説明

クローポンプ

【課題】低コストな手段で、ロータ間に形成される圧縮ポケットの過圧縮を緩和し、脈動や動力損失及び到達圧力の悪化等を抑制する。
【解決手段】ポンプ室12の内部で、回転軸18a、18bに、爪部22a、22bをもつ雄ロータ20と、該爪部が侵入する凹部26a、26bが形成された雌ロータ24が取り付けられている。回転軸18a、18bを含む平面Lに対し、雌ロータ24の回転方向上流側に窪み32a、32bが刻設されている。窪み32a、32bは、圧縮ポケットPが吐出口30との連通を止め、吐出口30から分離した時から、圧縮ポケットPが徐々に縮小して消滅する時まで、該窪みを介して圧縮ポケットPと吐出口30とを連通させるように、かつ圧縮ポケットPが消滅すると同時に、吐出口30との連通を止めるように、配置位置及び大きさ、形状が選定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉤状の爪部を有する2つのロータを備えたクローポンプに関し、詳しくは、圧縮工程の最後に形成される過圧縮ポケットによる動力損失や脈動をなくすようにしたクローポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
クローポンプは、ポンプ室を形成するハウジング内で、二つの爪型ロータが、非常に狭いクリアランスを保ったまま非接触で反対方向に回転する。二つの爪型ロータで圧縮ポケットを形成し、この圧縮ポケットで圧縮した圧縮気体を吐出口から吐出する。潤滑油や封液を使わずに連続して吸引、圧縮、及び排気を行う事で、真空状態又は加圧空気を作り出す。このように、潤滑油等の液体を使用しないので、クリーンな排気、吐出を可能とする。また、圧縮工程のないルーツポンプより高い圧縮比を実現できると共に、非接触回転であるので、回転数を制御する事で、省エネ効果の有る、必要に応じた排気を容易に実現できる等の長所をもつ。
【0003】
特許文献1には、かかるクローポンプの構成が開示されている。また、本発明者等は、先に、クローポンプを用い、脈動や動力変動を抑制できる多段真空ポンプを提案している(特許文献2)。
【0004】
図8に従来の真空用クローポンプの構成を説明する。図8において、クローポンプ100のポンプ室102は、内面が2つの円の一部を重ね合わせた断面形状をした外周壁104と、外周壁104に対し2列に並列に配置された前後サイド壁106とからなる。なお、前方サイド壁の図示は省略されている。ポンプ室102に2本の回転軸108a及び108bが、互いに平行な状態で貫通配置されている。回転軸108aに、半径方向に突出した2個の爪部112a及び112bを備えた雄ロータ110が取り付けられている。一方、回転軸108bに、爪部112a、112bが侵入する凹部116a及び116bを有する雌ロータ114が取り付けられている。
【0005】
回転軸108a及び108bの軸線を含む平面Lに対して、一方側に吸入口118が設けられ、他方側に吐出口120が設けられている。一対のロータ間、及びロータとポンプ室102の壁面間には微小なクリアランスが設けられている。このクリアランスが大きすぎると、ポンプ室の逆流が起こり、効率が低下する。平面Lより吐出口側に、一対のロータ110、114及び外周壁104、サイド壁106によって囲まれた圧縮ポケットPが形成される。雄雌ロータ110、114が矢印方向に回転するに従って、圧縮ポケットPの容積が減少し、圧縮ポケットPの気体が圧縮されていく。図8(B)の時点では、吐出口120が圧縮ポケットPと連通し、圧縮ポケットPの気体は吐出口120に吐出される。
【0006】
図8(C)の時点では、雄雌ロータ110,114の回転によって、吐出口120の開口面積が縮小され、圧縮ポケットPも縮小する。図8(D)の時点では、吐出口120が閉じた状態となっているのに対し、圧縮ポケットPが存在し、圧縮ポケットPでは圧縮が継続されている状態を示す。圧縮工程の最後には、圧縮ポケットPの容積がゼロになるため、計算上は、容積比(圧縮比)が無限大になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−038476号公報
【特許文献2】特開2011−132869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
吐出口120の先端120aは、加工上R形状にせざるを得ないなどの制約がある。そのため、図8(D)及び(E)に示すように、雌ロータ114の回転によって、吐出口120が閉じた後でも、圧縮ポケットPが残存し、圧縮ポケットPの容積がゼロとなるまで、圧縮ポケットPで気体の圧縮が行われる。そのため、圧縮ポケットPの圧力が一時的に急上昇する過圧縮状態が発生する。この状態で行き場を失った圧縮気体は、ロータ間やロータとポンプ室間の微小隙間から、他の空隙ポケットに逃げることになる。
【0009】
圧縮ポケットPが過圧縮になると、脈動が起こり、騒音や振動の原因となったり、ロータの回転方向と逆方向の反力が発生して、動力損失となるという問題がある。また、過圧縮により高い圧縮熱が発生する。これによって、ロータの熱膨張が起こり、ロータ間又はロータとポンプ室間で微小クリアランスがなくなり、摺動部で摩耗が起こるなどの問題が発生する。さらに、真空ポンプの場合、圧縮ポケットPで行き場を失った気体が吸入口側に多量に流れ込むと、到達圧力を悪くするという問題も生じる。
【0010】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、低コストな手段で、圧縮ポケットでの過圧縮の発生をなくし、前記問題点を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる課題を解決するため、本発明のクローポンプは、一対の回転軸の軸線を含む平面より第2のロータの回転方向上流側に、逃がし空間を形成する。即ち、逃がし空間を、第1のロータの爪部と第2のロータの凹部との間に形成された圧縮ポケットが吐出口から分離した時、該圧縮ポケットに連通する位置に設ける。これによって、吐出口から分離した圧縮ポケットの容積が減少して過圧縮が生じても、圧縮ポケットの気体が逃がし空間に逃げることができるので、過圧縮を緩和できる。また、逃がし空間を一対の回転軸の軸線を含む平面より第2のロータの回転方向上流側に設けたことにより、圧縮ポケットの圧縮気体が、第1のロータと第2のロータとの間の微小クリアランスから吸入口側のポケットへ逃げるのを抑制できる。
【0012】
そのため、過圧縮に起因した脈動、及びこの脈動に起因した振動や騒音を抑制できると共に、ロータの回転方向と逆方向の反力が発生しなくなり、動力損失を抑止できる。また、過圧縮により発生する高い圧縮熱を抑制できるので、ロータの熱膨張による摺動部位の摩耗の発生を防止できる。さらに、真空ポンプの場合、圧縮ポケットで行き場を失った気体が吸入口側に多量に流れ込むことがなくなるので、到達圧力の悪化を招かない。
【0013】
本発明装置において、逃がし空間は、第1のロータの爪部に対面する第2のロータの凹部の対向面に設けられた窪みによって形成されているとよい。これによって、簡単な加工で逃がし空間を形成できる。該窪みは、凹部の対向面の板厚方向の一部又は全域に形成されるようにする。該窪みの形状は、例えば、円弧形状や角形状、又はその他の形状でもよく、特定の形状に限定する必要はない。
【0014】
前記窪みは、吐出口に面した第2のロータの表面まで延設され、圧縮ポケットが吐出口から分離した時、該窪みを介して圧縮ポケットと吐出口とを連通させ、圧縮ポケットが消滅するまで吐出口と圧縮ポケットとを連通させるように配置位置又は大きさ、形状が選定されているとよい。該窪みを吐出口に面した第2のロータの表面まで延設することで、窪みと吐出口との連通が可能になる。これによって、圧縮ポケットが吐出口から分離した後、圧縮ポケット内で過圧縮が生じても、圧縮ポケット内の気体を窪みを介して吐出口に逃がすことができる。
【0015】
前記構成に加えて、前記窪みが、圧縮ポケットが消滅すると同時に、吐出口から分離されるように配置されていれば、圧縮ポケットが消滅した後で、吐出口から窪みへの吐出気体の逆流を防止できる。真空ポンプと比べて、圧縮ポンプは、吸入側と吐出側との圧力差が大きいので、逆流による到達圧力の悪化の程度は大きい。吐出口から窪みを経由し他の空隙ポケットへの吐出気体の逆流をなくすことで、これを防止できる。真空ポンプの場合でも、逆流した吐出気体が次の圧縮ポケットに流れ込むので効率が悪くなる。そのため、逆流をなくすことで、ポンプ効率の低下を防止できる。
【0016】
また、逃がし空間は、ポンプ室を構成するサイド壁の内面に設けられた窪みによって形成されてもよい。これによって、簡単な加工で逃がし空間を形成できる。該窪みの断面形状は、例えば、円弧形状や角形状、又はその他の形状でもよく、特定の形状に限定する必要はない。
【0017】
この窪みは、吐出口に対して第2のロータの回転方向下流側に設けられ、圧縮ポケットが吐出口と分離した時から圧縮ポケットが消滅する時まで、圧縮ポケットと連通するように配置位置、大きさ、形状等が選定されているとよい。これによって、圧縮ポケットが吐出口と分離した時から圧縮ポケットが消滅する時までの間、圧縮ポケットの気体を窪みに逃がすことができ、圧縮ポケットの過圧縮を緩和できる。
【0018】
前記構成に加えて、前記窪みは、圧縮ポケットが消滅すると同時に、第2のロータで閉じられるように配置されているとよい。これによって、吐出空気が吐出口から窪みを介して他の圧縮ポケットに逆流するのを抑制できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のクローポンプは、回転軸の軸線を含む平面より第2のロータの回転方向上流側に、かつ第1のロータと第2のロータ間に形成された圧縮ポケットが吐出口と分離した時に、圧縮ポケットに連通する逃がし空間を設けるようにしたので、簡易かつ低コストな加工により、吐出口から分離した圧縮ポケットで過圧縮が起こるのを抑制できる。そのため、過圧縮に起因した振動や騒音、及び動力損失等を抑制できると共に、到達圧力の悪化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明装置の第1実施形態に係るクローポンプの正面視断面図である。
【図2】第1実施形態に係るクローポンプの雌ロータの正面図である。
【図3】(A)は図1中のB部拡大図であり、(B)は圧縮ポケットが消滅した後のB部拡大図である。
【図4】第1実施形態の雌ロータの変形例を示す正面図である。
【図5】本発明装置の第2実施形態に係るクローポンプの正面視断面図である。
【図6】第2実施形態に係るクローポンプのポンプ室の斜視図である。
【図7】(A)は図1中のC部拡大図であり、(B)は圧縮ポケットが消滅した後のC部拡大図である。
【図8】従来のクローポンプの正面図であり、(A)〜(D)はロータの回転を時系列的に示しており、(E)は(D)のA部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0022】
(実施形態1)
本発明のクローポンプをオイルフリー型真空ポンプに適用した第1実施形態を図1〜図3によって説明する。図1において、本実施形態のクローポンプ10Aのポンプ室12は、内面が2つの円の一部を重ね合わせた断面形状を有する外周壁14と、外周壁14に対し2列に並列に配置された前後サイド壁16(前方側サイド壁は省略されている。)とからなる。前後サイド壁16に穿設された孔に、2本の回転軸18a及び18bが、互いに平行な状態で貫通配置されている。回転軸18aに、半径方向に突出した2個の爪部22a及び22bを備えた雄ロータ20が固定され、回転軸18bに、爪部22a、22bが侵入する凹部26a及び26bを有する雌ロータ24が固定されている。
【0023】
回転軸18a及び18bの軸線を含む水平方向の平面Lを境にして、一方側に吸入口28が設けられ、他方側に吐出口30が設けられている。吐出口側に、雄ロータ20の爪部22a、22bと雌ロータ24の凹部26a、26bとの対向面、及び外周壁14、サイド壁16によって囲まれた圧縮ポケットPが形成される。雄雌ロータ20、24が矢印方向に回転するに従って、圧縮ポケットPの容積が減少し、圧縮ポケットP内の気体が圧縮されていく。そして、吐出口30が開放され、圧縮ポケットPの気体は吐出口30に吐出口される。
【0024】
図2は、本実施形態の雌ロータ24の構成を示す。雌ロータ24は、雄ロータ20の爪部22aが侵入する凹部26aと、雄ロータ20の爪部22bが侵入する凹部26bを有する。また、爪部22aに対面する凹部26aの対向面に窪み32aが刻設され、爪部22bに対面する凹部26bの対向面に窪み32bが刻設されている。窪み32a及び32bは、回転軸18a及び18bの軸線を含む平面Lに対し、雌ロータ24の回転方向aの上流側に設けられている。窪み32a、32bは、円弧形状をしており、かつ雌ロータ24の板厚方向全域に亘って形成されている。円弧形状としたことで、切削ドリルを用いた窪みの加工が容易になる。
【0025】
窪み32a及び32bは、圧縮工程の終盤で、圧縮ポケットPが吐出口30との連通を止め、吐出口30から分離した時から、圧縮ポケットPが徐々に縮小して消滅する時まで、圧縮ポケットPと吐出口30とを連通させるように、配置位置及び大きさ、形状が選定されている。さらに、圧縮ポケットPが消滅すると同時に、吐出口30との連通を止め、吐出口30と分離するように、配置位置及び大きさ、形状が選定されている。
【0026】
図1及び図3(A)は、ロータの動作タイミング上、図8の(D)及び(E)に相当する図であり、圧縮ポケットPの圧縮工程の終盤を示す。圧縮工程の終盤で、縮小した圧縮ポケットPは吐出口30と分離するが、本実施形態では、窪み32bが設けられているため、圧縮ポケットPが残存している間、圧縮ポケットPは窪み32bを通して吐出口30と連通している。そのため、圧縮ポケットPの気体は、圧縮ポケットPの容積が減少するにつれて、窪み32bを通って吐出口30に逃げることができる。従って、圧縮ポケットPが過圧縮になることはない。
【0027】
図3(B)は、図3(A)に示す状態の直後で、圧縮ポケットPが消滅した瞬間を示している。圧縮ポケットPが消滅すると同時に、窪み32bと吐出口30とは分離している。窪み32aも、窪み32bと同様な機能をもつように、配置位置及び大きさ、形状が選定されている。
【0028】
本実施形態によれば、窪み32a及び32bを設けたことにより、圧縮工程の終盤で、雄ロータ20の爪部22a、22bと雌ロータ24の凹部26a、26bの互いに対面した対向面に圧縮ポケットPが残存している間、圧縮ポケットPは、窪み32a、32bを介して吐出口30と連通しているので、圧縮ポケットPが過圧縮となることはない。そのため、過圧縮に起因した脈動の発生、及び脈動の発生に起因した振動や騒音の発生を抑えることができる。また、過圧縮によって発生した反力による動力損失を抑制できる。
【0029】
また、窪み32a、32bは、平面Lより雌ロータ24の回転方向上流側に配置されているので、圧縮ポケットPで過圧縮した気体が吸入口18側のポケットに流れ込むのを抑制できる。そのため、到達圧力の悪化を抑制できる。また、過圧縮によって発生した圧縮熱によるロータの熱膨張を抑えることができ、これによって、ロータの摺動部の摩耗を防止できる。
【0030】
さらに、圧縮ポケットPが消滅すると同時に、窪み32a、32bと吐出口30とが分離するので、吐出気体が吐出口30から逆流して、次の圧縮ポケットに流れ込むことがなくなる。そのため、真空ポンプとしてのポンプ効率の低下を防止できる。
【0031】
図4は、雌ロータ24に設けられた窪みの変形例である。この変形例では、四角形状の窪み34a及び34bが刻設されている。窪み34a、34bの配置位置は、第1実施形態の窪み32a、32bと同一である。この変形例でも、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0032】
(実施形態2)
次に、本発明装置の第2実施形態を図5〜図7により説明する。本実施形態も、第1実施形態と同様に、クローポンプをオイルフリー型真空ポンプに適用したものである。第1実施形態と同一の部位又は部材には同一の符号を付し、それら部位又は部材の説明は重複するので省略する。本実施形態のクローポンプ10Bでは、平面Lに対し、雌ロータ24の回転方向上流側の位置、即ち、回転軸18a、18b間の領域では、平面Lより吐出口30側の位置で、サイド壁16の内面に窪み36が刻設されている。窪み36は、円形の外周と球状の曲面を形成している。かかる形状とすることによって、切削ドリルによる加工が容易になる。
【0033】
図6は本実施形態に係るクローポンプ10Bのポンプ室12を示す。このポンプ12は、第1実施形態のポンプ室12と同一の構成を有する。図6では、前側に配置されるサイド壁は省略されている。サイド壁16には回転軸18a及び18bが貫通する孔38a及び38bが穿設されている。
【0034】
窪み36は、圧縮工程の終盤に、雄ロータ20の爪部22a、22bと雌ロータ24の凹部26a、26bとの対向面間に残存する圧縮ポケットPが、吐出口30と分離した時から、圧縮ポケットPが消滅する時まで、圧縮ポケットPと連通するように、その位置、大きさ、形状が選定されている。また、窪み36は、圧縮ポケットPが消滅すると同時に、雌ロータ24でその全域が閉じられるように、その位置、大きさ、形状が選定されている。
【0035】
図7(A)は、雄雌ロータ20、24の動作タイミング上、図3(A)に相当する図である。圧縮工程の終盤で、圧縮ポケットPの容積が縮小し、吐出口30と分離した時、圧縮ポケットPは窪み36と連通している。この状態は圧縮ポケットPが消滅する時まで持続する。そのため、圧縮ポケットPの気体は窪み32bに逃げることができるので、圧縮ポケットPの過圧縮を緩和できる。
【0036】
図7(B)は、図7(A)の直後に、圧縮ポケットPが消滅したタイミングを示す。この時、同時に、窪み36は雌ロータ24によって閉じられる。そのため、吐出口30の吐出気体が窪み36を通って他の圧縮ポケットに逆流するのを抑制できる。従って、真空ポンプとしてのクローポンプ10Bのポンプ効率が低下するのを抑制できる。
【0037】
前記第1実施形態及び第2実施形態は、本発明のクローポンプをいずれも真空ポンプに適当した例であるが、本発明は、圧縮用のクローポンプにも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば、簡易かつ低コストな手段で、ロータ間に形成される圧縮ポケットの過圧縮を緩和でき、過圧縮の発生によって起こる不具合いを抑制できる。
【符号の説明】
【0039】
10A、10B、100 クローポンプ
12,102 ポンプ室
14,104 外周壁
16,106 サイド壁
18a、18b、108a、108b 回転軸
20,110 雄ロータ(第1のロータ)
22a、22b、112a、112b 爪部
24,114 雌ロータ(第2のロータ)
26a、26b、116a、116b 凹部
28,118 吸入口
30,120 吐出口
32a、32b、34a、34b、36 窪み
38a、38b 孔
L 平面
P 圧縮ポケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行で反対方向に回転する一対の回転軸と、該一対の回転軸に固定され、一方に半径方向に突出した爪部が設けられた第1のロータと、該爪部が侵入する凹部を有する第2のロータと、これら一対のロータを収容するポンプ室と、前記一対の回転軸の軸線を含む平面を境にして一方側のポンプ室に形成された吸入口と、他方側のポンプ室に形成された吐出口とを備え、
前記平面より第2のロータの回転方向上流側に、かつ第1のロータの爪部と第2のロータの凹部との間に形成された圧縮ポケットが前記吐出口から分離した時、該圧縮ポケットに連通する逃がし空間を設け、該圧縮ポケット内の残存圧縮気体を該逃がし空間に逃がすように構成したことを特徴とするクローポンプ。
【請求項2】
前記逃がし空間は、前記第1のロータの爪部に対面する前記第2のロータの凹部の対向面に設けられた窪みによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のクローポンプ。
【請求項3】
前記窪みは、前記吐出口に面した第2のロータの表面まで延設され、前記圧縮ポケットが吐出口から分離した時、該窪みを介して該圧縮ポケットと吐出口とを連通させ、圧縮ポケットが消滅するまで吐出口と圧縮ポケットとを連通させるように配置されていることを特徴とする請求項2に記載のクローポンプ。
【請求項4】
前記窪みは、前記圧縮ポケットが消滅すると同時に、前記吐出口から分離されるように配置されていることを特徴とする請求項3に記載のクローポンプ。
【請求項5】
前記逃がし空間は、前記ポンプ室を構成するサイド壁の内面に設けられた窪みによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のクローポンプ。
【請求項6】
前記窪みは、前記吐出口に対して第2のロータの回転方向下流側に設けられ、前記圧縮ポケットが吐出口と分離した時から圧縮ポケットが消滅する時まで、圧縮ポケットと連通するように配置されていることを特徴とする請求項5に記載のクローポンプ。
【請求項7】
前記窪みは、前記圧縮ポケットが消滅すると同時に、前記第2のロータで閉じられるように配置されていることを特徴とする請求項6に記載のクローポンプ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate