合物(134)の合成スキームの一例を下記に示す。


(これらの式において、Qは前記の通りの意味を有し、そしてXはヨウ素、臭素または塩素である。)
【0123】
化合物(Qa(=O))に、ローソン試薬を使用してチオエステル化合物に誘導した後、フッ化水素ピリジンを作用させると化合物(131)を得ることができる。また、Qのハロゲン化物に金属リチウムを作用させたものを、化合物(Qa(=O))と反応させて化合物(132)とし、次いで塩化チオニルを用いた塩素化、さらには水素還元を行うと化合物(133)が得られる。また、化合物(132)にフッ化水素ピリジンを作用させると、化合物(134)を得ることができる。
【0124】
(IV−5) 化合物(137)および化合物(138)の合成
化合物(138)および化合物(139)の合成スキームの一例を下記に示す。


シクロヘキセン誘導体のハロゲン化物(135)に金属リチウムを作用させたものを、化合物(Qa(=O))と反応させると、化合物(136)が得られる。この化合物(136)を(IV−4)と同様の方法で塩素化、水素還元を行うと化合物(137)が得られる。また、フッ化水素ピリジンを作用させた後に水素還元を行うと、化合物(138)を得ることができる。
【0125】
化合物(1)は下記のようなスキームによる方法で製造することもできる。


(これらの式において、QおよびQは前記の通りの意味を有し、Xは臭素または塩素、そしてXは臭素、ヨウ素またはトリフラート(OTf)である。)
【0126】
まず、上の(IV−1)〜(IV−5)に記した方法と同様の方法を用いることにより、化合物(140)から化合物(141)を合成することができる。この化合物(141)を、ホウ酸トリメチルなどを用いることによりボロン酸誘導体(143)に変換する。その後、この化合物(143)とQのハロゲン化物(144)を、パラジウム触媒などを用いてカップリング反応を行うことにより、式(1)の化合物を得ることができる。
【0127】
官能基や環の化学的性質、または合成の簡便さなどの様々な要因を考慮した上で、式(1)の化合物の適切な合成方法を選択する。
【0128】
次に、本発明の組成物について説明する。本発明の液晶組成物は、化合物(1)の少なくとも1つを含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物である。この組成物の成分は化合物(1)から選ばれた複数の化合物のみであってもよい。本発明の好ましい液晶組成物は、本発明の化合物に加えてその他の液晶性化合物をさらに含有する液晶組成物であり、このとき第一成分として化合物(1)から選択される少なくとも1つの化合物を1〜99%の割合で含有する。
【0129】
このような組成物の最初の好ましい例は、化合物(1)の少なくとも1つと、式(2)〜式(4)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有し、そして少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物である。


これらの式において、Rは炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよい。Xはフッ素、塩素、−OCF、−OCHF、−CF、−CHF、−CHF、−OCFCHF、または−OCFCHFCFである。環Bおよび環Dは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンである。環Eは1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンである。ZおよびZは独立して−(CH)−、−(CH)−、−COO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、または単結合である。そして、LおよびLは独立して水素またはフッ素である。
【0130】
化合物(2)〜化合物(4)は、誘電率異方性が正で大きいので、AM−TN素子用の組成物に主として用いられる。この組成物において、これらの化合物の量は1〜99%である。好ましい量は10〜97%である。より好ましい量は40〜95%である。
【0131】
本発明の液晶組成物の2番目の例は、化合物(1)の少なくとも1つと、式(5)および式(6)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有し、そして少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物である。


これらの式において、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよい。Xは−CNまたは−C≡C−CNである。環Gは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルである。環Jは1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2,5−ジイルまたは少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンである。環Kは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンである。Zは−(CH−、−COO−、−CFO−、−OCF−、または単結合である。L、LおよびLは独立して水素またはフッ素である。そしてb、cおよびdは独立して0または1である。
【0132】
化合物(5)および化合物(6)は、誘電率異方性が正で非常に大きいので、STN素子用の組成物に主として用いられる。この組成物において、これらの化合物の量は1〜99%である。好ましい量は10〜97%である。より好ましい量は40〜95%である。
【0133】
本発明の液晶組成物の3番目の例は、化合物(1)の少なくとも1つと、式(7)〜式(9)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物である。


これらの式において、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよい。環M、環Pおよび環Qは独立して1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンである。そして、ZおよびZは独立して−C≡C−、−COO−、−(CH−、−CH=CH−または単結合である。
【0134】
化合物(7)、化合物(8)および化合物(9)の誘電率異方性は小さい。化合物(7)は粘度または光学異方性を調整する目的で主に使用される。化合物(8)および化合物(9)は上限温度を上げて液晶相の温度範囲を広げる、または光学異方性を調整する目的で使用される。化合物(7)、化合物(8)および化合物(9)の量を加させると組成物のしきい値電圧が高くなり、粘度が小さくなる。したがって、組成物のしきい値電圧の要求値を満たすかぎり多量に使用してもよい。
【0135】
本発明の液晶組成物の4番目の例は、化合物(1)の少なくとも1つ、式(2)〜式(4)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物、並びに式(5)および式(6)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を含有し、そして少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物である。
【0136】
本発明の液晶組成物の5番目の例は、化合物(1)の少なくとも1つ、式(2)〜式(4)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物、並びに式(7)〜式(9)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を含有し、そして少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物である。この組成物における化合物(2)〜化合物(4)の化合物の添加量は前記の通りであり、この組成物に化合物(7)〜化合物(9)をさらに添加する場合、この化合物の好ましい量は60%以下である。より好ましい量は40%以下である。
【0137】
本発明の液晶組成物の6番目の例は、化合物(1)の少なくとも1つ、式(5)および式(6)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物、並びに式(7)〜式(9)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を含有し、そして少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物である。この組成物における化合物(5)または化合物(6)の添加量は前記の通りであり、この組成物に化合物(7)〜化合物(9)をさらに添加する場合、この化合物の好ましい量は60%以下である。より好ましい量は40%以下である。
【0138】
化合物(2)〜化合物(9)の好ましい例は、化合物(2−1)〜化合物(2−9)、化合物(3−1)〜化合物(3−97)、化合物(4−1)〜化合物(4−33)、化合物(5−1)〜化合物(5−56)、化合物(6−1)〜化合物(6−3)、化合物(7−1)〜化合物(7−11)、化合物(8−1)〜化合物(8−21)、および化合物(9−1)〜化合物(9−6)である。これらの化合物において、R1、R、R、R4、R、X1およびXの記号の意味は、式(2)〜式(9)におけるこれらの記号の意味と同一である。
【0139】


【0140】


【0141】


【0142】


【0143】


【0144】


【0145】


【0146】


【0147】


【0148】


【0149】


【0150】
光学活性化合物の好ましい例を次に示す。


【0151】
本発明の組成物は公知の方法によって調製される。例えば、成分である化合物を混合し、加熱によって互いに溶解させる。組成物に適当な添加物を加えて組成物の物性を調整してもよい。このような添加物は当業者によく知られている。メロシアニン、スチリル、アゾ、アゾメチン、アゾキシ、キノフタロン、アントラキノン、テトラジンなどの化合物である二色性色素を添加してGH素子用の組成物を調製してもよい。一方、液晶のらせん構造を誘起して必要なねじれ角を与える目的でキラルドーパントが添加される。キラルドーパントの例は上記の光学活性化合物(Op−1)〜(Op−12)である。
【0152】
キラルドーパントを組成物に添加してねじれのピッチを調整する。TN素子およびTN−TFT素子用の好ましいピッチは40〜200μmの範囲である。STN素子用の好ましいピッチは6〜20μmの範囲である。BTN素子用の好ましいピッチは1.5〜4μmの範囲である。PC素子用の組成物にはキラルドーパントを比較的多量に添加する。ピッチの温度依存性を調整する目的で、少なくとも二つのキラルドーパントを添加してもよい。
【0153】
本発明の組成物は、PC、TN、STN、BTN,ECB、OCB、IPS、VAなどの素子に使用できる。これらの素子は駆動方式がPMであってもよいし、またはAMであってもよい。この組成物をマイクロカプセル化して作製したNCAP(nematic curvilinear aligned phase)素子や、組成物中に三次元の網目状高分子を形成させたPD(polymer dispersed)素子、例えばPN(polymer network)素子にも使用できる。
【実施例】
【0154】
実施例により本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例によって制限されない。化合物の相転移温度において、C、NおよびIは、それぞれ、結晶、ネマチック相および等方相である。かっこ内の相転移はそれがモノトロピックであることを示す。温度の単位は℃である。得られた化合物は核磁気共鳴スペクトル、質量スペクトルなどで同定した。核磁気共鳴スペクトルにおいて、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、mはマルチプレットである。化合物の量(百分率)は組成物の全重量に基づいた重量%である。
【0155】
物性値の測定は、日本電子機械工業規格(Standard of Electronic Industries Association of Japan)、EIAJ・ED−2521Aに記載された方法、またはこれを修飾した方法に従った。
<ネマチック相の上限温度(NI;℃)>
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。
【0156】
<ネマチック相の下限温度(T;℃)>
ネマチック相を有する試料を0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶(またはスメクチック相)に変化したとき、Tを<−20℃と記載する。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
【0157】
<化合物の相溶性>
類似の構造を有する幾つかの化合物を混合してネマチック相を有する母液晶を調製した。測定する化合物とこの母液晶とを混合した組成物を得た。混合する割合の一例は、15%の化合物と85%の母液晶である。この組成物を−20℃、−30℃のような低い温度で30日間保管した。この組成物の一部が結晶(またはスメクチック相)に変化したか否かを観察した。必要に応じて混合する割合と保管温度とを変更した。このようにして測定した結果から、結晶(またはスメクチック相)が析出する条件および結晶(またはスメクチック相)が析出しない条件を求めた。これらの条件が相溶性の尺度である。
【0158】
<光学異方性(屈折率異方性;Δn;25℃で測定)>
波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計を用いて測定した。主プリズムの表面を一方向にラビング(rubbing)したあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率n‖は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率n⊥は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学異方性の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。試料が組成物のときはこの方法によって光学異方性を測定した。試料が化合物のときは、化合物を適切な組成物に混合したあと光学異方性を測定した。化合物の光学異方性は外挿値である。
【0159】
<誘電率異方性(Δε;25℃で測定)>
試料が化合物のときは、化合物を適切な組成物に混合したあと誘電率異方性を測定した。化合物の誘電率異方性は外挿値である。2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が約9μm、ツイスト角が80度の液晶セルに試料を入れた。このセルに20ボルトを印加して、液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。0.5ボルトを印加して、液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
【0160】
<しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V)>
試料が化合物のときは、化合物を適切な組成物に混合したあとしきい値電圧を測定した。化合物のしきい値電圧は外挿値である。2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が(0.5/Δn)μmであり、ツイスト角が80度である、ノーマリーホワイトモード(normally white mode)の液晶表示素子に試料を入れた。Δnは上記の方法で測定した光学異方性の値である。この素子に周波数が32Hzである矩形波を印加した。矩形波の電圧を上昇させ、素子を通過する光の透過率が90%になったときの電圧の値を測定した。
【0161】
[実施例1]
<化合物(M2−01)の合成>


下記のスキームに従って化合物(M2−01)(2−トリフルオロメチル−6−(トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)クロマン)を合成した。


【0162】
(工程1)
窒素雰囲気下で、化合物(M2−01a)(15.0g)と炭酸カリウム(13.8g)のN,N’−ジメチルホルムアミド(70mL)溶液を45℃に加熱してベンジルクロリド(6.84g)を滴下し、90℃で1時間攪拌した。反応物を水にあけてトルエン(100mL)で抽出し、常法により重曹水、水で順次洗浄して濃縮し、化合物(M2−02b)(19.1g)を得た。窒素雰囲気下で、得られた化合物(M2−01b)(19.1g)のジクロロメタン(100mL)溶液を0℃に冷却して、臭素(8.61g)を滴下し、そのまま30分攪拌した。反応物を水にあけてジクロロメタン(100mL)を追加し、常法により、チオ硫酸ナトリウム水溶液、水で順次洗浄して濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物(M2−01c)(17.7g)を単離した。そして、窒素雰囲気下で、化合物(M2−01c)(17.7g)のTHF(100mL)溶液を−65℃まで冷却し、sec−ブチルリチウム/シクロヘキサン溶液(37.7mL(1.00mol/L))を滴下した。そのままの温度で1時間攪拌した後、N,N’−ジメチルホルムアミド(4.13g)のTHF(10mL)溶液を滴下し、さらに1時間攪拌した。反応物を1N−HCl水溶液にあけてトルエン(300mL)で2回抽出し、常法により水で洗浄、次いで濃縮を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M2−01d)(10.9g)を単離した。
【0163】
(工程2)
窒素雰囲気下で、ジエチルホスホノ酢酸エチル(7.00g)のTHF(25mL)溶液を−40℃に冷却し、t−ブトキシカリウム(3.50g)をゆっくりと加えた。そのまま1時間攪拌した後に、化合物(M2−01d)(10.9g)のTHF(30mL)溶液を滴下し、さらに1時間攪拌した。反応物を水にあけてトルエン(200mL)で抽出し、常法により水で洗浄、次いで濃縮を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M2−01e)(12.5g)を単離した。化合物(M2−01e)(12.5g)のトルエン(15mL)/イソプロピルアルコール(30mL)混合溶液に触媒としてPd/C(1.0g)を加え、反応器内に1.0kPaの水素圧をかけて常温にて1日間攪拌した。反応液をろ過した後、常法にて濃縮し、化合物(M2−01f)(10.4g)を得た。そして、化合物(M2−01f)(10.4g)のトルエン(50mL)溶液にp−トルエンスルホン酸水和物(1.0g)を加え、ディーンスターク装置を用いて、生成したエタノールをトルエンとともに留去しながら1時間還流させながら加熱した。この後、さらにトルエン(30mL)を追加し、さらに1時間還流させながら加熱した。反応物を水にあけてトルエン(100mL)を追加し、常法にて、重曹水、水で順次洗浄し、次いで濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M2−01g)(8.79g)を得た。
【0164】
(工程3)
窒素雰囲気下で、化合物(M2−01g)(3.00g)のTHF(10mL)溶液を0℃に冷却し、(トリフルオロメチル)トリメチルシラン(1.56g)のTHF(5mL)溶液を滴下し、その後にテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)/THF溶液(0.1mL(1.0mol/L))を加えた。室温にて1時間攪拌した後、さらにTBAF/THF溶液(11mL)を滴下し、そのまま3時間攪拌した。反応液を水にあけてトルエン(100mL)で抽出し、常法にて水で洗浄、次いで濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M2−01h)(3.38g)を得た。窒素雰囲気下で、化合物(M2−01h)(3.38g)のトルエン(15mL)溶液に少量のピリジン(0.1mL)を加え、45℃で塩化チオニル(1.04g)を滴下し、そのまま1時間攪拌した。反応液を水にあけてトルエン(30mL)を追加し、常法にて水、重曹水、水にて順次洗浄し、次いで濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M2−02i)(3.34g)を得た。そして、化合物(M2−01i)(2.00g)のトルエン(3mL)/イソプロピルアルコール(6mL)/トリエチルアミン(0.5mL)の混合溶液に触媒としてPd/C(0.50g)を加え、反応器内に3kPaの水素圧をかけて常温にて2日間攪拌した。反応液をろ過した後、トルエン(100mL)を加えて、常法にて1N−HCl水溶液、水、重曹水、水で順次洗浄し、次いで濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、さらに再結晶ろ過にて精製して標題化合物(M2−01)(1.42g)を得た。
H−NMR(CDCl、ppm): δ0.90(t,3H), 1.07-1.36(m,15H), 1.52-1.87(m,8H), 1.89(dt,1H), 2.20(m,1H), 2.50(tt,1H), 2.95(m,2H), 4.40(m,1H), 6.96(d,1H), 7.01(d,1H), 7.07-7.08(dd,1H).
19F(CDCl、ppm): δ-79.1(d,3F).
MS:408(M).
【0165】
[実施例2]
<化合物No.M2−03)の合成>


下記のスキームに従って化合物(M2−03)(2−トリフルオロメチル−6−[2−フルオロ−4−(トランス−4−エチルシクロヘキシル)フェニル)クロマン)を合成した。


【0166】
(工程1)
出発原料である化合物(M2−03a)は、アルドリッチなどからの市販品である。この化合物(M2−03a)(30.0g)から、実施例1の(工程3)と同様の方法にて化合物(M2−03b)(28.2g)を得た。窒素雰囲気下で、この化合物(M2−03b)(28.2g)のジクロロメタン(100mL)溶液を0℃まで冷却し、臭素(24.6g)を滴下した。反応液を水にあけてジクロロメタン(100mL)を追加し、常法にてチオ硫酸ナトリウム水溶液、水で順次洗浄し、次いで濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M2−03c)(31.8g)を単離した。次いで、窒素雰囲気下で、化合物(M2−03c)(31.8g)のTHF(150mL)溶液を−65℃まで冷却し、n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(87.0mL(1.56mol/L))を滴下した。そのままの温度で1時間攪拌した後、さらにホウ酸トリメチル(15.3g)を滴下して室温に戻し、さらに1時間攪拌した。反応液を1N−HCl溶液にゆっくりとあけてジエチルエーテル(300mL)にて2回抽出し、常法にて水で洗浄、次いで濃縮した後、残渣を再結晶ろ過にて精製して化合物(M2−03d)(18.1g)を得た。
【0167】
(工程2)
窒素雰囲気下で、化合物(M2−03d)(1.50g)、化合物(M2−03e)(1.93g)、炭酸カリウム(3.21g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.56g)、トルエン(5mL)、エタノール(5mL)の混合液に触媒としてPd/C(0.10g)を加え、75℃で5時間攪拌した。反応液を水にあけてトルエン(100mL)を加え、常法にて重曹水、水で順次洗浄し、次いで濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、さらに再結晶ろ過にて精製して標題化合物(M2−03)(1.34g)を得た。
H−NMR(CDCl、ppm): δ0.91(t,3H), 1.04-1.46(m,7H), 1.91(dt,4H), 2.07(m,1H), 2.24(m,1H),
2.49(tt,1H), 2.93(m,2H), 4.41(m,1H), 6.96-7.05(m,3H), 7.28-7.340(m,3H),
19F(CDCl、ppm): δ-79.2(d,3F), -119.3(dd,1F)
MS:406(M)
【0168】
[実施例3]
<化合物(M7−32)の合成>


下記のスキームに従って、化合物(M7−32)(3−トリフルオロメチル−4,4−ジフルオロ−5−フルオロ−7−(4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェニル)イソクロマン)を合成することができる。


【0169】
(工程1)
窒素雰囲気下で、化合物(M7−32a)のジクロロメタン溶液を0℃まで冷却し、臭素を滴下する。反応液を水にあけてジクロロメタンを追加し、常法にてチオ硫酸ナトリウム水溶液、水で順次洗浄し、次いで濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M7−32b)を単離する。窒素雰囲気下で、化合物(M7−32b)のTHF溶液を−65℃に冷却し、n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液を滴下する。そのままの温度で1時間攪拌してから、さらにホルムアルデヒドを滴下して室温に戻し、1時間攪拌する。反応液を1N−HCl溶液にあけてトルエンで2回抽出し、常法にて水、重曹水、水にて順次洗浄し、次いで濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M7−32c)を単離する。次いで、窒素雰囲気下で、化合物(M7−32c)のジクロロメタン溶液を−20℃まで冷却し、三臭化ホウ素を滴下して室温に戻した後、5時間攪拌した。反応液を氷水にあけてトルエンで2回抽出し、常法にて水、重曹水、水にて順次洗浄し、次いで濃縮して、化合物(M7−32d)を得る。
【0170】
(工程2)
窒素雰囲気下で、化合物(M7−32d)、トリエチルアミン、DMAP((4−ジメチルアミノ)ピリジン)、およびジクロロメタンの混合液に、tert−ブチルジメチルシリルクロリドを室温でゆっくり加え、そのまま2時間攪拌する。反応液を水にあけてジクロロメタンを追加し、常法にて水で洗浄し、次いで濃縮して、化合物(M7−32e)を得る。窒素雰囲気下で、化合物(M7−32e)、イミダゾール、トルエンの混合液に、室温でトリフェニルホスフィンを加え、次いでヨウ素を滴下してそのまま1時間攪拌する。反応液を水にあけてトルエンを追加し、常法にてチオ硫酸ナトリウム水溶液、水にて順次洗浄し、次いで濃縮してから、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M7−32f)を単離する。その後、さらに再結晶ろ過を行い、不純物を除去する。
【0171】
(工程3)
窒素雰囲気下で、化合物(M7−32f)のDMSO(ジメチルスルホキシド)溶液に、ブロモジフルオロ酢酸エチル、および活性化した銅粉末を順次加え、80℃にて6時間攪拌する。反応液を水にあけてトルエンで抽出し、銅などの沈殿物をろ過した後に、常法にて1N−HCl水溶液および水で順次洗浄し、次いで濃縮する。その後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、さらに再結晶ろ過にて精製し化合物(M7−32g)を単離する。化合物(M7−32g)のトルエン溶液にp−トルエンスルホン酸水和物を加え、生成したエタノールをディーンスターク装置を用いて除去しながら1時間還流させながら加熱する。この後、さらにトルエンを追加し、さらに1時間還流させながら加熱する。反応物を水にあけてトルエンを追加し、常法にて、重曹水および水で順次洗浄し、次いで濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、さらに再結晶ろ過にて精製して化合物(M7−32h)を得る。
【0172】
(工程4)
化合物(M7−32h)から、実施例1の(工程3)と同様の方法にて、標題化合物(M7−32)を得る。
【0173】
[実施例4]
<化合物(M9−14)の合成>


下記のスキームに従って、化合物(M9−14)(3−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−5−フルオロ−7−(4−エチルフェニル)イソクロマン)を合成した。


【0174】
(工程1)
化合物(M9−14a)(30.0g)から、実施例3の(工程1)〜(工程3)と同様の方法にて化合物(M9−14b)(4.22g)を得た。
【0175】
(工程2)
アルゴン雰囲気下で、細かく切ったリチウム(0.20g)をゆっくりとTHF(20mL)中に加え、60℃にて1−ブロモ−3,4,5−トリフルオロベンゼン(1.98g)を滴下し、そのままの温度で1時間攪拌した。その後、反応液を0℃まで冷却して化合物(M9−02a)(2.11g)のTHF(10mL)溶液を滴下し、室温にてさらに1時間攪拌した。反応液を水にあけてトルエン(100mL)にて2回抽出し、常法にて、水で洗浄し、次いで濃縮して化合物(M9−14b)(2.17g)を得た。
【0176】
(工程3)
窒素雰囲気下で、化合物(M9−14b)(2.17g)のトルエン(30mL)溶液に少量のピリジン(0.10g)を加え、45℃で塩化チオニル(0.71g)を滴下して、そのままの温度で1時間攪拌した。反応液を水にあけてトルエン(100mL)を追加し、常法にて水、重曹水、水にて順次洗浄し、次いで濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M9−14c)(1.99g)を得た。化合物(M9−14c)(1.99g)のトルエン(3mL)/イソプロピルアルコール(6mL)/トリエチルアミン(0.50mL)の混合液に触媒としてPd/C(0.20g)を加え、反応器内に3kPaの水素圧をかけて常温にて2日間攪拌した。反応液をろ過した後、トルエン(100mL)を加えて、常法にて1N−HCl水溶液、水、重曹水、水で順次洗浄し、次いで濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、さらに再結晶ろ過にて精製して標題化合物(M9−14)(1.04g)を得た。
H−NMR(CDCl、ppm): δ.96(t,3H), 2.65(m,2H), 2.94(m,2H), 4.58(d,2H), 4.66(m,1H), 6.82-6.85(m,2H), 6.97-7.07(m,4H), 7.31-7.38(m,2H).
19F(CDCl、ppm): δ-119.2(dd,1F), -135.4(m,2F), -163.1(m,1F).
MS:386.1(M).
【0177】
[実施例5]
<化合物(M12−02)の合成>


下記のスキームに従って、化合物(M12−02)(3−トリフルオロメチル−7−((2−フルオロ−4−(トランス−4−エチルシクロヘキシル)フェニル)クロマン)を合成した。


【0178】
(工程1)
窒素雰囲気下で、化合物(M12−02a)(20.0g)、イミダゾール(11.4g)、ジクロロメタン(200mL)の混合液を0℃に冷却し、トリイソプロピルシリルクロリド(15.5g)をゆっくりと加え、そのままの温度で1時間攪拌した。反応液を水にあけて、常法にて水で洗浄し、次いで濃縮して化合物(M12−02b)(27.1g)を得た。窒素雰囲気下で、化合物(M12−02b)(27.1g)のTHF(270mL)溶液を−65℃まで冷却し、sec−ブチルリチウム/シクロヘキサン溶液(59.6mL(1.00mol/L))を滴下して、そのままの温度で1時間攪拌した。その後、さらにヨウ素(18.2g)のTHF(50mL)溶液を滴下して、徐々に室温に戻して30分間攪拌した。反応液を水にあけてトルエン(500mL)にて2回抽出し、常法にてチオ硫酸ナトリウム水溶液、水で順次洗浄し、次いで濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで処理して化合物(M12−02c)(14.9g)を単離した。次いで、窒素雰囲気下で、化合物(M12−02c)(14.9g)のTHF(100mL)溶液を0℃に冷却し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.150g)を加えた後、アリールマグネシウムクロリド/THF溶液(16.0mL(2.0mol/L))を滴下し、室温にて5時間攪拌した。反応液を1N−HCl溶液にあけてトルエン(200mL)で2回抽出し、常法にて水、重曹水、水で順次洗浄し、次いで濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M12−02d)(8.76g)を単離した。
【0179】
(工程2)
窒素雰囲気下で、四酸化オスミウム(0.45g)、N−メチルモルホリン−N−オキシド−水和物(1.97g)、水(10mL)、およびアセトニトリル(5mL)の混合液に、室温にて化合物(M12−02d)(8.76g)をゆっくりと追加し、そのまま5時間攪拌した。反応液を氷水にあけてトルエン(100mL)を追加し、常法にて水、チオ硫酸ナトリウム水溶液、水にて順次洗浄、次いで濃縮し化合物(M12−02e)(6.80g)を得た。次いで、化合物(M12−02e)(6.74g)、ベンズアルデヒド(1.62g)およびトルエン(100mL)の混合液にp−トルエンスルホン酸無水物(0.50g)を加え、ディーンスターク装置を用いて生成した水を除去しながら1時間加熱した。反応液を水にあけてトルエン(100mL)を追加し、常法にて水、1重曹水、水にて順次洗浄し、次いで濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M12−02f)(7.47g)を得た。
【0180】
(工程3)
窒素雰囲気下で、化合物(M12−02f)(7.47g)のTHF(70mL)溶液を−40℃まで冷却し、水素化ジイソブチルアルミニウム/トルエン溶液(13.3mL(1.0mol/L))を滴下し、徐々に室温に戻しながら1時間撹拌した。反応液を1N−HCl溶液にあけてトルエン(200mL)にて2回抽出し、常法にて水で洗浄、次いで濃縮して化合物(M12−02g)(6.23g)を得た。窒素雰囲気下で、化合物(M12−02g)(6.23g)のTHF(60mL)溶液を0℃まで冷却し、TBAF/THF溶液(15mL(1.0mol/L))を滴下して、そのままの温度で2時間撹拌した。反応液を水にあけてトルエン(200mL)で抽出し、常法にて水で洗浄、次いで濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M12−02h)(4.42g)を得た。次いで、窒素雰囲気下で、化合物(M12−02h)(4.42g)、水酸化カリウム(1.07g)、およびジオキサン(40mL)の混合液にトシルクロリド(1.91g)を加え、3時間還流させながら加熱した。反応液を水にあけてトルエン(200mL)で抽出し、常法にて水で洗浄し、次いで濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M12−02i)(3.48g)を得た。
【0181】
(工程4)
化合物(M12−02i)(3.48g)のトルエン(10mL)/エタノール(10mL)の混合液に触媒としてPd/C(0.20g)を加え、反応器内に1kPaの水素圧をかけて常温にて1日間撹拌した。反応液をろ過した後、そのまま濃縮して化合物(M12−02j)(2.72g)を得た。窒素雰囲気下で、化合物(M12−02j)(2.72g)のアセトン(20mL)溶液を0℃に冷却し、Jones試薬(2.87mL(2.67mol/L))を滴下して、室温にて2時間撹拌した。反応液をジエチルエーテル(100mL)で2回抽出し、常法にてチオ硫酸ナトリウム水溶液、重曹水、水にて順次洗浄し、次いで濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、さらに再結晶ろ過にて精製して化合物(M12−02k)(2.16g)を得た。
【0182】
(工程5)
化合物(M12−02k)(1.50g)から、実施例1の(工程3)と同様の方法にて、標題化合物(M12−02)(1.37g)を得た。
H−NMR(CDCl、ppm): δ0.92(t,3H), 1.04-1.46(m,8H), 2.24(m,1H), 2.49(t,1H), 2.93(m,2H), 4.49(dd,2H), 6.96-7.03(m,4H), 7.26-7.31(m,2H).
19F(CDCl、ppm): δ-79.1(d,3F), -119.2(dd,1F).
MS:406(M).
【0183】
[実施例6]
<化合物(M12−03)の合成>


下記のスキームに従って、化合物(M12−03)(3−パーフルオロエチル−7−(トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)クロマン)を合成することができる。


【0184】
(工程1)
化合物(M2−03a)から、実施例5の(工程1)から(工程4)までと同様の方法にて化合物(M2−03b)を得る。
【0185】
(工程2)
窒素雰囲気下で、細かく切ったリチウムをゆっくりとTHF中に入れ、パーフルオロエチルヨージドを加えて、室温にて超音波発生装置を用いて超音波を1時間照射する。その後、超音波装置をはずし、室温にて化合物(M12−03b)のTHF溶液を滴下し、そのまま2時間撹拌する。反応液を1N−HCl水にあけてトルエンで2回抽出し、常法にて、水、重曹水、水にて順次洗浄し、次いで濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M12−03c)を得る。その後は、化合物(M12−03c)から、実施例4の(工程2)と同様の方法にて、標題化合物(M12−03)を得ることができる。
【0186】
[実施例7]
<化合物(M2−27)の合成>


下記のスキームに従って、化合物(M2−27)(2,2−ジフルオロ−6−(2,6−ジフルオロ−4−(4−プロピルフェニル)フェニル)−クロマン)を合成した。


【0187】
(工程1)
実施例1の(工程1)に記載した方法と同様の方法を用いることによって、化合物(M2−27a)(10.0g)から化合物(M2−27b)(6.50g)を合成した。
次に、窒素雰囲気下で、メトキシメチルホスホニムクロライド(7.31g)のTHF(30mL)溶液を−30℃まで冷却し、t−ブトキシカリウム(1.99g)をゆっくりと加えた。そのままの温度で1時間攪拌した後に、化合物(M2−27b)(6.50g)のTHF(20mL)溶液を滴下した。徐々に室温に戻して1時間攪拌した後、反応液を水にあけてトルエン(100mL)にて2回抽出し、常法により水で洗浄、次いで濃縮を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して目的物を単離した。その後、この単離した化合物(6.30g)、3N−HCl水溶液(20mL)、およびアセトン(50mL)の混合溶液を、60℃で2時間攪拌した。反応液を水にあけてトルエン(100mL)にて抽出し、常法により水で洗浄、次いで濃縮を行い、化合物(M2−27c)(4.70g)を得た。
【0188】
(工程2)
窒素雰囲気下で、ジブロモジフルオロメタン(3.90g)のTHF(12mL)溶液を0℃まで冷却し、トリス(ジエチルアミノ)ホスフィン(9.47g)のTHF(20mL)溶液をゆっくりと滴下した。常温にて1時間攪拌した後、さらに化合物(M2−27c)(4.70g)のTHF(10mL)溶液をゆっくりと滴下し、40℃で4時間攪拌した。反応液を水にあけてトルエン(100mL)にて2回抽出し、常法にて水、3N−HCl水溶液、重曹水、水にて順次洗浄、次いで濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M2−27d)(4.10g)を得た。
次に、窒素雰囲気下で、この化合物(M2−27d)(2.70g)のジクロロメタン(30mL)溶液を−10℃まで冷却し、臭素(1.15g)を滴下した。そのままの温度で30分間攪拌した後、反応液を水にあけてジクロロメタン(50mL)を追加し、常法にて水、チオ硫酸ナトリウム水溶液、水にて順次洗浄、次いで濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、化合物(M2−27e)(3.00g)を得た。
【0189】
(工程3)
化合物(M2−27e)(2.00g)のトルエン(10mL)/イソプロピルアルコール(10mL)/トリエチルアミン(1mL)の混合液に、触媒としてPd/C(0.30g)を加え、反応器内に3kPaの水素圧をかけて常温にて2日間攪拌した。反応液をろ過した後、トルエン(100mL)を加えて、常法にて1N−HCl水溶液、水、重曹水、水で順次洗浄し、次いで濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、さらに再結晶ろ過にて精製して標題化合物(M9−14)(1.00g)を得た。
H−NMR(CDCl、ppm): δ0.980(3H, t), 1.64-1.73(2H, m), 2.36-2.43(2H, m), 2.65(2H, t), 3.04(2H, t), 7.06(1H, d), 7.20(1H, d), 7.28-7.31(3H, m), 7.36(1H, d), 7.50-7.52(2H, m).
19F(CDCl、ppm): δ-69.9(2F, t), -115.3(2F, d).
MS: 400(M
【0190】
[実施例8]
<化合物(M3−02)の合成>



下記のスキームに従って、化合物(M3−02)(2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−6−ヘプチルクロマン)を合成した。


【0191】
(工程1) 実施例1の(工程1)に記載した方法と同様の方法を用いることによって、化合物(M3−02a)(10.0g)から化合物(M3−02b)(9.99g)を合成した。
次に、窒素雰囲気下で、(1,3−ジオキサン−2−ジイルメチル)トリフェニルホスホニウムブロマイド(22.0g)とTHF(90mL)の混合溶液を−30℃まで冷却し、t−ブトキシカリウム(5.74g)をゆっくりと加えた。そのままの温度で1時間攪拌した後に、化合物(M3−02b)(9.99g)のTHF(30mL)溶液を滴下した。徐々に室温に戻して1時間攪拌した後、反応液を水にあけてトルエン(200mL)にて2回抽出し、常法により水で洗浄、次いで濃縮を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して目的物を単離した。その単離した化合物(12.0g)のトルエン(30mL)/イソプロパノール(30mL)の混合液に、触媒としてPd/C(0.60g)を加え、反応器内に1kPaの水素圧をかけて常温にて1日間撹拌した。反応液をろ過した後、そのまま濃縮して化合物(M3−02c)(11.9g)を得た。
【0192】
(工程2) 化合物(M3−02c)(11.9g)、ぎ酸(36mL)、およびトルエン(60mL)の混合溶液を、80℃で2時間加熱還流した。反応液を水にあけてトルエン(200mL)を追加し、常法により水で洗浄、次いで濃縮を行い、化合物(M3−02d)(9.88g)を得た。次に、窒素雰囲気下で、マグネシウム(1.10g)とTHF(20mL)の混合液を−40℃まで加熱し、その後、氷水浴などを用いて40℃程度に保ちながら1−ブロモ−3,4,5−トリフルオロベンゼン(9.50g)をゆっくりと滴下してGrignard試薬を調整した。そのままの温度で1時間攪拌した後、さらに化合物(M3−02d)(9.88g)のTHF(30mL)溶液を滴下し、さらに1時間攪拌した。反応液を1N−HCl水溶液にあけてトルエン(100mL)にて2回抽出し、常法により水、重曹水、水にて順次洗浄、次いで濃縮を行うことにより化合物(M3−02e)(12.0g)を得た。
【0193】
(工程3) 窒素雰囲気下で、化合物(M3−02e)(12.0g)のジクロロメタン(50mL)溶液を−20℃まで冷却し、三臭化ホウ素(11.4g)を滴下して、その後除々に室温に戻して1時間攪拌した。反応液を水にあけてジクロロメタン(100mL)を追加し、常法より水で洗浄、次いで濃縮を行うことにより目的物を得た。次に、得られた化合物、水酸化カリウム(3.74g)、およびジオキサン(80mL)の混合液にトシルクロリド(3.82g)を加え、3時間加熱還流した。反応液を水にあけてトルエン(100mL)にて2回抽出し、常法により水、重曹水、水にて順次洗浄、次いで濃縮を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、さらに再結晶ろ過にて精製して標題化合物(M3−02)(4.61g)を得た。
H−NMR(CDCl、ppm): δ0.980(3H, t), 1.43-1.75(10H, m), 2.03-2.10(2H, m), 2.25-2.32(2H, m), 2.63(2H, t), 2.84-2.90(1H, m), 3.00-3.08(1H, m), 5.08-5.10(1H, m), 6.82(1H, d), 6.90(1H, d), 6.96-6.99(1H, m), 7.08-7.10(2H, m).
19F(CDCl、ppm): δ-134.0(2F, m), -161.7(1F, m).
MS: 362(M
【0194】
[実施例9]
実施例1〜8および前記の合成法を参照することによって合成できる化合物(1)の例を次に示す。


【0195】


【0196】


【0197】


【0198】


【0199】


【0200】


【0201】


【0202】


【0203】


【0204】


【0205】


【0206】


【0207】


【0208】


【0209】


【0210】


【0211】


【0212】


【0213】
[実施例10]
下記の化合物を混合して、ネマチック相を有する組成物A(母液晶)を調整した。
4−(4−プロピルシクロヘキシル)ベンゾニトリル(24%)
4−(4−ペンチルシクロヘキシル)ベンゾニトリル(36%)
4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)ベンゾニトリル(25%)
4−(4−ペンチルシクロヘキシル)−4’−シアノベンゾニトリル(15%)
この組成物Aの物性は次のとおりであった。
上限温度(NI)=71.7℃
光学異方性(Δn)=0.137
誘電率異方性(Δε)=11.0
【0214】
この組成物Aの90重量%と実施例2で得られた化合物(M2−03)の10%とからなる組成物Bを調製した。組成物Bの物性値を外挿して化合物(M2−03)の物性値を算出した。
光学異方性(Δn):0.127
誘電率異方性(Δε):9.6
【0215】
[実施例11]
実施例10に記載した組成物Aの90重量%と実施例4で得られた化合物(M9−14)の10%とからなる組成物Cを調製した。組成物Cの物性値を外挿して化合物(M9−14)の物性値を算出した。
光学異方性(Δn):0.154
誘電率異方性(Δε):18.8
【0216】
[実施例12]
実施例10に記載した組成物Aの90重量%と実施例5で得られた化合物(M12−02)の10%とからなる組成物Dを調製した。組成物Dの物性値を外挿して化合物(M12−02)の物性値を算出した。
光学異方性(Δn):0.128
誘電率異方性(Δε):8.5
【0217】
[実施例13]
実施例10に記載した組成物Aの95重量%と実施例7で得られた化合物(M2−27)の5%とからなる組成物Eを調製した。組成物Eの物性値を外挿して化合物(M2−27)の物性値を算出した。
光学異方性(Δn):0.197
誘電率異方性(Δε):21.7
【0218】
[実施例14]
実施例10に記載した組成物Aの85重量%と実施例8で得られた化合物(M3−02)の15%とからなる組成物Fを調製した。組成物Fの物性値を外挿して化合物(M3−02)の物性値を算出した。
光学異方性(Δn):0.0706
誘電率異方性(Δε):8.14
【0219】
本発明の代表的な組成物を使用例1〜13にまとめた。最初に、組成物の成分である化合物とその量(重量%)を示した。化合物は下記の表1の定義に従い、左末端基、結合基、環構造、および右末端基の記号によって表示した。1,4−シクロヘキシレンおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイルの立体配置はトランスである。末端基の記号がない場合は、末端基が水素であることを意味する。そして次に、組成物の物性値を示した。
<表1> 記号を用いた化合物の表記方法

【0220】
[使用例1]
3−HBCro1−CF3 4%
2−HB(F)Cro1−CF3 4%
2−BEB(F)−C 5%
3−BEB(F)−C 4%
4−BEB(F)−C 12%
1V2−BEB(F,F)−C 16%
3−HB−O2 10%
3−HH−4 3%
3−HHB−F 3%
3−HHB−1 8%
3−HHB−O1 3%
3−HBEB−F 3%
3−HHEB−F 4%
5−HHEB−F 4%
3−H2BTB−2 4%
3−H2BTB−3 4%
3−H2BTB−4 4%
3−HB(F)TB−2 5%
NI:84.4℃
Δn:0.147
Δε:28.2
Vth:1.06V.
【0221】
[使用例2]
3−HHCro1−CF3 5%
3−HHCro1(8F)−CF3 4%
2−HB−C 5%
3−HB−C 12%
3−HB−O2 15%
2−BTB−1 3%
3−HHB−F 4%
3−HHB−1 8%
3−HHB−O1 5%
3−HHB−3 10%
3−HHEB−F 4%
5−HHEB−F 4%
2−HHB(F)−F 5%
3−HHB(F)−F 5%
5−HHB(F)−F 6%
3−HHB(F,F)−F 5%
【0222】
[使用例3]
3−HBCro1(8F)−CF3 4%
3−BBCro1−CF3 3%
5−BB(F)Cro1(8F)−CF3 3%
3−BEB(F)−C 8%
3−HB−C 8%
V−HB−C 8%
1V−HB−C 8%
3−HB−O2 3%
3−HH−2V 14%
3−HH−2V1 7%
V2−HHB−1 5%
3−HHB−1 5%
3−HHEB−F 7%
3−H2BTB−2 6%
3−H2BTB−3 6%
3−H2BTB−4 5%
【0223】
[使用例4]
3−HBCro1−CL 3%
3−HHCro1(F2) 3%
5−BEB(F)−C 5%
V−HB−C 11%
5−PyB−C 6%
4−BB−3 11%
3−HH−2V 10%
5−HH−V 11%
V−HHB−1 7%
V2−HHB−1 11%
3−HHB−1 7%
1V2−HBB−2 10%
3−HHEBH−3 5%
【0224】
[使用例5]
3−HHCro2−CF3 5%
3−HBCro2(5F)−CF3 4%
1V2−BEB(F,F)−C 6%
3−HB−C 18%
2−BTB−1 10%
5−HH−VFF 30%
3−HHB−1 3%
VFF−HHB−1 5%
VFF2−HHB−1 6%
3−H2BTB−2 5%
3−H2BTB−3 4%
3−H2BTB−4 4%
【0225】
[使用例6]
3−HBCro1−CF3 5%
2−HB(F)Cro1−CF3 5%
5−HB−CL 16%
3−HH−4 12%
3−HH−5 4%
3−HHB−F 4%
3−HHB−CL 3%
4−HHB−CL 4%
3−HHB(F)−F 6%
4−HHB(F)−F 6%
5−HHB(F)−F 6%
7−HHB(F)−F 6%
5−HBB(F)−F 6%
1O1−HBBH−5 3%
3−HHBB(F,F)−F 2%
4−HHBB(F,F)−F 3%
5−HHBB(F,F)−F 3%
3−HH2BB(F,F)−F 3%
4−HH2BB(F,F)−F 3%
NI:113.6℃
Δn:0.099
Δε:3.7
Vth:2.73V
この組成物100重量部にOp−5を0.25重量部添加したときのピッチは61.0μmであった
【0226】
[使用例7]
3−BB(F)Cro2−CF3 3%
3−HCro2(5F)−C 5%
3−HHB(F,F)−F 9%
3−H2HB(F,F)−F 8%
4−H2HB(F,F)−F 8%
5−H2HB(F,F)−F 8%
3−HBB(F,F)−F 15%
5−HBB(F,F)−F 18%
3−H2BB(F,F)−F 10%
5−HHBB(F,F)−F 3%
5−HHEBB−F 3%
3−HH2BB(F,F)−F 2%
1O1−HBBH−4 4%
1O1−HBBH−5 4%
【0227】
[使用例8]
3−HBCro2−CL 3%
3−HHCro2−1CF2H 2%
5−HB−F 12%
6−HB−F 9%
7−HB−F 7%
2−HHB−OCF3 7%
3−HHB−OCF3 7%
4−HHB−OCF3 7%
5−HHB−OCF3 5%
3−HH2B−OCF3 4%
5−HH2B−OCF3 4%
3−HHB(F,F)−OCF2H 4%
3−HHB(F,F)−OCF3 5%
3−HH2B(F)−F 3%
3−HBB(F)−F 8%
5−HBB(F)−F 7%
5−HBBH−3 3%
3−HB(F)BH−3 3%
【0228】
[使用例9]
3−HHCro2(F2) 3%
2−BCro2B(F,F)−F 4%
3−HHCro3−CF3 3%
5−HB−CL 11%
3−HH−4 8%
3−HHB−1 5%
3−HHB(F,F)−F 8%
3−HBB(F,F)−F 15%
5−HBB(F,F)−F 10%
3−HHEB(F,F)−F 10%
4−HHEB(F,F)−F 3%
5−HHEB(F,F)−F 3%
2−HBEB(F,F)−F 3%
3−HBEB(F,F)−F 5%
5−HBEB(F,F)−F 3%
3−HHBB(F,F)−F 6%
【0229】
[使用例10]
3−HHCro3(5F)−CF3 5%
3−BB(F)Cro3−CF3 4%
3−HB−CL 6%
5−HB−CL 4%
3−HHB−OCF3 5%
3−H2HB−OCF3 5%
5−H4HB−OCF3 15%
V−HHB(F)−F 4%
3−HHB(F)−F 4%
5−HHB(F)−F 4%
3−H4HB(F,F)−CF3 8%
5−H4HB(F,F)−CF3 10%
5−H2HB(F,F)−F 5%
5−H4HB(F,F)−F 7%
2−H2BB(F)−F 3%
3−H2BB(F)−F 6%
3−HBEB(F,F)−F 5%
【0230】
[使用例11]
3−HCro3(5F)−C 4%
3−HBCro3−CL 4%
5−HB−CL 14%
7−HB(F,F)−F 3%
3−HH−4 10%
3−HH−5 5%
3−HB−O2 10%
3−HHB−1 8%
3−HHB−O1 5%
2−HHB(F)−F 7%
3−HHB(F)−F 7%
5−HHB(F)−F 7%
3−HHB(F,F)−F 6%
3−H2HB(F,F)−F 5%
4−H2HB(F,F)−F 5%
【0231】
[使用例12]
3−HHCro3−1CF2H 7%
3−HHCro3(F2) 3%
5−HB−CL 3%
7−HB(F)−F 7%
3−HH−4 9%
3−HH−EMe 15%
3−HHEB−F 7%
5−HHEB−F 7%
3−HHEB(F,F)−F 10%
4−HHEB(F,F)−F 5%
4−HGB(F,F)−F 5%
5−HGB(F,F)−F 6%
2−H2GB(F,F)−F 4%
3−H2GB(F,F)−F 5%
5−GHB(F,F)−F 7%
【0232】
[使用例13]
2−BCro3(5F)B(F,F)−F 5%
3−HH−4 8%
3−HHB−1 6%
3−HHB(F,F)−F 10%
3−H2HB(F,F)−F 9%
3−HBB(F,F)−F 15%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F 30%
1O1−HBBH−5 7%
2−HHBB(F,F)−F 3%
3−HHBB(F,F)−F 3%
3−HH2BB(F,F)−F 4%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される化合物:


ここに、Rは水素、または炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく;Rはハロゲン、−CN、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられている炭素数1〜20のアルキル、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数2〜20のアルケニル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜20のアルコキシであり;A、A、A、およびAは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、または1,4−フェニレンであり、これらの環において、任意の−CH−は−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つ−CH=は−N=で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲン、メチルまたは−CFで置き換えられてもよく;Z、Z、Z、およびZは独立して単結合または炭素数1〜4のアルキレンであり、このアルキレンにおいて任意の−CH−は−O−、−S−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つ水素はハロゲンで置き換えられてもよく;h、k、mおよびnは独立して0、1または2であり、そしてh、k、mおよびnの和は1、2または3であり;そして、Qは式(q1)、式(q2)および式(q3)のいずれか1つで表される基である:


ここに、Xは水素、ハロゲン、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、−CF、−CFH、−CFH、−OCF、−OCFH、または−OCFHであり;Y、Y、Y、YおよびYは独立して水素、ハロゲンまたはメチルである;但し、Qが式(q1)で表される基であるとき、Xは水素、メチルまたはメトキシである。
【請求項2】
Qが式(q1)で表される基であり、Xが水素であり、Y、Y、Y、Y、およびYが独立して水素またはフッ素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Qが式(q2)で表される基であり、Xが水素またはフッ素であり、Y、Y、Y、Y、およびYが独立して水素またはフッ素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Qが式(q3)で表される基であり、Xが水素またはフッ素であり、Y、Y、Y、Y、およびYが独立して水素またはフッ素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
式(1−1)〜式(1−5)のいずれか1つで表される化合物:




ここに、Rは水素、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、または炭素数2〜10のアルケニルであり;Rはハロゲン、−CN、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられている炭素数1〜10のアルキル、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数2〜10のアルケニル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜10のアルコキシであり;A、A、AおよびAは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZは独立して単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFO−または−OCF−であり;Xは水素またはメチルであり;そして、Y、Y、Y、Y4およびYは独立して水素、ハロゲンまたはメチルである。
【請求項6】
が水素である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
が水素であり;Rが水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A1、A2、A3およびA4が独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが独立して単結合または−CHCH−であり;Y、Y、YおよびYが独立して水素、フッ素またはメチルであり、そしてYが水素である、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
が水素であり;Rが水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A1、A2、A3およびA4が独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが独立して単結合または−CHCH−であり;Y、Y、YおよびYが水素であり、そしてYがフッ素または塩素である、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
が水素であり;Rが水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A、A、AおよびAが独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが単結合であり;Y、Y、YおよびYが独立して水素、フッ素またはメチルであり、そしてYが水素である、請求項5に記載の化合物。
【請求項10】
が水素であり;Rが水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A1、A2、A3およびA4が独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが単結合であり;そして、Y、Y、Y、YおよびYが水素である、請求項5に記載の化合物。
【請求項11】
式(1−6)〜式(1−10)のいずれか1つで表される化合物:


ここに、Rは水素、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、または炭素数2〜10のアルケニルであり;Rはハロゲン、−CN、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられている炭素数1〜10のアルキル、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜10のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数2〜10のアルケニルであり;A、A、A、およびAは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZは独立して単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFO−または−OCF−であり;Xは水素またはフッ素であり;そして、Y、Y、Y、Y4およびYは独立して水素、ハロゲンまたはメチルである。
【請求項12】
が水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A、A、AおよびAが独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが独立して単結合または−CHCH−であり;Y、Y、YおよびYが独立して水素、フッ素またはメチルであり、そしてYが水素である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
が水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A、A、AおよびAが独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが独立して単結合または−CHCH−であり;Y、Y、YおよびYが水素であり、そしてYがフッ素または塩素である、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
が水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A、A、AおよびAが独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが単結合であり;Y、Y、YおよびYが独立して水素、フッ素またはメチルであり、そしてYが水素である、請求項11に記載の化合物。
【請求項15】
が水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A、A、AおよびAが独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが単結合であり;そして、Y、Y、Y、YおよびYが水素である、請求項11に記載の化合物。
【請求項16】
式(1−11)〜式(1−15)のいずれか1つで表される化合物:




ここに、Rは水素、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、または炭素数2〜10のアルケニルであり;Rはハロゲン、−CN、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられている炭素数1〜10のアルキル、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜10のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数2〜10のアルケニルであり;A、A、A、およびAは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZは独立して単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFO−または−OCF−であり;Xは水素またはフッ素であり;そして、Y、Y、Y、Y4およびYは独立して水素、ハロゲンまたはメチルである。
【請求項17】
が水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A、A、AおよびAが独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置換されてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが独立して単結合または−CHCH−であり;Y、Y、YおよびYが独立して水素、フッ素またはメチルであり、そしてYが水素である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
が水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A、A、AおよびAが独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが独立して単結合または−CHCH−であり;Y、Y、YおよびYが水素であり、そしてYがフッ素または塩素である、請求項16に記載の化合物。
【請求項19】
が水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A、A、AおよびAが独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが単結合であり;Y、Y、YおよびYが独立して水素、フッ素またはメチルであり、そしてYが水素である、請求項16に記載の化合物。
【請求項20】
が水素、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜7のアルケニルであり;Rがハロゲン、−CN、−OCF、−OCFH、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられている炭素数1〜7のアルキルであり;A、A、AおよびAが独立して1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZが単結合であり;そして、Y、Y、Y、YおよびYが水素である、請求項16に記載の化合物。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つを含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物。
【請求項22】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つと、式(2)、式(3)および式(4)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有し、そして少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物:


ここに、Rは炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;Xはフッ素、塩素、−OCF、−OCHF、−CF、−CHF、−CHF、−OCFCHF、または−OCFCHFCFであり;環Bおよび環Dは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり、環Eは1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;ZおよびZは独立して−(CH)−、−(CH)−、−COO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、または単結合であり;そして、LおよびLは独立して水素またはフッ素である。
【請求項23】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つと、式(5)および式(6)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有し、そして少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;Xは−CNまたは−C≡C−CNであり;環Gは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;環Jは1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;環Kは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Zは−(CH−、−COO−、−CFO−、−OCF−、または単結合であり;L、LおよびLは独立して水素またはフッ素であり;そしてb、cおよびdは独立して0または1である。
【請求項24】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つと、式(7)〜式(9)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;環M、環Pおよび環Qは独立して1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;そしてZおよびZは独立して−C≡C−、−COO−、−(CH−、−CH=CH−、または単結合である。
【請求項25】
式(5)および式(6)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項22に記載の組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;Xは−CNまたは−C≡C−CNであり;環Gは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;環Jは1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;環Kは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Zは−(CH−、−COO−、−CFO−、−OCF−、または単結合であり;L、LおよびLは独立して水素またはフッ素であり;そしてb、cおよびdは独立して0または1である。
【請求項26】
式(7)、式(8)および式(9)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項22に記載の組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;環M、環Pおよび環Qは独立して1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;そしてZおよびZは独立して−C≡C−、−COO−、−(CH−、−CH=CH−、または単結合である。
【請求項27】
式(7)、式(8)および式(9)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項23に記載の組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;環M、環Pおよび環Qは独立して1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;そしてZおよびZは独立して−C≡C−、−COO−、−(CH−、−CH=CH−、または単結合である。
【請求項28】
請求項21〜27のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。

【公開番号】特開2006−193517(P2006−193517A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−361930(P2005−361930)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【出願人】(596032100)チッソ石油化学株式会社 (309)
【Fターム(参考)】