説明

グラフ表示装置及びプログラム

【課題】リストデータに基づいて表示したプロットグラフから回帰グラフを生成し、表示させる場合に、回帰計算の対象とするデータの指定を容易にする。
【解決手段】電子計算機に備えられたCPU11はユーザ操作によって複数の数値データからなるリストデータを入力し、そのリストデータの各数値データに任意の色を指定してRAM15のリストデータ記憶領域15cに記憶する。CPU11は記憶されたリストデータの各数値データに指定された色に従って表示部13の画面上にプロットグラフをカラー表示する。そしてユーザにより色が指定されると、その色に対応するリストデータの数値データに基づいて回帰グラフが生成され、表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の数値データからなるリストデータに基づいてグラフを描画する機能を備えたグラフ表示装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
関数計算機能を備えた電子計算機(関数電卓)では、統計計算モードを設定してリストデータ(統計データ)を入力すると、その入力されたリストデータに対応するグラフを描画する機能がある。ここで扱われる情報としては、「リストデータを構成する各数値データ」と「グラフデータ」であるが、データの種類が異なるため、対応関係を対比するには難しい。
【0003】
ここで、電卓の視覚的な表現力を向上させるために、表示のカラー化が考えられている。例えば、特許文献1では、回帰グラフと入力データとの誤差をカラー表示している。また、特許文献2では、回帰グラフ別に表示色を変えてカラー表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−184819号公報
【特許文献2】特開平10−124690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1,2では、グラフの表示をカラー化しただけであって、そのグラフの元となっているリストデータの各数値データとの相互関係を視覚的に対比するには十分ではない。
【0006】
本発明は前記のような点に鑑みなされたもので、リストデータの各数値データに基づいてグラフを描画した場合に、そのグラフの元となっているリストデータの各数値データとの相互関係を視覚的に容易に把握することのできるグラフ表示装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るグラフ表示装置は、
複数の数値データと前記各数値データに指定された色の情報とを関連付けたリストデータを記憶するリスト記憶手段と、
前記リスト記憶手段に記憶された2組のリストデータに基づいて、一方のリストデータの数値データをX値、他方のリストデータの数値データをY値とした点を前記リスト記憶手段に記憶された各数値データに指定された色でプロットしたプロットグラフを生成し、表示するプロットグラフ表示手段と、
回帰グラフを表示させる際にユーザに色を指定させる色指定手段と、
前記色指定手段により指定された色に対応するリストデータ中の数値データに基づき回帰グラフを生成し、表示する回帰グラフ表示手段と
を具備したことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るプログラムは、
カラー表示可能な表示部を有するコンピュータを、
複数の数値データと前記各数値データに指定された色の情報とを関連付けたリストデータを記憶するリスト記憶手段と、
前記リスト記憶手段に記憶された2組のリストデータに基づいて、一方のリストデータの数値データをX値、他方のリストデータの数値データをY値とした点を前記リスト記憶手段に記憶された各数値データに指定された色でプロットしたプロットグラフを生成し、表示するプロットグラフ表示手段と、
回帰グラフを表示させる際にユーザに色を指定させる色指定手段と、
この色指定手段により指定された色に対応するリストデータ中の数値データに基づき回帰グラフを生成し、表示する回帰グラフ表示手段と
して機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、リストデータの各数値データに色に基づいて回帰グラフを描画するので、グラフの元となっているリストデータの各数値データとの相互関係を視覚的に容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本発明の第1の実施形態に係るグラフ表示装置として用いられる電子計算機の外観構成を示す正面図である。
【図2】図2は同実施形態における電子計算機の回路構成を示すブロック図である。
【図3】図3は同実施形態における電子計算機に用いられるリストデータの構成を示す図である。
【図4】図4は同実施形態における電子計算機に備えられたCPUの機能構成を示すブロック図である。
【図5】図5は同実施形態における電子計算機に備えられたCPUによって実行される統計計算モード時のグラフ表示処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図6】図6は同実施形態におけるリスト入力画面の一例を示す図である。
【図7】図7は同実施形態における「Scatter」が選択されたときのグラフ表示画面の一例を示す図である。
【図8】図8は同実施形態における「Histgram」が選択されたときのグラフ表示画面の一例を示す図である。
【図9】図9は同実施形態における色変更したヒストグラムの一例を示す図である。
【図10】図10は同実施形態におけるヒストグラムに対応したリストデータの色変更前と色変更後の状態を比較して示す図である。
【図11】図11は同実施形態における「回帰グラフ」が選択されたときのグラフ表示画面の一例を示す図である。
【図12】図12は同実施形態における色変更した回帰グラフの一例を示す図である。
【図13】図13は同実施形態における回帰グラフに対応したリストデータの色変更前と色変更後の状態を比較して示す図である。
【図14】図14は本発明の第2の実施形態における電子計算機に備えられたCPUによって実行される統計計算モード時のグラフ表示処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図15】図15は同実施形態におけるプロットグラフの表示画面の一例を示す図である。
【図16】図16は同実施形態におけるプロットグラフの各点から回帰グラフを描画した状態を示す図である。
【図17】図17は同実施形態におけるプロットグラフの任意の点を色変更して回帰グラフを再描画した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るグラフ表示装置として用いられる電子計算機の外観構成を示す正面図である。この電子計算機は、「グラフ関数電卓」と呼ばれ、入力された関数式や統計データに対応するグラフを描画表示するための機能を備えている。
【0013】
この電子計算機10の本体には、本体正面の下端から3分の2程度の範囲でキー入力部12が設けられ、上端から3分の1程度の範囲で表示部13が設けられる。
【0014】
キー入力部12には、数値・記号キー12a、関数・演算子キー12b、「MENU」キー12c、「SHIFT」キー12d、「Color」キー12e、「Graph」キー12f、「Trace」キー12g、「EXIT」キー12h、カーソルキー12i、そしてファンクションキー「F1」〜「F6」等が備えられる。
【0015】
数値・記号キー12aは、数字,記号などの個々のキーを配列した数値・記号の入力用キー群からなる。
【0016】
関数・演算子キー12bは、演算式や関数式を入力する際に操作される各種の関数記号キーや、「+」「−」「×」「÷」「=」などの演算子キーからなる。
【0017】
「MENU」キー12cは、四則計算式や関数計算式等の任意の計算式を入力して演算処理を行わせる演算モード、入力された関数式に対応したグラフの描画処理を行わせるグラフモード、統計計算を行わせる統計計算モード、グラフ関数の学習処理を行わせるe-Activityモード、任意のプログラムを入力して対応する計算処理を行わせるプログラムモード等、各種の動作モードの選択設定メニューを表示させる際に操作される。
【0018】
「SHIFT」キー12dは、キー入力部12における各キートップの左上に記述された各種の記号や機能を指定入力する際に該当するキーと合わせて操作される。
【0019】
「Color」キー12eは、入力データやグラフなどに対して任意の色を指定する際に操作される。
【0020】
「Graph」キー12fは、入力データを元にして任意のグラフを描く際に操作される。
【0021】
「Trace」キー12gは、画面上に表示された関数式のグラフをトレースするトレースモードを設定する際に操作される。
【0022】
「EXIT」キー12hは、現在の状態から抜けるためのキーである。
【0023】
カーソルキー(「↑」「↓」「←」「→」)12iは、それぞれ表示されたデータの選択,送り操作や、カーソルCLの移動操作を行なう際等に操作される。
【0024】
ファンクションキー「F1」〜「F6」は、種々の動作モードに応じて表示部13の画面下端に沿って配列表示される各種選択メニューを選択させる際に操作される。
【0025】
また、表示部13には、例えば縦186ドット×横378ドットの表示範囲を有するカラー表示可能な液晶表示装置が用いられている。
【0026】
図2は電子計算機10の回路構成を示すブロック図である。
【0027】
電子計算機10は、マイクロコンピュータであるCPU11を備えている。CPU11は、プログラムの起動により回路各部を動作させて、電卓機能や関数グラフ表示機能など、電子計算機10に備えられた各種機能を実行する。このCPU11には、図1に示したキー入力部12、表示部13の他に、記憶装置14、RAM15、記録媒体読取部16、通信制御部18などが接続されている。
【0028】
記憶装置14は、ROMなどのメモリデバイスから構成され、本発明を実現するためのグラフ表示制御プログラム14aの他、各種データ及びプログラムを記憶している。
【0029】
RAM15は、CPU11の処理動作に必要な各種データを記憶している。このRAM15には、表示部13の画面上にカラー表示されるデータが展開される表示データ記憶領域15aの他、式データ記憶領域15b、リストデータ記憶領域15c、グラフデータ記憶領域15dが設けられている。
【0030】
式データ記憶領域15bには、キー入力部12の操作により入力された関数式に関するデータが記憶される。リストデータ記憶領域15cには、統計計算モードのリスト機能で作成されたリストデータが色指定の属性情報と共に記憶される(図3参照)。グラフデータ記憶領域15dには、関数式データあるいはリストデータに基づいて作成されたグラフに関するデータが記憶される。
【0031】
記録媒体読取部16は、記録媒体17に記録されたデータの読み取りを行う。記録媒体17としては、例えばメモリカードなどが用いられ、プログラムや画像などが記録されている。
【0032】
通信制御部18は、図示せぬUSB(Universal Serial Bus)を介して接続された外部端末との間のデータ通信、あるいは所定の通信回線を介して無線により接続される外部端末との間のデータ通信を行う。
【0033】
図3は電子計算機10に設けられたRAM15のリストデータ記憶領域15cに記憶されるリストデータの構成を示す図である。
【0034】
リストデータは、「統計データ」あるいは「数表データ」とも言い、後述するリスト入力画面21に設けられたリスト(表)22の各セルに入力された数値データを有する。これらの数値データには、予め用意された複数色の中の任意の色を表示色として指定でき、その指定された色が属性情報として数値データに対応付けられて、RAM15のリストデータ記憶領域15cに記憶される。
【0035】
図3の例では、「リスト1」と「リスト2」の2つのリストデータが示されている。図中のデータ1,2,3…は、任意の数値データを示す。「リスト1」と「リスト2」ともに、データ1,2,3には「黒色」が指定され、データ4には「赤色」、データ5には「黒色」、データ6には「赤色」、データ7には「青色」が指定されている。
【0036】
図4は電子計算機10に備えられたCPU11がグラフ表示制御プログラム14aを実行することにより果たす機能構成を示すブロック図である。
【0037】
CPU11は、グラフ表示においては、リスト入力制御部11a、リスト記憶制御部11b、グラフ生成制御部11c、グラフ表示制御部11d、第1の色変更制御部11e、第2の色変更制御部11fとして機能する。
【0038】
リスト入力制御部11aは、後述するリスト入力画面21(図6参照)を表示することにより、ユーザ操作によって複数の数値データからなるリストデータを入力し、そのリストデータの各数値データに任意の色を指定するための制御を行う。
【0039】
リスト記憶制御部11bは、リスト入力制御部11aによって入力されたリストデータを前記各数値データに指定された色の情報と関連付けてRAM15のリストデータ記憶領域15cに記憶するための制御を行う。
【0040】
グラフ生成制御部11cは、リスト記憶制御部11bによってRAM15のリストデータ記憶領域15cに記憶されたリストデータをグラフ化するための制御を行う。
【0041】
グラフ表示制御部11dは、グラフ生成制御部11cによって生成されたグラフを前記各数値データに指定された色に従って表示部13の画面にカラー表示するための制御を行う。
【0042】
第1の色変更制御部11eは、グラフ表示制御部11dによって表示されたグラフの色を変更するための制御を行う。
【0043】
第2の色変更制御部11fは、第1の色変更制御部11eによって変更された色をRAM15のリストデータ記憶領域15cに記憶された当該グラフに対応したリストデータに反映させて、前記各数値データに指定された色を変更するための制御を行う。
【0044】
次に、同実施形態の動作を説明する。
なお、以下の各フローチャートで示される処理は、コンピュータであるCPU11が記憶装置14に記憶されたグラフ表示制御プログラム14aを読み込むことにより実行される。
【0045】
図5は電子計算機10に備えられたCPU11によって実行される統計計算モード時のグラフ表示処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【0046】
(データ入力)
まず、ユーザが電子計算機10のキー入力部12に設けられた「MENU」キー12cを操作して統計計算モードを設定すると、CPU11の制御の下で表示部13に図6に示すようなリスト入力画面21が表示される(ステップA11)。
【0047】
図6に示すように、リスト入力画面21には、複数のセルからなるリスト(表)22が設けられている。ユーザがキー入力部12の数値・記号キー12aを操作して、このリスト22の各セルに数値データを入力することにより、これらの数値データを含むリストデータ(統計データ)が作成される(ステップA12)。
【0048】
このとき、キー入力部12に設けられた「Color」キー12eを操作すると、リスト入力画面21の下辺に、赤色(Red)、青色(Blue)、緑色(Grn)、黄色(Yllw)の選択メニュー23が表示され、その選択メニュー23の各色に対応したファンクションキーの操作にて任意の色を数値毎に指定することができる。
【0049】
ここでは、ファンクションキー「F2」の操作で赤色、ファンクションキー「F3」の操作で青色、ファンクションキー「F4」の操作で緑色、ファンクションキー「F5」の操作で黄色が指定されるものとする。
【0050】
図6の例では、List1の4番目のセルに入力された数値データ「10」に対して赤色、5番目のセルに入力された数値データ「9」に対して黒色、6番目のセルに入力された数値データ「11」に対して赤色、7番目のセルに入力された数値データ「13」に対して青色が指定されている。
【0051】
なお、数値データに付した(赤),(黒),(青)の記号は指定色を表わしている。これらの記号は、図面の制約上、色付けで表現できないために便宜的に付したものであり、実際には数値データが指定の色でカラー表示される。
【0052】
このようにして、リストデータの各数値データに対して任意の色が指定されると(ステップA13のYes)、その指定された色が属性情報として当該数値データに設定されてRAM15のリストデータ記憶領域15cに記憶される(ステップA14)。
【0053】
なお、色指定されなかった場合には、その数値データに対しては標準色として黒色がデフォルト設定されるものとする。
【0054】
(リストデータに基づくグラフ表示)
リストデータの作成後、キー入力部12に設けられた「Graph」キー12fが操作されると、「Scatter」、「Histgram」、「回帰グラフ」といったグラフ種を示すグラフ種選択メニュー(図示せぬ)が画面下端に沿って配列表示され、任意のグラフ種をファンクションキーの操作にて選択できる。
【0055】
なお、「Scatter」とは、X値とY値で特定される座標点をXY座標上にプロットしていくことを言い、そのプロットされた点で描かれるグラフのことを「プロットグラフ」または「散布図」と呼ぶ。
【0056】
ここで、「Scatter」の場合には、ユーザは、2組のリストデータをX値とY値として指定し、プロットグラフ(散布図)の描画を指示するといった操作を行う。
【0057】
このような操作がなされると(ステップA15のYes)、前記2組のリストデータの各数値データ(要素)に指定された色が同じかどうか、番号単位で比較される(ステップA16)。両者の数値データの色が同じであれば(ステップA16のYes)、(X,Y)の点を指定の色で順次プロットしたプロットグラフが生成され、そのプロットグラフのデータがRAM15のグラフデータ記憶領域15dに記憶される(ステップA17)。
【0058】
このとき、両者の間で数値データの色が一致しないものが存在した場合には(ステップA16のNo)、その旨のエラーメッセージが表示され、ユーザの訂正指示を待つことになる。
【0059】
図7に「Scatter」が選択されたときのグラフ表示画面31の一例を示す。
例えば、図6のリスト1をX値、リスト2をY値として指定したとすると、(10,1.1)の点が赤色、(9,0.8)の点を黒色、(11,1.1)の点を赤色、(13,1.5)の点を青色でプロットしたプロットグラフ(散布図)32が生成される。
【0060】
また、「ヒストグラム」の場合には、ユーザは、1組のリストデータを指定し、その中で任意の数値範囲を区分設定し、ヒストグラムの描画を指示するといった操作を行う。
【0061】
このような操作がなされると(ステップA18のYes)、区分毎に数値データ(要素)に同じ色が指定されているか否かが判断される(ステップA19)。数値データの色が同じであれば(ステップA19のYes)、区分毎に指定の色で表したヒストグラムが生成され、RAM15のグラフデータ記憶領域15dに記憶される(ステップA20)。
【0062】
このとき、どこかの区分に数値データの色が一致しないものがある場合には(ステップA19のNo)、その旨のエラーメッセージが表示され、ユーザの訂正指示を待つことになる。なお、指定されたリストデータに、色指定された数値データが含まれていない場合には、デフォルトの黒色でヒストグラムが生成される。
【0063】
図8に「ヒストグラム」が選択されたときのグラフ表示画面33の一例を示す。
ヒストグラム34は、区分毎に数値データを累積した複数の柱状グラフ35a,35b,35c…からなる。これらの柱状グラフ35a,35b,35c…の高さから区分毎の数値データの累積結果を比較することができる。
【0064】
図8の例は、図10に示すリスト1に対応しており、各数値データの色はすべて黒色のため、ヒストグラム34を構成する各柱状グラフ35a,35b,35c…もすべて黒色で表示されている。もし、各数値データに黒色以外の色が指定されていた場合には、その指定色で各柱状グラフ35a,35b,35c…がカラー表示されることになる。
【0065】
また、「回帰グラフ」の場合には、ユーザは、2組のリストデータをX値とY値として指定し、回帰種類として「直線回帰」、「2次回帰」、「3次回帰」等を設定し、回帰グラフの描画を指示するといった操作を行う。
【0066】
このような操作がなされると(ステップA21のYes)、前記2組のリストデータの全数値データ(要素)に指定された色が同じかどうか判断される(ステップA22)。全部の数値データの色が同じであれば(ステップA22のYes)、前記設定された回帰種類に応じた回帰計算が行われ、その計算結果に従って回帰グラフが生成され、RAM15のグラフデータ記憶領域15dに記憶される(ステップA23)。
【0067】
このとき、2つのリストデータの中に数値データの色が一致しないものがある場合には(ステップA22のNo)、その旨のエラーメッセージが表示され、ユーザの訂正指示を待つことになる。
【0068】
図11に「回帰グラフ」が選択されたときのグラフ表示画面37の一例を示す。
例えば、リスト1をX値、リスト2をY値として指定し、直線回帰を設定することにより、回帰グラフ38が描画される。
【0069】
なお、図11の例は、図13に示すリスト1とリスト2に対応しており、各数値データの色はすべて黒色のため、回帰グラフ38の直線が黒色で表示されている。もし、各数値データに黒色以外の色が指定されていた場合には、その指定色で回帰グラフ38の直線がカラー表示されることになる。
【0070】
(グラフ表示後の色変更)
このようにして、ユーザが選択したグラフ種に応じたグラフデータがRAM15のグラフデータ記憶領域15dに記憶されると、そのグラフデータがRAM15の表示データ記憶領域15aに展開されて表示部13の画面上に表示される(ステップA24)。その際、グラフの元となったリストデータの各数値データに指定された色で当該グラフがカラー表示されることになる。
【0071】
・全部変更
ここで、グラフの表示後に、ユーザによりキー入力部12に設けられた「Color」キー12eが操作されると(ステップA25のYes)、そのグラフ表示画面の下辺に赤色(Red)、青色(Blue)、緑色(Grn)、黄色(Yllw)の選択メニュー23が表示される。
【0072】
この選択メニュー23の中の1色がファンクションキーの操作にて指定されると(ステップA26のYes)、グラフ全体の色がその指定色に変更される(ステップA27)。
また、それに伴い、RAM15のリストデータ記憶領域15cに記憶されたリストデータの各数値データに指定された色も同様に変更される(ステップA28)。
【0073】
例えば、図11に示したような回帰グラフ38が表示されている状態で、「Color」キー12eが操作されると、その画面下辺に選択メニュー23が表示され、その選択メニュー23の中の青色(Blue)がファンクションキーの操作にて指定されたとすると、回帰グラフ38の直線が黒色から青色に変更される。
【0074】
図12に色変更後の回帰グラフ38を示す。なお、一点鎖線は便宜的に青色に変更されたことを表している。このとき、図13(a),(b)に示すように、回帰グラフ38に対応したリストデータの各数値データに指定された色も黒色から青色に変更される。
【0075】
図7に示したプロットグラフ32や図8に示したヒストグラム34でも同様であり、これらのグラフの色が選択メニュー23の中で指定された色に変更され、その色変更が対象となるリストデータの全数値データに反映され、同様に色変更されることになる。
【0076】
・部分変更
一方、「Color」キー12eの操作後(ステップA25のYes)、ファンクションキーではなく、「Trace」キー12gが操作された場合には(ステップA29)、グラフ表示画面の下辺に赤色(Red)、青色(Blue)、緑色(Grn)、黄色(Yllw)の選択メニュー23が表示され、以下のような手順で部分的な色変更が行われる。
【0077】
なお、この電子計算機10にはタッチパネルが備えられていないため、「Trace」キー12gの操作によってトレースモードに切り替えた際に、カーソルキー12iの操作によって表示中のオブジェクト(つまり、グラフ上の点など)を1つずつ指定するといった操作を行うものとする。
【0078】
ここで、「Trace」キー12gが操作された際に、まず、現在表示中のグラフ種が判断される(ステップA30)。ここで、現在表示中のグラフ種がプロットグラフまたはヒストグラムでなかった場合、つまり、回帰グラフであった場合には(ステップA30のNo)、部分的に色変更できないため、その旨のエラーメッセージが表示される。
【0079】
現在表示中のグラフ種がプロットグラフまたはヒストグラムであれば(ステップA30のYes)、カーソルキー12iの操作によって選択されたオブジェクト(グラフ上の点など)が色変更の対象として抽出される(ステップA31)。
【0080】
そして、選択メニュー23の中の1色がファンクションキーの操作にて指定された際に(ステップA32のYes)、前記抽出されたオブジェクトの色がその指定色に変更され(ステップA33)、それに伴い、RAM15のリストデータ記憶領域15cに記憶されたリストデータの各数値データの中の対応するデータの色も変更される(ステップA34)。
【0081】
例えば、図8に示した「Histgram」のグラフ表示画面33において、「Color」キー12eが操作されると、その画面下辺に選択メニュー23が表示される。このとき、ヒストグラム34を構成する各柱状グラフ35a,35b,35c…は全て黒色で表示されているものとする。
【0082】
ここで、例えば柱状グラフ35aが色変更対象(オプジェクト)として選択され、選択メニュー23の中の赤色(Red)が指定されたとすると、その柱状グラフ35aだけが黒色から赤色に変更される。
【0083】
図9に部分的に色変更した後のヒストグラム34の例を示す。なお、図9では、ヒストグラム34の柱状グラフ35aにハッチングした部分が便宜的に赤色に変更されたことを表している。このとき、図10(a),(b)に示すように、ヒストグラム34の柱状グラフ35aに対応したリストデータの各数値データに指定された色も黒色から赤色に変更される。
【0084】
以後同様にして、カーソルキー12iの操作によりオブジェクトを1つ1つ指定しながら、その指定されたオブジェクトの色を部分的に変更することができる。
【0085】
ここで、キー入力部12に設けられた「EXIT」キー12hが操作されると(ステップA35のYes)、グラフ表示状態から抜け、RAM15のリストデータ記憶領域15cから当該グラフに対応したリストデータが読み出されて画面上に表示される(ステップA36)。このとき、グラフに色変更があった場合には、表示されたリストデータの色も変化している。
【0086】
このように、本実施形態の電子計算機10によれば、ユーザがリストデータを入力した際に、そのリストデータの各数値データに任意の色を指定しておくことにより、その指定された色に従ってグラフがカラー表示される。したがって、リストデータとグラフとの相互関係を色にて視覚的に把握できるようになり、リストデータを元に描画されるグラフの特性を理解することができるようになる。
【0087】
さらに、ユーザが表示中のグラフに対して色変更を全体的あるいは部分的に行うと、その色変更がリストデータの各数値データに反映されるので、表示中のグラフとリストデータの各数値データとの相互関係を色変化にて容易に学ぶことができる。
【0088】
また、グラフ種として、「Scatter」、「Histgram」、「回帰グラフ」に対応したグラフを任意選択的にカラー表示することができるので、これらのグラフの特性とリストデータの各数値データとの相互関係を色変化にて容易に学ぶことができて便利である。
【0089】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0090】
第2の実施形態では、色別に点をプロットした後、その中の任意の色を指定して回帰グラフを描くようにしたものである。
【0091】
基本的な装置構成については前記第1の実施形態と同様であるため、ここでは処理動作について説明する。
【0092】
図14は本発明の第2の実施形態における電子計算機10に備えられたCPU11によって実行される統計計算モード時のグラフ表示処理の全体の流れを示すフローチャートである。なお、図14において、ステップB11〜B18までの処理は、前記図5のステップA11〜A17,A24と同様であるため、その詳しい説明は省略する。
【0093】
今、リストデータを元にユーザが指定した色でプロットグラフが表示部13の画面上に表示されたものとする。図15にそのときのグラフ表示画面41の一例を示す。このグラフ表示画面41には、各点を指定の色でプロットしたプロットグラフ(散布図)42が描画されている。
【0094】
プロットグラフの表示後、ユーザが所定の操作により「回帰グラフ」を指示すると(ステップB19のYes)、図15に示すように、色指定するか否かの確認メッセージ43が表示される(ステップB20)。
【0095】
ここで、ユーザがカーソルキー12iの操作により「色指定する」を選択すると(ステップB21のYes)、図16に示すように、グラフ表示画面41の下辺に赤色(Red)、青色(Blue)、緑色(Grn)、黄色(Yllw)の選択メニュー23が表示される。この選択メニュー45の中の各色はファンクションキーの操作によって指定される。
【0096】
この選択メニュー45の中で任意の1色が指定されると(ステップB21のYes)、RAM15のリストデータ記憶領域15cに記憶された当該プロットグラフに対応したリストデータの中から前記指定された色を有する数値データが抽出され、その抽出された数値データに基づいて回帰計算が行われ(ステップB22)、その計算結果に従って回帰グラフが前記指定された色で描画される(ステップB23)。
【0097】
一方、ユーザが「色指定しない」を選択した場合には(ステップB21のNo)、当該プロットグラフに対応したリストデータのすべての数値データに基づいて回帰計算が行われ(ステップB24)、その計算結果に従って回帰グラフが標準色である黒色で描画される(ステップB25)。
【0098】
図16に色指定した場合の回帰グラフ44の一例を示す。この例では、プロットグラフ42の中で赤色の点を関連付けた回帰グラフ44が表示されている。なお、この回帰グラフ44の二点鎖線は、便宜的に赤色で表示されていることを表している。
【0099】
続いて、「Trace」キー12gが操作されると(ステップB26のYes)、カーソルキー12iの操作によって選択されたオブジェクト(ここではグラフ上の点)が色変更の対象として抽出される(ステップB27)。
【0100】
そして、選択メニュー23の中の1色がファンクションキーの操作にて指定されると(ステップB28のYes)、前記抽出されたオブジェクトの色がその指定色に変更され(ステップB29)、それに伴い、RAM15のリストデータ記憶領域15cに記憶された当該リストデータの各数値データの中の対応するデータの色も同様に変更される(ステップB30)。この場合、前記ステップB18で表示されたプロットグラフの元となった2組のリストデータが色変更の対象となり、その2組のリストデータの各数値データの中の対応するデータの色が前記指定された色に変更されることになる。
【0101】
以後同様にして、カーソルキー12iの操作によりオブジェクトを1つ1つ指定しながら、その指定されたオブジェクトの色を部分的に変更することができる。
【0102】
ここで、キー入力部12に設けられた「EXIT」キー12hが操作されると(ステップB31のYes)、グラフ表示状態から抜け、RAM15のリストデータ記憶領域15cから当該グラフに対応したリストデータが読み出されて画面上に表示される(ステップB32)。このとき、グラフに色変更があった場合には、表示されたリストデータの色も変化している。
【0103】
このように、リストデータの各数値データを元にプロットグラフが表示されている場合において、任意の色を指定することで、その指定された色だけを対象にして回帰グラフを描くことができる。
【0104】
さらに、「Trace」キー12gの操作により対象点を色変更すれば、一旦、「EXIT」キー12hによりリスト表示した後に、その色変更後の点を元にした回帰グラフを再描画することもできる。これにより、例えば回帰計算で除外したい点(異常点)を色変更して、回帰グラフを書き直すといったような利用ができる。図17は、点P1,P2を色変更(ここでは青色から赤色に変更)することで、これらの点P1,P2を含めて回帰計算を行い、回帰グラフ46を再描画した例である。
【0105】
なお、前記各実施形態では、リストデータの各数値データに対して指定可能な色として、赤色(Red)、青色(Blue)、緑色(Grn)、黄色(Yllw)の5色を例にして説明したが、これらの色以外の色を指定できようにしても良いし、5色以上の色を指定できるような構成であっても良い。
【0106】
また、グラフ種として、プロットグラフ、ヒストグラム、回帰グラフを例にしたが、本発明はその他のグラフを描画する場合でも同様に適用可能である。
【0107】
また、前記各実施形態において記載した電子計算機10による各動作手法、すなわち、図5、図14の各フローチャートで示した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フレシキプルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体(記録媒体17)に記録して配布することができる。そして、電子計算機10のコンピュータ(CPU11)は、この記憶媒体に記録されたプログラムを読み込みことで、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0108】
また、前記手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態として通信ネットワーク(公衆回線)を介して伝送させることができる。そして、電子計算機10のコンピュータ(CPU11)は、このプログラムを通信ネットワークに接続された通信装置(通信制御部18)にて受信することにより、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0109】
なお、本発明は前記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0110】
10…電子計算機、
11…CPU、
11a…リスト入力制御部、
11b…リスト記憶制御部、
11c…グラフ生成制御部、
11d…グラフ表示制御部、
11e…第1の色変更制御部、
11f…第2の色変更制御部、
12…キー入力部、
12a…数値・記号キー、
12b…関数・演算子キー、
12c…「MENU」キー、
12d…「SHIFT」キー、
12e…「Color」キー、
12f…「Graph」キー、
12g…「Trace」キー、
12h…「EXIT」キー、
12i…カーソルキー、
F1〜F6…ファンクションキー、
13…表示部、
14…メモリ、
14a…グラフ表示制御プログラム、
15…RAM、
15a…表示データ記憶領域、
15b…式データ記憶領域、
15c…リストデータ記憶領域、
15d…グラフデータ記憶領域、
16…記録媒体読取部、
17…記録媒体、
18…通信制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の数値データと前記各数値データに指定された色の情報とを関連付けたリストデータを記憶するリスト記憶手段と、
前記リスト記憶手段に記憶された2組のリストデータに基づいて、一方のリストデータの数値データをX値、他方のリストデータの数値データをY値とした点を前記リスト記憶手段に記憶された各数値データに指定された色でプロットしたプロットグラフを生成し、表示するプロットグラフ表示手段と、
回帰グラフを表示させる際にユーザに色を指定させる色指定手段と、
前記色指定手段により指定された色に対応するリストデータ中の数値データに基づき回帰グラフを生成し、表示する回帰グラフ表示手段と
を具備したことを特徴とするグラフ表示装置。
【請求項2】
前記回帰グラフ表示手段は、前記色指定手段で指定された色で回帰グラフを表示することを特徴とする請求項1記載のグラフ表示装置。
【請求項3】
前記回帰グラフ表示手段は、前記色指定手段により色が指定されない場合には、前記リスト記憶手段に記憶されたリストデータの全ての数値データに基づき回帰グラフを生成し、表示することを特徴とする請求項1または2記載のグラフ表示装置。
【請求項4】
前記プロットグラフ表示手段によって表示されたプロットグラフの各点を指定して色を変更する第1の色変更手段と、
この第1の色変更手段によって色が変更された点に対応する前記リスト記憶手段に記憶されたリストデータ中の数値データの色を前記変更された色と同じ色に変更する第2の色変更手段と
を具備したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のグラフ表示装置。
【請求項5】
カラー表示可能な表示部を有するコンピュータを、
複数の数値データと前記各数値データに指定された色の情報とを関連付けたリストデータを記憶するリスト記憶手段と、
前記リスト記憶手段に記憶された2組のリストデータに基づいて、一方のリストデータの数値データをX値、他方のリストデータの数値データをY値とした点を前記リスト記憶手段に記憶された各数値データに指定された色でプロットしたプロットグラフを生成し、表示するプロットグラフ表示手段と、
回帰グラフを表示させる際にユーザに色を指定させる色指定手段と、
この色指定手段により指定された色に対応するリストデータ中の数値データに基づき回帰グラフを生成し、表示する回帰グラフ表示手段と
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−216242(P2012−216242A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−170218(P2012−170218)
【出願日】平成24年7月31日(2012.7.31)
【分割の表示】特願2010−75841(P2010−75841)の分割
【原出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】