説明

グラフィック画像とビデオ画像とを同時に表示する方法ならびに装置

【課題】グラフィック画像(23)(例えば、テレビジョン受信機またはビデオレコーダの制御メニュー)とビデオ画像とを同時に表示する方法ならびに装置が開示されている。
【解決手段】下になるビデオ信号を全く不明とすることなくメニューを最適に判読するため、グラフィック画像は窓(21)内に収容され、その窓はビデオ信号に付加的に混合される与えられた適当な色(24)である。混合因子は窓内のビデオ信号の空間的および/または時間的活性の量に応じて好適に制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓(ウィンドウ)内に収まったグラフィック画像と、ビデオ画像とを同時に表示する方法ならびに装置に関するものである。本発明は、かかる装置を具えたテレビジョン受信機、ビデオレコーダおよびマルチメディアステーションにも関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビデオ画像の窓内にグラフィック画像を表示する従来方法は英国特許出願GB−A−2242594号に開示されている。グラフィック画像の可視度(ビジビリティー)を改善するためビデオ画像のコントラストを窓内で低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】英国特許出願GB−A−2242594号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は上述の従来装置を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の方法によれば、冒頭に記載された方法において、前記窓用背景色信号を発生し、その背景色信号とビデオ画像を表すビデオ信号とを混合することを特徴とするものである。それによって窓内のビデオ画像の表示を維持しつつグラフィック画像の色とコントラストのついた色を前記窓に与えることができる。グラフィック画像の可視度は窓に背景色を与えることによりさらに改善される。さらに特に、スクリーン上のメニューを構成するテキストの判読性は著しく改善され、さらに、スクリーン上のメニューの外観は著しく向上する。窓はあたかもグラフィック画像とビデオ画像間に色彩が付いた一部透明なガラスの小部分が存在するごとき観を呈する。
【0006】
上述の特許出願に記載されているように、背景色信号を発生するステップはそれ自体公知である。しかしながら、上述の特許ではビデオ画像はその時窓内には表示されない。グラフィック画像は完全な可視度を有することができるが、ビデオ画像の一部は失われて観察されない。グラフィック画像にビデオ画像を付加的に混合することはさらに国際特許出願WO94/21080号に公知である。しかしながら、ビデオ信号がグラフィック画像それ自身を介して、例えばメニューの文字を介して目に見えて残るのは望ましいことではない。
【0007】
窓内の混合信号の振幅が大きすぎないように、ビデオ信号および背景色信号は所定の重み付け因子、例えばαおよび1−αそれぞれで与えられることができる。αの値が大きい程、下地のビデオ信号はよりよく目について残る。それ故重み付け因子αは窓の"透明度 (transparency)"と称せられるだろう。
【0008】
スクリーン上のメニューの判読性は、実質的にビデオ画像の内容量によって影響されると実験結果は示している。さらに特に、高いコントラストを有する細かい画像細部(例えばテキスト)を有するビデオ画像はグラフィックメニューとかなり干渉する。かかる干渉はビデオ画像が静止の時特に発生する。従って本発明方法の好適な実施態様では、前記重み付け因子を窓内のビデオ画像の内容量に応じて制御する。グラフィック画像の内容量も考慮に入れて、ビデオおよびグラフィック画像細部間干渉が最もわずらわしくなる時点を特定することができる。
【0009】
テレビジョン受信機のメニューはテレビジョン番組の異なったカテゴリ(ドラマ、ドキュメンタリー、スポーツ等)について異なった判読性を有するということが判明している。従って本発明方法の好適な実施態様では、前記重み付け因子は前記カテゴリにより制御される。
【0010】
本発明に関わる上述のおよび他の態様は以下に略述する添付図面を参照し実施例により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に関わるグラフィック画像とビデオ画像を同時に表示する装置を具えたテレビジョン受信機を示す。
【図2】スクリーン表示の例を示す。
【図3】本発明に関わる受信機の別の実施例を示す。
【図4】図3に示す内容量測定回路の具体例を示す。
【図5】混合の量とビデオ画像の内容量との関係の例を示す。
【図6】本発明に関わる受信機のさらに別の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明に関わるグラフィック画像とビデオ画像とを同時に表示する装置を具えたテレビジョン受信機を示す。この受信機は他の公知の方法では、複合(コンポジット)ビデオ信号CVBSを受信する入力1、この複合ビデオ信号を受信して表示可能な出力信号Vを発生するビデオ処理回路2、表示スクリーン3、受信機の動作を制御するマイクロプロセッサ4、遠隔制御受信機5および遠隔制御送信機6を具えている。
【0013】
この受信機はさらに、マイクロプロセッサにより制御され、例えばスクリーン上に制御メニューを表わすグラフィック画像を発生するよう適応させたグラフィック信号発生器7を具えている。グラフィック信号発生器7はグラフィック信号G、速いブランキング信号FBおよび窓信号WINを発生する。かかるグラフィック信号発生器の例としてはフイリップス製集積回路SAA5240がある。速いブランキング信号FBが活性の時は、グラフィック信号は1つまたは複数の前景色によりスクリーン上に表示されるべきグラフィック画像(図示されず)を規定する。速いブランキング信号が不活性の時は、グラフィック信号は背景色を有するべくプログラムされている。窓信号WINはグラフィック画像が表示される窓を規定する。明らかに窓は任意の形状を有していてよい。
【0014】
受信機はさらにグラフィック信号Gとビデオ信号Vとを混合する混合手段8を具えている。図示の実施例では、第1乗算器81、第2乗算器82および加算器83が加法的混合信号M=αV+(1−α)Gを形成する。一般に、グラフィック信号Gおよびビデオ信号Vは3つ(赤、緑、青)の成分からなる。混合手段8は各成分について用意されている。スイッチ9および10はグラフィック信号Gか、ビデオ信号Vか加法的混合信号Mかを選択するために用意されている。より詳細には、速いブランキング信号FBが活性である時スイッチ9は図示の位置に、窓信号WINが活性である時スイッチ10は図示の位置にある。かくてビデオ信号Vは窓信号が不活性の時表示用に選択され、グラフィック信号Gは速いブランキング信号および窓信号の両者が活性の時選択され、混合信号Mは窓信号が活性で速いブランキング信号が不活性の時選択される。
【0015】
図2はスクリーン表示の一例を示す。窓21の外側はビデオ画像22が表示されている。窓の内側には、グラフィック画像23が1つまたは複数の前景色を使用して表示されている。上述のごとく、グラフィック信号は速いブランキング信号が不活性のとき背景色を有する。かくてグラフィック画像23により占有されていない窓の部分24は前記背景色とビデオ画像の混合を表示する。背景色が例えば緑である場合には、それはあたかも緑のガラスがグラフィック画像とビデオ画像間に保持されているようになる。前景色と十分なコントラストを有する背景色をプログラムすることにより、メニューは特に判読しやすくなり、一方ビデオ信号は窓を通して可視のままになる。ガラスの透明度は重み付け因子αによって決まる。その値は実験的に決定することができる。
【0016】
なお、図1に示されたテレビジョン受信機は必ずしも表示スクリーン3を含む必要がない。表示スクリーンは受信機の外部にあってもよく、これは受信機が例えばビデオレコーダ(video recorder)またはパーソナルコンピュータ(personal computer)を構成する場合である。後者の場合、ビデオ信号Vは局所的に発生された仮想的なビデオ信号であってよい。
【0017】
図3は受信機の別の実施例を示す。この受信機はさらにビデオ画像の内容量を測定する回路11を具えている。ビデオ画像の局所的な内容量を示す信号Akはマイクロプロセッサ4に供給され、それに応じて重み付け因子の値αおよび1−αが制御される。ビデオ画像の空間的な内容量は画像または少なくともその輝度成分に画像変換を施すことによって測定される。図4は動き量測定回路11の具体例を示す。ブロック形成回路111は画像を例えば8×8画素のブロックに分割する。複数のブロックはディスクリートコーサイン変換(Discrete Cosine Transform)またはより複雑でないアダマール変換(Hadamard transform)のような画像変換112を施される。これらの画像変換は画像符号化の分野でよく知られている。複数画素の各ブロックは変換係数yijに変換され、ここでインデックスiは水平空間周波数(ここでi=0・・・・・7)を表わし、インデックスjは垂直空間周波数(j=0・・・・・7)を表わす。各変換係数は、対応する空間周波数が複数画素のブロック内に存在する程度を示す。係数yijは評価回路113に供給され、そこではグラフィック画像と最も大きく干渉する空間周波数に対する係数の総和、できれば重み付けの総和を計算する。例えば、i≧5およびj≧5に対応する空間周波数が干渉周波数であるとすると、その計算回路は以下の式に従って現ブロックkの局所的な内容量Akを計算する:
【0018】
【数1】

平均回路114では、窓(図2の21)内のすべてのブロックの平均かつ同僚Aを以下の式に従って計算する:
【0019】
【数2】

ここでNは窓内のブロックの数である。この数を決定するため回路114は窓信号WINをグラフィック信号発生器6から受信する。
【0020】
内容量の値Aはマイクロプロセッサ4に供給され、それに応じてプロセッサ4は混合手段8に印加される重み付け因子αおよび1−αを発生する。重み付け因子と内容量との関係の例を図5に示す。重み付け因子αは内容量Aが増加するにつれて減少する(従って1−αは増加する)。従って窓内のビデオ画像が多量の細部を有すれば、"ガラス透明度"が低下して、窓内のグラフィック画像がよりよく見えるようになる。
【0021】
内容量測定回路の他の具体例は当業者によって容易に設計可能である。例えば、変換係数yij(図4の回路113)はマイクロプロセッサ4によっても評価できる。マイクロプロセッサがグラフィック画像を発生し、従ってこのグラフィック画像の空間周波数を知っているので、プロセッサはグラフィック画像と実際に干渉する係数のみを評価するように構成することができる。またプロセッサは、ブロック毎のベースでガラスの透明度を制御することもできる。
【0022】
図6は受信機のさらに別の実施例を示す。ここでは受信機が、番組カテゴリコードCを受信して復号する回路12を具えている。テレビジョン番組をドラマ、スポーツ、ドキュメンタリー等のような複数のカテゴリの1つに分類する番組カテゴリコードの伝送のしかたは現在技術において既知である。例えば、そのカテゴリコードは復号ビデオ信号CVBSの垂直ブランキング期間のテレテキスト信号に含まれているPDC(番組送達制御:Program Delivery Control)の一部とすることができる。コードCは、各カテゴリに対する重み付け因子αを規定する表を具えるマイクロプロセッサ4に供給する。テキスト(文字列)指向の教育コースのような「静かな」テレビジョン番組には、メニューの判読性に対する影響がより小さいスポーツイベントおよびアクションもののような動きの多い番組よりも、より小さなα(すなわち低い透明度)を与える。
【0023】
なお、画像の内容量または番組カテゴリに応じてグラフィック信号発生器が背景色を変更するように、マイクロプロセッサを適応させることもできる。
【0024】
本発明を要約すれば、本明細書にはグラフィック画像(例えばテレビジョン受信機またはビデオレコーダの制御メニュー)およびビデオ画像を同時に表示する方法ならびに装置が開示されている。下地のビデオ信号を完全に隠してしまうことなしにメニューの最適な判読性を達成するために、グラフィック画像は窓内に収まり、その窓に適切な色を与えて、この色をビデオ信号に加法的に混合する。混合因子は窓内のビデオ信号の空間的および/または時間的な内容量に応じて好適に制御する。
【符号の説明】
【0025】
1 入力
2 ビデオ処理回路
3 表示スクリーン
4 マイクロプロセッサ
5 遠隔制御受信機
6 遠隔制御送信機
7 グラフィック信号発生器
8 混合手段
9 スイッチおよび10
10 スイッチ
11 動き量測定回路
21 窓
22 ビデオ画像
23 グラフィック画像
24 窓の部分
81 第1乗算器、
82 第2乗算器
83 加算器
111 ブロック形成回路
113 評価回路
114 平均回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオ画像を表示部に表示する手段と、
グラフィック画像を有する窓を前記表示部に表示する手段とを有し、
前記窓内の前記グラフィック画像が占められていない部分は、前記ビデオ画像に基づいて生成された画像により表され、
前記グラフィック画像は、前記ビデオ画像が混合されていないことを特徴とする、表示装置。
【請求項2】
前記ビデオ画像に重み付け因子を与えることを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記窓内の前記ビデオ画像の細部の量に応じて、前記重み付け因子を、前記重み付け因子が前記窓内の前記ビデオ画像の増加した細部の量により増加して与えられるように、適応的に制御する手段をさらに有することを特徴とする、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記ビデオ画像が所定カテゴリのテレビジョン番組であり、前記表示装置がさらに、前記カテゴリに応じて前記重み付け因子を制御する手段を有することを特徴とする、請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の表示装置を具えた、テレビジョン受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−253787(P2012−253787A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−162014(P2012−162014)
【出願日】平成24年7月20日(2012.7.20)
【分割の表示】特願2009−39641(P2009−39641)の分割
【原出願日】平成9年4月30日(1997.4.30)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】