説明

グリホサート耐性マメ科植物の収穫量を改善する方法

本発明は、植物又は貯蔵種子を、a) 式I [X、m、Q及びAは、明細書に記載した通りの意味を有する]の化合物、及びb) グリホサート誘導体(II)を相乗効果を有する量で含む混合物により処理することを特徴とする、グリホサート耐性マメ科植物の収穫量を改善する方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリホサート耐性マメ科植物の収穫量を増加する方法であって、該植物又は種を、
a) 式I:
【化1】

【0002】
[式中、
Xは、ハロゲン、C1-C4-アルキル又はトリフルオロメチルである、
mは、0又は1である、
Qは、C(=CH-CH3)-COOCH3、C(=CH-OCH3)-COOCH3、C(=N-OCH3)-CONHCH3、C(=N-OCH3)-COOCH3又はN(-OCH3)-COOCH3である、
Aは、-O-B、-CH2O-B、-OCH2-B、-CH=CH-B、-C≡C-B、-CH2O-N=C(R1)-B又は-CH2O-N=C(R1)-C(R2)=N-OR3であって、ここで、
Bは、フェニル、ナフチル、5員もしくは6員ヘテロアリール又は5員もしくは6員ヘテロシクリルであって、1から3個のN原子及び/又は1個のOもしくはS原子又は1個もしくは2個のO及び/又はS原子を含み、環系は無置換であるか、1から3個の基Raにより置換されている:
Raは、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルカルボニル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルホキシル、C3-C6-シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルオキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ-C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、ジ- C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、5もしくは6員ヘテロシクリル、5もしくは6員ヘテロアリール、5もしくは6員ヘテロアリールオキシ、C(=NOR’)-OR’’又はOC(R’)2-C(R’’)=NOR’’であって、
ここで、該環式基は、無置換であるか、1から3個の基Rbにより置換されている:
Rbは、シアノ、ニトロ、ハロゲン、アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルホキシル、C3-C6-シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルコキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ- C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルケニル、フェニル、フェノキシ、フェニルチオ、ベンジル、ベンジルオキシ、5もしくは6員ヘテロシクリル、5もしくは6員ヘテロアリール、5もしくは6員ヘテロアリールオキシ又はC(=NOR’)-OR’’である、
R’は、水素、シアノ、C1-C6-アルキル、C3-C6-シクロアルキル又はC1-C4-ハロアルキルである、
R’’は、水素、C1-C6-アルキル、C3-C6-アルケニル、C3-C6-アルキニル、C1-C4-ハロアルキル、C3-C6-ハロアルケニル又はC3-C6-ハロアルキニルである、
R1は、水素、シアノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C3-C6-シクロアルキル又はC1-C4-アルコキシである、
R2は、フェニル、フェニルカルボニル、フェニルスルホニル、5もしくは6員ヘテロアリール、5もしくは6員ヘテロアリールカルボニル又は5もしくは6員ヘテロアリールスルホニルであって、前記環系は無置換であるか、1から3個の基Raにより置換されているか、
又は、C1-C10-アルキル、C3-C6-シクロアルキル、C2-C10-アルケニル、C2-C10-アルキニル、C1-C10-アルキルカルボニル、C2-C10-アルケニルカルボニル、C3-C10-アルキニルカルボニル、C1-C10-アルキルスルホニル又はC(R’)=NOR’’であって、これらの基の炭化水素基は無置換であるか、1から3個の基Rcにより置換されている、
Rcは、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルホキシル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルコキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ-C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルキルオキシ、5又は6員ヘテロシクリル、5又は6員ヘテロシクリルオキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、フェニル、フェノキシ、フェニルチオ、5又は6員ヘテロアリール、5又は6員ヘテロアリールオキシ及びヘテロアリールチオであって、該環式基は部分的又は完全にハロゲン化されているか、これらに1から3個のRaが結合していてもよい、及び
R3は、水素、C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル又はC2-C6-アルキニルであって、これらの基の炭化水素基は無置換であるか、1から3個の基Rcにより置換されている]
の化合物;
と、
b) グリホサート(glyphosate)誘導体II;
とを相乗的に活性な量で含む混合物により処理することを含む前記方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般にストロビルリンと呼ばれる式Iの活性成分が、その殺菌作用に加えて、作物の収穫量の増加をもたらすことができることは、既に文献により公知である(Koehle H.ら、Gesunde Pflanzen 49 (1997), 267-271; Glaab J.ら、Planta 207 (1999), 442-448)。
【0004】
さらに、WO-A 97/36488により、サトウダイコン、飼料用ビート、トウモロコシ、アブラナ及びワタからなる群より選択されるグリホサート耐性植物にグリホサート誘導体を適用すると収穫量の増大が起こり得ることが知られている。さらに、US-A 3 988 142により、サトウキビのような植物にグリホサートを致死未満量で適用するとデンプン及び砂糖の生産が増加し、それにより植物の総収穫量が増加することが知られている。
【発明の開示】
【0005】
驚くべきことに、今回、グリホサート及び特にピラクロストロビンのようなストロビルリンを適用すると、マメ科植物において相乗効果が得られることが見出された。これは、本発明の混合物を適用することにより、ストロビルリンの収穫量増加効果及びグリホサ−ト誘導体の収穫量増加効果を純粋に相加したもの(数学用語における)を超えることを意味する。普通は殺菌剤及び除草剤は完全に異なる作用メカニズムを有すると考えてよいので、この相乗効果は非常に驚くべきことである。
【0006】
そこで、上に定義した方法が見出された。使用される式Iの活性成分は殺菌剤として、また場合によっては防虫剤としても公知である(EP-A 253 213; WO-A 95/18789; WO-A 95/24396; WO-A 96/01256; WO-A 97/15552)。けれども、これらの活性成分がグリホサート誘導体と組み合わせることにより、マメ科植物において収穫量の増加をもたらすかもしれないことを示唆するものは現在まで存在しなかった。
【0007】
植物が、植物の病気を防除するのに必要な濃度において式Iの活性成分に対して高い耐性を有すると、空中の植物部分を処理することが可能になる。
【0008】
本発明の方法において、活性成分Iは、好ましくは葉により吸収され、植物全体の樹液中に分布する。
【0009】
本発明の方法の好ましい実施形態において、遺伝子工学により改変されたマメ科植物の地上の植物部分を、a) ストロビルリン誘導体I及びb) グリホサート誘導体を含む本発明の混合物により処理する。グリホサートの適用により作物と雑草の間での栄養及び光の奪い合いが減少し、そのため作物の収穫量が増加する。本発明の混合物は、植物の地上部分に特に好ましく適用される。
【0010】
グリホサートの効果に耐性を有する植物を作る方法は、比較的最近の文献(EP-A 218 571, EP-A 293 358, WO-A 92/00377及びWO-A 92/04449)に記載されている。Chemical Abstracts, 123, No.21 (1995) A.N. 281158cには、グリホサート耐性ダイズ苗を作ることについて記載されている。他のグリホサート耐性マメ科植物は同様の方法により作ることができる。マメ科植物の形質転換の方法は文献により公知であり、上に大要を記載した通り、たとえば、グリホサート耐性インゲン、エンドウ、ヒラマメ、ラッカセイ及びウチワマメを作るために使用することができる。Plant Science (Shannon) 150(1) Jan.14, 2000, 41-49; J. of Plant Biochemistry & Biotechnology 9(2) July, 2000, 107-110; Acta Physiologiae Plantarum 22(2), 2000, 111-119; Molecular Breeding 5(1) 1999, 43-51; In Vitro Cellular & Developmental Biology, Animal 34 (3 Part 2) March, 1998, 53A; Plant Cell Reports 16(8), 1997, 513-519及び541-544; Theoretical & Applied Genetics 94(2), 1997, 151-158; Plant Science, 117 (1-2), 1996, 131-138; Plant Cell Reports 16(1-2), 1996, 32-37を参照されたい。
【0011】
たとえば、多くの真菌病及び除草剤グリホサートに耐性であるNIDERA AX 4919(登録商標)のようなダイズ変種を用いることができる。
【0012】
本発明の方法に用いられる活性成分の調製法は、上に引用した文献により公知である。
【0013】
下に記載する置換基を有する活性成分が、それぞれ単独で、又は組み合わせて用いることにより、本発明の方法に特に好ましい。
【0014】
本発明の方法に特に好ましい活性成分は、式IaからIgにおいて、
VがOCH3又はNHCH3で、YがCH又はNであるものである。
【0015】
好ましい活性成分である、式IにおいてQがC(=N-OCH3)-COOCH3である化合物は、文献EP-A 253 213及びEP-A 254 426に記載されている。
【0016】
好ましい活性成分である、式IにおいてQがC(=N-OCH3)-CONHCH3である化合物は、文献EP-A 398 692、EP-A 477 631及びEP-A 628 540に記載されている。
【0017】
好ましい活性成分である、式IにおいてQがN(-OCH3)-COOCH3である化合物は、文献WO-A 93/15046及びWO-A 96/01256に記載されている。
【0018】
好ましい活性成分である、式IにおいてQがC(=CH-OCH3)-COOCH3である化合物は、文献EP-A 178 826及びEP-A 278 595に記載されている。
【0019】
好ましい活性成分である、式IにおいてQがC(=CH-CH3)-COOCH3である化合物は、文献EP-A 280 185及びEP-A 350 691に記載されている。
【0020】
好ましい活性成分である、式IにおいてAが-CH2O-N=C(R1)-Bである化合物は、文献EP-A 460 575及びEP-A 463 488に記載されている。
【0021】
好ましい活性成分である、式IにおいてAが-O-Bである化合物は、文献EP-A 382 375及びEP-A 398 692に記載されている。
【0022】
好ましい活性成分である、式IにおいてAが-CH2O-N=C(R1)-C(R2)=N-OR3である化合物は、文献WO-A 95/18789、WO-A 95/21153、WO-A 95/21154、WO-A 97/05103、WO-A 97/06133及びWO-A 97/15552に記載されている。
【0023】
特に好ましいのは、式Iにおいて、
Qが、C(=N-OCH3)-COOH又はC(=N-OCH3)-CONHCH3であり、
Aが、CH2-O-であって、
Bが、-N=C(R1)-C(R2)=N-OR3である
[式中、
R1は、水素、シアノ、シクロプロピル、C1-C4-アルキル又はC1-C2-ハロアルキル、特にメチル、エチル、1-メチルエチル又はトリフルオロメチルであり、
R2は、C1-C4-アルキル、C2-C5-アルケニル、1又は2個のハロゲン原子により置換されたフェニルであるか、C(R’)=NOR’’であって、R’が上でR1について述べた基のうちの1つであり、R’’が水素、シクロプロピル又はC1-C4-アルキル、特にメチル、エチル又はイソプロピルであり、
R3は、R’’について述べた基のうちの1つである]
の活性成分である。これらの活性成分は、式Ib:
【化2】

【0024】
[式中、基は上記の通りの意味である]
により表される。
【0025】
式Ib’:
【化3】

【0026】
[式中、基は上記の通りの意味である]
の活性成分が特に好ましい。
【0027】
さらに、特に好ましい他の化合物は、式Ia:
【化4】

【0028】
[式中、TはCH又はNであり、Ra’及びRbはハロゲン又はC1-C4-アルキルであり、xは0、1又は2であり、yは0又は1である]
で表されるものである。
【0029】
下記の表にまとめられた活性成分が、収穫量を増加させるための使用に関して特に好ましい。
【0030】
表I
【化5】

【表1】

【0031】
活性成分Ia-5(一般名:ピラクロストロビン(pyraclostrobin))が特に好ましい。
【0032】
表II
【化6】

【表2】

【0033】
表III
【化7】

【表3】

【0034】
表IV
【化8】

【表4】

【0035】
表V
【化9】

【表5】

【0036】
表VI
【化10】

【表6】

【0037】
表VII
【化11】

【表7】

【0038】
使用することができる殺菌活性成分はストロビルリンIであって、単独で、又は他の殺菌活性成分、特にアゾールIxのクラスに属するものとの混合物として用いられる。
【0039】
この目的に適したアゾール活性成分は、
- フルキンコナゾール、Proc. Br. Crop Prot. Conf.-Pests Dis., 5-3, 411 (1992);
- メトコナゾール、Proc. Br. Crop Prot. Conf.-Pests Dis., 5-4, 419 (1992);
- プロクロラズ、US-A 3,991,071;
- プロピコナゾール、GB-A 1,522,657;
- プロチオコナゾール、WO-A 96/016048;
- テブコナゾール、US-A 4,723,984;
- エポキシコナゾール、EP-A 196038;
- ミクロブタニル、CAS RN [88671-89-0]
である。
【0040】
特に好ましいアゾールは、メトコナゾール、ミクロブタニル、エポキシコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール又はテブコナゾールである。
【0041】
たとえばストロビルリンI及びアゾールIxの殺菌剤混合物を使用する場合、これらは一般的に、I対Ixの重量比が20:1から0.05:1、好ましくは10:1から0.1:1になるように使用される。
【0042】
グリホサート誘導体IIは、基本的には、殺虫剤マニュアル(The Pesticide Manual)に記載されている下記の化合物を意味すると理解される。たとえば、グリホサートは遊離酸として、又はイソプロピルアンモニウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩又はトリメシウム(トリメチルスルホニウム)塩のような塩の形で使用することができる。塩の混合物もまた使用することができる。さらに、グリホサート誘導体IIには化合物、N-(ホスホノメチル)グリシンが含まれる。グリホサート誘導体IIの調製法は、殺虫剤マニュアル(第12版)に引用された文献に記載されている。
【0043】
グリホサート誘導体と組み合わせた化合物Iは、マメ科植物の生産力を高める。これらは、エンドウ、インゲン、ヒラマメ、ラッカセイ、ウチワマメ及び特にダイズのようなさまざまなグリホサート耐性作物の処理に関して重要である。相乗効果は、作られたグリホサート耐性マメ科植物について、独立して証明されている。
【0044】
特に、これらは下記の徴候を防除するのに適している:
- 十分な栄養を与えているのにもかかわらずしおれる徴候、
- たとえばダイズの脱色のような、緑の葉の組織の変色。
【0045】
化合物Iは、保護されるべき植物を有効量の活性成分で処理することにより適用される。適用はグリホサート誘導体IIを植物に適用する前及び後の両方でおこなうことができる。
【0046】
本発明の方法の好ましい実施形態において、植物の処理は、殺菌剤I及び除草剤IIの適用を同時におこなう。この場合に相乗効果は特に顕著である。
【0047】
活性成分Iを用いる場合、適用量は、気象条件及び植物種に依存して、ヘクタールあたり0.01から2.0kgの活性成分の範囲である。
【0048】
グリホサート誘導体IIを用いる場合、適用量は、気象条件及び植物種に依存して、ヘクタールあたり0.1から6.0kgの活性成分(酸の形に換算して)の範囲である。
【0049】
一般に、殺菌剤I又は殺菌剤混合物I及びIxは、除草剤IIに対して、5:1から0.01:1、好ましくは1:1から0.1:1の重量比で用いられる。
【0050】
化合物I及びグリホサート誘導体IIは、作物保護製品に通常用いられる製剤、たとえば、溶液、エマルション、サスペンション、粉剤、粉末、ペースト及び顆粒としてもよい。使用する剤形は実施する適用法に依存する。いずれの場合にも、本発明の混合物の均一で一様な分布が保証されなければならない。
【0051】
製剤は公知の方法、たとえば、活性成分を溶媒及び/又は担体により、必要ならば乳化剤及び分散剤を用いて増量することにより調製される。希釈剤として水を用いる場合には、共溶媒として他の有機溶媒を用いることも可能である。添加物は、基本的に通常殺菌剤に対して用いられるものである。
【0052】
一般的に、製剤は、0.01から95重量%の間の、好ましくは0.1から90重量%の間の活性成分を含む。活性成分は、90%から100%の、好ましくは95%から100%の純度(NMRスペクトルによる)を有するものを使用する。
【0053】
製剤の例は上に引用した出版物により公知である。
【0054】
水性の使用型は、通常エマルション濃縮物、ペースト又は湿潤性の粉末(噴霧可能な粉末、油分散物)に水を加えることにより調製することができる。エマルション、ペースト又は油分散物を調製するために、物質をそのまま、又は油又は溶媒に溶かして、湿潤剤、粘着剤、分散剤又は乳化剤を用いて水中に均一化する。あるいは、活性物質、湿潤剤、粘着剤、分散剤又は乳化剤、及び必要ならば溶媒又は油からなり、水による希釈に適した濃縮物を調製することができる。
【0055】
そのまま使用する製品における活性成分の濃度は、かなり大きい範囲で変化する。一般的に、これらは0.0001から10%の間、好ましくは0.01から1%の間である。
【0056】
活性成分はまた、95重量%以上の活性成分を含む製剤又は添加物を含まない活性成分そのものを適用することができる、極小量(ultra-low-volume:ULV)法によっても効果的に使用することができる。
【0057】
さまざまなタイプの油又は除草剤、他の殺菌剤、他の殺虫剤又は殺菌剤(bactericide)を、適切な場合には使用の直前に(タンク混合:tank mix)、活性成分に加えてもよい。これらの薬剤は本発明の組成物と、1:10から10:1の重量比で混合することができる。
【0058】
好ましくは、活性成分IはグリホサートIIと同時に、又は別々に植物に適用される。
【0059】
一般的に、化合物I及びIIを、豆の種を蒔いた後、3週間から3か月の期間内、好ましくは1から2か月の間に適用する。殺菌剤又は除草剤処理を繰り返し、好ましくは2回実施すると有利である。
【0060】
別々に用いる場合、除草剤IIをたとえば豆の種を蒔いてから3から6週間後に適用し、次いで種蒔きの4から8週間後の2回目の適用時に、殺菌剤Iを単独で、又は殺菌剤I及び除草剤IIの混合物を適用すると有利である。
【0061】
同時に適用する場合、化合物I及びIIの混合物は一般的に、豆の種を蒔いた後1から3か月の期間内に1回から2回適用される。
【0062】
上記の適用法は、マメ科植物の葉の処理を意味するものと理解される。たとえば種の処理と比較して、これらの方法は顕著な利点を有している。
【実施例】
【0063】
使用例により、ダイズの農場においてピラクロストロビン及びグリホサートの使用により収穫量が増加することが証明される。
【0064】
収穫量の増加は有害な菌類が良く防除されたことが原因ではないことを付け加えておかなければならない。実験において、実験農場には病害がなかった。自然の状態では、このような場合、殺菌活性成分I(ストロビルリン)及びIx(アゾール)又はそれらの混合物は非常に効果的な殺菌剤であるので、収穫量はさらに増加するであろう。有害な菌類により引き起こされる収穫量の減少は、本発明の方法により効果的に防止することができる。
【0065】
活性成分Iの本発明による使用に関する記載を、包装へのラベルの形で、あるいは製品データシート中におこなう。このような記載は活性成分Iと組み合わせて使用することができる製品の場合にもおこなわれる。
【0066】
マメ科植物における収穫量の増加を示す使用例
使用例
下に示す結果は、アルゼンチン北部のパンパにおいて冬季に実施された野外での実験により得られた。使用された試験区は互いにランダムに配置した。それぞれの異なる処理を4回繰り返した。使用した作物は、多くの菌類による病気及び除草剤グリホサートに対して耐性を有するダイズの変種NIDERA AX 4910であった。
【0067】
5回の実験のすべてにおいて、実践的な条件で通常使用される装置を用いて、ダイズの種を蒔いてから30又は60日後にグリホサートによる2回の葉の処理を実施した。実験2及び3においては「種蒔きの30日後」にピラクロストロビンを加え、実験4及び5においては「種蒔きの60日後」にピラクロストロビンを加えた。結果に示されるように、50又は100gの活性物質/haの量のピラクロストロビンを加えたものは、速い処理時期及び遅い処理時期の両方において、通常のグリホサート単独の使用と比較して収穫量が顕著に増加した。
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリホサート耐性マメ科植物の収穫量を増加する方法であって、該植物を、
a) 式I:
【化1】

[式中、
Xは、ハロゲン、C1-C4-アルキル又はトリフルオロメチルである、
mは、0又は1である、
Qは、C(=CH-CH3)-COOCH3、C(=CH-OCH3)-COOCH3、C(=N-OCH3)-CONHCH3、C(=N-OCH3)-COOCH3又はN(-OCH3)-COOCH3である、
Aは、-O-B、-CH2O-B、-OCH2-B、-CH=CH-B、-C≡C-B、-CH2O-N=C(R1)-B又は-CH2O-N=C(R1)-C(R2)=N-OR3であって、ここで、
Bは、フェニル、ナフチル、5員もしくは6員ヘテロアリール又は5員もしくは6員ヘテロシクリルであって、1から3個のN原子及び/又は1個のOもしくはS原子又は1個もしくは2個のO及び/又はS原子を含み、環系は無置換であるか、1から3個の基Raにより置換されている:
Raは、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルカルボニル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルホキシル、C3-C6-シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルオキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ-C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、ジ- C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、5もしくは6員ヘテロシクリル、5もしくは6員ヘテロアリール、5もしくは6員ヘテロアリールオキシ、C(=NOR’)-OR’’又はOC(R’)2-C(R’’)=NOR’’であって、
ここで、該環式基は、無置換であるか、1から3個の基Rbにより置換されている:
Rbは、シアノ、ニトロ、ハロゲン、アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルホキシル、C3-C6-シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルコキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ- C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルケニル、フェニル、フェノキシ、フェニルチオ、ベンジル、ベンジルオキシ、5もしくは6員ヘテロシクリル、5もしくは6員ヘテロアリール、5もしくは6員ヘテロアリールオキシ又はC(=NOR’)-OR’’である、
R’は、水素、シアノ、C1-C6-アルキル、C3-C6-シクロアルキル又はC1-C4-ハロアルキルである、
R’’は、水素、C1-C6-アルキル、C3-C6-アルケニル、C3-C6-アルキニル、C1-C4-ハロアルキル、C3-C6-ハロアルケニル又はC3-C6-ハロアルキニルである、
R1は、水素、シアノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C3-C6-シクロアルキル又はC1-C4-アルコキシである、
R2は、フェニル、フェニルカルボニル、フェニルスルホニル、5もしくは6員ヘテロアリール、5もしくは6員ヘテロアリールカルボニル又は5もしくは6員ヘテロアリールスルホニルであって、前記環系は無置換であるか、1から3個の基Raにより置換されているか、
又は、C1-C10-アルキル、C3-C6-シクロアルキル、C2-C10-アルケニル、C2-C10-アルキニル、C1-C10-アルキルカルボニル、C2-C10-アルケニルカルボニル、C3-C10-アルキニルカルボニル、C1-C10-アルキルスルホニル又はC(R’)=NOR’’であって、これらの基の炭化水素基は無置換であるか、1から3個の基Rcにより置換されている、
Rcは、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルホキシル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルコキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ-C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルキルオキシ、5又は6員ヘテロシクリル、5又は6員ヘテロシクリルオキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、フェニル、フェノキシ、フェニルチオ、5又は6員ヘテロアリール、5又は6員ヘテロアリールオキシ及びヘテロアリールチオであって、該環式基は部分的又は完全にハロゲン化されているか、これらに1から3個のRaが結合していてもよい、及び
R3は、水素、C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル又はC2-C6-アルキニルであって、これらの基の炭化水素基は無置換であるか、1から3個の基Rcにより置換されている]
の化合物;
と、
b) グリホサート(glyphosate)誘導体II;
とを相乗的に活性な量で含む混合物により処理することを含む前記方法。
【請求項2】
式Ia:
【化2】

[式中、TはCH又はNであり、Ra’及びRbはハロゲン又はC1-C4-アルキルであり、フェニル基は1-又は5-位であり、xは0、1又は2であり、yは0又は1である]
の活性成分を成分a)として用いる請求項1記載の方法。
【請求項3】
式I又はIaの活性成分に加えて、成分a)として、フルキンコナゾール、メトコナゾール、プロクロラズ、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、テブコナゾール、エポキシコナゾール又はミクロブタニルからなる群より選択される殺菌アゾールを使用する請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
a) 式I:
【化3】

[式中、
Xは、ハロゲン、C1-C4-アルキル又はトリフルオロメチルである、
mは、0又は1である、
Qは、C(=CH-CH3)-COOCH3、C(=CH-OCH3)-COOCH3、C(=N-OCH3)-CONHCH3、C(=N-OCH3)-COOCH3又はN(-OCH3)-COOCH3である、
Aは、-O-B、-CH2O-B、-OCH2-B、-CH=CH-B、-C≡C-B、-CH2O-N=C(R1)-B又は-CH2O-N=C(R1)-C(R2)=N-OR3であって、ここで、
Bは、フェニル、ナフチル、5員もしくは6員ヘテロアリール又は5員もしくは6員ヘテロシクリルであって、1から3個のN原子及び/又は1個のOもしくはS原子又は1個もしくは2個のO及び/又はS原子を含み、環系は無置換であるか、1から3個の基Raにより置換されている:
Raは、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルカルボニル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルホキシル、C3-C6-シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルオキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ-C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、ジ- C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、5もしくは6員ヘテロシクリル、5もしくは6員ヘテロアリール、5もしくは6員ヘテロアリールオキシ、C(=NOR’)-OR’’又はOC(R’)2-C(R’’)=NOR’’であって、
ここで、該環式基は、無置換であるか、1から3個の基Rbにより置換されている:
Rbは、シアノ、ニトロ、ハロゲン、アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルホキシル、C3-C6-シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルコキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ- C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルケニル、フェニル、フェノキシ、フェニルチオ、ベンジル、ベンジルオキシ、5もしくは6員ヘテロシクリル、5もしくは6員ヘテロアリール、5もしくは6員ヘテロアリールオキシ又はC(=NOR’)-OR’’である、
R’は、水素、シアノ、C1-C6-アルキル、C3-C6-シクロアルキル又はC1-C4-ハロアルキルである、
R’’は、水素、C1-C6-アルキル、C3-C6-アルケニル、C3-C6-アルキニル、C1-C4-ハロアルキル、C3-C6-ハロアルケニル又はC3-C6-ハロアルキニルである、
R1は、水素、シアノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C3-C6-シクロアルキル又はC1-C4-アルコキシである、
R2は、フェニル、フェニルカルボニル、フェニルスルホニル、5もしくは6員ヘテロアリール、5もしくは6員ヘテロアリールカルボニル又は5もしくは6員ヘテロアリールスルホニルであって、前記環系は無置換であるか、1から3個の基Raにより置換されているか、
又は、C1-C10-アルキル、C3-C6-シクロアルキル、C2-C10-アルケニル、C2-C10-アルキニル、C1-C10-アルキルカルボニル、C2-C10-アルケニルカルボニル、C3-C10-アルキニルカルボニル、C1-C10-アルキルスルホニル又はC(R’)=NOR’’であって、これらの基の炭化水素基は無置換であるか、1から3個の基Rcにより置換されている、
Rcは、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルホキシル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルコキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ-C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルキルオキシ、5又は6員ヘテロシクリル、5又は6員ヘテロシクリルオキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、フェニル、フェノキシ、フェニルチオ、5又は6員ヘテロアリール、5又は6員ヘテロアリールオキシ及びヘテロアリールチオであって、該環式基は部分的又は完全にハロゲン化されているか、これらに1から3個のRaが結合していてもよい、及び
R3は、水素、C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル又はC2-C6-アルキニルであって、これらの基の炭化水素基は無置換であるか、1から3個の基Rcにより置換されている]
の化合物;
と、
b) グリホサート(glyphosate)誘導体II;
とを収穫量が相乗的に増加するような量で含む混合物。
【請求項5】
a) ピラクロストロビン;
と、
b) グリホサート誘導体II;
とを含む請求項4記載の混合物。
【請求項6】
成分a)が、活性成分ピラクロストロビンに加えて、メトコナゾール、ミクロブタニル、エポキシコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール及びテブコナゾールからなる群より選択されるアゾールを含む請求項5記載の混合物。

【公表番号】特表2006−505608(P2006−505608A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550957(P2004−550957)
【出願日】平成15年11月8日(2003.11.8)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012483
【国際公開番号】WO2004/043150
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【Fターム(参考)】