グリップ制御のための生体模倣触覚センサ
【課題】本願発明に係る生体模倣触感センサは、自然なヒトの皮膚を模倣する、柔軟性、弾性、およびいくつかの力学的抵抗を有する。さらに、力の方向および大きさ、物体の形状および広がり、起こりうる滑りに関する小さな動きを含む、外界の物体との接触についての様々な側面を検出および区別する。
【解決手段】ヒトの指尖部および触覚受容器を模倣する、堅牢な触覚センサアレイが開示される。機械的構成要素は、弾性皮膚内に含まれる弱導電性流体によって囲まれる硬いコアを有する指尖部である。それは、変換処理の一部としての指肉の変形可能な特質を使用する。複数の電極が、硬いコア表面上に配設され、コア内のインピーダンス計測回路へ接続される。外力は電極近傍の流体経路を変形させ、それらの力およびそれらの力を加える物体についての情報を含むインピーダンス変化の分布されたパターンを結果として生成する。特徴を抽出する方法は、機械的入力そしてこの情報を反射的グリップ制御に使用することに関連する。
【解決手段】ヒトの指尖部および触覚受容器を模倣する、堅牢な触覚センサアレイが開示される。機械的構成要素は、弾性皮膚内に含まれる弱導電性流体によって囲まれる硬いコアを有する指尖部である。それは、変換処理の一部としての指肉の変形可能な特質を使用する。複数の電極が、硬いコア表面上に配設され、コア内のインピーダンス計測回路へ接続される。外力は電極近傍の流体経路を変形させ、それらの力およびそれらの力を加える物体についての情報を含むインピーダンス変化の分布されたパターンを結果として生成する。特徴を抽出する方法は、機械的入力そしてこの情報を反射的グリップ制御に使用することに関連する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願への相互参照
本特許出願は、「生体模倣触覚センサ」と題される、2007年3月28日に出願された、米国特許出願11/692,718に関連する。
【0002】
この出願はまた、「グリップ制御のための生体模倣触覚センサ」と題される、2007年3月18日に出願された、米国暫定出願番号60/939,009の出願日の利益を主張する。これら両方の出願内容は、ここに参照によって包含される。
【0003】
連邦政府によって資金援助された研究に関する声明
本発明は、高等研究計画局(DARPA)によって提供された、契約番号907959に基づく、政府の援助を伴ってなされたものである。政府当局は、本発明について、一定の権利を有する。
【0004】
[技術分野]
本出願は、一般的に、ヒトの皮膚によってもたらされる性能に匹敵する、ロボットまたは人口の指尖部からの感知フィードバック情報性能の一群を提供する、装置および方法に関する。
【背景技術】
【0005】
現在のロボットの生産技術では、ヒトの感覚的能力のほとんどを作成することができない。この限界が、産業ロボットが膨大な実質的関連性のある繊細な作業(たとえば組立作業)を行うために使用されることを妨げている。そして、さらに、この限界が、工場外作業(農業、家庭、身体障害者への補助、等)におけるロボットの発達を妨げている。ロボットの将来的な生産技術は、外界と相互作用するための現在のロボットの限界能力を大幅に高める繊細なセンサの大規模な使用によって、より一層特徴付けられる。感覚、視覚、および接近覚は、ロボットの要求される特徴として一般的に認められる、組合せまたは単独の、感覚的必須要件である。視覚パターンの認識における研究は、近年、大いに注目を浴びている。感覚認識(操作によって物体を認識する能力)は、本質的に能動的な作用である。視覚センサ(受動的で、物体から離れた位置にある)とは異なり、触覚センサは、認識されるべき物体と接触して配置されなくてはならない。さらに、そのような接触は、操作を伴う動作から最大限情報を引き出すめたに、最適に組織化されるべきである。
【0006】
手や腕の切断を余儀なくされた人は、一般的に義肢が使用される。これらの義肢は、特に物体を握ったり保持したりする指を制御するために、生物的関節に類似する関節を操作するための電気機械的作動装置を一層組み込む。最近の研究は、指尖部の軟組織中に分布された生物的触覚の受容器のアレイが、グリップ力の迅速な調整を提供するために、神経系によって通常どのように使用されるかを明らかとする。以下に記載される現在利用可能な触覚のセンサ技術における限界により、現在利用可能な義指は、ほとんどまたは全く感知能力を提供せず、これらの高度に効率的な生物的制御方法を使用することはできない。
【0007】
触覚センサは、一般的にいくつかのカテゴリーについて知られ、その構成によっていくつかの異なるカテゴリーのグループに分けられうる。最も一般的なグループは、ピエゾ抵抗、圧電、容量、および弾性抵抗構造である。これら全ての装置の共通する特徴は、特定箇所の凹凸(不均一または表面からの突起)の電気信号への変換にある。触覚センサは一般的にロボット工学の分野で使用され、特に、プログラムされた指示に従って物体を持ち上げて置くロボット、いわゆる「ピックアンドプレイス」クラスのロボットに使用される。不都合なことに、上記触覚センサ類がヒトの指が反応するのと同じように反応することが望ましいのだが、それらの多くは物体の接触について限られた情報のみを提供しうる。これは、接触された表面に示される出力を取得するための拡張回路を必要とする、多数の別個の構造または電気特性を必要とする。ロボット工学では、それらの非線形反応機構、脆い構造、多くの別個の要素を組み立てるための高コストに関連する困難性が、産業環境における上記グループの使用を制限する。較正、環境存続性、および、特に人間の行動を拡大するように意図された、モータ駆動の義手および遠隔操作型ロボットシステムに特に関連する、より制限のない環境における多くの応用について最適化する、その他の要素についての困難性がある。
【0008】
義手およびロボット操作の性能は、ヒトの手に比べるとほとんどまたは全く触覚情報を持たず、大幅に制限される。広範の技術が、ロボット工学および医学において触覚感覚の問題を解決するために適用されてきた。光学、ピエゾ抵抗、超音波、導電性ポリマー等といった変換機構の全てが、実行可能な解決をもたらしてきたが、限られた環境または応用についてのみである。たとえば、ほとんどのMEMSセンサは、好ましい解像度および感度を提供するが、実験室外の多くの応用に対しては堅牢性を欠く[1−3]。(注釈への引用については、「infra」の文言を参照。)ビーブその他は、高い伸張強度を持つ、ピエゾ抵抗性シリコンを基とするMEMSセンサを提案したが、ヒステリシスおよびせん断力を感知することができないという点が制限となった[4]。エラストマーに懸濁された導電性粒子は、変形によって抵抗が変化する弾性物質となりうる。量子トンネリング複合体(QCT)と呼ばれるそのような物質の最近の進展は、感度およびダイナミックレンジを大幅に増加させるが、機械的なヒステリシスと、温度およびガスの吸収の同時感知とが、犠牲となる[5]。
【0009】
生物的指尖部の、曲げられ変形できる性質は、自然界に遭遇する広範な物体の操作のために重要な機械的特徴を提供する。多軸力センスアレイがMEMSを使用して作成されてきたが、それらは、そのような表面への搭載や、重荷、ほこり、流体、鋭利な角、および広範な温度変化を含む環境での使用には適していない[2,3]。皮膚のように弾性のある被覆がセンサアレイ上に置かれると、それはらは、一般的に、センサの感度を抑制し、発生する刺激に関して時間的および空間的なローパスフィルタとして機能する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願の生体模倣触覚センサは、自然なヒトの皮膚を模倣する、柔軟性、弾性、およびいくつかの力学的抵抗を有する。さらに、力の方向および大きさ、物体の形状および広がり、起こりうる滑りに関する小さな動きを含む、外界の物体との接触についての様々な側面を検出および区別する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
例示的な実施形態は、操作主体と操作および認識されるべき物体との間における触覚相互作用に関する情報集合が生成される装置を含む。触覚情報は、ロボットまたは義指尖部のいずれかによって生成される。本実施形態の主な特徴は、圧力分布の漸進的変化への、非常に高い感度という利点を持つことである。
【0012】
検出され区別されるべき接触パラメータによって生成される指肉の様々な変形という利点を享受するために、本センサ装置は、コアに並べられた電極アレイを介して、インピーダンス変化の特徴的で容易に検出可能なパターンを生成する、コアおよび被覆する皮膚や指肉の生態模倣的な形状を有する。センサ集合体の全体的な生体模倣設計に起因して、特徴抽出回路によって最も容易に検出される刺激特性は、物体の安定的かつ効率的な把握を達成および維持するための接触力の自動調整に最も有用な特徴である。この方法と関連する開示されるセンサ装置の特徴は、コアの複雑な機械的外形と、被覆する皮膚の弾性および取り付け箇所と、コア表面上の電極の特定形状および配置と、少なくともいくつかの電極が、被覆する皮膚と直接接触してほぼまたは完全に被覆される使用条件と、神経ネットワークのような訓練可能なアルゴリズムを使用するそれらの電極間のインピーダンス変化の複雑な時空間的パターンからの情報抽出とを含む。
【0013】
例示的なセンサ装置はまた、基本的形態および機能がヒトの指尖部と類似するセンサ集合体を含む。義手または擬人化されたロボットマニピュランダムは、動きが作動装置によって制御される、そのような指尖部のいくつかを付属部末節で接続する。センサを備える同様なパッド状の構成が、手中骨等の先端を覆う掌の隆起のようなグリップ接触面上に具備される。1つ以上のそのようなセンサ集合体は、様々なサイズ、形状で形成され、マニピュランダム、運動支持体、および、接触センサから派生する情報に従って外界の物体および表面と相互作用しなくてはならない他の機械的装置上の様々な数および位置に設けられうる。
【0014】
本装置の一実施形態は、複数の電極間で電気インピーダンスを計測することによって機能するセンサ群から構成される。電極は、変形可能な構成を被覆することによって、外界の物体と直接接触することから保護される、十分に硬いコア上に配設される。この設計の特徴は、十分に硬いコア内に完全に包容される、電極および信号処理回路間の機械的に繊細な接続位置にある。関連する特徴としては、単純で効率的な製造および修理方法を可能とすることである。
【発明の効果】
【0015】
複数のセンサおよびそれらと関連する機械的構造は、皮膚神経レセプタ、末節骨、被覆する指肉および皮膚、爪を含む、生物的関連への類似性を有する。情報は、そのような複数のセンサから引き出される。そのような情報は、感知されるべき刺激を描写するために、および/または、ヒトが複雑な物体の安定したグリップを維持するための神経反射に類似するグリップ力の自動的調整を制御するために使用される、標準的な物理的表象に関連しうる。
【0016】
本装置の一実施形態は、ロボット工学および人口装具の応用において遭遇する、広範な垂直力およびせん断力に感度を有する生体模倣触覚センサから構成される。
【0017】
生体模倣触覚センサシステムおよび方法のその他の実施形態は、以下の詳細な説明から、当業者には容易に明白であると解される。ここでは、例示的な実施形態のみが、図示という方法によって示され、記載される。後に分るように、生体模倣触覚センサシステムおよび方法は、その他の異なる実施形態も可能とし、いくつかの詳細がその他の様々な観点において変更可能である。したがって、図および詳細な記載は、本質的に説明のためとして捉えられるべきであり、限定して捉えられるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、指表層の形状を持つ触覚センサの縦断面図である。
【図2】信号検出および処理のための電気システムの概略図を示す。
【図3】自動配線および電子回路への電極接続のための配置の断面図詳細を示す。
【図4】典型的な接触力に反応する接触センサの横断面図を示す。
【図5】可変容量感知を具備する指表層の形状を持つ触覚センサの縦断面図を示す。
【図6】可変容量感知を具備する触覚センサアレイのための信号検出の電気システムの概略図を示す。
【図7】触覚センサからのフィードバックに従ってグリップ力を調整するように訓練された神経ネットワークの概略図を示す。
【図8】触覚信号調整回路のその他の実施形態を示す。
【図9】触覚センサのその他の機械的図を示す。
【図10】皮膚を除く触覚センサコアのその他の実施形態を示す。
【図11】触覚センサの機械的構成のその他の実施形態を示す。
【図12】機能する電極、電解質、および対極の一般的な形態を示す。
【図13】1つのセンサチャネルの回路図を示す。
【図14】力測定器、操作部、および触覚センサを含む試験設定を示す。
【図15】異なる曲率を持つ3つのプローブにより加えられた、皮膚のログインピーダンス(1−1000kΩ)vs.静的撓み度を示す。3つの個別の操作領域(A、B、およびCと印されている)が各々の曲線についてあり、文字によって説明される。
【図16】図15の同じ撓みについての、皮膚表面に垂直な、ログインピーダンスvs.ログ力(0.01−100N)を示す。
【図17】電極位置に関して、インピーダンスを中心圧力の関数として示す。
【図18】オシロスコープのロール間2電極センサ出力のイメージ図を示す。
【図19】グリップ力の高速、閉ループ調整が有用となりうる物体操作タスクを実行する、サルコスロボットアームのイメージ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に続く詳細な説明は、触覚センサシステムおよび方法の例示的な実施形態の記載を意図しており、生体模倣触覚センサシステムおよび方法が実行される唯一の実施形態を表すことを意図していない。本開示を通して「例示的」の文言は、「例、事例、または例示として機能する」を意味し、必ずしもその他の実施形態より好ましいまたは有利であるとして解釈されるべきではない。詳細な説明は、触覚センサシステムおよび方法の完全な理解を提供するという目的のため、特定の詳細を含む。しかし、触覚センサシステムおよび方法が、これらの特定の詳細なしで実施されうることは、当業者には明らかである。ある事例では、よく知られる構造および装置が、触覚センサシステムおよび方法の概念を曖昧にすることを回避するために、ブロック図の形式で示される。
【0020】
以下の文献が本開示の全体を通して参照され、内容は参照によって包含される。[1]リー M.H.,ニコルズ H.R. メカトロニクスのための触覚感知−最先端調査。Mechatronics 9:1−31 1999。[2]ベッカイ L. 生物化学応用のためのハイブリッドシリコン3軸力センサの設計および創作。Sensors and Actuators A:Physical Vol.A120、no.2:370−382。2005年5月17日。[3]メイ T.その他 大きな力範囲での集積MEMS3次元触覚センサ。Sensor and Actuators 80:155−162,2000。[4]ビーブ D.,シー,デントン D.,ラドウィン R. ロボット工学および医療のためのシリコン力センサ。 Sensors and Actuators A50:55−65,1995。[5]ブロア D.,ドネリー K.,ハンズ P.J.,ラッセイ D. 特有性能を持つメタルポリマー複合体。Journal of Physics D:Applied Physics,38:2851−2860,2005。[6]バサヘリイ G.,アダム M.,バゾニイ E.,バルソニー I.,ダッソ C. 触覚センサアレイ上の弾性カバーの効果。Sensores and Actuators132:245−251,2006。[7]ヘルセル M.,ゼメル J.N.,ドミンコ V. インピーダンス断層撮影触覚センサ。Sensores and Actuators Vol.14,No.1,pp.93−98,1988。[8]ラッセル R.A.,パーキンソン S. 接触による表面形状感知。IEEEロボット工学および自動化についての国際会議。Vol.423−428,1993。[9]カネリー G.,カトコスキー M. 電気粘性流体に基づく触覚感知による指ロボット。IEEEロボット工学および自動化についての国際会議の議事録 1:132−136,1989。[10]ボイルズ R.,フェダー G.,コスラ P. 電気粘性流体ゲルに基づくモジュラー触覚センサおよび作動装置の設計。 IEEEロボット工学および自動化についての国際会議の議事録 1:132−136,1989。[11]Y.K. リー,B.S. リム,C.W. キム リン酸カルシウムに基づく歯牙充填および再生物質の機械的特性。Journal of Oral Rehabilitation 30;418−425,2003。[12]D. メリル,M. ビクソン,J. ジェフリーズ J. 興奮性組織の電気刺激:効果的かつ安全なプロトコル。Journal of Neuroscience Methods,141:171−198,2005。[13]A. ダルミア,C.C. リウ,R.F. サビネル ドーパミンの選択的検出のための酸末端基による自己集合性単一層によって改良された金電極の電気化学的性質。Journal of Electrochemistry,430:205−214,1997。[14]B. ピエラ,P. ロナ 0.5M硫酸溶液内における金電極の容量:ACインピーダンス研究。Journal of Electrochemistry,388:69−79,1994。[15]ヨハンソン R.,リソ R.,ヘイガー C.,ベックストローム L. 予測不能なけん引力下の正確なグリップの体性感覚制御。I 負荷力振幅内の変化、Experimental Brain Research89:181−191,1992。[16]バーズニーク I.,ジェンマル P.,グッドウィン A.W.,ヨハンソン R.S. ヒト触覚求心性神経による指尖部力の方向の符号化。Journal of Neuroscience.21:8222−8237,2001。[17]フラナガン J.R.,バーステッド M.K.O.,ヨハンソン R.S. 複数節操作での指尖部の力の制御。 Journal of Neurophysiology.81:1706−1717,1999。[18]ヨハンソン R.S.,ウェストリング G. より荒いまたは滑りやすい物体を持ち上げる際の正確なグリップの自動制御における、無毛皮膚受容器および感覚運動記憶の役割。 Experimental Brain Research.56:550−564,1984。[19]ヨハンソン R.S.,ウェストリング G. 正確なグリップ中の適応運動反応する指からの触覚求心性神経信号。 Experimental Brain Research.66:141−154,1987。[20]ウェストリング G.,ヨハンソン R.S. ヒトの正確なグリップ中の無毛機械受容器での反応。 Experimental Brain Research.66:128−140,1987。[21]K.ホーニク,M.スティンチクーム,H.ホワイト 複数層フィードフォワードネットワークは普遍的近似装置である。 Neural Networks,2(5):359−366,1989。[22]パーク,J.,I.サンドバーグ 近似および放射基底関数ネットワーク。 Neural Computation 5,305−316,1993。[23]コーディル,M.,バトラー,C. 神経ネットワークコンピュータ研究の理解;Volume1。Basic Networks;The MIT Press;ケンブリッジ、マサチューセッツ、1992。[24]D.ヤマダ,T.マエノ,Y.ヤマダ 握力制御のために使用される、突起および分布した触覚センサを持つ人口指皮膚。IEEE/RSJ知的ロボットおよびシステムの国際会議の議事録、pp.686−691,2001。[25]Y.ムカイボ,H.シラド,M.コニョ,T.マエノ ヒトの指組織の構造および感覚的機能をエミュレートする触感センサの発達 IEEEロボットおよび自動化の国際会議の議事録、pp.2576−2581,2005。[26]ヨハンソン R.S.,ウェストリング G. より荒く滑りやすい物体を持ち上げる際の正確なグリップの自動制御における、無毛皮膚受容器および感覚運動記憶の役割。 Experimental Brain Research.56:550−564,1984。[27]コール K.J.,ヨハンソン R. 指−物体接触面での摩擦が、けん引力に対するグリップ反応のための感覚−運動変換の尺度となる。Experimental Brain Research.95:523−532,1993。[28]ヨハンソン R.,ヘイガー C.,リソ R. 予測不能なけん引力下の正確なグリップの体性感覚制御。II 負荷力の変化、Experimental Brain Research89:192−203,1992。[29]ゴードン A.,ウェストリング G.,コール K.J.,ヨハンソン R. 汎用および新たな物体の操作中に使用される運動指令の基となる記憶表象。Journal of Neurophysiology 69;1789−1796,1993。[30]ヨハンソン R.S.,バーズニーク I. ヒト触覚求心性神経の集合の最初の急上昇が複雑な空間指尖部事象をコード化する。Nature Neuroscinence 7:170−177,2004。[31]バターファス,J.,グレベンスタイン M.,ルイ H.,ハージンガー G. DLRハンドII:次世代の器用なロボットハンド。IEEEロボットおよび自動化の国際会議の議事録、pp.109−114,2001。
【0021】
生物的感覚受容器の一般的な性質として、受容器自身およびそれらが含まれる組織が、感度、およびそれらが中枢神経系へ提供できる情報の質を向上するために設計された多くの特徴を含む点で、高度に進化した構造を持つと言える。皮膚は、物理的な物体との接触中に発生する様々な機械的事象を変換するために、複数種類の機械受容器を含む。これらの受容器は、皮膚、下層の指肉や指骨、隣接する指の爪の機械的特性によって感度が向上される、指尖部のような箇所において集中して存在する。ゼメルによる米国特許4,980,646は、ここで参照によって包含され、弱導電性流体の層によって伝えられる局所的電気抵抗の変化に基づく触覚センサを教示する。弱導電性流体の層の形状は、変形可能な膜へ加えられる外力によって変形される。ゼメルは、感知ストリップのアレイの一側に配列された電極という方法、および、隣接する電極ストリップの組間の差電圧計測による勾配の局所的強度の計測によって、流体全体にわたる電圧勾配の応用を記載する。ここで全体的に参照によって包含される、ダリオその他による米国特許4,555,953は、人口皮膚のようなセンサの構築に使用されてきた異なる技術および物質を教示する。
【0022】
これらの生物的変換器の入出力特性は、工業的変換器とは一般的に異なる。工業的変換器は、一般的に、ある一点における垂直または接線分力のような、単一の機械的変数への線形反応を生成するように設計される。そのような変換器のアレイからの信号は、総力、中心力、方向性力ベクトル、および二点解のような、接触の直交物理パラメータを抽出するための単純な分析アルゴリズムに従って組み合わされる。生物的接触受容器は、高度に非線形で非直交である。それらの信号は、物体の触覚認識に関する高度な意識的認知同様、運動出力の無意識な調整を提供する、適用性のある神経ネットワークによって組み合わせられる。神経生理学者および生理学者はしばしば、体性感覚受容器の活動を相互比較し、正規物理的パラメータに従って心理生理学的知覚表象の基準を設計する。しかし、神経系が、知覚と行動間の中間局面としてのパラメータのような、直接的な表象を実際に抽出することを示す証明はほとんどない。事実、情報理論は、そのような中間局面の表象がノイズを増加し、情報量を減少させる。そのような策略は、進化上不利に作用する。工業的センサおよびそれらの信号処理システムは、線形で直交な表象を使用する。なぜなら、下流制御システムは一般的に、そのような入力に基づいてきたからである。この策略は、高度に制約的で予測可能なタスクを正確に実行しなくてはならない産業用ロボットのような、工業的システムには好都合である。日々の生活に関連する広範で予想不能な範囲のタスクを実行しなくてはならない、擬人化ロボットおよび義肢へ適用するのは困難である。高感度でおよび/または物理的に露出された変換器を、破損または偏向するような環境(たとえば、温度、湿度、鋭利な角、等)下の環境要素により、問題はさらに複雑となる。
【0023】
本センサ装置の例示的な実施形態は、生物的システムに観られるような特徴に匹敵する特徴を有する。特に、それらセンサ装置は、指尖部に観られる構成と類似する、生体模倣の機械的構成を使用する。当該指尖部は、生物的機械受容器に観られるのと類似する、広範な様式および感度を持つ単純かつ堅牢性ある電子センサ類に寄与するものである。例示的な実施形態は、湾曲したアレイに具備される、より多数の小さい局所的な電極を装備する。当該湾曲したアレイの形状および機械的特性は、生物的指尖部と類似させている。各々の感知電極は、離れて位置する共通電極と相関するインピーダンスに基づく、被覆膜の局所的機械的変形の個別計測を提供するように電源供給される。被覆膜の内表面を形成することにより、各々の感知電極の感度およびダイナミックレンジを向上する、さらなる改良が記載される。さらに他の例示的な実施形態は、膜へ電源供給し、誘電性のある流体またはガスにより各々の感知電極への容量性カップリングを検出するという、膜の変形を検出する新規な方法を教示する。さらなる実施形態では、神経ネットワークは、ヒトの手の神経制御によって実装されるのと類似する方法で、様々な形状および力ベクトルを伴う物体の安定なグリップを維持するために必要とされる作動装置の調整を直接的に計算する。
【0024】
この例示的生体模倣感知装置の様々な側面は、以下文献に記載される構成を包含する。それら全ては、ここで参照によって全体にわたって包含される:ヨハンソン RS,ウェストリング G.(「正確なグリップにおける適応運動反応する指からの触覚求心性神経信号」 Experimental Brain Research.66:141−154,1987);ウェストリング G,ヨハンソン RS.(「ヒトの正確なグリップにおける無毛機械受容器での反応」 Experimental Brain Research.66:128−140,1987);フラナガン JR,バーステッド MKO,ヨハンソン RS.(「複数節操作での指尖部の力の制御」 Journal of Neurophysiology.81:1706−1717,1999);バーズニーク I,ジェンマル P,グッドウィン AW,ヨハンソン RS.(「ヒト触覚求心性神経による指尖部の力の方向の符号化」 Journal of Neuroscience.21:8222−8237,2001);ヨハンソン RS,バーズニーク(「ヒト触覚求心性神経の集合の最初の急上昇が複雑な空間指尖部での事象をコード化する」Nature Neuroscinence 7:170−177,2004)。
【0025】
機械的基礎
図1を参照すると、センサ集合体1は、流体、弾性またはゲル機械的特性を含む指肉4によって被覆される十分に硬いコア2からなり、シール7によってコア2に取り付けられた皮膚6によって覆われ、結果生成されるパッド12の周囲に沿って覆われる。複数の電極8が、以下に記載されるように、物体および表面との接触が感知されるコア2のそれら表面上に具備される。ゼメルの米国特許4,980,646は、本触覚センサの実施形態において実装される、その他の触覚センサの形態を記載する。
【0026】
皮膚6は、機械的特長においてヒト無毛皮膚に似た、変形可能なおよび/または弾性物質であり、磨耗に抵抗する丈夫さ、グリップを向上する質感および粘着性、および、化粧により着色可能であるという、有利な特徴を有する。以下に記載されるように、隆起、突起、および/またはその他の特徴を、皮膚の内側および/または外側表面へ取り入れることが有利である。適切な物質としては、生物工学および補綴学においてよく知られるその他多くの物質のうち、シリコーン弾性体およびポリエチレンのようなポリマーを含むがこれに限られない。好ましい実施形態では、コア2は、センサ集合体が具備される義肢またはロボットの機械的接続部分として機能しうる、ジルコニアセラミックまたはチタニウム金属のような、機械的に丈夫な物質からなる。全体的に参照によって包含される次の参照は、本触覚センサ装置および方法に使用される様々な特徴を教示する。シャーその他の米国特許6,871,395は、電子部品に電気的に導電性のある弾性体を接続することを教示し、マグヌセンその他の米国特許6,529,122は、稼動部間の接触抵抗を計測することを教示する。ヨシノその他の米国特許5,905,430は接触部分と稼動部間の接触の検出状態について、ポドロフその他の米国特許5,033,291は足圧力分布の計測のための柔軟な触覚センサについて、ハンズの米国特許5,014,224は加えられる圧力の位置および量を決定することについて、カーチンの米国特許4,817,4440は接触力および接触パターンを認識することについて、ボイその他の米国特許4,526,043は準拠した接触センサについて、オバートンの米国特許4,481,815は接触センサによって接触される物体のパラメータを決定することについて、教示する。
【0027】
例示的な一実施形態では、指肉4の物質の選択は、指肉が機械的に変形される際、その電気的導電性が指肉と接触する2つ以上の電極間で計測される抵抗が変化するほど十分に低い、変形可能で体積伝導性のある液体またはゲルとなるようにされる。適切な物質としては、イオン導電体を含む水性はたは非水性ゲル、水晶物質、およびその他当業者に明らかな物質を含む。有利なことに、指肉4は、皮膚6がシール7へ付着された後、皮膚6、コア2、および電極8間の空間へ皮下注射針によって注入されうる。これは、指肉4の厚みおよび圧力を正確に制御し、電極8または検出回路20に影響することなく皮膚6および/または指肉4を取り替えることによって、センサ集合体1を改装することを可能とする。
【0028】
感知構成要素
感知は、電極8間の電気インピーダンス変化を計測することによって達成される。電極8の、コア2の外形付けられた表面上の分布および位置が、センサ集合体1の感知特性の主要要素となる。検知回路20の一実施形態が図2に概略的に示され、以下により詳細に記載される。計測された電気インピーダンス24は、指肉4の厚みおよび電気的特性によって支配されうる。以下により詳細に記載される様々な構成のいくつかにおいては、これは、ある電極8とその他の電極または基準点との間で計測され、上記電極8および当該電極8を直近で被覆する皮膚6間の距離の逆数に一般的に依存する抵抗でもよい。この距離は、被覆する皮膚上の圧力により減少するが、粘弾性指肉4内の静水圧により上昇する。皮膚6が電極8を完全に塞ぐ場合、電気インピーダンス24が非常に大きくなり、望ましくない、接触力のさらなる増加に対して感度が低くなる。この問題は、皮膚6の内面に質感を持たせることによって対処されうる。そのような質感は、皮膚6が、以下に記載されるように浸漬被覆およびin situでのポリマー化の方法によって形成されることによって、生成されうる。この場合、コア2の表面および電極8は、所望の質感を持つ表面を生成するために浸漬被覆前に、磨耗されうる。
【0029】
センサ集合体1は、皮膚6が中心電極の集合に対して圧縮される、電極8の集合の境界付近にあるそれら電極における圧力分布の小さな変化に最大感度を有する。そのような変化は、この境界に沿ってある電極が、皮膚と電極間の小さな距離から距離ゼロにある状態間で変化することを引き起こす。そのために、抵抗は論理的に無限となる。電極8で計測されるインピーダンスが、電極8と皮膚6間の距離が減少するにつれて減少する、その他の実施形態が以下に記載される。
【0030】
各々の電極8は、電極8を含む特別に定義される指肉との接触領域を除いては、その他の電極および被覆する指肉4から電気的に絶縁される。各々の電極8は、配線10によって検出回路20へ接続される。これは、ハイブリッド微細電子回路および密封されたパッケージによって一般的に実装される、様々なフィードスルーおよびコーティングによって達成される。図1は、コア2がゼルコニアまたはアルミナセラミックのような誘電物質からなり、電極8はセラミックのレーザによって掘削された穴を介して通され、従来のワイヤボンドからなる配線10によって検出回路20へ接続される、金属性ビアからなる。図3に示されるその他の実施形態では、導電線が、配線10を形成する方法を提供するコア2の外側および/または内側上に印刷される。こうすることで、この分野でよく知られるフリップチップおよびグリッドアレイボンディングのような方法を使用して、導電性のあるフィードスルーピン9の裏側へ直接および同時に形成される複数の溶接部14を使用することによって、検出回路20が複数の電極8へ接続されうる。さらに他の実施形態では、コア2はチタニウム、アルミニウム、またはステンレススチールのような金属物質であり、そして電極8は、コア2に開けられた穴を貫通するメタルフィードスルーの外表面から構成される。電極8は、電極8間の電気的絶縁、および、指肉4の液体要素と検出回路20間の気密シールの両方を提供することができる、溶解されたグラスフリットのような誘電体物質からなるシールによって所定位置に固定される。
【0031】
電気信号処理
検出回路20は、機械的な支持および保護を提供するコア2の陥凹部内に設けられる。図2に概略的に示されるように、上記検出回路20は、電力供給21を、電極8の様々な組合せへ適用される通電信号22へ変換する。指肉4を通る電極8間の実効回路のインピーダンス24は、計測回路26によって定量化され、分析ロジック30へ通信される。指肉が電子導電体である場合、通電信号22は、直流電流または電圧でありうる。計測値は、それぞれ直流電圧または電流である。指肉4を通る体積導電路のインピーダンス24は、オームの法則によって計算されうる、その抵抗要素によって支配される。指肉4が水溶液またはゲルのようなイオン性の導電体である場合、通電信号22は、電極8上における電気分解および分極化の効果を回避するために有利である、交流電流または電圧でもよい。計測される交流電圧または電流の大きさは、体積導電路のインピーダンス24をオームの法則に従って計算するために、整流およびローパスフィルタを介することによって、求められうる。
【0032】
センサ集合体1の操作の他の1モードは、上述のように、被覆する皮膚6と接触またはほぼ接触状態にある電極8の部分集合と間のインピーダンス24の最も大きい漸増変化を生成する傾向のある、圧力分布の小さな変化を検出することである。そのような変化への検出回路20の漸増する感度は、上記2つの計測モードについて異なる。通電信号22が電圧である場合、被覆する指肉の厚みが増加する接触力によって圧縮される時、被覆する指肉の厚みが減少するにつれて、漸近的にゼロに近づく。通電信号22が電流である場合、被覆する指肉の厚みが接触方向へ圧縮されるにつれて、計測される電圧は、利用可能な電力供給のコンプライアンス電圧へ向けて、指数関数的に上昇する。これらの2つの関連性は、以下に記載されるように、分析回路のその後の特徴的アルゴリズムによる、漸増変化の検出性能についての暗示を有する。どのような信号検出でも、当業者によく知られる様々な電気的にアクティブおよびパッシブな電気的ノイズという、不可避な結末を甘受しなくてはならない。
【0033】
インピーダンス計測の1つの例示的な構成は、各々の電極8と、電極8の全てを実質的に覆う共通接触(図2でグラウンド記号によって指定される)との間にある。共通接触は、それが誘電体である場合は、コア2の表面上にフォトリソグラフィーによって印刷されるか、または、それが誘電性物質によって形成される場合は、コア2そのものである。または、共通接触は、図4に示されるように、電極8を囲うシール7へ組み込まれる導電性物質によって形成される。検出回路20への電気的スイッチを組み入れることによって、その他の多くの構成が動的に形成されうる。それらの構成には、隣接する電極8の組間の差計測、一電極8と上記スイッチによって接続されるその他全ての電極との間の計測、上記スイッチによって動的に選択される電極8の様々な組合せ間の差計測がある。
【0034】
またその他の例示的な実施形態では、指肉4は、100(オーム)(cm)程度の十分に高い抵抗を持つ体積導電体であり、皮膚6は、検出回路の「グラウンド」または参照電圧へ接続された導電体でありうる。この場合、各々の電極8と皮膚6間の電気インピーダンス24は、それら間の距離におよそ比例し、それらが実際にお互いに接触する際、およそゼロへ急降下する。指肉4、皮膚6、および関連する検出回路20のための導電性かつ誘電性物質のさらなるその他の組合せは、本システムの範囲に含まれる。
【0035】
その他の実施形態では、指肉4は誘電物質から形成され、皮膚6は、織って作られた金属織物、または、金属やカーボンを含むポリマーのような、電気的導電体である。指肉4に適した誘電物質は、空気を含むガス、ミネラルオイル、シリコーンポリマーのようなゲルを含む液体を含むが、これに限られない。本実施形態では、各々の電極8と被覆する皮膚6との間のインピーダンス24は特に、電極8と被覆する皮膚8との間の距離の逆数により上昇する値を持つキャパシタのインピーダンスである。よって、センサ集合体1の設計および性能の機械的要素は、一般的に、指肉4が導電体であり、皮膚6が誘電体である第1実施形態に類似する。キャパシタのインピーダンスは、その容量値の逆数と関連し、キャパシタに適用される電気信号の周波数の逆数と関連する。この他の実施形態では、1つ以上の電極8と皮膚6との間のインピーダンスは、それらの間に交流電流または電圧である通電信号22を適用し、そしてそれぞれ交流電圧または電流を計測することによって、容易に計測される。皮膚6が、「グラウンド」または様々な電極8と関連付けられる個々の検出回路20の全ての参照電圧へ接続されると、一般的に有利である。
【0036】
上記のその他の実施形態では、そのような導電性皮膚6は実際には電極8と接触し、それらの間のインピーダンス24は、それらの間のオーミックコンダクタンスによりおよそゼロに急激になる。それが望まれない場合、そのような接触は回避され得、それらの間の最大容量値は、導電性の皮膚の内側をポリパラキシレン(商業的商標名パリレン)のような薄く柔軟な誘電層でコーティングすることによって安定化されうる。皮膚6が織って作られた金属織物からなる場合、皮膚6の内外両側に蒸着されたパリレンのコーティングは、指肉4に使用される誘電物質が外へ漏れて、外界の物体と電気的接触することを回避するように、繊維をシールするために有利に使用されうる。
【0037】
図5および6に示されるように、さらなるその他の例示的な実施形態では、皮膚6および指肉4の変形が変化する容量として検出される。図5は、皮膚6が3層からなるセンサ集合体1の縦断面図を示す。外層6aは、化粧に適した質感を持たせた誘電物質からなる。6bは、金属を含むポリマーのような導電物質からなる。6cは、あるシリコーン弾性体のような、柔軟な誘電物質からなる薄い内層である。上記層は、コア2を心棒として使用する、示されるように段階的な深さへ連続的に浸漬被覆することによって形成される。導電性のある皮膚層6bは、図6に概略的に示されるように、共通電極8zと電気的に接触するように浸漬被覆される。コア2は、コア2から離れる方に皮膚6を膨らませる圧下で、指肉4を導入するために使用される毛細管46が配設される。選択的に、充填管46は、たとえば質感のある物体上で、皮膚6aの質感を持たせた外表面が滑ることによる振動によって引き起こされる、指肉4内の小さい、高周波数である圧力変化を検出するために特に有用となる、圧力変換器29へ接続されうる。皮膚の基部側の境界では、皮膚6は、指肉4から圧力をかけられ物質の損失を回避するために、コア2に対してOリング48によって保持される。有利なことに、コア2は、検出回路20、電極8および9の内表面への配線10、およびその他の所望の要素を設置するためのアクセスを提供する、取外し可能な部位2aを有する。選択的に、コア2の取外し可能な部位2aは、伸張部42を具備する。当該伸張部42を介して、指の爪40が保持部44によって皮膚6に対して圧縮されうる。この構成は、向上した化粧法を提供し、指の爪40の境界付近にある電極8aのような電極の特化された感度へ貢献する。
【0038】
図5に示される可変容量感知センサ集合体1の使用のために、検出回路20は、図6に示される電気的概念図に従って構成される。通電信号22は、共通電極8zすなわち導電性皮膚層6bへ適用されるAC電圧である。各々の感知電極8a、b・・・と導電性皮膚層6bとの間の容量は、それらの要素間の誘電性指肉4の厚みが、接触力に反応して変化するにつれて変化する、電気インピーダンス24を構成する。通電信号22の電圧の小さな乱れは、検出回路20によって、感知電極8a、b・・・のそれぞれ上に検出される。全ての感知電極、圧力変換器、および組み込まれたその他のセンサ(たとえば、温度センサ)からのデータは、結合され、マルチプレクサ28によって直列下され、分析ロジック30へ転送される。
【0039】
信号調整回路
触覚センサアレイが位置する指尖部への、メカトロニックなハンドのための制御システムから形成されなくてはならない電気的接続の数を減少させることも、有用である。これは、各々の電極接触から発生するデータを、デジタルビットのシリアルストリームへ多重送信することによってなされうる。電極接触、アナログ信号調整およびデジタル化用に電源供給するために必要とされる回路は、様々な電極、その他の変換器、およびそれらの電気的接続と並んで、物理的に指尖部に配置される。通常これは、多くの異なる能動回路またはカスタムデザインのICを必要とする。例示的な実施形態では、単純な回路は、ベアダイとして調達され、触覚センサアレイを含む様々な電極への直接接続のためのハイブリッド回路上へ組み込まれるICを含む、既製品から形成されうる。
【0040】
上述のように、生体模倣触覚センサ(TAC)は、電極接触が上に設けられる硬いコアと皮膚のような柔軟な囲いとの間に閉じ込められる、弱導電性流体と接触する複数の電極と関連付けられる電気インピーダンスの動的変化の計測に基づく。その他の実施形態において、電極が金またはプラチナのような不活性な金属であり、流体が塩化ナトリウムまたは水に含まれるその他の塩の低濃度溶液である場合、インピーダンスは概ね抵抗性の流体と直列に、概ね容量性金属電解質の中間体から構成される。
【0041】
皮膚の変形は、形状、つまり感知電極と参照電極との間の流体通路の抵抗を変化させることによってインピーダンスを変化させる。センサアレイの構成、および皮膚へ加重された力の量および分布に依存して、これは1kオームから1Mオームにわたる。
【0042】
分極、電気分解、および/または電極の腐食を回避するために、実質的な直流要素のない交流電流のみを適用することが理想的である。インピーダンスは、そのように制御された交流電流による電極を介して誘発された電圧波形の振幅から計測されうる。このAC通電のための有用な周波数は、一般的に、5〜100kヘルツの範囲内である。
【0043】
各々の電極からの出力信号の広範なダイナミックレンジのため、典型的に12〜16ビット/サンプルである高解像度の電圧波形の振幅をデジタル化することが好ましい。典型的なセンサアレイは、およそ20〜100の接触を持ち、その全てが、典型的で能動的な、触覚感覚についての指の探索動作に関連付けられるインピーダンスの時間的変化を検出するために、十分に高いレートでサンプル化される。
【0044】
図8に示される好ましい実施形態では、その他の実施形態において、32の感知電極は、たとえば、38,400ビット/秒の集合データ速度となる、毎秒100フレームの12ビット精度でサンプル化されなくてはならないと想定された。これらの値は、従来の多重送信化およびデジタル化回路によって達成できる。そのような回路は、動作するためにデジタルクロック信号を必要とする。遂次近似によって動作するアナログ−デジタル変換器(ADC)は、一般的に1ビットの変換につき1クロックサイクルを必要とするので、クロック信号は、電極接触の通電および計測のために適した周波数を有する。各々の変換されたビットは、即座に転送され、単一出力線上にシリアルコードを生成する。連続的に並べられた電極へ検出回路を切り替えるマルチプレクサ(MPX)は、各々の変換が終了すると次の電極へ移行し、ADCはその直後次の変換のためにアナログ値をサンプルアンドホールドする。これらの動作の両方が、クロック信号と同期して発生する。
【0045】
好ましい実施形態では、単一の方形波が、ADCをクロックし、そして電極へ通電するための電流波形を生成するために使用される、外部回路から供給される。図8に示されるように、適切にクロックエッジおよび様々な移行フェーズを調整することによって、2つの能動回路機能(MPXおよびADC)および4つの外部線(Data、Clk、VssおよびGd)のみを使用する、信号調整、サンプリング、デジタル化、直列化、および同期化の全てを実行することを可能とする。特に、Vssは、能動回路機能へ電力供給し、連続するインピーダンス計測およびシリアルデータ転送のフレームのスタートを命令する同期パルスを提供するために使用される。Clkは、ADC操作のためのクロックとして使用されうる方形波からなり、MPXの共通極へ接続する抵抗およびキャパシタによってゼロバイアスで交流電流源へ変換される。
【0046】
特徴抽出
コア2の外形、被覆する指肉4、および皮膚6と関連して、電極8の位置付けは、センサ集合体1が様々な力ベクトルで様々な物体および表面と接触する際、検出回路20によって計測される様々なインピーダンス24の変化の、明確なパターンを引き起こす。分析ロジック30は、そのように検出されたパターンに従って、接触の本質についての推測をする、特徴抽出アルゴリズムを組み込む。どの特定の刺激パラメータの異なる状況がセンサ集合体1を構成する電極アレイを影響するのかを認定することは、有用である。そのような影響が結果としてセンサ要素の全てにわたる十分に明確な出力パターンとなる場合、接触される物体の特徴および接触力の時空間分布という観点における接触状態の本質を認識するための、神経系に具現されるのと同様に機能する神経ネットワークとして知られるアルゴリズムを具備できる。つまり、神経ネットワークは、区別されなくてはならないいかなる刺激の、これら特徴に有用な方法により反応するように学習することによって訓練されうる。図7は、センサ集合体1からのシリアル化されたセンサデータが、神経ネットワーク34の入力層へデータを提供する入力デマルチプレクサ32から構成される分析ロジック30によって処理される構成を示す。出力層36は、制御信号37a−cを、メカニカルハンド39の関節を操作する作動装置38へ提供する。メカニカルハンド39の動作は、指と把握されるべき外的物体との間の接触力の変化を引き起こし、結果センサ集合体1からの信号の変化となる。神経ネットワーク34は、中間層内で利得として具現される入出力信号間の、接続マトリックスから構成される。神経ネットワーク34は、メカニカルハンド39の反応と同様の状況下で同様の物体を操作する通常の人の手の観察結果についてのデータセットとの間の比較に由来する訓練信号35に従って、それらの利得を反復的かつ組織的に調整することによって、入出力信号間の所望の変換を生成するように訓練される。
【0047】
以下は、電気インピーダンス24上のこれら効果が、様々な電極8間で計測される刺激特性、および、上記分析ロジック30へ組み込まれまたは訓練される、関連する特徴抽出アルゴリズムの例示的なリストである。これらの例は、全て第1の例示的な実施形態に関連して記載される。ここで、指肉4は若干抵抗性である体積導電体であり、皮膚6は誘電体であるが、同様の特徴抽出アルゴリズムが、当業者に明白な上記様々な実施形態についてのセンサ集合体によって計測されうるインピーダンスの時空間的パターンへ適用される。ほとんどは、図1に示される軸A−Aに沿った断面図である、図4を参照して示される。これは、複数の電極および関連する回路を潜在的に含みうる、そのような多くの平行断面図のうちのただ1つを示す。電気インピーダンス24の変化は、図1〜4に示される第1実施形態の文脈において記載される。図1〜4には、皮膚6と電極8a、b、・・・との間の間隔の減少が、電気インピーダンス24の増加となる。その他の実施形態では、間隔変化は、検出回路20の変形による刺激特性、および当業者にとって明白である分析回路30に関連しうる、電気インピーダンス24の異なるしかし検出可能な変化を引き起こす。
【0048】
接触力
センサ集合体1の中心領域上での総力が増加するに連れて、指肉4は、皮膚6と位置aおよびbの電極8との間の空間を増加させる周辺ノートのシール7近傍領域へ、横方向へ押しつぶされる。センサ集合体1の圧迫された中心領域の電極8を覆う指肉4はより薄くなり、それらの電極と関連するインピーダンス計測が、皮膚6と位置d、eおよびfの電極8との間の減少された空間のハイノートとなることを引き起こす。全てのそのようなインピーダンスの合計は接触力の総力に関連し、合計は、電極が皮膚へ値が近づくに連れてインピーダンスの非線形的な増加が優位となる。
【0049】
重心および力範囲
上述の接触力計測に関連するインピーダンスの増加は、力の中心がセンサ集合体の表面状のどこにあるかと、接触物体の曲率半径とを予測するアレイ電極8の位置に関連しうる。たとえば、鋭い物体は、接触点に近い1つか数個の電極のみに大きなインピーダンス変化を引き起こす、皮膚の局部的な変形を生じる。指肉4が圧縮不可能な物質である場合、1つ以上の電極8上の厚みのいかなる減少も、接触領域から離隔してあるその他の電極8上の厚みの急激な増加を伴う。
【0050】
力の偏心
接触物体が放射方向に対称的でない場合、電極により検出されるインピーダンス変化の分布は、同様に非対称的となる。この非対称性が、接触物体の形状についての予測をするために検出されうる。
【0051】
外的物体の形状
接触物体が放射方向に対称的でない場合、電極によって検出されるインピーダンス変化の分布は、同様に非対称的となる。空間パターンはまた、接触物体の曲率半径に関連する。たとえば、小さいまたは薄い物体は、接触点近傍の1つか数個のみの電極の大きなインピーダンス変化を引き起こす、皮膚の局所的な変形を生じる。鋭い角は、(流体の変位および皮膚の隆起の結果としての)高インピーダンスの電極と、低インピーダンスとの間の急激な境界を生じる。
【0052】
力ベクトル
ほとんどの物体操作タスクでは、センサ集合体1と接触物体との間の力は、センサ集合体1の表面と空間的に垂直に位置付けられているわけではない。生物的な皮膚では、せんだん力要素が、皮膚および皮下組織内にある受容器によってのみならず、特に皮膚が爪床により固定される指肉の周辺の圧力分布によってでも、感知される指尖部内の圧迫および重圧分布を変化させる。これは、上述に参照され、包含されたジャーナル記事(バーズニク、ジェンマル、グッドウィン&ヨハンソン2001)に記載されている。本触覚感知指尖部では、せんだん力が電極から離隔する方向に作用する場合、皮膚のシール部近傍の、コアのほとんどの凸部上に位置するこれらの電極は、インピーダンスの大きな上昇を検出する。そのような力は、皮膚を滑らせ、これらの電極上の流体を圧縮する。力ベクトルの垂直方向からの乖離は、一般的に、把握された物体が滑ったり回転したりする傾向に関連する[17,18]。
【0053】
例示的な実施形態では、せんだん力がこれら電極から離隔する方向に作用する場合(図4の位置hおよびiでの電極を参照)、皮膚のシール7近傍の、コア2のほとんどの凸部上に位置するそれらの電極8は、インピーダンスの大きな上昇を検出する。そのような力は、皮膚6を滑らせ、これらの電極上の流体を圧縮する。上記参照のジャーナル記事(フラナガン、バーステッド、ヨハンソン 1999;ヨハンソン&ウェストリング 1984)に記載されるように、力ベクトルの垂直方向からの乖離は、乖離が上昇する垂直力と交わったり、物体とその他の接触点での実質乖離によって対向されない限り、一般的に、把握された物体が滑ったり回転したりする傾向に関連する。
【0054】
力偏移の補助検出
発生しうる滑りの検出は、物体の効率的かつ効果的なグリップの維持に非常に重要である。ここで、物体の効率的かつ効果的なグリップの維持は、安定した把握を開始し維持するために必要とされる物体上の最小力のみを出力することが、一般的に好ましい。生物的指尖部では、発生しうる滑りは皮膚内のせんだん力分布の局所的で極めて小さい偏移によって検出される。電気インピーダンスと被覆する指肉の厚みとの間の関連性は、上述のように、本質的に高度に非線形である。たとえば、非導電性で弾性皮膚の内表面が実際に電極に触れ覆う場合、その他のどのような接触に関するインピーダンスは、急激に無限に上昇する。弾性皮膚6の内表面状へ隆起および突起のような、突出する質感要素5を取り込むことによって、皮膚がコアに対して圧縮される時、電極アレイのインピーダンス分布は、大きな変化を起こす。図4では、位置eの電極8のインピーダンス24は最上値となる。なぜなら、一質感要素5がそれを完全に覆うように、サイズ化および位置付けされるためである。一方、やや低いがしかしほぼ等しいインピーダンスが、隣接する質感要素5によって不完全に覆われる位置dおよびfでの電極によって計測される。皮膚6の小さい横方向の偏移または伸張でさえ、対応する3つ全ての質感要素5を再配置し、大きく容易に検出可能な計測されるインピーダンスパターン変化を生成する、例示的な実施形態では、システムは、実際のせんだん力または変化方向ではなく、せんだん力分布のいかなる変化の発現を検出するように構成される。そのようないかなる変化によって示唆される発生しうる滑りへの適切な反応は、上記参照のジャーナル記事(ヨハンソン&ウェストリング 1987)に記載されるように、物体へ加えられるグリップ力の上昇である。
【0055】
接触過渡現象および振動
生物的皮膚は、道具のような把握される物体とその他の物体との間で接触し離す際に発生する過渡的な機械的事象、および、質感のある物体表面上を滑る皮膚突起物の動きによって引き起こされる皮膚の振動を検出するのに有用で、皮膚変形の加速要素へ高度に敏感な、特化されたパチーニ受容器を含む。本システムの実施形態における電極のインピーダンスは、軽負荷時には非常に小さい変化のみを起こすが、電極アレイ全体に亘る電極の同期位相整合により、そのような変化を検出することが可能である。センサアレイからの微弱でノイズを含む信号の相関する要素の検出を高める様々な信号均一化技術が、従来技術において知られている。図5および6に示されるその他の方法として、指肉4内の静水圧が、充填管46へ接続された従来の圧力変換器29によって監視されうる。過渡的な機械的事象の検出は、ほとんどの物体操作の自動制御における主要要素である。そのような操作は、タスク小目標の達成を表す、個々の接触事象によって区切られる、連続的に関連付けられる動作局面について体系化される。これは、上記参照のジャーナル記事(ウェストリング&ヨハンソン 1987)に記載されている。電気信号の過渡的事象の検出およびタイミングを高める、通常使用される一信号処理技術は、電気技術者によく知られ、アナログ回路およびデジタル処理アルゴリズムによって実行されうる、時間的微分計算である。このように生成された触覚情報の利便性を高めるために、そのような技術をここに記載されるセンサから取得される信号へ適用することは、本システムの技術範囲内である。生物的触覚システムによる抽出および時間要素の使用の例は、上記参照のジャーナル記事(ヨハンソン&バーズニク 2004)に見つけられる。
【0056】
物体の硬さ/柔軟さ
図15に示されるように、センサは、わずかな変形へも劇的に反応する。前述のように、センサは、物体と接触することに関して、機械的過渡現象を検出しうる。センサが既知の速度で動くメカトロニックな指へ装着される場合、変形増加速度は、接触物体の硬さまたは柔軟さの段階を示すために使用されうる。柔軟な物体と比べると、硬い物体は、ある指速度にある変形(および電圧反応)の急上昇を引き起こす。
【0057】
さらなる特性解析
力、変形、およびインピーダンスに関するセンサの基本的な特性解析が開示されてきた。
【0058】
いくつかの情報(特に、力重心および領域)は、適切な数学的モデルに基づいて、分析的に抽出されうる。本センサアレイは、生物的指尖部に類似する特性を有する。しかし、それゆえ、本センサアレイは、生物的神経システムによって体現される非分析的信号処理方法と類似する方法を必要とするものと解される。生物的触覚センサ内の活動の時空間分布は、外部物体そのものの本質同様、センサの本来的な敏感性、それらの指尖部組織内の分布、および指が外部の物体へ加える力に複雑に依存する。同様に、本触覚センサにおいては、力の大きさおよび位置は、相互に作用する。たとえば、爪床近傍に加えられた同一の力ベクトルが、指尖部へ加えられた場合と比べて、異なる量の実質インピーダンス変化を生成する。インピーダンスの全変化は、位置補正されない限り、加えられた力の計測値として使用されない。より高い力の程度では、皮膚の内表面が電極と接触するので、位置情報は電極インピーダンスの非線形変化のため不鮮明にされる。これは、光触覚受容器の飽和と、生物的皮膚での奥行きのある接触および侵害受容器から情報を包含する必要性とに類似する。
【0059】
上述の特性解析実験は、入力ベクトル(加えられた力の位置および要素を記述する)および出力ベクトル(電極アレイのインピーダンスに関する電圧)の組合せからなる、豊富なデータ群を生成する。これらのデータは、様々なタスクについて神経ネットワークを訓練するために使用される。この方法は、様々な入力条件の判別性を決定するため、または反対に、指尖部の異なる部分へ加えられる力の大きさのような単一パラメータを一般化する能力を決定するために使用される。力強度の抽出には、複数層パーセプトロン(MLP)および放射状基礎神経ネットワークが初期において使用される。なぜなら、両者は、十分な数の神経細胞が中間層において提供される場合、いかなる非線形関連性をも近似できることが証明されたからである[21,22]。指表面の力局部化のマッピングには、コホネンネットワークもまた、適用できる[23]。2点判別は可能であろうが、皮膚厚および粘弾性に基本的に依存する。
【0060】
強化
電極および電解質の基礎的アレイに加えて、このシステムは、更なる感覚情報を提供するための強化と付加システムとが容易に適用されうる。
【0061】
振動感知を強化するためには、皮膚隆起(つまり、指紋)が、弾性体の外側へ成形しうる。ヒトの皮膚隆起は、一般的に高さ0.1mm、幅0.3〜0.5mmであり、荒い表面を感知するのに寄与する[24]。ムカイボその他は、シリコーン弾性体に覆われた硬い末節骨に含まれる触覚センサでの、この原則の成功適用例を示す[25]。それらは、皮膚隆起下のマイスナー小体によって検知される、隆起が物体表面上を通過する際の、固着−滑り現象間の質感を振動へ変換する。振動の周波数は、
【0062】
【数1】
【0063】
である。ここで、fは周波数、vは指の速度、λは隆起間の頂点から頂点への距離である。そのような小さい振幅の振動は、様々な接触インピーダンスのコヒーレントな信号を生成するが、それらの振幅は小さく、検知するのが難しい。その他、流体内の圧力全体としては、二重に栓として機能する充填管の末端上の水圧センサを組み込むことにより感知されうる。Silicon Microstructures社のSM5822のような商用センサが、この目的には理想的である。
【0064】
温度感知もまた、触覚学の一部として好ましく、いくつかの方法により組み込まれうる。塩水は、より高い温度での体積導電率を増加させる(固体抵抗の逆)。よって、インピーダンス感知の較正を調整するために、コア表面上のサーミスタを組み込む必要がある。また、電極インピーダンスの静的分布は、空間温度を反映する。コアに搭載された従来のサーミスタは、周囲の流体および皮膚の熱容量が外的物体への感度を減少させるので、熱いまたは冷たい物体と接触して、ゆっくりと反応する傾向がある。サーミスタを皮膚そのものの上に搭載する必要があるが、これは、物体との接触を安定化するために役立つ粘弾性パッドを含む、いかなる把握表面についても解決されなくてはならない問題である。物体の物質特性の触覚特性解析のために、ヒトは、体温からの熱の流れを実際に使用するので、熱されるサーミスタが必要である。
【0065】
グリップ制御のための触覚センサ
図9は、指尖部のように形成され、流体によって周囲を囲まれる硬い中心コア、そして、シリコーンの弾性「皮膚」によって被覆される、触覚センサを示す。皮膚は、磨耗に強く、生物的指尖部によってグリップを容易とする特性に類似する質感および厚みを有する。外力は皮膚および弱導電性流体を変形し、コアの湾曲した表面上に分布された電極接触アレイによって計測される電気抵抗変化を引き起こす。各々の体積導電パスのインピーダンスは、各々の接触へ交流電流を加え、その結果生じる電圧降下を参照接触と相対的に計測することによって計測されうる。図10は、皮膚が除かれたセンサコアのイメージを示す。
【0066】
i)試作品の作成および変換理論
初期の試作品は、4つの金製実働電極、および周りを囲まれた銅製グラウンド電極を有した。金製電極は、断面域の直径0.635mmを持つワイヤであり、銅製電極は、直径0.406mmを持つワイヤである。ワイヤは、機械加工されたアクリル製本体(直径13mm、半球形末端)の側壁に取り付けられ、続いてエポキシによって充填された。
【0067】
次の試作品(図11)を作成するために、我々は、形状を末節骨に似せた、宝石職人用ワックス用金型を機械加工した。個々の金のコンタクトは、0.25mmの金製ワイヤの末端を5μパリレンC絶縁体により球状へ溶解し、所望の直径および外形へ加締めすることによって形成された。接触は望まれる場合は金型の内側へあてがわれ、リード線は複数ピンの電極接続部へと半田付けされた。毛細管は、後に指尖部を流体で膨張するために、金型内で取り付けられた。金型は、液体状の歯科用アクリルで充填され、表面に電極を有する、硬い指のコアを形成するために硬化された。よって、可動部および感知要素はなく、ワイヤは、高強度(圧縮強度10〜100MPaおよび伸張強度1〜10MPa[11])の硬いコアで保護される。
【0068】
皮膚の内表面の質感化(以下参照)は、望まれる場合、硬いコアの表面を研磨することによって形成され、続いて金型から離すためのコーティングがなされうる。充填管には毛細管現象によって流体が装填され、ポリマー化された皮膚の所望の厚みを達成するために、指尖部がシリコーン中で浸漬被覆される。指尖部の背面側のコアへ皮膚を着装する、爪として機能するコアの頂点部へキャップがねじ込まれる。充填管は、所望の流体によりコアから皮膚を離れる方向に膨張させるために使用される。指尖部のメカトロニックハンドまたは機械的試験機器への搭載を容易とするために、機械的な固定構造が、金型へ取り入れられうる。
【0069】
装置の感度は、電極接触のサイズ、流体導電性、および、皮膚と加圧された流体の結合システムの粘弾性特性に、複雑に依存する。より低い粘性は、より高い感度および周波数反応を提供する。より低い導電性は、より高い感度を提供する。なぜなら、電極インピーダンスは、並んで2つの要素から構成されるからである。すなわち、本質的に一定容量である金属電解質インターフェースと、計測される可変抵抗として機能する、周辺流体および空間の体積導電率とである。
【0070】
流体はグリコール、水、塩化ナトリウム、およびエチルアルコールの混合である。塩水は導電体として機能し、グリコールは、シリコーン弾性体を通しての浸透による水損失を除去する吸湿体であり、エチルアルコールは粘性を低下させる。
【0071】
皮膚のシリコーン弾性体の選択は、通常の皮膚の機械的特性および化粧質な外観を達成することに依存する。外部物質の候補としては、Smooth−On社によるDragon Skin−Q(ショアA硬度=10および引裂強度=102lbs/inch)、および、Factor II社のVST−30(ショアA硬度=23および引裂強度=100lbs/inch)を含む。より柔軟な外側コーティングはより化粧質な見かけと触感を提供する一方、より高いデュロメータの内側コーティングは、機械的特性を最適化するために使用される。
【0072】
被覆する皮膚の厚みおよび粘弾性を調整すること、および内側表面を型付けすることは、アレイのダイナミックレンジおよび2点判別に複雑な効果を有する。指の爪のように背面に皮膚を着装し、コアの湾曲した表面上のセンサ電極を配置することにより、これらの横方向に向かい合う電極が、指尖部において加えられた法線方向の力へ選択的に反応することができる。そのような力により、生物的指尖部のように、コア上の皮膚が滑るようになり、流体をこの「爪床」の一側へ制限しもう一側へ流体を貯める。これらの現象を効果的にサンプル化するのに必要とされる電極の数および分布は、課題として残されている。
【0073】
硬いコア上に弾性皮膚を浸漬被覆する方法は、どの指での最も弱い部分の修復を容易にするという利点がある。感知電極または硬コア内のそれらを支持する電気回路に影響することなく皮膚を取り替えることが、可能であるべきである。
【0074】
ii)信号調整
単一の実働電極接触と大きい参照電極との間の電気インピーダンスは、図12の回路によってモデル化される。
【0075】
2重層容量にわたって増幅される電圧は、ファラデー電流を回避するために十分に低くなるように、電極システムを電源供給することが望ましい[12]。金属電解質接合を通るファラデー電流は、金属コンタクトの侵食および電解質の電気分解を引き起こす傾向がある。適度に高い周波数での低交流電流を採用することにより、2重層キャパシタにわたるピーク電圧が低く抑えられ、ファラデー抵抗が無視しうる。これが、電解質の電極および抵抗の両方の2重層容量を直列に保つ。本電極の単位面積あたりの容量は、10〜100μF/cm2の間である[13,14]。直径1mmの一電極接触のために、5kHzのインピーダンスは、100Ωのオーダーにある。これは、センサ抵抗率のダイナミックレンジ(以下に記載される試作品において10〜800kΩ)に比較して無視できる。対電極についてのインピーダンスはより小さくさえある。なぜなら、それはより大きく、より大きな容量さえ有するからである。
【0076】
図13の検出回路は、センサのより低インピーダンス幅の電流源として機能する、R1と直列の5kヘルツ10Vの交流電圧の正弦波によって駆動される。計測されるセンサインピーダンスのダイナミックレンジに基づいて、1MΩレジスタがR1として選択された。正弦関数信号のエンベロープ振幅が、Voutを生成するために、アクティブな整流器(オペアンプLMC6482)によって復調される。C1は、侵食および電解を回避するために、センサ電極からいかなるDCバイアスをも除去する、ブロッキングキャパシタである。フィルタR2C2のタイムコンスタントは、0.1msと選択された。これは、グリップの加重段階は、約200msより決して短くないことを示す生理学的実験に基づいている[15]。レジスタR3は、ダイオードが通電していない時、キャパシタC2を放電するように機能する。そのような電極のアレイにおいては、回路のほとんどが、各々の電極について重複されるというよりも、電気的に多重化されうる。
【0077】
iii)プローブ実験
単一電極の静的特性を決定するために、対象電極から較正された距離にあるアレイへ垂直な力が加えられる。互換性のあるプローブを改良するために、3軸マニピュレータが使用された;半径1mmの曲率を持ち直径は2mm、半径11.5mmの曲率を持ち直径は20mm、および、大きい平板(9.67cm2)。プローブは、順に、触覚アレイの曲率と比べて曲率半径が、ずっと小さいか、約等しいか、かなり大きいか、であるように選択される。撓みは、皮膚との第1接触点から記録された。垂直力は、指尖部用のクランプ下のAMTI HE6X6 6軸床反力計(図14)によって計測された。
【0078】
ここで、データは、図12に示される信号調整回路の出力を表す設計のために、実際の電極インピーダンスとして記録される。このセンサの皮膚は、およそ2mm離隔して配置された高さ0.8mmのピラミッド状突起のアレイを有する商用ラテックスの薄膜から構成される、内部質感のVST−30シリコーン弾性体の3層浸漬被覆であった。このセンサは、希薄NaCl溶液(0.75g/l;生理食塩水の12分の1の濃度)を、3.5mLを使用して膨張された。
【0079】
結果
単一電極静的特性解析
1)電極上に直接加えられた撓み
指尖部が圧縮されるに連れて、初期値の10〜100倍のレンジにわたる電極インピーダンスの、単調だが非線形な上昇が観られる(図15)。傾きは、以下に記載されるように、プローブの曲率に複雑に依存する。指尖部の反応力はまた、流体が皮膚下から変位されるに連れて(図15および16のAと印された領域)、単調におよび非線形に上昇する。そして、皮膚は、硬いコアに対して圧迫される(BおよびC領域)。これは、図15と同じ試験についての図16に示されるインピーダンスvs曲率の結果となる。興味深いことに、これらのログ関数的曲線のS字形状は、あり得る入力の広範ダイナミックレンジに亘る局所的感度を最適化するために一般的に必要とされる、多くの生物的変換器を想起させる。
【0080】
2)電極上および周囲に与えられる撓み
センサは、2mmプローブを使用する5.5mmの皮膚の撓みで、3×4グリッドにおいて、2mm増加量で体系的に検査された。近傍の変形への感度を示すために、X=7.5、Y=15mmに位置する電極周辺で行われた(図17)。
【0081】
3)回転運動への2電極反応
複数電極に亘る反応分布の粗な試験として、オシロスコープ上で複数電極からの整流およびフィルタされた信号を観察する間、試作センサがイナストマー力に敏感な抵抗上で回転された。
【0082】
図15および16に示されるように、センサ反応は、曲率半径および初期物体の接触表面積により、大きく変化するが、一般的に3つの局面からなる。皮膚の初期撓み中では、流体は皮膚とコア間から変移されるが、残された導電パス形状はプローブの形状に依存する。20mmプローブ(コアと曲率で類似)では、皮膚が電極と接触するまでの最初の2mmの撓みで、インピーダンスおよび力の漸進的な上昇がある(領域A20)。その後、質感を持つ皮膚内表面が電極を塞ぎ始めるに連れて(領域C20の平坦部)、インピーダンスおよび力は急速に上昇する(領域B20)。2mmプローブでは、漸進的に上昇する部分はより長い(A2)。なぜなら、小さいプローブがより大きなたわみ(B2)に到達するまで、プローブは皮膚の内形を変形し、電極表面全体の均一な接触を防ぐ。さらに、皮膚が小さいプローブによってさらに変形されるに連れて、流体の残留膜が存在し、飽和(C2)を防ぐ。平らなプローブの場合、平らな表面がセンサ本体の全体的な変形を引き起こしているので(Af)、4.5mmまでインピーダンスの上昇を観ることはない。プローブが流体を押下しているだけでなく、外側へも押して形状変化を引き起こすが、体積流路のインピーダンス変化はほとんどない。最終的に皮膚はコアと接触し、インピーダンスおよび力の両方の急な上昇を生成し(Bf)、そして最後には飽和する(Cf)。センサが飽和する力は、皮膚の内表面の質感および硬さ、およびこの質感を変形する単位接触面積あたりの力に依存する。
【0083】
インピーダンス、撓み(または力)、接触している物体の形状間で不明りょうさがあるように見える。物体の形状が事前に未知である場合、インピーダンスから撓みまたは力をどのように決定するのであろうか。この問題は、物体の形状のようなその他の特徴を取得するためのセンサを用いて、物体を能動的に探索することによって(まさにヒトの触覚システムが行うことだが)解決される。撓みの量およびタイミングは、物体を検査しているオペレータによって引き起こされ、そして認知される。ゆえに、形状は、時間経過とともに計測されるインピーダンスから引き出されうる。おそらく、予備知識に基づく予測および仮説(以下の物体硬度/柔らかさを参照)と反応とを比較することによってなされる。
【0084】
変形が電極周囲に発生する際のインピーダンス変化を観察し、電極近傍外側の変形を感知する性能を示す。これは、上記の平らなプローブの振舞いに関する仮説と一貫している。図17は、プローブが皮膚を対象電極の直接上方にある皮膚を撓めた時に、インピーダンスの最高値が計測されたことを示す。
【0085】
変位中心の位置および動きについての情報を解読する性能は、2つの電極についての変形を同時に観察する時に可能となる。図18に示されるように、回転運動は、両方の電極で検出される全体的な変形を引き起こす。ヒトが小さい物体を持ち上げる繊細な把握を使用する時の、ヒトの指肉の振舞いとさほど変わらない。指肉の一部は、末節骨およびその他の隆起に向けて押し込つけられる。本センサは、そのような現象を表現でき、ヒト被験者に記述されるような2点判別に関連する電気信号の空間的パターンへ、これらのような特徴をエンコードできる。これは、触覚アレイが皮膚そのものの厚みへ比肩する解像度で2点判別ができることを示唆する(しかし、依然示すまでは至らない)。
【0086】
触覚情報の使用
グリップを安定化することは、その必要性および自然な方法が熟知され始めた機能である。ローランド・ヨハンソンおよび共働者による一連の研究資料によると、グリップの安定性は、物体のサイズと形状、その質量および重量分布、および、指尖部と物体表面間の摩擦係数に影響されることが示された[26〜28]。彼らはまた、指尖部と物体表面間に発生する摩擦力が、さもなければ物体が滑らせてしまいかねない外力の小さなマージンを有するように、一般的に中枢神経系はグリップ力を調整することを示した[15,29]。この方法は、圧搾されうる繊細な物体を操作するためには十分に効率的であるが、把握された物体の感受された特性に従って、継続的な触覚感知およびグリップ力の調整を必要とする。
【0087】
各指のグリップ力は、その指のみからの感知情報、および重量分布および摩擦に関しての局所的条件に基づいて、独立に調整される。この調整の少なくともある程度は、脳というより、脊髄で反射的に調整されるように見える程急速に発生する。これは、義肢には重要である。なぜなら、オペレータへ意識的な接触認知を提供する通信チャネルが、現在そうであるように、存在しないまたは原始的である場合、触覚情報が有用な役割を果たしうることを示唆するからである。生物模倣的方法を使用するグリップの自動調整のためのアルゴリズムは、遠隔操作型および純粋にロボット的マニュピュランダムにおいても有用であろう。
【0088】
内面質感性人口皮膚
関連する米国特許出願No.11/692,718には、硬いコア表面に分布された電極を作成し、それから皮膚のような誘電性ポリマーにより浸漬被覆され、弱導電性溶液によって膨張されることによる、触覚センサアレイの作成が開示された。ある状況下では、皮膚内表面が「起伏および/または隆起」に形成されることが望ましいことも、記載された。
【0089】
皮膚内表面の質感は、センサ出力と加えられた力または変位との間の関連性を制御する際の、重要な要素である。コアおよび皮膚の両方が滑らかである場合、感知電極の計測される電気インピーダンスは急激に上昇し、そして、皮膚がコアに対して圧迫され、固い密閉シールを形成する時、飽和する傾向がある。皮膚の最内部の層を形成するために使用される物質の硬度を調節することにより、および、サイズと表面質感特性の分布とを調節することにより、我々は、センサの有用なダイナミックレンジを大幅に拡張することができる。皮膚に加えられる強まる圧力によりチャネルが徐々に圧迫されて狭められても、質感は、電極表面上の導電性流体のチャネルを残す傾向がある。よって、出力信号は、より強い力では、単調にかつ適度に変化し続ける。さらに、この関連性の詳細は、皮膚へ当該力を加えている接触物体の曲率半径、および、皮膚全体としての機械的特性にも依存する。皮膚に作用する小さい物体は、皮膚が変形されるに連れて、垂直および横方向の圧迫強度および引張強度の分散集合を生成する。このパターンは、同一程度の接触力でも大きな物体では異なる。皮膚の物体特性および内外質感特性の慎重な構成により、センサアレイが外的物体の形状、硬度、およびその他の特徴を区別する性能は最適化されうる。
【0090】
製造工程の単純さという利点を享受するには、浸漬被覆された皮膚自体に質感を持たせることが有利である。本願出願人は、以下の方法により、初期実験を認知し、試みた。
【0091】
質感の比較的に繊細で全体的にランダムなパターンが、第1皮膚層で浸漬被覆する前に、コア表面を研磨することにより形成されうる。これは、紙やすり、サンドブラスティング、やすりかけ、または当業者によって明らかなその他の方法によりなされうる。浸漬被覆された皮膚は、コアのネガを形成する。導電性流体によって満たされる際、皮膚はコアから引き離され、物体に対して元の位置に押し戻されると、正確に元の質感パターンと一致し難い。皮膚とコア間の過剰な機械的密着という結果による、指尖部を膨張する困難性を回避するために、浸漬被覆する前に金型から離れやすくする媒体により荒くされたコアを覆うことが便利である。
【0092】
より荒いが全体的にランダムな質感パターンが、質感を持たせた水溶性物質を有するコアの表面を被覆することにより、形成されうる。たとえば、質感のないコアは、所望の厚みの粘着層を形成するために、所望の分子量および粘度を有するポリビニルアルコール(PVA)溶液によって被覆されうる。砂糖のような水溶性物質の固体粒子が混ぜられおよび/または吹き付けられ、または、領域差または所望の粗さ勾配を含む、所望の粗さを有する表面を形成するために、PVA層上に配分される。被覆されたコアは、それから皮膚のようなポリマーによって浸漬被覆される。水性の導電性流体が皮膚下に注入される時、PVAおよび砂糖が溶解し、皮膚の内表面上に粗いおよび/またはスポンジのような質感を残す。この方法は、非水溶性溶液にも応用できる点を記す。ここで、唯一の要件は、質感を形成するために使用される物質は、指尖部を満たすために使用される液体に溶解することである。
【0093】
隆起する構成要素の荒いが組織的なパターンが、浸漬被覆前に、コアの表面上のこのパターンのネガをフォトグラフィー技術により形成することにより形成されうる。このパターンを形成する物質は、指尖部を満たすために使用される液体に溶解するフォトレジストであり、浸漬被覆のために使用される未硬化されるポリマーによってではない。フォトレジストは滑らかなコア上に浸漬被覆され、操作可能なレーザビームからのような光へさらされることによりパターン化される。曲率のある表面をフォトグラフィー技術によりパターン化するために、様々な方法が産業において発展してきた。コアの表面上に光学的にパターンを形成することは、皮膚の隆起する要素と感知電極の空間的分布との間の正確な登録を促すという、更なる利点を有する。この利点は、関連する係属中の特許に記載される「副尺のような」形態にとって重要となりうる。
【0094】
製造のその他の側面
我々は、機械製作工のワックスのような比較的柔軟な物質を有効に使用して、所望のコア形状の陰性金型を作製するというコア形成方法を現在使用している。金型の表面上になくてはならない部分(たとえば、電極接触および毛細管の開口)が、金型の表面上の所望の位置に圧迫して取り付けられる。電極接触は、ワイヤの末端上で玉を熔解し、所望の形状および外形に玉を加締めすることにより、金やプラチナのような絶縁されたワイヤの末端上に形成される。この方法は、元々我々が蝸牛電極の作製で使用するために改良した方法である。(ローブ,G.E.,バイヤーズ,C.L.,レブシャー,S.J.,カセイ,D.E.,フォン,M.M.,シンドラー,R.A.,グレイ,R.F.およびマーゼニック,M.M. 試験的な蝸牛人工器官の設計および形成 Med.&Biol.Engng.&Comput.21:241−254,1983;ローブ,G.E.,ペック,R.A.およびスミス,D.W. 蝸牛電極アレイの超小型形成方法 J.Neurosci.Meth.63:85:92,1995)これらの構成要素から、いかなる所望の機械的または電気的接続が、電子回路または開いた金型内の接触ピンへと形成されうる。全ての構成要素およびそれらの相互接続は、その後、構成要素近傍の金型へ注入され、所定位置で硬化されるコア物質内へ組み込まれる。現在、我々は、コアを形成するために、歯科用アクリルを使用している。この方法は、表面の曲率を変えたり、および/または電極接触の数および分布を変えたりする、異なる応用のための触覚アレイをサイズ変更するのに役立つ。
【0095】
上述の通り、指尖部そのもの内の電極のほとんどまたは全ての信号調整回路および接続を組み込むことが有利かつ可能である。これは、触覚センサからのデータを、そのデータを必要とするいかなるコントローラへも転送するように形成された電気的接続の数を大幅に減少させる。コア物質を注入しポリマー化することによりコアを形成する上記方法は、そのような信号調整回路の近傍の荒い保護的な囲いを形成するのに特に適している。そのような信号調整回路は、電極回路のための余分に大きく高価な、密封されたパッケージおよびフィードスルーへの必要性を除外する。コアのために選択された物質は、指尖部を膨張させるために選択された流体を相対的に通すべきではない。
【0096】
指尖部内流体の全体的な水圧および/または温度の計測がまた、有用であることがわかっている。圧力変換器は、さもなければ流体で指尖部を満たすために使用される、毛細管のT形鋼へ容易に組み込まれる。サーミスタ、熱電対、またはその他の温度に敏感な構成要素が、電極接触について上述のように、それらを金型の内表面へ取り付けることによって、コアの表面上へ容易に組み込まれる。温度情報は、外的物体の触覚特性のため、および、指尖部内の流体の導電性への温度による効果を補償する触覚センサそのものを較正するために使用されうる。圧力情報は、能動的な接触中に発生した皮膚の変形量についての付加的な情報を提供する。圧力センサは、適切なフィルタリングと増幅により、外的皮膚の突起を有する指尖部による質感のある表面の触覚探索を通常伴う、低振幅で高周波の振動の類に特に感度を高く形成されうる。それはまた、いくらかの流体が漏れたり拡散してなくなったりした場合、指尖部を再充填する必要があるかを監視するために使用されうる。
【0097】
信号処理的側面
アレイ内の各々のセンサ出力を同時に影響する、異なる要素を記載してきた。たとえば、皮膚圧迫のある一定の距離では、センサにより計測されるインピーダンスは、曲率半径と接触物体により加えられる力との両方に依存する。これは、それらが区別され得ないことを示唆する。実際、触覚探索中、皮膚圧迫の大きさおよび履歴は、オペレータによって制御される、指の能動的な動きに依存する。オペレータは、典型的に、おそらく異なる速さとおそらく異なる指先部分とで、プローブ動作を数回行う。その指先は、異なる部分では広範な曲率を持つ複雑な形状を有する。センサ信号の時間的パターンを観て、そしてそれらパターンを取得するためにされた実際の動作とそれらを分離することにより、オペレータは重要な情報を抽出できる。このような方法は、ヒトの触覚感覚に関する心理生理学的文献に記載されてきたが、おそらくほとんどのアレイは我々の技術により達成できた、複雑な生体模倣する振舞いを欠くため、これらは人工触覚センサアレイへ適用されてこなかったようだ。
【0098】
開示される実施形態の前述の記載は、当業者が本触覚センサシステムおよび方法を構成しまたは使用することを可能とするために提供される。これらの実施形態への様々な変更がこれら当業者にとって容易に明らかであり、ここに定義される包括的な原理が本触覚センサシステムおよび方法の思想または範囲から乖離することなくその他の実施形態へ適用される。したがって、本触覚センサシステムおよび方法は、ここに示される実施形態に限定されるものと意図されるのではなく、ここに開示される原理および新規な特徴と一貫する、最も広い範囲に一致するべきである。
【技術分野】
【0001】
関連する出願への相互参照
本特許出願は、「生体模倣触覚センサ」と題される、2007年3月28日に出願された、米国特許出願11/692,718に関連する。
【0002】
この出願はまた、「グリップ制御のための生体模倣触覚センサ」と題される、2007年3月18日に出願された、米国暫定出願番号60/939,009の出願日の利益を主張する。これら両方の出願内容は、ここに参照によって包含される。
【0003】
連邦政府によって資金援助された研究に関する声明
本発明は、高等研究計画局(DARPA)によって提供された、契約番号907959に基づく、政府の援助を伴ってなされたものである。政府当局は、本発明について、一定の権利を有する。
【0004】
[技術分野]
本出願は、一般的に、ヒトの皮膚によってもたらされる性能に匹敵する、ロボットまたは人口の指尖部からの感知フィードバック情報性能の一群を提供する、装置および方法に関する。
【背景技術】
【0005】
現在のロボットの生産技術では、ヒトの感覚的能力のほとんどを作成することができない。この限界が、産業ロボットが膨大な実質的関連性のある繊細な作業(たとえば組立作業)を行うために使用されることを妨げている。そして、さらに、この限界が、工場外作業(農業、家庭、身体障害者への補助、等)におけるロボットの発達を妨げている。ロボットの将来的な生産技術は、外界と相互作用するための現在のロボットの限界能力を大幅に高める繊細なセンサの大規模な使用によって、より一層特徴付けられる。感覚、視覚、および接近覚は、ロボットの要求される特徴として一般的に認められる、組合せまたは単独の、感覚的必須要件である。視覚パターンの認識における研究は、近年、大いに注目を浴びている。感覚認識(操作によって物体を認識する能力)は、本質的に能動的な作用である。視覚センサ(受動的で、物体から離れた位置にある)とは異なり、触覚センサは、認識されるべき物体と接触して配置されなくてはならない。さらに、そのような接触は、操作を伴う動作から最大限情報を引き出すめたに、最適に組織化されるべきである。
【0006】
手や腕の切断を余儀なくされた人は、一般的に義肢が使用される。これらの義肢は、特に物体を握ったり保持したりする指を制御するために、生物的関節に類似する関節を操作するための電気機械的作動装置を一層組み込む。最近の研究は、指尖部の軟組織中に分布された生物的触覚の受容器のアレイが、グリップ力の迅速な調整を提供するために、神経系によって通常どのように使用されるかを明らかとする。以下に記載される現在利用可能な触覚のセンサ技術における限界により、現在利用可能な義指は、ほとんどまたは全く感知能力を提供せず、これらの高度に効率的な生物的制御方法を使用することはできない。
【0007】
触覚センサは、一般的にいくつかのカテゴリーについて知られ、その構成によっていくつかの異なるカテゴリーのグループに分けられうる。最も一般的なグループは、ピエゾ抵抗、圧電、容量、および弾性抵抗構造である。これら全ての装置の共通する特徴は、特定箇所の凹凸(不均一または表面からの突起)の電気信号への変換にある。触覚センサは一般的にロボット工学の分野で使用され、特に、プログラムされた指示に従って物体を持ち上げて置くロボット、いわゆる「ピックアンドプレイス」クラスのロボットに使用される。不都合なことに、上記触覚センサ類がヒトの指が反応するのと同じように反応することが望ましいのだが、それらの多くは物体の接触について限られた情報のみを提供しうる。これは、接触された表面に示される出力を取得するための拡張回路を必要とする、多数の別個の構造または電気特性を必要とする。ロボット工学では、それらの非線形反応機構、脆い構造、多くの別個の要素を組み立てるための高コストに関連する困難性が、産業環境における上記グループの使用を制限する。較正、環境存続性、および、特に人間の行動を拡大するように意図された、モータ駆動の義手および遠隔操作型ロボットシステムに特に関連する、より制限のない環境における多くの応用について最適化する、その他の要素についての困難性がある。
【0008】
義手およびロボット操作の性能は、ヒトの手に比べるとほとんどまたは全く触覚情報を持たず、大幅に制限される。広範の技術が、ロボット工学および医学において触覚感覚の問題を解決するために適用されてきた。光学、ピエゾ抵抗、超音波、導電性ポリマー等といった変換機構の全てが、実行可能な解決をもたらしてきたが、限られた環境または応用についてのみである。たとえば、ほとんどのMEMSセンサは、好ましい解像度および感度を提供するが、実験室外の多くの応用に対しては堅牢性を欠く[1−3]。(注釈への引用については、「infra」の文言を参照。)ビーブその他は、高い伸張強度を持つ、ピエゾ抵抗性シリコンを基とするMEMSセンサを提案したが、ヒステリシスおよびせん断力を感知することができないという点が制限となった[4]。エラストマーに懸濁された導電性粒子は、変形によって抵抗が変化する弾性物質となりうる。量子トンネリング複合体(QCT)と呼ばれるそのような物質の最近の進展は、感度およびダイナミックレンジを大幅に増加させるが、機械的なヒステリシスと、温度およびガスの吸収の同時感知とが、犠牲となる[5]。
【0009】
生物的指尖部の、曲げられ変形できる性質は、自然界に遭遇する広範な物体の操作のために重要な機械的特徴を提供する。多軸力センスアレイがMEMSを使用して作成されてきたが、それらは、そのような表面への搭載や、重荷、ほこり、流体、鋭利な角、および広範な温度変化を含む環境での使用には適していない[2,3]。皮膚のように弾性のある被覆がセンサアレイ上に置かれると、それはらは、一般的に、センサの感度を抑制し、発生する刺激に関して時間的および空間的なローパスフィルタとして機能する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願の生体模倣触覚センサは、自然なヒトの皮膚を模倣する、柔軟性、弾性、およびいくつかの力学的抵抗を有する。さらに、力の方向および大きさ、物体の形状および広がり、起こりうる滑りに関する小さな動きを含む、外界の物体との接触についての様々な側面を検出および区別する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
例示的な実施形態は、操作主体と操作および認識されるべき物体との間における触覚相互作用に関する情報集合が生成される装置を含む。触覚情報は、ロボットまたは義指尖部のいずれかによって生成される。本実施形態の主な特徴は、圧力分布の漸進的変化への、非常に高い感度という利点を持つことである。
【0012】
検出され区別されるべき接触パラメータによって生成される指肉の様々な変形という利点を享受するために、本センサ装置は、コアに並べられた電極アレイを介して、インピーダンス変化の特徴的で容易に検出可能なパターンを生成する、コアおよび被覆する皮膚や指肉の生態模倣的な形状を有する。センサ集合体の全体的な生体模倣設計に起因して、特徴抽出回路によって最も容易に検出される刺激特性は、物体の安定的かつ効率的な把握を達成および維持するための接触力の自動調整に最も有用な特徴である。この方法と関連する開示されるセンサ装置の特徴は、コアの複雑な機械的外形と、被覆する皮膚の弾性および取り付け箇所と、コア表面上の電極の特定形状および配置と、少なくともいくつかの電極が、被覆する皮膚と直接接触してほぼまたは完全に被覆される使用条件と、神経ネットワークのような訓練可能なアルゴリズムを使用するそれらの電極間のインピーダンス変化の複雑な時空間的パターンからの情報抽出とを含む。
【0013】
例示的なセンサ装置はまた、基本的形態および機能がヒトの指尖部と類似するセンサ集合体を含む。義手または擬人化されたロボットマニピュランダムは、動きが作動装置によって制御される、そのような指尖部のいくつかを付属部末節で接続する。センサを備える同様なパッド状の構成が、手中骨等の先端を覆う掌の隆起のようなグリップ接触面上に具備される。1つ以上のそのようなセンサ集合体は、様々なサイズ、形状で形成され、マニピュランダム、運動支持体、および、接触センサから派生する情報に従って外界の物体および表面と相互作用しなくてはならない他の機械的装置上の様々な数および位置に設けられうる。
【0014】
本装置の一実施形態は、複数の電極間で電気インピーダンスを計測することによって機能するセンサ群から構成される。電極は、変形可能な構成を被覆することによって、外界の物体と直接接触することから保護される、十分に硬いコア上に配設される。この設計の特徴は、十分に硬いコア内に完全に包容される、電極および信号処理回路間の機械的に繊細な接続位置にある。関連する特徴としては、単純で効率的な製造および修理方法を可能とすることである。
【発明の効果】
【0015】
複数のセンサおよびそれらと関連する機械的構造は、皮膚神経レセプタ、末節骨、被覆する指肉および皮膚、爪を含む、生物的関連への類似性を有する。情報は、そのような複数のセンサから引き出される。そのような情報は、感知されるべき刺激を描写するために、および/または、ヒトが複雑な物体の安定したグリップを維持するための神経反射に類似するグリップ力の自動的調整を制御するために使用される、標準的な物理的表象に関連しうる。
【0016】
本装置の一実施形態は、ロボット工学および人口装具の応用において遭遇する、広範な垂直力およびせん断力に感度を有する生体模倣触覚センサから構成される。
【0017】
生体模倣触覚センサシステムおよび方法のその他の実施形態は、以下の詳細な説明から、当業者には容易に明白であると解される。ここでは、例示的な実施形態のみが、図示という方法によって示され、記載される。後に分るように、生体模倣触覚センサシステムおよび方法は、その他の異なる実施形態も可能とし、いくつかの詳細がその他の様々な観点において変更可能である。したがって、図および詳細な記載は、本質的に説明のためとして捉えられるべきであり、限定して捉えられるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、指表層の形状を持つ触覚センサの縦断面図である。
【図2】信号検出および処理のための電気システムの概略図を示す。
【図3】自動配線および電子回路への電極接続のための配置の断面図詳細を示す。
【図4】典型的な接触力に反応する接触センサの横断面図を示す。
【図5】可変容量感知を具備する指表層の形状を持つ触覚センサの縦断面図を示す。
【図6】可変容量感知を具備する触覚センサアレイのための信号検出の電気システムの概略図を示す。
【図7】触覚センサからのフィードバックに従ってグリップ力を調整するように訓練された神経ネットワークの概略図を示す。
【図8】触覚信号調整回路のその他の実施形態を示す。
【図9】触覚センサのその他の機械的図を示す。
【図10】皮膚を除く触覚センサコアのその他の実施形態を示す。
【図11】触覚センサの機械的構成のその他の実施形態を示す。
【図12】機能する電極、電解質、および対極の一般的な形態を示す。
【図13】1つのセンサチャネルの回路図を示す。
【図14】力測定器、操作部、および触覚センサを含む試験設定を示す。
【図15】異なる曲率を持つ3つのプローブにより加えられた、皮膚のログインピーダンス(1−1000kΩ)vs.静的撓み度を示す。3つの個別の操作領域(A、B、およびCと印されている)が各々の曲線についてあり、文字によって説明される。
【図16】図15の同じ撓みについての、皮膚表面に垂直な、ログインピーダンスvs.ログ力(0.01−100N)を示す。
【図17】電極位置に関して、インピーダンスを中心圧力の関数として示す。
【図18】オシロスコープのロール間2電極センサ出力のイメージ図を示す。
【図19】グリップ力の高速、閉ループ調整が有用となりうる物体操作タスクを実行する、サルコスロボットアームのイメージ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に続く詳細な説明は、触覚センサシステムおよび方法の例示的な実施形態の記載を意図しており、生体模倣触覚センサシステムおよび方法が実行される唯一の実施形態を表すことを意図していない。本開示を通して「例示的」の文言は、「例、事例、または例示として機能する」を意味し、必ずしもその他の実施形態より好ましいまたは有利であるとして解釈されるべきではない。詳細な説明は、触覚センサシステムおよび方法の完全な理解を提供するという目的のため、特定の詳細を含む。しかし、触覚センサシステムおよび方法が、これらの特定の詳細なしで実施されうることは、当業者には明らかである。ある事例では、よく知られる構造および装置が、触覚センサシステムおよび方法の概念を曖昧にすることを回避するために、ブロック図の形式で示される。
【0020】
以下の文献が本開示の全体を通して参照され、内容は参照によって包含される。[1]リー M.H.,ニコルズ H.R. メカトロニクスのための触覚感知−最先端調査。Mechatronics 9:1−31 1999。[2]ベッカイ L. 生物化学応用のためのハイブリッドシリコン3軸力センサの設計および創作。Sensors and Actuators A:Physical Vol.A120、no.2:370−382。2005年5月17日。[3]メイ T.その他 大きな力範囲での集積MEMS3次元触覚センサ。Sensor and Actuators 80:155−162,2000。[4]ビーブ D.,シー,デントン D.,ラドウィン R. ロボット工学および医療のためのシリコン力センサ。 Sensors and Actuators A50:55−65,1995。[5]ブロア D.,ドネリー K.,ハンズ P.J.,ラッセイ D. 特有性能を持つメタルポリマー複合体。Journal of Physics D:Applied Physics,38:2851−2860,2005。[6]バサヘリイ G.,アダム M.,バゾニイ E.,バルソニー I.,ダッソ C. 触覚センサアレイ上の弾性カバーの効果。Sensores and Actuators132:245−251,2006。[7]ヘルセル M.,ゼメル J.N.,ドミンコ V. インピーダンス断層撮影触覚センサ。Sensores and Actuators Vol.14,No.1,pp.93−98,1988。[8]ラッセル R.A.,パーキンソン S. 接触による表面形状感知。IEEEロボット工学および自動化についての国際会議。Vol.423−428,1993。[9]カネリー G.,カトコスキー M. 電気粘性流体に基づく触覚感知による指ロボット。IEEEロボット工学および自動化についての国際会議の議事録 1:132−136,1989。[10]ボイルズ R.,フェダー G.,コスラ P. 電気粘性流体ゲルに基づくモジュラー触覚センサおよび作動装置の設計。 IEEEロボット工学および自動化についての国際会議の議事録 1:132−136,1989。[11]Y.K. リー,B.S. リム,C.W. キム リン酸カルシウムに基づく歯牙充填および再生物質の機械的特性。Journal of Oral Rehabilitation 30;418−425,2003。[12]D. メリル,M. ビクソン,J. ジェフリーズ J. 興奮性組織の電気刺激:効果的かつ安全なプロトコル。Journal of Neuroscience Methods,141:171−198,2005。[13]A. ダルミア,C.C. リウ,R.F. サビネル ドーパミンの選択的検出のための酸末端基による自己集合性単一層によって改良された金電極の電気化学的性質。Journal of Electrochemistry,430:205−214,1997。[14]B. ピエラ,P. ロナ 0.5M硫酸溶液内における金電極の容量:ACインピーダンス研究。Journal of Electrochemistry,388:69−79,1994。[15]ヨハンソン R.,リソ R.,ヘイガー C.,ベックストローム L. 予測不能なけん引力下の正確なグリップの体性感覚制御。I 負荷力振幅内の変化、Experimental Brain Research89:181−191,1992。[16]バーズニーク I.,ジェンマル P.,グッドウィン A.W.,ヨハンソン R.S. ヒト触覚求心性神経による指尖部力の方向の符号化。Journal of Neuroscience.21:8222−8237,2001。[17]フラナガン J.R.,バーステッド M.K.O.,ヨハンソン R.S. 複数節操作での指尖部の力の制御。 Journal of Neurophysiology.81:1706−1717,1999。[18]ヨハンソン R.S.,ウェストリング G. より荒いまたは滑りやすい物体を持ち上げる際の正確なグリップの自動制御における、無毛皮膚受容器および感覚運動記憶の役割。 Experimental Brain Research.56:550−564,1984。[19]ヨハンソン R.S.,ウェストリング G. 正確なグリップ中の適応運動反応する指からの触覚求心性神経信号。 Experimental Brain Research.66:141−154,1987。[20]ウェストリング G.,ヨハンソン R.S. ヒトの正確なグリップ中の無毛機械受容器での反応。 Experimental Brain Research.66:128−140,1987。[21]K.ホーニク,M.スティンチクーム,H.ホワイト 複数層フィードフォワードネットワークは普遍的近似装置である。 Neural Networks,2(5):359−366,1989。[22]パーク,J.,I.サンドバーグ 近似および放射基底関数ネットワーク。 Neural Computation 5,305−316,1993。[23]コーディル,M.,バトラー,C. 神経ネットワークコンピュータ研究の理解;Volume1。Basic Networks;The MIT Press;ケンブリッジ、マサチューセッツ、1992。[24]D.ヤマダ,T.マエノ,Y.ヤマダ 握力制御のために使用される、突起および分布した触覚センサを持つ人口指皮膚。IEEE/RSJ知的ロボットおよびシステムの国際会議の議事録、pp.686−691,2001。[25]Y.ムカイボ,H.シラド,M.コニョ,T.マエノ ヒトの指組織の構造および感覚的機能をエミュレートする触感センサの発達 IEEEロボットおよび自動化の国際会議の議事録、pp.2576−2581,2005。[26]ヨハンソン R.S.,ウェストリング G. より荒く滑りやすい物体を持ち上げる際の正確なグリップの自動制御における、無毛皮膚受容器および感覚運動記憶の役割。 Experimental Brain Research.56:550−564,1984。[27]コール K.J.,ヨハンソン R. 指−物体接触面での摩擦が、けん引力に対するグリップ反応のための感覚−運動変換の尺度となる。Experimental Brain Research.95:523−532,1993。[28]ヨハンソン R.,ヘイガー C.,リソ R. 予測不能なけん引力下の正確なグリップの体性感覚制御。II 負荷力の変化、Experimental Brain Research89:192−203,1992。[29]ゴードン A.,ウェストリング G.,コール K.J.,ヨハンソン R. 汎用および新たな物体の操作中に使用される運動指令の基となる記憶表象。Journal of Neurophysiology 69;1789−1796,1993。[30]ヨハンソン R.S.,バーズニーク I. ヒト触覚求心性神経の集合の最初の急上昇が複雑な空間指尖部事象をコード化する。Nature Neuroscinence 7:170−177,2004。[31]バターファス,J.,グレベンスタイン M.,ルイ H.,ハージンガー G. DLRハンドII:次世代の器用なロボットハンド。IEEEロボットおよび自動化の国際会議の議事録、pp.109−114,2001。
【0021】
生物的感覚受容器の一般的な性質として、受容器自身およびそれらが含まれる組織が、感度、およびそれらが中枢神経系へ提供できる情報の質を向上するために設計された多くの特徴を含む点で、高度に進化した構造を持つと言える。皮膚は、物理的な物体との接触中に発生する様々な機械的事象を変換するために、複数種類の機械受容器を含む。これらの受容器は、皮膚、下層の指肉や指骨、隣接する指の爪の機械的特性によって感度が向上される、指尖部のような箇所において集中して存在する。ゼメルによる米国特許4,980,646は、ここで参照によって包含され、弱導電性流体の層によって伝えられる局所的電気抵抗の変化に基づく触覚センサを教示する。弱導電性流体の層の形状は、変形可能な膜へ加えられる外力によって変形される。ゼメルは、感知ストリップのアレイの一側に配列された電極という方法、および、隣接する電極ストリップの組間の差電圧計測による勾配の局所的強度の計測によって、流体全体にわたる電圧勾配の応用を記載する。ここで全体的に参照によって包含される、ダリオその他による米国特許4,555,953は、人口皮膚のようなセンサの構築に使用されてきた異なる技術および物質を教示する。
【0022】
これらの生物的変換器の入出力特性は、工業的変換器とは一般的に異なる。工業的変換器は、一般的に、ある一点における垂直または接線分力のような、単一の機械的変数への線形反応を生成するように設計される。そのような変換器のアレイからの信号は、総力、中心力、方向性力ベクトル、および二点解のような、接触の直交物理パラメータを抽出するための単純な分析アルゴリズムに従って組み合わされる。生物的接触受容器は、高度に非線形で非直交である。それらの信号は、物体の触覚認識に関する高度な意識的認知同様、運動出力の無意識な調整を提供する、適用性のある神経ネットワークによって組み合わせられる。神経生理学者および生理学者はしばしば、体性感覚受容器の活動を相互比較し、正規物理的パラメータに従って心理生理学的知覚表象の基準を設計する。しかし、神経系が、知覚と行動間の中間局面としてのパラメータのような、直接的な表象を実際に抽出することを示す証明はほとんどない。事実、情報理論は、そのような中間局面の表象がノイズを増加し、情報量を減少させる。そのような策略は、進化上不利に作用する。工業的センサおよびそれらの信号処理システムは、線形で直交な表象を使用する。なぜなら、下流制御システムは一般的に、そのような入力に基づいてきたからである。この策略は、高度に制約的で予測可能なタスクを正確に実行しなくてはならない産業用ロボットのような、工業的システムには好都合である。日々の生活に関連する広範で予想不能な範囲のタスクを実行しなくてはならない、擬人化ロボットおよび義肢へ適用するのは困難である。高感度でおよび/または物理的に露出された変換器を、破損または偏向するような環境(たとえば、温度、湿度、鋭利な角、等)下の環境要素により、問題はさらに複雑となる。
【0023】
本センサ装置の例示的な実施形態は、生物的システムに観られるような特徴に匹敵する特徴を有する。特に、それらセンサ装置は、指尖部に観られる構成と類似する、生体模倣の機械的構成を使用する。当該指尖部は、生物的機械受容器に観られるのと類似する、広範な様式および感度を持つ単純かつ堅牢性ある電子センサ類に寄与するものである。例示的な実施形態は、湾曲したアレイに具備される、より多数の小さい局所的な電極を装備する。当該湾曲したアレイの形状および機械的特性は、生物的指尖部と類似させている。各々の感知電極は、離れて位置する共通電極と相関するインピーダンスに基づく、被覆膜の局所的機械的変形の個別計測を提供するように電源供給される。被覆膜の内表面を形成することにより、各々の感知電極の感度およびダイナミックレンジを向上する、さらなる改良が記載される。さらに他の例示的な実施形態は、膜へ電源供給し、誘電性のある流体またはガスにより各々の感知電極への容量性カップリングを検出するという、膜の変形を検出する新規な方法を教示する。さらなる実施形態では、神経ネットワークは、ヒトの手の神経制御によって実装されるのと類似する方法で、様々な形状および力ベクトルを伴う物体の安定なグリップを維持するために必要とされる作動装置の調整を直接的に計算する。
【0024】
この例示的生体模倣感知装置の様々な側面は、以下文献に記載される構成を包含する。それら全ては、ここで参照によって全体にわたって包含される:ヨハンソン RS,ウェストリング G.(「正確なグリップにおける適応運動反応する指からの触覚求心性神経信号」 Experimental Brain Research.66:141−154,1987);ウェストリング G,ヨハンソン RS.(「ヒトの正確なグリップにおける無毛機械受容器での反応」 Experimental Brain Research.66:128−140,1987);フラナガン JR,バーステッド MKO,ヨハンソン RS.(「複数節操作での指尖部の力の制御」 Journal of Neurophysiology.81:1706−1717,1999);バーズニーク I,ジェンマル P,グッドウィン AW,ヨハンソン RS.(「ヒト触覚求心性神経による指尖部の力の方向の符号化」 Journal of Neuroscience.21:8222−8237,2001);ヨハンソン RS,バーズニーク(「ヒト触覚求心性神経の集合の最初の急上昇が複雑な空間指尖部での事象をコード化する」Nature Neuroscinence 7:170−177,2004)。
【0025】
機械的基礎
図1を参照すると、センサ集合体1は、流体、弾性またはゲル機械的特性を含む指肉4によって被覆される十分に硬いコア2からなり、シール7によってコア2に取り付けられた皮膚6によって覆われ、結果生成されるパッド12の周囲に沿って覆われる。複数の電極8が、以下に記載されるように、物体および表面との接触が感知されるコア2のそれら表面上に具備される。ゼメルの米国特許4,980,646は、本触覚センサの実施形態において実装される、その他の触覚センサの形態を記載する。
【0026】
皮膚6は、機械的特長においてヒト無毛皮膚に似た、変形可能なおよび/または弾性物質であり、磨耗に抵抗する丈夫さ、グリップを向上する質感および粘着性、および、化粧により着色可能であるという、有利な特徴を有する。以下に記載されるように、隆起、突起、および/またはその他の特徴を、皮膚の内側および/または外側表面へ取り入れることが有利である。適切な物質としては、生物工学および補綴学においてよく知られるその他多くの物質のうち、シリコーン弾性体およびポリエチレンのようなポリマーを含むがこれに限られない。好ましい実施形態では、コア2は、センサ集合体が具備される義肢またはロボットの機械的接続部分として機能しうる、ジルコニアセラミックまたはチタニウム金属のような、機械的に丈夫な物質からなる。全体的に参照によって包含される次の参照は、本触覚センサ装置および方法に使用される様々な特徴を教示する。シャーその他の米国特許6,871,395は、電子部品に電気的に導電性のある弾性体を接続することを教示し、マグヌセンその他の米国特許6,529,122は、稼動部間の接触抵抗を計測することを教示する。ヨシノその他の米国特許5,905,430は接触部分と稼動部間の接触の検出状態について、ポドロフその他の米国特許5,033,291は足圧力分布の計測のための柔軟な触覚センサについて、ハンズの米国特許5,014,224は加えられる圧力の位置および量を決定することについて、カーチンの米国特許4,817,4440は接触力および接触パターンを認識することについて、ボイその他の米国特許4,526,043は準拠した接触センサについて、オバートンの米国特許4,481,815は接触センサによって接触される物体のパラメータを決定することについて、教示する。
【0027】
例示的な一実施形態では、指肉4の物質の選択は、指肉が機械的に変形される際、その電気的導電性が指肉と接触する2つ以上の電極間で計測される抵抗が変化するほど十分に低い、変形可能で体積伝導性のある液体またはゲルとなるようにされる。適切な物質としては、イオン導電体を含む水性はたは非水性ゲル、水晶物質、およびその他当業者に明らかな物質を含む。有利なことに、指肉4は、皮膚6がシール7へ付着された後、皮膚6、コア2、および電極8間の空間へ皮下注射針によって注入されうる。これは、指肉4の厚みおよび圧力を正確に制御し、電極8または検出回路20に影響することなく皮膚6および/または指肉4を取り替えることによって、センサ集合体1を改装することを可能とする。
【0028】
感知構成要素
感知は、電極8間の電気インピーダンス変化を計測することによって達成される。電極8の、コア2の外形付けられた表面上の分布および位置が、センサ集合体1の感知特性の主要要素となる。検知回路20の一実施形態が図2に概略的に示され、以下により詳細に記載される。計測された電気インピーダンス24は、指肉4の厚みおよび電気的特性によって支配されうる。以下により詳細に記載される様々な構成のいくつかにおいては、これは、ある電極8とその他の電極または基準点との間で計測され、上記電極8および当該電極8を直近で被覆する皮膚6間の距離の逆数に一般的に依存する抵抗でもよい。この距離は、被覆する皮膚上の圧力により減少するが、粘弾性指肉4内の静水圧により上昇する。皮膚6が電極8を完全に塞ぐ場合、電気インピーダンス24が非常に大きくなり、望ましくない、接触力のさらなる増加に対して感度が低くなる。この問題は、皮膚6の内面に質感を持たせることによって対処されうる。そのような質感は、皮膚6が、以下に記載されるように浸漬被覆およびin situでのポリマー化の方法によって形成されることによって、生成されうる。この場合、コア2の表面および電極8は、所望の質感を持つ表面を生成するために浸漬被覆前に、磨耗されうる。
【0029】
センサ集合体1は、皮膚6が中心電極の集合に対して圧縮される、電極8の集合の境界付近にあるそれら電極における圧力分布の小さな変化に最大感度を有する。そのような変化は、この境界に沿ってある電極が、皮膚と電極間の小さな距離から距離ゼロにある状態間で変化することを引き起こす。そのために、抵抗は論理的に無限となる。電極8で計測されるインピーダンスが、電極8と皮膚6間の距離が減少するにつれて減少する、その他の実施形態が以下に記載される。
【0030】
各々の電極8は、電極8を含む特別に定義される指肉との接触領域を除いては、その他の電極および被覆する指肉4から電気的に絶縁される。各々の電極8は、配線10によって検出回路20へ接続される。これは、ハイブリッド微細電子回路および密封されたパッケージによって一般的に実装される、様々なフィードスルーおよびコーティングによって達成される。図1は、コア2がゼルコニアまたはアルミナセラミックのような誘電物質からなり、電極8はセラミックのレーザによって掘削された穴を介して通され、従来のワイヤボンドからなる配線10によって検出回路20へ接続される、金属性ビアからなる。図3に示されるその他の実施形態では、導電線が、配線10を形成する方法を提供するコア2の外側および/または内側上に印刷される。こうすることで、この分野でよく知られるフリップチップおよびグリッドアレイボンディングのような方法を使用して、導電性のあるフィードスルーピン9の裏側へ直接および同時に形成される複数の溶接部14を使用することによって、検出回路20が複数の電極8へ接続されうる。さらに他の実施形態では、コア2はチタニウム、アルミニウム、またはステンレススチールのような金属物質であり、そして電極8は、コア2に開けられた穴を貫通するメタルフィードスルーの外表面から構成される。電極8は、電極8間の電気的絶縁、および、指肉4の液体要素と検出回路20間の気密シールの両方を提供することができる、溶解されたグラスフリットのような誘電体物質からなるシールによって所定位置に固定される。
【0031】
電気信号処理
検出回路20は、機械的な支持および保護を提供するコア2の陥凹部内に設けられる。図2に概略的に示されるように、上記検出回路20は、電力供給21を、電極8の様々な組合せへ適用される通電信号22へ変換する。指肉4を通る電極8間の実効回路のインピーダンス24は、計測回路26によって定量化され、分析ロジック30へ通信される。指肉が電子導電体である場合、通電信号22は、直流電流または電圧でありうる。計測値は、それぞれ直流電圧または電流である。指肉4を通る体積導電路のインピーダンス24は、オームの法則によって計算されうる、その抵抗要素によって支配される。指肉4が水溶液またはゲルのようなイオン性の導電体である場合、通電信号22は、電極8上における電気分解および分極化の効果を回避するために有利である、交流電流または電圧でもよい。計測される交流電圧または電流の大きさは、体積導電路のインピーダンス24をオームの法則に従って計算するために、整流およびローパスフィルタを介することによって、求められうる。
【0032】
センサ集合体1の操作の他の1モードは、上述のように、被覆する皮膚6と接触またはほぼ接触状態にある電極8の部分集合と間のインピーダンス24の最も大きい漸増変化を生成する傾向のある、圧力分布の小さな変化を検出することである。そのような変化への検出回路20の漸増する感度は、上記2つの計測モードについて異なる。通電信号22が電圧である場合、被覆する指肉の厚みが増加する接触力によって圧縮される時、被覆する指肉の厚みが減少するにつれて、漸近的にゼロに近づく。通電信号22が電流である場合、被覆する指肉の厚みが接触方向へ圧縮されるにつれて、計測される電圧は、利用可能な電力供給のコンプライアンス電圧へ向けて、指数関数的に上昇する。これらの2つの関連性は、以下に記載されるように、分析回路のその後の特徴的アルゴリズムによる、漸増変化の検出性能についての暗示を有する。どのような信号検出でも、当業者によく知られる様々な電気的にアクティブおよびパッシブな電気的ノイズという、不可避な結末を甘受しなくてはならない。
【0033】
インピーダンス計測の1つの例示的な構成は、各々の電極8と、電極8の全てを実質的に覆う共通接触(図2でグラウンド記号によって指定される)との間にある。共通接触は、それが誘電体である場合は、コア2の表面上にフォトリソグラフィーによって印刷されるか、または、それが誘電性物質によって形成される場合は、コア2そのものである。または、共通接触は、図4に示されるように、電極8を囲うシール7へ組み込まれる導電性物質によって形成される。検出回路20への電気的スイッチを組み入れることによって、その他の多くの構成が動的に形成されうる。それらの構成には、隣接する電極8の組間の差計測、一電極8と上記スイッチによって接続されるその他全ての電極との間の計測、上記スイッチによって動的に選択される電極8の様々な組合せ間の差計測がある。
【0034】
またその他の例示的な実施形態では、指肉4は、100(オーム)(cm)程度の十分に高い抵抗を持つ体積導電体であり、皮膚6は、検出回路の「グラウンド」または参照電圧へ接続された導電体でありうる。この場合、各々の電極8と皮膚6間の電気インピーダンス24は、それら間の距離におよそ比例し、それらが実際にお互いに接触する際、およそゼロへ急降下する。指肉4、皮膚6、および関連する検出回路20のための導電性かつ誘電性物質のさらなるその他の組合せは、本システムの範囲に含まれる。
【0035】
その他の実施形態では、指肉4は誘電物質から形成され、皮膚6は、織って作られた金属織物、または、金属やカーボンを含むポリマーのような、電気的導電体である。指肉4に適した誘電物質は、空気を含むガス、ミネラルオイル、シリコーンポリマーのようなゲルを含む液体を含むが、これに限られない。本実施形態では、各々の電極8と被覆する皮膚6との間のインピーダンス24は特に、電極8と被覆する皮膚8との間の距離の逆数により上昇する値を持つキャパシタのインピーダンスである。よって、センサ集合体1の設計および性能の機械的要素は、一般的に、指肉4が導電体であり、皮膚6が誘電体である第1実施形態に類似する。キャパシタのインピーダンスは、その容量値の逆数と関連し、キャパシタに適用される電気信号の周波数の逆数と関連する。この他の実施形態では、1つ以上の電極8と皮膚6との間のインピーダンスは、それらの間に交流電流または電圧である通電信号22を適用し、そしてそれぞれ交流電圧または電流を計測することによって、容易に計測される。皮膚6が、「グラウンド」または様々な電極8と関連付けられる個々の検出回路20の全ての参照電圧へ接続されると、一般的に有利である。
【0036】
上記のその他の実施形態では、そのような導電性皮膚6は実際には電極8と接触し、それらの間のインピーダンス24は、それらの間のオーミックコンダクタンスによりおよそゼロに急激になる。それが望まれない場合、そのような接触は回避され得、それらの間の最大容量値は、導電性の皮膚の内側をポリパラキシレン(商業的商標名パリレン)のような薄く柔軟な誘電層でコーティングすることによって安定化されうる。皮膚6が織って作られた金属織物からなる場合、皮膚6の内外両側に蒸着されたパリレンのコーティングは、指肉4に使用される誘電物質が外へ漏れて、外界の物体と電気的接触することを回避するように、繊維をシールするために有利に使用されうる。
【0037】
図5および6に示されるように、さらなるその他の例示的な実施形態では、皮膚6および指肉4の変形が変化する容量として検出される。図5は、皮膚6が3層からなるセンサ集合体1の縦断面図を示す。外層6aは、化粧に適した質感を持たせた誘電物質からなる。6bは、金属を含むポリマーのような導電物質からなる。6cは、あるシリコーン弾性体のような、柔軟な誘電物質からなる薄い内層である。上記層は、コア2を心棒として使用する、示されるように段階的な深さへ連続的に浸漬被覆することによって形成される。導電性のある皮膚層6bは、図6に概略的に示されるように、共通電極8zと電気的に接触するように浸漬被覆される。コア2は、コア2から離れる方に皮膚6を膨らませる圧下で、指肉4を導入するために使用される毛細管46が配設される。選択的に、充填管46は、たとえば質感のある物体上で、皮膚6aの質感を持たせた外表面が滑ることによる振動によって引き起こされる、指肉4内の小さい、高周波数である圧力変化を検出するために特に有用となる、圧力変換器29へ接続されうる。皮膚の基部側の境界では、皮膚6は、指肉4から圧力をかけられ物質の損失を回避するために、コア2に対してOリング48によって保持される。有利なことに、コア2は、検出回路20、電極8および9の内表面への配線10、およびその他の所望の要素を設置するためのアクセスを提供する、取外し可能な部位2aを有する。選択的に、コア2の取外し可能な部位2aは、伸張部42を具備する。当該伸張部42を介して、指の爪40が保持部44によって皮膚6に対して圧縮されうる。この構成は、向上した化粧法を提供し、指の爪40の境界付近にある電極8aのような電極の特化された感度へ貢献する。
【0038】
図5に示される可変容量感知センサ集合体1の使用のために、検出回路20は、図6に示される電気的概念図に従って構成される。通電信号22は、共通電極8zすなわち導電性皮膚層6bへ適用されるAC電圧である。各々の感知電極8a、b・・・と導電性皮膚層6bとの間の容量は、それらの要素間の誘電性指肉4の厚みが、接触力に反応して変化するにつれて変化する、電気インピーダンス24を構成する。通電信号22の電圧の小さな乱れは、検出回路20によって、感知電極8a、b・・・のそれぞれ上に検出される。全ての感知電極、圧力変換器、および組み込まれたその他のセンサ(たとえば、温度センサ)からのデータは、結合され、マルチプレクサ28によって直列下され、分析ロジック30へ転送される。
【0039】
信号調整回路
触覚センサアレイが位置する指尖部への、メカトロニックなハンドのための制御システムから形成されなくてはならない電気的接続の数を減少させることも、有用である。これは、各々の電極接触から発生するデータを、デジタルビットのシリアルストリームへ多重送信することによってなされうる。電極接触、アナログ信号調整およびデジタル化用に電源供給するために必要とされる回路は、様々な電極、その他の変換器、およびそれらの電気的接続と並んで、物理的に指尖部に配置される。通常これは、多くの異なる能動回路またはカスタムデザインのICを必要とする。例示的な実施形態では、単純な回路は、ベアダイとして調達され、触覚センサアレイを含む様々な電極への直接接続のためのハイブリッド回路上へ組み込まれるICを含む、既製品から形成されうる。
【0040】
上述のように、生体模倣触覚センサ(TAC)は、電極接触が上に設けられる硬いコアと皮膚のような柔軟な囲いとの間に閉じ込められる、弱導電性流体と接触する複数の電極と関連付けられる電気インピーダンスの動的変化の計測に基づく。その他の実施形態において、電極が金またはプラチナのような不活性な金属であり、流体が塩化ナトリウムまたは水に含まれるその他の塩の低濃度溶液である場合、インピーダンスは概ね抵抗性の流体と直列に、概ね容量性金属電解質の中間体から構成される。
【0041】
皮膚の変形は、形状、つまり感知電極と参照電極との間の流体通路の抵抗を変化させることによってインピーダンスを変化させる。センサアレイの構成、および皮膚へ加重された力の量および分布に依存して、これは1kオームから1Mオームにわたる。
【0042】
分極、電気分解、および/または電極の腐食を回避するために、実質的な直流要素のない交流電流のみを適用することが理想的である。インピーダンスは、そのように制御された交流電流による電極を介して誘発された電圧波形の振幅から計測されうる。このAC通電のための有用な周波数は、一般的に、5〜100kヘルツの範囲内である。
【0043】
各々の電極からの出力信号の広範なダイナミックレンジのため、典型的に12〜16ビット/サンプルである高解像度の電圧波形の振幅をデジタル化することが好ましい。典型的なセンサアレイは、およそ20〜100の接触を持ち、その全てが、典型的で能動的な、触覚感覚についての指の探索動作に関連付けられるインピーダンスの時間的変化を検出するために、十分に高いレートでサンプル化される。
【0044】
図8に示される好ましい実施形態では、その他の実施形態において、32の感知電極は、たとえば、38,400ビット/秒の集合データ速度となる、毎秒100フレームの12ビット精度でサンプル化されなくてはならないと想定された。これらの値は、従来の多重送信化およびデジタル化回路によって達成できる。そのような回路は、動作するためにデジタルクロック信号を必要とする。遂次近似によって動作するアナログ−デジタル変換器(ADC)は、一般的に1ビットの変換につき1クロックサイクルを必要とするので、クロック信号は、電極接触の通電および計測のために適した周波数を有する。各々の変換されたビットは、即座に転送され、単一出力線上にシリアルコードを生成する。連続的に並べられた電極へ検出回路を切り替えるマルチプレクサ(MPX)は、各々の変換が終了すると次の電極へ移行し、ADCはその直後次の変換のためにアナログ値をサンプルアンドホールドする。これらの動作の両方が、クロック信号と同期して発生する。
【0045】
好ましい実施形態では、単一の方形波が、ADCをクロックし、そして電極へ通電するための電流波形を生成するために使用される、外部回路から供給される。図8に示されるように、適切にクロックエッジおよび様々な移行フェーズを調整することによって、2つの能動回路機能(MPXおよびADC)および4つの外部線(Data、Clk、VssおよびGd)のみを使用する、信号調整、サンプリング、デジタル化、直列化、および同期化の全てを実行することを可能とする。特に、Vssは、能動回路機能へ電力供給し、連続するインピーダンス計測およびシリアルデータ転送のフレームのスタートを命令する同期パルスを提供するために使用される。Clkは、ADC操作のためのクロックとして使用されうる方形波からなり、MPXの共通極へ接続する抵抗およびキャパシタによってゼロバイアスで交流電流源へ変換される。
【0046】
特徴抽出
コア2の外形、被覆する指肉4、および皮膚6と関連して、電極8の位置付けは、センサ集合体1が様々な力ベクトルで様々な物体および表面と接触する際、検出回路20によって計測される様々なインピーダンス24の変化の、明確なパターンを引き起こす。分析ロジック30は、そのように検出されたパターンに従って、接触の本質についての推測をする、特徴抽出アルゴリズムを組み込む。どの特定の刺激パラメータの異なる状況がセンサ集合体1を構成する電極アレイを影響するのかを認定することは、有用である。そのような影響が結果としてセンサ要素の全てにわたる十分に明確な出力パターンとなる場合、接触される物体の特徴および接触力の時空間分布という観点における接触状態の本質を認識するための、神経系に具現されるのと同様に機能する神経ネットワークとして知られるアルゴリズムを具備できる。つまり、神経ネットワークは、区別されなくてはならないいかなる刺激の、これら特徴に有用な方法により反応するように学習することによって訓練されうる。図7は、センサ集合体1からのシリアル化されたセンサデータが、神経ネットワーク34の入力層へデータを提供する入力デマルチプレクサ32から構成される分析ロジック30によって処理される構成を示す。出力層36は、制御信号37a−cを、メカニカルハンド39の関節を操作する作動装置38へ提供する。メカニカルハンド39の動作は、指と把握されるべき外的物体との間の接触力の変化を引き起こし、結果センサ集合体1からの信号の変化となる。神経ネットワーク34は、中間層内で利得として具現される入出力信号間の、接続マトリックスから構成される。神経ネットワーク34は、メカニカルハンド39の反応と同様の状況下で同様の物体を操作する通常の人の手の観察結果についてのデータセットとの間の比較に由来する訓練信号35に従って、それらの利得を反復的かつ組織的に調整することによって、入出力信号間の所望の変換を生成するように訓練される。
【0047】
以下は、電気インピーダンス24上のこれら効果が、様々な電極8間で計測される刺激特性、および、上記分析ロジック30へ組み込まれまたは訓練される、関連する特徴抽出アルゴリズムの例示的なリストである。これらの例は、全て第1の例示的な実施形態に関連して記載される。ここで、指肉4は若干抵抗性である体積導電体であり、皮膚6は誘電体であるが、同様の特徴抽出アルゴリズムが、当業者に明白な上記様々な実施形態についてのセンサ集合体によって計測されうるインピーダンスの時空間的パターンへ適用される。ほとんどは、図1に示される軸A−Aに沿った断面図である、図4を参照して示される。これは、複数の電極および関連する回路を潜在的に含みうる、そのような多くの平行断面図のうちのただ1つを示す。電気インピーダンス24の変化は、図1〜4に示される第1実施形態の文脈において記載される。図1〜4には、皮膚6と電極8a、b、・・・との間の間隔の減少が、電気インピーダンス24の増加となる。その他の実施形態では、間隔変化は、検出回路20の変形による刺激特性、および当業者にとって明白である分析回路30に関連しうる、電気インピーダンス24の異なるしかし検出可能な変化を引き起こす。
【0048】
接触力
センサ集合体1の中心領域上での総力が増加するに連れて、指肉4は、皮膚6と位置aおよびbの電極8との間の空間を増加させる周辺ノートのシール7近傍領域へ、横方向へ押しつぶされる。センサ集合体1の圧迫された中心領域の電極8を覆う指肉4はより薄くなり、それらの電極と関連するインピーダンス計測が、皮膚6と位置d、eおよびfの電極8との間の減少された空間のハイノートとなることを引き起こす。全てのそのようなインピーダンスの合計は接触力の総力に関連し、合計は、電極が皮膚へ値が近づくに連れてインピーダンスの非線形的な増加が優位となる。
【0049】
重心および力範囲
上述の接触力計測に関連するインピーダンスの増加は、力の中心がセンサ集合体の表面状のどこにあるかと、接触物体の曲率半径とを予測するアレイ電極8の位置に関連しうる。たとえば、鋭い物体は、接触点に近い1つか数個の電極のみに大きなインピーダンス変化を引き起こす、皮膚の局部的な変形を生じる。指肉4が圧縮不可能な物質である場合、1つ以上の電極8上の厚みのいかなる減少も、接触領域から離隔してあるその他の電極8上の厚みの急激な増加を伴う。
【0050】
力の偏心
接触物体が放射方向に対称的でない場合、電極により検出されるインピーダンス変化の分布は、同様に非対称的となる。この非対称性が、接触物体の形状についての予測をするために検出されうる。
【0051】
外的物体の形状
接触物体が放射方向に対称的でない場合、電極によって検出されるインピーダンス変化の分布は、同様に非対称的となる。空間パターンはまた、接触物体の曲率半径に関連する。たとえば、小さいまたは薄い物体は、接触点近傍の1つか数個のみの電極の大きなインピーダンス変化を引き起こす、皮膚の局所的な変形を生じる。鋭い角は、(流体の変位および皮膚の隆起の結果としての)高インピーダンスの電極と、低インピーダンスとの間の急激な境界を生じる。
【0052】
力ベクトル
ほとんどの物体操作タスクでは、センサ集合体1と接触物体との間の力は、センサ集合体1の表面と空間的に垂直に位置付けられているわけではない。生物的な皮膚では、せんだん力要素が、皮膚および皮下組織内にある受容器によってのみならず、特に皮膚が爪床により固定される指肉の周辺の圧力分布によってでも、感知される指尖部内の圧迫および重圧分布を変化させる。これは、上述に参照され、包含されたジャーナル記事(バーズニク、ジェンマル、グッドウィン&ヨハンソン2001)に記載されている。本触覚感知指尖部では、せんだん力が電極から離隔する方向に作用する場合、皮膚のシール部近傍の、コアのほとんどの凸部上に位置するこれらの電極は、インピーダンスの大きな上昇を検出する。そのような力は、皮膚を滑らせ、これらの電極上の流体を圧縮する。力ベクトルの垂直方向からの乖離は、一般的に、把握された物体が滑ったり回転したりする傾向に関連する[17,18]。
【0053】
例示的な実施形態では、せんだん力がこれら電極から離隔する方向に作用する場合(図4の位置hおよびiでの電極を参照)、皮膚のシール7近傍の、コア2のほとんどの凸部上に位置するそれらの電極8は、インピーダンスの大きな上昇を検出する。そのような力は、皮膚6を滑らせ、これらの電極上の流体を圧縮する。上記参照のジャーナル記事(フラナガン、バーステッド、ヨハンソン 1999;ヨハンソン&ウェストリング 1984)に記載されるように、力ベクトルの垂直方向からの乖離は、乖離が上昇する垂直力と交わったり、物体とその他の接触点での実質乖離によって対向されない限り、一般的に、把握された物体が滑ったり回転したりする傾向に関連する。
【0054】
力偏移の補助検出
発生しうる滑りの検出は、物体の効率的かつ効果的なグリップの維持に非常に重要である。ここで、物体の効率的かつ効果的なグリップの維持は、安定した把握を開始し維持するために必要とされる物体上の最小力のみを出力することが、一般的に好ましい。生物的指尖部では、発生しうる滑りは皮膚内のせんだん力分布の局所的で極めて小さい偏移によって検出される。電気インピーダンスと被覆する指肉の厚みとの間の関連性は、上述のように、本質的に高度に非線形である。たとえば、非導電性で弾性皮膚の内表面が実際に電極に触れ覆う場合、その他のどのような接触に関するインピーダンスは、急激に無限に上昇する。弾性皮膚6の内表面状へ隆起および突起のような、突出する質感要素5を取り込むことによって、皮膚がコアに対して圧縮される時、電極アレイのインピーダンス分布は、大きな変化を起こす。図4では、位置eの電極8のインピーダンス24は最上値となる。なぜなら、一質感要素5がそれを完全に覆うように、サイズ化および位置付けされるためである。一方、やや低いがしかしほぼ等しいインピーダンスが、隣接する質感要素5によって不完全に覆われる位置dおよびfでの電極によって計測される。皮膚6の小さい横方向の偏移または伸張でさえ、対応する3つ全ての質感要素5を再配置し、大きく容易に検出可能な計測されるインピーダンスパターン変化を生成する、例示的な実施形態では、システムは、実際のせんだん力または変化方向ではなく、せんだん力分布のいかなる変化の発現を検出するように構成される。そのようないかなる変化によって示唆される発生しうる滑りへの適切な反応は、上記参照のジャーナル記事(ヨハンソン&ウェストリング 1987)に記載されるように、物体へ加えられるグリップ力の上昇である。
【0055】
接触過渡現象および振動
生物的皮膚は、道具のような把握される物体とその他の物体との間で接触し離す際に発生する過渡的な機械的事象、および、質感のある物体表面上を滑る皮膚突起物の動きによって引き起こされる皮膚の振動を検出するのに有用で、皮膚変形の加速要素へ高度に敏感な、特化されたパチーニ受容器を含む。本システムの実施形態における電極のインピーダンスは、軽負荷時には非常に小さい変化のみを起こすが、電極アレイ全体に亘る電極の同期位相整合により、そのような変化を検出することが可能である。センサアレイからの微弱でノイズを含む信号の相関する要素の検出を高める様々な信号均一化技術が、従来技術において知られている。図5および6に示されるその他の方法として、指肉4内の静水圧が、充填管46へ接続された従来の圧力変換器29によって監視されうる。過渡的な機械的事象の検出は、ほとんどの物体操作の自動制御における主要要素である。そのような操作は、タスク小目標の達成を表す、個々の接触事象によって区切られる、連続的に関連付けられる動作局面について体系化される。これは、上記参照のジャーナル記事(ウェストリング&ヨハンソン 1987)に記載されている。電気信号の過渡的事象の検出およびタイミングを高める、通常使用される一信号処理技術は、電気技術者によく知られ、アナログ回路およびデジタル処理アルゴリズムによって実行されうる、時間的微分計算である。このように生成された触覚情報の利便性を高めるために、そのような技術をここに記載されるセンサから取得される信号へ適用することは、本システムの技術範囲内である。生物的触覚システムによる抽出および時間要素の使用の例は、上記参照のジャーナル記事(ヨハンソン&バーズニク 2004)に見つけられる。
【0056】
物体の硬さ/柔軟さ
図15に示されるように、センサは、わずかな変形へも劇的に反応する。前述のように、センサは、物体と接触することに関して、機械的過渡現象を検出しうる。センサが既知の速度で動くメカトロニックな指へ装着される場合、変形増加速度は、接触物体の硬さまたは柔軟さの段階を示すために使用されうる。柔軟な物体と比べると、硬い物体は、ある指速度にある変形(および電圧反応)の急上昇を引き起こす。
【0057】
さらなる特性解析
力、変形、およびインピーダンスに関するセンサの基本的な特性解析が開示されてきた。
【0058】
いくつかの情報(特に、力重心および領域)は、適切な数学的モデルに基づいて、分析的に抽出されうる。本センサアレイは、生物的指尖部に類似する特性を有する。しかし、それゆえ、本センサアレイは、生物的神経システムによって体現される非分析的信号処理方法と類似する方法を必要とするものと解される。生物的触覚センサ内の活動の時空間分布は、外部物体そのものの本質同様、センサの本来的な敏感性、それらの指尖部組織内の分布、および指が外部の物体へ加える力に複雑に依存する。同様に、本触覚センサにおいては、力の大きさおよび位置は、相互に作用する。たとえば、爪床近傍に加えられた同一の力ベクトルが、指尖部へ加えられた場合と比べて、異なる量の実質インピーダンス変化を生成する。インピーダンスの全変化は、位置補正されない限り、加えられた力の計測値として使用されない。より高い力の程度では、皮膚の内表面が電極と接触するので、位置情報は電極インピーダンスの非線形変化のため不鮮明にされる。これは、光触覚受容器の飽和と、生物的皮膚での奥行きのある接触および侵害受容器から情報を包含する必要性とに類似する。
【0059】
上述の特性解析実験は、入力ベクトル(加えられた力の位置および要素を記述する)および出力ベクトル(電極アレイのインピーダンスに関する電圧)の組合せからなる、豊富なデータ群を生成する。これらのデータは、様々なタスクについて神経ネットワークを訓練するために使用される。この方法は、様々な入力条件の判別性を決定するため、または反対に、指尖部の異なる部分へ加えられる力の大きさのような単一パラメータを一般化する能力を決定するために使用される。力強度の抽出には、複数層パーセプトロン(MLP)および放射状基礎神経ネットワークが初期において使用される。なぜなら、両者は、十分な数の神経細胞が中間層において提供される場合、いかなる非線形関連性をも近似できることが証明されたからである[21,22]。指表面の力局部化のマッピングには、コホネンネットワークもまた、適用できる[23]。2点判別は可能であろうが、皮膚厚および粘弾性に基本的に依存する。
【0060】
強化
電極および電解質の基礎的アレイに加えて、このシステムは、更なる感覚情報を提供するための強化と付加システムとが容易に適用されうる。
【0061】
振動感知を強化するためには、皮膚隆起(つまり、指紋)が、弾性体の外側へ成形しうる。ヒトの皮膚隆起は、一般的に高さ0.1mm、幅0.3〜0.5mmであり、荒い表面を感知するのに寄与する[24]。ムカイボその他は、シリコーン弾性体に覆われた硬い末節骨に含まれる触覚センサでの、この原則の成功適用例を示す[25]。それらは、皮膚隆起下のマイスナー小体によって検知される、隆起が物体表面上を通過する際の、固着−滑り現象間の質感を振動へ変換する。振動の周波数は、
【0062】
【数1】
【0063】
である。ここで、fは周波数、vは指の速度、λは隆起間の頂点から頂点への距離である。そのような小さい振幅の振動は、様々な接触インピーダンスのコヒーレントな信号を生成するが、それらの振幅は小さく、検知するのが難しい。その他、流体内の圧力全体としては、二重に栓として機能する充填管の末端上の水圧センサを組み込むことにより感知されうる。Silicon Microstructures社のSM5822のような商用センサが、この目的には理想的である。
【0064】
温度感知もまた、触覚学の一部として好ましく、いくつかの方法により組み込まれうる。塩水は、より高い温度での体積導電率を増加させる(固体抵抗の逆)。よって、インピーダンス感知の較正を調整するために、コア表面上のサーミスタを組み込む必要がある。また、電極インピーダンスの静的分布は、空間温度を反映する。コアに搭載された従来のサーミスタは、周囲の流体および皮膚の熱容量が外的物体への感度を減少させるので、熱いまたは冷たい物体と接触して、ゆっくりと反応する傾向がある。サーミスタを皮膚そのものの上に搭載する必要があるが、これは、物体との接触を安定化するために役立つ粘弾性パッドを含む、いかなる把握表面についても解決されなくてはならない問題である。物体の物質特性の触覚特性解析のために、ヒトは、体温からの熱の流れを実際に使用するので、熱されるサーミスタが必要である。
【0065】
グリップ制御のための触覚センサ
図9は、指尖部のように形成され、流体によって周囲を囲まれる硬い中心コア、そして、シリコーンの弾性「皮膚」によって被覆される、触覚センサを示す。皮膚は、磨耗に強く、生物的指尖部によってグリップを容易とする特性に類似する質感および厚みを有する。外力は皮膚および弱導電性流体を変形し、コアの湾曲した表面上に分布された電極接触アレイによって計測される電気抵抗変化を引き起こす。各々の体積導電パスのインピーダンスは、各々の接触へ交流電流を加え、その結果生じる電圧降下を参照接触と相対的に計測することによって計測されうる。図10は、皮膚が除かれたセンサコアのイメージを示す。
【0066】
i)試作品の作成および変換理論
初期の試作品は、4つの金製実働電極、および周りを囲まれた銅製グラウンド電極を有した。金製電極は、断面域の直径0.635mmを持つワイヤであり、銅製電極は、直径0.406mmを持つワイヤである。ワイヤは、機械加工されたアクリル製本体(直径13mm、半球形末端)の側壁に取り付けられ、続いてエポキシによって充填された。
【0067】
次の試作品(図11)を作成するために、我々は、形状を末節骨に似せた、宝石職人用ワックス用金型を機械加工した。個々の金のコンタクトは、0.25mmの金製ワイヤの末端を5μパリレンC絶縁体により球状へ溶解し、所望の直径および外形へ加締めすることによって形成された。接触は望まれる場合は金型の内側へあてがわれ、リード線は複数ピンの電極接続部へと半田付けされた。毛細管は、後に指尖部を流体で膨張するために、金型内で取り付けられた。金型は、液体状の歯科用アクリルで充填され、表面に電極を有する、硬い指のコアを形成するために硬化された。よって、可動部および感知要素はなく、ワイヤは、高強度(圧縮強度10〜100MPaおよび伸張強度1〜10MPa[11])の硬いコアで保護される。
【0068】
皮膚の内表面の質感化(以下参照)は、望まれる場合、硬いコアの表面を研磨することによって形成され、続いて金型から離すためのコーティングがなされうる。充填管には毛細管現象によって流体が装填され、ポリマー化された皮膚の所望の厚みを達成するために、指尖部がシリコーン中で浸漬被覆される。指尖部の背面側のコアへ皮膚を着装する、爪として機能するコアの頂点部へキャップがねじ込まれる。充填管は、所望の流体によりコアから皮膚を離れる方向に膨張させるために使用される。指尖部のメカトロニックハンドまたは機械的試験機器への搭載を容易とするために、機械的な固定構造が、金型へ取り入れられうる。
【0069】
装置の感度は、電極接触のサイズ、流体導電性、および、皮膚と加圧された流体の結合システムの粘弾性特性に、複雑に依存する。より低い粘性は、より高い感度および周波数反応を提供する。より低い導電性は、より高い感度を提供する。なぜなら、電極インピーダンスは、並んで2つの要素から構成されるからである。すなわち、本質的に一定容量である金属電解質インターフェースと、計測される可変抵抗として機能する、周辺流体および空間の体積導電率とである。
【0070】
流体はグリコール、水、塩化ナトリウム、およびエチルアルコールの混合である。塩水は導電体として機能し、グリコールは、シリコーン弾性体を通しての浸透による水損失を除去する吸湿体であり、エチルアルコールは粘性を低下させる。
【0071】
皮膚のシリコーン弾性体の選択は、通常の皮膚の機械的特性および化粧質な外観を達成することに依存する。外部物質の候補としては、Smooth−On社によるDragon Skin−Q(ショアA硬度=10および引裂強度=102lbs/inch)、および、Factor II社のVST−30(ショアA硬度=23および引裂強度=100lbs/inch)を含む。より柔軟な外側コーティングはより化粧質な見かけと触感を提供する一方、より高いデュロメータの内側コーティングは、機械的特性を最適化するために使用される。
【0072】
被覆する皮膚の厚みおよび粘弾性を調整すること、および内側表面を型付けすることは、アレイのダイナミックレンジおよび2点判別に複雑な効果を有する。指の爪のように背面に皮膚を着装し、コアの湾曲した表面上のセンサ電極を配置することにより、これらの横方向に向かい合う電極が、指尖部において加えられた法線方向の力へ選択的に反応することができる。そのような力により、生物的指尖部のように、コア上の皮膚が滑るようになり、流体をこの「爪床」の一側へ制限しもう一側へ流体を貯める。これらの現象を効果的にサンプル化するのに必要とされる電極の数および分布は、課題として残されている。
【0073】
硬いコア上に弾性皮膚を浸漬被覆する方法は、どの指での最も弱い部分の修復を容易にするという利点がある。感知電極または硬コア内のそれらを支持する電気回路に影響することなく皮膚を取り替えることが、可能であるべきである。
【0074】
ii)信号調整
単一の実働電極接触と大きい参照電極との間の電気インピーダンスは、図12の回路によってモデル化される。
【0075】
2重層容量にわたって増幅される電圧は、ファラデー電流を回避するために十分に低くなるように、電極システムを電源供給することが望ましい[12]。金属電解質接合を通るファラデー電流は、金属コンタクトの侵食および電解質の電気分解を引き起こす傾向がある。適度に高い周波数での低交流電流を採用することにより、2重層キャパシタにわたるピーク電圧が低く抑えられ、ファラデー抵抗が無視しうる。これが、電解質の電極および抵抗の両方の2重層容量を直列に保つ。本電極の単位面積あたりの容量は、10〜100μF/cm2の間である[13,14]。直径1mmの一電極接触のために、5kHzのインピーダンスは、100Ωのオーダーにある。これは、センサ抵抗率のダイナミックレンジ(以下に記載される試作品において10〜800kΩ)に比較して無視できる。対電極についてのインピーダンスはより小さくさえある。なぜなら、それはより大きく、より大きな容量さえ有するからである。
【0076】
図13の検出回路は、センサのより低インピーダンス幅の電流源として機能する、R1と直列の5kヘルツ10Vの交流電圧の正弦波によって駆動される。計測されるセンサインピーダンスのダイナミックレンジに基づいて、1MΩレジスタがR1として選択された。正弦関数信号のエンベロープ振幅が、Voutを生成するために、アクティブな整流器(オペアンプLMC6482)によって復調される。C1は、侵食および電解を回避するために、センサ電極からいかなるDCバイアスをも除去する、ブロッキングキャパシタである。フィルタR2C2のタイムコンスタントは、0.1msと選択された。これは、グリップの加重段階は、約200msより決して短くないことを示す生理学的実験に基づいている[15]。レジスタR3は、ダイオードが通電していない時、キャパシタC2を放電するように機能する。そのような電極のアレイにおいては、回路のほとんどが、各々の電極について重複されるというよりも、電気的に多重化されうる。
【0077】
iii)プローブ実験
単一電極の静的特性を決定するために、対象電極から較正された距離にあるアレイへ垂直な力が加えられる。互換性のあるプローブを改良するために、3軸マニピュレータが使用された;半径1mmの曲率を持ち直径は2mm、半径11.5mmの曲率を持ち直径は20mm、および、大きい平板(9.67cm2)。プローブは、順に、触覚アレイの曲率と比べて曲率半径が、ずっと小さいか、約等しいか、かなり大きいか、であるように選択される。撓みは、皮膚との第1接触点から記録された。垂直力は、指尖部用のクランプ下のAMTI HE6X6 6軸床反力計(図14)によって計測された。
【0078】
ここで、データは、図12に示される信号調整回路の出力を表す設計のために、実際の電極インピーダンスとして記録される。このセンサの皮膚は、およそ2mm離隔して配置された高さ0.8mmのピラミッド状突起のアレイを有する商用ラテックスの薄膜から構成される、内部質感のVST−30シリコーン弾性体の3層浸漬被覆であった。このセンサは、希薄NaCl溶液(0.75g/l;生理食塩水の12分の1の濃度)を、3.5mLを使用して膨張された。
【0079】
結果
単一電極静的特性解析
1)電極上に直接加えられた撓み
指尖部が圧縮されるに連れて、初期値の10〜100倍のレンジにわたる電極インピーダンスの、単調だが非線形な上昇が観られる(図15)。傾きは、以下に記載されるように、プローブの曲率に複雑に依存する。指尖部の反応力はまた、流体が皮膚下から変位されるに連れて(図15および16のAと印された領域)、単調におよび非線形に上昇する。そして、皮膚は、硬いコアに対して圧迫される(BおよびC領域)。これは、図15と同じ試験についての図16に示されるインピーダンスvs曲率の結果となる。興味深いことに、これらのログ関数的曲線のS字形状は、あり得る入力の広範ダイナミックレンジに亘る局所的感度を最適化するために一般的に必要とされる、多くの生物的変換器を想起させる。
【0080】
2)電極上および周囲に与えられる撓み
センサは、2mmプローブを使用する5.5mmの皮膚の撓みで、3×4グリッドにおいて、2mm増加量で体系的に検査された。近傍の変形への感度を示すために、X=7.5、Y=15mmに位置する電極周辺で行われた(図17)。
【0081】
3)回転運動への2電極反応
複数電極に亘る反応分布の粗な試験として、オシロスコープ上で複数電極からの整流およびフィルタされた信号を観察する間、試作センサがイナストマー力に敏感な抵抗上で回転された。
【0082】
図15および16に示されるように、センサ反応は、曲率半径および初期物体の接触表面積により、大きく変化するが、一般的に3つの局面からなる。皮膚の初期撓み中では、流体は皮膚とコア間から変移されるが、残された導電パス形状はプローブの形状に依存する。20mmプローブ(コアと曲率で類似)では、皮膚が電極と接触するまでの最初の2mmの撓みで、インピーダンスおよび力の漸進的な上昇がある(領域A20)。その後、質感を持つ皮膚内表面が電極を塞ぎ始めるに連れて(領域C20の平坦部)、インピーダンスおよび力は急速に上昇する(領域B20)。2mmプローブでは、漸進的に上昇する部分はより長い(A2)。なぜなら、小さいプローブがより大きなたわみ(B2)に到達するまで、プローブは皮膚の内形を変形し、電極表面全体の均一な接触を防ぐ。さらに、皮膚が小さいプローブによってさらに変形されるに連れて、流体の残留膜が存在し、飽和(C2)を防ぐ。平らなプローブの場合、平らな表面がセンサ本体の全体的な変形を引き起こしているので(Af)、4.5mmまでインピーダンスの上昇を観ることはない。プローブが流体を押下しているだけでなく、外側へも押して形状変化を引き起こすが、体積流路のインピーダンス変化はほとんどない。最終的に皮膚はコアと接触し、インピーダンスおよび力の両方の急な上昇を生成し(Bf)、そして最後には飽和する(Cf)。センサが飽和する力は、皮膚の内表面の質感および硬さ、およびこの質感を変形する単位接触面積あたりの力に依存する。
【0083】
インピーダンス、撓み(または力)、接触している物体の形状間で不明りょうさがあるように見える。物体の形状が事前に未知である場合、インピーダンスから撓みまたは力をどのように決定するのであろうか。この問題は、物体の形状のようなその他の特徴を取得するためのセンサを用いて、物体を能動的に探索することによって(まさにヒトの触覚システムが行うことだが)解決される。撓みの量およびタイミングは、物体を検査しているオペレータによって引き起こされ、そして認知される。ゆえに、形状は、時間経過とともに計測されるインピーダンスから引き出されうる。おそらく、予備知識に基づく予測および仮説(以下の物体硬度/柔らかさを参照)と反応とを比較することによってなされる。
【0084】
変形が電極周囲に発生する際のインピーダンス変化を観察し、電極近傍外側の変形を感知する性能を示す。これは、上記の平らなプローブの振舞いに関する仮説と一貫している。図17は、プローブが皮膚を対象電極の直接上方にある皮膚を撓めた時に、インピーダンスの最高値が計測されたことを示す。
【0085】
変位中心の位置および動きについての情報を解読する性能は、2つの電極についての変形を同時に観察する時に可能となる。図18に示されるように、回転運動は、両方の電極で検出される全体的な変形を引き起こす。ヒトが小さい物体を持ち上げる繊細な把握を使用する時の、ヒトの指肉の振舞いとさほど変わらない。指肉の一部は、末節骨およびその他の隆起に向けて押し込つけられる。本センサは、そのような現象を表現でき、ヒト被験者に記述されるような2点判別に関連する電気信号の空間的パターンへ、これらのような特徴をエンコードできる。これは、触覚アレイが皮膚そのものの厚みへ比肩する解像度で2点判別ができることを示唆する(しかし、依然示すまでは至らない)。
【0086】
触覚情報の使用
グリップを安定化することは、その必要性および自然な方法が熟知され始めた機能である。ローランド・ヨハンソンおよび共働者による一連の研究資料によると、グリップの安定性は、物体のサイズと形状、その質量および重量分布、および、指尖部と物体表面間の摩擦係数に影響されることが示された[26〜28]。彼らはまた、指尖部と物体表面間に発生する摩擦力が、さもなければ物体が滑らせてしまいかねない外力の小さなマージンを有するように、一般的に中枢神経系はグリップ力を調整することを示した[15,29]。この方法は、圧搾されうる繊細な物体を操作するためには十分に効率的であるが、把握された物体の感受された特性に従って、継続的な触覚感知およびグリップ力の調整を必要とする。
【0087】
各指のグリップ力は、その指のみからの感知情報、および重量分布および摩擦に関しての局所的条件に基づいて、独立に調整される。この調整の少なくともある程度は、脳というより、脊髄で反射的に調整されるように見える程急速に発生する。これは、義肢には重要である。なぜなら、オペレータへ意識的な接触認知を提供する通信チャネルが、現在そうであるように、存在しないまたは原始的である場合、触覚情報が有用な役割を果たしうることを示唆するからである。生物模倣的方法を使用するグリップの自動調整のためのアルゴリズムは、遠隔操作型および純粋にロボット的マニュピュランダムにおいても有用であろう。
【0088】
内面質感性人口皮膚
関連する米国特許出願No.11/692,718には、硬いコア表面に分布された電極を作成し、それから皮膚のような誘電性ポリマーにより浸漬被覆され、弱導電性溶液によって膨張されることによる、触覚センサアレイの作成が開示された。ある状況下では、皮膚内表面が「起伏および/または隆起」に形成されることが望ましいことも、記載された。
【0089】
皮膚内表面の質感は、センサ出力と加えられた力または変位との間の関連性を制御する際の、重要な要素である。コアおよび皮膚の両方が滑らかである場合、感知電極の計測される電気インピーダンスは急激に上昇し、そして、皮膚がコアに対して圧迫され、固い密閉シールを形成する時、飽和する傾向がある。皮膚の最内部の層を形成するために使用される物質の硬度を調節することにより、および、サイズと表面質感特性の分布とを調節することにより、我々は、センサの有用なダイナミックレンジを大幅に拡張することができる。皮膚に加えられる強まる圧力によりチャネルが徐々に圧迫されて狭められても、質感は、電極表面上の導電性流体のチャネルを残す傾向がある。よって、出力信号は、より強い力では、単調にかつ適度に変化し続ける。さらに、この関連性の詳細は、皮膚へ当該力を加えている接触物体の曲率半径、および、皮膚全体としての機械的特性にも依存する。皮膚に作用する小さい物体は、皮膚が変形されるに連れて、垂直および横方向の圧迫強度および引張強度の分散集合を生成する。このパターンは、同一程度の接触力でも大きな物体では異なる。皮膚の物体特性および内外質感特性の慎重な構成により、センサアレイが外的物体の形状、硬度、およびその他の特徴を区別する性能は最適化されうる。
【0090】
製造工程の単純さという利点を享受するには、浸漬被覆された皮膚自体に質感を持たせることが有利である。本願出願人は、以下の方法により、初期実験を認知し、試みた。
【0091】
質感の比較的に繊細で全体的にランダムなパターンが、第1皮膚層で浸漬被覆する前に、コア表面を研磨することにより形成されうる。これは、紙やすり、サンドブラスティング、やすりかけ、または当業者によって明らかなその他の方法によりなされうる。浸漬被覆された皮膚は、コアのネガを形成する。導電性流体によって満たされる際、皮膚はコアから引き離され、物体に対して元の位置に押し戻されると、正確に元の質感パターンと一致し難い。皮膚とコア間の過剰な機械的密着という結果による、指尖部を膨張する困難性を回避するために、浸漬被覆する前に金型から離れやすくする媒体により荒くされたコアを覆うことが便利である。
【0092】
より荒いが全体的にランダムな質感パターンが、質感を持たせた水溶性物質を有するコアの表面を被覆することにより、形成されうる。たとえば、質感のないコアは、所望の厚みの粘着層を形成するために、所望の分子量および粘度を有するポリビニルアルコール(PVA)溶液によって被覆されうる。砂糖のような水溶性物質の固体粒子が混ぜられおよび/または吹き付けられ、または、領域差または所望の粗さ勾配を含む、所望の粗さを有する表面を形成するために、PVA層上に配分される。被覆されたコアは、それから皮膚のようなポリマーによって浸漬被覆される。水性の導電性流体が皮膚下に注入される時、PVAおよび砂糖が溶解し、皮膚の内表面上に粗いおよび/またはスポンジのような質感を残す。この方法は、非水溶性溶液にも応用できる点を記す。ここで、唯一の要件は、質感を形成するために使用される物質は、指尖部を満たすために使用される液体に溶解することである。
【0093】
隆起する構成要素の荒いが組織的なパターンが、浸漬被覆前に、コアの表面上のこのパターンのネガをフォトグラフィー技術により形成することにより形成されうる。このパターンを形成する物質は、指尖部を満たすために使用される液体に溶解するフォトレジストであり、浸漬被覆のために使用される未硬化されるポリマーによってではない。フォトレジストは滑らかなコア上に浸漬被覆され、操作可能なレーザビームからのような光へさらされることによりパターン化される。曲率のある表面をフォトグラフィー技術によりパターン化するために、様々な方法が産業において発展してきた。コアの表面上に光学的にパターンを形成することは、皮膚の隆起する要素と感知電極の空間的分布との間の正確な登録を促すという、更なる利点を有する。この利点は、関連する係属中の特許に記載される「副尺のような」形態にとって重要となりうる。
【0094】
製造のその他の側面
我々は、機械製作工のワックスのような比較的柔軟な物質を有効に使用して、所望のコア形状の陰性金型を作製するというコア形成方法を現在使用している。金型の表面上になくてはならない部分(たとえば、電極接触および毛細管の開口)が、金型の表面上の所望の位置に圧迫して取り付けられる。電極接触は、ワイヤの末端上で玉を熔解し、所望の形状および外形に玉を加締めすることにより、金やプラチナのような絶縁されたワイヤの末端上に形成される。この方法は、元々我々が蝸牛電極の作製で使用するために改良した方法である。(ローブ,G.E.,バイヤーズ,C.L.,レブシャー,S.J.,カセイ,D.E.,フォン,M.M.,シンドラー,R.A.,グレイ,R.F.およびマーゼニック,M.M. 試験的な蝸牛人工器官の設計および形成 Med.&Biol.Engng.&Comput.21:241−254,1983;ローブ,G.E.,ペック,R.A.およびスミス,D.W. 蝸牛電極アレイの超小型形成方法 J.Neurosci.Meth.63:85:92,1995)これらの構成要素から、いかなる所望の機械的または電気的接続が、電子回路または開いた金型内の接触ピンへと形成されうる。全ての構成要素およびそれらの相互接続は、その後、構成要素近傍の金型へ注入され、所定位置で硬化されるコア物質内へ組み込まれる。現在、我々は、コアを形成するために、歯科用アクリルを使用している。この方法は、表面の曲率を変えたり、および/または電極接触の数および分布を変えたりする、異なる応用のための触覚アレイをサイズ変更するのに役立つ。
【0095】
上述の通り、指尖部そのもの内の電極のほとんどまたは全ての信号調整回路および接続を組み込むことが有利かつ可能である。これは、触覚センサからのデータを、そのデータを必要とするいかなるコントローラへも転送するように形成された電気的接続の数を大幅に減少させる。コア物質を注入しポリマー化することによりコアを形成する上記方法は、そのような信号調整回路の近傍の荒い保護的な囲いを形成するのに特に適している。そのような信号調整回路は、電極回路のための余分に大きく高価な、密封されたパッケージおよびフィードスルーへの必要性を除外する。コアのために選択された物質は、指尖部を膨張させるために選択された流体を相対的に通すべきではない。
【0096】
指尖部内流体の全体的な水圧および/または温度の計測がまた、有用であることがわかっている。圧力変換器は、さもなければ流体で指尖部を満たすために使用される、毛細管のT形鋼へ容易に組み込まれる。サーミスタ、熱電対、またはその他の温度に敏感な構成要素が、電極接触について上述のように、それらを金型の内表面へ取り付けることによって、コアの表面上へ容易に組み込まれる。温度情報は、外的物体の触覚特性のため、および、指尖部内の流体の導電性への温度による効果を補償する触覚センサそのものを較正するために使用されうる。圧力情報は、能動的な接触中に発生した皮膚の変形量についての付加的な情報を提供する。圧力センサは、適切なフィルタリングと増幅により、外的皮膚の突起を有する指尖部による質感のある表面の触覚探索を通常伴う、低振幅で高周波の振動の類に特に感度を高く形成されうる。それはまた、いくらかの流体が漏れたり拡散してなくなったりした場合、指尖部を再充填する必要があるかを監視するために使用されうる。
【0097】
信号処理的側面
アレイ内の各々のセンサ出力を同時に影響する、異なる要素を記載してきた。たとえば、皮膚圧迫のある一定の距離では、センサにより計測されるインピーダンスは、曲率半径と接触物体により加えられる力との両方に依存する。これは、それらが区別され得ないことを示唆する。実際、触覚探索中、皮膚圧迫の大きさおよび履歴は、オペレータによって制御される、指の能動的な動きに依存する。オペレータは、典型的に、おそらく異なる速さとおそらく異なる指先部分とで、プローブ動作を数回行う。その指先は、異なる部分では広範な曲率を持つ複雑な形状を有する。センサ信号の時間的パターンを観て、そしてそれらパターンを取得するためにされた実際の動作とそれらを分離することにより、オペレータは重要な情報を抽出できる。このような方法は、ヒトの触覚感覚に関する心理生理学的文献に記載されてきたが、おそらくほとんどのアレイは我々の技術により達成できた、複雑な生体模倣する振舞いを欠くため、これらは人工触覚センサアレイへ適用されてこなかったようだ。
【0098】
開示される実施形態の前述の記載は、当業者が本触覚センサシステムおよび方法を構成しまたは使用することを可能とするために提供される。これらの実施形態への様々な変更がこれら当業者にとって容易に明らかであり、ここに定義される包括的な原理が本触覚センサシステムおよび方法の思想または範囲から乖離することなくその他の実施形態へ適用される。したがって、本触覚センサシステムおよび方法は、ここに示される実施形態に限定されるものと意図されるのではなく、ここに開示される原理および新規な特徴と一貫する、最も広い範囲に一致するべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広範なダイナミックレンジの出力信号を検出するための生体模倣触覚センサであって、
a)十分に硬いコアと、
b)各々の電極が、電極と、他の電極によって感知された接触情報と独立したその他の物体との間の接触に関する接触情報を感知するように構成された、十分に硬いコアの表面に沿って分布される20−100個の感知電極と、
c)少なくとも一つの変形可能な、コアに取り付けられる皮膚に似せた層と、
d)コア内に設けられ、電極へ電気的に接続され、各々の電極によって感知される一つの接触情報であるサンプルデータ毎に、12またはそれ以上のビット数の解像度で各々の電極により感知された接触情報を検出するように構成される検出回路と、
を含む生体模倣触覚センサ。
【請求項2】
各々の電極は、不活性金属から選択される物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項3】
検出回路は、5〜100kヘルツの範囲の周波数で各々の電極へ交流電流を供給するようにさらに構成されることを特徴とする請求項1に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項4】
検出回路は、毎秒100回以上各々の電極から接触情報をサンプリングするように構成されることを特徴とする請求項1に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項5】
検出回路は、サイクルするクロック信号を受信し、接触情報の複数ビットバイナリサンプルおよび1クロックサイクル内に1ビットを生成するように構成されるAD変換器(ADC)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項6】
検出回路はコア外の回路からクロック信号を受信するように構成されることを特徴とする請求項5に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項7】
クロック信号は、実質的に方形波信号であることを特徴とする請求項7に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項8】
回路検出は、信号調整、デジタル化、直列化、および同期化を提供するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項9】
ヒトの指尖部およびその分布される触感受容器を実質的に模倣する生体模倣触覚センサであって、
a)十分に硬いコアと、
b)各々の電極が、電極と、他の電極によって感知された接触情報と独立したその他の物体との間の接触に関する接触情報を感知するように構成された、コアの表面に沿って分布される複数の電極と、
c)内外表面のうち少なくとも一表面が質感を有する、少なくとも一つの変形可能な、コアに取り付けられる皮膚に似せた層と、
d)コアと少なくとも一つの変形可能な層との間の変形可能な物質と、
e)コア内に設けられ、複数の電極へ電気的に接続され、各々の電極によって感知される接触情報を検出するために構成される検出回路と、
を含むことを特徴とする生体模倣触覚センサ。
【請求項10】
表面の質感は、微細でランダムなパターンを含むことを特徴とする請求項13に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項11】
表面の質感は、きめが粗くおよび/またはスポンジ状であることを特徴とする請求項9に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項12】
質感を有する表面は、一つ以上の隆起する要素を含むことを特徴とする請求項9に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項13】
コアと変形可能な層の内表面との間に変形可能な物質を保持および導入するように構成される毛細管をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項14】
変形可能な物質の圧力または温度を計測するように構成される、少なくとも一つのセンサをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項15】
グリップを制御する接触の電気的信号を伝達するための、指尖部を模倣する生体模倣触覚センサであって、
a)十分に硬い曲線を有するコアと、
b)コアの表面に沿って分布される複数の電極と、
c)内および外表面を有する少なくとも一つの変形可能な層と、
d)コアと少なくとも一つの変形可能な層の内表面との間に囲まれる変形可能な物質と、
e)少なくとも一つの複数の電極から接触情報を検出し、グリップ制御のための接触情報の電気信号を生成するために構成される検出回路と、
を含むことを特徴とする生体模倣触覚センサ。
【請求項16】
回路検出は、物体のサイズ、形状、質量または重量分布、または、物体と変形可能な層の外表面の間の摩擦係数のいずれか一つに関する接触情報を提供するように構成されることを特徴とする請求項15に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項17】
検出された接触情報に基づいて調整され、接触情報の電気信号を受信するように構成されるグリップをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項18】
グリップは、ヒトの脊髄または脳のいずれかによって反射的に媒介される調節を行うように構成されることを特徴とする請求項17に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項19】
神経ネットワークによって訓練されるコントローラをさらに含み、検出回路は神経ネットワークによって訓練されるコントローラから受信される指令に基づいてグリップ制御するように使用しうる信号を提供するようにさらに構成されることを特徴とする請求項15に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項20】
訓練されたコントローラは、ヒト被験者の反射反応を模倣するグリップ調整パターンを生成することを特徴とする請求項19に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項1】
広範なダイナミックレンジの出力信号を検出するための生体模倣触覚センサであって、
a)十分に硬いコアと、
b)各々の電極が、電極と、他の電極によって感知された接触情報と独立したその他の物体との間の接触に関する接触情報を感知するように構成された、十分に硬いコアの表面に沿って分布される20−100個の感知電極と、
c)少なくとも一つの変形可能な、コアに取り付けられる皮膚に似せた層と、
d)コア内に設けられ、電極へ電気的に接続され、各々の電極によって感知される一つの接触情報であるサンプルデータ毎に、12またはそれ以上のビット数の解像度で各々の電極により感知された接触情報を検出するように構成される検出回路と、
を含む生体模倣触覚センサ。
【請求項2】
各々の電極は、不活性金属から選択される物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項3】
検出回路は、5〜100kヘルツの範囲の周波数で各々の電極へ交流電流を供給するようにさらに構成されることを特徴とする請求項1に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項4】
検出回路は、毎秒100回以上各々の電極から接触情報をサンプリングするように構成されることを特徴とする請求項1に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項5】
検出回路は、サイクルするクロック信号を受信し、接触情報の複数ビットバイナリサンプルおよび1クロックサイクル内に1ビットを生成するように構成されるAD変換器(ADC)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項6】
検出回路はコア外の回路からクロック信号を受信するように構成されることを特徴とする請求項5に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項7】
クロック信号は、実質的に方形波信号であることを特徴とする請求項7に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項8】
回路検出は、信号調整、デジタル化、直列化、および同期化を提供するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項9】
ヒトの指尖部およびその分布される触感受容器を実質的に模倣する生体模倣触覚センサであって、
a)十分に硬いコアと、
b)各々の電極が、電極と、他の電極によって感知された接触情報と独立したその他の物体との間の接触に関する接触情報を感知するように構成された、コアの表面に沿って分布される複数の電極と、
c)内外表面のうち少なくとも一表面が質感を有する、少なくとも一つの変形可能な、コアに取り付けられる皮膚に似せた層と、
d)コアと少なくとも一つの変形可能な層との間の変形可能な物質と、
e)コア内に設けられ、複数の電極へ電気的に接続され、各々の電極によって感知される接触情報を検出するために構成される検出回路と、
を含むことを特徴とする生体模倣触覚センサ。
【請求項10】
表面の質感は、微細でランダムなパターンを含むことを特徴とする請求項13に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項11】
表面の質感は、きめが粗くおよび/またはスポンジ状であることを特徴とする請求項9に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項12】
質感を有する表面は、一つ以上の隆起する要素を含むことを特徴とする請求項9に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項13】
コアと変形可能な層の内表面との間に変形可能な物質を保持および導入するように構成される毛細管をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項14】
変形可能な物質の圧力または温度を計測するように構成される、少なくとも一つのセンサをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項15】
グリップを制御する接触の電気的信号を伝達するための、指尖部を模倣する生体模倣触覚センサであって、
a)十分に硬い曲線を有するコアと、
b)コアの表面に沿って分布される複数の電極と、
c)内および外表面を有する少なくとも一つの変形可能な層と、
d)コアと少なくとも一つの変形可能な層の内表面との間に囲まれる変形可能な物質と、
e)少なくとも一つの複数の電極から接触情報を検出し、グリップ制御のための接触情報の電気信号を生成するために構成される検出回路と、
を含むことを特徴とする生体模倣触覚センサ。
【請求項16】
回路検出は、物体のサイズ、形状、質量または重量分布、または、物体と変形可能な層の外表面の間の摩擦係数のいずれか一つに関する接触情報を提供するように構成されることを特徴とする請求項15に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項17】
検出された接触情報に基づいて調整され、接触情報の電気信号を受信するように構成されるグリップをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項18】
グリップは、ヒトの脊髄または脳のいずれかによって反射的に媒介される調節を行うように構成されることを特徴とする請求項17に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項19】
神経ネットワークによって訓練されるコントローラをさらに含み、検出回路は神経ネットワークによって訓練されるコントローラから受信される指令に基づいてグリップ制御するように使用しうる信号を提供するようにさらに構成されることを特徴とする請求項15に記載の生体模倣触覚センサ。
【請求項20】
訓練されたコントローラは、ヒト被験者の反射反応を模倣するグリップ調整パターンを生成することを特徴とする請求項19に記載の生体模倣触覚センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2010−528267(P2010−528267A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508619(P2010−508619)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/063985
【国際公開番号】WO2009/023334
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(508230226)ユニバーシティ オブ サザン カリフォルニア (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/063985
【国際公開番号】WO2009/023334
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(508230226)ユニバーシティ オブ サザン カリフォルニア (8)
【Fターム(参考)】
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