説明

グラフィックフィルムを非平面基材の上に接着する工程

グラフィックフィルムを非平面基材の上に接着する方法が開示される。前記方法は、少なくとも1つの層のガラス転移温度が少なくとも約40℃である2つ以上の層を有するポリマーフィルム複合体を提供する工程を含み、前記ポリマーフィルム複合体は第1面及び第2面、前記第2面の上に配置される接着層を有する。次に、前記方法は、前記接着層を前記非平面基材に定置する工程と、前記ポリマーフィルム複合体を加熱する工程と、前記加熱されたポリマーフィルムを前記非平面基材に押圧する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、現在係属中の2006年6月29日付申請の米国特許出願第11/427,398号の一部継続出願であり、その全ての内容は、ここに、参照により取り入れられている。
【0002】
(発明の分野)
本開示は一般に非平面基材上にグラフィックを表示することに関する。
【背景技術】
【0003】
接着剤でコーティングされたプラスチックフィルム、特に感圧性接着剤又は圧力によって活性化する接着剤を有するビニルフィルムは、広告、装飾、保護等のような様々な理由により様々な表面に適用される。これら表面のほとんどはどちらかといえばほぼ平面である。しかしながら、非平面的又は不規則な表面も多く存在し、これらには欠陥、継ぎ目、リベット、及びその他の突出部又はくぼみを挙げることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィルムをこれら不規則な表面に適用し接着させる場合、接着剤を不規則な表面と接触させるためフィルムにひずみを与えてもよい。このような不規則な表面の場所のフィルムの残留応力は接着剤の保持力を上回り、フィルムが接着された表面からフィルムが持ち上がってしまう結果となる。これにより不完全な外観が生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の例示的且つ非限定的な例では、非平面基材の上にフィルム又はグラフィックフィルムを接着する方法が開示される。ガラス転移温度が少なくとも40℃であるポリマーフィルム又はポリマーフィルム複合体内の層が提供される。ポリマーフィルム複合体は、当該技術分野において既知の方法で互いに固着された、少なくとも2層のポリマーフィルムから成る複合体である。前記ポリマーフィルム又はポリマーフィルム複合体は、フィルム又は複合体の第2面に配置される接着層を有する。画像は、前記接着剤と反対側の前記ポリマーフィルム上に、前記接着剤と反対側の前記ポリマーフィルム複合体上に、又は前記ポリマーフィルム複合体の層の間に含まれてもよい。前記接着層は、前記ポリマーフィルム又はポリマーフィルム複合体が非平面基材の凹凸を少なくとも部分的に埋めるように前記非平面基材に位置決めされてもよく、そして前記ポリマーフィルム又はポリマーフィルム複合体が加熱される。前記加熱されたポリマーフィルム又はポリマーフィルム複合体は、前記接着層の大部分が前記非平面基材と接触し且つ前記非平面基材に接着するように前記非平面基材に押圧される。
【0006】
本開示の別の例示的且つ非限定的な例において、非平面基材の上にフィルムを接着する方法が開示される。前記方法は、ガラス転移温度が約30℃未満である第1のポリマーフィルムを提供する工程、第1面及び第2面、前記第2面の上に配置される接着層を有する第1のポリマーフィルムを提供する工程と、ガラス転移温度が少なくとも約40℃である第2のポリマーフィルムを提供する工程と、前記第2のポリマーフィルムを前記第1のポリマーフィルムに積層してポリマーフィルム複合体を形成する工程と、前記第1のポリマーフィルムの前記接着層を前記非平面基材に定置する工程と、前記ポリマーフィルム複合体を加熱する工程と、前記接着層の大部分が前記非平面基材と接触し且つ前記非平面基材に接着するように、前記加熱されたポリマーフィルムを前記非平面基材に押圧する工程と、を含む。
【0007】
本開示の別の例示的且つ非限定的な例において、フィルム又はグラフィックフィルムを非平面基材の上に接着する方法が開示される。前記方法は、ガラス転移温度が約30℃未満である第1のポリマーフィルムであって、第1面及び第2面、前記第2面の上に配置される接着層を有する第1のポリマーフィルムを提供する工程と、画像を前記第1面に印刷する工程と、ガラス転移温度が少なくとも約40℃である第2のポリマーフィルムを提供する工程と、前記第2のポリマーフィルムを前記第1のポリマーフィルムに前記画像の上に積層してポリマーフィルム複合体を形成する工程と、前記第1のポリマーフィルムの前記接着層を前記非平面基材に定置する工程と、前記ポリマーフィルム複合体を加熱する工程と、前記加熱されたポリマーフィルムが前記非平面基材に接着するように、前記加熱されたポリマーフィルムを前記非平面基材に押圧する工程と、を含む。
【0008】
本開示の上記要約は無限定であることを意図していない。本開示のその他の詳細は図面とともになされる以下の詳細な説明から当業者に明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
特に明記しない限り、本明細書と請求項で用いられている特徴的なサイズ、量、及び、物理的特性を表すすべての数は、すべての場合において「約」という用語によって変更されることを理解されたい。したがって、特に記載のない限り、前述の明細書及び添付の請求の範囲に記載されている数のパラメータは、本願明細書で開示する教示を利用する当業者が得ようと試みる所望の特性に応じて変えることのできる近似値である。
【0010】
端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に含まれるすべての数(例えば1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)、及び、その範囲内のあらゆる範囲が含まれる。
【0011】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する時、単数形「ある(a及びan)」並びに「その(the)」は、その内容によって明確に別段の指示がなされていない場合は、複数の指示対象を有する実施形態にも及ぶ。例えば、「層」は、1つ又は2つ又はそれ以上の層を有する実施形態を包含する。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、用語「又は」は、その内容によって別段の明確な指示がなされていない場合は、一般に「及び/又は」を含む意味で用いられる。
【0012】
用語「ポリマー」は、ポリマー、コポリマー(例えば2種以上の異なるモノマーを使用して形成されるポリマー)、オリゴマー及びそれらの組み合わせ、ならびに混和性ブレンド中に形成され得るポリマー、オリゴマー又はコポリマーを含むものとして理解されよう。ポリマーのブレンドにおいて、用語「ポリマー」はブレンド中の連続相ポリマーを指す。
【0013】
本開示はフィルム又はグラフィックフィルムを非平面基材の上に接着する工程に関する。非平面基材は非平面表面を含んでもよい。場合によっては、非平面基材は、平面又はほぼ平面な表面、及び前記平面表面上又はその中に配置される1つ以上の非平面要素を含んでもよい。非平面要素の一部又は全ては平面表面の中又は下に延在してもよい。非平面要素の一部又は全ては平面表面上に延在してもよい。
【0014】
場合によっては、非平面基材は、壁のような建築基材又は建設基材であってもよい。非平面基材の例には、コンクリート及びれんが並びに石材のようなメーソンリーが挙げられる。非平面基材は、例えばトラック又はトレイラーの側面などの金属基板であってもよい。場合によっては、トラック又はトレイラーの側面は湾曲していてもよい。一部の例では、トラック又はトレイラーの側面は、継ぎ目、リベット、ねじ頭等のような非平面要素を有する実質的な平面であってもよい。
【0015】
本開示は、フィルム又はグラフィックフィルムを非平面基材の上に接着する工程に関する。2つ以上の層を有する任意の好適なポリマーフィルム複合体を使用してもよい。いくつかの実施形態において、グラフィックフィルムは着色フィルム又は画像の転写されたフィルムである。場合によっては、1つ以上のポリマーフィルムの層は、ガラス転移温度が少なくとも約40℃である材料から形成されてもよい。いくつかの場合において、1つ以上のポリマーフィルムの層は、ガラス転移温度が少なくとも約60℃、又は更には少なくとも約80℃である材料から形成されてもよい。いくつかの実施形態において、1つ以上のポリマーフィルムの層は、ガラス転移温度が約30℃未満である材料から形成されてもよく、1つ以上のポリマーフィルムの層は、ガラス転移温度が少なくとも約40℃である材料から形成されてもよい。一部の高分子材料は2つ以上のガラス転移温度、又はポリマーの部分が軟化する温度を有し得ることが認識されるべきである。本明細書においてガラス転移温度を参照する目的で、特定の材料の前記温度は連続相が軟化した温度、即ち材料の嵩であることが意図されている。
【0016】
いくつかの実施形態において、ポリマーフィルム複合体は、ガラス転移温度が約30℃未満である1つ以上のポリマーフィルムの層とともに、ガラス転移温度が少なくとも40℃である1つ以上のポリマーの層を含む。ガラス転移温度が低い層は、接着、印刷それぞれにとって改善された特性等を提供し得る。ポリマーフィルム複合体に顔料又は着色剤を含ませてもよい。特定の例において、ポリマーフィルム複合体は、ガラス転移温度が30℃より低い可塑化ポリ塩化ビニル(「PVC」)フィルムを含んでもよい。続いてPVCフィルムに画像が転写される。フィルムの、画像の転写された面は、次にガラス転移温度が40℃を超えるポリマーフィルムでオーバーラミネート(overlaminate)される。オーバーラミネートは、フィルムの片側又は両側を軟化させる熱と圧力の組み合わせのような任意の既知の積層方法によって、熱活性化接着剤を使用して、又は感圧性接着剤を使用して、容易に積層することが可能である。
【0017】
ポリマーフィルム層の厚みは約5マイクロメートル〜約100マイクロメートルであってもよい。場合によっては、ポリマーフィルム層は少なくとも実質的に可視光線を通してもよい。ポリマーフィルム複合体は、Tgが40℃を超え(greater that)、厚みが5ミクロンと100ミクロとの間であるポリマーフィルムの層を有してもよい。
【0018】
Tgが40℃を超える好適なポリマーの例には、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリレートフィルム、例えばポリ(メチルメタクリレート)、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートシート、スチレンシート等が挙げられる。Tgが30℃未満であるポリマーの例には、可塑化ポリ塩化ビニル、ポリエチレン及びその他のポリオレフィン、可塑化アクリル等が挙げられる。
【0019】
ポリマーフィルムを非平面基材又は非平面基材に接着されてもよい接着剤をさらに有する別のフィルムに接着させるために、感圧性接着剤のような接着層をポリマーフィルム又はポリマーフィルム複合体に適用してもよい。使用する特定の感圧性接着剤がポリマーフィルムと接着層が固定される非平面基材との両方に適当な付着力を有するのであれば、任意の好適な感圧性接着剤を使用してもよい。場合によっては、感圧性接着剤は少なくとも実質的に可視光線を通してもよい。ポリマーフィルム複合体もまた透明である場合には透明な接着剤を使用してもよく、接着剤及びポリマーフィルム複合体を通して非平面基材が可視であることが望ましい。
【0020】
一部の例では、感圧性接着剤は、特定の色を現すように着色されてもよい。例えば、感圧性接着剤は二酸化チタンを含んでもよく、それによって白を現す。例えば、印刷画像に主として白の背景を提供するために、白みがかった接着剤をほぼ透明なポリマーフィルムに適用してもよい。場合によっては、接着剤を非平面基材に付着させた後にポリマーフィルム複合体が画像の保護層としての機能を果たすように、吸光性接着剤をポリマーフィルム複合体の画像が転写された側に積層してもよい。黄色、オレンジ色、緑色、青色、赤色等のような他の色を得るための好適な顔料が既知である。
【0021】
各種感圧性接着剤(PSA)が有用である。感圧性接着剤は次の特性を有する材料と定義することができる:(1)積極的且つ永久的な粘着性、(2)指圧程度の圧力により接着、(3)被接着物を保持する十分な能力、(4)十分な貼着力、及び(5)エネルギー源による活性化が不要。有用なPSAは室温又は高温のいずれかで感圧性接着特性を示してもよい。
【0022】
PSAは通常、典型的には室温以上(すなわち、約20℃〜約90℃以上)のアセンブリ温度で粘着性を示す。PSAとして十分に機能することが分かっている材料は、アセンブリ温度で粘着、剥離接着力、及び剪断保持力の所望のバランスを生じさせる必須の粘弾性特性、更に室温で剥離接着力及び剪断保持力のような保持特性を示すように設計され且つ配合されたポリマーである。高いアセンブリ温度を用いる場合は、室温で粘着をほとんどもしくは全く示さない材料が感圧性となってもよい。
【0023】
感圧性接着剤を調製するのに有用なポリマーの例には、天然ゴムポリマー、合成ゴムポリマー(例えば、スチレン/ブタジエンコポリマー(SBR)及びスチレン/イソプレン/スチレン(SIS)ブロックコポリマー)、シリコーンエラストマー系ポリマー、ポリアルファ−オレフィン系ポリマー、及び各種(メタ)アクリレート系(例えば、アクリレート及びメタクリレート)ポリマーが挙げられる。これらのうち、その利益のほんの少しを挙げれば、その光学的透明度、特性の経時的な恒久性(経年劣化安定性)、及び接着度の多用途性に起因して、(メタ)アクリレート系ポリマー感圧性接着剤が有用である。
【0024】
場合によっては、剥離ライナーを接着層の上に配置してもよい。剥離ライナーは任意の有用な材料(例えばポリマー又は紙)で形成することができ、剥離コートを含んでもよい。剥離コートに用いるために好適な材料は既知であり、剥離ライナーを感圧性接着剤から剥離するのを容易とするように設計されたフルオロポリマー、アクリル、シリコーンが挙げられるがこれらに限定されない。剥離コートは、フィルムを最終製品の表面に移動させた後に、剥離ライナーに実質的に付着した状態を保つように設計されてもよい。
【0025】
本開示はポリマーフィルム複合体を不規則な表面に接着させる工程に関する。多くの実施形態において、ポリマーフィルム複合体を形成する1つ以上の層は、着色、印刷、又は画像が転写される。場合によっては、画像はポリマーフィルムの層の1つ以上に印刷されてもよい。場合によっては、画像は、例えば、圧電印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、リソグラフ印刷、静電印刷等のような任意の有用な方法によって供給されてもよい。いくつかの実施形態において、印刷はソルベントインク系圧電式インクジェットプリンタを使用して達成されてもよい。好適なプリンタの例には、イスラエル国リション・レ・ジオン(Rishon Le Zion Israel)のイダニト・テクノロジー社(Idanit Technologies, Ltd.)、カリフォルニア州サンノゼ(San Jose)のラスタ・グラフィックス社(Raster Graphics)、ニューハンプシャー州メレジス(Meredith, N.H.)のビューテック社(Vutek Inc.)、及び日本国東京のオリンパス社(Olympus Optical Co. Ltd.)等から入手可能なプリンタが挙げられる。
【0026】
圧電式インクジェット印刷は、シアン、マゼンダ、黄色、及び黒(CMYK)の4色に主として依存する。しかしながら、画像の解像度を改善するために、上で特定された一部のプリンタはまた、濃縮度の低いシアン及びマゼンダの部類である「ライトシアン」及び「ライトマゼンダ」と呼ばれる2つの追加色も加えている。さらに、プリンタ及びソフトは、大口ユーザー又は商業ブランドの要求に基づいて、特定の色相の「特別な」色又は「スポット」色を使用するように構成されることが可能である。
【0027】
有用な溶媒系圧電式インクは、顔料、結合剤、任意の可塑剤、有機溶媒、界面活性剤、及び消泡剤を含んでもよい。これら構成要素のそれぞれは以下に詳細に説明されており、また、参照することにより本明細書に組み込まれる米国特許第6,379,444号にも記載されている。
【0028】
本明細書に記載のインクに用いるのに好適な有機溶媒には、ケトン、芳香族炭化水素、エーテル及びエステル(例えば、ラクテート、アセテート等)が挙げられる。かかる溶媒の例には、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMアセテート)、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート(DEアセテート)、イソホロン、エチレングリコールブチルエーテルアセテート(EBアセテート)、ジプロピレングリコールモノメチルアセテート(DPMアセテート)、ブチロールラクトン、n−メチルピロリドン、アルキルアセテートエステル類及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0029】
フッ素系界面活性剤は、溶媒の表面張力を低下させるための流動化剤として作用し得る。低い表面張力により、インクが受容基材上により良好に流れることが可能となる。かかるフッ素系界面活性剤は本発明で使用する溶媒の溶質である。シリコーン及び他の有機界面活性剤もまた使用することができる。
【0030】
消泡剤には消泡油、好ましくは粒子材料が挙げられる。消泡剤は、普通であればフッ素系界面活性剤に起因し得る発泡を最小限に抑えるのを助けるために溶媒中に分散されてもよい。消泡油は、室温で流体の表面張力を減価させることのできる粘稠で実質的に非水性の液体であってもよい。シリコーン及び他の有機消泡体もまた使用することができる。
【0031】
圧電インクは、1つ以上の、顔料のような着色剤を含む。顔料は、組み込まれる媒質(例えば、有機溶媒)に実質的に不溶性である、無機又は有機の、有色、白色又は黒色の材料であることができる。好適な顔料の例にはスクリーン印刷に有用な顔料が挙げられる。インクは一色のみの顔料を含んでもよく、所望の色を得るためにいくつかの異なる顔料を含んでもよい。さまざまな顔料が入手可能である。場合によっては、インクは1つ以上の染料を含むこともできる。
【0032】
シアン顔料の非限定的な例には、イルガライト(IRGALITE)GLG(ノースカロライナ州グリーンズバラ(Greensboro, N.C.)のチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals))及びサンファスト(SUNFAST)249−1284(ニュージャージー州フォートリー(Fort Lee, N.J.)のサン・ケミカル社(Sun Chemical Corporation)が挙げられる。マゼンダ顔料の非限定的な例には、クインド(QUINDO)マゼンダRV−6828(ペンシルベニア州ピッツバーグ(Pittsburgh, Pa.)のバイエル社(Bayer))及び「マゼンダB RT−343−D」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals))が挙げられる。黄色顔料の非限定的な例には、ファンションファスト(Fanchon Fast)イエローY5686(バイエル社(Bayer))、ファンション(Fanchon)イエローY5688(バイエル社)、及びサンドリン(Sandorin)6GL(ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte, N.C.)のクラリアント社(Clariant))が挙げられる。黒色顔料の非限定的な例には、ファイザー(Pfizer)ランプブラックLB−1011(ペンシルベニア州イーストン(Easton, Pa.)のファイザー社(Pfizer))及びレーブン(Raven)1200(ジョージア州アトランタ(Atlanta, Ga.)のコロンビア・ケミカルズ社(Columbian Chemicals))が挙げられる。
【0033】
圧電インクは結合剤を含んでもよい。結合剤は、インクの揮発性成分が蒸発すると結合剤が受容基材の上に沈着した顔料のフィルムを形成するように顔料粒子と融和性である樹脂であることができる。有利には、本明細書に記載の結合剤は野外耐久性である。好適な結合剤の非限定例は、ポリマー樹脂、例えば、ビニル系ポリマー(例えば、ミシガン州ミッドランド(Midland, Michigan)のダウケミカル(Dow Chemical)のVYHH、VYNS、VYHD、及びVAGHブランドのビニル含有ポリマー)及びアクリル系ポリマー(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルブチルアクリレート、ポリエチルメタクリレート及びこれらのコポリマー)が挙げられる。
【0034】
いくつかの用途では、インクは放射線硬化可能であることが望ましい場合がある。例えば、放射線硬化可能なインクは、モノマー類、オリゴマー類、安定剤、並びに任意に反応開始剤及び顔料を含むがこれらに限定されない放射線硬化可能材料をインクに組み込んで調製されてもよい。得られたインクを受容体に適用した後、これらを電子ビーム(e−ビーム)放射線のような放射線に曝露することで硬化してもよい。さらに光開始剤又は光触媒を放射線硬化可能なインクに組み込む場合は、インクを受容体に塗布した後、紫外線(UV)又は可視光線のような化学線放射に曝露することで得られたインクを硬化してもよい。
【0035】
任意の可塑剤は、インクの揮発性成分が蒸発すると、可塑剤が、受容基材上に堆積した顔料を有する結合剤から形成されるフィルムの可撓性を高めるように、ビニル樹脂及びアクリル樹脂並びに安定剤及び流動化剤と共に使用する任意の他の結合剤と融和性があるポリエステルであってもよい。可塑剤はまた、最終インキ皮膜の一部にもなる。好適な可塑剤の非限定例には、ユニフレックス(UNIFLEX)312ブランドの可塑剤(ニュージャージー州ウェイン(Wayne, N.J.)のユニオン・キャンプ社(Union Camp))、パラプレックス(PARAPLEX)G−31ブランドの可塑剤(イリノイ州シカゴ(Chicago, Ill.)のC.P.ホール社(C.P. Hall))、及びパラプレックスG−51ブランドの可塑剤(C.P.ホール社)が挙げられる。
【0036】
印刷された画像グラフィックの耐久性、特に日光又は水分に曝される屋外環境での耐久性を高めるために、本発明のインクに様々な市販の安定化薬品を任意に添加することができる。これら安定剤は、熱安定剤、紫外線安定剤及び殺生物剤であってもよい。
【0037】
熱安定剤は通常得られた画像グラフィックを熱の影響から保護するために使用され、マーク(Mark)V1923ブランドの安定剤(テキサス州ヒューストン(Houston, Tex.)のウィトコ社(Witco))、シンプロン(Synpron)1163ブランドの安定剤(オハイオ州クリーブランド(Cleveland, Ohio)のフェロ社(Ferro))、フェロ(Ferro)1237ブランドの安定剤(フェロ社)及びフェロ172ブランドの安定剤(フェロ社)として市販されている。紫外線安定剤は、ウビノル(UVINOL)400ブランドのベンゾフェノン紫外線吸収剤(ニュージャージー州パシパニー(Parsippany, N.J.)のBASF社)及びチヌビン(TINUVIN)900ブランドの紫外線吸収剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals))として市販されている。市販の殺生物剤の例は、モートン・チオコール社(Morton Thiokol, Inc)から入手可能なプラスチック用バイナジン(VINYZENE)SB−1EAA抗菌添加剤である。
【0038】
以下の説明は、図面を参照しながら読む必要があり、図面では、異なる図面の同様の素子に同様の形で番号を付してある。図面は、必ずしも一定の縮尺とは限らないが、特定の例証的な実施形態を表しており、また本開示の範囲を制限しようとするものではない。さまざまな素子について、構造、寸法、及び材料の例が説明されているが、当業者は、提供されている多くの実施例に、利用可能な好適な代替物があることを理解するだろう。
【0039】
図1は、その上に印刷画像を適用することが望ましい、上述のような建築材料、乗り物、又はその他の不規則な表面を代表し得る非平面基材10の略図である。非平面基材10は、平面表面12、並びに突出部14及びくぼみ16を含む非平面要素を含んでいると見なされてもよい。突出部14は平面表面12の平面から延在していると考えられてもよく、一方くぼみ16は平面表面12の平面の中に延在していると考えられてもよい。
【0040】
当然ながら、場合によっては非平面基材10が突出部14を含むがくぼみ16を含まない場合があることは認識されよう。別の場合では、非平面基材10はくぼみ16を含むが突出部14を含まない場合がある。図のように、突出部14及びくぼみ16は高度に定型化されていることもまた認識されよう。一部の例では、突出部14は、リベット、ねじ頭、ボルト頭、溶接材料、継ぎ目等に相当してもよい。一部の例では、くぼみ16はへこみ(dents)、ねじ又はボルトを欠いたねじ又はボルトの穴等に相当してもよい。非平面基材10がメーソンリー又は石材である場合、突出部14及び/又はくぼみ16は、材料中のグラウト線(grout line)、欠陥、隙間、突出した粒子等に相当してもよい。
【0041】
図2において、ラミネート18は非平面基材10に隣接して位置決めされている。ラミネート18は、図のように、ポリマーフィルム20の第1面に形成された印刷画像22及びポリマーフィルム複合体20の対向する第2面28に配置された接着層26を有するポリマーフィルム又はポリマーフィルム複合体20を含んでいる。上述のように接着層26は任意の好適な感圧性接着剤を含んでもよい。図のように、接着層26は、ラミネート18を適切な位置に保持するために、非平面基材10の少なくとも一部分と十分な接触状態を作り出していると見なされる。接着層26は非平面基材10と部分的に接触していると見なされてもよい。いくつかの実施形態において、画像22は、ポリマーフィルム複合体20(図示せず)内、又はポリマーフィルム複合体20と接着層26(図示せず)との間に配置される。
【0042】
図3に示すように、ラミネート18を非平面基材10に完全に適用するため、ポリマーフィルム20を少なくとも軟化させるためにラミネート18を加熱することが有用である場合がある。ポリマーフィルム20をその融点に到達させる又は融点を超えさせることなくポリマーフィルム複合体20を軟化させるのに十分な熱エネルギーを提供し得る熱源であれば、任意の好適な熱源を使用することができる。場合によっては、約540℃(1000°F)を供給可能なヒートガンのような熱源を使用してもよい。赤外線エネルギーを発生させる熱源を使用してもよい。触媒ヒータが生成するような熱風と赤外線加熱の組み合わせを使用してもよい。場合によっては、ポリマーフィルム複合体20の全体又はほぼ全体を一気に加熱してもよいと考えられる。一部の例、特にラミネート18が非常に大きい場合には、一回にポリマーフィルム複合体20の一部分のみを加熱するのが有用である場合がある。
【0043】
ポリマーフィルム複合体20又はその一部が、ポリマーフィルム20を軟化するのに十分加熱されると、接着層26が非平面基材10と密接に接触するように軟化した複合フィルム20を非平面基材10に対して又は非平面基材10の中に押圧する。任意の適切な技術又は装置を用いてラミネート18に圧力を印加してもよい。一部の例では、ラミネート18を非平面基材10に押圧する及び/又は塗り込むために、ローラー、ブロック、又はブラシを使用することが有用であり得る。ローラー、ブロック、又はブラシは、天然ゴム又は合成ゴム、ウレタンポリマー類、シリコーンポリマー類、フルオロエラストマー類、これらゴムの気泡形(foamed version)又はスポンジ形(sponge version)等のような材料から形成されてもよい。約0.5ミリメートル以上のセルを有する連続気泡発泡体シリコーン材料が特に有用である。
【0044】
ローラー、ブロック、又はブラシ自体が加熱され軟化されたラミネート18から過剰な熱エネルギーを取り除かないように、比較的低い熱伝導率を有する材料から作られるローラーなどを使用するのが有益であり得る。その代わり、接着層26が非平面基材10と密接に接触するまでポリマーフィルム20を軟化させたままにしておくことが望ましい。接着層26が非平面基材10と密接に接触すると、室温又は室温に近い温度である非平面基材10はラミネート18から十分な熱エネルギーを引き出し、ポリマーフィルム20が硬化されて非平面基材10のプロファイルを永久的に呈することが可能となると考えられる。
【0045】
図2及び図3は、ラミネート18を用いて非平面基材10の上に印刷画像を表示する例を示している。ラミネート18は様々な異なる方法で形成されてもよく、様々な異なる形状をとることができることは認識されよう。続く図は、印刷画像を非平面基材10の上に表示するのに使用することができるラミネートを示している。
【0046】
図4は、第1面34及び第2面36を有するポリマーフィルム32を含むポリマーフィルム又はポリマーフィルム複合体32を示している。接着層38は第2面36上に配置されている。必須ではないが、上述のように、接着層38保護するため、更には印刷の間の望ましくない接着を防ぐために、剥離ライナー40を接着層38の上に配置してもよい。多くの実施形態において、接着層38を第2面36上に適用した、ないしは別の方法で配置した後に、溶媒系インクを用いて画像42を第1面34上に印刷してもよい。一部の例では、溶媒系インクはポリマーフィルム32の第1面34の中に短い距離浸透してもよい。場合によっては、溶媒系インクはポリマーフィルム32の中に浸透しない。次に、上述のようにラミネート30を非平面基材10(図1)に適用する。
【0047】
場合によっては、例えば図5及び図6に示されるように、ポリマーフィルムに印刷した後に接着層を適用してもよい。特に、図5は、第1面48及び第2面50を有するポリマーフィルム又はポリマーフィルム複合体46を含むラミネート44を示している。印刷画像52はポリマーフィルム46の第1面48の上に印刷されてもよい。接着層54はポリマーフィルム46の第2面50に続けて配置されてもよい。所望であれば、接着層54を剥離ライナー(図示せず)の上に適用してもよい。次に、上述のようにミネート44を非平面基材10(図1)に適用してもよい。
【0048】
図6は、接着層及び印刷画像がポリマーフィルム又はポリマーフィルム複合体の片面に形成されているラミネート56を示している。このようなラミネート56は、例えば、印刷画像に追加的保護を提供し得る。ラミネート56は、感圧性接着剤の面62及び対向面60を有するポリマーフィルム58を含む。ポリマーフィルム58は少なくとも実質的に可視光線を通す。ラミネート56が適用されると、感圧性接着剤の面62はポリマーフィルム58の外側又は露出面となり得る。
【0049】
印刷画像64はポリマーフィルム58の第1面60上に形成されてもよい。所望であれば、第2面62側からポリマーフィルム58を通して見たときに画像が正しく配向されて見えるように、印刷画像64を鏡像的に印刷してもよいことは認識されよう。必要に応じて、印刷画像64は溶媒系の印刷を用いて形成されてもよい。
【0050】
印刷画像64が形成されると、Tgが40℃以上であるオーバーラミネート66は、印刷画像64を覆って形成されても、ないしは別の方法で配置されてもよい。オーバーラミネート66は感圧性接着剤のような任意の好適な接着剤を含んでもよい。オーバーラミネート66は、印刷画像64に所望の背景色を提供するために顔料を含んでもよい。その結果、オーバーラミネート66により提供された背景色がラミネート56の美的価値観に貢献し得るので、印刷画像64はポリマーフィルム58の全表面を覆う必要はない。次に、上述のようにラミネート56を非平面基材10(図1)に適用する。
【0051】
本発明は、本明細書において記述される特定の実施例に限定されるとみなされるべきではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲において明確に記載された本発明の全ての態様を包含するものと理解されるべきである。本明細書を検討すると、本発明が対象とする当業者には、様々な変更、等価の方法、並びに本発明を適用できる多数の構造が、容易に明らかとなるであろう。
【実施例】
【0052】
約25cm×10cm及び厚さ0.1mm(0.004インチ)のポリ塩化ビニル(PVC)フィルムを使用して実施例1を作製した。前記フィルムはバージニア州ゴードンズビル(Gordonsville, VA)のクロックナー・ペンタプラスト・オブ・アメリカ社(Klaeckner Pentaplast of America, Inc.)から入手可能である。示差走査熱量計(DSC)で試験した際のフィルムのガラス転移の中点の温度は79℃であった。
【0053】
フィルム試料のガラス転移温度は、試料の重さを量り、TAインスツルメンツ社(TA Instruments)製のアルミニウムの標準DSCサンプル・パンに試料を充填して測定した。試料は、TAインスツルメンツ(TA Instruments)Q1000(#131、セルRC−858)変調(登録商標)示差走査熱量計(MDSC)を用いて分析した。試料の分析に使用した変調方法は5℃/分の加熱勾配に加えて60秒毎に±0.796℃の適用される摂動振幅を含んだ。試料を−100℃〜約175℃の温度範囲の加熱−冷却−加熱プロファイルに供した。報告されたガラス転移温度は、リバーシング(R)ヒートフロー(熱容量関連)曲線における階段状変化を用いて評価された。遷移の開始温度、中間点(ハーフハイト)温度、及び終了温度を記録し、表示値は中間点である。
【0054】
乾燥厚さ0.04mm(0.0015インチ)のアクリル系感圧性接着剤でPVCフィルムの片面をコーティングした。接着剤組成物は、96重量%の2−メチルブチルアクリレート及び米国特許第4,181,752号に記載の方法と同様の方法で紫外線及びベンゾフェノン光開始剤を用いて架橋された4重量%のアクリルアミドであった。接着剤をシリコーン剥離ライナーにコーティングし、続いて上述のPVCフィルムに移動させた。
【0055】
ミネソタ州セントポール(St. Paul, MN)の3M社(3M Company)から入手したリーガル樹脂ボンド・クロスオープンコート(Regal Resin Bond Cloth Open Coat)960G、36グリット(grit)YNサンドペーパーを、通常の合成接着剤を使用して合板パネルに積層し、制御を与えながら表面を非平滑化したパネルを作製した。この表面の感圧性接着剤への親和性は低く、この製品が最も適した通常の非平滑化された表面に比べて非常に一貫しており、典型的なサンドスタッコ(sand stucco)面と同様のプロファイルを有している。感圧性接着剤組成物はフィルムの見掛け上の整合性に影響を与えるので、表面への接着性が低いことが望ましい。非常に良好な感圧性接着剤及び/又は感圧性接着剤に容易に固着する表面は、ガラス転移が40℃を下回るフィルムを使用するとき及び本明細書に記載の方法を用いるときにリフティングの開始を遅らせることができる。
【0056】
剥離ライナーをフィルムから取り外した。接着剤がパネルに接触してフィルムを一時的にパネルに付着しつづけるよう十分に接着させるために接着剤をコーティングした側のフィルムを手で押して表面を非平滑化したパネルに軽く定置したが、大部分の区域でフィルムはパネルのくぼみを埋めた。
【0057】
ステイネル(Steinel)のヒートガン(モデルHG3002LCD;マックスター・カー(McMaster Carr)(60126-208、イリノイ州エルムハースト(Elmhurst, IL)、カントリーラインロード600)から入手可能)を538℃(1000°F)に設定した。ヒートガンをフィルム表面から約5cm(2インチ)に保持し、フィルムが目に見えて軟化するまでフィルムの一つの区域を加熱した。フィルムの加熱力後に、3M社(3M Company)のコマーシャル・グラフィックス・ディビジョン(Commercial Graphics Division)から入手可能な3MTSA−1テクスチャード・サーフェス・アプリケータ(Textured Surface Applicator)を使用して、パネルの非平滑化表面上にフィルムを、手の圧力を用いて毎秒約10cm(4インチ)でしっかりと圧延した。フィルム試料に対してヒートガンを移動し、直後にアプリケータでフィルムを圧延した。
【0058】
パネルの非平滑化表面に対してフィルムを圧延した後、フィルムをパネルの温度まで迅速に冷却した。フィルムはパネルに密接に固着しており、塗面と同様に見えた。パネルに固着されたフィルムの光沢を、ビック・ガードナー(BYK Gardner)60°ミクログロスメータ(モデル番号4501.;2435リンデンレーン(Linden Lane)メリーランド州シルバースプリング(Silver Spring, MD)のビック・ガードナーUSA社(BYK Gardner USA)から入手可能)を使用して測定し記録した。次に、パネルを65℃(150°F)のオーブンに24時間定置し、オーブンから取り出し、室温まで冷却し、フィルムの光沢を測定して記録した。
【0059】
スパーテック(Spartech)PEPから入手可能な透明アクリルコラッド(KORAD)(商標)フィルムを使用した以外は実施例1に記載の通りに実施例2を作製した。フィルムは約25cm×10cm及び厚さ0.8mm(0.003インチ)であった。上述のように示差走査熱量計(DSC)で試験した際のフィルムのガラス転移の中点の温度は79℃であった。
【0060】
実施例1で記載の通りに、剥離ライナーをコラッド(KORAD)フィルムから取り除き、表面を非平滑化したパネルにフィルムを適用し、フィルムの光沢を測定した。
【0061】
比較例1は、3M(商標)コントロールタック(Controltac)(商標)フィルムシリーズ180−10(約30マイクロメートルの接着剤を有する厚さ50マイクロメートルの白のビニルフィルム;「180ビニルフィルム」;3M社(3M Company))であった。試料の寸法は25cm×10cmであり、実施例1で記載の通りに測定したガラス転移温度は19℃であった。実施例1で記載の通りに光沢の測定を行い記録した。
【0062】
表1に示されているのは、表面を非平滑化したパネルに試料を適用した直後及び65℃(150°F)のオーブンで24時間加熱した後の、接着剤を適用する前の実施例1及び2のフィルム試料の光沢測定値及び180ビニルフィルム(イニシャル)の光沢測定値である。表1のデータは、最初の及び適用後の、並びに24時間の熱老化後の、それぞれの試料のフィルム上の異なる場所における18回の測定値の平均である。標準偏差が測定値の後の括弧内に示されている。
【0063】
実際の光沢度は平均+/−3標準偏差単位である。個々のフィルムの光沢はわずかに異なるので、比較値は元の光沢のパーセンテージであり、比較用の標準偏差は100/初期フィルム光沢値に測定した標準偏差を乗じたものである。表1の調整された光沢値は100/元の光沢に測定値を乗じたものに基づいている。
【0064】
【表1】

【0065】
表1のデータは、実施例1のフィルムが熱老化後も実質的に同じ光沢値を保ち、一方で比較例1のフィルムが光沢値の著しい増加を示したことを示している。実施例2のフィルムは、調整された光沢値が実施例1のフィルムよりも大きく増加したことを示したが、調整された光沢値の変化は比較例1のフィルムよりなお非常に小さい。目視検査で、比較例1のフィルムの区域が表面を非平滑化したパネルから持ち上がり、平面的になったことが観測された。一般に、フィルムの表面仕上げが適用プロセスで損傷していない場合は、光沢が低いほど表面が非平滑化されたパネルへのコンプライアンスがより優れている。
【0066】
本願明細書に記載の引例及び刊行物は、参照することにより本願明細書全体に組み込まれる。本開示の例示的実施形態を検討するとともに本開示の範囲内の可能な変形例を参照してきた。本開示のこれらの及び他の変形例及び変更例は開示の範囲から逸脱することなく当業者には明らかであろうとともに、本開示は本明細書に記載された例示的実施形態に限定されないことは理解されよう。従って、本開示は審査の間に補正されることのある、提供される特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0067】
(実施例3、4、及び5)
ロハグラス(ROHAGLAS)(登録商標)フィルム クリア(Clear)99845のシート、63.45マイクロメートル(0.0025インチ)を、アクリル系感圧性積層用接着剤に積層した。実施例2に記載のように、これを順に3M(商標)コントロールタック(Controltac)(商標)プラスグラフィックフィルムシリーズ180−10に積層した。複合体を、実施例1のようにリーガル樹脂ボンド・クロスオープンコート(Regal Resin Bond Cloth Open Coat)960Gに接着させた。適用前、適用後、及び65℃(150°F)で24時間の熱老化後の複合体の光沢を測定した。1つの例は、Tgが30℃未満の可塑化ポリ塩化ビニルである、3M(商標)スコッチカル(Scotchcal)(商標)ラスターオーバーラミネート(Luster Overlaminate)8519を用いて作製された(実施例4)。別の例(実施例5)は、オーバーラミネートを有さない3M(商標)コントロールタック(Controltac)(商標)プラスグラフィックフィルムシリーズ180−10であった。試料は全て、実施例1と同様に、リーガル樹脂ボンド・クロスオープンコート(Regal Resin Bond Cloth Open Coat)960G、36グリット(grit)YNサンドペーパーに適用された。下の表2は、熱老化の際の光沢の変化を示している。
【0068】
【表2】

【0069】
本開示は、添付図面の詳細な説明を考慮すれば、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本明細書に記載の例示的且つ非限定的な例である非平面基材の概略図。
【図2】図1の非平面基材と部分的に接触して適用された例示的且つ非限定的な例であるラミネートの概略図。
【図3】図1の非平面基材と密接に接触している例示的且つ非限定的な例であるラミネートの概略図。
【図4】本明細書に記載の例示的且つ非限定的な例であるラミネートの概略図。
【図5】本明細書に記載の例示的且つ非限定的な例であるラミネートの概略図。
【図6】本明細書に記載の例示的且つ非限定的な例であるラミネートの概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの層のガラス転移温度が少なくとも約40℃である2つ以上の層を有するポリマーフィルム複合体を提供する工程と、前記ポリマーフィルム複合体は第1面及び第2面を有し、接着層は前記第2面の上に配置され、
前記接着層を前記非平面基材に定置する工程と、
前記ポリマーフィルム複合体を加熱する工程と、
前記加熱されたポリマーフィルムを前記非平面基材に押圧する工程と、を含む非平面基材の上にグラフィックフィルムを接着する方法。
【請求項2】
前記第1面に画像を印刷する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2面の上に前記接着層を配置するのに先立って、前記第2面に画像を印刷する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複合体フィルムの層の間に画像を印刷する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリマーフィルム複合体は、ガラス転移温度が少なくとも40℃である1つ以上のポリマーの層及びガラス転移温度が30℃未満である1つ以上のポリマーの層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記押圧工程は、気泡ゴム又はスポンジゴムを用いて前記加熱されたポリマーフィルム複合体を前記非平面基材に押圧する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーフィルム複合体が着色フィルム層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ガラス転移温度が約30℃未満である第1のポリマーフィルムを提供する工程と、前記ポリマーフィルムは第1面及び第2面を有し、接着層は前記第2面の上に配置され、
ガラス転移温度が少なくとも約40℃である第2のポリマーフィルムを提供する工程と、
前記第2のポリマーフィルムを前記第1のポリマーフィルムに積層してポリマーフィルム複合体を形成する工程と、
前記第1のポリマーフィルムの前記接着層を前記非平面基材に定置する工程と、
前記ポリマーフィルム複合体を加熱する工程と、
前記加熱されたポリマーフィルムを前記非平面基材に押圧する工程と、を含むフィルムを非平面基材の上に接着する方法。
【請求項9】
前記積層工程に先立って前記第1のポリマーフィルムの上に画像を印刷する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記画像が圧電印刷で印刷される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記押圧工程が、気泡ゴム又はスポンジゴムを用いて前記加熱されたポリマーフィルム複合材料を前記非平面基材に押圧する工程を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
ガラス転移温度が約30℃未満である第1のポリマーフィルムを提供する工程と、前記ポリマーフィルムは第1面及び第2面を有し、接着層は前記第2面の上に配置され
前記第1面に画像を印刷する工程と、
ガラス転移温度が少なくとも約40℃である第2のポリマーフィルムを提供する工程と、
前記第2のポリマーフィルムを前記第1のポリマーフィルムに前記画像の上に積層してポリマーフィルム複合体を形成する工程と、
前記第1のポリマーフィルムの前記接着層を前記非平面基材に定置する工程と、
前記ポリマーフィルム複合体を加熱する工程と、
前記加熱されたポリマーフィルムを前記非平面基材に押圧する工程と、を含むフィルムを非平面基材の上に接着する方法。
【請求項13】
前記押圧工程が、気泡ゴム又はスポンジゴムを用いて前記加熱されたポリマーフィルム複合材料を前記非平面基材に押圧する工程を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のポリマーフィルムが可塑化ポリ塩化ビニルフィルムである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記積層工程が、熱と圧力の組み合わせ、熱活性化接着剤、又は感圧性接着剤を用いることによって容易となる、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−542473(P2009−542473A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518454(P2009−518454)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/071506
【国際公開番号】WO2008/002793
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】