説明

グリニヤール試薬の製造法

【解決手段】置換プロパルギルハライドとマグネシウムからグリニヤール試薬を製造するに際し、触媒として塩化亜鉛、臭化亜鉛又はヨウ化亜鉛から選ばれた少なくとも1種のハロゲン化亜鉛の存在下反応させる。
【効果】有毒な水銀化合物を触媒として使用することなく、各種の化学薬品及び医薬品を製造するための原料として有用な置換プロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬を、高収率且つ環境保全上問題なく安全に製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の化学薬品及び医薬品の製造原料として有用なグリニヤール試薬の製造法に関する。更に詳しくは、本発明は、置換プロパルギルハライドとマグネシウムを反応させて得られる、置換プロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
グリニヤール試薬は、種々の化学製品及び医薬品の製造において、炭素−炭素結合を形成する手段として多用されており、これらの製品の重要な製造原料となっている。中でもプロパルギルマグネシウムブロミド等のグリニヤール試薬は、分子内にプロパルギル基を導入するために使用され、一工程で3個以上の炭素を分子内に導入でき、また導入後にプロパルギル基に含まれるアセチレニル基に種々の反応を用いて更に種々の官能基を導入できることから重要である。例えば、プロパルギルマグネシウムブロミドは、インフルエンザ治療剤として有用なノイラミダーゼ阻害剤の中間体合成の原料(特表2002−512224号公報)、副腎19−ヒドロキシラーゼ阻害剤及び抗高血圧剤として有用な10位プロパルギル基置換19−ノルプレグナン誘導体の合成原料(特許第2729320号公報)、抗糖尿病剤や高肥満症剤等として有用なアゾール酸誘導体の合成原料(特表2004−536070号公報)及び抗腫瘍剤として有用なNCS−Cの合成中間体の原料(特許第2754095号公報)等として使用されている。しかしながら、グリニヤール試薬によってプロパルギル基を導入するためには、プロパルギルハライドとマグネシウムから誘導されるプロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬の効率のよい製造法の開発が必要である。このようなプロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬の従来の製造法としては、塩化第二水銀存在下に、マグネシウムとプロパルギルブロミドをジエチルエーテル中で反応させてプロパルギルマグネシウムブロミドを得る方法(非特許文献1)が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特表2002−512224号公報
【特許文献2】特許第2729320号公報
【特許文献3】特表2004−536070号公報
【特許文献4】特許第2754095号公報
【非特許文献1】Tetrahedron、1992年、第48巻、1969頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロパルギルハライドとマグネシウムからプロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬を製造するに際し、従来の製造法では比較的高収率でグリニヤール試薬を製造することはできるが、触媒として塩化水銀(I)や塩化水銀(II)のような有毒な水銀化合物の使用が必須である。このような水銀化合物は、グリニヤール反応後に水銀を完全に回収することは困難であり、反応液を水で分解する際に廃水等の廃棄物中に水銀化合物が溶解するため、廃棄物の処理等環境保全上問題があった。また、目的物を単離する際には目的物中に微量ではあるが水銀化合物が残存することになるため、特に、医薬品用途や食品用途等の化合物の製造には使用できないという問題があった。更に、当該プロパルギルグリニヤール試薬の製造において、水銀化合物を触媒として使用しない場合にはグリニヤール試薬は全く生成せず、水銀化合物以外の触媒は知られていないため、当該グリニヤール試薬を高収率且つ環境保全上問題なく安全に製造することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、有毒な水銀化合物を触媒として使用することなく、プロパルギルハライドとマグネシウムからプロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬を高収率且つ環境保全上問題なく安全に製造する方法について鋭意研究した結果、式(1)
【0006】
【化3】

〔式(1)中、RはH、炭素数1〜19のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシメトキシメチル基、アリール基、フェノキシ基、アラルキル基、ベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基又は炭素数1〜4の同一でも異なっていてもよい3個の低級アルキル基が結合したトリアルキルシリル基を示し、XはCl、Br又はIを示す。〕で示される置換プロパルギルハライドとマグネシウムを、塩化亜鉛、臭化亜鉛又はヨウ化亜鉛から選ばれたハロゲン化亜鉛の存在下反応させることにより、式(2)
【0007】
【化4】

〔式(2)中、RはH、炭素数1〜19のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシメトキシメチル基、アリール基、フェノキシ基、アラルキル基、ベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基又は炭素数1〜4の同一でも異なっていてもよい3個の低級アルキル基が結合したトリアルキルシリル基を示し、XはCl、Br又はIを示す。〕で示される置換プロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬を高収率で製造でき、本発明の目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、有毒な水銀化合物を触媒として使用することなく、置換プロパルギルハライドとマグネシウムから置換プロパルギルマグネシウムハライドを高収率且つ環境保全上問題なく安全に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明を詳細に説明する。本発明では、式(1)
【0010】
【化5】

〔式(1)中、RはH、炭素数1〜19のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシメトキシメチル基、アリール基、フェノキシ基、アラルキル基、ベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基又は炭素数1〜4の同一でも異なっていてもよい3個の低級アルキル基が結合したトリアルキルシリル基を示し、XはCl、Br又はIを示す。〕で示される置換プロパルギルハライドとマグネシウムを、塩化亜鉛、臭化亜鉛又はヨウ化亜鉛から選ばれたハロゲン化亜鉛の存在下に反応させることにより、式(2)
【0011】
【化6】

〔式(2)中、RはH、炭素数1〜19のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシメトキシメチル基、アリール基、フェノキシ基、アラルキル基、ベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基又は炭素数1〜4の同一でも異なっていてもよい3個の低級アルキル基が結合したトリアルキルシリル基を示し、XはCl、Br又はIを示す。〕で示される置換プロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬を製造することができる。なお、プロパルギルマグネシウムハライドは、例えばAnnadi di Chimica誌、1956年、1巻、190頁やJournal of Organometallic Chemistry、397巻、1990年、128頁に記載されているように、一般に式(3)
【0012】
【化7】

で示されるような、プロパルギルマグネシウムハライドとアレニルマグネシウムハライドとの平衡状態にあると考えられているが、本発明で得られたグリニヤール試薬を反応に使用すると、アレニル基が導入された化合物も生成するが、プロパルギル基が導入された化合物が主成分であることから、本発明のグリニヤール試薬はプロパルギルマグネシウムハライドが主成分であると推定される。
【0013】
式(1)及び(2)中、RはH、炭素数1〜19のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシメトキシメチル基、アリール基、フェノキシ基、アラルキル基、ベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基及び炭素数1〜4の同一でも異なっていてもよい3個の低級アルキル基が結合したトリアルキルシリル基を示す。
【0014】
炭素数1〜19のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、n−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル、ペンタデシル及びノナデシル等を挙げることができる。
【0015】
炭素数1〜5のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、2−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ等を挙げることができる。
【0016】
アリール基としては、式(4)
【0017】
【化8】

〔式(4)中、R、R、R、R及びRは水素原子、メチル又はメトキシを示し、R、R、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい。〕で示される。式(4)で示されるアリール基の具体例としては、フェニル、2−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニル及び3−メトキシ−4−メチルフェニル等を挙げることができる。
【0018】
アラルキル基としては、式(5)
【0019】
【化9】

〔式(5)中、R、R、R、R10及びR11は水素原子、メチル又はメトキシを示し、R、R、R、R10及びR11は同一でも異なっていてもよい。〕で示される。式(5)で示されるアラルキル基の具体例としては、ベンジル、2−メチルベンジル、4−メチルベンジル、3−メトキシベンジル、4−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、3,4,5−トリメトキシベンジル及び3−メチル−4−メトキシベンジル等を挙げることができる。
【0020】
炭素数1〜4の同一でも異なっていてもよい3個の低級アルキル基が結合したトリアルキルシリル基は、式(6)
121314Si− (6)
〔式(6)中、R12、R13及びR14は、炭素数1〜4の低級アルキル基を示し、R12、R13及びR14は、同一でも異なっていてもよい。〕で示される。
【0021】
炭素数1〜4の低級アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル及びtert−ブチル等を挙げることができる。式(6)で示されるトリアルキルシリル基の具体例としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリ−n−プロピルシリル、トリイソプロピルシリル、イソプロピルジメチルシリル、ジイソプロピルメチルシリル、イソブチルジメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル及びtert−ブチルジエチルシリル等を挙げることができる。
【0022】
式(1)及び(2)中、Xはハロゲン原子であり、その例としては塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)及びヨウ素原子(I)を挙げることができ、好ましくは塩素原子(Cl)及び臭素原子(Br)である。
【0023】
式(1)で示される置換プロパルギルハライドの具体例としては、プロパルギルクロリド、2−ブチニルクロリド、2−ペンチニルクロリド、2−ヘキシニルクロリド、4−メチル−2−ペンチニルクロリド、2−ヘプチニルクロリド、5−メチル−2−ヘキシニルクロリド、4−メチル−2−ヘキシニルクロリド、4,4−ジメチル−2−ペンチニルクロリド、2−オクチニルクロリド、6−メチル−2−ヘプチニルクロリド、4−メチル−2−ヘプチニルクロリド、2−ウンデシニルクロリド、9−メチル−2−デシニルクロリド、5−エチル−2−ノニニルクロリド、ドデシニルクロリド、トリデシニルクロリド、ペンタデシニルクロリド、オクタデシニルクロリド、ドコシニルクロリド、3−メトキシプロパルギルクロリド、3−エトキシプロパルギルクロリド、3−n−プロポキシプロパルギルクロリド、3−イソプロポキシプロパルギルクロリド、3−n−ブトキシプロパルギルクロリド、3−(2−ブトキシ)プロパルギルクロリド、3−t−ブトキシプロパルギルクロリド、3−n−ペントキシプロパルギルクロリド、3−メトキシメトキシプロパルギルクロリド、4−メトキシメトキシ−2−ブチニルクロリド、3−フェニルプロパルギルクロリド、3−(2−メチルフェニル)プロパルギルクロリド、3−(4−メチルフェニル)プロパルギルクロリド、3−(4−メトキシフェニル)プロパルギルクロリド、3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロパルギルクロリド、3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロパルギルクロリド、3−(3−メトキシ−4−メチルフェニル)プロパルギルクロリド、3−フェノキシプロパルギルクロリド、4−フェニル−2−ブチニルクロリド、4−(2−メチルフェニル)−2−ブチニルクロリド、4−(4−メチルフェニル)−2−ブチニルクロリド、4−(3−メトキシフェニル)−2−ブチニルクロリド、4−(4−メトキシフェニル)−2−ブチニルクロリド、4−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−ブチニルクロリド、4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−2−ブチニルクロリド、4−(3−メチル−4−メトキシフェニル)−2−ブチニルクロリド、3−ベンジルオキシプロパルギルクロリド、3−(4−メトキシベンジルオキシ)プロパルギルクロリド、トリメチルシリルプロパルギルクロリド、トリエチルシリルプロパルギルクロリド、トリ−n−プロピルシリルプロパルギルクロリド、トリイソプロピルシリルプロパルギルクロリド、イソプロピルジメチルシリルプロパルギルクロリド、ジイソプロピルメチルシリルプロパルギルクロリド、イソブチルジメチルシリルプロパルギルクロリド、tert−ブチルジメチルシリルプロパルギルクロリド、tert−ブチルジエチルシリルプロパルギルクロリド、プロパルギルブロミド、2−ブチニルブロミド、2−ペンチニルブロミド、2−ヘキシニルブロミド、4−メチル−2−ペンチニルブロミド、2−ヘプチニルブロミド、5−メチル−2−ヘキシニルブロミド、4−メチル−2−ヘキシニルブロミド、4,4−ジメチル−2−ペンチニルブロミド、2−オクチニルブロミド、6−メチル−2−ヘプチニルブロミド、4−メチル−2−ヘプチニルブロミド、2−ウンデシニルブロミド、9−メチル−2−デシニルブロミド、5−エチル−2−ノニニルブロミド、ドデシニルブロミド、トリデシニルブロミド、ペンタデシニルブロミド、オクタデシニルブロミド、ドコシニルブロミド、3−メトキシプロパルギルブロミド、3−エトキシプロパルギルブロミド、3−n−プロポキシプロパルギルブロミド、3−イソプロポキシプロパルギルブロミド、3−n−ブトキシプロパルギルブロミド、3−(2−ブトキシ)プロパルギルブロミド、3−t−ブトキシプロパルギルブロミド、3−n−ペントキシプロパルギルブロミド、3−メトキシメトキシプロパルギルブロミド、4−メトキシメトキシ−2−ブチニルブロミド、3−フェニルプロパルギルブロミド、3−(2−メチルフェニル)プロパルギルブロミド、3−(4−メチルフェニル)プロパルギルブロミド、3−(4−メトキシフェニル)プロパルギルブロミド、3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロパルギルブロミド、3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロパルギルブロミド、3−(3−メトキシ−4−メチルフェニル)プロパルギルブロミド、3−フェノキシプロパルギルブロミド、4−フェニル−2−ブチニルブロミド、4−(2−メチルフェニル)−2−ブチニルブロミド、4−(4−メチルフェニル)−2−ブチニルブロミド、4−(3−メトキシフェニル)−2−ブチニルブロミド、4−(4−メトキシフェニル)−2−ブチニルブロミド、4−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−ブチニルブロミド、4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−2−ブチニルブロミド、4−(3−メチル−4−メトキシフェニル)−2−ブチニルブロミド、3−ベンジルオキシプロパルギルブロミド、3−(4−メトキシベンジルオキシ)プロパルギルブロミド、トリメチルシリルプロパルギルブロミド、トリエチルシリルプロパルギルブロミド、トリ−n−プロピルシリルプロパルギルブロミド、トリイソプロピルシリルプロパルギルブロミド、イソプロピルジメチルシリルプロパルギルブロミド、ジイソプロピルメチルシリルプロパルギルブロミド、イソブチルジメチルシリルプロパルギルブロミド、tert−ブチルジメチルシリルプロパルギルブロミド、tert−ブチルジエチルシリルプロパルギルブロミド、プロパルギルヨージド、2−ブチニルヨージド、2−ペンチニルヨージド、2−ヘキシニルヨージド、4−メチル−2−ペンチニルヨージド、2−ヘプチニルヨージド、5−メチル−2−ヘキシニルヨージド、4−メチル−2−ヘキシニルヨージド、4,4−ジメチル−2−ペンチニルヨージド、2−オクチニルヨージド、6−メチル−2−ヘプチニルヨージド、4−メチル−2−ヘプチニルヨージド、2−ウンデシニルヨージド、9−メチル−2−デシニルヨージド、5−エチル−2−ノニニルヨージド、ドデシニルヨージド、トリデシニルヨージド、ペンタデシニルヨージド、オクタデシニルヨージド、ドコシニルヨージド、3−メトキシプロパルギルヨージド、3−エトキシプロパルギルヨージド、3−n−プロポキシプロパルギルヨージド、3−イソプロポキシプロパルギルヨージド、3−n−ブトキシプロパルギルヨージド、3−(2−ブトキシ)プロパルギルヨージド、3−t−ブトキシプロパルギルヨージド、3−n−ペントキシプロパルギルヨージド、3−メトキシメトキシプロパルギルヨージド、4−メトキシメトキシ−2−ブチニルヨージド、3−フェニルプロパルギルヨージド、3−(2−メチルフェニル)プロパルギルヨージド、3−(4−メチルフェニル)プロパルギルヨージド、3−(4−メトキシフェニル)プロパルギルヨージド、3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロパルギルヨージド、3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロパルギルヨージド、3−(3−メトキシ−4−メチルフェニル)プロパルギルヨージド、3−フェノキシプロパルギルヨージド、4−フェニル−2−ブチニルヨージド、4−(2−メチルフェニル)−2−ブチニルヨージド、4−(4−メチルフェニル)−2−ブチニルヨージド、4−(3−メトキシフェニル)−2−ブチニルヨージド、4−(4−メトキシフェニル)−2−ブチニルヨージド、4−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−ブチニルヨージド、4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−2−ブチニルヨージド、4−(3−メチル−4−メトキシフェニル)−2−ブチニルヨージド、3−ベンジルオキシプロパルギルヨージド、3−(4−メトキシベンジルオキシ)プロパルギルヨージド、トリメチルシリルプロパルギルヨージド、トリエチルシリルプロパルギルヨージド、トリ−n−プロピルシリルプロパルギルヨージド、トリイソプロピルシリルプロパルギルヨージド、イソプロピルジメチルシリルプロパルギルヨージド、ジイソプロピルメチルシリルプロパルギルヨージド、イソブチルジメチルシリルプロパルギルヨージド、tert−ブチルジメチルシリルプロパルギルヨージド及びtert−ブチルジエチルシリルプロパルギルヨージド等を挙げることができる。
【0024】
式(2)で示される置換プロパルギルマグネシウムハライドの具体例としては、プロパルギルマグネシウムクロリド、2−ブチニルマグネシウムクロリド、2−ペンチニルマグネシウムクロリド、2−ヘキシニルマグネシウムクロリド、4−メチル−2−ペンチニルマグネシウムクロリド、2−ヘプチニルマグネシウムクロリド、5−メチル−2−ヘキシニルマグネシウムクロリド、4−メチル−2−ヘキシニルマグネシウムクロリド、4,4−ジメチル−2−ペンチニルマグネシウムクロリド、2−オクチニルマグネシウムクロリド、6−メチル−2−ヘプチニルマグネシウムクロリド、4−メチル−2−ヘプチニルマグネシウムクロリド、ドデシニルマグネシウムクロリド、オクタデシニルマグネシウムクロリド、ドコシニルマグネシウムクロリド、3−メトキシプロパルギルマグネシウムクロリド、3−エトキシプロパルギルマグネシウムクロリド、3−n−プロポキシプロパルギルマグネシウムクロリド、3−イソプロポキシプロパルギルマグネシウムクロリド、3−n−ブトキシプロパルギルマグネシウムクロリド、3−(2−ブトキシ)プロパルギルマグネシウムクロリド、3−t−ブトキシプロパルギルマグネシウムクロリド、3−n−ペントキシプロパルギルマグネシウムクロリド、3−メトキシメトキシプロパルギルマグネシウムクロリド、4−メトキシメトキシ−2−ブチニルマグネシウムクロリド、3−フェニルプロパルギルマグネシウムクロリド、3−(2−メチルフェニル)プロパルギルマグネシウムクロリド、3−(4−メチルフェニル)プロパルギルマグネシウムクロリド、3−(4−メトキシフェニル)プロパルギルマグネシウムクロリド、3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロパルギルマグネシウムクロリド、3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロパルギルマグネシウムクロリド、3−(3−メトキシ−4−メチルフェニル)プロパルギルマグネシウムクロリド、3−フェノキシプロパルギルマグネシウムクロリド、4−フェニル−2−ブチニルマグネシウムクロリド、4−(2−メチルフェニル)−2−ブチニルマグネシウムクロリド、4−(4−メチルフェニル)−2−ブチニルマグネシウムクロリド、4−(3−メトキシフェニル)−2−ブチニルマグネシウムクロリド、4−(4−メトキシフェニル)−2−ブチニルマグネシウムクロリド、4−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−ブチニルマグネシウムクロリド、4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−2−ブチニルマグネシウムクロリド、4−(3−メチル−4−メトキシフェニル)−2−ブチニルマグネシウムクロリド、3−ベンジルオキシプロパルギルマグネシウムクロリド、3−(4−メトキシベンジルオキシ)プロパルギルマグネシウムクロリド、トリメチルシリルプロパルギルマグネシウムクロリド、トリエチルシリルプロパルギルマグネシウムクロリド、トリ−n−プロピルシリルプロパルギルマグネシウムクロリド、トリイソプロピルシリルプロパルギルマグネシウムクロリド、イソプロピルジメチルシリルプロパルギルマグネシウムクロリド、ジイソプロピルメチルシリルプロパルギルマグネシウムクロリド、イソブチルジメチルシリルプロパルギルマグネシウムクロリド、tert−ブチルジメチルシリルプロパルギルマグネシウムクロリド、tert−ブチルジエチルシリルプロパルギルマグネシウムクロリド、プロパルギルマグネシウムブロミド、2−ブチニルマグネシウムブロミド、2−ペンチニルマグネシウムブロミド、2−ヘキシニルマグネシウムブロミド、4−メチル−2−ペンチニルマグネシウムブロミド、2−ヘプチニルマグネシウムブロミド、5−メチル−2−ヘキシニルマグネシウムブロミド、4−メチル−2−ヘキシニルマグネシウムブロミド、4,4−ジメチル−2−ペンチニルマグネシウムブロミド、2−オクチニルマグネシウムブロミド、6−メチル−2−ヘプチニルマグネシウムブロミド、4−メチル−2−ヘプチニルマグネシウムブロミド、ドデシニルマグネシウムブロミド、オクタデシニルマグネシウムブロミド、ドコシニルマグネシウムブロミド、3−メトキシプロパルギルマグネシウムブロミド、3−エトキシプロパルギルマグネシウムブロミド、3−n−プロポキシプロパルギルマグネシウムブロミド、3−イソプロポキシプロパルギルマグネシウムブロミド、3−n−ブトキシプロパルギルマグネシウムブロミド、3−(2−ブトキシ)プロパルギルマグネシウムブロミド、3−t−ブトキシプロパルギルマグネシウムブロミド、3−n−ペントキシプロパルギルマグネシウムブロミド、3−メトキシメトキシプロパルギルマグネシウムブロミド、4−メトキシメトキシ−2−ブチニルマグネシウムブロミド、3−フェニルプロパルギルマグネシウムブロミド、3−(2−メチルフェニル)プロパルギルマグネシウムブロミド、3−(4−メチルフェニル)プロパルギルマグネシウムブロミド、3−(4−メトキシフェニル)プロパルギルマグネシウムブロミド、3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロパルギルマグネシウムブロミド、3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロパルギルマグネシウムブロミド、3−(3−メトキシ−4−メチルフェニル)プロパルギルマグネシウムブロミド、3−フェノキシプロパルギルマグネシウムブロミド、4−フェニル−2−ブチニルマグネシウムブロミド、4−(2−メチルフェニル)−2−ブチニルマグネシウムブロミド、4−(4−メチルフェニル)−2−ブチニルマグネシウムブロミド、4−(3−メトキシフェニル)−2−ブチニルマグネシウムブロミド、4−(4−メトキシフェニル)−2−ブチニルマグネシウムブロミド、4−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−ブチニルマグネシウムブロミド、4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−2−ブチニルマグネシウムブロミド、4−(3−メチル−4−メトキシフェニル)−2−ブチニルマグネシウムブロミド、3−ベンジルオキシプロパルギルマグネシウムブロミド、3−(4−メトキシベンジルオキシ)プロパルギルマグネシウムブロミド、トリメチルシリルプロパルギルマグネシウムブロミド、トリエチルシリルプロパルギルマグネシウムブロミド、トリ−n−プロピルシリルプロパルギルマグネシウムブロミド、トリイソプロピルシリルプロパルギルマグネシウムブロミド、イソプロピルジメチルシリルプロパルギルマグネシウムブロミド、ジイソプロピルメチルシリルプロパルギルマグネシウムブロミド、イソブチルジメチルシリルプロパルギルマグネシウムブロミド、tert−ブチルジメチルシリルプロパルギルマグネシウムブロミド、tert−ブチルジエチルシリルプロパルギルマグネシウムブロミド、プロパルギルマグネシウムヨージド、2−ブチニルマグネシウムヨージド、2−ペンチニルマグネシウムヨージド、2−ヘキシニルマグネシウムヨージド、4−メチル−2−ペンチニルマグネシウムヨージド、2−ヘプチニルマグネシウムヨージド、5−メチル−2−ヘキシニルマグネシウムヨージド、4−メチル−2−ヘキシニルマグネシウムヨージド、4,4−ジメチル−2−ペンチニルマグネシウムヨージド、2−オクチニルマグネシウムヨージド、6−メチル−2−ヘプチニルマグネシウムヨージド、4−メチル−2−ヘプチニルマグネシウムヨージド、ドデシニルマグネシウムヨージド、オクタデシニルマグネシウムヨージド、ドコシニルマグネシウムヨージド、3−メトキシプロパルギルマグネシウムヨージド、3−エトキシプロパルギルマグネシウムヨージド、3−n−プロポキシプロパルギルマグネシウムヨージド、3−イソプロポキシプロパルギルマグネシウムヨージド、3−n−ブトキシプロパルギルマグネシウムヨージド、3−(2−ブトキシ)プロパルギルマグネシウムヨージド、3−t−ブトキシプロパルギルマグネシウムヨージド、3−n−ペントキシプロパルギルマグネシウムヨージド、3−メトキシメトキシプロパルギルマグネシウムヨージド、4−メトキシメトキシ−2−ブチニルマグネシウムヨージド、3−フェニルプロパルギルマグネシウムヨージド、3−(2−メチルフェニル)プロパルギルマグネシウムヨージド、3−(4−メチルフェニル)プロパルギルマグネシウムヨージド、3−(4−メトキシフェニル)プロパルギルマグネシウムヨージド、3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロパルギルマグネシウムヨージド、3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロパルギルマグネシウムヨージド、3−(3−メトキシ−4−メチルフェニル)プロパルギルマグネシウムヨージド、3−フェノキシプロパルギルマグネシウムヨージド、4−フェニル−2−ブチニルマグネシウムヨージド、4−(2−メチルフェニル)−2−ブチニルマグネシウムヨージド、4−(4−メチルフェニル)−2−ブチニルマグネシウムヨージド、4−(3−メトキシフェニル)−2−ブチニルマグネシウムヨージド、4−(4−メトキシフェニル)−2−ブチニルマグネシウムヨージド、4−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−ブチニルマグネシウムヨージド、4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−2−ブチニルマグネシウムヨージド、4−(3−メチル−4−メトキシフェニル)−2−ブチニルマグネシウムヨージド、3−ベンジルオキシプロパルギルマグネシウムヨージド、3−(4−メトキシベンジルオキシ)プロパルギルマグネシウムヨージド、トリメチルシリルプロパルギルマグネシウムヨージド、トリエチルシリルプロパルギルマグネシウムヨージド、トリ−n−プロピルシリルプロパルギルマグネシウムヨージド、トリイソプロピルシリルプロパルギルマグネシウムヨージド、イソプロピルジメチルシリルプロパルギルマグネシウムヨージド、ジイソプロピルメチルシリルプロパルギルマグネシウムヨージド、イソブチルジメチルシリルプロパルギルマグネシウムヨージド、tert−ブチルジメチルシリルプロパルギルマグネシウムヨージド及びtert−ブチルジエチルシリルプロパルギルマグネシウムヨージド等を挙げることができる。
【0025】
本発明では、置換プロパルギルハライドとマグネシウムの使用比率は、理論的に等モル量であるが、置換プロパルギルハライドの残存を回避したい場合は、マグネシウムを置換プロパルギルハライドに対して過剰モル量を使用すればよく、また、マグネシウムの残存を回避したい場合には、置換プロパルギルハライドをマグネシウムに対して過剰モル量を使用すればよい。通常は、マグネシウムを置換プロパルギルハライドに対して0.8〜2倍モル、好ましくは0.9〜1.5倍モル使用する。マグネシウムが0.8倍モル未満の場合は、生成したグリニヤール試薬と未反応の置換プロパルギルハライドがカップリング反応し、グリニヤール試薬の収率を低下させるので好ましくない。又、2倍モルを超える場合には、反応終了後に多量のマグネシウムが残存し、次のグリニヤール試薬のカップリング反応後の後処理工程で過剰のマグネシウムを分解するのに長時間を要する為、好ましくない。
【0026】
本発明で使用される触媒のハロゲン化亜鉛としては、塩化亜鉛、臭化亜鉛及びヨウ化亜鉛を挙げることができ、好ましくは塩化亜鉛及び臭化亜鉛であり、最も好ましくは臭化亜鉛である。使用されるハロゲン化亜鉛の添加量は、置換プロパルギルハライドに対して、0.001〜0.1倍モル、好ましくは0.005〜0.05倍モルの範囲である。添加量が0.001倍モル未満の場合には、グリニヤール試薬の収率が低下し、また、0.1倍モルを超えて添加しても増量による触媒効果の向上が見られない。なお、グリニヤール試薬は水分が存在すると急速に分解するため、本発明で触媒として使用するハロゲン化亜鉛はできるだけ水分を除去して使用することが好ましい。
【0027】
本発明では、グリニヤール試薬の溶媒として広く使用されている通常の溶媒を使用することができ、その具体例としては、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル及びシクロペンチルメチルエーテル等の飽和脂肪族エーテル類、テトラヒドロフラン及びジオキサン等の脂環式エーテル類、並びにエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジブチルエーテル等のポリエーテル類等のエーテル系溶媒を挙げることができるが、好ましくはジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル及びシクロペンチルメチルエーテル等の飽和脂肪族エーテル類であり、最も好ましくはジエチルエーテルである。また、本発明では、これらの溶媒を2種以上混合して使用することもできる。
【0028】
更に、これらのエーテル系溶媒にメチルシクロペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン及びシクロヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素類、並びにベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類を併用することもできる。
【0029】
本発明で使用される溶媒の量は得られるグリニヤール試薬の種類によって異なるが、通常はグリニヤール試薬の2〜24倍モル、好ましくは3〜12倍モルの範囲である。
【0030】
反応温度は置換基の種類によって異なるが、通常は−20〜40℃の範囲、好ましくは0〜30℃の範囲である。反応温度が40℃以上の場合には、不必要なホモカップリング反応等の副反応が起きて、目的物の収率を低下させるので好ましくない。反応温度が−20℃以下の場合には反応が遅くなる。
【0031】
本発明以外の他のグリニヤール試薬を調製する際には、マグネシウムを予め活性化させる目的で通常、ヨウ素等の活性化剤を必要とするが、本発明では、このような活性化剤を使用することなく反応が進行する。しかし、本発明のグリニヤール試薬を調製する際に、ヨウ素、ジブロムエタン、ヨウ化メチル等や予め調製した置換プロパルギルマグネシウムハライドの活性化剤を使用することもできる。
【0032】
本発明のグリニヤール試薬の製造法は、触媒としてハロゲン化亜鉛を反応系に存在させる以外には、他の通常のグリニヤール試薬の製造法と異なることなく、実施できる。一般に、マグネシウム及び触媒としてハロゲン化亜鉛を含む溶媒中に置換プロパルギルハライドを逐次添加するのが好適である。置換プロパルギルハライドは、そのまま或いは使用する溶媒と混合して添加することもできる。
【0033】
本発明の製造法で得られる置換プロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬は、そのまま次のグリニヤール反応に供することができるが、グリニヤール試薬と反応させる化合物によっては、通常グリニヤール反応で使用される触媒、例えば
塩化銅、臭化銅、シアン化銅、LiCuCl、塩化ニッケル及び塩化コバルト等の触媒を共存させることもできる。なお、本発明の置換プロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬の一般的製造法を以下に示すが、本発明はこの製造法に限定されるものではない。
〔置換プロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬の一般的製造法〕
窒素雰囲気下、温度計、還流冷却器、撹拌機及び滴下ロートを備えた4つ口フラスコに削状マグネシウム、エーテル系溶媒、触媒及び少量の置換プロパルギルハライドを仕込み、加温して反応を開始させる。室温以下に冷却し、これに、置換プロパルギルハライド及びエーテル系溶媒の混合液を、室温以下で、反応が激しくならない程度の速度で滴下する。さらに同温度でマグネシウムが完全に消費或いは反応が進行しなくなるまで反応を続ける。反応終了後、10℃以下に冷却して、置換プロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬を得る。
【0034】
発明の実施の形態としては、以下の実施態様を挙げることができる。
(1)式(1)
【0035】
【化10】

〔式(1)中、RはH、炭素数1〜19のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシメトキシメチル基、アリール基、フェノキシ基、アラルキル基、ベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基又は炭素数1〜4の同一でも異なっていてもよい3個の低級アルキル基が結合したトリアルキルシリル基を示し、XはCl、Br又はIを示す。〕
で示される置換プロパルギルハライドとマグネシウムを、塩化亜鉛、臭化亜鉛又はヨウ化亜鉛から選ばれた少なくとも1種のハロゲン化亜鉛の存在下反応させることを特徴とする、
式(2)
【0036】
【化11】

〔式(2)中、RはH、炭素数1〜19のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシメトキシメチル基、アリール基、フェノキシ基、アラルキル基、ベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基又は炭素数1〜4の同一でも異なっていてもよい3個の低級アルキル基が結合したトリアルキルシリル基を示し、XはCl、Br又はIを示す。〕
で示される置換プロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬の製造法。
(2)式(1)
【0037】
【化12】

〔式(1)中、RはH、炭素数1〜19のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシメトキシメチル基、アリール基、フェノキシ基、アラルキル基、ベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基又は炭素数1〜4の同一でも異なっていてもよい3個の低級アルキル基が結合したトリアルキルシリル基を示し、XはCl、Br又はIを示す。〕
で示される置換プロパルギルハライドとマグネシウムを、塩化亜鉛、臭化亜鉛又はヨウ化亜鉛から選ばれた少なくとも1種のハロゲン化亜鉛を置換プロパルギルハライドに対して0.001〜0.1倍モルの存在下反応させることを特徴とする、
式(2)
【0038】
【化13】

〔式(2)中、RはH、炭素数1〜19のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシメトキシメチル基、アリール基、フェノキシ基、アラルキル基、ベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基又は炭素数1〜4の同一でも異なっていてもよい3個の低級アルキル基が結合したトリアルキルシリル基を示し、XはCl、Br又はIを示す。〕
で示される置換プロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬の製造法。
(3)式(1)
【0039】
【化14】

〔式(1)中、RはH、炭素数1〜19のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシメトキシメチル基、アリール基、フェノキシ基、アラルキル基、ベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基又は炭素数1〜4の同一でも異なっていてもよい3個の低級アルキル基が結合したトリアルキルシリル基を示し、XはCl、Br又はIを示す。〕
で示される置換プロパルギルハライドとマグネシウムを、塩化亜鉛、臭化亜鉛又はヨウ化亜鉛から選ばれた少なくとも1種のハロゲン化亜鉛の存在下、ジエチルエーテル溶媒中で反応させることを特徴とする、
式(2)
【0040】
【化15】

〔式(2)中、RはH、炭素数1〜19のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシメトキシメチル基、アリール基、フェノキシ基、アラルキル基、ベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基又は炭素数1〜4の同一でも異なっていてもよい3個の低級アルキル基が結合したトリアルキルシリル基を示し、XはCl、Br又はIを示す。〕
で示される置換プロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬の製造法。
(4)式(1)
【0041】
【化16】

〔式(1)中、RはH、炭素数1〜19のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシメトキシメチル基、アリール基、フェノキシ基、アラルキル基、ベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基又は炭素数1〜4の同一でも異なっていてもよい3個の低級アルキル基が結合したトリアルキルシリル基を示し、XはCl、Br又はIを示す。〕
で示される置換プロパルギルハライドとマグネシウムを、塩化亜鉛、臭化亜鉛又はヨウ化亜鉛から選ばれた少なくとも1種のハロゲン化亜鉛を置換プロパルギルハライドに対して0.001〜0.1倍モルの存在下、ジエチルエーテル溶媒中で反応させることを特徴とする、
式(2)
【0042】
【化17】

〔式(2)中、RはH、炭素数1〜19のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシメトキシメチル基、アリール基、フェノキシ基、アラルキル基、ベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基又は炭素数1〜4の同一でも異なっていてもよい3個の低級アルキル基が結合したトリアルキルシリル基を示し、XはCl、Br又はIを示す。〕
で示される置換プロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬の製造法。
【実施例】
【0043】
以下、本発明の実施例を具体的に挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
〔グリニヤール試薬の分析法〕
窒素ガスで置換した100ml栓付三角フラスコにグリニヤール試薬約3gを正確に秤取る。これに水20mlを注加してグリニヤール試薬を分解した後、指示薬として0.1%チモールブルー/エタノール溶液を数滴加え、0.1N塩酸水溶液で滴定する。グリニヤール試薬の濃度は式(6)で計算される。
【0045】
グリニヤール試薬の濃度:A(モル/kg)=(V×f)/(10×S) 式(6)
式(6)中、
A:グリニヤール試薬の濃度(モル/kg)、
V:0.1N塩酸水溶液の滴定量(ml)、
f:0.1N塩酸水溶液の力価、
S:グリニヤール試薬の試料量(g)、
を示す。
【0046】
〔実施例で使用した原料の置換プロパルギルハライド〕
PG(1):3−トリメチルシリルプロパルギルブロミド
PG(2):プロパルギルブロミド
PG(3):2−ブチニルクロリド
PG(4):プロパルギルヨージド
PG(5):3−エトキシプロパルギルブロミド
PG(6):4−フェニル−2−ブチニルブロミド
PG(7):4−(4−メトキシフェニル)−2−ブチニルブロミド
PG(8):3−(3−メトキシ−4−メチルフェニル)プロパルギルブロミド
PG(9):4−メトキシメトキシ−2−ブチニルクロリド
PG(10):3−トリイソプロピルシリルプロパルギルクロリド
PG(11):3−(t−ブチルジメチルシリル)プロパルギルブロミド
PG(12):3−フェニルプロパルギルクロリド
PG(13):4,4−ジメチル−2−ペンチニルクロリド
PG(14):2−オクチニルブロミド
PG(15):3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロパルギルクロリド
〔実施例1〜6〕3−トリメチルシリルプロパルギルマグネシウムブロミドを主成分とするグリニヤール試薬の製造
窒素雰囲気下、温度計、還流冷却器、撹拌機及び滴下ロートを備えた2000mlの4つ口フラスコに削状マグネシウム24.31g(1.0モル)、ジエチルエーテル25g、臭化亜鉛(添加量は表1に記載)及びPG(1)(3−トリメチルシリルプロパルギルブロミド)5.73g(0.03モル)を仕込み、30℃に加温して反応を開始させた。15℃に冷却し、これに、PG(1)185.41g(0.97モル)及びジエチルエーテル715gの混合液を、10〜20℃で5時間かけて滴下した。さらに同温度で3時間反応を続けた。反応終了後、10℃以下に冷却して、3−トリメチルシリルプロパルギルマグネシウムブロミドを主成分とするグリニヤール試薬を得た。結果を表1に示す。なお、置換プロパルギルハライドの使用量に対するグリニヤール試薬の収率は式(7)により計算した。
R(%)=A×W/m (7)
式(7)中、
R:置換プロパルギルハライドの使用量に対するグリニヤール試薬の収率(%)、
A:グリニヤール試薬の濃度(モル/kg)
W:グリニヤール試薬の収量(kg)、
m:置換プロパルギルハライドの使用量(モル)
を示す。
【0047】
〔表1〕
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
実施例 : 臭化亜鉛 : グリニヤール試薬
: 添加量 : 添加量 : 濃度 : 収率
: g : モル : モル/kg : %
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
1 : 0.23 : 0.001 : 0.95 : 90.8
2 : 1.13 : 0.005 : 0.97 : 92.8
3 : 2.25 : 0.01 : 0.97 : 92.9
4 : 4.5 : 0.02 : 0.98 : 94.1
5 : 11.3 : 0.05 : 0.97 : 93.8
6 : 22.5 : 0.1 : 0.96 : 93.9
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

〔実施例7及び8〕
窒素雰囲気下、温度計、還流冷却器、撹拌機および滴下ロートを備えた1000mlの4つ口フラスコに削状マグネシウム24.31g(1.0モル)、ジエチルエーテル25g、置換プロパルギルハライド(原料名は表2に記載)(0.03モル)及びジブロムエタン0.3gを仕込み、30℃に加温して反応を開始させた。10℃に冷却し、ハロゲン化亜鉛(触媒名は表2に記載)(0.02モル)を添加して、これに、置換プロパルギルハライド(原料名は表2に記載)(0.97モル)及びジエチルエーテル345gの混合液を、10℃以下で7時間かけて滴下した。さらに同温度で3時間反応を続けた。反応終了後、置換プロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬を得た。結果を表2に示す。
【0048】
〔表2〕
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
実施例 :置換プロパルギルハライド: 触媒 : グリニヤール試薬
: : : 濃度 : 収率
: : : モル/kg : %
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
7 : PG(2) : 塩化亜鉛 : 1.82 : 93.9
8 : PG(3) : 臭化亜鉛 : 1.90 : 92.6
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

〔実施例9〜13〕
窒素雰囲気下、温度計、還流冷却器、撹拌機および滴下ロートを備えた2000mlの4つ口フラスコに削状マグネシウム24.31g(1.0モル)、ジエチルエーテル20g、ハロゲン化亜鉛(触媒名は表3に記載)(0.03モル)及び置換プロパルギルハライド(原料名は表3に記載)(0.03モル)を仕込み、室温下(20℃)で反応を開始させた。0℃に冷却し、これに、置換プロパルギルハライド(原料名は表3に記載)(0.97モル)及びジエチルエーテル720gの混合液を、0〜5℃で10時間かけて滴下した。さらに同温度で3時間反応を続けて、置換プロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬を得た。結果を表3に示す。
【0049】
〔表3〕
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
実施例 :置換プロパルギルハライド: 触媒 : グリニヤール試薬
: : : 濃度 : 収率
: : : モル/kg : %
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
9 : PG(4) : ヨウ化亜鉛: 0.95 : 89.3
10 : PG(5) : 臭化亜鉛 : 1.01 : 94.4
11 : PG(6) : 臭化亜鉛 : 0.96 : 94.1
12 : PG(7) : 塩化亜鉛 : 0.93 : 93.7
13 : PG(8) : 塩化亜鉛 : 0.92 : 92.7
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

〔実施例14〜17〕
窒素雰囲気下、温度計、還流冷却器、撹拌機および滴下ロートを備えた2000mlの4つ口フラスコに削状マグネシウム24.31g(1.0モル)、ジエチルエーテル20g、ハロゲン化亜鉛(触媒名は表4に記載)(0.02モル)及び置換プロパルギルハライド(原料名は表4に記載)(0.03モル)を仕込み、30℃に加温して反応を開始させた。20℃に冷却し、これに、置換プロパルギルハライド(原料名は表4に記載)(0.97モル)及びジエチルエーテル720gの混合液を、10〜20℃で6時間かけて滴下した。さらに同温度で2時間反応を続けた。反応終了後、10℃以下に冷却して、置換プロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬を得た。結果を表4に示す。
【0050】
〔表4〕
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
実施例 :置換プロパルギルハライド: グリニヤール試薬
: : 濃度 : 収率
: : モル/kg : %
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
14 : PG(9) : 1.02 : 93.6
15 : PG(10) : 0.93 : 93.0
16 : PG(11) : 0.92 : 92.2
17 : PG(12) : 1.02 : 93.8
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

〔実施例18〕4,4−ジメチル−2−ペンチニルマグネシウムクロリドを主成分とするグリニヤール試薬の製造
窒素雰囲気下、温度計、還流冷却器、撹拌機および滴下ロートを備えた2000mlの4つ口フラスコに削状マグネシウム23.09g(0.95モル)、ジエチルエーテル20g、塩化亜鉛2.73g(0.02モル)及びPG(13)3.92g(0.02モル)を仕込み、30℃で反応を開始させた。15℃に冷却し、これに、PG(13)126.7g(0.97モル)及びジエチルエーテル720gの混合液を、10〜20℃で6時間かけて滴下した。さらに同温度で2時間反応を続けた。反応終了後、10℃以下に冷却して、4,4−ジメチル−2−ペンチニルマグネシウムクロリドを主成分とするグリニヤール試薬を得た。結果を表5に示す。
【0051】
〔実施例19〕2−オクチニルマグネシウムブロミドを主成分とするグリニヤール試薬の製造
窒素雰囲気下、温度計、還流冷却器、撹拌機および滴下ロートを備えた2000mlの4つ口フラスコに削状マグネシウム24.31g(1.0モル)、ジエチルエーテル30g、臭化亜鉛6.76g(0.03モル)及びPG(14)5.67g(0.03モル)を仕込み、20℃で反応を開始させた。10℃に冷却し、これに、PG(14)183.43g(0.97モル)及びジエチルエーテル1470gの混合液を、10〜20℃で10時間かけて滴下した。さらに同温度で2時間反応を続けた。反応終了後、10℃以下に冷却して、2−オクチニルマグネシウムブロミドを主成分とするグリニヤール試薬を得た。結果を表5に示す。
【0052】
〔実施例20〕3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロパルギルマグネシウムクロリドを主成分とするグリニヤール試薬の製造
窒素雰囲気下、温度計、還流冷却器、撹拌機および滴下ロートを備えた2000mlの4つ口フラスコに削状マグネシウム29.17g(1.2モル)、ジエチルエーテル30g、PG(15)7.22g(0.02モル)及びヨウ素0.3gを仕込み、30℃で反応を開始させた。15℃に冷却し、臭化亜鉛4.5g(0.02モル)を添加して、これに、PG(15)233.47g(0.97モル)及びジエチルエーテル710gの混合液を、10〜20℃で6時間かけて滴下した。さらに同温度で2時間反応を続けた。反応終了後、不溶物を窒素雰囲気下で濾過して除き、3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロパルギルマグネシウムクロリドを主成分とするグリニヤール試薬を得た。結果を表5に示す。
【0053】
〔実施例21〕3−トリメチルシリルプロパルギルマグネシウムブロミドを主成分とするグリニヤール試薬の製造
窒素雰囲気下、温度計、還流冷却器、撹拌機および滴下ロートを備えた2000mlの4つ口フラスコに削状マグネシウム24.31g(1.0モル)、ジエチルエーテル20g及び〔実施例5〕で得られた3−トリメチルシリルプロパルギルマグネシウムブロミドを主成分とするグリニヤール試薬2.0g(2ミリモル)を仕込み、20℃でマグネシウムを活性化した。10℃に冷却し、臭化亜鉛6.76g(0.03モル)を添加して、これに、PG(1)192.17g(1モル)及びジエチルエーテル720gの混合液を、10〜20℃で7時間かけて滴下した。さらに同温度で3時間反応を続けた。反応終了後、10℃以下に冷却して、置換プロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬を得た。結果を表5に示す。
【0054】
〔表5〕
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
実施例 :置換プロパルギルハライド: グリニヤール試薬
: : 濃度 : 収率
: : モル/kg : %
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
18 : PG(13) : 1.00 : 94.5
19 : PG(14) : 0.97 : 93.2
20 : PG(15) : 0.53 : 93.8
21 : PG(1) : 0.97 : 93.5
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

〔比較例1〕触媒を使用しない3−トリメチルシリルプロパルギルマグネシウムブロミドを主成分とするグリニヤール試薬の製造
窒素雰囲気下、温度計、還流冷却器、撹拌機および滴下ロートを備えた2000mlの4つ口フラスコに削状マグネシウム24.31g(1.0モル)、ジエチルエーテル25g及びPG(1)(3−トリメチルシリルプロパルギルブロミド)5.73g(0.03モル)を仕込み、30℃でマグネシウムを活性化した。15℃に冷却し、これに、PG(1)185.41g(0.97モル)及びジエチルエーテル715gの混合液を、10〜20℃で5時間かけて滴下した。さらに同温度で3時間反応を続けたが、マグネシウムは全く消費されず、PG(1)とマグネシウムの反応が進行しなかった。
【0055】
〔比較例2〜6〕触媒に塩化水銀(I)を使用した置換プロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬の製造
窒素雰囲気下、温度計、還流冷却器、撹拌機および滴下ロートを備えた2000mlの4つ口フラスコに削状マグネシウム24.31g(1.0モル)、ジエチルエーテル20g、塩化水銀(I)4.72g(0.02モル)及び置換プロパルギルハライド(原料名は表6に記載)(0.03モル)を仕込み、30℃に加温して反応を開始させた。10℃に冷却し、これに、置換プロパルギルハライド(原料名は表6に記載)(0.97モル)及びジエチルエーテル720gの混合液を、10℃以下で7時間かけて滴下した。さらに同温度で3時間反応を続けた。反応終了後、置換プロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬を得た。結果を表6に示す。
【0056】
〔表6〕
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
比較例 :置換プロパルギルハライド: グリニヤール試薬
: : 濃度 : 収率
: : モル/kg : %
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
1 : PG(1) : 0(生成せず) : 0
2 : PG(1) : 0.81 : 77.8
3 : PG(4) : 0.86 : 80.4
4 : PG(10) : 0.76 : 76.0
5 : PG(12) : 0.82 : 75.4
6 : PG(14) : 0.83 : 79.5
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

〔参考例1〕
窒素雰囲気下、温度計,還流冷却器,攪拌機及び滴下ロートを備えた300mlの4ツ口フラスコに、ケイ皮アルデヒド13.42g(0.1モル)、テトラヒドロフラン[THF]50mlを仕込み、0℃で実施例7で得られたプロパルギルマグネシウムブロミドを主成分とするグリニヤール試薬溶液(濃度1.82モル/kg)65.93g(0.12モル)を3時間かけて滴下した。反応液を40℃まで加熱し、同温度で3時間反応を続けた。反応終了後、反応液を塩酸で分解し、生成物をジエチルエーテルで抽出し、HPLCで分析したところ、6−フェニル−4−ヘキシノール(プロパルギル基付加体)と6−フェニル−1,2−ヘキサジエン−4−オール(アレニル基付加体)が10:1の比率で生成していることを確認した。
【0057】
〔参考例2〕
温度計,還流冷却器,攪拌機及び滴下ロートを備えた300mlの4ツ口フラスコに、ケイ皮アルデヒド13.42g(0.1モル)、THF50mlを仕込み、0℃で実施例19で得られた2−オクチニルマグネシウムブロミドを主成分とするグリニヤール試薬溶液123.7g(0.12モル)を3時間かけて滴下した。反応液を40℃まで加熱し、同温度で5時間反応を続けた。反応終了後、反応液を塩酸で分解し、生成物をジエチルエーテルで抽出し、HPLCで分析したところ、11−フェニル−6−ウンデシン−9−オール(プロパルギル基付加体)と6−フェニル−3−ペンチル−1,2−ヘキサジエン−4−オール(アレニル基付加体)が1:1の比率で生成していることを確認した。
【0058】
実施例1〜21及び比較例1〜6を見れば明らかな如く、本発明の方法により、有害な水銀化合物を触媒として使用することなく、置換プロパルギルハライドとマグネシウムから高収率で置換プロパルギルマグネシウムハライドを高収率で調製できる。なお、比較例1の如く、触媒を使用しない場合には目的のグリニヤール試薬は全く得られない。なお、参考例1及び2から明らかな如く、本発明で得られるグリニヤール試薬を反応に使用すると、グリニヤール試薬の種類及びグリニヤール試薬と反応させる化合物によってはアレニル基が導入された化合物も生成することもあるが、本発明のグリニヤール試薬は、置換プロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明によれば、有毒な水銀化合物を触媒として使用することなく、プロパルギルハライドとマグネシウムから、各種の化学薬品及び医薬品の製造原料として有用なプロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬を高収率且つ環境保全上問題なく安全に製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】

〔式(1)中、RはH、炭素数1〜19のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシメトキシメチル基、アリール基、フェノキシ基、アラルキル基、ベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基又は炭素数1〜4の同一でも異なっていてもよい3個の低級アルキル基が結合したトリアルキルシリル基を示し、XはCl、Br又はIを示す。〕
で示される置換プロパルギルハライドとマグネシウムを、塩化亜鉛、臭化亜鉛又はヨウ化亜鉛から選ばれた少なくとも1種のハロゲン化亜鉛の存在下反応させることを特徴とする、
式(2)
【化2】

〔式(2)中、RはH、炭素数1〜19のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシメトキシメチル基、アリール基、フェノキシ基、アラルキル基、ベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基又は炭素数1〜4の同一でも異なっていてもよい3個の低級アルキル基が結合したトリアルキルシリル基を示し、XはCl、Br又はIを示す。〕
で示される置換プロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬の製造法。
【請求項2】
ハロゲン化亜鉛を、置換プロパルギルハライドに対して0.1〜10モル%使用することを特徴とする、請求項1に記載の置換プロパルギルマグネシウムハライドを主成分とするグリニヤール試薬の製造法。

【公開番号】特開2008−137910(P2008−137910A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323490(P2006−323490)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000175548)三共有機合成株式会社 (5)
【Fターム(参考)】