説明

グリホサートの高強度、低粘度除草製剤

本発明は、高濃度のグリホサートモノメチルアミンまたはジメチルアミン塩およびグリホサート塩の除草活性を向上させるために選択された1つ以上の界面活性剤を含有する高強度除草製剤に関する。製剤は、高い濃度で著しくより低い粘度を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N−ホスホノメチルグリシン(グリホサート)の高強度、液体製剤、さらに詳細にはグリホサートのモノメチルアミン(MMA)およびジメチルアミン(DMA)塩に関する。
【背景技術】
【0002】
グリホサートは既知の、有効な除草剤である。米国特許第4,405,531号は、メチルアミン塩およびジメチルアミン塩を含む、除草剤として有用なグリホサートの有機アンモニウム塩の長いリストを開示しており、一例として、モノアルキルアンモニウムおよびジアルキルアンモニウムは、特に好ましい塩として挙げられている。各種の製剤が現在市販されており、その多くは、そのまま使用できる、または使用前に希釈できる水溶液である。通例、グリホサートは塩として提供され、これは水中で十分に高い溶解度を示して高強度除草製剤がもたらされる。たとえば米国特許第6,277,788号は、グリホサートのイソプロピルアミン塩(IPA)およびモノエタノールアミン(MEA)塩の両者を開示している。加えて、米国特許第6,365,551号およびWO01/89302は、グリホサートのカリウム(K)塩を含む各種の製剤を開示している。高強度製剤は、各種の経済的および環境的理由のために好ましい。たとえば、出荷および取扱コストを低減するために、そして廃棄しなければならない梱包材料の量を低減するために、高強度製剤を提供することが望ましい。高強度製剤は貯蔵および出荷の間に安定であり、効能を保持するはずである。さらに高強度製剤は、少なくとも50℃もの高い温度で安定である透明で均質な液体であり、0℃もの低い温度で沈殿を呈するはずはない。
【0003】
除草製剤は通例、有効性を向上させる界面活性剤を含む。界面活性剤の包含は、得られた製剤が実質的に向上した除草活性を示すため、高度に望ましい。たとえばWO03/063589は、アルキルベタイン界面活性剤を他の界面活性剤と併用して使用するグリホサート製剤について述べる。しかしながら、選択された界面活性剤は、除草製剤の粘度を上昇させるグリホサート塩と相互作用可能であるか、または一般にグリホサート塩溶液と不適合であるかのどちらかである。ある界面活性剤、たとえばオキシアルキレンアルキルアミンクラスの化合物中の界面活性剤の一部は、グリホサート塩と併用するときに、製剤の粘度を上昇させる。粘度が高すぎる場合、濃縮除草剤の取扱は困難となりうる。さらに高粘度液体は、植物への利用、またはより濃度の低いスプレー溶液への希釈のどちらかのために、正確に測定することが困難である。濃度および特定の界面活性剤によって、除草製剤はゲルを形成することがあり、ゲルは大半の用途を、実施不可能でない場合には、極めて困難にする。
【0004】
一般に使用されるグリホサートのIPA塩の製剤は、350グラム酸当量/リットル(gae/l)を超える濃度にて、特に440gae/lを超える濃度にて、ますます粘性となる。高粘度は特に、通例、季節の始めに遭遇するより低い温度にて、製剤の計量およびポンプ輸送を困難にする。
【0005】
グリホサートのMEAおよびK塩の主な制限は、広範囲に渡る界面活性剤との不適合性である。特に米国特許第6,277,788号は、炭素原子の総平均数とオキシエチレン基の平均数との合計が25以下であるときに、ポリオキシエチレンアルキルアミンがグリホサートのMEA塩と唯一適合性であることを開示している。グリホサートのK塩は低粘度、高強度グリホサート製剤を形成する能力を供給するが、グリホサートの効能を向上させるために一般に使用される多くの界面活性剤がグリホサートK塩溶液と適合性でないという点で、ある著しい制限を有する。たとえば一般に使用されるアルキルアミンエトキシレート界面活性剤は、エトキシル化度がわずか5であるときに、唯一適合性である(均質混合物を形成する)。しかしながら、低いエトキシル化度を持つアルキルアミンエトキシレート界面活性剤は、より高いエトキシル化度、たとえば15〜20モル エチレンオキシドを有するアルキルアミンエトキシレート界面活性剤よりも、目の炎症を引き起こすより高い可能性を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の問題に照らして、低い粘度を示し、適切に有効な界面活性剤を含有する改良された高強度除草製剤を含む、関連分野におけるさらなる改良への継続的な要求がある。本発明は、これらの要求に対処し、広範囲に渡る利益および利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
グリホサートのモノメチルアミン(MMA)およびジメチルアミン(DMA)塩が驚くほど低い粘度での高強度液体製剤の調製を可能にすることが、今や見出されている。さらに、低粘度特性をなお維持しながら、1又はそれ以上の有効性向上界面活性剤の十分な量を高強度製剤に含有させることができる。本発明は、(a)水と、(b)組成物1リットル当たり350グラム酸当量(gae/l)を超える水溶液中の、主にMMAまたはDMA塩の形のグリホサートと、(c)組成物1リットル当たり20〜200グラム(g/l)の全量の少なくとも1つの界面活性剤とを含む、高強度除草濃縮組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
除草製剤は、除草的に有効な界面活性剤を含む。この界面活性剤は、製剤の除草活性を向上させ、高強度製剤の粘度を最小限にするために選択される。グリホサートのMMAおよびDMA塩は、広範囲に渡る界面活性剤と適合する。好ましい界面活性剤は、以下の群の界面活性剤から選択される。
(a)化学式
【化9】

(式中、R1は、場合により1又はそれ以上のエーテル結合に割り込まれたC8−C24、好ましくはC12−C18直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和ヒドロカルビル基であり、R2およびR3は独立してC1−C4アルキル基、好ましくはメチル基また合計2〜22個のアルキレンオキシド単位、好ましくはエチレンオキシド単位を有するポリオキシアルキレン鎖である)を有する、アルキルアミンおよびアルキルエーテルアミン界面活性剤、
(b)化学式
【化10】

(式中、Z-は農業的に許容されるアニオン、たとえばクロライド、ブロミド、ヨージド、サルフェートまたはアセテートであり、R4、R5、R6およびR7は制限なく以下、
(i)R4は、場合により1又はそれ以上のエーテル結合に割り込まれた、ベンジルまたはC8−C24、好ましくはC12−C18直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和ヒドロカルビル基であり、R5、R6およびR7は、独立してC1−C4アルキル基、好ましくはメチル基であり、
(ii)R4およびR5は独立して、場合により1又はそれ以上のエーテル結合に割り込まれたC8−C24、好ましくはC12−C18直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和ヒドロカルビル基であり、R6およびR7は独立してC1−C4アルキル基、好ましくはメチル基であり、
(iii)R4は、場合により1又はそれ以上のエーテル結合に割り込まれたC8−C24、好ましくはC12−C18、直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和ヒドロカルビル基であり、R5は、2〜22個の、好ましくは2〜15個のC2−C4アルキレンオキシド単位、好ましくはエチレンオキシド単位を有するポリオキシアルキレン鎖であり、R6およびR7は独立して、C1−C4アルキル基、好ましくはメチル基であり、あるいは
(iv)R4は、場合により1又はそれ以上のエーテル結合に割り込まれたC8−C24、好ましくはC12−C18直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和ヒドロカルビル基であり、R5およびR6は、2〜22個の、好ましくは2〜15個のC2−C4アルキレンオキシド単位、好ましくはエチレンオキシド単位を有するポリオキシアルキレン鎖であり、R7はC1−C4アルキル基、好ましくはメチル基である、
を含む)を有する、第4級アンモニウム界面活性剤、
(c)化学式
【化11】

(式中、R8、R9、R10およびnは制限なく、以下、
(v)R8は、C8−C24、好ましくはC12−C18直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和ヒドロカルビル基であり、R9およびR10は独立して、C1−C4アルキル基、好ましくはメチル基または水素原子であり、nは1〜5の整数である、または
(vi)R8は、[R11−CONH−(CH2x−]ラジカル(式中、R11はC8−C24、好ましくはC12−C18、直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和ヒドロカルビル基であり、xは1〜5の整数である)であり、R9およびR10は独立して、C1−C4アルキル基、好ましくはメチル基または水素原子であり、nは1〜5の整数である、
を含む)を有する、両性界面活性剤、
(d)化学式
【化12】

(式中、R12は、C8−C24、好ましくはC12−C18直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和ヒドロカルビル基であり、R13は独立して、水素原子あるいはメチルまたはエチルラジカル、好ましくは水素原子を示し、nは2〜50の、好ましくは10〜30の整数であり、R14はC1−C4アルキル基、好ましくはメチル基または水素原子である)を有する、アルコールエトキシラート、
(e)化学式
【化13】

(式中、式R15は、C6−C20、好ましくはC8−C18直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和ヒドロカルビル基であり、R16は独立して、水素原子あるいはメチルまたはエチルラジカル、好ましくは水素原子を示し、nは0〜10の、好ましくは2〜10の範囲の整数であり、Mは独立して、水素原子、アルカリまたはアルカリ土類金属、アンモニウムまたはアルキルアンモニウムイオンを示し、mは1から2の範囲の整数である)を有する、アルコールエトキシレートホスフェートエステル、
(f)一般化学式
【化14】

(式中、ポリグリコシドはグルコースあるいは他のモノ−、ジ−またはポリサッカライドに由来し、nは重合度であり、通例1〜3の範囲内であり、R17はC6−C18、好ましくはC8−C10直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和ヒドロカルビル基である)
を有するアルキルポリグリコシド、
(g)化学式
【化15】

(式中、ポリグリコシドはグルコースあるいは他のモノ−、ジ−またはポリサッカライドに由来し、nは重合度であり、通例1〜3の範囲内であり、R18は、C6−C18、好ましくはC8−C10直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和ヒドロカルビル基であり、Xはバイ−またはトリ−カルボン酸、好ましくはクエン酸、酒石酸またはスルホコハク酸に由来するカルボキシラート部分を示す)
を有するアルキルポリグリコシドのアニオン性エステル誘導体(欧州特許第EP 0258 814 B1号を参照)、あるいは
(h)その混合物。
【0009】
グリホサートのMMAおよびDMA塩は、市販されてきた他の塩に勝るある利点を提供する。それらは、目の炎症を示す傾向がより低い、高度のエトキシル化を有するアルキルアミンエトキシラートと適合性である。加えて、グリホサートK塩の他の除草剤酸塩とのタンク混合物(たとえばトリクロピル、2,4−D)は、第2の除草剤酸の溶解性の低いカリウム塩を形成可能であり、それゆえ第2の除草剤の生物的有効性を低減させる。MMAおよびDMA塩は、この不適合性の問題を克服する。さらにMMAおよびDMA塩は、IPAまたはMEA塩より低い分子量を有する。それゆえ所与の塩濃度において、グリホサートのMMAまたはDMA塩は、IPA塩または最近記載されたMEA塩よりも高いグリホサート酸当量含有量を有する。
【0010】
またなお別の形式では、本発明は、除草製剤を用いて植物を処理する方法を提供する。製剤は、上述のように提供できる。製剤は通例、出芽後散布除草剤として使用できる。製剤は高濃縮溶液として使用可能であり、または好ましくは植物への使用前に水で希釈する。加えて、グリホサートのMMA塩はシロザ(lambsquarters)の防除において、他の塩よりも特に有効である。
【0011】
一般に本発明は、グリホサートのMMAまたはDMA塩と、有効な界面活性剤とを含有する高強度除草濃縮組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、(a)水と、(b)主に、組成物の350(gae/l)を超える量の水による溶液中の、MMAまたはDMA塩の形でのグリホサートと、(c)組成物の20〜200(g/l)の全量の少なくとも1つの界面活性剤とを含む、高強度除草濃縮組成物を提供する。
【0012】
除草製剤は、高強度製剤を提供するのに十分な量でグリホサート塩を含む。好ましい実施形態において、高強度除草製剤は、グリホサート塩のグリホサート酸当量に基づいて350gae/l超を含み、さらに好ましくは、高強度除草製剤は、グリホサート塩のグリホサート酸当量に基づいて440gae/l超を含み、最も好ましくは、高強度除草製剤は、グリホサート塩のグリホサート酸当量に基づいて480gae/l超を含む。
【0013】
好ましい実施形態において、本発明は、高温にて貯蔵安定性である高強度除草製剤を含む。すなわち製剤は、貯蔵条件下で濁りを生じない、透明で均質であり安定な溶液を形成する。さらに好ましくは、本発明の製剤は、50℃以上の温度にて、さらに好ましくは60℃以上の温度にて安定である。
【0014】
さらに除草製剤は、低温においていずれの成分の分離または沈殿(または結晶化)も示さない。たとえば高強度製剤は、10℃より低い温度にて、さらに好ましくは0℃より低い温度にて透明溶液のままである。
【0015】
「主に」という用語は上記の文脈において、酸当量として表されるグリホサートの重量の少なくとも50パーセント、好ましくは少なくとも75パーセント、さらに好ましくは少なくとも90パーセントがMMAまたはDMA塩として存在することを意味する。残りは、製剤が少なくとも50℃の高さの温度にて安定である透明で均質な液体のままであり、10℃の低さの温度にて一切の沈殿を呈さないという条件で、他の塩、たとえばIPA塩より構成されうる。
【0016】
高強度除草製剤は、界面活性剤の効力向上(efficacy-enhancing)量も含む。好ましい実施形態において、界面活性剤は、除草製剤中に高濃度のグリホサートを有する溶液と適合性であるように選択される。本出願において「適合性の」という用語の使用により、その意味の範囲内で、得られた溶液が最初に濁りとして観察可能であり、規定された温度にて通例判定される、製剤における相分離または沈殿を示さないことを含む、ということが当業者に理解されるであろう。
【0017】
本発明で使用する界面活性剤は、好ましくは以下の種類の化合物の1又はそれ以上を含むように選択される、8〜22個の炭素原子および合計1〜20個のアルキレンオキシド基を有するアルコキシル化アルキルアミン界面活性剤、Akzo Nobelから、それぞれEthomeen(商標)C/15、Ethomeen T/15、およびEthomeen T/20として入手可能、エーテルアミン界面活性剤、たとえばそれぞれTomah E−14−2、Tomah E−14−5およびTomah E−17−5;第4級アンモニウム界面活性剤、たとえばEthoquad(商標)C/12、Ethoquad 18/12またはTomah Q−14−2;両性界面活性剤、たとえばRhodiaによるGeronol(商標)CF/AS 30またはGoldschmidtによるTego(商標)Betaine F 50;アルコールエトキシラート、たとえばTergitol(商標)15S20;アルコールエトキシレートホスフェートエステル、たとえばRhodiaによるGeranol CF/AR;アルキルポリグリコシド、たとえばAkzo Nobel AG 6202またはAG6210;あるいはアルキルポリグリコシドのアニオン性エステル誘導体、たとえばEucarol(商標)AGE界面活性剤。
【0018】
界面活性剤は除草製剤に所望の濃度で含めることができる。好ましくは、所望の濃度は、得られた製剤の除草活性を、界面活性剤を含まない比較可能な除草製剤で見られる除草活性よりも向上させるのに十分である。さらに好ましくは、除草製剤は界面活性剤を20g/l〜200g/lの量で、さらに好ましくは100g/l〜150g/lの量で含む。
【0019】
グリホサートのMMAまたはDMA塩と併せて具体的な界面活性剤を慎重に選択することで、得られた除草製剤の粘度が大きく改善されることが、予想外に判断されている。最も好ましいのは、界面活性剤の混合物である。たとえば獣脂アミン(tallowamine)エトキシレートと、Geronol CF/AS 30などの両性界面活性剤とのブレンドは、粘度に相乗効果を示し、すなわち界面活性剤のブレンドを含有する製剤の粘度は、個々の界面活性剤を同じ濃度で含有する製剤の粘度よりも著しく低い。好ましい実施形態において、除草製剤は、140センチポイズ(140ミリパスカル・s;mPa・s)未満の、さらに好ましくは100センチポイズ(100mPa・s)未満の粘度を示すように供給される。
【0020】
さらに界面活性剤およびグリホサートのMMAまたはDMA塩の選択した組合せは、製剤中で高濃度にて適合性のままである。得られた水性組成物は、高強度除草製剤として提供できる。
【0021】
本明細書で述べた製剤は、除草効果を誘発するのに十分な量で植物に使用できる。たとえば本発明によって調製された製剤は、水溶液として、植物の葉、茎、枝、花および/または果実を含む植物に使用できる。除草製剤は、植物の成長を阻害する、または個々の植物を枯らすのに十分な除草有効量で使用できる。
【0022】
本発明に従って調製された農業用組成物は、各種の雑草に対する除草剤組成物として非常に有効である。本発明の製剤はそのまま、あるいは調合農業製品で良く使用される他の農業的に許容されるアジュバント、たとえば消泡剤、適合化剤、金属イオン封鎖剤(sequestering agents)、中和剤および緩衝剤、防食剤、染料、着臭剤、浸透助剤、湿潤剤、展着剤、分散剤、増粘剤、凍結点降下剤、抗菌薬、クロップオイル、他の生物および/または農業活性成分などを含む他の成分と組合せて使用できる。濃縮農業用製剤は通例、水で希釈して、当業者に周知の従来手段によって使用する。
【実施例1】
【0023】
高強度グリホサートDMA塩製剤の調製
グリホサートDMA塩濃縮物は、グリホサートテクニカルウェットケーキ 408gと、水 61gによる40% ジメチルアミン水溶液 283gと反応させることによって調製した。濃縮物は62%のグリホサートDMA塩を含有していた。溶液は1.259g/mlの密度を有する。
【0024】
製剤は、濃縮物を界面活性剤および水の適切な量とブレンドすることによって調製した。表1中の得られた例は本発明を例証している。
【表1】

【0025】
すべての製剤形は、透明で均質な液体を形成する。製剤は貯蔵安定性であり、54℃にて2週間では相分離がなく、−10℃にて2週間では結晶化がなかった。上の製剤の曇り点は60℃超であった。
【0026】
サンプル製剤の粘度は、Brookfield LVT粘度計またはBohlin CS−50レオメータで測定し、市販の高強度製剤と比較した。驚くべきことに、高強度グリホサートDMA塩製剤の粘度は、市販標準の粘度よりも著しく低かった(表2を参照)。
【0027】
予想外に、製剤8を4部と製剤7を1部とをブレンドすることによって調製した製剤9は、2つの製剤のどちらか一方単独よりも低い粘度を有する。単純な混合規則に従った予測粘度は249mPa・sであるのに対して、実際の粘度は同じ全界面活性剤濃度においてわずか59mPa・sであった。このことは、2つの界面活性剤のブレンドの相乗粘度効果を証明する。
【表2】

【実施例2】
【0028】
高強度グリホサートDMA塩製剤の効力
グリホサートDMA塩製剤を、温室試験において一連の5種類の双子葉および3種類の単子葉雑草に対する効力について評価した。製剤は100、200、400、600および800gae/haにて、標準処理としてのRoundup Ultra(商標)除草剤、Roundup UltraMAX(商標)およびRoundup WeatherMAX(商標)除草剤(すべてMonsanto)と共に使用した。噴霧体積は187リットル/ヘクタール(l/ha)であった。雑草は使用時には3葉期であった。各処理は、3回反復した。評価は、使用14日後に、防除%の目視評価によって行った。
【0029】
表3は、600gae/haの使用率での個々の雑草種についての防除パーセントを示す。
【表3】

平均して、試験をした8種について、DMA塩製剤の効力(100g/l 界面活性剤のみ含む)は、市販のIPA塩製剤の効力(180g/l 界面活性剤を含む)よりも優れていた。
【0030】
表4は、市販の高強度製剤Roundup UltraMAXと比較した、480gae/l グリホサートDMA塩製剤6の生物効力を示す。DMA塩製剤は、すべての種で市販のIPA塩製剤よりも良好に機能する。
【表4】

平均して、試験をした8種について、DMA塩製剤の効力は、市販のIPA塩製剤の効力よりも優れていた。
【0031】
表5は、市販の高強度製剤Roundup WeatherMAX(540gae/l グリホサートK塩)と比較した、480gae/l グリホサートDMA塩製剤7および540gae/l グリホサートDMA塩製剤5の生物効力を比較する。DMA塩製剤は、すべての種で市販のK塩製剤よりも良好に機能する。
【表5】

平均して、試験をした8種について、DMA塩製剤の効力は、市販のIPA塩製剤の効力よりも優れていた。
【0032】
さらなる温室試験において、DMA4(456g/l DMA塩の形の2,4−D酸当量)およびGarlon 3A(360g/l トリエチルアミン[TEA]塩の形のトリクロピル酸当量)と混合したグリホサートDMA塩溶液の効力をそれぞれ、同じ混合物中のグリホサートK塩溶液の効力と比較した。
グリホサート塩溶液は、グリホサートDMA塩濃縮物およびグリホサートK塩濃縮物を、480g/l グリホサート酸当量をそれぞれ含有する溶液を調製するために必要な量の水で希釈することによって調製した。
5つの広葉種(IPOHE、CHEAL、EPHHL、ABUTHおよびCASOB)に、表6に示す混合物と同様に個々の製剤を噴霧した。
除草剤の相互作用をColbyの式によって解析した。予測される混合物反応に関するこの式は、
1+2=y1+y2−(y12)/100
であり、式中、y1+2は予測される混合物反応であり、y1およびy2は個々の除草剤の防除パーセント値である。
【表6】

結果は、Colbyの式を使用して予測した防除と比較して低下した実際の防除に見られるように、グリホサートK塩が2,4−D DMAとトリクロピルTEAの両方に対して拮抗性であることを示している。これに対して、グリホサートDMA塩は拮抗性を示さず、実際の防除は予測した防除と同等であり、それゆえグリホサートK塩よりも著しい改善を実現している。
【実施例3】
【0033】
高強度グリホサートMMA塩製剤の調製
グリホサートMMA塩濃縮物は、グリホサートテクニカルウェットケーキ 505gを、水 121gによる41% メチルアミン水溶液 238gと反応させることによって調製した。濃縮物は62% グリホサートMMA塩を含有していた。溶液は1.302g/mlの密度を有する。
【0034】
製剤は、濃縮物を界面活性剤および水の適切な量とブレンドすることによって調製した。表7中の得られた例は本発明を例証している。
【表7】

【0035】
すべての製剤は、透明で均質な液体を形成する。製剤は貯蔵安定性であり、54℃にて2週間では相分離がなく、−10℃にて2週間では結晶化がなかった。上の製剤の曇り点は60℃超であった。
【0036】
サンプル製剤の粘度は、Brookfield LVT粘度計またはBohlin CS−50レオメータで測定し、市販の高強度製剤と比較した。驚くべきことに、高強度 グリホサートMMA塩製剤の粘度は、市販標準の粘度よりも著しく低かった(表8を参照)。
【表8】

【0037】
驚くべきことに、製剤15を1部と製剤16を2部とをブレンドすることによって調製したサンプル20は、2つの製剤のどちらか一方単独よりも低い粘度を有する。粘度が簡単な混合規則に従う場合、予測粘度は130mPa・sである。28mPa・sのみの測定粘度が、2つの界面活性剤のブレンドの相乗粘度効果を証明する。
【実施例4】
【0038】
高強度グリホサートMMA塩製剤の効力
グリホサートMMA塩製剤を、温室試験において一連の5種類の双子葉および3種類の単子葉雑草に対する効力について評価した。製剤は100、200、400、600および800gae/haにて、標準処理としてのRoundup WeatherMAX除草剤(Monsanto)と共に使用した。噴霧体積は140リットル/ヘクタール(l/ha)である。雑草は使用時には3葉期であった。各処理は3回反復した。評価は、使用14日後に、防除%の目視評価によって行った。
表9は、400gae/haの使用率での個々の雑草種についての防除パーセントを示す。
【表9】

平均して、試験をした8種について、MMA塩製剤の効力は、市販のグリホサートK塩製剤の効力よりも優れていた。
【0039】
表10は、米国中西部で特に厄介な雑草であるシロザに対する、市販の高強度製剤Roundup WeatherMAXと比較したグリホサートMMA塩製剤20、21および22の使用9日後のGR90値の比較を示す。
【表10】

【0040】
シロザの90%の防除を提供するために必要なgae/haでの値である、GR90値は、市販のRoundup WeatherMAX製剤と比較して、グリホサートMMA製剤では著しく低い(表10の高および低値は、95%信頼区間を反映している)。特にグリホサートMMA塩製剤20は、同じレベルのシロザ防除を達成するために、市販の標準Roundup WeatherMAXと比較して、ヘクタール当たりわずか半分の量のグリホサート酸当量を必要とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)水と、(b)組成物1リットル当たり350グラム酸当量を超える量の、水溶液中の主にモノメチルアミンまたはジメチルアミン塩の形のグリホサートと、(c)組成物1リットル当たり20〜200グラムの全量の、少なくとも1つの界面活性剤と、を含む高強度除草濃縮組成物。
【請求項2】
組成物1リットル当たり440グラム超グリホサート酸当量を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
140センチポイズ未満の粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
界面活性剤が
(a)化学式
【化1】

(式中、R1は、場合により1又はそれ以上のエーテル結合に割り込まれたC8−C24、好ましくはC12−C18直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和ヒドロカルビル基であり、R2およびR3は独立してC1−C4アルキル基、好ましくはメチル基また合計2〜22個のアルキレンオキシド単位、好ましくはエチレンオキシド単位を有するポリオキシアルキレン鎖である)を有する、アルキルアミンおよびアルキルエーテルアミン界面活性剤、
(b)化学式
【化2】

(式中、Z-は農業的に許容されるアニオン、たとえばクロライド、ブロミド、ヨージド、サルフェートまたはアセテートであり、R4、R5、R6およびR7は制限なく以下、
(i)R4は、場合により1又はそれ以上のエーテル結合に割り込まれた、ベンジルまたはC8−C24、好ましくはC12−C18直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和ヒドロカルビル基であり、R5、R6およびR7は、独立してC1−C4アルキル基、好ましくはメチル基であり、
(ii)R4およびR5は独立して、場合により1又はそれ以上のエーテル結合に割り込まれたC8−C24、好ましくはC12−C18直鎖または分岐鎖, 飽和または不飽和ヒドロカルビル基であり、R6およびR7は独立してC1−C4アルキル基、好ましくはメチル基であり、
(iii)R4は、場合により1又はそれ以上のエーテル結合に割り込まれたC8−C24、好ましくはC12−C18、直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和ヒドロカルビル基であり、R5は、2〜22個の、好ましくは2〜15個のC2−C4アルキレンオキシド単位、好ましくはエチレンオキシド単位を有するポリオキシアルキレン鎖であり、R6およびR7は独立して、C1−C4アルキル基、好ましくはメチル基であり、あるいは
(iv)R4は、場合により1又はそれ以上のエーテル結合に割り込まれたC8−C24、好ましくはC12−C18直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和ヒドロカルビル基であり、R5およびR6は、2〜22個の、好ましくは2〜15個のC2−C4アルキレンオキシド単位、好ましくはエチレンオキシド単位を有するポリオキシアルキレン鎖であり、R7はC1−C4アルキル基、好ましくはメチル基である、
を含む)を有する、第4級アンモニウム界面活性剤、
(c)化学式
【化3】

(式中、R8、R9、R10およびnは制限なく、以下、
(v)R8は、C8−C24、好ましくはC12−C18直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和ヒドロカルビル基であり、R9およびR10は独立して、C1−C4アルキル基、好ましくはメチル基または水素原子であり、nは1〜5の整数である、または
(vi)R8は、[R11−CONH−(CH2x−]ラジカル(式中、R11はC8−C24、好ましくはC12−C18、直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和ヒドロカルビル基であり、xは1〜5の整数である)であり、R9およびR10は独立して、C1−C4アルキル基、好ましくはメチル基または水素原子であり、nは1〜5の整数である、
を含む)を有する、両性界面活性剤、
(d)化学式
【化4】

(式中、R12は、C8−C24、好ましくはC12−C18直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和ヒドロカルビル基であり、R13は独立して、水素原子あるいはメチルまたはエチルラジカル、好ましくは水素原子を示し、nは2〜50の、好ましくは10〜30の整数であり、R14はC1−C4アルキル基、好ましくはメチル基または水素原子である)を有する、アルコールエトキシラート、
(e)化学式
【化5】

(式中、式R15は、C6−C20、好ましくはC8−C18直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和ヒドロカルビル基であり、R16は独立して、水素原子あるいはメチルまたはエチルラジカル、好ましくは水素原子を示し、nは0〜10の、好ましくは2〜10の範囲の整数であり、Mは独立して、水素原子、アルカリまたはアルカリ土類金属、アンモニウムまたはアルキルアンモニウムイオンを示し、mは1から2の範囲の整数である)を有する、アルコールエトキシレートホスフェートエステル、
(f)一般化学式
【化6】

(式中、ポリグリコシドはグルコースあるいは他のモノ−、ジ−またはポリサッカライドに由来し、nは重合度であり、通例1〜3の範囲内であり、R17はC6−C18、好ましくはC8−C10直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和ヒドロカルビル基である)
を有するアルキルポリグリコシド、
(g)化学式
【化7】

(式中、ポリグリコシドはグルコースあるいは他のモノ−、ジ−またはポリサッカライドに由来し、nは重合度であり、通例1〜3の範囲内であり、R18は、C6−C18、好ましくはC8−C10直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和ヒドロカルビル基であり、Xはバイ−またはトリ−カルボン酸、好ましくはクエン酸、酒石酸またはスルホコハク酸に由来するカルボキシラート部分を示す)
を有するアルキルポリグリコシドのアニオン性エステル誘導体、あるいは
(h)その混合物、
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
界面活性剤が、獣脂アミンエトキシラートのブレンドおよび式
【化8】

(式中、R8はC12−C14ヒドロカルビル基であり、R9およびR10はどちらもCH3であり、nは1である)を有する両性界面活性剤のブレンドの混合物である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
粘度が100センチポイズ未満であり、組成物1リットル当たり480グラム超グリホサート酸当量を含有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の水希釈組成物を草木に使用することを含む、望ましくない草木を防除する方法。

【公表番号】特表2007−501226(P2007−501226A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522536(P2006−522536)
【出願日】平成16年2月6日(2004.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/003472
【国際公開番号】WO2005/016002
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】