説明

グリッドコンピューティングシステム、ISPサーバ、課金方法及びプログラム

【課題】 グリッドコンピューティングシステムにおいて、リソースの提供および利用に伴って発生する対価の支払いおよび請求にかかるコストを低減させる。
【解決手段】 課金DB222には、ISPの会員の会員IDに対応付けてISP利用料が登録されている。相殺部282は、リソース提供端末130が提供したリソースに見合った対価を、課金DB222に格納されているISP利用料の内の、リソース提供端末130の使用者の会員IDに対応付けて登録されているISP利用料から減算することにより相殺後請求金額を求める。更に、相殺部282は、リソース利用端末120が利用したリソースに見合った対価を、課金DB222に格納されているISP利用料の内の、リソース利用端末120の使用者の会員IDに対応付けて登録されているISP利用料に加算することにより相殺後請求金額を求める。決済部283は、相殺部282が求めた相殺後請求金額に基づいた決済処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク上に存在する複数のコンピュータの余剰リソースを利用して様々な処理を行うグリッドコンピューティング技術に関し、特に、ISP(Internet Service Provider)が、リソース利用者とリソース提供者とを仲介すると共に、リソースの提供および利用に伴って発生する対価の支払いおよび請求を行うグリッドコンピューティング技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PC(Personal Computer)の性能は飛躍的に良くなり、かつ、低価格化が進んできているため、各家庭やオフィスなどで一人一台を所有し、インターネットに接続して各種ホームページを閲覧したり、メールを送受信するなどの様々な処理に頻繁に利用されるようなってきている。しかしながら、各種ホームページを閲覧したり、メールを送受信する程度では高性能になったPCのリソース(CPU、メモリ、DISK容量など)の内の数%程度しか利用しておらず、残りのリソースパワーは未使用状態にあることが多い。
【0003】
また、高速な通信回線の普及によって大容量のデータのやりとりが行われるブロードバンド化も急速に普及し、更に、オフィスはもちろん各家庭においても、各端末のインターネットへの接続料金設定が従量制(インターネットに接続した時間などに応じて支払う料金体系)から固定制(インターネットの接続時間などには依存せず月額固定などの料金体系で、いわゆる使い放題な料金設定)を利用するユーザが増えてきている。
【0004】
PCの性能向上やブロードバンド化に伴い、グリッドコンピューティングという概念が一般家庭のユーザなどにも浸透してきており、SETI@homeやFight AIDS@homeといったプロジェクトが、一般家庭のPCのリソースを利用して行われるようになってきている。SETI@homeは、地球外生命体を探索するという知的好奇心をくすぐるものであり、Fight AIDS@homeは、エイズ治療薬を探すという社会貢献といった意味付けがあり、どちらも広い意味でボランティア精神の上に成り立つものである。
【0005】
ところで、グリッドコンピューティングにおける、コンピュータリソースを利用したいというニーズを持つ者としては、上記したFight AIDS@homeやSETI@home等のように、社会的に貢献するプロジェクトや知的好奇心をくすぐるプロジェクトに関わっている研究者の他に、大量のデータ処理を必要とする企業なども考えられる。企業がグリッドコンピューティングを利用して行う処理としては、種々の処理が考えられるが、例えば、大量の請求書のイメージデータを作成する処理などが考えられる。
【0006】
Fight AIDS@homeやSETI@home等のように、社会的に貢献するプロジェクトや、知的好奇心をくすぐるプロジェクトに対しては、自身のPCのリソースを無償で提供しようというユーザが多数存在し、実際にこのようなユーザによって提供されたリソースを利用して、Fight AIDS@home等のプロジェクトが行われている。しかし、営利目的の企業のために、自身のPCのリソースを無償で提供しようとするユーザは、ほとんど存在しない。従って、営利目的の企業などにおいても、一般家庭のPCのリソースを利用できるようにするためには、リソースの提供に対する対価が適切にリソース提供者に支払われるような仕組みが必要となる。
【0007】
リソース提供者に対して対価を支払うようにした従来の技術としては、リソース利用端末とリソース提供端末のニーズとシーズとを仲介する仲介サーバを設け、仲介サーバが、リソースを提供したリソース提供端末に対して提供したリソースに見合った金額を支払い、リソースを利用したリソース利用端末に対して利用したリソースに見合った金額を請求するという技術が知られている(例えば、特許文献1、2、3参照)。なお、リソース利用者から徴収した金額とリソース提供者に支払った金額との差分が、仲介者の利益となる。
【0008】
また、貨幣以外の方法によってリソース提供者に対価を支払う方法も従来から提案されている(例えば、特許文献4、5参照)。
【0009】
特許文献4においては、リソース利用端末とリソース提供端末とを仲介する演算処理業者装置を設け、演算処理業者装置がリソースを提供したリソース提供端末に対して、提供したリソースに見合ったポイントを還元するようにしている。なお、リソース提供端末に還元されたポイントは、演算処理業者が提携しているネットショップ等で利用可能なものである。
【0010】
また、特許文献5においては、計算依頼端末とリソース提供端末とを仲介する仲介サーバを設け、仲介サーバが、計算依頼端末から依頼された計算を行わせるための計算プログラムをリソース提供端末へ送信する際、コンテンツも送信し、上記コンテンツをリソース提供に対する対価としている。
【0011】
一方、グリッドコンピューティングに関する技術ではないが、ASP(Application Service Provider)がユーザからアプリケーションサービス料金を徴収する際のコストを低減させるため、ISPに対してユーザから徴収するアプリケーションサービス料金を通知し、ISPが上記ユーザのインターネット接続料金と通知されたアプリケーションサービス料金とを合算してユーザに請求する技術も知られている(例えば、特許文献6参照)。
【0012】
【特許文献1】特開2004−206273号公報
【特許文献2】特開2004−326452号公報
【特許文献3】特開2004−362149号公報
【特許文献4】特開2004−302741号公報
【特許文献5】特開2004−102878号公報
【特許文献6】特開2002−163183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述した特許文献1〜4に開示されている従来の技術によれば、リソース提供者が提供したリソースに見合った対価を受け取ることが可能になるため、Fight AIDS@homeやSETI@homeのように社会的に貢献したり知的好奇心をくすぐるプロジェクト以外の、例えば、企業などが営利を目的にして行うプロジェクトについてもリソース提供者を確保することが可能になると考えられる。
【0014】
しかしながら、上述した特許文献1〜5に開示されている従来の技術には次のような問題がある。
【0015】
特許文献1〜3に開示されている従来の技術では、リソース提供者に対して対価(リソース提供料)を支払うためだけに、銀行口座などにリソース提供料を振り込む等の支払い処理を行い、リソース利用者に対して対価(リソース利用料)を請求するためだけに請求処理を行っているため、支払い処理や請求処理にコストがかかってしまうという問題がある。
【0016】
特許文献4に開示されている従来の技術では、リソース提供者に対してリソース提供料を支払う代わりにポイントを還元しているので、銀号口座などへの振込処理が不要になり、振込手数料を不要にすることができる。しかし、この従来の技術では、リソース提供者毎にポイントを管理しておく必要があるため、コストがかかってしまうという問題がある。即ち、リソース提供者のポイントを管理するためのポイントデータベースを設けたり、リソース提供者がリソースを提供する毎に、上記リソース提供者のポイントを加算したり、リソース提供者がネットショップで買い物をする毎に、上記リソース提供者のポイントを減算したりする必要があるためコストがかかってしまう。
【0017】
特許文献5に開示されている従来の技術では、仲介事業者装置が、計算依頼端末から依頼された計算を行わせるための計算プロジェクトをリソース提供端末へ送信する際、コンテンツも送信し、上記コンテンツをリソース提供に対する対価としている。このため、銀行口座への振込処理や、ポイントの管理処理が不要になり、上述した従来の技術に比較してコストを抑えることが可能になる。しかし、対価としてコンテンツが提供されるだけであるので、魅力に乏しく、多くのリソース提供者を確保することが難しいという問題がある。更に、リソース利用者に対しては、リソース利用料の請求のためだけに請求処理を行っているため、コストがかかってしまうという問題がある。
【0018】
なお、特許文献6に開示されている技術は、前述したように、グリッドコンピューティングに関するものではない。
【0019】
〔発明の目的〕
そこで、本発明の目的は、リソースの提供および利用に伴って発生する対価の支払いおよび請求にかかるコストを低減させると共に、多くのリソース提供者を確保できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明にかかる第1のグリッドコンピューティングシステムは、
ISPサーバと、リソースを提供するリソース提供端末と、リソースを利用するリソース利用端末とを含むグリッドコンピューティングシステムにおいて、
前記ISPサーバが、
会員IDに対応付けてISP利用料が格納された課金データベースと、
リソース提供端末が提供したリソースに見合った対価を、前記課金データベースに格納されているISP利用料の内の、前記リソース提供端末の使用者の会員IDに対応付けて登録されているISP利用料から減算することにより前記リソース提供端末の使用者に対して請求する相殺後請求金額を求めると共に、リソース利用端末が利用したリソースに見合った対価を、前記課金データベースに格納されているISP利用料の内の、前記リソース利用端末の使用者の会員IDに対応付けて登録されているISP利用料に加算することにより前記リソース利用端末の使用者に対して請求する相殺後請求金額を求める相殺部とを備えたことを特徴とする。
【0021】
本発明にかかる第2のグリッドコンピューティングシステムは、第1のグリッドコンピューティングシステムにおいて、
前記ISPサーバが、前記相殺部が求めた相殺後請求金額に従った決済処理を行う決済部を備えたことを特徴とする。
【0022】
本発明にかかる第3のグリッドコンピューティングシステムは、第2のグリッドコンピューティングシステムにおいて、
前記ISPサーバが、
ログインしたリソース提供端末を使用している会員の会員IDに対応付けて、前記リソース提供端末の端末ID及びリソース提供実績情報と依頼番号との対が格納されるリソース提供端末情報データベースと、
処理の依頼元のリソース利用端末を使用している会員の会員IDに対応付けて、依頼された処理を特定する依頼番号が格納されるリソース利用端末データベースと、
リソース提供端末のログイン時に、前記リソース提供端末を使用している会員の会員IDと前記リソース提供端末の端末IDとを対応付けて前記リソース提供端末情報データベースに登録するリソース提供端末管理部と、
リソース利用端末から処理が依頼されたとき、前記リソース利用端末データベースに、前記リソース利用端末を使用している会員の会員IDに対応付けて前記依頼された処理を特定する依頼番号を登録すると共に、前記リソース提供端末情報データベースに登録されているリソース提供端末の中から処理の依頼先にするリソース提供端末を抽出するリソース提供端末抽出部と、
該リソース提供端末抽出部で抽出されたリソース提供端末に対して処理を依頼すると共に前記依頼番号を送信し、前記リソース提供端末から処理結果と前記依頼番号とリソース提供実績情報とが返却されたとき、前記リソース提供端末情報データベースに前記依頼番号と前記リソース提供実績情報との対を格納するリソース提供端末処理依頼部とを備え、
前記相殺部が、前記リソース提供端末情報データベースを参照することによりリソース提供端末が提供したリソースに見合った対価を算出し、前記リソース提供端末情報データベース及び前記リソース利用端末データベースを参照することにより前記リソース利用端末が利用したリソースに見合った対価を算出する構成を有することを特徴とする。
【0023】
本発明にかかる第4のグリッドコンピューティングシステムは、第1のグリッドコンピューティングシステムにおいて、
前記ISPサーバが、余剰リソースを前記リソース利用端末に提供する構成を有することを特徴とする。
【0024】
本発明にかかる第1のISPサーバは、
会員IDに対応付けてISP利用料が格納された課金データベースと、
リソース提供端末が提供したリソースに見合った対価を、前記課金データベースに格納されているISP利用料の内の、前記リソース提供端末の使用者の会員IDに対応付けて登録されているISP利用料から減算することにより前記リソース提供端末の使用者に対して請求する相殺後請求金額を求めると共に、リソース利用端末が利用したリソースに見合った対価を、前記課金データベースに格納されているISP利用料の内の、前記リソース利用端末の使用者の会員IDに対応付けて登録されているISP利用料に加算することにより前記リソース利用端末の使用者に対して請求する相殺後請求金額を求める相殺部とを備えたことを特徴とする。
【0025】
本発明にかかる第2のISPサーバは、第1のISPサーバにおいて、
前記相殺部が求めた相殺後請求金額に従った決済処理を行う決済部を備えたことを特徴とする。
【0026】
本発明にかかる第3のISPサーバは、第2のISPサーバにおいて、
ログインしたリソース提供端末を使用している会員の会員IDに対応付けて、前記リソース提供端末の端末ID及びリソース提供実績情報と依頼番号との対が格納されるリソース提供端末情報データベースと、
処理の依頼元のリソース利用端末を使用している会員の会員IDに対応付けて、依頼された処理を特定する依頼番号が格納されるリソース利用端末データベースと、
リソース提供端末のログイン時に、前記リソース提供端末を使用している会員の会員IDと前記リソース提供端末の端末IDとを対応付けて前記リソース提供端末情報データベースに登録するリソース提供端末管理部と、
リソース利用端末から処理が依頼されたとき、前記リソース利用端末データベースに、前記リソース利用端末を使用している会員の会員IDに対応付けて前記依頼された処理を特定する依頼番号を登録すると共に、前記リソース提供端末情報データベースに登録されているリソース提供端末の中から処理の依頼先にするリソース提供端末を抽出するリソース提供端末抽出部と、
該リソース提供端末抽出部で抽出されたリソース提供端末に対して処理を依頼すると共に前記依頼番号を送信し、前記リソース提供端末から処理結果と前記依頼番号とリソース提供実績情報とが返却されたとき、前記リソース提供端末情報データベースに前記依頼番号と前記リソース提供実績情報との対を格納するリソース提供端末処理依頼部とを備え、
前記相殺部が、前記リソース提供端末情報データベースを参照することによりリソース提供端末が提供したリソースに見合った対価を算出し、前記リソース提供端末情報データベース及び前記リソース利用端末データベースを参照することにより前記リソース利用端末が利用したリソースに見合った対価を算出する構成を有することを特徴とする。
【0027】
本発明にかかる第4のISPサーバは、第1のISPサーバにおいて、
前記ISPサーバが、余剰リソースを前記リソース利用端末に提供する構成を有することを特徴とする。
【0028】
本発明にかかる課金方法は、
ISPサーバと、リソースを提供するリソース提供端末と、リソースを利用するリソース利用端末とを含むグリッドコンピューティングシステムにおいて、
前記ISPサーバが、
会員IDに対応付けてISP利用料が格納された課金データベース有し、且つ、
リソース提供端末が提供したリソースに見合った対価を、前記課金データベースに格納されているISP利用料の内の、前記リソース提供端末の使用者の会員IDに対応付けて登録されているISP利用料から減算することにより前記リソース提供端末の使用者に対して請求する相殺後請求金額を求めるステップと、
リソース利用端末が利用したリソースに見合った対価を、前記課金データベースに格納されているISP利用料の内の、前記リソース利用端末の使用者の会員IDに対応付けて登録されているISP利用料に加算することにより前記リソース利用端末の使用者に対して請求する相殺後請求金額を求めるステップとを実行することを特徴とする。
【0029】
本発明にかかるプログラムは、
会員IDに対応付けてISP利用料が格納された課金データベースを有するコンピュータを、
リソース提供端末が提供したリソースに見合った対価を、前記課金データベースに格納されているISP利用料の内の、前記リソース提供端末の使用者の会員IDに対応付けて登録されているISP利用料から減算することにより前記リソース提供端末の使用者に対して請求する相殺後請求金額を求めると共に、リソース利用端末が利用したリソースに見合った対価を、前記課金データベースに格納されているISP利用料の内の、前記リソース利用端末の使用者の会員IDに対応付けて登録されているISP利用料に加算することにより前記リソース利用端末の使用者に対して請求する相殺後請求金額を求める相殺部として機能させる。
【0030】
〔作用〕
ISPサーバが備えている課金データベースには、ISPの会員の会員IDに対応付けてISP利用料が登録されている。このISP利用料は、会員とISPとの間で成立している契約によって定められている、毎月のISP接続料などである。
【0031】
また、ISPサーバが備えている相殺部は、定期的(例えば、月末など)に、リソース提供端末が提供したリソースに見合った対価を、課金データベースに格納されているISP利用料の内の、上記リソース提供端末の使用者の会員IDに対応付けて登録されているISP利用料から減算することにより上記リソース提供端末の使用者に対して請求する相殺後請求金額を求める。更に、相殺部は、リソース利用端末が利用したリソースに見合った対価を、課金データベースに格納されているISP利用料の内の、上記リソース利用端末の使用者の会員IDに対応付けて登録されているISP利用料に加算することにより上記リソース利用端末の使用者に対して請求する相殺後請求金額を求める。
【0032】
この相殺後請求金額に基づいて、決済処理を行うようにすれば、リソースの提供及び利用に伴って発生する対価の支払い及び請求にかかるコストを低減することが可能になる。即ち、ISP利用料の請求処理の一環として、リソースの提供および利用に伴って発生する対価の支払いおよび請求を行うことが可能になるので、コストを低減させることが可能になる。また、リソース提供者には、提供したリソースに応じてISP利用料を割り引くという特典を与えるようにしているので、多くのリソース提供者を確保することが可能になる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、リソースの提供および利用に伴って発生する対価の支払いおよび請求にかかるコストを低減させることが可能になる。その理由は、ISPサーバが、リソース提供端末を使用している会員については、その会員に請求するISP利用料から提供したリソースに見合った対価を減算した相殺後請求金額を求め、リソース利用端末を使用している会員については、その会員に請求するISP利用料に利用したリソースに見合った対価を加算した相殺後請求金額を求める相殺部を備えているからである。即ち、ISP利用料の請求処理の一環として、リソースの提供および利用に伴って発生する対価の支払いおよび請求を行うことが可能になるので、コストを低減させることが可能になる。また、リソース提供者には、提供したリソースに応じてISP利用料を割り引くという特典を与えるようにしているので、多くのリソース提供者を確保することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
〔第1の実施の形態〕
次に本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
〔第1の実施の形態の構成の説明〕
図1は本発明にかかるグリッドコンピューティングシステムの第1の実施の形態の全体構成例を示すブロック図である。同図を参照すると、本実施の形態のグリッドコンピューティングシステムは、ISPサーバ100と、リソース利用端末120と、リソース提供端末130とから構成され、それらはインターネット110で接続されている。
【0036】
リソース利用端末120は、グリッドコンピューティングでコンピュータリソース(単にリソースという場合もある)を利用したい研究所、企業などの端末であり、リソース提供端末130は、リソース利用端末120にコンピュータリソースを提供する、個人もしくは法人などが利用する端末であり、共にISPとプロバイダ接続などの契約を行っているISP会員(単に会員という場合もある)が利用する端末である。
【0037】
ISPサーバ100は、ISPによって運営されるサーバであり、ISP会員が利用する端末に対してインターネット接続サービスなどの各種サービスを提供する機能に加え、グリッドコンピューティングにより処理を行いたいリソース利用端末120とグリッドコンピューティングにリソースを提供するリソース提供端末130とを仲介する機能を有している。
【0038】
図2は、図1に示したISPサーバ100、リソース利用端末120およびリソース提供端末130の構成例を示したブロック図である。
【0039】
〔ISPサーバ100の構成〕
図2を参照すると、ISPサーバ100は、リソース利用端末管理部210と、記憶装置220と、リソース提供端末監視部230と、課金部280とから構成される。
【0040】
記憶装置220は、リソース利用端末データベース(DB)221と、課金DB222と、リソース提供端末情報DB223と、演算DB224と、会員DB225と、監視AP記憶部226とから構成される。
【0041】
会員DB225には、ISP会員の会員情報が格納されている。図3に会員DB225の一例を示す。同図を参照すると、会員DB225には、会員IDと、ログイン時に使用するパスワードと、グリッドコンピューティングに協力するか否か(リソースを提供するか否か)を示す協力可否情報と、氏名、住所、電話番号、メールアドレス等からなる個人情報とが格納される。同図の第1番目のレコードは、会員ID“00000000001”の会員は、ログイン時に使用するパスワードが“P1”で、グリッドコンピューティングに協力する会員であることを示している。
【0042】
課金DB222には、図4に示すように、会員IDと、プロバイダ接続料などの会員との契約によって定められているISP利用料と、相殺後請求金額と、相殺後請求金額を引き落とす銀行口座などを示す口座情報とが格納されている。なお、リソース利用端末120を使用している会員に対する相殺後請求金額は、その会員のISP利用料に、利用したリソースに見合った対価を加算した金額となり、リソース提供端末130を使用している会員に対する相殺後請求金額は、その会員のISP利用料から、提供したリソースに見合った対価を減算した金額となる。また、本実施の形態では、会員DB225と課金DB222とを別々のDBとしたが、両者を1つのDBで構成するようにしても良い。
【0043】
演算DB224には、リソース利用端末120から送られてきた、処理に必要な演算関連データそのものが格納される。
【0044】
監視AP記憶部225には、リソース提供端末130へ送信するリソース情報取得AP(アプリケーションプログラム)が格納される。
【0045】
リソース提供端末情報DB223には、ISPサーバ100にログインしたリソース提供端末130に関する情報が登録される。図5にリソース提供端末情報DB223の内容例を示す。同図を参照すると、リソース提供端末情報DB223には、会員ID501と、端末ID502と、接続開始時刻503と、接続終了時刻504と、端末仕様(デフォルト)505と、使用可能仕様(最新)506と、リソース提供実績情報・依頼番号507とが格納される。なお、リソース提供端末情報DB223の各項目については、動作の説明の項で詳細に説明する。
【0046】
リソース利用端末DB221には、グリッドコンピューティングを利用したいリソース利用端末120から送られてきた情報が格納される。図6にリソース利用端末DB221の内容例を示す。同図を参照すると、リソース利用端末DB221には、会員ID601と、依頼時刻602と、納期時刻603と、演算数604と、演算時間605と、端末仕様(推奨)606と、演算APを格納したファイルのファイル名607と、演算APのInputデータが格納されているファイルのファイル名608、609、…と、依頼番号610とが格納される。なお、リソース利用端末DB221の各項目については、動作の説明の項で詳細に説明する。
【0047】
リソース提供端末監視部230は、リソース提供端末管理部231と、データ送受信部232とから構成されている。
【0048】
データ送受信部232は、インターネット110を介してデータをやり取りする機能を有する。
【0049】
リソース提供端末管理部231は、リソース提供端末130がISPサーバ100にログインするタイミングでリソース提供端末130のリソース情報を収集し、それをISPの会員単位で管理し(会員IDに対応付けて管理し)、以後接続中、定期的にリソース情報を収集するなどして記憶装置220のリソース提供端末情報DB223に記憶保持する機能を有する。
【0050】
リソース利用端末管理部210は、データ送受信部211と、リソース提供端末抽出部212と、リソース提供端末処理依頼部213とから構成されている。
【0051】
データ送受信部211は、インターネット110を介してデータをやり取りする機能を有する。ここで、データ送受信部は、リソース利用端末管理部210及びリソース提供端末監視部230の両方に存在するが、これは便宜上分けて記載しているだけであり、ISPサーバ100上にデータ送受信部を1個設けるだけでも良い。
【0052】
リソース提供端末抽出部212は、リソース利用端末120から処理依頼があったとき、リソースを提供可能なリソース提供端末130を抽出する機能を有する。
【0053】
リソース提供端末処理依頼部213は、リソース提供端末抽出部212が抽出したリソース提供端末130に対して処理を依頼する機能を有する。
【0054】
課金部280は、ISP利用料管理部281と、相殺部282と、決済部283とから構成されている。
【0055】
ISP利用料管理部281は、管理者の指示に従って、会員IDとISP利用料とを対応付けて課金DB222に登録する機能を有する。なお、上記ISP利用料は、会員とISPとの契約に従って定まるプロバイダ接続料などである。
【0056】
相殺部282は、リソース利用端末120を使用している会員については、その会員のISP利用料に、利用したリソースに見合った対価を加算した相殺後請求金額を求め、リソース提供端末130を使用している会員については、その会員のISP利用料から、提供したリソースに見合った対価を減算した相殺後請求金額を求める機能を有する。
【0057】
決済部283は、相殺部282が求めた相殺後請求金額に基づいた決済処理を行う機能を有する。
【0058】
このような機能を備えたISPサーバ100は、コンピュータによって実現可能なものであり、コンピュータによって実現する場合は、例えば、次のようにする。コンピュータをISPサーバ100として機能させるためのプログラムを記録したディスク、半導体メモリ、その他の記録媒体を用意し、コンピュータに上記プログラムを読み取らせる。コンピュータは、読み取ったプログラムに従って自身の動作を制御することにより、自コンピュータ上に、リソース利用端末管理部210、リソース提供端末監視部230および課金部280を実現する。
【0059】
〔リソース利用端末120の構成〕
リソース利用端末120は、データ制御部240と、記憶装置250とを備えている。
【0060】
データ制御部240は、データ送受信部241と、演算データ分割・結合部242とを備えている。
【0061】
データ送受信部241は、インターネット110を介してデータを送受信する機能を有する。
【0062】
演算データ分割・結合部242は、グリッドコンピューティングを利用する処理をISPサーバ100に依頼する際、依頼する処理を個々のリソース提供端末で処理する単位に分割したり、ISPサーバ100から返却された処理結果を結合する機能を有する。
【0063】
記憶装置250には、依頼する処理に対応した演算AP251と、依頼する処理に対応する演算データファイル252が格納されている。
【0064】
リソース利用端末120は、コンピュータによって実現可能なものであり、コンピュータによって実現する場合は、例えば、次のようにする。コンピュータをリソース利用端末120として機能させるためのプログラムが記録されたディスク、半導体メモリ、その他の記録媒体を用意し、コンピュータに上記プログラムを読み取らせる。コンピュータは、読み取ったプログラムに従って自身の動作を制御することにより、自コンピュータ上にデータ制御部240を実現する。
【0065】
〔リソース提供端末130の構成〕
リソース提供端末130は、データ制御部260を備えると共に、CPU、ディスク、メモリなどのリソース270を備えている。
【0066】
データ制御部260は、データ送受信部261と、リソース情報取得部262と、演算処理部263とを備えている。
【0067】
データ送受信部261は、インターネット110を介してデータをやり取りする機能を有する。
【0068】
リソース情報取得部262は、ISPサーバ100から送られてきたリソース情報取得APによって実現されるものであり、自端末130のCPU性能、ディスク容量、メモリ容量などをISPサーバ100に送信する機能を有する。
【0069】
演算処理部263は、ISPサーバ100から送られてきた演算APによって実現されるものであり、依頼された処理を実行する機能を有する。
【0070】
リソース提供端末130は、コンピュータによって実現可能なものであり、コンピュータによって実現する場合は、例えば、次のようにする。コンピュータをリソース提供端末130として機能させるためのプログラムを記録したディスク、半導体メモリ、その他の記録媒体を用意し、コンピュータに上記プログラムを読み取らせる。コンピュータは、読み取ったプログラムに従って自身の動作を制御することにより、自コンピュータ上に、データ制御部260を実現する。
【0071】
〔第1の実施の形態の動作の説明〕
次に、本実施の形態の動作について詳細に説明する。
【0072】
〔リソース提供端末130のログイン時の動作〕
先ず、リソース提供端末130がISPサーバ100にログインした際に行われる動作を図7のフローチャートを参照して説明する。
【0073】
リソース提供端末130を利用するISP会員は、ISPサーバ100にログインする際、事前に配布されている会員ID及びパスワードを含む認証情報をISPサーバ100へ送信する。ISPサーバ100内のリソース提供端末管理部231は、データ送受信部232を介してリソース提供端末130から送られてきた認証情報を受信すると、会員DB225に登録されている会員IDおよびパスワードを利用して認証を行う(ステップ701)。
【0074】
認証OKの場合、リソース提供端末管理部231は、ログインしたリソース提供端末130を利用している会員が、グリッドコンピューティングでのリソースの提供を許可している会員か否かを、会員DB225に登録されている協力可否情報に基づいて判断する(ステップ711)。
【0075】
そして、リソースの提供を許可していない会員である場合は、ISPサーバ100は、リソース提供端末130を通常通りインターネット110に接続し、図7の処理を終了する。これに対して、リソースの提供を許可している会員である場合は、リソース提供端末130をインターネット110に接続すると共に、リソース提供端末130に対してリソース情報取得APの有無を問い合わせる(ステップ712)。リソース情報取得APは、リソース提供端末130に常駐してリソース情報取得部262を実現するものであり、リソース提供端末130のリソース270の仕様情報(OS、CPUのクロック周波数、DISK容量、メモリ容量など)や現状のリソース使用状況(CPU使用率、DISK、メモリの使用容量など)を取得し、定期的にISPサーバ100に送信するアプリケーションプログラムである。
【0076】
リソース情報取得APがない場合は、リソース提供端末管理部231が、監視AP記憶部226に格納されているリソース情報取得APをリソース提供端末130へ送信するが、その際、リソース提供端末130が不要あれば、受信を拒否できるように構成しておくことが望ましい。そのため、ステップ714において、リソース提供端末管理部231は、リソース提供端末130に対して、リソース情報取得APを送信しても良いか否かを問い合わせる問い合わせ画面を送信し、リソース提供端末130を利用している会員は、問い合わせ画面を用いてリソース情報取得APの送信を許可するか否かを回答する。このように、リソースの提供を許可しているISP会員のリソース提供端末130にリソース情報取得APがなかった場合に、リソース情報取得APを送信しても良いか否かを問い合わせるようにしているのは、上記ISP会員が使用する端末が必ずしも1台に固定されているわけでなく、リソース提供を行いたくない端末を使用している可能性もあるからである。
【0077】
そして、リソース提供端末130からリソース情報取得APの送信を許可しない旨の回答が送られてきた場合は、処理を終了する。これに対して、リソース情報取得APの送信を許可する旨の回答が送られてきた場合は、リソース情報取得APをリソース提供端末130に送信し、リソース提供端末130は、リソース情報取得APをインストールする(ステップ715、702)。このインストールされたリソース情報取得APにより、リソース情報取得部262が実現される。
【0078】
リソース情報取得APによって実現されたリソース情報取得部262は、リソース提供端末130のリソース270の仕様情報(OS、CPUのクロック周波数、DISK容量、メモリ容量など)や現状のリソース使用状況(CPU使用率、DISK、メモリの使用容量など)を取得してISPサーバ100に送信し、ISPサーバ100内のリソース提供端末管理部231ではその情報をリソース提供端末情報DB223に格納する(ステップ703、704、716)。また、ステップ713が「有」の場合も同様の処理が行われる(ステップ703、704、716)。
【0079】
具体的にはリソース提供端末情報DB223には図5にあるようなファイル項目で情報が蓄積される。以下にレコードRec01を例に説明する。
【0080】
このレコードRec01は、会員ID“00001123456”の会員が、端末ID“00001123456-01”の端末から接続開始時刻2005年2月7日10時12分にログインしていることを意味する。ここで、端末IDは、会員IDに識別子“-01”としているが、端末を一意にできる情報であればなんでもよく、macアドレスなどでも構わない。
【0081】
接続終了時刻504は、リソース提供端末130がログイン後、いつまで接続し続ける予定かの情報で、例えば、ログイン時に対話形式などでリソース提供端末130の利用者に入力させる方法で採用しても良い。入力されない場合は、ISPサーバ100において測定、記録されている上記利用者(ISP会員)の過去の連続接続時間の履歴に基づいて、上記利用者の平均連続接続時間を算出し、接続開始時刻から上記平均連続接続時間が経過した時刻を接続終了時刻とするようにしても良い。
【0082】
端末仕様(デフォルト)505にはリソース提供端末130の仕様情報が記録される。この例は、OSがWindows(登録商標)XP HomeEdition SP2、CPUのクロック周波数が2.93GHz、DISK容量が250GB、メモリが512MBであることを示している。
【0083】
使用可能仕様(最新)506は、実際にリソース提供端末130で稼働しているアプリケーションなどで使用しているリソースを考慮した、グリッドコンピューティングで使用可能なリソース情報が記録される。この例は、CPUは92%、DISK容量は75%、メモリは88%が使用可能な状態にあることを示している。なお、使用可能仕様(最新)506は、ログイン時だけでなく、定期的にリソース提供端末130内のリソース情報取得部262からISPサーバ100へ送信され、ISPサーバ100内のリソース提供端末管理部231は、リソース提供端末情報DB223に格納されている該当するレコードRec01の使用可能仕様(最新)506を、リソース提供端末130から送られてきた最新の情報で更新する。
【0084】
〔リソース利用端末120がグリッドコンピューティングによる処理をISPサーバ100に依頼したときの動作〕
次に、リソース利用端末120がISPサーバ100に対してグリッドコンピューティングによる処理を依頼したときの動作について、図8のフローチャートを参照して説明する。
【0085】
以下では、具体的な例として、公開特許公報や特許公報などの特許公報類(単に特許公報と称す)から特徴語を抽出する処理をISPサーバ100に依頼する場合を例に挙げて説明する。特許公報から特徴語を抽出する処理は、例えば、特許公報のテキストデータをテキストマイニング処理するアプリケーションプログラムを使用して行うものであり、このアプリケーションプログラムでは、例えば、特許公報に現れる各単語について、出現頻度や、他の単語との距離などに基づいて、そのレベルを数値化し、レベルが高い単語を特徴語として抽出する。このような特許公報から特徴語を抽出する処理は、各特許公報に依存性がないので、グリッドコンピューティングに適した処理である。なお、抽出した特徴語は、例えば、特許公報と対応付けて特許検索システムのデータベースに登録され、特許公報のキーワード検索を行う場合などに利用される。
【0086】
今、例えば、リソース利用端末120がISPサーバ100に対して、280件分の特許公報から特徴語を抽出する処理を依頼する場合を考えてみる。
【0087】
リソース利用端末120内の記憶装置250には、特徴語の抽出処理を行う演算AP251と、280件分の特許公報のテキストデータが格納された演算データファイル252とが格納されている。
【0088】
演算データ分割・結合部242は、ステップ801において、演算データファイル252に格納されている280件分の特許公報のテキストデータを、特許公報1件分毎のテキストデータに分割する。次のステップ802では、演算データ分割・結合部242は、ISPサーバ100にログインし、演算AP251を格納したファイル(ファイル名“xyz.exe”とする)と、それぞれが特許公報1件分のテキストデータを格納した280個のファイル(ファイル名“abc001”、“abc002”、…、“abc280”とする)をISPサーバ100へ送信する。更に、ステップ802では、会員IDと、いつまでに処理結果を返却して欲しいかを示す納期時刻(例えば、2005年2月7日14時00分)と、演算対象数(“280”)と、依頼した処理を実際に行うリソース提供端末130が備えていなければならない端末仕様(推奨)(例えば、OSはWindowsXP SP1以上、CPUは1.00GHz以上、DISK容量は50GB以上、メモリは256MB以上)と、この端末仕様(推奨)で特徴語の抽出処理を行った場合の1件当たりの平均的な処理時間(例えば、600秒)と、演算AP251を格納したファイルのファイル名(“xyz.exe”)と、テキストデータを格納した280個のファイルそれぞれのファイル名(“abc001”、“abc002”、…、“abc280”)をISPサーバ100へ送信する。
【0089】
リソース利用端末管理部210は、データ送受信部211が受信した各ファイル(演算AP251が格納されているファイル及び特許公報のテキストデータが格納されている280個のファイル)を演算DB224に格納すると共に、データ送受信部211が受信した残りのデータ(会員ID、納期時刻、演算数、演算時間、端末仕様、演算APを格納したファイルのファイル名、演算APのInputデータとなるテキストデータを格納したファイルのファイル名)を、図6に示すように、項目601、603〜609に格納する。なお、依頼時刻602には、データの受信時刻(図6の例では、“200502071100”、2005年2月7日11時00分)を格納する。また、依頼番号610には、今回受け付けたリソース利用端末120からの依頼を一意に識別するための依頼番号(図6の例では、R000001)を格納する。
【0090】
その後、リソース利用端末管理部210内のリソース提供端末抽出部212が、リソース利用端末DB221に格納した、リソース利用端末120から送られてきたデータ及びリソース提供端末情報DB223の内容に基づいて、特徴語の抽出処理を依頼するリソース提供端末130を抽出し(ステップ811)、リソース提供端末処理依頼部213が、リソース提供端末抽出部212によって抽出された各リソース提供端末に対して演算関連データを送信する(ステップ812)。
【0091】
具体的には、ステップ811では、リソース提供端末情報DB223を参照して、使用可能仕様(最新)506が、今回の処理依頼に伴って登録した端末仕様(推奨)606の条件を満たし、且つ、接続終了時刻504が現在時刻よりも演算時間605(600秒)以上、後の時刻になっているリソース提供端末130を抽出する。
【0092】
ステップ812では、リソース提供端末処理依頼部213が、先ず、ステップ811で抽出されたリソース提供端末130の内の1台に対して、項目607に設定されているファイル名xyz.exeのファイル(演算APが格納されているファイル)と、項目608に設定されているファイル名abc001のファイル(特許公報1件分のテキストデータが格納されている第1番目のファイル)と、今回の依頼を一意に特定する依頼番号R000001とを含む演算関連データを送信する。その後、リソース提供端末依頼処理部213は、ステップ811で抽出されたリソース提供端末130の内の、別の1台に対して上記演算APが格納されているファイルと、項目609に設定されているファイル名abc002のファイル(特許公報1件分のテキストデータが格納されている第2番目のファイル)と、依頼番号R000001とを含む演算関連データを送信する。以下、リソース提供端末処理依頼部213は、ファイル名abc280のファイル(特許公報1件分のテキストデータが格納されている第280番目のファイル)を含む演算関連データを送信するまで、前述した処理と同様の処理を繰り返し行う。なお、ステップ811で抽出されたリソース提供端末の台数が項目604によって示される演算数「280」に満たないような場合があれば、1台のリソース提供端末に対し、複数の処理を依頼するようにしてもよい。その場合は、演算時間605(600秒)に依頼件数を乗じた時間で接続終了時刻504を考慮して抽出するようにしてもよく、これらの操作はISPサーバ100の入出力装置(図示せず)より、オペレータが対話形式で設定できる構成にしてもよい。
【0093】
リソース提供端末130は、ISPサーバ100から送られてきた演算関連データを受信すると(ステップ821)、それに含まれている演算AP(ファイル名xyz.exeに格納されている)を起動することにより演算処理部263を実現する。演算処理部263は、演算関連データに含まれている特許公報のテキストデータから特徴語を抽出し、抽出した特徴語と、演算関連データに含まれていた依頼番号R000001と、どの程度のリソースを提供したのかを示すリソース提供実績情報とをISPサーバ100へ送信する(ステップ822、823)。
【0094】
ここで、リソース提供端末130は、接続終了時刻504まで必ず接続されているわけではなく、途中で接続を切ったり、不慮の停電などで切断されるケースも考えられるため、ISPサーバ100内のリソース提供端末管理部231では演算関連データを送信後、演算結果を受信するまでの間、リソース提供端末130の状況を監視する(ステップ813)。例えば、リソース利用端末管理部210からリソース提供端末130に正常動作しているか否かを問い合わせる方法などを採用することができる。なお、この問い合わせに対して、リソース提供端末130から正常動作している旨の回答がなかった場合には、他のリソース提供端末に上記リソース提供端末130に送信した演算関連データと同じ演算関連データを送信する。
【0095】
ISPサーバ100内のリソース提供端末管理部231は、リソース提供端末130から処理結果である特徴語と、リソース提供実績情報と、依頼番号R000001とが返信されると、上記リソース提供実績情報と上記依頼番号R000001との対に、課金処理が完了しているか否かを示す課金フラグ(本実施の形態では、課金フラグが“0”の場合は課金処理が完了しておらず、“1”の場合は課金処理が完了しているとする。この時点では、課金処理が完了していないので、付加される課金フラグの値は“0”である。)を付加してリソース提供端末情報DB223の該当するレコードの項目507に追記し、更に、処理結果である特徴語をリソース利用端末120へ送信する(ステップ814〜816)。
【0096】
リソース提供実績情報については、リソース提供端末情報DB223に蓄積することでよいが、蓄積する情報については、リソース提供に対する対価をどういう基準で考えるかという取り決めにより様々な方法が考えられ、その基準に応じて必要な情報を取得するようにすれば良い。以下にその考えられる例を記載する。
【0097】
(1)処理・演算依頼回数による計算
本実施の形態の例で考えると、テキストマイニング処理を行った特許公報数により計算する方法で、その場合、処理したファイル数をリソース提供端末情報DB223に記録する。
【0098】
(2)処理・演算時間による計算
同様に本実施の形態の例で考えると、リソース提供端末130でテキストマイニングの処理時間により算出する方法であり、その場合、xyz.exeのプロセスが処理した時間をリソース提供端末情報DB223に記録する。プロセスの処理時間は、処理を行ったリソース提供端末130に常駐しているリソース情報取得AP(リソース情報取得部262)で取得し、演算結果を送信する際に一緒に送信するようにする。
【0099】
(3)処理・演算のデータ量による計算
同様に本実施の形態の例で考えると、特許公報のデータ量に応じて算出する方法で、この場合、処理した特許公報のデータ量をリソース提供端末情報DB223に記録する。
【0100】
上記(1)〜(3)の方法に限定するわけではなく、例えば、CPUの性能がよければ処理時間も短くて済むので、処理・演算時間やデータ量に性能レベルを数値化し、それをパラメータ値として乗じるなどしてもよい。いずれにしても算出根拠となるデータをリソース提供端末情報DB223に記録し、蓄積していく。
【0101】
リソース利用端末120内の演算データ分割・結合部242は、処理結果を受信し、その結果を結合する(ステップ803、804)。
【0102】
以上が、リソース利用端末120がISPサーバ100に対して処理を依頼したときの動作である。
【0103】
〔課金時の動作〕
次に、リソース提供端末130へのリソース提供に関する対価の支払処理と、リソース利用端末への処理・演算に関する対価の請求処理について説明する。
【0104】
課金部280内の相殺部282は、定期的(例えば、月末など)に図9のフローチャートに示す処理を行う。
【0105】
相殺部282は、先ず、課金DB222のレコードの1つに注目し、そのレコードに格納されている会員IDを取得する(ステップ91)。その後、相殺部282は、上記会員IDの会員が使用するリソース提供端末130が提供したリソースに見合った対価を算出する(ステップ93)。
【0106】
図10は、ステップ93で行う処理の詳細を示したフローチャートである。同図を参照すると、相殺部282は、リソース提供端末情報DB223のレコードの内の1つに注目し(ステップ931)、そのレコードに格納されている会員IDと、ステップ91において課金DB222内の注目レコードから取得した会員IDとが一致するか否かを調べる(ステップ933)。
【0107】
そして、会員IDが不一致の場合(ステップ933がNO)は、ステップ931の処理に戻る。これに対して、会員IDが一致した場合(ステップ933がYES)は、現在注目している課金DB222のレコードの、項目507にリソース提供実績情報と依頼番号との対であって、付加されている課金フラグの値が“0”の対が格納されているか否かを調べる(ステップ934)。
【0108】
課金フラグが“0”の対が格納されていない場合(ステップ934がNO)は、ステップ931の処理に戻る。これに対して、課金フラグが“0”の対が登録されている場合(ステップ934がYES)は、上記対に含まれているリソース提供実績情報に見合った対価を算出し、今回算出した対価を、リソース提供実績に見合った対価の累積金額に累積する(ステップ935)。その後、相殺部282は、ステップ931の処理を行う。相殺部282は、上記した処理を繰り返し行い、未注目のレコードがなくなると、図9のステップ94の処理を行う。
【0109】
ステップ94では、ステップ91で取得した会員IDの会員が使用しているリソース利用端末120が利用したリソースに見合った対価を、リソース利用端末DB221及びリソース提供端末情報DB223を参照して算出する。
【0110】
図11は、ステップ94で行う処理の詳細を示したフローチャートである。同図を参照すると、相殺部282は、先ず、リソース利用端末DB221のレコードの1つに注目する(ステップ941)。その後、相殺部282は、注目している上記レコードに格納されている会員IDと、ステップ91で取得した会員IDとが一致するか否かを調べる(ステップ943)。
【0111】
そして、会員IDが不一致の場合(ステップ943がNO)は、ステップ941の処理に戻る。
【0112】
これに対して、会員IDが一致した場合(ステップ943がYES)は、注目中のレコードの項目610に格納されている依頼番号を取得する(ステップ944)。その後、相殺部282は、リソース提供端末情報DB223のレコードの1つに注目し(ステップ945)、そのレコードの項目507に、ステップ944で取得した依頼番号と同一の依頼番号を含み、且つ課金フラグが“0”になっているリソース提供実績情報と依頼番号との対が格納されているか否かを調べる(ステップ947)。
【0113】
そして、上記条件を満たす対が格納されていない場合(ステップ947がNO)は、ステップ945の処理に戻る。これに対して、上記条件を満たす対が格納されている場合は(ステップ947がYES)は、条件を満たす各対ごとに、その対に含まれているリソース提供実績情報(リソース利用端末120にとってはリソース利用実績情報となる)に見合った対価を算出し、今回算出した対価を、リソース利用実績に見合った対価の累積金額に累積する(ステップ948)。更に、ステップ948では、累積処理が終了したリソース提供実績情報と依頼番号との対に付加されている課金フラグの値を“1”に変更する。その後、相殺部282は、ステップ945の処理に戻り、リソース提供端末情報DB223に未注目のレコードがなくなるまで、ステップ945〜948の処理を繰り返し行う。
【0114】
そして、リソース提供端末情報DB223に未注目のレコードがなくなると(ステップ946がNO)、ステップ941の処理に戻り、リソース利用端末DB221に未注目のレコードがなくなるまで、ステップ941〜948の処理を繰り返し行う。そして、リソース利用端末DB221に未注目のレコードがなくなると(ステップ942がNO)、相殺部282は、図9のステップ95の処理を行う。
【0115】
ステップ95では、{(ステップ91で注目したレコード中のISP利用料)−(ステップ935で累積したリソース提供実績に見合った累積金額)+(ステップ948で累積したリソース利用実績に見合った累積金額)}なる演算を行うことにより、相殺後請求金額を算出し、課金DB222の注目中のレコードに格納する。更に、ステップ95では、ステップ935、948で累積した累積金額を「0」に戻す処理も行う。
【0116】
ステップ95の処理が終了すると、相殺部282は、ステップ91の処理に戻り、課金DB222に未注目のレコードがなくなるまで(課金DB222の最後のレコードを処理するまで)、前述した処理を繰り返し行う。そして、課金DB222に未注目のレコードがなくなると(ステップ92がNO)、決済部283を起動した後、その処理を終了する。
【0117】
決済部283は、起動されると、図12のフローチャートに示すように、課金DB222のレコードの1つに注目し(ステップ121)、注目中のレコードに格納されている相殺後請求金額を、注目中のレコードに格納されている口座情報によって示される銀行口座から引き落とす等の決済処理を行う(ステップ123)。その後、決済部283は、ステップ121に戻り、未注目のレコードがなくなるまで(ステップ122がNOとなるまで)、上述した処理と同様の処理を繰り返し行う。
【0118】
以上が本実施の形態の一連の動作説明になるが、本発明の実施はこの例に限ったものではない。本実施の形態では、グリッドコンピューティングを利用して特許公報から特徴語を抽出する場合を例に挙げて説明したが、前述したような大量な請求書の作成などの業務処理でも構わない。このような処理の場合、個人情報などを含むため、リソース利用端末120から演算関連データを送信する時に暗号化し、リソース提供端末130で処理・演算を行ったワークファイルや演算結果なども全て演算APで暗号化し、演算結果をISPサーバ100に送信するとともに結果データを全て削除するようにしておくことで、データに関するセキュリティは保たれる。
【0119】
〔第1の実施の形態の効果〕
本実施の形態によれば、リソースの提供および利用に伴って発生する対価の支払いおよび請求にかかるコストを低減させることが可能になる。その理由は、ISPサーバ100が、リソース提供端末130を使用している会員については、その会員に請求するISP利用料から提供したリソースに見合った対価を減算した相殺後請求金額を求め、リソース利用端末120を使用している会員については、その会員に請求するISP利用料に利用したリソースに見合った対価を加算した相殺後請求金額を求める相殺部282を備えているからである。即ち、ISP利用料の請求処理の一環として、リソースの提供および利用に伴って発生する対価の支払いおよび請求を行うことが可能になるので、コスト低減させることが可能になる。また、リソース提供者には、提供したリソースに応じてISP利用料を割り引くという特典を与えるようにしているので、多くのリソース提供者を確保することが可能になる。
【0120】
〔第2の実施の形態〕
次に本発明にかかるグリッドコンピューティングシステムの第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、ISPサーバ100の余剰リソースもリソース利用端末120に提供することを特徴とする。
【0121】
本実施の形態では、図2のグリッドコンピューティングシステムにおいて、リソース提供端末管理部231が、ログインしたリソース提供端末130に関する情報(図5の項目501〜506)だけでなく、自サーバ100に関する同様の情報もリソース提供端末情報DB223に登録し、リソース提供端末抽出部213が、図8のステップ811において処理の依頼先にするリソース提供端末を抽出する際、ISPサーバ100も対象にして処理の依頼先を抽出するようにする。但し、ISPサーバ100に関する情報をリソース提供端末情報DB223に格納する場合、項目501、502、505にはISPサーバ100固有の値を格納し、項目503、504には、常に接続されていることを示す特定の値を格納する。また、項目506は、リソース提供端末管理部231によって定期的に更新される。また、リソース提供端末130は、図8のステップ811において、処理の依頼先を抽出する際、項目503、504に、常に接続されていることを示す特定の値が格納されているレコードは、依頼された処理が完了されるまで、接続されていると判断する。なお、他の動作は第1の実施の形態と同様である。
【0122】
また、ISPが図2に示したISPサーバ100以外のISPサーバ(図示せず)も運営している場合には、ISPが運営している各ISPサーバの余剰リソースをリソース利用端末120に提供することもできる。この場合には、ISPサーバ100内のリソース提供端末管理部231が、自サーバ100及び他のISPサーバに関する情報をリソース提供端末情報DB223に登録し、ISPサーバ100内のリソース提供端末抽出部212が、図8のステップ811において処理の依頼先にするリソース提供端末を抽出する際、ISPサーバ100および他のISPサーバも対象にして処理の依頼先を抽出するようにする。なお、ステップ811において、処理の依頼先を抽出する際、リソース提供端末を優先的に抽出するのか、それともISPサーバを優先的に抽出するのかを予め定めておくようにしても良い。
【0123】
〔第2の実施の形態の効果〕
本実施の形態によれば、第1の実施の形態が有している効果に加え、リソース利用端末が利用できるリソースが増加し、グリッドコンピューティングによる処理をより効率的に行うことが可能になるという効果を得ることが可能になる。その理由は、リソース提供端末130だけでなく、ISPサーバ100も余剰リソースを提供する構成を有しているからである。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明によれば、グリッドコンピューティングをビジネスとして成立させることが可能になり、その結果、営利目的の企業なども容易にグリッドコンピューティングを利用することが可能になる。即ち、リソース提供者にとってはISP利用料を低減でき、定型的な処理でグリッドコンピューティングを利用したい企業などにとっては自社で処理するよりも安価な範囲で処理を行うことができ、ISPにとってはリソースの提供および利用に伴って発生する対価の支払いおよび請求にかかるコストを低減できるというメリットがあるので、グリッドコンピューティングをビジネスとして成立させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】発明にかかるグリッドコンピューティングシステムの第1の実施の形態の全体構成例を示すブロック図である。
【図2】ISPサーバ100、リソース利用端末120及びリソース提供端末130の構成例を示すブロック図である。
【図3】会員DB225の内容例を示す図である。
【図4】課金DB222の内容例を示す図である。
【図5】リソース提供端末情報DB223の内容例を示す図である。
【図6】リソース利用端末DB221の内容例を示す図である。
【図7】リソース提供端末130がログインしたときの処理例を示すフローチャートである。
【図8】リソース利用端末120がグリッドコンピューティングによる処理を依頼したときの処理例を示すフローチャートである。
【図9】相殺部282の処理例を示すフローチャートである。
【図10】図9のステップ93の詳細な処理例を示すフローチャートである。
【図11】図9のステップ94の詳細な処理例を示すフローチャートである。
【図12】決済部283の処理例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0126】
100…ISPサーバ
210…リソース利用端末管理部
211…データ送受信部
212…リソース提供端末抽出部
213…リソース提供端末処理依頼部
220…記憶装置
221…リソース利用端末DB
222…課金DB
223…リソース提供端末情報DB
224…演算DB
225…会員DB
226…監視AP記憶部
230…リソース提供端末監視部
231…リソース提供端末管理部
232…データ送受信部
280…課金部
281…ISP利用料管理部
282…相殺部
283…決済部
110…インターネット
120…リソース利用端末
240…データ制御部
241…データ送受信部
242…演算データ分割・結合部
250…記憶装置
251…演算AP
252…演算データファイル
130…リソース提供端末
260…データ制御部
261…データ送受信部
262…リソース情報取得部
263…演算処理部
270…リソース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ISPサーバと、リソースを提供するリソース提供端末と、リソースを利用するリソース利用端末とを含むグリッドコンピューティングシステムにおいて、
前記ISPサーバが、
会員IDに対応付けてISP利用料が格納された課金データベースと、
リソース提供端末が提供したリソースに見合った対価を、前記課金データベースに格納されているISP利用料の内の、前記リソース提供端末の使用者の会員IDに対応付けて登録されているISP利用料から減算することにより前記リソース提供端末の使用者に対して請求する相殺後請求金額を求めると共に、リソース利用端末が利用したリソースに見合った対価を、前記課金データベースに格納されているISP利用料の内の、前記リソース利用端末の使用者の会員IDに対応付けて登録されているISP利用料に加算することにより前記リソース利用端末の使用者に対して請求する相殺後請求金額を求める相殺部とを備えたことを特徴とするグリッドコンピューティングシステム。
【請求項2】
請求項1記載のグリッドコンピューティングシステムにおいて、
前記ISPサーバが、前記相殺部が求めた相殺後請求金額に従った決済処理を行う決済部を備えたことを特徴とするグリッドコンピューティングシステム。
【請求項3】
請求項2記載のグリッドコンピューティングシステムにおいて、
前記ISPサーバが、
ログインしたリソース提供端末を使用している会員の会員IDに対応付けて、前記リソース提供端末の端末ID及びリソース提供実績情報と依頼番号との対が格納されるリソース提供端末情報データベースと、
処理の依頼元のリソース利用端末を使用している会員の会員IDに対応付けて、依頼された処理を特定する依頼番号が格納されるリソース利用端末データベースと、
リソース提供端末のログイン時に、前記リソース提供端末を使用している会員の会員IDと前記リソース提供端末の端末IDとを対応付けて前記リソース提供端末情報データベースに登録するリソース提供端末管理部と、
リソース利用端末から処理が依頼されたとき、前記リソース利用端末データベースに、前記リソース利用端末を使用している会員の会員IDに対応付けて前記依頼された処理を特定する依頼番号を登録すると共に、前記リソース提供端末情報データベースに登録されているリソース提供端末の中から処理の依頼先にするリソース提供端末を抽出するリソース提供端末抽出部と、
該リソース提供端末抽出部で抽出されたリソース提供端末に対して処理を依頼すると共に前記依頼番号を送信し、前記リソース提供端末から処理結果と前記依頼番号とリソース提供実績情報とが返却されたとき、前記リソース提供端末情報データベースに前記依頼番号と前記リソース提供実績情報との対を格納するリソース提供端末処理依頼部とを備え、
前記相殺部が、前記リソース提供端末情報データベースを参照することによりリソース提供端末が提供したリソースに見合った対価を算出し、前記リソース提供端末情報データベース及び前記リソース利用端末データベースを参照することにより前記リソース利用端末が利用したリソースに見合った対価を算出する構成を有することを特徴とするグリッドコンピューティングシステム。
【請求項4】
請求項1記載のグリッドコンピューティングシステムにおいて、
前記ISPサーバが、余剰リソースを前記リソース利用端末に提供する構成を有することを特徴とするグリッドコンピューティングシステム。
【請求項5】
会員IDに対応付けてISP利用料が格納された課金データベースと、
リソース提供端末が提供したリソースに見合った対価を、前記課金データベースに格納されているISP利用料の内の、前記リソース提供端末の使用者の会員IDに対応付けて登録されているISP利用料から減算することにより前記リソース提供端末の使用者に対して請求する相殺後請求金額を求めると共に、リソース利用端末が利用したリソースに見合った対価を、前記課金データベースに格納されているISP利用料の内の、前記リソース利用端末の使用者の会員IDに対応付けて登録されているISP利用料に加算することにより前記リソース利用端末の使用者に対して請求する相殺後請求金額を求める相殺部とを備えたことを特徴とするISPサーバ。
【請求項6】
請求項5記載のISPサーバにおいて、
前記相殺部が求めた相殺後請求金額に従った決済処理を行う決済部を備えたことを特徴とするISPサーバ。
【請求項7】
請求項6記載のISPサーバにおいて、
ログインしたリソース提供端末を使用している会員の会員IDに対応付けて、前記リソース提供端末の端末ID及びリソース提供実績情報と依頼番号との対が格納されるリソース提供端末情報データベースと、
処理の依頼元のリソース利用端末を使用している会員の会員IDに対応付けて、依頼された処理を特定する依頼番号が格納されるリソース利用端末データベースと、
リソース提供端末のログイン時に、前記リソース提供端末を使用している会員の会員IDと前記リソース提供端末の端末IDとを対応付けて前記リソース提供端末情報データベースに登録するリソース提供端末管理部と、
リソース利用端末から処理が依頼されたとき、前記リソース利用端末データベースに、前記リソース利用端末を使用している会員の会員IDに対応付けて前記依頼された処理を特定する依頼番号を登録すると共に、前記リソース提供端末情報データベースに登録されているリソース提供端末の中から処理の依頼先にするリソース提供端末を抽出するリソース提供端末抽出部と、
該リソース提供端末抽出部で抽出されたリソース提供端末に対して処理を依頼すると共に前記依頼番号を送信し、前記リソース提供端末から処理結果と前記依頼番号とリソース提供実績情報とが返却されたとき、前記リソース提供端末情報データベースに前記依頼番号と前記リソース提供実績情報との対を格納するリソース提供端末処理依頼部とを備え、
前記相殺部が、前記リソース提供端末情報データベースを参照することによりリソース提供端末が提供したリソースに見合った対価を算出し、前記リソース提供端末情報データベース及び前記リソース利用端末データベースを参照することにより前記リソース利用端末が利用したリソースに見合った対価を算出する構成を有することを特徴とするISPサーバ。
【請求項8】
請求項5記載のISPサーバにおいて、
余剰リソースを前記リソース利用端末に提供する構成を有することを特徴とするISPサーバ。
【請求項9】
ISPサーバと、リソースを提供するリソース提供端末と、リソースを利用するリソース利用端末とを含むグリッドコンピューティングシステムにおいて、
前記ISPサーバが、
会員IDに対応付けてISP利用料が格納された課金データベース有し、且つ、
リソース提供端末が提供したリソースに見合った対価を、前記課金データベースに格納されているISP利用料の内の、前記リソース提供端末の使用者の会員IDに対応付けて登録されているISP利用料から減算することにより前記リソース提供端末の使用者に対して請求する相殺後請求金額を求めるステップと、
リソース利用端末が利用したリソースに見合った対価を、前記課金データベースに格納されているISP利用料の内の、前記リソース利用端末の使用者の会員IDに対応付けて登録されているISP利用料に加算することにより前記リソース利用端末の使用者に対して請求する相殺後請求金額を求めるステップとを実行することを特徴とする課金方法。
【請求項10】
会員IDに対応付けてISP利用料が格納された課金データベースを有するコンピュータを、
リソース提供端末が提供したリソースに見合った対価を、前記課金データベースに格納されているISP利用料の内の、前記リソース提供端末の使用者の会員IDに対応付けて登録されているISP利用料から減算することにより前記リソース提供端末の使用者に対して請求する相殺後請求金額を求めると共に、リソース利用端末が利用したリソースに見合った対価を、前記課金データベースに格納されているISP利用料の内の、前記リソース利用端末の使用者の会員IDに対応付けて登録されているISP利用料に加算することにより前記リソース利用端末の使用者に対して請求する相殺後請求金額を求める相殺部として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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