説明

クロロプレンゴムの製造方法

【課題】 クロロプレンゴムの品質を維持した上で、ゴム乾燥工程での乾燥速度を向上させ、生産性を向上させるクロロプレンゴムの製造方法を提供する。
【解決手段】 乳化重合によりクロロプレンゴムのポリマーラテックスを得た後、当該ポリマーラテックスからクロロプレンゴムを単離し、当該クロロプレンゴムを過熱水蒸気により加熱乾燥を行なうことを特徴とするクロロプレンゴムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクロロプレンゴムの製造方法に関するものである。詳しくは乾燥速度を向上させ、生産性に優れるクロロプレンゴムの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クロロプレンゴムは各種合成ゴムの中でも各物性のバランスが良好であるため、幅広い用途に使用されている。近年の多様化する顧客要求に対応する新規グレードの開発が実施されているが、一般的にそれらグレードの生産速度は低いことが多く、顧客への供給能力確保のためには全グレードにおける生産性向上が命題となりつつある。
【0003】
クロロプレンゴムの主な重合方法としては乳化重合法が挙げられ、引き続いて得られたラテックスのpHを調整し凍結凝固することによりポリマーを単離し、水洗、乾燥することによりクロロプレンゴムを得る製造方法が例示される。ここで乾燥に用いる乾燥機としては、高圧蒸気または電気ヒーターを熱源として加熱された空気を循環させる熱風循環式のものが一般的である(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
クロロプレンゴム製造における生産性向上を達成するには、一般的にバッチ式で行われる重合工程の重合速度向上や仕込モノマー増量等だけでなく、ゴム乾燥工程の生産速度向上も不可欠である。乾燥工程の生産速度を向上させるため、単位時間あたりのゴム乾燥量を増加させた上で従来と同程度まで乾燥を行うには、乾燥機の設定温度を高くすること、循環熱風の風量を増大させること、特に連続式乾燥機の場合では加熱槽を延長することなどの対策が必要となる。
【0005】
しかしそれらによる生産性向上効果は僅かであり、また乾燥時にポリマーが受ける熱量が過度に大きくなるとクロロプレンゴムの品質が損なわれるため、生産性向上には限界があった。
【0006】
【非特許文献1】O.B.リトビン著、貞政忠利訳、「ゴムの合成」、初版、幸書房、昭和44年11月、p.374〜378
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、クロロプレンゴムの品質を維持した上で、ゴム乾燥工程での乾燥速度を向上させ、生産性を向上させるクロロプレンゴムの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記した課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、クロロプレンゴム製造のゴム乾燥工程における加熱方法に着目し、高圧蒸気または電気ヒーターで加熱された空気を循環させる一般的な熱風加熱方法でなく、過熱水蒸気を照射することにより高い乾燥速度を得ることができ、さらにゴムの品質を損なわないことを見出し本発明に至った。すなわち、本発明は、乳化重合によりクロロプレンゴムのポリマーラテックスを得た後、当該ポリマーラテックスからクロロプレンゴムを単離し、当該クロロプレンゴムを過熱水蒸気により加熱乾燥を行なうことを特徴とするクロロプレンゴムの製造方法である。
【0009】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0010】
本発明のクロロプレンゴムの製造方法は、乳化重合によりクロロプレンゴムのポリマーラテックスを得た後、当該ポリマーラテックスからクロロプレンゴムを単離し、当該クロロプレンゴムを過熱水蒸気により加熱乾燥を行なうものである。
【0011】
本発明でいう過熱水蒸気とは、沸点温度の蒸気(乾き蒸気)をさらに加熱し、顕熱を与えた状態の蒸気であり、無色透明の気体である。一般に過熱水蒸気中に被乾燥物を投入した場合、接触した過熱水蒸気が凝縮し、その凝縮潜熱により被乾燥物の温度が急速に上昇する。この凝縮水により被乾燥物の表面が一時的に濡れてしまうが、続けて供給される過熱水蒸気の顕熱により加熱され、乾燥が進行する。
【0012】
熱空気による加熱では100℃以下であっても乾燥が可能であるが、過熱水蒸気乾燥は被乾燥物の乾燥により発生する水蒸気と過熱水蒸気が単成分系であるため、水の沸点以上の温度でなければ乾燥が不可能である。熱空気乾燥および過熱水蒸気乾燥を比較すると、低温の場合は熱空気による乾燥速度が高いが、一般に約170℃以上にて逆転し、過熱水蒸気の乾燥速度が高くなる。従って、本発明におけるラテックスから単離させたクロロプレンゴムを乾燥する温度としては、好ましくは100℃以上であり、特に好ましくは、170℃以上である。また、乾燥温度が高ければ乾燥速度も向上するが、クロロプレンゴムの品質を維持するため、好ましくは250℃以下であり、特に好ましくは200℃以下である。
【0013】
乾燥時間は、ゴムが乾燥状態に至るまでの必要時間であれば特に限定するものではないが、ゴムの品質を維持するためには短時間であるほうが有利である。未乾燥ゴムの形態にもよるが、好ましくは10分以下であり、特に好ましくは5分以下である。
【0014】
本発明の乳化重合により得られたクロロプレンゴムのポリマーラテックスは、単量体混合物と乳化剤水溶液を混合乳化し、重合開始剤の添加により重合を行い、任意の転化率で重合停止剤添加により重合を終了させ、未反応単量体を除去したものである。ここで単量体混合物及び乳化剤水溶液は、それぞれ重合中に追加添加しても良い。
【0015】
クロロプレンゴムのポリマーラテックスを得るための単量体混合物とは、2−クロロ−1,3−ブタジエンおよび連鎖移動剤からなる単量体混合物、または2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエンと共重合可能な少なくとも1種の化合物および連鎖移動剤からなる単量体混合物である。連鎖移動剤としては、一般のラジカル重合に用いられる化合物であれば、特に限定するものではなく、例えば、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類、キサントゲンスルフィド類、ヨウ化ベンジル、ヨードホルム等が挙げられ、単独または2種以上で使用される。連鎖移動剤の量としては、分子量調整のため一般のラジカル重合で使用される量であれば特に限定するものではないが、得られる重合体の分子量を目的通りにし、さらに、得られる重合体が架橋したポリマー構造となるのを防止し、クロロプレンゴムとしての加工成型を可能とするために、連鎖移動剤以外の単量体混合物100重量部に対して0.1〜1重量部であることが好ましく、0.12〜0.3重量部がさらに好ましい。また、2−クロロ−1,3−ブタジエンと共重合可能な少なくとも1種のコモノマーとしては、ラジカル重合可能な単量体であれば特に限定するものではなく、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン等のモノビニル化合物、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和基含有カルボン酸類、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の不飽和基含有カルボン酸エステル類、イソプレン、1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン等の共役ジエン化合物等が挙げられ、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、1−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンが2−クロロ−1,3−ブタジエンとの共重合が容易であり、得られるクロロプレンゴムの改質効果が大きいために特に好ましい。2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエンと共重合可能な少なくとも1種のコモノマーおよび連鎖移動剤からなる単量体混合物においては、2−クロロ−1,3−ブタジエンと、2−クロロ−1,3−ブタジエンと共重合可能な少なくとも1種のコモノマーとの割合は、共重合可能な量比であれば特に限定するものではないが、クロロプレンゴムとしての特性を維持するために,重量比で25/75〜99/1が好ましく、クロロプレンゴムの特徴を強く発揮させるために、80/20〜99/1がさらに好ましい。
【0016】
クロロプレンゴムのポリマーラテックスを得るための乳化剤水溶液を構成する乳化分散剤としては、一般に乳化重合に用いられる界面活性剤であれば、特に限定するものではなく、カルボン酸塩型、スルホン酸塩型、硫酸塩型等のアニオン型乳化剤及びノニオン型乳化剤等が用いられ、具体的には、不均化ロジン酸のアルカリ金属塩、ロジン酸のアルカリ金属塩、高級脂肪酸アルカリ金属塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、ナフタレンスルホン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアシルエステル等が挙げられ、単独または2種以上の併用が可能である。各乳化分散剤の添加量はその種類により最適範囲は異なるが、乳化重合を安定に実施できる範囲として、連鎖移動剤以外の単量体混合物100重量部に対して0.1〜15重量部が好ましく、0.1〜10重量部が特に好ましい。
【0017】
クロロプレンゴムのポリマーラテックスを得るための重合開始剤としては、フリーラジカル生成物質であれば、特に限定するものではなく、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸化物、過酸化水素、パラメンタンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の無機又は有機過酸化物等が挙げられ、これら単独または上記化合物と硫酸第一鉄、ハイドロサルファイトナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、チオ硫酸塩、チオ亜硫酸塩、有機アミン等の還元性物質を併用したレドックス系が使用される。
【0018】
クロロプレンゴムのポリマーラテックスを得るための重合を停止する重合転化率は、クロロプレンゴムが得られる範囲内であれば、特に限定するものではないが、生産性を維持しつつ、得られるクロロプレンゴムの流動性を保持して加工性を維持するため、60〜85%が好ましく、62〜75%が特に好ましい。ここで、重合を停止する際に添加する重合停止剤としては、ラジカルを捕捉する化合物であれば特に限定するものではなく、例えば、フェノチアジン、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ハイドロキノン、4−メトキシハイドロキノン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン等のラジカル禁止剤等が挙げられ、単独または2種以上が使用される。各重合停止剤の添加量はその種類により最適範囲は異なるが、重合を確実に停止でき、かつ得られたクロロプレンゴムの安定性を確保できる範囲として、連鎖移動剤以外の単量体混合物100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましく、0.02〜2重量部が特に好ましい。
【0019】
クロロプレンゴムのポリマーラテックスを得るための重合における重合温度は0〜60℃の範囲で行うことができ、好ましくは5〜50℃の範囲である。
【0020】
クロロプレンゴムのポリマーラテックスを得るため、重合終了後に実施する未反応単量体の除去方法としては、特に限定はしないが、例えば減圧下スチームストリッピングが挙げられる。
【0021】
本発明のクロロプレンゴムを乾燥させる工程とは、過熱水蒸気を未乾燥ゴムに照射できる設備を有していれば特に限定はしないが、連続的に乾燥できる設備であるとクロロプレンゴムの生産性が高く、好ましい。
【0022】
本発明の生産性に優れるクロロプレンゴムの製造方法により得られるクロロプレンゴムは通常の乾燥方法により得られるクロロプレンゴムと同等の品質を有している。従って通常知られているクロロプレンゴムと同様に、ロール、ニーダー又はバンバリー等の混練機によって加硫剤、加硫促進剤、補強剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤等と混合し、コンパウンドを作成することができ、さらに目的に応じた形状に成型後、加硫することにより、通常の重合方法により得られるクロロプレンゴムと同等の性能を持つ加硫物を得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の過熱水蒸気を用いた乾燥方法は、従来の熱風循環乾燥と比較して乾燥速度が高く、クロロプレンゴム製造における生産性の向上が達成される。また、得られるクロロプレンゴムの品質は従来の乾燥方法により得られるクロロプレンゴムと同等である。
【実施例】
【0024】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0025】
実施例中のクロロプレンゴムのムーニー粘度および揮発分は、JIS K6388(1995年度版)に従い測定、評価した。
【0026】
配合物特性のスコーチタイムt5は、JIS K6300(1994年度版)に従い測定した。加硫物特性の硬さは、JIS K6253(1997年度版)に従い、測定した。加硫物特性の破断伸び、破断強度、100%応力は、JIS K6251(1993年度版)に従いダンベル状3号型の試験片を用い、引張り速度500mm/分にて評価した。
【0027】
またラテックスから単離させた未乾燥クロロプレンゴムはウォーターオーブン ヘルシオ(商品名,シャープ株式会社製)を使用し、過熱水蒸気加熱はウォーターオーブン−ローストモードにて、熱空気加熱はオーブンモードにて乾燥させた。また各条件とも庫内温度を安定させるため、1時間の予熱を行なった。
【0028】
実施例1
2−クロロ−1,3−ブタジエン100重量部、n−ドデシルメルカプタン0.200重量部を10Lの攪拌機付きオートクレーブに仕込み、ロジン酸カリウム3.5重量部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルムアルデヒド縮合物0.7重量部、水酸化ナトリウム0.25重量部、蒸留水90重量部からなる乳化液をそれに添加し、充分に窒素置換した後、撹拌により乳化させた。3wt%ハイドロサルファイトナトリウム水溶液を添加し、重合器内が40℃一定となるようにジャケット温度を制御しながら、0.2wt%過硫酸カリウム水溶液の連続滴下により重合を開始した。
【0029】
単量体に対する転化率が65%となった時点で、フェノチアジン0.02重量部をトルエンに溶解しドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液にて乳化したものおよびN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.05重量部の混合物を停止剤として添加し重合を終了させた。減圧スチームストリッピング法により残存する未反応単量体を除去し、クロロプレン単独重合体のポリマーラテックスを得た。
【0030】
10%酢酸の添加により得られたラテックスのpHを6に調整した後、凍結凝固によりフィルム状にポリマーを析出させ、水洗、脱水し厚さ0.3mm未乾燥ゴムシートを作成した。
【0031】
未乾燥ゴムシートを20cm×20cmに裁断し、50メッシュ金網に載せ、ウォーターオーブンにより、180℃にて2.7分間の過熱水蒸気加熱を行い、乾燥させた。
【0032】
得られた乾燥ゴムの量は10.8gであった。乾燥に要した時間から時間あたりの生産量を4.0g/分と算出した。この操作を繰り返し、750gのゴムを生産した。
【0033】
得られたクロロプレンゴムの原料ゴムムーニー粘度と揮発分を表1に示す。
【0034】
得られたクロロプレンゴムを表2に示す配合に従い8インチオープンロールで混練し、コンパウンドを作成した。配合物の125℃におけるスコーチタイムを表1に示す。そのコンパウンドを160℃にて20分間プレス加硫することにより加硫ゴムシートを得た。加硫物の常態物性を測定した。加硫物特性を表1に示す。
【0035】
後述の比較例1に示す同温度の熱空気乾燥よりも、短時間の加熱にて同等の揮発分まで乾燥されており、生産性が優れていた。得られたクロロプレンゴムの原料ゴム特性、配合物特性、加硫物特性も同等であり、品質において何ら問題の無い物であった。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

比較例1
実施例1と同様に作製した20cm×20cmの未乾燥ゴムシートを50メッシュ金網に載せ、オーブンにより180℃にて3.0分間の熱空気加熱を行い、乾燥させた。
【0038】
得られた乾燥ゴムの量は10.8gであった。乾燥に要した時間から時間あたりの生産量を3.6g/分と算出した。この操作を繰り返し、750gのゴムを生産した。
【0039】
得られたクロロプレンゴムの原料ゴムムーニー粘度と揮発分を表1に示す。
【0040】
実施例1と同様に測定した配合物特性および加硫物特性を表1に示す。
【0041】
実施例1に示す同温度の過熱水蒸気乾燥と同等の揮発分まで乾燥させるための所要時間が長く、生産性が低下した。しかし得られたクロロプレンゴムの原料ゴム特性、配合物特性、加硫物特性は同等であり、品質において何ら問題の無い物であった。
【0042】
実施例2
実施例1と同様に作製した20cm×20cmの未乾燥ゴムシートを50メッシュ金網に載せ、ウォーターオーブンにより200℃にて1.9分間の過熱水蒸気加熱を行い、乾燥させた。
【0043】
得られた乾燥ゴムの量は10.7gであった。乾燥に要した時間から時間あたりの生産量を5.6g/分と算出した。この操作を繰り返し、750gのゴムを生産した。
【0044】
得られたクロロプレンゴムの原料ゴムムーニー粘度と揮発分を表1に示す。
【0045】
実施例1と同様に測定した配合物特性および加硫物特性を表1に示す。
【0046】
後述の比較例2に示す同温度の熱空気乾燥よりも、短時間の加熱にて同等の揮発分まで乾燥されており、生産性が優れていた。得られたクロロプレンゴムの原料ゴム特性、配合物特性、加硫物特性も同等であり、品質において何ら問題の無い物であった。
【0047】
比較例2
実施例1と同様に作製した20cm×20cmの未乾燥ゴムシートを50メッシュ金網に載せ、オーブンにより200℃にて2.8分間の熱空気加熱を行い、乾燥させた。
【0048】
得られた乾燥ゴムの量は10.7gであった。乾燥に要した時間から時間あたりの生産量を3.8g/分と算出した。この操作を繰り返し、750gのゴムを生産した。
【0049】
得られたクロロプレンゴムの原料ゴムムーニー粘度と揮発分を表1に示す。
【0050】
実施例1と同様に測定した配合物特性および加硫物特性を表1に示す。
【0051】
実施例2に示す同温度の過熱水蒸気乾燥と同等の揮発分まで乾燥させるための所要時間が長く、生産性が低下した。しかし得られたクロロプレンゴムの原料ゴム特性、配合物特性、加硫物特性は同等であり、品質において何ら問題の無い物であった。
【0052】
実施例3
重合に用いる単量体を2−クロロ−1,3−ブタジエン93重量部、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン7重量部、n−ドデシルメルカプタン0.222重量部とした以外は実施例1と同様の方法にて重合を行い、クロロプレン共重合体のポリマーラテックスを得た。
【0053】
得られたラテックスから実施例1と同様の方法にて20cm×20cmの未乾燥ゴムシートを作製し、それを50メッシュ金網に載せ、ウォーターオーブンにより180℃にて2.7分間の過熱水蒸気加熱を行い、乾燥させた。
【0054】
得られた乾燥ゴムの量は10.9gであった。乾燥に要した時間から時間あたりの生産量を4.0g/分と算出した。この操作を繰り返し、750gのゴムを生産した。
【0055】
得られたクロロプレンゴムの原料ゴムムーニー粘度と揮発分を表1に示す。
【0056】
実施例1と同様に測定した配合物特性および加硫物特性を表1に示す。
【0057】
後述の比較例3に示す同温度の熱空気乾燥よりも、短時間の加熱にて同等の揮発分まで乾燥されており、生産性が優れていた。得られたクロロプレンゴムの原料ゴム特性、配合物特性、加硫物特性も同等であり、品質において何ら問題の無い物であった。
【0058】
比較例3
実施例3と同様に作製した20cm×20cmの未乾燥ゴムシートを50メッシュ金網に載せ、オーブンにより180℃にて3.0分間の熱空気加熱を行い、乾燥させた。
【0059】
得られた乾燥ゴムの量は10.9gであった。乾燥に要した時間から時間あたりの生産量を3.6g/分と算出した。この操作を繰り返し、750gのゴムを生産した。
【0060】
得られたクロロプレンゴムの原料ゴムムーニー粘度と揮発分を表1に示す。
【0061】
実施例1と同様に測定した配合物特性および加硫物特性を表1に示す。
【0062】
実施例3に示す同温度の過熱水蒸気乾燥と同等の揮発分まで乾燥させるための所要時間が長く、生産性が低下した。しかし得られたクロロプレンゴムの原料ゴム特性、配合物特性、加硫物特性は同等であり、品質において何ら問題の無い物であった。
【0063】
実施例4
実施例3と同様に作製した20cm×20cmの未乾燥ゴムシートを50メッシュ金網に載せ、ウォーターオーブンにより200℃にて1.9分間の過熱水蒸気加熱を行い、乾燥させた。
【0064】
得られた乾燥ゴムの量は10.7gであった。乾燥に要した時間から時間あたりの生産量を5.6g/分と算出した。この操作を繰り返し、750gのゴムを生産した。
【0065】
得られたクロロプレンゴムの原料ゴムムーニー粘度と揮発分を表1に示す。
【0066】
実施例1と同様に測定した配合物特性および加硫物特性を表1に示す。
【0067】
後述の比較例4に示す同温度の熱空気乾燥よりも、短時間の加熱にて同等の揮発分まで乾燥されており、生産性が優れていた。得られたクロロプレンゴムの原料ゴム特性、配合物特性、加硫物特性も同等であり、品質において何ら問題の無い物であった。
【0068】
比較例4
実施例3と同様に作製した20cm×20cmの未乾燥ゴムシートを50メッシュ金網に載せ、オーブンにより200℃にて2.8分間の熱空気加熱を行い、乾燥させた。
【0069】
得られた乾燥ゴムの量は10.7gであった。乾燥に要した時間から時間あたりの生産量を3.8g/分と算出した。この操作を繰り返し、750gのゴムを生産した。
【0070】
得られたクロロプレンゴムの原料ゴムムーニー粘度と揮発分を表1に示す。
【0071】
実施例1と同様に測定した配合物特性および加硫物特性を表1に示す。
【0072】
実施例4に示す同温度の過熱水蒸気乾燥と同等の揮発分まで乾燥させるための所要時間が長く、生産性が低下した。しかし得られたクロロプレンゴムの原料ゴム特性、配合物特性、加硫物特性は同等であり、品質において何ら問題の無い物であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳化重合によりクロロプレンゴムのポリマーラテックスを得た後、当該ポリマーラテックスからクロロプレンゴムを単離し、当該クロロプレンゴムを過熱水蒸気により加熱乾燥を行なうことを特徴とするクロロプレンゴムの製造方法。
【請求項2】
当該クロロプレンゴムを170℃以上の雰囲気で乾燥することを特徴とする請求項1記載のクロロプレンゴムの製造方法。