説明

グミキャンディーおよびその製造方法

【課題】従来にない硬さや噛みごたえのある新規な食感を持ち、また、溶解しにくく、健康食品として好適であり、さらに、高温環境下でも取り扱いが容易な従来にないグミキャンディーおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】ゼラチンと、糖質と、乳清タンパクとを含有しているグミキャンディー。このグミキャンディーは、乳清タンパクを含有しているので、乳清タンパクにより硬さ、粘性、弾力、噛みごたえ等が改善され、伸びにくく、歯切れが良く、歯に付きにくい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グミキャンディーおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、グミキャンディー(いわゆるゼラチングミキャンディー)は、糖質とゼラチンを主成分として形成され、糖質を50〜95重量%、ゼラチンを3〜10%、ペクチンを1〜5重量%含有する。さらには、所望の添加物(例えば、フルーツ果汁、食用色素、甘味剤、リンゴ酸等の食用有機酸、各種ビタミン、食品香料など)を1〜20重量%の量で含有し、水分を好ましくは15〜25重量%含有する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−79313号公報(段落0002、0007、0008)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のグミキャンディーは、主にゼラチンの粘性により伸び易く、歯切れが悪く、その上、歯に付き易く食感等を損ねている。また、この種のグミキャンディーを健康食品として用いることが考えられるが、従来のグミキャンディーは溶解し易く、食べた時に固形物として口腔内に滞在する時間が短いため、長く舐め続けることは困難であり、噛みごたえも少ない。そのため、長く舐め続けて唾液の分泌を促進して、栄養分等の消化・吸収を図ったり、そしゃくによる顎の筋肉の強化を図ったりすることが求められる健康食品には用いることができない。さらに、従来のグミキャンディーは、約38℃でゼラチンが溶解して互いにくっつき易くなるため、ボトル容器等に詰めて保存することが困難であり、また、温度の高い場所や地域では取り扱いが容易でなく、輸送したり保存することができない。
【0004】
本発明は、従来にない硬さや噛みごたえのある新規な食感を持ち、また、溶解しにくく、健康食品として好適であり、さらに、高温環境下でも取り扱いが容易な従来にないグミキャンディーおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明にかかるグミキャンディーは、ゼラチンと、糖質と、乳清タンパクとを含有していることを特徴としている(請求項1)。
【0006】
また、本発明にかかるグミキャンディーは、前記乳清タンパクの割合が、5〜30重量%であることを特徴としている(請求項2)。
【0007】
また、本発明にかかるグミキャンディーは、健康食品原料をさらに含有していることを特徴としている(請求項3)。
【0008】
また、本発明にかかるグミキャンディーは、硬さの調整材として、塩類、カテキン類、フラボノイド類、ポリフェノール類、カルシウム類の少なくともいずれかを添加してなることを特徴としている(請求項4)。
【0009】
また、本発明にかかるグミキャンディーは、前記糖質が、シュガーレス甘味料であることを特徴としている(請求項5)。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明にかかるグミキャンディーの製造方法は、ゼラチン溶解液を用意する工程と、糖質と前記ゼラチン溶解液とを混合してなるゼラチン混合液を用意する工程と、乳清タンパク溶液を用意する工程と、前記乳清タンパク溶液と前記ゼラチン混合液とを混合してなるグミ原液を用意する工程と、前記グミ原液を成形型に充填して所定の形状に成形する工程とを含むことを特徴としている(請求項6)。
【0011】
また、本発明にかかるグミキャンディーの製造方法は、健康食品原料を添加する工程をさらに含むことを特徴としている(請求項7)。
【0012】
また、本発明にかかるグミキャンディーの製造方法は、硬さの調整材として、塩類、カテキン類、フラボノイド類、ポリフェノール類、カルシウム類の少なくともいずれかを混合する工程をさらに含むことを特徴としている(請求項8)。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、6の発明のグミキャンディーによれば、ゼラチンと糖質の他に乳清タンパクを含有しているので、乳清タンパクにより硬さ、粘性、弾力、噛みごたえ等が改善され、伸びにくく、歯切れが良く、歯に付きにくい新規なグミキャンディーを提供することができる。
【0014】
また、乳清タンパクを加えることにより、溶解しにくくなり、舐め続けても固形の状態で口腔内で長く滞在するようになるので、健康食品として用いることが可能となる。
【0015】
さらに、溶解しにくくなるので、グミキャンディー同士が互いにくっつきにくく、ボトル容器等に詰めて保存することができ、また、温度の高い場所や地域での輸送や保存が可能になる。
【0016】
請求項2の発明によれば、グミキャンディーが乳清タンパクを5〜30重量%を含有しているので、より優れた食感と溶解性を有するグミキャンディーを提供することができる。
【0017】
請求項3、7の発明によれば、健康食品原料をさらに含有することにより、長く舐め続けて唾液の分泌を促進し、健康食品原料を効果的に吸収することができ、従来にない新規な食感の健康食品としてのグミキャンディーを提供することができる。
【0018】
請求項4、8の発明によれば、硬さの調整材として塩類、カテキン類、フラボノイド類、ポリフェノール類、カルシウム類の少なくともいずれかを含むので、健康食品としてより好適な硬さのグミキャンディーを提供することができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、糖質がシュガーレス甘味料であるので、虫歯の予防やダイエットにも好適なグミキャンディーを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明にかかるグミキャンディーの一実施形態について、図1および図2を参照して説明する。図1はグミキャンディーの製造手順のフローチャート、図2は製造されたグミキャンディーの斜視図である。
【0021】
(グミキャンディーの構造)
本実施形態のグミキャンディーは、特に糖質とゼラチンの他に乳清タンパクを含有し、乳清タンパクによりグミキャンディーの硬さ、弾性、粘性等の食感を改善する。さらには、硬さを調整する原料や香料、調味料、健康食品原料、水分等も含む。
【0022】
グミキャンディーに含まれる糖質として、水飴、砂糖、糖アルコール、多糖類、オリゴ糖、ブドウ糖類、トレハロース、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、デキストリン類等がある。
【0023】
また、ゼラチンとして、豚由来、魚由来、鳥由来のものが挙げられ、それぞれ酸処理、アルカリ処理されたものや低分子化されたものが使用される。ゼラチンの含有量は3〜13重量%であり、好ましくは5〜9重量%である。なお、本実施形態における含有量は、いずれも製造されたグミキャンディーの最終重量に対しての割合である。
【0024】
乳清タンパクは、乳製品から分離されるタンパク質であればよく、改質乳清タンパク液、濃縮乳清タンパク粉末等を含む。なお、改質乳清タンパクは乳清タンパクをさらに精製したものであり、均一なゲル形成がなされ、塩類、カルシウム類、ポリフェノール類を混合して加熱処理を行わなくても、ゲル化する特徴を備える。乳清タンパクの含有量は5〜30重量%であり、好ましくは8〜25重量%である。
【0025】
次に、グミキャンディーの硬さを調整する原料として、塩類(食塩、クエン酸、リンゴ酸等)、カテキン類、フラボノイド類、ポリフェノール類、カルシウム類(乳酸カルシウム、酒石酸カルシウム等)が挙げられ、特に、乳酸カルシウムを使用するのが好ましい。そして、塩類の含有量は0.6〜3重量%であることが好ましく、望ましくは1〜2重量%である。また、カルシウム類の含有量は0.05〜0.3重量%であることが好ましく、望ましくは0.1〜0.2重量%である。また、カテキン類の含有量は0.05〜0.4重量%であることが好ましく、望ましくは0.1〜0.4重量%である。
【0026】
また、製造したグミキャンディーの水分含有量は、5〜25重量%が適当であり、好ましくは8〜22重量%である。
【0027】
さらに、健康食品原料としては、油成分(大豆、卵黄レシチン類、ごま油や肝油、リノール酸を含む油類などの植物性油、馬油等の動物性油)、アルコール類(植物抽出アルコールエキス、動物抽出アルコールエキス、アルコール性香料等)、ビタミン類等が挙げられるが、その他、関節等への成分補給、口腔内ケア、アンチエイジング、美容を目的としたものでもよく、さらに、糖質やその他の原料として兼用するものであってもよい。例えば、糖質であるキシリトールや、塩類であるリンゴ酸は健康食品原料としても使用できる。
【0028】
(製造方法)
本実施形態のグミキャンディーは、例えば図1に示すように、以下に説明する手順で製造される。
【0029】
はじめに、健康食品原料を計量する。そして、計量した健康食品原料を水に溶解し、健康食品溶解液を製造する(ステップS1)。なお、健康食品原料は、その特性により、水と乳清タンパク液の混合液、乳清タンパク液、アルコール、水とアルコールの混合液に溶解してもよい。
【0030】
次に、ゼラチンを水に溶解したゼラチン溶解液を製造する。ゼラチンは、例えば、5重量%を計量し、水を添加して湯煎にかけて溶解する(ステップS2)。なお、ここで使用する水に、健康食品原料を予め溶解してもよい。
【0031】
そして、ゼラチン溶解液に還元水飴を混合する。還元水飴の混合量は、一例として50重量%である(ステップS3)。なお、このゼラチン溶解液には、その他の糖質や塩類等をあらかじめ混合してもよい。例えば、麦芽糖10重量%、トレハロース6重量%、クエン酸1重量%を計量し、混合した粉末原料を製造し(ステップS4)、還元水飴50重量%を混合したゼラチン溶解液に混合する(ステップS5)。そして、120℃前後の加熱処理を行いながら、糖度(BIX)が70〜85になるまで水分を蒸発させたゼラチン溶解液を製造する(ステップS6)。
【0032】
次に、上記したゼラチン溶解液に投入する乳清タンパク溶液を用意する。乳清タンパク溶液には、例えば、改質乳清タンパク液を使用し、改質乳清タンパク液15重量%に乳酸カルシウム0.1重量%、香料0.5重量%を混合して製造する。なお、この乳清タンパク溶液に健康食品溶解液を混合してもよい(ステップS7)。
【0033】
そして、乳清タンパク溶液をゼラチン溶解液に投入して溶解し、グミ原液を製造する(ステップS8)。
【0034】
次に、グミ原液を目的の大きさにあった成形型に充填する(ステップS9)。成形型は、例えばコーンスターチの粉末に雄型を当てて、所望の形状の窪みを形成したものである。そして、この窪みにグミ原液を充填して冷却する。その後、成形型に充填したグミ原液を50℃で15時間乾燥する(ステップS10)。そして、コーンスターチの成形型を破壊して、製造されたグミキャンディーを取り出し製造を終了する。
【0035】
図2は製造されたグミキャンディー1を示し、食べ易い直方体の形状である。なお、グミキャンディーの形状や大きさは、食べ易さや目的に合わせてどのような形状に形成されてもよく、例えば星型、動物型等であってもよい。また、製造されたグミキャンディーの重量も、目的に合わせて2〜50g程度の範囲内で適当に設定すればよい。
【0036】
なお、製造されたグミキャンディーには、保存性や食感、味付け等を目的として、コーティングや糖衣等の加工をさらに施してもよい。
【0037】
したがって、本実施形態によると、乳清タンパクを加えることにより、硬さ、粘性、弾力、噛みごたえがあり、伸びにくく、歯切れが良く、歯に付きにくい新規な食感のグミキャンディーを提供することができる。また、溶解しにくく、食べた時に固形物として口腔内で長く滞在し、従来にない新規な食感の健康食品としてのグミキャンディーを提供することができる。さらに、溶解しにくいので、グミキャンディー同士が互いにくっつきにくく、ボトル容器等につめて保存することができ、また、温度の高い場所や地域での輸送や保存も可能となる。
【実施例】
【0038】
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0039】
(実施例1)
本実施例では、ゼラチン5重量%に水を添加して溶解したゼラチン溶解液に、還元水飴を50重量%混合した。そして、麦芽糖10重量%、トレハロース6重量%、クエン酸1重量%を混合した粉末原料を製造し、還元水飴50重量%を混合したゼラチン溶解液に混合した。そして、改質乳清タンパク液15重量%に、乳酸カルシウム0.1重量%、香料0.5重量%を混合した乳清タンパク溶液をゼラチン溶解液に投入して溶解し、グミ原液を製造し、成形型に充填して成形した。
【0040】
また、改質乳清タンパク液15重量%の代わりに同量の水を使用し、水を使用した以外は実施例1と同様の方法で比較例1としてのグミキャンディーを得た。
【0041】
その結果、実施例1および比較例1で得たグミキャンディーの食感について、以下の表1の結果が得られた。
【0042】
【表1】

【0043】
表1に示すように、実施例1で得たグミキャンディーは比較例1で得たグミキャンディーに比べて、伸びの軽減、粘性の低下、歯付きの軽減が確認された。また、従来に比べて溶解しにくく、高温環境下でも容易に溶解しないことが判明した。そして、適度な硬さ、噛みごたえのある新規な食感をもち、食べた時には固形物として口腔内に長く滞在する従来にないグミキャンディーが得られた。
【0044】
また、実施例1および比較例1で得たグミキャンディーの圧縮強度の測定を行った。測定器として、SMS社製の型番TA−XT2iのテクスチュア・アナライザーを使用し、実施例1および比較例1でそれぞれ得た高さ約9mmのグミキャンディーを検体として直径50mm平板プランジャーで20%圧縮したときの圧縮強度(N)を測定した。その結果、実施例1で得たグミキャンディーの圧縮強度は4.56(N)、比較例1で得たグミキャンディーの圧縮強度は2.23(N)であり、実施例1で得たグミキャンディーのほうが圧縮強度が優れていることが確認された。なお、測定時の検体温度は25〜25.3℃であった。
【0045】
したがって、これらの結果から、実施例1で得たグミキャンディーが、硬さ、粘性、弾力、噛みごたえがある従来にない新しい食感のグミキャンディーであることが確認できた。
【0046】
[調整例1]
次に、上記した実施例1のグミキャンディーについて、改質乳清タンパクの量を種々に変えて製造した。なお、増加した改質乳清タンパクの量だけ還元水飴の量を少なくして調整した。以下の表2にその配合比[%]を示し、表2の「NO」の1〜8は製造したグミキャンディーを表す。
【0047】
【表2】

【0048】
そして、表2の各グミキャンディーの食感について比較したところ、次の表3の結果が得られた。なお、表3の1〜8は、それぞれ表2の「NO」の1〜8のグミキャンディーに対応している。また、表中の記号◎、○、△、×は以下の結果を示しており、以下、同様の記号は同様の結果を示す。
◎:良好
○:良
△:可
×:不可
【0049】
【表3】

【0050】
表3に示したように、使用する乳清タンパクの量が全体量の5〜30重量%のときに、食感、粘性、歯切れ等がよく、満足のいく食感が得られることが判明した。そして、乳性タンパクの量が全体量の8〜25重量%のときに、最も好ましい食感が得られた。
【0051】
[調整例2]
次に、上記した実施例1のグミキャンディーについて、ゼラチンの量を種々に変えて、実施例1と同様の方法でグミキャンディーを製造した。なお、増加したゼラチンの量だけ還元水飴の量を少なくして調整した。以下の表4にその配合比[%]を示す。なお、表4の「NO」の1〜6は製造したグミキャンディーを表す。
【0052】
【表4】

【0053】
そして、表4の各グミキャンディーの食感について比較したところ、表5の結果が得られた。なお、表5の1〜6は、それぞれ表4の「NO」の1〜6のグミキャンディーに対応している。
【0054】
【表5】

【0055】
表5に示したように、使用するゼラチンの量が全体量の3〜13重量%のときに、食感、粘性、歯切れ等がよく、満足のいく食感が得られることが判明した。そして、ゼラチンの量が全体量の5〜9重量%のときに、最も好ましい食感が得られた。なお、ゼラチンの量が5重量%を下回る場合は満足のいく食感が得られず、12重量%を超える場合は硬くなりすぎ弾力がないということも判明した。
【0056】
[調整例3]
次に、上記した実施例1のグミキャンディーについて、水分の含有量を種々に変えて、実施例1と同様の方法でグミキャンディーを製造した。以下の表6にその配合比[%]を示す。なお水分含有量は、製造した後のグミキャンディーに対する配合比である。なお、表6の「NO」の1〜6は製造したグミキャンディーを表す。
【0057】
【表6】

【0058】
そして、表6の各グミキャンディーの食感について比較したところ、表7の結果が得られた。なお、表7の1〜6は、それぞれ表6の「NO」の1〜6のグミキャンディーに対応している。
【0059】
【表7】

【0060】
表7に示したように、水分含有量が全体量の5〜25重量%のときに、食感、粘性、歯切れ等がよく、満足のいく食感が得られることが判明した。そして、水分含有量が全体量の8〜22重量%のときに、最も好ましい食感が得られた。
【0061】
(実施例2)
次に、上記した実施例1のグミキャンディーについて、硬さを調整するための塩類を含む場合について、塩類の量を種々に変えて実施例1と同様の方法でグミキャンディーを製造した。なお、塩類は実施例1の乳酸カルシウムに代えてNaClを使用し、増加したNaClの量だけ還元水飴の量を少なくして調整した。以下の表8にその配合比[%]を示す。なお、表8の「NO」の1〜7は製造したグミキャンディーを表す。
【0062】
【表8】

【0063】
そして、表8の各グミキャンディーの食感について比較したところ、表9の結果が得られた。なお、表9の1〜7は、それぞれ表8の「NO」の1〜7のグミキャンディーに対応している。
【0064】
【表9】

【0065】
表9に示したように、使用するNaClの量が全体量の0.6〜3重量%のときに、食感、粘性、歯切れ等がよく、満足のいく食感が得られることが判明した。そして、NaClの量が全体量の1〜2重量%のときに、最も好ましい食感が得られた。
【0066】
(実施例3)
次に、上記した実施例1のグミキャンディーについて、硬さを調整するためのカルシウム類を含む場合について、カルシウム類の量を種々に変えて実施例1と同様の方法でグミキャンディーを製造した。なお、カルシウム類には乳酸カルシウムを使用し、増加した乳酸カルシウムの量だけ還元水飴の量を少なくして調整した。以下の表10にその配合比[%]を示す。なお、表10の「NO」の1〜6は製造したグミキャンディーを表す。
【0067】
【表10】

【0068】
そして、表10の各グミキャンディーの食感について比較したところ、表11の結果が得られた。なお、表11の1〜6は、それぞれ表10の「NO」の1〜6のグミキャンディーに対応している。
【0069】
【表11】

【0070】
表11に示したように、使用する乳酸カルシウムの量が全体量の0.05〜0.3重量%のときに、食感、粘性、歯切れ等がよく、満足のいく食感が得られることが判明した。そして、乳酸カルシウムの量が全体量の0.1〜0.2重量%のときに、最も好ましい食感が得られた。
【0071】
(実施例4)
次に、上記した実施例1のグミキャンディーについて、硬さを調整するためのカテキン類を含む場合について、カテキン類の量を種々に変えて実施例1と同様の方法でグミキャンディーを製造した。なお、カテキン類には実施例1の乳酸カルシウムに代えて栗カテキンを使用し、増加した栗カテキンの量だけ還元水飴の量を少なくして調整した。以下の表12にその配合比[%]を示し、表12の「NO」の1〜6は製造したグミキャンディーを表す。
【0072】
【表12】

【0073】
そして、表12の各グミキャンディーの食感について比較したところ、表13の結果が得られた。なお、表13の1〜6は、それぞれ表12の「NO」の1〜6のグミキャンディーに対応している。
【0074】
【表13】

【0075】
表13に示したように、使用するカテキン類の量が全体量の0.05〜0.4重量%のときに、食感、粘性、歯切れ等がよく、満足のいく食感が得られることが判明した。そして、栗カテキンの量が全体量の0.1〜0.4重量%のときに、最も好ましい食感が得られた。
【0076】
(実施例5)
次に、実施例1のグミキャンディーについて健康食品原料を混合して、実施例1と同様の方法でグミキャンディーを製造した。実施例5では、実施例1のクエン酸に代えて健康食品原料としての菜種油を添加した。以下の表14にその配合比[%]を示す。
【0077】
【表14】

【0078】
そして、表14の各グミキャンディーの食感について、表15の結果が得られた。
【0079】
【表15】

【0080】
表15に示したように、実施例5で得られたグミキャンディーは、菜種油を配合しても食感、粘性、歯切れ等がよく、満足のいく食感が得られることが判明した。したがって、実施例1のグミキャンディーに油分を配合することは可能であることが確認された。
【0081】
(実施例6)
次に、実施例1のグミキャンディーについて、実施例1のクエン酸に代えて健康食品原料としてのアルコール溶液を添加して、実施例1と同様の方法でグミキャンディーを製造した。以下の表16にその配合比[%]を示す。なお、アルコール溶液はエタノールを使用し、乳清タンパク溶液に混合した。
【0082】
【表16】

【0083】
そして、表16の各グミキャンディーの食感について、表17の結果が得られた。
【0084】
【表17】

【0085】
表17に示したように、実施例6で得られたグミキャンディーは、エタノールを配合しても食感、粘性、歯切れ等がよく、満足のいく食感が得られることが判明した。したがって、実施例1のグミキャンディーにアルコール溶液を配合することは可能であることが確認された。
【0086】
(実施例7)
次に、上記した実施例1のグミキャンディーに混合健康食品原料は、酸性、アルカリ性を示すものであることもあるので、健康食品原料が酸性、アルカリ性であっても実施例1のグミキャンディーに添加することが可能であるか、実施例1の水をpHの調整水に代えて、実施例1と同様の方法でグミキャンディーを製造した。なお、pHの調整水は、水と酸性水、水とアルカリ水、水と強アルカリ水で調整したものを使用し、グミキャンディーのpHがそれぞれpH=3、pH=7、pH=10となるように調整した。以下の表18にその配合比[%]を示す。
【0087】
【表18】

【0088】
そして、表18の各グミキャンディーの食感について比較したところ、表19の結果が得られた。なお、表19の「pH」の3、7、10は、それぞれ表18の「pH」の3、7、10のグミキャンディーに対応している。
【0089】
【表19】

【0090】
表19に示したように、実施例7で得られた各グミキャンディーは、酸性領域で硬くなり、アルカリ性領域では柔らかいという結果が得られたものの、大きな変化ではなく、pHがそれぞれpH=3、pH=7、pH=10であっても食感、粘性、歯切れ等がよく、満足のいく食感が得られることが判明した。したがって、実施例1のグミキャンディーに酸性、中性、アルカリ性の添加食品を配合することは可能であることが確認された。
【0091】
(実施例8)
次に、上記した実施例1のグミキャンディーに、健康食品原料の一例として口内ケアを目的とした原料であるリベチン含有脱脂卵黄粉末を添加して、実施例1と同様の方法でグミキャンディーを製造した。以下の表20にその配合比[%]を示す。
【0092】
【表20】

【0093】
そして、表20の各グミキャンディーの食感について、表21の結果が得られた。
【0094】
【表21】

【0095】
表21に示したように、実施例8で得られたグミキャンディーは、リベチン含有脱脂卵黄粉末を配合しても食感、粘性、歯切れ等がよく、満足のいく食感が得られることが判明した。したがって、実施例1のグミキャンディーにリベチン含有脱脂卵黄粉末を配合することは可能であることが確認された。
【0096】
(実施例9)
次に、上記した実施例1のグミキャンディーに、健康食品原料の他の例としてダイエットを目的とした原料であるL−シトルリンを添加して、実施例1と同様の方法でグミキャンディーを製造した。以下の表22にその配合比[%]を示す。
【0097】
【表22】

【0098】
そして、表22の各グミキャンディーの食感について、表23の結果が得られた。
【0099】
【表23】

【0100】
表23に示したように、実施例9で得たグミキャンディーは、L−シトルリンを配合しても食感、粘性、歯切れ等がよく、満足のいく食感が得られることが判明した。したがって、実施例1のグミキャンディーにL−シトルリンを配合することは可能であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明にかかるグミキャンディーの製造手順の一例を示すフローチャートである。
【図2】本発明にかかるグミキャンディーの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0102】
1 グミキャンディー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼラチンと、糖質と、乳清タンパクとを含有していることを特徴とするグミキャンディー。
【請求項2】
前記乳清タンパクの割合は、5〜30重量%であることを特徴とする請求項1に記載のグミキャンディー。
【請求項3】
健康食品原料をさらに含有していることを特徴とする請求項1または2に記載のグミキャンディー。
【請求項4】
硬さの調整材として、塩類、カテキン類、フラボノイド類、ポリフェノール類、カルシウム類の少なくともいずれかを添加してなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のグミキャンディー。
【請求項5】
前記糖質は、シュガーレス甘味料であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のグミキャンディー。
【請求項6】
ゼラチン溶解液を用意する工程と、
糖質と前記ゼラチン溶解液とを混合してなるゼラチン混合液を用意する工程と、
乳清タンパク溶液を用意する工程と、
前記乳清タンパク溶液と前記ゼラチン混合液とを混合してなるグミ原液を用意する工程と、
前記グミ原液を成形型に充填して所定の形状に成形する工程と、
を含むことを特徴とするグミキャンディーの製造方法。
【請求項7】
健康食品原料を添加する工程をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のグミキャンディーの製造方法。
【請求項8】
硬さの調整材として、塩類、カテキン類、フラボノイド類、ポリフェノール類、カルシウム類の少なくともいずれかを混合する工程をさらに含むことを特徴とする請求項6または7に記載のグミキャンディーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−130935(P2010−130935A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309304(P2008−309304)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(505054885)有限会社コバタ総合研究所 (3)
【Fターム(参考)】