説明

クーラント浄化装置及び工作機械冷却システム

【課題】ポンプに吸引されるスラッジを低減することのできるクーラント浄化装置及び工作機械冷却システムを提供する。
【解決手段】クーラント浄化装置は、工作機械の冷却に使用した冷却媒体を貯留する第1処理領域と、第1処理領域に隣接し、ポンプを介して工作機械の冷却に使用するための媒体流路へ冷却媒体を供給する第2処理領域と、第1処理領域と第2処理領域とを区画し、冷却媒体が第1処理領域から第2処理領域にオーバーフローする堰と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クーラント浄化装置及び工作機械冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ベッドの加熱による熱変形を抑制することで研削精度の向上を図った研削盤の技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−127012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載の技術では、クーラントタンクに回収した使用後のクーラント(冷却媒体)を循環することについて考慮されていない。工作機械の冷却に使用した後のクーラント(冷却媒体)は、スラッジを含むので、濾過する必要がある。そこで、ポンプがクーラントタンクから濾過装置へ使用後のクーラント(冷却媒体)を移送する。ポンプは、移送するクーラント(冷却媒体)に含まれる気泡またはスラッジにも耐えるように、吸引力の高い特殊なポンプとする必要がある。このため、ポンプが高価となるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、ポンプに吸引されるスラッジを低減することのできるクーラント浄化装置及び工作機械冷却システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、クーラント浄化装置は、工作機械の冷却に使用した冷却媒体を貯留する第1処理領域と、前記第1処理領域に隣接し、ポンプを介して前記工作機械の冷却に使用するための媒体流路へ前記冷却媒体を供給する第2処理領域と、前記第1処理領域と前記第2処理領域とを区画し、前記冷却媒体が前記第1処理領域から前記第2処理領域にオーバーフローする堰と、を含むことを特徴とする。
【0007】
この構造により、ポンプを通過する冷却媒体に含まれるスラッジを抑制することができる。また、クーラント浄化装置は、ポンプを通過する冷却媒体に含まれる気泡を抑制することができる。その結果、ポンプは、気泡またはスラッジにも耐えるように、吸引力の高い特殊なポンプとしなくてもよくなり、安価なポンプを使用できる。
【0008】
本発明の望ましい態様として、前記第2処理領域は、前記第1処理領域からオーバーフローして流入した冷却媒体を下降流とする仕切部材を含み、前記下降流の冷却媒体の下方で前記仕切部材の反対側に通過した冷却媒体を前記ポンプに供給することが好ましい。この構造により、ポンプを通過する冷却媒体に含まれる気泡をより抑制することができる。
【0009】
本発明の望ましい態様として、前記第2処理領域は、前記仕切部材の反対側に通過した冷却媒体をフィルタに通過させてから前記ポンプに供給することが好ましい。この構造により、ポンプを通過する冷却媒体に含まれるスラッジ及び気泡をより抑制することができる。
【0010】
上述の目的を達成するために、クーラント浄化装置は、工作機械の冷却に使用した冷却媒体を貯留する第1処理領域と、前記第1処理領域に隣接し、ポンプを介して前記工作機械の冷却に使用するための媒体流路へ前記冷却媒体を供給する第2処理領域と、前記第1処理領域と前記第2処理領域とを区画し、前記第1処理領域での冷却媒体を下降流とする仕切部材と、前記下降流の冷却媒体の下方で前記仕切部材の反対側に通過した冷却媒体を前記ポンプに供給する前に通過させるフィルタと、を含むことを特徴とする。
【0011】
この構造により、ポンプを通過する冷却媒体に含まれるスラッジを抑制することができる。また、クーラント浄化装置は、ポンプを通過する冷却媒体に含まれる気泡を抑制することができる。その結果、ポンプは、気泡またはスラッジにも耐えるように、吸引力の高い特殊なポンプとしなくてもよくなり、安価なポンプを使用できる。
【0012】
本発明の望ましい態様として、前記第1処理領域を前記工作機械の下に配置していることが好ましい。この構造により、クーラント浄化装置の設置スペースを減らすことができる。また、工作機械とクーラント浄化装置との距離が短くなることから、媒体流路を短くすることができる。
【0013】
本発明の望ましい態様として、工作機械冷却システムは、上述したクーラント浄化装置と、前記クーラント浄化装置から前記ポンプを介して流入する冷却媒体を濾過する濾過装置と、を含むことが好ましい。
【0014】
この構造により、濾過装置で濾過するスラッジの量を低減できる。このため、濾過材料の交換頻度を抑制することができるので、工作機械冷却システムの稼働コストを抑制することができる。また、工作機械冷却システムは、使用後の冷却媒体を濾過装置へ移送するポンプに吸引されるスラッジを低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ポンプに吸引されるスラッジを低減することのできるクーラント浄化装置及び工作機械冷却システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、実施形態1の工作機械の構成を示す説明図である。
【図2】図2は、砥石とワークの配置を説明する説明図である。
【図3】図3は、実施形態1に係る工作機械の冷却システムを説明する説明図である。
【図4】図4は、実施形態1に係るクーラント浄化装置を説明する説明図である。
【図5】図5は、実施形態2に係るクーラント浄化装置を説明する説明図である。
【図6】図6は、実施形態3に係るクーラント浄化装置を説明する説明図である。
【図7】図7は、実施形態4に係るクーラント浄化装置を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0018】
(実施形態1)
図1は、実施形態1の工作機械の構成を示す説明図である。図2は、砥石とワークの配置を説明する説明図である。本実施形態に係る工作機械である歯車研削盤100は、砥石3の表面の研削歯が被加工物であるワークWと噛み合うことにより、歯車研削を行う研削装置である。図1に示すように、本実施形態の歯車研削盤100は、ベッド1と、コラム2と、砥石3と、ワークテーブル4と、カウンタコラム5と、クーラントノズル9とを含んでいる。なお、本実施形態の工作機械は、歯車研削盤100を例示するが、後述する冷却媒体(クーラント)を扱う他の工作機械についても適用できる。
【0019】
ベッド1は、歯車研削盤100のベース部(台座)となっており、コラム2と、ワークテーブル4と、カウンタコラム5とがベッド1上に形成されている。コラム2は、砥石3を支持し、砥石3の位置を制御する数値制御装置20を備えている。数値制御装置20は、制御手段であって信号ラインN1を介して、コラム2に対して砥石3の位置を制御する指示をすることができる。コラム2は、砥石3を支持し、砥石3の位置を制御するために、ベッド1に対してX方向に数値制御装置20の指示に基づいて移動可能となっている。
【0020】
また、コラム2は、砥石3を支持し砥石3の位置を制御するために、垂直スライド11と、旋回ヘッド12と、研削スライダ13とを有している。垂直スライド11は、コラム2に対して砥石3をZ方向へ数値制御装置20の指示に基づいて移動させる機構である。旋回ヘッド12は、コラム2に対して砥石3をR方向へ数値制御装置20の指示に基づいて旋回させる機構である。
【0021】
研削スライダ13は、コラム2に対して砥石3をY方向へ数値制御装置20の指示に基づいて移動させる機構である。研削スライダ13に支持された研削スピンドル14は、砥石3を回転駆動させるモータ等を有する駆動源である。
【0022】
砥石3は、図2に示すように、砥石3の表面に所望の歯車に対応する研削歯が形成されている。数値制御装置20の指示に基づいた研削スピンドル14の回転駆動により、砥石3は砥石回転中心軸3aを中心に回転する。
【0023】
ワークテーブル4は、上面に被加工物であるワークWを搭載可能な平面を有し、ベッド1上で回転方向Cに回転可能となっている回転テーブルである。また、ワークテーブル4は、砥石3が対面可能な位置に形成されている。
【0024】
カウンタコラム5は、ワークテーブル4上のワークWをその上方から押さえる機能を有する。図1及び図2に示すように、カウンタコラム5の外周には、カウンタコラム5の基部5a上に、駆動手段によりB方向に旋回する輪状部材である旋回リング6が設けられている。旋回リング6には、ワークWを保持可能な保持部である一対のグリッパ7、8と、ドレッシング装置10とが設けられている。
【0025】
一対のグリッパ7、8は、軸Oに対し対称に設けられており、グリッパ7、8により、ワークWをワークテーブル4に搬入及び搬出する。本実施形態のグリッパ7、8は、開閉する一対のホーク7a、8aにより、ワークWをその両側から挟み把持する機構であるが、ワークWを下からすくい上げる機構や、磁力や吸着機構の保持手段でもよい。また、ドレッシング装置10は、グリッパ7、8の間に備えられており、ドレッシング工具10aにより砥石3をドレッシングする。
【0026】
クーラントノズル9は、ワークWの研削中、研削油等のクーラント(冷却媒体)が研削部位上方より吐出し、研削屑の排除及びワークW及び砥石3の冷却を図っている。そして、クーラントは、冷却媒体としてベッド1の熱を奪い、ベッド1の熱変形を防止することができる。クーラントノズル9は、例えば、旋回ヘッド12に設けられている。
【0027】
図3は、実施形態1に係る工作機械の冷却システムを説明する説明図である。工作機械冷却システム200は、上述した工作機械である歯車研削盤100と、数値制御装置20と、クーラントノズル9から吐出する研削油等の冷却媒体(クーラント)iが循環する媒体流路Q1、媒体流路Q2、媒体流路Q3及び媒体流路Q4と、冷却媒体を循環させるためのポンプ31、ポンプ32及びポンプ33と、クーラント浄化装置21と、濾過装置22と、工作機械冷却装置40と、温度計51と、温度計52とを含む。本実施形態に係る工作機械冷却装置40は、冷却タンク24と、第1のチラー装置41と、第2のチラー装置42とを含む。
【0028】
数値制御装置20は、信号ラインN1を介して、砥石3の位置を制御する指示をする。そして、ワークWの研削が開始される。クーラントノズル9は、研削中、研削油等の冷却媒体iが研削部位上方より吐出し、研削屑の排除及びワークW及び砥石3の冷却を行う。媒体流路Q1、媒体流路Q2、媒体流路Q3及び媒体流路Q4は、冷却媒体が通過する配管である。数値制御装置20は、制御ラインP1、制御ラインP2及び制御ラインP3を介して、ポンプ31、ポンプ32及びポンプ33を駆動し、媒体流路Q1、媒体流路Q2、媒体流路Q3及び媒体流路Q4中の冷却媒体を循環させる。
【0029】
クーラント浄化装置21は、冷却媒体iが含む気泡を軽減し、冷却媒体iが含むスラッジ(泥状物)28を沈殿させるダーディタンクである。このため、クーラント浄化装置21内の冷却媒体i1は、媒体流路Q1から流入する冷却媒体iよりも気泡またはスラッジが低減された状態となる。そして、ポンプ31が媒体流路Q2を介して、クーラント浄化装置21内の冷却媒体i1を濾過装置22へ移送する。
【0030】
濾過装置22は、内部に濾過材料23を含む濾過タンクである。濾過材料23は、例えば、濾紙、合成繊維、金属網(金属フィルタ)等を用いることができる。冷却媒体i2は、濾過材料23により、スラッジ29を低減した冷却媒体i3となる。このため、濾過装置22内の冷却媒体i3は、媒体流路Q2から流入する冷却媒体i1よりもスラッジが低減された状態となる。そして、ポンプ32が媒体流路Q3を介して、濾過装置22内の冷却媒体i3を冷却タンク24へ移送する。なお、濾過装置22は、濾過材料23にスラッジ29が所定量蓄積される場合、濾過能力が低下するおそれがあるため、濾過材料23を交換する必要がある。
【0031】
冷却タンク24は、媒体流路Q3を介して移送されてきた冷却媒体i4の温度を下げるための流路である。第1のチラー装置41及び第2のチラー装置42の少なくとも1つは、熱交換することで上流側の冷却媒体i4の温度を下げることができる。第1のチラー装置41及び第2のチラー装置は、熱交換機であり、水冷式熱交換機であっても空冷式熱交換機であってもよい。第1のチラー装置41及び第2のチラー装置42は、熱交換部41a及び熱交換部42aで、上流側の冷却媒体i4の熱を奪うことができる。
【0032】
このため、冷却タンク24内の上流側の冷却媒体i4は、下流側の冷却媒体i5より温度が高い状態となる。そして、冷却タンク24は、上流側の冷却媒体i4よりも温度を低下させた下流側の冷却媒体i5を媒体流路Q4へ流通させることができる。そして、ポンプ33が媒体流路Q4を介して、冷却タンク24内の冷却媒体i5をクーラントノズル9へ移送する。なお、本実施形態では、第1のチラー装置41及び第2のチラー装置42を例示し、複数のチラー装置で冷却したが、1つのチラー装置であってもよい。
【0033】
クーラントノズル9は、冷却媒体iを吐出し、研削屑の排除及びワークW及び砥石3の冷却を図っている。そして、冷却媒体iは、ベッド1の熱を奪い、ベッド1の熱変形を防止することができる。
【0034】
温度計51は、工作機械の基準温度を計測する基準温度計測手段であり、本実施形態では、ベッド1の温度情報Tbを計測することができる。温度計52は、冷却タンク24内の温度を計測する制御温度計測手段であり、本実施形態では、下流側の冷却媒体i5の温度情報Tcを計測することができる。
【0035】
制御手段である数値制御装置20は、信号ラインt1を介して、温度計51の温度情報Tbを取得することができる。また、数値制御装置20は、信号ラインt2を介して、温度計52の温度情報Tcを取得することができる。温度計52は、下流側の冷却媒体i5の温度情報Tcを計測することができる。
【0036】
数値制御装置20は、信号ラインc1を介して第1のチラー装置41の運転状況を制御することができる。また、数値制御装置20は、信号ラインc2を介して第2のチラー装置42の稼働を制御することができる。本実施形態では、数値制御装置20を制御手段として説明するが、数値制御装置20とは別に、第1のチラー装置41及び第2のチラー装置42を制御する専用の制御装置を備え、この専用の制御装置で制御してもよい。
【0037】
図4は、実施形態1に係るクーラント浄化装置を説明する説明図である。クーラント浄化装置21は、据付面G上に設置され、かつ工作機械である歯車研削盤100の下に配置されている。この構造により、クーラント浄化装置21の設置スペースを減らすことができる。また、ベッド1とクーラント浄化装置21との距離が短くなることから、媒体流路Q1を短くすることができる。このため、スラッジの多い冷却媒体iが媒体流路Q1の配管を目詰まりさせるおそれを低減することができる。また、冷却媒体iは、自重により、ポンプを利用しなくても媒体流路Q1を通して、クーラント浄化装置21へ到達することもできる。このため、冷却媒体iは、ポンプでの気泡の巻き込みを低減することができる。なお、据付面Gは、地面であってもよく、建物の据付床であってもよい。
【0038】
クーラント浄化装置21は、第1処理領域21Aと、第2処理領域21Bと、堰25とを含む。第1処理領域21Aは、媒体流路Q1を介して流入しかつ歯車研削盤100の冷却に使用した冷却媒体iを貯留する。冷却媒体iは貯留しているうちに、スラッジ28が沈殿する。媒体流路Q1は、ベッド1から第1処理領域21Aで貯留する冷却媒体iの液面よりも深くなるように第1処理領域21Aに挿入されていることが好ましい。この構造により、流入する冷却媒体iが貯留している液面を乱してしまうことを抑制することができる。そして、第1処理領域21Aは、スラッジ28を沈殿させる沈殿領域となる。
【0039】
また、第1処理領域21Aをベッド1の下に配置している。この構造により、冷却媒体iは、自重により、ポンプを利用しなくても媒体流路Q1を通して、クーラント浄化装置21の第1処理領域21Aへ到達することができる。このため、冷却媒体iは、ポンプで気泡を巻き込む機会が抑制されている。
【0040】
第2処理領域21Bは、第1処理領域21Aに隣接し、ポンプ31の吸引により媒体流路Q2へ冷却媒体i2を供給する。第1処理領域21Aと第2処理領域21Bとは、堰25で区画されている。堰25は、クーラント浄化装置21の底部から上方に延在しており、第1処理領域21Aで堆積したスラッジ28を第2処理領域21Bに流れ込むことを抑制することができる。
【0041】
堰25は、第1処理領域21Aで貯留できる冷却媒体iの体積を超えた分の上澄みを第2処理領域21Bに流れ込ませることができる高さに設定されている。このため、堰25をオーバーフローした冷却媒体i1は、スラッジ28が減じられた状態で堰25を乗り越えることができる。
【0042】
また、堰25をオーバーフローした冷却媒体i1は、第2処理領域21Bで一度貯留される。このため、第2処理領域21Bにおいて、クーラント浄化装置21は、気泡を低減することができる。第2処理領域21B内において、媒体流路Q2の吸い込み口を第2処理領域21Bの底部近傍にすることができる。第2処理領域21Bでは、スラッジが低減された冷却媒体となっており、媒体流路Q2の吸い込み口を第2処理領域21Bの底部近傍にしても、スラッジを吸い込むおそれを低減できる。媒体流路Q2の吸い込み口を第2処理領域21Bの底部近傍にすると、クーラント浄化装置21は、気泡の少ない底部の冷却媒体i1を吸い込むことができるため、より気泡を少なくすることができる。
【0043】
上述したように、ポンプ31は、濾過装置22へ冷却媒体i2を吐出する。そして、濾過材料23は、クーラント浄化装置21からポンプ31を介して流入する冷却媒体i2を濾過する。この構造により、ポンプ31を通過する冷却媒体i2に含まれるスラッジが抑制されている。また、ポンプ31は、冷却媒体i2を吸引するので、直接冷却媒体iを吸引するよりも気泡を含む割合が少なくなる。その結果、ポンプ31は、大量のスラッジまたは気泡にも耐えるように、吸引力の高い特殊なポンプとしなくてもよくなり、安価なポンプを使用できる。
【0044】
また上述したように、工作機械冷却システム200は、上述したクーラント浄化装置21からポンプ31を介して流入する冷却媒体i2を濾過する濾過装置22と、を含む。
【0045】
この構造により、濾過装置22で濾過するスラッジ29の量を低減できる。このため、濾過材料23の交換頻度を抑制することができる。その結果、工作機械冷却システム200は、工作機械冷却システム200の稼働コストを抑制することができる。
【0046】
(実施形態2)
図5は、実施形態2に係るクーラント浄化装置を説明する説明図である。次の説明においては、実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。本実施形態のクーラント浄化装置21は、第1処理領域21Aと第2処理領域21Bと堰25とに加え、オーバーフローして流入した冷却媒体i1を下降流とする仕切部材26を含む。
【0047】
第2処理領域21Bは、第1処理領域21Aに隣接し、ポンプ31の吸引により媒体流路Q2へ冷却媒体i2を供給する。第1処理領域21Aと第2処理領域21Bとは、堰25で区画されている。堰25は、クーラント浄化装置21の底部から上方に延在しており、第1処理領域21Aで堆積したスラッジ28を第2処理領域21Bに流れ込むことを抑制することができる。
【0048】
堰25は、第1処理領域21Aで貯留できる冷却媒体iの体積を超えた分の上澄みを第2処理領域21Bに流れ込ませることができる高さに設定されている。このため、堰25をオーバーフローした冷却媒体i1は、スラッジ28が減じられた状態で堰25を乗り越えることができる。第2処理領域21Bは、上方からつり下げた仕切部材26を含み、仕切部材が第2処理領域21Bを下降流領域21Baと気液分離領域21Bbとに区画している。また、仕切部材26は、第2処理領域21Bの底部と間隔を空けている。このため、仕切部材26と第2処理領域21Bの底部との間には、冷却媒体流通口26Aがある。
【0049】
また、第2処理領域21Bの仕切部材26は、堰25をオーバーフローした冷却媒体i1を冷却媒体の流れが下方となる下降流の冷却媒体i11にする。冷却媒体i11が下方に流れるが、冷却媒体i11に含まれていた気泡は下降流領域21Baの上方に集まるようになる。
【0050】
冷却媒体i11は、冷却媒体流通口26Aを介して、冷却媒体i12として、仕切部材26の反対側、つまり下降流領域21Baから気液分離領域21Bbに流通することができる。仕切部材26は、気液分離作用があり、冷却媒体i12が含む気泡を、冷却媒体i1または冷却媒体i11が含む気泡よりも少なくすることができる。このため、第2処理領域21Bにおいて、クーラント浄化装置21は、気泡をより低減することができる。
【0051】
上述したように、ポンプ31は、濾過装置22へ冷却媒体i2を吐出する。そして、濾過材料23は、クーラント浄化装置21からポンプ31を介して流入する冷却媒体i2を濾過する。そして、本実施形態のクーラント浄化装置21は、仕切部材26を含み、堰25をオーバーフローした冷却媒体i1を冷却媒体の流れが下方となる下降流の冷却媒体i11にする。この構造により、ポンプ31を通過する冷却媒体i2に含まれるスラッジ及び気泡が抑制されている。その結果、ポンプ31は、大量のスラッジまたは気泡にも耐えるように、吸引力の高い特殊なポンプとしなくてもよくなり、安価なポンプを使用できる。
【0052】
(実施形態3)
図6は、実施形態3に係るクーラント浄化装置を説明する説明図である。次の説明においては、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。本実施形態のクーラント浄化装置21は、第1処理領域21Aと第2処理領域21Bと堰25とに加え、下降流の冷却媒体の下方で仕切部材26の反対側に通過した冷却媒体i12をポンプ31に供給する前に通過させるフィルタ27を含む。
【0053】
フィルタ27は、格子状若しくは網状のメッシュまたはパンチングメタル等である。フィルタ27は、冷却媒体i12中に残存するスラッジまたは気泡の少なくとも1つを低減することができる。
【0054】
第2処理領域21Bの仕切部材26は、堰25をオーバーフローした冷却媒体i1を冷却媒体の流れが下方となる下降流の冷却媒体i11にする。冷却媒体i11が下方に流れるが、冷却媒体i11に含まれていた気泡は下降流領域21Baの上方に集まるようになる。
【0055】
冷却媒体i11は、冷却媒体流通口26Aを介して、冷却媒体i12として、仕切部材26の反対側、つまり下降流領域21Baから気液分離領域21Bbに流通することができる。仕切部材26は、気液分離作用があり、冷却媒体i12が含む気泡を、冷却媒体i1または冷却媒体i11が含む気泡よりも少なくすることができる。
【0056】
本実施形態のクーラント浄化装置21は、気液分離領域21Bbにおいて、冷却媒体i12が上述したフィルタ27を通過する。ポンプ31に供給する前に、フィルタ27を通過するので、ポンプ31を通過する冷却媒体i2は、含まれるスラッジ及び気泡が、上述した実施形態の冷却媒体i2よりも抑制されている。その結果、ポンプ31は、大量のスラッジまたは気泡にも耐えるように、吸引力の高い特殊なポンプとしなくてもよくなり、安価なポンプを使用できる。
【0057】
(実施形態4)
図7は、実施形態4に係るクーラント浄化装置を説明する説明図である。次の説明においては、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。本実施形態のクーラント浄化装置21は、第1処理領域21Aと、第2処理領域21Cと、仕切部材26と、フィルタ27とを含む。
【0058】
第1処理領域21Aは、媒体流路Q1を介して流入しかつ歯車研削盤100の冷却に使用した冷却媒体iを貯留する。冷却媒体iは貯留しているうちに、スラッジ28が沈殿する。媒体流路Q1は、ベッド1から第1処理領域21Aで貯留する冷却媒体iの液面よりも深くなるように第1処理領域21Aに挿入されていることが好ましい。この構造により、流入する冷却媒体iが貯留している液面を乱してしまうことを抑制することができる。そして、第1処理領域21Aは、スラッジ28を沈殿させる沈殿領域となる。
【0059】
第2処理領域21Cは、第1処理領域21Aに隣接し、ポンプ31の吸引により媒体流路Q2へ冷却媒体i2を供給する。第1処理領域21Aと第2処理領域21Cとは、仕切部材26で区画されている。クーラント浄化装置21は、上方からつり下げた仕切部材26を含み、仕切部材26が第2処理領域21Cと第1処理領域21Aとに区画している。また、仕切部材26は、第2処理領域21Bの底部と間隔を空けている。このため、仕切部材26とクーラント浄化装置21の底部との間には、冷却媒体流通口26Aがある。
【0060】
仕切部材26は、冷却媒体iを冷却媒体の流れが下方となる下降流の冷却媒体i11にする。冷却媒体i11が下方に流れるが、冷却媒体i11に含まれていた気泡は第1処理領域21Aの上方に集まるようになる。
【0061】
冷却媒体i11は、冷却媒体流通口26Aを介して、冷却媒体i12として、仕切部材26の反対側、つまり第1処理領域21Aから第2処理領域21Cに流通することができる。仕切部材26は、気液分離作用があり、冷却媒体i12が含む気泡を、冷却媒体iまたは冷却媒体i11が含む気泡よりも少なくすることができる。このため、第2処理領域21Cにおいて、クーラント浄化装置21は、気泡を低減することができる。
【0062】
本実施形態のクーラント浄化装置21は、第2処理領域21Cにおいて、冷却媒体i12が上述したフィルタ27を通過する。ポンプ31に供給する前に、フィルタ27を通過するので、ポンプ31を通過する冷却媒体i2は、含まれるスラッジ及び気泡が冷却媒体i12よりも抑制されている。その結果、ポンプ31は、大量のスラッジまたは気泡にも耐えるように、吸引力の高い特殊なポンプとしなくてもよくなり、安価なポンプを使用できる。
【0063】
また、上述したように、工作機械冷却システム200は、上述したクーラント浄化装置21からポンプ31を介して流入する冷却媒体i2を濾過する濾過装置22と、を含む。
【0064】
この構造により、濾過装置22で濾過するスラッジ29の量を低減できる。このため、濾過材料23の交換頻度を抑制することができる。その結果、工作機械冷却システム200は、工作機械冷却システム200の稼働コストを抑制することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 ベッド
2 コラム
3 砥石
3a 砥石回転中心軸
4 ワークテーブル
5 カウンタコラム
6 旋回リング
7、8 グリッパ
9 クーラントノズル
10 ドレッシング装置
10a ドレッシング工具
11 垂直スライド
12 旋回ヘッド
13 研削スライダ
14 研削スピンドル
20 数値制御装置
21 クーラント浄化装置
21A 第1処理領域
21B、21C 第2処理領域
21Ba 下降流領域
21Bb 気液分離領域
22 濾過装置
23 濾過材料
24 冷却タンク
25 堰
26 仕切部材
26A 冷却媒体流通口
27 フィルタ
28、29 スラッジ
31、32、33 ポンプ
40 工作機械冷却装置
41 第1のチラー装置
41a 熱交換部
42 第2のチラー装置
42a 熱交換部
51 温度計
52 温度計
100 歯車研削盤
200 工作機械冷却システム
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の冷却に使用した冷却媒体を貯留する第1処理領域と、
前記第1処理領域に隣接し、ポンプを介して前記工作機械の冷却に使用するための媒体流路へ前記冷却媒体を供給する第2処理領域と、
前記第1処理領域と前記第2処理領域とを区画し、前記冷却媒体が前記第1処理領域から前記第2処理領域にオーバーフローする堰と、
を含むことを特徴とするクーラント浄化装置。
【請求項2】
前記第2処理領域は、前記第1処理領域からオーバーフローして流入した冷却媒体を下降流とする仕切部材を含み、前記下降流の冷却媒体の下方で前記仕切部材の反対側に通過した冷却媒体を前記ポンプに供給する請求項1に記載のクーラント浄化装置。
【請求項3】
前記第2処理領域は、前記仕切部材の反対側に通過した冷却媒体をフィルタに通過させてから前記ポンプに供給する請求項2に記載のクーラント浄化装置。
【請求項4】
工作機械の冷却に使用した冷却媒体を貯留する第1処理領域と、
前記第1処理領域に隣接し、ポンプを介して前記工作機械の冷却に使用するための媒体流路へ前記冷却媒体を供給する第2処理領域と、
前記第1処理領域と前記第2処理領域とを区画し、前記第1処理領域での冷却媒体を下降流とする仕切部材と、
前記下降流の冷却媒体の下方で前記仕切部材の反対側に通過した冷却媒体を前記ポンプに供給する前に通過させるフィルタと、
を含むことを特徴とするクーラント浄化装置。
【請求項5】
前記第1処理領域を前記工作機械の下に配置している請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のクーラント浄化装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のクーラント浄化装置と、前記クーラント浄化装置から前記ポンプを介して流入する冷却媒体を濾過する濾過装置と、を含む工作機械冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−103325(P2013−103325A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251052(P2011−251052)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】