説明

グリコペプチド抗菌剤と組み合わせたエキノカンジン抗真菌剤の使用

本発明は、少なくとも約8個の炭素原子を含有する置換基を有するグリコペプチド抗菌剤と組み合わせたエキノカンジン抗真菌剤の投与方法に関する。本発明はまた、真菌感染の処置のための特定のグリコペプチド抗菌剤と組み合わせたエキノカンジン抗真菌剤の使用方法;ならびにエキノカンジン抗真菌剤および特定のグリコペプチド抗菌剤を含有する組成物、キットおよびシステムに関する。さらに本発明は、真菌感染の処置のための医薬の製造における、エキノカンジン抗真菌剤および少なくとも8個の炭素原子を含有する置換基を有するグリコペプチド抗菌剤の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、グリコペプチド抗菌剤と組み合わせたエキノカンジン(echinocandin)抗真菌剤の使用に関する。より具体的には、本発明は、真菌感染を処置するための、グリコペプチド抗菌剤と組み合わせたエキノカンジン抗真菌剤の使用;ならびにエキノカンジン抗真菌剤およびグリコペプチド抗菌剤を含有する組成物、キットおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
(当該分野の状態)
エキノカンジン抗真菌剤(例えば、カスポフンギン(caspofungin)、ミカフンギン(micafungin)およびアニデュラフンギン(anidulafungin))は、真菌感染の処置に有用な治療剤の比較的新しいクラスである。一般的に、このようなエキノカンジン抗真菌剤は、例えばアンフォテリシンBのようなポリエン抗真菌剤よりも副作用が少ないことが見出されている。しかし、多数の有害な作用が、エキノカンジン抗真菌剤について報告されており、その有害な作用としては、頭痛、発熱、肝毒性作用、静脈炎、ヒスタミン遊離、溶血および紅斑が挙げられる。例えば、Denning、「Echinocandin antifungal drugs」、Lancet 2003;362:1142−51を参照のこと。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、このような薬剤の副作用を軽減するエキノカンジン抗真菌剤の新規の投与方法の必要性が存在する。特に、このような抗真菌剤の有効性を増強し、それによりこのような薬剤が少ない量で投与されることを許容する新しい方法および組成物の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明は、グリコペプチド抗菌剤との組み合わせでの、エキノカンジン抗真菌剤の
新規な投与方法を提供する。驚いたことに、少なくとも約8個の炭素原子を含有する置換基を有するグリコペプチド抗菌剤が、エキノカンジン抗真菌剤と組み合わせて投与された場合、そのエキノカンジン抗真菌剤の有効性が実質的に増加することが、現在発見されている。従って、このようなグリコペプチド抗菌剤と組み合わせて使用された場合、真菌感染の処置のために必要とされるエキノカンジン抗真菌剤の量は、減少される。
【0005】
従って、その方法の局面の1つにおいて、本発明は、被験体にエキノカンジン抗真菌剤を投与する方法を提供し、この方法は、その被験体に、エキノカンジン抗真菌剤および少なくとも約8個の炭素原子を含有する置換基を有するグリコペプチド抗菌剤を投与する工程を包含する。
【0006】
その方法の局面の別の1つにおいて、本発明は、被験体における真菌感染を処置するための方法を提供し、この方法は、エキノカンジン抗真菌剤および少なくとも約8個の炭素原子を含有する置換基を有するグリコペプチド抗菌剤の抗真菌量(antifungal amount)を投与する工程を包含する。
【0007】
その方法の局面のなお別の1つにおいて、本発明は、エキノカンジン抗真菌剤の有効性を向上させるための方法を提供し、この方法は、少なくとも約8個の炭素原子を含有する置換基を有するグリコペプチド抗菌剤と組み合わせて、被験体へエキノカンジン抗真菌剤を投与する工程を包含する。
【0008】
その組成物の局面の1つにおいて、本発明は、以下:
(a)エキノカンジン抗真菌剤;
(b)少なくとも約8個の炭素原子を含有する置換基を有するグリコペプチド抗菌剤;および
(c)薬学的に受容可能なキャリア、
を含有する薬学的組成物を提供する。
【0009】
別の局面において、本発明は、以下:
(a)エキノカンジン抗真菌剤;および
(b)少なくとも約8個の炭素原子を含有する置換基を有するグリコペプチド抗菌剤、
を含有するキットを提供する。
【0010】
1つの実施形態において、そのキットは、処置の必要のある被験体に上記抗真菌剤および上記抗菌剤を投与するための指示書をさらに含む。
【0011】
なお別の局面において、本発明は、被験体における真菌感染を処置するためのシステムを提供し、このシステムは、以下:
(a)エキノカンジン抗真菌剤;および
(b)少なくとも約8個の炭素原子を含有する置換基を有するグリコペプチド抗菌剤、
を包含する。
【0012】
本発明はまた、真菌感染を処置するための医薬の製造における、以下:
(a)エキノカンジン抗真菌剤;および
(b)少なくとも約8個の炭素原子を含有する置換基を有するグリコペプチド抗菌剤、
の使用に関する。
【0013】
特に、本発明は、真菌感染の処置のための、少なくとも約8個の炭素原子を含有する置換基を有するグリコペプチド抗菌剤と組み合わせた投与のための医薬の製造における、エキノカンジン抗真菌剤の使用に関する。
【0014】
さらに、本発明は、真菌感染の処置のための、エキノカンジン抗真菌剤と組み合わせた投与のための医薬の製造における、少なくとも約8個の炭素原子を含有する置換基を有するグリコペプチド抗真菌剤の使用に関する。
【0015】
その局面のなお別の1つにおいて、本発明は、以下:
(a)エキノカンジン抗真菌剤;および
(b)少なくとも約8個の炭素原子を含有する置換基を有するグリコペプチド抗菌剤、
を包含する組み合わせを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(発明の詳細な説明)
本発明は、処置の必要のある被験体に、エキノカンジン抗真菌剤を投与する、新規な方法を提供する。本発明の特徴は、そのエキノカンジン抗真菌剤が、その被験体に、少なくとも約8個の炭素原子を含有する置換基を有するグリコペプチド抗菌剤と組み合わせて投与されることである。その抗真菌剤および抗菌剤は、連続的に投与されてもよいし、同時に投与されてもよく;そして一緒に処方されてもよいし、別々に処方されてもよい。本明細書中に定義されるエキノカンジン抗真菌剤およびグリコペプチド抗菌剤を包含する、組成物(薬学的組成物を含む)、キットおよびシステムもまた、提供される。
【0017】
本発明がさらに記載される前に、本発明は、本明細書中に記載される発明の特定の実施形態に限定されないことが理解される。なぜなら、特定の実施形態の改変はなされ得、かつ添付の特許請求の範囲内になお存在し得るからである。本明細書中で使用される用語法は、特定の実施形態を説明する目的のためのものであり、制限することを意図されないこともまた、理解される。代わりに、本発明の範囲は、添付された特許請求の範囲により確立される。
【0018】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が明確にそうでないと指示しない限り、複数の参照を含む。他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野における当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0019】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間に介在する各々の値(文脈が明確にそうでないと指示しない限り、その下限の単位の10分の1まで)、ならびにその記載された範囲内の任意の他の値または介在する値が、本発明中に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、独立して、そのより小さな範囲に含まれ得、そしてまた本発明中にも包含され、その述べられた範囲において特別に除外する限定を受けやすい。その述べられた範囲が一方または両方の限界を含む場合、これら含まれる限界のどちらかまたは両方を除外する範囲はまた、本発明中に包含される。
【0020】
(定義)
本発明の化合物、組成物、方法、キット、システムおよびプロセスを説明する場合、他に示されない限り、以下の用語は、以下の意味を有する。
【0021】
用語「アルキル」は、一価の飽和炭化水素基を意味し、これは直鎖であっても分岐鎖であってもよい。他に定義されない限り、このようなアルキル基は、代表的に、1〜15個の炭素原子を含有する。代表的なアルキル基としては、例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−へキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルなどが挙げられる。
【0022】
炭素原子の特定の数が、本明細書中で使用される特定の用語について意図される場合、その炭素原子の数が、その用語より前に示される。例えば、用語「C8〜12アルキル」は、8〜12個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
【0023】
用語「アルキレン」は、二価の飽和炭化水素基を意味し、これは直鎖であっても分岐鎖であってもよい。他に定義されない限り、このようなアルキレン基は、代表的に、1〜10個の炭素原子を含有する。代表的なアルキレン基としては、例として、メチレン、エタン−1,2−ジイル(「エチレン」)、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイルなどが挙げられる。
【0024】
用語「アルケニル」は、一価の不飽和炭化水素基を意味し、これは直鎖であっても分岐鎖であってもよく、かつ少なくとも1つ、代表的には1、2または3個の炭素−炭素二重結合を有する。他に定義されない限り、このようなアルケニル基としては、代表的に、2〜15個の炭素原子を含む。代表的なアルケニル基としては、例として、エテニル、n−プロペニル、イソプロペニル、n−ブタ−2−エニル、n−ヘキサ−3−エニルなどが挙げられる。
【0025】
用語「アルキニル」は、一価の不飽和炭化水素基を意味し、これは直鎖であっても分岐鎖であってもよく、かつ少なくとも1つ、代表的には1、2または3個の炭素−炭素三重結合を有する。他に定義されない限り、このようなアルキニル基は、代表的に、2〜15個の炭素原子を含む。代表的なアルキニル基としては、例として、エチニル、n−プロピニル、n−ブタ−2−イニル、n−ヘキサ−3−イニルなどが挙げられる。
【0026】
用語「アルコキシ」は、式(アルキル)−O−の一価の基を意味し、ここでアルキルは、本明細書中で定義される通りである。代表的なアルコキシ基としては、例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。
【0027】
用語「チオアルコキシ」は、式(アルキル)−S−の一価の基を意味し、ここでアルキルは、本明細書中で定義される通りである。代表的なチオアルコキシ基としては、例として、CH−S−、CHCH−S−、CHCHCH−S−、(CHCH−S−などが挙げられる。
【0028】
用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
【0029】
用語「ヘテロアリール」は、単環または縮合した2つの環を有し、その環の中に窒素、酸素または硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子(代表的に1〜3個のヘテロ原子)を含む一価の芳香族基を意味する。他に定義されない限り、このようなヘテロアリール基は、代表的に、全体で5〜10個の環原子を含む。代表的なヘテロアリール基としては、例として、一価の種類のピロール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、フラン、チオフェン、トリアゾール、ピラゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾール、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリンなどが挙げられ、ここで結合点は、任意の利用可能な炭素または窒素の環原子である。代表的なヘテロアリールとしては、イソキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピロリルおよびフリルが挙げられる。
【0030】
用語「ヘテロアリーレン」は、二価のヘテロアリール基を意味する。
【0031】
用語「サッカライド基」は、そのサッカライド部分の任意の原子を介して(例えば、アグリコン炭素原子を介して)、上記グリコペプチドまたは他の化合物に共有結合される、酸化サッカライドモノラジカル、還元サッカライドモノラジカルまたは置換サッカライドモノラジカルを意味する。この用語は、アミノ含有サッカライド基を含む。代表的なサッカライドとしては、例として、ヘキソース(例えば、D−グルコース、D−マンノース、D−キシロース、D−ガラクトース、バンコサミン(vancosamine)、3−デスメチル−バンコサミン、3−エピ−バンコサミン、4−エピ−バンコサミン、アコサミン(acosamine)、アクチノサミン(actinosamine)、ダウノサミン(daunosamine)、3−エピ−ダウノサミン、リストサミン(ristosamine)、D−グルカミン、N−メチル−D−グルカミン、D−グルクロン酸、N−アセチル−D−グルコサミン、N−アセチル−D−ガラクトサミン、シアル酸、イズロン酸、L−フコースなど);ペントース(例えば、D−リボースまたはD−アラビノース);ケトース(例えば、D−リブロースまたはD−フルクトース);ジサッカライド(例えば、2−O−(α−L−バンコサミニル)−β−D−グルコピラノース、2−O−(3−デスメチル−α−L−バンコサミニル)−β−D−グルコピラノース、スクロース、ラクトースまたはマルトース);誘導体(例えば、アセタール、アミン、アシル化糖、硫酸化糖およびリン酸化糖);2〜10個のサッカライド単位を有するオリゴサッカライドが挙げられる。この定義の目的のために、このサッカライドは、開環形態であってもよいし、環化形態(すなわち、ヘキソースに対するピラノースの形態)であってもよい。
【0032】
用語「アミノ含有サッカライド基」は、アミノ置換基を有するサッカライド基を意味する。代表的なアミノ含有サッカライド基としては、L−バンコサミン、3−デスメチル−バンコサミン、3−エピ−バンコサミン、4−エピ−バンコサミン、アコサミン、アクチノサミン、ダウノサミン、3−エピ−ダウノサミン、リストサミン、N−メチル−D−グルカミンなどが挙げられる。
【0033】
「少なくとも8個の炭素原子を含有する置換基」は、少なくとも8個の炭素原子を有する任意の置換基を意味し、この置換基はまた、他の原子(例えば、酸素、窒素、硫黄またはハロ;あるいはそれらの組み合わせ)を含有し得る。グリコペプチド抗菌剤に結合される場合、このような置換基は、(1)そのグリコペプチド抗菌剤の核を形成するアミノ酸(AA1〜7)、あるいは(2)そのグリコペプチド抗菌剤のモノサッカライド基またはポリサッカライド基、のいずれかに結合される。その置換基における炭素原子数を決定する場合、この用語は、そのグリコペプチドの核を形成するアミノ酸(AA1〜7)のいずれの炭素原子も、あるいはそのグリコペプチド核に結合されたモノサッカライド基またはポリサッカライド基の環を形成するいずれの炭素原子も含まない。
【0034】
「薬学的に受容可能な塩」は、親化合物の生物学的有効性および特質を保持し、かつ投与される容量で生物学的に有害でないか、または他に有害ではない塩を意味する。本発明の方法において使用される活性な薬剤は、それぞれアミノ基およびカルボキシル基が存在するために、酸塩および塩基塩の両方を形成する能力がある。
【0035】
薬学的に受容可能な塩基付加塩は、無機塩基および有機塩基から調製され得る。無機塩基から誘導される塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。有機塩基から誘導される塩としては、一級アミンの塩、二級アミンの塩および三級アミンの塩、置換アミン(天然に生じる置換アミンを含む)の塩、環状アミン(イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン(hydrabamine)、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N−アルキルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、およびN−エチルピペリジンを含む)塩が挙げられるが、これらに限定されない。他のカルボン酸誘導体が本発明の実施において有用であることもまた、理解されるべきである。このカルボン酸誘導体は、例えば、カルボン酸アミド(カルボキシアミドを含む)、低級アルキルカルボキシアミド、ジ(低級アルキル)カルボキシアミドなどである。
【0036】
薬学的に受容可能な酸付加塩は、無機酸および有機酸から調製され得る。無機酸から誘導される塩はとしては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。有機酸から誘導される塩としては、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。
【0037】
本明細書中で使用される場合、用語「処置する」または「処置」は、被験体または患者(例えば、哺乳動物(特に、ヒト))において、疾患または医学的状態(例えば、真菌感染)を処置すること、またはその処置を意味し、これは、以下:
(a)その疾患または医学的状態の発生を予防する(すなわち、患者の予防的処置)こと;
(b)その疾患または医学的状態を回復させる(すなわち、患者におけるその疾患または医学的状態を解消または後退させる)こと;
(c)その疾患または医学的状態を抑制する(すなわち、患者におけるその疾患または医学的状態を遅延またはその発症を抑止する)こと;あるいは
(d)患者における、その疾患または医学的状態の症状を緩和すること、
を、包含する。
【0038】
用語「治療有効量」は、処置の必要のある被験体または患者に投与された場合に、有効な処置のために十分な量を意味する。その治療有効量は、処置される被験体および疾患の状態、苦悩の重症度ならびに投与の様式に依存して変動し、そして当業者により慣用的に決定され得る。
【0039】
用語「抗真菌量」は、真菌感染または医学的状態を処置するために十分な量を意味する。
【0040】
用語「抗菌量(antibacterial amount)」は、細菌感染または医学的状態を処置するために十分な量を意味する。
【0041】
(グリコペプチド抗菌剤)
本発明において使用されるグリコペプチド抗菌剤は、少なくとも約8個の炭素原子を含有する置換基を有する任意のグリコペプチド抗菌剤である。グリコペプチド抗菌剤は、抗菌剤の周知のクラスである。例えば、Nicolaouら、Angew.Chem.Int.Ed.(1999)38:2096−2152;およびRaoら、Glycopeptides Classification,Occurrence,and Discovery.In Glycopeptide Antibiotics;Ramakrishnan Nagarajan編;Marcel Dekker,Inc.:New York,NY,1994;第63巻、1−27ページを参照のこと。
【0042】
グリコペプチド抗菌剤は、代表的に、7個のアミノ酸(すなわち、AA−1〜AA−7)および少なくとも5個の芳香環(すなわち、環A〜E)を含有する多環ペプチド核を有する。そのペプチド核は、必要に応じて、1つ以上のサッカライド基で置換される。I型構造は、AA−1およびAA−3に、脂肪環を含有する。II型構造、III型構造およびIV型構造は、これらのアミノ酸の中に、芳香族側鎖を含有する。さらに、III型構造およびIV型構造は、追加のF−O−G環系を含有する。加えて、IV型化合物は、その糖部分に結合された長鎖脂肪酸を有する。V型化合物は、中央のアミノ酸に結合されたトリプトファン部分を含有する。
【0043】
グリコペプチド抗菌剤の例としては、A477、A35512、A40926、A41030、A42867、A47934、A80407、A82846、A83850、A84575、AB−65、アクタプラニン、アクチノイジン(actinoidin)、アルダシン、アボパルシン、アズレオマイシン(azureomycin)、バルヒマイシン(balhimycin)、クロロオリエンチエン(chloroorientiein)、クロロポリスポリン(chloropolysporin)、ダルババンシン(dalbavancin)、デカプラニン(decaplanin)、N−デメチルバンコマイシン、エレモマイシン(eremomycin)、ガラカルジン(galacardin)、ヘルベカルジン(helvecardin)、イズペプチン(izupeptin)、キブデリン(kibdelin)、LL−AM374、マンノペプチン(mannopeptin)、MM45289、MM47756、MM47761、MM49721、MM47766、MM55260、MM55266、MM55270、MM56597、MM56598、OA−7653、オレンチシン(orenticin)、オリチバンシン(oritivancin)、パルボジシン(parvodicin)、リストセチン(ristocetin)、リストマイシン(ristomycin)、シンモニシン(synmonicin)、テイコプラニン、テラバンシン、UK−68597、UK−69542、UK−72051、バンコマイシンなどとして同定されたもの、およびそれらの半合成誘導体が挙げられる。
【0044】
グリコペプチド抗菌剤のさらなる例は、米国特許第4,639,433号;同第4,643,987号;同第4,497,802号;同第4,698,327号;同第5,591,714号;同第5,840,684号;および同第5,843,889号;EP 0 802 199;EP 0 801 075;EP 0 667 353;WO97/28812;WO97/38702;WO98/52589;WO98/52592;ならびにJ.Amer.Chem.Soc.,1996,118,13107−13108;J.Amer.Chem.Soc.,1997,119,12041−12047;およびJ.Amer.Chem.Soc.,1994,116,4573−4590に開示される。
【0045】
グリコペプチド抗菌剤の他の群は、天然に存在するグリコペプチド抗菌剤のN−末端アミノ酸が、取り除かれたもの(すなわち、ヘキサペプチド)である。このようなヘキサペプチドを調製するための方法は、米国特許第5,952,310号;およびP.M.Boothら、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.(1987)1964−1965に開示される。
【0046】
用語「半合成グリコペプチド抗菌剤」は、天然に存在するグリコペプチド抗菌剤を改変(例えば、親化合物の外圏の改変を通して;あるいは、例えば新しいアミノ酸成分を取り込むことによる環ペプチド核の分解または再構築を通して)することにより、生産され得る。用語「合成グリコペプチド抗菌剤」は、それが改変された天然に存在する化合物(すなわち、半合成化合物)であるか否かに関わらず、任意の天然に存在しないグリコペプチド抗菌剤を意味する。本発明のそのグリコペプチド抗菌剤を定義する場合、用語「I型」、「II型」、「III型」、「IV型」、「V型」、「半合成」および「外圏」は、当該分野において定義されるように(例えば、上記されたNicolaouら、総説で使用されるように)使用される。
【0047】
本発明において使用される特定のグリコペプチド抗菌剤は、少なくとも約8個の炭素原子を含有する置換基を有するものである。この点に関して、そのグリコペプチド抗菌剤は、天然に存在するグリコペプチド抗菌剤であってもよいし、合成グリコペプチド抗菌剤(半合成グリコペプチド抗菌剤を含む)であってもよい。
【0048】
代表的に、少なくとも約8個の炭素原子を含有する置換基は、約8個〜約24個の炭素原子(約8個〜約20個の炭素原子(例えば、約8個〜約14個の炭素原子)を含む);ならびに酸素、窒素、硫黄またはハロから選択される0個〜約5個のヘテロ原子を含有する。このような置換基の炭素原子は、直鎖または分岐鎖であってもよいし、結合して脂肪族または芳香環(例えば、フェニル環)を形成してもよい。その任意のへテロ原子は、炭素鎖を中断(すなわちエーテル、チオエーテルまたはアミンを形成)してもよいし、炭素鎖に結合される置換基(例えば、クロロ置換基)であってもよい。
【0049】
特定の実施形態において、上記グリコペプチド抗菌剤は、式I:
【0050】
【化7】

の化合物であり、ここで、
およびXは、独立して、水素またはクロロであり;
は、以下:
(a) −R
(b) −C(O)−R
(c) −R−W
(d) −C(O)−R−W;および
(e) −R−Y−Rからなる群より選択され;
ここで、
およびRは、独立して、C8〜14アルキル、C8〜14アルケニルまたはC8〜14アルキニルであり;
およびRは、独立して、C1〜8アルキレンであり;
は、C2〜8アルキレンであり;
は、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニルまたはC1〜12アルキニルであり;
およびWは、独立して、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロ、−(フェニル)、−CH−(フェニル)、−O−(フェニル)、および−O−CH−(フェニル)からなる群より独立して選択される1〜3個の置換基で、必要に応じて置換されたフェニルであり;各−(フェニル)基は、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシおよびハロからなる群より独立して選択される1〜2個の置換基で、必要に応じて置換され;
Yは、O、SまたはNHであり;
ただしRが、少なくとも8個の炭素原子を含有し;
およびRの一方はヒドロキシであり、かつ他方は水素であり;
およびRは、独立して、水素またはメチルであり;
は、水素または式(f):
【0051】
【化8】

の基であり;
は、水素または式(g):
【0052】
【化9】

の基であり;
nは、1〜6の整数である化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩またはそれらの薬学的に受容可能な立体異性体である。
【0053】
目的の特定の実施形態において、上記グリコペプチド抗菌剤は、式Iの化合物であり、ここで:XおよびXは、どちらもクロロであり;Rは、−CHCH−NH−(CHCHであり;Rは、ヒドロキシであり;Rは、水素であり;Rは、メチルであり;Rは、水素であり;Rは、水素であり;そしてRは、−CH−NH−CH−P(O)(OH)である。この化合物は、当該分野において、テラバンシンとして公知である。
【0054】
目的の別の特定の実施形態において、上記グリコペプチド抗菌剤は、式Iの化合物であり、ここで:XおよびXは、どちらもクロロであり;Rは、以下の式:
【0055】
【化10】

の基であり;Rは、水素であり;Rは、ヒドロキシであり;Rは、メチルであり;Rは、水素であり;Rは、式(f)の基であり;そしてRは、水素である。この化合物は、当該分野において、オリタバンシンとして公知である。
【0056】
目的の別の特定の実施形態において、上記グリコペプチド抗菌剤は、式Iの化合物であり、ここで:XおよびXは、どちらもクロロであり;Rは、以下の式:
【0057】
【化11】

の基であり;Rは、ヒドロキシであり;Rは、Hであり;Rは、メチルであり;Rは、水素であり;Rは、水素であり;そしてRは、水素である。
【0058】
目的のなお別の実施形態において、上記グリコペプチド抗菌剤は、ダルババンシンである。
【0059】
目的のなお別の実施形態において、上記グリコペプチド抗菌剤は、テイコプラニンである。本明細書中において使用されるように、用語「テイコプラニン」は、テイコプラニンA−1〜5を含む(すなわち、1つ以上のテイコプラニンA−1;テイコプラニンA−2;テイコプラニンA−3;テイコプラニンA−4;テイコプラニンA−5を含む)。
【0060】
特定の実施形態において、そのグリコペプチド抗菌剤は、テラバンシン、オリタバンシン、ダルババンシンおよびテイコプラニン;またはそれらの薬学的に受容可能な塩から選択される。
【0061】
このような化合物の誘導体(例えば、1つ以上の上記部分または基への改変がなされ、かつ抗菌活性を残している誘導体)もまた、目的とされる。
【0062】
このようなグリコペプチド抗菌剤は、市販されているか、または当業者に公知の技術により従来のように調製され得る。例えば、種々のグリコペプチド化合物およびそれらの誘導体、ならびにそれらの合成および調製を記載している特許としては、米国特許第4,497,802号;同第4,639,433号;同第4,643,987号;同第4,698,327号;同第5,591,714号;同第5,750,509号;同第5,916,873号;同第5,919,756号;同第5,840,684号;同第5,840,684号;同第5,843,889号;同第5,977,062号;および同第6,444,786号;ならびに米国出願公開番号2002/0022590 A1;同2003/008812 A1;同2003/0045457 A1;および2003/0069391 A1が挙げられる。
【0063】
(エキノカンジン抗真菌剤)
本発明において使用されるエキノカンジン抗真菌剤は、抗真菌剤の周知のクラスである。例えば、Denning、「Echinocandin antifungal drugs」、Lancet 2003;362:1142−51を参照のこと。このようなエキノカンジン抗真菌剤としては、環状ペプチドであるリポペプチド薬剤(例えば、環状ヘキサペプチド)、ならびに非環状ペプチドのそれらの機能的アナログ(例えば、コリネカンジン(corynecandin))などが挙げられる。
【0064】
本発明において使用されるエキノカンジン抗真菌剤は、天然に生じるエキノカンジン抗真菌剤であっても、その合成誘導体または半合成誘導体であってもよい。
【0065】
代表的な目的の天然に生じるエキノカンジン抗真菌剤としては、エキノカンジンB(ECB)、エキノカンジンC(ECC)、アキュレアシンAγ(aculeacin Aγ)、ムルンドカンジン(mulundocandin)、スポリオフンギン(sporiofungin)、ニューモカンジン A(pneumocandin A)、WF11899Aおよびニューモカンジン Bが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
目的の合成エキノカンジン抗真菌剤および半合成エキノカンジン抗真菌剤としては、上記の天然に生じるエキノカンジン化合物のアナログ(例えば、エキノカンジンBのアナログ(例えば、シロフンギンおよびアニデュラフンギン);WF11899Aのアナログ(例えば、ミカフンギン);ならびにニューモカンジン Bのアナログ(例えば、カスポフンギン))が挙げられる。
【0067】
本発明において使用されるエキノカンジン抗真菌剤は、市販されているか、または当業者に公知な技術により調製され得る。例えば、種々のエキノカンジン抗真菌剤およびそれらの誘導体、ならびにそのような薬剤の合成および調製について記載している代表的な特許および特許出願としては、米国特許第5,378,804号;同第5,514,650号;同第5,541,160号;同第5,782,746号;同第5,952,300号;同第6,136,783号;同第6,107,458号;同第6,232,290号;US2003/0017975;WO98/52967;WO99/20651;WO99/29716;WO99/43337;WO99/55727;WO00/11023;WO00/34315;WO00/51564;WO00/51567;WO00/52036;WO00/52037;WO00/63239;WO00/75177;WO00/75178;WO01/02002およびWO01/07468が挙げられる。
【0068】
1つの実施形態において、上記エキノカンジン抗真菌剤は、式II:
【0069】
【化12】

の化合物であり、ここで:
10は、以下:
(a) 水素;
(b) −C(O)R
(c) −C(O)−W−R
(d) −C(O)−W−W−R
(e) −C(O)−W−W−W−R
(f) −C(O)−W−C≡C−W−R
(g) −C(O)−W−W−C≡C−W−R;および
(h) −C(O)−W−C≡C−W−C≡C−W−Rからなる群より選択され;
ここで、
は、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニルまたはC2〜20アルキニルであり;
は、水素、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、C1〜12アルコキシ、C1〜12チオアルコキシ、ハロおよび−O−(CH−O−C1〜12アルキルからなる群より選択され、ここでpは2〜12であり;
各々WおよびWは、独立して、酸素、窒素または硫黄からなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する1,4−フェニレンまたはC3〜6ヘテロアリーレンであり;ここで、該フェニレンまたはヘテロアリーレン基は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、C1〜6チオアルコキシおよびハロからなる群より独立して選択される1〜3個の置換基で、必要に応じて置換され;
11a、R11b、R11c、およびR11dは、水素またはヒドロキシから独立して選択されるか;あるいはR11aは、−NH(CHNHまたは−NH−(2−アミノシクロヘキサ−1−イル)であり;
12は、水素、ヒドロキシ、アミノまたはメチルであり;
13は、水素、メチル、−CHCN、−CHCONHまたは−CHCHNHであり;
14は、水素またはヒドロキシであり;
15は、ヒドロキシ、−OP(O)(OH)、−OP(O)(OH)(OCH)、−OP(OH)(OCH)または−OSOHであり;
16は、水素、ヒドロキシ、−OSOH、−SOHまたは−CH−ピペリジン−1−イルであり;
17は、水素またはメチルであり;そして
18は、水素、ヒドロキシ、ベンジルオキシ、−NRまたは−O−(CH2〜6NRであり、ここでRは、水素、C1〜4アルキル、C3〜4アルケニル、−(CH2〜4OH、−(CH2〜4NRまたは−CO(CH1〜4NHであり;ここでRは、水素、C1〜4アルキル、C3〜4アルケニル、−(CH2〜4OHまたは−(CH2〜4NRであるか;あるいはRおよびRは、一緒になって、−(CH−、−(CH−、−(CHO(CH−または−(CH−NH−(CH−であり;そしてここで、各々RおよびRは、独立して、水素またはC1〜4アルキルである化合物であるか、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または薬学的に受容可能な立体異性体である。
【0070】
式IIの1つの実施形態において、R10は、−C(O)Rであり、ここでRは本明細書中で定義される通りである。本発明のこの局面の特定の実施形態において、Rは、C1〜20アルキルおよびC2〜20アルケニルからなる群より選択される。Rについての特定の値の例は、−(CH14−CH、−(CH−[CH(CH)−CH−]−CH、−(CH10−CH(CH)−CH−CH、−(CH−CH=CH−CH−CH=CH−(CH−CHおよび−[CH=C(CH)−(CH−]−CH=C(CHである。
【0071】
式IIの別の実施形態において、R10は、−C(O)−W−Rであり、ここでWおよびRは、本明細書中で定義される通りである。本発明のこの局面の特定の実施形態において、Wは、非置換1,4−フェニレンであり;かつRは、C1〜12アルキルおよび−O−(CH−O−C1〜12であり、ここでpは、2〜12である。この実施形態および他の実施形態についての特定の値は、−O(CHCH、−O(CHCH、−O(CHCH、−O(CHCH、−O(CHCH、−O−(CH−O−CHおよび−O−(CH−O−(CH−CHである。
【0072】
−W−Rについての特定の値の例は:
【0073】
【化13】

である。
【0074】
式IIのなお別の実施形態において、R10は、−C(O)−W−W−Rであり、ここで各々WおよびRは、本明細書中に定義される通りである。本発明のこの局面の特定の実施形態において、それぞれWは、非置換1,4−フェニレンであり;かつRは、C1〜12アルコキシおよび−O−(CH−O−C1〜12アルキルであり;ここでpは、2〜12である。
【0075】
−W−W−Rについての特定の値の例は:
【0076】
【化14】

である。
【0077】
式IIのなお別の実施形態において、R10は、−C(O)−W−W−W−Rであり、ここで各々W、WおよびRは、本明細書中で定義される通りである。本発明のこの局面の特定の実施形態において、各々Wは、非置換の1,4−フェニレンであり;Wは、非置換の1,4−フェニレン、または1,3,4−チアゾール−2,5−ジイル、イソキサゾール−3,5−ジイル、1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル、1,2,4−オキサジアゾール−3,5−ジイルおよびイミダゾール−2,4−ジイルからなる群より選択される非置換のヘテロアリーレンであり;そしてRは、C1〜12アルコキシおよび−O−(CH−O−C1〜12アルキル(ここでpは2〜12である)からなる群より選択される。
【0078】
−W−W−W−Rについての特定の値の例は、以下:
【0079】
【化15】

である。
【0080】
式IIの特定の実施形態において、R10は、以下:
【0081】
【化17】

からなる群より選択される。
【0082】
10の特定の値は、
【0083】
【化18】

からなる群より選択され得る。
【0084】
目的の特定の実施形態において、本発明において使用されるエキノカンジン抗真菌剤は、式IIの化合物であり、ここでR10は、式:
【0085】
【化19】

の基であり;R11a、R11b、R11c、およびR11dは、−OHであり;R12は、−Hであり;R13は、−(CH−NHであり;R14は、−OHであり;R15は、−OHであり;R16は、−Hであり;R17は、−CHであり;そしてR18は、−NH−(CH−NHである。この化合物は、カスポフンギンとして公知である。
【0086】
目的の別の特定の実施形態において、上記エキノカンジン抗真菌剤は、式IIの化合物であり、ここでR10は、式:
【0087】
【化20】

の基であり;R11a、R11b、R11c、およびR11dは、−OHであり;R12およびR13は、−CHであり;R14およびR15は、−OHであり;R16は、−Hであり;R17は、−CHであり;そしてR18は、−OHである。この化合物は、アニデュラフンギンとして公知である。
【0088】
目的の別の特定の実施形態において、上記エキノカンジン抗真菌剤は、式IIの化合物であり、ここでR10は、式:
【0089】
【化21】

の基であり;R11a、R11b、R11c、およびR11dは、−OHであり;R12は、−CHであり;R13は、−CH−C(O)−NHであり;R14およびR15は、−OHであり;R16は、−SOHであり;R17は、−CHであり;そしてR18は、−OHである。この化合物は、ミカフンギンとして公知である。
【0090】
1つの実施形態において、上記エキノカンジン抗真菌剤は、カスポフンギン、アニデュラフンギンおよびミカフンギンからなる群より選択される。特定の実施形態において、そのエキノカンジン抗真菌剤は、カスポフンギンである。1つの実施形態において、上記グリコペプチド抗菌剤は、テラバンシン(telavancin)であり、そしてそのエキノカンジン抗真菌剤は、カスポフンギンである。
【0091】
(方法)
本発明は、処置の必要のある被験体に、エキノカンジン抗真菌剤を投与する方法を提供する。この方法の特徴は、そのエキノカンジン抗真菌剤が、その被験体に、少なくとも約8個の炭素原子を含有する置換基を有するグリコペプチド抗菌剤と組み合わせて投与されることである。
【0092】
「組み合わせて」は、一定量のエキノカンジン抗真菌剤が、被験体に、一定量のグリコペプチド抗菌剤と一緒に投与されることを意味する。特定の実施形態において、そのエキノカンジン抗真菌剤およびグリコペプチド抗菌剤は、連続的に(例えば、そのエキノカンジン抗真菌剤は、そのグリコペプチド抗菌剤の前に、または後に)投与される。他の実施形態において、そのエキノカンジン抗真菌剤およびグリコペプチド抗菌剤は、同時に投与される(例えば、そのエキノカンジン抗真菌剤およびグリコペプチド抗菌剤は、2つの別個の処方物として同時に投与されるか、またはその被験体に投与される単一の組成物に組み合わされる)。そのエキノカンジン抗真菌剤およびグリコペプチド抗菌剤が、連続的に投与されるか同時に投与されるかに関わらず、両方の薬剤が患者内で同時に存在する場合、その薬剤は、本発明の目的のために一緒に、または組み合わせて投与されたとみなされる。
【0093】
その2つの薬剤の投与経路および使用される各薬剤の量は、種々の要因(例えば、使用される具体的な薬剤、処置される状態など)に依存する。一般的に、被験体に投与される上記エキノカンジン抗真菌剤の量は、その被験体が羅患している状態(例えば、その被験体が羅患している真菌感染)について、その被験体を処置するための治療有効量である。多くの実施形態において、その有効量は、そのエキノカンジン抗真菌剤がグリコペプチド抗菌剤と組み合わせて投与されていない(すなわち、コントロール投与における)場合に有効な量よりも少ない量である。例えば、本発明に従って投与された場合、エキノカンジン抗真菌剤の量は、代表的に、1用量当たり、少なくとも約10重量%;他の場合、1用量当たり、少なくとも約20重量%;なお他の場合、1用量当たり、少なくとも約50重量%、減少され得る。特定の代表的な実施形態において、例えばIV注入で投与された場合、その被験体に投与されるエキノカンジン抗真菌剤の量は、1日当たり約25mg〜1日当たり約100mg(例えば、1日当たり約50mg〜1日当たり約70mg)の範囲である。
【0094】
上記被験体に投与されるグリコペプチド抗菌剤の量は、代表的に、上記エキノカンジン抗真菌剤の効力を増加させる量であり、ここで、効果的であるために必要とされるエキノカンジン抗真菌剤の量が、1用量当たり少なくとも約10重量%まで減少される場合、効力が向上されたと考えられる。特定の実施形態において、その被験体に投与されるグリコペプチド抗菌剤の量は、そのエキノカンジン抗真菌剤の効力において相乗的な増加を生じる量である。相乗的な増加は、その被験体に投与されるグリコペプチド抗菌剤の量が、同時投与されるエキノカンジン抗真菌剤の効力を相乗的に増加させることを意味する。相乗作用は、V.Lorian編、Antibiotics in Laboratory Medicine、第4版、Williams&Wilkins,Baltimore,MD,330〜396ページ(1996)のEliopoulos,E.G.およびR.Moellering,Jr.「Antimicrobial Combinations」;Shalitら、Antimicrobial Agents and Chemotherapy 47(4):1416−1418(2003);またはAfeltraら、Antimicrobial Agents and Chemotherapy 46(10):3323−3326(2002);に記載され、そして本明細書中の実験の節に示されるように、例えばチェッカーボードMICアッセイ(checkerboard MIC assay)を使用してインビトロで、実証され得る。多くの実施形態において、投与されるグリコペプチド抗菌剤の量は、MICアッセイを使用して決定されたところ、0.7以下(0.6以下(例えば、0.5以下)を含む)の機能阻害濃度指標(Functional Inhibitory Concentration Index)(FICI)を生じるのに十分である。
【0095】
特定の実施形態において、例えばIV注入で投与された場合、任意の所与の用量で上記被験体に投与されるグリコペプチド抗菌剤の量は、約0.1mg/kg〜約50mg/kg(例えば、約0.25mg/kg〜約25mg/kg(約0.5mg/kg〜約10mg/kgを含む))の範囲である。
【0096】
本発明の方法の実施において、エキノカンジン抗真菌剤とグリコペプチド抗菌剤との組み合わせは、単回の日用量を投与されてもよいし、1日当たり複数回用量で投与されてもよい。その投与レジメンは、長期間(例えば、数日間または1週間〜6週間)にわたる投与を必要とし得る。
【0097】
(薬学的組成物)
本発明において使用されるエキノカンジン抗真菌剤およびグリコペプチド抗菌剤は、代表的に、処置の必要のある被験体への投与に適する薬学的組成物として処方される。この点において、そのエキノカンジン抗真菌剤およびグリコペプチド抗菌剤は、処置の必要のある被験体への連続投与または同時投与のための、別個の薬学的組成物として処方され得る。あるいは、このような薬剤は、単一の薬学的組成物(すなわち、両方の活性薬剤を含む1つの組成物)に組み合わされ得る。
【0098】
一般的に、別個の薬学的組成物として処方および投与される場合、上記エキノカンジン抗真菌剤およびグリコペプチド抗菌剤は、このような薬剤の分野において周知であり以前に記載されている従来の薬学的組成物を使用して処方される。
【0099】
例えば、エキノカンジン抗真菌剤に適した薬学的組成物は、米国特許第5,378,804号;同第5,952,300号;および同第6,136,783号;ならびにWO00/51564;WO00/51567;WO99/43337;およびWO98/52967に記載される。適したカスポフンギン処方物としては、例えば、Cancidas(登録商標)が挙げられる。
【0100】
さらに、グリコペプチド抗菌剤のために適した薬学的組成物は、米国特許第5,977,062号;および同第6,635,618号;EP 0 667 353;EP 0 525 499;ならびにWO01/82971に記載される。
【0101】
上記エキノカンジン抗真菌剤およびグリコペプチド抗菌剤が、単一の薬学的処方物に一緒に処方される場合、このような処方物は新規である。従って、一つの実施形態において、本発明は、エキノカンジン抗真菌剤;少なくとも約8個の炭素原子を含有する置換基を有するグリコペプチド抗菌剤;および薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤またはビヒクルを含有する薬学的組成物に関する。
【0102】
さらなる例示のために、上記エキノカンジン抗真菌剤および/またはグリコペプチド抗菌剤は、従来の薬学的なキャリアおよび賦形剤(すなわち、ビヒクル)と混合され得、そして水溶液、錠剤、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、オブラートなどの形態で使用され得る。特定の実施形態において、このような薬学的組成物は一般的に、約0.1重量%〜約90重量%の活性化合物(より一般的には、約1重量%〜約30重量%の活性化合物)を含有する。その薬学的組成物は、一般的なキャリアおよび賦形剤(例えば、コーンスターチまたはゼラチン、ラクトース、ブドウ糖、スクロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、第二リン酸カルシウム、塩化ナトリウム、およびアルギン酸)を含有し得る。本発明の処方物において一般的に使用される崩壊薬としては、クロスカルメロース(croscarmellose)、微結晶性セルロース、コーンスターチ、グリコール酸ナトリウムスターチおよびアルギン酸が挙げられる。
【0103】
液体組成物は、一般的に、懸濁剤、防腐剤、界面活性剤、湿潤剤、香料または着色剤と共に、適した液体キャリア(例えば、エタノール、グリセリン、ソルビトール、非水性溶媒(例えば、ポリエチレングリコール)、油または水)中に存在する、上記化合物または薬学的に受容可能な塩の懸濁液または溶液からなる。
【0104】
あるいは、液体処方物は、再構成可能な散剤から調製され得る。例えば、活性化合物、懸濁剤、スクロースおよび甘味料を含有する散剤は、水と共に再構成されて懸濁液を形成し得;そしてシロップは、活性成分、スクロースおよび甘味料を含有する散剤から調製され得る。
【0105】
錠剤の形態にある組成物は、固形組成物を調製するために慣用的に使用される任意の適した薬学的なキャリアを使用して、調製され得る。このようなキャリアの例としては、ステアリン酸マグネシウム、スターチ、ラクトース、スクロース、微結晶性セルロースおよび結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン)が挙げられる。その錠剤はまた、カラーフィルムコーティングまたはそのキャリアの一部として含まれる色と共に、提供され得る。さらに、活性化合物は、親水性マトリックスまたは疎水性マトリックスを含有する錠剤として、徐放性の剤形で処方され得る。
【0106】
カプセルの形態にある組成物は、例えば活性化合物および賦形剤の硬質なゼラチンカプセルへの取り込みによる、慣用的なカプセル化手順を使用して、調製され得る。あるいは、活性化合物および高分子量ポリエチレングリコールの半固形マトリックスが、調製され、硬質なゼラチンカプセルに充填され得るか;あるいは、ポリエチレングリコール中の活性化合物の溶液または食用油(例えば、液体パラフィンもしくは分画されたココナッツ油)中の懸濁液が、調製され、軟質なゼラチンカプセルに充填され得る。
【0107】
含有され得る錠剤結合剤は、アカシアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、スターチおよびエチルセルロースである。使用され得る潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウムまたは他の金属性ステアリン酸塩、ステアリン酸、シリコーンオイル、タルク、ワックス、オイルおよびコロイド状シリカが挙げられる。
【0108】
香料(例えば、ペパーミント、冬緑樹のオイル、サクランボ香料など)もまた、使用され得る。さらに、剤形を外見においてより魅力的にするために、または製品を同定することを助けるために、着色剤を加えることが望ましくあり得る。
【0109】
非経口的に投与された場合に活性である本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩は、筋肉内投与、くも膜下腔内投与または静脈内投与のために処方され得る。
【0110】
筋肉内投与またはくも膜下腔内投与のための代表的な組成物は、オイル(例えば、ピーナッツ油またはゴマ油)中の活性成分の懸濁液または溶液である。静脈内投与およびくも膜下腔内投与のための代表的な組成物は、例えば活性成分ならびにブドウ糖または塩化ナトリウム、あるいはブドウ糖および塩化ナトリウムの混合物を含有する無菌の等帳性水溶液である。他の例は、乳酸リンゲル液注射、乳酸リンゲル液+ブドウ糖注射、ノルモソール(Normosol)−Mおよびブドウ糖、アイソライト(Isolyte)E、アシル化リンゲル液注射などである。必要に応じて、共溶媒(例えば、ポリエチレングリコール)、キレート化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸)、および抗酸化剤(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム)が、その処方物に含有され得る。あるいは、その溶液は、凍結乾燥され得、次いで投与の直前に適切な溶媒と共に再構成され得る。
【0111】
直腸投与において活性である本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩は、坐剤として処方され得る。代表的な坐剤処方物は、一般的に、結合剤および/または潤滑剤(例えば、ゼラチンまたはココアバターあるいは他の低融点植物ワックスもしくは植物性脂肪または合成ワックスもしくは合成脂肪)を含む、活性成分からなる。
【0112】
局所的投与において活性である本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩は、経皮性組成物または経皮送達デバイス(「パッチ」)として処方され得る。このような組成物としては、例えば、裏装、活性化合物レザバー、制御膜、ライナーおよび接触接着剤が挙げられる。そのような経皮パッチは、調節された量での本発明の化合物の連続注入または不連続注入を提供するために、使用され得る。薬剤の送達のための経皮パッチの構成および使用は、当該分野において周知である。例えば、1991年6月11日に発行された米国特許第5,023,252号を参照のこと。このようなパッチは、薬剤の連続送達、拍動性送達、または応需型の送達のために、構成され得る。
【0113】
特定の実施形態において、上記グリコペプチド抗菌剤を含有する薬学的組成物は、さらにシクロデキストリン化合物を含有する。例示として、例えば薬学的に受容可能な塩の形態のグリコペプチド抗菌剤は、水性シクロデキストリン溶液と混合されて、薬学的組成物を形成し得る。このような薬学的組成物は、代表的に、約1〜約40重量%のシクロデキストリンおよび有効量のグリコペプチド抗菌剤を含有する。特定の実施形態において、本発明の薬学的組成物において使用されるシクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンまたはスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンである。特定の実施形態において、そのシクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンである。特定の実施形態において、そのシクロデキストリンは、その処方物の、約1〜約40重量%(例えば、約2〜約30重量%(約5〜約15重量%を含む))を占める。1つの実施形態において、上記水性シクロデキストリン溶液は、さらにブドウ糖(例えば、約5%ブドウ糖)を含有する。
【0114】
必要に応じて、上記薬学的組成物は、他の薬学的に受容可能な成分(例えば、緩衝液、界面活性剤、抗酸化剤、粘度調節剤、防腐剤など)を含有し得る。これらの成分の各々は、当該分野において周知である。例えば、米国特許第5,985,310号を参照のこと。
【0115】
本発明の処方物における使用のために適した他の成分は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,第20版、Lippinott Williams & White,Baltimore,Maryland(2000)に見出され得る。
【0116】
(キットおよびシステム)
本発明はまた、本明細書中に記載される方法の実施における使用のためのキットおよびシステムを提供する。例えば、このような方法の実施のためのキットおよびシステムは、1つ以上の薬学的組成物を包含し得、これは上記エキノカンジン抗真菌剤および上記グリコペプチド抗菌剤の一方または両方を含む。例えば、特定の実施形態において、そのキットは、一単位以上の投薬量で存在する単一の薬学的組成物を含み得、ここでその組成物は、そのエキノカンジン抗真菌剤およびグリコペプチド抗菌剤の両方を含有する。なお他の実施形態において、そのキットは、2つ以上の別個の薬学的組成物を含み、その各々がエキノカンジン抗真菌剤またはグリコペプチド抗菌剤のいずれかを含有する。
【0117】
上記の成分に加えて、上記キットはさらに、本発明の方法の実施のための指示書を含む。これらの指示書は、そのキット内に種々の形態で存在し得、その1つ以上が、そのキット内に存在し得る。これらの指示書が存在し得る1つの形態は、そのキットのパッケージ、添付文書などにおいて、適した媒体または基質(例えば、情報が印刷されている1枚または複数枚の紙)上の、印刷された情報として存在し得る。なお別の手段は、情報が記録されている、コンピューター読み取り可能媒体(例えば、ディスケット、CDなど)である。存在し得るなお別の手段は、インターネットを介して、離れた場所の情報にアクセスするために使用され得るウェブサイトアドレスである。指示書を提供するための任意の簡便な手段は、上記キット内に存在し得る。
【0118】
本明細書中で使用される場合、用語「システム」は、本発明の方法の実施の目的のために一緒にされた、単一のまたは異なる組成物中に存在するエキノカンジン抗真菌剤およびグリコペプチド抗菌剤の収集物を意味する。例えば、本発明に従って一緒にされ、処置の必要のある被験体に同時投与される、別個に得られたエキノカンジン抗真菌剤およびグリコペプチド抗菌剤の投薬形態は、本発明に従うシステムである。
【0119】
(有用性)
本発明の方法、組成物、キットおよびシステムは、真菌感染あるいはエキノカンジン抗真菌剤により阻害されるかまたは処置可能である病原体生物(例えば、真菌)により引き起こされる医学的状態を有する被験体を処置するために有用である。この点において、その被験体は、すでに真菌感染を有していてもよいし、エキノカンジン抗真菌剤およびグリコペプチド抗菌剤の組み合わせが、原因となる病原体の同定に先立って処置が開始される予防治療および経験的治療において使用されてもよい。
【0120】
種々の被験体または患者または宿主が、本発明の方法、組成物、キットおよびシステムを使用して処置可能である。一般的にこのような被験体は、「哺乳動物」または「哺乳類」であり、ここでこれらの用語は、哺乳綱にある生物を広く記載するために使用される。哺乳綱は、肉食動物(例えば、イヌおよびネコ)、げっ歯類(例えば、マウス、モルモットおよびラット)、ならびに霊長類(例えば、ヒト、チンパンジーおよびサル)を含む。目的の特定の実施形態において、その被験体または患者は、ヒトである。
【0121】
本発明の方法に従って処置される代表的な真菌状態は、以下の病原性の種:Candida spp.(例えば、C.albicans、C.glabrata、C.tropicalis、C.guilliermorulii、C.haemulonii、C.krusei、C.parapsilosis、C.lusitaniae、C.norvegensis、C.viswanathiiおよびC.kefyr);Hyalineカビ(例えば、Aspergillus fumigatus、A.flavus、A.niger、A.terreus、Geotricum candidum);Pseudallescheria boydii、Histoplasma capsulatum(var. capsulatum)、Coccidioides immitis、Cryptococcus bidus、C.laurentiiおよびC.fusarium、ならびにMucormycotic生物(例えば、Zygomycetes spp.;(例えば、Rhizopus pusillus、Cunninghamelle bertholletiae、Saksenaea vasiformis、Mucor ramosissimus、Absidia corymbifera、Apophysomyces elegans、Cokeromyces recurvatusおよびSyncephalastrum racemosum))により引き起こされるものである。
【0122】
従って、本発明は、被験体において真菌感染を処置する方法を提供し、この方法は、その被験体に、本明細書中にさらに記載されるように、抗真菌量(例えば、その被験体を処置するために有効な量)のエキノカンジン抗真菌剤およびグリコペプチド抗菌剤を投与する工程を包含する。
【0123】
本発明の組成物はまた、さらに例えば米国特許第6,541,506号に記載されるように、医療機器または移植片のコーティング、農業への適用などのためにも、使用され得る。
【0124】
特定の実施形態において、処置される被験体は、真菌感染および細菌感染の両方により苦しんでおり、ここでその細菌感染は、本発明において使用されるグリコペプチド抗菌剤に感受性である。従って、本発明はまた、処置の必要のある被験体における細菌感染および真菌感染を処置するための方法を提供し、この方法は、その被験体に、抗真菌量の本明細書中でさらに記載されるように、抗真菌量のエキノカンジン抗真菌剤および抗菌量のグリコペプチド抗菌剤を投与する工程を包含する。
【0125】
処置され得る代表的な細菌感染または細菌性の医学的状態としては、以下:ブドウ球菌(メチシリン耐性ブドウ球菌および重篤なブドウ球菌性感染(例えば、ブドウ球菌性心内膜炎およびブドウ球菌性敗血症)を含む);腸球菌(バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)を含む);連鎖球菌(ペニシリン耐性肺炎球菌(penicillin−resistant pneumoniae)(PRSP)を含む);重篤な連鎖球菌性感染(例えば、院内感染性肺炎および市中肺炎(HAPおよびCAP));中耳炎などにより引き起こされるものが挙げられる。
【0126】
本発明の有用性は、以下の代表的な実施例によりさらに例示される。
【実施例】
【0127】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供されるが、本発明の範囲を限定するような様式では解釈されない。以下の実施例において、以下の略語は、他に示されない限り、以下の意味を有する。他のすべての略語は、それらの一般に認められている意味を有する。
CFU/mL コロニー形成単位/ミリリットル
DMSO ジメチルスルホキシド
FIC 分画発育阻止濃度
FICI 分画発育阻止濃度指標
NCCLS 臨床研究所規格委員会(National Committee for Clinical Laboratory Standards)
MIC 最小発育阻止濃度
MOPS (3−[N−モルホリノ]プロパンスルホン酸)
OD 光学濃度
PDA ポテトデキストロース寒天
SDA サブローデキストロース寒天。
【0128】
(実施例1)
(MICおよびFICIを決定するためのアッセイ)
以下のアッセイを使用して、抗真菌剤と抗菌剤との組み合わせのための最小発育阻止濃度(MIC)および分画発育阻止濃度指標(FICI)を決定した。FICIを計算するための本アッセイおよび方法は、当該分野で周知である。例えば、Antibiotics in Laboratory Medicine、V.Lorian編、第4版、Williams & Wilkins、Baltimore、MD、330−396頁(1996)の、Eliopoulos,E.G.およびR.Moellering,Jr.「Antimicrobial Combinations」;Shalitら、Antimicrobial Agents and Chemotherapy 47(4):1416−1418(2003);またはAfeltraら、Antimicrobial Agents and Chemotherapy 46(10):3323−3326(2002)を参照のこと。
【0129】
FICI値は、代表的には、以下の基準を使用して評価する:
FICI≦0.5 相乗効果
0.5<FICI<1.0 相加効果
1.0<FICI<4.0 無関係効果
FICI>4.0 拮抗効果。
【0130】
本アッセイにおいて、抗真菌剤とグリコペプチド抗菌剤との組み合わせは、その組み合わせ化合物が、約0.5未満もしくはそれに等しい計算値FICI、または少なくとも1倍の希釈係数までの抗真菌MICの減少のいずれかを示した場合に、抗真菌剤単独よりも有効であると見なした。
【0131】
(A.真菌株)
本アッセイで使用した真菌株は、高度に感染性である。標準的で安全な測定(例えば、使い捨てスクリューキャップチューブの使用および安全マスクの使用)に、厳密に従った。すべての作業を、バイオセーフティーレベル2のキャビネットで行った。すべての物質および機器(例えば、ピペッターおよびインキュベーター)を、実験間で除染した。
【0132】
本アッセイで使用した真菌株は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)、Manassas、VAから入手した。以下の表において、各株についてのATCC受託番号は、列見出し「ATCC」の下に示される。他の株は、所望の場合に使用され得る。
【表A】

【0133】
本アッセイで使用される手順、プロトコル、供給量および機器は、NCCLS 2003、「Reference Method for Broth Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria that Grow Aerobically;Approved Standard」(NCCLS文書M7−A6);NCCLS 2002、「Reference Method for Broth Dilution Antifungal Susceptibility Tests of Filamentous Fungi that Grow Aerobically;Approved Standard」(NCCLS文書M38−A);およびNCCLS 2002「Reference Method for Broth Dilution Antifungal Susceptibility Tests of Yeast;Approved Standards−第2版」(NCCLS文書M27−A2)に記載されるように、臨床研究所規格委員会により認可され公表された推奨に従う。
【0134】
(B.試験化合物および供給源)
以下の半合成グリコペプチド抗生物質を、本アッセイで試験した:
【0135】
【化22】

ここで、RおよびRは、以下に定義されるとおりである:
【0136】
【化23】

化合物1(テラバンシンとしてもまた公知)を、米国特許第6,635,618号B2の実施例2に記載されるように調製した。バンコマイシンをSigma−Aldrich(St.Louis,MO)から購入した。
【0137】
ミコナゾールを、U.S.Pharmacopeia(Rockville,MD)から購入した。フルコナゾール、ボリコナゾール(VFEND(登録商標)として処方される)、および酢酸カスポフンギン(CANCIDAS(登録商標)として処方される)を、Peninsula Pharmacy(Burlingame,CA)から購入した。フルコナゾールを、DIFULCAN(登録商標)(経口処方物)として購入し、使用前に精製した。
【0138】
各化合物の初期ストックを、適切な溶媒(すなわち、化合物1、バンコマイシンおよびフルコナゾールにはDMSO溶液;またはボリコナゾールおよびカスポフンギンには供給業者の指示に従って滅菌水のいずれか)で作製した。
【0139】
(C.希釈割合)
チェッカーボード法(checkerboard method)を使用して、2倍希釈100×最終濃度マスタープレートを、96ウェルU字型マイクロタイタープレートおよび適切な溶媒を用いて調製した。「チェッカーボード」法では、マイクロタイタープレートを「列(column)」と「行(row)」に分け、その列の各ウェルは、x軸に沿って希釈された同量の抗真菌剤(化合物A)を含み、その行の各ウェルは、y軸について希釈された同量のグリコペプチド抗菌剤(化合物B)を含む。また、化合物AまたはB単独の行(または列)も含む。チェッカーボードで使用される希釈は、指数関数的(二乗)である。その結果は、マイクロタイタープレートの各ウェルが試験される2つの化合物に関して固有の濃度を含むことである。
【0140】
マトリックス2×最終濃度を、30μLの100×化合物Aおよび化合物Bを深底ウェル(deep well)(1つの混合薬あたり1つの深底ウェル)中の1,440μL RPMIに移すことによって行った。混合後、100μLの2×混合薬を、96ウェルマイクロタイタープレートに分配した。化合物Aを、1,600μg/mLで開始して列1から列11(1.6μg/mL)まで希釈した。列1のウェルは、化合物Aについて16μg/mLの最終濃度(種菌を添加した後)を含んだ;列2のウェルは、化合物Aについて8μg/mLの最終濃度を含んだ;列3のウェルは、化合物Aについて4μg/mLの最終濃度を含んだ;などである。化合物Aは列12には添加しなかったので、列12は、化合物Bのみを含んだ。
【0141】
化合物Bを、6,400μg/mLで開始して行Aから行G(100μg/mL)まで希釈した。行Aのウェルは、化合物Bについて64μg/mLの最終濃度を含んだ;行Bのウェルは、化合物Bについて32μg/mLの最終濃度を含んだ;行Cのウェルは、化合物Bについて16μg/mLの最終濃度を含んだ;などである。化合物Bは行Hには添加しなかったので、行Hは、化合物Aのみを含んだ。
【0142】
以下に示すのは、組み合わせた化合物Aおよび化合物Bを使用する96ウェルマイクロタイタープレートフォーマットの例である。行および列に示した濃度は、種菌を組み合わせ化合物(combined compound)と混合した後の最終濃度である。
【0143】
【化24】

ほとんどの事例において、グリコペプチド抗菌化合物単独のMICは、64μg/mL未満であった。正確な測定を得るために、NCCLSプロトコルを使用する標準的なMICアッセイを、256μg/mL〜0.25μg/mLの幅広い濃度範囲で行った。本実験から決定したグリコペプチド抗菌化合物のMICを、FIC計算で使用した。抗菌化合物のMICが256μg/mL未満であった場合は、その化合物のFICを、真のMICに最も近い値として256μg/mLを使用して計算した。
【0144】
(D.培地および種菌調製)
炭酸水素ナトリウム培地(哺乳動物細胞用に処方される富化培地)を含まないRPMI−1640(GIBCO−BRL,Carlsbad,CA)を、酵母および糸状菌感受性試験のためのNCCLSガイドラインに従って使用した。その培地を、0.165Mの3−[N−モルホリノ]プロパンスルホン酸(MOPS)(20g/Lのグルコースを補充し、塩酸で7.0にpHを調整した)で緩衝化した。サブローデキストロース寒天(SDA)スラントおよびプレート、ならびにポテトデキストロース寒天(PDA)プレートを、Hardy Diagnostic(Santa Maria,CA)から購入した。
【0145】
酵母培養を、SDAスラントに画線した−80℃の凍結ストックから開始し、好気条件下35℃で24時間インキュベートした。そのスラントを冷蔵庫で2週間まで保存し、開始培養物として正規に使用した。各アッセイを行う約24〜48時間前に、酵母を単離されたコロニーに対してSDAプレートに画線した。種菌を調製するために、1〜4つのコロニーを、5mLの生理食塩水に再懸濁し、15秒間ボルテックスした。
【0146】
−80℃の凍結ストックから開始したカビを、PDAプレートの中央にスポットした。そのプレートを35℃で7日間インキュベートして、分生子柄および胞子嚢柄を誘導した。速く増殖するカビ(すなわち、Fusarium種およびRhizopus種)を、35℃で48〜72時間インキュベートし、次いで、25〜28℃で7日目まで保存した。種菌を調製するために、そのカビ胞子を、(エアロゾル形成を避けて)生理食塩水に再懸濁し、次いで、15秒間ボルテックスし、そして菌糸粒子を5〜10分間安定させた。
【0147】
生理食塩水に再懸濁したボルテックスした細胞の530nmにおける初期光学濃度(OD)は、SmartSpec 3000分光光度計(BioRAD、Hercules、CA)を用いて測定すると0.5未満であった。ほとんどの酵母およびカビ培養物について、その懸濁液の光学濃度(OD)を、生理食塩水中で0.11に調整して、約0.4×10CFU/mLを提供した。しかし、Fusarium moniliformeおよびPseudallescheria boydiiについては、その懸濁液のODを、OD=0.17に調整して、約0.4×10CFU/mLを提供した。次いで、その培養物を、RPMI培地(GIBCO−BRL)中で酵母について1:1,000およびカビについて1:50で希釈して、2×最終種菌を得た。0.5×10〜2.5×10CFU/mL(酵母)および0.4×10〜5×10CFU/mL(カビ)の最終種菌を使用して、試験結果のより大きな再現性を確保した。
【0148】
8チャネルのマルチピペッターを使用して、100μLの2×種菌を、最も低い希釈から開始して最も高い希釈まで、100μLの2×薬物希釈液に添加した。マイクロタイタープレートを、好気条件下で35℃にて48時間インキュベートし、結果を読み取った。プレートを、約24時間後(Rhizopus種)または72時間後(Cryptococcus neoformans)に読み取った。
【0149】
さらに、バリデーションの目的で(すなわち、ピペットした種菌量の精度および細胞の生存度を確認するために)、100μLの種菌を別々のSDAプレートにプレートした。約46時間〜約48時間後にバリデーション用プレート上で数えられたコロニーから計算された種菌サイズが、予想される0.5×10〜2.5×10CFU/mL(酵母)および0.4×10〜5×10CFU/mL(カビ)の範囲外であった場合、全アッセイ試験をやり直した。
【0150】
約46時間〜約48時間後、96ウェルマイクロタイタープレート中の真菌の増殖を評価し、そして最小発育阻止濃度(MIC)および分画発育阻止濃度(FIC)を計算した。
【0151】
マイクロタイタープレートの各列および行を細胞増殖について視覚的に評価し、これをその培地の混濁度または濁度として示した。RPMI培地は、播種において澄んで透明であった。濁度が観察されなかった場合、種菌細胞の増殖は阻害され、ウェルは澄んだままであった。
【0152】
化合物の最小発育阻止濃度(MIC)(すなわち、化合物Aの最小発育阻止濃度(MIC))は、増殖が観察されない化合物Aの濃度である。
【0153】
(E.相乗効果の測定)
試験化合物のインビトロ相互作用を測定するために、分画発育阻止濃度を、抗真菌化合物のMICを少なくとも2倍の希釈係数まで減少させる濃度(すなわち、「相乗効果用ウェル(synergistic well)中の化合物の濃度」)を使用して計算した。化合物Aについての分画発育阻止濃度(FIC(A))は、相乗効果用ウェル中の化合物Aの濃度をMIC(A)で割った濃度に等しい。同様に、化合物Bについて、FIC(B)は、相乗効果用ウェル中の化合物Bの濃度をMIC(B)で割った濃度に等しい。分画発育阻止濃度指標(FICI)は、FIC(A)+FIC(B)の合計に等しい。
【0154】
【化25】

試験化合物の各組み合わせについて、再現性を示すためにアッセイを少なくとも2回繰り返した。MICは、アッセイに関連する固有の50%誤差を有するので、平均分析も統計分析も行わなかった。しかし、FICは、MICの可変性によって影響を受けない。
【0155】
組み合わせた試験化合物のFICIの計算値を、以下の特定の実施形態における基準と比較した:
FICI≦0.5 相乗効果
FICI>0.5 非相乗効果
組み合わせ化合物の相互作用は、グラフに表され得、そのグラフにおいて、抗真菌剤のMIC(μg/mL)が、抗菌剤の濃度(μg/mL)(X軸にプロットされる)の関数としてY軸にプロットされる。所望の場合、2つの組み合わせ化合物の相乗的相互作用が、代替的に計算されるかまたは他のアッセイ(例えば、Eliopoulos,E.G.およびR.Moellering,Jrで議論されるような時間−殺菌相乗作用アッセイ(time−kill synergy assay))とバリデーションされる。
【0156】
(F.結果および考察)
アッセイの結果を、表1、2および3に示す。
【0157】
(表1)
(グリコペプチド抗菌剤とカスポフンギンとの組み合わせに対するFICI)
【0158】
【表1】

(表2)
(化合物1とカスポフンギンとの組み合わせに対するFICI)
【0159】
【表2】

(表3)
(化合物1とアゾール抗真菌剤との組み合わせに対するFICI)
【0160】
【表3】

表1、2および3のデータは、エキノカンジン抗真菌剤(例えば、カスポフンギン)と、少なくとも約8個の炭素原子を含む置換基を有するグリコペプチド抗菌剤(例えば、テラバンシン)との組み合わせが、代表的に、真菌の種々の株に対して相乗効果または付加効果を有することを示す。例えば、化合物1とカスポフンギンとの組み合わせは、カスポフンギンが活性を有さないC.neoformansを除いて、試験したすべての酵母に対して相乗的であった。
【0161】
対照的に、バンコマイシンとカスポフンギンとの組み合わせは、相乗的でも付加的でもなかった。さらに、アゾール抗真菌剤は、グリコペプチド抗菌剤と組み合わせた場合、相乗効果も付加効果も示さなかった。
【0162】
これらの結果は、本発明が、エキノカンジン抗真菌剤をそれを必要とする被験体に投与することにおいて、十分な利点を提供することをはっきりと示す。より具体的には、特定のグリコペプチド抗菌剤と組み合わせてこのようなエキノカンジン抗真菌剤を投与することによって、そのエキノカンジン抗真菌剤の効力が有意に増大され、それによって、(例えば、毒性を減少させるかまたは排除するために)投薬量の減少、より迅速な処置プロトコルなどが可能になる。
【0163】
本発明は、その特定の局面または実施形態を参照して記載されるが、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく種々の変更がなされ得るかまたは種々の等価物が置き換えられ得ることが、当業者によって理解される。さらに、適用可能な特許法および特許規則により許される範囲で、本明細書中に引用されるすべての刊行物、特許および特許出願は、あたかも各書類が個々に本明細書中に参考として援用されているのと同程度に、その全体が参考として本明細書に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真菌感染の処置のための医薬の製造における、以下:
(a)エキノカンジン抗真菌剤;および
(b)少なくとも8個の炭素原子を含有する置換基を有するグリコペプチド抗菌剤;
の、使用。
【請求項2】
真菌感染の処置のための、少なくとも8個の炭素原子を含有する置換基を有するグリコペプチド抗菌剤との組み合わせでの投与のための医薬の製造における、エキノカンジン抗真菌剤の、使用。
【請求項3】
真菌感染の処置のための、エキノカンジン抗真菌剤との組み合わせでの投与のための医薬の製造における、少なくとも8個の炭素原子を含有する置換基を有するグリコペプチド抗菌剤の、使用。
【請求項4】
前記エキノカンジン抗真菌剤および前記グリコペプチド抗菌剤が、連続的に投与される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
前記エキノカンジン抗真菌剤および前記グリコペプチド抗菌剤が、同時に投与される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記エキノカンジン抗真菌剤が、エキノカンジンB、エキノカンジンC、アキュレアシンAγ、ムルンドカンジン、スポリオフンギンA、ニューモカンジンA、WF11899A、ニューモカンジンB、シロフンギン、アニデュラフンギン、ミカフンギンまたはカスポフンギン;あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記グリコペプチド抗菌剤が、半合成化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記グリコペプチド抗菌剤が、テラバンシン、オリタバンシン、ダルババンシンおよびテイコプラニン;またはそれらの薬学的に受容可能な塩から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
前記グリコペプチド抗菌剤が、式I:
【化1】

の化合物であって、ここで、
およびXは、独立して、水素またはクロロであり;
は、以下:
(a) −R
(b) −C(O)−R
(c) −R−W
(d) −C(O)−R−W;および
(e) −R−Y−Rからなる群より選択され;
ここで、
およびRは、独立して、C8〜14アルキル、C8〜14アルケニルまたはC8〜14アルキニルであり;
およびRは、独立して、C1〜8アルキレンであり;
は、C2〜8アルキレンであり;
は、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニルまたはC1〜12アルキニルであり;
およびWは、独立して、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロ、−(フェニル)、−CH−(フェニル)、−O−(フェニル)、および−O−CH−(フェニル)からなる群より独立して選択される1〜3個の置換基で、必要に応じて置換されたフェニルであり;各−(フェニル)基は、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシおよびハロからなる群より独立して選択される1〜2個の置換基で、必要に応じて置換され;
Yは、O、SまたはNHであり;
ただしRが、少なくとも8個の炭素原子を含有し;
およびRの一方はヒドロキシで、他方は水素であり;
およびRは、独立して、水素またはメチルであり;
は、水素または式(f):
【化2】

の基であり;
は、水素または式(g):
【化3】

の基であり;
nは、1〜6の整数である
化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩またはそれらの薬学的に受容可能な立体異性体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
およびXは、どちらもクロロであり;
は、−CHCH−NH−(CHCHであり;
は、ヒドロキシであり;
は、水素であり;
は、メチルであり;
は、水素であり;
は、水素であり;そして
は、−CH−NH−CH−P(O)(OH)である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
およびXは、どちらもクロロであり;
は、式:
【化4】

の基であり;
は、水素であり;
は、ヒドロキシであり;
は、メチルであり;
は、水素であり;
は、式(f)を有する基であり;そして
は、水素である、請求項9に記載の使用。
【請求項12】
前記エキノカンジン抗真菌剤が、式II:
【化5】

の化合物であり、ここで:
10は、以下:
(a) 水素;
(b) −C(O)R
(c) −C(O)−W−R
(d) −C(O)−W−W−R
(e) −C(O)−W−W−W−R
(f) −C(O)−W−C≡C−W−R
(g) −C(O)−W−W−C≡C−W−R;および
(h) −C(O)−W−C≡C−W−C≡C−W−Rからなる群より選択され;
ここで、
は、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニルまたはC2〜20アルキニルであり;
は、水素、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、C1〜12アルコキシ、C1〜12チオアルコキシ、ハロおよび−O−(CH−O−C1〜12アルキルからなる群より選択され、ここでpは2〜12であり;
各々WおよびWは、独立して、酸素、窒素または硫黄からなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する1,4−フェニレンまたはC3〜6ヘテロアリーレンであり;ここで、該フェニレンまたはヘテロアリーレン基は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、C1〜6チオアルコキシおよびハロからなる群より独立して選択される1〜3個の置換基で、必要に応じて置換され;
11a、R11b、R11c、およびR11dは、水素またはヒドロキシから独立して選択されるか;あるいはR11aは、−NH(CHNHまたは−NH−(2−アミノシクロヘキサ−1−イル)であり;
12は、水素、ヒドロキシ、アミノまたはメチルであり;
13は、水素、メチル、−CHCN、−CHCONHまたは−CHCHNHであり;
14は、水素またはヒドロキシであり;
15は、ヒドロキシ、−OP(O)(OH)、−OP(O)(OH)(OCH)、−OP(OH)(OCH)または−OSOHであり;
16は、水素、ヒドロキシ、−OSOH、−SOHまたは−CH−ピペリジン−1−イルであり;
17は、水素またはメチルであり;そして
18は、水素、ヒドロキシ、ベンジルオキシ、−NRまたは−O−(CH2〜6NRであり、ここでRは、水素、C1〜4アルキル、C3〜4アルケニル、−(CH2〜4OH、−(CH2〜4NRまたは−CO(CH1〜4NHであり;ここでRは、水素、C1〜4アルキル、C3〜4アルケニル、−(CH2〜4OHまたは−(CH2〜4NRであるか;あるいはRおよびRは、一緒になって、−(CH−、−(CH−、−(CHO(CH−または−(CH−NH−(CH−であり;そしてここで、各々RおよびRは、独立して、水素またはC1〜4アルキルである
化合物であるか、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または薬学的に受容可能な立体異性体である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
10が、以下:
水素;
−C(O)−(CH14−CH
−C(O)−(CH−[CH(CH)−CH−]−CH
−C(O)−(CH−CH=CH−CH−CH=CH−(CH−CH
−C(O)−[CH=C(CH)−(CH−]−CH=C(CH
−C(O)−(CH10−CH(CH)−CH−CH
【化6】

からなる群より選択される、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記エキノカンジン抗真菌剤が、カスポフンギン、アニデュラフンギンおよびミカフンギンからなる群より選択される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
前記エキノカンジン抗真菌剤が、カスポフンギンである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用。

【公表番号】特表2006−528188(P2006−528188A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521182(P2006−521182)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/023289
【国際公開番号】WO2005/018743
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(500154711)セラヴァンス インコーポレーテッド (129)
【Fターム(参考)】